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特許7268033複数のセンサー対応RFIDタグおよび複数のトランシーバーを使用する反応器条件の無線による監視およびプロファイリング
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  • 特許-複数のセンサー対応RFIDタグおよび複数のトランシーバーを使用する反応器条件の無線による監視およびプロファイリング 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】複数のセンサー対応RFIDタグおよび複数のトランシーバーを使用する反応器条件の無線による監視およびプロファイリング
(51)【国際特許分類】
   G08C 17/00 20060101AFI20230425BHJP
   G08C 17/02 20060101ALI20230425BHJP
   B01J 8/02 20060101ALI20230425BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20230425BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
G08C17/00 Z
G08C17/02
B01J8/02 Z
G06K19/07 170
G06K19/07 230
G06K7/10 240
G06K7/10 264
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020538570
(86)(22)【出願日】2019-01-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-22
(86)【国際出願番号】 US2019012853
(87)【国際公開番号】W WO2019139953
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2022-01-04
(31)【優先権主張番号】62/616,155
(32)【優先日】2018-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002105
【氏名又は名称】シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォクト,カスパー・ジョーセフ
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/062066(WO,A1)
【文献】特表2002-535118(JP,A)
【文献】国際公開第2012/104230(WO,A1)
【文献】特開昭59-022189(JP,A)
【文献】特表2008-503723(JP,A)
【文献】特開平7-242337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 13/00-25/04
B01J 8/00- 8/46
G06K 19/00-19/18
G06K 7/00- 7/14
H03J 9/00- 9/06
H04Q 9/00- 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器容器内のプロセス条件を無線で監視し、プロファイリングするためのシステムであって、システムが、
反応域を画定する反応器容器であって、反応域内には、触媒粒子を含む触媒床がある、反応器容器と、
媒床内に配設された複数のセンサー対応RFIDタグと、
複数のセンサー対応RFIDタグの各センサー対応RFIDタグに無線で連結され、第1のインテロゲーション信号を送信し、第1のインテロゲーション信号に応答して送信される第1のRFIDトランスポンダ信号を受信するように構成された第1のRFIDトランシーバーアンテナと、
数のセンサー対応RFIDタグの各センサー対応RFIDタグに無線で連結され、第2のインテロゲーション信号を送信し、第2のインテロゲーション信号に応答して送信される第2のRFIDトランスポンダ信号を受信するように構成された第2のRFIDトランシーバーアンテナと、
数のセンサー対応RFIDタグの各センサー対応RFIDタグに無線で連結され、第3のインテロゲーション信号を送信し、第3のインテロゲーション信号に応答して送信される第3のRFIDトランスポンダ信号を受信するように構成された第3のRFIDトランシーバーアンテナと、を含み、
数のセンサー対応RFIDタグの各センサー対応RFIDタグは、固有の非可変識別コードによってエンコードされ、
各センサー対応RFIDタグは、反応域内の反応条件を検知し、第1のインテロゲーション信号、第2のインテロゲーション信号、および第3のインテロゲーション信号を受信し、第1のインテロゲーション信号に応答して、第1のRFIDトランスポンダ信号を送信し、第2のインテロゲーション信号に応答して、第2のRFIDトランスポンダ信号を送信し、第3のインテロゲーション信号に応答して、第3のRFIDトランスポンダ信号を送信するように構成され
それにより、第1、第2および第3のRFIDトランシーバーアンテナが、互いに対して既知の場所および距離に配置されて、これらのインテロゲーション信号が、センサー対応RFIDタグからのトランスポンダ信号と組み合わせて使用されて、RFIDトランシーバーアンテナから、センサー対応RFIDタグの距離および角度方向に関する情報を取得することができ、
それにより、システムが、三角測量法により反応域全体のプロセス条件決定、プロファイリングするように構成される、システム。
【請求項2】
媒粒子が無機酸化物成分および金属成分を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
数のセンサー対応RFIDタグの各センサー対応RFIDタグが、環境条件またはプロセス条件を検知し、環境条件またはプロセス条件を表す信号入力をRFIDタグに提供するためのセンサー手段に動作可能に接続されているRFIDタグを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
FIDトランシーバーアンテナのうちの1つ以上が、反応器容器の反応域内に位置付けられている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
応器容器が、供給物流を反応域に導入するための流体連通を提供する入口手段と、反応域から流出物流を除去するための流体連通を提供する出口手段と、を含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
応器条件が、圧力、温度、化学組成、蒸気および液体の組成、密度、流量、pH、振動、放射、磁束、光強度および音強度からなる環境条件の群から選択される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
FIDトランシーバーアンテナの各々が、インテロゲーション信号をRFIDトランシーバーアンテナに提供し、複数のセンサー対応RFIDタグのセンサー対応RFIDタグの各々によって送信されたRFIDトランスポンダ信号を受信するための手段を提供する信号処理システムに動作可能に接続されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
FIDトランシーバーアンテナのうちの1つ以上が、反応器容器の反応域の外に位置付けられている、請求項3に記載のシステム。
【請求項9】
応器容器が、供給物流を反応域に導入するための流体連通を提供する入口手段と、反応域から流出物流を除去するための流体連通を提供する出口手段と、を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
応器条件が、圧力、温度、化学組成、蒸気および液体の組成、密度、流量、pH、振動、放射、磁束、光強度および音強度からなる環境条件の群から選択される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
FIDトランシーバーアンテナの各々が、インテロゲーション信号をRFIDトランシーバーアンテナに提供し、複数のセンサー対応RFIDタグのセンサー対応RFIDタグの各々によって送信されたRFIDトランスポンダ信号を受信するための手段を提供する信号処理システムに動作可能に接続されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
反応器容器内のプロセス条件を無線で監視し、プロファイリングする方法であって、方法が、
反応域を画定する反応器容器であって、反応域内には、触媒粒子を含む触媒床がある、反応器容器と、触媒床内に配設された複数のセンサー対応RFIDタグとを提供することであって、
数のセンサー対応RFIDタグのセンサー対応RFIDタグの各々が、固有の非可変識別コードでエンコードされ、センサー対応RFIDタグに関連付付けられている触媒床内の周囲条件を測定するように、かつインテロゲーション信号に応答して、固有の非可変識別コードおよびそれに関連付けられた周囲条件を表す情報を含む応答信号を送信するようにさらに構成されている、提供することと、
第1のRFIDトランシーバーアンテナによって、センサー対応RFIDタグの各々によって受信される第1のインテロゲーション信号を送信することと、
1のインテロゲーション信号の受信に応答して、センサー対応RFIDタグの各々が、その固有の非可変識別コードおよびセンサー対応RFIDタグに関連付けられている周囲条件を表す情報を含む、第1のRFIDトランシーバーアンテナによって受信されるその第1の関連付けられているRFIDトランスポンダ信号を送信することと、
1のRFIDトランシーバーアンテナによって、第1の関連付けられたRFIDトランスポンダ信号を受信することと、
第2のRFIDトランシーバーアンテナによって、センサー対応RFIDタグの各々によって受信される第2のインテロゲーション信号を送信することと、
2のインテロゲーション信号の受信に応答して、センサー対応RFIDタグの各々が、その固有の非可変識別コードおよびセンサー対応RFIDタグに関連付けられている周囲条件を表す情報を含む、第2のRFIDトランシーバーアンテナによって受信される、その第2の関連付けられているRFIDトランスポンダ信号を送信することと、
2のRFIDトランシーバーアンテナによって、第2の関連付けられたRFIDトランスポンダ信号を受信することと、
第3のRFIDトランシーバーアンテナによって、センサー対応RFIDタグの各々によって受信される第3のインテロゲーション信号を送信することと、
3のインテロゲーション信号の受信に応答して、センサー対応RFIDタグの各々が、その固有の非可変識別コードおよびセンサー対応RFIDタグに関連付けられている周囲条件を表す情報を含む、第3のRFIDトランシーバーアンテナによって受信されたその第3の関連付けられているRFIDトランスポンダ信号を送信することと、
3のRFIDトランシーバーアンテナによって、第3の関連付けられたRFIDトランスポンダ信号を受信することと、
1の関連付けられたRFIDトランスポンダ信号、第2の関連付けられたRFIDトランスポンダ信号、および第3の関連付けられたRFIDトランスポンダ信号を処理することと、を含み、
それにより、第1、第2および第3のRFIDトランシーバーアンテナが、互いに対して既知の場所および距離に配置されて、これらのインテロゲーション信号が、センサー対応RFIDタグからのトランスポンダ信号と組み合わせて使用されて、RFIDトランシーバーアンテナから、センサー対応RFIDタグの距離および角度方向に関する情報を取得することができ、
それにより、反応域全体のプロセス条件が、三角測量法により決定され、プロファイリングされる、方法。
【請求項13】
媒粒子が無機酸化物成分および金属成分を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
数のセンサー対応RFIDタグのセンサー対応RFIDタグの各々が、環境条件またはプロセス条件を検知し、環境条件またはプロセス条件を表す信号入力をRFIDタグに提供するためのセンサー手段に動作可能に接続されているRFIDタグを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
FIDトランシーバーアンテナのうちの1つ以上が、反応器容器の反応域内に位置付けられている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
応器容器が、供給物流を反応域に導入するための流体連通を提供する入口手段と、反応域から流出物流を除去するための流体連通を提供する出口手段と、を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
周囲条件が、圧力、温度、化学組成、蒸気および液体の組成、密度、流量、pH、振動、放射、磁束、光強度および音強度からなる環境条件の群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
FIDトランシーバーアンテナの各々が、インテロゲーション信号をRFIDトランシーバーアンテナに提供し、複数のセンサー対応RFIDタグのセンサー対応RFIDタグの各々によって送信されたRFIDトランスポンダ信号を受信するための手段を提供する信号処理システムに動作可能に接続されている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
FIDトランシーバーアンテナのうちの1つ以上が、反応器容器の反応域の外に位置付けられている、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
応器容器が、供給物流を反応域に導入するための流体連通を提供する入口手段と、反応域から流出物流を除去するための流体連通を提供する出口手段と、を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
周囲条件が、圧力、温度、化学組成、蒸気および液体の組成、密度、流量、pH、振動、放射、磁束、光強度および音強度からなる環境条件の群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
FIDトランシーバーアンテナの各々が、インテロゲーション信号をRFIDトランシーバーアンテナに提供し、複数のセンサー対応RFIDタグのセンサー対応RFIDタグの各々によって送信されたRFIDトランスポンダ信号を受信するための手段を提供する信号処理システムに動作可能に接続されている、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年1月11日に出願された係属中の米国仮特許出願第62/616,155号の利益を主張し、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、反応器などのプロセス容器内の条件の無線監視および三次元プロファイリングのためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
触媒の入った反応器容器は、製油所および化学プラントでは一般的である。これらの反応器を操作する場合、この容器内のプロセス条件を測定するかまたは監視することが望ましい。これは、この情報が反応器内の反応条件を制御することに役立つためである。反応器容器内の条件を測定するための現在の方法では、外部ディスプレイにセンサー測定情報を送信するセンサーへの電気的接続または空気圧接続などの物理的接続を有する必要がある。こうした測定手段の一例は、温度を測定するために熱電対を使用することである。熱電対を使用して反応器容器内のある場所での温度を測定するには、サーモウェルが必要である。サーモウェルは、容器の壁を通して取り付けられ、温度が容器内で測定されるある場所まで延在している。
【0004】
反応器容器内での場所においてプロセス条件を測定し、かつ観察し、また、遠隔場所で収集および処理するためにその情報を無線で送信する能力を有することが望ましい。容器によって画定される反応域の容積全体にわたって、条件の三次元プロファイルを提供することができることがさらに望ましい。本発明者らは、圧力、温度、流体組成、蒸気および液体の組成、pH、および流量などの反応器容積内の条件のいくつかを測定し、測定された情報を、遠隔で収集および処理するために無線で送信するために、センサー対応の無線周波数識別(RFID)タグを使用することを提唱している。
【0005】
環境条件を測定するために使用されるセンサー対応RFIDタグの例は、US7,397,370に記載されている。本特許では、複数の無線周波数識別(「RFID」)アセンブリを使用して環境を監視することを提供するシステムを提示する。本システムは、関連付けられた固有の識別(「ID」)コードを有し、環境に関する情報を検知するためのセンサーと共に構成されているRFIDタグと、検知した情報を処理システムに無線送信するアンテナと、を含み得る。処理システムによって受信される送信情報としては、検知された環境情報および関連付けられた識別コードが挙げられ、こうした情報は、環境および監視される環境の変化の監視をもたらすために処理される。
【0006】
変化する環境条件を測定し、かつ追跡するためのセンサー対応RFIDタグの使用について説明している別の参照文献は、US8,106,778である。この特許では、無線周波数識別(RFID)を使用して可変条件を追跡することが可能な方法およびシステムを開示している。RFIDセンサータグは、場所、温度、圧力、および湿度などの様々な条件を測定するために使用される。RFIDリーダーデバイスによって送信されたインテロゲーション信号に応答して、RFIDセンサータグは、測定条件を表す可変データに関連付けられたタグ識別データを含む信号を送信する。応答信号には可変データおよび非可変データの両方が含まれているため、測定条件をタグ識別データに関連付けることができる。RFIDリーダーデバイスはまた、複数のRFIDタグのうちの1つから各々複数の応答信号を受信し得る。この場合、複数の応答信号のうちの少なくとも1つとしては、複数のRFIDタグのうちのそれぞれの1つにおける測定条件を表す可変データ、および複数のRFIDタグのうちのそれぞれの1つのタグ識別データを挙げることができる。
【0007】
特許公開第US2007/0215709号では、センサーと組み合わせたRFID回路を含むRFIDベースのセンサーを開示している。センサー要素は、センサーがさらされている周囲環境の物理的条件への曝露に基づいて導電状態を変化させるように構成されている。これらの物理的条件としては、ガス、光、音、温度、圧力、水分、および/または環境の他の条件の有無を挙げることができる。RFIDインテロゲーターによって送信されたRF信号に応答して、RFIDベースのセンサーは、RFIDインテロゲーターが受信するように、識別(ID)コードおよび1つ以上の物理的条件へのRFIDベースのセンサーの現在または以前の曝露に関連付けられた他の情報を送信する。RFIDベースのセンサーはまた、RFIDインテロゲーターによって送達されるRFエネルギーによって電力が供給され得る。
【0008】
米国特許第9,317,795号には、表面上に配設された検知要素のアレイを含むRFID検知システムを開示している。各検知要素としては、RFIDマイクロチップ、マイクロチップに動作可能に連結されているアンテナ、およびアンテナ上に配設された感圧材料が挙げられる。RFIDリーダーシステムは、各検知要素にインテロゲーション信号を提供し、マットの検知要素の感圧材料が圧縮されたときに、連結されているアンテナを介してRFIDリーダーに信号を返送する。
【0009】
これらの刊行物では、センサー対応RFIDタグを使用して、反応器容器内のプロセスもしくは環境の条件を測定すること、またはさらに受信、処理、使用するために反応器容器内の測定条件に関連する情報を無線で転送することについてはいずれも開示または示唆していない。これらの刊行物ではさらに、反応器容器によって画定されている反応域内での物理的条件の無線による監視および三次元プロファイリングを提供することについていずれも開示または教示していない。
【0010】
しかし、本発明者らは、反応器の反応域全体における場所での環境条件またはプロセス条件の局所的な検知または測定を提供する、ならびに、複数の受信機に対して、センサー対応RFIDタグにより、特定のタグ識別情報および反応器内の測定条件を表す情報を含むRF波の無線送信を提供するシステムおよび方法を発明した。これにより、反応域内の条件の三次元プロファイリングが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第7397370号明細書
【文献】米国特許第8106778号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0215709号明細書
【文献】米国特許第9317795号明細書
【発明の概要】
【0012】
したがって、反応器容器内のプロセス条件を無線で監視し、プロファイリングするためのシステムが提供される。このシステムの反応器容器は、触媒粒子を含む触媒床と、触媒床内に配設された複数のセンサー対応RFIDタグと、を含む反応域を画定する。第1のRFIDトランシーバーアンテナ、第2のRFIDトランシーバーアンテナ、および第3のRFIDトランシーバーアンテナを有するトランシーバが含まれている。第1のRFIDトランシーバーアンテナは、複数のセンサー対応RFIDタグの各センサー対応RFIDタグに無線で連結され、第1のインテロゲーション信号を送信すること、および第1のインテロゲーション信号に応答して送信される第1のRFIDトランスポンダ信号を受信することが可能である。第2のRFIDトランシーバーアンテナは、複数のセンサー対応RFIDタグの各センサー対応RFIDタグに無線で連結され、第2のインテロゲーション信号を送信すること、および第2のインテロゲーション信号に応答して送信される第2のRFIDトランスポンダ信号を受信することが可能である。第3のRFIDトランシーバーアンテナは、複数のセンサー対応RFIDタグの各センサー対応RFIDタグに無線で連結され、第3のインテロゲーション信号を送信すること、および第3のインテロゲーション信号に応答して送信される第3のRFIDトランスポンダ信号を受信することが可能である。複数のセンサー対応RFIDタグの各センサー対応RFIDタグは、固有の非可変識別コードでエンコードされ、反応域内の反応器の条件を検知し、トランシーバーからインテロゲーション信号を受信し、このインテロゲーション信号に応答して、RFIDトランスポンダ信号を送信することができる。RFIDトランスポンダ信号としては、固有の非可変識別コード、およびセンサー対応RFIDタグに関連付けられた反応器の条件を表す情報が挙げられる。このシステムでは、反応域全体のプロセス条件の決定および三次元プロファイリングを提供する。
【0013】
また、反応器容器内のプロセス条件を無線で監視し、プロファイリングするための方法が提供される。この反応器容器は、触媒粒子を含む触媒床と、触媒床内に配設された複数のセンサー対応RFIDタグと、を含む反応域を画定する。触媒床は、高さおよび幅または直径を有するものという特徴を有する。この方法は、少なくとも3つのRFIDトランシーバーアンテナによってインテロゲーション信号を送信することを含む。インテロゲーション信号は、各センサー対応RFIDタグによって受信される。このインテロゲーション信号に応答して、各センサー対応RFIDタグは、固有の非可変識別コードおよびセンサー対応RFIDタグに関連付けられている周囲条件を表す情報を含む、その関連付けられたRFIDトランスポンダ信号を送信する。RFIDトランシーバーアンテナは、関連付けられているRFIDトランスポンダ信号を受信する。これらの信号は、反応域内のプロセス条件の三次元プロファイリングを提供するために処理される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】反応器容器の反応域内の条件を無線で監視し、三次元プロファイリングするための本発明のシステムの実施形態を表す概略図である。
図2図1に示す反応器容器のA-A断面の平面図である。
図3】反応器の無線監視および反応器の反応域内の条件の三次元プロファイリングを行うためのシステムの特定の要素を例解する図である。図3には、触媒床内に配設された複数のセンサー対応タグのうちの単一のセンサー対応RFIDタグと、センサー対応RFIDタグに無線で連結されている少なくとも3つのRFIDリーダー/インテロゲーターを例解している。RFIDリーダー/インテロゲーターは、センサー対応RFIDタグによって送信された受信したRF信号内に含まれる情報を処理するためのコンピューターシステムに接続されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態は、反応器容器内の条件を無線で監視し、反応器容器によって画定されている反応器域全体の条件の三次元プロファイルを提供するためのシステムおよび方法の両方を含む。
【0016】
この特許出願と同時に提出されるのは、「SP2118-Wireless Monitoring and Profiling of Reactor Conditions Using Plurality of Sensor-Enabled RFID Tags Having Known Locations」、「SP2119-Wireless Monitoring and Profiling of Reactor Conditions Using Arrays of Sensor-Enabled RFID Tags Placed At Known Reactor Heights」および「SP2066-Wireless Reactor Monitoring System Using Passive Sensor Enabled RFID Tag」という名称で、それぞれシリアル番号62/616,148、62/616,185、および62/616,166を有する3つの関連する仮特許出願である。
【0017】
反応器容器内の測定条件としては、反応器容器内の様々な場所での圧力または温度などのプロセスまたは環境条件を挙げることができる。測定条件としては、蒸気および液体の割合(パーセンテージ)、流量、pH、および反応器容器内に含まれるかまたは反応器容器内を通過する流体の化学組成などの他のパラメーターをさらに挙げることができる。
【0018】
本発明は、反応器の触媒床全体に分散されている複数のセンサー対応RFIDタグを使用して、反応器内の条件を遠隔により測定することを提供し、一実施形態では、これらのタグは、反応器の反応域全体の不特定であるかまたはランダムな場所に配置される。センサー対応RFIDタグは、システムのいくつかのトランシーバーによって送信されたインテロゲーション信号に応答して、電波送信によって反応器内で検知された条件に関する測定された情報を無線で送信する。
【0019】
処理システムとしては、複数のセンサー対応RFIDタグによって送信された信号に含まれる情報を処理して、反応器容器内の条件の三次元プロファイルを提供するための、関連付けられたプログラムコードを有するコンピューターなどの手段が挙げられる。システムでは、これをトランシーバーおよび複数のセンサー対応RFIDタグにより行い、複数のセンサー対応RFIDタグの各センサー対応RFIDタグが、反応器容器の反応域内および触媒床内ならびに反応器容器の反応域全体および触媒床全体の場所に存在する1つ以上の環境条件を測定または検知するための手段を提供する。
【0020】
本明細書では、複数のセンサー対応RFIDタグの各センサー対応RFIDタグは、パッシブRFIDタグで構成されているか、またはパッシブRFIDタグに動作可能に接続されているセンサーを含むデバイスである。センサーは、反応器容器内の環境もしくはプロセスの条件またはパラメーターを検知するための手段と、特に測定条件またはパラメーターを表す情報を含む信号入力を、接続されたRFIDタグに提供するための手段と、を提供する。当技術分野で教示されているパッシブRFIDタグとしては、RFIDリーダーアンテナ(トランシーバ)からインテロゲーション信号を受信するため、およびインテロゲーション信号の受信に応答してトランスポンダ信号を送信するためのトランスポンダアンテナに結合されている集積回路が挙げられる。
【0021】
処理システムは、センサー対応RFIDタグによって送信された信号を処理するために使用される。センサー対応RFIDタグはパッシブであるため、システムのいくつかのRFIDリーダーアンテナによって送信されたインテロゲーション信号の受信に応答して、各々がRFIDトランスポンダ信号を送信する。上記のように、各センサーはRFIDタグと一体化されており、反応域内の1つ以上の条件を検知することができる。
【0022】
センサー対応RFIDタグのセンサー構成要素は、当業者に既知である任意の好適なセンサーの群から選択される。センサーによって検知されるか、または測定される環境条件またはパラメーターの例としては、圧力、温度、化学組成、蒸気および液体の組成、密度、流量、pH、振動、放射、磁束、光強度、伝導率、および音強度が挙げられる。好ましいセンサー要素としては、温度センサー、圧力センサー、化学センサー、湿度センサー、pHセンサー、流量センサー、液体/蒸気センサーおよびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるものが挙げられる。
【0023】
一体化された各センサーおよびRFIDタグ、すなわちセンサー対応RFIDタグは、反応器の条件を検知するため、インテロゲーション信号を受信するため、およびインテロゲーション信号に応答して、測定された反応器の条件を表す情報を含むRFIDトランスポンダ信号を送信するための手段を提供する。特許公開第US2013/0057390号、同第US9,563,833号、同第US9,412,061号、同第US9,035,766号、およびWO03/098175には、センサー対応RFIDタグの例を提示している。これらの特許刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
本発明の必要な特徴は、複数のセンサー対応RFIDタグのセンサー対応RFIDタグの各々が、固有の非可変識別コードでエンコードされることである。各センサー対応RFIDタグでは、複数のRFIDトランシーバーの各々からのトランシーバー信号の受信に応答して、固有のタグ識別データを含むトランスポンダ信号を、関連付けられたセンサーによって測定されたかまたは検知された可変データと共に送信するため、これは重要である。固有の非可変タグ識別コードを表す情報を、RFIDセンサーによって測定されたかまたは検知された反応器の環境条件を表す可変情報と共に送信することにより、送信された可変情報を特定のセンサーに関連付けることを提供する。
【0025】
センサー対応RFIDタグは、反応器の反応域内の触媒床全体に配設される。本発明の好ましい実施形態では、多数のセンサー対応RFIDタグが、触媒床内の不特定の場所またはランダムな場所に配置される。2つまたは3つ以上のいずれか、例えば少なくとも3つのトランシーバーが反応域内または反応域の外の場所に配設され、これにより、触媒床内に配設されたセンサー対応RFIDタグと無線で接続されるようになる。これらのトランシーバーは、互いに対して既知の場所および距離に配置されているため、これらのインテロゲーション信号は、センサー対応RFIDタグからのトランスポンダ信号と組み合わせて使用して、トランシーバーから、センサー対応RFIDタグの距離および角度方向に関する情報を取得することができる。距離および角度方向に関する情報は、好適な三角測量法を適用して、反応域の三次元空間内の各センサー対応RFIDタグの点の場所が決定され得るようなものとする。
【0026】
センサー対応RFIDタグの各々に関連付けられている固有の非可変識別コードにより、上記の三角測量法を適用することによって決定される三次元空間内の点の位置による各センサー対応RFIDタグの識別が可能になる。また、固有の非可変識別コードの使用により、複数のセンサー対応RFIDタグの各センサー対応RFIDタグを接続するか、またはこれらのタグによって検知された反応器の条件に関連付けることができる。したがって、各センサー対応RFIDタグは、2つ以上のトランシーバーの各々からインテロゲーション信号を受信することができ、インテロゲーション信号に応答して、固有の非可変識別コードおよびセンサー対応RFIDタグに関連付けられている測定された反応器の条件の両方を表す情報を含むRFIDトランスポーター信号を送信することができる。これにより、反応器の反応域内の測定された環境条件の三次元プロファイリングが可能になる。
【0027】
本発明の反応器容器は、当業者に既知である任意の好適な材料で作製された任意の好適な容器であり得る。多くの用途において、反応器容器は、一般に、触媒を含み、その中に反応物または供給原料が導入される容積を画定する。本発明の一実施形態において、反応器容器は、反応域を画定し、反応域内には、触媒粒子を含む触媒床がある。また、反応域としては、積層床(stacked bed)として既知であるものなど、触媒の複数の床を挙げることができる。反応域は、触媒粒子もしくは支持体粒子、またはその両方で完全に充填されるなど、触媒または触媒床の任意の好適な配置によって充填され得る。
【0028】
反応器容器はさらに、反応域への流体連通をもたらす入口と、炭化水素などの供給物流を反応域に導入するための手段と、を備えてもよい。反応器容器はまた、反応域からの流体連通をもたらす出口と、反応生成物などの流出物流を反応域から除去するための手段と、を備えてもよい。
【0029】
水、炭化水素および他の化学物質など、任意の種類の供給物流または流体を、反応器容器の反応域に導入するか、または反応器容器の反応域に含めてもよい。炭化水素の例としては、1~4または5個の炭素原子を有するものなどの軽質炭化水素、芳香族、ナフサ、ケロシン、ディーゼル、軽油、および残油などの重油が挙げられる。典型的には、反応域は、好ましくは列挙された炭化水素のいずれかなど、前述の流体のいずれかと共に、触媒粒子の1つ以上の床を含む。
【0030】
反応域内の触媒粒子は、任意の形状の押出成形物(例えば、円筒、二葉、三葉、および四葉など)、球、ボール、不規則な凝集体、丸薬、粉末など、産業界で典型的に使用される任意のサイズおよび形状であってもよい。触媒粒子のサイズは0.1mm~200mmの範囲であり得るが、より典型的には、触媒粒子のサイズは0.5mm~100mm、または1mm~20mmの範囲であり得、また任意の組成を有し得る。
【0031】
一般的な触媒組成物としては、シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ、およびチタニアなどの無機酸化物成分が挙げられる。触媒組成物は、クロム、モリブデン、タングステン、レニウム、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、白金、金、銀、および銅などの遷移金属のいずれかなどの触媒金属成分をさらに含むことができる。触媒粒子の金属成分の濃度は、その実際の状態に関係なく、金属に基づいて60重量%以上までであり得、典型的には、金属濃度は、その実際の状態に関係なく、金属に基づいて0.1~30重量%の範囲である。
【0032】
複数のセンサー対応RFIDタグは、反応域の触媒床内の不特定なまたはランダムな場所に配設され、その結果、センサー対応RFIDタグの各々は、触媒粒子によって取り囲まれる。典型的な反応器では、深さおよび幅の幾何学的寸法により触媒床が画定される。深さおよび幅によって画定可能である反応器の場合、触媒床の典型的な深さは0.5~20メートルの範囲であり、触媒床の典型的な有効幅は0.5~20メートルの範囲である。したがって、センサー対応RFIDタグの各々は、20メートル以上までの厚さを有する触媒粒子の層またはエンベロープによって取り囲まれ得、約0.5~約20メートルの触媒粒子の床厚を通過するためには、インテロゲーション信号およびトランスポンダ信号が必要である。
【0033】
本発明の好ましい実施形態は、少なくとも3つのRFIDトランシーバーアンテナを備え、その各々が複数のセンサー対応RFIDタグのセンサー対応RFIDタグの各々に無線で連結されている。トランシーバーは、互いに対して既知の場所および距離に配置される。トランシーバーの配置に関する情報は、トランシーバーを使用してそれらのインテロゲーションによって得られる複数のセンサー対応RFIDタグの各センサー対応RFIDタグの配置に関連する距離および角度方向情報と組み合わせて、三角測量法を適用して使用され、反応器の反応域または触媒床内の複数のセンサー対応RFIDタグの各センサー対応RFIDタグの三次元点の場所を決定する。
【0034】
好ましい実施形態では、第1のRFIDトランシーバーアンテナは、反応域の触媒床内のセンサー対応RFIDタグから遠隔である既知の場所に配置される。ただし、第1のRFIDトランシーバーアンテナは、複数のセンサー対応RFIDタグのセンサー対応RFIDタグの各々に無線で連結されているかまたは結合されている。第1のRFIDトランシーバーアンテナは、複数のセンサー対応RFIDタグのセンサー対応RFIDタグの各々への第1のインテロゲーター信号の送信が可能になり、かつ複数のセンサー対応RFIDタグのセンサー対応RFIDタグの各々からの応答性の第1のRFIDトランスポンダ信号の受信が可能になるように構成される。
【0035】
本発明のシステムの好ましい実施形態では、反応域の触媒床内のセンサー対応RFIDタグに対して遠隔である既知の場所に配置される第2のRFIDトランシーバーアンテナを含む。ただし、第2のRFIDトランシーバーアンテナは、複数のセンサー対応RFIDタグのセンサー対応RFIDタグの各々に無線で連結されているかまたは結合されている。第2のRFIDトランシーバーアンテナは、複数のセンサー対応RFIDタグのセンサー対応RFIDタグの各々への第2のインテロゲーター信号の送信が可能になり、かつ複数のセンサー対応RFIDタグのセンサー対応RFIDタグの各々からの応答性の第2のRFIDトランスポンダ信号の受信が可能になるように構成される。
【0036】
このシステムは、また、反応域の触媒床内のセンサー対応RFIDタグから遠隔である既知の場所に配置される第3のRFIDトランシーバーアンテナを含む。ただし、第3のRFIDトランシーバーアンテナは、複数のセンサー対応RFIDタグのセンサー対応RFIDタグの各々に無線で連結されているかまたは結合されている。第3のRFIDトランシーバーアンテナは、複数のセンサー対応RFIDタグのセンサー対応RFIDタグの各々への第3のインテロゲーター信号の送信が可能になり、かつ複数のセンサー対応RFIDタグのセンサー対応RFIDタグの各々からの応答性の第3のRFIDトランスポンダ信号の受信が可能になるように構成される。
【0037】
第1のRFIDトランシーバーアンテナ、第2のRFIDトランシーバーアンテナ、および第3RFIDトランシーバーアンテナは、互いに対してまたは基準点に対して、および複数のセンサー対応タグに対して既知の場所および距離に配置されるため、三角測量を適用して、反応器の反応域の三次元空間におけるセンサー対応タグの各々の点の場所を特定することができる。
【0038】
RFIDトランシーバーアンテナは、反応域内に位置付けることが好ましい。これにより、インテロゲーター信号およびトランスポンダ信号が反応器容器の壁の中を通る必要がなくなるためである。しかし、本発明のシステムの別の実施形態では、RFIDトランシーバーアンテナは、反応器容器の外に位置付けられるかまたは配置される。
【0039】
RFIDトランシーバーアンテナは、RFIDトランシーバリーダーアンテナにインテロゲーション信号を提供し、複数のセンサー対応RFIDタグのセンサー対応RFIDタグの各々によって送信されたRFIDトランスポンダ信号を受信することを提供する1つ以上のリーダーに動作可能に接続される。コンピューター手段は、RFIDトランスポンダ信号の各々によって運ばれる情報を処理すること、および反応域全体の条件に関する三次元プロファイル情報に関連する出力を表示するか、またはそうでなければ提供することをもたらす。
【0040】
ここで、図1を参照すると、これは、反応器容器12内のプロセス条件を無線で監視し、プロファイリングするための本発明のシステム10の実施形態の概略図である。反応器容器12は、反応域14を画定する。反応域14は、触媒床16を含み、触媒粒子18が充填され、触媒粒子18を含む。反応器容器12は、導管24に動作可能に接続されている入口ノズル22を備える。入口ノズル22は、導管24を通って流体連通するための手段、および供給物を反応域14に導入するための手段を提供する。反応器容器12はまた、導管28に動作可能に接続されている出口ノズル26を備え、導管28を通って流体連通するための手段および反応域14から流出物を除去するための手段を提供する。
【0041】
図1は、反応域14内に位置付けられた第1のRFIDトランシーバーアンテナ32、第2のRFIDトランシーバーアンテナ34、および第3のRFIDトランシーバーアンテナ36を含む本発明のシステム10の一実施形態を示す。RFIDトランシーバーアンテナは、互いに対して既知の位置および距離で、反応域14の三次元空間に配置される。
【0042】
図1は、RFIDトランシーバーアンテナの各々が反応域14内に位置付けられることを示しているが、RFIDトランシーバーアンテナのうちの1つ以上が、代替として、反応器容器12の外の場所に配置されてもよい。しかし、反応域14全体に分布され、触媒床16内に配設された複数のセンサー対応RFIDタグ40の各センサー対応RFIDタグ40に無線で連結されるかまたは結合されるように、RFIDトランシーバーアンテナを位置付けることが重要である。
【0043】
第1のRFIDリーダーアンテナ32は、触媒床16の表面41上に位置するように示されているが、第1のRFIDリーダーアンテナ32は、触媒床16の触媒粒子の境界内である、およびそれらの触媒粒子によって取り囲まれているなど、反応域14内のいずれの場所にも配置され得ることが理解される。このことは、触媒床16の下に位置するように示されている第2のRFIDリーダーアンテナ34および第3のRFIDリーダーアンテナ36にも適用される。これらのRFIDトランシーバーアンテナは、同様に、触媒床16の触媒粒子の境界内である、およびそれらの触媒粒子によって取り囲まれているなど、反応域14内のいずれの場所にも配置され得る。上記のように、トランシーバーの各配置については、複数のセンサー対応RFIDタグ40の各センサー対応RFIDタグ40に無線で連結している必要がある。
【0044】
断面2-2の平面図を図2に示す。各センサー対応RFIDタグ40の位置は、図1および図2に示されており、複数のセンサー対応RFIDタグ40が、触媒床16全体の不特定なまたはランダムな場所にどのように配置され得るかまたは配設され得るかを例解している。
【0045】
本発明のシステム10の動作において、第1のRFIDリーダーアンテナ32は、第1のインテロゲーション信号42を複数のセンサー対応RFIDタグの各センサー対応RFIDタグ40に送信する。これは、第1のRFIDリーダーアンテナ32から複数のセンサー対応RFIDタグ40のうちのセンサー対応RFIDタグ40のうちの1つまで延在しているRF波矢印記号42によって図1に描写されている。しかし、第1のインテロゲーション信号42は、触媒床16全体に分布している複数のセンサー対応RFIDタグ40のすべてのセンサー対応RFIDタグ40に同時に送信される電波であることが認識されている。
【0046】
複数のセンサー対応RFIDタグの各センサー対応RFIDタグ40は、第1のインテロゲーション信号42を受信する。各センサー対応RFIDタグ40は、第1のインテロゲーション信号42の受信に応答して、それぞれ、第1の関連付けられているRFIDトランスポンダ信号44を送信し、そのトランスポンダ信号44は、特定のセンサー対応RFIDタグ40にエンコードされた固有の非可変識別コードを表す情報およびセンサー対応RFIDタグ40によって検知されたかまたは測定され、それらに関連付けられている可変反応器条件を表す情報を含む。第1の関連付けられているRFIDトランスポンダ信号44は、第1のRFIDトランシーバーアンテナ32によって受信され、また信号処理システム46によって処理される。
【0047】
図1では、複数の単一のセンサー対応RFIDタグ40から延在しているRF波矢印記号によって、第1の関連付けられているRFIDトランスポンダ信号44が描写されている。センサー対応RFIDタグ40の各々は、固有の非可変識別コード、および特定のセンサー対応RFIDタグ40によって検知されたかまたは測定され、それらに関連付けられている可変反応器条件を表す可変センサー情報を運ぶ独自の個々の第1の関連付けられているRFIDトランスポンダ信号44を送信することが理解される。
【0048】
第2のRFIDトランシーバーアンテナ34および第3のRFIDトランシーバーアンテナ36は、第1のRFIDトランシーバーアンテナ32と同様の方法で、複数のセンサー対応RFIDタグ40に対して各々構成されている。したがって、第2のRFIDリーダーアンテナ34は、第2のインテロゲーション信号48を複数のセンサー対応RFIDタグの各センサー対応RFIDタグ40に送信する。これは、第2のRFIDリーダーアンテナ34から複数のセンサー対応RFIDタグ40のうちのセンサー対応RFIDタグ40のうちの1つまで延在しているRF波矢印記号によって描写されている。しかし、第2のインテロゲーション信号48は、触媒床16全体に分布している複数のセンサー対応RFIDタグ40のすべてのセンサー対応RFIDタグ40に同時に送信される電波であることに留意されたい。
【0049】
複数のセンサー対応RFIDタグの各センサー対応RFIDタグ40は、第2のインテロゲーション信号48を受信する。各センサー対応RFIDタグ40は、第2のインテロゲーション信号48の受信に応答して、それぞれ、第2の関連付けられているRFIDトランスポンダ信号50を送信し、そのトランスポンダ信号50は、特定のセンサー対応RFIDタグ40にエンコードされた固有の非可変識別コードを表す情報およびセンサー対応RFIDタグ40によって検知されたかまたは測定され、それらに関連付けられている可変反応器条件を表す情報を含む。第2の関連付けられているRFIDトランスポンダ信号50は、第2のRFIDトランシーバーアンテナ34によって受信され、また信号処理システム46によって処理される。
【0050】
第3のRFIDリーダーアンテナ36は、第3のインテロゲーション信号52を複数のセンサー対応RFIDタグ40の各々30に送信する。これは、第3のRFIDリーダーアンテナ36から複数のセンサー対応RFIDタグ40のうちのセンサー対応RFIDタグ40のうちの1つまで延在しているRF波矢印記号によって描写されている。しかし、第3のインテロゲーション信号52は、触媒床16全体に分布している複数のセンサー対応RFIDタグ40のすべてのセンサー対応RFIDタグ40に同時に送信される電波であることに留意されたい。
【0051】
複数のセンサー対応RFIDタグの各センサー対応RFIDタグ40は、第3のインテロゲーション信号52を受信する。各センサー対応RFIDタグ40は、第3のインテロゲーション信号52の受信に応答して、それぞれ、第3の関連付けられているRFIDトランスポンダ信号54を送信し、そのトランスポンダ信号54は、特定のセンサー対応RFIDタグ40にエンコードされた固有の非可変識別コードを表す情報およびセンサー対応RFIDタグ40によって検知されたかまたは測定され、それらに関連付けられている可変反応器条件を表す情報を含む。第3の関連付けられているRFIDトランスポンダ信号54は、第3のRFIDトランシーバーアンテナ36によって受信され、また信号処理システム46によって処理される。
【0052】
第1のRFIDトランシーバーアンテナ32、第2のRFIDトランシーバーアンテナ34および第3のRFIDトランシーバーアンテナ36は、ケーブル56、58および60によってそれぞれ信号処理システム46に動作可能に接続されている。信号処理システム46は、RFIDトランシーバーアンテナにインテロゲーション信号を提供するための手段と、RFIDトランシーバーアンテナによって受信されたRFIDトランスポンダ信号を処理する手段と、を提供する。
【0053】
信号処理システム46は、ケーブル66によって1つ以上のコンピューター64と一緒に構成されている1つ以上のリーダー62を含み、これにより、リーダー62とコンピューター64との間で伝達するための手段が提供される。コンピューター64は、第1のRFIDトランシーバーアンテナ32、第2のRFIDトランシーバーアンテナ34、および第3のRFIDトランシーバーアンテナ36によってそれぞれ受信された、第1のRFIDトランスポンダ信号44、第2のRFIDトランスポンダ信号50、および第3のRFIDトランスポンダ信号54を処理するための手段を提供する。コンピューター64は、反応域14全体において、測定された環境条件に関する出力情報68、および反応域14全体において、測定された環境条件の三次元プロファイルを、メモリまたは他の好適なフォーマットで表示するかまたは保存するために提供する。
【0054】
図2には、図1に示される反応器容器12のA-A断面の平面図を示す。図2には、複数のセンサー対応RFIDタグ40の各々が、反応器容器12の反応器域14内の不規則であるか、不特定であるか、またはランダムな場所にどのように配置されるかを例解している。本明細書でセンサー対応RFIDタグ40のランダムな配置に言及するときに意味することは、それらが特定のパターンまたは順序を考慮することなく触媒床16全体に分散され得ることである。したがって、センサー対応RFIDタグは、必ずしも規則正しいパターンではない。本発明の一実施形態では、センサー対応RFIDタグ40は、ランダムな場所で触媒床16全体にわたって実質的に均等にまたは均一に配設される。
【0055】
図3は、触媒粒子18の環境70によって取り囲まれている複数のセンサー対応RFIDタグ40のうちの単一の代表的なセンサー対応RFIDタグ40を含む拡大詳細図を示している。図3はさらに、第1のRFIDトランシーバーアンテナ32、第2のRFIDトランシーバーアンテナ34、第3のトランシーバーアンテナ36および信号処理システム46を含む本発明のシステム10の特定の他の要素との関係を示す。
【0056】
センサー対応RFIDタグ40は、集積回路74を含むパッシブRFIDタグ72を含む。集積回路74は、特定のセンサー対応RFIDタグ40に関連付けられ、そのタグを表す非可変識別コードの保存を提供する。センサー対応RFIDタグ40はさらに、環境70の少なくとも1つの条件を表す、センサー76からの可変入力情報の受信を提供する。
【0057】
センサー76は、パッシブRFIDタグ72で構成され、接続78によってパッシブRFIDタグ72に動作可能に接続される。センサー76は、要素80または測定された環境条件を表す集積回路74へのアナログまたはデジタル入力を提供することができる任意の他の好適な検知手段を使用することにより、環境70の条件を検知するかまたは検出することができる。集積回路74では、接続78を介して提供されるセンサー入力信号に応答するRFIDトランスポンダ信号44、50および54の変調を提供し、これにより、RFIDトランスポンダ信号44、50および54は、環境70内の測定条件を表す情報を含むかまたは運ぶようになる。環境70内には、触媒粒子18を含む。
【0058】
集積回路74は、RFIDタグアンテナ82に動作可能に接続され、個々のタグ識別コード情報に加えて、センサー対応RFIDタグ40を取り囲むまたは包囲する環境70内の少なくとも1つの条件を表す、センサー76からの可変入力情報を運ぶRFIDトランスポンダ信号44、50および54を送信するための手段を提供する。RFIDトランスポンダ信号44、50および54は、第1のRFIDトランシーバーアンテナ32、第2のRFIDトランシーバーアンテナ34および第3のRFIDトランシーバーアンテナ36からインテロゲーション信号42、48および52をそれぞれ受信するRFIDタグアンテナ82に応答して送信される。
図1
図2
図3