IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グループ エルデエルセの特許一覧

特許7268037少なくとも1つの透明なキーを有し可撓膜を備えた周辺機器
<>
  • 特許-少なくとも1つの透明なキーを有し可撓膜を備えた周辺機器 図1
  • 特許-少なくとも1つの透明なキーを有し可撓膜を備えた周辺機器 図2
  • 特許-少なくとも1つの透明なキーを有し可撓膜を備えた周辺機器 図3
  • 特許-少なくとも1つの透明なキーを有し可撓膜を備えた周辺機器 図4
  • 特許-少なくとも1つの透明なキーを有し可撓膜を備えた周辺機器 図5
  • 特許-少なくとも1つの透明なキーを有し可撓膜を備えた周辺機器 図6A
  • 特許-少なくとも1つの透明なキーを有し可撓膜を備えた周辺機器 図6B
  • 特許-少なくとも1つの透明なキーを有し可撓膜を備えた周辺機器 図6C
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】少なくとも1つの透明なキーを有し可撓膜を備えた周辺機器
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/7065 20060101AFI20230425BHJP
   H01H 13/02 20060101ALI20230425BHJP
   H01H 13/83 20060101ALI20230425BHJP
   H01H 9/18 20060101ALN20230425BHJP
【FI】
H01H13/7065
H01H13/02 A
H01H13/83
H01H9/18 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020540453
(86)(22)【出願日】2019-01-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 FR2019050092
(87)【国際公開番号】W WO2019141944
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-10-05
(31)【優先権主張番号】1850360
(32)【優先日】2018-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520264438
【氏名又は名称】グループ エルデエルセ
【氏名又は名称原語表記】GROUPE LDLC
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100202201
【弁理士】
【氏名又は名称】兒島 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】ローラン,フェーヴル
(72)【発明者】
【氏名】プッジョーニ,ユリア
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-86045(JP,A)
【文献】特開平5-28876(JP,A)
【文献】実開昭56-110527(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00 - 13/88
G06F 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力の作用の下で作動可能であり筐体(10)の第1面(10a)に配置された開口(11)に嵌合された少なくとも1つの透明なキー(2)を含む周辺機器(1)であって、前記キー(2)は、前記筐体(10)の前記第1面(10a)と協働し、前記周辺機器(1)は、
前記キー(2)に印加される圧力の制御及び検知システム(13)であって、前記検知システム(13)は作動力及び圧力フィードバック作用をもたらし少なくとも1つのオリフィス(17)を含む可撓膜(14)を含み、各オリフィスは、キー(2)用の表示経路(5)を区画し、各オリフィス(17)は、キー(2)と協働する縁(17a)により区画されている制御及び検知システム(13)と、
各キー(2)用の少なくとも1つのガイド構造(21)であって、前記ガイド構造(21)は、キー(2)に固定されたタブ(9)と、前記筐体(10)の前記第1面(10a)の内表面から突出して延びる2つのガイド(22)と、を含み、前記2つのガイド(22)は、該2つのガイドの間に前記タブ(9)用のスライド部を、前記キー(2)に印加された圧力に由来する移動ストローク全体にわたって前記スライド部内において前記タブ(9)をガイドすることを可能にする高さで区画する少なくとも1つのガイド構造(21)と、
各キー(2)を通じそれぞれ表示経路(5)を介した記号(3)の表示を可能にする少なくとも1つのスクリーン(4)と、
を含み、
前記制御及び検知システム(13)は、前記キー(2)に印加された圧力を検知するための検知装置(15)であって前記可撓膜(14)とは別個のものを含み、前記検知装置(15)は、スイッチ構造を含み、キー(2)に圧力が印加されたとき、前記スイッチ構造には、作動信号を生成するように、前記キー(2)に固定された少なくとも1つのタブ(9)が作用することを特徴とする、周辺機器(1)。
【請求項2】
前記周辺機器(1)は、一連のキー(2)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の周辺機器(1)。
【請求項3】
各キー(2)は、前記可撓膜(14)のオリフィス(17)の前記縁(17a)に座する下周縁領域(7b)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の周辺機器(1)。
【請求項4】
前記可撓膜(14)は、スカート部(18)を含み、前記スカート部(18)は、基礎板(19)から延び、前記スカート部(18)の自由端において前記可撓膜(14)の各オリフィス(17)の前記縁(17a)を区画することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の周辺機器(1)。
【請求項5】
前記可撓膜(14)の各オリフィス(17)の前記縁(17a)は、各キー(2)の周縁にぐるりと配置された溝(8)の底と協働することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の周辺機器(1)。
【請求項6】
前記検知装置(15)は、前記可撓膜(14)用の座面を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の周辺機器(1)。
【請求項7】
前記検知装置(15)は、表示経路(5)毎に1つの通路(16)を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の周辺機器(1)。
【請求項8】
前記可撓膜(14)は、キー(2)に固定された各タブ用の通し穴(20)を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の周辺機器(1)。
【請求項9】
前記周辺機器(1)は、各キー(2)用に、4つのガイド構造(21)を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の周辺機器(1)。
【請求項10】
キーの前記ガイド構造(21)は、交差する2つの軸に沿って、2個ずつ位置合わせされていることを特徴とする、請求項に記載の周辺機器(1)。
【請求項11】
正方形断面のキーの、キーの前記4つのガイド構造は、2つの直交する軸に沿って2個ずつ位置合わせされていることを特徴とする、請求項9に記載の周辺機器(1)。
【請求項12】
前記スクリーン(4)は、双安定スクリーンであり、好ましくは電気泳動スクリーンであることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の周辺機器(1)。
【請求項13】
前記周辺機器は、電子制御キーボードであることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の周辺機器(1)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の周辺機器(1)を備えた物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの透明なキーを含む周辺機器であって、圧力の作用の下で作動可能であり、作動力と、キーに印加された圧力に追随する(suite)圧力フィードバック作用と、をもたらすシステムが設けられたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透明なキーを含む周辺機器は、筐体を備える。筐体の表側には、キーが嵌合する開口と、透明なキーを通じて視認される記号又は像が表示される少なくとも1つのスクリーンと、が設けられている。上記の周辺機器は、さらに、キーに印加された圧力の検知を可能にするシステムを備える。上記の周辺機器は、さらに、いつキーが有効に押されたのか(作動力)をユーザに感じ取らせる力覚システム(systeme haptique)と、キーに印加された圧力に追随する圧力フィードバック作用のためのシステムと、を備える。
【0003】
様々な制御システムすなわち力覚システム及び圧力フィードバック作用のためのシステムが知られている。例えば、出願WO2016/142881には、コンピュータのキーボード等のようなコンピュータ用の機器が記載されている。この機器は、筐体を含み、筐体の表側には、少なくともある程度透明なキーが嵌合する開口が設けられており、上記キーを通じて、スクリーン上に表示された記号が視認されうる。この機器は、さらに、キーに印加された圧力を検知するためのシステムと、作動力を与えるシステムであってキーに圧力が印加されると押しつぶされるドーム状のものと、圧力フィードバック作用システムであってハサミ、ヒンジ又はバネ状のものと、を含む。
【0004】
機械的圧力フィードバック作用を奏するシステムに関連する第1の欠点は、システムの経時的な劣化である。上記の圧力フィードバック作用システムは、経時的にへたっていく。
【0005】
機械的圧力フィードバック作用システムに関連する第2の欠点は、力覚作用である。この力覚作用は、十分に心地よいものではなく、また、経時的に劣化するのである。
【0006】
さらに、文書WO2016/142881では、キーのメカニズムは、広い面積にわたってキーと協働し、視認は透明なキーを通じて可能である。そのため、透明なキーを通じることでのスクリーンの不良な表示というリスクがある。
【0007】
他の問題は、キーに印加される圧力に由来する、キーの移動ストロークに関する。これは、安定しかつバランスがとれている必要がある。文書WO2016/142881には、特定の実施形態において、出っ張り(ergots)が記載されている。この出っ張りは、キーの周縁に配置されており、キーに圧力が全く印加されていないときにキーが適切な位置に配置されうるように、筐体の内面に位置する相補的な窪み(logements)において協働しうる。さらに、キーの移動ストローク中におけるキーの安定は、確実ではない。
【0008】
力覚システム及び圧力フィードバックシステムの他の例が、出願US2013/0082932に記載されている。この出願には、動的表示キーボードが記載されている。この動的表示キーボードは、少なくともある程度透明な複数のキーと、マットと、各キー用の光学要素と、少なくとも1つのスクリーンと、を備える。マットは、可撓性である。マットは、台形プロファイル(profil)のドーム等のような複数の突出要素であって、変形させられることにより、上方に位置するキー用の作動力及び圧力フィードバック作用をもたらしうるものを含みうる。マットは、さらに、取付要素を備える。この取付要素は、キーに取り付け可能である。この取付要素により、キーが容量性スクリーンと接触したときにキーに印加された圧力を検知することが可能となる。マットは、オリフィスを含む。このオリフィスにより、下方に位置するスクリーンから上方に位置するキーの透明部分へと光が通りうる。
【0009】
このシステムに関連する欠点は、圧力の印加に追随するキーの移動ストローク中にキーが十分には保持されないことである。このような浮かんだような組み付け(montage flottant)では、キーの位置が不安定となる。
【0010】
出願US2012/0160653では、他の例が説明されている。これには、透明又は透光性の材料製のキーを含むキーボードが記載されている。キーボードは、さらに、キーの下方に位置する層を含む。この層には、不透明な部分と透光性の部分とを含むパターンが印刷されている。光源の存在により、キーを通じて、キーの下にある層のパターンを視認できる。また、キーは弾性部の上方に位置し、弾性部はスイッチの上方に位置する。キーに圧力が印加されると、弾性部は変形し、スイッチを作動させることが可能となる。
【0011】
このシステムに関連する欠点は、キーの適切な位置への保持と、キーに圧力が印加されたときのキーのガイドと、である。キーを適切な位置に保持しキーの移動ストローク中においてキーをガイドすることによりキーの位置に関する不確実性を回避し、圧力が印加されたときに筐体に相対的な良好な並進移動を行うことが重要である。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、従来技術の欠点を緩和することを目的とする。この目的のために、本発明の第1の主題は、良好な力覚特性をもたらし経時的にへたり難い、圧力フィードバック作用を奏するシステムであって特に機械的圧力フィードバック作用システムに比べて経時的にへたり難いシステムを備えた周辺機器を提案することである。有利には、圧力フィードバックシステムにより、透明なキーを通じたスクリーンの良好な視認が可能となる。
【0013】
本発明の主題は、キーを備えた周辺機器であって、キーの位置の精度が高く一方でキーの移動中においてキーがガイドされるものを提供することである。
【0014】
本発明の他の主題は、キーを備えた周辺機器であって、キーに印加された圧力に由来するキーの移動ストローク全体にわたってキーがガイドされるものを提案することである。より具体的には、キーの移動ストロークは、安定しかつバランスがとれたものである。
【0015】
この目的のために、本発明に係る周辺機器は、圧力の作用の下で作動可能であり筐体の第1面に配置された開口に嵌合された(engagee dans)少なくとも1つの透明なキーを含むというものであり、周辺機器は、キーに印加される圧力を制御及び検知するためのシステムと、各キーを通じそれぞれ(respectivement)表示経路を介した記号の表示を可能にする少なくとも1つのスクリーンと、を含み、制御及び検知システムは、作動力及び圧力フィードバック作用をもたらし少なくとも1つのオリフィスを含む可撓膜を含み、各オリフィスは、キー用の表示経路を区画し、各オリフィスは、キーと協働する縁により区画されている、というものである。
【0016】
本発明の文脈では、「作動力」は、キーに印加された圧力を検知するのに必要な力を意味する。
【0017】
本発明に係る周辺機器は、有利には、以下の特徴の1つ又は他を、単独で又は相互に排他的でない場合において組み合わせて有する:
【0018】
・周辺機器は、一連のキーを含む;
【0019】
・各キーは、可撓膜のオリフィスの縁に座する下周縁領域を含む;
【0020】
・可撓膜は、スカート部を含み、スカート部は、基礎板から延び、該スカート部の自由端において可撓膜の各オリフィスの縁を区画する;
【0021】
・可撓膜の各オリフィスの縁は、各キーの周縁にぐるりと配置された溝の底と協働する;
【0022】
・制御及び検知システムは、キーに印加された圧力を検知するための装置であって可撓膜とは別個のものを含む;
【0023】
・検知装置は、可撓膜用の座面を有する;
【0024】
・検知装置は、表示経路毎に1つの通路を含む;
【0025】
・検知装置は、スイッチ構造を含み、キーに圧力が印加されたときに、スイッチ構造には、作動信号を生成する(delivrer)ように、キーに固定された少なくとも1つのタブが作用する;
【0026】
・可撓膜は、キーに固定された各タブを通すための穴を含む;
【0027】
・制御及び検知システムは、スイッチ構造を統合した可撓膜である;
【0028】
・周辺機器は、各キー用に、少なくとも1つのキーガイド構造を備える;
【0029】
・キーは、筐体の第1面と、好ましくは筐体の第1面の内表面から突出して延びる2つのガイドと、協働する;
【0030】
・ガイド構造は、キーに固定されたタブと、筐体の第1面の内表面から突出して延びる2つのガイドと、を含み、2つのガイドは、該2つのガイドの間にタブ用のスライド部を、上記キーに印加された圧力に由来する移動ストローク全体にわたってスライド部内において上記タブをガイドすることを可能にする高さで区画する;
【0031】
・周辺機器は、各キー用に、4つのガイド構造を含む;
【0032】
・キーのガイド構造は、交差する2つの軸に沿って、2個ずつ位置合わせされている;
【0033】
・スクリーンは、双安定スクリーンであり、好ましくは電気泳動スクリーンである;
【0034】
・周辺機器は、電子制御キーボードである。
【0035】
本発明の他の主題は、本発明に係る周辺機器を備える物品に関する。例えば、そのような物品は、コンピュータ、工作機械、医療機器、ハイファイ装置、ダッシュボード、パーソナルデジタルアシスタント、制御盤、又は、遠隔制御装置でありうる。
【0036】
様々な他の特徴は、非限定的な例として本発明の主題の実施形態を示す添付の図面を参照して以下に与えられる説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、本発明に係る周辺機器の斜視図である。
図2図2は、本発明に係る周辺機器を構成する様々な要素の積層体の分解斜視図である。
図3図3は、本発明に係る周辺機器の一部の断面図である。
図4図4は、本発明に係る可撓膜であってその上に透明なキーが配置されたものの斜視図である。
図5図5は、開口を含む筐体の内面であって、筐体の複数の開口のうちの1つにキーが設置されたものの斜視図である。
図6A図6Aは、透明なキーの設置状態をキーのガイド要素に関連付けて示す斜視図である。
図6B図6Bは、透明なキーの設置状態をキーのガイド要素に関連付けて示す斜視図である。
図6C図6Cは、透明なキーの設置状態をキーのガイド要素に関連付けて示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明に係る周辺機器は、コンピュータの周辺機器、ハイファイの周辺機器、工作機械の周辺機器、ダッシュボードの周辺機器、パーソナルデジタルアシスタントの周辺機器、又は、制御盤の周辺機器等のような電子制御キーボードでありうる。具体的な実施形態では、本発明に係る周辺機器は、コンピュータのキーボード又はマウス等のようなコンピュータの周辺機器である。
【0039】
図から理解されるように、本発明の主題は、少なくとも1つの透明なキー2を含む周辺機器1であって、スクリーン4上に表示される記号3がキー2を通じ表示経路5を介して視認されるものに関する。周辺機器が複数の透明なキー2を含む例では、周辺機器1は、キー2毎に1つの表示経路を含む。有利には、周辺機器1は、不透明なキーを含まない。
【0040】
「表示経路」は、スクリーン4上に表示された記号又は像の、周辺機器の様々な構成要素であって透明なキー2を含むものを通じた視認を可能とする経路を意味する。
【0041】
本発明の文脈では、キーは、例えば円形又は台形断面である任意の形状の断面を有するブロック、特に断面が平行四辺形、長方形又は正方形のブロック、でありうる。各キー2は、圧力が印加されうる上表面6aと、上表面6aと実質的に反対側で延びる下表面6bと、を含む。上表面6a及び下表面6bは、周縁領域7により接続されている。本発明の一実施形態では、図3に示すように、各キー2は、側方周縁領域7aを含み、側方周縁領域7aは、上表面6aから延び下周縁領域7bにより延長されており、下周縁領域7bの断面は、上表面6a及び下表面6bと実質的に平行である。具体的な実施形態では、各キー2は、周縁領域7全体にわたってぐるりと配置され下周縁領域7bを区画する溝8を含む。
【0042】
本発明の実施形態の有利な特徴によれば、各キー2は、少なくとも1つのタブ9を含む。図示の例では、タブ9は、キーと一体に形成されている。当然ながら、タブ9は、任意の適切な手段によりキー7に組み付けられることにより付加されてもよい。各タブ9は、上記キー2からその周縁領域7を起点に突出して延びている。換言すると、各タブ9は、キー2の上表面6aに対して突出するように構成されている。キーが台形断面のブロックの形状である場合、タブ9は、キー2の上表面6aの角部又は辺において、周縁領域7から突出して延びうる。
【0043】
好ましい実施形態では、スクリーン4により、記号3の動的表示が可能になる。換言すると、各キー2用に表示される記号3は、ユーザ又はアプリケーションにより与えられる命令に従って変化しうる。スクリーン4は、LCD(液晶ディスプレイ)、TFT-LCD(薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ)、LED(発光ダイオード)、OLED(有機発光ダイオード)、AMOLED(アクティブマトリクス式OLED)、IPS(インプレーンスイッチング)スクリーン、VA(垂直配向)、TN(ねじれネマティック)、ブラウン管スクリーン、プラズマスクリーン又は電気泳動スクリーンでありうる。スクリーン4は、好ましくは双安定スクリーンであり、特に電気泳動スクリーンである。
【0044】
周辺機器1は、筐体10を備える。筐体10は、各キー2用の開口11が設けられた第1面10aと、第2反対面10bと、を含む。図1及び3に示すように、各キー2は、キー2に圧力が全く印加されていないときには、筐体10の第1面10aの両側で拡がり(s'eleve de part et d'autre)開口11を横切る。本発明の文脈では、筐体10の第1面10aは、各キー2用の開口11が設けられた筐体10の上壁に対応し、筐体10の第2面10bは、筐体10の下壁に対応する。
【0045】
図2に示す実施形態では、周辺機器1は、さらに、周辺機器1の機能、具体的には作動信号の伝達、を実現する電子回路12を備える。
【0046】
周辺機器1は、さらに、キー2に印加された圧力を制御及び検知するための制御及び検知システム13を備える。制御及び検知システム13は、力覚特性、具体的には作動力及びキー2に印加された圧力に追随する圧力フィードバック作用、をキーに与えるのみならず、このキーに印加された圧力の検知を可能にする。
【0047】
本発明では、制御及び検知システム13は、可撓膜14を含む。可撓膜14により、作動力と、キー2に印加された圧力に追随する圧力フィードバック作用と、がもたらされる。可撓膜14は、キー2に圧力が全く印加されていないときと、印加された圧力に由来するキー2の移動ストローク中とにおいて、キー2を適切な位置に保持することに寄与する。
【0048】
図2及び3に示す第1実施形態では、制御及び検知システム13は、可撓膜14と、キー2に印加された圧力を検知するための検知装置15であって可撓膜14とは別個のものと、を含む。図3に示すように、検知装置15は、有利には、可撓膜14用の座面を有する。
【0049】
図示されていない他の実施形態では、制御及び検知システム13は、本発明の文脈において説明したような可撓膜であってもよく、さらに、キー2に圧力が印加されたときに作動信号を生成するスイッチ構造を統合したものであってもよい。そのようなスイッチ構造と統合された可撓膜によれば、統合されたスイッチ構造によりキーに印加された圧力を検知するとともに、可撓膜の可撓性及び該膜の幾何形状により所望の力覚特性を付与することが可能となる。
【0050】
図2及び3に示す実施形態では、本発明に係る周辺機器は、電子回路12と、スクリーン4と、検知装置15と、可撓膜14と、少なくとも1つのキー2と、筐体10と、を含む。より詳細には、周辺機器1は、キー2が通りうる開口11が設けられた第1面10aと、第1面の垂れ下がった縁(tombes bords)10cに座することができる第2面10bと、を有する筐体10を含みうる。周辺機器1を構成する他の要素が、筐体10内に配置され、任意の適切な手段により閉鎖された位置に閉じ込められる。
【0051】
図1~3に示すように、キー2は、筐体10の第1面10aから突出するように、筐体10の第1面10aの開口11に嵌合されている(engagees a travers)。この実施形態では、可撓膜14は、キー2の下方に配置されている。可撓膜14は検知装置15の上方に配置され、検知装置15は可撓膜14用の座面を有する。さらに、検知装置15は、各キー2用の記号3が表示されるスクリーン4の上方に配置されている。最後に、電子回路12は、スクリーン4の下方かつ筐体10の第2面10bの上方に配置されうる。換言すると、キー2は筐体10の第1面10aと可撓膜14との間に(開口11を通って)配置され、検知装置15は可撓膜14とスクリーン4との間に配置され、スクリーン4は電子回路12に接触している。この配置は、必須ではなく、本発明の枠組みの中で、他の積層がなされてもよい。例えば、スクリーン4は、可撓膜14と電子回路12との間に配置されうる。
【0052】
図2及び3に示すように検知装置15がスクリーン4と透明なキー2との間に配置されたとき、上記検知装置は、表示経路5毎に1つの通路16を含む。この通路16は、隣接するキー2が入る開口11と比較して、類似の寸法(dimension)を有し、少なくとも同じ大きさの面積を有する。検知装置15の通路16と筐体10の第1面10aの開口11とは、重複する又は一致する位置に配置されている。検知装置15は透明なキー2を介して視認できず、通路16の縁16aは表示経路5を区画する。
【0053】
検知装置15は、力覚構造又は好ましくはスイッチ構造を含みうる。キー2に圧力が印加されたときに、力覚構造又はスイッチ構造には、作動信号を生成するように、例えば電気信号を生成するように、キー2に固定された少なくとも1つのタブ9が作用する。例えば、スイッチ構造は、2つの絶縁シートであってそれらの内面が導電面により覆われており開口を含む絶縁シートによって分離されたものを含んでいてもよい。絶縁シートの開口の位置においてスイッチ構造に圧力を印加することにより、2つの導電面が接触しうる。そのような本発明の文脈に適したものでありうるスイッチ構造は、当業者に知られたものであるため、ここでは詳細には説明しない。
【0054】
各タブ9は、絶縁シートにおける開口に垂直に配置されており、検知装置15に作用するのに適した高さを有する。図示の例では、各タブ9は、接続枝部9aを有する。接続枝部9aは、キー2の上表面6aに実質的に平行に延び、実質的に垂直に延びる作動枝部9bによって直角に延長されている。キー2に圧力が印加されると、タブ9はその作動枝部9bにより検知装置15に接触でき、検知装置15は作動信号を生成する。
【0055】
図示の実施形態では、作動枝部9bの自由端は、スタッドであって具体的には円形断面のものを含む。そのようなスタッドにより、より小さい面に圧力を集中させることが可能となり、特にキー2に印加された圧力の検知を促進することが可能となる。
【0056】
図示されていないが、作動枝部の自由端は、スタッドを有していなくてもよい。
【0057】
可撓膜14は、各キー2に関連付けられた少なくとも1つのオリフィス17であってキー2が挿入される開口11と比較して実質的に類似の寸法(dimension)を有し実質的に小さい面積(surface)を有するものを含む。オリフィス17及び開口11は好ましくは重なっており、オリフィス17は開口11の下方に位置する。オリフィス17及び開口11は同心円をなしており、キー2はオリフィス17と開口11との間に配置されている。各オリフィス17は、各キー2用の表示経路5を区画する縁17aを含む。図2及び3に示す実施形態では、透明なキー2用の表示経路5は、キー2の上表面6aと、筐体10の第1面10aの開口11と、キー2と協働する可撓膜14のオリフィス17の縁17aと、下方に位置する検知装置15の通路16の縁16aと、によって規定される。換言すると、各キー2の上表面6aは、可撓膜14のオリフィス17及び検知装置15の通路16と重なっている。
【0058】
可撓膜14の各オリフィス17は、キー2と協働する縁17aにより区画されている。より詳細には、図3に示すように、この縁17aは、キー2の周縁領域7と、具体的には下周縁領域7bと、協働しうる。具体的な実施形態では、可撓膜14のオリフィス17の縁17aは、キー2の周縁に配置された溝8の底と協働し、このことはキーを適切な位置に保持しキーの移動中においてキーをガイドするのに寄与する。好ましい実施形態では、各キー2は、その下周縁領域7bにより、可撓膜14のオリフィス17の縁17aに座する。本発明の文脈では可撓膜14とキー2との間の接触面積は小さい、なぜなら上記接触はキー2の周縁全体にわたって生じるためである、そして、このことは、キーの移動ストローク全体にわたってキーを適切な位置に保持しキーをガイドするのに寄与する。
【0059】
図2~4に示す実施形態では、可撓膜14は、各オリフィス17用に、基礎板19から立ち上がるスカート部18を含む。各スカート部18は、その自由端において、可撓膜14のオリフィス17の縁17aを区画し、そのため表示経路5を区画する。換言すると、可撓膜14は平面状であり、可撓膜14には可撓膜14と接触する各キー2用のオリフィス17が設けられ、オリフィス17の縁17aはスカート部18の端部によって形成され、スカート部18の端部は、キー2と、具体的にはキー2の溝8と、協働しうる。
【0060】
スカート部18は、好ましくは、円錐台状であり、重なり合うキーの方向に立ち上がる。図示の例示的な実施形態では、大きい底面(base)が基礎板19に位置し、小さい底面がオリフィス17の縁17aを形成している。この実施形態では、このスカート部18により、所望の作動力と、圧力フィードバック作用と、がもたらされ、さらに、筐体10の開口11に相対的なキー2の良好な配置が実現される。スカート部18の幾何形状は、特に限定されず、所望の技術的特徴に従い当業者により変更されうる。
【0061】
あるいは、他の実施形態では、キー2は、その周縁領域7により、可撓膜14へと接着により接続される。
【0062】
可撓膜14は、可撓膜14が協働するキー2に印加される圧力の作用の下では、ある印加力(作動力)を超えると(au-dela d'une certaine force appliquee (force d'actionnement))変形する。膜の特性に応じて、具体的には膜の幾何形状及び硬さに応じて、作動力及び圧力フィードバック作用が調整されうる。これは、当業者にとって定型的作業であり、ここでは詳細には説明しない。
【0063】
可撓膜14は不透明であってもよく、半透明であってもよく、透明であってもよい。具体的な実施形態では、膜は不透明である。他の具体的な実施形態では、膜は、半透明であり、好ましくは透明である。
【0064】
キー2と可撓膜14との間の小さい接触面積に起因して、この可撓膜14の存在は、透明なキー2を通じてほとんど視認できない又は視認できない。さらに、可撓膜14が半透明又は透明である場合は、可撓膜14の半透明又は透明という性質にも起因して、可撓膜14はほとんど視認できない又は視認できない。
【0065】
可撓膜14は、シリコーン、EPDM(エチレン-プロピレン-ジエン モノマー)ゴム等のようなゴム、ポリウレタンエラストマー、又は、ラテックス等のような、任意の重合体材料製でありうる。好ましい実施形態では、可撓膜14はシリコーン製である。
【0066】
可撓膜14の硬さ及び幾何形状により、作動力及び圧力フィードバック力が調整されうる。
【0067】
図4に示す実施形態では、可撓膜14は、さらに、キー2の各タブ9用、具体的には作動枝部9b用の、通し穴20を含む。この通し穴20により、上記キーに圧力が印加されたときに、キー2に固定されているタブ9は、可撓膜14を通過して検知装置15に直接接触し、検知装置15は作動信号を生成する。通し穴20の存在により、キー2に印加された圧力の検知が可能となる。
【0068】
本発明の一実施形態では、周辺機器1は、さらに、キー2をガイドするための少なくとも1つの構造21を含む。このようなガイド構造21により、キー2に圧力が印加されているときに安定しかつバランスがとれた移動ストロークを行うことが可能となる。
【0069】
本発明の文脈では、キー2は、筐体10に相対的な並進移動において、キー2が筐体10の第1面10aと協働することにより、ガイドされる。キーに圧力が印加されたとき、このガイド構造により、筐体に対して垂直方向のキーの移動が可能となる。図示の例では、ガイド構造21は、キー2に固定されたタブ9と、筐体10の第1面10aの内表面から立ち上がる2つのガイド22と、を含む。この実施形態では、タブ9により、キー2に印加された圧力の検知のみならず、キー2の移動におけるキー2のガイドも可能となる。
【0070】
図5及び6A~6Cに示すように、2つのガイド22は、それらの間に、補足タブ9用のスライド部を区画する。タブ9、具体的には作動枝部9bは、2つのガイド22により区画されたスライド部内をスライドする。
【0071】
ガイド22の高さは、タブ9に印加された圧力に追随する移動ストローク全体にわたってタブ9がガイドされるのに十分大きい必要がある。より低い高さでは、キー2のストローク全体にわたるキー2の良好なガイドはできない。好ましくは、ガイド22の断面の最大寸法D及びガイド22の長さ(longueur)Lは、L>2.5Dを満たす。ガイド22が円形断面を有する場合、最大寸法Dは断面の直径に対応する。
【0072】
周辺機器が組み立てられた状態において、ガイド22は、膜14を適切な位置に保持するのに役立つ。
【0073】
複数のガイド22は、別の形状を有していてもよいが、有利には、出っ張り、パッド又は柱の形状の分離された要素である。同一のスライド部を区画する2つのガイド22は、有利には、実質的に同一の形状及び寸法を有する。筐体10の第1面10aの内表面から突出して延びるガイド22は、追加された要素(elements rapportes)である、又は、好ましくは筐体10と一体部品を構成する。
【0074】
有利には、2つのガイド22によって区画されるスライド部の幅の寸法は、作動用の隙間を除くと、作動枝部9bの幅と実質的に同じである。これにより、作動枝部9bの合い口突き当たり(l'arc- boutement)を回避できる。好ましくは、ガイド22によって区画されるスライド部は、作動枝部9bの合い口突き当たりを回避して作動枝部9bがスライド部内でスライドするように、作動枝部9bに合わせて調整される。
【0075】
有利には、ガイド22は、自己潤滑性のプラスチック材料製、ほぼ自己潤滑性のプラスチック材料製、又は、ニスで覆われたプラスチック材料製である。本発明の文脈において適したものでありうる上記のプラスチック及びニスの材料は、当業者にとってよく知られたものであり、ここでは詳細には説明しない。この実施形態では、スライド部における作動枝部9bのスライドにより生じる摩擦係数は、最小化される。
【0076】
本発明の文脈では、「摩擦係数」という用語は、ガイド22に相対的な移動における作動枝部9bの摩擦に由来する力を意味する。
【0077】
周辺機器1は、キー2毎に少なくとも1つの、好ましくは少なくとも3つの、具体的には4つの、ガイド構造21を備えうる。当然ながら、ガイド構造は、それ自体知られた任意のタイプのものであってもよく、上述のものとは異なっていてもよい。
【0078】
周辺機器1が複数のガイド構造21を含む例において、図5、6A、6B及び6Cに示す実施形態では、2つの隣接するガイド構造21の複数のガイド22は、相互接続されていない。あるいは、図示しない他の実施形態では、2つの隣接するガイド構造21の複数のガイド22は、相互接続されている。
【0079】
図5、6A、6B及び6Cに示す実施形態では、1つのガイド22の2つの面は、2つの隣接するキーに関する1つのスライド部を協働して区画する。換言すると、1つのガイド22は、2つの90°面を有していてもよく、これらの面の各々は、他の隣接するガイド22と協働して、1つの別個のタブ9用の1つのスライド部を区画する。
【0080】
図5、6A、6B及び6Cに示す第1実施形態では、周辺機器は、キー毎に、4つのガイド構造21を備える。この実施形態では、4つのガイド構造21は、交差する2つの軸に沿って(selon)、2個ずつ位置合わせされている。有利には、同一の軸に沿って位置合わせされたキー2のガイド構造21は、そのキー2の両側に配置されている。
【0081】
台形断面のキー2の例、特に平行四辺形、長方形又は正方形断面のキー2の例では、4つのガイド構造21は、好ましくは、筐体10の第1面10aの開口11の複数の対角線に沿って2個ずつ位置合わせされている。この例では、各ガイド構造21は、キー2の角部に配置されている。タブ9は、キーの角部から突出して延び、ガイド22は、筐体10の第1面10aの開口11の各対角線の両側に配置されている。
【0082】
あるいは、台形断面のキー2、特に平行四辺形、長方形又は正方形断面のキー2の4つのガイド構造21は、キー2の1つの辺に沿って配置されている。この例では、ガイド構造21は、筐体10の第1面10aの開口11の複数の垂直二等分線に沿って2個ずつ位置合わせされている。この例では、タブ9は、キー2の周縁領域7から突出して延び、ガイド22は、キー2の辺の垂直二等分線の両側に配置されている。
【0083】
図5、6A、6B及び6Cに示すような、正方形断面のキーの具体例では、4つのガイド構造21は、有利には、複数の辺の複数の垂直二等分線又は好ましくは複数の対角線等のような2つの直交する軸に沿って2個ずつ位置合わせされている。
【0084】
円形断面のキーの例では、4つのガイド構造21は、有利には、2つの直交する軸に沿って2個ずつ位置合わせされている。
【0085】
第2実施形態では、周辺機器は、キー毎に、3つのガイド構造21を備える。この実施形態では、3つのガイド構造21は、120°で交差する複数の軸に沿って、キー2と同一の中心を有する円に沿って均等に分布している。
【0086】
図5、6A、6B及び6Cに示す実施形態では、周辺機器は、正方形断面のキー2毎に4つのガイド構造21を含む:タブ9は、各キー2の角部から突出して延び、キー2に圧力が印加されると、タブ9は、キー2用の開口11を含む筐体10の第1面10aの内表面から突出して延びる出っ張り22によって区画されたスライド部内をスライドする。各出っ張り22は、2つの隣接するキーの1つのスライド部を区画する2つの面を90°で含む。
【0087】
本発明に係るガイド構造21によれば、キー2に圧力が印加されたときにキー2の安定しかつバランスがとれた移動ストロークが可能となるのみならず、表示経路5が妨げられることがない(libre le chemin d'affichage 5)。
【0088】
本発明は、その範囲から逸脱することなく様々な修正を行うことができるので、説明及び図示した例に限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C