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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】荷役車両の操作支援装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20230426BHJP
【FI】
B66F9/24 L
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019191009
(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公開番号】P2021066540
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岡本 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】神谷 知典
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-156641(JP,A)
【文献】国際公開第2007/145190(WO,A1)
【文献】特開2013-086959(JP,A)
【文献】特開2006-096457(JP,A)
【文献】特開2003-155198(JP,A)
【文献】特開2003-034496(JP,A)
【文献】特開2012-051678(JP,A)
【文献】特開2019-048696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00-11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷役装置に積載された荷の搬送を行う荷役車両の操作支援装置であって、
前記荷役車両を遠隔操作するための指令を前記荷役車両に送信する第1無線機と、
前記荷役車両の前方を撮像するカメラと、
前記カメラにより撮像された撮像画像を示す画像データを受信する第2無線機と、
前記荷役車両を遠隔操作する操作者に視認可能な位置に配置されており、前記カメラにより撮像された前記撮像画像が表示されるモニタと、
前記荷役装置による荷取り作業を行う際に前記荷役装置の位置合わせをする対象となる目標位置と、前記荷役装置との相対高さを導出する相対距離導出部と、
前記相対高さが予め定められた閾値未満の場合に前記荷役装置を前記目標位置に位置合わせするためのガイドを前記撮像画像に重畳して表示し、前記相対高さが前記閾値以上の場合に前記ガイドを非表示にするガイド表示部と、を備え
前記ガイドは、前記荷役装置の現在位置と前記目標位置との差を示すインジケータであり、
前記ガイドは、
前記撮像画像中で前記撮像画像の上下方向に延びる基準表示と、
前記基準表示中を前記撮像画像の上下方向に移動する位置表示であって前記現在位置を示す位置表示と、を備え、
前記基準表示は、前記目標位置であるパレットの孔を示す孔表示を備える荷役車両の操作支援装置。
【請求項2】
前記ガイド表示部は、前記撮像画像に写る前記目標位置に沿うように前記ガイドを表示する請求項に記載の荷役車両の操作支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役車両の操作支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷役車両は、荷役装置に積載された荷の搬送を行う。モニタに表示された撮像画像によって荷役車両の操作を支援する荷役車両の操作支援装置としては、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の荷役車両の操作支援装置は、カメラと、カメラにより撮像された撮像画像が表示されるモニタと、画像制御部と、を備える。画像制御部は、モニタにカメラによって撮像された撮像画像を表示させる。画像制御部は、画像認識によって撮像画像中からパレットや棚に付されたマーカーを検出し、マーカーの位置から目標位置を認識する。目標位置とは、荷役装置による荷置き作業及び荷取り作業の少なくとも一方の作業を行う際に荷役装置の位置合わせをする対象となる位置である。画像制御部は、荷役装置を目標位置に位置合わせするためのガイドを撮像画像に重畳して表示する。荷役車両の操作者は、モニタに表示された撮像画像及びガイドを見ながら荷役車両を操作することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-155198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
荷役車両の操作支援装置を用いて荷役装置を目標位置に位置合わせする場合、まず、操作者は、モニタに表示される撮像画像を見ながら大まかに荷役装置の位置合わせを行う。その後、操作者は、モニタに表示されるガイドを見ながら荷役装置の位置を調整する。これにより、効率的に荷役装置の位置合わせを行えると考えられる。特許文献1では、マーカーの検出、即ち、目標位置の検出によりガイドが表示される。従って、ガイドにより撮像画像が視認しにくくなり、荷役装置の位置合わせが行いにくくなる場合が生じ得る。
【0005】
本発明の目的は、荷役装置を目標位置に位置合わせしやすい荷役車両の操作支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する荷役車両の操作支援装置は、荷役装置に積載された荷の搬送を行う荷役車両の操作支援装置であって、前記荷役車両の前方を撮像するカメラと、前記荷役車両の操作者に視認可能な位置に配置されており、前記カメラにより撮像された撮像画像が表示されるモニタと、前記荷役装置による荷置き作業及び荷取り作業の少なくとも一方の作業を行う際に前記荷役装置の位置合わせをする対象となる目標位置と、前記荷役装置との相対距離を導出する相対距離導出部と、前記相対距離が予め定められた閾値未満の場合に前記荷役装置を前記目標位置に位置合わせするためのガイドを前記撮像画像に重畳して表示し、前記相対距離が前記閾値以上の場合に前記ガイドを非表示にするガイド表示部と、を備える。
【0007】
ガイド表示部は、目標位置と荷役装置との相対距離が閾値未満の場合にガイドを撮像画像に重畳して表示する。目標位置と荷役装置との相対距離が閾値以上の場合にはガイドは非表示なので、目標位置と荷役装置との相対距離が閾値未満になるまではガイドによってモニタの撮像画像が視認しにくくなることが抑制されている。荷役車両の操作者は、目標位置と荷役装置との相対距離が閾値以上の場合にはモニタの撮像画像、目標位置と荷役装置との相対距離が閾値未満になるとモニタのガイドを見て荷役装置の位置合わせを行うことができる。従って、目標位置と荷役装置との相対距離が閾値以上の場合であってもモニタにガイドが表示される場合に比べて、荷役装置を目標位置に位置合わせしやすくなる。
【0008】
上記荷役車両の操作支援装置について、前記ガイドは、前記荷役装置の現在位置と前記目標位置との差を示すインジケータであってもよい。
荷役装置の現在位置と目標位置との差を把握しやすく、更に荷役装置を目標位置に位置合わせしやすくなる。
【0009】
上記荷役車両の操作支援装置について、前記ガイド表示部は、前記撮像画像に写る前記目標位置に沿うように前記ガイドを表示してもよい。
荷役車両の操作者は、モニタの撮像画像を見ながら荷役車両を操作する際に、目標位置と荷役装置との位置関係を確認しながら荷役車両の操作を行う。目標位置に沿うようにガイドを表示することで、モニタにガイドを表示したときの視線移動が少ない。このため、更に、荷役装置を目標位置に位置合わせしやすくなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、荷役装置を目標位置に位置合わせしやすい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】遠隔操作システムの概略構成図。
図2】フォークリフト、及び遠隔操作装置の概略構成図。
図3】遠隔操作システムで行われる処理を示すフローチャート。
図4】目標位置と荷役装置との相対距離が閾値以上の場合のモニタを示す概略図。
図5】目標位置と荷役装置との相対距離が閾値未満の場合のモニタを示す概略図。
図6】変形例のインジケータが表示されたモニタを示す図。
図7】インジケータの動きを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、荷役車両の操作支援装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、遠隔操作システム10は、荷役車両としてのフォークリフト20と、フォークリフト20を遠隔操作するのに用いられる遠隔操作装置50と、を備える。フォークリフト20は荷の搬送等が行われる作業場に配置される。遠隔操作装置50は操作室にいる操作者による操作によりフォークリフト20を遠隔操作するための部材である。操作室は、作業場を直接視認できない場所、あるいは、作業場を直接視認しにくい場所である。なお、以下の説明において、前後左右とは、フォークリフト20の前後左右である。フォークリフト20の左右方向とは、フォークリフト20の車幅方向である。
【0013】
本実施形態のフォークリフト20はリーチ式である。なお、フォークリフト20としては、カウンタ式のものが用いられてもよい。フォークリフト20は、車体21と、車体21に設けられた車輪22と、車体21の前方に向けて延びたリーチレグ23と、車体21の前方に設けられた荷役装置24と、を備える。リーチレグ23は、左右方向に離間して一対設けられている。荷役装置24は、リーチレグ23に対して起立したマスト25と、マスト25に取り付けられたバックレスト26と、バックレスト26に取り付けられたフォーク27と、を備える。フォーク27は、左右方向に離間して一対設けられている。フォーク27は、荷が積載される部材である荷役具である。
【0014】
図1及び図2に示すように、フォークリフト20は、フォークリフト20に走行動作を行わせる駆動機構28と、フォークリフト20に荷役動作を行わせる荷役機構29と、メインコントローラ31と、荷役操作部32と、を備える。
【0015】
駆動機構28は、車輪22を回転させる駆動源、及びフォークリフト20の操舵を行う操舵機構などを含む。荷役機構29は、マスト25を動作させる油圧シリンダに作動油を供給する荷役ポンプ、荷役ポンプを駆動させる駆動源、作動油の流通を制御するバルブなどを含む。荷役機構29は、マスト25をリーチレグ23に沿って前後方向に移動させるリーチ動作、マスト25を傾動させるティルト動作、マスト25を昇降させるリフト動作を荷役装置24に行わせることができる。バックレスト26及びフォーク27は、マスト25とともに移動、傾動、昇降する。荷役動作は、リーチ動作、ティルト動作、リフト動作のいずれか1つを含む動作である。
【0016】
メインコントローラ31は、CPU、RAM、ROM、I/O、及びこれらを接続するバスライン等を備える。メインコントローラ31の行う処理は、ROM等の実体的なメモリ装置に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。メインコントローラ31は、駆動機構28及び荷役機構29を制御することで、フォークリフト20に走行動作及び荷役動作をさせる。
【0017】
荷役操作部32は、リーチ動作、ティルト動作、リフト動作に対応して個別に設けられており、荷役操作部32に対応した荷役動作が行われる。荷役操作部32は、フォークリフト20の搭乗者によって操作される。図示は省略するが、フォークリフト20は、荷役操作部32の操作量を検出する操作量検出部を備え、操作量検出部の検出結果がメインコントローラ31に出力される。また、図示は省略するが、フォークリフト20は、搭乗者によって操作される走行操作部を備える。メインコントローラ31は、荷役操作部32及び走行操作部の操作に応じて駆動機構28及び荷役機構29の制御を行う。即ち、本実施形態のフォークリフト20は、遠隔操作装置50を用いた遠隔操作に加えて、フォークリフト20の搭乗者による操作も可能なフォークリフトである。
【0018】
フォークリフト20は、カメラ41と、画像処理部42と、車両側無線機43と、無線ユニット44と、を備える。カメラ41としては、例えば、CCDイメージセンサや、CMOSイメージセンサを用いたものが挙げられる。
【0019】
カメラ41は、フォーク27に荷が積載されていない状態で、水平画角及び垂直画角により規定される撮像範囲にフォーク27が含まれるように取り付けられている。詳細にいえば、フォーク27に荷が積載されていない状態で、カメラ41の撮像範囲には2つのフォーク27の先端が含まれるようにカメラ41は取り付けられている。カメラ41は、フォーク27とともに昇降する部材に取り付けられている。本実施形態では、カメラ41は、バックレスト26に取り付けられている。カメラ41は、フォーク27よりも鉛直方向上方に設けられている。カメラ41は、フォークリフト20の前方を撮像する。カメラ41は、荷役装置24の前方を向いており、かつ、鉛直方向下方に向けて傾斜するように配置されている。従って、カメラ41は、鉛直方向上方からフォーク27を鳥瞰するように配置されているといえる。なお、荷役装置24の前方とは、フォーク27の向く方向ともいえる。
【0020】
画像処理部42は、CPU、RAM、ROM、I/O、及びこれらを接続するバスライン等を備える。画像処理部42の行う処理は、ROM等の実体的なメモリ装置に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。画像処理部42は、カメラ41から所定の間隔で画像データを取得する。画像データは、例えば、RGB形式のデータである。画像処理部42は、カメラ41から取得した画像データに対して画像処理を行う。画像処理部42とメインコントローラ31とは、CAN:Controller Area NetworkやLIN:Local Interconnect Networkなどのプロトコルで互いに通信を行うことが可能である。
【0021】
車両側無線機43は、遠隔操作装置50に画像データを送信するための通信インターフェースである。車両側無線機43は、画像処理部42から出力された画像データを変調して無線信号を生成する。車両側無線機43は、無線信号を送信する。
【0022】
無線ユニット44は、遠隔操作装置50と相互に通信を行うための通信インターフェースである。無線ユニット44は、メインコントローラ31や画像処理部42から出力されたデータを変調して無線信号を生成する変調部と、遠隔操作装置50から受信した無線信号を復調して、復調されたデータをメインコントローラ31に出力する復調部と、を含む。無線ユニット44は、フォークリフト20の周辺の情報や、フォークリフト20の情報を遠隔操作装置50に送信する。フォークリフト20の周辺の情報としては、例えば、フォーク27と荷との相対距離が挙げられる。フォークリフト20の情報としては、例えば、フォークリフト20の操舵角やフォークリフト20の速度が挙げられる。
【0023】
次に、遠隔操作装置50について説明する。
図2に示すように、遠隔操作装置50は、フォークリフト20を操作するための操作部51と、操作コントローラ52と、第1無線機53と、第2無線機54と、表示コントローラ55と、モニタ56と、を備える。操作部51、操作コントローラ52、表示コントローラ55、及びモニタ56は、操作室に設けられている。第1無線機53及び第2無線機54は、作業場に設けられている。
【0024】
操作部51は、操作室にいる操作者によって操作される。操作部51は、例えば、傾倒可能なレバー式の操作部である。操作部51は、遠隔操作装置50によりフォークリフト20を操作する際に用いられる。操作部51には、フォークリフト20を走行動作させる際に操作される走行操作部と、フォークリフト20を荷役動作させる際に操作される荷役操作部と、が含まれる。操作部51の操作量は、図示しない操作量検出部により検出され、操作コントローラ52に出力される。
【0025】
操作コントローラ52は、CPU、RAM、ROM、I/O、及びこれらを接続するバスライン等を備える。操作コントローラ52の行う処理は、ROM等の実体的なメモリ装置に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。操作コントローラ52は、操作部51の操作量に応じて指令を生成する。
【0026】
第1無線機53は、無線ユニット44と相互に通信を行うための通信インターフェースである。第1無線機53は、操作コントローラ52から出力されたデータを変調して無線信号を生成する変調部と、無線ユニット44から受信した無線信号を復調して、復調されたデータを操作コントローラ52に出力する復調部と、を含む。
【0027】
操作コントローラ52は、操作部51の操作量に応じた指令を含むデータを第1無線機53に出力することで、第1無線機53及び無線ユニット44を介してメインコントローラ31に指令を与えることができる。メインコントローラ31は、操作コントローラ52からの指令を受信すると、指令に従って駆動機構28及び荷役機構29を制御する。これにより、操作室にいる操作者は、フォークリフト20を遠隔操作することが可能である。また、操作コントローラ52は、第1無線機53を介してフォークリフト20の周辺の情報やフォークリフト20の情報を認識可能である。本実施形態では、フォークリフト20は、操作室にいる操作者に操作される。操作室にいる操作者が、荷役車両の操作者となる。
【0028】
第2無線機54は、車両側無線機43からの画像データを受信するための通信インターフェースである。第2無線機54は、車両側無線機43から受信した無線信号を復調し、復調された画像データを表示コントローラ55に出力する。
【0029】
表示コントローラ55は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAM、ROM、I/O、及びこれらを接続するバスライン等を備える。表示コントローラ55の行う処理は、ROM等の実体的なメモリ装置に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。表示コントローラ55は、第2無線機54から取得した画像データをモニタ56に出力する。また、表示コントローラ55は、フォークリフト20の運転に必要となる情報を表示するためのデータをモニタ56に出力することも可能である。表示コントローラ55と操作コントローラ52とは、互いの情報を取得可能に構成されている。
【0030】
モニタ56は、表示コントローラ55から出力された画像データを撮像画像として表示するディスプレイである。モニタ56は、操作室にいる操作者が視認可能な位置に配置されている。モニタ56は、表示コントローラ55から出力された画像データを撮像画像として表示することで、操作者にカメラ41に撮像されている撮像画像を視認させることができる。また、モニタ56には、フォークリフト20の操作を支援するためのガイドも表示される。操作室にいる操作者は、モニタ56を見ながらフォークリフト20を操作することが可能である。
【0031】
次に、モニタ56への表示を行うために遠隔操作システム10で行われる処理について図3に従って説明する。以下の説明において、フォークリフト20によって荷取り作業を行う場合を例に挙げて説明する。荷取り作業とは、フォーク27に荷を積載する作業である。即ち、図4に示すように、パレット71の孔72にフォーク27を差し込んだ後にフォーク27を上昇させることでフォーク27にパレット71を支持させる作業である。なお、荷とは、フォーク27に積載される物である。パレット71のみがフォーク27に積載されていればパレット71が荷であり、搬送物が積載されたパレット71がフォーク27に積載されていれば搬送物及びパレット71が荷である。
【0032】
図4に示すパレット71は、矩形平板状であり、フォーク27が挿入される孔72を備える平パレットである。パレットは、ポストパレットやメッシュパレット等であってもよい。パレット71は、2つの孔72の開口する面である側面にマーカー73,74を備える。マーカー73,74としては、パレット71自体に印されたものであってもよいし、パレット71とは別体のマーカー73,74をパレット71に取り付けたものであってもよい。本実施形態では、同一の側面に開口する2つの孔72の並ぶ方向に間隔を開けて2つのマーカー73,74がパレット71に設けられている。マーカー73,74は、四角枠の内側にパターンが設けられたものである。2つのマーカー73,74同士は、パターンが異なる。前述したように、荷取り作業では、パレット71の孔72にフォーク27を差し込み、フォーク27を上昇させることでパレット71をフォーク27で支持する。本実施形態では、一例として、目標位置となる孔72の高さに、荷役装置24の一部であるフォーク27の高さを位置合わせする場合について説明する。荷役装置24の位置合わせをする対象となる目標位置はパレット71の孔72となる。
【0033】
図3に示すように、ステップS1において、画像処理部42は、フォーク27とパレット71との相対距離を導出する。本実施形態では、画像処理部42は、フォーク27とパレット71の孔72との鉛直方向の相対距離、即ち、フォーク27とパレット71の孔72との相対高さを導出する。フォーク27とパレット71の孔72との相対高さは、例えば、フォーク27の先端における鉛直方向の中心位置と、パレット71の孔72における鉛直方向の中心位置との鉛直方向の離間距離である。以下、ステップS1で行われる処理について詳細に説明を行う。
【0034】
画像処理部42は、カメラ41から取得した画像データにパレット71が存在するか否かを判定する。画像データにパレット71が存在するか否かの判定は、画像データにマーカー73,74が存在するか否かを判定することで行われる。画像処理部42は、画像データからマーカー73,74を画像認識する画像認識処理を行う。画像認識処理としては、例えば、画像処理部42のROM等に予め記憶されたテンプレート画像と画像データとの比較を行い、テンプレート画像に一致する度合いが高い領域を探索するパターンマッチングが用いられる。テンプレート画像は、例えば、隣接する画素間における輝度値の差を示すデータである。
【0035】
画像データからマーカー73,74が抽出されると、画像処理部42は、フォーク27とパレット71との前後方向の相対距離を導出する。マーカー73,74の寸法は既知であるため、画像処理部42は、マーカー73,74を認識すると、画像データにおけるマーカー73,74の寸法に基づきカメラ41からマーカー73,74までの距離を導出することができる。カメラ41とフォーク27との位置関係は既知であるため、画像処理部42はカメラ41からマーカー73,74までの距離に基づき、フォーク27とパレット71との前後方向の相対距離を導出することができる。フォーク27とパレット71との前後方向の相対距離は、例えば、フォーク27の先端と、パレット71の側面のうちフォークリフト20側の面=パレット71の前面との前後方向の離間距離である。
【0036】
画像処理部42は、フォーク27とパレット71との前後方向の相対距離を導出すると、フォーク27とパレット71の孔72との相対高さを導出する。画像データにおけるフォーク27とパレット71の孔72との上下方向の離間距離は、フォーク27とパレット71との前後方向の相対距離によって変化する。言い換えれば、フォーク27とパレット71との前後方向の相対距離と、画像データにおけるフォーク27とパレット71の孔72との上下方向への離間距離には相関がある。画像処理部42は、フォーク27とパレット71との前後方向の相対距離と、画像データにおけるフォーク27とパレット71の孔72との上下方向の離間距離との相関から、フォーク27とパレット71の孔72との相対高さを導出することができる。例えば、フォーク27とパレット71との前後方向の相対距離を把握できれば、画像データにおけるフォーク27とパレット71の孔72との間の画素数を実空間上でのフォーク27とパレット71の孔72との相対高さに換算することができる。これにより、画像処理部42は、フォーク27とパレット71の孔72との相対高さを導出可能である。ステップS1の処理を行うことで、画像処理部42は、相対距離導出部として機能している。
【0037】
次に、ステップS2において、画像処理部42は、ステップS1で導出したフォーク27とパレット71の孔72との相対高さを含むデータを無線ユニット44から無線送信する。なお、画像処理部42は、フォーク27とパレット71の孔72との相対高さをメインコントローラ31に出力することでメインコントローラ31に無線送信を行わせてもよい。
【0038】
次に、ステップS3において、表示コントローラ55は、フォーク27とパレット71の孔72との相対高さが、予め定められた閾値未満か否かを判定する。閾値は、遠隔操作システム10のユーザーが任意の値を設定することができる。なお、表示コントローラ55は、フォーク27とパレット71の孔72との相対高さを操作コントローラ52から取得してもよいし、第1無線機53から取得してもよい。ステップS3の判定結果が肯定の場合、表示コントローラ55はステップS4の処理を行う。一方で、ステップS3の判定結果が否定の場合、表示コントローラ55はステップS5の処理を行う。
【0039】
図3及び図5に示すように、ステップS4において、表示コントローラ55は、モニタ56に表示される撮像画像IにインジケータI1を重畳して表示させる。インジケータI1は、荷役装置24を目標位置に位置合わせするためのガイドであり、本実施形態ではフォーク27の高さをパレット71の孔72の高さに位置合わせするためのガイドである。インジケータI1は、目標位置であるパレット71の孔72とフォーク27の現在位置との差を示すものである。インジケータI1は、撮像画像I中で撮像画像Iの上下方向に延びる基準表示Bと、基準表示B中を撮像画像Iの上下方向に移動する位置表示Pと、を備える。基準表示Bは、撮像画像Iの上下方向の中心に、孔72の位置を示す表示である孔表示B1を備える。基準表示Bは、孔表示B1と孔表示B1以外の部分とで色彩や模様等が変更されており、操作者が孔表示B1と孔表示B1以外の部分とを識別可能にされている。位置表示Pは、フォーク27の鉛直方向の現在位置、即ち、フォーク27の現在高さを示す表示である。位置表示Pは、フォーク27の現在高さによって位置が変化する。孔表示B1と位置表示Pとの位置関係は、パレット71の孔72とフォーク27との位置関係を所定の縮尺で表現したものである。孔表示B1と位置表示Pとが重なり合っていれば、パレット71の孔72とフォーク27の高さは一致しているといえる。孔表示B1と、位置表示Pとの位置関係から操作者は、パレット71の孔72の高さとフォーク27の現在高さとの差を認識することができる。
【0040】
表示コントローラ55は、撮像画像Iにおけるパレット71の孔72に沿う位置にインジケータI1を重畳して表示させる。表示コントローラ55は、撮像画像Iにおけるパレット71の孔72及びフォーク27と、インジケータI1とを見る際の操作者の視線移動が少なくなる位置にインジケータI1の表示を行うといえる。なお、表示コントローラ55は、マーカー73,74の位置から撮像画像I中のパレット71の座標を認識することができるため、パレット71の孔72に沿うようにインジケータI1を表示させることができる。
【0041】
なお、インジケータI1の重畳表示は、表示コントローラ55がインジケータI1を示すOSD:On Screen Displayデータを生成し、このOSDデータを画像データに合成することで行われる。
【0042】
図3及び図4に示すように、ステップS5において、表示コントローラ55は、インジケータI1を非表示にする。詳細に言えば、表示コントローラ55は、前回の制御周期でインジケータI1が表示されていれば、インジケータI1を非表示に切り替え、前回の制御周期でインジケータI1が非表示の場合にはインジケータI1の非表示を維持する。これにより、モニタ56には、インジケータI1の表示されていない撮像画像Iが表示されることになる。なお、ステップS1で画像データからパレット71を抽出できない場合にも、インジケータI1は非表示とされる。ステップS3、ステップS4、及びステップS5の処理を行うことで、表示コントローラ55はガイド表示部として機能している。
【0043】
上記した処理が所定の制御周期で繰り返し行われることで、フォーク27とパレット71の孔72との相対高さが閾値未満の場合にはモニタ56に撮像画像Iに重畳してインジケータI1が表示され、フォーク27とパレット71の孔72との相対高さが閾値以上の場合にはモニタ56にインジケータI1が表示されなくなる。閾値は、インジケータI1の表示と非表示とを切り替えるための閾値であり、インジケータI1によるフォーク27の位置調整を行うと想定される位置にフォーク27がある場合にインジケータI1が表示されるように設定されている。
【0044】
上記したように、モニタ56に撮像画像IとインジケータI1とを表示することで、操作者がフォークリフト20を操作する際に、操作者の支援を行うことができる。本実施形態のように、遠隔操作システム10に用いられる荷役車両の操作支援装置60は、モニタ56に撮像画像I及びインジケータI1を表示するための部材であるカメラ41、画像処理部42、車両側無線機43、第2無線機54、表示コントローラ55、及びモニタ56を備えているといえる。
【0045】
本実施形態の作用について説明する。
表示コントローラ55は、目標位置となるパレット71の孔72と、フォーク27との相対高さが閾値未満の場合にインジケータI1を撮像画像Iに重畳して表示する。パレット71の孔72とフォーク27との相対高さが閾値以上の場合にはインジケータI1は非表示なので、パレット71の孔72とフォーク27との相対高さが閾値未満になるまではインジケータI1によってモニタ56の撮像画像Iが視認しにくくなることが抑制されている。
【0046】
また、パレット71の孔72とフォーク27との相対高さが閾値以上の場合であってもインジケータI1が表示されていると、撮像画像Iを見ながら大まかにフォーク27の位置合わせをした後に、インジケータI1によってフォーク27の位置を調整する際に、インジケータI1を見つけにくい。また、パレット71の孔72とフォーク27との相対高さが閾値以上の場合であってもインジケータI1が表示されていると、操作者が情報過多に陥りやすく、必要な情報の選択に要する時間が長くなる。
【0047】
これに対して、パレット71の孔72とフォーク27との相対高さが閾値未満の場合にインジケータI1を撮像画像Iに重畳して表示すると、パレット71の孔72とフォーク27との相対高さが閾値以上から閾値未満に切り替わった段階でインジケータI1が表示されることになる。操作者は、モニタ56の表示の変化から、インジケータI1を見つけやすく、操作の効率化を図ることができる。また、インジケータI1はフォーク27の位置合わせを行う必要のあるときに表示されるため、操作者が情報過多に陥りにくく、操作の円滑化が図られる。
【0048】
本実施形態の効果について説明する。
(1)表示コントローラ55は、パレット71の孔72とフォーク27との相対高さが閾値未満の場合にインジケータI1の表示を行っている。操作者は、パレット71の孔72とフォーク27との相対高さが閾値以上の場合にはモニタ56の撮像画像I、パレット71の孔72とフォーク27との相対高さが閾値未満になるとモニタ56のインジケータI1を見てフォーク27の位置合わせを行うことができる。従って、パレット71の孔72とフォーク27との相対高さが閾値以上の場合であってもモニタ56にインジケータI1が重畳して表示される場合に比べて、荷役装置24を目標位置に位置合わせしやすくなる。
【0049】
(2)荷役装置24の位置合わせのためのガイドとして、フォーク27の現在位置と目標位置であるパレット71の孔72の位置との差を示すインジケータI1を表示している。操作者がフォーク27の現在位置とパレット71の孔72の位置との差を把握しやすく、更に荷役装置24を位置合わせしやすくなる。
【0050】
(3)表示コントローラ55は、撮像画像Iに写るパレット71の孔72に沿うようにインジケータI1を表示している。操作者は、モニタ56の撮像画像Iを見ながらフォークリフト20を操作する際は、目標位置と荷役装置24との位置関係を把握しながらフォークリフト20の操作を行う。目標位置となるパレット71の孔72に沿うようにインジケータI1を表示することで、モニタ56にインジケータI1を表示したときの操作者の視線移動が少ない。このため、更に、荷役装置24を目標位置に位置合わせしやすくなる。
【0051】
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○インジケータI1は、撮像画像Iのいずれの位置に表示されていてもよい。例えば、モニタ56に表示される撮像画像Iの四隅のいずれか等、操作者による撮像画像Iの視認を阻害しにくい位置に表示されるようにしてもよい。言い換えれば、インジケータI1は、パレット71の孔72に沿うように表示されていなくてもよい。
【0052】
○ガイドは、荷役装置24の現在位置と目標位置との差を示すインジケータI1でなくてもよい。例えば、ガイドは、撮像画像I上においてフォーク27の孔72の位置となる部分にラインなどを表示したものであってもよい。操作者は、撮像画像I上でのフォーク27の位置をガイドに合わせることで、フォーク27の位置合わせを行うことができる。
【0053】
○画像処理部42は、画像認識によるマーカー73,74の抽出に代えて、画像認識によるパレット71の抽出によってフォーク27とパレット71との前後方向の相対距離を導出してもよい。画像処理部42は、パターンマッチングでパレット71の前面と類似する領域を画像データから抽出する。これにより、画像処理部42は、画像データからパレット71を抽出することができる。画像処理部42は、画像データからパレット71を抽出した後には、実施形態と同様の処理によってフォーク27とパレット71との前後方向の相対距離を導出する。
【0054】
○目標位置は、荷役装置24による荷置き作業を行う際に荷役装置24の位置合わせをする対象であってもよい。荷置き作業とは、荷役装置24に積載された荷を目標位置に置く作業である。荷置き作業では、荷役装置24に積載された荷を目標位置の鉛直方向上方に位置させた後に、フォーク27を下降させる。荷が目標位置に置かれた後には、フォークリフト20を後退させることで、フォーク27を荷から離間させる。
【0055】
フォーク27によって支持したパレット71をラックに載置する場合を一例として説明する。ラックは、柱に棚板を支持させたものであり、複数の棚板が鉛直方向に並んで設けられている。フォークリフト20は、フォーク27から棚板にパレット71を移載する。棚板は、荷役装置24の位置合わせをする対象となる目標位置となる。棚板を目標位置とする場合、実施形態と同様のマーカー73,74を棚板に設けてもよい。画像処理部42は、画像認識により画像データからマーカー73,74を抽出することで、棚板を認識することができる。また、画像処理部42は画像認識による棚板の抽出によって棚板を認識してもよい。画像処理部42は、棚板を認識すると、実施形態と同様の手法によりフォーク27と棚板との前後方向の相対距離を導出し、パレット71と棚板との相対高さを導出する。詳細にいえば、パレット71の寸法は規格で定まっており、既知であるため、画像処理部42は、フォーク27と棚板との前後方向の相対距離と、画像データでのパレット71と棚板の上下方向の離間距離から、パレット71と棚板との相対高さを導出することができる。なお、パレット71と棚板との相対高さとは、例えば、パレット71の下面と棚板の上面との鉛直方向の離間距離である。画像処理部42は、パレット71と棚板との相対高さを車両側無線機43から無線送信する。
【0056】
表示コントローラ55は、パレット71と棚板との相対高さが閾値未満の場合には、インジケータを表示する。インジケータは、例えば、パレット71の現在位置と、目標位置との差を表すものである。
【0057】
なお、荷役装置24のフォーク27を昇降させることによりパレット71の鉛直方向の位置は定まるため、パレット71と棚板との位置合わせは、荷役装置24を棚板に位置合わせしていると捉えることができる。
【0058】
このように、荷役車両の操作支援装置60は、荷置き作業を行う際にも、目標位置と荷役装置24との相対距離を導出し、相対距離に応じてインジケータの表示と非表示とを切り替えることができる。荷役車両の操作支援装置60は、荷取り作業を行う際にのみ目標位置と荷役装置24との相対距離を導出し、相対距離に応じてインジケータの表示と非表示とを切り替えてもよい。荷役車両の操作支援装置60は、荷置き作業を行う際にのみ目標位置と荷役装置24との相対距離を導出し、相対距離に応じてインジケータの表示と非表示とを切り替えてもよい。荷役車両の操作支援装置60は、荷置き作業を行う際にも、荷取り作業を行う際にも目標位置と荷役装置24との相対距離を導出し、相対距離に応じてインジケータの表示と非表示とを切り替えてもよい。即ち、荷役車両の操作支援装置60は、荷役装置24による荷置き作業及び荷取り作業の少なくとも一方の作業を行う際に用いられるものであればよい。
【0059】
○インジケータとしては、荷役装置24と目標位置との左右方向の位置合わせ、目標位置に対する荷役装置24の傾きを小さくするための位置合わせ、及び荷役装置24と目標位置との前後方向の位置合わせを行うためのものが表示されてもよい。
【0060】
例えば、荷役装置24とパレット71との位置合わせを行う場合で、荷役装置24とパレット71との左右方向の位置合わせをする場合、目標位置はパレット71の左右方向の中心位置となる。荷役装置24と目標位置の左右方向の位置合わせは、荷役装置24の左右方向の中心位置と、パレット71の左右方向の中心位置とが前後方向に重なるようにすることで行われる。画像処理部42は、2つのマーカー73,74の中心位置をパレット71の左右方向の中心位置として検出可能である。
【0061】
目標位置に対する荷役装置24の傾きを小さくするための位置合わせとは、荷役装置24と目標位置との水平方向に対する傾きの差を小さくするための位置合わせである。言い換えれば、荷役装置24と目標位置との水平方向に対する角度ずれを小さくするための位置合わせといえる。例えば、荷役装置24とパレット71との位置合わせを行う場合で、目標位置に対する荷役装置24の傾きを小さくするための位置合わせをする場合、目標位置はパレット71の左右方向の中心位置となる。目標位置に対する荷役装置24の傾きとは、荷役装置24の左右方向の中心位置を前後方向に通過する中心線と、パレット71の左右方向の中心位置を前後方向に通過する中心線とのずれ角である。目標位置に対する荷役装置24の傾きを小さくするための位置合わせをする場合、上記した2つの中心線の角度差が小さくなるように位置合わせが行われる。目標位置に対する荷役装置24の傾きは、2つのマーカー73,74の寸法の差から導出することができる。目標位置に対する荷役装置24の傾きが小さい場合、2つのマーカー73,74の寸法の差が小さい。目標位置に対する荷役装置24の傾きが大きいほど2つのマーカー73,74の寸法の差は大きくなる。このため、2つのマーカー73,74の寸法比から目標位置に対する荷役装置24の傾きを導出可能である。
【0062】
図6には、荷役装置24とパレット71との左右方向の位置合わせ、及び目標位置に対する荷役装置24の傾きを小さくするための位置合わせを行うためのインジケータI2の一例を示す。インジケータI2は、撮像画像I上で撮像画像Iの上下方向に延びる第1基準線L1と、撮像画像I上で撮像画像Iの横方向に延びる第2基準線L2と、を備える。第1基準線L1と第2基準線L2とは直交している。第1基準線L1は、パレット71の中心線を示している。インジケータI2は、矢印Aと、撮像画像I上で矢印Aに直交する荷役線L3と、を備える。矢印Aの向きは、荷役装置24の向く方向を示しており、矢印Aと荷役線L3との交点P2は、荷役装置24の左右方向の中心位置を示している。矢印Aの傾きと第1基準線L1の傾きの差は、パレット71に対する荷役装置24の傾きを示している。第1基準線L1と第2基準線L2との交点P1と、矢印Aと荷役線L3との交点P2との横方向の差は、荷役装置24とパレット71との左右方向のずれを示している。図6に示すように、矢印Aと第1基準線L1とが重なり合うと、目標位置に対する荷役装置24の傾きを小さくするための位置合わせがされたといえる。2つの交点P1,P2同士が重なり合うと、荷役装置24とパレット71とが左右方向に位置合わせされたといえる。この状態は、パレット71にフォークリフト20が正対している状態といえる。
【0063】
一方で、図7に示すように、矢印Aの傾きと第1基準線L1との傾きが異なると、目標位置に対する荷役装置24の傾きが大きく、角度ずれが生じているといえる。2つの交点P1,P2同士に差があると、荷役装置24とパレット71に左右方向の位置ずれが生じているといえる。操作者は、インジケータI2を見ながら、矢印Aと第1基準線L1とが重なり合い、2つの交点P1,P2同士が重なり合うように操作を行うことで、荷役装置24をパレット71に位置合わせすることができる。
【0064】
なお、上記したインジケータI2は、フォーク27とパレット71との鉛直方向の位置合わせが完了した後に表示されるようにしてもよい。この場合、フォーク27とパレット71との相対高さが予め定められた閾値未満の場合にインジケータI2は表示されるといえる。フォーク27とパレット71との鉛直方向の位置合わせが完了した後に上記したインジケータI2を表示する場合、閾値としては、フォーク27とパレット71との鉛直方向の位置合わせが完了したと判定できる値に設定される。例えば、フォーク27の高さとパレット71の孔72の高さとが一致した場合に表示コントローラ55は、インジケータI2を表示させる。
【0065】
また、上記したインジケータI2は、フォーク27とパレット71との前後方向の相対距離が予め定められた閾値未満となった場合に表示されるようにしてもよい。この場合の閾値としては、フォーク27とパレット71との前後方向の大まかな位置合わせが終わり、インジケータI1による調整を行うことが好ましいと考えられる値に設定される。
【0066】
なお、上記したインジケータI2と実施形態のインジケータI1とは、両方が表示されるようにしてもよいし、いずれか一方が表示されるようにしてもよい。インジケータI1としては、荷役装置24と目標位置との左右方向の位置合わせ、目標位置に対する荷役装置24の傾きを小さくするための位置合わせ、荷役装置24と目標位置との前後方向の位置合わせ、及び荷役装置24と目標位置との鉛直方向の位置合わせの少なくとも1つをガイドするものが表示されればよい。
【0067】
○荷役車両の操作支援装置は、操作者としてフォークリフト20の搭乗者を支援するものであってもよい。この場合、モニタ56は、フォークリフト20の搭乗者の視認可能な位置=運転席から視認可能な位置に配置される。また、フォークリフト20に表示コントローラ55を設けて、インジケータI1の表示を行えるようにする。画像データを遠隔操作装置50に送信する必要がないため、遠隔操作装置50、車両側無線機43、及び無線ユニット44は設けられていなくてもよい。この場合、荷役車両の操作支援装置は、カメラ41と、フォークリフト20に設けられたモニタ56と、目標位置と荷役装置24との相対距離を導出する画像処理部42と、モニタ56に撮像画像Iを表示する表示コントローラ55と、を備えていればよい。
【0068】
○目標位置と荷役装置24との相対距離の導出は、表示コントローラ55によって行われてもよい。表示コントローラ55は、車両側無線機43から送られてきた画像データから、目標位置と荷役装置24との相対距離を導出する。実施形態の画像処理部42と同様の処理を表示コントローラ55が行うことで、目標位置と荷役装置24との相対距離を導出可能といえる。即ち、目標位置と荷役装置24との相対距離の導出は、フォークリフト20側で行われてもよいし、遠隔操作装置50側で行われてもよい。
【0069】
○フォークリフト20は、メインコントローラ31及び画像処理部42に代えて、メインコントローラ31の機能及び画像処理部42の機能の両方を備えた1つの装置を備えていてもよい。
【0070】
○遠隔操作装置50は、操作コントローラ52及び表示コントローラ55に代えて、操作コントローラ52の機能及び表示コントローラ55の機能の両方を備えた1つの装置を備えていてもよい。
【0071】
○荷役車両の操作支援装置は、操作室にいる操作者、及びフォークリフト20の搭乗者の両方を支援するものであってもよい。この場合、モニタ56は、フォークリフト20の搭乗者の視認可能な位置にも設けられる。フォークリフト20が搭乗者により操作されている場合には、フォークリフト20の搭乗者の視認可能なモニタ56にカメラ41によって撮像された撮像画像I及びインジケータI1を表示する。フォークリフト20が操作室にいる操作者により操作されている場合には、操作室のモニタ56にカメラ41によって撮像された撮像画像I及びインジケータI1を表示する。
【0072】
○フォークリフト20は、人が搭乗できないフォークリフトであってもよい。言い換えれば、フォークリフト20は、遠隔操作装置50による操作専用のフォークリフトであってもよい。
【0073】
○カメラ41は、フォーク27とともに昇降する部材とは異なる部材、即ち、フォーク27が昇降しても昇降しない部材に取り付けられていてもよい。カメラ41がフォーク27とともに昇降する部材とは異なる部材に取り付けられている場合であっても、フォーク27とパレット71との前後方向の相対距離は実施形態と同様に導出できる。撮像画像Iに写るパレット71の上面は、カメラ41とパレット71との高さの差が小さいほど大きくなる。フォーク27とパレット71との前後方向の相対距離と、撮像画像Iに写るパレット71の上面の寸法からカメラ41とパレット71との高さの差を導出することができる。路面からカメラ41までの高さであるカメラ41の設置高さは既知であるため、路面からのパレット71の高さを導出することができる。フォークリフト20は、揚高センサを備えており、揚高センサによって路面からのフォーク27の高さを検出することができる。従って、メインコントローラ31は、画像処理部42から路面からのパレット71の高さを取得し、揚高センサによって検出される路面からのフォーク27の高さとの差分を導出することで、フォーク27とパレット71の孔72との相対高さを導出することができる。
【0074】
また、前述したように、カメラ41がフォーク27とともに昇降する部材とは異なる部材に取り付けられている場合であっても、フォーク27とパレット71との前後方向の相対距離は導出できる。従って、フォーク27とパレット71との前後方向の相対距離を閾値としてインジケータの表示と非表示を切り替える場合であっても、カメラ41は、フォーク27とともに昇降する部材とは異なる部材に取り付けられていてもよい。
【0075】
○カメラ41としては、目標位置を撮像できるように配置されていればよく、配置位置は適宜変更してもよい。また、カメラ41の数は適宜変更してもよい。
○荷役具としてフォーク27以外を用いてもよい。例えば、荷役具は、クランプやラムなどのアタッチメントでもよい。
【0076】
○荷役車両の操作支援装置としては、クレーン車等、フォークリフト20以外の荷役車両の操作する操作者を支援するためのものであってもよい。
【符号の説明】
【0077】
I1,I2…ガイドとしてのインジケータ、20…荷役車両としてのフォークリフト、24…荷役装置、41…カメラ、42…相対距離導出部としての画像処理部、55…ガイド表示部としての表示コントローラ、56…モニタ、60…荷役車両の操作支援装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7