IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カンブリオス フィルム ソリューションズ(シアメン) コーポレーションの特許一覧

<>
  • 特許-オンセルタッチディスプレイの製造方法 図1
  • 特許-オンセルタッチディスプレイの製造方法 図2
  • 特許-オンセルタッチディスプレイの製造方法 図3
  • 特許-オンセルタッチディスプレイの製造方法 図4
  • 特許-オンセルタッチディスプレイの製造方法 図5
  • 特許-オンセルタッチディスプレイの製造方法 図6
  • 特許-オンセルタッチディスプレイの製造方法 図7
  • 特許-オンセルタッチディスプレイの製造方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】オンセルタッチディスプレイの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20230425BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20230425BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230425BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230425BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20230425BHJP
   H10K 59/00 20230101ALI20230425BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20230425BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
G06F3/041 660
G06F3/044 122
G09F9/00 366A
G09F9/00 338
G09F9/30 365
G09F9/33
G09F9/30 349Z
G09F9/30 348A
H10K59/00
H05B33/14 A
H05B33/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021131705
(22)【出願日】2021-08-12
(65)【公開番号】P2022160982
(43)【公開日】2022-10-20
【審査請求日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】202110374781.0
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520384910
【氏名又は名称】カンブリオス フィルム ソリューションズ(シアメン) コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Cambrios Film Solutions (Xiamen) Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】シャオ ジョンチン
(72)【発明者】
【氏名】リエン シウチェン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ ジアヤン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ チーファン
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-134197(JP,A)
【文献】特開2016-058319(JP,A)
【文献】国際公開第2015/068654(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
G09F 9/00
G09F 9/30
G09F 9/33
H10K 59/00
H10K 50/00
H05B 33/10
H05B 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)表示パネルを提供するステップ;
(B)以下を備える前記表示パネル上に第1の銀ナノワイヤ層を形成するステップ;
(B-1)前記表示パネル上に前記銀ナノワイヤを含む第1のインクを被覆するステップと、
(B-2)低温焼成処理を行うステップであって、前記低温焼成処理の焼成温度が100℃未満であり、前記低温焼成処理の焼成時間が5分以上であることを特徴とする、前記第1の銀ナノワイヤ層の形成ステップと、
(C)第1の導電性薄膜を形成するために前記第1の銀ナノワイヤ層をパターニングするステップ;
(D)前記第1の導電性薄膜上に絶縁材料を被覆し、前記絶縁材料をパターニングして絶縁層を形成するステップ;
(E)以下を備える前記絶縁層上に第2の銀ナノワイヤ層を形成するステップ;
(E-1)前記絶縁層上に前記銀ナノワイヤを含む第2のインクを被覆するステップと、
(E-2)低温焼成処理を行うステップであって、前記低温焼成処理の焼成温度が100℃未満であり、前記低温焼成処理の焼成時間が5分以上であることを特徴とする、前記第2の銀ナノワイヤ層の形成ステップと、
(F)前記第2の銀ナノワイヤ層をパターニングして第2の導電性薄膜を形成するステップ;及び
(G)前記第2の導電性薄膜上に、オンセルタッチディスプレイを実現するための保護膜を形成するステップ、
を備え、
前記第1の導電性薄膜の不均一性値及び前記第2の導電性薄膜の不均一性値がそれぞれ15%未満であり、
前記ステップ(B)における前記第1の銀ナノワイヤ層の表面抵抗値、及び前記ステップ(E)における前記第2の銀ナノワイヤ層の表面抵抗値が、それぞれ50~100Ω/sqである、
オンセルタッチディスプレイの製造方法。
【請求項2】
前記ステップ(B)における前記第1の銀ナノワイヤ層の表面抵抗値、及び前記ステップ(E)における前記第2の銀ナノワイヤ層の表面抵抗値が、それぞれ50~80Ω/sqであることを特徴とする、請求項に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ステップ(B)が、前記ステップ(B-1)と前記ステップ(B-2)との間に、
(B-1')前記銀ナノワイヤ層上にハードコート層を形成するステップ
を備える、請求項に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ステップ(E)が、前記ステップ(E-1)と前記ステップ(E-2)との間に、
(E-1')前記銀ナノワイヤ層上にハードコート層を形成するステップ
を備える、請求項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ステップ(A)の前記表示パネルは、フリープラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶表示パネル(LCD)、薄膜トランジスタ液晶表示パネル(TFT-LCD)、有機発光ダイオード表示パネル(OLED)、発光ダイオード表示パネル(LED)、電気エレクトロルミネッセンスディスプレイパネル(ELD)、表面伝導電子放出表示パネル(SED)、及び電界放出表示パネル(FED)からなる群より選択される、請求項の何れか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オンセルタッチディスプレイ及びその製造方法に関する。特に、本開示は、オンセルタッチ有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチディスプレイ装置の適用が拡大しており、多くの電気機器には、それらの電気機器を使いやすくするため、直接操作の機能を提供したり、コマンドを発行したりするためのタッチディスプレイが搭載されている。そのため、タッチディスプレイの需要が高まっている。
【0003】
今日の銀ナノワイヤタッチディスプレイは、アウトセルタッチディスプレイ(out-cell touch display)である。しかしながら、アウトセル銀ナノワイヤタッチパネルの集積化においては、タッチパネルをディスプレイに接着するための積層プロセスが必要である。付加的な積層プロセスは、保護フィルム又は剥離フィルムを繰り返し除去し、接着剤を塗布するステップを含み、これは、比較的複雑で、時間がかかり、高価である。製造歩留まりに影響を与えることに加えて、モジュール化後の全体の積層厚さも比較的厚くなり、アウトセル銀ナノワイヤタッチパネルの曲げ特性に影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】中国特許第109853794号明細書
【文献】中国特許第106977985号明細書
【文献】中国特許第111471299号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、銀ナノワイヤタッチパネルを製造するためのプロセスは、高温焼成処理を含むため、銀ナノワイヤ薄膜をオンセルタッチディスプレイ、特に有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイに適用すると、製造プロセスから発生する熱によってOLEDを損傷する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、表示パネルと、前記表示パネル上に配置されたタッチセンサとを備える、新規なオンセルタッチパネルを提供し、前記タッチセンサは、前記表示パネル上に配置された第1の導電性薄膜と、前記第1の導電性薄膜上に配置された絶縁層と、前記絶縁層上に配置された第2の導電性薄膜と、前記第2の導電性薄膜上に配置された保護膜と、を備え、前記第1の導電性薄膜の不均一性値(non-uniformity value)と前記第2の導電性薄膜の不均一性値とが、それぞれ15%未満である。
【0007】
一実施形態では、前記第1の導電性薄膜及び前記第2の導電性薄膜は、銀ナノワイヤからなる。
【0008】
一実施形態では、前記第1の導電性薄膜の表面抵抗値及び前記第2の導電性薄膜の表面抵抗値は、それぞれ50~100Ω/sqである。
【0009】
一実施形態では、前記表示パネルは、フリープラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶表示パネル(LCD)、薄膜トランジスタ液晶表示パネル(TFT-LCD)、有機発光ダイオード表示パネル(OLED)、発光ダイオード表示パネル(LED)、電気エレクトロルミネッセンス表示パネル(ELD)、表面伝導電子放出表示パネル(SED)、及び電界放出表示パネル(FED)からなる群から選択される。
【0010】
一実施形態では、前記表示パネルは、有機発光ダイオード表示パネルである。
【0011】
本開示は、さらに、(A)表示パネルを提供するステップ;(B)前記表示パネル上に第1の導電性材料層を形成するステップ;(C)第1の導電性薄膜を形成するために前記第1の導電性材料層をパターニングするステップ;(D)前記第1の導電性薄膜上に絶縁材料を被覆し、前記絶縁材料をパターニングして絶縁層を形成するステップ;(E)前記絶縁層上に第2の導電性材料層を形成するステップ;(F)前記第2の導電性材料層をパターニングして第2の導電性薄膜を形成するステップ;及び(G)前記第2の導電性薄膜上に、オンセルタッチディスプレイを実現するための保護膜を形成するステップ、を備え、前記ステップ(B)及び前記ステップ(G)の処理温度が100℃未満であり、前記第1の導電性薄膜の不均一性値及び前記第2の導電性薄膜の不均一性値がそれぞれ15%未満である、オンセルタッチディスプレイの製造方法を提供する。
【0012】
一実施形態では、前記ステップ(B)における前記第1の導電性材料層の表面抵抗値、及び前記ステップ(E)における前記第2の導電性材料層の表面抵抗値が、それぞれ50~100Ω/sqである。
【0013】
一実施形態では、前記ステップ(B)における前記第1の導電性材料層、及び前記ステップ(E)における前記第2の導電性材料層が、銀ナノワイヤで作製される。
【0014】
一実施形態では、前記ステップ(B)は、(B-1)前記表示パネル上に前記銀ナノワイヤを含む銀ナノワイヤ層を形成するステップと、(B-2)低温焼成処理を行うステップであって、前記低温焼成処理の焼成温度が100℃未満であり、前記低温焼成処理の焼成時間が5分以上であることを特徴とする、第1の導電性材料層の形成ステップと、を備える。
【0015】
一実施形態では、前記ステップ(B)が、前記ステップ(B-1)と前記ステップ(B-2)との間に、(B-1’)前記銀ナノワイヤ層上にハードコート層を形成するステップをさらに備える。
【0016】
一実施形態では、前記ステップ(E)が、(E-1)前記絶縁層上に前記銀ナノワイヤを含む銀ナノワイヤ層を形成するステップと、(E-2)低温焼成処理を行うステップであって、前記低温焼成処理の焼成温度が100℃未満であり、前記低温焼成処理の焼成時間が5分以上であることを特徴とする、第2の導電性材料層の形成ステップと、を備える。
【0017】
一実施形態では、前記ステップ(E)が、前記ステップ(E-1)と前記ステップ(E-2)との間に、(E-1’)前記銀ナノワイヤ層上にハードコート層を形成するステップをさらに備える。
【0018】
一実施形態では、前記ステップ(A)の前記表示パネルは、フリープラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶表示パネル(LCD)、薄膜トランジスタ液晶表示パネル(TFT-LCD)、有機発光ダイオード表示パネル(OLED)、発光ダイオード表示パネル(LED)、電気エレクトロルミネッセンスディスプレイパネル(ELD)、表面伝導電子放出表示パネル(SED)、及び電界放出表示パネル(FED)からなる群より選択される。
【0019】
一実施形態では、前記ステップ(A)の表示パネルは、有機発光ダイオード表示パネルである。
【0020】
本明細書における「上に(on)」という用語は、本明細書において、構成要素間の相対位置を説明するために使用されてもよいことに留意されたい。例えば、第2の要素の「上に」配置された第1の要素は、第1の要素が第2の要素と直接接触して形成される実施形態を含み、第1の要素と第2の要素との間に追加の構成要素が形成され得る実施形態も含み得る。
【0021】
また、本明細書における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、説明を容易にするために用いられてもよく、番号や順序とは関係しない。例えば、「第1の導電性薄膜」と「第2の導電性薄膜」の両方を「導電性薄膜」として実現することができる。
【0022】
タッチセンサの技術分野において、オンセルタッチセンサを表示パネル上に直接積層することができるため、タッチセンサの光学接着剤や基板を省略することができ、より薄型で軽量なタッチディスプレイを実現することができる。本開示の低温製造プロセスによれば、製造プロセス中の温度が表示パネルの性能、特にOLEDの性能に影響を与えないため、安定性の高いタッチディスプレイを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示のオンセルタッチディスプレイの一実施形態の製造フローチャートである。
図2】本開示の一実施形態のOLEDの断面図である。
図3】本開示の一実施形態の第1の導電性材料層を形成する断面図である。
図4】本開示の一実施形態のフォトレジスト層のパターニングの断面図である。
図5】本開示の一実施形態の第1の導電性薄膜を形成する断面図である。
図6】本開示の一実施形態の絶縁層のパターニングの断面図である。
図7】本開示の一実施形態の第2の導電性薄膜を形成する断面図である。
図8】本開示の一実施形態のオンセルタッチディスプレイの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
まず、本発明の一実施形態に係るオンセルタッチディスプレイ1000の製造方法は、以下のステップを備える。図1に示す製造フローチャート及び図2図8に示す構成図を参照されたい。
【0025】
ステップ(A):表示パネル1を設ける。本実施形態では、表示パネル1は、図2に示すOLEDパネルである。OLEDパネルは、基板11と、第1電極層12と、有機エレクトロルミネッセンス材料層13と、第2電極層14と、保護膜15とを備える。しかしながら、他の実施形態では、表示パネル1は、OLEDパネルに限定されず、当該技術分野で公知の他のタイプのディスプレイであってもよい。
【0026】
ステップ(B):図3に示すように、表示パネル1上に第1の導電性材料層21を形成する。本実施形態では、第1の導電性材料層21は、銀ナノワイヤを含む。具体的には、ステップ(B)は、表示パネル1の保護膜15上にスピンコート法により銀ナノワイヤ層(図示せず)を形成するステップ(B-1);銀ナノワイヤ層上にハードコート層(図示せず)を形成するステップ(B-1’);焼成温度100℃未満、焼成時間5分以上の低温焼成処理を行い、第1の導電性材料層21を得るステップ(B-2)を備える。他の実施形態では、ステップ(B-1’)は省略可能である。すなわち、第1の導電性材料層21は、銀ナノワイヤのみで構成される。
【0027】
ステップ(C):第1の導電性材料層21をパターニングして第1の導電性薄膜23を形成する。具体的には、ステップ(C)は、第1の導電性材料層21上にフォトレジスト層22を形成し、次いで、フォトリソグラフィによってフォトレジスト層22をパターニングして、図4に示す電極パターンを形成するステップ(C-1);パターニングされたフォトレジスト層22によって保護されていない第1の導電性材料層21の一部をエッチングによって除去するステップ(C-2);図5に示すように、パターニングされたフォトレジスト層22を除去して第1の導電性薄膜23を露出させるステップ(C-3)を備える。本実施形態では、ステップ(C-2)のエッチング処理は、ドライエッチング又はウェットエッチングにより行うことができる。しかしながら、他の実施形態では、パターニングされたフォトレジスト層22によって覆われていない第1の導電性材料層21の一部は、現像法又はリフトオフ法などの非エッチング法によって除去されてもよい。
【0028】
ステップ(D):第1の導電性薄膜23上に絶縁材料を塗布し、絶縁材料をパターニングして絶縁層24を形成する。図6に示すように、絶縁層24は、フォトリソグラフィによって絶縁材料をパターニングすることにより形成される。
【0029】
ステップ(E):絶縁層24上に第2の導電性材料層(図示せず)を形成する。ステップ(B)と同様に、ステップ(E)は、スピンコーティング法によって絶縁層24上に銀ナノワイヤ層(図示せず)を形成するステップ(E-1);銀ナノワイヤ層上にハードコート層(図示せず)を形成するステップ(E-1’);焼成温度100℃未満、焼成時間5分以上の低温焼成処理を行い、第2の導電性材料層を得るステップ(E-2)を備える。同様に、他の実施形態では、ステップ(E-1’)を省略することができる。すなわち、第2の導電性材料層は、銀ナノワイヤのみで構成される。
【0030】
ステップ(F):第2の導電性材料層をパターニングして第2の導電性薄膜25を形成する。ステップ(C)と同様に、ステップ(F)は、第2の導電性材料層上にフォトレジスト層を形成し、次いで、フォトリソグラフィによってフォトレジスト層をパターニングして電極パターンを形成するステップ(F-1);第2の導電性材料層のうち、パターニングされたフォトレジスト層によって保護されていない部分をエッチングによって除去するステップ(F-2);図7に示すように、パターニングされたフォトレジスト層を除去して第2の導電性薄膜25を形成するステップ(F-3)を備える。本実施形態では、ステップ(F-2)のエッチング処理は、ドライエッチング又はウェットエッチングにより行うことができる。しかしながら、他の実施形態では、パターニングされたフォトレジスト層によって覆われていない第2の導電性材料層の一部は、現像法又はリフトオフ法などの非エッチング法によって除去されてもよい。
【0031】
最後に、ステップ(G):第2の導電性薄膜25上に保護膜26を形成する。図8に示すように、オンセルタッチディスプレイ1000が実現される(すなわち、製造される)。
【0032】
図8に示す上記の製造方法により製造されたオンセルタッチディスプレイ1000は、表示パネル1とタッチセンサ2とを備え、タッチセンサ2は表示パネル1上に配置されている。タッチセンサ2は、表示パネル1に接触する第1の導電性薄膜23と、第1の導電性薄膜23上に配置された絶縁層24と、絶縁層24上に配置された第2の導電性薄膜25と、第2の導電性薄膜25上に配置された保護膜26とを備える。
【0033】
<表面抵抗値と均一性値の評価>
本評価では、実施例及び比較例の導電性薄膜を作製するために、銀ナノワイヤを基板上にスピンコートした後、焼成温度を100℃未満、焼成時間を0.5、1、2、5、10、20、30分として焼成した。次に、実施例及び比較例の銀ナノワイヤの表面抵抗値及び均一性値(uniformity value)を試験した。
【0034】
表1に、渦電流誘導を利用した非接触表面抵抗測定システムにより、各実施例の表面抵抗値(Rs)を試験した結果を示す。
【0035】
15cm×15cmのシート状のサンプル内の9点の表面抵抗(R)を試験した。各試料の不均一性(Non-U)(%)は、次式により算出した。
不均一性(%)=(Rsmax-Rsmin)/2×Rsaverage
10%未満の不均一性値を有する導電性薄膜は大きな均一性を有する。
【0036】
【表1】
【0037】
表1に示す結果によれば、焼成時間0.5分、1分、5分で作製した比較例1~3の導電性薄膜の表面抵抗及び不均一性が高すぎ、不均一性が高いほど均一性が低いことを示している。しかし、実施例1~4の試験結果によれば、焼成時間を5分、10分、20分、30分とすることで、導電性薄膜の表面抵抗や不均一性が大幅に低減される。すなわち、実施例1~4の導電性薄膜は、導電性及び均一性に優れている。この結果から、100℃未満の焼成温度と少なくとも5分の焼成時間で焼成して作製した導電性薄膜は、高い均一性と低い表面抵抗を有することが安定して特徴付けられる。
【0038】
<線路抵抗の評価>
本評価では、第1の導電性薄膜23及び第2の導電性薄膜25の線抵抗を、本開示の製造プロセスにおける4つの期間にわたって評価し、異なる製造ステップ後に第1の導電性薄膜23又は第2の導電性薄膜25の線抵抗が影響を受けるか否かを調べた。具体的には、本製造方法のステップ(A)~ステップ(C)を第1の製造ステップ(PEP1)とした。PEP1中の第1の導電性薄膜23の5本の導電線(Tx1~Tx5)の線抵抗を測定した。ステップ(D)~ステップ(E)を本製造方法の第2の製造ステップ(PEP2)とし、PEP2における第1の導電性薄膜23の5本の導電線(Tx1~Tx5)の線抵抗を測定した。第2の導電性薄膜25を形成するステップ(F)を本製造方法の第3の製造ステップ(PEP3)とし、第1の導電性薄膜23の5本の導電線(Tx1~Tx5)とPEP3の5本の導電線(Rx1~Rx5)の線抵抗を測定した。最後に、保護膜形成ステップ(G)を本製造方法の第4の製造ステップ(PEP4)とし、第1の導電性薄膜23の5本の導電線(Tx1~Tx5)とPEP4の5本の導電線(Rx1~Rx5)の線抵抗を測定した。結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
なお、表2の結果によれば、第1の導電性薄膜23及び第2の導電性薄膜25の線抵抗は、いずれのステップにおいても非常に安定していた(RI<10%)。したがって、本発明に係るオンセルタッチディスプレイの製造ステップにおいて、OLEDディスプレイ上で露光、現像、エッチング、パターニングの各ステップを効果的かつ安定的に行うことができ、オンセルタッチディスプレイ1000を実現することができる。
【0041】
要約すると、本開示によって提供されるオンセルタッチディスプレイ1000を製造するための製造プロセスにおいて、各ステップは低温で行われなければならない。すなわち、銀ナノワイヤ、フォトレジスト、絶縁材料、及び保護膜を被覆するステップは、製造プロセスによって発生する熱によって引き起こされるOLEDへの影響を防止するために、100℃未満の温度で行われなければならない。したがって、第1の導電性薄膜23及び第2の導電性薄膜25(銀ナノワイヤによって形成される)は、優れた低い表面抵抗(10-80Ω/sq)及び高い均一性(Non-U%<10%)を示した。
【0042】
上記の開示は、その詳細な技術的内容及び発明的特徴に関する。当業者は、その特徴から逸脱することなく、記載された開示及び示唆に基づいて様々な修正及び置換を行うことができる。そのような修正及び置換は、上記の説明において完全には開示されていないが、それらは、実質的に、添付の特許請求の範囲に包含されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8