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特許7268266事象分類装置、事象分類プログラム、故障・不良判定装置及び良・不良判定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】事象分類装置、事象分類プログラム、故障・不良判定装置及び良・不良判定装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/906 20190101AFI20230426BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20230426BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
G06F16/906
G06N20/00 130
G05B23/02 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021125366
(22)【出願日】2021-07-30
(65)【公開番号】P2023020153
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2021-07-30
(73)【特許権者】
【識別番号】521514059
【氏名又は名称】東芝デジタルエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】村松 久
【審査官】松尾 真人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-120487(JP,A)
【文献】国際公開第2019/163141(WO,A1)
【文献】特開2018-120488(JP,A)
【文献】特開2019-185422(JP,A)
【文献】特開2020-104839(JP,A)
【文献】尾原 和也,Wi-Fiチャネル状態情報を用いた屋内日常物の状態変化の検知に関する検討,情報処理学会 研究報告 ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) 2016-UBI-050 [online] ,情報処理学会,2016年05月21日,Internet<URL:https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_uri&item_id=160685&file_id=1&file_no=1>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06N 20/00
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
n個の入力手段から入力されるデータを時系列に所定時間単位毎に1群にまとめ、ディープラーニング分類の対象とするn系列のデータ群を作成するデータ群作成手段と、
n系列の前記データ群作成手段毎に設けられ、自己の系列のデータ群作成手段により作成された1系列のデータ群に対してディープラーニング分類を行って所定種類の分類結果を得た場合の既知の分類結果を教師ラベルとして付与し、学習用データセットを生成し、生成した学習用データセットに基づき、ディープラーニング学習を行って、学習用データセットに対して前記所定種類のいずれか1つの分類結果を得るディープラーニング分類に使用されるディープラーニング分類モデルを生成する、当該装置外に存在するディープラーニング分類モデル生成手段により生成されたディープラーニング分類モデルを備え、このディープラーニング分類モデルを用いて、前記データ群作成手段によりまとめられた前記n系列のデータ群について、各系列毎にそれぞれ所定種類に分類して分類結果を得るディープラーニング分類を行うn系列のディープラーニング分類手段と、
前記ディープラーニング分類モデル生成手段が学習の場合に用いた学習用データセットに含まれているn系列の教師ラベルと、このときに得られるべき1つの教師ラベル(正解の分類結果)を1セットとしたパターンマイニング分類の学習用データセットを生成し、このパターンマイニング分類の学習用データセットに基づきパターンマイニング学習を行い、前記n系列の同一時刻の分類結果について、各系列全体で一括して1つの分類結果を得るパターンマイニング分類モデルを生成する、当該装置外に存在するパターンマイニング分類モデル生成手段により生成された、パターンマイニング分類モデルを備え、このパターンマイニング分類モデルを用いて、前記n系列のディープラーニング分類手段による分類結果を用いて、n系列全体で一括して前記所定種類の分類結果のいずれか1つの分類結果を得るパターンマイニング分類手段と、
を具備することを特徴とする事象分類装置。
【請求項2】
n個の入力手段から入力されるデータを時系列に所定時間単位毎に1群にまとめ、ディープラーニング分類の対象とするn系列のデータ群を作成するデータ群作成手段と、
n系列の前記データ群作成手段毎に設けられ、自己の系列のデータ群作成手段により作成された1系列のデータ群に対してディープラーニング分類を行って所定種類の分類結果を得た場合の既知の分類結果を教師ラベルとして付与し、学習用データセットを生成し、生成した学習用データセットに基づき、ディープラーニング学習を行って、学習用データセットに対して前記所定種類のいずれか1つの分類結果を得るディープラーニング分類に使用されるディープラーニング分類モデルを生成するディープラーニング分類モデル生成手段と、
前記ディープラーニング分類モデル生成手段によって生成されたディープラーニング分類モデルを備えて用い、前記データ群作成手段によりまとめられた前記n系列のデータ群について、各系列毎にそれぞれ所定種類に分類して分類結果を得るディープラーニング分類を行うn系列のディープラーニング分類手段と、
前記ディープラーニング分類モデル生成手段が学習の場合に用いた学習用データセットに含まれているn系列の教師ラベルと、このときに得られるべき1つの教師ラベル(正解の分類結果)を1セットとしたパターンマイニング分類の学習用データセットを生成し、このパターンマイニング分類の学習用データセットに基づきパターンマイニング学習を行い、前記n系列の同一時刻の分類結果について、各系列全体で一括して1つの分類結果を得るパターンマイニング分類モデルを生成するパターンマイニング分類モデル生成手段と、
前記パターンマイニング分類モデル生成手段により生成されたパターンマイニング分類モデルを備えて用いると共に、前記n系列のディープラーニング分類手段による分類結果を用いて、n系列全体で一括して前記所定種類の分類結果のいずれか1つの分類結果を得るパターンマイニング分類手段と、
を具備することを特徴とする事象分類装置。
【請求項3】
前記パターンマイニング分類手段では、ランダムフオレストによる分類を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の事象分類装置。
【請求項4】
コンピュータを、
n個の入力手段から入力されるデータを時系列に所定時間単位毎に1群にまとめ、ディープラーニング分類の対象とするn系列のデータ群を作成するデータ群作成手段、
n系列の前記データ群作成手段毎に設けられ、自己の系列のデータ群作成手段により作成された1系列のデータ群に対してディープラーニング分類を行って所定種類の分類結果を得た場合の既知の分類結果を教師ラベルとして付与し、学習用データセットを生成し、生成した学習用データセットに基づき、ディープラーニング学習を行って、学習用データセットに対して前記所定種類のいずれか1つの分類結果を得るディープラーニング分類に使用されるディープラーニング分類モデルを生成する、このコンピュータ外に存在するディープラーニング分類モデル生成手段により生成されたディープラーニング分類モデルを備え、このディープラーニング分類モデルを用いて、前記データ群作成手段によりまとめられた前記n系列のデータ群について、各系列毎にそれぞれ所定種類に分類して分類結果を得るディープラーニング分類を行うn系列のディープラーニング分類手段、
前記ディープラーニング分類モデル生成手段が学習の場合に用いた学習用データセットに含まれているn系列の教師ラベルと、このときに得られるべき1つの教師ラベル(正解の分類結果)を1セットとしたパターンマイニング分類の学習用データセットを生成し、このパターンマイニング分類の学習用データセットに基づきパターンマイニング学習を行い、前記n系列の同一時刻の分類結果について、各系列全体で一括して1つの分類結果を得るパターンマイニング分類モデルを生成する、このコンピュータ外に存在するパターンマイニング分類モデル生成手段により生成された、パターンマイニング分類モデルを備え、このパターンマイニング分類モデルを用いて、前記n系列のディープラーニング分類手段による分類結果を用いて、n系列全体で一括して前記所定種類の分類結果のいずれか1つの分類結果を得るパターンマイニング分類手段、
として機能させることを特徴とする事象分類プログラム。
【請求項5】
コンピュータを、
n個の入力手段から入力されるデータを時系列に所定時間単位毎に1群にまとめ、ディープラーニング分類の対象とするn系列のデータ群を作成するデータ群作成手段、
n系列の前記データ群作成手段毎に設けられ、自己の系列のデータ群作成手段により作成された1系列のデータ群に対してディープラーニング分類を行って所定種類の分類結果を得た場合の既知の分類結果を教師ラベルとして付与し、学習用データセットを生成し、生成した学習用データセットに基づき、ディープラーニング学習を行って、学習用データセットに対して前記所定種類のいずれか1つの分類結果を得るディープラーニング分類に使用されるディープラーニング分類モデルを生成するディープラーニング分類モデル生成手段、
前記ディープラーニング分類モデル生成手段によって生成されたディープラーニング分類モデルを備えて用い、前記データ群作成手段によりまとめられた前記n系列のデータ群について、各系列毎にそれぞれ所定種類に分類して分類結果を得るディープラーニング分類を行うn系列のディープラーニンク分類手段、
前記ディープラーニング分類モデル生成手段が学習の場合に用いた学習用データセットに含まれているn系列の教師ラベルと、このときに得られるべき1つの教師ラベル(正解の分類結果)を1セットとしたパターンマイニング分類の学習用データセットを生成し、このパターンマイニング分類の学習用データセットに基づきパターンマイニング学習を行い、前記n系列の同一時刻の分類結果について、各系列全体で一括して1つの分類結果を得るパターンマイニング分類モデルを生成するパターンマイニング分類モデル生成手段、
前記パターンマイニング分類モデル生成手段により生成されたパターンマイニング分類モデルを備えて用いると共に、前記n系列のディープラーニング分類手段による分類結果を用いて、n系列全体で一括して前記所定種類の分類結果のいずれか1つの分類結果を得るパターンマイニング分類手段、
として機能させることを特徴とする事象分類プログラム。
【請求項6】
前記パターンマイニング分類手段では、ランダムフォレストによる分類を用いることを特徴とする請求項4または5に記載の事象分類プログラム。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の事象分類装置を、製造装置が、分類結果「正常」であるか、分類結果「故障」であるか、に分類する装置として備えると共に、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のn個の入力手段をn個のセンサとして前記製造装置の所要位置に設けて、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパターンマイニング分類手段により分類結果「正常」と分類結果「故障」とのいずれかを得て、
前記製造装置が故障か正常かを判定することを特徴とする故障・正常判定装置。
【請求項8】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の事象分類装置を、製造装置により製造された製品が、分類結果「良」であるか、分類結果「不良」であるか、に分類する装置として備えると共に、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のn個の入力手段をn個のセンサとして前記製造装置の所要位置に設けて、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパターンマイニング分類手段により分類結果「良」と分類結果「不良」とのいずれかを得て、
前記製造装置により製造される製品が良か不良かを判定する
ことを特徴とする良・不良判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、事象分類装置、事象分類プログラム、上記事象分類装置を用いて構成した製造装置等の故障・不良判定装置及び良・不良判定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製品製造の現場などでは、製造装置に設けられたセンサから得られるデータの分布や特性が日々変動することが生じ、装置や製造された製品の故障や不良を判定するためのルールや閾値が変動する。このようにルールや閾値の変動が生じると故障や不良を判定する精度の低下が生じ、場合によっては誤判定が発生することがある。
また、製造装置に設けられるセンサの数が多く、センサからのデータについては、データ量も増大する傾向にある。センサ数とデータ量が多い場合、その再検討や決定や実装に時間やコストがかかるため、即座に反映は困難である。このためリアルタイムでの判定が難しい。
【0003】
そのため、センサから得られるデータを全て用いるのではなく、これらを間引き、判定を簡素化する等の工夫が行われている。その結果として精度の低下につながる場合が多い。
【0004】
従来の故障予測システムとしては、特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1に記載のシステムは、故障予測装置と学習サーバとを設けて、上記故障予測装置は、対象装置に故障が生じた場合に、この故障が生じるまでの時系列のセンサデータを上記学習サーバに送信して、学習サーバによる、上記故障が生じるまでの時系列のセンサデータを教師データとした学習により対象装置の故障を予測する学習モデルの生成を行わせる。そして、この生成された学習モデルを上記故障予測装置に送信して、故障予測装置において学習モデルを動作させる。
【0005】
故障予測装置の学習モデルは、対象装置のセンサから得られるデータに基づき、故障の確率を予測して動作する。これにより、対象装置の故障を事前に検知してクラウドやネットワークの保守品質を向上させることができるというものである。
【0006】
また、広くデータ解析という観点からは、特許文献2に記載されたシステムを従来システムとして挙げることができる。このシステムは、コンピュータのプロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。このプログラムの実行により、時系列パターンの各時系列データにおいて繰り返される回数と、時系列パターンの繰り返し回数が所定の回数以上となる時系列データの数である出現頻度を数える。
【0007】
上記により、所定の繰り返し回数で、且つ所定の時系列データの数以上で所定の繰り返し回数以上となる時系列パターンを抽出する。更に、時系列データ各々に所定の間隔でチェックポイントを設け、各チェックポイントにおいて各時系列データにおける時系列パターンの繰り返し回数の上限値を算出し、この上限値を用いて出現頻度を算出することによって、繰り返し回数を数え上げる時系列パターンと時系列データの範囲を限定する。
【0008】
更に、特許文献3に記載の汎用人工知能装置を挙げることができる。人工知能装置は、学習データが入力されるデータ入力部と、データ入力部から提供された学習データを用いて、複数のAIモデルが学習及び予測を実行する学習予測部と、データ入力部から得られた学習データ、及び学習予測部から得られた予測データを解析して、データ構造を生成するデータ解析部と、データ解析部から得られたデータ構造を表示する表示部とを備える。
【0009】
上記特許文献3の装置は、AIの経験が乏しいユーザであっても、AIモデルを自ら調整することができる、人工知能装置及び人工知能プログラムの提供を目的としている。監視対象機器の故障予測の学習には言及がなく、製品を生産する装置等のような機械装置を対象として故障予測できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2016-173782号公報
【文献】特開2011-123652号公報
【文献】特開2020-140226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記の特許文献1に記載のシステムによれば、対象装置の故障を事前に検知することができるものの、精度という観点からは低いものとならざるを得なかった。
【0012】
また、特許文献2に記載のシステムは、例えば、多人数の時系列データにおいて複数の顧客に共通して現れる時系列パターンであって、一人の時系列データにおいて複数回繰り返される時系列パターンの抽出を可能とするものである。この特許文献2の発明は、共通の時系列パターンの抽出に留まっており、入力されたデータを分類することには言及するものではない。
【0013】
本実施形態は上記のようなデータ解析システムの現状に鑑みてなされたもので、その目的は、大量のデータに対する分類を高速にしかも高精度で行うことが可能な事象分類装置、事象分類プログラムを提供することである。また、上記事象分類装置を用いて構成した、製造装置が故障か正常かを判定する故障・正常判定装置、更に、上記事象分類装置を用いて構成した、製造装置により製造される製品が良か不良かを判定する良・不良判定装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本実施形態に係る事象分類装置は、n個の入力手段から入力されるデータを時系列に所定時間単位毎に1群にまとめ、ディープラーニング分類の対象とするn系列のデータ群を作成するデータ群作成手段と、n系列の前記データ群作成手段毎に設けられ、自己の系列のデータ群作成手段により作成された1系列のデータ群に対してディープラーニング分類を行って所定種類の分類結果を得た場合の既知の分類結果を教師ラベルとして付与し、学習用データセットを生成し、生成した学習用データセットに基づき、ディープラーニング学習を行って、学習用データセットに対して前記所定種類のいずれか1つの分類結果を得るディープラーニング分類に使用されるディープラーニング分類モデルを生成する、当該装置外に存在するディープラーニング分類モデル生成手段により生成されたディープラーニング分類モデルを備え、このディープラーニング分類モデルを用いて、前記データ群作成手段によりまとめられた前記n系列のデータ群について、各系列毎にそれぞれ所定種類に分類して分類結果を得るディープラーニング分類を行うn系列のディープラーニング分類手段と、前記ディープラーニング分類モデル生成手段が学習の場合に用いた学習用データセットに含まれているn系列の教師ラベルと、このときに得られるべき1つの教師ラベル(正解の分類結果)を1セットとしたパターンマイニング分類の学習用データセットを生成し、このパターンマイニング分類の学習用データセットに基づきパターンマイニング学習を行い、前記n系列の同一時刻の分類結果について、各系列全体で一括して1つの分類結果を得るパターンマイニング分類モデルを生成する、当該装置外に存在するパターンマイニング分類モデル生成手段により生成された、パターンマイニング分類モデルを備え、このパターンマイニング分類モデルを用いて、前記n系列のディープラーニング分類手段による分類結果を用いて、n系列全体で一括して前記所定種類の分類結果のいずれか1つの分類結果を得るパターンマイニング分類手段と、を具備することを特徴とする。
【0015】
本実施形態に係る事象分類装置では、n個の入力手段から入力されるデータを時系列に所定時間単位毎に1群にまとめ、ディープラーニング分類の対象とするn系列のデータ群を作成するデータ群作成手段と、n系列の前記データ群作成手段毎に設けられ、自己の系列のデータ群作成手段により作成された1系列のデータ群に対してディープラーニング分類を行って所定種類の分類結果を得た場合の既知の分類結果を教師ラベルとして付与し、学習用データセットを生成し、生成した学習用データセットに基づき、ディープラーニング学習を行って、学習用データセットに対して前記所定種類のいずれか1つの分類結果を得るディープラーニング分類に使用されるディープラーニング分類モデルを生成するディープラーニング分類モデル生成手段と、前記ディープラーニング分類モデル生成手段によって生成されたディープラーニング分類モデルを備えて用い、前記データ群作成手段によりまとめられた前記n系列のデータ群について、各系列毎にそれぞれ所定種類に分類して分類結果を得るディープラーニング分類を行うn系列のディープラーニング分類手段と、前記ディープラーニング分類モデル生成手段が学習の場合に用いた学習用データセットに含まれているn系列の教師ラベルと、このときに得られるべき1つの教師ラベル(正解の分類結果)を1セットとしたパターンマイニング分類の学習用データセットを生成し、このパターンマイニング分類の学習用データセットに基づきパターンマイニング学習を行い、前記n系列の同一時刻の分類結果について、各系列全体で一括して1つの分類結果を得るパターンマイニング分類モデルを生成するパターンマイニング分類モデル生成手段と、前記パターンマイニング分類モデル生成手段により生成されたパターンマイニング分類モデルを備えて用いると共に、前記n系列のディープラーニング分類手段による分類結果を用いて、n系列全体で一括して前記所定種類の分類結果のいずれか1つの分類結果を得るパターンマイニング分類手段と、を具備することを特徴とする。
【0016】
本実施形態に係る事象分類装置では、前記パターンマイニング分類手段では、ランダムフォレストによる分類を用いることを特徴とする。
【0017】
本実施形態に係る事象分類プログラムは、コンピュータを、n個の入力手段から入力されるデータを時系列に所定時間単位毎に1群にまとめ、ディープラーニング分類の対象とするn系列のデータ群を作成するデータ群作成手段、n系列の前記データ群作成手段毎に設けられ、自己の系列のデータ群作成手段により作成された1系列のデータ群に対してディープラーニング分類を行って所定種類の分類結果を得た場合の既知の分類結果を教師ラベルとして付与し、学習用データセットを生成し、生成した学習用データセットに基づき、ディープラーニング学習を行って、学習用データセットに対して前記所定種類のいずれか1つの分類結果を得るディープラーニング分類に使用されるディープラーニング分類モデルを生成する、このコンピュータ外に存在するディープラーニング分類モデル生成手段により生成されたディープラーニング分類モデルを備え、このディープラーニング分類モデルを用いて、前記データ群作成手段によりまとめられた前記n系列のデータ群について、各系列毎にそれぞれ所定種類に分類して分類結果を得るディープラーニング分類を行うn系列のディープラーニング分類手段、前記ディープラーニング分類モデル生成手段が学習の場合に用いた学習用データセットに含まれているn系列の教師ラベルと、このときに得られるべき1つの教師ラベル(正解の分類結果)を1セットとしたパターンマイニング分類の学習用データセットを生成し、このパターンマイニング分類の学習用データセットに基づきパターンマイニング学習を行い、前記n系列の同一時刻の分類結果について、各系列全体で一括して1つの分類結果を得るパターンマイニング分類モデルを生成する、このコンピュータ外に存在するパターンマイニング分類モデル生成手段により生成された、パターンマイニング分類モデルを備え、このパターンマイニング分類モデルを用いて、前記n系列のディープラーニング分類手段による分類結果を用いて、n系列全体で一括して前記所定種類の分類結果のいずれか1つの分類結果を得るパターンマイニング分類手段、として機能させることを特徴とする。
【0018】
本実施形態に係る事象分類プログラムでは、コンピュータを、n個の入力手段から入力されるデータを時系列に所定時間単位毎に1群にまとめ、ディープラーニング分類の対象とするn系列のデータ群を作成するデータ群作成手段、n系列の前記データ群作成手段毎に設けられ、自己の系列のデータ群作成手段により作成された1系列のデータ群に対してディープラーニング分類を行って所定種類の分類結果を得た場合の既知の分類結果を教師ラベルとして付与し、学習用データセットを生成し、生成した学習用データセットに基づき、ディープラーニング学習を行って、学習用データセットに対して前記所定種類のいずれか1つの分類結果を得るディープラーニング分類に使用されるディープラーニング分類モデルを生成するディープラーニング分類モデル生成手段、前記ディープラーニング分類モデル生成手段によって生成されたディープラーニング分類モデルを備えて用い、前記データ群作成手段によりまとめられた前記n系列のデータ群について、各系列毎にそれぞれ所定種類に分類して分類結果を得るディープラーニング分類を行うn系列のディープラーニング分類手段、前記ディープラーニング分類モデル生成手段が学習の場合に用いた学習用データセットに含まれているn系列の教師ラベルと、このときに得られるべき1つの教師ラベル(正解の分類結果)を1セットとしたパターンマイニング分類の学習用データセットを生成し、このパターンマイニング分類の学習用データセットに基づきパターンマイニング学習を行い、前記n系列の同一時刻の分類結果について、各系列全体で一括して1つの分類結果を得るパターンマイニング分類モデルを生成するパターンマイニング分類モデル生成手段、前記パターンマイニング分類モデル生成手段により生成されたパターンマイニング分類モデルを備えて用いると共に、前記n系列のディープラーニング分類手段による分類結果を用いて、n系列全体で一括して前記所定種類の分類結果のいずれか1つの分類結果を得るパターンマイニング分類手段、として機能させることを特徴とする。

【0019】
本実施形態に係る事象分類プログラムでは、前記パターンマイニング分類手段においては、ランダムフォレストによる分類を用いることを特徴とする。
【0020】
本実施形態に係る故障・正常判定装置は請求項1乃至3のいずれか1項に記載の事象分類装置を、製造装置が、分類結果「正常」であるか、分類結果「故障」であるか、に分類する装置として備えると共に、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のn個の入力手段をn個のセンサとして前記製造装置の所要位置に設けて、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパターンマイニング分類手段により分類結果「正常」と分類結果「故障」とのいずれかを得て、前記製造装置が故障か正常かを判定することを特徴とする。
【0021】
本実施形態に係る良・不良判定装置は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の事象分類装置を、製造装置により製造された製品が、分類結果「良」であるか、分類結果「不良」であるか、に分類する装置として備えると共に、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のn個の入力手段をn個のセンサとして前記製造装置の所要位置に設けて、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパターンマイニング分類手段により分類結果「良」と分類結果「不良」とのいずれかを得て、前記製造装置により製造される製品が良か不良かを判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本実施形態によれば、ディープラーニング分類手段により高速に大量データを分類し、更に、パターンマイニング分類手段により上記ディープラーニング分類手段の分類結果に基づき判定するので、高精度な分類結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る事象分類装置の実施形態を示す構成図。
図2】本発明の実施形態に係る事象分類装置の要部であるディープラーニング分類モデル生成手段を示す構成図。
図3】本発明の実施形態に係る事象分類装置の要部であるパターンマイニング分類モデル生成手段を示す構成図。
図4】本発明の実施形態に係る事象分類装置のディープラーニング分類モデル生成及びパターンマイニング分類モデル生成の動作を説明するためのフローチャート。
図5】本発明の実施形態に係る事象分類装置による分類動作を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下添付図面を参照して、本発明に係る事象分類装置の実施形態を説明する。各図において同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1に、本発明に係る事象分類装置の実施形態のブロック図を示す。この実施形態では、製造装置などの対象装置100の所要箇所に、データを入力する入力手段であるセンサ11-1~11-nが設けられている。センサ11-1~11-nは、製造工程等の温度や湿度、装置の速度、装置の部位に流れる電流や検出ポイントの電圧等を検出する構成を備える。
【0025】
センサ11-1~11-nには、データ群作成手段であるグラフ作成手段20-1~20-nが接続される。データ群作成手段は、n個の入力手段から入力されるデータを時系列に所定時間単位毎に1群にまとめ、ディープラーニング分類の対象とするn系列のデータ群を作成するものである。本実施形態では、データ群作成手段であるグラフ作成手段20-1~20-nは、対応するセンサ11-1~11-nから得られるデータを時系列に所定時間単位毎あるいは1処理サイクル毎にまとめ、上記のセンサ11-1~11-n毎にグラフ化するものである。この場合の所定時間単位とは、対象装置100が1処理結果を出す1サイクルを基準に決定する。例として、対象装置100を例えば製造装置とするなら、1製品の製造開始から終了までといった時間間隔が1サイクルの所定時間単位、といった具合に適用される。本実施形態では、ディープラーニングにCNN(画像)による手法を用いるためにグラフ化を行っているが、ディープラーニングRNNによる手法を用いることもでき、この場合には、入力手段により入力タイミング毎に得られる複数の数値を所定時間単位毎にまとめて1つのデータ群として、後の処理を行うものとする。
【0026】
上記グラフ作成手段20-1~20-nには、ディープラーニング分類モデル生成手段30-1~30-nとディープラーニング分類手段31-1~31-nが接続されている。本実施形態では、ディープラーニング分類モデル生成手段30-1~30-nと後述するパターンマイニング分類モデル生成手段40が動作を行う学習モードと、ディープラーニング分類手段31-1~31-nと後述するパターンマイニング分類手段41が動作を行う分類モードとを備え、学習モードと分類モードの切換は、オペレータの指示を受けた制御部200が行う。
【0027】
学習モードの場合にデータの分類結果は既知である。これを教師ラベルと表現する。分類という語は2種類に分類する場合には、通常「aとbに分類する」のように用いられ、「分類a」と「分類b」とに分けられることであるが、本実施形態では、「分類aと分類b」とは言わずに、「分類結果aと分類結果b」という。この実施形態では、2種類に分類する場合を例とするが、3種類以上に分類する場合にも本発明は適用可能である。また、分類を割合や確率(%)によって表現しても良い。例えば、a、b、cの3種類に分類する場合に、aは25%、bは10%、cは65%というように、分類結果を得ることができる。
【0028】
制御部200によって学習モードが指示されているときに、ディープラーニング分類モデル生成手段30-1~30-nには、対応するグラフ作成手段20-1~20-nにより予めグラフ化された上記センサ11-1~11-n毎のグラフ画像について、既知の分類結果aのグラフ画像と既知の分類結果bのグラフ画像とに教師ラベルを付与し、学習用データセットとする。この学習用データセットはディープラーニング分類モデル生成手段30-1~30-nに蓄積され、この学習用データセットを用いてディープラーニング分類の学習を行い、ディープラーニング分類モデル生成手段30-1~30-nは、ディープラーニング分類モデルを生成するものである。ディープラーニング分類モデル生成手段30-1~30-nにより生成されたディープラーニング分類モデルは、対応するディープラーニング分類手段31-1~31-nとして配置されディープラーニング分類を実行する。
【0029】
即ち、運用モードのときに、ディープラーニング分類手段31-1~31-nは、対応するグラフ作成手段20-1~20-nによりグラフ化された上記センサ11-1~11-n毎のグラフ画像について、ディープラーニング分類を行うものである。本実施形態においてディープラーニング分類は、画像の場合、例えば、公知のCNN(Convolutional Neural Net)の手法によるものとすることができる。学習モードと運用モードの切換は、オペレータの指示を受けた制御部200が行うことができる。
【0030】
グラフ作成手段20-1~20-nとディープラーニング分類モデル生成手段30-1~30-n、ディープラーニング分類手段31-1~31-nについては、その1系統であるグラフ作成手段20-1とディープラーニング分類モデル生成手段30-1、ディープラーニング分類手段31-1の構成は、他の複数系統であるグラフ作成手段20-2~20-nとディープラーニング分類モデル生成手段30-2~30-n、ディープラーニング分類手段31-2~31-nにおける各系統の構成と同一である。そこで、図2を用いてグラフ作成手段20-1とディープラーニング分類モデル生成手段30-1、ディープラーニング分類手段31-1の1系統の詳細構成を説明し、他の複数系統であるグラフ作成手段20-2~20-nとディープラーニング分類モデル生成手段30-2~30-n、ディープラーニング分類手段31-2~31-nにおける各系統の詳細構成を省略する。
【0031】
上記1系統のグラフ作成手段20-1には、データ分割部21が備えられ、データ分割部21は、センサ11-1から連続してデータ(センサログ)をデータ入力部23にて受け取り、到達順に値を有限時間範囲あるいは1処理サイクル毎で束ねる。上記データ分割部21の後段には、グラフ生成部22が配置されている。グラフ生成部22は、有限時間範囲(所定時間単位)あるいは1処理サイクル毎で束ねられた値からグラフ画像を生成する。このグラフ画像は、横軸を時間とし縦軸をセンサから得られた値とすることができる。
【0032】
グラフ生成部22の後段には、ディープラーニング分類モデル生成手段30-1のデータセット生成部33が配置されている。データセット生成部33は、グラフ生成部22により生成されたグラフ画像から学習用の画像データセットを生成するものである。ここではディープラーニングにおいて、グラフ生成部22により生成されたグラフ画像に既知の分類結果aまたは分類結果bの教師ラベルを付与する。これにより、データセット生成部33は、複数の分類結果aのグラフデータと分類結果bのグラフデータのデータセットを生成する。
【0033】
データセット生成部33により生成されたデータセットは、ディープラーニング分類モデル生成手段30-1のディープラーニング学習部32へ与えられる。ディープラーニング学習部32は、データセットを用いてディープラーニング分類学習を行い、ディープラーニング分類モデルを生成する。このディープラーニング分類モデルは、センサ11-1から得られるデータに対してグラフ生成部22により生成されたグラフ画像を取り込み、ディープラーニング分類手段31-1がディープラーニング分類に用いる分類モデルである。
【0034】
ディープラーニング学習部32により生成されたディープラーニング分類モデルは、ディープラーニング分類手段31-1の中核を構成するディープラーニング判定部300へ与えられる。以上のように動作するデータセット生成部33とディープラーニング学習部32とは、グラフ作成手段20-1~20-nによりグラフ化された画像データに基づきディープラーニング学習を行って、上記複数のセンサ11-1~11-n毎に上記ディープラーニング分類手段31-1~31-nが用いるディープラーニング分類モデルを生成するディープラーニング分類モデル生成手段30-1~30-n(図1に示す)にも備えられている。ディープラーニング分類モデル生成手段30-1~30-nからは、それぞれディープラーニング分類モデルが生成され、ディープラーニング分類手段31-1~31-nにおけるそれぞれのディープラーニング判定部300へ配置される。このように、ディープラーニング分類モデル生成手段30-1~30-nは、n系列の上記データ群作成手段であるグラフ作成手段20-1~20-n毎に設けられ、自己の系列のデータ群作成手段により作成された1系列のデータ群に対してディープラーニング分類を行った場合の既知の分類結果を教師ラベルとして付与し、学習用データセットを生成し、生成した学習用データセットに基づき、ディープラーニング学習を行って、学習用データセットに対して前記所定種類のいずれか1つの分類結果を得るディープラーニング分類に使用されるディープラーニング分類モデルを生成するものである。
【0035】
ディープラーニング判定部300は、グラフ作成手段20-1~20-nのそれぞれに備えられているグラフ生成部22の後段に配置されており、ディープラーニング分類モデルを与えられた後の分類モードにおいて、グラフ生成部22から送られるグラフ画像に対してディープラーニング分類を行う。つまり、各ディープラーニング判定部300は、各グラフ生成部22から送られるグラフ画像(つまり、上記n系列のデータ群)を分類結果aと分類結果bとの2種類に分類して出力を行うディープラーニング分類手段31-1~30-nであると言える。
【0036】
ディープラーニング分類モデル生成手段30-1~30-nの後段には、パターンマイニング分類モデル生成手段40が配置されている。ディープラーニング分類手段31-1~31-nの後段には、パターンマイニング分類手段41が配置されている。パターンマイニング分類モデル生成手段40は、学習モードのときに、ディープラーニング分類モデル生成手段30-1~30-nが学習の場合に用いた学習用データセットに含まれているn系列の教師ラベル(分類結果a、分類結果b)と、このときに得られるべき1つの教師ラベル(正解の分類結果aまたはb)を1セットとしたパターンマイニング分類の学習用データセットを用いてパターンマイニング分類学習を行い、パターンマイニング分類モデルを生成する。このようにパターンマイニング分類モデル生成手段40は、上記ディープラーニング分類モデル生成手段30-1~30-nが学習の場合に用いた学習用データセットに含まれているn系列の教師ラベルと、このときに得られるべき1つの教師ラベル(正解の分類結果)を1セットとしたパターンマイニング分類の学習用データセットを生成し、このパターンマイニング分類の学習用データセットに基づきパターンマイニング学習を行い、上記n系列の同一時刻の分類結果について、各系列全体で一括して1つの分類結果を得るパターンマイニング分類モデルを生成するものである。生成されたパターンマイニング分類モデルは、ディープラーニング分類手段31-1~31-nにより送られるn系列の分類結果に対してパターンマイニング分類手段41がパターンマイニング分類に用いる分類モデルである。このパターンマイニング分類では、例えば、ランダムフォレストによる分類を用いることができる。
【0037】
図3には、パターンマイニング分類モデル生成手段40が行う動作とパターンマイニング分類手段41の詳細構成図が示されている。この図3では、パターンマイニング分類モデル生成手段40に入力されるデータを、nが4としてデータセットの分類結果を四角内に示している。この教師データセットは、4系列の分類結果を縦に並べて示し、到来時刻の古い方を横右方向に示したものにおいて、このときに得られるべき1の分類結果(正解の分類結果aまたはb)を、4系列の分類結果の上方にaまたはbにより示したものである。
【0038】
パターンマイニング分類モデル生成手段40は、上記の教師データセットを用いてパターンマイニング学習を行い、パターンマイニング分類モデルを生成する。生成されたパターンマイニング分類モデルは、一般的には、n系列の分類結果が与えられるとこれらを一体としてaとbのいずれかに分類するためのモデルであるということができる。生成されたパターンマイニング分類モデルは、パターンマイニング分類手段41に送られてパターンマイニング分類手段41に備えられる。
【0039】
パターンマイニング分類手段41は、ディープラーニング分類手段31-1~31-nの後段に配置され、上記ディープラーニング分類手段31-1~31-nが分類したn系列の分類結果ついて、パターンマイニング分類を行い、1の分類結果を得る。つまり、パターンマイニング分類手段41は、パターンマイニング分類モデル生成手段40により生成されたパターンマイニング分類モデルを用いてパターンマイニング分類を行い、結果を得る。このパターンマイニング分類による結果は、図示しない表示装置やプリント装置へ送って出力させることができる。
【0040】
以上の事象分類装置は、センサ11-1~11-nを入力ポートに取り込み、ディジタル化してコンピュータ処理を行うサーバコンピュータなどにより構成することができ、各手段は、サーバコンピュータが事象分類プログラムを実行することによって実現することができる。
【0041】
図4図5は、上記事象分類プログラムに対応するフローチャートを示す。このフローチャートにより事象分類装置の動作を説明する。図4は、ディープラーニング分類モデルとパターンマイニング分類モデルを生成する処理、即ち、学習モードの動作を示すものである。処理がスタートとなると、センサ11-1~11-nからのデータを取り込み、センサ毎のデータを到達順に値を有限時間範囲あるいは1処理サイクル毎で束ねて、学習用のグラフ画像をそれぞれ生成する(S11)。
【0042】
次に、学習用のグラフ画像を既知の事象でラベル付けする(S12)。この事象とは、対象装置100が1処理した事実結果を意味する。
【0043】
次に、上記の複数グラフからデータセットを生成し、生成されたデータセットを用いてディープラーニング学習を行い、ディープラーニング分類モデルを生成する(S13)。更に、上記ディープラーニング分類モデルの生成に用いた上記複数のセンサ11-1~11-n毎のデータに基づき生成した分類結果と正解(事実結果)によりなる学習用データセットを用いてパターンマイニング学習を行い、n系列の分類結果から1つの分類結果を得るパターンマイニング分類モデルを生成する(S14)。
【0044】
図5は、上記図4のフローチャートのプログラムによって生成されたディープラーニング分類モデルとパターンマイニング分類モデルを用いた実際の分類処理、即ち分類モードの動作を示すものである。処理がスタートとなると、センサ11-1~11-nからのデータを取り込み、各センサ毎のデータを到達順に値を有限時間範囲あるいは1処理サイクル毎で束ねて、分類対象とするグラフ(画像)データをそれぞれ生成する(S21)。
【0045】
次に、図4のステップS13において生成されているディープラーニング分類モデルを用いて、分類対象とするグラフデータの分類を行う(S22)。これにより、n系列のグラフ画像それぞれについてaとbのいずれかに分類する処理が行われる。
【0046】
次に、上記のn系列のグラフ画像に対する分類結果を一体として、パターンマイニング分類モデルを用いて分類を行うことにより、1つの分類結果を決定する(S23)。このステップS23においては、図3に示したようにn系列の分類結果を一つとして扱い、所定時間単位毎あるいは1処理サイクル毎にaとbのいずれかに分類して1つ分類結果を得る処理が行われる。
【0047】
以上のように、本実施形態では各系列毎にディープラーニング分類モデルによる分類を行い、この各系列毎の分類結果をパターンマイニング分類モデルへ与えて、1つの分類結果を得る分類を行うので、ディープラーニング分類モデルによる分類において誤りがあっても、各系列毎の分類結果をパターンマイニングを用いて1つの分類結果とすることにより的確に誤りを減少させることができる。
【0048】
上記では事象分類装置の実施形態を示したが、これを故障・不良判定装置とすることができる。この場合には、入力手段である上記センサ11-1~11-nを、製造装置の所要位置に設けられたセンサとし、他の構成を上記実施形態の事象分類装置と同一の構成とし、上記センサ11-1~11-nから得られるデータに基づき、上記事象分類装置を、故障或いは正常を判定する判定装置として用いる。或いは、入力手段である上記センサ11-1~11-nを、製造装置の所要位置に設けられたセンサとし、他の構成を上記実施形態の事象分類装置と同一の構成とし、上記センサ11-1~11-nから得られるデータに基づき、上記事象分類装置を、この製造装置により製造された製品の良・不良判定する判定装置として用いる。これにより、製造装置により製造された製品の良・不良判定を行う良・不良判定装置を提供することができる。この例からも分かるように、本実施形態では、「分類結果aと分類結果b」に分類するとしか述べず、a、bの語を用いているが、本実施形態の発明は、(a=正常、b=異常)、(a=良、b=不良)、(a=大、b=小)、(a=白、b=黒)、(a=男、b=女)のように、対象を2種類に分類する場合に、どの様な分け方にも適用できることは言うまでもない。
【0049】
なお、上記実施形態における、ディープラーニング分類モデル生成手段30-1~30-nとパターンマイニング分類モデル生成手段40はモデル生成のためにだけ設け、実際の装置運用時(分類モード)には、これらの手段を備えなくともよい。
【0050】
また、本実施形態のように、機械学習モデルを用いた装置において分類の正確性に関しては運用状態で判定でき、判定の原(基)となるデータが一定量貯まった時点でいつでもモデルの生成が可能であるという利点を有している。そして、分類モデルについては装置の稼働停止毎に毎回更新する必要は無いものである。また、学習モードによるモデル生成と分類モードによる判定は別装置(2系統のコンピュータ)で並列処理が可能である。つまり、判定処理を行う分類モードを止めずに学習モードにより分類モデルを生成可能であるから、リアルタイムに判定可能である。つまり、本実施形態において機械学習(学習モード)と分類処理(分類モード)を2系列のコンピュータより並列処理を行うことで「入力手段から得られる測定値が遅延なく分類判定される状態」を「リアルタイム処理」と定義するならば、リアルタイム処理は実現できるものである。
【符号の説明】
【0051】
11-1~11-n センサ
20-1~20-n グラフ作成手段
21 データ分割部
22 グラフ生成部
23 データ入力部
30-1~30-n ディープラーニング分類モデル生成手段
31-1~31-n ディープラーニング分類手段
32 ディープラーニング学習部
33 データセット生成部
40 パターンマイニング分類モデル生成手段
41 パターンマイニング分類手段
100 対象装置
200 制御部
300 ディープラーニング判定部
図1
図2
図3
図4
図5