IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ HOYA株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-内視鏡 図1
  • 特許-内視鏡 図2
  • 特許-内視鏡 図3
  • 特許-内視鏡 図4
  • 特許-内視鏡 図5
  • 特許-内視鏡 図6
  • 特許-内視鏡 図7
  • 特許-内視鏡 図8
  • 特許-内視鏡 図9
  • 特許-内視鏡 図10
  • 特許-内視鏡 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/12 20060101AFI20230425BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
A61B1/12 531
G02B23/24 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021117227
(22)【出願日】2021-07-15
(62)【分割の表示】P 2019061431の分割
【原出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2021183141
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2021-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 俊貴
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-090884(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0029337(KR,A)
【文献】特開平05-095891(JP,A)
【文献】特開2015-119746(JP,A)
【文献】特開2013-009896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 -23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入部の先端に凸形状の観察光学系を有する内視鏡において、
前記観察光学系に向けて洗浄用の流体を噴射する複数の出射口を有するノズルを備え、
前記複数の出射口は、互いに異なる方向に向けて開口し、各出射口から出射される流体が合流しないように設けられており、
出射後の前記流体が、流体粘性によって、前記観察光学系の中央部に寄せられ、前記観察光学系の表面を洗浄することを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記挿入部を貫通する流体管路及び前記複数の出射口を連結する連結管部と、
前記連結管部の下流側に設けられ、前記流体の流れを前記出射口の数だけ分ける分流部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記分流部から各出射口までの各流路における下流側に設けられ、前記流体を各出射口に案内する案内部を備えることを特徴とする請求項に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記連結管部は、前記分流部よりも上流側に、縮径部を有することを特徴とする請求項又はに記載の内視鏡。
【請求項5】
前記挿入部は長尺であり、
前記ノズル及び前記観察光学系は前記挿入部の長手方向の一端側に設けられており、
前記ノズルは、前記観察光学系よりも前記挿入部の長手方向の他端側に配置されていることを特徴とする請求項1からの何れか一つに記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内に挿入される挿入部の先端に凸形状の観察光学系を有する内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から内視鏡においては、体内へ挿入する挿入部の先端に、被検体を撮像するための観察光学系が設けられている。斯かる観察光学系の表面には、粘液、血液および残渣等の汚れが付着し易い。このように、観察光学系に汚れ等が付着していると被検体の明確な画像を撮りにくい。
【0003】
これに対して、特許文献1には、凸レンズの周囲の傾斜面に向かって斜め上方から流体を吹き付けることによって、流体を凸レンズ全体へ行き渡せる内視鏡が開示されている。
【0004】
特許文献2には、直径の大きいレンズに対して、レンズを囲む壁面を利用してレンズ全体を洗浄する内視鏡用レンズ洗浄シースが開示されている。
【0005】
特許文献3には、複数の噴出口を有するうえ、各噴出口を小さくして噴流の勢いをつけた、内視鏡の送気送水ノズルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-115421号公報
【文献】特開2018-094016号公報
【文献】特開2002-85339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
壁面付近を流れる流体は、流体粘性の効果によって壁面に引き寄せられるというコアンダ効果が知られている。このようなコアンダ効果によって、凸レンズにおいては、表面(曲面)に沿って流体を流した場合、斯かる流体が曲面の中央に寄って集中する。このように集中した流体は凸レンズの曲面から離脱する。従って、一つのノズルから洗浄用の流体を凸レンズに噴射した場合、流体が直接当たるノズル側と反対側まで洗浄用の流体が届かず、洗浄が不十分となる。
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1の内視鏡、特許文献2の内視鏡用レンズ洗浄シース及び特許文献3の内視鏡の送気送水ノズルは、このような問題に対して工夫しておらず、解決できない。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、凸形状の観察光学系において流体を噴射するノズル側と反対側まで流体を行き渡せ、十分な洗浄ができる内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る内視鏡は、挿入部の先端に凸形状の観察光学系を有する内視鏡において、前記観察光学系に向けて洗浄用の流体を噴射するノズルを備え、前記ノズルは、互いに交差しない方向に前記流体が出射する複数の出射口を有することを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、観察光学系に向けて洗浄用の流体を噴射するノズルが、互いに交差しない方向に流体が出射する複数の出射口を有する。従って、各出射口からの流体が出射後に合流して観察光学系の中央に寄って集中することを抑制でき、流体が観察光学系の曲面から離脱することを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、凸形状の観察光学系において流体を噴射するノズル側と反対側まで洗浄用の流体を行き渡せ、十分に洗浄できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態1に係る内視鏡の外観図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る内視鏡の先端部の外観図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る内視鏡の送気送水ノズルを示す図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る内視鏡において、送気送水ノズルが噴射した空気又は水の流路をシミュレーションした結果である。
図5】本発明の実施の形態1に係る内視鏡において、送気送水ノズルが噴射した空気又は水の流路をシミュレーションした結果である。
図6】本発明の実施の形態1に係る内視鏡において、先端面が平坦面である場合を例示する例示図である。
図7】本発明の実施の形態2に係る内視鏡の送気送水ノズルを示す図である。
図8】本発明の実施の形態3に係る内視鏡の送気送水ノズルを示す図である。
図9図8CのIX-IX線による断面図である。
図10図8CのX-X線による断面図である。
図11図9のXI-XI線による断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態に係る内視鏡について、図面に基づいて詳述する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡10の外観図である。本実施の形態に係る内視鏡10は、挿入部14と、操作部20と、ユニバーサルコード25と、コネクタ部24とを有する。操作部20は、ユーザの操作を受け付けるボタン201および湾曲ノブ21と、略円筒形状のケース205に設けられたチャンネル入口22とを有する。チャンネル入口22には、処置具等を挿入する挿入口を有する鉗子栓23が取り付けられている。
【0016】
挿入部14は、被検体の体内に挿入される。挿入部14は長尺であり、先端の一端から順に先端部13、湾曲部12および軟性部11を有する。挿入部14は、他端が折止部16を介して操作部20に接続されている。湾曲部12は、湾曲ノブ21の操作に応じて湾曲する。先端部13は先端部13a及び先端部13bからなり(図9参照)、先端部13aが先端部13bよりも挿入部14において先端側に設けられている。
【0017】
以後の説明では、挿入部14の長手方向を挿入方向とも言う。また、挿入方向において、操作部20に近い他端側を操作部側と言い、先端部13に近い一端側を先端部側とも言う。
【0018】
ユニバーサルコード25は長尺であり、一端が操作部20に接続され、他端がコネクタ部24にそれぞれ接続されている。ユニバーサルコード25は、軟性である。コネクタ部24は、図示しない内視鏡用プロセッサ、光源装置、表示装置および送気送水装置等に接続される。操作部20を適宜操作することによって、コネクタ部24を介して送られてきた洗浄用の流体(空気又は水)が、折止部16を介して先端部13に送られる。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡10の先端部13aの外観図であり、図2Aは先端部13aの斜視図であり、図2Bは先端部13aを図2Aの矢印B方向から見た図であり、図2Cは先端部13aを図2Aの矢印C方向から見た図である。
【0020】
先端部13aは断面視略楕円であり、先端が略円錐状に突出している。先端部13aの先端面131には、観察光学系132、送気送水ノズル140、チャンネル出口18等が設けられている。
【0021】
また、先端部13aは、観察光学系132を介して被検体の像光を取り込んで撮像を行う撮像素子(図示せず)等が収容された円筒状の収容筒19を有しており、収容筒19の縁部から先端部13aの先端面131が延設されている。収容筒19、湾曲部12および軟性部11内には、送気送水ノズル140を介して噴射される空気及び水の送路が形成されている。
【0022】
観察光学系132は、先端部13aの先端面131の中心部に設けられており、円形の凸レンズである。また、先端部13aの先端面131において、観察光学系132の周囲には、送気送水ノズル140、チャンネル出口18が隣接して設けられている。
【0023】
先端部13aの先端面131は略円錐台のような外見をなす。即ち、先端面131は、観察光学系132の縁部からその接線方向に傾斜している傾斜面であり、斯かる傾斜面に送気送水ノズル140及びチャンネル出口18が形成されている。
【0024】
図3は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡10の送気送水ノズル140を示す図である。図3Aは送気送水ノズル140の外見を示す斜視図であり、図3Bは、図2BのIIIB-IIIB線による断面図、図3Cは、図2BのIIIC-IIIC線による断面図である。
【0025】
送気送水ノズル140は、先端面131に沿って、空気又は水を観察光学系132に向けて噴射する。送気送水ノズル140は、空気又は水が出射される複数の出射口141を有する。空気及び水は各出射口141を介して観察光学系132に向けて出射される。
本実施の形態においては、送気送水ノズル140が2つの出射口141を有する場合を例に挙げて説明する。本発明はこれに限定されるものでなく、3つ以上の出射口141を有するように構成しても良い。
【0026】
各出射口141は、互いに異なる方向に向けて開口している。即ち、空気又は水は、各出射口141を介して、互いに交差しない方向に出射される。各出射口141は、先端面131に沿う方向を長軸方向とする長円形状である。送気送水ノズル140は大部分(図3Aの一点鎖線部分)が先端面131に設けられた凹部に挿入されて固定される。
【0027】
上述したように、先端部13aの先端に観察光学系132が設けられ、観察光学系132の円形の縁部を囲むように、先端面131が斜面を形成しており、観察光学系132から離れた先端面131上に送気送水ノズル140が設けられている。即ち、本発明の実施の形態1に係る内視鏡10においては、挿入部14の長手方向(図2C参照)にて、観察光学系132よりは送気送水ノズル140が挿入部14の他端に(操作部20側)近い位置に配置されている。
【0028】
観察光学系132は凸レンズであり、視野角が広い(180度以上)ため、挿入部14の長手方向において送気送水ノズル140が観察光学系132と同一位置に配置された場合、観察光学系132の撮像画像に送気送水ノズル140が写る。しかし、本発明の実施の形態1に係る内視鏡10においては、上述のように、観察光学系132よりも送気送水ノズル140が挿入部14の他端に近い位置に配置されているので、観察光学系132の撮像画像に送気送水ノズル140が写らず、観察光学系132による撮像の妨げにならない。
【0029】
送気送水ノズル140は、筒部147と、筒部147の一方の開口端を封じる蓋部148とを有する。蓋部148及び筒部147は一体形成されている。蓋部148は略円板状であり、筒部147の長手方向に対して傾斜している。送気送水ノズル140は蓋部148側の一端部に出射口141が設けられている。送気送水ノズル140は、筒部147の内側に、筒部147の長手方向に沿って延びる連結管部142を有する。連結管部142は、コネクタ部24及び折止部16を介して送られてくる空気又は水を各出射口141に送る。即ち、連結管部142は、送気チューブ121及び送水チューブ122(図10参照)と出射口141とを連結しており、連結管部142の一端の開口を介して連結管部142に流れ込んだ空気又は水は、他端側(蓋部148側)の出射口141に送られる。
【0030】
連結管部142において下流側の端部(蓋部148側の端部)には、連結管部142を流れる空気又は水の流れを出射口141の数だけ分ける分流部144が設けられている。即ち、連結管部142の下流側は、連結管部142より小径の2つの流路(分流部144)に分けられている。各分流部144は何れか一つの出射口141に対応するように設けられており、各分流部144に流れ込んだ空気又は水は対応する出射口141を介して出射される。
【0031】
また、連結管部142における下流側であって、分流部144よりも上流側には、漏斗形状又はテーパ状の縮径部143が形成されている。分流部144よりも上流側の連結管部142の径は、縮径部143にて縮小される。従って、縮径部143を経て各分流部144に流れ込む空気又は水の圧力が低減し、流れの速度が速くなる。流速が速くなった空気又は水は、分流部144よりも広い空間に流れ出し(図3B図3C参照)、出射口141に向けて流れて行く。この際、空気又は水は種々の方向にベクトルを持つ渦を形成し、その後、出射口141から出射される。よって、各出射口141から噴射される空気又は水が広範囲に広がり、噴射時の噴射力及び範囲を確保できる。図3Cに空気又は水の流路を破線にて示す。
【0032】
送気送水ノズル140は、上述したように、各出射口141の向きが互いに異なり、各出射口141からの空気又は水は互いに交差しない方向に出射される。即ち、空気又は水が出射口141を介して直線状に出射され、出射後も直線状を維持するのであれば、各出射口141からの空気又は水は互いに交差しないように、各出射口141が設けられている。
【0033】
このような構成を有することから、本実施の形態に係る内視鏡10は、一つの送気送水ノズル140を用いても、凸レンズである観察光学系132において空気又は水が直接当たる送気送水ノズル140側と反対側まで観察光学系132をキレイに洗浄することができる。以下、観察光学系132において送気送水ノズル140側と反対側の部分を、ノズル反対側と言う。
【0034】
一般に、壁面付近を流れる流体は、流体粘性の効果によって壁面に引き寄せられる(コアンダ効果と言う。)。このようなコアンダ効果のため、凸レンズの表面(曲面)に沿って流体を流した場合は、斯かる流体が曲面の中央に寄って集中する挙動を示す。このように集中した流体は凸レンズの曲面から離脱する。従って、一つの送気送水ノズル(出射口)から空気又は水(洗浄用の流体)を観察光学系に噴射した場合、観察光学系におけるノズル反対側まで空気又は水が届かず、観察光学系の洗浄が不十分となる。
【0035】
たとえ、送気送水ノズルの出射口を広げ、観察光学系の広範囲に亘って空気又は水を噴射したとしても、出射口から出射された空気又は水が観察光学系の中央に寄って集中するので、上述したように、観察光学系の曲面からの離脱が生じる。
【0036】
また、送気送水ノズルが複数の出射口を有し、複数の出射口から空気又は水が噴射される場合であっても、一の出射口からの空気又は水は出射後から広がり始め、他の出射口からの空気又は水と合流するので、上述したように、観察光学系の中央に寄って集中し、観察光学系の曲面から離脱する。
【0037】
これに対して、本発明の実施の形態1に係る内視鏡10は、送気送水ノズル140が、向きが相違する2つの出射口141を有している。従って、一の出射口141から出射された空気又は水が、他の出射口141から出射された空気又は水と合流することを抑制できる。よって、空気又は水が観察光学系132の中央に寄って集中し、観察光学系132の曲面から離脱することを未然に防止でき、観察光学系132におけるノズル反対側まで空気又は水が流れて洗浄できる。
また、夫々の出射口141からの空気又は水が、コアンダ効果によって、観察光学系132の中央によってくるため、空気又は水が直接噴射されていない観察光学系132の中央部を含めて、観察光学系132の全体を十分に洗浄できる。
【0038】
図4及び図5は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡10において、送気送水ノズル140が噴射した空気又は水の流路をシミュレーションした結果である。図4は主に流路の上流側を示しており、図5は主に下流側を示している。即ち、図5は、観察光学系132におけるノズル反対側の流路を示している。また、図4において、二点鎖線は各出射口141の向きを示しており、実線は出射口141から出射された空気又は水の流路を示す。
【0039】
図4及び図5から分かるように、本発明の実施の形態1に係る内視鏡10においては、一の出射口141から出射された空気又は水が出射後から広がり始めるものの(図4の矢印参照)、他の出射口141から出射された空気又は水との合流は殆ど発生しておらず、観察光学系132の中央での集中も見当たらず、観察光学系132の曲面からの離脱も発生していない。観察光学系132におけるノズル反対側まで空気又は水が流れている(図5参照)。
【0040】
以上の記載では、先端面131が挿入部14の長手方向に対して傾斜している場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
図6は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡10において、先端面131Aが平坦面である場合を例示する例示図である。図6のように、先端面131Aが平坦面である場合においても、上述した効果を奏することは言うまでもない。
【0041】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2に係る内視鏡10の送気送水ノズル140を示す図である。図7Aは、送気送水ノズル140の外見を示す斜視図であり、図7Bは、図7AのB-B線による断面図であり、図7Cは、図7Bの矢印方向から見た図である。図7Aにおいては先端面131に設けられた凹部に挿入され部分を一点鎖線にて示しており、図7Bにおいては先端面131を破線にて示している。
【0042】
本発明の実施の形態に係る送気送水ノズル140は、5つの出射口141を有する。各出射口141は円形状である。5つの出射口141は一列に並設されており、各出射口141は向きが相違する。
【0043】
送気送水ノズル140は、筒部147と、筒部147の一方の開口端を封じる蓋部148とを有する。蓋部148及び筒部147は一体形成されている。蓋部148は略円板状であり、筒部147の長手方向に対して傾斜している。送気送水ノズル140は蓋部148側の一端部に出射口141が設けられている。送気送水ノズル140は、筒部147の内側に、筒部147の長手方向に沿って延びる連結管部142を有する。連結管部142は、コネクタ部24及び折止部16を介して送られてくる空気又は水を各出射口141に送る。
【0044】
連結管部142において下流側(蓋部148側)には、連結管部142内の空気又は水の流れを出射口141の数だけ分ける分流部144Aが設けられている。分流部144Aは、蓋部148の内側面に設けられた5つの凹部からなる。斯かる5つの凹部は連設されており、各凹部は出射口141側に延びている。各凹部の底は湾曲しており、外側に近い程、底までの寸法が短い。各凹部は何れか一つの出射口141に対応している。
【0045】
分流部144Aによって、空気又は水は、連結管部142の下流側にて、5つの流路に分けられる。即ち、分流部144Aの各凹部は対応する出射口141への流路を構成する。従って、分流部144Aに流れ込んだ空気又は水は、各凹部によって対応する出射口141に夫々流れ、対応する出射口141を介して出射される。
【0046】
また、連結管部142における下流側であって、分流部144Aよりも上流側には、漏斗形状又はテーパ状の縮径部143が形成されている。分流部144Aよりも上流側の連結管部142の径は、縮径部143にて縮小される。従って、縮径部143を経て各分流部144Aに流れ込む空気又は水の速度が速くなり、各出射口141からの噴射時の噴射力を確保できる。
【0047】
このように、本発明の実施の形態2に係る内視鏡10は、送気送水ノズル140が、向きが相違する5つの出射口141を有するので、空気又は水が観察光学系132の中央に寄って集中することによって、観察光学系132の曲面から離脱することを未然に防止でき、観察光学系132におけるノズル反対側まで空気又は水による洗浄が可能である。
【0048】
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0049】
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3に係る内視鏡10の送気送水ノズル140Bを示す図である。図8Aは、送気送水ノズル140Bの外見を示す斜視図であり、図8Bは、送気送水ノズル140Bの側面図であり、図8Cは、送気送水ノズル140Bが先端部13aに取り付けられた場合を示す図である。図8A及び図8Bにおいては先端面131に設けられた凹部に挿入される部分を一点鎖線にて示しており、先端面131を破線にて示している。
【0050】
本発明の実施の形態3に係る内視鏡10の送気送水ノズル140Bは、先端面131に設けられた凹部に挿入される半円筒部146を有し、半円筒部146の一方の開口端は蓋部148によって封じられている。蓋部148及び半円筒部146は一体形成されている。
【0051】
蓋部148は略円板状の板部148aの周縁に周壁148bが延設されている。周壁148bは板部148aと交差する方向に、所定寸法にて設けられている。蓋部148は、半円筒部146の長手方向に対して傾斜している。板部148aの面積は半円筒部146の径方向の断面面積より大きく、半円筒部146の径方向にて、蓋部148の一部が半円筒部146からはみ出ている。
【0052】
斯かる蓋部148の一部に係る周壁148bに、2つの出射口141Bが隔てて形成されている。出射口141Bは半長円形状である。換言すれば、蓋部148の前記一部に、周壁148bを半長円形状に切り欠いた、出射口141Bが形成されている。よって、出射口141Bは先端面131と共に穴を構成する。斯かる穴を介して空気又は水が観察光学系132に噴射される。
【0053】
板部148aの内側面には、フィン状の案内部145が突設されている。案内部145は後述する分流部134からの空気又は水を出射口141Bまで案内する。案内部145は、分流部134から各出射口141Bまでの空気又は水の流路において下流側、即ち出射口141B寄りに設けられる。案内部145は2つの出射口141Bの近傍であって、2つの出射口141Bの間に設けられている。
このように、本発明の実施の形態3に係る内視鏡10は、案内部145を備えるので、出射口141Bから出射される空気又は水の出射方向(噴射方向)を精度よく調整できる。
【0054】
実施の形態1及び2と異なり、本実施の形態3においては、連結管部、分流部及び縮径部が先端部13に設けられている。以下、詳しく説明する。
図9は、図8CのIX-IX線による断面図であり、図10は、図8CのX-X線による断面図であり、図11は、図9のXI-XI線による断面図である。
【0055】
先端部13の内部には、挿入部14の長手方向に沿って延びる連結管部136が設けられている。連結管部136は、送気チューブ121及び送水チューブ122(流体管路)を介して送られてくる空気又は水を各出射口141Bに送る。送気チューブ121(送気管路)及び送水チューブ122(送水管路)は、挿入部14を長手方向に貫通しており、湾曲部12及び先端部13を跨るように設けられている。送気チューブ121及び送水チューブ122は、連結管部136の一端と連通しており、折止部16側からの空気又は水を連結管部136に送る。即ち、送気チューブ121及び送水チューブ122を介して連結管部136に流れ込んだ空気又は水は、送気送水ノズル140Bの出射口141Bに送られる。
【0056】
連結管部136における下流側の他端には、連結管部136を流れる空気又は水の流れを出射口141Bの数だけ分ける分流部134が設けられている。即ち、連結管部136の下流側は、連結管部136より小径の2つの流路(分流部134)に分けられている。分流部134は、案内部145の両側にて、先端面131に開口している(図11参照)。このように、各分流部134は何れか一つの出射口141Bに対応するように設けられている。各分流部134から流れ出た空気又は水は、送気送水ノズル140Bの板部148aによって方向が変わり、対応する出射口141Bを介して出射される。
【0057】
また、連結管部136における下流側であって、分流部134よりも上流側には、漏斗形状又はテーパ状の縮径部135が形成されている。即ち、分流部134よりも上流側の連結管部136の径は、縮径部135にて縮小される。従って、縮径部135を経て各分流部134に流れ込む空気又は水の圧力が低減し、流れの速度が速くなる。流速が速くなった空気又は水は、分流部134よりも広い空間に流れ出し(図9図10参照)、出射口141Bに向けて流れて行く。この際、空気又は水は種々の方向にベクトルを持つ渦を形成し、その後、出射口141Bから出射される。よって、各出射口141Bから噴射される空気又は水が広範囲に広がり、噴射時の噴射力及び範囲を確保できる。図9に空気又は水の流路を破線にて示す。
【0058】
本発明の実施の形態3に係る内視鏡10においては、送気チューブ121及び送水チューブ122を介して連結管部136に送られた空気又は水は、縮径部135及び分流部134を通って送気送水ノズル140Bの出射口141Bに送られる。分流部134から出射口141Bまでの空気又は水の流路における下流側、即ち、出射口141B寄りには、上述したように、案内部145が設けられているので、案内部145によって出射口141Bまで空気又は水が案内される。空気又は水は、出射口141B及び先端面131からなる前記穴を介して出射される。
【0059】
以上のように、本発明の実施の形態3に係る内視鏡10においては、連結管部136、縮径部135及び分流部134を先端部13の内部に設けることによって、送気送水ノズル140Bを簡単な構成にすることができる。
【0060】
実施の形態1又は2と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0061】
本発明に係る内視鏡10は以上の記載に限定されるものではない。
全ての出射口141、141Bの大きさ、形状等は同一でなくても良い。
また、複数の出射口141、141Bは互いに連通しても良いが、連通しない方が望ましい。
出射口141同士及び出射口141B同士は、夫々の高さ(先端面131と垂直方向の寸法)の50%以下の間隔を挟んでいることが望ましい。
【0062】
なお、以上においては、送気チューブ121及び送水チューブ122が連結管部136,142に連結され、連結管部136,142が送気送水ノズル140,140Bに連結された場合について説明したが、本発明に係る内視鏡10は以上の記載に限定されるものではない。
送気チューブ121に直接連結された送気用の送気送水ノズル140,140Bと、送水チューブ122に直接連結された送水用の送気送水ノズル140,140Bとを夫々設けても良い。
【符号の説明】
【0063】
10 内視鏡
14 挿入部
121 送気チューブ(流体管路)
122 送水チューブ(流体管路)
132 観察光学系
134,144,144A 分流部
135,143 縮径部
136,142 連結管部
140,140B 送気送水ノズル
141,141B 出射口
145 案内部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11