(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】蓄電装置及び蓄電装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20230426BHJP
H01G 11/52 20130101ALI20230426BHJP
H01G 11/80 20130101ALI20230426BHJP
H01G 11/84 20130101ALI20230426BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20230426BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20230426BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20230426BHJP
H01M 50/449 20210101ALI20230426BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01G11/52
H01G11/80
H01G11/84
H01M10/0585
H01M50/403 C
H01M50/489
H01M50/449
(21)【出願番号】P 2019210535
(22)【出願日】2019-11-21
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】小田切 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】秋山 泰有
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-9076(JP,A)
【文献】特開2018-174079(JP,A)
【文献】特開2010-62081(JP,A)
【文献】特開2004-185813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01G 11/52
H01G 11/80
H01G 11/84
H01M 10/0585
H01M 50/403
H01M 50/409
H01M 50/449
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する正極及び負極と、
前記正極と前記負極との間に配置された多孔質のセパレータと、
前記正極と前記負極との間の空間を封止する樹脂製の封止部と、
を備え、
前記セパレータは、前記封止部を構成する樹脂材料の溶融温度よりも高い溶融温度を有する材料を含んで構成されており、
前記セパレータの縁部は、前記封止部を構成する樹脂材料の溶融凝固部に結合された状態で、前記封止部に挟み込まれて保持されている、蓄電装置。
【請求項2】
前記溶融凝固部は、前記セパレータの前記縁部の外表面に位置している、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記溶融凝固部は、前記セパレータの前記縁部の孔内に位置している、請求項1又は2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記セパレータは、互いに積層された第1の多孔質層及び第2の多孔質層を有し、
前記第1の多孔質層は、前記封止部を構成する樹脂材料の溶融温度よりも高い溶融温度を有する材料によって構成されており、
前記第2の多孔質層は、前記第1の多孔質層を構成する材料の溶融温度よりも低い溶融温度を有する材料によって構成されており、
前記第1の多孔質層の縁部は、前記封止部を構成する樹脂材料が溶融して凝固した第1の溶融凝固部に結合されており、
前記第2の多孔質層の縁部は、前記第2の多孔質層を構成する材料、及び前記封止部を構成する樹脂材料が共に溶融して凝固した第2の溶融凝固部に一体に結合されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記第1の多孔質層は、前記第2の多孔質層を挟むように積層されている、請求項4に記載の蓄電装置。
【請求項6】
互いに対向する正極及び負極と、前記正極と前記負極との間に配置された多孔質のセパレータと、前記正極と前記負極との間の空間を封止する樹脂製の封止部と、を備える蓄電装置の製造方法であって、
前記封止部を構成する樹脂材料の溶融温度よりも高い溶融温度を有する材料を含んで構成された前記セパレータを準備する準備工程と、
前記セパレータの縁部を、前記封止部を構成する樹脂材料で挟み込むように配置する配置工程と、
前記セパレータの前記縁部と、前記封止部を構成する樹脂材料とを溶着によって互いに結合する溶着工程と、
を備え、
前記溶着工程では、前記封止部を構成する樹脂材料の溶融温度以上、且つ前記セパレータを構成する材料の溶融温度未満で溶着を行う、蓄電装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置及び蓄電装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電装置として、例えば特許文献1に記載の蓄電装置が知られている。この蓄電装置は、正極と負極との間に配置されたセパレータと、正極と負極との間の空間を封止する封止部とを備えている。このセパレータの縁部は、溶着によって封止部に結合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した蓄電装置のように、セパレータの収縮による正極と負極との短絡を抑制するために、正極と負極との間のセパレータの縁部を溶着によって封止部に結合させる構成とすることが考えられる。しかしながら、セパレータの縁部を封止部に溶着する際、セパレータの厚さが部分的に不足することがあり、この状態でセパレータが収縮すると、セパレータの一部が引き延ばされて破断し易くなる。セパレータが破断すると、セパレータを介さずに正極と負極とが互いに向き合ってしまい、正極と負極との短絡が生じ得る。
【0005】
本開示は、正極と負極との短絡をより確実に抑制できる蓄電装置及び蓄電装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る蓄電装置は、互いに対向する正極及び負極と、正極と負極との間に配置された多孔質のセパレータと、正極と負極との間の空間を封止する樹脂製の封止部と、を備え、セパレータは、封止部を構成する樹脂材料の溶融温度よりも高い溶融温度を有する材料を含んで構成されており、セパレータの縁部は、封止部を構成する樹脂材料の溶融凝固部に結合された状態で、封止部に挟み込まれて保持されている。
【0007】
この蓄電装置では、セパレータの縁部は、封止部を構成する樹脂材料の溶融凝固部に結合された状態で、封止部に挟み込まれて保持されているので、セパレータの位置ずれの発生を抑制できる。これにより、セパレータを介さずに正極と負極とが互いに向き合ってしまう事態を抑制でき、正極と負極との短絡を抑制できる。更に、セパレータは、封止部を構成する樹脂材料の溶融温度よりも高い溶融温度を有する材料を含んで構成されているので、セパレータの縁部を、溶融させずにその形状を維持させた状態で、溶融凝固部に結合させることができる。このようにセパレータの形状を維持させることによって、セパレータが部分的に薄くなる事態を抑制できる。よって、セパレータが収縮した場合であっても、セパレータの一部が引き延ばされて破断してしまう事態を抑制できる。その結果、正極と負極との間にセパレータが介在する状態を維持できるので、正極と負極との短絡をより確実に抑制できる。
【0008】
溶融凝固部は、セパレータの縁部の外表面に位置していてもよい。この場合、セパレータの縁部の外表面と溶融凝固部との摩擦によって、セパレータの縁部を封止部に保持させることができる。この構成では、セパレータの縁部と封止部との結合強度を十分に確保できるので、セパレータの縁部が封止部から外れてしまう事態を抑制できる。その結果、正極と負極との間にセパレータが介在する状態をより確実に維持できるので、正極と負極との短絡をより確実に抑制できる。
【0009】
溶融凝固部は、セパレータの縁部の孔内に位置していてもよい。このように、溶融凝固部がセパレータの縁部の孔内に入り込むことで、セパレータの縁部と封止部との結合部分においてアンカー効果が発揮される。これにより、セパレータの縁部と封止部との結合強度を向上させることができるので、セパレータの縁部が封止部から外れてしまう事態をより確実に抑制できる。その結果、正極と負極との間にセパレータが介在する状態をより一層確実に維持できるので、正極と負極との短絡をより一層確実に抑制できる。
【0010】
セパレータは、互いに積層された第1の多孔質層及び第2の多孔質層を有し、第1の多孔質層は、封止部を構成する樹脂材料の溶融温度よりも高い溶融温度を有する材料によって構成されており、第2の多孔質層は、第1の多孔質層を構成する材料の溶融温度よりも低い溶融温度を有する材料によって構成されており、第1の多孔質層の縁部は、封止部を構成する樹脂材料が溶融して凝固した第1の溶融凝固部に結合されており、第2の多孔質層の縁部は、第2の多孔質層を構成する材料、及び封止部を構成する樹脂材料が共に溶融して凝固した第2の溶融凝固部に一体に結合されていてもよい。このように、第2の多孔質層の縁部が第2の溶融凝固部に一体に結合されることによって、セパレータの縁部と封止部との結合強度を向上させることができ、セパレータの縁部が封止部から外れてしまう事態を抑制できる。また、上述したように、第1の多孔質層の縁部を、溶融させずにその形状を維持した状態で、封止部に結合させることができるので、セパレータの収縮に起因してセパレータが破断してしまう事態を抑制できる。すなわち、上述した構成によれば、封止部からのセパレータの縁部の外れを抑制しつつ、セパレータの破断を抑制できる。これにより、正極と負極との間にセパレータが介在する状態をより一層確実に維持できるので、正極と負極との短絡をより一層確実に抑制できる。
【0011】
第1の多孔質層は、第2の多孔質層を挟むように積層されていてもよい。この場合、封止部からのセパレータの縁部の外れを抑制しつつ、セパレータの破断をより確実に抑制できる。これにより、正極と負極との間にセパレータが介在する状態をより一層確実に維持できるので、正極と負極との短絡をより一層確実に抑制できる。
【0012】
本開示の一側面に係る蓄電装置の製造方法は、互いに対向する正極及び負極と、正極と負極との間に配置された多孔質のセパレータと、正極と負極との間の空間を封止する樹脂製の封止部と、を備える蓄電装置の製造方法であって、封止部を構成する樹脂材料の溶融温度よりも高い溶融温度を有する材料を含んで構成されたセパレータを準備する準備工程と、セパレータの縁部を、封止部を構成する樹脂材料で挟み込むように配置する配置工程と、セパレータの縁部と、封止部を構成する樹脂材料とを溶着によって互いに結合する溶着工程と、を備え、溶着工程では、封止部を構成する樹脂材料の溶融温度以上、且つセパレータを構成する材料の溶融温度未満で溶着を行う。
【0013】
この蓄電装置の製造方法では、セパレータの縁部を、封止部を構成する樹脂材料で挟み込むように配置し、セパレータの縁部と、封止部を構成する樹脂材料とを溶着によって互いに結合する。その結果、セパレータの縁部は封止部に挟み込まれるように保持されるので、セパレータの位置ずれの発生を抑制できる。これにより、セパレータを介さずに正極と負極とが互いに向き合ってしまう事態を抑制でき、正極と負極との短絡を抑制できる。更に、溶着工程において、封止部を構成する樹脂材料の溶融温度以上、且つセパレータを構成する材料の溶融温度未満で溶着を行うので、溶着の際、セパレータを溶融させずに封止部を溶融させながら、セパレータの縁部を封止部に結合させることができる。つまり、セパレータの縁部を、溶融させずにその形状を維持した状態で封止部に結合させることができる。このように、セパレータの形状を維持させることによって、セパレータが部分的に薄くなる事態を抑制できる。よって、セパレータが収縮した場合であっても、セパレータの一部が引き延ばされて破断してしまう事態を抑制できる。その結果、正極と負極との間にセパレータが介在する状態を維持できるので、正極と負極との短絡をより確実に抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、正極と負極との短絡をより確実に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、蓄電装置の一実施形態を示す概略的な断面図である。
【
図2】
図2は、蓄電装置の一部を拡大して示す断面図である。
【
図3】
図3(a)は、蓄電装置の製造方法の一実施形態を示す概略的な断面図である。
図3(b)は、
図3(a)の後続の工程を示す概略的な断面図である。
【
図4】
図4(a)は、
図3(b)の後続の工程を示す概略的な断面図である。
図4(b)は、
図4(a)の後続の工程を示す概略的な断面図である。
【
図5】
図5は、蓄電装置の第1の変形例を拡大して示す断面図である。
【
図6】
図6は、蓄電装置の第2の変形例を拡大して示す断面図である。
【
図7】
図7は、蓄電装置の第3の変形例を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の一側面に係る電極板の製造方法の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0017】
図1に示す蓄電装置1は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリに用いられる蓄電モジュールである。蓄電装置1は、例えばニッケル水素二次電池又はリチウムイオン二次電池等の二次電池である。蓄電装置1は、電気二重層キャパシタであってもよいし、全固体電池であってもよい。本実施形態では、蓄電装置1がリチウムイオン二次電池である場合を例示する。
【0018】
蓄電装置1は、蓄電セル2が積層方向にスタックされたセルスタック5を含んで構成されている。蓄電セル2は、
図1に示すように、正極11と、負極12と、セパレータ13と、封止部14とを備えている。正極11は、金属箔21の一方面に正極活物質層22が塗工されてなる矩形状の電極である。負極12は、金属箔21の一方面に負極活物質層23が塗工されてなる矩形状の電極である。負極12は、負極活物質層23が正極活物質層22と対向するように配置されている。本実施形態では、正極活物質層22及び負極活物質層23は、いずれも矩形状に塗工されている。負極活物質層23は、正極活物質層22よりも一回り大きく形成されており、平面視において、正極活物質層22の塗工領域の全体が負極活物質層23の塗工領域内に位置している。
【0019】
正極11の金属箔21と負極12の金属箔21とが互いに接するように、蓄電セル2がスタックされることによって、セルスタック5が構成される。セルスタック5では、積層方向に隣り合う蓄電セル2,2により、互いに接する正極11の金属箔21及び負極12の金属箔21を電極体とする疑似的なバイポーラ電極16が形成される。
【0020】
金属箔21は、例えば、銅箔、アルミニウム箔、チタン箔、もしくはニッケル箔である。機械的強度を確保する観点から、金属箔21は、ステンレス鋼箔(例えばJIS G 4305:2015にて規定されるSUS304、SUS316、SUS301、SUS304等)であってもよい。金属箔21は、上記金属の合金箔であってもよい。金属箔21が合金箔である場合、又はアルミニウム箔以外の金属箔である場合、その表面にアルミニウムが被覆されていてもよい。
【0021】
正極活物質層22は、例えば複合酸化物、金属リチウム、及び硫黄等の正極活物質を含んで構成されている。複合酸化物の組成には、例えば鉄、マンガン、チタン、ニッケル、コバルト、及びアルミニウムの少なくとも1つと、リチウムとが含まれる。複合酸化物の例には、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4)が挙げられる。
【0022】
正極活物質層22には、正極活物質のほか、結着剤及び導電助剤が含まれ得る。結着剤は、活物質又は導電助剤を集電体の表面に繋ぎ止め、電極中の導電ネットワークを維持する役割を果たす。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸等のアクリル系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩、水溶性セルロースエステル架橋体、デンプン-アクリル酸グラフト重合体を例示することができる。これらの結着剤は、単独で又は複数で用いられ得る。導電助剤は、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等である。粘度調整溶媒には、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等が用いられる。
【0023】
負極活物質層23は、例えば黒鉛、人造黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、金属化合物、リチウムと合金化可能な元素もしくはその化合物、ホウ素添加炭素等の負極活物質を含んで構成されている。リチウムと合金化可能な元素の例としては、シリコン(ケイ素)及びスズが挙げられる。導電助剤及び結着剤は、正極活物質層22と同様のものを用いることができる。
【0024】
セパレータ13は、正極11と負極12との間に配置されている。蓄電セル2をスタックした際に隣り合うバイポーラ電極16,16間の短絡を防止する。セパレータ13は、その内部に複数の孔が形成された多孔質体であり、封止部14を構成する樹脂材料の溶融温度よりも高い溶融温度を有する材料を含んで構成されている。セパレータ13を構成する材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)からなる多孔質フィルムが用いられる。セパレータ13を構成する材料は、ポリプロピレン或いはメチルセルロース等からなる織布又は不織布等であってもよい。本実施形態では、セパレータ13の全部が、封止部14を構成する樹脂材料の溶融温度よりも高い溶融温度を有する材料によって構成される場合を例示するが、セパレータ13の一部が当該材料によって構成されてもよい。本明細書において、或る材料の溶融温度とは、当該材料の融解が起こり始める温度、すなわち当該材料の融点を意味する。
【0025】
封止部14は、正極11及び負極12との間の空間Sを封止する樹脂製の部材であり、電気絶縁性を有している。封止部14は、平面視において矩形の枠状をなしており、正極11における金属箔21の縁部21aと、負極12における金属箔21の縁部21aとにそれぞれ溶着されている。この封止部14は、後述するように、正極11における金属箔21の縁部21aに溶着された樹脂部25Aと、負極12における金属箔21の縁部21aに溶着された樹脂部25Bとを互いに溶着してなる樹脂部25によって形成されている(
図3(a)及び
図3(b)参照)。
【0026】
樹脂部25の縁部は、正極11における金属箔21の縁部21a及び負極12における金属箔21の縁部21aよりも外側に突出する突出部分25aとなっている。セルスタック5において、樹脂部25の突出部分25aは、熱板溶着等により互いに接合されている。これにより、封止部14は、セルスタック5の外周面(側面)を囲む略矩形の枠状をなし、積層方向に隣り合う蓄電セル2,2において互いに接する正極11の金属箔21と負極12の金属箔21との間を封止する封止部材としても機能する。
【0027】
封止部14を構成する樹脂材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン、ABS樹脂、変性ポリプロピレン(変性PP)、及びアクリロニトリルスチレン(AS)樹脂が挙げられる。封止部14によって封止された空間Sには、図示しない電解液が収容されている。電解液は、例えばカーボネート系又はポリカーボネート系の電解液である。電解液に含まれる支持塩は、例えばリチウム塩である。リチウム塩は、例えば、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、若しくは、これらの混合物である。
【0028】
図2に示すように、セパレータ13の縁部13aは、封止部14に埋没されている。具体的には、セパレータ13の縁部13aは、封止部14の樹脂材料の溶融凝固部M1に結合された状態で、封止部14に挟み込まれて保持されている。例えば熱溶着又はレーザ溶着等の溶着によってセパレータ13の縁部13aと封止部14とを互いに結合する際、封止部14を構成する樹脂材料は溶融して凝固する。溶融凝固部M1は、当該樹脂材料が溶融して凝固する部分のうちセパレータ13の孔内に位置する部分を指す。
【0029】
例えば、溶融状態の封止部14の樹脂材料が、セパレータ13の縁部13aの外表面13bから、セパレータ13の縁部13aの孔内に入り込んだ状態で凝固することによって、セパレータ13の縁部13aの孔内に位置する溶融凝固部M1が形成される。溶融凝固部M1がセパレータ13の縁部13aの孔内に位置するとは、溶融凝固部M1がセパレータ13の縁部13aの孔内に隙間なく設けられている場合と、溶融凝固部M1がセパレータ13の縁部13aの孔内の一部のみに設けられている場合との両方を含む。
【0030】
続いて、上述した蓄電装置1の製造方法について説明する。
【0031】
蓄電装置1の製造にあたっては、まず、金属箔21の一方面に正極活物質層22が塗工されてなる正極11と、金属箔21の一方面に負極活物質層23が塗工されてなる負極12と、封止部14を構成する樹脂材料の溶融温度よりも高い溶融温度を有する材料を含んで構成されたセパレータ13と、を準備する(準備工程)。次に、
図3(a)に示すように正極11における金属箔21の一方面の縁部21aに樹脂部25Aを接合して樹脂部付き正極41を形成すると共に、
図3(b)に示すように、負極12における金属箔21の一方面の縁部21aに樹脂部25Bを接合して樹脂部付き負極42を形成する(形成工程)。
【0032】
形成工程では、樹脂部25A,25Bの縁部を正極11及び負極12の金属箔21の縁部21aよりも外側にそれぞれ突出させる。樹脂部付き正極41の樹脂部25Aの厚さと、樹脂部付き負極42の樹脂部25Bの厚さとは、互いに等しくてよい。
図3(a)及び
図3(b)では、樹脂部25A,25Bは、接着によって金属箔21の一方面の縁部21aに接合される。樹脂部25A,25Bは、溶着によって金属箔21の一方面の縁部21aに接合されてもよい。樹脂部25A,25Bと金属箔21とを溶着する際には、例えばヒータ等の加熱手段を用いることにより、金属箔21側から樹脂部25A,25Bにそれぞれ熱を加えてもよい。
【0033】
次に、樹脂部付き正極41及び樹脂部付き負極42の一方の活物質層上にセパレータ13を配置した後、電解液Eを滴下注液する(注液工程)。注液工程では、
図4(a)に示すように、活物質層の塗工面積が小さい樹脂部付き正極41を用い、樹脂部付き正極41の正極活物質層22上にセパレータ13を配置する。このとき、セパレータ13の縁部13aは、樹脂部25A上に重ねられる。滴下された電解液Eは、セパレータ13に含浸される。
【0034】
電解液Eの注液の後、正極活物質層22と負極活物質層23とが対向するように、樹脂部付き正極41及び樹脂部付き負極42を配置する(配置工程)。配置工程では、
図4(b)に示すように、電解液Eが注液されている樹脂部付き正極41に対し、正極活物質層22と負極活物質層23とが対向するように樹脂部付き負極42を積層する。このとき、セパレータ13の縁部13aを樹脂部25Aと樹脂部25Bとで挟み込む。
【0035】
次に、セパレータ13の縁部13aと、樹脂部付き正極41の樹脂部25Aと、樹脂部付き負極42の樹脂部25Bと、を溶着によって互いに結合する(溶着工程)。溶着工程では、樹脂部付き正極41の電極の金属箔21側、及び樹脂部付き負極42の電極の金属箔21側から熱Hをそれぞれ付加する。このとき、セパレータ13の縁部13aと樹脂部25A,25Bとの界面における熱Hの温度を、樹脂部25A,25Bの溶融温度(例えば130℃)以上且つセパレータ13の溶融温度(例えば160℃)未満に設定する。この温度の熱Hで溶着を行うと、樹脂部25A,25Bは溶融する一方、セパレータ13は溶融しない。
【0036】
よって、セパレータ13の縁部13aは、溶融せずにその形状を維持した状態で、樹脂部25A,25Bに結合される。そして、樹脂部25A,25B同士が互いに溶融しながら結合することにより、樹脂部25(
図1参照)が形成される。このようにして、セパレータ13の縁部13aが結合された樹脂部25が得られる。樹脂部25においてセパレータ13の縁部13aの孔内に位置する部分は、樹脂部25の溶融部分の凝固によって形成された溶融凝固部M1(
図2参照)となる。
【0037】
図4(b)に示す例では、ヒータの加熱手段を用いることにより、セパレータ13の縁部13aと樹脂部25A,25Bとを熱溶着によって互いに結合する場合を例示しているが、セパレータ13の縁部13aと樹脂部25A,25Bとをレーザ溶着によって互いに結合してもよい。この場合、金属箔21において吸収されやすい波長のレーザを用いる。そして、この波長のレーザを金属箔21に照射して金属箔21を発熱させることによって、樹脂部25A,25Bを溶融させることができ、セパレータ13の縁部13aが結合された樹脂部25が得られる。
【0038】
以上の工程を経て、蓄電セル2が得られる。そして、準備工程から溶着工程を繰り返し実施することにより、複数の蓄電セル2が得られる。複数の蓄電セル2を得た後、
図1に示すように、正極11の金属箔21と負極12の金属箔21とが接するように蓄電セル2を積層してセルスタック5を形成する(セル積層工程)。セルスタック5を形成した後、例えば熱板溶着により熱板(不図示)から各蓄電セル2における樹脂部25の突出部分25aに熱Hを加え、突出部分25a同士を互いに溶着する。これにより、積層方向に隣り合う蓄電セル2,2において互いに接する正極11の金属箔21と負極12の金属箔21との間を封止する封止部14が形成され、
図1に示す蓄電装置1が得られる。
【0039】
続いて、本実施形態に係る蓄電装置1及び蓄電装置1の製造方法の効果について説明する。本実施形態に係る蓄電装置1では、セパレータ13の縁部13aは、封止部14を構成する樹脂材料の溶融凝固部M1に結合された状態で、封止部14に挟み込まれて保持されているので、セパレータ13の位置ずれの発生を抑制できる。これにより、セパレータ13を介さずに正極11と負極12とが互いに向き合ってしまう事態を抑制でき、正極11と負極12との短絡を抑制できる。更に、セパレータ13は、封止部14を構成する樹脂材料の溶融温度よりも高い溶融温度を有する材料を含んで構成されているので、セパレータ13の縁部13aを、溶融させずにその形状を維持させた状態で、溶融凝固部M1に結合させることができる。このようにセパレータ13の形状を維持させることによって、セパレータ13が部分的に薄くなる事態を抑制できる。よって、セパレータ13が収縮した場合であっても、セパレータ13の一部が引き延ばされて破断してしまう事態を抑制できる。その結果、正極11と負極12との間にセパレータ13が介在する状態を維持できるので、正極11と負極12との短絡をより確実に抑制できる。
【0040】
溶融凝固部M1は、セパレータ13の縁部13aの孔内に位置している。このように、溶融凝固部M1がセパレータ13の縁部13aの孔内に入り込むことで、セパレータ13の縁部13aと封止部14との結合部分においてアンカー効果が発揮される。これにより、セパレータ13の縁部13aと封止部14との結合強度を向上させることができるので、セパレータ13の縁部13aが封止部14から外れてしまう事態をより確実に抑制できる。その結果、正極11と負極12との間にセパレータ13が介在する状態をより一層確実に維持できるので、正極11と負極12との短絡をより一層確実に抑制できる。
【0041】
本実施形態に係る蓄電装置1の製造方法では、セパレータ13の縁部13aを樹脂部25A,25Bで挟み込むように配置し、セパレータ13の縁部13aと樹脂部25A,25Bとを溶着によって互いに結合する。その結果、セパレータ13の縁部13aは封止部14に挟み込まれるように保持されるので、セパレータ13の位置ずれの発生を抑制できる。これにより、セパレータ13を介さずに正極11と負極12とが互いに向き合ってしまう事態を抑制でき、正極11と負極12との短絡を抑制できる。更に、溶着工程において、樹脂部25A,25Bの溶融温度以上、且つセパレータ13の溶融温度未満で溶着を行うので、溶着の際、セパレータ13を溶融させずに封止部14を溶融させながら、セパレータ13の縁部13aを封止部14に結合させることができる。つまり、セパレータ13の縁部13aを、溶融させずにその形状を維持した状態で封止部14に結合させることができる。このように、セパレータ13の形状を維持させることによって、セパレータ13が部分的に薄くなる事態を抑制できる。よって、セパレータ13が収縮した場合であっても、セパレータ13の一部が引き延ばされて破断してしまう事態を抑制できる。その結果、正極11と負極12との間にセパレータ13が介在する状態を維持できるので、正極11と負極12との短絡をより確実に抑制できる。
【0042】
以上、一実施形態に係る蓄電装置1及び蓄電装置1の製造方法について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限られず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0043】
上述した実施形態では、溶融凝固部M1がセパレータ13の縁部13aの孔内に位置する場合を示したが、
図5に示すように、溶融凝固部M1の全部がセパレータ13の縁部13aの外表面13bに位置してもよい。すなわち、溶融凝固部M1の全部が、セパレータ13の縁部13aの孔内に入り込んでおらず、セパレータ13の縁部13aの外表面13bに留まっていてもよい。
図5に示す例では、封止部14の樹脂材料が溶融して凝固する部分のうちセパレータ13の外表面13bに位置する部分を、溶融凝固部M1という。この例では、溶融凝固部M1は、セパレータ13の縁部13aにおいて積層方向に互いに対向する一方面S1及び他方面S2と、セパレータ13の縁部13aにおいて一方面S1及び他方面S2を連結する側面S3とのそれぞれに位置している。溶融凝固部M1は、溶融凝固部M1は、一方面S1及び他方面S2の双方又は一方に位置してもよいし、側面S3のみに位置していてもよい。
【0044】
図5に示す例では、セパレータ13の縁部13aの外表面13bと溶融凝固部M1との摩擦によって、セパレータ13の縁部13aを封止部14に保持させることができる。これにより、セパレータ13の縁部13aと封止部14との結合強度を十分に確保できるので、セパレータ13の縁部13aが封止部14から外れてしまう事態を抑制できる。その結果、正極11と負極12との間にセパレータ13が介在する状態をより確実に維持できるので、正極11と負極12との短絡をより確実に抑制できる。
【0045】
また、
図6に示すように、溶融凝固部M1の一部がセパレータ13の縁部13aの孔内に入り込んでおり、溶融凝固部M1の残部がセパレータ13の縁部13aの外表面13bに留まっていてもよい。すなわち、溶融凝固部M1は、セパレータ13の縁部13aの外表面13b、及びセパレータ13の縁部13aの孔内の双方に位置してもよい。このような形態であっても、上述した実施形態と同様の効果を奏する。
【0046】
上述した実施形態では、セパレータ13が単層である場合を示したが、セパレータは多層であってもよい。
図7に示す例では、セパレータ13Aは、多孔質層31A(第1の多孔質層)と、多孔質層32(第2の多孔質層)と、多孔質層31B(第1の多孔質層)とが順に積層された3層構造となっている。多孔質層31A,31Bは、多孔質層32を挟む位置に積層されており、互いに同一の構成を有している。多孔質層31A,31Bは、上述した実施形態のセパレータ13と同様、封止部14を構成する樹脂材料の溶融温度よりも高い溶融温度を有する材料によって構成されている。
【0047】
一方、多孔質層32は、多孔質層31A,31Bを構成する材料の溶融温度よりも低い溶融温度を有する材料によって構成されている。多孔質層32を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)からなる多孔質フィルムが挙げられる。多孔質層32を構成する材料の溶融温度は、封止部14を構成する樹脂材料の溶融温度と同一であってもよいし、当該溶融温度よりも低くても高くてもよい。つまり、多孔質層32を構成する材料は、封止部14を構成する樹脂材料と同一であってもよいし、当該材料とは異なっていてもよい。また、
図7に示す例では、多孔質層31A、多孔質層32、及び多孔質層31Bは、互いに同一厚さを有している場合を示しているが、互いに異なる厚さを有していてもよい。
【0048】
セパレータ13Aの縁部13c(すなわち、多孔質層31Aの縁部31a、多孔質層32の縁部32a、及び多孔質層31Bの縁部31b)は、上述した実施形態に係るセパレータ13と同様、封止部14に挟み込まれて保持されている。多孔質層31Aの縁部31a及び多孔質層31Bの縁部31bのそれぞれは、セパレータ13と同様、溶融凝固部M1(第1の溶融凝固部)に結合されている。多孔質層31Aの縁部31aに結合された溶融凝固部M1は、多孔質層31Aの縁部31aの孔内のみに位置しており、多孔質層31Bの縁部31bに結合された溶融凝固部M1は、多孔質層31Bの縁部31bの孔内のみに位置している。
【0049】
一方、多孔質層32の縁部32aは、多孔質層31Aの縁部31aに結合された溶融凝固部M1と、多孔質層31Bの縁部31bに結合された溶融凝固部M1との間に設けられた溶融凝固部M2(第2の溶融凝固部)に結合されている。溶融凝固部M2は、例えば熱溶着又はレーザ溶着等の溶着によって多孔質層32の縁部32aと封止部14とを互いに結合する際に、多孔質層32と封止部14とが共に溶融して凝固した部分である。したがって、多孔質層32の縁部32aは、溶融凝固部M2に一体に結合されている。すなわち、多孔質層32の縁部32aは、溶融凝固部M2を構成している。
【0050】
セパレータ13Aの縁部13cと封止部14とを溶着によって互いに結合する際、セパレータ13Aの縁部13cと樹脂部25A,25Bとの界面における熱Hの温度を、多孔質層32の溶融温度以上且つ樹脂部25A,25Bの溶融温度以上であって、多孔質層31A,31Bの溶融温度未満に設定する。この温度の熱Hで溶着を行うと、多孔質層32の縁部32a及び樹脂部25A,25Bは共に溶融する一方、多孔質層31A,31Bは溶融しない。
【0051】
よって、多孔質層31Aの縁部31a及び多孔質層31Bの縁部31bは、溶融せずにその形状を維持した状態で、樹脂部25A,25Bに結合される。一方、多孔質層32の縁部32aは、溶融しながら樹脂部25A,25Bに一体に結合される。多孔質層32の縁部32aと樹脂部25A,25Bとが互いに溶融しながら結合することにより、樹脂部25が形成される。このようにして、セパレータ13Aの縁部13cが結合された樹脂部25が得られる。樹脂部25において多孔質層31Aの縁部31aの孔内に位置する部分、及び多孔質層31Bの縁部31bの孔内に位置する部分のそれぞれは、樹脂部25の溶融部分の凝固によって形成された溶融凝固部M1となる。一方、樹脂部25において多孔質層32の縁部32aに結合した部分は、多孔質層32及び樹脂部25の溶融部分の凝固によって形成された溶融凝固部M2となる。
【0052】
セパレータ13Aでは、多孔質層32の縁部32aが溶融凝固部M2に一体に結合されることによって、セパレータ13Aの縁部13cと封止部14との結合強度を向上させることができ、セパレータ13Aの縁部13cが封止部14から外れてしまう事態を抑制できる。また、上述した実施形態と同様、多孔質層31Aの縁部31a及び多孔質層31Bの縁部31bを、溶融させずにその形状を維持した状態で、封止部14に結合させることができるので、セパレータ13Aの収縮に起因してセパレータ13Aが破断してしまう事態を抑制できる。すなわち、セパレータ13Aによれば、封止部14からのセパレータ13Aの縁部13cの外れを抑制しつつ、セパレータ13Aの破断を抑制できる。これにより、正極11と負極12との間にセパレータ13Aが介在する状態をより一層確実に維持できるので、正極11と負極12との短絡をより一層確実に抑制できる。また、セパレータ13Aでは、多孔質層32を挟むように多孔質層31A及び多孔質層31Bが積層されることによって、セパレータ13Aの破断をより確実に抑制することができる。
【0053】
図7に示す例では、セパレータ13Aが3層構造である場合を示したが、セパレータは2層構造であってもよいし、4層以上の多層構造であってもよい。セパレータが2層構造である場合、セパレータは、単層の多孔質層31Aと、単層の多孔質層32とによって構成されてもよい。セパレータが4層以上の多層構造である場合、セパレータは、単層又は複数層の多孔質層31Aと、単層又は複数層の多孔質層32とによって構成されてもよい。
【0054】
図7に示す例では、多孔質層31Aの縁部31aに結合された溶融凝固部M1が多孔質層31Aの縁部31aの孔内に位置しており、多孔質層31Bの縁部31bに結合された溶融凝固部M1が多孔質層31Bの縁部31bの孔内に位置している場合を示した。しかし、多孔質層31Aの縁部31aに結合された溶融凝固部M1は、多孔質層31Aの縁部31aの外表面31cのみに位置してもよいし、多孔質層31Aの縁部31aの孔内、及び多孔質層31Aの縁部31aの外表面31cの双方に位置してもよい。同様に、多孔質層31Bの縁部31bに結合された溶融凝固部M1は、多孔質層31Bの縁部31bの外表面31dのみに位置してもよいし、多孔質層31Bの縁部31bの孔内、及び多孔質層31Bの縁部31aの外表面31dの双方に位置してもよい。
【0055】
蓄電装置の構成は、上述した実施形態及び各変形例に限られない。例えば、上述した実施形態及び各変形例を必要な目的及び効果に応じて互いに組み合わせてもよい。また、蓄電装置の構成は、上述した実施形態に限られず、適宜変更可能である。例えば、1枚の金属箔の一方面に正極活物質層が形成されると共に金属箔の他方面に負極活物質層が形成されたバイポーラ電極が、セパレータを介して交互に積層されることによって、セルスタックが構成されてもよい。この場合、バイポーラ電極の金属箔の一方面に接合された樹脂部と、当該バイポーラ電極と向かい合うバイポーラ電極の金属箔の他方面に接合された樹脂部とによってセパレータの縁部を挟み込むように、バイポーラ電極とセパレータとを積層する。そして、バイポーラ電極及びセパレータを積層した積層体の側面からレーザ溶着を行うことによって、セパレータの縁部とこれら樹脂部とを互いに結合することができる。このような形態であっても、上述した実施形態及び各変形例と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0056】
1…蓄電装置、11…正極、12…負極、13,13A…セパレータ、13a,13c,21a,31a,31b,32a…縁部、13b,31c,31d…外表面、14…封止部、25,25A,25B…樹脂部、31A,31B…多孔質層(第1の多孔質層)、32…多孔質層(第2の多孔質層)、M1…溶融凝固部(第1の溶融凝固部),M2…溶融凝固部(第2の溶融凝固部)、S…空間。