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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】ストレステスト回路及び半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 29/06 20060101AFI20230425BHJP
   G01R 31/3173 20060101ALI20230425BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
G11C29/06
G01R31/3173
G01R31/28 B
G01R31/28 W
G01R31/28 P
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022084903
(22)【出願日】2022-05-25
【審査請求日】2022-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】512167426
【氏名又は名称】華邦電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Winbond Electronics Corp.
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】大平 信裕
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-173297(JP,A)
【文献】特開平11-96796(JP,A)
【文献】特開平10-50097(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0153986(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 29/06
G01R 31/3173
G01R 31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テストモードにおいて、半導体記憶装置内の電圧被供給部であって、トランジスタを含む電圧被供給部に供給される電圧である供給電圧を制御する制御部を備え、
前記制御部は、外部電源の電圧と、前記電圧被供給部に含まれるトランジスタの閾値電圧と、に基づいて前記供給電圧を制御する、
ストレステスト回路。
【請求項2】
前記電圧被供給部は、半導体記憶装置内のビット線をプリチャージするように構成されている、請求項1に記載のストレステスト回路。
【請求項3】
前記制御部は、前記外部電源の電圧が高いほど前記供給電圧が高くなるように制御する、請求項1又は2に記載のストレステスト回路。
【請求項4】
前記制御部は、前記閾値電圧が高いほど前記供給電圧が高くなるように制御する、請求項1に記載のストレステスト回路。
【請求項5】
電源電圧を昇圧して前記供給電圧を生成する昇圧回路と、
前記昇圧回路を駆動するためのクロック信号を生成するオシレータと、をさらに備え、
前記制御部は、前記昇圧回路によって生成された前記供給電圧が所定レベルに設定されるように前記オシレータを制御することによって、前記供給電圧を制御する、請求項1に記載のストレステスト回路。
【請求項6】
前記制御部は、
定電流源と、
前記供給電圧と前記定電流源との間に接続された第1トランジスタと、
前記外部電源の電圧に接続された第2トランジスタと、
前記第2トランジスタと低電源電圧との間に接続された第3トランジスタと、
前記第1トランジスタと前記定電流源との間のノードに接続された第1入力端子と、前記第2トランジスタと前記第3トランジスタとの間のノードに接続された第2入力端子と、を有するコンパレータであって、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の各々に入力された信号に基づいて、前記オシレータを制御するための信号を出力するコンパレータと、を備える、請求項5に記載のストレステスト回路。
【請求項7】
前記第1トランジスタは、前記電圧被供給部に含まれるトランジスタに印加されるバックバイアス電圧と等しいバックバイアス電圧が印加される、請求項6に記載のストレステスト回路。
【請求項8】
前記第1トランジスタは、前記電圧被供給部に含まれるトランジスタと等しいサイズを有する、請求項6又は7に記載のストレステスト回路。
【請求項9】
前記電圧被供給部は、
前記外部電源の電圧と前記半導体記憶装置内の第1ビット線との間に接続された第4トランジスタと、
前記外部電源の電圧と前記半導体記憶装置内の第2ビット線との間に接続された第5トランジスタと、
前記第1ビット線と前記第2ビット線との間に接続された第6トランジスタと、を備える、請求項2に記載のストレステスト回路。
【請求項10】
請求項1に記載のストレステスト回路を備える、半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレステスト回路及び半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の半導体記憶装置のパッケージ工程の前後において、集積回路の信頼性検査としてバーンインテスト(Burn-In Test)が実施されている。ここで、バーンインテストは、例えば、ビット線のプリチャージ電圧を外部電源の電圧又はそれ以上の高電圧に設定した状態で長時間印加することによって、チップに集積されたメモリセルの良否を判別するためのプロセスである。このため、テスト装置や半導体記憶装置には、バーンインテスト用のストレス電圧を供給するためのストレステスト回路が設けられている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、ビット線をプリチャージするための回路には、1つ以上のトランジスタ(例えば、N型又はP型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)等)が設けられており、この回路は、バーンインテストにおいて、1つ以上のトランジスタがオン状態になることによって、ビット線のプリチャージ電圧を外部電源又はそれ以上の高電圧に設定するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-325547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、バーンインテストにおけるビット線のプリチャージ電圧は、ビット線をプリチャージするための回路に設けられた1つ以上のトランジスタの閾値電圧や当該トランジスタのバックバイアス効果によって、外部電源の電圧又はそれ以上の高電圧よりも低下する場合がある。この場合、バーンインテストにおいて十分なストレス電圧を供給することが困難になる虞があった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、適切なストレス電圧を供給することの可能なストレステスト回路及び半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、テストモードにおいて、半導体記憶装置内の電圧被供給部であって、トランジスタを含む電圧被供給部に供給される電圧である供給電圧を制御する制御部を備え、前記制御部は、外部電源の電圧と、前記電圧被供給部に含まれるトランジスタの閾値電圧と、に基づいて前記供給電圧を制御する、ストレステスト回路を提供する(発明1)。
【0008】
かかる発明(発明1)によれば、外部電源の電圧と、電圧被供給部に含まれるトランジスタの閾値電圧と、に基づいて供給電圧が制御されるので、例えば、トランジスタの閾値電圧にばらつきがある場合であっても、バーンインテストにおいて、当該閾値電圧に応じた十分なストレス電圧(供給電圧)を電圧被供給部に供給することが可能になる。これにより、適切なストレス電圧を供給することができる。
【0009】
上記発明(発明1)においては、前記電圧被供給部は、半導体記憶装置内のビット線をプリチャージするように構成されてもよい(発明2)。
【0010】
かかる発明(発明2)によれば、バーンインテストにおいて、適切なストレス電圧によって半導体記憶装置内のビット線をプリチャージすることができる。
【0011】
上記発明(発明1~2)においては、前記制御部は、前記外部電源の電圧が高いほど前記供給電圧が高くなるように制御してもよい(発明3)。
【0012】
かかる発明(発明3)によれば、外部電源の電圧を高くすることによって供給電圧を高くすることが可能になるので、供給電圧を容易に制御することが可能になる。
【0013】
上記発明(発明1~3)においては、前記制御部は、前記閾値電圧が高いほど前記供給電圧が高くなるように制御してもよい(発明4)。
【0014】
かかる発明(発明4)によれば、電圧被供給部に含まれるトランジスタの閾値電圧が高いほど供給電圧が高くなるので、当該閾値電圧に応じた十分なストレス電圧を供給することが可能になる。
【0015】
上記発明(発明1~4)においては、電源電圧を昇圧して前記供給電圧を生成する昇圧回路と、前記昇圧回路を駆動するためのクロック信号を生成するオシレータと、をさらに備え、前記制御部は、前記昇圧回路によって生成された前記供給電圧が所定レベルに設定されるように前記オシレータを制御することによって、前記供給電圧を制御してもよい(発明5)。
【0016】
かかる発明(発明5)によれば、外部電源の電圧と、電圧被供給部に含まれるトランジスタの閾値電圧と、に基づいて供給電圧を設定するようにオシレータ及び昇圧回路が制御されることによって、適切なストレス電圧を供給することが可能になる。
【0017】
上記発明(発明5)においては、前記制御部は、定電流源と、前記供給電圧と前記定電流源との間に接続された第1トランジスタと、前記外部電源の電圧に接続された第2トランジスタと、前記第2トランジスタと低電源電圧との間に接続された第3トランジスタと、前記第1トランジスタと前記定電流源との間のノードに接続された第1入力端子と、前記第2トランジスタと前記第3トランジスタとの間のノードに接続された第2入力端子と、を有するコンパレータであって、前記第1入力端子及び前記第2入力端子の各々に入力された信号に基づいて、前記オシレータを制御するための信号を出力するコンパレータと、を備えてもよい(発明6)。
【0018】
かかる発明(発明6)によれば、外部電源の電圧と、電圧被供給部に含まれるトランジスタの閾値電圧と、に基づいて供給電圧を設定するようにオシレータ及び昇圧回路を制御することが可能になる。
【0019】
上記発明(発明6)においては、前記第1トランジスタは、前記電圧被供給部に含まれるトランジスタに印加されるバックバイアス電圧と等しいバックバイアス電圧が印加されてもよい(発明7)。
【0020】
かかる発明(発明7)によれば、第1トランジスタの閾値電圧と、電圧被供給部に含まれるトランジスタの閾値電圧と、が等しい状態で供給電圧を設定することが可能になる。
【0021】
上記発明(発明6~7)においては、前記第1トランジスタは、前記電圧被供給部に含まれるトランジスタと等しいサイズを有してもよい(発明8)。
【0022】
かかる発明(発明8)によれば、第1トランジスタの利得係数と、電圧被供給部に含まれるトランジスタの利得係数と、が等しい状態で供給電圧を設定することが可能になる。
【0023】
上記発明(発明2~8)においては、前記電圧被供給部は、前記外部電源の電圧と前記半導体記憶装置内の第1ビット線との間に接続された第4トランジスタと、前記外部電源の電圧と前記半導体記憶装置内の第2ビット線との間に接続された第5トランジスタと、前記第1ビット線と前記第2ビット線との間に接続された第6トランジスタと、を備えてもよい(発明9)。
【0024】
かかる発明(発明9)によれば、電圧被供給部によって第1ビット線及び第2ビット線をプリチャージすることが可能になる。
【0025】
また、上記課題を解決するために、本発明は、上記ストレステスト回路を備える、半導体記憶装置を提供する(発明10)。
【0026】
かかる発明(発明10)によれば、適切なストレス電圧を半導体記憶装置に供給することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明のストレステスト回路及び半導体記憶装置によれば、適切なストレス電圧を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態に係るストレステスト回路及び半導体記憶装置の構成例を示すブロック図である。
図2】制御部の構成例を示す図である。
図3】トランジスタの閾値電圧のばらつきを示す分布図である。
図4】外部電源の電圧と供給電圧との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態に係る初期設定装置について添付図面を参照して詳細に説明する。ただし、この実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
また、本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」等の表記は、或る構成要素を他の構成要素と区別するために使用されるものであって、当該構成要素の数、順序又は優先度等を限定するためのものではない。例えば、「第1要素」及び「第2要素」との記載が存在する場合、「第1要素」及び「第2要素」という2つの要素のみが採用されることを意味するものではないし、「第1要素」が「第2要素」に先行しなければならないことを意味するものでもない。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態に係るストレステスト回路10及び半導体記憶装置の構成例を示すブロック図である。本実施形態において、半導体記憶装置は、内部電圧調整部1と、ストレステスト回路10と、スイッチSWと、電圧被供給部20と、を備える。なお、ここでは、説明を簡略化するために、例えばコマンドデコーダ、メモリセルアレイ、入出力用のインタフェース部(インタフェースピン等)等の周知の構成が示されていない。
【0032】
内部電圧調整部1は、外部電源が供給されるように構成されており、外部電源の電圧VDDに基づいて内部電圧を生成する。また、内部電圧調整部1は、内部電圧によって駆動する1つ以上の他の回路(電圧被供給部20を含む)に対して、生成した内部電圧を供給電圧VEQLとして供給する。ここで、内部電圧のレベルは、外部電源の電圧VDDのレベルより低くてもよい。また、内部電圧調整部1は、周知の構成を有していてもよい。さらに、内部電圧調整部1は、内部電圧が供給される他の回路に応じて内部電圧のレベルを変換するレベルコンバータや制御回路等を備えてもよい。
【0033】
次に、ストレステスト回路10の構成について説明する。ストレステスト回路10は、昇圧回路11と、オシレータ12と、制御部13と、を備える。
【0034】
昇圧回路11は、電源電圧を昇圧して供給電圧VEQLを生成するように構成されている。例えば、昇圧回路11は、電源電圧(ここでは、外部電源の電圧VDD)を昇圧した電圧を供給電圧VEQL(この場合、VEQL>VDD)として出力する。昇圧回路11は、周知のチャージポンプ回路を用いて構成されてもよい。
【0035】
オシレータ12は、昇圧回路11を駆動するためのクロック信号pump_CLKを生成するように構成されている。例えば、オシレータ12は、制御部13から出力された信号en_CLKによって活性化すると、クロック信号pump_CLKを生成して昇圧回路11に出力する。なお、クロック信号pump_CLKに基づく昇圧回路11の動作については周知の技術と同様であるため、本実施形態では説明を省略する。
【0036】
制御部13は、バーンインテストモードにおいて、半導体記憶装置内の電圧被供給部20であって、N型MOSFET21,22,23を含む電圧被供給部20に供給される電圧である供給電圧VEQLを制御するように構成されている。ここで、バーンインテストモードは、本発明の「テストモード」の一例である。
【0037】
また、制御部13は、昇圧回路11から出力された供給電圧VEQLを監視し、昇圧回路11によって生成された供給電圧VEQLが所定レベルに設定されるようにオシレータ12を制御することによって、供給電圧VEQLを制御してもよい。これにより、後述するように、外部電源の電圧VDDと、電圧被供給部20に含まれるN型MOSFET21,22,23の閾値電圧Vthと、に基づいて供給電圧VEQLを設定するようにオシレータ12及び昇圧回路11が制御されることによって、適切なストレス電圧を供給することが可能になる。
【0038】
スイッチSWは、一端側が内部電圧調整部1又はストレステスト回路10に接続され、他端側が電圧被供給部20に接続されるように設けられている。例えば、半導体記憶装置が通常動作モードで動作する場合、スイッチSWは、一端側が内部電圧調整部1に接続されるように制御されてもよい。これにより、通常動作モードでは、外部電源の電圧VDDよりも低い内部電圧が供給電圧VEQLとして電圧被供給部20に供給される。一方、半導体記憶装置がバーンインテストモードで動作する場合、スイッチSWは、一端側がストレステスト回路10に接続されるように制御されてもよい。これにより、バーンインテストモードでは、外部電源の電圧VDDよりも高い電圧が供給電圧VEQLとして電圧被供給部20に供給される。
【0039】
次に、電圧被供給部20の構成について説明する。本実施形態において、電圧被供給部20は、メモリセルアレイ(図示省略)から延在する一対の相補ビット線BL,/BLをプリチャージするように構成されている。これにより、バーンインテストにおいて、適切なストレス電圧によって半導体記憶装置内のビット線BL,/BLをプリチャージすることができる。また、本実施形態において、電圧被供給部20は、3つのN型MOSFET21,22,23を備える。
【0040】
電圧被供給部20において、N型MOSFET21,22のドレイン端子は、外部電源の電圧VDDに接続されている。また、N型MOSFET21のソース端子及びN型MOSFET23のドレイン端子は、ビット線BLに接続されている。さらに、N型MOSFET22,23のソース端子は、ビット線/BLに接続されている。さらにまた、N型MOSFET21,22のゲート端子には、内部電圧調整部1又はストレステスト回路10から出力された供給電圧VEQLがゲート電圧BLEQとして印加される。また、N型MOSFET21,22,23の各々には、等しいバックバイアス電圧VBBSAが印加されている。なお、バックバイアス電圧VBBSAは、サブスレッショルドリークを低減するために使用される。ここで、N型MOSFET21は本発明の「第4トランジスタ」の一例であり、N型MOSFET22は本発明の「第5トランジスタ」の一例であり、N型MOSFET23は本発明の「第6トランジスタ」の一例である。また、ビット線BLは本発明の「第1ビット線」の一例であり、ビット線/BLは本発明の「第2ビット線」の一例である。
【0041】
また、本実施形態において、N型MOSFET21,22,23の各々は、互いに等しいサイズ(チャネルの幅及び長さ)を有してもよい。この場合、N型MOSFET21,22,23の各々の利得係数を等しくすることが可能になる。
【0042】
また、一対の相補ビット線BL,/BLの各々は、センスアンプ(図示省略)に接続されている。なお、通常動作モードにおけるメモリセルアレイ(図示省略)内のメモリセル(図示省略)に対するデータ制御及びプリチャージ動作の詳細については周知の技術と同様であるため、本実施形態では説明を省略する。
【0043】
次に、図2を参照して、ストレステスト回路10の制御部13の詳細な構成について説明する。図2に示すように、制御部13は、定電流源13aと、3つのN型MOSFET13b,13c,13dと、コンパレータ13eと、を備える。
【0044】
定電流源13aの一方の端子は、N型MOSFET13bのソース端子に接続されている。また、定電流源13aの他方の端子は、低電源電圧VSS(VSS<VDD,VEQL)に接続されている。
【0045】
N型MOSFET13bのドレイン端子及びゲート端子は、昇圧回路11から出力された供給電圧VEQLに接続されている。また、本実施形態において、N型MOSFET13bは、電圧被供給部20に含まれるN型MOSFET21,22,23に印加されるバックバイアス電圧VBBSAと等しいバックバイアス電圧VBBSAが印加される。これにより、N型MOSFET13bの閾値電圧Vthと、電圧被供給部20に含まれるN型MOSFET21,22,23の閾値電圧Vthと、が等しい状態で供給電圧VEQLを設定することが可能になる。さらに、本実施形態において、N型MOSFET13bは、電圧被供給部20に含まれるN型MOSFET21,22,23と等しいサイズ(チャネルの幅及び長さ)を有してもよい。これにより、N型MOSFET13bの利得係数と、電圧被供給部20に含まれるN型MOSFET21,22,23の利得係数と、が等しい状態で供給電圧VEQLを設定することが可能になる。なお、N型MOSFET13bは、本発明の「第1トランジスタ」の一例である。
【0046】
N型MOSFET13cのドレイン端子及びゲート端子は、外部電源の電圧VDDに接続されている。また、N型MOSFET13cのソース端子は、N型MOSFET13dのドレイン端子に接続されている。さらに、N型MOSFET13cには、低電源電圧VSSがバックバイアス電圧として印加される。なお、N型MOSFET13cは、本発明の「第2トランジスタ」の一例である。
【0047】
N型MOSFET13dのゲート端子は、基準電圧VREFに接続されている。ここで、基準電圧VREFは、基準電圧調整部(図示省略)によってトリミング可能に生成されてもよい。また、基準電圧VREFは、外部電源の電圧VDDより低くてもよい。また、N型MOSFET13dのソース端子は、低電源電圧VSSに接続されている。さらに、N型MOSFET13dには、低電源電圧VSSがバックバイアス電圧として印加される。なお、N型MOSFET13dは、本発明の「第3トランジスタ」の一例である。
【0048】
コンパレータ13eの一方の端子(+端子)は、N型MOSFET13bのソース端子と定電流源13aとの間の接続ノードに接続されている。また、コンパレータ13eの他方の端子(-端子)は、N型MOSFET13cのソース端子とN型MOSFET13dのドレイン端子との間の接続ノードに接続されている。さらに、コンパレータ13eは、オシレータ12の活性化及び非活性化を制御するための信号en_CLKを出力する。なお、本実施形態では、信号en_CLKがローレベルの場合にオシレータ12が活性化され、信号en_CLKがハイレベルの場合にオシレータ12が非活性化されるように構成されている。
【0049】
次に、本実施形態における制御部13の動作について説明する。制御部13のN型MOSFET13c及びN型MOSFET13dを流れる電流をI1とすると、I1は、MOSFETの飽和領域の電流式を用いて以下のように表される。
【数1】

なお、式(1)において、βは、利得係数であり、Vmは、N型MOSFET13cのソース端子とN型MOSFET13dのドレイン端子との間の接続ノードの電位であり、Vthは、N型MOSFET13c,13dの閾値電圧である。そして、式(1)に基づいて、以下の式(2)が表される。
【数2】
【0050】
次に、制御部13のN型MOSFET13b及び定電流源13aを流れる電流をI0とすると、I0は、MOSFETの飽和領域の電流式を用いて以下のように表される。
【数3】

なお、式(3)において、Vpは、N型MOSFET13bのソース端子と定電流源13aとの間の接続ノードの電位であり、Vthは、N型MOSFET13bの閾値電圧である。そして、式(3)に基づいて、以下の式(4)が表される。
【数4】
【0051】
また、VmとVpが等しいと仮定すると、式(2)及び式(4)に基づいて、以下の式(5)が表される。
【数5】

さらに、式(5)に基づいて、以下の式(6)が表される。
【数6】
【0052】
上記の式(6)に示すように、制御部13では、外部電源の電圧VDDが高いほど供給電圧VEQLが高くなるように制御される。これにより、外部電源の電圧VDDを高くすることによって供給電圧VEQLを高くすることが可能になるので、供給電圧VEQLを容易に制御することが可能になる。
【0053】
また、上記の式(6)に示すように、制御部13では、(電圧被供給部20に含まれるN型MOSFET21,22,23の閾値電圧Vthと等しい)N型MOSFET13bの閾値電圧Vthが高いほど供給電圧VEQLが高くなるように制御される。これにより、電圧被供給部20に含まれるN型MOSFET21,22,23の閾値電圧Vthが高いほど供給電圧VEQLが高くなるので、当該閾値電圧Vthに応じた十分なストレス電圧を供給することが可能になる。
【0054】
さらに、上記の式(6)に示すように、制御部13では、基準電圧VREFをトリミングすることによって、供給電圧VEQLを調整することが可能である。
【0055】
また、昇圧回路11から出力された供給電圧VEQLが式(6)の右辺より小さい場合には、コンパレータ13eからローレベルの信号en_CLKが出力される。一方、昇圧回路11から出力された供給電圧VEQLが式(6)の右辺より大きいか等しい場合には、コンパレータ13eからハイレベルの信号en_CLKが出力される。
【0056】
なお、MOSFETの閾値電圧Vthのばらつきは、一般的に、図3に示すような標準正規分布に従うことが多い。ここで、標準偏差σが0よりも大きくなると、当該標準偏差σに含まれるMOSFETの閾値電圧Vthは、標準(σ=±0)のMOSFETの閾値電圧Vthよりも高くなる。この場合、MOSFETの飽和電流が低くなり、応答時間も遅くなる。よって、本実施形態では、標準偏差σ=+3に含まれるMOSFETを低速のMOSFETと称する。一方、標準偏差σが0よりも小さくなると、当該標準偏差σに含まれるMOSFETの閾値電圧Vthは、標準(σ=±0)のMOSFETの閾値電圧Vthよりも低くなる。この場合、MOSFETの飽和電流が高くなり、応答時間も速くなる。よって、本実施形態では、標準偏差σ=-3に含まれるMOSFETを高速のMOSFETと称する。
【0057】
図4に、高速、標準及び低速の各々のMOSFETにおける外部電源の電圧VDDと供給電圧VEQLとの関係を示す。ここで、高速、標準及び低速の各々のMOSFETにおける外部電源の電圧VDDと供給電圧VEQLとの関係は、上記の式(6)からもとめられる。よって、図4に示すように、高速、標準及び低速の各々のMOSFETの供給電圧VEQLは、外部電源の電圧VDDに比例する。また、外部電源の電圧VDDが等しい場合には、閾値電圧Vthが低くなるほど(MOSFETが高速になるほど)、供給電圧VEQLを低くすることができる。このため、電圧被供給部20に含まれるMOSFETの閾値電圧Vthのばらつきに応じて、適切なストレス電圧を供給することが可能になる。
【0058】
上述したように、本実施形態のストレステスト回路10及び半導体記憶装置によれば、外部電源の電圧VDDと、電圧被供給部20に含まれるN型MOSFET21,22,23の閾値電圧Vthと、に基づいて供給電圧VEQLが制御されるので、例えば、N型MOSFET21,22,23の閾値電圧Vthにばらつきがある場合であっても、バーンインテストにおいて、当該閾値電圧Vthに応じた十分なストレス電圧(供給電圧)を電圧被供給部20に供給することが可能になる。これにより、適切なストレス電圧を電圧被供給部20に供給することができる。
【0059】
また、本実施形態のストレステスト回路10及び半導体記憶装置によれば、外部電源の電圧VDDと、電圧被供給部20に含まれるN型MOSFET21,22,23の閾値電圧Vthと、に基づいて供給電圧VEQLを設定するようにオシレータ12及び昇圧回路11が制御されることによって、適切なストレス電圧を供給することが可能になる。
【0060】
さらに、本実施形態のストレステスト回路10及び半導体記憶装置によれば、外部電源の電圧VDDと、電圧被供給部20に含まれるN型MOSFET21,22,23の閾値電圧Vthと、に基づいて供給電圧VEQLを設定するようにオシレータ12及び昇圧回路11を制御することが可能になる。
【0061】
さらにまた、本実施形態のストレステスト回路10及び半導体記憶装置によれば、電圧被供給部20によって一対の相補ビット線BL,/BLをプリチャージすることが可能になる。
【0062】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0063】
例えば、上述した実施形態では、ストレステスト回路10がDRAMに設けられている場合を一例として説明したが、本発明はこの場合に限定されない。例えば、ストレステスト回路10は、SRAMや、フラッシュメモリや、他の半導体記憶装置に設けられてもよい。
【0064】
また、上述した実施形態では、制御部13が3つのN型MOSFET13b,13c,13dを用いて構成されている場合を一例として説明したが、本発明はこの場合に限定されない。例えば、制御部13は、3つのN型MOSFET13b,13c,13dを3つのP型MOSFETに置き換えることによって構成されてもよい。
【0065】
さらに、上述した実施形態では、電圧被供給部20が3つのN型MOSFET21,22,23を用いて構成されている場合を一例として説明したが、本発明はこの場合に限定されない。例えば、電圧被供給部20は、3つのN型MOSFET21,22,23を3つのP型MOSFETに置き換えることによって構成されてもよい。
【0066】
さらにまた、上述した実施形態では、電圧被供給部20が、一対の相補ビット線BL,/BLをプリチャージするように構成されている場合を一例として説明したが、本発明はこの場合に限定されない。例えば、電圧被供給部20は、一対のワード線やIO線(ローカルIO線/メインIO線)等をプリチャージするように構成されてもよいし、隣接するビット線や隣接するワード線等をプリチャージするように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10…ストレステスト回路
11…昇圧回路
12…オシレータ
13…制御部
13a…定電流源
13b,13c,13d…N型MOSFET
13e…コンパレータ
20…電圧被供給部
21,22,23…N型MOSFET
BL,/BL…一対の相補ビット線
VBBSA…バックバイアス電圧
VDD…外部電源の電圧
VEQL…供給電圧
【要約】
【課題】適切なストレス電圧を供給することの可能なストレステスト回路及び半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】ストレステスト回路は、テストモードにおいて、半導体記憶装置内の電圧被供給部であって、トランジスタを含む電圧被供給部に供給される電圧である供給電圧VEQLを制御する制御部13を備え、制御部13は、外部電源の電圧VDDと、電圧被供給部に含まれるトランジスタの閾値電圧と、に基づいて供給電圧VEQLを制御する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4