(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】電力需給制御システム及び電力需給制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/14 20060101AFI20230426BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20230426BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20230426BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20230426BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
H02J3/14
H02J3/32
H02J3/38 120
H02J3/46
H02J7/35 K
(21)【出願番号】P 2019160987
(22)【出願日】2019-09-04
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】稲村 彰信
(72)【発明者】
【氏名】岡 諒太朗
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-185055(JP,A)
【文献】特開2017-195728(JP,A)
【文献】特開2017-169349(JP,A)
【文献】特開2016-171679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/14
H02J 3/32
H02J 3/38
H02J 3/46
H02J 7/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に接続された再生可能エネルギー発電装置と、
前記電力系統に接続された蓄電装置と、
前記電力系統に接続された可変負荷装置と、
前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力と前記蓄電装置の充電状態との測定結果に基づいて、前記可変負荷装置を制御する電力需給制御装置と、
を備え
、
前記電力需給制御装置は、前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力に応じて前記可変負荷装置で消費させるべき電力が規定された第1テーブルと、前記蓄電装置の充電状態に応じて前記可変負荷装置で消費させるべき電力が規定された第2テーブルとを用い、前記第1テーブルと前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力の測定結果の移動平均値とから前記可変負荷装置で消費させるべき第1電力を求め、前記第2テーブルと前記蓄電装置の充電状態との測定結果とから前記可変負荷装置で消費させるべき第2電力を求め、前記第1電力と前記第2電力とを加算して得られる電力が消費されるように前記可変負荷装置を制御する、
電力需給制御システム。
【請求項2】
前記電力需給制御装置は、前記蓄電装置の充電状態が満充電状態にならず、且つ前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力のトレンドに応じて、電力の需給の差が小さくなるように前記可変負荷装置を制御する、請求項1記載の電力需給制御システム。
【請求項3】
前記電力需給制御装置は、前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力のトレンドを、前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力の測定結果を移動平均することにより求める、請求項2記載の電力需給制御システム。
【請求項4】
電力系統に接続された再生可能エネルギー発電装置と、前記電力系統に接続された蓄電装置と、前記電力系統に接続された可変負荷装置と、を備える電力システムにおける電力需給制御方法であって、
前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力と前記蓄電装置の充電状態とを測定する第1ステップと、
前記第1ステップの測定結果に基づいて、前記可変負荷装置を制御する第2ステップと、
を有
し、
前記第2ステップは、前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力に応じて前記可変負荷装置で消費させるべき電力が規定された第1テーブルと、前記蓄電装置の充電状態に応じて前記可変負荷装置で消費させるべき電力が規定された第2テーブルとを用い、前記第1テーブルと前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力の測定結果の移動平均値とから前記可変負荷装置で消費させるべき第1電力を求め、前記第2テーブルと前記蓄電装置の充電状態との測定結果とから前記可変負荷装置で消費させるべき第2電力を求め、前記第1電力と前記第2電力とを加算して得られる電力が消費されるように前記可変負荷装置を制御するステップである、
電力需給制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力需給制御システム及び電力需給制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりから、様々な分野においてCO2等の温室効果ガスの排出量を低減する「低炭素化」の取り組みが行われている。このような取り組みの一環として、CO2の排出量がゼロ(ゼロ・エミッション)である非化石エネルギーの利用促進が挙げられる。例えば、太陽光、風力、地熱等の再生可能エネルギーを用いた発電装置(再エネ電源)の電源比率を向上させる取り組みが行われている。
【0003】
ここで、再エネ電源は、天候等によって出力が増減することが知られている。従来は、再エネ電源の出力の増減を、電力系統で吸収していた。近年では、再エネ電源と蓄電池とを連携させて再エネ電源の出力の増減を吸収するシステムの適用が拡大している。このようなシステムを用いることで、電力系統への影響を抑制することができるため、停電のリスクの低減、及び系統運用コストの低減が期待されている。
【0004】
以下の特許文献1には、風力発電や太陽光発電等の再エネ電源、ディーゼル発電機等の内燃力発電装置、及び蓄電池を備える分散型電源を制御する技術が開示されている。具体的に、以下の特許文献1には、所定時間後の需要予測値から再エネ電源の出力予測値を引いた値が、所定時間後の内燃力発電装置の出力目標値の所定範囲内にある場合には、新たに内燃力発電装置を電力系統に並列又は解列させないように制御することで、運転コストを制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した再エネ電源と蓄電池とを連携させるシステムにおいて、再エネ電源の発電量に対して負荷で消費される電力量が少ない場合には、再エネ電源で発電された電力(余剰電力)は蓄電池に蓄えられ、蓄電池が満充電状態になったときには電力系統に吸収される。ここで、蓄電池の容量が大きければ大きいほど、より多くの電力を蓄電池に蓄えることができるため、電力系統への影響を少なくすることができる。しかしながら、蓄電池は、容量が大きくなるにつれて価格が飛躍的に上昇するとともに大型化する。このため、大容量の蓄電池を用いる場合には、コスト及び設置場所の問題が生ずる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電力系統への影響を抑制するために必要な蓄電装置の容量を小さくすることができる電力需給制御システム及び電力需給制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様による電力需給制御システムは、電力系統(PS)に接続された再生可能エネルギー発電装置(11)と、前記電力系統に接続された蓄電装置(12)と、前記電力系統に接続された可変負荷装置(14)と、前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力と前記蓄電装置の充電状態との測定結果に基づいて、前記可変負荷装置を制御する電力需給制御装置(15)と、を備える。
【0009】
また、本発明の一態様による電力需給制御システムは、前記電力需給制御装置が、前記蓄電装置の充電状態が満充電状態にならず、且つ前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力のトレンドに応じて、電力の需給の差が小さくなるように前記可変負荷装置を制御する。
【0010】
また、本発明の一態様による電力需給制御システムは、前記電力需給制御装置が、前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力のトレンドを、前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力の測定結果を移動平均することにより求める。
【0011】
また、本発明の一態様による電力需給制御システムは、前記電力需給制御装置が、前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力に応じて前記可変負荷装置で消費させるべき電力が規定された第1テーブル(TB1)と、前記蓄電装置の充電状態に応じて前記可変負荷装置で消費させるべき電力が規定された第2テーブル(TB2)とを用い、前記第1テーブルと前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力の測定結果の移動平均値とから前記可変負荷装置で消費させるべき第1電力(PL1)を求め、前記第2テーブルと前記蓄電装置の充電状態との測定結果とから前記可変負荷装置で消費させるべき第2電力(PL2)を求め、前記第1電力と前記第2電力とを加算して得られる電力(PL)が消費されるように前記可変負荷装置を制御する。
【0012】
本発明の一態様による電力需給制御方法は、電力系統(PS)に接続された再生可能エネルギー発電装置(11)と、前記電力系統に接続された蓄電装置(12)と、前記電力系統に接続された可変負荷装置(14)と、を備える電力システムにおける電力需給制御方法であって、前記再生可能エネルギー発電装置の発電電力と前記蓄電装置の充電状態とを測定する第1ステップ(S11、S14)と、前記第1ステップの測定結果に基づいて、前記可変負荷装置を制御する第2ステップ(S16)と、を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電力系統への影響を抑制するために必要な蓄電装置の容量を小さくすることができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態による電力需給制御システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態において可変負荷制御に用いられるテーブルを示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態による電力需給制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態における効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による電力需給制御システム及び電力需給制御方法について詳細に説明する。
【0016】
〈電力需給制御システム〉
図1は、本発明の一実施形態による電力需給制御システムの要部構成を示すブロック図である。
図1に示す通り、本実施形態の電力需給制御システム1は、再生可能エネルギー発電装置11、蓄電装置12、PCS(Power Conditioning System:パワーコンディショナー)13、可変負荷装置14、及び電力需給制御装置15を備えており、電力の需給制御を行う。
【0017】
図1に示す通り、電力需給制御システム1は、電力系統PSに接続されており、需要家ECに対して電力の供給を行う。具体的に、電力需給制御システム1は、再生可能エネルギー発電装置11で発電された電力を需要家ECに供給し、或いは、蓄電装置12に蓄えられた電力を需要家ECに供給する。再生可能エネルギー発電装置11の発電電力及び蓄電装置12に蓄えられた電力が少ない場合には、需要家ECに対する電力供給は、電力系統PSから行われることもある。尚、電力系統PSの基準周波数は、50Hzであっても良く、60Hzであっても良い。
【0018】
再生可能エネルギー発電装置11は、例えば太陽光発電装置、風力発電装置、地熱発電装置、その他の再生可能エネルギーを用いて発電を行う発電装置である。尚、本実施形態では、再生可能エネルギー発電装置11は、交流電力を発電するものとする。再生可能エネルギー発電装置11は、母線PBを介して電力系統PSに接続されている。尚、
図1では、再生可能エネルギー発電装置11を1つのみ図示しているが、再生可能エネルギー発電装置11は複数設けられていても良い。
【0019】
蓄電装置12は、例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の再充電が可能な二次電池である。この蓄電装置12は、PCS13及び母線PBを介して電力系統PSに接続されている。蓄電装置12は、再生可能エネルギー発電装置11で発電された電力の一部を蓄えるとともに、必要に応じて蓄えた電力を需要家ECに供給するために設けられる。
【0020】
蓄電装置12は、電力の充電及び放電が可能なものであれば良く、上記の二次電池以外にフライホイール電力貯蔵装置(電力エネルギーをフライホイールの回転エネルギーに変換することによって蓄電する装置)を用いることもできる。尚、本実施形態では、コスト及び設置場所の関係から、蓄電装置12として容量の小さなものを用いている。
【0021】
PCS13は、母線PBを介して電力系統PSに接続されており、電力需給制御装置15の制御の下で、蓄電装置12の充放電を行う。具体的に、PCS13は、蓄電装置12を充電する場合には、再生可能エネルギー発電装置11で発電されて母線PBを介して供給されてくる交流電力を直流電力に変換して蓄電装置12に出力する。また、PCS13は、蓄電装置12に蓄えられた電力を放電する場合には、蓄電装置12から出力される直流電力を交流電量に変換して母線PBに出力する。
【0022】
可変負荷装置14は、電気的な負荷(抵抗、インダクタンス、キャパシタンス等)を連続的又は段階的に変えることが可能な負荷であり、母線PBを介して電力系統PSに接続されている。可変負荷装置14は、電力需給制御装置15によって制御される。つまり、電力需給制御装置15の制御によって、可変負荷装置14の電気的な負荷が設定される(変えられる)。この可変負荷装置14は、蓄電装置12の充放電電力を低減するために設けられる。
【0023】
電力需給制御装置15は、蓄電装置12に対する充放電制御と、可変負荷装置14に対する可変負荷制御とを行う。具体的に、電力需給制御装置15は、蓄電装置の充電状態(SOC:State Of Charge)を測定しており、その測定結果に基づいて蓄電装置12に対する充放電制御を行う。また、電力需給制御装置15は、再生可能エネルギー発電装置11の発電電力を測定しており、その測定結果と蓄電装置の充電状態(SOC)との測定結果に基づいて可変負荷装置14に対する可変負荷制御を行う。
【0024】
電力需給制御装置15は、上記可変負荷制御を行う場合には、蓄電装置12の充電状態が満充電状態にならず、且つ再生可能エネルギー発電装置11の発電電力のトレンド(変化傾向)に応じて、電力の需給の差が小さくなるように可変負荷装置14を制御する。ここで、電力需給制御装置15は、上記のトレンドを、再生可能エネルギー発電装置11の発電電力の測定結果を移動平均することにより求める。再生可能エネルギー発電装置11は、天候等によって出力が細かく変化することがある。発電電力の測定結果を移動平均することによって、このような細かな変化を排除してトレンドを求めるようにしている。
【0025】
電力需給制御装置15は、可変負荷装置14に対する可変負荷制御を行う場合には、
図2(a)に示すテーブルTB1(第1テーブル)と、
図2(b)に示すテーブルTB2(第2テーブル)とを用いる。
図2は、本発明の一実施形態において可変負荷制御に用いられるテーブルを示す図である。
【0026】
図2(a)に示すテーブルTB1は、再生可能エネルギー発電装置11の発電電力に応じて可変負荷装置14で消費させるべき電力が規定されたテーブルである。
図2(a)に示す通り、テーブルTB1では、再生可能エネルギー発電装置11の発電電力と、可変負荷装置14で消費させるべき電力(消費電力PL1)とが対応づけられている。尚、
図2(a)に示す「PG1」~「PGn」には、具体的な電力値(或いは、具体的な電力値の範囲)が格納され、「PA1」~「PAn」には、具体的な電力値が格納される。
【0027】
図2(b)に示すテーブルTB2は、蓄電装置12の充電状態に応じて可変負荷装置14で消費させるべき電力が規定されたテーブルである。
図2(b)に示す通り、テーブルTB2では、蓄電装置12の充電状態(SOC)と、可変負荷装置14で消費させるべき電力(消費電力PL2)とが対応づけられている。尚、
図2(b)に示す「SOC1」~「SOCn」には具体的な数値(或いは、具体的な数値の範囲)が格納され、「PB1」~「PBn」には具体的な電力値が格納される。
【0028】
電力需給制御装置15は、
図2(a)に示すテーブルTB1と、再生可能エネルギー発電装置11の発電電力の測定結果の移動平均値とから可変負荷装置14で消費させるべき電力である消費電力PL1(第1電力)を求める。また、電力需給制御装置15は、
図2(b)に示すテーブルTB2と、蓄電装置12の充電状態との測定結果とから可変負荷装置14で消費させるべき電力である消費電力PL2(第2電力)を求める。そして、電力需給制御装置15は、可変負荷装置14を制御して、消費電力PL1と消費電力PL2とを加算して得られる消費電力PLが可変負荷装置14で消費されるようにする。
【0029】
〈電力需給制御方法〉
図3は、本発明の一実施形態による電力需給制御方法の一例を示すフローチャートである。尚、
図3に示すフローチャートの処理は、例えば一定の時間間隔(例えば、予め規定された制御周期)で繰り返し行われる。
【0030】
図3に示すフローチャートの処理が開始されると、まず、再生可能エネルギー発電装置11の発電電力を測定する処理が電力需給制御装置15で行われる(ステップS11:第1ステップ)。次に、ステップS11で測定された発電電力の測定結果を用いて移動平均値を演算する処理が電力需給制御装置15で行われる(ステップS12)。尚、移動平均を行う時間間隔は、再生可能エネルギー発電装置11の発電電力の変動を考慮して適宜設定される。
【0031】
次いで、
図2(a)に示したテーブルTB1とステップS12で求められた移動平均値とから、可変負荷装置14で消費させるべき電力である消費電力PL1を算出する処理が電力需給制御装置15で行われる(ステップS13)。例えば、ステップS12で求められた移動平均値が「PG5」である場合には、
図2(a)に示したテーブルTB1に基づいて、可変負荷装置14で消費させるべき電力である消費電力PL1として「PA5」が算出される。
【0032】
続いて、蓄電装置12の充電状態(SOC)を測定する処理が電力需給制御装置15で行われる(ステップS14:第1ステップ)。次いで、
図2(b)に示したテーブルTB2とステップS14測定された蓄電装置12の充電状態(SOC)とから、可変負荷装置14で消費させるべき電力である消費電力PL2を算出する処理が電力需給制御装置15で行われる(ステップS15)。例えば、ステップS14で測定された蓄電装置12の充電状態(SOC)が「SOC3」である場合には、
図2(b)に示したテーブルTB2に基づいて、可変負荷装置14で消費させるべき電力である消費電力PL2として「PB3」が算出される。
【0033】
以上の処理が終了すると、ステップS13で算出された消費電力PL1と、ステップS15で算出された消費電力PL2とを加算し、可変負荷装置14で最終的に消費させるべき消費電力PLを求める処理が電力需給制御装置15で行われる。そして、上記の消費電力PLが可変負荷装置14で消費されるように、可変負荷装置14を制御する処理が電力需給制御装置15で行われる(ステップS16:第2ステップ)。
【0034】
尚、
図3では、ステップS14,S15の処理が、ステップS11~S13の処理の後に行われる例を図示した。しかしながら、ステップS14,S15の処理は、ステップS11~S13の処理の前に行われても良く、ステップS11~S13の処理と並行して行われても良い。
【0035】
図4は、本発明の一実施形態における効果を説明するための図である。
図4中に示す曲線Xは、蓄電装置12の充放電電力の経時変化を示すものである。尚、
図4に示すグラフは、横軸に時間をとり、縦軸に電力[kW]をとってある。また、
図4においては、天候の変化等による再生可能エネルギー発電装置11の出力の細かな変化の図示は省略している。
【0036】
図4に示すグラフにおいて、蓄電装置12の充電電力を正の電力で示しており、蓄電装置12の放電電力を負の電力で示している。つまり、
図4に示す例では、時刻t1~t2の間は、再生可能エネルギー発電装置11の発電電力が蓄電装置12に充電され、時刻t2~t3の間は、蓄電装置12に蓄えられた電力が放電されることを示している。
【0037】
従来、再生可能エネルギー発電装置11の発電電力が十分得られている場合において、電力系統への影響を抑制するには、
図4(a)に示す通り、符号Q11を付して示した領域の面積で示される電力量を蓄電装置12に蓄える必要があった。また、再生可能エネルギー発電装置11の発電電力が十分得られなくなった場合には、
図4(a)に示す通り、符号Q12を付して示した領域の面積で示される電力量を蓄電装置12から放電させる必要があった。
【0038】
これに対し、本実施形態では、再生可能エネルギー発電装置11の発電電力が十分得られている場合には、
図4(b)に示す通り、符号Rを付して示した領域の面積で示される電力量が可変負荷装置14で消費される。これにより、本実施形態では、蓄電装置12の充電電力が低減され、符号Q21を付して示した領域の面積で示される電力量を蓄電装置12に蓄えれば良くなる。このように、本実施形態では、蓄電装置12の充放電電力が低減されることから、蓄電装置12の容量を小さくすることができる。
【0039】
以上の通り、本実施形態では、再生可能エネルギー発電装置11の発電電力と蓄電装置12の充電状態とを測定し、この測定結果に基づいて、可変負荷装置14を制御するようにしている。これにより、蓄電装置12の充放電電力を低減することができるため、電力系統PSへの影響を抑制するために必要な蓄電装置12の容量を小さくすることができる。その結果として、大容量の蓄電池を用いることなく容量の小さな蓄電装置12を用いて電力系統PSへの影響を極力抑制することができる。
【0040】
以上、本発明の一実施形態による電力需給制御システム及び電力需給制御方法について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では
図2に示すテーブルTB1,TB2を用いて可変負荷装置14を制御するようにしていた。しかしながら、テーブルTB1,TB2に代えて、テーブルTB1における発電電力と消費電力PL1との関係を示す関数と、テーブルTB2におけるSOCと消費電力PL2との関係を示す関数とを用いて可変負荷装置14を制御するようにしても良い。
【符号の説明】
【0041】
11…再生可能エネルギー発電装置、12…蓄電装置、14…可変負荷装置、15…電力需給制御装置、PL,PL1,PL2…消費電力、PS…電力系統、TB1,TB2…テーブル