(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】動物の所定の領域に薬物を自動的に送達するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61D 7/00 20060101AFI20230425BHJP
【FI】
A61D7/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021060931
(22)【出願日】2021-03-31
(62)【分割の表示】P 2018525443の分割
【原出願日】2016-11-11
【審査請求日】2021-04-05
(32)【優先日】2015-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518163954
【氏名又は名称】アプライド ライフサイエンシズ アンド システムズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】カリンプール、 ラミン
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-012291(JP,A)
【文献】特開平05-253257(JP,A)
【文献】特表2008-546499(JP,A)
【文献】登録実用新案第3193069(JP,U)
【文献】特表2012-531974(JP,A)
【文献】特表2011-510747(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0112724(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61D 7/00
A61M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔、鼻腔及び鼻軟骨を有する
非ヒト動物の所定の領域に薬物を自動的に送達するシステムであって、
前記
非ヒト動物の口腔内に受け入れられ
、消費可能な液体を提供するマウスピースと、
前記
非ヒト動物に送達する薬物の容器と、
前記マウスピースに近接して延在する少なくとも1つの指状突起であって、少なくとも部分的に前記
非ヒト動物の鼻腔内に又は鼻軟骨の近くに適合するような大きさ及び形状を有し、前記薬物の容器と流体連通している指状突起と、
前記指状突起を通して前記
非ヒト動物の鼻腔又は鼻軟骨に所定量の薬物を送達する送達システムと、
前記送達システムの作動を制御する制御システムであって、前記マウスピースへの圧力を感知する圧力センサーを含む制御システムと
を含むシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの指状突起は、前記
非ヒト動物が前記マウスピースをその口に入れたときに、前記
非ヒト動物の鼻孔内に受け入れられるような大きさと間隔を有する一対の指状突起である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記一対の指状突起は、前記一対の指状突起が前記
非ヒト動物の鼻孔に受け入れられると作動するセンサーを含み、前記センサーは、前記制御システムと通信し、前記送達システムに接続される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記マウスピースは中空であり、消費可能な液体の供給源と流体連通している、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御システムは、前記マウスピースへの消費可能な液体の流れを制御する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記指状突起は中空であり、前記薬物は前記薬物の容器から前記指状突起を通って前記
非ヒト動物の鼻腔又は鼻腔内軟骨に移動する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記薬物の容器は加圧される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記薬物は噴霧される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記
非ヒト動物は豚であり、それぞれが前記豚の2つの鼻孔内に少なくとも部分的に適合するような大きさ及び形状を有する2つの指状突起がある、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記薬物は、マイコプラズマ、ヘモフィルス・パラスイス、プレウロニウモニア、アクチノバチルス、PRRS、豚インフルエンザ、及び豚PEDVのいずれか1つ以上を治療する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記
非ヒト動物は子豚である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
非ヒト動物の所定の領域に薬物を自動的に送達する方法であって、
口腔、鼻腔及び鼻軟骨を有する非ヒト動物を提供することと、
前記非ヒト動物の口腔内に受け入れられるマウスピースを提供することと、
薬物の容器を提供することと、
前記マウスピースに近接して延在する少なくとも1つの指状突起を提供することと、
前記非ヒト動物の鼻腔又は鼻軟骨に所定の投与量の薬物を送達することと、
前記所定の投与量の薬物の送達を制御する制御システムであって、前記マウスピースへの圧力を感知する圧力センサーを含む制御システムを提供することと
を含み、
前記指状突起は少なくとも部分的に前記非ヒト動物の鼻腔内に又は鼻軟骨の近くに適合するような大きさ及び形状を有し、
前記指状突起は前記薬物の容器と流体連通している、方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの指状突起は、前記非ヒト動物が前記マウスピースをその口に入れたときに、前記非ヒト動物の鼻孔内に受け入れられるような大きさと間隔を有する一対の指状突起である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記一対の指状突起は、前記一対の指状突起が前記非ヒト動物の鼻孔に受け入れられると作動するセンサーを含み、前記センサーは、前記制御システムと通信する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記マウスピースは中空であり、消費可能な液体の供給源と流体連通している、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記制御システムは、前記マウスピースへの消費可能な液体の流れを制御する、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記指状突起は中空であり、前記薬物は前記薬物の容器から前記指状突起を通って前記非ヒト動物の鼻腔又は鼻腔内軟骨に移動する、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記薬物の容器は加圧される、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記薬物は噴霧される、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記薬物は、マイコプラズマ、ヘモフィルス・パラスイス、プレウロニウモニア、アクチノバチルス、PRRS、豚インフルエンザ、及び豚PEDVのいずれか1つ以上を治療する、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記非ヒト動物は子豚である、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(優先権)
本出願は、2015年11月13日に出願された米国仮特許出願第62/254,737
号及び2016年6月14日に提出された米国仮特許出願第62/349,981号の優
先権を主張する。それぞれの内容は、その全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
細菌感染症、ウイルス感染症及び真菌感染症及び他の病気は、しばしばワクチン接種又
は対象への薬剤の送達によって予防又は治療される。すべての動物、特に脊椎動物又は魚
類、甲殻類などの無脊椎動物において、ワクチン、生物学的製剤及び他の薬剤の送達は、
病気、死亡を予防するため又は全体的に良好な健康を維持するために、しばしば送達され
る。多くの畜産業及び養魚業において、すべての動物が効果的に治療されることを確実に
することが課題である。対象の数及びその大きさの変動は、各対象へのワクチン接種及び
他の薬物の送達を困難にさせる。
【0003】
特に家禽産業に目を向けると、受精卵又はニワトリを薬剤で治療するいくつかの現行手
法がある。これらは、
1)18又は19日目に「卵内で」(卵の内部で)行う孵化場での自動ワクチン接種、
2)「孵化後に」行う孵化場での自動マススプレーワクチン接種、
3)「孵化後に」行う孵化場での手作業注入ワクチン接種、
4)「成育場」で飼料又は水に加えるワクチン接種/投薬、及び
5)手作業又は大量噴霧器で雛に吹きかけるワクチン接種/投薬
を含む。
【0004】
家禽産業はワクチン又は他の薬に毎年30億ドル以上費やしているが、これらの投資に
対する利益はワクチン又は他の薬物を送達する方法の問題により保証されない。前述の各
方法は顕著且つ重大な不備を示している。第1に、E18/19に卵内で行われる孵化場
での自動ワクチン接種はかなり普及している。しかしながら、このシステムには欠点があ
る。第1に、多くの対象のワクチンは、卵内投与に利用可能でなく、病気の性質によって
利用可能にならない場合があり、及び/又は活性分子/粒子を運ぶのに必要な抱合体は、
卵内で投与することができない。また、卵内ワクチン接種の現行の方法は、18又は19
日目に卵全体の穴あけ/穿孔を必要とする。送達は、針を卵内に伸ばし、ワクチン/薬剤
の注入液を投与する間、何らかの機械的手段によって卵を所定の位置に保持することを必
要とする。この方法は、病原体及び細菌が卵に入ることを可能にし、胚に悪影響を与える
可能性がある。卵内ワクチン接種の際、望ましくない卵(腐った卵又は死んだ胚を含む卵
)も、穴を開けられる/穿孔される前に卵を静止位置に保持する機械的手段及び針と接触
する。このため、他の卵及びワクチン接種システムに望ましくない汚染を広げる可能性が
高い。このようにして、更なる処理の間、後続の生存卵への汚染物質の移動を可能にする
。
【0005】
この汚染物質移動の影響を軽減するため、業界では、卵内ワクチン接種の一部として卵
に抗生物質を導入及び注入し始めた。しかしながら、消費者は抗生物質で治療された家禽
から遠ざかっている。このため、業界は、抗生物質の使用を排除しながら群れの健康を維
持する異なるやり方で同じ病気を治療するための代替的な方法を見つける必要性を感じて
いる。
【0006】
孵化場での「孵化後の」手作業のワクチン接種は、他の方法よりも信頼性が高いと考え
られるが、研究によってこの方法も信頼性、再現性に欠け、雛のけが及び死亡を引き起こ
すことが示されている。孵化場は、信頼性の高いワクチン接種者を見つけだすという課題
に直面しており、1日当たりの生成率の増加はこれをより困難にしている。これにより、
すべての雛が有効にワクチン接種されることを確実にするという課題が高まり、全体的な
コストが増加する。また、ワクチン接種の際に雛に触れなければならないので、手で触れ
る際に雛を傷つけた場合、雛にけが又は死亡の危険がある。更に、作業者は多数の雛にワ
クチン接種をしなければならないため、作業者は反復性のストレス障害を受ける。これは
、家禽業者にとって経済的な生産性の損失をもたらす。
【0007】
代替的なアプローチは、ワクチン接種/投薬を飼育場の飼料又は水に加えることだった
。この方法は、大部分の細菌について、雛の消化器系の病原体及び寄生虫が薬剤に耐性と
なっているという事実によって、部分的にしか有効でないことが判明している。この方法
の部分的効果の一因となる他の因子は、飲料ラインの均一性がないこと、等しくない飲食
量の結果としての等しくない投与量、及び一部のワクチンが水又は飼料内で非常に短い半
減期を有することを含む。
【0008】
養魚業に関しては、魚は、人が食べるための益々大きな食物源となっている。海洋、川
、湖の状態は、消費できる魚のより信頼できる供給源が養魚によって提供されるようなも
のである。しかしながら、養魚場又は魚の孵化場は、すべての魚を健康な状態に保つ上で
家禽業と同様の課題を抱えている。
【0009】
魚の孵化場は魚を卵から育て、同年齢の魚を同じタンクに入れる。大量の魚を大型のタ
ンクに入れ、成長するように飼料を与える。タンク内の狭い所にいる大量の魚は、病気の
急速な広がりと大きな経済的影響をもたらす可能性がある。
【0010】
多くの場合、任意のワクチン、薬剤及び駆虫薬を、魚のタンク又は魚の飼料への液剤の
投与によって送達することができる。しかしながら、一部の症状又は病気は、上記の方法
によって治療可能でない場合がある。そのような場合、魚はワクチンや他の生物学的製剤
を個別に注入する必要がある。現在の魚の注入方法では、前記作業に先立って魚の鎮静前
に魚から飼料を除去する必要がある。鎮静された空腹の魚は機械的手段によって移動され
、手動の又は機械的な配置手段によって手作業で又は自動的に注入される。これらの作業
は魚にとって厳しく、死亡率及び広範なコストの増加をもたらすことが示されている。
【0011】
同様に、多くの畜産業において、すべての動物が効果的に治療されることを確実にする
ことは面倒な課題である。対象の数及びその大きさの変動は、各対象へのワクチン接種及
び他の薬物の送達を困難にさせる。
【0012】
ここで豚に目を向けると、任意の特定の農場におけるすべての子豚にワクチン接種又は
他の治療を施す能力に関しても同様の課題が存在する。各子豚が効果的に治療されること
を確実にすることが重要であり、そうでなければ、1頭の病気の子豚が破壊的な経済的影
響で農場全体に影響を及ぼす。
【0013】
豚に関しては、好ましくは鼻腔を通して送達される一部のワクチン又は治療薬がある。
しかしながら、効果的に送達する能力は、幼い子豚が有効薬量を送達するのに十分な長い
間容易に動かない状態に保たれず、送達中の動きが子豚の鼻軟骨又は脳に害を及ぼすこと
がある点で困難であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
どこで/どのようにワクチン及び薬剤が投与されるかに関係なく、現行の方法はいくつ
かの重要な用途に対して十分に有効でないことが判明している。大きな集団内のすべての
動物又は魚に効果的に治療薬を送達又はワクチンを接種しないと、病気の発生と大きな経
済的損失を招く可能性がある。これらの不十分さは、薬用飼料添加物(「MFA」)を含
む、動物の畜産及び魚の養殖における抗生物質の投与を排除する新しい市場動向と相まっ
て、本明細書に記載の実施形態の主な推進要因である。大量送達における課題は、各動物
が有効量を投与されることを確実にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本明細書に記載の実施形態は、動物の所定の領域に薬物を自動的に送達するためのシス
テムを対象とする。システムは、動物の所定の送達領域の相対位置を検出するための感知
装置と、動物を個別に配置する配置装置とを含む。システムは更に、動物の所定の送達領
域の相対位置の少なくとも1つの画像を取り込むための画像取り込み装置と、所定の投与
量の薬物を動物の所定の送達領域に送達するための送達システムとを含む。システムはま
た、感知装置、配置装置、画像取り込み装置及び送達システムと通信するシステムコント
ローラを含む。感知装置が動物の位置/姿勢を感知してシステムコントローラと情報を共
有すると、システムコントローラは画像を処理し、所定の領域の位置を決定し、動物の所
定の送達領域に薬物を送達するように送達システムを位置的に調節する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示の様々な実施形態を一般論として説明したので、添付の図面を参照する。添付の
図面は、縮尺通りに描かれておらず、システムのすべての構成要素を含まない。
【
図3】使用中の
図1の実施形態の一部の部分拡大側面図である。
【
図4】使用中の
図1の実施形態の部分拡大斜視図である。
【
図5】第1実施形態の構成要素のいくつかのインタフェースの図式的な表示である。
【
図7】
図6の第2実施形態の拡大部分側面図である。
【
図8】第2実施形態の注入装置の部分拡大側面図である。
【
図9】第2実施形態の構成要素のいくつかのインタフェースの図式的な表示である。
【
図13】注入システムを詳述する
図10の実施形態の正面図である。
【
図15】第3実施形態の構成要素のいくつかのインタフェースの図式的な表示である。
【
図18】第4実施形態の構成要素のいくつかのインタフェースの図式的な表示である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、動物に薬物を効果的に送達するための自動システム及び方法を対象とする。
本開示の様々な態様は、本開示のすべての態様ではないがいくつかの態様を示した添付の
図面を参照して、以下でより完全に説明される。実際には、本開示は、多くの異なる形態
で具現化されることができ、本明細書に記載の態様に限定されると解釈されるべきではな
い。
【0018】
一実施形態は、たくさんのニワトリの孵化したての幼鳥に、それらが殻から分離された
後で且つ孵化場から離れる前に薬物を送達することを対象とする。また、雛に関する本開
示の態様による方法及びシステムは、限定されないが、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒ
ル、ガチョウ、ウズラ、キジ、及び外来種の鳥などを含むあらゆるタイプの家禽で使用す
ることができる。
【0019】
別の実施形態は、牛への薬物の送達を対象とする。しかしながら、本開示の様々な態様
による方法及びシステムは、バイソン、豚、ヤギ、羊、馬などを含むがこれらに限定され
ない、あらゆるタイプの家畜で使用することができる。更なる実施形態は、魚への薬物の
送達を対象とする。本開示の様々な態様による方法及びシステムは、タラ、マス、サケ、
ティラピアなどの養殖魚、並びにエビ、ロブスター、ホタテ貝、カキ、ハマグリ、ムール
貝、ザリガニなどを含むがこれらに限定されない、あらゆるタイプの魚や甲殻類で使用す
ることができる。更に別の実施形態は、豚への薬物送達を対象とする。同様の数字は、多
数の図を通して同様の要素を指す。
【0020】
図1は、第1実施形態10のシステム全体の上面図を示す。
図2は、
図1のシステムの
側面図を示す。第1実施形態10は、ニワトリ孵化場の孵化日の部屋に置かれる可能性が
高い。雛/殻分離器12は、孵化したての幼鳥をその殻から分離するための手段を提供す
る。第1コンベヤー14は、雛/殻分離器12から分離壁16の開口部を通って、幅の広
い第2コンベヤー18へと雛を移動する。分離壁16は、孵化プロセスを薬物送達プロセ
スから分離する。
【0021】
幅の広い第2コンベヤー18は、個々の雛の処理を容易にする雛の分散を開始しり。第
2コンベヤー18から、第2コンベヤーよりも幅の広い第3コンベヤー20と第4コンベ
ヤー22に雛が運ばれる。
図1から分かるように、第5コンベヤー24は、搬送アセンブ
リの上部から吊り下げられた仕切り26を有する。仕切り26は、最終的に個別の縦列に
なる狭い列に雛を移動するのを助ける。
【0022】
第6コンベヤー28は、第5コンベヤー24上で作成された個別の縦列内に雛を保つた
めの仕切り26を含む。第6コンベヤー28は、仕切り26によって分離された個別の列
の雛を一連の同様にそろっている傾斜コンベヤーベルト30上に移動する。
【0023】
個別キャリア装置32が、傾斜コンベヤーベルト30の下に配置される。各個別キャリ
ア装置32は、
図3に示すように、カップ又はバスケットに類似し且つ1羽の雛13を受
け入れるようにサイズ設定される。個別キャリア装置32は、相互連結され、コンベヤー
システムによって前進させられる個別キャリア経路に沿って移動する。各キャリア装置3
2は、各装置がそのヒンジ式連結部の周りで回転又は旋回することができるように、コン
ベヤーシステムに対してヒンジ式に取り付けられる。雛13が装置32から落ちないこと
を確実にするために回転の度合いを制限することができる。
【0024】
第1実施形態10は、注入システム42(
図4)を更に含む。注入システム42は、図
4に示すように、注入ヘッド44と、薬物リザーバ47と、加圧ガス供給源48と、作動
機構50とを有する。加圧ガスは、予め加圧されたガスカプセルによって、或いは中央の
圧縮機に取り付けられたガス配管によって、注入システム42に供給されることができる
。
【0025】
作動機構50は、システムコントローラ38(
図4)と通信する。作動機構50は、加
圧ガス及び薬物を活性化して、所定の投与量を雛13に送達する。薬物リザーバ47は、
雛13への注入用のワクチン、薬剤又は生物学的製剤を含むことができる。
【0026】
注入システム42及びカメラ36は、キャリア装置コンベヤーシステム34の下で注入
システム移動プラットフォーム45(
図4)上に取り付けられる。注入システムは、雛1
3の後部領域に注入液を送達するために効果的に動作する。したがって、注入システム4
2は、キャリア装置32内に直立して座っているそれらの雛13のみに注入するように設
計される。注入システム移動プラットフォーム45は、キャリア装置コンベヤーシステム
34に隣接してキャリア装置コンベヤーシステム34に対して平行に、同じ速度で動く。
これにより、カメラ36は、移動中にキャリア装置32内の雛13の画像を取り込むこと
ができる。これはまた、雛13がキャリア装置32内で移動している間に注入システム4
2を動作させることを可能にし、このことついては以下で更に詳細に説明する。
【0027】
コンベヤー制御システム40は、すべてのコンベヤーベルトの速度及び動作を制御する
。システムコントローラ38は、
図5に概略的に示すように、カメラ36、コンベヤー制
御システム40及び注入システム42と連通している。システムコントローラ38は、コ
ンピュータプロセッサ及び画像プロセッサを含む。画像プロセッサは、カメラ36から画
像を受け取り、それらを処理する。システムコントローラ38は、システム全体のすべて
のセンサー、カメラ、コンベヤー、アクチュエータ及びI/O(入力/出力レシーバー及
びドライバー)と通信する。システムコントローラは、すべてのシステムオペレーション
を同期させ、システムの中枢部に作用する。I/Oは、構成要素を作動又は停止させ、シ
ステムコントローラは、コンピュータプロセッサと画像プロセッサから情報を取得し、特
定のスプレーヘッドを作動させる。
【0028】
個別キャリア装置32の下には、
図1及び
図2に示すように第7コンベヤーベルト46
がある。第7コンベヤーベルト46は、消費のために雛が飼育される成育場への移送用の
コンテナに雛を集団で移動する。
【0029】
使用時、雛13は孵化するとすぐに、雛/殻分離器12において殻から分離される(図
1)。雛13は次に、第1コンベヤーベルト14上に移動する。雛13が移動していると
き、雛は、第2コンベヤーベルト18、第3コンベヤーベルト20、第4コンベヤーベル
ト22、第5コンベヤーベルト24及び第6コンベヤーベルト28上に移動する。各コン
ベヤーベルトは、第6コンベヤーベルト28上で個別の縦列になるまで、雛を更に引き離
す。
【0030】
雛13は、第6コンベヤーベルト28(
図3)から傾斜コンベヤーベルト30上に移動
し、傾斜コンベヤーベルト30が個別キャリア装置32内に雛を入れる。個別キャリア装
置32の下では、カメラ36及び注入システム42が、注入システム移動プラットフォー
ム45上で平行に且つ同じ速度で移動する。カメラ36(
図4)は、キャリア装置32の
下に配置される。カメラ36は、個別キャリア装置32内の雛13の少なくとも1つの画
像を取り込む。カメラ36は、取り込んだ画像をシステムコントローラ38に送る。シス
テムコントローラ38は、画像を処理し、個別キャリア装置32内の雛13の相対位置を
決定する。
【0031】
キャリア装置32内の雛13の相対位置を決定した後、システムコントローラは、雛が
ワクチン接種のための所望の位置にある場合にはキャリア装置の下の注入システム42を
作動させる。雛13が所望の位置にない(例えば、雛がまっすぐに座っていない)とシス
テムコントローラ38が決定した場合、システムコントローラ38は注入システム42を
作動させない(
図5)。
【0032】
一旦作動されると、注入システム42(
図4)の作動機構50により、加圧ガス供給源
48からのある量が、所定量の薬物をリザーバ47から注入ヘッド44を通って雛13に
移動するように移動させる。好ましくは、送達時に、注入ヘッド44は、雛13に隣接し
ているか又は雛13と接触している。
【0033】
注入後、キャリア装置32は、キャリア装置コンベヤーシステム34の端部に移動する
(
図3)。コンベヤーシステムが回転すると、ヒンジ式に連結されたキャリア装置32も
回転する。これにより、キャリア装置32に保持された雛13は、伸長したヒンジ式スラ
イド33上に、及び雛13がワクチン接種された場合には第7コンベヤーベルト46上に
静かに落ちる。雛13がキャリア装置32内で適切な姿勢でなかったために注入を受けな
かった雛の場合、ヒンジ式スライド33は垂直位置に引き戻され、雛はコンベヤー47上
に静かに落ち、図示しない他の搬送装置によって戻り、コンベヤー24上に置かれ、プロ
セスを再び経て、注入を受ける。
【0034】
注入後、注入システム移動プラットフォーム45上のカメラ36及び注入システム42
(
図4)は、それらの初期位置に引き戻され、個別キャリア装置32の下を再び移動し始
める。移動プラットフォームの機能を制御する機構は、システムコントローラ38によっ
て制御される。
【0035】
注入装置に関する上記の説明は無針装置に焦点を合わせているが、針注入装置も使用さ
れ得ると予想されることを理解されたい。注入によって送達されると想定されるワクチン
には、マレック病及び七面鳥のヘルペスウイルス(HVT)ベクターワクチンが含まれる
が、これらに限定されない。
【0036】
第2実施形態70を
図6に示す。第2実施形態70は、囲い72と、若い牛75などの
家畜がそこを通って移動するように促すための一連の仕切り74とを含む。仕切り74は
、平行に配置され、それぞれ前方ゲート77及び後方ゲート79を有する。前方ゲート7
7は、閉鎖されると、動物が前方ゲートを越えて前進し、仕切り74及び囲い72から出
るのを防止する。後方ゲート79は、閉鎖されると、動物が仕切り74から後退して囲い
72の中に戻るのを防止する。
【0037】
図6及び7に示す存在センサー76が、仕切り74の上又は仕切り74の近くに取り付
けられ、一対の仕切りの間を移動する子牛75を感知するように配置される。
図6及び7
に示す存在センサー73が、仕切り74の上又は仕切り74の近くに取り付けられ、前方
ゲート77の近傍に到達する子牛75を感知するように配置される(
図7)。電子リーダ
93が、家畜の電子識別タグ88を読み取るために仕切り74の上又は仕切り74の近く
に取り付けられる。カメラが子牛75の完全な画像を得ることができ且つカメラに子牛が
ぶつからないように、カメラ78が仕切り74の上に取り付けられる。カメラ78は、子
牛の少なくとも1つの画像を取り込み、画像は、右後肢の上部のような、子牛75の所定
の標的領域を含むことができる。
【0038】
第2実施形態70は、自動注入システム82(
図8)を更に含む。注入システムは、対
象動物、この場合は子牛75を治療するのに使用されるワクチン、薬品、生物学的薬剤又
は他の薬剤のような薬物86で満たされたリザーバ84を有する。注入システム82はま
た、加圧ガス供給源90及び注入ヘッド91を含む。加圧ガスは、予め加圧されたガスカ
プセルによって、或いは中央の圧縮機に取り付けられたガス配管によって、自動注入シス
テム82に供給されることができる。
【0039】
図8に示す注入システム82は、注入システムの高さ、奥行き及び長さの自動調節を可
能にするフレーム92に調節可能に取り付けられる。フレーム92は、仕切り74の1つ
以上のような固定構造物に固定して取り付けられる。注入システム82の自動調節可能性
は、子牛75の位置に対する注入システム82の高さ、幅及び奥行きを自動的に且つ遠隔
で調節することができる機構(図示せず)によって達成される。調節可能性の詳細につい
ては、以下で更に詳細に説明する。
【0040】
加圧ガス供給源90(
図8)は、リザーバ84内の薬物86を子牛75に送達するため
に使用されることができる。加圧ガス供給源90及び薬物86の制御は、無針送達装置の
当業者によって理解されることが分かる。
【0041】
システムコントローラ80は、
図9に概略的に示すように、存在センサー76、カメラ
78、及び注入システム82と電子通信する。システムコントローラ80は、所定の投与
量の薬物86を子牛75の所定の標的領域に送達するために、存在センサー76、存在セ
ンサー73、前方ゲート77、後方ゲート79、電子リーダ93(
図7)、カメラ78及
び注入システム82と通信する。システムコントローラ80は、コンピュータプロセッサ
及び画像プロセッサを含む。システムコントローラ80は、存在センサー73、ゲート7
7、79、電子リーダ93、カメラ78、及び注入システム82の動作を遠隔制御する能
力を有する。また、システムコントローラ80は、カメラ78から受信した画像を処理す
る。この方法の詳細を以下でより詳細に説明する。
【0042】
使用時、
図6に示すように、囲い72は家畜の群れを保持するが、仕切り74は1頭の
子牛75を一対の仕切りの間で前進させるように促す。子牛75が仕切り74の間を移動
すると、存在センサー76が作動し、システムコントローラと通信して前方ゲート77を
閉じ、子牛の更なる前方移動を防止する。続いて、子牛75が存在センサー73に達する
と、システムコントローラ80は、後方ゲート79を閉じ、子牛75の後方移動を停止さ
せ、子牛が仕切り74から後退することを防止する。この時点で、子牛75は、一対の仕
切り74と、前方及び後方のゲート77、79との間で相対的に動かないように保持され
る。
【0043】
また、存在センサー73(
図6)は、カメラ78と通信して、子牛75の、特に子牛の
所定の領域の相対位置のビデオ映像の取り込みを開始する。例えば、薬物を好ましくは右
上後肢(「標的領域」)に送達する場合、カメラ78は、標的領域に焦点を合わせるよう
に予めプログラムされることができる。画像カメラ78が子牛の標的領域の画像を取り込
むと、画像はシステムコントローラ80に送られる。
【0044】
システムコントローラ80(
図9)は、画像を分析し、調節可能なフレーム92に取り
付けられた自動注入システム82と通信する。システムコントローラ80は、自動注入シ
ステム82に信号を送って、標的領域に対する注入ヘッド91の高さ、角度又はそれ自体
の長さ及び奥行きに対する必要な位置調節を行う。所定量の薬物がリザーバ84から引き
出され、ガス供給源90からの加圧ガスを使用して注入ヘッド91(
図8)を通して子牛
75の標的領域に注入される。
【0045】
注入が行われた後、システムコントローラは、子牛75が仕切り74から出て施設の別
の部分に移動することを可能にする前方ゲート77(
図6)を開く。その後、後方ゲート
79が開き、別の子牛75が仕切り74の間に移動することを可能にし、プロセスは繰り
返す。
【0046】
電子リーダ93(
図7)は、一般的に子牛の耳に固定された識別タグ88をデジタルで
読み取るように配置されることに留意されたい。この場合、電子リーダ93は、特定の子
牛75を明確に識別するために、タグ88上で得られるデータをスキャンすることもでき
る。また、ワクチン接種が行われると、システムコントローラ80は、子牛のタグ94に
よってアクセス可能なそのデータベースに、ワクチン接種の種類及び送達日を記録する。
更に、子牛75が囲い72内に戻った場合、システムコントローラ80は、電子リーダ9
2から識別情報を受信し、子牛75が既にワクチン接種されたことを認識した後、前方ゲ
ート77を開き、子牛75を出て行かせて、子牛75の再ワクチン接種を防止する。
【0047】
第2実施形態70の注入システムは、豚、ヒツジ、ヤギ、バイソンなどの他の家畜にも
適用できると予想される。仕切り74のサイズ及び間隔並びにフレーム90の調節可能範
囲は、前述の異なる動物毎に変更される可能性が高いことが理解される。
【0048】
主に牛である家畜に送達され得るワクチン又は薬物は、黒脚症、悪性浮腫、腸性中毒症
C及びD、IBR(牛感染性鼻気管炎)、PI3(牛パラインフルエンザ3型)、クロス
トリジウム、BRSV(牛RSウイルス)、パスツレラ菌、MLV-IBR/PI3、K
-BVD、MLV-BRSV、ブルセラ症、及び/又はレプトスピラ症を含むが、これら
に限定されない。
【0049】
主に羊である家畜に送達され得るワクチン又は薬物は、カンピロバクター、ビブリオ、
クラミジア、ウェルシュ菌C及びD、破傷風、鼻腔内パラインフルエンザ、クロストリジ
ウム、オルフ(伝染性膿疱性皮膚炎)及び/又は腐蹄症を含むが、これらに限定されない
。
【0050】
第3実施形態100を
図10に示す。第3実施形態100は、魚104への薬物の送達
を対象とする。第3実施形態100は、第1タンク106及び第2タンク108を含む。
第1タンク106及び第2タンク108は、パイプ110によって接続される。パイプ1
10のサイズ及び長さは、タンク106、108に収容される魚104の種類によって決
まる。
【0051】
図11に示すように、魚104がパイプに沿って第1タンク106及び第2タンク10
8に移動することを防止するために、前方袋及び後方袋112、114(
図11)がそれ
ぞれパイプ110の両端に配置される。各袋112、114は、加圧流体源116(
図1
0)と連通し、遠隔で作動される。また、各袋112、114(
図11)は、迅速に膨張
及び収縮させることができる。
【0052】
図12に示すように、左側方袋及び右側方袋118、120がそれぞれパイプ110の
左右両側に配置される。上述した前方袋及び後方袋と同様に、右側方袋118及び左側方
袋120も加圧流体源116と連通し、遠隔で作動される。左側方袋及び右側方袋118
、120も迅速に膨張及び収縮させられる。
【0053】
図10に戻って、第1タンク袋122が、第1タンク106の底に配置される。同様に
、第2タンク袋124が、第2タンク108の底に配置される。両方の袋122、124
は、加圧流体システム116と連通している。加圧流体システム116は、各袋122、
124へ出入りする流体の流れを制御し、これについては後に詳述する。タンク袋122
、124は、第1タンク106及び第2タンク108と同様の容積を達成するのに十分な
大きさである。
【0054】
図11に示す存在センサー126が、パイプ110に取り付けられ、後方袋114の近
くに配置される。存在センサー126は、パイプ110内の魚104の存在を感知するよ
うに設計される。カメラ128も、前方袋112と前方袋114との間のパイプ110に
取り付けられる。カメラ128は、好ましくは、パイプ110内の魚104のライブビデ
オ画像を取り込むことができるビデオカメラである。詳細には、カメラ128は、魚10
4の所定の標的領域のビデオ映像を撮影するように設計される。袋例えば、大西洋サケの
下肋の下及び腹びれの後ろに注入液を送達することが望ましい。逆に、ティラピアでは、
注入は多くの場合、胸びれの後ろに行われる。標的領域は魚の種類によって異なるので、
カメラ128は、治療される対象魚の特定の所定の標的領域に焦点を合わせるように予め
プログラムされる必要がある。
【0055】
図13は、注入用の薬物134のリザーバ132、加圧ガス源138(
図13)及び注
入ヘッド140(
図14)を有する注入システム130を示す。注入システム130は、
前方袋112と後方袋114との間のパイプ110の内部に取り付けられている。注入シ
ステム130は、処理される魚の種類に応じて、
図11に示すようにパイプ110の底部
に、又は
図14に示すようにパイプ110の側面に取り付けることができる。
【0056】
注入ヘッド140(
図14)は、注入システム130内のフレーム(図示せず)に移動
可能に取り付けられる。注入ヘッド140は、パイプ110の内壁に沿って軸方向及び半
径方向に移動する能力を有することが分かる。注入ヘッド140の動きは、システムコン
トローラ146(
図15)によって遠隔制御される。
【0057】
存在センサー126、カメラ128、注入システム130及び加圧流体源116はすべ
て、システムコントローラ146(
図15)と通信する。システムコントローラ146は
、コンピュータプロセッサ及び画像プロセッサを含む。システムコントローラは、存在セ
ンサー126、カメラ128、注入システム130及び加圧流体源116を遠隔制御する
ことができる。システムコントローラ146は、カメラ128によって提供される位置情
報を受信し、それを処理して、以下でより詳細に説明するように、注入ヘッド140の位
置及び注入のタイミングを自動的に調節する。システムコントローラは、加圧流体源11
6と通信し、前方袋112、後方袋114、右側方袋118、左側方袋120、第1タン
ク袋122、及び第2タンク袋124を収縮及び膨張させる。
【0058】
使用時、魚104はすべて第1タンク106内に位置する。この例では、すべての魚1
04がサケであると仮定する。第1タンク106は、
図10に示すように、比較的大量の
水及び多数の魚104を有する。第1タンク106は、パイプ110によって第2タンク
108に接続される。第2タンク108は、少量の水を有し、好ましくは魚を有しない。
前方袋及び後方袋112、114は、魚104がパイプ110に入るのを阻止するように
膨張位置にある。
【0059】
魚104に薬物を送達するために、後方袋114が収縮される。これにより、魚104
が第2タンク108に向かってパイプ110内へと泳ぐことを可能にする。しかしながら
、存在センサー126は、パイプ内の魚104の存在を感知し、システムコントローラ1
46に信号を送る。システムコントローラは、魚104の第2タンク108への更なる前
方移動を阻止するために、前方袋112を膨張させる。また、魚104が存在センサー1
26を越えて進むと、システムコントローラ146は、後方袋114を膨張させるように
信号を送り、他の魚104がパイプ110に進入しないことを確実にする。
【0060】
存在センサー126はまた、カメラ128に信号を送って作動させる(
図11)。カメ
ラ128は、魚104の所定の標的のビデオ画像を取り込む。これは魚の種類によって異
なる場合がある。サケの場合、好ましい送達領域は、下肋と腹びれの後ろとの間の魚の下
部である。
【0061】
カメラ128が魚104の所定の領域の画像を取り込むと、画像は処理のためにシステ
ムコントローラ146に送られる(
図15)。カメラ128によって取り込まれた魚の位
置に基づいて、システムコントローラ146は、注入を標的領域内に配置するために、魚
104に対する注入ヘッド140の位置を必要に応じて遠隔で調節する。詳細には、シス
テムコントローラ146は、カメラ128によって決定された魚104の位置に対する注
入ヘッド140の高さ、幅及び奥行きを制御し、注入の作動を制御する。したがって、魚
104がパイプ110に沿って所定の位置に移動すると、注入ヘッドの位置はそれに応じ
てシステムコントローラ146の制御下で調節される。
【0062】
注入ヘッド140の位置を制御するのではなく、システムコントローラが魚104の位
置を制御し得ることも想定される(
図12)。前方袋112、後方袋114、右側方袋1
18及び左側方袋120の圧力を操作することによって、システムコントローラは、標的
領域が注入ヘッド140に直接隣接するように魚104の位置を変えることができる。
【0063】
注入液が魚104に送達されると、システムコントローラ146は、前方袋112及び
側方袋118、120と通信して、それらを迅速に収縮させる(
図12及び15)。側方
袋118、120の収縮により、魚104はもはや拘束されない。前方袋112の収縮に
より、魚104は前方に移動して第2タンク108に入ることができる。その後、後方袋
114が収縮され、別の魚104がパイプ110内に移動することを可能にし、プロセス
は繰り返す。
【0064】
各魚104が第2タンク108内へと泳ぐと、第1タンク袋122及び第2タンク袋1
24がそれに応じて水の量を調節することに留意すべきである(
図10)。例えば、第1
タンク106がその魚104の集団を第2タンク108に入れ始めると、第1タンク袋1
22はゆっくりと膨張し始める。そうするにつれて、第1タンク106内の水量は減少す
る。逆に、第2タンク108が第1タンク106からの魚104で満たされ始めると、第
2タンク内の水量は増加する必要がある。第2タンク袋124はゆっくりと収縮し、その
結果、魚104のより大きな集団を収納するようにタンク内の水量が増加することを可能
にする。第1タンク袋122及び第2タンク袋124が膨張及び収縮する速度は、システ
ムコントローラ146によって制御される。システムコントローラ146は、加圧流体源
116と連通しており、このタスクを遂行するために、本明細書に記載された各構成要素
に対する適切な弁を遠隔で開閉する。
【0065】
各タンク袋の頂部に上げ底が載ってタンクの表面をより均一にすることができることが
更に理解される。これは、新しいタンクを補充する前に、第1タンク内の魚が完全に空に
なることを確実にする上で重要である。
【0066】
魚に関しては、送達することができるワクチン又は薬物は、サケ用のせっそう病ワクチ
ン、コイのコイヘルペスウイルスを含むが、これらに限定されず、一部の商業的に重要な
魚において、VHS(ウイルス性出血性敗血症)、白点病及び旋回病を治療するためにワ
クチン又は薬物を送達することができる。
【0067】
第4実施形態150を
図16に示す。第4実施形態150は、特定のワクチン及び他の
薬剤の子豚への鼻腔内送達に焦点を合わせている。
【0068】
第4実施形態150は、
図16に詳細に示され、
図17に詳細に示される輪郭要素15
4を含む。各輪郭要素154は、輪郭要素154から延びるニップル156を有する。輪
郭要素154は、子豚152の顔面を受けるように成形され、子豚の鼻を受けるように形
成された空間を含む。また、輪郭要素154は、子豚152の鼻の端部が止まるように設
計された鼻受け板158を有する。鼻受け板158は、輪郭要素154から外向きに突出
する一対の中空指状突起160を有する。一対の指状突起160は、子豚がニップル15
6をその口に入れたときに、子豚152の鼻孔内に受け入れられるような大きさと間隔を
有し、これについては以下で詳細に説明する。
【0069】
複数の輪郭要素154は、垂直壁などの表面に固定して取り付けられる(
図16)。各
ニップル156は、
図18に示すように、システムコントローラ180と通信する圧力セ
ンサー159を備える。各ニップル156はまた、液体調合乳のタンク162に接続され
る。システムコントローラ180によって動作可能な弁166が、タンク162からニッ
プル156への調合乳の流れを開閉する。
【0070】
一対の中空指状突起160は、両指状突起160が子豚の鼻孔に受け入れられると作動
されるセンサー181を備える(
図17)。センサー181は、システムコントローラ1
80と通信し、
図17に詳細に示す加圧薬物送達システム168に接続される。
【0071】
加圧薬物送達システム168は、ワクチンのような薬物172の供給源を収容する容器
170を含む。加圧薬物送達システム168はまた、薬物172の容器170と連通する
加圧ガス源174と、圧力下で薬物の送達を始動及び終了させ、またシステムコントロー
ラ180によって制御される制御機構176とを含む。
【0072】
したがって、加圧薬物送達システム168、及びニップル156を通る調合乳164の
流れを制御する弁166は、システムコントローラ180を介して互いに電子通信する。
このような通信の利点及び詳細な実施は、以下で第4実施形態150の動作を説明すると
きにより詳細に説明する。
【0073】
子豚が立って乳を飲む床は、ヒンジ192及びラッチ194を有するプラットフォーム
190である。ラッチ194は、システムコントローラ180によって遠隔制御される。
プラットフォーム190、ヒンジ192及びラッチ194は、既に薬物を受け取った豚が
乳を飲むのを防ぐためのトラップドアのように作用する。プラットフォーム190の機能
は、以下で更に詳細に説明する。
使用中、子豚152は、複数の輪郭要素154が固定的に取り付けられた保持領域に運ば
れる。これは、一連のコンベヤーベルト及び仕切りによって行われてもよく、手作業で行
われてもよい。最も効果的な結果のために、子豚152は空腹であり且つ/又は喉が渇い
ていることが望ましい。ニップル156が子豚152に示され、子豚は本能的にニップル
156にくっついて吸い始めようとする。子豚152がニップル156にくっついて乳を
飲み始めると、圧力センサー159が作動し、子豚152の存在をシステムコントローラ
180に知らせる。一方、子豚の鼻は、輪郭要素154の鼻受け板158に受け入れられ
る。また、一対の指状突起160は子豚の鼻孔に受け入れられ、センサー181によって
感知される。センサー181は子豚の鼻孔の係合をシステムコントローラ180に伝える
。
【0074】
子豚152がニップル156を吸うと、調合乳164(
図16)の流れを制御する弁1
66がシステムコントローラ180(
図18)によって作動されて開き、調合乳の投与量
がタンク162からニップル156を通って子豚の口に流れる。同時に、加圧薬物送達シ
ステム168も作動される。ワクチンなどの薬物172は、子豚152の鼻腔を通って加
圧流体の下で送達される。送達の圧力は、鼻腔又は軟骨内を通して投薬量を送達するが、
損傷を引き起こさないように設計される。
【0075】
加圧薬物送達システム168(
図18)がその投薬量を送達した後、加圧薬物送達シス
テム168からシステムコントローラ180に信号が送られる。システムコントローラ1
80は、弁166を閉じるように動作させる。弁166を閉じることにより、調合乳16
4のニップル156への流れが止まり、子豚152はニップル156から離れるように促
される。これは、輪郭要素154の後ろにニップル156を後退させることによって達成
され得る。これは、子豚152の下の床のロボットによる下降など、子豚152とニップ
ル156との間に障害を与えることによっても達成され得る。子豚152がもはやニップ
ル156を吸うことができなくなると、子豚は更なる処理のために移動される。
【0076】
電子リーダ157(
図16)が一般的に子豚の耳に固定された識別タグ182をデジタ
ルで読み取るように配置されることに留意されたい。この場合、電子リーダ157は、特
定の子豚152を明確に識別するために、タグ182上で得られるデータをスキャンする
こともできる。また、ワクチン接種が行われると、システムコントローラ180は、子豚
のタグ182によってアクセス可能なそのデータベースに、ワクチン接種の種類及び送達
日を記録する。
【0077】
子豚152が第4実施形態150に戻った場合、システムコントローラ180は、電子
リーダ157から識別情報を受信し、子豚152が既にワクチン接種されたことを認識し
た後、子豚152の再ワクチン接種を防止する(
図16、17、18)。システムコント
ローラ180は、ニップル156又は薬物送達システム168からの調合乳の流れを作動
させない。また、システムコントローラ180はラッチ194と通信してラッチ194を
開く。これにより、プラットフォーム190がヒンジ192の周りを回転し、子豚が更な
る処理のために下のレベルまで落ちることが可能になる。子豚が2回以上処理されるのを
防ぐために、あらゆる装置が使用され得ることが想定される。上述のシステムは、限定で
はなく例として提供される。
【0078】
特定のワクチン及び/又は薬剤は、好ましくは、子豚152の鼻腔又は軟骨を通して送
達されることを理解されたい。これらは、マイコプラズマ、ヘモフィルス・パラスイス、
プレウロニウモニア、アクチノバチルス、PRRS(豚繁殖・呼吸障害症候群)、豚イン
フルエンザ、及び豚PEDV(豚流行性下痢ウイルス)を含むが、これらに限定されない
。
【0079】
上記の説明はワクチン及び薬剤に目を向けているが、当業者は、投与される薬物が、ヒ
トを含む家畜、哺乳類、又は様々な他の動物にワクチン接種、投薬又は処置するために使
用される様々な薬物を含み得ることを理解するであろう。
【0080】
本明細書に記載された本開示の多くの改良及び他の態様が、上記の説明及び関連する図
面に提示された教示の利益を享受する本開示が関係する当業者に思い浮かぶことが想定さ
れる。したがって、本開示は開示された特定の態様に限定されるものではなく、改良及び
他の態様は添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されていることを理解すべきで
ある。本明細書では特定の用語を使用しているが、それらは一般的且つ説明的な意味での
み使用され、限定のためではない。