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特許7268339車両用導光体、光源ユニット及び車両用前照灯
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】車両用導光体、光源ユニット及び車両用前照灯
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/24 20180101AFI20230426BHJP
   F21S 41/147 20180101ALI20230426BHJP
   F21S 41/40 20180101ALI20230426BHJP
   F21S 41/155 20180101ALI20230426BHJP
   F21S 41/30 20180101ALI20230426BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20230426BHJP
   F21W 102/155 20180101ALN20230426BHJP
【FI】
F21S41/24
F21S41/147
F21S41/40
F21S41/155
F21S41/30
G02B6/00 301
G02B6/00 331
F21W102:155
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018228160
(22)【出願日】2018-12-05
(65)【公開番号】P2020091998
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮前 篤
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-084557(JP,A)
【文献】特開2004-241349(JP,A)
【文献】特開2014-029830(JP,A)
【文献】特開2013-051031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
G02B 6/00
F21W 102/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を入射する入射部と、
前記入射部から入射した前記光を内部反射する反射部と、
前記反射部で反射された前記光の一部を遮光する遮光部と、
前記反射部で内部反射されて前記遮光部を通過した前記光を出射して車両前方に前照灯パターンを照射する出射部と、
前記遮光部を通過する前記光のうち前記出射部から前記前照灯パターンの所定領域に照射される前記光の一部の進路を、前記所定領域に照射されない方向に変更する進路変更部と
を備え
前記進路変更部は、複数設けられ、少なくとも1つが前記遮光部に対して前記出射部側に配置され、
前記遮光部に対して前記出射部側に配置される前記進路変更部は、前記反射部からの前記光を導光体外部に向けて屈折させる屈折面を有する
車両用導光体。
【請求項2】
複数の前記進路変更部は、前記遮光部の近傍に配置される
請求項1に記載の車両用導光体。
【請求項3】
複数の前記進路変更部は、前記反射部における光軸に平行な仮想直線の直線方向に並んだ状態で配置される
請求項1又は請求項2に記載の車両用導光体。
【請求項4】
複数の前記進路変更部は、前記遮光部に対して前記入射部側に配置される第1進路変更部と、前記遮光部に対して前記出射部側に配置された前記進路変更部であり前記屈折面が設けられた第2進路変更部とを有する
請求項3に記載の車両用導光体。
【請求項5】
前記第1進路変更部は、前記反射部からの前記光を前記出射部から外れた方向に内部反射する内部反射面を有する
請求項4に記載の車両用導光体。
【請求項6】
前記遮光部に対して前記出射部側に配置される前記進路変更部は、前記屈折面によって前記導光体外部に向けて屈折した前記光を前記導光体外部において反射する外部反射面を有する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車両用導光体。
【請求項7】
前記進路変更部は、前記光源を通る光軸よりも、車両搭載状態における左側及び右側のうち前記前照灯パターンにおいて水平方向の基準位置に対して自車両の走行線側となる側に配置される
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の車両用導光体。
【請求項8】
光源と、
前記光源からの光を導光して出射し、車両前方に前照灯パターンを照射する請求項1から請求項のいずれか一項に記載の車両用導光体と
を備える光源ユニット。
【請求項9】
請求項に記載の光源ユニットを備える車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用導光体、光源ユニット及び車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばリフレクタ、シェード、投影レンズ等のそれぞれに対応する機能を1つの車両用導光体に集約させた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。つまり、このような車両用導光体は、光源からの光を入射する入射部と、入射した光を内部反射する内部反射部(リフレクタに対応)と、内部反射された光の一部を遮光する遮光部(シェードに対応)と、内部反射されて遮光部を通過する光を出射して車両前方に前照灯パターンを照射する出射部(投影レンズに対応)とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-060808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の車両用導光体を用いた車両用前照灯においては、対向車の幻惑を抑制する構成が求められている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、対向車の幻惑を抑制することが可能な車両用導光体、光源ユニット及び車両用前照灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用導光体は、光源からの光を入射する入射部と、前記入射部から入射した前記光を内部反射する反射部と、前記反射部で反射された前記光の一部を遮光する遮光部と、前記反射部で内部反射されて前記遮光部を通過した前記光を出射して車両前方に前照灯パターンを照射する出射部と、前記遮光部を通過する前記光のうち前記出射部から前記前照灯パターンの所定領域に照射される前記光の一部の進路を、前記所定領域に照射されない方向に変更する進路変更部とを備える。
【0007】
また、上記の車両用導光体において、前記進路変更部は、前記遮光部の近傍に配置されてもよい。
【0008】
また、上記の車両用導光体において、前記進路変更部は、前記反射部における光軸に平行な仮想直線の直線方向に複数並んだ状態で配置されてもよい。
【0009】
また、上記の車両用導光体において、複数の前記進路変更部は、前記遮光部に対して前記入射部側に配置される第1進路変更部と、前記遮光部に対して前記出射部側に配置される第2進路変更部とを有してもよい。
【0010】
また、上記の車両用導光体において、前記第1進路変更部は、前記反射部からの前記光を前記出射部から外れた方向に内部反射する内部反射面を有してもよい。
【0011】
また、上記の車両用導光体において、前記第2進路変更部は、前記反射部からの前記光を導光体外部に向けて屈折させる屈折面を有してもよい。
【0012】
また、上記の車両用導光体において、前記第2進路変更部は、前記屈折面によって前記導光体外部に向けて屈折した前記光を前記導光体外部において反射する外部反射面を有してもよい。
【0013】
また、上記の車両用導光体において、前記進路変更部は、前記光源を通る光軸よりも、車両搭載状態における左側及び右側のうち前記前照灯パターンにおいて水平方向の基準位置に対して自車両の走行線側となる側に配置されてもよい。
【0014】
本発明に係る光源ユニットは、光源と、前記光源からの光を導光して出射し、車両前方に前照灯パターンを照射する上記の車両用導光体とを備える。
【0015】
本発明に係る車両用前照灯は、上記の光源ユニットを備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、対向車の幻惑を抑制することが可能な車両用導光体、光源ユニット及び車両用前照灯を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、車両用前照灯の一例を示す斜視図である。
図2図2は、車両用導光体の一例を示す断面図である。
図3図3は、図2に示す車両用導光体の一部を拡大して示す図である。
図4図4は、図3の車両用導光体をA方向から見た場合の一例を示す図である。
図5図5は、内部反射面において反射された光の光路の一例を示す図である。
図6図6は、車両前方に照射される前照灯パターンの一例を示す図である。
図7図7は、車両用導光体の他の例を示す図である。
図8図8は、車両前方に照射される前照灯パターンの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る車両用導光体、光源ユニット及び車両用前照灯の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。以下の説明において、前後、上下、左右の各方向は、車両用前照灯が車両に搭載された車両搭載状態における方向であって、運転席から車両の進行方向を見た場合における方向を示す。なお、本実施形態では、上下方向は鉛直方向に平行であり、左右方向は水平方向であるとする。
【0019】
図1は、車両用前照灯100の一例を示す斜視図である。図1に示す車両用前照灯100は、後述する前照灯パターンP1(図6参照)を車両前方に照射する。本実施形態では、前照灯パターンP1として、例えばロービームパターンを例に挙げて説明する。車両用前照灯100は、光源ユニットUを備える。光源ユニットUは、光源10と、車両用導光体20とを備えている。なお、車両用前照灯100は、光源ユニットUに加えて、光源、リフレクタ、シェード、投影レンズ等を有する他の光源ユニットをさらに備える構成であってもよい。また、車両用前照灯100は、光源ユニットUを複数有する構成であってもよい。以下、本実施形態では、右側通行の道路を走行する車両に搭載する車両用前照灯100の構成を例に挙げて説明する。
【0020】
[光源]
光源10は、例えば半導体光源が用いられる。このような半導体光源としては、例えばLEDやOEL、OLED(有機EL)などが挙げられる。光源10は、ランバーシアン分布を形成するように光を出射する発光面11を有する。発光面11は、後述の車両用導光体20の入射部21に対向して配置される。発光面11が車両用導光体20に向けられた状態で配置される。本実施形態において、光源10は、左右方向に複数、例えば3つ配置される。なお、光源10の個数は、3つに限定されず、2つ以下であってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0021】
[車両用導光体]
図2は、車両用導光体の一例を示す断面図である。車両用導光体20は、光源10からの光を導光して車両搭載状態における前方に出射する。本実施形態に係る車両用導光体20は、例えば従来のプロジェクタ型の車両用前照灯におけるリフレクタ、シェード、投影レンズ等のそれぞれに対応する機能を集約させた構成である。図1及び図2に示すように、車両用導光体20は、入射部21と、反射部22と、遮光部23と、出射部24と、進路変更部25とを備える。
【0022】
[入射部]
入射部21は、光源10毎に設けられる。入射部21は、第1入射面21a及び第2入射面21bと、入射側反射面21cとを有する。第1入射面21a及び第2入射面21bは、光源10からの光が入射する。第1入射面21aは、発光面11に対向する。第1入射面21aは、光源10側に突出する凸面である。第2入射面21bは、光源10の側方に配置され、光源10の発光面11及び第1入射面21aを囲うように円筒面状に配置される。入射側反射面21cは、第2入射面21bから入射した光を反射部22に向けて反射する。
【0023】
[反射部]
反射部22は、入射部21に入射した光を出射部24に向けて内部反射する。反射部22は、入射部21の上方に配置される。反射部22は、内部反射面22aを有する。内部反射面22aは、入射部21からの光を出射部24に向けて反射する。内部反射面22aは、例えば自由曲面となっている。内部反射面22aは、不図示の第1焦点と、第2焦点と、第1焦点及び第2焦点を結ぶ光軸AXとを有する。第1焦点は、光源10の発光面11の中心若しくはその近傍に配置される。第2焦点は、後述の出射部24の焦点と重なる位置に配置される。
【0024】
[遮光部]
遮光部23は、反射部22で内部反射される光の一部を遮光する。遮光部23は、例えば図2に示すように、車両用導光体20のうち反射部22とは反対側(前方)に配置される面20aと面20bとで角部20cを形成するように屈曲された形状を有する。面20aは、例えば前方に向けて上方に傾いた状態で形成される。また、面20bは、例えば前方に向けて下方に傾いた状態で形成される。なお、角部20cは、内部反射面22aの光軸AXに沿って配置され、光軸AXに直交又は交差する方向に線状に形成される。遮光部23は、角部20cにおいて、例えば後述する前照灯パターンP1のカットオフラインPcを形成する。カットオフラインPcは、水平カットオフラインと斜めカットオフラインとを含む。この場合、角部20cは、水平カットオフラインを形成するための水平部分(不図示)と、斜めカットオフラインを形成するための傾斜部分(不図示)とを有する。
【0025】
遮光部23は、当該角部20cを含む領域に設けられる。遮光部23は、例えば当該遮光部23に到達する光を出射部24の方向とは異なる方向に屈折または内部反射させることで光を遮光してもよいし、角部20cを含む面20aのうち当該遮光部23に対応する部分に光吸収層を配置しておき、当該光吸収層により光を吸収することで遮光してもよい。なお、遮光部23によって内部反射又は屈折される光は、車両用導光体20の外部に出射され、当該車両用導光体20の外部に配置されるインナーハウジング等によって吸収される。
【0026】
[出射部]
出射部24は、反射部22で内部反射されて遮光部23を通過した光を出射して車両前方に前照灯パターンP1(図6参照)を照射する。出射部24は、光を出射する曲面状の出射面24aを有する。出射面24aは、不図示の焦点と、光軸とを有する。出射面24aの光軸は、反射部22の内部反射面22aの光軸AXと一致若しくはほぼ一致する。
【0027】
[進路変更部]
進路変更部25は、遮光部23を通過する光の一部の進路を変更する。図1に示すように、進路変更部25は、車両用導光体20のうち左右方向の中心に対して一方(例えば、左方)にずれた位置に配置される。
【0028】
図3は、図2に示す車両用導光体の一部を拡大して示す図である。図1から図3に示すように、進路変更部25は、第1変更部26と、第2変更部27とを有する。第1変更部26及び第2変更部27は、遮光部23を通過する光のうち、上記の前照灯パターンP1(図6参照)のうち所定領域Paに到達する光の一部の進路を変更する。進路変更部25が設けられる場合には、当該進路変更部25が設けられない場合に比べて、前照灯パターンP1の所定領域Paに到達する光の光量が少なくなる。したがって、所定領域Paの明るさが低減される。
【0029】
図4は、図3の車両用導光体をA方向から見た場合の一例を示す図である。図2から図4に示すように、第1変更部26は、遮光部23に対して入射部21側に配置される。第2変更部27は、遮光部23に対して出射部24側に配置される。また、第1変更部26及び第2変更部27は、A方向視又は平面視において、光軸AXに平行であり前後方向に平行な仮想直線Q(図4参照)上に並んだ状態で配置される。このように、第1変更部26と第2変更部27とは、反射面22aにおける光軸AXに平行な仮想直線Qの直線方向に複数並んだ状態で配置される。また、第1変更部26と第2変更部27とは、仮想直線Qが延びる方向について遮光部23を挟む位置に配置される。本実施形態において、第1変更部26及び第2変更部27は、遮光部23の近傍に配置される。例えば、第1変更部26及び第2変更部27は、遮光部23から第1変更部26および第2変更部27の遮光部23側の端部までの距離が、第1変更部26および第2変更部27の寸法t1、t2よりも短くなる位置に配置される。
【0030】
第1変更部26は、断面視において面20aに三角形の凹状に形成される。ここで、凹状とは、車両用導光体20の外部から見た場合の形状である。つまり、車両用導光体20の内部から見た場合、第1変更部26が面20aから車両用導光体20の内側に突出した状態で設けられる。第1変更部26は、内部反射面26aを有する。内部反射面26aは、第1変更部26のうち入射部21側に配置される平面である。図4に示すように、内部反射面26aは、例えば面20aからの深さが深くなるにつれて左右方向の寸法が小さくなる形状に形成されるが、この形状に限定されない。
【0031】
内部反射面26aは、後方から前方にかけて、面20aに対して車両用導光体20の内側、つまり上方に傾いた状態で設けられる。内部反射面26aは、反射部22からの光を出射部24から外れた方向に内部反射する。内部反射面26aによって内部反射される光は、例えば車両用導光体20の上面側から当該車両用導光体20の外部に出射され、車両用導光体20の外部に配置されるインナーハウジング等によって吸収される。
【0032】
本実施形態において、第1変更部26は、上記のように遮光部23よりも入射部21側の位置に設けられる。この位置には、例えば内部反射面26aのうち入射部21側の領域で反射される光が例えば面20aに沿って上方に向けて進行する。したがって、第1変更部26が内部反射面26aにより光を更に上方に内部反射して進路を変更することにより、車両用導光体20の上面側から当該車両用導光体20の外部に確実に光を出射することができる。
【0033】
第2変更部27は、第1変更部26と同様に、断面視において面20bに三角形の凹状に形成される。ここで、凹状とは、車両用導光体20の外部から見た場合の形状である。つまり、車両用導光体20の内部から見た場合、第2変更部27が面20bから車両用導光体20の内側に突出した状態で設けられる。第2変更部27は、屈折面27a及び外部反射面27bを有する。屈折面27aは、第2変更部27のうち入射部21側に配置される平面である。屈折面27aは、面20bに対して車両用導光体20の内側、つまり上方に傾いた状態で設けられる。外部反射面27bは、第2変更部27のうち出射部24側に配置される平面又は曲面である。図4に示すように、屈折面27a及び外部反射面27bは、例えば面20bからの深さが深くなるにつれて左右方向の寸法が小さくなる形状に形成されるが、この形状に限定されない。
【0034】
屈折面27aは、反射部22からの光を車両用導光体20の外部に向けて屈折させる。屈折面27aにおいて車両用導光体20の外部に向けて屈折する光の一部は、当該車両用導光体20の外部に配置されるインナーハウジング等によって吸収される。また、屈折面27aにおいて車両用導光体20の外部に向けて屈折する光の一部は、外部反射面27bに到達する場合がある。外部反射面27bは、屈折面27aから到達した光を導光体外部において反射する。したがって、屈折面27aから導光体外部に放出された光が車両用導光体20の内部に再び入射することが抑制される。外部反射面27bで反射される光は、車両用導光体20の外部に配置されるインナーハウジング等によって吸収される。屈折面27a及び外部反射面27bは、面20aの一部が車両用導光体20の内側に傾いた構成である。
【0035】
本実施形態において、第2変更部27は、上記のように遮光部23よりも出射部24側の位置に設けられる。この位置には、例えば内部反射面26aのうち出射部24側の領域で反射される光が例えば面20bに沿って下方に向けて進行する。したがって、第2変更部27が屈折面27aにより光を更に下方に屈折させて進路を変更することにより、車両用導光体20の外部に向けて確実に光を出射することができる。
【0036】
また、進路変更部25は、光源10を通る光軸AXよりも、左側及び右側のうち前照灯パターンP1において水平方向の基準位置に対して自車線側となる側に配置される。本実施形態では、車両用導光体20が右側通行の道路を走行する車両に搭載される場合を例に挙げて説明している。この場合、前照灯パターンP1は、右側が自車両の走行車線側、左側が対向車の走行車線側となる。したがって、図4に示すように、進路変更部25は、光軸AXに対して車両搭載状態における右側に配置される。
【0037】
[動作]
次に、上記のように構成された車両用前照灯100の動作を説明する。図5は、内部反射面22aにおいて反射された光の光路の一例を示す図である。図6は、車両前方の仮想のスクリーンに照射される前照灯パターンP1の一例を示す図であり、右側通行の車両に対応するパターンを示している。図6において、V-V線がスクリーンの垂直線を示し、H-H線がスクリーンの左右の水平線を示す。また、ここでは、垂直線と水平線との交点が、水平方向の基準位置であるとする。光源ユニットUにおけるそれぞれの光源10を点灯させることにより、発光面11から光が放射される。この光は、入射部21の第1入射面21a及び第2入射面21bから車両用導光体20に入射し、入射側反射面21cによって反射部22側に内部反射される。入射側反射面21cによって内部反射された光は、反射部22の内部反射面22aにおいて出射面24a側に向けて反射される。
【0038】
図5に示すように、内部反射面22aで反射された光のうち一部の光L1は、遮光部23を通過して出射部24の出射面24aに到達し、出射面24aから出射される。この光L1は、図6に示すように、カットオフラインPcを有する前照灯パターンP1として車両前方に照射される。なお、図6では、カットオフラインPcのうち斜めカットオフラインが左側に向けて下方に傾くように形成された状態を例に挙げて説明しているが、これに限定されず、斜めカットオフラインが右側に向けて下方に傾く場合においても同様の説明が可能である。また、内部反射面22aで反射された光のうち一部の光L2は、遮光部23によって遮光される。
【0039】
また、内部反射面22aで反射された光のうち、一部の光L3は、第1変更部26によって進路が変更される。第1変更部26に到達した光L3は、内部反射面26aにより内部反射されて、進路L3aから進路L3bに進路が変更される。この光L3は、車両用導光体20の外部に出射されて車両用導光体20の外部に配置されるインナーハウジング等によって吸収される。
【0040】
また、内部反射面22aで反射された光のうち、一部の光L4は、第2変更部27によって進路が変更される。第2変更部27に到達した光L4は、屈折面27aにおいて車両用導光体20の外部に向けて屈折し、さらに外部反射面27bに反射されて、進路L4aから進路L4bに進路が変更される。この光L4は、車両用導光体20の外部に出射されて車両用導光体20の外部に配置されるインナーハウジング等によって吸収される。
【0041】
光L3及び光L4がそれぞれ進路L3a及び進路L4aに沿って進行する場合、前照灯パターンP1のうち所定領域Paに到達する。これに対して、本実施形態では、進路L3a及び進路L4aに進行すべき光L3、L4がそれぞれ進路L3b及び進路L4bに進路が変更される。このため、所定領域Paに照射される光の光量が低減されることになる。したがって、例えば対向車の位置に対応する領域が所定領域Paとなるように進路変更部25を配置することにより、対向車に対応する位置への光量が低減されるため、対向車の幻惑が抑制される。本実施形態において、進路変更部25は、光源10を通る光軸AXよりも前照灯パターンP1における水平方向の基準位置に対して自車両の走行車線側、つまり車両搭載状態における右側に配置される。この場合、前照灯パターンP1においては、自車両に対して左前方に所定領域Paが配置される。したがって、対向車に対応する位置に所定領域Paが配置される。
【0042】
以上のように、本実施形態に係る車両用導光体20は、光源10からの光を入射する入射部21と、入射部21から入射した光を内部反射する反射部22と、反射部22で反射された光の一部を遮光する遮光部23と、反射部22で内部反射されて遮光部23を通過した光を出射して車両前方に前照灯パターンP1を照射する出射部24と、遮光部23を通過する光のうち出射部24から前照灯パターンP1の所定領域Paに照射される光の一部の進路を、所定領域Paに照射されない方向に変更する進路変更部25とを備える。
【0043】
本実施形態によれば、遮光部23を通過する光のうち出射部24から前照灯パターンP1の所定領域Paに向かうように反射部22によって調整される光の一部の進路を、所定領域Paに照射されない方向に変更することにより、所定領域Paに照射される光の光量が低減されることになる。したがって、例えば対向車の位置に対応する領域が所定領域Paとなるように進路変更部25を配置することにより、対向車に対応する位置への光量が低減されるため、対向車の幻惑を抑制することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る車両用導光体20において、進路変更部25は、遮光部23の近傍に配置される。この構成によれば、例えば前照灯パターンP1においてカットオフラインPcの近傍に所定領域Paが設定される場合に、進路変更部25が遮光部23の近傍に配置されることで、当該所定領域Paの光量を効率的に低減させることができる。
【0045】
また、本実施形態に係る車両用導光体20において、進路変更部25は、遮光部23に対して入射部21側に配置される第1変更部26と、遮光部23に対して出射部24側に配置される第2変更部27とを有する。この構成によれば、第1変更部26と第2変更部27とが光軸方向について遮光部23を跨ぐ位置に配置されるため、所定領域Paに照射される光の光量をバランスよく低減させることができる。
【0046】
また、本実施形態に係る車両用導光体20において、第1変更部26は、反射部22からの光を出射部24から外れた方向に内部反射する内部反射面26aを有する。この構成によれば、所定領域Paに向かうように反射部22によって調整される光の進路を確実に変更することができる。
【0047】
また、本実施形態に係る車両用導光体20において、第2変更部27は、反射部22からの光を導光体外部に向けて屈折させる屈折面27aを有する。この構成によれば、所定領域Paに向かうように反射部22によって調整される光の進路を確実に変更することができる。
【0048】
また、本実施形態に係る車両用導光体20において、第2変更部27は、屈折面27aによって導光体外部に向けて屈折した光を導光体外部において反射する外部反射面27bを有する。この構成によれば、所定領域Paに向かうように反射部22によって調整される光の進路を確実に変更することができる。
【0049】
また、本実施形態に係る車両用導光体20において、進路変更部25は、光源10を通る光軸AXよりも、車両搭載状態における左側及び右側のうち前照灯パターンP1において水平方向の基準位置に対して自車両の走行線側となる側に配置される。本実施形態では、車両用導光体20が右側通行の道路を走行する車両に搭載される場合を例に挙げており、この場合には、自車両に対して左前方に所定領域Paを配置させることができる。
【0050】
本実施形態に係る光源ユニットUは、光源10と、光源10からの光を導光して出射し、車両前方に前照灯パターンP1を照射する上記の車両用導光体20とを備える。また、本実施形態に係る車両用前照灯100は、上記の光源ユニットUを備える。したがって、対向車に対応する位置への光量が低減されるため、対向車の幻惑を抑制することができる。
【0051】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上記実施形態では、右側通行の道路を走行する車両に搭載する車両用前照灯100の構成を例に挙げて説明したが、これに限定されず、左側通行の道路を走行する車両に車両用前照灯を搭載する場合においても同様の説明が可能である。
【0052】
図7は、車両用導光体の他の例を示す図であり、左側通行の道路を走行する車両に搭載される場合の例である。図7に示す車両用導光体120において、進路変更部125は、光軸AXに対して車両搭載状態における左側に配置される。他の構成については、上記実施形態に係る車両用導光体20と同様である。
【0053】
図8は、車両前方に照射される前照灯パターンの他の例を示す図であり、左側通行の車両に対応するパターンを示している。この場合、前照灯パターンP2は、水平方向の基準位置、つまり垂直線V-Vと水平線H-Hとの交点に対して、左側が自車両の走行線側、右側が対向車の走行車線側となる。この場合において、上記のように進路変更部125が光軸AXに対して車両搭載状態における左側に配置されることにより、図8に示すように、左側通行の道路の車両に対応する前照灯パターンP2においては、自車両に対して右前方に所定領域Paが配置される。したがって、対向車に対応する位置に所定領域Paが配置されることになる。
【0054】
例えば、上記実施形態では、進路変更部25が2つの変更部(第1変更部26及び第2変更部27)を有する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。進路変更部25は、3つ以上の変更部を有する構成であってもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、一方の変更部(第1変更部26)が遮光部23に対して入射部21側に配置され、他方の変更部(第2変更部27)が遮光部23に対して出射部24側に配置された構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、複数の変更部のいずれもが遮光部23に対して入射部21側に配置された構成であってもよいし、複数の変更部のいずれもが遮光部23に対して出射部24側に配置された構成であってもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、進路変更部25(第1変更部26及び第2変更部27)が遮光部23の近傍に配置された構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、進路変更部25は、遮光部23から離れた位置に配置されてもよい。また、第1変更部26及び第2変更部27のうち一方の変更部のみが遮光部23から離れた位置に配置されてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、第1変更部26及び第2変更部27が平面視において光軸AXに平行な直線方向に並んだ状態で配置される構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。第1変更部26及び第2変更部27の少なくとも一方が平面視において光軸AXに平行な直線方向上から外れた位置に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
AX…光軸、L1,L2,L3,L4…光、L3a,L3b,L4a,L4b…進路、P…前照灯パターン、Pa…領域、Pc…カットオフライン、t1,t2…寸法、U…光源ユニット、10…光源、11…発光面、20…車両用導光体、20a,20b…面、20c…角部、21…入射部、21a…第1入射面、21b…第2入射面、21c…入射側反射面、22…反射部、22a,26a…内部反射面、23…遮光部、24…出射部、24a…出射面、25…進路変更部、26…第1変更部、27…第2変更部、27a…屈折面、27b…外部反射面、100…車両用前照灯
図1
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図5
図6
図7
図8