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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】マストをボードに接続するためのモジュール
(51)【国際特許分類】
   B63B 32/60 20200101AFI20230425BHJP
   B63B 32/10 20200101ALI20230425BHJP
   B63B 32/66 20200101ALI20230425BHJP
【FI】
B63B32/60
B63B32/10
B63B32/66
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020547259
(86)(22)【出願日】2018-11-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 AU2018051266
(87)【国際公開番号】W WO2019104379
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】2017268537
(32)【優先日】2017-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】520188673
【氏名又は名称】フライトボード プロプライエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】トレウェルン,デイビッド
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0201238(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0104985(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0257382(US,A1)
【文献】国際公開第2017/082248(WO,A1)
【文献】国際公開第97/042073(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 32/60
B63B 32/10
B63B 32/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボードに取り外し可能に取り付けられる構成となっており、且つ該ボードを駆動するための水中翼およびモーターを支持しているマストの端部に固定されたモジュールであって、
前記モジュールは、
前記マストが固定された取付板と、
前記取付板に固定することによって防水のキャビティを形成するハウジングと、
前記防水のキャビティの内部に収容された内部制御回路と、
前記内部制御回路を前記ボードに配置された電源に接続するためのコネクタと、
前記内部制御回路を前記マストに熱的に接続するための熱ブリッジと、
を備えており、
前記取付板が、前記熱ブリッジの少なくとも一部を形成するモジュール。
【請求項2】
前記熱ブリッジは、さらに、前記内部制御回路を複数の外部冷却フィンに熱的に接続する、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記マストを前記モジュールに固定する取付板をさらに備え、
前記取付板が、前記熱ブリッジの少なくとも一部を形成し、
前記冷却フィンは、前記モジュールが前記ボードに取り付けられている状態において、前記ボードの下側において前記マストに隣接して配置されるように、前記取付板から延在している、請求項2に記載のモジュール。
【請求項4】
前記マストは、実質的にアルミニウムまたはアルミニウム合金から作製される、請求項1からの何れか1項に記載のモジュール。
【請求項5】
データ通信用のコネクタをさらに備える、請求項1からの何れか1項に記載のモジュール。
【請求項6】
前記内部制御回路には、前記モーターの電子速度制御が含まれる、請求項1からの何れか1項に記載のモジュール。
【請求項7】
前記モジュールを前記ボードに開放可能に固定する取付具をさらに備える、請求項1からの何れか1項に記載のモジュール。
【請求項8】
前記取付具には、前記モジュールを前記ボードに固定させる締め具を受け取るための開口部が設けられた側方フランジが含まれる、請求項に記載のモジュール。
【請求項9】
前記ハウジングには通気口が設けられている、請求項1~8の何れか1項に記載のモジュール。
【請求項10】
下端に連結されたモーターおよび水中翼と、
上端に固定されたモジュールと、
を備え、
前記モジュールは、請求項1からの何れか1項に記載のモジュールである、
マスト。
【請求項11】
実装部を有するボードであって、該ボードの下側から接続ベイに画定された貫通孔が設けられたフレームを備えるボードであって、
前記実装部は、請求項1からの何れか1項に記載のモジュールを受け入れるように構成され、前記モジュールは、前記コネクタを電源に接続させるために前記接続ベイ内に突出して前記フレームに対して固定される、ボード。
【請求項12】
前記フレームは前記ボード内に固定されたインサートであり、
前記インサートは、前記モジュール上の取付具に適合するように構成された取り付け穴を有する、請求項11に記載のボード。
【請求項13】
電源のためのコンパートメントと、
前記モジュールの前記コネクタを前記電源に接続するための前記コンパートメントと前記接続ベイとの間に位置する、デッキ下の空間と、
をさらに備える、請求項11または12に記載のボード。
【請求項14】
前記ボードの本体内に埋め込まれたトレーをさらに備え、
前記トレーは、前記接続ベイ、前記コンパートメント、および前記デッキ下の空間を画定する一体型ユニットとして構成されている、請求項13に記載のボード。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は主に、マストに取り付けられ、マストをボードに接続する接続モジュールに関する。
【0002】
〔優先権出願〕
本出願はオーストラリア特許第2017268537号からの優先権を主張し、その内容は、全体として本明細書に含まれる。
【0003】
〔背景技術〕
サーフボード技術における最近の発展は、水中翼サーフボードへのモーターの取り付けである。水中翼モーターは、典型的には水中翼の近くに取り付けられた電気モーターである。水中翼はモーターから電力が供給されているとき、ボードを水から離れて上昇させる。これにより、抗力が減少し、水上を高速で移動することができる。
【0004】
水中翼モーターはマストの下端に配置され、一方、マストの上端はボードの下面にボルト締めされる。ボードの上側には、バッテリを収容するためのハウジングが固定されている。複数の外部ワイヤが、ハウジング内のバッテリおよび回路に接続されている。これらのワイヤはモーターに接続するために、ボードの穴を通り、マストの内部を下る。
【0005】
本明細書における任意の先行刊行物(またはそれから派生した情報)、または既知である任意の主題への参照は、先行刊行物(またはそれから派生した情報)または既知の主題が本明細書が関連する分野における技術常識の一部を形成するという確認、承認、または任意の形態の示唆として解釈されるべきではなく、そのように解釈されるべきではない。
【0006】
〔発明の概要〕
本発明の一態様によれば、ボードに取り外し可能に取り付けられる構成となっており、且つ該ボードを駆動するための水中翼およびモーターを支持しているマストの端部に取り付けられたモジュールが提供され、該モジュールは、電源に接続するためのコネクタと、内部制御回路と、当該内部制御回路をマストに熱的に接続するための熱ブリッジと、を含む。
【0007】
一例の形態では、熱ブリッジはまた、内部制御回路を複数の外部冷却フィンに熱的に接続する。別の形態ではモジュールがマストをモジュールに固定する取付板をさらに含み、取付板は熱ブリッジの少なくとも一部を形成する。さらに別の形態では、冷却フィンがモジュールがボードに取り付けられたときに、それらがボードの下面のマストに隣接して位置するように、取り付けプレートから延びている。
【0008】
好ましくは、モジュールが内部制御回路が収容される防水キャビティを含む。他の特定の、しかし非限定的な例示的形態ではマストが実質的にアルミニウムまたはアルミニウム合金から作製され、モジュールはデータ通信のためのコネクタをさらに含み、内部制御回路は電気モーターのための電子速度制御を含む。
【0009】
さらに詳細には、しかしこれに限定されるものではないが、実施例の形態として、モジュールはモジュールをボードに取り外し可能に固定するための取付具をさらに含み;取付具がモジュールをボードに固定する留め具を受け入れるための開口部を備えた横方向フランジを含む。
【0010】
本発明の別の態様によれば、モーターと、下端に結合された水中翼と、上端に取り付けられたモジュールとを含むマストが提供され、モジュールは、実質的に本明細書で定義されるとおりである。
【0011】
本発明のさらに別の態様によれば、ボードの下側から接続ベイまで貫通孔を画定するフレームを含む実装部を有するボードが提供され、実装部は本明細書で実質的に画定されるモジュールを受け入れるように構成され、モジュールはコネクタが電源に接続されるようにベイ内に突出するようにフレームに対して固定される。
【0012】
1つの例示的な成形ではフレームがボードに固定されたインサートであり、インサートはモジュール上のフィッティングに適合するように構成された取り付け穴を有する。別の形態では、ボードが電源用のコンパートメントと、コンパートメントとベイとの間の、電源とモジュールのコネクタとの間の接続のための下デッキ空間とをさらに含む。さらに別の形態ではボードがボードの身体に埋め込まれたトレーをさらに含み、トレーはベイ、コンパートメント、および下デッキ空間を画定する一体型ユニットである。
【0013】
本発明の広範な形態およびそれらのそれぞれの特徴は併せて、互換的に、および/または独立して使用され得、別個の広範な形態への言及は、限定することを意図しないことが理解される。
【0014】
〔図面の簡単な説明〕
例示的な実施形態は、添付の図面に関連して説明される、少なくとも1つの好ましいが非限定的な実施形態の、例としてのみ与えられる以下の説明から明らかになるはずである。
【0015】
図1は、水中翼モーターを有するマストが接続されたボードを備える電気水中翼サーフボードの正面図を示す。
【0016】
図2は、図1からの水中翼サーフボードの側面図を示す。
【0017】
図3は、図1からの水中翼サーフボードの背面図を示す。
【0018】
図4は、図1からの水中翼サーフボードの等角図を示す。
【0019】
図5は、図1からの水中翼サーフボードの断面側面図である。
【0020】
図6は、図1の水中翼サーフボードの正面図であり、マストの上端のモジュールがボードから切り離されている状態を示す。
【0021】
図7は、図6からの水中翼サーフボードの側面図を示す。
【0022】
図8は、図6からの水中翼サーフボードの背面図を示す。
【0023】
図9は、図6からの水中翼サーフボードの等角図を示す。
【0024】
図10は、図6からの水中翼サーフボードの断面側面図を示す。
【0025】
図11は、図6のモジュールの上面図を示す。
【0026】
図12は、図11のモジュールの正面図を示す。
【0027】
図13は、図11のモジュールの側面図を示す。
【0028】
図14は、図11のモジュールの背面図を示す。
【0029】
図15は、図11のモジュールの底面図を示す。
【0030】
図16は、図11のモジュールの正面等角図を示す。
【0031】
図17は、図11のモジュールの背面等角図を示す。
【0032】
図18は、図11のモジュールの分解図を示す。
【0033】
図19は、モジュールを取り外した状態のボードの底面等角図を示す。
【0034】
図20は、図19のボードの底面図を示す。
【0035】
〔詳細な説明〕
好ましい実施形態の主題のより正確な理解を提供するために、例としてのみ与えられる以下のモードを説明する。
【0036】
例示的な実施形態の特徴を示すために組み込まれた図において、同様の参照番号は、図全体を通して同様の部分を識別するために使用される。
【0037】
本発明によるモジュール10の一実施形態が図18に示されており、モジュール10は、ボードに取り外し可能に取り付けられるように構成されている。図18には示されていないが、モジュール10はマストの端部に取り付けられており、このマストは水中翼と、ボードを駆動するためのモーターとを支持している。モジュールは、電源に接続するためのコネクタ、この場合はリード35を含む。また、モジュール10内には、電子速度制御(ESC)ブロック39のような内部制御回路が、設けられている。
【0038】
熱ブリッジは、ESCブロック39をマストに熱的に接続する。図示の実施形態では熱ブリッジがプレート41およびベース40を含むが、代替実施形態では熱ブリッジが多くの他の形態をとることができることが理解されよう。例えば、プレート41はいくつかの代替実施形態では省略することができ、それによって、内部制御回路とマストとの間の熱抵抗をさらに低減することができる。
【0039】
モジュール10は、マストおよび関連する構成要素が迅速かつ容易に取り外され、ボードに再取り付けされることを可能にするので、有利である。ボードからマストを取り外すことは、典型的にはボードを搬送するために必要であり、したがって、マストを容易に再取り付けすることが望ましい。この作業はビーチまたは他の屋外スペースなどのワークショップから離れて行われなければならないので、これはこのタイプの製品にとって特に重要である。
【0040】
モジュール10は、リード線の電源への接続が比較的簡単であるので、ボードへのマストのこの取り付けを大幅に単純化する。重要なことは、回路をマストに接続する熱ブリッジのおかげで、内部回路または任意の他の構成要素への冷却のための液体接続が必要とされないことである。
【0041】
図面に示される実施形態に含まれるが、いくつかの代替実施形態では提供されないか、または様々な他の代替実施形態では異なる形態で提供され得る、いくつかの他の例示的特徴が、ここで説明される。
【0042】
図1図5を参照すると、マスト3の下端2に水中翼モーター1が示されている。水中翼モーター1は、プロペラ6と一体の前部水中翼7および後部水中翼8とを有する電気モーター5を含む。マスト3におけるモーター1と反対側の端部には、ボード30が取り付けられている。これらの図は、全て、組み立てられた状態のシステムを使用可能な状態で示している。
【0043】
図6図10を参照すると、モーター1およびマスト3は、ボード30から分離されて示されている。マスト3の上端11にはモジュール10が取り付けられている。モジュール10は、ハウジング12および取付板13を含む。このようにモジュール10をボード30から取り外すことは、例えば前述したように、ボードを搬送するのに便利である。
【0044】
図11図18は、モジュール10をより詳細に示す。図16に示すように、例えば、取付板13は、開口16が設けられた横方向フランジ15の形態の取付具14を有する。これらの取付具14は以下により詳細に説明するように、モジュール10をボード30に固定するために使用される。モジュール10は明確にするためにマスト3なしでこれらの図に示されているが、典型的にはモジュール10がマスト3から容易に取り外すことができるようには設計されていない。
【0045】
図19および図20は、ボード30の下面を示す。ボード30には、開口部18が設けられたフレーム17が埋め込まれている。開口部18は、開口部18の周囲に延在するチャネル20に隣接するリップ19によって縁取られている。
【0046】
フレーム17の面には、リベート21が形成されている。リベート21は、モジュール10のフランジ15に適合するように構成されている。取り付け穴23は、取り付けられたときにモジュール10の開口16と位置合わせされる。このようにして、取り付け穴23は、使用時にモジュール10をフレーム17に固定する締め具を受け入れる。これら締め具は好ましくはモジュール10をボード30にネジ締めするボルトまたはネジであるが、代替の実施形態では多くの他の形態の締め具を使用することができることが理解されるのであろう。
【0047】
マスト3およびモジュール10をボード30に接続するために、ハウジング12は、フランジ15がリベート21に着座するまで、ボード30の下側の開口部18を通して挿入される。次いで、締め具を使用して、モジュール10を所定の位置に固定することができる。
【0048】
図5を参照すると、マスト3およびモジュール10は、フレーム17に接続された状態で示されている。トレー25は、ボード30の本体29に埋め込まれ、コンパートメント26および接続ベイ27を形成する。モジュール10の端部28はマスト3がトレー25内に組み立てられたときに接続ベイ27に近接するように、ボード30内に突出している。
【0049】
バッテリの形態の電源をコンパートメント26内に収容することができる。接続ベイ27とコンパートメント26の電源が収容される部分との間には、空間33が設けられている。ボード30のデッキ34は、コンパートメント26、接続ベイ27および電源へのアクセスを可能にするために取り外し可能である。空間33は接続ベイ27と共に、モジュール10の外部リード35を電源に接続することを可能にする。
【0050】
別の構成では、トレー25を省略することができ、その代わりに、コンパートメント26およびベイ27をボード30の本体29内に直接形成又は成形することができる。さらに別の代替実施形態では、フレーム17がボード30のコンパートメント26および/または本体29と一体的に形成されてもよい。
【0051】
図18を参照すると、モジュール10の構造がより詳細に示されている。制御回路を備えた電子速度制御(ESC)ブロック39は、モジュール10内に収容される。モジュール10が組み立てられると、ESCブロック39は、取付板13のベース40に接続される。いくつかの代替的な実施形態ではこの取り付けは直接的であってもよいが、本実施形態ではESCブロック39はプレート41に取り付けられ、次いでプレートはベース40に取り付けられる。シール42がベース40とプレート41との間に配置されている。
【0052】
ESCブロック39は、ブラケット46によってプレート41にしっかりと保持される。締め具は、ブラケットの穴47、プレート41の穴48、およびベース40の穴49を貫通して延在することができる。熱ペーストまたは熱接着剤を使用して、ESCブロック39、プレート41およびベース40の間の熱伝導率を最大にすることができる。
【0053】
ESCブロック39は典型的には使用中に大量の熱を発生し、このようなシステムを設計する際の主な課題の1つは、この構成要素に十分な冷却を提供することを含む。ESCブロック39とベース40との間の直接接続はESCブロック39の制御回路とマスト3との間の熱ブリッジとして作用し、それによってマスト3内に発生する熱を消散させる。
【0054】
ESCブロック39の制御回路をマスト3に接続する熱ブリッジは従来技術に典型的に見られるように、液体冷却剤回路等のアクティブな冷却の必要性を除去する。これは、複雑さを減少させること、および敏感な構成要素に損傷を引き起こす漏れの危険性を減少させることを含む、多くの理由のために有利である。重要なことに、液体冷却回路の必要性を除去することは、また、マストがボードから分離されるときに、液体供給ラインを接続したり切断したりする必要性を取り除き、この組立工程を大幅に簡素化する。
【0055】
現在説明されている実施形態では、内部制御回路が電気モーターのための電子速度制御を含む。例えば、モーター5により近いのではなく、モジュール10内にこの回路を収容することは、水中構成要素を可能な限り小型化することを可能にするので、有利である。これは、ひいては抗力を低減し、ボードの性能を改善する。
【0056】
この回路をモーターのより近くに配置することは冷却を補助するために望ましいかもしれないが、本発明はこの必要性を取り除く。もちろん、本発明のいくつかの代替実施形態ではモーター速度制御がモジュールの外側に配置されてもよく、モジュールは他の制御回路構成要素を含むことが理解されるだろう。
【0057】
さらに図18を参照すると、プレート41は多数のテーパ状開口部52を含み、この開口部にはケーブルグランド挿入部53が嵌め込まれ、ケーブルグランドプレート54によって適所に保持される。ケーブルグランドプレート54は、ケーブルグランド挿入部53を圧縮するために締め付けることができる締め具によって適所に保持される。この密封システムはケーブルをESCブロック39から取付板13のベースに、そしてマスト3に通すことを可能にするが、取付板13のベースから漏れる可能性のあるいかなる水も、ESCブロック39又はモジュール10の他の内部部品に到達することを防止する。
【0058】
このシールシステムは、シールを損なうことなく、熱負荷による著しい熱応力および膨張に対応するため、他のシステムよりも有利である。しかしながら、いくつかの代替的な実施形態では、代替的な封止方法を使用することもできることがさらに理解されるだろう。
【0059】
バッテリからのリード35はハウジング12の頂部付近の穴56を通ってモジュール10に入り、ケーブルグランド57によってシールされる。電力は、下部リード58を介してESCブロック39に供給される。
【0060】
モーター制御プリント回路ボード(PCB)60は、ESCブロック39の上方に配置され、様々な動作条件および/または様々な内部および/または外部センサからの入力に基づいて、より高度な制御機能を提供するように構成および/またはプログラムすることができる。また、モーター制御PCB60と受信器および/または他のセンサなどの外部装置またはコンポーネントとの間のデータ転送を可能にするために、クイックディスコネクト63を介した簡単な接続を可能にするソケット62が設けられている。
【0061】
シール65は、ねじ66又は他の適当な締め具によって隅で一緒に締結されているベース40とハウジング12との間に配置されている。このようにハウジング12と取付板13との接続は図11図17に示すように、他の構成要素を包囲して完全なモジュールを形成する。
【0062】
モジュール10が組み立てられると、制御回路は防水キャビティ内に配置されることが理解されるのであろう。これは、先に議論した種々のシールを含む様々な成分によって達成される。しかしながら、有利なことに、本発明は、熱ブリッジを介して、この防水キャビティの内側から外側への熱移動を効果的に可能にする。すなわち、液体冷却回路のような材料の物理的な移動を必要としない。これにより、このセットアップの複雑さが減少するため、部品が磨耗することにつれて防水キャビティを経時劣化しないようにするのに役立つ。
【0063】
モジュール10は内部制御回路が収容された防水キャビティを含む。すなわち、取付板13、プレート41およびハウジング12は、一緒になって、ESCブロック39、モーター制御PCB60、および湿気に敏感であり得る様々な他の構成要素を含むキャビティを形成する。
【0064】
使用中、ESCブロック39をマスト3に接続する熱ブリッジであっても、モジュール10内部の温度は著しく上昇し得る。また、この温度は使用が停止されたとき、特にマスト3および取付板13が冷たい水と接触したままである場合には、かなり急速に低下する可能性がある。熱サイクルにもかかわらずこの防水キャビティを維持するのを助けるために、ハウジング12に通気口45が設けられている。
【0065】
図17を参照すると、取付板13は、外部冷却フィン50を含む。熱ブリッジは、ESCブロック39の内部制御回路をこれらのフィン50に熱的に接続する。つまり、フィン50は取付板13のベース40から延びており、このベースは次に、ESCブロック39のベースに接続するプレート41に接続されている。
【0066】
図示の実施形態におけるフィン50は、マスト接続フランジ51に隣接して配置されている。フランジ51はマスト3と取付板13との間の強固な接続を保証し、取付板13のベース40とマスト3との間の熱伝達を最大にするのを助ける。
【0067】
取付板13上のフィン50はモジュール10がボード30に嵌合されるとき、ボード30の下側に配置される。取付板13の一部であるこれらのフィン50は、熱ブリッジによってESCモジュール39に接続される。
【0068】
これにより、フィン50はボードが水面より上にあるときには空気に熱を伝達することができ、ボードが水面にあるときには水に熱を伝達することができ、または水がフィン50上に飛び散った場合には水に熱を伝達することができるので、ESCモジュール39の制御回路に追加の冷却を提供することができる。
【0069】
しかしながら、フィンは、本発明のいくつかの代替的な実施形態に含まれなくてもよく、またはさらに他の実施形態において異なる位置に提供されてもよい任意の特徴であることを理解されたい。
【0070】
モジュール10およびマスト3は、それによって、ボード30に効果的に差し込まれ、所定の位置に固定される一体のユニットを形成する。取付板13の外側のガスケット44はチャネル20と連結して取り付けられたときに、モジュール10をボード30とシールするのに役立つ。
【0071】
本発明の代替の実施形態では、フレーム17に直接取り付ける代わりに、モジュール10およびマスト3を代わりに適切なボルト等を用いてボード30の下側45に直接固定することができる。
【0072】
いずれにせよ、モジュール10はモーター速度を調整するために、および/または本発明の様々な代替実施形態では、ボード30の態様を調整するために水中翼7、8を制御するなどの他の機能を実行するために使用することができる制御回路を収容する。
【0073】
制御回路は、好ましくはアルミニウムまたはアルミニウム合金のような高い熱伝導性材料から形成されるマスト3を介して容易に水中に放散され得る熱を発生する。
【0074】
制御回路はマスト3の上端11に直接嵌合されたモジュール10内に収容されるので、モジュール10の外側の唯一の有線接続は外部リードおよび単一のデータ接続を介して電源に接続される。そのように、従来技術のボードの多くのワイヤおよび液体接続に対する要求はない。
【0075】
好ましい実施例ではモジュール10が電源に接続するために設けられたコネクタは2つのリード35の形態をとるが、本発明の代替形態では多くの他の形態のコネクタを設けてもよいことが理解されるのであろう。例えば、コネクタは、単一のリード、ソケット、または複数のソケットであってもよい。同様に、ソケット62は、多くの他の形態で提供されてもよい。本発明のさらに他の形態では、データ接続および電力接続がリード線、ソケット、または他の形態のコネクタの異なる構成で組み合わせるか、または配置することができる。
【0076】
本明細書に記載されている熱ブリッジは、物理的に接触している固体構成要素による熱伝導に関する。しかし、当然のことながら、熱ブリッジは低い熱伝導抵抗を提供する任意の形態の接続とすることができ、熱ブリッジの多くの他の構成も可能であり、本発明の範囲内に入ると考えられる。
【0077】
本発明は、特にマスト搭載モーターを有するサーフボードに関連してボードを参照して説明されてきた。しかしながら、「ボード」への言及は、あらゆる形態の船舶への言及として解釈されるべきである。
【0078】
理解されるように、記載された本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの修正および変形を行うことができる。例えば、モジュールは水中翼モーター以外のモーターを備えたマストに接続することができ、モーター自体は、プロペラを駆動する電気モーターである必要はなく、代わりにジェットノズル、タービン等であってもよい。
【0079】
好ましい実施形態の前述の説明では、明確にするために特定の用語を用いた。しかしながら、本発明はそのように選択された特定のタームに限定されることを意図するものではなく、各特定のタームは同様の技術的目的を達成するために同様の方法で動作する全ての技術的等価物を含むことを理解されたい。「前」および「後」、「内側」および「外側」、「上」および「下」などのタームは、基準点を提供するための利便性タームとして使用され、限定するタームとして解釈されるべきではない。
【0080】
本発明を特定の実施形態を参照して説明してきたが、当業者には多くの修正が明らかであろうことが理解されるのであろう。全てのそのような変形および修正は以下に広く記載され、特許請求されるように、本発明の範囲内にあると考えられるべきである。
【0081】
本明細書および以下の特許請求の範囲全体にわたって、文脈が別途必要としない限り、単語「備える(comprise)」および「備える(comprises)」または「備える(comprising)」などの変形は述べられた整数またはステップまたは整数またはステップのグループを含むが、任意の他の整数またはステップまたは整数またはステップのグループを排除しないことを暗示するものと理解されるのであろう。
【0082】
〔符号の説明〕
1 水中翼モーター
2 マスト下端
3 マスト
5 電気モーター
6 プロペラ
7 前部水中翼
8 後部水中翼
10 モジュール
11 マスト上端
12 ハウジング
13 取付板
14 取付具
15 フランジ
16 開口
17 フレーム
18 開口部
19 リップ
20 チャネル
21 リベート
23 取付穴
25 トレー
26 コンパートメント
27 接続ベイ
28 モジュールハウジングの端部/頂部
29 ボード本体
30 ボード
34 ボードのデッキ
35 リード
36 開口部
39 ESCブロック
40 取付板のベース
41 プレート
42 シール
44 シール
45 ベント
46 ブラケット
47 穴
48 穴
49 穴
50 外部冷却フィン
51 マスト接続フランジ
52 開口部
53 ケーブルグランド挿入部
54 ケーブルグランドプレート
56 ハウジングの穴
57 ケーブルグランド
58 下部リード
60 モーター制御ボード
62 ソケット
63 クイックディスコネクト
65 シール
66 締め具
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1】水中翼モーターを有するマストが接続されたボードを備える電気水中翼サーフボードの正面図を示す。
図2図1からの水中翼サーフボードの側面図を示す。
図3図1からの水中翼サーフボードの背面図を示す。
図4図1からの水中翼サーフボードの等角図を示す。
図5図1からの水中翼サーフボードの断面側面図である。
図6図1の水中翼サーフボードの正面図であり、マストの上端のモジュールがボードから切り離されている状態を示す。
図7図6からの水中翼サーフボードの側面図を示す。
図8図6からの水中翼サーフボードの背面図を示す。
図9図6からの水中翼サーフボードの等角図を示す。
図10図6からの水中翼サーフボードの断面側面図を示す。
図11図6のモジュールの上面図を示す。
図12図11のモジュールの正面図を示す。
図13図11のモジュールの側面図を示す。
図14図11のモジュールの背面図を示す。
図15図11のモジュールの底面図を示す。
図16図11のモジュールの正面等角図を示す。
図17図11のモジュールの背面等角図を示す。
図18図11のモジュールの分解図を示す。
図19】モジュールを取り外した状態のボードの底面等角図を示す。
図20図19のボードの底面図を示す。
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