(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】攪拌容器
(51)【国際特許分類】
A47K 5/14 20060101AFI20230426BHJP
【FI】
A47K5/14
(21)【出願番号】P 2022201635
(22)【出願日】2022-11-30
【審査請求日】2022-12-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520482478
【氏名又は名称】株式会社joze
(72)【発明者】
【氏名】馬越 諭
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】実開平4-12995(JP,U)
【文献】実開昭51-4656(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 5/14
B65D 23/04
A47J 42/00-44/02
日本意匠分類 C4-100
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の内部に投入された攪拌対象を攪拌する攪拌容器であって、
前記容器は、上面、底面、または、側面のいずれかに前記攪拌対象を投入し、かつ攪拌された物を排出する開口部を有し、
前記開口部は、蓋部を有さず、人の手の形に沿った形状かつ前記人の手で密閉可能な形状であって、両端に前記攪拌対象を攪拌させた際に前記容器から前記攪拌対象が漏れるのを防ぐ突起部を有し、
前記突起部は、前記人の手のひらの形に沿う湾曲した形状となっている、
攪拌容器。
【請求項2】
前記開口部は、前記両端の前記突起部のうち、一方の突起部と他方の突起部とが非対称であって、
前記一方の突起部は、前記他方の突起部より曲率が大きい前記湾曲した形状となっている、
請求項1に記載の攪拌容器。
【請求項3】
前記容器は、前記攪拌対象が漏れない程度の少なくとも一つの空気孔を有する、
請求項2に記載の攪拌容器。
【請求項4】
前記空気孔の数は、前記容器の大きさが同じであって、同じ量の前記攪拌対象を攪拌させる場合に、前記開口部の大きさが小さいほど増える、
請求項3に記載の攪拌容器。
【請求項5】
前記攪拌対象は少なくともシャンプー液を含み、
前記シャンプー液の攪拌用に用いられる、
請求項1または2に記載の攪拌容器。
【請求項6】
容器の内部に投入された攪拌対象を攪拌する攪拌容器であって、
前記容器は、上面、底面、または、側面のいずれかに前記攪拌対象を投入し、かつ攪拌された物を排出する開口部を有し、
前記開口部は、人の手の形に沿った形状かつ前記人の手で密閉可能な形状であって、両端に前記攪拌対象を攪拌させた際に前記容器から前記攪拌対象が漏れるのを防ぐ突起部を有し、
さらに留め具または係合部分がない開閉可能な蓋部を有し
前記突起部は、前記人の手のひらの形に沿う湾曲した形状となっている、
攪拌容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、攪拌容器に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、地球環境におけるSDGsを代表するサスティナブルな活動が求められている。例えば、入浴時などの洗髪時に使用する水の量を抑えることで、節水かつ低コスト化を実現でき、その結果、環境や持続可能な生活に配慮することになる。その一例として、例えばシャンプー液と水とを攪拌させることでシャンプー液を泡立たせる容器が知られている。このような容器を使用してシャンプー液を泡立てることにより、水の使用量は一定(あるいは一定の範囲)となるので、当該容器を使用しないでシャンプー液を泡立たせる場合に比べて水の使用量を抑制できる。なお、泡立て器の一例として、特許文献1には、液体(油相)と液体(水相)とを攪拌させて泡立てる泡立て器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のようなシャンプー液と水とを攪拌させる容器には、一般的に、容器の開口部を塞ぐキャップが付いている。そのため、シャンプーの使用者は、当該キャップを一定方向にひねるなどしてキャップの開け閉めをし、シャンプー液と水とが入った容器をシェイクする(手で振る)ことにより、当該攪拌の作業を行う。一方、このような一連の作業、特にこのキャップの開け閉めをする作業は、毎日の洗髪時に行うことになると使用者の手間やストレスとなる可能性がある。また、洗髪後には、容器を洗浄して乾燥することが想定されるが、この洗浄および乾燥の際にも、キャップの開け閉めの作業があると、容器の分解(キャップを開ける、キャップを容器本体から外すなどの作業)、容器の洗浄、容器の乾燥というように、作業工程が多くなり、同様に手間やストレスとなる可能性がある。そして、このような手間やストレスがかかると、シャンプーの使用者は次第に容器を使用しなくなり、ひいては環境に配慮した活動や様式を持続できなくなるおそれがある。
【0005】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、環境に配慮した活動や様式を持続できる可能性を高める攪拌容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は、容器の内部に投入された攪拌対象を攪拌する攪拌容器であって、前記容器は、上面、底面、または、側面のいずれかに前記攪拌対象を投入し、かつ攪拌された物を排出する開口部を有し、前記開口部は、蓋部を有さず、人の手の形に沿った形状かつ前記人の手で密閉可能な形状であって、両端に前記攪拌対象を攪拌させた際に前記容器から前記攪拌対象が漏れるのを防ぐ突起部を有し、前記突起部は、前記人の手のひらの形に沿う湾曲した形状となっている。
【発明の効果】
【0007】
この発明の攪拌容器によれば、容器の上面、底面、または、側面のいずれかに攪拌対象を投入し、かつ攪拌された物を排出する開口部を有する。その開口部は、蓋部(キャップ)を有さず、人の手の形に沿った形状かつ人の手で密閉可能な形状となっている。つまり、上述の従来知られている攪拌容器ように、キャップを有さない。そのため、従来知られている攪拌容器のように、特に手間やストレスとなる可能性のあるキャップの開け閉めの作業を要しない。したがって、開口部から攪拌対象(例えばシャンプー液や水)を容器に投入後に、開口部を手で押さえてシェイクするだけの簡単な作業により、攪拌作業が完了する。そして、このような簡単な作業により攪拌作業を完了できることにより、作業時間の短縮化を図ることができるとともに、攪拌容器の使用者が容器を使用しなくなることの可能性を低減でき、ひいては環境に配慮した活動や様式を維持できる可能性を高めることができる。
【0008】
また、この攪拌容器における開口部は、上述のように人の手で密閉可能な形状であるとともに、さらに当該開口部の両端に、攪拌対象を攪拌させた際に容器から当該攪拌対象が漏れるのを防ぐための突起部が形成されている。そして、その突起部は、人の手のひらの形に沿う湾曲した形状となっている。すなわち、単に開口部を手で覆った場合には、攪拌容器を振ってシェイクした際に、シャンプー液等の攪拌対象が容器から漏れるおそれがある。一方、この攪拌容器では、開口部の両端に手のひらの形状に沿う湾曲した突起部を設けることで、当該突起部が人の手で開口部を密閉した際に攪拌対象が漏れるのを防ぐストッパーの役割をする。そのため、攪拌対象をシェイクさせた場合に攪拌容器から攪拌対象が漏れることを抑制もしくは防止できる。
【0009】
また、この攪拌容器は、上述のように、開口部に蓋部を有さないことから、攪拌容器を使用していない場合には、当該開口部は常に開口した状態となる。そのため、攪拌容器の使用後の容器内における水分が蒸発しやすく(すなわち換気しやすく)、上述の従来知られているキャップ付きの容器に比べて、容器内のカビや細菌の発生および繁殖が生じる可能性を抑制できる。さらに、容器が常に開口していることで、換気の他、容器の洗浄がしやすく、衛生面をも向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】 本実施形態における攪拌容器の全体の一例を示す斜視図である。
【
図2】 開口部を拡大した斜視図の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を、図を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0012】
図1は、本実施形態における攪拌容器1の斜視図である。また
図2~5は、攪拌容器1を説明するための図であって、
図2は、後述する開口部を拡大した斜視図である。また
図3は、攪拌容器1の側面図であり、
図4は攪拌容器1の上面図であり、
図5は攪拌容器1の正面図である。攪拌容器1には、攪拌対象である少なくとも2つの物質の内容物が収容される。その内容物は、液体(例えばシャンプー液、コンディショナー(リンス)、洗顔料、洗剤、水など)、固体(例えば固形物など)、または、気体(例えば空気など)が想定される。なお、この2つの物質の組み合わせは液体と液体などの同じ物質同士であってもよい。また、少なくとも2つの物質であるため、液体と液体と気体などのように3つ以上の物質が収容されてもよい。本実施形態では、その一例として、シャンプー液(液体)、水(液体)、空気(気体)が収容されている。すなわち、本実施形態においては、シャンプー液と、水と、空気と、で攪拌を行ってシャンプー液を泡立たせる例である。なお、攪拌対象は、前提として人の手に触れることを許容できる物質である。
【0013】
図1に示す例は、攪拌容器1の使用状態を示しており、特に、この攪拌容器1の使用者(以下、単に使用者と記す)が開口部を手(例えば右手)で覆った状態を示している。また、
図1において、使用者が攪拌容器1の開口部を覆うことで、本来見えない部分を説明の便宜上、破線で示している。
【0014】
本実施形態の攪拌容器1の形状は、一般的な容器の形状であって、例えば
図1に示すようなボトル型が想定される。攪拌容器1の容器本体は、長手方向に延びる胴部10と、胴部10の一端に形成された口首部11と、胴部10の他端に形成された底部12と、を備えている。胴部10には、長手方向の中央付近で内側に凹んだ凹部13が形成されている。これはこのような凹部13を形成することで、容器内で凸凹な形状ができることになるから、攪拌容器1を振って攪拌対象を攪拌させた際に、攪拌対象が容器内で凸凹と衝突することで攪拌対象を攪拌させやすくするためである。なお、この凹んだ形状は、
図1の例に限定されず、攪拌対象を攪拌させやすくできれば、種々の形状であってよい。例えば凹んだ箇所が複数あってもよく、または、凹んだ形状が
図1のような湾曲した形状の他、矩形状に凹んでてもよい。
【0015】
また、この胴部10は、可撓性を有しており、押圧されることにより弾性変形して内側に向けて凹むとともに、押圧された状態から解放されることにより凹んだ状態から元の形状に復元する。なお、攪拌容器1は、変形性を考慮して、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の柔軟な樹脂を用いることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0016】
また、胴部10の上方は、
図1および
図2に示すように、当該胴部10に連続して攪拌容器1の上端部分を構成する肩部14となっている。さらに、この肩部14から上方に連なった部分が口首部11となっている。そして、口首部11の胴部10とは反対側の端部は、攪拌容器1に攪拌対象を投入し、かつ攪拌された物を排出する開口部15となっている。言い換えれば、この開口部15は、本実施形態において、シャンプー液や水などの攪拌対象が投入されたり、攪拌された物が排出されたりする流出口と言える。なお、本実施形態においては、開口部15の孔の形状は、環状(円形)となっている。
【0017】
ここで、開口部15について、具体的に説明する。本実施形態の攪拌容器1における開口部15には、蓋部が設けられていない。すなわち、本実施形態における開口部15は手などで覆わない限り常に開口した状態となる。従来知られている一般的な攪拌容器は、キャップ等の蓋部を有し、攪拌容器にシャンプー液や水等を投入し、当該キャップの開け閉めをして、攪拌対象であるシャンプー液と水と空気とを攪拌する作業を行う。一方、このような一連の作業、特にこのキャップの開け閉めをする作業は、使用者の手間やストレスとなる可能性がある。また、シャンプー液を使用した洗髪後には、容器を洗浄して乾燥することが想定されるが、この洗浄および乾燥の際にも、キャップの開け閉めの作業がある場合には、容器の分解(キャップを開ける、キャップを容器本体から外すなどの作業)、容器の洗浄、容器の乾燥というように、作業工程が多くなり、同様に手間やストレスとなる可能性がある。そこで、本実施形態においては、開口部15にキャップ等の蓋部を設けない構成となっている。
【0018】
なお、本実施形態において、このようにキャップ等の蓋部を設けないことからも想定できるように、容器内にシャンプー液等を常時入れておくことは想定していない。すなわち、本実施形態における容器は攪拌容器であるから、攪拌対象を攪拌させる都度、容器内に液体等を投入して攪拌し、攪拌させた物を使用した後は、攪拌容器を洗浄して乾燥させることを想定している。つまり、攪拌対象がシャンプー液であれば、洗髪する時に、毎回、容器内にシャンプー液等を投入して攪拌させることになる。
【0019】
そして、本実施形態において、攪拌容器1に攪拌対象(内容物)を投入して攪拌する際には、
図1のように、人の手で開口部15を覆って攪拌させることが想定される。このように開口部15を覆って攪拌する際には、攪拌した内容物が漏れるのを防ぐことが求められる。そこで、本実施形態における開口部15は、人の手の形に沿った形状であって、当該開口部15を覆った際に人の手で開口部15を密閉可能な形状となっている。
【0020】
具体的には、
図1~
図4に示すように、開口部15の両端に攪拌対象を攪拌させた際に攪拌容器1から内容物が漏れるのを防ぐ突起部16(16a,16b)が形成されている。具体的には、
図2に示すように、開口部15の外周部分の両端から攪拌容器1の長手方向における上方に向けて、半円状の突起部16が2つ形成されている。なお、ここでいう両端とは、開口部15の孔を中心として点対称の位置(言い換えれば、向かい合った位置)を意味する。すなわち
図2に示すように、手で開口部15を覆った際に、親指側と小指側とに突起部16(16a,16b)がそれぞれ位置する。
【0021】
また、突起部16の形状は、人の手のひらの形に沿う湾曲した形状となっている。一般的な蓋がない容器であれば、当該容器を床等の平らな面に置いた際には、載置面に対して開口部は平行な面となる。つまり、開口部に突起部等はなく、当該開口部を手で覆った際には手の平で開口部が密閉されることになる。一方、このような容器で攪拌対象を投入して当該容器をシェイクする場合には、開口部を覆った手で開口部の外周側をグリップすることになる。その場合、手のひらが容器の上方に湾曲することになり、開口部は手のひらで密閉されていた状態から隙間が生じる状態となる。このような隙間が生じると攪拌容器をシェイクした際に、攪拌対象である内容物が外に漏れるおそれがある。そこで、本実施形態においては、このように内容物が漏れることを抑制するために、手のひらで開口部15を密閉した際に、手のひらが上方に湾曲することを想定して、当該湾曲した形状に沿う突起部16を開口部15の両端に形成している。なお、突起部16の高さ(すなわち上方へ突出する高さ)は、手で開口部15の外周部分をグリップした際に手のひらが湾曲する程度の高さでよい。
【0022】
さらに、突起部16の具体的な形状について説明する。上述のように、開口部15の両端に突起部16を形成することで、攪拌容器1をシェイクした際の内容物の漏れを抑制できる。一方、
図1のように開口部15を掴んだ際には、親指側と小指側とでは力の入り方が異なるため、開口部15の両端に同じ形状の突起部16を形成しただけでは、内容物が未だ漏れる場合がある。そこで、本実施形態では、力の入り方や手の構造に着目して突起部16の形状を親指側と小指側とで異なるように形成している。
【0023】
具体的には、開口部15の両端の突起部16のうち、手で開口部15を覆った際の親指側の突起部である一方の突起部16aと小指側の突起部である他方の突起部16bとが非対称となっている。特に、本実施形態では、
図1~
図4に示すように、一方の突起部16aは、他方の突起部16bより曲率が大きい湾曲した形状となっている。なお、
図3の側面図は曲率が小さい突起部16bの方向から曲率が大きい突起部16aの方向を見た図となっている。同様に
図4は、紙面左側の突起部が曲率の小さい突起部16bであって、紙面右側の突起部が曲率の大きい突起部16aとなっている。すなわち親指側の突起部16aの方が小指側の突起部16bより曲率が大きい(つまり突起部16aの方が突起部16bより鋭角な湾曲形状となっている)。言い換えれば、突起部16bの方が突起部16aより緩やかな湾曲形状となっている。これは、通常、人が物を掴むとき、親指側の方が小指側より力が入りやすく、親指側は、当該親指と他の指(主に人差し指や中指)とで物を掴むことになるため、小指側よりグリップ力が大きくなる。したがって、掴んだ際の手のひらの形状は、
図1で示すように親指側の方が小指側に比べて手のひらの湾曲した形状の曲率が大きくなる。言い換えれば、小指側の方が手のひらの湾曲した形状は緩やかであり、曲率が小さくなる。そこで、本実施形態においては、このような手の形に沿った形状とすべく、突起部16(16a,16b)の形状を開口部15の両端のそれぞれで非対称の形状としている。
【0024】
なお、この突起部16を含む開口部15(さらには口首部11)は、手で覆った際に開口部15を掴むことによりグリップ力が作用するため、当該開口部15付近の剛性は、例えば厚肉に形成されるなど、手の力では変形させることが困難な程度の剛性を備えることが好ましい。このような剛性をもたせるために当該開口部15や口首部11の部材は、胴部10の部材と異なっていてもよい。または同じ部材であって、剛性を上げる加工が施されていてもよい。
【0025】
また、本実施形態における攪拌容器1には、攪拌対象が漏れない程度の少なくとも一つの空気孔17が形成されている。例えばシャンプー液を攪拌させる際には、当該シャンプー液と、水と、空気とを混合させて攪拌する。したがって、空気孔17は、当該攪拌の際に、空気を取り入れる孔として機能する。なお、本実施形態においては、
図5に示すように、当該空気孔17が攪拌容器1の長手方向において口首部11と肩部14との間に形成されているが、この空気孔17が形成される位置は、口首部11や肩部14などの容器の上方に限られず、例えば胴部10に形成されてもよい。好ましくは、攪拌対象の内容物が溜まらない位置が好ましい。内容物が空気孔17に付着することをできるだけ避けるためである。
【0026】
また、この空気孔17は、攪拌対象の内容物が漏れるのを防ぐために、例えば
図5に示すような、スリット状の孔であることが好ましい。そして、空気孔17は、上述のように攪拌の際に空気を取り入れる孔であるから、当該空気孔17の数は開口部15の大きさに応じたものであってよい。すなわち攪拌容器1の大きさを同じとして、同じ量の内容物を攪拌させると仮定した場合に、開口部15の大きさが小さいほど、空気孔17の数は増える、または、容器内の内容物が漏れない程度でその孔の大きさが大きくなる。これは、例えばシャンプー液、水、空気を混合して攪拌させる場合には、予め定められた所定の割合でこれら攪拌対象を攪拌させることになるから、この割合が一定とすれば、開口部15の大きさが大きい容器の場合には、攪拌対象を開口部15から投入する際に多くの空気を取り入れることができる。したがって、このような場合には、空気孔17の数は少なくてよい。一方、開口部15の大きさが小さい容器の場合には、攪拌対象を開口部15から投入する際に開口部15が大きい容器に比べて、容器内に取り入れられる空気量は少くなる。したがって、開口部15の大きさに拘わらず同じ割合の空気量を取り入れるために、空気孔17の数を増やす。または、空気孔17の大きさを例えば周方向で長くして大きくする(すなわち内容物が外に漏れるのを防ぎつつ空気孔17の面積を大きくする)。
【0027】
つぎに、本実施形態における効果について説明する。上述のように、本実施形態における攪拌容器1は、開口部15を閉じるキャップ等の蓋部を有さない。当該開口部15の形状は、人の手に沿った形状かつ人の手で密閉可能な形状となっている。そのため、従来知られている攪拌容器のように、特に手間やストレスとなる可能性のあるキャップの開け閉めの作業を要しない。したがって、開口部15から攪拌対象(例えばシャンプー液や水)を容器に投入後に、開口部を手で押さえてシェイクするだけの簡単な作業により、攪拌作業が完了する。そして、このような簡単な作業により攪拌作業を完了できることにより、作業時間の短縮化を図ることができるとともに、攪拌容器の使用者が容器を使用しなくなることの可能性を低減でき、ひいては環境に配慮した活動や様式を維持できる可能性を高くすることができる。そして、このような攪拌容器1を持続して使用できることで、水の使用量が一定または一定の範囲となるので、当該攪拌容器1を使用しないでシャンプー液を泡立たせる場合に比べて水の使用量を抑制できる。
【0028】
また、上述のように、開口部15は、人の手の形に沿った形状かつ人の手で密閉可能な形状であるとともに、両端に攪拌対象を攪拌させた際に容器から攪拌対象が漏れるのを防ぐ突起部16を有する。そして、当該突起部16は、人の手のひらの形に沿う湾曲した形状となっている。すなわち、単に開口部15を手で覆った場合には、攪拌させるために容器をシェイクした際に、シャンプー液等の攪拌対象が容器から漏れるおそれがある。一方、この攪拌容器1では、開口部15の両端に手のひらの形状に沿う湾曲した突起部16を設けることで、当該突起部16が人の手で開口部15を密閉した際に攪拌対象が漏れるのを防ぐストッパーの役割をする。そのため、攪拌対象をシェイクさせた場合に攪拌容器1から攪拌対象である内容物が漏れることを抑制もしくは防止できる。
【0029】
さらに、本実施形態における突起部16は、開口部15の両端で非対称となっている。すなわち、人の手で開口部15を覆った際に一方側(親指側)の突起部16aと他方側(小指側)の突起部16bとの形状が異なっており、一方側(親指側)の突起部16aの曲率が他方側(小指側)の突起部16bの曲率より大きい湾曲した形状となっている。つまり、手で開口部15を覆った際の手のひらの形状を想定して、親指側の突起部の方がその湾曲した形状が小指側より鋭角になっている(言い換えれば、小指側の突起部の方が緩やかな湾曲形状となっている)。したがって、使用者が開口部15を手で覆って攪拌容器1をシェイクした場合に、各突起部16(16a,16b)のそれぞれに手のひらが密着することになり、突起部16と手のひらとの間で隙間が生じることがほぼない。その結果、攪拌容器1をシェイクした際に攪拌した内容物が容器の外に漏れることを防止できる。または単に突起部16を設ける場合に比べて内容物が容器の外に漏れることを更に抑制できる。
【0030】
また、本実施形態においては、攪拌容器1には攪拌対象や攪拌した物が漏れない程度の空気孔17が形成され、当該空気孔17は、開口部15の数や大きさに応じたものになっている。したがって、攪拌する際に要する空気を当該空気孔17から容器内に取り込むことができる。また、空気孔17の数や大きさを調整することで、空気量を開口部15の大きさに応じて調整することができる。
【0031】
また、本実施形態においては、攪拌容器1は、特にシャンプー液の攪拌用に用いられる。すなわち攪拌対象にシャンプー液、水、空気が含まれ、当該攪拌容器1を用いてこれら物質を混合させて攪拌することで、泡立ちが良いシャンプー液を作り出すことが可能となる。
【0032】
また、特にシャンプー液を攪拌する際には、攪拌容器1を浴室等の水を使用する場所で使用することになるため、開口部15が蓋部のない状態で常に開いていることにより、使用者は手で開口部15を覆って攪拌する作業を行った後に、即座に攪拌容器1から攪拌したシャンプー液を用いて洗髪できる。また、洗髪後には攪拌容器1を洗浄して乾燥させるが、上述のように、攪拌容器1を分解する作業がないので、当該攪拌容器1で攪拌した後に、分解の作業等を要せずに洗浄、乾燥を行うことができ、攪拌、洗浄、乾燥の一連の作業が手間やストレスとなる可能性を低減できる。
【0033】
また、本実施形態における攪拌容器1は、上述のように、開口部15に蓋部を有さないことから、攪拌容器1を使用していない場合に、当該開口部15は常に開口した状態となる。そのため、攪拌容器1の使用後の容器内における水分が蒸発しやすく(すなわち換気しやすく)、上述の従来知られているキャップ付きの容器に比べて、容器内のカビや細菌の発生または繁殖を抑制できる。さらに、攪拌容器1が常に開口していることで、換気の他、容器の洗浄がしやすく、衛生面をも向上させることができる。
【0034】
以上の上述の実施形態は、本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。すなわち特許請求の範囲に記載された本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、以下に説明する種々の変形や変更が可能である。
【0035】
例えば、上述の実施形態では、攪拌容器1は、主にシャンプー液を攪拌する場合を例として説明したものの、この攪拌容器1は、他の物質の攪拌に用いられてもよい。例えばシャンプー液に替えて、洗顔料を泡立てる際に、当該洗顔料を攪拌対象としてもよい。また、例えば掃除等に使う洗剤等を希釈する際に当該洗剤を攪拌対象としてもよい。つまり、攪拌する際に手で開口部15を覆うことを想定すると、水場で使用されるものが攪拌対象であることが好ましい。
【0036】
また、上述の実施形態においては、攪拌容器1はキャップ等の蓋部がない構成として説明したが、これは蓋部が存在することによる蓋部の開け閉めの作業が手間やストレスとなる可能性があるためであって、したがって、このような作業による手間やストレスを低減できればよい。例えば
図6に示すように、開口部15の外周部分に留め具や係合部分がない開閉可能な蓋部18が例えばヒンジ等を介して取り付けられてもよい。つまり、留め具や係合部分がないことにより、攪拌容器1を逆さにすれば重力によって自動的に蓋部18は開き、床等の平らな面に平行にして把持すれば自動的に蓋部18は閉まるので、上述のような蓋部の開け閉めの作業を要しない。なお、攪拌対象を攪拌させる際には、蓋部18は閉めた状態で使用することが想定される。このように留め具や係合部分がない蓋部であれば、開口部15または開口部15の付近に蓋部18が設けられていてもよい。蓋部18が設けられることで、例えば攪拌容器1としての意匠性を向上させることが期待できる。また、例えば当該攪拌容器1をシェイクする際には蓋部18が閉まることで、例えばドレッシング等の調味料を攪拌させる際に使用することもできる。あるいは、その他、髪を染める際のカラー剤を混合して攪拌させる際に使用することもできる。なお、開口部15の大きさは攪拌対象に応じて適宜変更されてよい。
【0037】
また、上述の実施形態においては、攪拌容器1の上面が開口しており、当該上面に攪拌対象を投入し、かつ攪拌された物を排出する開口部15が形成されていた。一方、この開口部15は、上面に限られず、側面(すなわち胴部10)や底部12に形成されていてもよい。なお、攪拌容器1の振りやすさの観点から言えば、当該開口部15は、上述の実施形態のように攪拌容器1の長手方向の端部(すなわち上面または底面)に形成されることが好ましい。
【0038】
また、上述の実施形態においては、
図1に示したように、開口部15を手で覆う際の例として右手を例として説明したものの、当該覆う手は左手であってもよい。その場合には、攪拌容器1は、右手用と左手用とで共用のものであってもよいし、同じ原理で左手用の突起部16(16a,16b)を形成した容器であってもよい。また、突起部16は、子どもや女性など、様々な人に適用可能なように適宜、その大きさ等が変更されてもよい。
【0039】
また、上述の実施形態においては、攪拌容器1の形状は、ボトル型を例として説明したが、この攪拌容器1の形状は、攪拌対象を攪拌できれば例えばチューブ型などその形状は特に限定されない。また、上述の実施形態においては、開口部15の孔の形状を環状として説明したものの、当該孔の形状は矩形等であってもよい。すなわち使用者が手のひらで開口部15を覆える形状であれば開口部15の孔の形状は適宜変更されてもよい。さらに、上述の攪拌容器1には、内容物の容量を把握できるようにメモリ等が付されていてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…攪拌容器、10…胴部、11…口首部、12…底部、13…凹部、14…肩部、15…開口部、16,16a,16b…突起部、17…空気孔、18…蓋部。
【要約】
【課題】環境に配慮した活動や様式を持続できる可能性を高める攪拌容器を提供する。
【解決手段】容器の内部に投入された攪拌対象を攪拌する攪拌容器であって、前記容器は、上面、底面、または、側面のいずれかに前記攪拌対象を投入し、かつ攪拌された物を排出する開口部を有し、前記開口部は、蓋部を有さず、人の手の形に沿った形状かつ前記人の手で密閉可能な形状であって、両端に前記攪拌対象を攪拌させた際に前記容器から前記攪拌対象が漏れるのを防ぐ突起部を有し、前記突起部は、前記人の手のひらの形に沿う湾曲した形状となっている。
【選択図】
図1