(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】多主軸の全自動立形マシニングセンタ
(51)【国際特許分類】
B23C 1/08 20060101AFI20230425BHJP
B23Q 1/48 20060101ALI20230425BHJP
B23P 23/00 20060101ALI20230425BHJP
B23Q 7/04 20060101ALI20230425BHJP
B23Q 3/157 20060101ALI20230425BHJP
B23Q 11/08 20060101ALI20230425BHJP
B23Q 7/14 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
B23C1/08
B23Q1/48 F
B23P23/00 A
B23Q7/04 Z
B23Q3/157 C
B23Q11/08 Z
B23Q7/14
(21)【出願番号】P 2021565058
(86)(22)【出願日】2020-07-07
(86)【国際出願番号】 CN2020100616
(87)【国際公開番号】W WO2021012944
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-11-02
(31)【優先権主張番号】201910657286.3
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517012970
【氏名又は名称】科徳数控股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】KEDE NUMERICAL CONTROL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.8 Huanghai Street, Economic and Technological Development Zone, Dalian, Liaoning 116600 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 虎
(72)【発明者】
【氏名】杜 長林
(72)【発明者】
【氏名】王 連煬
(72)【発明者】
【氏名】唐 鋭
(72)【発明者】
【氏名】尹 書強
(72)【発明者】
【氏名】李 昂
(72)【発明者】
【氏名】宮 興林
(72)【発明者】
【氏名】李 少智
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01637279(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0015646(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0313718(US,A1)
【文献】実開平07-031250(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 1/08
B23B 19/02
B23Q 1/48
B23Q 3/155 - 3/157
B23Q 7/00 - 7/18
B23P 23/00
B23Q 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータ(4)、ベッド(9)、原料供給領域、治具領域、加工領域及び工具マガジン領域を含み、
アクチュエータ(4)は
下面に主軸が固定されたラム(1)、サドル(2)及びスライドテーブル(3)
が一体的に形成されたものを含み、前記原料供給領域は前記ベッド(9)を横断し、前記原料供給領域及び前記工具マガジン領域はそれぞれ前記加工領域の対向する両側に位置し、前記原料供給領域
はマシニングセンタの最先端に位置し、前記アクチュエータ(4)は原料供給領域、治具領域、加工領域及び工具マガジン領域の上方で移動
し、
前記原料供給領域は直線状のコンベヤベルト(7)であり、前記コンベヤベルトに複数の原料交換領域(15)が等間隔に配置され、各原料交換領域(15)に原料(16)を置くための複数のワークステーション(6)が直線的に設置され、
前記加工領域はクレードル回転台(8)及び作業台(14)を含み、前記作業台(14)の数は前記各原料交換領域(15)上のワークステーション(6)の数と同じであり、前記工具マガジン領域はチェーン式工具ホルダ及び前記チェーン式工具ホルダに固定された工具(11)を含み、複数の前記工具(11)は、四角形状の一辺に直線状に配置され、
前記ラム(1)に直線状に配置された前記作業台(14)と同数の直線状に配置された複数の主軸ヘッド(10)が固定され、前記主軸ヘッド(10)は移動することにより前記工具(11)及びクランプ治具(12)に接続されることを特徴とする、多主軸の全自動立形マシニングセンタ。
【請求項2】
前記治具領域はクランプ治具(12)及びホルダ(13)を含み、前記ホルダ(13)は前記クランプ治具(12)を固定するために用いられ、前記治具領域は前記
原料供給領域と前記加工領域との間に位置することを特徴とする、請求項
1に記載の多主軸の全自動立形マシニングセンタ。
【請求項3】
前記治具領域はクランプ治具(12)を含み、前記クランプ治具(12)は前記チェーン式工具ホルダに固定されることを特徴とする、請求項
1に記載の多主軸の全自動立形マシニングセンタ。
【請求項4】
前記コンベヤベルトが毎回移動する距離は2つの前記原料交換領域(15)間の間隔であることを特徴とする、請求項
1に記載の多主軸の全自動立形マシニングセンタ。
【請求項5】
前記工具マガジン領域はさらに工具マガジンドア(5)を含み、前記工具マガジンドア(5)は前記工具マガジン領域と前記加工領域との間に設置されることを特徴とする、請求項
4に記載の多主軸の全自動立形マシニングセンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は工作機械による加工技術分野に関し、特に多主軸の全自動立形マシニングセンタに関する。
【背景技術】
【0002】
立形マシニングセンタは一般的にベッド、スライドテーブル、サドル、ラム、クレードル、回転テーブル、主軸等の部材で構成され、ワークは回転テーブルに固定され、主軸はXYZ軸及びAC軸を介して運動し、ワークに対して複雑な加工を行う。
【0003】
現在、コンベヤベルトを備えた自動的に原料の供給及び排出を行うことが可能な立形マシニングセンタは、一般的に1つの主軸ヘッドだけを有し、毎回1つの部品しか加工することができず、且つ原料の供給及び排出を自動的に行うことができないため、労力を浪費し且つ効率が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は多主軸の全自動立形マシニングセンタを提供することにより、上記技術的課題を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はアクチュエータ、ベッド、原料供給領域、治具領域、加工領域及び工具マガジン領域を含む。
【0006】
アクチュエータはラム、サドル及びスライドテーブルを含み、前記原料供給領域は前記ベッドを横断し、前記原料供給領域及び前記工具マガジン領域はそれぞれ前記加工領域の対向する両側に位置し、前記原料供給領域は前記マシニングセンタの最先端に位置し、前記アクチュエータは原料供給領域、治具領域、加工領域及び工具マガジン領域の上方で移動する。
【0007】
さらに、前記原料供給領域はコンベヤベルトであり、前記コンベヤベルトに複数の原料交換領域が等間隔に配置され、各原料交換領域に原料を置くための複数のワークステーションが設置される。
【0008】
さらに、前記加工領域はクレードル回転台及び作業台を含み、前記作業台の数は前記各原料交換領域上のワークステーションの数と同じである。
【0009】
前記工具マガジン領域はチェーン式工具ホルダ及び前記チェーン式工具ホルダに固定された工具を含む。
【0010】
さらに、前記治具領域はクランプ治具及びブラケットを含み、前記ブラケットは前記クランプ治具を固定するために用いられ、前記治具領域は前記原料供給領域と前記加工領域との間に位置する。
【0011】
さらに、前記治具領域はクランプ治具を含み、前記クランプ治具は前記チェーン式工具ホルダに固定される。
【0012】
さらに、前記ラムに前記作業台の数と同じ複数の主軸ヘッドが固定され、前記主軸ヘッドは移動することにより前記工具及び前記クランプ治具に接続される。
【0013】
さらに、前記コンベヤベルトが毎回移動する距離は2つの前記原料交換領域間の間隔である。
【0014】
さらに、前記工具マガジン領域はさらに工具マガジンドアを含み、前記工具マガジンドアは前記工具マガジン領域と前記加工領域との間に設置される。
【0015】
本発明は従来技術と比べ、工作機械全体の前方に、工作機械の内部を横断する1本のコンベヤを有し、コンベヤの長さは必要に応じて増減することができ、コンベヤの長さを延長することにより、より多くの原料及び完成部品を収納する機能を実現し、労力を節約することができる。
【0016】
本発明の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下に実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に紹介するが、明らかな点として、以下の説明における図面は本発明の幾つかの実施例であり、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】本発明の工具マガジンのドアを開けた時の構造概略図である。
【
図3】本発明の原料が完成部品に加工される時の全体構造概略図である。
【
図4】本発明の完成部品がコンベヤベルト上にある時の全体構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下に本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的解決手段を明確、且つ完全に説明するが、明らかな点として、説明される実施例は本発明の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を要することなく取得した全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0019】
本発明はアクチュエータ4、ベッド9、原料供給領域、治具領域、加工領域及び工具マガジン領域を含む。
【0020】
アクチュエータ4はラム1、サドル2及びスライドテーブル3を含み、前記原料供給領域は前記ベッド9を横断し、前記原料供給領域及び前記工具マガジン領域はそれぞれ前記加工領域の対向する両側に位置し、前記原料供給領域は前記マシニングセンタの最先端に位置し、前記アクチュエータ4は原料供給領域、治具領域、加工領域及び工具マガジン領域の上方で移動する。さらに、前記原料供給領域はコンベヤベルト7であり、前記コンベヤベルトに複数の原料交換領域15が等間隔に配置され、各原料交換領域15に原料16を置くための複数のワークステーション6が設置される。
【0021】
さらに、前記加工領域はクレードル回転台8及び作業台14を含み、前記作業台14の数は前記各原料交換領域15上のワークステーション6の数と同じである。
【0022】
前記工具マガジン領域はチェーン式工具ホルダ及び前記チェーン式工具ホルダに固定された工具11を含む。
【0023】
さらに、前記治具領域はクランプ治具12及びブラケット13を含み、前記ブラケット13は前記クランプ治具12を固定するために用いられ、前記治具領域は前記原料供給領域と前記加工領域との間に位置する。
【0024】
さらに、前記治具領域はクランプ治具12を含み、前記クランプ治具12は前記チェーン式工具ホルダに固定される。
【0025】
さらに、前記ラム1に前記作業台14の数と同じ複数の主軸ヘッド10が固定され、前記主軸ヘッド10は移動することにより前記工具11及び前記クランプ治具12に接続される。
【0026】
さらに、前記コンベヤベルトが毎回移動する距離は2つの前記原料交換領域15間の間隔である。
【0027】
さらに、前記工具マガジン領域はさらに工具マガジンドア5を含み、前記工具マガジンドア5は前記工具マガジン領域と前記加工領域との間に設置される。
【0028】
実施例1:具体的には、
図1に示すように、スライドテーブル3は前方に向かって、すなわちコンベヤベルト7の方向に移動し、ラム1を治具領域に到達させ、工作機械の制御端はサドル2の位置を自動的に調整して、ラム1の主軸と下方のクランプ治具12を同心に保持し、この時の前記ラム1の位置をA点として、本実施例においては3つの主軸ヘッド10を設置し、この時にラム1は下向きに移動し、3つの主軸ヘッド10を駆動して下方のクランプ治具12を把持し、且つ指定の高さまで上昇させる。
【0029】
図2に示すように、スライドテーブル3は前方に向かって移動し続け、ラム1をコンベヤベルト7の上方に到達させ、前記コンベヤベルト7に複数の原料交換領域15が等間隔に設置され、前記コンベヤベルト7は断続的に動作し、毎回動作する距離は隣接する2つの原料交換領域間の間隔であり、各原料交換領域15に原料を固定するための3つのワークステーション6が設置され、コンベヤベルト7が移動を開始し、前記3つの主軸ヘッド10の中心軸はそれぞれ3つのワークステーション6にある原料16と同心を保持し、この時の前記ラム1の位置をB点とする。
【0030】
ラム1は下向きに移動し、クランプ治具12によって原料16をクランプし、ラム1は指定の高さまで上昇し、スライドテーブル3は後向きに移動してラム1を作業台14の真上に到達させ、この時の前記ラム1の位置をC点として、且つ下向きに移動して、クランプ治具12を緩め、且つ原料16を作業台の上に降ろし、作業台上のクランプ装置は原料を位置決めしてクランプし、ラム1は再び指定の高さまで上昇する。ラム1はA点に移動し、且つ下向きに移動して、クランプ治具12を降ろして前記ブラケット13の上に置き、次いでラム1は再び指定の高さまで上昇する。
【0031】
工具マガジンドア5を開いて、スライドテーブル3を後方に移動させ、ラム1は3つの主軸ヘッド10を工具マガジン領域の指定された工具交換点に到達させるように駆動し、この時の前記ラム1の位置をD点として、工具11が固定されたチェーン式刃物台を回転させ、使用したい工具を工具交換点まで回転させる。ラム1は下向きに移動し、前記主軸ヘッドは工具交換点に対応する工具を把持してから、前記ラム1は指定の高さまで上昇し、且つC点まで移動し、同時に工具マガジンドア5を閉じて、加工前の準備作業が完了する。
図3に示すように、前記ラム1が下向きに移動することで、前記工具が前記原料を加工し、且つ加工された完成部品17を得る。
【0032】
加工が終了すると、工具マガジンドア5を開いて、ラム1は指定の高さまで上昇し、且つ後方に向かってD点まで移動し、同時に作業台のクランプ装置は完成部品を緩め、主軸ヘッドは工具をチェーン式工具ホルダに装入し、ラム1は前方に向かってA点まで移動し、ラム1は下向きに移動し、クランプ治具を把持し、この時、工具マガジンドア5は閉じられ、ラム1は指定の高さまで上昇する。ラム1は後方に向かってC点まで移動し、同時にラム1は下向きに移動し、クランプ治具は完成部品17をクランプし、ラム1は指定の高さまで再び上昇する。
図4に示すように、ラム1はB点まで移動し、ラム1は下向きに移動して、クランプ治具を緩め、完成部品を下方のワークステーションに降ろし、コンベヤベルトによって完成部品を工作機械の外に搬送し、同時に次のバッチの原料を工作機械の内部に搬送して、且つ以上のステップを繰り返す。
【0033】
実施例2:実施例1を基礎として、前記クランプ治具は前記工具と同様に前記チェーン式工具ホルダに配置されてもよく、前記主軸ヘッドの前記クランプ治具に対する把持は前記工具に対する把持プロセスと同じであり、ここでは説明を省略する。
【0034】
本出願における工具マガジンドア5は加工プロセスにおいて閉じられており、工具マガジン領域外の加工廃棄物及び塵埃を外部に効果的に分離して、工具マガジン領域の清潔を保証する。前記アクチュエータ4の一方の側に前記コンベヤベルトが設けられ、他方の側に作業台及び工具マガジン領域が設けられ、前記主軸ヘッドの動作ストロークを小さくして、加工過程全体をより簡略化して容易にする。
【0035】
最後に説明すべき点は以下のとおりである。以上の各実施例は本発明の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、それを制限するものではない。前記各実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者には理解されるとおり、当業者は依然として前記各実施例に記載の技術的解決手段を修正し、又はそのうちの一部又は全ての技術的特徴に対して等価置換を行うことができる。しかしながらそれらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の本質を本発明の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱させるものであってはならない。