IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナダル・バブアゼの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】折り畳み式シャワー室
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/32 20060101AFI20230425BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
A47K3/32
E04H1/12 301
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020518775
(86)(22)【出願日】2018-10-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 GB2018000133
(87)【国際公開番号】W WO2019073188
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-10-04
(31)【優先権主張番号】1716713.1
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520108202
【氏名又は名称】ナダル・バブアゼ
【氏名又は名称原語表記】Nodar BABUADZE
【住所又は居所原語表記】2 Stones Road Epsom Surrey KT17 1DG Great Britain
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義孝
(72)【発明者】
【氏名】ナダル・バブアゼ
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特公昭47-037583(JP,B1)
【文献】米国特許第01145568(US,A)
【文献】特開昭61-075188(JP,A)
【文献】国際公開第94/015514(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/02-4/00
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み式シャワー室であって、上昇伸展位置と下降後退位置との間で上軸周りに回転可能な天井ユニットを具備し、天井ユニットは、前記天井ユニットが伸展位置にあるときに、上軸からほぼ水平に延伸しており、下降伸展位置と上昇後退位置との間で下軸周りに回転可能なベースユニットを具備し、ベースユニットは、前記ベースユニットが伸展位置にあるときに、下軸からほぼ水平に延伸しており、天井ユニットをベースユニットに連結するリンク機構を更に具備し、前記リンク機構は、天井ユニットおよびベースユニットの後退位置と伸展位置との間での同時回転を調和するように構成され、かつ、ベースユニットの重量の上昇が天井ユニットの重量の下降によって相殺され、また、ベースユニットの重量の下降が天井ユニットの重量の上昇によって相殺されるように構成され
前記リンク機構が、上下の軸周囲で、天井ユニットをベースユニットに連結し、かつ、上下の軸周囲に延伸するベルトまたはチェーンを具備し、前記ベルトまたはチェーンが、上軸周りに回転可能な上ホイール周囲に延伸し、かつ、下軸周りに回転可能な下ホイール周囲に延伸しており、前記天井ユニットが上ホイールに固定され、また、前記ベースユニットが下ホイールに固定されることを特徴とする折り畳み式シャワー室。
【請求項2】
前記天井ユニットが、上軸周囲で回転可能な天井パネルを含むことを特徴とする、請求項1に記載の折り畳み式シャワー室。
【請求項3】
前記ベースユニットが、下軸周囲で回転可能なフロアパネルを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の折り畳み式シャワー室。
【請求項4】
前記天井ユニットの天井パネルに直接的または間接的に枢着された上リンク部材と、前記ベースユニットのフロアパネルに直接的または間接的に枢着された下リンク部材と、上下のリンク部材に枢着されたドアフレームと、ドアフレームに枢着されている折り畳み式シャワー室内への進入のためのドアを含むことを特徴とする、請求項2に従属する場合の請求項3に記載の折り畳み式シャワー室。
【請求項5】
前記天井ユニットが上昇伸展位置から下降後退位置へ回転され、かつ、前記ベースユニットが下降伸展位置から上昇後退位置へ回転されるとき、前記ドアフレームが上軸および下軸に向かって並進移動し、また、前記天井ユニットが下降後退位置から上昇伸展位置へ回転され、かつ、前記ベースユニットが上昇後退位置から下降伸展位置へ回転されるとき、前記ドアフレームが上軸および下軸から離隔して並進移動することを特徴とする、請求項4に記載の折り畳み式シャワー室。
【請求項6】
前記上リンク部材を前記天井パネルに対して相対的に回転させるように構成された天井リンケージを含むことを特徴とする、請求項4または5に記載の折り畳み式シャワー室。
【請求項7】
前記天井リンケージが、前記上リンク部材を上軸と同軸な天井シャフトに連結することを特徴とする、請求項6に記載の折り畳み式シャワー室。
【請求項8】
前記下リンク部材を前記フロアパネルに対して相対的に回転させるように構成されたベースリンケージを含むことを特徴とする、請求項4~7の何れかに記載の折り畳み式シャワー室。
【請求項9】
前記ベースリンケージが、前記下リンク部材を下軸と同軸なベースシャフトに連結することを特徴とする、請求項8に記載の折り畳み式シャワー室。
【請求項10】
前記天井ユニットおよび前記ベースユニットをそれらの伸展位置から相互に向けて回転し、または、前記天井ユニットおよび前記ベースユニットをそれらの後退位置から相互に離隔して回転することを選択的に行うように、前記リンク機構を駆動するための駆動機構を含むことを特徴とする、請求項1~9の何れかに記載の折り畳み式シャワー室。
【請求項11】
折り畳み式シャワー室であって、伸展位置と後退位置との間で可動な1対のサイドパネルを具備し、上昇伸展位置と下降後退位置との間で可動な天井ユニットを具備し、下降伸展位置と上昇後退位置との間で可動なベースユニットを具備し、天井ユニットに枢着された上リンク部材を具備し、ベースユニットに枢着された下リンク部材を具備し、更に、上下のリンク部材に枢着されたドアフレームと、ドアフレームに連結されている折り畳み式シャワー室内への進入のためのドアを具備しており、サイドパネル、天井ユニットおよびベースユニットが伸展位置にあるときに、シャワー室が起立状態にあり、また、サイドパネル、天井ユニットおよびベースユニットが後退位置にあるときに、シャワー室が、折り畳み状態にあり、かつ、折り畳み式シャワー室が起立状態から折り畳み状態へ移動されるとき、フロアパネルが後退位置へ移動される前に、サイドパネルが後退位置に向かって移動されるようになされている折り畳み式シャワー室。
【請求項12】
前記ベースユニットが、下降伸展位置から上昇後退位置へ回転されるフロアパネルを含むことを特徴とする、請求項11に記載の折り畳み式シャワー室。
【請求項13】
上昇後退位置にある前記フロアパネルが、後退位置におけるサイドパネルの少なくとも一部分を覆うことを特徴とする、請求項12に記載の折り畳み式シャワー室。
【請求項14】
前記フロアパネルが1対の肩部を有し、前記サイドパネルおよび前記ベースユニットがそれらの伸展位置にあるときに、肩部間にある各サイドパネルがそれぞれの肩部に隣接することを特徴とする、請求項12または13に記載の折り畳み式シャワー室。
【請求項15】
伸展位置から後退位置へ回転されるときに、前記フロアパネルから水を収集するためのドレインを含むことを特徴とする、請求項12、13または14に記載の折り畳み式シャワー室。
【請求項16】
前記ドアおよび前記ドアフレームの各々が、ドアフレームに対して相対的なドアの動きを緩衝するように相互作用するための少なくとも1つの磁石を有していることを特徴とする、請求項4または11に記載の折り畳み式シャワー室。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み可能なシャワー室に関する。
【背景技術】
【0002】
慣用のシャワー室は、シャワー室が置かれるルーム内に一部のスペースを取る剛性構造のものである。
【0003】
本発明の目的は、不使用時に、スペースを節約するために折り畳むことができるシャワー室を提供することにある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の1つの様相によれば、折り畳み式のシャワー室が提供され、このシャワー室は、上昇伸展位置と下降後退位置との間で上軸周りに回転可能な天井ユニットを具備し、天井ユニットは、当該天井ユニットが伸展位置にあるときに、上軸からほぼ水平に延伸しており、下降伸展位置と上昇後退位置との間で下軸周りに回転可能なベースユニットを具備し、ベースユニットは、当該ベースユニットが伸展位置にあるときに、下軸からほぼ水平に延伸しており、リンク機構を更に具備し、リンク機構は、天井ユニットをベースユニットに連結し、かつ、天井ユニットおよびベースユニットの後退位置と伸展位置との間での同時回転を調和するように構成され、また、ベースユニットの重量の上昇が天井ユニットの重量の下降によって相殺され、ベースユニットの重量の下降が天井ユニットの重量の上昇によって相殺されるように構成されている。相殺は、シャワー室が僅かな力で折り畳まれる又は建て上げられることを可能にする。
【0005】
折り畳み式シャワー室はリンク機構を駆動するための駆動機構を含むことができ、この駆動機構は、天井ユニットおよびベースユニットをそれらの伸展位置から相互に向けて回転し、または、天井ユニットおよびベースユニットをそれらの後退位置から相互に離隔して回転することを選択的に行う。
【0006】
天井ユニットは、上軸周りで回転可能な天井パネルを含むことができる。天井ユニットは、天井パネルに固定され、かつ、当該天井パネルと共に回転可能な天井リンクを含むことができる。
【0007】
ベースユニットは、下軸周りで回転可能なフロアパネルを含むことができる。ベースユニットは、フロアパネルに固定され、かつ、当該フロアパネルと共に回転可能なベースリンクを含むことができる。
【0008】
折り畳み式シャワー室は、天井ユニットの天井パネルに直接的または間接的に枢着された上リンク部材と、ベースユニットのフロアパネルに直接的または間接的に枢着された下リンク部材と、それらの上下リンク部材に枢着されたドアフレームと、ドアフレームに連結されている折り畳み式シャワー室内への進入用のドアを含むことができる。天井ユニットが上昇伸展位置から下降後退位置へ回転され、かつ、ベースユニットが下降伸展位置から上昇後退位置へ回転されるとき、ドアフレームは上軸および下軸に向かって並進移動することができ、また、天井ユニットが下降後退位置から上昇伸展位置へ回転され、かつ、ベースユニットが上昇後退位置から下降伸展位置へ回転されるとき、ドアフレームは上軸および下軸から離隔して並進移動することができる。
【0009】
ドアおよびドアフレームは、それぞれ、ドアフレームに対して相対的なドアの動きを緩衝するように相互作用するための少なくとも1つの磁石を有することができる。
【0010】
折り畳み式シャワー室は、上リンク部材を天井パネルに対して相対的に回転させるように構成された天井リンケージを含むことができる。天井リンケージは、上リンク部材を上軸と同軸な天井シャフトに連結することができる。折り畳み式シャワー室は、下リンク部材をフロアパネルに対して相対的に回転させるように構成されたベースリンケージを含むことができる。ベースリンケージは、下リンク部材を下軸と同軸なベースシャフトに連結することができる。
【0011】
リンク機構は、上下の軸の周囲で、天井ユニットをベースユニットに連結することができる。リンク機構は、天井ユニットをベースユニットに連結し、かつ、上下の軸周囲に延伸する8の字構成をなすベルト、チェーンまたはその他の適切な手段を具備することができる。ベルトまたはチェーンは、上軸周りで回転可能な上ホイールの周囲に延伸し、かつ、下軸周りで回転可能な下ホイールの周囲に延伸することができ、天井ユニットは、上ホールに固定され、また、ベースユニットは下ホイールに固定される。ホイールは、ギアホイールまたはプーリーホイールであり得る。
【0012】
シャワー室を建て上げるまたは折り畳むための方法も提供することができ、この方法は、天井ユニットおよびベースユニットを伸展位置と後退位置との間で回転させることを含む。
【0013】
本発明によって提供される他の様相による折り畳み式シャワー室は、伸展位置と後退位置との間で可動な1対のサイドパネルを具備し、上昇伸展位置と下降後退位置との間で可動な天井ユニットを具備し、天井ユニットに枢着された上リンク部材を具備し、ベースユニットに枢着された下リンク部材を具備し、更に、上下のリンク部材に枢着されたドアフレームと、ドアフレームに連結されている折り畳み式シャワー室内への進入のためのドアを具備しており、シャワー室は、サイドパネル、天井ユニットおよびベースユニットが伸展位置にあるときに、起立状態にあり、また、シャワー室は、サイドパネル、天井ユニットおよびベースユニットが後退位置にあるときに、折り畳み状態にあり、かつ、折り畳み式シャワー室が起立状態から折り畳み状態へ移動されるとき、フロアパネルが後退位置へ移動される前に、サイドパネルが後退位置に向かって移動されるようになされている。シャワー室がドアフレームを有することにより、当該シャワー室が起立状態にあるときに、適切なシャワー室内への入口が設けられる。ベースユニットが後退位置へ移動される前にサイドパネルが後退位置に向かって移動されることにより、ベースユニットが後退位置へ上昇される前に、サイドパネルからの水滴がベースユニットによって捕集される。
【0014】
ベースユニットは、下降伸展位置から上昇後退位置へ回転されるフロアパネルを含むことができる。上昇後退位置にあるフロアパネルは、後退位置にあるサイドパネルの少なくとも一部分を覆うことができる。フロアパネルは、1対の肩部を有することができ、サイドパネルおよびベースユニットが伸展位置にあるときに、肩部間にあるサイドパネルの各々は、それぞれの肩部に隣接することができる。
【0015】
折り畳み式シャワー室は、伸展位置から後退位置へ回転されるときに、フロアパネルから水を収集するドレインを含むことができる。
【0016】
シャワー室を建て上げるまたは折り畳むための方法も提供することができる。
【詳細な説明】
【0017】
本発明の実施態様を、例えば、添付の図面を参照しながら、以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】は、起立状態にある本発明の実施態様による折り畳み式シャワー室の概略図である。
図2】は、シャワー室の概略側面図である。
図3】は、起立状態にあるシャワー室の上面図である。
図4】、
図5】および
図6】は、図3においてA、BおよびCのそれぞれで示した部分の詳細図である。
図7】は、図3の7-7線に沿う側面横断面図である。
図8】は、図7においてDで示した側面横断面図の上部である。
図9】および
図10】は、図8においてEおよびFでそれぞれ示した部分の詳細図である。
図11】は、図7においてGで示した側面横断面図の下部である。
図12】および
図13】は、図11においてHおよびJでそれぞれ示した部分の詳細図である。
図14】は、図13の14-14線に沿う断面図である。
図15】は、図7の15-15線に沿う起立状態にあるシャワー室の断面平面図である。
図16】は、図15においてKで示した部分の詳細図である。
図17】は、図16においてLで示した部分の詳細図である。
図18】は、図16の18-18線に沿う断面図である。
図19】は、図3の19-19線に沿う背面横断面図である。
図20】は、図3の20-20線に沿う横断面図である。
図21】および
図22】は、図19の21-21線および22-22線に沿う断面図である。
図23】~
図27】は、起立状態から後退状態へ折り畳まれたシャワー室の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面の図1図22を参照すると、本発明の実施態様による折り畳み式シャワー室1は、壁3の窪み2内に装着されている。折り畳み式シャワー室1は、窪み2内に装着される装着フレーム4を有する。装着フレーム4は、シールフレーム5を含む。
【0020】
装着フレーム4は、1対のコラム6(図15参照)を有し、その1対のコラムの間には上下のシャフト7、8が装着され、上シャフトまたは天井シャフト7は上軸9と同軸であり、また、下シャフトまたはベースシャフト8は下軸10と同軸である。上下のシャフト7、8は固定されている。1対の上ギアホイール11は上シャフト7周りで回転可能であり、また、1対の下ギアホイール12は下シャフト8周りで回転可能である。各コラム6は、上ギアホイール11の一方と、下ギアホイール12の一方を含有している。
【0021】
上シリンダ13は、上シャフト7周囲の各上ギアホイール11から延伸し、かつ、コラム6を通って、他方のシリンダの方向に突出している。天井リンクアーム14の第1端は、コラム6をすぐに越えた各上シリンダ13の遠位端に取り付けられる。天井リンクアーム14の対向する第2端は、リンクピボット接続15によって、上リンク部材16の第1端に連結される。リンクピボット接続15は、1対の天井リンクアーム14間で延伸する上リンクシャフト17を含み、上リンクシャフト17は、1対の天井リンクアーム14において回転自在に装着されている。上リンク部材16の第1端は上リンクシャフト17に固定され、また、上リンク部材16の対向する第2端は、ピボット接続18によって、ドアまたはピクチャフレーム20上部の背後から延伸する上延伸部19に連結されている。2つの天井リンクアーム14はチューブ63によって相互に連結されており、当該チューブを通って上シャフト7が延伸している。天井パネル21は、1対の天井リンクアーム14に固定され、かつ、天井リンクアーム14の長さに沿って、また、上シャフト7から離れる方向に越えて延伸している。天井リンクアーム14と平行な天井パネル21のエッジ22は、天井パネル21の主体部から下向きに延伸している。1対の天井リンクアーム14と天井パネル21は、天井ユニット23を形成している。各天井リンクアーム14はシール24を有しており、当該シールは、天井パネル21から離れた頂側から、他方の天井リンクアームから離隔し、かつ、天井パネル21に下がる外側に延伸している。シャワーヘッドおよび灯具(図示せず)は、天井パネル21に連結されている。
【0022】
下シリンダ25は、下シャフト8周囲の各下ギアホイール12から延伸し、かつ、コラム6を通って、他方のシリンダ25の方向に突出している。ベースリンクアーム26の第1端は、コラム6をすぐに越える各下シリンダ25の遠位端に取り付けられる。ベースリンクアーム26の対向する第2端は、リンクピボット接続27によって、下リンク部材28の第1端に連結される。リンクピボット接続27は、1対のベースリンクアーム26間で延伸する下リンクシャフト29を含み、下リンクシャフト29は、1対のベースリンクアーム26において回転自在に装着されている。下リンク部材28の第1端は下リンクシャフト29に固定され、また、下リンク部材28の対向する第2端は、ピボット接続30によって、ドアフレーム20下部の背後から延伸する下延伸部31に連結されている。ドリップトレイ32(図13参照)はピボット接続30の下方でドアフレーム20に取り付けられ、また、ドリップトレイ32はばね作動弁33を有している。2つのベースリンクアーム26は、チューブ64によって相互に連結されており、当該チューブを通って下シャフト8が延伸している。フロアパネルまたはプレート34は、1対のベースリンクアーム26に固定され、かつ、ベースリンクアーム26の長さに沿って、また、下シャフト8から離れる方向に越えて延伸している。フロアパネル34は1対の肩部またはアップスタンド35を有しており、各肩部35は、ベースリンクアーム26と平行なフロアパネル34のエッジに沿って延伸している。フロアパネル34は、肩部35間にガラスインフィル36を含み得る。1対のベースリンクアーム26とフロアパネル34は、ベースユニット37を形成している。各ベースリンクアーム26はシール38を有しており、当該シールは、フロアパネル34から離れた下側から、他方のベースリンクアームから離隔し、かつ、フロアパネル34に上がる外側に延伸している。
【0023】
各下リンク部材28は、同部材に枢着された脚38を有している。ロッド39は、脚38およびドアフレーム20に枢着されている。
【0024】
各コラム6の内側で、8の字構成をなすチェーン40は、上下のギアホイール11,12周囲で延伸している。チェーン40は、天井ユニット23をベースユニット37に連結するリンク機構を形成している。各チェーン40は駆動モータ41によって駆動されるように配置され、当該駆動モータは駆動軸42を回転し、当該駆動軸上に、チェーン40と係合する1対の同軸の駆動ギア43が装着されている。
【0025】
各天井リンクアーム14の第1端の内側で、ギアホイール44は上シャフト7の周囲に装着され、かつ、当該上シャフトに固定されている。各天井リンクアーム14の第2端の内側で、ギアホイール45は上シャフト17の周囲に装着され、かつ、当該上シャフトに固定されており、また、チェーン46は、上シャフトギアホイール44および上リンクシャフトギアホイール45の周囲に延伸している。天井リンケージ47は、上シャフトギアホイール44と、上リンクシャフトギアホイール45と、それらの周囲に延伸するチェーン46を具備している。
【0026】
各ベースリンクアーム26の第1端の内側で、ギアホイール48は下シャフト8の周囲に装着され、かつ、当該下シャフトに固定されている。各ベースリンクアーム26の第2端の内側で、ギアホイール49はベースリンクシャフト29の周囲に装着され、かつ、当該シャフトに固定されており、また、チェーン50は、下シャフトギアホイール48および下リンクシャフトギアホイール49の周囲に延伸している。ベースリンケージ72は、下シャフトギアホイール48と、下リンクシャフトギアホイール49と、それらの周囲に延伸するチェーン50を具備している。
【0027】
1対の縦シャフト51、52(図3参照)は、折り畳み式シャワー室1の装着フレーム4に回転自在に装着されている。第1サイドパネル53の第1端部は2つの縦シャフトのうちの第1縦シャフト51に固定され、また、第2サイドパネル54の第1端部は2つの縦シャフトのうちの第2縦シャフト52に固定されている。サイドパネル53、54の各々の遠位端は、それらのそれぞれの縦シャフト51、52から離隔して延伸している。第2縦シャフト52は、第1縦シャフト51よりも、装着フレーム4の後部から更に僅かに離隔して配置され、かつ、それ自体に沿って縦に走行するノッチまたは溝55(図6参照)を有している。サイドパネル53、54は、モータ71(図19参照)によって、後退位置と伸展位置との間で回転可能である。
【0028】
ドレイン56(図12参照)は、シャワー室1から排水するために、装着フレーム4の底部に設けられている。ドレイン56は、シャワー室1から適切に排水されない場合に洪水を防止するためのフロートセンサー57を有している。
【0029】
ドア58(図3~5参照)は縦方向のドアシャフトまたはヒンジ59によってドアフレーム20に連結され、また、ドア58は、外部ドアハンドル60も有している。ドアフレーム20は磁石61を有し、当該磁石はドアハンドル60および縦ドアシャフト59上の磁石62と相互作用して、ドアフレーム20に対して相対的なドア58の動きを緩衝する。これらの磁石は、ドアストップとして機能することができる。ドアフレーム20は当該フレーム20周囲に環状シール74も有しており、当該環状シールはシールフレーム5と係合する。
【0030】
装着フレーム4の上方には、1対のハウジング65(図20参照)が配置され、各ハウジングは、インライン換気扇66と、当該ハウジング65から延伸する可撓パイプ67を含有している。装着フレーム4の上方には、シャワーヘッド用のポンプ68(図19参照)、タンク69、ソレノイド70およびその他のシャワー室1用の電気機器73も配置されており、ソレノイド70およびその他の電子機器73は防水領域内に含有されている。折り畳み式シャワー室1は、同シャワー室を作動するためのタッチスクリーン制御パネルを有し得る。この制御パネルは電子プロセッサと接続することができ、当該電子プロセッサは、モータ41、71、センサー57、ファン66用のモータおよびその他のセンサーと接続される。
【0031】
特に図2および図23図27を参照すると、シャワー室1が起立状態(図23参照)にあるとき、天井ユニット23は、シールフレーム5を越える上昇伸展位置において上軸9から水平に延伸し、ベースユニット37は、シールフレーム5を越える下降伸展位置において下軸10から水平に延伸する。サイドパネル53、54は伸展位置にあり、かつ、天井パネル21の下向きに延伸するエッジ22と、フロアパネル34の肩部35の内側に配置され、サイドパネル53、55の各々は、それぞれの下向きに延伸するエッジ22と隣接し、かつ、それぞれの肩部35と隣接する。人は、ドア58を介して、建て上げられたシャワー室1内に入ることができる。
【0032】
シャワー室1を折り畳む際、第1のサイドパネル53が伸展位置から後退位置まで90度にわたって回転され、当該後退位置において、サイドパネル53は壁の窪み2内の装着フレーム4内に置かれ、次いで、第2のサイドパネル54が伸展位置から後退位置まで90度にわたって回転されて(図24参照)、第1サイドパネル53と重なるようになる(図25参照)。次に、駆動モータ41が作動されて、リンク機構のチェーン40を駆動し、上下のギアホイール11、12を回転させる。このことは、天井ユニット23およびベースユニット37のそれぞれの上昇伸展位置および下降伸展位置からそれぞれの下降後退位置および上昇後退位置への同時回転(図26参照)を調和し、その際、ベースユニット37の重量の上昇は、天井ユニット37の重量の下降によって相殺される。ベースユニット37が上昇されるとき、フロアパネル34上の水はドレイン56内へ排出される。また、天井ユニット23が下降され、かつ、ベースユニット37が上昇されるとき、それぞれの上シャフトギアホイール44周囲の各天井リンクアームチェーン46は、上リンクシャフトギアホイール45により上リンクアーム16を回転せしめ、かつ、それぞれの下シャフトギアホイール48周囲の各ベースリンクアームチェーン50は、下リンクシャフトギアホイール49により下リンクアーム28を回転せしめる。よって、ドアフレーム20は、装着フレーム5を当該装着フレーム5との密封をなすシール74と係合させるまで、上下の軸9、10に向かって並進移動される。ドアフレーム20の並進移動は、ドリップトレイばねバルブ33を装着フレーム4と係合せしめ、それにより、開放させて、ドリップトレイ32内の水が、トレイ32から解放されて、ドレイン56を介してシャワー室1から排出できるようになる。天井ユニット23およびベースユニット37がそれらの下降後退位置および上昇後退位置のそれぞれにあるとき(図27参照)、それらのユニットは、後退位置においてサイドパネル53、54を覆う。後退位置における第2サイドパネル54は、後退位置における天井ユニット23およびベースユニット37の部分を受け入れるように位置付けられた縦軸52内にノッチ55を有する。折り畳み状態のシャワー室1は、スマートで、スリムな外観を有する。
【0033】
シャワー室1を建て上げるために、駆動モータ41が作動されて、リンク機構のチェーン40を反対方向に駆動し、それにより、天井ユニット23およびベースユニット37は、それらの下降後退位置および上昇後退位置のそれぞれから、それらの上昇伸展位置および下降伸展位置のそれぞれへ同時に回転されるようになり、その際、ベースユニット37の重量の下降は、天井ユニット23の重量の上昇によって相殺される。天井ユニット23が上昇され、かつ、ベースユニット37が下降されるとき、それぞれの上シャフトギアホイール44周囲の各天井リンクアームチェーン46は、上リンクシャフトギアホイール45により上リンクアーム16を回転せしめ、かつ、それぞれの下シャフトギアホイール48周囲の各ベースリンクアームチェーン50は、下リンクシャフトギアホイール49により下リンクアーム28を回転せしめ、よって、ドアフレーム20は、上下の軸9、10から離隔して並進移動される。ベースユニット37が下降されるとき、各下リンク部材28における脚38は、それ自体およびドアフレーム20に枢着されたロッド39によって、直立スタンスに保持され、また、脚38は、シャワー室1を起立状態に支持する役目を果たす。天井ユニット23が伸展位置へ上昇され、かつ、ベースユニット37が伸展位置へ下降されるとき、天井パネル21の遠位端はドアフレーム20とのシール75(図10参照)を形成し、また、フロアパネル34の遠位端はドアフレーム20とのシール76(図13参照)を形成する。更に、天井リンクアーム14のシール24とシールフレーム5(図6および図9参照)との間およびベースリンクアーム26のシール38とシールフレーム5(図12参照)との間に、シールが形成される。
【0034】
第2サイドパネル54および第1サイドパネル53は、それらの後退位置から伸展位置へ90度にわたって回転される。サイドパネル53、54が伸展位置にあるとき、サイドパネル53、54と天井パネル21の下向きに延伸するエッジ22との間にシールが形成され、更に、サイドパネル53、54とフロアパネル34の肩部35との間にもシール77(図18参照)が形成される。サイドパネル53、54の遠位端は、ドアフレーム20とのシール78(図16参照)を形成する。
【0035】
天井ユニット23とベースユニット37との間および密封フレーム5とドアフレーム20との間のシール、並びに、サイドパネル53、54と天井ユニット23との間およびベースユニット24とドアフレーム20との間のシールは防水であり、かつ、磁性であり得るものである。
【0036】
シャワー室1は、完全に自動化できる折り曲げまたは折り畳み式のシャワー室であり得る。シャワー室1は、壁内に一体化することができる。
【0037】
好ましい実施態様の具体的な例では、駆動モータ41は、低度の電圧およびワットの直流モータである。上記に述べた相殺に基因して、シャワー室1が建て上げられるまたは折り畳まれるときに、天井ユニット23およびベースユニット37を伸展または後退させるために、そのような低動力のモータ41を使用することができる。シャワー室1は、壁3内の窪み2に、175ミリメートルだけの深さで、嵌合することができる。サイドパネル53、54は、6ミリメートルの厚さであり得る強化ガラスからなることができる。ドア58は、強化ガラスからなることができる。
【0038】
特定の実施態様について説明してきたが、クレームされた発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更がなし得ることを理解されたい。
【0039】
上下のギアホイール11、12周囲に延伸する8の字構成をなすチェーン40からなるリンク機構は、ギアおよび/またはロッドのシステムで代替することができ、そのシステムでは、ギアの少なくとも1つが、ロッドの少なくとも1つと同軸であり得る。
【0040】
シャワー室1は、サイドパネル53、54が後退位置にあるときに、それらのサイドパネルを洗浄するためのスプリンクラーを含むことができる。ドア58は、シャワー室1の内側から見ることができる見通しミラーを具備することができる。シャワー室1は、当該シャワー室1内に音楽再生用のスピーカーを含むことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27