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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】車両用警音器
(51)【国際特許分類】
   G10K 9/15 20060101AFI20230426BHJP
   G10K 9/12 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
G10K9/15 Z
G10K9/12 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019157263
(22)【出願日】2019-08-29
(65)【公開番号】P2021033232
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2021-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】592056908
【氏名又は名称】浜名湖電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 尚馬
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-133494(JP,U)
【文献】特開2012-018314(JP,A)
【文献】特開2007-057602(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1777641(KR,B1)
【文献】中国実用新案第203351197(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 9/12-9/22
H04R 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部(112a)を有するハウジング(11)と、
前記ハウジングに収容されて通電により磁力を発生するコイル(20)と、
前記ハウジングに収容された固定鉄心(22)と、
前記コイルへの通電により発生する磁気吸引力によって前記固定鉄心に向けて軸方向に変位する可動鉄心(4)と、
前記開口部を覆うように設けられて前記可動鉄心の軸方向変位に伴って振動する振動板(3)と、
前記可動鉄心と前記固定鉄心との衝突時に発生する音を増幅させる共鳴板(6)と、
一端側部(81)が固定されて前記ハウジングの内部に収容されており、固定接点部(80)を有する固定接点支持板(8)と、
前記ハウジングの内部に収容されて、前記コイルへの通電が遮断されると前記固定接点部に接触し前記コイルへ通電されると前記固定接点部から離れる可動接点部(70)を有する可動接点支持板(7)と、
絶縁性を有する材料によって形成されており、前記固定接点支持板の他端側部(82)を前記軸方向に支える支持部材(93;193)と、
を備え、
前記支持部材は、前記固定接点支持板の長手方向に直交する幅方向の長さにわたって前記他端側部を覆っている基板部(930)と、前記基板部から部分的に突出し、前記固定接点支持板の前記他端側部に接触して前記他端側部を支える湾曲凸面(932a;1932a)を有した湾曲凸部(932;1932)とを備える車両用警音器。
【請求項2】
開口部(112a)を有するハウジング(11)と、
前記ハウジングに収容されて通電により磁力を発生するコイル(20)と、
前記ハウジングに収容された固定鉄心(22)と、
前記コイルへの通電により発生する磁気吸引力によって前記固定鉄心に向けて軸方向に変位する可動鉄心(4)と、
前記開口部を覆うように設けられて前記可動鉄心の軸方向変位に伴って振動する振動板(3)と、
前記可動鉄心と前記固定鉄心との衝突時に発生する音を増幅させる共鳴板(6)と、
一端側部(81)が固定されて前記ハウジングの内部に収容されており、固定接点部(80)を有する固定接点支持板(108)と、
前記ハウジングの内部に収容されて、前記コイルへの通電が遮断されると前記固定接点部に接触し前記コイルへ通電されると前記固定接点部から離れる可動接点部(70)を有する可動接点支持板(7)と、
絶縁性を有する材料によって形成されており、前記固定接点支持板の長手方向に直交する幅方向の長さにわたって前記固定接点支持板の他端側部(82)を覆うとともに前記他端側部を前記軸方向に支える基板部(930)を有する支持部材(293)と、
を備え、
前記固定接点支持板の前記他端側部には、前記基板部に接触する湾曲凸面(83a)を有した湾曲凸部(83)が設けられている車両用警音器。
【請求項3】
先端部(94a)において前記基板部に接触して前記支持部材を前記軸方向に支えて、前記ハウジングに螺合する螺合位置に応じて前記支持部材の軸方向位置を調整する調整用ねじ(94)と、
前記ハウジングに固定された部材(214)に結合する一端部と前記支持部材に結合する他端部とを有する撓み可能な片持ち部(933)と、を備え、
前記支持部材には、前記基板部の外縁から起立する外周壁部(931)が設けられており、
前記外周壁部は、前記片持ち部が撓んでいない状態および撓んでいる状態において、前記他端側部の外縁に接触しない状態で前記他端側部を囲んでいる請求項1または請求項2に記載の車両用警音器。
【請求項4】
前記湾曲凸部は、楕円体または球面体の一部をなす形状である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用警音器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、警報音を発生する車両用警音器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用警音器が開示されている。車両用警音器は、接点部が閉じた状態で磁気吸引力により可動鉄心を固定鉄心側に吸引して振動板がへこみ可動鉄心と固定鉄心が衝突したときの振動音が共鳴板に伝わる。車両用警音器は、この振動音を共鳴板によって共鳴させて増幅して音を放出する。ホーンスイッチがオンの間はコイルに電流が流れて可動鉄心が固定鉄心に引き寄せられると可動鉄心が接点部を押すことで、接点部が開いて電流が遮断されて振動板が戻る。振動板が戻ると接点部が閉じて再びコイルに電流が流れる。このようにして可動鉄心と固定鉄心の衝突が繰り返されて振動板と共鳴板が高周波で振動して音波が前方側に放射され、警告音が外部に放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-218110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車両用警音器では、例えば温度、経年等に起因して、支持板と固定接点支持板との接触位置が変化することが懸念される。これにより、支持板と固定接点支持板との接触位置が、適正な音色を発生する正規状態に対して、大きく変化することがある。支持板における接触位置が正規状態に対して大きく変化すると、正規状態に対する固定接点支持板の傾きが大きくなり、接点部が開く位置も大きく変化する。接点部の開位置が大きく変化すると、音圧や車両用警音器の発する音色が変化するという問題がある。
【0005】
この明細書における開示の目的は、温度や経年に起因する音色の変化を抑制可能な車両用警音器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
開示された車両用警音器の一つは、開口部(112a)を有するハウジング(11)と、ハウジングに収容されて通電により磁力を発生するコイル(20)と、ハウジングに収容された固定鉄心(22)と、コイルへの通電により発生する磁気吸引力によって固定鉄心に向けて軸方向に変位する可動鉄心(4)と、開口部を覆うように設けられて可動鉄心の軸方向変位に伴って振動する振動板(3)と、可動鉄心と固定鉄心との衝突時に発生する音を増幅させる共鳴板(6)と、一端側部(81)が固定されてハウジングの内部に収容されており、固定接点部(80)を有する固定接点支持板(8)と、ハウジングの内部に収容されて、コイルへの通電が遮断されると固定接点部に接触しコイルへ通電されると固定接点部から離れる可動接点部(70)を有する可動接点支持板(7)と、絶縁性を有する材料によって形成されており、固定接点支持板の他端側部(82)を軸方向に支える支持部材(93;193)と、を備え、
支持部材は、固定接点支持板の長手方向に直交する幅方向の長さにわたって他端側部を覆っている基板部(930)と、基板部から部分的に突出し、固定接点支持板の他端側部に接触して他端側部を支える湾曲凸面(932a;1932a)を有した湾曲凸部(932;1932)とを備える。
【0008】
この車両用警音器によれば、一端側部が固定された固定接点支持板の他端側部は支持部材における湾曲凸面に接触して軸方向に支えられている。他端側部が接触する面が湾曲凸面であるため、温度や経年により他端側部と支持部材との軸方向の接触位置が変化しても他端側部と支持部材との長手方向の接触位置はあまり変化しない。支持板で固定接点支持板を支持する従来の形態に比べて、正規状態に対する固定接点支持板の傾きは小さく、接点部の開位置が正規状態に対して変化する量を抑制できる。したがって、温度や経年に起因する音色の変化を抑制可能な車両用警音器を提供できる。
【0009】
開示された車両用警音器の一つは、開口部(112a)を有するハウジング(11)と、ハウジングに収容されて通電により磁力を発生するコイル(20)と、ハウジングに収容された固定鉄心(22)と、コイルへの通電により発生する磁気吸引力によって固定鉄心に向けて軸方向に変位する可動鉄心(4)と、開口部を覆うように設けられて可動鉄心の軸方向変位に伴って振動する振動板(3)と、可動鉄心と固定鉄心との衝突時に発生する音を増幅させる共鳴板(6)と、一端側部(81)が固定されてハウジングの内部に収容されており、固定接点部(80)を有する固定接点支持板(108)と、ハウジングの内部に収容されて、コイルへの通電が遮断されると固定接点部に接触しコイルへ通電されると固定接点部から離れる可動接点部(70)を有する可動接点支持板(7)と、絶縁性を有する材料によって形成されており、固定接点支持板の長手方向に直交する幅方向の長さにわたって固定接点支持板の他端側部(82)を覆うとともに他端側部を軸方向に支える基板部(930)を有する支持部材(293)と、を備え、
固定接点支持板の他端側部には、基板部に接触する湾曲凸面(83a)を有した湾曲凸部(83)が設けられている。
【0010】
この車両用警音器によれば、一端側部が固定された固定接点支持板の他端側部は、他端側部の湾曲凸面が基板部に接触して支持部材によって軸方向に支えられている。基板部が接触する面が湾曲凸面であるため、温度や経年によって他端側部と支持部材との軸方向の接触位置が変化しても他端側部と支持部材との長手方向の接触位置はあまり変化しない。このため、従来の形態に比べて、正規状態に対する固定接点支持板の傾きは小さく、接点部の開位置が正規状態に対して変化する量を抑制できる。この開示によれば、温度や経年に起因する音色の変化を抑制可能な車両用警音器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の車両用警音器の断面図である。
図2】車両用警音器について、可動鉄心、振動板、共鳴板等を取り外した状態を示した平面図である。
図3】固定接点支持板の非固定側部、支持部材、調整部に関する構成を示す部分断面図である。
図4】支持部の外観形状を示す部分斜視図である。
図5】第1実施形態に係る固定接点支持板の非固定側部と支持部材とに関して、軸方向接触位置が変位した場合の関係を示す図である。
図6】比較例である固定接点支持板の非固定側部と支持部材とに関して、軸方向接触位置が変位した場合の関係を示す図である。
図7】第2実施形態に係る支持部材の外観形状を示す部分斜視図である。
図8】第3実施形態に係る固定接点支持板の非固定側部、支持部、調整部に関する構成を示す部分図である。
図9】第4実施形態に係る固定接点支持板の非固定側部、支持部材、調整部に関する構成を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合わせることも可能である。
【0015】
(第1実施形態)
第1実施形態の車両用警音器1について図1図6を参照しながら説明する。車両用警音器1は、例えば、自動車、自動二輪車等の車両に搭載されて外部に対して警告音を発生する装置であり、電磁式のホーンとも呼ばれる。車両用警音器1は、車両における所定の操作部が操作された際に、警報音を車外へ放出する。所定の操作部は、乗員によって操作される、例えば、ステアリングやハンドルに設けられたホーンスイッチである。車両用警音器1は、作動電圧に応じた警報音を発生する電磁式警報装置である。
【0016】
図1に示すように、車両用警音器1は、ステー5を介して車両の前部、例えば、ラジエータの前部等の車両側部材に取り付けられる。車両用警音器1は、図1に示すように可動鉄心4を固定鉄心22よりも前方に位置させ、可動鉄心4と固定鉄心22の軸方向を前後方向に沿わせた姿勢で車両に装着される。車両用警音器1は、有底かつ筒状のハウジング11と、ハウジング11内の中央付近に収容されて固定された電磁コイル部2とを備える。車両用警音器1は、ダイヤフラムとも呼ばれる振動板3を備える。振動板3は、外郭を構成するハウジング11の開口部112aを覆うようにハウジング11に固定されている。振動板3は、可動鉄心4の軸方向変位に伴って振動して空気を振動させる。電磁コイル部2は、コイル20とボビン21と固定鉄心22とを備えている。コイル20は、樹脂製のボビン21に巻線が巻回されて形成されている。
【0017】
ステー5は、可動鉄心4に対向して配置された固定鉄心22とハウジング11の底部とに固定されて車両等に装着されている。電磁コイル部2は、ハウジング11の軸心周りに設置されている。ハウジング11および振動板3は、電磁コイル部2の磁気回路の一部を構成するために、鉄系の磁性体材料の板材が凹形状にプレス成形されて形成された部材である。可動鉄心4の前部に位置する小径部41には、振動板3の中心穴部3aと共鳴板6の中心穴部6aが嵌合している。可動鉄心4と振動板3および共鳴板6は、小径部41かしめ固定された状態で一体になっている。小径部41は、振動板3と共鳴板6とが結合されている結合部をなしている。小径部41は、他部材である振動板3と共鳴板6を可動鉄心4に結合するためにかしめられる、振動板3や共鳴板6との結合部位である。
【0018】
可動鉄心4における前部の小径部41が振動板3の中心部に挿入された状態でかしめられることにより、可動鉄心4は振動板3に固定されている。固定鉄心22は、車両取付用のステー5に、ハウジング11の底部110の中心部とともにかしめ等の固定手段を用いて固定されている。固定鉄心22に設けられた後方側端部22bは、他部材であるステー5に固定鉄心22を結合するためにかしめられる、ステー5との結合部位である。
【0019】
ハウジング11は、後端に位置する円盤状の底部110と、中間平坦部111と、前端に位置する外周縁部112とを有して一体に形成されている。中間平坦部111は、底部110の周縁が筒状に立ち上がって形成された前端部から円盤状に突出する部分である。外周縁部112は、ハウジング11の開口部112aを形成している。外周縁部112は、中間平坦部111の周縁が前方へ筒状に立ち上がって形成された前端部から外側に突出して形成されている。振動板3の外周部は、外周縁部112に巻きつけられるように巻きかしめされて、ハウジング11に固定されている。振動板3は、開口部112aを前方において覆っている。
【0020】
ボビン21は、筒状部210、フランジ部211、第1被固定部212、第2被固定部213、第3被固定部214等を有して一体に形成された絶縁部材である。筒状部210の外周面には、巻線が巻回されて形成されているコイル20が設けられている。筒状部210の内側には、固定鉄心22がボビン21やコイル20と同心状に設けられている。フランジ部211は、筒状部210における振動板3側の端部から円盤状に突出する部分である。フランジ部211は、ボビン21において、筒状部210の前端部から周囲に広がる端面を形成する。フランジ部211は、コイル20における、前端部や振動板3側の端部を覆う部分である。第1被固定部212は、フランジ部211から外方に突出する部分である。
【0021】
ハウジング11の底部110の前方側には、固定鉄心22やコイル20を有するボビン21が設けられている。固定鉄心22における軸方向の先端を含む端面22aは、可動鉄心4における軸方向の先端を含む端面4aに対向し、可動鉄心4との衝突部位である。車両用警音器1には、コイル20への非通電時に、可動鉄心4の端面4aと固定鉄心22の端面22aとの間には、所定距離の隙間、いわゆるエアギャップが形成されている。固定鉄心22は、ボビン21の筒状部210の内側に存在する。換言すれば、固定鉄心22の側面は、筒状部210によって囲まれている。
【0022】
図2に示すように、中間平坦部111には、第1被固定部212、可動接点支持板7、および固定接点支持板8が積層されている。可動接点支持板7は、弾性を有する金属ばね材から形成されている。固定接点支持板8は、可動接点支持板7よりも剛性が高く、導電性を有する金属製の部材である。可動接点支持板7と固定接点支持板8との間には絶縁部材が介在している。絶縁部材は、中間平坦部111上の積層部分において、可動接点支持板7と固定接点支持板8の電気導通を防いでいる。積層されているこれらの部材は、中間平坦部111にかしめ固定されている金属製の第1リベット90によって、一体に固定されている。固定接点支持板8は、第1リベット90によって固定された一端側部81に被固定部を有している。固定接点支持板8の他端側部82は、支持部材93によって支えられているが、固定されていない非固定側部である。したがって、固定接点支持板8は、一端側部81が固定端であり、他端側部82が自由端であるともいえる。
【0023】
図2図3に示すように、支持部材93は、基板部930と、基板部930から部分的に突出する湾曲凸部932と、外周壁部931と、を備える。基板部930は、固定接点支持板8に沿う板状部分である。基板部930は、固定接点支持板8の長手方向に直交する幅方向の長さにわたって他端側部82を後方側で覆っている。基板部930の幅方向長さは、他端側部82の幅方向長さよりも大きい。この幅方向は、片持ち部933が延びる交差方向でもある。外周壁部931は、基板部930の外縁から起立する壁部であり、他端側部82の外縁を囲んでいる。外周壁部931は、他端側部82の外縁から離間した位置に設けられている。外周壁部931は、支持部材93において、基板部930の外縁のうち、固定接点支持板8が存在する部分を除く部位に設けられている。
【0024】
湾曲凸部932は、基板部930における前方側の面から突出している。湾曲凸部932は、固定接点支持板8の他端側部82に接触して他端側部82を支える。湾曲凸部932は、先端面として湾曲凸面932aを有している。湾曲凸面932aは、固定接点支持板8の長手方向に対して反るように湾曲する面を形成し、幅方向に沿う面を形成する。湾曲凸部932は、円柱を縦に切ったような形である。湾曲凸面932aは、長手方向の中央が高く、中央の長手方向両側が低くなっている面である。基板部930に対する湾曲凸面932aの高さは、基板部930に対する外周壁部931よりも十分に低い。他端側部82が湾曲凸面932aに接触した状態において、他端側部82は外周壁部931よりも低い位置にあり、外周壁部931によって囲まれている。
【0025】
車両用警音器1は、支持部材93の軸方向位置を調整することが可能な調整用ねじ94を備える。調整用ねじ94は、ハウジング11の中間平坦部111に設けられた貫通穴に螺合する雄ねじ部を有する。調整用ねじ94の先端部94aは、支持部材93における後方側の面に接触する。調整用ねじ94は、先端部94aと支持部材93との接触により、支持部材93を軸方向に支えている。先端部94aは、基板部930において湾曲凸部932の裏側に接触している。先端部94aの軸方向位置は、調整用ねじ94がハウジング11に螺合する螺合位置に応じて決まる。調整用ねじ94は、ハウジング11に対する螺合位置によって支持部材93の軸方向位置を調整することができる。
【0026】
支持部材93は、絶縁性を有する材料によって形成されている。このため、支持部材93は、調整用ねじ94と固定接点支持板8との電気的導通を阻止している。
【0027】
可動接点支持板7は、第1リベット90によって固定された被固定部を一端側に有している。可動接点支持板7の他端側部は、可動接点部70が設けられており、固定されていない非固定側部である。したがって、可動接点支持板7は、一端側部が固定端であり、他端側部が自由端であるともいえる。
【0028】
コイル20から延びる巻線における一方の端末部は、導体を被覆する絶縁膜が剥離された状態で可動接点支持板7と第1被固定部212との間に設置されている。巻線の一方の端末部は、第1リベット90のかしめ固定に伴い、第1リベット90の頭部によって圧接されている。このようにして巻線の一方の端末部と可動接点支持板7とが導通している。
【0029】
中間平坦部111の他の部位には、第2被固定部213が積層されている。第2被固定部213は、フランジ部211から外方に突出する部分である。第2被固定部213は、中間平坦部111にかしめ固定されている金属製の第2リベット91によって、ハウジング11に固定されている。さらに電磁コイル部2においてコイル20から延びる巻線における他方の端末部は、導体を被覆する絶縁膜が剥離された状態で第2リベット91の軸部の周辺に沿うように設置されている。巻線の他方の端末部は、第2リベット91のかしめ固定に伴い第2リベット91の頭部に圧接されている。このように、巻線の他方の端末部が第2リベット91の頭部に圧接されることにより、他方の端末部における導体と第2リベット91とが導通することになる。また、巻線の導体は、銅線もしくは銅線以外の導電性材質、または異なる導電性物質が組み合わされた材質によって構成されている。
【0030】
さらに第2リベット91は、絶縁部材によってハウジング11からは絶縁されている。第2リベット91は、コネクタ13の内部のコネクタ端子と導通している。コネクタ端子は、ホーンスイッチを介してバッテリのプラス電位が導かれている。したがって、第2リベット91は、電磁コイル部2において電流投入側に位置するリベットである。車両用警音器1は、第1リベット90のかしめ固定によって可動接点支持板7に圧接される巻線の端末部に導通するコネクタ端子をさらに備えるように構成してもよい。
【0031】
中間平坦部111のさらに他の部位には、第3被固定部214が積層されている。第3被固定部214は、フランジ部211から外方に突出する部分である。第3被固定部214は、中間平坦部111にかしめ固定されている金属製の第3リベット92によって、ハウジング11に固定されている部材である。このようにボビン21は、第1リベット90、第2リベット91、第3リベット92の3箇所においてハウジング11に固定されている。
【0032】
第3被固定部214には、固定接点支持板8の長手方向に対して交差する交差方向に延びる片持ち部933が結合されている。片持ち部933は、一端部においてハウジング11に固定された部分である第3被固定部214に結合し、他端部において支持部材93に結合している。片持ち部933は、一端側部が第3被固定部214を介してハウジング11に固定され、他端側部において支持部材93を支える片持ち梁ともいえる。片持ち部933は、支持部材93が他端側部82から受ける荷重に応じて、支持部材93を支持しつつ荷重を吸収するように撓むことが可能である。片持ち部933が撓み可能であることにより、支持部材93は基板部930が軸方向に直交する方向に対して傾くような姿勢になりうる。基板部930は、このような姿勢になることによって他端側部82の姿勢に追従することができる。片持ち部933が撓んだ状態であっても、外周壁部931は、固定接点支持板8の他端側部82の外縁に接触しないように配置されている。
【0033】
可動接点支持板7の他端側部には、固定接点支持板8に向けて突出する可動接点部70が設けられている。固定接点支持板8には、可動接点部70に対応する位置に、可動接点支持板7に向けて突出する固定接点部80が設けられている。可動接点部70と固定接点部80とは、互いに軸方向に対向するように設けられている。可動接点部70は、可動接点支持板7が有するばね力によって固定接点支持板8側に付勢されて固定接点部80に接触する常閉型の接点を構成する。
【0034】
可動鉄心4の外周面の全周には、他の部位よりも径外方へ突き出す大径部42が形成されている。大径部42は、可動接点支持板7におけるホーン中心部寄りの被押圧部71に接触してこれを後方、つまり、固定鉄心22側へ押圧する押圧部を有する。この押圧部は絶縁性を有する材質で形成されている。押圧部は、可動鉄心4において押圧部よりも後方側をかしめることにより、可動鉄心4と一体に形成することができる。かしめ部は、可動鉄心4と押圧部とを結合させるためにかしめられて塑性変形されている加工部位である。コイル20への通電時に磁化された固定鉄心22によって可動鉄心4が吸引されることにより、大径部42は後方、すなわち固定鉄心22側に変位する。そして、大径部42の押圧部が可動接点支持板7の被押圧部71を固定鉄心22側に押すことにより、固定接点部80と可動接点部70とが離間して接点部が開くことになる。
【0035】
車両用警音器1の作動を説明する。ホーンスイッチが投入されることにより、車載電源からの電流が、コネクタ端子から第2リベット91、巻線の他方の端末部、コイル20の順に流れる。さらに電流は、巻線の一方の端末部、可動接点支持板7、可動接点部70、固定接点部80、固定接点支持板8、第1リベット90、ハウジング11、固定鉄心22、ステー5、車体(接地)の順に流れる。
【0036】
車両用警音器1では、巻線の他方の端末部と第2リベット91が導通し、巻線の一方の端末部と可動接点支持板7とが導通している。これにより、電磁コイル部2の電磁力が可動鉄心4と固定鉄心22との間隙に作用して、可動鉄心4が固定鉄心22に吸引される。固定鉄心22から発生する磁気吸引力によって可動鉄心4が軸方向に移動すると、振動板3は周縁部が固定された状態で中心部が可動鉄心4と一体に移動して変形する。この可動鉄心4の変位により、可動鉄心4の押圧部が可動接点支持板7の被押圧部71を押圧して、可動接点部70を固定接点部80から離間させる。その結果、電磁コイル部2への通電が遮断されて電磁力がなくなる。電磁力がなくなると、可動鉄心4は振動板3の弾性力により元の位置に復帰し、可動接点部70と固定接点部80との閉成状態が復活する。接点部が閉成した状態において、コイル20に通電される電圧が増加すると、固定鉄心22からの磁気吸引力によって可動鉄心4が固定鉄心22に近づく。これらの動作が繰り返されることにより、可動鉄心4と固定鉄心22との衝突が繰り返され、振動板3および共鳴板6が高周波で振動して音波が前方に放射される。
【0037】
車両用警音器1においては、発生する音色が使用年数の経過や環境変化によって大きく変化しないことが好ましい。このため、製品出荷時前に設定された正規状態の音色から大きく変化しないことが求められる。正規状態の音色を確保するには、製品出荷前に適正なオフギャップを設定する必要がある。オフギャップは、非通電時における可動鉄心の押圧部と、通電時に押圧部により可動接点支持板7の被押圧部71が押されて可動接点部70が固定接点部80から開離するときの被押圧部71との距離である。オフギャップが小さい場合は可動接点部70が固定接点部80から早く開離するため、コイル20の電磁力発生時間が短くなって振動板3の振幅が小さくなり、音圧が低い。オフギャップが大きい場合は可動鉄心の押圧部による被押圧部71の押し下げ量が小さくなる。このため、可動接点部70が固定接点部80から開離した時の両接点間の距離が小さくなり、コイルの電流を遮断する効果が低下する。この結果、電流の断続による可動鉄心4の吸引作用と復帰作用とのバランスが崩れ、振動板3の振幅が不安定になり、音色が変化する。
【0038】
そこで車両用警音器は、ハウジングに螺合する調整用ねじを備えている。製品出荷前に、調整用ねじのねじ込み位置を調整して支持部材の軸方向位置を設定することにより、オフギャップは適正範囲に設定されている。調整用ねじによって適正な軸方向位置に設定された支持部材93と他端側部82との接触位置は、温度環境や経年による支持部材93の歪みなどの変形によって変化しうる。このように軸方向の接触位置が変化する場合について、図5図6を参照しながら説明する。
【0039】
図5は、第1実施形態における、固定接点支持板8の他端側部82と支持部材93との接触状態に関して、軸方向の接触位置が変位した場合の関係を示している。図6は、第1実施形態の比較例として、固定接点支持板8の他端側部82と基板部930との接触状態に関して、軸方向接触位置が変位した場合の位置関係を示している。比較例では、支持部材が第1実施形態のような湾曲凸部を有していないため、基板部930が他端側部82に接触する構成である。
【0040】
図5図6において、軸方向接触位置ax0は、軸方向の接触位置に関して、適正な音色になるように調整用ねじ94によって調整された正規位置である。軸方向接触位置ax1は、基板部930または湾曲凸部932が正規位置よりも前方側または振動板3側に位置する状態を示している。軸方向接触位置ax2は、正規位置よりも基板部930が後方側または固定鉄心22側に位置する状態を示している。
【0041】
図5に示すように、第1実施形態の車両用警音器の他端側部82は、軸方向接触位置ax0である正規状態では湾曲凸面932aにおいて中心軸を通る頂点に接触する。軸方向接触位置ax1の状態では他端側部82は、湾曲凸面932aにおいて頂点よりも固定接点支持板8の一端側部81に近い部位に接触する。これにより、軸方向接触位置ax1の状態で固定接点支持板8は、正規状態に対して他端が一端よりも前方側に位置するように傾く姿勢になる。軸方向接触位置ax2の状態で他端側部82は、湾曲凸面932aにおいて頂点よりも固定接点支持板8の他端に近い部位に接触する。これにより、軸方向接触位置ax2の状態で固定接点支持板8は、正規状態に対して他端が一端よりも後方側に位置するように傾く姿勢になる。軸方向接触位置ax1、ax2のいずれの場合でも他端側部82は、湾曲凸面932aにおける接触部位が正規状態に対して長手方向に大きく変化していない。このため、支持部材93の歪みなどによって変形したとしても、第1実施形態の車両用警音器における接点部の開位置は、正規状態に対してあまり変化しない。
【0042】
一方、図6に示すように、比較例の他端側部82は、軸方向接触位置ax0である正規状態では基板部930における前方側の面全体に接触する。軸方向接触位置ax1の状態では他端側部82は、基板部930において固定接点支持板8の一端寄りの端部に接触する。これにより、軸方向接触位置ax1の状態で固定接点支持板8は、正規状態に対して他端が一端よりも前方側に位置するように、図5に示す状態よりも大きく傾く姿勢になる。軸方向接触位置ax2の状態で他端側部82は、基板部930において固定接点支持板8の他端寄りの端部に接触する。これにより、軸方向接触位置ax2の状態で固定接点支持板8は、正規状態に対して他端が一端よりも後方側に位置するように、図5に示す状態よりも大きく傾く姿勢になる。軸方向接触位置ax1、ax2のいずれの場合においても、他端側部82は、湾曲凸面932aにおける接触部位が正規状態に対して長手方向に大きく変化している。このため、支持部材93の歪みなどによって変形した場合、比較例の車両用警音器における接点部の開位置は、正規状態に対して大きく変化する。これにより、前述したように、音圧が低くなったり、振動板3の振幅が不安定になって音色が変化したりしやすい。
【0043】
以上のように、車両用警音器1では、比較例に対して、他端側部82と支持部材との接触位置が長手方向に大きくずれないため、音色の変化を抑制することに貢献できる。
【0044】
第1実施形態の車両用警音器1がもたらす作用効果について説明する。車両用警音器1は、ハウジング11と、ハウジング11に収容されて通電により磁力を発生するコイル20と、ハウジング11に収容された固定鉄心22とを備える。車両用警音器1は、通電により発生する磁気吸引力によって固定鉄心22に向けて変位する可動鉄心4と、可動鉄心4の軸方向変位に伴って振動する振動板3とを備える。車両用警音器1は、可動鉄心4と固定鉄心22との衝突時の発生音を増幅させる共鳴板6とハウジング11内に収容された固定接点支持板8および可動接点支持板7とを備える。車両用警音器1は、絶縁性を有する材料によって形成されており、固定接点支持板8の他端側部82を支える支持部材93を備える。固定接点支持板8は、一端側部81が固定されて他端側部82が支持部材93に支持されて、ハウジング11の内部に収容されている。支持部材93は、基板部930と、基板部930から部分的に突出した湾曲凸部932とを備える。基板部930は、固定接点支持板8の長手方向に直交する幅方向の長さにわたって他端側部82を覆っている。湾曲凸部932は、固定接点支持板8の他端側部82に接触して他端側部82を支える湾曲凸面932aを有している。
【0045】
車両用警音器1によれば、固定接点支持板8の他端側部82は支持部材93における湾曲凸面932aに接触して軸方向に支えられる構成である。他端側部82と支持部材93との軸方向の接触位置は、温度や経年による劣化等によって変化し得る。車両用警音器1によれば、他端側部82は湾曲凸面932aに接触して支えられるため、当該軸方向の接触位置が変化したとしても固定接点支持板8の長手方向に関して接触位置はあまり変化しない。これにより、前述した従来の形態に比べて、正規状態に対する固定接点支持板8の傾きは小さく、接点部の開位置が正規状態に対して変化する量を抑制できる。車両用警音器1は、温度や経年に起因する音色の変化を抑制可能な特有の構成を備えている。
【0046】
車両用警音器1は、先端部94aにおいて基板部930に接触して支持部材93を軸方向に支える調整用ねじ94を備える。調整用ねじ94は、ハウジング11に螺合する螺合位置に応じて支持部材93の軸方向位置を調整することができる。車両用警音器1は、ハウジング11に固定された部材に結合する一端部と支持部材93に結合する他端部とを有する撓み可能な片持ち部933を備える。支持部材93には、基板部930の外縁から起立する外周壁部931が設けられている。外周壁部931は、片持ち部933が撓んでいない状態および撓んでいる状態において、他端側部82の外縁に接触しない状態で他端側部82を囲んでいる。
【0047】
この構成によれば、支持部材93に作用する荷重が大きく片持ち部933が撓んだ状態であっても、外周壁部931が他端側部82の外縁に接触しない。このため、基板部930の姿勢を、外周壁部931に妨げられることなく他端側部82に沿うように追従させることができる。したがって、この車両用警音器1は、他端側部82を湾曲凸面923aによって確実に支えることができるので、音色変化の抑制をより確実に実践できる。
【0048】
(第2実施形態)
第2実施形態では、支持部材193における湾曲凸部1932について、図7を参照して説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対して湾曲凸部1932のみが相違する。第2実施形態は、湾曲凸部1932を除く構成について第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏するものであり、以下、第1実施形態と相違する内容のみ説明する。
【0049】
図7に示すように、支持部材193は、基板部930と、基板部930から部分的に突出する湾曲凸部1932と、外周壁部931と、を備える。湾曲凸部1932は、基板部930における前方側の面から突出している。湾曲凸部1932は、固定接点支持板8の他端側部82に接触して他端側部82を支える。湾曲凸部1932は、先端面として湾曲凸面1932aを有している。湾曲凸面1932aは、固定接点支持板8の長手方向および長手方向に直交する幅方向に対して反るように湾曲する面を形成する。湾曲凸部1932は、楕円体または球面体の一部をなす形状である。基板部930に対する湾曲凸面1932aの高さは、基板部930に対する外周壁部931よりも十分に低い。他端側部82が湾曲凸面1932aに接触した状態において、他端側部82は外周壁部931よりも低い位置にあり、外周壁部931によって囲まれている。
【0050】
第2実施形態によれば、支持部材193と他端側部82との接触位置が適正状態に対して長手方向および幅方向にずれた場合であっても、その位置ずれ幅を小さくできる。これにより、支持部材193にかかる様々な方向の荷重に対して接触位置のずれ幅を抑制できる車両用警音器を提供できる。
【0051】
(第3実施形態)
第3実施形態について図8を参照して説明する。第3実施形態は、第1実施形態に対して、固定接点支持板8の他端側部82を軸方向に支える支持部1941が相違する。第3実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第1実施形態と同様であり、以下、異なる点についてのみ説明する。
【0052】
図8に示すように、第3実施形態の車両警音器は、固定接点支持板8の他端側部82を軸方向に支える支持部1941を備える。支持部1941は、耐熱性が高く絶縁性を有する材料によって形成されている。支持部1941は、調整用ねじ194と固定接点支持板8との電気的導通を阻止している。支持部1941は、例えば、セラミック、ポリフェニレンサルファイド樹脂、炭素繊維強化ガラスのいずれかの材料によって形成されている。支持部1941は、調整用ねじ194の先端部に一体に設けられている。支持部1941は、固定接点支持板8の他端側部82に接触する湾曲先端面1941aを有する。湾曲先端面1941aは、他端側部82に向けて凸となる湾曲面をなす。湾曲先端面1941aは、固定接点支持板8の長手方向に対して反るように湾曲する面を形成し、幅方向に沿う面を形成する。湾曲先端面1941aは、長手方向の中央が高く、中央の長手方向両側が低くなっている面である。支持部1941の軸方向位置は、調整用ねじ194がハウジング11に螺合する螺合位置に応じて決まる。調整用ねじ194は、ハウジング11に対する螺合位置によって支持部1941の軸方向位置を調整することができる。
【0053】
第3実施形態の車両用警音器は、先端部において支持部1941に一体に結合している調整用ねじ194を備える。支持部1941は、セラミック、ポリフェニレンサルファイド樹脂、炭素繊維強化ガラスのいずれかの材料によって形成されている。支持部1941は、他端側部82に向けて凸となる湾曲面をなして他端側部82に接触する湾曲先端面1941aを有する。
【0054】
この車両用警音器によれば、他端側部82は、調整用ねじ194の先端部に結合された支持部1941の湾曲先端面1941aに接触して軸方向に支えられている。湾曲先端面1941aによれば、他端側部と支持部1941との軸方向接触位置が正規状態から変化しても、長手方向に関して接触位置はあまり変化しない。このため、従来の形態に比べて、正規状態に対する固定接点支持板8の傾きは小さく、接点部の開位置が正規状態に対して変化する量を抑制できる。第3実施形態の車両用警音器は、温度や経年に起因する音色の変化を抑制可能な特有の構成を備えている。
【0055】
(第4実施形態)
第4実施形態について図9を参照して説明する。第4実施形態は、第1実施形態に対して、支持部材293と固定接点支持板108の構成が相違する。第4実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第1実施形態と同様であり、以下、異なる点についてのみ説明する。
【0056】
図9に示すように、支持部材293は、基板部930と外周壁部931とを備える。支持部材293は、第1実施形態のような湾曲凸部を備えていない。固定接点支持板108は、他端側部82から突出する湾曲凸部83を備えている。湾曲凸部83は、他端側部82における前方側または調整用ねじ94側の面から突出している。湾曲凸部83は、支持部材293の基板部930に接触する。支持部材293は他端側部82を支えている。湾曲凸部83は、先端面として湾曲凸面83aを有している。湾曲凸面83aは、固定接点支持板108の長手方向および長手方向に直交する幅方向に対して反るように湾曲する面を形成する。湾曲凸部83は、楕円体または球面体の一部をなす形状である。
【0057】
また、湾曲凸面83aは、固定接点支持板108の長手方向に対して反るように湾曲する面を形成し、幅方向に沿う面を形成する構成でもよい。湾曲凸部83は、円柱を縦に切ったような形でもよい。この場合、湾曲凸面83aは、長手方向の中央が高く、中央の長手方向両側が低くなっている面である。
【0058】
第4実施形態によれば、固定接点支持板108の他端側部82には、基板部930に接触する湾曲凸面83aを有した湾曲凸部83が設けられている。この車両用警音器によれば、固定接点支持板108の他端側部82は他端側部82の湾曲凸面83aが基板部930に接触して支持部材293によって軸方向に支えられている。基板部930が接触する面が湾曲凸面83aであるため、温度や経年によって他端側部82と支持部材293との軸方向の接触位置が変化しても長手方向に関して接触位置はあまり変化しない。このため、従来の形態に比べて、正規状態に対する固定接点支持板108の傾きは小さく、接点部の開位置が正規状態に対して変化する量を抑制できる。
【0059】
(他の実施形態)
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0060】
明細書に開示の目的を達成可能な車両用警音器は、支持部材の軸方向位置を、調整用ねじによって調整可能とする構成だけでなく、固定した位置に設定する構成を含んでいる。この場合、車両用警音器は、支持部材がハウジング11に一体に設けられている構成を採用することができる。
【0061】
前述の実施形態において、固定鉄心22は、ステー5に、ハウジング11の底部110の中心部とともに、ナットなどの締結手段を用いて固定される形態でもよい。この場合、固定鉄心22の後方側端部22bには、ナットの雌ねじ部に螺合される雄ねじ部が形成されている。
【符号の説明】
【0062】
3…振動板、 4…可動鉄心、 6…共鳴板、 7…可動接点支持板
8,108…固定接点支持板、 11…ハウジング、 20…コイル
22…固定鉄心、 70…可動接点部、 80…固定接点部、 81…一端側部
82…他端側部、 83,932,1932…湾曲凸部
83a,932a…湾曲凸面、 93,193…支持部材、 112a…開口部
930…基板部、 1941…支持部、 1941a…湾曲先端面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9