(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】端子及びケーブル付き給電コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/533 20060101AFI20230425BHJP
【FI】
H01R13/533 A
(21)【出願番号】P 2021561464
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(86)【国際出願番号】 JP2020043897
(87)【国際公開番号】W WO2021106958
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】P 2019212198
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 望
(72)【発明者】
【氏名】水野 健彦
(72)【発明者】
【氏名】矢作 惠司
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107317141(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106992373(CN,A)
【文献】特開平10-106362(JP,A)
【文献】特開2018-125118(JP,A)
【文献】特開2019-149281(JP,A)
【文献】中国実用新案第208142392(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/533
H01R 4/58
H01B 7/00
H01B 7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に冷媒流路が形成された端子本体部と、
前記端子本体部から前方に突出した端子接触部と、
前記端子本体部の後方に突出した導体線接続部と、を備え、
前記端子本体部は、側方に突出した端子拡張部を備えており、
前記端子拡張部は、前記端子本体部と一体で成形され、
前記端子拡張部に、冷却チューブが接続されるための前記冷媒流路の流入口及び流出口が設けられ、
前記冷媒流路の流入口及び流出口が、前記端子接触部に対し後方を向いて開口しているとともに、
前記冷媒流路の流入口及び流出口が、前記導体線接続部の
外径である半径よりも径方向外側に配置されている、端子。
【請求項2】
前記冷媒流路は、金属性の内壁面を有する、請求項1に記載の端子。
【請求項3】
前記冷媒流路は、前記端子本体部と一体で成形されている、請求項2に記載の端子。
【請求項4】
前記端子本体部、前記端子接触部、前記導体線接続部、及び前記端子拡張部は、一体で成形されている、請求項1に記載の端子。
【請求項5】
前記冷媒流路の流入口及び流出口が、前記端子接触部に対し斜め後方を向いて開口している、請求項1~4のいずれか一項に記載の端子。
【請求項6】
導体線及び冷却チューブを内蔵したケーブル線と、
前記導体線及び前記冷却チューブが接続された請求項1~5のいずれか一項に記載の端子と、を備える、ケーブル付き給電コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子及びケーブル付き給電コネクタに関する。
本願は、2019年11月25日に日本に出願された特願2019-212198号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、端子本体部に冷媒流路が形成された端子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】中国特許出願公開第106887733号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記端子は、端子本体部から前方に端子接触部が突出すると共に、端子本体部の側方に冷媒流路の流入口及び流出口が開口している。この流入口及び流出口に、例えば樹脂材料から構成されるような弾性を有する冷却チューブを接続し、更に端子後方において電線と束ねるために冷却チューブに曲げ変形を加える。すると、曲げの復元力によって、端子と冷却チューブとの接続部分に負荷が与えられ、冷媒漏れを発生させる場合がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、冷却チューブとの接続部分からの冷媒漏れを抑制できる端子、ケーブル付き給電コネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様は、端子であって、内部に冷媒流路が形成された端子本体部と、前記端子本体部から前方に突出した端子接触部と、を備え、前記端子本体部は、側方に突出した端子拡張部を備えており、前記端子拡張部は、前記端子本体部と一体で成形され、前記端子拡張部に、冷却チューブが接続されるための前記冷媒流路の流入口及び流出口が設けられ、前記冷媒流路の流入口及び流出口が、前記端子接触部に対し後方を向いて開口している。
この構成によれば、冷媒流路の流入口及び流出口が、端子接触部に対して後方を向いて開口しているので、これら流入口及び流出口に接続されて後方に延びる冷却チューブに発生する曲げを緩和できる。これにより、冷却チューブの曲げの復元力を低減して、冷却チューブとの接続部分からの冷媒漏れを抑制できる。また、端子本体部の側方に突出した端子拡張部に、冷媒流路の流入口及び流出口が形成されているので、後方を向いて開口した流入口及び流出口を端子本体部に設け易くなる。
また、この構成によれば、少なくとも冷媒流路が形成される端子本体部と端子拡張部の境界に、継ぎ目ないし割れ目などが存在しないので、端子の内部での冷媒漏れ及び電気抵抗の上昇を抑制できる。
【0007】
本発明の第2態様は、上記第1態様の端子において、冷媒流路が、金属性の内壁面を有していてもよい。
この構成によれば、冷媒が熱伝導率の高い内壁面に接触することとなり端子の冷却効率を向上させることができる。
本発明の第3態様は、上記第2態様の端子において、前記冷媒流路が、前記端子本体部と一体で成形されていてもよい。
この構成によれば、冷媒に直接接触して直接冷却できるので端子の冷却効率をさらに向上させることができる。
【0008】
本発明の第4態様は、上記第1~第3態様のいずれか一態様の端子において、前記冷媒流路の流入口及び流出口が、前記端子接触部に対し斜め後方を向いて開口していてもよい。
この構成によれば、冷媒流路の流入口及び流出口が、端子接触部に対し斜め後方を向いて開口しているので、端子全体の最大幅寸法を小さくすることができる。これにより、給電コネクタのケースなどに端子を導入し易くなり、また、端子の母材を小さくすることができるため、コスト低減が可能となる。
【0009】
本発明の第5態様は、ケーブル付き給電コネクタであって、導体線及び冷却チューブを内蔵したケーブルと、前記導体線及び前記冷却チューブが接続された上記第1~第4態様のいずれか一態様の端子と、を備える。
この構成によれば、先に記載の端子を備えているので、冷却チューブとの接続部分からの冷媒漏れを抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
上記本発明の態様によれば、冷却チューブとの接続部分からの冷媒漏れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る端子の断面構成図である。
【
図2】第2実施形態に係る端子の断面構成図である。
【
図3】第2実施形態に係る端子の外観斜視図である。
【
図4】第2実施形態のケーブル付き給電コネクタの適用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る端子1の断面構成図である。
図1に示すように、端子1には、冷媒流路2が形成されている。この端子1は、例えば、電気自動車のバッテリーを急速充電する給電コネクタなどに適しており、大電流を流すことにより発生するジュール熱を、冷媒流路2を流れる冷媒によって冷却することができる。
【0014】
端子1は、金属端子であって、例えば、銅や銅合金などから成形されている。端子1の表面は、腐食を防止する銀メッキなどで覆われている。端子1は、端子本体部10と、端子接触部20と、導体線接続部30と、端子拡張部40と、を備えている。端子本体部10、端子接触部20、及び、導体線接続部30、及び、端子拡張部40は、一体で成形されている。
【0015】
つまり、端子本体部10と端子接触部20との境界B1、及び、端子本体部10と導体線接続部30との境界B2、及び、端子本体部10と端子拡張部40との境界B3には、継ぎ目ないし割れ目などが存在しない。このような端子1は、鋳造または鋳塊(インゴット)からの削り出しなどで成形することができる。なお、少なくとも冷媒流路2が形成される部分が一体で成形されていることが好ましく、例えば、端子本体部10が、端子拡張部40と一体で成形されていれば、端子接触部20及び導体線接続部30は一体で成形されていなくてもよい。
【0016】
冷媒流路2に流す冷媒は、絶縁性冷媒が好ましい。絶縁性冷媒を用いることで、端子1から冷媒流路2を通して図示しない冷却器へ漏電することを防ぐことができる。絶縁性冷媒としては、例えば、シリコーンオイルや鉱物油などの絶縁冷媒、フッ素系冷媒、アルコール系冷媒などを例示することができる。但し、冷媒流路2の内壁面に、絶縁層や絶縁膜などを形成すれば、非絶縁性の冷媒を流すこともできる。
なお、金属性の内壁面を有する冷媒流路2に絶縁性冷媒を流す場合、絶縁層や絶縁膜を形成した内壁面に比べて金属性の内壁面は熱伝導率が高いため、端子の冷却効率を向上させることができる。
また、冷媒流路2を、端子本体部10と一体で成形する場合、冷媒に直接接触して直接冷却できるので端子の冷却効率をさらに向上させることができる。別体で成形する場合に比べて、冷媒流路2と端子本体部10との隙間の空気の断熱作用を抑えられるためである。
【0017】
端子本体部10、端子接触部20、及び、導体線接続部30は、端子1の中心軸Oを共通軸として、同軸上に配設されている。以下、この中心軸Oに沿う方向を軸方向、軸方向から見て中心軸Oと交差する方向を径方向、中心軸O回りに周回する方向を周方向という。また、軸方向のうち、端子本体部10に対して端子接触部20側を前方といい、端子本体部10に対して導体線接続部30側を後方という。
【0018】
端子本体部10及び端子拡張部40の内部には、冷媒流路2が形成されている。また、端子本体部10は、径方向に拡張した端子拡張部40を備える。本実施形態の冷媒流路2は、径方向に延びる孔部11によって形成されている。孔部11は、径方向において端子本体部10の端子拡張部40まで延びている。孔部11の一端は、端子拡張部40Aを貫通して開口し、孔部11の他端は、端子拡張部40Bを貫通せずに閉塞されている。なお、孔部11の一端の開口部11aは、プラグ50によって閉塞されている。
【0019】
端子接触部20は、端子本体部10の前方に突出している。本実施形態の端子接触部20は、軸方向に延びる中実のピン状(雄型の端子接触部)である。端子接触部20には冷媒流路2が形成されていないので、導体の断面積を大きく確保でき、大電流を流すのに適している。端子接触部20の根本には、フランジ21が形成されている。フランジ21は、図示しないケースに係合し、該ケースからの端子接触部20の突出限界を決める。なお、本実施形態の端子接触部20はピン状であるが、端子接触部20が挿入される相手側の端子接触部22のようなソケット状(雌型の端子接触部)であってもよい。
【0020】
導体線接続部30は、端子本体部10の後方に突出している。導体線接続部30は、軸方向に延びる円筒部である。導体線接続部30は、軸方向に延び、後方に開口する第1孔部31と、第1孔部31の内壁面から径方向外側に延び、導体線接続部30の外周面に開口する第2孔部32と、を備えている。第1孔部31は、後述する
図4に示すケーブル105の導体線102の挿入孔である。第2孔部32は、端子1をメッキ被覆する際に第1孔部31内をメッキ液で満たす空気の抜き孔である。
【0021】
導体線接続部30の端子本体部10側には、テーパー部33が形成されている。テーパー部33は、端子本体部10から後方に向かうに従って径方向の寸法が徐々に大きくなる円錐部分である。つまり、導体線接続部30は、端子拡張部40でない部分の端子本体部10の径方向の最小幅寸法W10よりも大きな外径を有している。なお、端子本体部10の最小幅部分の断面形状は、円柱状であっても、矩形のブロック状であってもよいし、端子本体部10の端子拡張部40側がブロック状で、端子本体部10の最小幅部分が円柱状であってもよい。
【0022】
端子拡張部40は、端子本体部10の最小幅部分よりも側方に突出している。端子拡張部40は、端子本体部10の最小幅寸法W10よりも径方向外側に直線状に延びる一対の矩形のブロック部である。なお、端子本体部10の最小幅部分と端子拡張部40との境界B3には、継ぎ目ないし割れ目などが存在しない。一対の端子拡張部40が存在する、端子1の径方向の最大幅寸法はWとなる。最大幅寸法Wは、端子本体部10の径方向の最小幅寸法W10よりも大きく、且つ、導体線接続部30の外径寸法よりも大きい。
【0023】
端子拡張部40の一方の端子拡張部40Aには、上述した孔部11の開口部11aと、冷媒流路2の流入口2aが形成されている。また、端子拡張部40の他方の端子拡張部40Bには、冷媒流路2の流出口2bが形成されている。これら流入口2a及び流出口2bは、端子接触部20に対して後方を向いて開口している。流入口2a及び流出口2bは、導体線接続部30の外径である半径Rよりも径方向外側に配置されている。
【0024】
流入口2a及び流出口2bには、チューブコネクタ101aを介して冷却チューブ101が接続されている。冷却チューブ101は、端子本体部10の後方に配置された導体線接続部30と干渉することなく、流入口2a及び流出口2bから後方に延びている。冷却チューブ101は、例えば、ナイロンなどの樹脂製チューブから形成されており、曲げに対するある程度の弾性(反発力、復元力)と、可撓性、耐熱性を有している。
【0025】
上記構成の端子1によれば、内部に冷媒流路2が形成された端子本体部10と、端子本体部10から前方に突出した端子接触部20と、を備え、端子本体部10は、側方に突出した端子拡張部40を備えており、端子拡張部40に、冷却チューブ101が接続されるための冷媒流路2の流入口2a及び流出口2bが設けられ、冷媒流路2の流入口2a及び流出口2bが、端子接触部20に対し後方を向いて開口している。そのため、これら流入口2a及び流出口2bに接続されて後方に延びる冷却チューブ101を、大きな曲げ半径で後方に配索することができる。これにより、冷却チューブ101との接続部分(例えば、端子1とチューブコネクタ101aとの接続部分ないしチューブコネクタ101aと冷却チューブ101との接続(継ぎ目)部分)にかかる負荷をほとんど無くし、冷媒漏れを抑制できる。また、冷却チューブ101に急峻な曲げ変形を与えずに、冷却チューブ101を端子1の後方へと配索することが可能となるので、冷却チューブ101が座屈変形して閉塞する不具合が抑制される。その結果、冷却チューブ101を径方向への張り出が小さくなるため、給電コネクタのケース内部の狭小スペースに容易に組み込むことができる。
【0026】
また、本実施形態では、端子本体部10から側方に突出した端子拡張部40を備え、端子拡張部40に、冷媒流路2の流入口2a及び流出口2bが形成されているので、後方を向いて開口した流入口2a及び流出口2bを端子本体部10に設け易くなる。
【0027】
また、本実施形態では、上記端子1において、端子本体部10が、端子拡張部40と一体で成形されている。この構成によれば、少なくとも冷媒流路2が形成される端子本体部10と端子拡張部40の境界B3に、継ぎ目ないし割れ目などが存在しないので、端子1の内部での冷媒漏れ及び電気抵抗の上昇を抑制できる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0029】
図2は、第2実施形態に係る端子1の断面構成図である。
図3は、第2実施形態に係る端子1の外観斜視図である。
図2に示すように、第2実施形態では、端子1の最大幅寸法Wを小さくするべく、冷媒流路2の流入口2a及び流出口2bが、端子接触部20に対し斜め後方を向いて開口している点で、上記実施形態と異なる。
【0030】
第2実施形態では、
図3に示すように、端子本体部10が、ブロック体の後方に円柱体を繋ぎ合わせたような形状を有する。端子拡張部40は、端子本体部10のブロック体を径方向外側に拡張した形状を有する。なお、端子本体部10の最小幅部分と端子拡張部40との境界B3は、
図2に示すように、端子本体部10の円柱体の径方向の最小幅寸法W
10を基準とする。
【0031】
端子拡張部40は、端子1の中心軸Oと平行な平面部43と、平面部43から後方に向かうに従って中心軸Oから離間する第1傾斜部44と、第1傾斜部44から後方に向かうに従って中心軸Oに近接する第2傾斜部45と、を有している。
図2に示す例では、平面部43に対する第1傾斜部44の角度(仰角)は、45度以下、例えば30度の鋭角である。また、第1傾斜部44に対する第2傾斜部45の角度(伏角)は、例えば90度の直角である。つまり、端子拡張部40は、側面視で略直角三角形状を有する。
【0032】
第2傾斜部45には、冷媒流路2の流入口2a及び流出口2bが形成されている。つまり、流入口2a及び流出口2bは、中心軸Oに対して45度以下、例えば30度の鋭角(仰角)で形成されている。このように、流入口2a及び流出口2bが、中心軸Oに対して45度以下で形成されていることで、端子1と冷却チューブ101の接続部分に加わる負荷が、より効果的に軽減される。なお、流入口2a及び流出口2bは、それぞれ斜め後方を向いて開口しているので、それらの延長線上には、導体線接続部30は配置されていない。
【0033】
第2実施形態の冷媒流路2は、上述した径方向に延びる孔部11と、流入口2aから前方に向かって中心軸Oに近接するように延び、孔部11の一端側と接続される第1傾斜孔部41と、同じく流出口2bから前方に向かって中心軸Oに近接するように延び、孔部11の他端側と接続される第2傾斜孔部42と、によって形成されている。つまり、第2実施形態の冷媒流路2は、中心軸Oに対して斜めに延びる流路を含んでいる。
【0034】
上述した第2実施形態の端子1によれば、冷媒流路2の流入口2a及び流出口2bが、端子接触部20に対して斜め後方を向いて開口している。そのため、これら流入口2a及び流出口2bに接続されて後方に延びる冷却チューブ101に発生する曲げを緩和できる。これにより、冷却チューブ101の曲げの復元力を低減して、冷却チューブ101との接続部分からの冷媒漏れを抑制できる。
【0035】
また、第2実施形態では、冷媒流路2の流入口2a及び流出口2bが、端子接触部20に対し斜め後方を向いて開口している。そのため、
図1に示す端子拡張部40と比較して径方向の必要寸法が短くなり、端子1全体の最大幅寸法Wを小さくすることができる。これにより、端子1に、冷却チューブ101及び図示しない導体線が接続されたケーブル付き給電コネクタのコンパクト化が可能となる。また、端子1の母材を小さくすることができ、コスト低減が可能となる。
【0036】
図4は、第2実施形態の端子1を備えたケーブル付き給電コネクタ100を示す図である。
図4に示すケーブル付き給電コネクタ100は、端子1と、ケーブル105と、ケース200と、から構成されている。端子1とケーブル105とは互いに接続されており、電気自動車の充電口(インレット部分)に挿入可能なケース200の内部に導入されている。ケーブル105は、給電対象へ電力供給するための導体線102と、導体線102を冷却するための冷却チューブ101とを内蔵している。ケーブル105には、例えば、日本国特許第6078198号公報に記載の給電ケーブルと同じ構成のケーブルを採用することができる。具体的には、ケーブル105は、複数(偶数本)の電力線103を内蔵しており、さらに、その電力線103には、冷却チューブ101及び導体線102が内蔵されている。電力線103の内部においては、冷却チューブ101を中心にして複数の導体線102が集合撚りされていている。これにより、冷却チューブ101を流れる冷媒液によって通電による導体線102の発熱を抑えることができる。ケーブル105内には、給電装置と電気自動車との間の通信に用いられる信号線が内蔵されていても良い。
【0037】
冷却チューブ101と導体線102とは、端子1の後方で分岐し、それぞれが端子1に接続されている。分岐した冷却チューブ101は、端子1の端子拡張部40の流入口2aおよび流出口2bに接続されている。また、分岐した導体線102は、導体線接続部30の第1孔部31に挿入され圧縮接続されている。なお、図示しないが、ケース200には、+端子用と-端子用に2本の端子1及び2本のケーブル105が設けられている。
【0038】
ケース200は、端子1の端子接触部20が配置される差込部201と、差込部201の後方に配置された把持部202と、把持部202の下方(差込部201の斜め後方)に配置されたケーブル導入部203と、を備えている。ケーブル105は、ケース200の外部からケーブル導入部203を通してケース200内に導入され端子1と接続されている。第2実施形態の端子1によれば、最大幅寸法Wが小さくなるので、ケース200内部の占有率を少なくし、ケース200の小型化ないし図示しない他の信号線の配線スペースを確保し易くすることができる。
なお、上述した
図4に示すケーブル付き給電コネクタ100は、上述した第1実施形態の端子1を備えていてもよい。
【0039】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【符号の説明】
【0040】
1…端子、2…冷媒流路、2a…流入口、2b…流出口、10…端子本体部、20…端子接触部、30…導体線接続部、40…端子拡張部、100…ケーブル付き給電コネクタ、101…冷却チューブ、102…導体線、103…電力線、105…ケーブル