IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ モレックス インコーポレイテドの特許一覧

特許7268180アレイ導波路回折格子(AWG)モジュール用の新しく改善された可変二方向性熱補償器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】アレイ導波路回折格子(AWG)モジュール用の新しく改善された可変二方向性熱補償器
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20230425BHJP
【FI】
G02B6/12 336
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021549553
(86)(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-04
(86)【国際出願番号】 US2019019921
(87)【国際公開番号】W WO2020176089
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】シュユ チャン
(72)【発明者】
【氏名】グレン リー
(72)【発明者】
【氏名】マイク ファン
(72)【発明者】
【氏名】タイチョン ファン
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-065562(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0208417(US,A1)
【文献】特表2007-536567(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0234200(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107490823(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12 - 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学ネットワーク内で波長多重化及び逆多重化を達成するために利用される非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールと共に使用するための熱補償器であって、
非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールに接続されるように適合された弓形フレーム部材と、
該弓形フレーム部材の第1の端部セクションに取り付けられた第1の端部分を有して取り付けられた中央バー部材と、を備え、
前記弓形フレーム部材が、第1の熱膨張係数(CTE)を有する第1の所定の材料から作製されており、前記中央バー部材が、前記弓形フレーム部材を構成する前記第1の所定の材料の第1の熱膨張係数(CTE)未満である第2の熱膨張係数(CTE)を有する第2の所定の材料から作製され、
前記弓形フレーム部材は、前記中央バー部材が内部に配置される中央中空部分を画定し、
前記弓形フレーム部材の前記第1の端部セクションとは反対側の第2の端部セクション内にねじ式に係合された第1の端部分と、前記中央バー部材の第2の端部分と係合される第2の端部分と、を有するねじであって、前記熱補償器が冷たい温度条件下で完全に収縮したときに、前記中央バー部材の第2の端部分が前記ねじと係合して配置されるようにする、ねじを更に備える、熱補償器。
【請求項2】
比較的高い温度条件下では、前記弓形フレーム部材が、前記中央バー部材よりも大きい速度で膨張するが、比較的低い温度条件下では、前記中央バー部材の収縮が、前記弓形フレーム部材の収縮よりも遅い速度で、前記弓形フレーム部材の収縮を効果的に遅らせる、請求項1に記載の熱補償器。
【請求項3】
比較的高い又は比較的低い温度条件下では、前記弓形フレーム部材は、前記非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールに入る光の入射光路が角度シフトを経験するように、膨張及び収縮する、請求項2に記載の熱補償器。
【請求項4】
前記中央バー部材が、前記弓形フレーム部材の第1の端部セクションと係合される中央バー部材を横断する方向に配向されたヘッドセクションを有するとともに、ねじ式に調節可能なねじの第2の端部分と係合される足セクションを有する実質的にT字形の構成を有する、請求項1に記載の熱補償器。
【請求項5】
前記ねじが、前記中央バー部材のヤング率よりも大きいヤング率を有する所定の材料から作製されており、
前記ねじのヤング率と実質的に同じヤング率を有する所定の材料から作製された保護ブロックが、前記中央バー部材の第2の端部分にしっかりと固定されており、前記中央バー部材の第2の端部分が前記ねじの第2の端部分と係合するとき、前記ねじが前記中央バー部材に損傷を与えることができないようにする、請求項1に記載の熱補償器。
【請求項6】
前記弓形フレーム部材の第1の端部セクションの外面部分にしっかりと固定された膨張強化ブロックを更に備え、該膨張強化ブロックが、前記弓形フレーム部材の熱膨張係数(CTE)よりも大きい熱膨張係数(CTE)を有する所定の材料から作製されていることにより、前記弓形フレーム部材の第1の端部セクションが、前記弓形フレーム部材の他のセクションよりも大きい速度で膨張することができる、請求項1に記載の熱補償器。
【請求項7】
前記弓形フレーム部材が、互いに鏡像である脚部を備える、請求項1に記載の熱補償器。
【請求項8】
前記弓形フレーム部材が、実質的に六角形の構成を有する、請求項1に記載の熱補償器。
【請求項9】
前記弓形フレーム部材が、実質的にダイヤモンド形状の構成を有する、請求項1に記載の熱補償器。
【請求項10】
前記弓形フレーム部材が、第1及び第2の端部セクションを共に相互接続する一対の脚部材を有し、
該一対の脚部材の両方が、弧状に構成されている、請求項1に記載の熱補償器。
【請求項11】
前記弓形フレーム部材が、前記第1及び第2の端部セクションを共に相互接続する一対の脚部材を有し、
該一対の脚部材のうちの第1のものが、弧状に構成されており、一方、前記一対の脚部材のうちの第2のものが、ダイヤモンドの半分を含む、請求項1に記載の熱補償器。
【請求項12】
前記弓形フレーム部材が、前記第1及び第2の端部セクションを共に相互接続する一対の脚部材を有し、
該一対の脚部材のうちの第1のものが、前記六角形の半分を含み、一方、前記一対の脚部材のうちの第2のものが、直線状であり、その上に画定された異なる厚さ領域を有する、請求項1に記載の熱補償器。
【請求項13】
前記弓形フレーム部材が、前記第1及び第2の端部セクションを共に相互接続する一対の脚部材を有し、
該一対の脚部材のうちの第1のものが、前記六角形の半分を含み、一方、前記一対の脚部材のうちの第2のものが、実質的にプリーツ状又は正弦波状の構成を有する、請求項1に記載の熱補償器。
【請求項14】
前記弓形フレーム部材が、前記第1及び第2の端部セクションを共に相互接続する一対の脚部材を有し、
該一対の脚部材の両方が、前記六角形の側面を画定するが、厚さが変化する部分を有する、請求項1に記載の熱補償器。
【請求項15】
前記弓形フレーム部材が、前記第1及び第2の端部セクションを共に相互接続する一対の脚部材を有し、
該一対の脚部材の両方が、前記六角形の側面を画定するが、前記脚部材に様々な質量を提供するように、内部に画定された線形スロットを有する、請求項1に記載の熱補償器。
【請求項16】
前記弓形フレーム部材が、前記第1及び第2の端部セクションを共に相互接続する一対の脚部材を有し、
前記弓形フレーム部材の第1の端部セクションが、前記T字形の中央バー部材のヘッド部分を収容するためのチャンバを備えている、請求項4に記載の熱補償器。
【請求項17】
前記中央バー部材が、円形の断面を有する円筒状ロッドと、矩形平行六面体を形成するロッドと、本体部分及び横断方向に配向されたヘッドセクションを含む実質的にT字形状の構成であって、前記ヘッドセクションが、前記本体部分の幅寸法の約半分のみである幅寸法を有する、構成と、本体部分及び横断方向に配向されたヘッドセクションを含む実質的にT字形状の構成であって、前記ヘッドセクションが、該ヘッドセクションから除去されたおよそ1つの角部又は1つの四分円を有する、構成と、長手方向軸に沿って延在する本体部分、及び横断方向に配向されたヘッドセクションを含む実質的にT字形状の構成であって、前記本体部分が、前記長手方向軸に沿って考慮すると、前記ヘッドセクションの軸方向の配置を越えて所定の距離突出する、構成とを含む群から選択される構成を有する、請求項1に記載の熱補償器。
【請求項18】
前記弓形フレーム部材及び前記中央バー部材が、最適な膨張及び収縮結果を達成するように、所定の熱膨張係数(CTE)を呈する任意の材料から作製されることができ、該材料が、鋼、鉄、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、コバルト、マグネシウム、コバール、黄銅、鉛、グラファイト、炭素、ゴム、セラミック、木材、エポキシ、陽極酸化アルミニウム、スズ、金、パラジウム、銀、モリブデン、白金、チタン、クロム、マンガン、様々なプラスチック、合金、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、及びビニルを含む群から選択される、請求項1に記載の熱補償器。
【請求項19】
光学ネットワークとの波長多重化及び逆多重化を達成するために利用される、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールであって、
ハウジングと、
固定構成要素と、
可動構成要素と、
熱補償器であって、固定端セクションと、前記非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの可動構成要素に接続されるように適合された可動端セクションと、を有する弓形フレーム部材であって、該弓形フレーム部材が高温及び低温条件下で膨張及び収縮するとき、前記非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの可動構成要素を移動又は変位させるようにする、弓形フレーム部材と、該弓形フレーム部材の可動端セクションに取り付けられた第1の端部分を有し、前記弓形フレーム部材の中央中空部分の内部に配置された中央バー部材であって、前記弓形フレーム部材の固定端セクション内に第1の端部分がねじ式に係合されたねじの第2の端部分と係合して配置される第2の端部分を有する中央バー部材と、を備える、熱補償器と、を備え、前記弓形フレーム部材が、第1の熱膨張係数(CTE)を有する第1の所定の材料から作製されており、前記中央バー部材が、前記弓形フレーム部材を構成する前記第1の所定の材料の第1の熱膨張係数(CTE)未満である第2の熱膨張係数(CTE)を有する第2の所定の材料から作製されていることにより、高温条件下では、前記弓形フレーム部材が、前記中央バー部材よりも大きい速度で膨張する一方で、低温条件下では、前記中央バー部材の収縮が、前記弓形フレーム部材の収縮よりも遅い速度で、前記弓形フレーム部材の収縮を効果的に遅らせることにより、前記非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールが、前記光学ネットワーク内の適切な波長多重化及び逆多重化を達成するために、前記非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールに入る光の適切な焦点を維持することができる、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール。
【請求項20】
前記非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの可動構成要素が、前記非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの断片部分を含む、請求項19に記載の非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール。
【請求項21】
前記非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールは、該非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの可動構成要素が、前記非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの第1の半分を含み、一方で、前記非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの固定構成要素が、前記非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの第2の半分を含むように、効果的に半分に分割されている、請求項19に記載の非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱補償器に関し、より具体的には、光学ネットワーク内の波長多重化及び逆多重化と共にひいては利用されるアレイ導波路回折格子(arrayed waveguide grating 、AWG)モジュールと共に利用することができる、新しく改善された熱補償器に関する。
【背景技術】
【0002】
光学ネットワーク内の波長多重化及び逆多重化と共に利用されるアレイ導波路回折格子(AWG)モジュールに関連して、温度が変化するにつれて、作動波長も変化し、それによって性能に影響を及ぼすことが見出されている。現在、2種類のアレイ導波路回折格子(AWG)モジュールが存在し、第1の種類のアレイ導波路回折格子(AWG)モジュールは、熱アレイ導波路回折格子(AWG)モジュールとして知られ、ヒータ及び熱電対が、モジュールの温度を一定に維持するために利用されている。このことは、波長安定性を明確に改善するが、ユニットは電力を消費し、システムに導入される追加の構成要素では、全体的なシステムの信頼性が幾分低減される。第2の種類のアレイ導波路回折格子(AWG)モジュールは、非加熱又は非熱アレイ導波路回折格子(athermal arrayed waveguide grating、AAWG)モジュールである。非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの1つの利点は、電力消費がゼロであるという点で、効果的に受動構造であることである。しかしながら、1つの大きな欠点は、非加熱又は非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールが、非常に良好に確立された作動温度範囲内でのみ確実に動作することである。現在、例えば、その温度範囲は-15℃から70℃まで及ぶが、-40℃~85℃の温度範囲内で利用されるこのような非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの使用が報告されている。しかしながら、このような温度範囲内のこのような非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールを利用する際の大きな欠点が、国際電気通信連合(International Telecommunication Union 、ITU)によって確立される波長オフセットとして知られる波長不安定性が大きいことにつながっていることも報告されている。
【0003】
非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールを利用してそのような波長不安定性を補償するために、様々な非加熱式の熱補償器が利用されてきた。例えば、図1図2を参照すると、従来のアレイ導波路回折格子(AWG)モジュール10を示す図1の1a~1cに示されるように、低温条件、中温条件を介して、高温条件までの間で温度が変化すると、従来のアレイ導波路回折格子(AWG)モジュール10の焦点はシフトすることが分かる。したがって、図2の2a~2cに示すように、図示されていない熱補償器を備えた非加熱又は非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール20が示されており、これは、非加熱又は非熱導波路回折格子(AAWG)モジュール20の焦点を効果的に再集束させるように、非加熱又は非熱導波路回折格子(AAWG)モジュール20の前方セクション22を物理的又は機械的に移動又は変位させて、これにより、結果として得られる出力焦点は、非加熱又は非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール20が利用されている範囲内の温度に関係なく、効果的に一定にされる。しかしながら、熱誘導波長変化が、広範に可変の動作温度範囲にわたって非線形であることも知られており、これは、例えば、非加熱又は非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール20の前方セクション22の機械的移動又は変位の補償は、非加熱又は非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール20が比較的暖かい環境内で動作しているときではなく、非加熱又は非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール20が比較的低温環境内で動作しているときに、異なることを意味する。
【0004】
従来の可変二方向性熱補償器の一例が図3に示されており、参照記号30によって示される。より具体的には、熱補償器30は、非加熱又は非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの可動又は変位可能セクションに接続されるか、又はこれと係合するように適合されるフレーム部材32であって、矩形平行六面体の構成を有する三次元の固体ブロックを効果的に含む、フレーム部材32と、非加熱又は非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの非可動又は非変位可能セクションに接続されるか、又はこれと係合するように適合されたねじ34と、を備えることが分かる。フレーム部材32及びねじ34が、実質的に異なる熱膨張係数(coefficient of thermal expansion、CTE)特性によって特徴付けられる具体的に予め決定された異なる材料から作製されることにより、非加熱又は非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールが動作している環境の温度として、フレーム部材32は、ねじの膨張又は収縮に対してより速い速度で膨張又は収縮し、したがって、非加熱又は非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの可動又は変位可能なセクションを低温から高温の環境に非線形に変位又は移動させる。しかしながら、不運にも、適切に異なる熱膨張係数(CTE)特性を呈する具体的に選択された材料からのそのような温度補償器の作製にもかかわらず、このような先行技術の設計は、実際に、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールが著しく異なる又はより広い温度範囲内で動作することを可能にするために要求される必要な熱補償を提供することができなかった。これは、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールが比較的冷たい又は低い温度によって特徴付けられる環境内で動作しているときの非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの可動セクションの所望の移動又は変位が、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールが比較的暖かい又は高い温度によって特徴付けられる環境内で動作しているときの非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの可動セクションの所望の移動又は変位とは異なるためである。熱補償器の先行技術の設計は、冷たい及び/又は暖かい環境内で動作するか、又はその環境からなる、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの補償要件を満たすように、膨張と収縮との間に十分に有意な差異を生じさせることができなかった。
【0005】
それゆえに、したがって、当技術分野では、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールが、実際に、大幅に異なる又は異種の温度を示す可能性がある温度範囲又は環境内で利用できるように、改善された熱補償を実際に達成できる、新しく改善された非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの必要性が存在する。換言すれば、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールが比較的冷たい又は低い温度の環境内で動作している場合に非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールが収縮する速度よりも、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールが比較的暖かい又は高い温度の環境内で動作している場合に高い速度で、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールが膨張することを可能にする熱補償器の使用の結果として、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールは、大幅に異なる又は異種の温度を示す可能性のある温度範囲又は環境内で実際には利用できる。
【発明の概要】
【0006】
上記の必要性は、本発明によって達成されており、本発明の原理及び教示に従って、新しく改善された熱補償器が開発されており、基本形態では、従来の固体ブロック矩形平行六面体の代わりに、膨張可能及び収縮可能な弓形の構成を有するフレーム部材を備えるように見える。中央バー部材は、中央バー部材の一端が、弓形フレーム部材の一方の内側端にしっかりと固定された状態で、弓形フレーム部材内に内部的に配置され、一方、中央バー部材の第2の反対側の端部は、弓形フレーム部材の第2の反対側の端部内にしっかりと取り付けられたねじと係合される。弓形フレーム部材及び中央バー部材は、異なる熱膨張係数(CTE)特性を有する、具体的に予め決定された異なる材料から作製される。このようにして、弓形フレーム部材は、中央バー部材が高温条件下で膨張するよりも実質的により高い速度で膨張することが可能であるが、反対に、弓形フレーム部材は、中央バー部材が比較的低い温度条件下で収縮する速度で収縮することのみができるように、中央バー部材によって効果的に拘束される。これはまさに、所望される熱補償の種類である。なぜなら、留意したように、熱補償器が接続されるように適合された非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの可動セクションは、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの適切な焦点を維持するように膨張する速度とは異なる速度で収縮する必要があるからである。また、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの適切な焦点を維持するために、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの可動又は変位可能なセクションの正確な移動又は変位を達成するために、熱補償器の弓形フレーム部材は、様々な異なる幾何学的構成又は形状を有してもよいことと、熱補償器の弓形フレーム部材は、様々な異なる材料から作製されてもよく、そのような様々な異なる材料は全て、異なる熱膨張特性を示し、弓形フレーム部材の様々なセクションのサイズ又は厚さ寸法を変化させてもよいことと、に留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の様々な他の特徴及び付随する利点は、添付図面と関連して考慮される場合、以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。ここで、同様の参照記号は、いくつかの図面全体を通して同様の又は対応する部分を示す。
【0008】
図1】1aは、従来の先行技術のアレイ導波路回折格子(AWG)モジュールの概略図であり、アレイ導波路回折格子(AWG)モジュールの焦点が、比較的低い温度範囲環境内で利用されるアレイ導波路回折格子(AWG)モジュールの結果として、第1の特定の方向にシフトされたものとして概略的に示されている図である。 1bは、1a内に開示されるような従来の先行技術のアレイ導波路回折格子(AWG)モジュールの概略図であり、アレイ導波路回折格子(AWG)モジュールの焦点が、中間温度範囲環境内で利用されるアレイ導波路回折格子(AWG)モジュールの結果として、その所望の所定の焦点から全くシフトされていないように概略的に示されている図である。 1cは、1b内に開示されるような従来の先行技術のアレイ導波路回折格子(AWG)モジュールの概略図であり、アレイ導波路回折格子(AWG)モジュールの焦点が、比較的高い温度範囲環境内で利用されるアレイ導波路回折格子(AWG)モジュールの結果として、第2の反対方向にシフトしたものとして概略的に示されている図である。
図2】2aは、従来の先行技術の非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの概略図であり、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールが比較的低い温度範囲環境内で利用されているという事実に起因して通常生じていたであろう、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの焦点のシフトを効果的に補償するように、熱補償器によって、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの前方部分が第1の方向に所定の距離移動又は変位される結果として一定に維持されているものとして、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの焦点が概略的に示されている図である。 2bは、2a内に開示されるような従来の先行技術の非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの概略図であり、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールが中間温度範囲環境内で利用されているという事実に起因して、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの前方部分を移動させる必要なしに一定に維持されるものとして、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの焦点が概略的に示されている図である。 2cは、2a内に示されるような従来の先行技術の非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの概略図であり、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールが比較的高い温度範囲環境内で利用されているという事実に起因して通常発生していたであろう非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの焦点のシフトを効果的に補償するように、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの焦点が、熱補償器によって、反対方向に所定の距離移動又は変位される非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの前方部分の結果として一定に維持されているものとして概略的に示されている図である。
図3】非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールと共に利用されている従来の先行技術の熱補償器の斜視図である。
図4】非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールと共に有利に利用されるように、本発明の原理及び教示に従って開発された、新しく改善された可変二方向性熱補償器の第1の実施形態の概略図である。
図5】中央バー部材の硬度パラメータよりも高い硬度パラメータを有する材料から作製されるねじによって中央バー部材が損傷するのを防ぐように、ねじと係合するように適合された中央バー部材の端部に保護ブロックが取り付けられている、本発明の新しく改善された可変二方向性熱補償器の中央バー部材の第2の実施形態の概略図である。
図5a図4のものと同様の概略図であるが、熱補償器の弓形フレーム部材には、弓形フレーム部材のヘッド端の外面部分に取り付けられた膨張強化ブロックが設けられていることを示す図である。
図6a】本発明の教示及び原理に従って開発された弓形フレーム部材の第2の実施形態の概略図であり、図4内に開示されるような実質的に軸方向に伸長された六角形に構成された弓形フレーム部材102の代わりに、図6a内に開示される弓形フレーム部材が、実質的にダイヤモンド形状の構成を有することを示す図である。
図6b】弓形フレーム部材の第3の実施形態の概略図であり、図4内に開示されるような弓形フレーム部材によって特徴付けられる線形側面及び脚の代わりに、弓形フレーム部材102bの第1及び第2の端部セクションが、弧状に構成された側面セクションによって共に相互接続されていることを示す図である。
図6c】弓形フレーム部材の第4の実施形態の概略図であり、図6b内に開示されるような、弓形フレーム部材の弧状に構成された側面セクションの一方が、1対の線形セグメントを含む側面セクションによって置き換えられており、これは、前述の実施形態の弓形フレーム部材とは異なり、弓形フレーム部材のこの第4の実施形態の2つの側面セクションは、互いに対称又は鏡像の構造ではなく、それにより、弓形フレーム部材が軸方向に膨張及び収縮すると、2つの側面セクションが、全体の弓形フレーム部材の膨張又は収縮がもはや直線的ではなく、所定の角運動又は変位も包含するか、又はそれも含むように、異なる膨張及び収縮移動又は変位を経験することを示す図である。
図6d】弓形フレーム部材の第5の実施形態の概略図であり、弓形フレーム部材の右側セクションが3つの線形セグメントを含み、図4内に示される弓形フレーム部材の側面セクションと実質的に同様であり、セグメントを備えるが、線形セグメントのうちの2つを共に相互接続する左側セクションが、左側セクションの線形範囲に対して横方向外側及び内側に突出する異なる厚さ部分が設けられた線形セグメントを備え、これにより、再び、弓形フレーム部材の左側と右側との間に画定された非対称構造を考慮すると、全体の弓形フレーム部材の膨張又は収縮はもはや直線的ではなく、所定の角運動又は変位も包含するか、又はそれも含むことを示す図である。
図6e】右側セクションが、図6d内に示されるような第5の実施形態の弓形フレーム部材の右側セクションに類似している、弓形フレーム部材の第6の実施形態の概略図であるが、弓形フレーム部材の左側セクションが、プリーツ状又は正弦波状に共に相互接続される複数のセクションを備え、これにより、全体的な弓形フレーム部材が膨張又は収縮を経験するときに、個々のプリーツ状又は正弦波形状のセクションが、互いに対して膨張又は収縮することになり、これにより、再び、全体的な弓形フレーム部材の膨張又は収縮がもはや直線的ではなく、所定の角運動又は変位も包含するか、又はそれも含むことになることを示す図である。
図6f】弓形フレーム部材の第7の実施形態の概略図であり、この第7の実施形態の弓形フレーム部材の構造が、このような側面セクションの厚さ寸法を変化させるように側面セクションの部分が除去されているという事実を除いて、第1の実施形態の弓形フレーム部材と実質的に同様であり、これにより、弓形フレーム部材の側面セクションの厚さ寸法のこのようなばらつきが、弓形フレーム部材の膨張及び収縮特性に影響を及ぼすことになることを示す図である。
図6g】弓形フレーム部材の第8の実施形態の概略図であり、第8の実施形態の弓形フレーム部材が、スロットが弓形フレーム部材の側面セグメント内にそれぞれ画定されているという事実を除いて、第1の実施形態の弓形フレーム部材と実質的に同様であり、これにより、スロットが、弓形フレーム部材の膨張及び収縮特性に影響を及ぼす弓形フレーム部材の側面セクションの厚さ寸法又は質量の変動を効果的に画定することを示す図である。
図6h】弓形フレーム部材の第9の実施形態の概略図であり、弓形フレーム部材が、実質的に矩形に構成されたチャンバが、中央バー部材のヘッド部分を収容するように弓形フレーム部材の内部に画定されるという事実を除いて、図4内に開示されるような、第1の実施形態の弓形フレーム部材と同様の構成を有し、これにより、弓形フレーム部材と一体構造を効果的に画定するように、中央バー部材が弓形フレーム部材に実際にしっかりと固定される必要はなく、しかしながら、中央バー部材が、弓形フレーム部材チャンバ内のそのヘッド部分の配置の結果として、弓形フレーム部材内の内部で定位置に効果的に係止されることを示す図である。
図7a】中央バー部材の第2の実施形態の概略図であり、図4内に示されるような中央バー部材104の実質的にT字形状の構成を有する代わりに、中央バー部材の第2の実施形態が、円筒状に構成された中央バー部材を備えてもよいことを示す図である。
図7b】中央バー部材の第3の実施形態の概略図であり、中央バー部材の第3の実施形態が、矩形の平行六面体の幾何学的構成を有することを示す図である。
図7c】中央バー部材の第4の実施形態の概略図であり、中央バー部材の第4の実施形態が、図4内に示されるような中央バー部材の第1の実施形態と同様であり、しかしながら、中央バー部材のヘッド部分の横方向幅又は横断寸法が、中央バー部材の長手方向軸に関して考慮されるように、図4内に示されるような中央バー部材のヘッド部分のおよそ半分だけであることを示す図である。
図7d】中央バー部材の第5の実施形態の概略図であり、中央バー部材の第5の実施形態が、図4内に示されるような中央バー部材の第1の実施形態と同様であり、しかしながら、図4内に示されるような、中央バー部材の完全なヘッド部分の代わりに、中央バー部材104dの第5の実施形態のヘッド部分が、図4内に示されるような中央バー部材126のヘッド部分を形成した矩形の平行六面体から除去された1つの角部又は四分円を効果的に有することを示す図である。
図7e】中央バー部材の第6の実施形態の概略図であり、中央バー部材が、中央バー部材104eの遠位端部分136eが、中央バー部材104eのヘッド部分126eの配置を越えて所定の量だけ突出することを除いて、図4内に示されるような中央バー部材104の構成と同様の構成を有することを示す図である。
図8a】非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの第1の実施形態の概略図であり、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールが、固定された第1のセクションと、全体的な非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの断片部分を含む第2の可動セクションとに効果的に分割されていることを示す図である。
図8b】非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの第2の実施形態の概略図であり、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールが、1つの半分のセクションが固定され、他方の半分のセクションが可動であるように、半分に効果的に分割されていることを示す図である。
図8c】熱補償器の長手方向軸が、光学ネットワークの入射光路に対して第1の所定の角度に配向され、これにより、熱補償器が膨張されると、第2の可動構成要素が、熱補償器の長手方向軸に平行な左に配向された方向に移動又は変位されるような方式で、図8aに示されるような第1の実施形態の非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールに動作可能に接続される、図4内に示されるものなどの熱補償器を示す概略図である。
図8d】熱補償器の長手方向軸が、光学ネットワークの入射光路に対して第2の所定の角度であって、熱補償器の長手方向軸が図8c内に示されるように配向される第1の所定の角度とは異なる第2の所定の角度で配向され、これにより、熱補償器が膨張すると、第2の可動構成要素が再び、熱補償器の長手方向軸に対して角度配向方向に移動又は変位されるような方式で、図8a内に示されるような第1の実施形態の非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールに動作可能に接続される、図4内に示されるものなどの熱補償器を示す概略図である。
図8e】熱補償器の長手方向軸が光学ネットワークの入射光路に対して第1の所定の角度で配向されている間に、熱補償器が、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの基部又はハウジング部分にしっかりと固定された固定端を有し、これにより、熱補償器が膨張されると、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの上部可動構成要素が、熱補償器の長手方向軸に平行な実質的に右方向に配向された方向に移動又は変位されるような方式で、図8b内に示されるような第2の実施形態の非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールに動作可能に接続される、図4内に示されるものなどの熱補償器を示す概略図である。
図8f図8c内に示されるような第1の実施形態の非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールに動作可能に接続される、図4内に示されるものなどの熱補償器を示す概略図であり、しかしながら、熱補償器の長手方向軸が光学ネットワークの入射光路に対して第1の所定の角度で配向されている間に、熱補償器が、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの基部又はハウジング部分にしっかりと接続された固定端を有し、これにより、熱補償器が膨張されると、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの第2の可動断片構成要素が、熱補償器の長手方向軸に平行な実質的に左方向に配向された方向に移動又は変位されることになることを示す図である。
図9図3内に示されるような従来の先行技術の熱補償器を、図4及び図6hに示されるような本発明の新しく改善された熱補償器と比較する概略図であり、変位差の全体的な収縮、膨張、及び移動がマイクロメートルで示されていることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで図面、より具体的には、そのうちの図4を参照すると、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールと共に使用するための新しく改善された可変二方向性熱補償器の第1の実施形態が開示されており、一般に、参照記号100によって示される。より具体的には、新しく改善された可変二方向性熱補償器100は、フレーム部材102、中央バー部材104、及びねじ106を備えることが分かる。更により具体的には、フレーム部材102は、長手方向に配向された軸108に対して、又はその周りに画定されるような軸方向に細長い八角形を含む実質的に弓の構成の幾何学的構成を有することが分かる。より具体的には、弓形フレーム部材102は、可動であるように適合された第1の端部セクション110と、固定されるように適合された第2の反対側に配置された端部セクション112と、第1の側面セクション114と、第2の側面セクション116と、第1の側面セクション114を第1及び第2の端部セクション110、112にそれぞれ相互接続する第1及び第2の脚部セクション118、120と、第2の側面セクション116を第1及び第2の端部セクション110、112にそれぞれ相互接続する第3及び第4の脚部セクション122、124と、を備えるように見え、弓形フレーム部材102の前述のセクション及び脚部分は、中央中空部分125を画定する。
【0010】
したがって、理解できるように、弓形フレーム部材102の固有の幾何学的構造構成に起因して、温度が上昇すると、弓形フレーム部材102は、第1の側面セクション114と、第2の側面セクション116と、第1の側面セクション114を第1及び第2の端部セクション110、112にそれぞれ相互接続する第1及び第2の脚部セクション118、120と、第2の側面セクション116を第1及び第2の端部セクション110、112にそれぞれ相互接続する第3及び第4の脚部セクション122、124との間に画定された構造的相互接続によって許容されるように、長手方向に延在する軸108に対して、軸方向に効果的に伸長又は膨張することになる。更に、弓形フレーム部材102が軸方向に効果的に伸長又は膨張すると、第1及び第2の側面セクション114、116は、再び、第1の側面セクション114を第1及び第2の端部セクション110、112にそれぞれ相互接続する第1及び第2の脚部セクション118、120と、第2の側面セクション116を第1及び第2の端部セクション110、112にそれぞれ相互接続する第3及び第4の脚部セクション122、124とによって許容されるように、互いに向かって効果的に移動することが理解されるであろう。更に、熱補償器100が利用される非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールが、比較的冷たい温度又は低い温度にさらされるか、又はその範囲内で動作するとき、弓形フレーム部材102の逆移動又は変位が生じ、すなわち、弓形フレーム部材102が軸方向に収縮することが理解されるであろう。したがって、弓形フレーム部材102を特徴付ける構造的構成は、以下でより十分に説明するように、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの可動セクションの必要な移動又は変位を正確に行うように、固有の可撓性及び弾力性を有する弓形フレーム部材102を提供することが分かる。
【0011】
図4からも分かるように、中央バー部材104は、弓形フレーム部材102の中空中央部分125内に配置され、弓形フレーム部材102の第1の端部セクション110にしっかりと固定された第1の端部又はヘッド部分126を備えるように見える実質的にT字形状の構成を有する。一方、第2の反対側の端部又は足部分128は、弓形フレーム部材102の第2の端部セクション112内にしっかりと取り付けられたその反対側に配置された第2の端部を有するねじ106の第1の端部と係合するように適合されている。ねじ106は、弓形フレーム部材102の固定端セクション112内でねじ式に調節されて、第1の端部又はヘッド部分126を、弓形フレーム部材102の第1の端部セクション110の内面部分と係合させるようにする。本発明の更なる教示及び原理に従って、弓形フレーム部材102及び中央バー部材104は、特定の、異なる、予め決定された、又は既知の熱膨張係数(CTE)特性を有する材料から作製され、弓形フレーム部材102が、中央バー部材104の熱膨張係数(CTE)よりも大きい又は高い熱膨張係数(CTE)を呈する材料から作製される。このようにして、したがって、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールが、比較的暖かい又は高い温度条件を経験している環境内で動作される場合、弓形フレーム部材102は、その熱膨張係数(CTE)特性に従って軸方向に効果的に自由に膨張又は伸長し、一方、反対に、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールが、比較的冷たい又は低い温度条件を経験している環境内で動作される場合、弓形フレーム部材102は、弓形フレーム部材102の第1の端部セクション110が中央バー部材104にしっかりと固定されているという事実を考慮して、その軸方向の収縮移動又は変位に効果的にある程度拘束する又は遅らせることが理解され得る。中央バー部材104の熱膨張係数(CTE)特性は、弓形フレーム部材102の熱膨張係数(CTE)特性よりも小さいので、中央バー部材104の軸方向の収縮は、弓形フレーム部材102の軸方向収縮と比較して、より小さい又は遅い速度で進行し、それにより、弓形フレーム部材102の全体的な収縮は、その軸方向の熱膨張又は伸長よりも低い速度で達成される。前述したように、これらの移動又は変位は、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの適切な焦点を保つために所望され、必要とされる。
【0012】
更に、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールが、比較的暖かい又は高い温度条件内に動作可能に配置されるか、又はそれに露出している場合、弓形フレーム部材102は、中央バー部材104の第2の反対側の端部又は足部128がねじ106の第1の端部から係合解除される程度に、軸方向に膨張又は伸長するが、反対に、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールが、比較的冷たい又は低い温度条件内に動作可能に配置されるか、又はそれに露出している場合、弓形フレーム部材102は、それらの熱膨張係数(CTE)間の差異に従って中央バー部材104によって許容されるように、軸方向に収縮し、これにより、中央バー部材104の第2の反対側の端部又は足部128が、再び、ねじ106の第1の端部から係合することに留意されたい。なお更に、ねじ106は、通常、比較的大きなヤング率及び小さい熱膨張係数(CTE)によって特徴付けられる材料から作製されることに留意されたい。したがって、中央バー部材104の第2の反対側の端部又は足部128が、ねじ106の第1の端部と係合するとき、ねじ106の相対的硬度又は剛性は、中央バー部材104の第2の反対側の端部又は足部128に凹み又は他の損傷を引き起こす可能性があることが見出された。この状態が発生するのを防ぐために、中央バー部材104の第2の反対側の端部又は足部128には、図5に示されるような保護ブロック130が設けられてもよい。保護ブロック130は、ねじ106を作製するために利用されるものと同じ材料から作製され、それにより、したがって、ねじ106の第1の端部が実際に中央バー部材104に損傷を与えることができないように、保護ブロック130のヤング率及び硬度又は剛性は、ねじ106のものと同じである。
【0013】
ここで図5aを参照すると、弓形フレーム部材102の膨張、及び熱補償器が取り付けられる非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールのそのセクションの移動又は変位は、以下でより十分に説明するように、膨張強化ブロックを、弓形フレーム部材のヘッド端部の外面部分に取り付けることによって、更に強化させることができることにも留意されたい。利用可能な空間が重要な設計因子である空間環境内でより小さい構成要素を収容することができるように、技術がより小さい構成要素に向かうにつれて、熱補償器の有効サイズは、例えば、その長手方向全長寸法に関連して、小さくする必要がある。これは、弓形フレーム部材及び/又は中央バー部材の長手方向長さを短くすることによって達成することができる。しかしながら、このようなより短い構造的構成要素では、熱補償器は、必ずしも高温及び低温条件下で所望の相対的移動又は変位を達成するとは限らない可能性がある。したがって、図5aに示すように、膨張強化ブロック132は、熱補償器100’の弓形フレーム部材102のヘッド端の外面部分に取り付けられている。膨張強化ブロック132は、弓形フレーム部材102のものよりも大きい熱膨張係数(CTE)を有する好適な材料から作製されてもよく、それにより、膨張強化ブロック132は、したがって、弓形フレーム部材102よりも速い速度で、かつより大きな範囲で膨張する。しかしながら、反対に、比較的に冷たい又は低い温度環境内での動作中、膨張強化ブロック132の収縮、並びに弓形フレーム部材102の収縮は、再び、中央バー部材104の比較的低い熱膨張係数(CTE)特性によって、いくらか遅れることになる。
【0014】
更に続いて、図6a~図6hを参照すると、以下で更に論じるように、新しく改善された可変二方向性熱補償器100が、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールに動作可能に接続されるとき、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの追加の異なる膨張及び収縮移動又は変位を達成するために、様々な異なる構造的構成を有する弓形フレーム部材102の様々な異なる実施形態が可能である。例えば、本発明の教示及び原理に従って開発された弓形フレーム部材の第2の実施形態を示す図6a内に開示されるように、図4内に開示されるような実質的に軸方向に伸長された六角形に構成された弓形フレーム部材102の代わりに、図6aに開示されるような弓形フレーム部材102aは、実質的にダイヤモンド形状の構成を有することが分かる。あるいは、図6b内に開示されるように、弓形フレーム部材の第3の実施形態が示されており、図4内に開示されるような弓形フレーム部材102によって特徴付けられる線形側面及び脚の代わりに、弓形フレーム部材102bの第1及び第2の端部セクション110b、112bは、弧状に構成された側面セクション114b、116bによって共に相互接続されている。なお更に、図6cから分かるように、弓形フレーム部材の第4の実施形態が開示されており、弓形フレーム部材102bの弧状に構成された側面セクション114bのうちの1つが、一対の線形セグメント114c-1、114c-2を含む側面セクションによって置き換えられている。弓形フレーム部材102、102a、及び102bとは異なり、2つの側面セクション114c、116cは、もはや互いに対称又は鏡像の構造ではないことが理解されるであろう。したがって、弓形フレーム部材102cが軸方向に膨張及び収縮すると、2つの側面セクション114c、116cは、異なる膨張及び収縮移動又は変位を経験することになる。このようにして、弓形フレーム部材102c全体の膨張又は収縮は、もはや直線的ではなく、予め決定された角運動又は変位を包含するか、又はそれを含むであろう。
【0015】
なお更に引き続き図6dを参照すると、弓形フレーム部材102dの第5の実施形態が開示されており、セグメント116d、122d、124dを備える弓形フレーム部材102dの右側セクションは、図4内に示され、セグメント116、122、124を備える弓形フレーム部材102の側面セクションと実質的に同様であることが理解される。しかしながら、セグメント118d、120dを共に相互接続する左側セクション114dは、左側セクション114dの直線範囲に対して横方向外側及び内側に突出する異なる厚さ部分132d、134dを備えた線形セグメントを備えることが分かる。再び、弓形フレーム部材102dの左側と右側との間に画定される非対称構造を考慮すると、弓形フレーム部材102c全体の膨張又は収縮はもはや直線的ではなく、所定の角運動又は変位を包含するか、又はそれを含むことも理解されたい。
【0016】
図6eを参照すると、本発明の原理及び教示に従って開発され得る弓形フレーム部材102eの第6の実施形態が開示され、第5の実施形態の弓形フレーム部材102dの右側セクション116dと同様の右側セクション116eを備えることが分かる。しかしながら、セグメント118e、120eを共に相互接続する弓形フレーム部材102eの左側セクション114eは、複数のセクション136eを備え、これらは、プリーツ状又は正弦波方式で共に相互接続されていることが分かる。したがって、弓形フレーム部材102e全体が膨張又は収縮を経験すると、個々のセクション136eもまた、互いに対して膨張又は収縮することになり、その結果、再び、弓形フレーム部材102c全体の膨張又は収縮は、もはや、直線的ではなく、予め決定された角運動又は変位も包含するか、又はそれも含むことになることが理解できる。次に図6fを参照すると、弓形フレーム部材102fの第7の実施形態が開示されており、この第7の実施形態の弓形フレーム部材102fの構造は、そのような側面セクション114f、116fの厚さ寸法を変化させるように、参照記号138f、140fによって示されるように、側面セクション114f、116fの部分が除去されているという事実を除いて、第1の実施の形態の弓形フレーム部材102と実質的に同様であることが分かる。側面セクション114f、116fの厚さ寸法のこれらの変化は、弓形フレーム部材102fの膨張及び収縮特性に影響を与えるであろう。弓形フレーム部材102gの第8の実施形態が図6g内に示されており、第8の実施形態の弓形フレーム部材102gは、スロット142g、144gが側面セグメント116g、122g、124g、及び114g、118g、120g内にそれぞれ画定されているという事実を除いて、第1の実施形態の弓形フレーム部材102と実質的に同様であることが分かる。再び、弓形フレーム部材102gの側面セクションの厚さ寸法又は質量のこれらの変形は、弓形フレーム部材102gの膨張及び収縮特性に影響を与えることになる。最後に、図6hを参照すると、弓形フレーム部材102hの第9の実施形態が開示され、弓形フレーム部材102hは、実質的に矩形に構成されたチャンバ146hが、中央バー部材104のヘッド部分126を収容するように弓形フレーム部材102hの内部に画定されるという事実を除いて、図4内に開示されるように、弓形フレーム部材102の構成と同様の構成を有することが分かる。このように、中央バー部材104は、弓形フレーム部材と一体構造を効果的に画定するように、実際には、弓形フレーム部材102hにしっかりと固定される必要はないが、それにもかかわらず、中央バー部材104は、チャンバ146h内のそのヘッド部126の配置の結果として、弓形フレーム部材102h内の内部で定位置に効果的に係止される。
【0017】
以下で更に論じるように、新しく改善された可変二方向性熱補償器100が、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールに動作可能に接続される場合、及び非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールが、比較的暖かい、高い、冷たい、又は低い温度条件下で動作される場合、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの追加の異なる膨張及び収縮移動又は変位を達成するために、弓形フレーム部材102の場合のように、様々な異なる構造的構成を有する中央バー部材104の様々な異なる実施形態が可能である。これらの様々な実施形態が、図7a~図7f内に開示されている。したがって、図7aを参照すると、中央バー部材104aの第2の実施形態は、図4内に示されるような中央バー部材104の実質的にT字形状の構成を有する代わりに、中央バー部材104は、円筒状に構成された中央バー部材を備えてもよいことが分かる。あるいは、図7b内に示されるように、中央バー部材の第3の実施形態が104bで示されており、矩形の平行六面体の幾何学的構成を有することが分かる。図7cを参照すると、中央バー部材の第4の実施形態が104cで示されており、中央バー部材104の第4の実施形態は、図4内に示されるような中央バー部材104の第1の実施形態と同様であることが分かる。しかしながら、中央バー部材104cの長手方向軸108cに関して考慮されるように、ヘッド部分126cの横方向幅又は横断寸法は、図4内に示されるような中央バー部材104のヘッド部分126のおよそ半分だけであることが分かる。
【0018】
なお更に、図7dを参照すると、中央バー部材の第5の実施形態が104dで示されている。中央バー部材104の第5の実施形態は、図4内に示されるように中央バー部材104の第1の実施形態と同様であることが分かる。しかしながら、図4内に示されるように中央バー部材104の完全なヘッド部分126の代わりに、矩形の平行六面体を備えているように、中央バー部材104dの第5の実施形態のヘッド部分126dは、図4内に示されるような中央バー部材126のヘッド部分126を形成する矩形の平行六面体から、148dのように、1つの角部又は四分円が効果的に除去されていることが分かる。最後に図7eを参照すると、中央バー部材の第6の実施形態は、104eで示されており、T字形状の中央バー部材104eの長手方向軸151に関して考慮されるように、中央バー部材104eの遠位端部分150eが、中央バー部材104eのヘッド部分126eの配置を越えて所定量突出するという事実を除いて、図4内に示されるような中央バー部材104の構成と同様の構成を有することが分かる。図4及び図6a~図6h内に示されるように、異なる構成の弓形フレーム部材102~102hを提供するのと同様の方式で、図4及び図7a~図7h内に示すように、異なる構成の中央バー部材104及び104-a~104eは、異なる厚さ寸法、異なる質量などを有する中央バー部材を提供し、それにより、そのような差異は、中央バー部材の膨張及び収縮特性に影響を及ぼす異なる要因として現れることに留意されたい。
【0019】
本発明の熱補償器の様々な構造的な構成要素、及びその様々な異なる構成又は代替の実施形態を説明してきたが、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールに動作可能に接続された場合の本発明の熱補償器の動作を説明する。図2の2a~2c内に示すような従来のアレイ導波路回折格子(AWG)モジュールに関する議論で簡単に述べたように、図8aを参照すると、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの第1の実施形態が示されており、一般に、参照記号152によって示される。より具体的には、第1の実施形態の非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール152は、2つの主要な構成要素である、第1の固定構成要素154及び第2の可動構成要素156を備え、第2の可動構成要素156は、効果的に、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール152全体のうちの断片的なセクションであることが分かる。第1の固定構成要素154と第2の可動構成要素156との境界は、158で示されている。理解され得るように、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール152が、様々に異なる、比較的暖かい、高い、冷たい、又は低い温度条件下で動作される場合、可動構成要素156は、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール152の適切な焦点を維持するために必要に応じて移動又は変位されるように適合される。あるいは、図8b内に示すように、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの第2の実施形態が例示され、一般に、参照記号152’によって示される。非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール152’のこの第2の実施形態によれば、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール152’は、半分に効果的に分割され、上部可動セクション160’及び下部固定セクション162’を備えることが分かる。図8a及び図8b内に示される両方の実施形態では、可動及び固定セクションは反転され得ることに留意されたい。
【0020】
図8c内に示されるように、図4内に示されるような熱補償器100は、熱補償器100の固定端部112が熱補償器100の第1の固定構成要素154に固定される一方で、熱補償器の可動端部110が第2の可動構成要素156に固定され、熱補償器100の長手方向軸108が、光学ネットワークの入射光路(ILP)に対して第1の所定の角度で配向されるような方式で、図8c内に示されるように、第1の実施形態の非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール152に動作可能に接続される場合には、熱補償器100が膨張すると、第1の実施形態の非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール152の第2の可動構成要素156は、熱補償器100の長手方向軸108に平行な左向きに配向された方向に移動又は変位されることになる。同様の方式で、図4内に示されるような熱補償器100が、熱補償器100の固定端部112が熱補償器100の第1の固定構成要素154に固定される一方で、熱補償器の可動端部110が第2の可動構成要素156に固定され、ただし、熱補償器の長手方向軸は、熱補償器100の長手方向軸が図8d内に示されるように配向される第1の所定の角度とは異なる、第2の所定の角度で光学ネットワークの入射光路(ILP)に対して配向されるような方式で、図8d内に示されるように、第1の実施形態の非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール152に動作可能に接続される場合には、熱補償器が膨張すると、第2の可動構成要素は、再び、熱補償器の長手方向軸に対して角度配向で移動又は変位されることになる。
【0021】
あるいは、図8e内に示されるように、図4内に示されるような熱補償器100は、熱補償器100が、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール152’の基部又はハウジング部分に固定接続された固定端を有する一方で、熱補償器100の長手方向軸108は、光学ネットワークの入射光路(ILP)に対して第1の所定の角度で配向されるような方式で、図8b内に示されるように、第2の実施形態の非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール152’に動作可能に接続される場合、これにより、熱補償器100が膨張すると、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール152’の上部可動構成要素160’は、熱補償器100の長手方向軸108に平行な実質的に右方向に配向された方向に移動又は変位されることになる。更に別の代替として、図8fは、図8c内に示されるように、第1の実施形態の非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール152に動作可能に接続された、図4内に示されるものなどの熱補償器100を示す概略図である。しかしながら、熱補償器100は、熱補償器100の長手方向軸108が光学ネットワークの入射光路(ILP)に対して第1の所定の角度で配向されている間に、熱補償器100は、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール152の基部又はハウジング部分にしっかりと接続された固定端部を有する。これにより、熱補償器100が膨張すると、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール152の第2の可動断片構成要素156は、熱補償器の長手方向軸に平行な実質的に左方向に配向された方向に移動又は変位されることになる。
【0022】
図9を参照すると、図3内に示されたような従来の先行技術の熱補償器と、図4及び図6h内に示されたような本発明の新しく改善された熱補償器の概略図が示されており、変位差の全体的な収縮、膨張、及び移動はマイクロメートルで示されている。弓形フレームは、その形状変化に対してより可撓性であるため、先行技術の熱補償器よりも低温環境における熱膨張係数(CTE)が5倍以上小さい中央バーによって、収縮がはるかに遅くなり得る。より具体的には、非限定的な例として、従来の先行技術の熱補償器30では、熱補償器30が低温条件下で収縮した場合、その全長寸法は43.26マイクロメートルであり、一方、熱補償器30が高温条件下で膨張した場合、その全長寸法は45.37マイクロメートルであり、その全長寸法の差は2.11マイクロメートルであったことが分かり得る。一方、低温条件下で収縮した新しく改善された熱補償器102hでは、その全長寸法は32.01マイクロメートルであった。一方、熱補償器102hが高温条件下で膨張した場合、その全長寸法は44.34であった。その全長寸法の差は12.33であった。したがって、このような統計から明らかに理解され得るように、従来の先行技術の熱補償器30と比較して、本発明の熱補償器102hによってより大きな長さ寸法差を達成することができた。したがって、従来の先行技術の熱補償器30を利用することとは対照的に、本発明の熱補償器100を利用する場合、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュールの可動部分のより大きな差動移動が可能である。それにより、次いで、非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール152、152’の可動部分のより大きな差動移動又は変位を達成することにより、より大きな差動温度範囲にわたる入射光のより正確な集束を可能にする。
【0023】
最後に、最適な膨張及び収縮結果を達成するために、熱補償器100の弓形フレーム部材102、中央バー部材104、ねじ106、保護ブロック130、及び膨張強化ブロック132は、様々な異なる熱膨張係数(CTE)を呈する多数の異なる材料のうちのいずれか1つから作製されてもよいことに留意されたい。このような材料の例としては、鋼、鉄、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、コバルト、マグネシウム、コバール、黄銅、鉛、黒鉛、炭素、ゴム、セラミック、木材、エポキシ、陽極酸化アルミニウム、スズ、金、パラジウム、銀、モリブデン、白金、チタン、クロム、マンガン、様々なプラスチック、合金、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ビニルなどである。材料は、予め決定された必要な移動、信頼性、及び/又は他の性能特性を達成するために、例えば、熱膨張係数(CTE)、それらの強度、力、可撓性、剛性、降伏強度、脆性などを含むそれぞれの様々な特性に対して選択されてもよい。加えて、熱補償器100の非熱アレイ導波路回折格子(AAWG)モジュール152、152’への取り付けは、例えば、ねじ、エポキシ、接着剤、ボルト、ナット、支柱、穴、スロット、舌部及び溝、カム、ギア、ラチェット、磁石、はんだ、溶接、ワイヤ、摩擦嵌め、スナップ嵌め、ラッチ嵌めなどの任意の好適な手段によって達成されてもよい。
【0024】
明らかに、本発明の多くの変形及び修正は、上記の教示に照らして可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内では、本発明は、本明細書に具体的に記載されるもの以外に実施されてもよいことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図5A
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9