(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】ギター
(51)【国際特許分類】
G10D 1/08 20060101AFI20230425BHJP
G10D 3/02 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
G10D1/08 100
G10D3/02
(21)【出願番号】P 2020526913
(86)(22)【出願日】2018-10-09
(86)【国際出願番号】 US2018055044
(87)【国際公開番号】W WO2019099122
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-07-20
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516315845
【氏名又は名称】テイラー - リスタグ、インコーポレイテッド ドゥーイング ビジネス アズ テイラー ギターズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パワーズ、アンドリュー テイラー
【審査官】山下 剛史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/075664(WO,A1)
【文献】特開2000-276167(JP,A)
【文献】特開2001-323567(JP,A)
【文献】国際公開第2012/126060(WO,A1)
【文献】特開2006-84605(JP,A)
【文献】特開2014-106312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10D 1/00-3/22
G10H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギターであって、
底面および側面を有するボディと、
トップであって、前記トップの外周は、前記側面の上側リムに取り付けられる、トップと、
前記ボディから延びるネックと
、
ブリッジ支持体とを備え、
前記トップの上面は、前記トップを実質的にドーム形状に曲げることによって張力がかかり、前記トップの厚さは、中央部分より、前記外周の領域内の方が薄く、それによって前記外周の前記領域内の前記トップの前記上面内の張力を低減
し、
前記上側リムおよび前記ブリッジ支持体の上面は、凸状プロファイルを形成し、前記凸状プロファイルは、前記トップが前記ボディ上に設置されたときに前記トップの下面上に対応する凹面形状を作るように構成されている、ギター。
【請求項2】
前記トップを前記ボディに取り付けた後、前記トップの前記上面から材料を除去することにより、前記トップは、前記外周の前記領域内で薄くなる、請求項1に記載のギター。
【請求項3】
前記ブリッジ支持体は、前記ボディの底面から上方に延びており、前記ブリッジ支持体の上面は、前記側面の前記上側リムの上方を延びる、請求項2に記載のギター。
【請求項4】
前記ボディの内部に形成された空洞をさらに含み、前記ブリッジ支持体が、前記空洞から延びる、請求項3に記載のギター。
【請求項5】
前記側面の前記上側リムが、リムの内縁がその外縁よりも高くなるようにテーパにされる、請求項1に記載のギター。
【請求項6】
前記ブリッジ支持体は、前記ボディの底面から上方に延びており、前記ブリッジ支持体の前記上面が、前記側面の前記テーパにされたリムを補完するドーム形状プロファイルを形成する、請求項5に記載のギター。
【請求項7】
前記側面の前記上側リムおよび前記ブリッジ支持体の前記上面が、前記ボディのいずれかの側またはいずれかの端部から見たときにドーム形状プロファイルを形成する、請求項6に記載のギター。
【請求項8】
前記トップ上に設置され、前記ブリッジ支持体に固定されたブリッジアセンブリであって、サドルを含む、ブリッジアセンブリをさらに含む、請求項1に記載のギター。
【請求項9】
ギターを組み立てる方法であって、
実質的に平坦なトップを提供することと、
内部に空洞を有するボディを提供することであって、前記ボディは、
周囲を延びる側面であって、上側リムを有し、前記リムは、前記リムの内縁がその外縁よりも高くなるようにテーパにされる、側面と、
前記空洞内に形成されたブリッジ支持体であって、前記ブリッジ支持体の上面、および前記側面の前記上側リムは、前記ボディのいずれかの側またはいずれかの端から見たときにドーム形状プロファイルを形成する、ブリッジ支持体と、を有する、提供することと、
前記トップの上面が
、ブリッジの前記上面および前記側面の前記テーパにされたリムの結果としてドーム形状をとるように前記ボディ上に前記トップを設置することと、
前記ボディの前記側面への前記トップの取付け領域内で前記トップの前記上面から材料を除去することとを含み、
前記トップの前記上面は、その中央に第1の張力を有し、その周囲に第2のより低い張力を有する、方法。
【請求項10】
材料が、回転カッタを使用して除去される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
材料が、サンディングによって除去される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記トップが、前記ボディと前記トップとの間の接触領域間で接着剤を使用して前記ボディ上に保持される、請求項
9に記載の方法。
【請求項13】
接触領域は、前記トップの前記外周の下面と、前記側面の前記リムとを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ギターであって、
ボディであって、底面と、側面と、トップと、前記ボディの内部に形成された空洞と、前記空洞内に形成されたブリッジ支持体とを有する、ボディと、
前記ボディから延びるネックと、
少なくとも2つのアンカーボルトによって前記トップに取り付けられたブリッジであって、前記アンカーボルトは、前記トップを通って延び、前記ボルトの外面と前記ブリッジ支持体の内面との間のねじ連結によって前記ブリッジ支持体内に固定される、ブリッジとを備
え、
前記トップの上面は、前記トップを実質的にドーム形状に曲げることによって張力がかかり、前記トップの厚さは、中央部分より、外周の領域内の方が薄く、それによって前記外周の前記領域内の前記トップの前記上面内の張力を低減する、ギター。
【請求項15】
各アンカーボルトと前記ブリッジ支持体の前記内面との間に配設されたレシーバをさらに含み、インサートは、前記アンカーボルトとのねじ連結用の内ねじと、前記ブリッジ支持体とのねじ連結用の外ねじとを有する、請求項14に記載のギター。
【請求項16】
前記レシーバが、金属インサートである、請求項15に記載のギター。
【請求項17】
前記アンカーボルトを固定する前記ブリッジ支持体の材料が、第1のより硬い材料であり、前記ブリッジ支持体の材料の残りが、第2のより軟質の材料である、請求項15に記載のギター。
【請求項18】
ギターであって、
ボディであって、底面と、側面と、トップと、前記ボディの内部に形成された空洞と、前記空洞内に形成されたブリッジ支持体とを有する、ボディと、
前記ボディから延び、遠位端にヘッドストックを備えたネックと、
少なくとも2つのアンカーボルトで前記トップに取り付けられたブリッジアセンブリであって、前記ブリッジは、その上に配設されたサドルであって、前記ヘッドストックに向かう方向および離れる方向に前記ブリッジに対して調整可能である、サドルを有する、ブリッジアセンブリとを備
え、
前記トップの上面は、前記トップを実質的にドーム形状に曲げることによって張力がかかり、前記トップの厚さは、中央部分より、外周の領域内の方が薄く、それによって前記外周の前記領域内の前記トップの前記上面内の張力を低減する、ギター。
【請求項19】
前記サドルが2つの調整スロットを含み、前記ブリッジが、前記サドルの場所がそのそれぞれのスロット内の各調整部材の場所によって決定されることを可能にするように前記スロット内に配設された2つのねじ付き調整部材を有する、請求項18に記載のギター。
【請求項20】
前記調整スロットがそれぞれ、開放端および閉鎖端を有する、請求項19に記載のギター。
【請求項21】
前記スロットおよび調整部材が、前記サドルの各端部が前記ブリッジに対して独立的に調整可能であることを可能にする、請求項19に記載のギター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で説明する実施形態は、一般にギターに関する。より具体的には、本発明は、楽器によって生成される音の様相が、ギターのトップの可変量の張力によってチューニングされるギターに関する。1つの実施形態では、変化は、ギタートップ内に張力を作りだし、次いで、対応する剛性の変化を有するギタートップの可変量の厚さを提供することによってもたらされる。別の態様では、本発明は、ギターのブリッジをそのボディに固定するための装置および方法に関する。さらに別の態様では、本発明は、ブリッジ自体に対するギターブリッジのサドル部分の場所を調整するための調整手段に関する。
【背景技術】
【0002】
エレキギターまたはアコースティックギターのトップは、ギターの弦を弾くことによって生成される音質に主に影響を与える。振動する弦の動作は、弦が固定され、張力がかかる構造によって大きく左右される。構造が剛性になるほど、構造は振動に強くなる。振動に強い構造は、弦のエネルギーをほとんど吸収せず、弦が長時間振動し続けることを可能にする。剛性の支持構造およびそれに対応して弦の振動がより長く続くこの特性は、楽器の長く続く楽音上にはっきりと現れる。この品質は、そのような楽器を演奏するミュージシャンにとって有益である。
【0003】
剛性の支持構造の欠点は、振動に付与された制限が、弦の振動を共鳴させ、これを可聴ボリュームに変換する構造の能力に直接影響を与えることである。ボリュームは、振動の振幅で測定される。ボリュームは、楽器が弦の振動を増幅するために必要である。これは、エレキギターのようにギターの音量を電気的に増幅する場合にも当てはまる。楽器の支持構造が柔軟であるほど、生成される楽音の振幅または潜在的なボリュームが高くなる。
【0004】
弦を支持する構造の2つの考慮事項間に直接的な対立が存在する。すなわち、長時間持続する振動に必要な剛性と、振動振幅の形で可聴ボリュームを生成するために必要な柔軟性との間の対立である。従来、楽器は、剛性と柔軟性のバランスをとって、サステイン(sustain)およびボリュームの両方を備えた楽器になるように構造化される。
【0005】
アコースティックギターの場合、ブレーシングがギターのトップの下面に使用されて、特定の領域内に硬度を作りだす。エレキギターは、ボディの内部の内部スペースがはるかに小さいため、ギタートップの下面の構造的ブレーシングは適さない。必要なのは、トップの所定の領域に張力を作りだすことにより、エレキギターのサウンドを調整する方法である。さらに、ボディに弦を固定するためにブリッジアセンブリを含むエレキギターのトップに構成要素をより効果的かつ簡単に取り付けること、および振動が停止され、可能にされる弦の長さを変更するためにブリッジアセンブリのサドル部分を簡単に調整することを可能にすることが必要とされる。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、概して、ギターであって、底面および側面を備えたボディと、ボディに取り付けられたトップとを備えたボディを有し、トップの上面は、トップを実質的にドーム形状に曲げることによって張力がかかり、トップの厚さは、中央部分より、トップの外周の領域内の方が薄く、それによって外周の領域内のトップの上面内の張力を低減する、ギターを含む。
【0007】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡潔に要約した本開示のより具体的な説明は、いくつかが添付の図面に示される実施形態を参照することによって得られ得る。ただし、付属の図は本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって、その範囲を限定するものと見なされものではなく、開示のために、他の同等の効果的な実施形態が認められ得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明のいくつかの態様を含むエレキギターの上面図である。
【
図2】ギターボディおよび分離したギターのトップの斜視図である。
【
図6】
図4のギターボディおよびトップの断面図である。
【
図7】
図5のギターボディおよびトップの別の断面図である。
【
図8】ギターボディに取り付けた後のギタートップを示す断面端面図である。
【
図9】
図8の断面端面図であり、トップの外周から除去された材料を示し、また、ギターボディ内に形成されたブリッジ支持体に固定されたブリッジアセンブリも示す。
【
図10】ギタートップの変形を示す拡大断面図である。
【
図11】アンカーボルトでブリッジ支持体に固定されたブリッジアセンブリのブリッジ部分を示す、ギターボディおよびトップの拡大断面図である。
【
図12】アンカーボルトを受け入れるためにブリッジ支持体内で利用される別個の材料片を示す、ギターボディおよびトップの拡大断面図である。
【
図13】サドル部分の調整手段を示す、ギターのブリッジアセンブリの上面図である。
【
図14】サドルがブリッジに対して異なる位置に調整されている、
図15の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、ギタートップを含むギターの構成要素ならびにギターブリッジアセンブリおよびその調整に関する。より具体的に、本発明は、所定の領域のギタートップの厚さを変更して、それらの領域の剛性に影響を与えることにより、エレキギターをチューニングする新規の方法に関する。さらに、他の実施形態は、ブリッジアセンブリを固定する新規の方法、およびブリッジのサドル部材を調整するためのより効果的な方法の提供に関する。好ましい実施形態の図および説明はエレキギターに関するものであるが、本発明の態様は、アコースティックギターまたは音質を向上させるトップを利用する他の弦楽器と共に利用する場合にも等しく価値があり得ることが理解されよう。
【0010】
図1は、本発明のいくつかの態様を含むエレキギター100の上面図である。ギターは、トップ115を有するボディ110と、一端においてボディに取り付けられたネック120と、ネックの反対側の端に形成されたヘッドストック125とを含む。弦(典型的には6本)130は、ギタートップ115上に配置されたブリッジ135からヘッドストック上に配置されたチューニングペグ140まで、ギターの長さにわたっている。弦は、ヘッドストック端のナット145と反対側の端のブリッジ135上に配置されたサドル150との間に懸架される。ネック120は、その長さに沿ってフレット155を備えており、弦130の振動長さのいずれかまたはすべてを、それらのピッチを変更するために本質的に短くすることを可能にする。ギターはエレキギターであるため、ピックアップ160と、トーンおよびボリュームコントロール165が含まれる。
【0011】
図2は、トップ115が取り外されたギターボディ110の斜視図である。図示の例では、ギターは、ボディの内部内に形成された空洞170と、空洞を部分的に埋めているブリッジ支持体175とを有する、部分的に中実のギターである。異なる木材のような異なる材料であってもよいトップ115は、通常、その下縁185において、接着剤(図示せず)でボディ110の上側リム180に取り付けられる。
図4および5は、ギターボディ110およびトップ115の側面図および端面図それぞれである。各図において、ブリッジ支持体175と共にトップの上面および下縁185ならびに下縁185を受け入れるボディ110の上側リム180が見える。
【0012】
図6および7は、
図3の6-6および7-7から取られた
図4および5のギターボディ110およびトップ115の断面図であり、ブリッジ支持体175ならびに各部品の様々な表面を示す。図示の実施形態では、上側リム180およびブリッジ支持体175の上面は、凸状プロファイルを形成し、凸状プロファイルは、トップ115がボディ上に設置されたときにトップ115の下面上に対応する凹面形状を作りだす。各図のボディの凸状プロファイルの存在により、トップがボディ上に設置されたときに実質的にドーム形状にされることが確実にされる。
【0013】
図8は、ギターの弦130(図示せず)の方向に垂直な断面図であり、ボディの上側リム180およびボディの下部の縁185に沿ってボディ110に取り付けられた後のギタートップ115を示す。図示するように、トップ115の上面は、ボディ110およびブリッジ支持体175の上面の凸状プロファイルに対応する凸状プロファイル200になるように付勢され、各端において、通常は木材用の接着剤でボディの対応する縁180に取り付けられている。1つの例では、トップは、乾燥中にドーム形状位置にクランプされる。取付け後のトップの凸状プロファイル200に加えて、元のプロファイル201が、点線で示される。
【0014】
図9は、
図8の断面図であるが、トップの元のプロファイル201および取付け後のプロファイル200を点線で示すことに加えて、材料がトップ115の外周から除去された後の、結果として、ボディ110への取付け領域内のトップの厚さが低減されている、プロファイル210が示される。材料を除去する主な理由は、ドーム形状に曲げられたときに作りだされたトップの張力を低減するためである。
図9には、
図1に見えるブリッジ135も示され、これは、ボディに弦を固定するために使用される。図示の実施形態のブリッジは、ブリッジ部分300と、調整ねじ320でブリッジに取り付けられた調整可能なサドル310と、ボディ内に形成されたブリッジ支持体175にブリッジを固定するために使用されるアンカーボルト330とを含むアセンブリである。実際には、ブリッジ300は、典型的には、トップ115がギターボディ110に取り付けられた後に設置され、ブリッジ支持体175に固定される。
【0015】
図10は、ドーム形状に付勢され、ボディ110への取付け領域の厚さを低減した結果、トップ115内の応力によって引き起こされたギタートップ115の変形を示す、拡大されたより詳細な断面図である。この例では、材料除去後のプロファイル210は、その厚さが低減した結果、上向きに偏向された部分を含む。元の偏向されていない部分が、点線210aで示される。
【0016】
トップが設置され、材料が取り除かれると、トップは、その上面に張力または応力がかかり、その下面に圧縮またはひずみが生じる。トップは1軸ではなく多軸のドーム形状に「曲がっている」ため、これらの応力は、何度も拡大され、その結果、トップ全体にいくらかの量の張力が生じる。
【0017】
1つの実施形態では、トップは、ボディ110の上側リム180およびブリッジ支持体175の上面によって作りだされた凸状プロファイルを使用して、ドーム形状に曲げられ、次いで、所定の場所に接着される。接着剤が乾くと、トップの周囲を、通常はボディへの取付け領域内で薄くすることができる。材料は、サンディングによって、または好ましい実施形態では、フライス加工およびカッタを用い、その後サンディングによって除去することができる。別の実施形態では、材料は、ハンドサンディングによって除去される。図示し、論じる実施形態では、元のトップ115は、本質的に均一な厚さを有する平面部材である。しかし、本明細書に説明するように、トップを最初にややドーム形状にすることができ、上面に沿って凸状プロファイルを有するボディに設置することによりこの初期形状をさらに強化できることが理解されよう。同様に、トップ115は最初、可変の厚さのものであることができ、次いで、ボディ上に設置した後、その厚さを周囲周りでさらに低減させることができる。さらに、好ましい実施形態は、設置中にトップの曲がりを容易にする、ギターボディ110の空洞170内に形成されたブリッジ支持体175を想定している。本発明は、トップを曲げるためのガイドとして機能するブリッジ支持体なしで実施することができる。また、トップ115は、設置後に完成した形状にされると説明されているが、異なるボディの長さおよび幅により、ドーム形状のトップは、球状でなくてもよいが、通常は、弦に平行に走る方向にやや細長くなる。
【0018】
図11は、2つのアンカーボルト330のうちの1つでブリッジ支持体175に固定されたブリッジ300を示すギターボディおよびトップの断面図である。図示の実施形態では、各ボルト330は、内径336および外径338上に形成されたねじ山を有するインサートであるレシーバ335によって保持される。レシーバ335は、アンカーボルト330に伝達されるブリッジ300の弦張力から受ける応力の下で変形に抵抗する材料であるという理由で、通常、金属鋼、ステンレス鋼、真鍮、または場合によってはアルミニウムで形成される。1つの例では、レシーバ335は、ギタートップ115およびブリッジ支持体175の予めタップされた雌ねじ340にねじ込まれる。その後、レシーバが所定場所にある状態で、アンカーボルト330は、ねじ込み式に挿入される。レシーバ上部とブリッジ300の下面との間の調整ナット342は、ブリッジとその上のサドル310との相対的な高さを、ギタートップ115に対してユーザーが調整することを可能にする。従来技術の構成では、アンカーボルトおよび任意のレシーバタイプのデバイスは、ねじ切りされていない。むしろ、レシーバの長さを走る外方向に延びる長手方向の隆起部または縦溝が、レシーバが軸方向に駆動された後、レシーバをブリッジ支持体内に固定する役割を果たす。この配置により、ボルトをヘッドストックの方向に付勢する張力のかかった弦の力によってボルトが時間と共に前方に傾くことがよくある。本明細書に開示する新規の実施形態は、インサートとトップおよびブリッジ支持体の材料との間のねじ係合を使用するため、経時的に故障する可能性が低い、より堅牢で頑丈なアセンブリを結果としてもたらす。
【0019】
図12は、
図11のようなギターボディおよびトップの断面図である。しかし、
図12では、アンカーボルト330を受け入れるために、別個の異なる部片であるアンカー材料176がブリッジ支持体175内で利用されている。アンカー材料をブリッジ支持体の残りの部分から分離することにより、アンカー材料をその強度について選択することが可能であり、支持体の残りの部分を異なる、より音響的に望ましい材料にすることが可能である。1つの実施形態では、ブリッジ支持体175内に空洞が形成され、アンカーボルトを受け入れるための材料176が、挿入され、トップ115がギターボディに設置される前に所定の場所に接着される。例えば、ボルトを受け入れるための材料176は、これらの木材が相対的に堅いという理由で選択されたカエデ、ローズウッド、またはエボニーであることができるが、メインのブリッジ支持体175の材料は、マホガニー、アルダー、アッシュ、またはトウヒのようにより軟質でより軽量であってもよい。
【0020】
図13および14は、ブリッジアセンブリおよびピックアップ160を示すギター100の一部分の上面図である。この図は、
図10~12に見えるブリッジアセンブリの同じ構成要素の一部を示す。特に、これらの図は、ギタートップ115に対するサドル310の位置を調整するための新規の配置を示す。本明細書で説明するように、振動し、鳴らすことが可能にされるギター弦の長さは、ギターのヘッドストック端のナットと、ブリッジ端にあるサドルとの間に懸架される部分である。従来技術の1つの配置では、ギターのサドルは、これが取り付けられたブリッジを調整することによって調整される。別の従来技術の配置では、サドルは独立して調整できるが、特定の締結具にアクセスするためにブリッジアセンブリ全体を取り外すことによってのみ調整することができる。図示の実施形態では、サドル310は、調整ねじ320でブリッジ300上に調整可能に装着され、調整ねじ320はそれぞれ、サドル310の各端に形成されたスロット355内に装着される。ねじおよびスロットは、ギターのヘッドストックに向かう、またはこれから離れるサドルの調整を可能にするように構築および配置されており、それによってサドルとナットの間に支持され、弾いたときに振動することを可能にする弦の長さを増減する。いずれの場合も、サドル調整は、ブリッジの場所を妨げることなく行われる。
【0021】
例えば、
図13では、ねじ320は両方とも、それらのそれぞれのスロット355の閉鎖端に着座しており、その結果、振動のために利用可能な弦の長さは相対的に短い。
図14は、ブリッジ300に対するサドル310の1つの可能な調整を示す。この例では、サドルの右側の調整ねじが緩められ、サドルの右側が基本的に時計回りに回転され、締め直されている間、サドル310の左側はそのスロット355内の元の位置に留まり、それによってサドルの右側の位置は変更され、サドルの右側と左側との間に距離351および角度352を作りだす。
図14の配置の結果、振動に利用できる大径の弦の長さは、小径の弦と比べてより長くなる。スロット355は開放端および閉鎖端を有するものとして図に示しているが、開放端は必要ではなく、これは、閉鎖スロットがスロット355内のサドルおよびねじ320の所望の移動を依然として可能にできるためである。
【0022】
上記は本開示の実施形態に向けられているが、本開示の他のさらなる実施形態は、その基本的な範囲から逸脱することなく考案されてもよく、その範囲は、後続の請求項によって決定される。