(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】逆流防止デバイスおよび逆流防止デバイスを有する透析装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20230425BHJP
F16K 17/28 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
A61M1/16 161
F16K17/28
(21)【出願番号】P 2020534526
(86)(22)【出願日】2017-12-22
(86)【国際出願番号】 CN2017117991
(87)【国際公開番号】W WO2019119414
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】501276371
【氏名又は名称】フレセニウス・メディカル・ケア・ドイチュラント・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ジョー、ジョセフ
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-153300(JP,A)
【文献】特開2001-304500(JP,A)
【文献】特開平03-079900(JP,A)
【文献】特開平11-082776(JP,A)
【文献】特開2007-252396(JP,A)
【文献】特開昭50-063530(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0178076(US,A1)
【文献】特表2012-530556(JP,A)
【文献】国際公開第2008/147229(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00-1/38
F16K 17/24-17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆流防止デバイスであって、
少なくとも2つのポートを備える入口チャンバと、ここで第1のポートが流体を受け取るために使用され、
分離部材およびリリーフ弁を備えるチャンバ分離構成要素と、
前記分離部材によって前記入口チャンバから分離された出口チャンバと
を備え、
前記リリーフ弁は、前記出口チャンバのドレインポートを開放または閉鎖するために前記分離部材と動作的に接続され、
前記分離部材に適用された差圧によって前記リリーフ弁が閉鎖されたときにのみ、前記流体は、前記出口チャンバから送出されることが可能にされ、
前記入口チャンバの第2のポートは、
前記第1のポートから前記入口チャンバをわたって流れる前記流体を送出するために、前記出口チャンバと流体接続さ
れ、
入口逆止弁は、前記流体が前記流体の順方向流路に沿って前記入口チャンバから前記出口チャンバに向かって流れることのみを可能にするために、前記第2のポートと前記出口チャンバとの間に流体接続される、
逆流防止デバイス。
【請求項2】
前記入口逆止弁は、ばね荷重式であり、前記入口チャンバの前記第2のポートは、
前記ばね荷重式入口逆止弁と流体接続される、
請求項1に記載の逆流防止デバイス。
【請求項3】
前記差圧は、前記流体が前記入口チャンバに入るときに前記分離部材にわたって圧力差を生成する前記ばね荷重式入口逆止弁によって生成される、
請求項2に記載の逆流防止デバイス。
【請求項4】
前記入口チャンバの前記第2のポートは、差圧発生器と、前
記入口逆止弁と流体接続される、
請求項1に記載の逆流防止デバイス。
【請求項5】
前記差圧は、前記流体が前記入口チャンバに入るときに前記分離部材にわたって圧力差を生成する前記差圧発生器によって生成される、
請求項4に記載の逆流防止デバイス。
【請求項6】
前記逆流防止デバイスは、
前記出口チャンバから前記流体を送出するための出口逆止弁を通って前記流体が流れることのみを可能にするために前記出口チャンバに流体接続されている前記出口逆止弁をさらに備え、任意選択的に、前記出口逆止弁は、ばね荷重式である、請求項1に記載の逆流防止デバイス。
【請求項7】
前記逆流防止デバイスは、
前記入口チャンバと前記出口チャンバとの間に、ばね荷重式入口逆止弁、または入口逆止弁と前記入口逆止弁に直列に接続された差圧発生器との組合せのいずれかと並列に流体接続された、前記ドレインポートをすすぎおよび/または消毒するためのドレインポート洗浄弁をさらに備える、請求項1に記載の逆流防止デバイス。
【請求項8】
前記ドレインポートは、前記出口チャンバへの流入路における漏れおよび/または前記出口チャンバからの送出流路における漏れがあるときに、逆流防止手段として前記出口チャンバ内の前記流体を排出するために使用される、
請求項
7に記載の逆流防止デバイス。
【請求項9】
前記分離部材は、可撓性膜として構成され、任意選択的に円形形状で構成される、
請求項1に記載の逆流防止デバイス。
【請求項10】
前記チャンバ分離構成要素は、前記逆流防止デバイスの対応する内壁から半径方向内向きに延在する支持部分によって支持される、
請求項1に記載の逆流防止デバイス。
【請求項11】
前記リリーフ弁は、前記分離部材と接続されて一体型アセンブリを形成するリリーフ弁プランジャとして構成される、
請求項1に記載の逆流防止デバイス。
【請求項12】
前記アセンブリは、前記出口チャンバの底壁上に支持されたばねによって支持され、任意選択的に、前記ばねは、コイルばねであり、前記リリーフ弁プランジャを取り囲む、
請求項
11に記載の逆流防止デバイス。
【請求項13】
前記逆流防止デバイスは、
前記出口チャンバから第4のポートにおいて送出される流体消費はないが流入路を通って前記出口チャンバに流れる流体があるときに、前記ドレインポートにおける漏れを検出するための流入検出手段をさらに備え、前記流入検出手段は、任意選択的に、前記流入路に配設された電気的に絶縁された入口逆止弁をまたいで配設された一対の電極を備える、請求項1に記載の逆流防止デバイス。
【請求項14】
前記入口チャンバは、前記出口チャンバの上方に構成され、任意選択的に、各チャンバは、円筒体内に形成される、
請求項1~
13のいずれか一項に記載の逆流防止デバイス。
【請求項15】
前記出口チャンバは、少なくとも2つのポートを有し、ここで第3のポートが、前記入口チャンバと前記出口チャンバとの間に流体的に配設された入口逆止弁の出口と流体接続され、第4のポートが、前記出口チャンバから前記流体を送出するための出口逆止弁の入口と流体接続される、
請求項1に記載の逆流防止デバイス。
【請求項16】
前記リリーフ弁プランジャは、ロッド部分と、前記ロッド部分と比較してより大きい直径を有する封止ヘッド部分とを有し、任意選択的に、前記ロッド部分および前記封止ヘッド部分の両方は、前記分離部材と一体化され、および/または一体に成形される、
請求項
11に記載の逆流防止デバイス。
【請求項17】
前記ドレインポートは、前記出口チャンバの前記底壁の中央に形成され、および/または
前記ドレインポートは、エアギャップ分離のために漏斗ドレインパイプと流体接続される、
請求項1~
16のいずれか一項に記載の逆流防止デバイス。
【請求項18】
少なくとも前記流体と接触する前記逆流防止デバイスの部分は、生体適合材料から形成される、
請求項1に記載の逆流防止デバイス。
【請求項19】
前記入口チャンバおよび/または前記出口チャンバは、それぞれ高さがその半径よりも小さい円筒空洞を有する、
請求項
14に記載の逆流防止デバイス。
【請求項20】
請求項1~
19のいずれか一項に記載の逆流防止デバイスを備える、透析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療目的のための逆流防止デバイス、および逆流防止デバイスを備えた透析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
逆流防止デバイスは、通常、流体供給源と、流体供給源から流体を受け取るための接続された装置との間に配設され、それにより、接続された装置によって流体供給源が汚染または汚されないように保護する。
【0003】
エアギャップ分離方法は、逆流汚染リスクを防止するための一般的な手段である。しかしながら、エアギャップ分離方法は、加圧動作などのいくつかの用途では使用することができない。
【0004】
この場合、逆止弁またはダブルチェック弁の逆流防止器が、逆流防止デバイスの基本形態である。しかしながら、このような逆流防止器は、流体管路内の粒子または破片により弁が不完全に閉鎖されることもあるので信頼性が低く、また時として弁の誤動作も完全に回避することができない。
【0005】
いくつかの重要な用途では、減圧ゾーン(RTZ)デバイスなどの冗長性を有するより高度なデバイスが使用される。しかしながら、市場で入手可能なほとんどのRTZデバイスは、主に携帯用給水のために製造されており、以下の理由により医療装置には好適でない。
1)ほとんどのRTZデバイスは、容易に消毒されない内部流路を有する。このようなデバイスは、分配ラインに細菌を導入する可能性がある大気ベントおよび試験弁を有する。細菌は、デバイスにコロニーをつくり、処理された流体を再汚染する可能性があり、それによって、デバイスが医療装置内で使用される場合に患者に害を引き起こす。
2)通常の消毒中に従来のRTZデバイスの内部流路内に、化学消毒剤が捕捉され得る。次いで、捕捉された消毒剤は、透析治療中に、処理された流体、例えば逆浸透水に放出され得、それによって、患者を消毒剤の毒性のリスクにさらす。
3)ほとんどのRTZデバイスは、医療装置と共に使用するのに好適でない材料で構成されている。ある特定の金属は、流体を汚染し、患者に危険を与える可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
先行技術に存在する課題の観点から、本発明の目的は、改善された逆流防止デバイス、および逆流防止デバイスを備えた透析装置を提供することである。
【0007】
この目的を達成するために、第1の態様によれば、逆流防止デバイスが提供され、本逆流防止デバイスは、少なくとも2つのポートを備える入口チャンバと、ここで第1のポートが流体を受け取るために使用され、分離部材およびリリーフ弁を備えるチャンバ分離構成要素と、分離部材によって入口チャンバから分離された出口チャンバとを備え、リリーフ弁は、出口チャンバのドレインポートを開放または閉鎖するために分離部材と動作的に接続され、分離部材に適用された差圧によってリリーフ弁が閉鎖されたときにのみ、流体は、出口チャンバから送出されることが可能にされる。
【0008】
任意選択の実施形態によれば、入口チャンバの第2のポートは、第1のポートから入口チャンバをわたって流れる流体を送出するためのばね荷重式入口逆止弁と流体接続される。
【0009】
任意選択の実施形態によれば、差圧は、流体が入口チャンバに入るときに分離部材にわたって圧力差を生成するばね荷重式入口逆止弁によって生成される。
【0010】
任意選択の実施形態によれば、入口チャンバの第2のポートは、差圧発生器と、第1のポートから入口チャンバをわたって流れる流体を送出するための入口逆止弁と流体接続される。
【0011】
任意選択の実施形態によれば、差圧は、流体が入口チャンバに入るときに分離部材にわたって圧力差を生成する差圧発生器によって生成される。
【0012】
任意選択の実施形態によれば、入口逆止弁は、流体が流体の順方向流路に沿って入口チャンバから出口チャンバに向かって流れることのみを可能にするために、入口チャンバと出口チャンバとの間に流体接続される。
【0013】
任意選択の実施形態によれば、逆流防止デバイスは、出口チャンバから流体を送出するための出口逆止弁を通って流体が流れることのみを可能にするために、出口チャンバに流体接続されている出口逆止弁をさらに備え、任意選択的に、出口逆止弁は、ばね荷重式である。
【0014】
任意選択の実施形態によれば、逆流防止デバイスは、入口チャンバと出口チャンバとの間に、ばね荷重式入口逆止弁、または入口逆止弁と入口逆止弁に直列に接続された差圧発生器との組合せのいずれかと並列に流体接続された、ドレインポートをすすぎおよび/または消毒するためのドレインポート洗浄弁をさらに備える。
【0015】
任意選択の実施形態によれば、ドレインポートは、出口チャンバへの流入路における漏れおよび/または出口チャンバからの送出流路における漏れがあるときに、逆流防止手段として出口チャンバ内の流体を排出するために使用される。
【0016】
任意選択の実施形態によれば、分離部材は、可撓性膜として構成され、任意選択的に円形形状で構成される。
【0017】
任意選択の実施形態によれば、チャンバ分離構成要素は、逆流防止デバイスの対応する内壁から半径方向内向きに延在する支持部分によって支持される。
【0018】
任意選択の実施形態によれば、リリーフ弁は、分離部材と接続されて一体型アセンブリを形成するリリーフ弁プランジャとして構成される。
【0019】
任意選択の実施形態によれば、アセンブリは、出口チャンバの底壁上に支持されたばねによって支持され、任意選択的に、ばねは、コイルばねであり、リリーフ弁プランジャを取り囲む。
【0020】
任意選択の実施形態によれば、逆流防止デバイスは、出口チャンバから第4のポートにおいて送出される流体消費はないが流入路を通って出口チャンバに流れる流体があるときに、ドレインポートにおける漏れを検出するための流入検出手段をさらに備える。任意選択的に、流入検出手段は、流入路に配設された電気的に絶縁された入口逆止弁をまたいで配設された一対の電極を備える。
【0021】
任意選択の実施形態によれば、入口チャンバは、出口チャンバの上方に構成され、任意選択的に、各チャンバは、円筒体内に形成される。
【0022】
任意選択の実施形態によれば、出口チャンバは、少なくとも2つのポートを有し、ここで第3のポートが、入口チャンバと出口チャンバとの間に流体的に配設された入口逆止弁の出口と流体接続され、第4のポートが、出口チャンバから流体を送出するための出口逆止弁の入口と流体接続される。
【0023】
任意選択の実施形態によれば、リリーフ弁プランジャは、ロッド部分と、ロッド部分と比較してより大きい直径を有する封止ヘッド部分とを有し、任意選択的に、ロッド部分および封止ヘッド部分の両方は、分離部材と一体化され、および/または一体に成形される。
【0024】
任意選択の実施形態によれば、ドレインポートは、出口チャンバの底壁の中央に形成され、および/またはドレインポートは、エアギャップ分離のために漏斗ドレインパイプと流体接続される。
【0025】
任意選択の実施形態によれば、少なくとも流体と接触する逆流防止デバイスの部分は、生体適合材料から形成される。
【0026】
任意選択の実施形態によれば、入口チャンバおよび/または出口チャンバは、それぞれ高さがその半径よりも小さい円筒空洞を有する。
【0027】
第2の態様によれば、逆流防止デバイスを備えた透析装置が提供される。
【0028】
本発明によれば、逆流防止デバイスは、単純な構造、低減されたデッドスペース、および小型サイズを有し、確実に動作することができる。
【0029】
本発明およびその利点は、いくつかの好ましい例示的な実施形態の下記の詳細な説明を以下の図面を参照して読むことによってさらに理解される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の例示的な実施形態による逆流防止デバイスの概略的な断面図を示す。
【
図2】
図1に示される逆流防止デバイスの一部分の上面図を示す。
【
図3】本発明の別の例示的な実施形態による、高流量用途に特に好適な逆流防止デバイスの一部分の概略的な断面図を示す。
【
図4】本発明の別の例示的な実施形態による逆流防止デバイスの概略的な断面図を示す。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0031】
本発明のいくつかの例示的な実施形態は、本発明の基本概念をよりよく理解するために、図面を参照してより詳細に以下に説明される。
【0032】
図1は、本発明の例示的な実施形態による逆流防止デバイス1の概略的な断面図を示す。
【0033】
図1に示されるように、逆流防止デバイス1は主に、第1のポート21および第2のポート22を有する入口チャンバ2と、ばね荷重式である入口逆止弁3と、第3のポート41、第4のポート42、およびドレインポート43を有する出口チャンバ4と、好ましくはばね荷重式である出口逆止弁5と、チャンバ分離構成要素6とを備え、ここにおいて、入口チャンバ2は、第1のポート21を介して流体供給源7から流体を受け取るために使用され、入口逆止弁3は、流体が入口チャンバ2から出口チャンバ4に流れることのみを可能にするために第2のポート22と第3のポート41との間に流体接続されており、出口チャンバ4の第4のポート42は、流体を必要とする装置8と流体接続され、かつ流体が第4のポート42から装置8に流れることのみを可能にする出口逆止弁5と流体接続され、チャンバ分離構成要素6は、入口チャンバ2を出口チャンバ4から分離する分離部材61と、分離部材61と接続され、かつ出口チャンバ4内に位置するリリーフ弁62とを備える。動作中、リリーフ弁62は、ばね荷重式入口逆止弁3によって十分な差圧が生成されたときの分離部材61の移動または弾性変形によって、ドレインポート43に向かって移動し、ドレインポート43を封止することができる。ドレインポート43は動作時に弁座として作用し得るが、「リリーフ弁」という用語は、本願のコンテキストではドレインポート43を含まない。初期状態では、リリーフ弁62は、ドレインポート43を開放しておくためにドレインポート43から離れている。
【0034】
図1にさらに示されように、リリーフ弁62は、好ましくは、分離部材61と接続されて一体型アセンブリを形成するリリーフ弁プランジャとして構成される。
【0035】
本発明の例示的な実施形態によれば、流体は、透析液または逆浸透水であり得る。この場合、装置は、透析治療のための透析装置であり得る。
【0036】
本発明の例示的な実施形態によれば、分離部材61は、好ましくはリリーフ弁プランジャと一体化される可撓性膜として構成され得、それによって単純な構造設計を達成する。
【0037】
本発明の例示的な実施形態によれば、
図1に示されるように、リリーフ弁プランジャは、ロッド部分63と、ロッド部分63と比較してより大きい直径を有する封止ヘッド部分64とを有する。ロッド部分63および封止ヘッド部分64は、同じ材料から分離部材61と一体化され、および/または小流量用途のために一体に成形される。動作中、封止ヘッド部分64は、ドレインポート43を封止するために使用される。
【0038】
本発明の例示的な実施形態によれば、
図1に示されるように、入口チャンバ2および出口チャンバ4は、一方が他方の上に位置合わせされ得る。
【0039】
図2は、
図1に示される逆流防止デバイス1の一部分の上面図を示す。
【0040】
好ましくは、
図1および
図2に示されるように、入口チャンバ2および出口チャンバ4の両方は、同じ直径を有する円筒体を各々有する。
【0041】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、
図1に示されるように、第1のポート21および第2のポート22は、入口チャンバ2の円筒体から直径方向外向きに延在し得、および/または第3のポート41および第4のポート42は、出口チャンバ4の円筒体から直径方向外向きに延在し得、および/またはドレインポート43は、出口チャンバ4の底壁の中心から下向きに延在し得る。このような配置により、逆流防止デバイスの流動抵抗を低減することができ、コンパクトな設計を達成することができ、入口チャンバ2および/または出口チャンバ4の内部空間を容易に洗浄および/または消毒することができる。
【0042】
好ましくは、組み立てられた状態において、第1のポート21および第4のポート42は、逆流防止デバイス1を上面から見ると重なるように第1の同じ方向に配向される。同様に、第2のポート22および第3のポート41は、組み立てられた状態において、第1の同じ方向とは反対の第2の同じ方向に配向される。このような配置により、逆流防止デバイス1は、整った外観を有し得る。
【0043】
図1にさらに示されるように、ドレインポート43は、流体を出口チャンバ4から容器(図示せず)などの任意の好適な手段に排出するために、開放状態で使用されることができる。ドレインポート43からの汚染をさらに防止するために、ドレインポート43は、エアギャップ分離のために漏斗ドレインパイプ17と接続される。
【0044】
本発明の例示的な実施形態によれば、ドレインポート洗浄弁9が、入口チャンバ2と出口チャンバ4との間に、ばね荷重式入口逆止弁3と並列に、または任意選択的に差圧発生器が直列に接続された入口逆止弁と並列に流体接続され、その結果、分離部材61にわたる圧力を均等にするためにドレインポート洗浄弁9が開放された場合に、流体は、流体供給源7から、入口チャンバ2、開放されたドレインポート洗浄弁9、および出口チャンバ4を介してドレインポート43にガイドされることができる。したがって、ドレインポート43は、流体供給源7からの流体によってすすがれることができる。ドレインポート洗浄弁9により、ドレインポート43も任意の好適な流体を使用することによって消毒されることができる。
【0045】
本発明の例示的な実施形態によれば、分離部材61は円形形状を有し、ドレインポート43と位置合わせされて配設される。
図2において、分離部材61は破線10で示されている。
【0046】
図1に示されるように、分離部材61は、逆流防止デバイス1の対応する内壁から半径方向内向きに延在する支持部分11において周方向に支持され得る。
【0047】
本発明の例示的な実施形態によれば、流体が入口逆止弁3を通って流れるかどうかを検出するために、流入検出手段が設けられる。好ましくは、流入検出手段は、電気的に絶縁された入口逆止弁3をまたいで配設された一対の流入検出電極12を備える。流体が入口逆止弁3を通って流れると、対の電極12間の導電率は高くなる。さらに、流入検出手段は、リリーフ弁に漏れがあるかどうかを検出するために使用されることができ、これは以下でさらに説明される。
【0048】
図3は、本発明の別の例示的な実施形態による、高流量用途に特に好適な逆流防止デバイスの一部分の概略的な断面図を示す。
【0049】
図3に示されるように、チャンバ分離構成要素6は、ばね13、好ましくはコイルばねによって支持され得る。ばね13は、リリーフ弁プランジャの周りに設けられ得、ドレインポート43を取り囲む出口チャンバ4の底壁の部分によって支持され得る。このようにして、ばね13は、リリーフ弁プランジャを常に安定させ、ドレインポート43を完全に閉鎖するための正しい位置に置かれることができる。
【0050】
逆流防止デバイス1の組み立てを容易にし、逆流防止デバイス1の構造を単純にするために、逆流防止デバイス1は、
図3に概略的にのみ示されている、取付け平面16に沿って嵌合されることができる第1の部分14と第2の部分15を備え得る。好ましくは、第1の部分14と第2の部分15との間に、Oリングまたは弾性分離部材自体などの封止手段が設けられる。本発明の例示的な実施形態によれば、第1の部分14および第2の部分15は、ねじまたは他の固定手段(図示せず)によって嵌合される。
【0051】
本発明の例示的な実施形態によれば、第1の部分14は、入口チャンバ2およびチャンバ分離構成要素6を少なくとも備え、第2の部分15は、出口チャンバ4およびドレインポート43を少なくとも備える。
【0052】
透析用途の場合、少なくとも流体に接触する逆流防止デバイス1の部分は、熱および化学消毒に耐えることができる生体適合材料から形成される。生体適合材料は、例えば、パリレン、グルチン、ニトロセルロース等であり得る。
【0053】
本発明の逆流防止デバイス1は、入口チャンバ2および/または出口チャンバ4が、特に入口チャンバ2および/または出口チャンバ4の上述の円筒体の場合に、平滑な輪郭の内部形状および低減されたデッドスペースを有するように構成され得る。
【0054】
本発明の例示的な実施形態によれば、入口チャンバ2および/または出口チャンバ4は、生物学的問題を回避するためにチャンバ(単数または複数)の内面に沿う十分な流体流れを確保する最小のチャンバ容積を伴うコンパクトな設計を有するように構成され得る。例えば、入口チャンバ2および/または出口チャンバ4は、それぞれ高さがその半径よりも小さい円筒空洞を有するように構成され得る。
【0055】
以下に、逆流防止デバイス1の動作プロセスが詳細に説明される。
【0056】
本発明の逆流防止デバイス1は、より低い圧力のゾーンからより高い圧力のゾーンに流体は流れないという水圧原理に基づいて動作する。差圧がばね荷重式入口逆止弁3によって生成されることができると、リリーフ弁62は、入口チャンバ2内に供給される流体の圧力が出口チャンバ4内の圧力よりも所定の量だけ高いときに閉鎖位置に保持され、次いで、入口チャンバ2内の圧力が入口逆止弁3を開放するのに十分なレベルまで増加した場合に、流体は、出口チャンバ4に流入し、さらに出口逆止弁5を開放する。入口チャンバ2内の圧力が設定値を下回ると、リリーフ弁62が開放され、次いで出口チャンバ4内の流体がドレインポート43を介して排出される。出口チャンバ4内の圧力がリリーフ弁62を開放するのに十分である場合および/または出口逆止弁5に障害が存在する場合もまた、出口チャンバ4内の流体はドレインポート43を介して排出される。
【0057】
入口逆止弁3に漏れがある場合、入口チャンバ2および出口チャンバ4内の圧力は等しくなり、リリーフ弁62は、逆流流体をドレインポート43に進路を変えるために開放される。
【0058】
出口逆止弁5に漏れがある場合、逆流流体は、最初に入口逆止弁3によって遮断される。逆流流体圧力がある特定の値に達すると、リリーフ弁62は開放されて、逆流流体をドレインポート43に進路を変える。
【0059】
入口逆止弁3と出口逆止弁5の両方に漏れがある場合もまた、リリーフ弁62は開放されて、逆流流体をドレインポート43に進路を変える。
【0060】
リリーフ弁62に漏れがある場合、それは、例えば対の電極12間の導電率を測定することによって流体が入口逆止弁3を通って流れているかどうかを検出することによって、逆流防止デバイス1の下流流路(図示せず)の遮断状態で検出されることができる。この状態で流体が依然として入口逆止弁3を通って流れている場合、リリーフ弁62に漏れが存在している恐れがある。
【0061】
差圧が他の様式でも、例えば別個の差圧発生器を使用することによって生成され得ることが、当業者によって理解されるべきである。
図4は、本発明の別の例示的な実施形態による逆流防止デバイス1’の概略的な断面図を示す。
【0062】
図4に示されるように、逆流防止デバイス1’は、入口逆止弁3’と、入口逆止弁3’と直列の差圧発生器18との組合せが使用されてばね荷重式入口逆止弁3と置き換わっているという点でのみ、逆流防止デバイス1とは異なる。別の実施形態として、差圧発生器18は、流体が入口チャンバ2に入るときに分離部材61にわたって圧力差を発生させるために、流体供給源7と入口チャンバ2との間に、好ましくは第1のポート21の前に設けられる。
【0063】
本発明によれば、逆流防止デバイスは、単純な構造、低減されたデッドスペース、および小型サイズを有し、確実に動作することができる。
【0064】
ある特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は例として提示されているだけであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物は、本発明の趣旨および範囲内に入る修正、置換、および変更をすべて網羅することを意図している。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
逆流防止デバイスであって、
少なくとも2つのポートを備える入口チャンバと、ここで第1のポートが流体を受け取るために使用され、
分離部材およびリリーフ弁を備えるチャンバ分離構成要素と、
前記分離部材によって前記入口チャンバから分離された出口チャンバと
を備え、
前記リリーフ弁は、前記出口チャンバのドレインポートを開放または閉鎖するために前記分離部材と動作的に接続され、
前記分離部材に適用された差圧によって前記リリーフ弁が閉鎖されたときにのみ、前記流体は、前記出口チャンバから送出されることが可能にされる、逆流防止デバイス。
[C2]
前記入口チャンバの第2のポートは、前記第1のポートから前記入口チャンバをわたって流れる前記流体を送出するためのばね荷重式入口逆止弁と流体接続される、
C1に記載の逆流防止デバイス。
[C3]
前記差圧は、前記流体が前記入口チャンバに入るときに前記分離部材にわたって圧力差を生成する前記ばね荷重式入口逆止弁によって生成される、
C2に記載の逆流防止デバイス。
[C4]
前記入口チャンバの第2のポートは、差圧発生器と、前記第1のポートから前記入口チャンバをわたって流れる前記流体を送出するための入口逆止弁と流体接続される、
C1に記載の逆流防止デバイス。
[C5]
前記差圧は、前記流体が前記入口チャンバに入るときに前記分離部材にわたって圧力差を生成する前記差圧発生器によって生成される、
C4に記載の逆流防止デバイス。
[C6]
前記入口逆止弁は、前記流体が前記流体の順方向流路に沿って前記入口チャンバから前記出口チャンバに向かって流れることのみを可能にするために、前記入口チャンバと前記出口チャンバとの間に流体接続される、
C2~5のいずれか一項に記載の逆流防止デバイス。
[C7]
前記逆流防止デバイスは、
前記出口チャンバから前記流体を送出するための出口逆止弁を通って前記流体が流れることのみを可能にするために前記出口チャンバに流体接続されている前記出口逆止弁をさらに備え、任意選択的に、前記出口逆止弁は、ばね荷重式である、C1に記載の逆流防止デバイス。
[C8]
前記逆流防止デバイスは、
前記入口チャンバと前記出口チャンバとの間に、ばね荷重式入口逆止弁、または入口逆止弁と前記入口逆止弁に直列に接続された差圧発生器との組合せのいずれかと並列に流体接続された、前記ドレインポートをすすぎおよび/または消毒するためのドレインポート洗浄弁をさらに備える、C1に記載の逆流防止デバイス。
[C9]
前記ドレインポートは、前記出口チャンバへの流入路における漏れおよび/または前記出口チャンバからの送出流路における漏れがあるときに、逆流防止手段として前記出口チャンバ内の前記流体を排出するために使用される、
C8に記載の逆流防止デバイス。
[C10]
前記分離部材は、可撓性膜として構成され、任意選択的に円形形状で構成される、
C1に記載の逆流防止デバイス。
[C11]
前記チャンバ分離構成要素は、前記逆流防止デバイスの対応する内壁から半径方向内向きに延在する支持部分によって支持される、
C1に記載の逆流防止デバイス。
[C12]
前記リリーフ弁は、前記分離部材と接続されて一体型アセンブリを形成するリリーフ弁プランジャとして構成される、
C1に記載の逆流防止デバイス。
[C13]
前記アセンブリは、前記出口チャンバの底壁上に支持されたばねによって支持され、任意選択的に、前記ばねは、コイルばねであり、前記リリーフ弁プランジャを取り囲む、 C12に記載の逆流防止デバイス。
[C14]
前記逆流防止デバイスは、
前記出口チャンバから第4のポートにおいて送出される流体消費はないが流入路を通って前記出口チャンバに流れる流体があるときに、前記ドレインポートにおける漏れを検出するための流入検出手段をさらに備え、前記流入検出手段は、任意選択的に、前記流入路に配設された電気的に絶縁された入口逆止弁をまたいで配設された一対の電極を備える、C1に記載の逆流防止デバイス。
[C15]
前記入口チャンバは、前記出口チャンバの上方に構成され、任意選択的に、各チャンバは、円筒体内に形成される、
C1~14のいずれか一項に記載の逆流防止デバイス。
[C16]
前記出口チャンバは、少なくとも2つのポートを有し、ここで第3のポートが、前記入口チャンバと前記出口チャンバとの間に流体的に配設された入口逆止弁の出口と流体接続され、第4のポートが、前記出口チャンバから前記流体を送出するための出口逆止弁の入口と流体接続される、
C1に記載の逆流防止デバイス。
[C17]
前記リリーフ弁プランジャは、ロッド部分と、前記ロッド部分と比較してより大きい直径を有する封止ヘッド部分とを有し、任意選択的に、前記ロッド部分および前記封止ヘッド部分の両方は、前記分離部材と一体化され、および/または一体に成形される、
C12に記載の逆流防止デバイス。
[C18]
前記ドレインポートは、前記出口チャンバの前記底壁の中央に形成され、および/または
前記ドレインポートは、エアギャップ分離のために漏斗ドレインパイプと流体接続される、
C1~17のいずれか一項に記載の逆流防止デバイス。
[C19]
少なくとも前記流体と接触する前記逆流防止デバイスの部分は、生体適合材料から形成される、
C1に記載の逆流防止デバイス。
[C20]
前記入口チャンバおよび/または前記出口チャンバは、それぞれ高さがその半径よりも小さい円筒空洞を有する、
C15に記載の逆流防止デバイス。
[C21]
C1~20のいずれか一項に記載の逆流防止デバイスを備える、透析装置。