(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】配筋リスト読取装置、リスト読取装置、配筋リスト読取方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/60 20170101AFI20230425BHJP
G06F 30/13 20200101ALI20230425BHJP
G06T 7/49 20170101ALI20230425BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20230425BHJP
【FI】
G06T7/60 200K
G06F30/13
G06T7/49
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2021182366
(22)【出願日】2021-11-09
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000195971
【氏名又は名称】西松建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593089046
【氏名又は名称】青木あすなろ建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000156204
【氏名又は名称】株式会社淺沼組
(73)【特許権者】
【識別番号】303057365
【氏名又は名称】株式会社安藤・間
(73)【特許権者】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(73)【特許権者】
【識別番号】591169490
【氏名又は名称】北野建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(73)【特許権者】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000172813
【氏名又は名称】佐藤工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000207872
【氏名又は名称】大末建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510065067
【氏名又は名称】▲高▼松建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000216025
【氏名又は名称】鉄建建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】303056368
【氏名又は名称】東急建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000235543
【氏名又は名称】飛島建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000231198
【氏名又は名称】日本国土開発株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】000112196
【氏名又は名称】株式会社ピーエス三菱
(73)【特許権者】
【識別番号】591214804
【氏名又は名称】株式会社松村組
(73)【特許権者】
【識別番号】000245852
【氏名又は名称】矢作建設工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304038149
【氏名又は名称】村本建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518091679
【氏名又は名称】株式会社フォトラクション
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】木村 仁治
(72)【発明者】
【氏名】又市 麻梨子
(72)【発明者】
【氏名】長井 智哉
(72)【発明者】
【氏名】松井 亮夫
(72)【発明者】
【氏名】山口 克彦
(72)【発明者】
【氏名】井村 朋大
(72)【発明者】
【氏名】河南 孝典
(72)【発明者】
【氏名】町田 智之
(72)【発明者】
【氏名】平田 吉一
(72)【発明者】
【氏名】池田 直広
(72)【発明者】
【氏名】田野井 淳一
(72)【発明者】
【氏名】八代 成美
(72)【発明者】
【氏名】安武 祐太
(72)【発明者】
【氏名】立澤 真純
(72)【発明者】
【氏名】柏木 隆男
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112381082(CN,A)
【文献】特開2015-222490(JP,A)
【文献】特開2007-052808(JP,A)
【文献】特開2012-064098(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101388079(CN,A)
【文献】特開2006-106971(JP,A)
【文献】特開2021-096543(JP,A)
【文献】特開2005-182224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 - 30/398
G06Q 50/00 - 50/20
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
CSDB(日本国特許庁)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設物の配筋情報が含まれた縦横の罫線からなる複数のセルを有する配筋リストのイメージ情報を取得するイメージ情報取得部と、
前記イメージ情報から前記配筋リスト中の前記縦横の罫線を特定する罫線特定部と、
前記罫線特定部によって特定された前記縦横の罫線の交点を検出する交点検出部と、
前記交点検出部によって検出された前記交点から前記配筋リスト中の前記複数のセルを検出するセル検出部と、
前記複数のセルの各々に含まれた前記配筋情報を認識して解析する配筋情報解析部と、
前記配筋情報解析部によって解析された前記配筋情報を記憶する記憶部と、
前記配筋リストにおける前記複数のセルの配置パターンを解析するパターン解析部と、
前記パターン解析部によって解析された前記複数のセルの配置パターンから、項目ごとに切り出し線を解析する切り出し線解析部と、
前記切り出し線解析部で解析された切り出し線によって切り出された前記項目ごとに、前記配筋情報が含まれている項目と、前記配筋情報が含まれない項目と、内容表記が省略されている項目と、を判別する要不要判別部と、を備え
ており、
前記切り出し線によって切り出された前記項目ごとに、前記配筋情報解析部によって、前記配筋情報の解析が行われるとともに前記記憶部に記憶され、
前記記憶部は、前記要不要判別部によって、前記配筋情報が含まれていると判別された前記項目と、前記配筋情報が含まれないと判別された前記項目と、内容表記が省略されていると判別された前記項目と、を記憶することを特徴とする配筋リスト読取装置。
【請求項2】
前記縦横の罫線のうち、縦又は横の一方の罫線に対して、当該一方の罫線と交差する方向に引かれている横又は縦の他方の罫線が達していない場合に、前記一方の罫線に対して前記他方の罫線が達していると見なすべきか否かを判定する罫線判定部を更に備え、
前記罫線判定部によって、前記一方の罫線に対して前記他方の罫線が達していると見なすべきと判定された場合に、前記交点検出部は、前記一方の罫線と前記他方の罫線の延長線とを仮想的に結んだ位置を交点とする処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の配筋リスト読取装置。
【請求項3】
各々の前記セルに含まれた前記配筋情報は、前記建設物の配筋に係る文字情報と、当該文字情報に対応する画像情報のいずれかであり、
前記記憶部は、前記文字情報及び前記画像情報をデータベース化して記憶することを特徴とする請求項1又は2に記載の配筋リスト読取装置。
【請求項4】
前記配筋リストには、前記建設物の部位を示す構造符号に係る第一文字情報が含まれ、
前記切り出し線によって切り出された項目ごとの前記配筋情報は、前記構造符号に係る第一文字情報と紐付けられて前記記憶部に記憶されることを特徴とする請求項
1から3のいずれか一項に記載の配筋リスト読取装置。
【請求項5】
前記記憶部には、前記建設物の構造図に係る図面情報が記憶され、
前記構造図に係る図面情報には、前記配筋リストに含まれた前記構造符号に係る第一文字情報と対応する第二文字情報が付与されていることを特徴とする請求項
4に記載の配筋リスト読取装置。
【請求項6】
建設物の配筋情報が含まれた縦横の罫線からなる複数のセルを有する配筋リストのイメージ情報を取得するイメージ情報取得工程と、
前記イメージ情報から前記配筋リスト中の前記縦横の罫線を特定する罫線特定工程と、
特定された前記縦横の罫線の交点を検出する交点検出工程と、
検出された前記交点から前記配筋リスト中の前記複数のセルを検出するセル検出工程と、
前記複数のセルの各々に含まれた前記配筋情報を認識して解析する配筋情報解析工程と、
解析された前記配筋情報を
記憶部に記憶する記憶工程と、
前記配筋リストにおける前記複数のセルの配置パターンを解析するパターン解析工程と、
解析された前記複数のセルの配置パターンから、項目ごとに切り出し線を解析する切り出し線解析工程と、
前記切り出し線によって切り出された前記項目ごとに、前記配筋情報が含まれている項目と、前記配筋情報が含まれない項目と、内容表記が省略されている項目と、を判別する要不要判別工程と、を有
しており、
前記配筋情報解析工程においては、前記切り出し線によって切り出された前記項目ごとに、前記配筋情報の解析が行われるとともに前記記憶部に記憶され、
前記記憶部は、前記要不要判別工程によって、前記配筋情報が含まれていると判別された前記項目と、前記配筋情報が含まれないと判別された前記項目と、内容表記が省略されていると判別された前記項目と、を記憶することを特徴とする配筋リスト読取方法。
【請求項7】
前記縦横の罫線のうち、縦又は横の一方の罫線に対して、当該一方の罫線と交差する方向に引かれている横又は縦の他方の罫線が達していない場合に、前記一方の罫線に対して前記他方の罫線が達していると見なすべきか否かを判定する罫線判定工程を更に有し、
前記罫線判定工程にて、前記一方の罫線に対して前記他方の罫線が達していると見なすべきと判定された場合に、前記交点検出工程では、前記一方の罫線と前記他方の罫線の延長線とを仮想的に結んだ位置を交点とする処理を行うことを特徴とする請求項
6に記載の配筋リスト読取方法。
【請求項8】
コンピューターを、
建設物の配筋情報が含まれた縦横の罫線からなる複数のセルを有する配筋リストのイメージ情報を取得するイメージ情報取得部と、
前記イメージ情報から前記配筋リスト中の前記縦横の罫線を特定する罫線特定部と、
前記罫線特定部によって特定された前記縦横の罫線の交点を検出する交点検出部と、
前記交点検出部によって検出された前記交点から前記配筋リスト中の前記複数のセルを検出するセル検出部と、
前記複数のセルの各々に含まれた前記配筋情報を認識して解析する配筋情報解析部と、
前記配筋情報解析部によって解析された前記配筋情報を記憶する記憶部と
、
前記配筋リストにおける前記複数のセルの配置パターンを解析するパターン解析部と、
前記パターン解析部によって解析された前記複数のセルの配置パターンから、項目ごとに切り出し線を解析する切り出し線解析部と、
前記切り出し線解析部で解析された切り出し線によって切り出された前記項目ごとに、前記配筋情報が含まれている項目と、前記配筋情報が含まれない項目と、内容表記が省略されている項目と、を判別する要不要判別部として機能させる
プログラムであって、
前記切り出し線によって切り出された前記項目ごとに、前記配筋情報解析部によって、前記配筋情報の解析が行われるとともに前記記憶部に記憶され、
前記記憶部は、前記要不要判別部によって、前記配筋情報が含まれていると判別された前記項目と、前記配筋情報が含まれないと判別された前記項目と、内容表記が省略されていると判別された前記項目と、を記憶することを特徴とするプログラム。
【請求項9】
前記コンピューターを、
前記縦横の罫線のうち、縦又は横の一方の罫線に対して、当該一方の罫線と交差する方向に引かれている横又は縦の他方の罫線が達していない場合に、前記一方の罫線に対して前記他方の罫線が達していると見なすべきか否かを判定する罫線判定部として機能させ、
前記罫線判定部によって、前記一方の罫線に対して前記他方の罫線が達していると見なすべきと判定された場合に、前記交点検出部は、前記一方の罫線と前記他方の罫線の延長線とを仮想的に結んだ位置を交点とする処理を行うことを特徴とする請求項
8に記載のプログラム。
【請求項10】
縦横の罫線からなる複数のセルを有するリストのイメージ情報を取得するイメージ情報取得部と、
前記イメージ情報から前記リスト中の前記縦横の罫線を特定する罫線特定部と、
前記縦横の罫線のうち、縦又は横の一方の罫線に対して、当該一方の罫線と交差する方向に引かれている横又は縦の他方の罫線が達していない場合に、前記一方の罫線に対して前記他方の罫線が達していると見なすべきか否かを判定する罫線判定部と、
前記縦横の罫線の交点を検出する交点検出部と、
前記交点検出部によって検出された前記交点から前記リスト中の前記複数のセルを検出するセル検出部と、
前記複数のセルの各々に含まれた情報を認識して解析する情報解析部と、
前記情報解析部によって解析された前記情報を記憶する記憶部と、
前記リストにおける前記複数のセルの配置パターンを解析するパターン解析部と、
前記パターン解析部によって解析された前記複数のセルの配置パターンから、項目ごとに切り出し線を解析する切り出し線解析部と、
前記切り出し線解析部で解析された切り出し線によって切り出された前記項目ごとに、前記情報が含まれている項目と、前記情報が含まれない項目と、内容表記が省略されている項目と、を判別する要不要判別部と、を備えており、
前記交点検出部は、
前記罫線特定部によって特定された前記縦横の罫線の交点を検出するとともに、
前記罫線判定部によって、前記一方の罫線に対して前記他方の罫線が達していると見なすべきと判定された場合に、前記一方の罫線と前記他方の罫線の延長線とを仮想的に結んだ位置を交点とする処理を行
い、
前記切り出し線によって切り出された前記項目ごとに、前記情報解析部によって、前記情報の解析が行われるとともに前記記憶部に記憶され、
前記記憶部は、前記要不要判別部によって、前記情報が含まれていると判別された前記項目と、前記情報が含まれないと判別された前記項目と、内容表記が省略されていると判別された前記項目と、を記憶することを特徴とするリスト読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配筋リスト読取装置、リスト読取装置、配筋リスト読取方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の設計に係る設計図書には、建築物における柱や梁、壁、床などの各部位における配筋情報がフロア別、部材別にリスト化されて記載されている(特許文献1参照)。しかし、設計図書は、CADで作成される場合が多く、勝手に内容を改ざんできないよう、一般的にはPDF化又は画像化されて関係業者に受け渡される。
そのため、例えば配筋検査の帳票等の書類データを作成する際は、PDF化又は画像化された設計図書のうち、該当する配筋リストの部分を、スニッピングツール等の切り取りツールを用いて切り取り、作成中の書類データに貼り付ける作業を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、PDF化又は画像化された設計図書から該当する配筋リストの部分を切り取って貼り付ける作業は人の手作業によって行われており、人の負担が大きかった。
また、従来の方法で切り取られた情報はあくまでも画像であり、数字や文字等の文字情報として意味を持ったものでなく、他のICT技術への活用が困難であった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、PDF化又は画像化された元のデータから必要な情報を切り取る作業を自動化して人の負担を軽減するとともに、元のデータから切り取った情報をデジタル化して他のICT技術への活用を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、配筋リスト読取装置であって、
建設物の配筋情報が含まれた縦横の罫線からなる複数のセルを有する配筋リストのイメージ情報を取得するイメージ情報取得部と、
前記イメージ情報から前記配筋リスト中の前記縦横の罫線を特定する罫線特定部と、
前記罫線特定部によって特定された前記縦横の罫線の交点を検出する交点検出部と、
前記交点検出部によって検出された前記交点から前記配筋リスト中の前記複数のセルを検出するセル検出部と、
前記複数のセルの各々に含まれた前記配筋情報を認識して解析する配筋情報解析部と、
前記配筋情報解析部によって解析された前記配筋情報を記憶する記憶部と、
前記配筋リストにおける前記複数のセルの配置パターンを解析するパターン解析部と、
前記パターン解析部によって解析された前記複数のセルの配置パターンから、項目ごとに切り出し線を解析する切り出し線解析部と、
前記切り出し線解析部で解析された切り出し線によって切り出された前記項目ごとに、前記配筋情報が含まれている項目と、前記配筋情報が含まれない項目と、内容表記が省略されている項目と、を判別する要不要判別部と、を備えており、
前記切り出し線によって切り出された前記項目ごとに、前記配筋情報解析部によって、前記配筋情報の解析が行われるとともに前記記憶部に記憶され、
前記記憶部は、前記要不要判別部によって、前記配筋情報が含まれていると判別された前記項目と、前記配筋情報が含まれないと判別された前記項目と、内容表記が省略されていると判別された前記項目と、を記憶することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の配筋リスト読取装置において、
前記縦横の罫線のうち、縦又は横の一方の罫線に対して、当該一方の罫線と交差する方向に引かれている横又は縦の他方の罫線が達していない場合に、前記一方の罫線に対して前記他方の罫線が達していると見なすべきか否かを判定する罫線判定部を更に備え、
前記罫線判定部によって、前記一方の罫線に対して前記他方の罫線が達していると見なすべきと判定された場合に、前記交点検出部は、前記一方の罫線と前記他方の罫線の延長線とを仮想的に結んだ位置を交点とする処理を行うことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の配筋リスト読取装置において、
各々の前記セルに含まれた前記配筋情報は、前記建設物の配筋に係る文字情報と、当該文字情報に対応する画像情報のいずれかであり、
前記記憶部は、前記文字情報及び前記画像情報をデータベース化して記憶することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の配筋リスト読取装置において、
前記配筋リストには、前記建設物の部位を示す構造符号に係る第一文字情報が含まれ、
前記切り出し線によって切り出された項目ごとの前記配筋情報は、前記構造符号に係る第一文字情報と紐付けられて前記記憶部に記憶されることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の配筋リスト読取装置において、
前記記憶部には、前記建設物の構造図に係る図面情報が記憶され、
前記構造図に係る図面情報には、前記配筋リストに含まれた前記構造符号に係る第一文字情報と対応する第二文字情報が付与されていることを特徴とする。
【0013】
以上の課題を解決するため、請求項6に記載の発明は、配筋リスト読取方法であって、
建設物の配筋情報が含まれた縦横の罫線からなる複数のセルを有する配筋リストのイメージ情報を取得するイメージ情報取得工程と、
前記イメージ情報から前記配筋リスト中の前記縦横の罫線を特定する罫線特定工程と、
特定された前記縦横の罫線の交点を検出する交点検出工程と、
検出された前記交点から前記配筋リスト中の前記複数のセルを検出するセル検出工程と、
前記複数のセルの各々に含まれた前記配筋情報を認識して解析する配筋情報解析工程と、
解析された前記配筋情報を記憶部に記憶する記憶工程と、
前記配筋リストにおける前記複数のセルの配置パターンを解析するパターン解析工程と、
解析された前記複数のセルの配置パターンから、項目ごとに切り出し線を解析する切り出し線解析工程と、
前記切り出し線によって切り出された前記項目ごとに、前記配筋情報が含まれている項目と、前記配筋情報が含まれない項目と、内容表記が省略されている項目と、を判別する要不要判別工程と、を有しており、
前記配筋情報解析工程においては、前記切り出し線によって切り出された前記項目ごとに、前記配筋情報の解析が行われるとともに前記記憶部に記憶され、
前記記憶部は、前記要不要判別工程によって、前記配筋情報が含まれていると判別された前記項目と、前記配筋情報が含まれないと判別された前記項目と、内容表記が省略されていると判別された前記項目と、を記憶することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の配筋リスト読取方法において、
前記縦横の罫線のうち、縦又は横の一方の罫線に対して、当該一方の罫線と交差する方向に引かれている横又は縦の他方の罫線が達していない場合に、前記一方の罫線に対して前記他方の罫線が達していると見なすべきか否かを判定する罫線判定工程を更に有し、
前記罫線判定工程にて、前記一方の罫線に対して前記他方の罫線が達していると見なすべきと判定された場合に、前記交点検出工程では、前記一方の罫線と前記他方の罫線の延長線とを仮想的に結んだ位置を交点とする処理を行うことを特徴とする。
【0015】
以上の課題を解決するため、請求項8に記載の発明は、プログラムであって、
コンピューターを、
建設物の配筋情報が含まれた縦横の罫線からなる複数のセルを有する配筋リストのイメージ情報を取得するイメージ情報取得部と、
前記イメージ情報から前記配筋リスト中の前記縦横の罫線を特定する罫線特定部と、
前記罫線特定部によって特定された前記縦横の罫線の交点を検出する交点検出部と、
前記交点検出部によって検出された前記交点から前記配筋リスト中の前記複数のセルを検出するセル検出部と、
前記複数のセルの各々に含まれた前記配筋情報を認識して解析する配筋情報解析部と、
前記配筋情報解析部によって解析された前記配筋情報を記憶する記憶部と、
前記配筋リストにおける前記複数のセルの配置パターンを解析するパターン解析部と、
前記パターン解析部によって解析された前記複数のセルの配置パターンから、項目ごとに切り出し線を解析する切り出し線解析部と、
前記切り出し線解析部で解析された切り出し線によって切り出された前記項目ごとに、前記配筋情報が含まれている項目と、前記配筋情報が含まれない項目と、内容表記が省略されている項目と、を判別する要不要判別部として機能させるプログラムであって、
前記切り出し線によって切り出された前記項目ごとに、前記配筋情報解析部によって、前記配筋情報の解析が行われるとともに前記記憶部に記憶され、
前記記憶部は、前記要不要判別部によって、前記配筋情報が含まれていると判別された前記項目と、前記配筋情報が含まれないと判別された前記項目と、内容表記が省略されていると判別された前記項目と、を記憶することを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のプログラムにおいて、
前記コンピューターを、
前記縦横の罫線のうち、縦又は横の一方の罫線に対して、当該一方の罫線と交差する方向に引かれている横又は縦の他方の罫線が達していない場合に、前記一方の罫線に対して前記他方の罫線が達していると見なすべきか否かを判定する罫線判定部として機能させ、
前記罫線判定部によって、前記一方の罫線に対して前記他方の罫線が達していると見なすべきと判定された場合に、前記交点検出部は、前記一方の罫線と前記他方の罫線の延長線とを仮想的に結んだ位置を交点とする処理を行うことを特徴とする。
【0017】
以上の課題を解決するため、請求項10に記載の発明は、リスト読取装置であって、
縦横の罫線からなる複数のセルを有するリストのイメージ情報を取得するイメージ情報取得部と、
前記イメージ情報から前記リスト中の前記縦横の罫線を特定する罫線特定部と、
前記縦横の罫線のうち、縦又は横の一方の罫線に対して、当該一方の罫線と交差する方向に引かれている横又は縦の他方の罫線が達していない場合に、前記一方の罫線に対して前記他方の罫線が達していると見なすべきか否かを判定する罫線判定部と、
前記縦横の罫線の交点を検出する交点検出部と、
前記交点検出部によって検出された前記交点から前記リスト中の前記複数のセルを検出するセル検出部と、
前記複数のセルの各々に含まれた情報を認識して解析する情報解析部と、
前記情報解析部によって解析された前記情報を記憶する記憶部と、
前記リストにおける前記複数のセルの配置パターンを解析するパターン解析部と、
前記パターン解析部によって解析された前記複数のセルの配置パターンから、項目ごとに切り出し線を解析する切り出し線解析部と、
前記切り出し線解析部で解析された切り出し線によって切り出された前記項目ごとに、前記情報が含まれている項目と、前記情報が含まれない項目と、内容表記が省略されている項目と、を判別する要不要判別部と、を備えており、
前記交点検出部は、
前記罫線特定部によって特定された前記縦横の罫線の交点を検出するとともに、
前記罫線判定部によって、前記一方の罫線に対して前記他方の罫線が達していると見なすべきと判定された場合に、前記一方の罫線と前記他方の罫線の延長線とを仮想的に結んだ位置を交点とする処理を行い、
前記切り出し線によって切り出された前記項目ごとに、前記情報解析部によって、前記情報の解析が行われるとともに前記記憶部に記憶され、
前記記憶部は、前記要不要判別部によって、前記情報が含まれていると判別された前記項目と、前記情報が含まれないと判別された前記項目と、内容表記が省略されていると判別された前記項目と、を記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、PDF化又は画像化された元のデータから必要な情報を切り取る作業を自動化して人の負担を軽減するとともに、元のデータから切り取った情報をデジタル化して他のICT技術に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】配筋リスト読取システムの構成を示す概略図である。
【
図2】配筋リスト読取装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】配筋リストにおける縦横の罫線の交点を検出した結果を示す図である。
【
図6】一方の罫線に対して他方の罫線が達していない場合の一例である。
【
図8】配筋リスト読取方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0021】
図1は、配筋リスト読取システムの一例を示すブロック図であり、符号1は、サーバー(例えばクラウドサーバー)を示す。このサーバー1は、建築物の配筋情報について記載された配筋リストがPDF化又は画像化された元のデータから必要な情報を切り取る作業を自動化するための配筋リスト読取装置を構成するコンピューターであり、
図2に示すように、演算部2と、通信部3と、記憶部4と、を備えている。
各部2,3,4は、バス等で電気的に接続されている。
【0022】
ここで、建設物は、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の建築物、橋梁、橋脚、岸壁、ケーソン、擁壁等のような構造物で、鉄筋が用いられる構造を有するものを指す。建築物を支える基礎を指してもよいものとする。なお、本実施形態においては、上記の建築物を例に挙げて説明する。
建築物の設計に係る設計図書には、
図3に示すような設計図(構造図)のうち、建築物を構成する構造部(柱、大梁、小梁、基礎梁、スラブ等の建築要素を指す)における配筋情報が、
図4~
図7に示すように、リスト化されて記載されている。設計図書は、CADで作成される場合が多く、勝手に内容を改ざんできないよう、一般的にはPDF化又は画像化、すなわちイメージ情報7aとされて関係業者に受け渡される。また、このように電子媒体(イメージ情報7a)として受け渡されるだけでなく、プリントアウトされて紙媒体7bで受け渡される場合もあり、紙媒体7bは、スキャナー6等によってスキャニングしてイメージ情報化(すなわち、PDF化又は画像化)されることとなる。
【0023】
本実施形態における配筋リスト読取装置は、イメージ情報化された設計図書から必要な配筋情報が含まれた配筋リスト7の部分を切り取り、切り取ったイメージ情報7aをデジタル化(テキストデータ化)するものである。
配筋情報は、建築物の配筋に係る文字情報と、当該文字情報に対応する画像情報のいずれかとされており、文字情報を、デジタル化(テキストデータ化)することができ、画像情報は、文字情報に紐づけられる。
デジタル化された情報は、他のICT技術への活用が可能となる。
また、本実施形態における配筋リスト読取装置は、
図3に示すような設計図(構造図)の通り芯及び通り芯符号や構造符号も読み取ることができ、各符号は、設計図に付与された文字情報として認識し、配筋リスト7の配筋情報と同様に、デジタル化(テキストデータ化)することができる。
【0024】
なお、イメージ情報化された配筋リスト7(7a)は、縦横の罫線8a,8bからなり、建築物の配筋情報が含まれた複数のセル8を有する。各々のセル8に含まれた配筋情報は、上記のように、建築物の配筋に係る文字情報と、当該文字情報に対応する画像情報のいずれかである。
文字情報は、具体的には、セル8内に記載された文字のすべてを指し、建築物を構成する構造部(柱、大梁、小梁、基礎梁、スラブ等の建築要素を指す)の種類を特定する文字情報と、当該構造部の位置を特定する文字情報と、その位置ごとの構造部の断面サイズを特定する文字情報と、その位置ごとの構造部における配筋の位置や種類、本数、径などを特定する文字情報と、のうち少なくともいずれかの文字情報が含まれている。
画像情報は、位置ごとの構造部の断面図が少なくとも含まれており、断面図では、その位置ごとの構造部における配筋の位置や種類、本数、径などを特定することができる。
【0025】
演算部2は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成されている。
そして、CPUは、記憶部4に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、サーバー1の各部の動作を集中制御する。
【0026】
また、演算部2は、AI(artificial intelligence)2aと協働して配筋リスト読取装置1における各種処理を実行できる。すなわち、配筋リスト読取装置1の各種機能は、演算部2とAI2aとの協働により実現される専用のハードウエアにより構成されることとしてもよい。また、AI2aは、記憶部4及びデータベース40に蓄積された情報の機械学習を行うことができる。
【0027】
通信部3は、通信モジュール等で構成されている。
そして、通信部3は、通信ネットワークNを介して有線又は無線で接続された汎用のコンピューターであるクライアント端末5との間で各種信号や各種データを送受信するようになっている。
この通信部3は、本実施形態の配筋リスト読取装置1におけるイメージ情報取得部の一部として機能し、配筋リスト読取装置1は、通信ネットワークNを通じてクライアント端末5から送信される配筋リスト7のイメージ情報7aを取得することができる。
【0028】
通信ネットワークNは、電話回線網、ISDN回線網、光ファイバー、移動体通信網、通信衛星回線、CATV回線網、その他の専用線等の各種通信回線網と、それらを接続するインターネットサービスプロバイダ(すなわち、インターネット)等を含んでいてもよい。また、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)、WiFi(Wireless Fidelity)、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)等の様々な通信網が互いに通信可能に接続された集合的な通信網であってもよい。
【0029】
記憶部4は、不揮発性のメモリーやハードディスク等により構成されている。記憶部4は、演算部2及びAI2aが実行する各種プログラム等を記憶している。
また、記憶部4は、配筋リスト7を基に解析されてデジタル化された配筋情報が記憶されるデータベース40を有する。データベース40に記憶された配筋情報は蓄積されて最適化される。クライアント端末5では、データベース40に記憶された配筋情報を、通信ネットワークNを通じて受信し、リスト化して表示することができる。
また、データベース40には、上記のような建築物の設計図(構造図)に係る図面情報が記憶されている。図面情報とは、当業者が見れば、建築物における各種の構造部の位置や大体の大きさが判断できるようになっている図面であり、データベース40には、
図3に示すような伏図や、軸組図、詳細図等の図面情報が記憶されている。また、図面情報には、様々な構造符号(すなわち、構造符号に係る第一文字情報に対応する第二文字情報)が付与されている。例えば構造部の一例である大梁の位置には、構造符号「G1」が付与されている。その他の構造部には、それぞれ別々の構造符号(第二文字情報)が付与されている。そして、データベース40には、図面情報と、これに付与された構造符号が解析されてデジタル化された文字情報が記憶される。
なお、データベース40は、サーバー1上に設けてもよく、通信部3を介して別のサーバーやクラウドサーバー上にもうけるようにしてもよい。
【0030】
記憶部4に記憶された上記の各種プログラムには、イメージ情報取得プログラムと、罫線特定プログラムと、罫線判定プログラムと、交点検出プログラムと、セル検出プログラムと、パターン解析プログラムと、切り出し線解析プログラムと、要不要判別プログラムと、配筋情報解析プログラムと、記憶プログラムと、が含まれ、サーバー1を、配筋リスト読取装置として機能させることができる。すなわち、これら各種プログラムは、演算部2(及びAI2a)との協働により各種処理を実行し、サーバー1の各部の動作を集中制御する。
【0031】
イメージ情報取得プログラムは、クライアント端末5から受信した配筋リスト7のイメージ情報7aを、配筋リスト読取装置1に対して入力するプログラムである。すなわち、イメージ情報取得プログラムは、通信モジュールである通信部3を、クライアント端末5から送信された配筋リスト7のイメージ情報7aを受信し、配筋リスト読取装置1に対してデータ入力を行う入力手段として機能させることができる。
なお、通信部3は、配筋リスト読取装置1からクライアント端末5に対してデータ送信を行う出力手段としても機能する。
【0032】
罫線特定プログラムは、イメージ情報7aから配筋リスト7中の縦横の罫線8a,8bを特定するプログラムであり、罫線特定プログラムによる判定にはAI2aが介入する。すなわち、イメージ情報7aに表示されている線のうち、建築物の配筋情報について記載された文字情報と、当該文字情報に対応する画像情報と、を除く縦横の線8a,8bを特定することができる。
【0033】
罫線判定プログラムは、罫線特定プログラムによって特定された縦横の罫線8a,8bのうち、縦又は横の一方の罫線8aに対して、当該一方の罫線8aと交差する方向に引かれている横又は縦の他方の罫線8bが達していない場合に、一方の罫線8aに対して他方の罫線8bが達していると見なすべきか否かを判定するプログラムである。
すなわち、
図6(a)に示すように、縦横の罫線8a,8bのうち、縦の一方の罫線8aに対して、当該一方の罫線8aと交差する方向に引かれている横の他方の罫線8bが達していない場合がある。このような場合に、他方の罫線8bが、一方の罫線8aに到達していると見なすか、到達していないと見なすか、の判定を、罫線判定プログラムによって行う。
また、罫線判定プログラムによる判定には、AI2aが介入する。より詳細に説明すると、初期段階では、他方の罫線8bが、一方の罫線8aに到達していると見なすか、到達していないと見なすか、の判定を人が行い、記憶部4及びデータベース40に教師データを蓄積する。AI2aは、記憶部4及びデータベース40に蓄積された教師データを基に機械学習を行うので、良好な結果が得られるまで機械学習を継続する。良好な結果が得られるようになった後は、AI2aが介入する判定を行うようにする。
【0034】
交点検出プログラムは、罫線特定プログラムによって特定された縦横の罫線8a,8bの交点9を検出するプログラムである。一方の罫線8aと他方の罫線8bとが確実に交差している場合は容易に交点9を検出できるが、上記のように一方の罫線8aに対して他方の罫線8bが達していない場合には、まず、罫線判定プログラムによる判定を行い、他方の罫線8bが、一方の罫線8aに到達していると見なすと判定された場合に、
図6(b)に示すように、その位置にも交点9を検出する。
【0035】
セル検出プログラムは、交点検出プログラムによって検出された交点9から配筋リスト7(7a)中の複数のセル8を検出するプログラムであり、セル検出プログラムによるセルの検出にはAI2aが介入する。すなわち、配筋リスト7(7a)中の、少なくとも4つの交点9で囲まれた矩形状の部分がセル8として検出される。
【0036】
パターン解析プログラムは、配筋リスト7(7a)における複数のセル8の配置パターンを解析するプログラムであり、パターン解析プログラムによる解析にはAI2aが介入する。すなわち、配筋リスト7(7a)における最外周の位置は決まっているので、それをどのように細分化し、どの大きさのセル8が、どれだけの量があって、それがどのように配置されているか、その配置パターンを解析することができる。
図4のV部拡大図である
図5を例に挙げて説明すると、
図5には、大きさの異なる6種類のセル8が存在している。そして、複数のセル8のうち、左右の幅(もしくは、左右に並ぶ複数のセル8の左右の幅の和、としてもよい)が等しいセル8同士は、上下に並んで配置されている。また、左右に並ぶ複数のセル8は、左右の幅が異なっていても問題ないが、上下の高さは等しい。
【0037】
切り出し線解析プログラムは、パターン解析プログラムによって解析された複数のセル8の配置パターンに基づいて、項目(ひとまとまりの情報群)ごとに切り出し線10a,10bを解析するプログラムであり、切り出し線解析プログラムによる切り出し線の設定にはAI2aが介入する。すなわち、配筋リスト7(7a)は、情報を細分化して、うまく分類するためのものであるから、その特性上、複数のセル8の並びには、連続性や規則性が生じる。切り出し線解析プログラムは、その連続性や規則性を解析し、
図7に示すように、解析結果に基づいて配筋リスト7(7a)に縦横の切り出し線10a,10bを仮想的に引いていく。換言すれば、切り出し線解析プログラムは、パターン解析プログラムによって解析された複数のセル8の配置パターンに基づいて、ひとまとまりになっていると推定できる情報群の切り出し位置を解析する。つまり、切り出し線10a,10bとは、一方の情報群と他の情報群との境界の位置を示している。
ひとまとまりの情報群については、
図4のV部拡大図である
図5を例に挙げて説明すると、符号V1で示す位置の複数のセル8を指している。V1には、建築物4階の符号G1の位置にある構造部の全断面についての仕様に係る情報が含まれている。より詳細に説明すると、6種類(B×D、上端筋、下端筋、カットオフ、スターラップ、腹筋)の文字情報と、その文字情報に対応する画像情報と、が表記された仕様欄となっている。
そして、文字情報に対応する画像情報は、符号G1の位置にある構造部の断面図(部材形状)を指しており、6種類の文字情報は、当該構造部の仕様に係る情報を示している。
「B×D」のうち「B(Breadth)」は、構造部の断面における幅寸法を示し、「D(Depth)」は、構造部の部材せい(高さ寸法や奥行き寸法)を示している。符号V1で示すセル8のうち、「B×D」の右側に位置するセル8には、構造部の断面における幅寸法と、構造部の部材せいが記載されている。
「上端筋」は、上端筋の本数と呼び径を示しており、符号V1で示すセル8のうち、「上端筋」の右側に位置するセル8には、構造部に使われる上端筋の本数と鉄筋種別と呼び径が記載されている。
「下端筋」は、下端筋の本数と呼び径を示しており、符号V1で示すセル8のうち、「下端筋」の右側に位置するセル8には、構造部に使われる下端筋の本数と鉄筋種別と呼び径が記載されている。
「カットオフ」は、カットオフの位置と長さを示しており、符号V1で示すセル8のうち、「カットオフ」の右側に位置するセル8には、構造部に使われるカットオフの情報が記載されるが、ここではカットオフが用いられておらずブランクとされている。
「スターラップ」は、スターラップの記号と呼び径と間隔を示しており、符号V1で示すセル8のうち、「スターラップ」の右側に位置するセル8には、構造部に使われるスターラップの記号と呼び径と間隔が記載されている。
配筋リスト7(7a)には、このような仕様欄が複数含まれている。
なお、切り出し線解析プログラムによる切り出し線の設定にAI2aが介入する場合において、例えば文字情報「上端筋」を挙げて説明すると、
図5の画像情報(建築物4階の符号G1の位置にある構造部の全断面)中のうち、「せん断補強筋に囲まれた丸印(●)であって、かつ、外周の上側にまとまって表示されているもの=上端筋」という形でAI2aに理解させることができる。このようなAI2aによる学習・判断は、配筋検査の自動化を図る上では必須となり得る。ただし、
図5の画像情報のうち、どの部分が上端筋であるかの判別は、ステレオカメラによる画像解析の段階で行うものとしてもよい。
【0038】
要不要判別プログラムは、切り出し線解析プログラムによって切り出された上記の複数の仕様欄のうち、配筋情報(文字情報、画像情報)が含まれるセル8と、配筋情報(文字情報、画像情報)が含まれないセル8と、「同上」とされて内容表記が省略されているセル8と、を判別するプログラムである。要不要判別プログラムによる判別にはAI2aが介入し、切り出し線解析プログラムによって切り出された複数の仕様欄が、上記のいずれのセル8であるかを判別する。
配筋情報(文字情報、画像情報)が含まれているセル8の一例では、建築物に対応する位置情報と、その位置情報に対応する配筋情報(文字情報、画像情報)を有する。記憶部4には、位置情報と配筋情報が記憶されることとなる。
配筋情報(文字情報、画像情報)が含まれないセル8の一例では、建築物に対応する位置情報については有している。記憶部4には、配筋情報がない状態であることが記憶されることとなる。
「同上(〃)」又は「同左(〃)」とされて内容表記が省略されているセル8には、上方又は左方に位置するセル8と同じ配筋情報が表記されているものと見なされる。
【0039】
配筋情報解析プログラムは、複数のセル8の各々に含まれた配筋情報を認識して解析するプログラムであり、配筋情報解析プログラムによる推定にはAI2aが介入する。配筋情報は、上記のように、建築物の配筋に係る文字情報と、当該文字情報に対応する画像情報のいずれかとして認識される。
文字情報を解析する場合は、セル8内の文字を1文字ずつ切り出し、切り出した文字の特徴を抽出し、抽出した特徴を内蔵辞書と照合して特徴の認識結果が一番近いものを解析の結果とする。解析された文字情報は、デジタル化された状態で記憶部4に記憶される。
画像情報を解析する場合は、文字として認識できるか否かによって解析が行われ、文字として認識できない場合は、画像情報として認識される。画像情報は、文字情報と紐づけられて記憶部4に記憶される。
さらに、配筋情報解析プログラムによる配筋情報の解析は、切り出し線によって切り出された項目(仕様欄)ごとに行われるため、セル8に含まれる画像情報が、どのセル8に含まれる文字情報に対応するか否かの判定は、切り出し線解析プログラムによって併せて行われることとなる。すなわち、切り出し線解析プログラムは、複数のセル8の配置パターンに基づいて、ひとまとまりになっていると推定できる情報群の切り出し位置を解析するので、画像情報も、例えば
図5の符号V1で示すように、文字情報と共にひとまとまりなっていると推定されることになる。
【0040】
配筋情報解析プログラムによって解析される配筋情報(文字情報)について、より詳細に説明すると、例えば
図4~
図7に示すように、配筋リスト7(7a)中の表頭や表側に位置する各セル8には、配筋リスト7(7a)中の情報をうまく分類するために、行名や列名が記載されている。
【0041】
図4のV部拡大図である
図5を例に挙げると、表側において上下に並ぶ複数のセル8のうち最も表頭側(一番上)に位置するセル8には、行名として「符号」と表示されており、その右側のセル8には、列名として「G1」と表示されている。これは、符号V1で示す仕様欄の情報が、
図3に示す設計図(構造図)のうち「G1」の符号(構造符号)が付与された位置の構造部(ここでは大梁)に係る情報であることを示している。
すなわち、配筋リスト7(7a)には、建築物の部位(構造部:ここでは大梁)を示す構造符号に係る第一文字情報が含まれている。
図5の例では、「G1」が、構造符号に係る第一文字情報に該当する。このような、構造符号に係る第一文字情報は、
図3に示すような図面情報に付与された構造符号(すなわち、上記の第二文字情報)と対応している。換言すれば、構造符号に係る第一文字情報と、これに対応する第二文字情報は、データベース40に記憶されたデータとして紐付けられている。
【0042】
「符号」と表示されたセル8の下側には、行名として「位置」と表示されたセル8があり、「G1」とされたセル8のすぐ下側のセル8には「全断面」と表示されている。すなわち、G1の符号が付与された位置の構造部の全断面が、符号V1で示す仕様欄の情報どおりの仕様となっていることを示している。なお、
図3に示すように、符号G1で示す構造部は複数あるが、その複数の符号G1で示す構造部が、符号V1で示す仕様欄の情報どおりの仕様となっている。
【0043】
「位置」と表示されたセル8の下側には、行名として「4階」と表示されたセル8があり、建築物の階数が表されている。そして、この階数表示のセル8の右側に位置するセル8には、画像情報(配筋図)が表示されている。
【0044】
「4階」と表示されたセル8の下側には、それぞれ行名として「B×D」「上端筋」「下端筋」「カットオフ」「スターラップ」「腹筋」と表示されたセル8がある。
「B×D」は、構造部における断面の縦横のサイズを分類するための行名であり、その右側のセル8には、建築物4階のG1の符号が付与された位置の構造部における断面の縦横のサイズが表示されている。
「上端筋」は、構造部における上端筋の仕様を分類するための行名であり、その右側のセル8には、建築物4階のG1の符号が付与された位置の構造部における上端筋の仕様が表示されている。
「下端筋」は、構造部における下端筋の仕様を分類するための行名であり、その右側のセル8には、建築物4階のG1の符号が付与された位置の構造部における下端筋の仕様が表示されている。
「カットオフ」は、構造部におけるカットオフの長さの仕様を分類するための行名であり、その右側のセル8には、建築物4階のG1の符号が付与された位置の構造部におけるカットオフの仕様が表示されている(
図5例での表示は、カットオフが使われていないことを示している)。
「スターラップ」は、構造部におけるスターラップ筋の仕様を分類するための行名であり、その右側のセル8には、建築物4階のG1の符号が付与された位置の構造部におけるスターラップ筋の仕様が表示されている。
「腹筋」は、構造部における腹筋の仕様を分類するための行名であり、その右側のセル8には、建築物4階のG1の符号が付与された位置の構造部における腹筋の仕様が表示されている。
【0045】
記憶プログラムは、配筋情報解析プログラムによって解析された配筋情報である文字情報及び画像情報をデータベース化して記憶するプログラムである。データベース40に対してデジタル化されて記憶された配筋情報は、通信ネットワークNを通じてクライアント端末5で利用することができる。
そして、上記の符号V1で示すひとまとまりの情報群、すなわち、階数表示のセル8の右側に位置するセル8に表示された画像情報(配筋図)と、B×D、上端筋、下端筋、カットオフ、スターラップ、腹筋等の仕様欄における文字情報は、上記の構造符号に係る第一文字情報「G1」に紐付けられて記憶部4(データベース40)に記憶されることとなる。また、上記のように、構造符号に係る第一文字情報は、図面情報に付与された構造符号(第二文字情報)と対応し、データとして紐付けられている。そのため、例えばクライアント端末5の表示部で図面情報(
図3)を表示し、第二文字情報「G1」の位置に、マウス等の操作でポインターを合わせて選択すると、上記の構造符号に係る第一文字情報「G1」に紐付けられた画像情報(配筋図)と各仕様欄の文字情報、すなわち配筋情報を、表示部に重ねて表示することができる。表示部に表示された配筋情報は、デジタル化して他のICT技術に活用することができる。
【0046】
次に、
図8等を参照し、以上のように構成された配筋リスト読取システムによって、建築物の配筋情報について記載された配筋リスト7(7a)から自動的に必要な情報を切り取る方法について説明する。
【0047】
まず、配筋リスト7は、
図1,
図4に示すように、PDF化又は画像化されたイメージ情報7aの形態か、紙媒体7bであり、紙媒体7bの場合は、スキャナー6等によってスキャニングしてイメージ情報7aの形態にする。なお、カメラ撮影によってイメージ情報化してもよい。
【0048】
配筋リスト7のイメージ情報7aは、通信ネットワークNを通じてクライアント端末5からサーバー1(配筋リスト読取装置1)へと送信される。
イメージ情報取得部である通信部3は、クライアント端末5から送信された配筋リスト7のイメージ情報7aを受信し、配筋リスト読取装置1に対してデータ入力を行う(ステップS1)。
【0049】
続いて、演算部2及びAI2aによって各種プログラムを実行し、配筋リスト読取装置1における各種機能を発揮する。
すなわち、まずは罫線特定プログラムを実行し、配筋リスト7(7a)中の縦横の罫線8a,8bを特定する(ステップS2)。
【0050】
罫線特定プログラムによって特定された縦横の罫線8a,8bのうち、一方の罫線8aに対して、交差する方向に引かれている他方の罫線8bが達していない場合に、一方の罫線8aに対して他方の罫線8bが達していると見なすべきか否かを判定する必要が生じる。その場合は、罫線判定プログラムを実行して判定を行う(ステップS3)。
ステップS3で、他方の罫線8bが、一方の罫線8aに到達していないと見なすと判定された場合にはステップS4へと進み、到達していると見なすと判定された場合にはステップS5へと進む。
ステップS4では、一方の罫線8aと他方の罫線8bの延長線とを仮想的に結ぶ。すなわち、他方の罫線8bを仮想的に延長し、演算部2及びAI2aが、一方の罫線8aと他方の罫線8bが交差していると認識できるような仮想処理を行う。
なお、他方の罫線8bが、一方の罫線8aに到達しない場合、一方の罫線8aは、配筋リスト7(7a)を構成する罫線と見なされないことになるので、一方の罫線8a上に交点9は検出されない。
【0051】
ステップS5では、交点検出プログラムによって縦横の罫線8a,8bの交点9を検出する。一方の罫線8aと他方の罫線8bとが確実に交差している場合は容易に交点9を検出できる。また、ステップS4で仮想処理が行われた一方の罫線8aと他方の罫線8bの延長線とが交差する箇所にも交点9を検出する。
【0052】
続いて、セル検出プログラムを実行し、交点検出プログラムによって検出された交点9から配筋リスト7(7a)中の複数のセル8を検出する(ステップS6)。
セル8は、少なくとも4つの交点9で囲まれた矩形状の部分を指し、配筋リスト7(7a)中には、様々な大きさのセル8が含まれており、その一つ一つを、セル検出プログラムによって検出する。
【0053】
続いて、パターン解析プログラムを実行し、配筋リスト7(7a)における複数のセル8の配置パターンを解析する(ステップS7)。すなわち、どの大きさのセル8が、どれだけの量があって、それがどのように配置されているか、その配置パターンを解析する。配筋リスト7(7a)中、表頭や表側にあるようなセル8は、他のセル8の分類を決定するために設けられているパターンが多く、その数やサイズは、他のセル8の数やサイズにも影響する。また、配筋リスト7(7a)は、情報を細分化して、うまく分類するためのものであるから、その特性上、複数のセル8の並びには、連続性や規則性が生じる。
【0054】
続いて、切り出し線解析プログラムを実行し、パターン解析プログラムによって解析された複数のセル8の配置パターンに基づいて、項目(ひとまとまりの情報群)ごとに切り出し線10a,10bを解析する(ステップS8)。
すなわち、配筋リスト7(7a)における複数のセル8のうち、ひとまとまりになっていると推定できる情報群の切り出し位置(境界線)を、切り出し線解析プログラムを実行して解析する。具体的には、表頭や表側にあるようなセル8は除き、これら表頭や表側にあるようなセル8によって分類が決定される側の、複数の他のセル8を、項目(ひとまとまりの情報群)ごとに切り出すようにする。
【0055】
続いて、要不要判別プログラムを実行し、切り出し線解析プログラムによって切り出された上記の複数の仕様欄のうち、配筋情報(文字情報、画像情報)が含まれているセル8と、配筋情報(文字情報、画像情報)が含まれないセル8と、「同上」又は「同左」とされて内容表記が省略されているセル8と、を判別する(ステップS9)。
なお、例えば「〃(ノノ字点、同じく記号、とも称する)」のように、同上(同左)であることを意味する記号(約物)が記入されて内容表記が省略されているセル8も判別することができるものとする。
【0056】
続いて、配筋情報解析プログラムを実行し、複数のセル8の各々に含まれた配筋情報を認識して解析する(ステップS10)。
配筋情報解析プログラムによって解析された文字情報は、デジタル化された状態で記憶部4に記憶される。また、配筋情報解析プログラムによって解析された画像情報は、文字情報と紐づけられて記憶部4に記憶される。
そして、記憶部4は、配筋情報である文字情報及び画像情報をデータベース化して記憶する(ステップS11)。すなわち、デジタル化された状態の文字情報と、この文字情報に紐づけられた画像情報と、をデータベース40に記憶する。
【0057】
また、建築物の設計図(構造図)の場合も、ステップS1のように、紙媒体の場合はスキャナー6等によってスキャニングするかカメラ撮影してイメージ情報の形態にし、イメージ情報を、配筋リスト読取装置1へと送信する。
そして、ステップS10のように、配筋情報解析プログラムによって、図面情報に付与された構造符号(第二文字情報)を認識して解析する。配筋情報解析プログラムによって解析された構造符号(第二文字情報)は、デジタル化された状態で記憶部4(データベース40)に記憶される。
【0058】
クライアント端末5で例えば配筋検査の帳票等の書類データを作成する際は、クライアント端末5からの信号に応じ、通信部3及び通信ネットワークNを通じて、配筋リスト読取装置1からクライアント端末5に対して必要な配筋情報のデータ送信を行う。このとき、
図3に示すような図面情報に付与された構造符号(第二文字情報)からも配筋情報のデータを読み出すことができる。
クライアント端末5のユーザーは、配筋リスト読取装置1から受信した配筋情報を用いて、書類データを容易に作成することができる。
【0059】
なお、本実施形態においては、配筋リスト読取装置1に通信可能に接続されたクライアント端末5を含んで実現されるものとしたが、配筋リスト読取装置1のみで実現されるものとしてもよい。あるいは、配筋リスト読取装置1の機能の一部が、クライアント端末5に実装された形態で実現されてもよい。
【0060】
本実施形態によれば、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、建築物の配筋情報が含まれた複数のセル8を有する配筋リスト7のイメージ情報7aを取得し、イメージ情報7aから配筋リスト7中の縦横の罫線8a,8bを特定し、特定された縦横の罫線8a,8bの交点9を検出し、検出された交点9から配筋リスト7(7a)中の複数のセル8を検出し、複数のセル8の各々に含まれた配筋情報を認識して解析し、解析された配筋情報を記憶するので、配筋リスト7のイメージ情報7aを取得すれば、配筋リスト7(7a)中の複数のセル8の各々に含まれた配筋情報を認識して解析し、解析された配筋情報を記憶するまでの作業を自動化できる。これにより、配筋リスト7に基づいて、例えば配筋検査の帳票等の書類データを作成する人の負担を軽減できるとともに、イメージ情報7aから切り取った情報をデジタル化して他のICT技術に活用することができる。
【0061】
また、縦横の罫線8a,8bのうち、縦又は横の一方の罫線8aに対して、当該一方の罫線8aと交差する方向に引かれている横又は縦の他方の罫線8bが達していない場合に、一方の罫線8aに対して他方の罫線8bが達していると見なすべきか否かを判定し、一方の罫線8aに対して他方の罫線8bが達していると見なすべきと判定された場合に、一方の罫線8aと他方の罫線8bの延長線とを仮想的に結んだ位置を交点9とする処理を行うので、実際には、一方の罫線8aに対して他方の罫線8bが達していなくても、交点9を検出することができる。これにより、配筋リスト7における縦横の罫線8a,8bの精度が高くない場合であっても、複数のセル8の各々に含まれた配筋情報を認識することができる。
【0062】
また、各々のセル8に含まれた配筋情報は、建築物の配筋に係る文字情報と、当該文字情報に対応する画像情報のいずれかであり、これら文字情報及び画像情報をデータベース化して記憶するので、配筋リスト7のイメージ情報7aから切り取った文字情報と、当該文字情報に対応する画像情報をデジタル化して他のICT技術に活用することができる。
【0063】
また、配筋リスト7(7a)における複数のセル8の配置パターンを解析し、解析された複数のセル8の配置パターンから、項目(ひとまとまりの情報群:仕様欄)ごとに切り出し線10a,10bを解析し、切り出し線によって切り出された項目ごとに、配筋情報の解析を行うとともに記憶部に記憶するので、縦横の罫線8a,8b、行名や列名等によって分類された配筋情報ごとに記憶することができ、データベース化しやすい。
【0064】
また、切り出し線10a,10bによって切り出された項目(ひとまとまりの情報群:仕様欄)ごとに、配筋情報が含まれない項目と、内容表記が省略されている項目と、を判別する要不要判別プログラムを備えており、記憶部4(データベース40)は、要不要判別プログラムによって、配筋情報が含まれないと判別された項目と、内容表記が省略されていると判別された項目と、を記憶するので、配筋情報が含まれないと判別された項目と、内容表記が省略されていると判別された項目について詳細な情報を記憶する必要がなくなり、データベース40の効率化を図ることができる。
【0065】
また、配筋リスト7(7a)には、建築物の部位を示す構造符号に係る第一文字情報(例えば
図5に示す「G1」)が含まれ、切り出し線10a,10bによって切り出された項目ごとの配筋情報は、構造符号に係る第一文字情報と紐付けられて記憶部4(データベース40)に記憶されるので、建築物の部位を示す構造符号に係る第一文字情報ごとに、配筋情報をまとめて記憶することができ、データベース化しやすい。
【0066】
また、記憶部4(データベース40)には、建築物の構造図に係る図面情報が記憶され、構造図に係る図面情報には、配筋リスト7(7a)に含まれた構造符号に係る第一文字情報(例えば
図5に示す「G1」)と対応する第二文字情報(例えば
図3に示す「G1」)が付与されているので、配筋リスト7(7a)に含まれた構造符号に係る第一文字情報と、図面情報に付与された第二文字情報と、をデータとして紐付けることができる。これにより、建築物の構造図に係る図面情報のうち、構造部の位置に対応した配筋リスト7(7a)の配筋情報を読み出して利用することができる。
【0067】
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下の変形例において、上記の実施形態と共通する要素については説明を省略又は簡略する。
【0068】
本変形例は、配筋リスト7以外の、例えば商取取引、公的文書等、定型フォームに文字入力されたリストの読み取りを可能とするリスト読取装置である。
本変形例のリスト読取装置は、上記の実施形態における配筋リスト読取装置1と同様に、コンピューターによって構成されている。リスト読取装置における演算部は、AIと協働してリスト読取装置における各種処理を実行する。また、AIは、記憶部及びデータベースに蓄積された情報の機械学習を行うことができる。
このリスト読取装置は、各種機能として、イメージ情報取得部と、罫線特定部と、罫線判定部と、交点検出部と、セル検出部と、情報解析部と、記憶部と、を備える。
【0069】
イメージ情報取得部は、上記の実施形態におけるイメージ情報取得部と同様に、縦横の罫線からなる複数のセルを有するリストのイメージ情報を取得する。
罫線特定部は、上記の実施形態における罫線特定部と同様に、イメージ情報からリスト中の縦横の罫線を特定する。
罫線判定部は、上記の実施形態における罫線判定部と同様に、縦横の罫線のうち、縦又は横の一方の罫線に対して、当該一方の罫線と交差する方向に引かれている横又は縦の他方の罫線が達していない場合に、一方の罫線に対して他方の罫線が達していると見なすべきか否かを判定する。
交点検出部は、上記の実施形態における交点検出部と同様に、縦横の罫線の交点を検出する。
セル検出部は、上記の実施形態におけるセル検出部と同様に、交点検出部によって検出された交点からリスト中の複数のセルを検出する。
情報解析部は、上記の実施形態における情報解析部と同様に、複数のセルの各々に含まれた情報を認識して解析する。
記憶部は、上記の実施形態における記憶部と同様に、情報解析部によって解析された情報を記憶する。
【0070】
そして、交点検出部は、罫線特定部によって特定された縦横の罫線の交点を検出するとともに、罫線判定部によって、一方の罫線に対して他方の罫線が達していると見なすべきと判定された場合に、一方の罫線と他方の罫線の延長線とを仮想的に結んだ位置を交点とする処理を行う。
【0071】
クライアント端末で書類データを作成する際は、クライアント端末からの信号に応じ、通信部及び通信ネットワークを通じて、リスト読取装置からクライアント端末に対して必要な配筋情報のデータ送信を行う。
クライアント端末のユーザーは、リスト読取装置から受信した情報を用いて、書類データを容易に作成することができる。
【0072】
本変形例によれば、縦横の罫線からなる複数のセルを有するリストのイメージ情報を取得し、イメージ情報からリスト中の縦横の罫線を特定し、特定された縦横の罫線の交点を検出し、検出された交点からリスト中の複数のセルを検出し、複数のセルの各々に含まれた情報を認識して解析し、解析された情報を記憶するので、リストのイメージ情報を取得すれば、リスト中の複数のセルの各々に含まれた情報を認識して解析し、解析された情報を記憶するまでの作業を自動化できる。これにより、リストに基づいて、各種の書類データを作成する人の負担を軽減できるとともに、イメージ情報から切り取った情報をデジタル化して他のICT技術に活用することができる。
また、縦横の罫線のうち、縦又は横の一方の罫線に対して、当該一方の罫線と交差する方向に引かれている横又は縦の他方の罫線が達していない場合に、一方の罫線に対して他方の罫線が達していると見なすべきか否かを判定し、一方の罫線に対して他方の罫線が達していると見なすべきと判定された場合に、一方の罫線と他方の罫線の延長線とを仮想的に結んだ位置を交点とする処理を行うので、実際には、一方の罫線に対して他方の罫線が達していなくても、交点を検出することができる。これにより、リストにおける縦横の罫線の精度が高くない場合であっても、複数のセルの各々に含まれた情報を認識することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 配筋リスト読取装置
2 演算部
2a AI
3 通信部
4 記憶部
40 データベース
5 クライアント端末
6 スキャナー
7 配筋リスト
7a イメージ情報
7b 紙媒体
8 セル
8a 一方の罫線
8b 他方の罫線
9 交点
10a 切り出し線
10b 切り出し線
N 通信ネットワーク
【要約】 (修正有)
【課題】PDF化又は画像化された元のデータから必要な情報を切り取る作業を自動化して人の負担を軽減するとともに、元のデータから切り取った情報をデジタル化して他のICT技術への活用を可能にする配筋リスト読取装置、リスト読取装置、配筋リスト読取方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】配筋リスト読取装置1は、建設物の配筋情報が含まれた複数のセルを有する配筋リスト7のイメージ情報7aを取得するイメージ情報取得部と、イメージ情報7aから配筋リスト7中の縦横の罫線を特定する罫線特定部と、罫線特定部によって特定された縦横の罫線の交点を検出する交点検出部と、交点検出部によって検出された交点から配筋リスト7中の複数のセルを検出するセル検出部と、複数のセルの各々に含まれた配筋情報を認識して解析する配筋情報解析部と、配筋情報解析部によって解析された配筋情報を記憶する記憶部と、を備える。
【選択図】
図1