(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】シールを有する混合装置
(51)【国際特許分類】
B01F 35/00 20220101AFI20230425BHJP
B01F 29/80 20220101ALI20230425BHJP
F16J 15/10 20060101ALN20230425BHJP
【FI】
B01F35/00
B01F29/80
F16J15/10 N
(21)【出願番号】P 2020546957
(86)(22)【出願日】2019-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2019056413
(87)【国際公開番号】W WO2019175305
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-11-30
(31)【優先権主張番号】102018106184.6
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519321948
【氏名又は名称】マシーネンファブリック グスタフ アイリヒ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ザイラー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ミュンケル
(72)【発明者】
【氏名】トビアス マター
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-126672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 27/00-27/96
B01F 29/00-29/90
B01F 35/00-35/95
B01J 4/00
B28C 7/16
B28B 13/02
F16J 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合物を収容するための混合容器と混合器カバー(12)とを有する混合装置であって、混合容器(1)と混合器カバー(12)との間に第1のシール(5)が配置されており、混合器スタンドが設けられており、かつ前記混合容器(1)が前記混合器スタンドに対して回転軸を中心に回転可能に軸承されており、かつ前記混合装置が駆動装置を有し、前記駆動装置によって混合容器(1)が回転軸を中心に回転することができ、前記混合器カバー(12)が前記混合器スタンドに固定されている、ものにおいて、
第2のシール(6)が設けられており、かつ前記第1のシールと前記第2のシールが、前記第1のシールと前記第2のシールの間に第1の空気室(10)が形成されるように、配置されている、ことを特徴とする混合装置。
【請求項2】
前記混合容器(1)が円筒形状であり、かつエッジ面を有し、前記第1のシール(5)が前記エッジ面と接触
している、ことを特徴とする請求項1に記載の混合装置。
【請求項3】
前記第1のシール(5)が前記第1の空気室を前記混合容器(1)の内部に対して密閉し、前記第2のシール(6)が前記第1の空気室を前記混合容器(1)の外部に対して密閉し、かつ前記第1の空気室内に配置されている第1の流体通路開口部を有する第1の流体通路が設けられており、前記第1の流体通路開口部を介して流体を前記第1の空気室内へ供給し、あるいは前記第1の空気室から吸い出すことができる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の混合装置。
【請求項4】
前記第1のシールと前記第2のシール(6)が弾性的に形成されており、前記第1のシールと前記第2のシール(6)が次のように、すなわち前記第1のシール(5)が前記混合容器(1)の内部の方向に弾性的に変位され、前記第2のシール(6)が前記混合容器(1)の外部の方向に変位されるように、配置されて
いる、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の混合装置。
【請求項5】
前記第1のシールと前記第2のシール(6)が弾性的に形成されており、前記第1のシールと前記第2のシール(6)が次のように、すなわち前記第1のシール(5)も前記第2のシール(6)も前記混合容器(1)の内部の方向に変位されるように、配置されて
いる、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の混合装置。
【請求項6】
第3のシール(4)が設けられており、前記第3のシール(4)が前記混合器カバー(12)と前記混合容器(1)との間に次のように、すなわち前記第1のシールと前記第3のシールの間に第2の空気室(11)が形成されるように、配置されている、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の混合装置。
【請求項7】
前記第1のシールと前記第3のシール(4)及び前記混合器カバー(12)と前記混合容器(1)が次のように、すなわち前記第3のシール(4)が、前記第1のシール(5)が前記混合容器(1)に接触する位置よりも測地学的に低い位置において前記混合容器(1)に接触するか、あるいは前記第1のシール(5)が前記混合容器(1)に接触する位置よりも測地学的に低い位置において前記混合容器(1)に対して最小の間隔を有するように、形成され、かつ配置されている、ことを特徴とする請求項6に記載の混合装置。
【請求項8】
第2の流体通路開口部が前記第1の空気室又は第2の空気室内に設けられており、前記第2の流体通路開口部を介して流体を前記第1の空気室もしくは前記第2の空気室内へ供給することができ、あるいは前記第1の空気室もしくは前記第2の空気室から吸い出すことができる、ことを特徴とする請求項
3に記載の混合装置。
【請求項9】
少なくとも1つの流体流機械が設けられており、前記流体流機械によって前記第1の流体通路開口部を介して流体が空気室内へ供給され、かつ/又は前記第2の流体流開口部を介して空気室から吸い出される、ことを特徴とする請求項8に記載の混合装置。
【請求項10】
前記混合器カバー(12)が、該混合器カバー(12)が入口開口部を解放する開放位置と、前記混合器カバー(12)が前記入口開口部を閉鎖する閉鎖位置との間で双方向に移動することができる、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の混合装置。
【請求項11】
少なくとも2つのシールリップを有する一体的なシール部材(7)が設けられており、2つのシールリップが前記第1のシールと前記第2のシール(6)を形成する、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の混合装置。
【請求項12】
前記混合器カバー(12)が少なくとも1つのシールを収容するための切り欠きを有しており、保持リング(8)が設けられており、前記保持リング(8)が前記少なくとも1つのシールと共に前記切り欠き内へ挿入されており、かつ前記混合器カバー(12)に、あるいは前記混合器カバー(12)と結合された部材に固定されており、前記保持リング(8)が前記少なくとも1つのシールのために力嵌め及び/又は形状
嵌めを提供する、ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の混合装置。
【請求項13】
少なくとも前記第1のシールと前記第2のシール(6)
が前記混合器カバー(12)に固定されており、かつ前記混合容器(1)に接触する、ことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の混合装置。
【請求項14】
前記シールが前記混合容器(1)又は前記混合器カバー(12)の
、水平に対して傾斜した逆行する面に添接する、ことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合物を収容するための混合容器と混合器カバーとを有する混合装置に関するものであって、混合容器と混合器カバーの間に第1のシールが設けられており、混合器スタンドが設けられており、かつ混合容器が混合器スタンドに対して回転軸を中心に回転可能に軸承されており、かつ混合装置が駆動装置を有し、その駆動装置によって混合容器が回転軸を中心に回転することができ、その場合に混合器カバーが混合器スタンドに固定されている。
【背景技術】
【0002】
しばしば混合容器の内部に混合工具が配置されており、その混合工具が混合容器内の混合物を移動させる。シールは、混合プロセスの間に混合容器から混合物又は混合物の塵が逃げることを回避し、あるいは少なくとも減少させるために、用いられる。特に混合物構成要素が薬用又は有害である場合には、さらに、混合物が決して周囲へ達することができないように注意しなければならない。
【0003】
まさに、混合物と接触するすべての面を衛生的に清掃できることに高い要請が課される適用において、さらに混合器カバーと混合容器との間のシールを簡単に清掃できることに特別な注意が向けられなければならない。
【0004】
特許文献1(独国特許出願公開第3520409(A1)号明細書)からは、円形の容器カバーに固定されたシール装置が知られており、そのシール装置はシールリップからなり、そのシールリップが円筒形状の混合容器のエッジ面上でその混合容器と接触している。シール装置がもはや混合容器の周囲全体に均一に添接しない場合、あるいは材料劣化又は温度変化に基づく伸張によって圧接力が減少した場合に、シールが負かされてしまうと混合容器から混合物の一部が隣接する周囲へ直接流出してしまうことがある。混合プロセスの間回転軸を中心に回転される混合容器が存在する。その場合に容器カバーは混合容器と一緒に回転してはならない。特にこの場合において、シールには特別に高い要請が課される。特許文献2(米国特許第3215297号明細書)は、シールを有する閉鎖キャップを開示している。特許文献3(米国特許第4650340号明細書)には、回転ドラムの開口部を密閉するための装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
〔先行技術文献〕
〔特許文献〕
【文献】独国特許出願公開第3520409(A1)号明細書
【文献】米国特許第3215297号明細書
【文献】米国特許第4650340号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって上述した従来技術に基づいて、本発明の課題は、上述した欠点を少なくとも減少させる混合装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これは、本発明によれば、混合容器と混合器カバーとの間に第1と第2のシールが設けられており、それらが、第1と第2のシールの間に第1の空気室が形成されるように、配置されていることによって、解決される。したがって、互いに離隔しており、したがって空気室を形成する、2つのシールの使用は、特に混合容器が回転する場合の密閉性を著しく向上させた。
【0008】
好ましい実施形態において、混合容器は円筒状であり、かつエッジ面を有しており、その場合に第1のシールがエッジ面と接触し、その場合に好ましくは第2のシールもエッジ面と接触する。エッジ面は、凸状に湾曲することができる。
【0009】
2つのシール及び混合器カバーと混合容器の間に形成される空気室内に、混合プロセスの間に、第1のシールを克服したわずかな部分量の混合物が沈積することがある。シールシステムを2つに分けて形成することによって、周囲へ向かって第2のシールを克服する混合物がきわめてわずかな量である場合でも、空気室内の製品の残りは、混合プロセスの終了後に原理的に望ましいものではなく、もしくは次の混合プロセスの開始前に除去されなければならない。さらにシールを2つに分けた場合でも、最小量の混合物構成要素が2つのシールを克服し、したがって周囲へ達することは完全に排除されない。
【0010】
したがって好ましい実施形態においては、第1のシールが第1の空気室を混合容器の内部に対して密閉し、第2のシールが第1の空気室を混合容器の外部に対して密閉し、かつ第1の空気室内に配置された第1の流体通路開口部を備えた第1の流体通路が設けられており、その流体通路開口部を通して流体を第1の空気室へ供給し、あるいは流体を第1の空気室から吸い出すことができる。
【0011】
たとえば、混合プロセスの間に流体通路開口部を介して洗浄ガスを供給することができる。代替的に、場合によっては第1の空気室内へ入り込んだ混合物構成要素を吸い出すために、吸い出しを行うこともできる。さらに、シールを清掃するために、第1の流体通路開口部を介して洗浄液を空気室内へ供給することが、可能である。
【0012】
シール装置は、たとえば互いに対して同軸に配置された2つのシールリップからなることができ、それらが混合器カバーに固定されており、かつ混合容器の少なくとも1つの接触面と接触する。接触面は、混合容器のエッジ面とすることができる。その場合に2つのシールリップは、互いに径方向に離隔している。代替的に、互いに対して同軸に配置されたシールリップは混合容器に固定することもでき、かつ混合容器に設けられた少なくとも1つの接触面と接触する。そして、1つのシールが混合容器に、1つのシールが混合器カバーに固定されており、かつ他方の部分のそれぞれの接触面と接触することも、可能である。
【0013】
他の好ましい実施形態において、第1と第2のシールが弾性的に形成されており、その場合に第1と第2のシールは次のように、すなわち第1のシールが弾性的に混合容器の内側の方向へ変位され、第2のシールは弾性的に混合容器の外側の方向に変位されるように、配置されている。混合容器が、たとえば円筒軸を有する円筒形状のように、回転軸に対して回転対称に形成されている場合に、これは、第1のシールが弾性的に混合容器の回転軸の方向に変位され、第2のシールは弾性的に混合容器の回転軸から離れるように変位されることを、意味している。
【0014】
この形態によって、2つのシールが第1の空気室の方向に力を加えることが、保証されている。特に第1の空気室が第1の流体通路開口部を介して吸い出される場合に、これによって、シールはさらに強く空気室の方向へ移動され、それが密閉性を高める。
【0015】
他の好ましい実施形態において、第1と第2のシールは弾性的に形成されており、その場合に第1と第2のシールは、第1のシールも第2のシールも混合容器の内側の方向に変位されるように、配置されている。混合容器が、たとえば円筒軸を有する円筒状のように、回転軸に対して回転対称に形成されている場合に、第1と第2のシールは、第1のシールも第2のシールも混合容器の回転軸の方向に変位されるように、配置することができる。
【0016】
密閉性をさらに高め、同時に接触面における摩擦抵抗を減少させるために、シールの外側の端部に内側へ、すなわち第1の空気室の方向へ、向けられた隆起部を配置することができ、その隆起部が接触面の線形の接触をもたらす。シールは、混合器カバーに、あるいは混合容器に固定される。シールの外側の端部はシールの、シールが固定される部材(混合器カバー又は混合容器)とは逆の端部である。
【0017】
他の好ましい形態において、第3のシールが設けられており、それは閉鎖された位置において混合器カバーと混合容器の間に、第1のシールと第3のシール、及び場合によっては混合容器及び/又は混合器カバーの間に第2の空気室が形成されるように、配置されている。
【0018】
第3のシールは、対応する接触面と接触することができる。原則的に第3のシールと対応する接触面との間に小さい間隔が残留することができる。
【0019】
この措置も、シールの改良をもたらす。
【0020】
他の好ましい実施形態において、第1と第3のシール及び混合器カバーと混合容器は次のように、すなわち第1のシールが混合容器に接触する位置よりも測地学的に低い位置において、第3のシールが混合容器に接触し、あるいはその位置において混合容器に対して最小の間隔を有するように、形成され、かつ配置されている。
【0021】
この措置の背景にある考えは、場合によっては第3のシールを克服した混合物は、第1のシールへ達するためには、重力に抗して上方へ移送されなければならない、ということである。したがって本発明に係る第1と第3のシールの配置は、第1のシールへ達する混合物割合を減少させる。
【0022】
他の好ましい実施形態において、第1又は第2の空気室内に第2の流体通路開口部を有する第2の流体通路が設けられており、その流体通路開口部を介して流体を第1もしくは第2の空気室内へ供給することができ、あるいは第1もしくは第2の空気室から吸い出すことができる。
【0023】
第2の流体通路開口部が第1の流体通路開口部と同様に第1の空気室内に配置されている場合に、それによって第1の空気室内に流体流を発生させることができるので、場合によっては空気室内にある粒子が吸い出される。したがって同じ空気室内に2つの流体通路開口部を配置することは、混合容器軸に対してより近くに配置されたシールを通して混合室から空気が管理されずに吸い込まれることを阻止する。
【0024】
すなわちこれは、たとえば、第1の流体通路開口部が第2の流体通路開口部よりも、混合容器壁の上エッジのより近傍に配置されることによって、実現することができる。これはたとえば、第1の流体通路開口部が小パイプを介して空気室内まで延びることによって、行うことができる。
【0025】
第2の流体通路開口部が第2の空気室内に配置されている場合に、粒子を第1の空気室からも第2の空気室からも吸い出すために、第1と第2の空気室内にガス流を発生させることができる。さらにこれらの空気室とそれを画成するシールを清掃するために、洗浄液を使用することができる。好ましい実施形態において、ガスの流れは第1の空気室から第2の空気室内へと行われる。
【0026】
他の好ましい実施形態において、少なくとも1つの流体流機械が設けられており、その流体流機械によって第1の流体通路を介して流体が空気室内へ供給され、かつ第2の流体通路を介して空気室から吸い出される。
【0027】
さらに、少なくとも第1と第2のシール及び最も好ましくは第3のシールも混合器カバーに固定されており、かつ閉鎖された位置において混合容器に接触する。
【0028】
この実施形態において、混合容器はその回転軸を中心に回転することができ、混合器カバーは回転されない。特に混合容器がシールに対して回転される場合に、特に高い要請が密閉性に課される。さらにたとえば混合物を脱気するために、混合容器の内部に真空が発生される適用場合が考えられる。
【0029】
密閉性を高めるために、シールが混合容器又は混合器カバーの、好ましくは混合容器の、水平に対して傾斜した逆行する面に添接すると、効果的である。
【0030】
特に好ましい実施形態において、混合器カバーは、混合器カバーが入口開口部を解放する開放位置と、混合器カバーが入口開口部を閉鎖する閉鎖位置との間で双方向に移動することができる。
【0031】
本発明の他の利点、特徴及び適用可能性が、好ましい実施形態についての以下の説明と図によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、混合装置の本発明に係る実施形態を示す断面図である。
【
図3】
図3は、
図2の実施変形例の第2の詳細な断面図である。
【
図4】
図4は、
図2の他の実施変形例の第3の詳細な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1には、混合装置の本発明に係る実施形態の断面が示されている。混合装置は混合容器1を有しており、その混合容器は実質的に中空円筒形状である。混合容器1の内部には、混合物を収容するための中空室2が形成されている。混合容器1は、上方へ向かって開放している。混合容器は、
図1に示す位置において混合器カバー12によって閉鎖されている。混合器カバー12内には、しかるべき混合工具14を有する混合器軸13が配置されている。混合容器1は回転軸を中心に回転することができ、その回転軸は混合器軸13の軸線上にはない。その結果、混合器カバー12は混合容器1と共に回転しない。それにもかかわらず閉鎖された位置において混合容器1の内部2を周囲に対して密閉するために、混合器カバー12と混合容器1の上エッジとの間に、後に詳細に説明するシール部材7が配置されている。
【0034】
図2と
図3は、混合容器1の上方の端縁の2つの部分断面を示している。見てわかるように、混合容器1の上方の端縁は上方へ向かって延びる、一周する隆起部3を有しており、その隆起部が2つの側面を有し、それらの側面は一方は外側へ向かって、他方は内側へ向かって延びている。混合器カバー12にシール部材7が配置されており、そのシール部材はV字を形成する2つのシールリップ5、6を有しており、それらが第1のシール5と第2のシール6として作用する。第1のシール5は隆起部3の内側を向いた側面に添接し、第2のシール6は隆起部3の外側を向いた側面に添接する。シールリップとして形成することによって、2つのシールは弾性的に移動可能である。図示される位置において、それらは隆起部3によって混合容器1の上エッジ上にすでに互いに離れるように押圧されているので、2つのシール、すなわち第1のシール5と第2のシール6は、隆起部3へ力を加える。図示される実施形態において、第3のシール4が設けられており、それも同様に容器カバー12に固定されている。
【0035】
第3のシール4は、前段シールとして機能し、高い動特性によってシール領域内へ押しやられる大量の混合物を押しとどめるために用いられる。これは特に、混合器軸3の回転速度が高い場合に行われることがある。第3のシール4は、図示される実施形態においてプラスチックからなり、隆起部3の内側を向いた側面の端部における対応する接触面上に延びる。代替的にシール4は、下方の端部に混合容器軸線から離れるように外側を向いた肥厚部を有することができ、その肥厚部が滑らかな混合容器壁の内側に添接する。隆起部3における接触面と前段シールとの間の間隔は、典型的に0.1mmと最大で3mmの間にある。理想的には、前段シールは接触面上で滑り移動する。シールが接触面内へ入り込むのを回避するために、接触面は好ましくは、硬化又はコーティング又はしかるべき材料選択による特に硬くて摩耗に耐える表面によって保護されている。第3のシールが混合容器に接触する位置(
図3)又は第3のシールに最も近くなる、混合容器の位置(
図2)は、第1のシールが混合容器に接触する位置よりも、測地学的に低いところにあることが認識される。
【0036】
第1のシール5と第2のシール6を形成する2つのシールリップを有するシール装置7は、混合器カバー12の閉鎖された位置において、傾斜した側面を有する、一周する隆起部3上に載置され、かつ第1の空気室10から2つの方向に、すなわち容器外側の方向にも、容器内側の方向、もしくは第2の空気室11の方向にもシール作用をもたらし、その第2の空気室は第3のシール3、第1のシール5及び混合容器1と混合器カバー12によって形成される。シールを混合器カバー12に固定するために、保持リング8が設けられており、その保持リングは混合器カバー12と螺合されている。この保持リング8は、シールを混合器カバー12と形状により又は力によって結合するために用いられる。代替的にシール装置を混合器カバー内に直接固定するために、シール装置7を保持リング8と共に、かつ場合によってはシール4を保持フレーム18を用いて1つのアッセンブリ内へまとめて案内することができ、その場合にこのアッセンブリは取り外し可能に、たとえばバヨネットロックを用いて、混合器カバー12と結合されており、かつ、たとえば清掃のため、あるいは交換するために、ユニットとして取り出すことができる。
【0037】
特に
図3において認識されるように、第1の流体通路開口部15が設けられており、それを介して流体を第1の空気チャンバ10内へ投入することができる。たとえば第2の流体通路開口部も同様に第1の空気室10への結合を表すことができるので、場合によっては空気室10内へ達した混合物質構成要素を除去するために、空気室10内へ洗浄ガスを導入し、かつ吸い出すことができる。第1と第2のシールのシール作用を増大させるために、流体供給と流体導出を調節して、第1の空気室10内に軽い負圧を構築することが可能であって、その負圧が第1のシール5と第2のシール6を隆起部に押圧する。適切な負圧は、0.1と100mbarの間、かつ特に好ましくは2と30mbarの間にある。代替的に、第1のシール5と第3のシール4の間の領域内に他の流体通路開口部を位置決めすることができる。この場合においては、それぞれ必要に応じて第1の空気室10と第2の空気室11の間で洗浄空気を移動させることができる。
【0038】
図4は、
図2に示すシールの変形例を示している。リング形状のシール7は、平均的な直径Dを有しており、シールリップ5と6からなり、それらはそれぞれシールの外側の端部に対して間隔Lでくびれを有しているので、シールリップが隆起部3と接触した場合にシールリップは好ましくはこのくびれの分だけ外側へ変位される。シールリップ5と6は、変位sの分だけ外側へ移動されるので、幅Bにわたって定められた力で隆起部3上に載置される。シールリップ5と6は、ここでは、
図3内のシール4と比較可能なように、外側の端部に接触面の方向へ張り出す隆起部を有しており、それによってシールと接触面との間にできる限りライン形状の接触が得られる。
【0039】
負荷を受けない状態においてシールは、シールリップ5と6の外側の端部においてB-2sの内側間隔を有し、負荷を受けた状態においては接触面における接点の間にBの内側間隔を有する。
【0040】
特に高いシール作用は、シールの幾何学パラメータが以下の好ましい値領域内にある場合に得られる。
L/D=0.01-0.05
s/L=0.05-0.5
B/D=0.01-0.1
【0041】
特に、混合器カバーが揺動可能である場合にカバーがその閉鎖された位置へ移動された場合に、シールの間にも洗浄液を投入することができ、それによってシールが清掃される。
【0042】
流体供給と流体導出は、インターバルをおいて行うこともでき、かつ、混合プロセス又は清掃プロセス全体の間中断せずに実施する必要はない。
なお、本開示の態様には、以下のものも含まれる。
〔態様1〕
混合物を収容するための混合容器と混合器カバーとを有し、前記混合容器と前記混合器カバーとの間に第1のシールが配置されている、混合装置において、
第2のシールが設けられており、かつ前記第1のシールと前記第2のシールが、前記第1のシールと前記第2のシールの間に第1の空気室が形成されるように、配置されている、ことを特徴とする混合装置。
〔態様2〕
前記混合容器が円筒形状であり、かつエッジ面を有し、前記第1のシールが前記エッジ面と接触し、好ましくは前記第2のシールも前記エッジ面と接触している、ことを特徴とする態様1に記載の混合装置。
〔態様3〕
前記第1のシールが前記第1の空気室を前記混合容器の内部に対して密閉し、前記第2のシールが前記第1の空気室を前記混合容器の外部に対して密閉し、かつ前記第1の空気室内に配置されている第1の流体通路開口部を有する第1の流体通路が設けられており、前記第1の流体通路開口部を介して流体を前記第1の空気室内へ供給し、あるいは前記第1の空気室から吸い出すことができる、ことを特徴とする態様1又は2に記載の混合装置。
〔態様4〕
前記第1のシールと前記第2のシールが弾性的に形成されており、前記第1のシールと前記第2のシールが次のように、すなわち前記第1のシールが前記混合容器の内部の方向に弾性的に変位され、前記第2のシールが前記混合容器の外部の方向に変位されるように、配置されており、好ましくは前記混合容器が回転軸を中心に回転対称に形成されており、かつ前記第1のシールと前記第2のシールが次のように、すなわち前記第1のシールが前記混合容器の回転軸の方向へ弾性的に変位され、前記第2のシールが前記混合容器の回転軸から離れる方向に弾性的に変位されるように、配置されている、ことを特徴とする態様1から3のいずれか1つに記載の混合装置。
〔態様5〕
前記第1のシールと前記第2のシールが弾性的に形成されており、前記第1のシールと前記第2のシールが次のように、すなわち前記第1のシールも前記第2のシールも前記混合容器の内部の方向に変位されるように、配置されており、好ましくは前記混合容器が回転軸を中心に回転対称に形成されており、かつ前記第1のシールと前記第2のシールが次のように、すなわち前記第1のシールも前記第2のシールも前記混合容器の回転軸の方向に変位されるように、配置されている、ことを特徴とする態様1から3のいずれか1つに記載の混合装置。
〔態様6〕
第3のシールが設けられており、前記第3のシールが前記混合器カバーと前記混合容器との間に次のように、すなわち前記第1のシールと前記第3のシールの間に第2の空気室が形成されるように、配置されている、ことを特徴とする態様1から5のいずれか1つに記載の混合装置。
〔態様7〕
前記第1のシールと前記第3のシール及び前記混合器カバーと前記混合容器が次のように、すなわち前記第3のシールが、前記第1のシールが前記混合容器に接触する位置よりも測地学的に低い位置において前記混合容器に接触するか、あるいは前記第1のシールが前記混合容器に接触する位置よりも測地学的に低い位置において前記混合容器に対して最小の間隔を有するように、形成され、かつ配置されている、ことを特徴とする態様6に記載の混合装置。
〔態様8〕
第2の流体通路開口部が前記第1の空気室又は第2の空気室内に設けられており、前記第2の流体通路開口部を介して流体を前記第1の空気室もしくは前記第2の空気室内へ供給することができ、あるいは前記第1の空気室もしくは前記第2の空気室から吸い出すことができる、ことを特徴とする態様1から7のいずれか1つに記載の混合装置。
〔態様9〕
少なくとも1つの流体流機械が設けられており、前記流体流機械によって前記第1の流体通路開口部を介して流体が空気室内へ供給され、かつ/又は前記第2の流体流開口部を介して空気室から吸い出される、ことを特徴とする態様8に記載の混合装置。
〔態様10〕
前記混合器カバーが、該混合器カバーが入口開口部を解放する開放位置と、前記混合器カバーが前記入口開口部を閉鎖する閉鎖位置との間で双方向に移動することができる、ことを特徴とする態様1から9のいずれか1つに記載の混合装置。
〔態様11〕
少なくとも2つのシールリップを有する一体的なシール部材が設けられており、2つのシールリップが前記第1のシールと前記第2のシールを形成する、ことを特徴とする態様1から10のいずれか1つに記載の混合装置。
〔態様12〕
前記混合器カバーが少なくとも1つのシールを収容するための切り欠きを有しており、保持リングが設けられており、前記保持リングが前記少なくとも1つのシールと共に前記切り欠き内へ挿入されており、かつ前記混合器カバーに、あるいは前記混合器カバーと結合された部材に固定されており、前記保持リングが前記少なくとも1つのシールのために力嵌め及び/又は形状による結合を提供する、ことを特徴とする態様1から11のいずれか1つに記載の混合装置。
〔態様13〕
混合器スタンドが設けられており、かつ前記混合容器が前記混合器スタンドに対して回転軸を中心に回転可能に支承されており、かつ前記混合装置が駆動装置を有し、前記駆動装置によって前記混合容器を回転軸を中心に回転させることができ、前記混合器カバーが前記混合器スタンドに固定されており、好ましくは少なくとも前記第1のシールと前記第2のシール、及び最も好ましくは前記第3のシールも、前記混合器カバーに固定されており、かつ前記混合容器に接触する、ことを特徴とする態様1から12のいずれか1つに記載の混合装置。
〔態様14〕
前記シールが前記混合容器又は前記混合器カバーの、好ましくは前記混合容器の、水平に対して傾斜した逆行する面に添接する、ことを特徴とする態様13に記載の混合装置。
【符号の説明】
【0043】
1 混合容器
2 中空室
3 隆起部
4 第3のシール
5 第1のシール
6 第2のシール
7 シール部材
8 保持リング
10第1の空気室
11第2の空気室
12混合器カバー
13混合器軸
14混合工具
15、16、17 流体通路開口部
18保持フレーム