(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】位置検出装置
(51)【国際特許分類】
F16D 11/10 20060101AFI20230426BHJP
F16D 48/06 20060101ALI20230426BHJP
G01B 7/00 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
F16D11/10 Z
F16D28/00 A
F16D48/06 102
G01B7/00 101H
(21)【出願番号】P 2020163958
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2022-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2020041276
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本多 仁美
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 孝範
(72)【発明者】
【氏名】木村 優介
(72)【発明者】
【氏名】小松 新始
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-035234(JP,U)
【文献】特開2004-198425(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0195291(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014211146(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00
F16D 11/10
F16D 48/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向を軸線方向としたとき、前記軸線方向に延びる軸線を中心として回転可能に構成され、軸線方向一方側に凹む第1孔部(12b)と軸線方向他方側に凸となる第1歯部(12a)とが前記軸線を中心とする周方向に交互に並べられている第1クラッチ構成部(12)と、前記第1クラッチ構成部に対して軸線方向他方側に配置され、前記軸線を中心として回転可能に構成され、前記軸線方向の他方側に凹む第2孔部(11b)と前記軸線方向一方側に凸となる第2歯部(11a)とが前記軸線を中心とする周方向に交互に並べられている第2クラッチ構成部(11)と、を備えるドグクラッチ(10)を備え、
駆動源(30)が前記第1クラッチ構成部を前記軸線を中心として回転させた状態で、アクチュエータ(40)が前記第1クラッチ構成部および前記第2クラッチ構成部のうち一方を他方側に移動させて前記第1歯部を前記第2孔部に入れ、かつ前記第1孔部内に前記第2歯部を入れて前記駆動源から出力される回転力を前記第1クラッチ構成部から前記第2クラッチ構成部に伝達させる動力伝達システム(1)に適用される位置検出装置であって、
前記第1クラッチ構成部および前記第2クラッチ構成部に対して前記軸線を中心とする径方向外側に配置され、互いに異なる極性を形成する第1磁極部(62)および第2磁極部(61)を有する磁界発生部(60、60A、60B、75)と、
前記第1歯部或いは前記第1孔部に対して前記軸線を中心とする径方向外側に配置される第1端面(72c、74a)を有し、かつ前記第1端面および前記第1磁極部の間にて磁束を通過させる第1磁束経路部(72、74)と、前記第2歯部或いは前記第2孔部に対して前記軸線を中心とする径方向外側に配置される第2端面(71c、73a)を有し、かつ前記第2磁極部および前記第2端面の間にて前記磁束を通過させる第2磁束経路部(71、73)とを備えるヨーク(70)と、
前記第1クラッチ構成部および前記第2クラッチ構成部に対して前記軸線を中心とする径方向外側に配置され、かつ前記第1磁束経路部および前記第2磁束経路部の間に設けられ、前記第1磁束経路部および前記第2磁束経路部の間で通過する前記磁束の向きを示すセンサ信号を出力する磁気検出素子(80)と、を備え、
前記磁気検出素子は、前記軸線を中心とする回転方向において、前記第1クラッチ構成部の前記第1孔部、前記第1歯部と前記第2クラッチ構成部の前記第2孔部、前記第2歯部との位置関係によって前記磁束の向きが変化することにより、前記センサ信号として前記位置関係を示す信号を出力する位置検出装置。
【請求項2】
前記磁界発生部は、前記第1磁極部および前記第2磁極部を有する1つの磁石(60)
を備える請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記磁界発生部は、
前記第1磁極部(62)、および前記第1磁極部と異なる極性を有する第3磁極部(6
1)を備える第1磁石(60A)と、
前記第2磁極部(61)、および前記第2磁極部と異なる極性を有する第4磁極部(6
2)を備える第2磁石(60B)と、
前記第1磁石の前記第3磁極部および前記第2磁石の前記第4磁極部の間で磁束を通過させる第3磁束経路部(75)と、を備え、
前記第1磁極部(62)と前記第4磁極部(62)とは、同一の極性を有し、
前記第3磁極部(61)と前記第2磁極部(61)とは、同一の極性を有する請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記磁気検出素子は、前記第1歯部が前記第2孔部に対向し、かつ前記第1端面が前記第1歯部に対向し、さらに前記第2端面が前記第2孔部に対向した状態で、前記磁束の向きとしての第1向き(B)を示す前記センサ信号を出力し、
前記磁気検出素子は、前記第1歯部が前記第2歯部に対向し、かつ前記第1端面が前記第1歯部に対向し、さらに前記第2端面が前記第2歯部に対向した状態で、前記磁束の向きとしての第2向き(A)を示す前記センサ信号を出力し、
前記磁気検出素子は、前記第1孔部が前記第2孔部に対向し、かつ前記第1端面が前記第1孔部に対向し、さらに前記第2端面が前記第2孔部に対向した状態で、前記第2向きを示す前記センサ信号を出力し、
前記磁気検出素子は、前記第1孔部が前記第2歯部に対向し、かつ前記第1端面が前記第1孔部に対向し、さらに前記第2端面が前記第2歯部に対向した状態で、前記磁束の向きとしての第3向き(C)を示す前記センサ信号を出力し、
前記第1向き、前記第2向き、および前記第3向きは、それぞれ、異なる向きである請求項1ないし3のいずれかに記載の位置検出装置。
【請求項5】
所定方向を軸線方向としたとき、前記軸線方向に延びる軸線を中心として回転可能に構成され、軸線方向一方側に凹む第1孔部(12b)と軸線方向他方側に凸となる第1歯部(12a)とが前記軸線を中心とする周方向に交互に並べられている第1クラッチ構成部(12)と、前記第1クラッチ構成部に対して軸線方向他方側に配置され、前記軸線を中心として回転可能に構成され、前記軸線方向の他方側に凹む第2孔部(11b)と前記軸線方向一方側に凸となる第2歯部(11a)とが前記軸線を中心とする周方向に交互に並べられている第2クラッチ構成部(11)と、を備えるドグクラッチ(10)を備え、
駆動源(30)が前記第1クラッチ構成部を前記軸線を中心として回転させた状態で、
アクチュエータ(40)が前記第1クラッチ構成部および前記第2クラッチ構成部のうち一方を他方側に移動させて前記第1歯部を前記第2孔部に入れ、かつ前記第1孔部内に前記第2歯部を入れて前記駆動源から出力される回転力を前記第1クラッチ構成部から前記第2クラッチ構成部に伝達させる動力伝達システム(1)に適用される位置検出装置であって、
前記第1クラッチ構成部および前記第2クラッチ構成部に対して前記軸線を中心とする径方向外側に配置され、互いに同一の極性を形成する第1磁極部(61、62)および第2磁極部(61、62)を有する磁界発生部(60A、60B、75)と、
前記第1歯部或いは前記第1孔部に対して前記軸線を中心とする径方向外側に配置される第1端面(74a)を有し、かつ前記第1端面および前記第1磁極部の間で磁束を通過させる第1磁束経路部(74)と、前記第2歯部或いは前記第2孔部に対して前記軸線を中心とする径方向外側に配置される第2端面(73a)を有し、かつ前記第2端面および前記第2磁極部の間で磁束を通過させる第2磁束経路部(73)とを備えるヨーク(70)と、
前記第1クラッチ構成部および前記第2クラッチ構成部に対して前記軸線を中心とする径方向外側に配置され、かつ前記第1磁束経路部および前記第2磁束経路部の間に設けられ、前記第1クラッチ構成部および前記第1磁束経路部の間で通過する第1磁束と前記第2クラッチ構成部および前記第2磁束経路部の間で通過する第2磁束とを合成した合成磁束の向きを示すセンサ信号を出力する磁気検出素子(80)と、を備え、
前記磁気検出素子は、前記軸線を中心とする回転方向において、前記第1クラッチ構成部の前記第1孔部、前記第1歯部と前記第2クラッチ構成部の前記第2孔部、前記第2歯部との位置関係によって前記合成磁束の向きが変化することにより、前記センサ信号として前記位置関係を示す信号を出力する位置検出装置。
【請求項6】
前記磁界発生部は、
前記第1磁極部、および前記第1磁極部と異なる極性を有する第3磁極部(61、62)を備える第1磁石(60A)と、
前記第2磁極部、および前記第2磁極部と異なる極性を有する第4磁極部(61、62)を備える第2磁石(60B)と、を備え、
前記第3磁極部(61、62)と前記第4磁極部(61、62)とは、同一の極性を有する請求項5に記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記磁気検出素子は、前記第1歯部が前記第2孔部に対向し、かつ前記第1端面が前記第1歯部に対向し、さらに前記第2端面が前記第2孔部に対向した状態で、前記合成磁束の向きとしての第1向き(E、H)を示す前記センサ信号を出力し、
前記磁気検出素子は、前記第1歯部が前記第2歯部に対向し、かつ前記第1端面が前記第1歯部に対向し、さらに前記第2端面が前記第2歯部に対向した状態で、前記合成磁束の向きとしての第2向き(D、G)を示す前記センサ信号を出力し、
前記磁気検出素子は、前記第1孔部が前記第2孔部に対向し、かつ前記第1端面が前記第1孔部に対向し、さらに前記第2端面が前記第2孔部に対向した状態で、前記第2向きを示す前記センサ信号を出力し、
前記磁気検出素子は、前記第1孔部が前記第2歯部に対向し、かつ前記第1端面が前記第1孔部に対向し、さらに前記第2端面が前記第2歯部に対向した状態で、前記合成磁束の向きとしての第3向き(F、I)を示す前記センサ信号を出力し、
前記第1向き、前記第2向き、および前記第3向きは、それぞれ、異なる向きである請求項5または6に記載の位置検出装置。
【請求項8】
前記第1磁束経路部は、前記軸線を中心とする径方向内側から径方向外側に向かうほど前記軸線方向一方側から前記軸線方向他方側に向かうように形成されている第1対向面(74b、72d)を有し、
前記第2磁束経路部は、前記軸線を中心とする径方向内側から径方向外側に向かうほど前記軸線方向他方側から前記軸線方向一方側に向かうように形成されている第2対向面(73b、71d)を有する請求項1ないし7のいずれかに記載の位置検出装置。
【請求項9】
前記第1磁束経路部は、前記軸線を中心とする径方向内側から径方向外側に向かうほど前記軸線方向他方側から前記軸線方向一方側に向かうように形成されている第1対向面(74b)を有し、
前記第2磁束経路部は、前記軸線を中心とする径方向内側から径方向外側に向かうほど前記軸線方向一方側から前記軸線方向他方側に向かうように形成されている第2対向面(73b)を有している請求項1ないし7のいずれかに記載の位置検出装置。
【請求項10】
前記第1磁束経路部は、前記第1端面から前記軸線を中心とする径方向外側に亘って形成されている第1経路構成部(74e)と、前記第1経路構成部から前記磁気検出素子に向けて凸となる第1突出部(74d)とを備え、
前記第2磁束経路部は、前記第2端面から前記軸線を中心とする径方向外側に亘って形成されている第2経路構成部(73e)と、前記第2経路構成部から前記磁気検出素子に向けて凸となる第2突出部(73d)とを備える請求項1ないし7のいずれかに記載の位置検出装置。
【請求項11】
前記第1磁束経路部は、前記軸線方向一方側に形成されている第1側面(78a)と、
前記軸線方向他方側に形成されている第2側面(78b)と、を有し、
前記軸線を中心とする径方向において前記磁気検出素子に近づくほど前記第1側面および前記第2側面の間の距離が小さくなるように前記第1側面が形成されており、
前記第2磁束経路部は、前記軸線方向一方側に形成されている第3側面(79b)と、
前記軸線方向他方側に形成されている第4側面(79a)と、を有し、
前記軸線を中心とする径方向において前記磁気検出素子に近づくほど前記第3側面および前記第4側面の間の距離が小さくなるように前記第4側面が形成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の位置検出装置。
【請求項12】
前記磁気検出素子は、前記第1端面および前記第2端面から前記軸線を中心とする径方向内側に突出するように形成されている請求項1ないし11のいずれかに記載の位置検出装置。
【請求項13】
所定方向を軸線方向としたとき、前記軸線方向に延びる軸線を中心として回転可能に構成され、軸線方向一方側に凹む第1孔部(12b)と軸線方向他方側に凸となる第1歯部(12a)とが前記軸線を中心とする周方向に交互に並べられている第1クラッチ構成部(12)と、前記第1クラッチ構成部に対してクリアランス(13)を介して軸線方向他方側に配置され、前記軸線を中心として回転可能に構成され、前記軸線方向の他方側に凹む第2孔部(11b)と前記軸線方向一方側に凸となる第2歯部(11a)と、が前記軸線を中心とする周方向に交互に並べられている第2クラッチ構成部(11)と、を備えるドグクラッチ(10)を備え、
駆動源(30)が前記第1クラッチ構成部を前記軸線を中心として回転させた状態で、アクチュエータ(40)が前記第1クラッチ構成部および前記第2クラッチ構成部のうち一方を他方側に移動させて前記第1歯部を前記第2孔部に入れ、かつ前記第1孔部内に前記第2歯部を入れて前記駆動源から出力される回転力を前記第1クラッチ構成部から前記第2クラッチ構成部に伝達させる動力伝達システム(1)に適用される位置検出装置であって、
前記クリアランスに対して前記軸線を中心とする径方向外側に配置され、かつ磁極を形成する第1端面(73a)を形成する第1磁極形成部(73)と、前記クリアランスに対して前記軸線を中心とする径方向外側に配置され、かつ前記第1磁極形成部に対して前記軸線を中心とする周方向にずれて配置され、磁極を形成する第2端面(74a)を形成する第2磁極形成部(74)とを備える磁界発生部(70)と、
前記第1クラッチ構成部および前記第2クラッチ構成部に対して前記軸線を中心とする径方向外側に配置され、かつ前記第1磁極形成部および前記第2磁極形成部の間に設けられ、前記磁界発生部によって発生される磁束の向きを示すセンサ信号を出力する磁気検出素子(80)と、を備え、
前記磁気検出素子は、前記軸線を中心とする回転方向において、前記第1クラッチ構成部の前記第1孔部、前記第1歯部と前記第2クラッチ構成部の前記第2孔部、前記第2歯部との位置関係によって前記センサ信号の振幅が変化することにより、前記センサ信号として前記位置関係を示す信号を出力する位置検出装置。
【請求項14】
前記第1磁極形成部の前記第1端面と前記第2磁極形成部の前記第2端面とは、互いに同じ極性の磁極を形成し、
前記磁界発生部によって発生される磁束は、前記第1端面と前記クリアランスとの間を通過する第1磁束と前記第2端面と前記クリアランスとの間を通過する第2磁束とが合成された合成磁束である請求項13に記載の位置検出装置。
【請求項15】
前記第1磁極形成部の前記第1端面と前記第2磁極形成部の前記第2端面とは、互いに異なる極性の磁極を形成し、
前記磁界発生部によって発生される磁束は、前記第1磁極形成部および前記第2磁極形成部の間を通過する磁束である請求項13に記載の位置検出装置。
【請求項16】
前記センサ信号の振幅に基づいて、前記第2歯部が前記第1孔部に対向し、かつ前記第1歯部が前記第2孔部に対向している状態であるか否かを判定する係合判定部(S100)を備え、
前記第2歯部が前記第1孔部に対向し、かつ前記第1歯部が前記第2孔部に対向している状態であると前記係合判定部が判定したとき、前記アクチュエータを制御して前記第1クラッチ構成部および前記第2クラッチ構成部のうち一方を他方側に移動させて前記第1歯部を前記第2孔部に入れ、かつ前記第1孔部内に前記第2歯部を入れる係合制御部(S130)と、
を備える請求項13、14、15のいずれかに記載の位置検出装置。
【請求項17】
前記係合判定部は、前記センサ信号の振幅が閾値以下であるか否かを判定することにより、前記第2歯部が前記第1孔部に対向し、かつ前記第1歯部が第2孔部に対向している状態であるか否かを判定する請求項16に記載の位置検出装置。
【請求項18】
所定方向を軸線方向としたとき、前記軸線方向に延びる軸線を中心として回転可能に構成され、軸線方向一方側に凹む第1孔部(12b)と軸線方向他方側に凸となる第1歯部(12a)とが前記軸線を中心とする周方向に交互に並べられている第1クラッチ構成部(12)と、前記第1クラッチ構成部に対して軸線方向他方側に配置され、前記軸線を中心として回転可能に構成され、前記軸線方向の他方側に凹む第2孔部(11b)と前記軸線方向一方側に凸となる第2歯部(11a)とが前記軸線を中心とする周方向に交互に並べられている第2クラッチ構成部(11)と、を備えるドグクラッチ(10)を備え、
駆動源(30)が前記第1クラッチ構成部を前記軸線を中心として回転させた状態で、アクチュエータ(40)が前記第1クラッチ構成部および前記第2クラッチ構成部のうち一方を他方側に移動させて前記第1歯部を前記第2孔部に入れ、かつ前記第1孔部内に前記第2歯部を入れて前記駆動源から出力される回転力を前記第1クラッチ構成部から前記第2クラッチ構成部に伝達させる動力伝達システム(1)に適用される位置検出装置であって、
前記第1歯部或いは前記第1孔部に対して前記軸線を中心とする径方向外側に配置され、磁極を形成する第1端面(73a)を形成する第1磁極形成部(73)と、前記第2歯部或いは前記第2孔部に対して前記軸線を中心とする径方向外側に配置され、磁極を形成する第2端面(74a)を形成する第2磁極形成部(74)とを有する磁界発生部(70)と、
前記第1クラッチ構成部および前記第2クラッチ構成部に対して前記軸線を中心とする径方向外側に配置され、かつ前記第1磁極形成部、および前記第2磁極形成部の間に配置され、前記磁界発生部によって発生される磁束の向きを示すセンサ信号を出力する磁気検出素子(80)と、を備え、
前記磁気検出素子は、前記軸線を中心とする回転方向において、前記第1クラッチ構成部の前記第1孔部、前記第1歯部と前記第2クラッチ構成部の前記第2孔部、前記第2歯部との位置関係によって前記センサ信号の振幅が変化することにより、前記センサ信号として前記位置関係を示す信号を出力する位置検出装置。
【請求項19】
前記第1磁極形成部の前記第1端面と前記第2磁極形成部の前記第2端面とは、互いに同じ極性の磁極を形成し、
前記磁界発生部によって発生される磁束は、前記第1クラッチ構成部および前記第1磁極形成部の間で通過する第1磁束と前記第2クラッチ構成部および前記第2磁極形成部の間で通過する第2磁束とを合成した合成磁束である請求項18に記載の位置検出装置。
【請求項20】
前記第1磁極形成部の前記第1端面と前記第2磁極形成部の前記第2端面とは、互いに異なる極性の磁極を形成し、
前記磁界発生部によって発生される磁束は、前記第1磁極形成部および前記第2磁極形成部の間を通過する磁束である請求項18に記載の位置検出装置。
【請求項21】
前記磁気検出素子は、前記磁界発生部によって発生される磁束の向きを検出して前記センサ信号を出力する検出部(82)を備え、
前記第1クラッチ構成部および前記第2クラッチ構成部の間の中間部を通過して前記軸線方向に直交する方向に延びる仮想線を、前記第1クラッチ構成部および前記第2クラッチ構成部の中心線(Z)とし、
前記第1磁極形成部および前記第2磁極形成部の間の中間部を通過して前記軸線方向に直交する方向に延びる仮想線を、前記第1磁極形成部および前記第2磁極形成部の中心線(T)としたとき、
前記第1磁極形成部および前記第2磁極形成部の前記中心線と、前記検出部とは、前記第1クラッチ構成部および前記第2クラッチ構成部の前記中心線に対して前記軸線方向の一方側、或いは他方側にずれて配置されている請求項18、19、20のいずれかに記載の位置検出装置。
【請求項22】
前記センサ信号の振幅に基づいて、前記第2歯部が前記第1孔部に対向し、かつ前記第1歯部が前記第2孔部に対向している状態であるか否かを判定する係合判定部(S100A)を備え、
前記第2歯部が前記第1孔部に対向し、かつ前記第1歯部が前記第2孔部に対向している状態であると前記係合判定部が判定したとき、前記アクチュエータを制御して前記第1クラッチ構成部および前記第2クラッチ構成部のうち一方を他方側に移動させて前記第1歯部を前記第2孔部に入れ、かつ前記第1孔部内に前記第2歯部を入れる係合制御部(S130)と、
を備える請求項18ないし21のいずれかに記載の位置検出装置。
【請求項23】
前記センサ信号が所定値に収束したか否かを判定することにより、前記第1歯部が前記第2孔部に入り、かつ前記第1孔部内に前記第2歯部が入る係合が完了したか否かを判定する係合完了判定部(S140A)を備える請求項22に記載の位置検出装置。
【請求項24】
前記センサ信号の直流成分が所定値に収束したか否かを判定することにより、前記第1歯部が前記第2孔部に入り、かつ前記第1孔部内に前記第2歯部が入る係合が完了したか否かを判定する係合完了判定部(S140A)を備える請求項22に記載の位置検出装置。
【請求項25】
前記第1歯部および前記第2歯部は、鉄を含む材料によって構成されており、
前記第1孔部および前記第2孔部は、大気に曝されている請求項1ないし24のいずれかに記載の位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、メインシャフトとカウンタシャフトとの間に複数の歯車対を有する変速機と、メインシャフト上に配設されるツインクラッチとを備え、ツインクラッチによってエンジンの回転駆動力を変速機との間で断接する変速装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
メインシャフトは、内主軸と、内主軸を回転自在に軸支する外主軸とから構成されている。ツインクラッチは、内主軸へ伝達される回転駆動力を断接する第1クラッチと、外主軸へ伝達される回転駆動力を断接する第2クラッチとから構成されている。変速機は、各軸上の隣り合う変速ギヤ間の回転駆動力の伝達を、ドグ歯とドグ孔とからなるドグクラッチで実行するように構成されている。
【0004】
変速装置は、変速機の変速段数を検知するギヤポジションセンサと、内主軸の回転速度を検知する内主軸回転速度センサと、外主軸の回転速度を検知する外主軸回転速度センサと、変速機を変速制御する制御部とを具備する。制御部は、内主軸と外主軸との回転速度差および変速段数情報に基づいて、ドグクラッチの噛合状態を検知する。
【0005】
例えば、ドグクラッチの噛合を解除する際に、噛合の解除が正常に完了したと判定したり、ドグ歯がドグ孔から抜けないドグ先引っかかり状態であると判定したりする。一方、ドグクラッチを噛合させる際に、噛合が正常に完了したと判定したり、ドグ歯がドグ孔に入らないドグ先当たり状態であると判定したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、上記特許文献1の変速装置を参考にして、ドグクラッチを正常に噛合させることを検討した。
【0008】
一般的に、ドグクラッチは、軸線を中心として回転可能に構成されている第1クラッチ構成部と、この第1クラッチ構成部に対して軸線方向他方側に配置されて軸線を中心として回転可能に構成されている第2クラッチ構成部とを備える。
【0009】
第1クラッチ構成部は、軸線方向他方側に凸となる第1ドグ歯と軸線方向一方側に凹む第1ドグ孔とが軸線を中心とする周方向に交互に並べられている。第2クラッチ構成部は、軸線方向一方側に凸となる第2ドグ歯と軸線方向の他方側に凹む第2ドグ孔とが軸線を中心とする周方向に交互に並べられている。
【0010】
ここで、ドグクラッチを噛合させる際に、駆動源が第1クラッチ構成部を軸線を中心として回転させた状態で、アクチュエータを制御して第1クラッチ構成部を第2クラッチ構成部側に移動させる制御部が必要となる。
【0011】
ここで、制御部は、噛合を正常に完了させるには、第1ドグ歯が第2ドグ孔に対向し、かつ第2ドグ歯が第1ドグ孔に対向した状態であると判定したとき、第1クラッチ構成部を駆動して第2クラッチ構成部側に移動させることになる。
【0012】
このため、第1ドグ歯が第2ドグ孔に対向し、かつ第2ドグ歯が第1ドグ孔に対向した状態であるか否かを判定するためには、回転方向において、第1クラッチ構成部と第2クラッチ構成部との位置関係を検出することが必要となる。
【0013】
つまり、ドグクラッチの噛合を正常に完了させるには、第1クラッチ構成部における第1ドグ歯、第1ドグ孔と、第2クラッチ構成部における第2ドグ歯、第2ドグ孔との位置関係を検出する位置検出装置が必要となる。
【0014】
本発明は上記点に鑑みて、回転方向において第1クラッチ構成部と第2クラッチ構成部との位置関係を検出する位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、位置検出装置において、所定方向を軸線方向としたとき、軸線方向に延びる軸線を中心として回転可能に構成され、軸線方向一方側に凹む第1孔部(12b)と軸線方向他方側に凸となる第1歯部(12a)とが軸線を中心とする周方向に交互に並べられている第1クラッチ構成部(12)と、第1クラッチ構成部に対して軸線方向他方側に配置され、軸線を中心として回転可能に構成され、軸線方向の他方側に凹む第2孔部(11b)と軸線方向一方側に凸となる第2歯部(11a)と、が軸線を中心とする周方向に交互に並べられている第2クラッチ構成部(11)とを備えるドグクラッチ(10)を備え、
駆動源(30)が第1クラッチ構成部を軸線を中心として回転させた状態で、アクチュエータ(40)が第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部のうち一方を他方側に移動させて第1歯部を第2孔部に入れ、かつ第1孔部内に第2歯部を入れて駆動源から出力される回転力を第1クラッチ構成部から第2クラッチ構成部に伝達させる動力伝達システム(1)に適用される位置検出装置であって、
第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置され、互いに異なる極性を形成する第1磁極部(62)および第2磁極部(61)を有する磁界発生部(60、60A、60B、75)と、
第1歯部或いは第1孔部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置される第1端面(72c、74a)を有し、かつ第1端面および第1磁極部の間にて磁束を通過させる第1磁束経路部(72、74)と、第2歯部或いは第2孔部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置される第2端面(71c、73a)を有し、かつ第2磁極部および第2端面の間にて磁束を通過させる第2磁束経路部(71、73)とを備えるヨーク(70)と、 第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置され、かつ第1磁束経路部および第2磁束経路部の間に設けられ、第1磁束経路部および第2磁束経路部の間で通過する磁束の向きを示すセンサ信号を出力する磁気検出素子(80)と、を備え、
磁気検出素子は、軸線を中心とする回転方向において、第1クラッチ構成部の第1孔部、第1歯部と第2クラッチ構成部の第2孔部、第2歯部との位置関係によって磁束の向きが変化することにより、センサ信号として位置関係を示す信号を出力する。
【0016】
したがって、回転方向において第1クラッチ構成部と第2クラッチ構成部との位置関係を検出する位置検出装置を提供することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明では、位置検出装置において、所定方向を軸線方向としたとき、軸線方向に延びる軸線を中心として回転可能に構成され、軸線方向一方側に凹む第1孔部(12b)と軸線方向他方側に凸となる第1歯部(12a)とが軸線を中心とする周方向に交互に並べられている第1クラッチ構成部(12)と、第1クラッチ構成部に対して軸線方向他方側に配置され、軸線を中心として回転可能に構成され、軸線方向の他方側に凹む第2孔部(11b)と軸線方向一方側に凸となる第2歯部(11a)とが軸線を中心とする周方向に交互に並べられている第2クラッチ構成部(11)とを備えるドグクラッチ(10)を備え、
駆動源(30)が第1クラッチ構成部を軸線を中心として回転させた状態で、アクチュエータ(40)が第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部のうち一方を他方側に移動させて第1歯部を第2孔部に入れ、かつ第1孔部内に第2歯部を入れて駆動源から出力される回転力を第1クラッチ構成部から第2クラッチ構成部に伝達させる動力伝達システム(1)に適用される位置検出装置であって、
第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置され、互いに同一の極性を形成する第1磁極部(61、62)および第2磁極部(61、62)を有する磁界発生部(60A、60B、75)と、
第1歯部或いは第1孔部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置される第1端面(74a)を有し、かつ第1端面および第1磁極部の間で磁束を通過させる第1磁束経路部(74)と、第2歯部或いは第2孔部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置される第2端面(73a)を有し、かつ第2端面および第2磁極部の間で磁束を通過させる第2磁束経路部(73)とを備えるヨーク(70)と、
第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置され、かつ第1磁束経路部および第2磁束経路部の間に設けられ、第1クラッチ構成部および第1磁束経路部の間で通過する第1磁束と第2クラッチ構成部および第2磁束経路部の間で通過する第2磁束とを合成した合成磁束の向きを示すセンサ信号を出力する磁気検出素子(80)と、を備え、
磁気検出素子は、軸線を中心とする回転方向において、第1クラッチ構成部の第1孔部、第1歯部と第2クラッチ構成部の第2孔部、第2歯部との位置関係によって合成磁束の向きが変化することにより、センサ信号として位置関係を示す信号を出力する。
【0018】
したがって、回転方向において第1クラッチ構成部と第2クラッチ構成部との位置関係を検出する位置検出装置を提供することができる。
【0019】
請求項13に記載の発明では、位置検出装置において、所定方向を軸線方向としたとき、軸線方向に延びる軸線を中心として回転可能に構成され、軸線方向一方側に凹む第1孔部(12b)と軸線方向他方側に凸となる第1歯部(12a)とが軸線を中心とする周方向に交互に並べられている第1クラッチ構成部(12)と、第1クラッチ構成部に対してクリアランス(13)を介して軸線方向他方側に配置され、軸線を中心として回転可能に構成され、軸線方向の他方側に凹む第2孔部(11b)と軸線方向一方側に凸となる第2歯部(11a)と、が軸線を中心とする周方向に交互に並べられている第2クラッチ構成部(11)と、を備えるドグクラッチ(10)を備え、
駆動源(30)が第1クラッチ構成部を軸線を中心として回転させた状態で、アクチュエータ(40)が第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部のうち一方を他方側に移動させて第1歯部を第2孔部に入れ、かつ第1孔部内に第2歯部を入れて駆動源から出力される回転力を第1クラッチ構成部から第2クラッチ構成部に伝達させる動力伝達システム(1)に適用される位置検出装置であって、
クリアランスに対して軸線を中心とする径方向外側に配置され、かつ磁極を形成する第1端面(73a)を形成する第1磁極形成部(73)と、クリアランスに対して軸線を中心とする径方向外側に配置され、かつ第1磁極形成部に対して軸線を中心とする周方向にずれて配置され、磁極を形成する第2端面(74a)を形成する第2磁極形成部(74)とを備える磁界発生部(70)と、
第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置され、かつ第1磁束経路部および第2磁束経路部の間に設けられ、磁界発生部によって発生される磁束の向きを示すセンサ信号を出力する磁気検出素子(80)と、を備え、
磁気検出素子は、軸線を中心とする回転方向において、第1クラッチ構成部の第1孔部、第1歯部と第2クラッチ構成部の第2孔部、第2歯部との位置関係によってセンサ信号の振幅が変化することにより、センサ信号として位置関係を示す信号を出力する。
【0020】
したがって、回転方向において第1クラッチ構成部と第2クラッチ構成部との位置関係を検出する位置検出装置を提供することができる。
【0021】
請求項18に記載の発明では、位置検出装置において、所定方向を軸線方向としたとき、軸線方向に延びる軸線を中心として回転可能に構成され、軸線方向一方側に凹む第1孔部(12b)と軸線方向他方側に凸となる第1歯部(12a)とが軸線を中心とする周方向に交互に並べられている第1クラッチ構成部(12)と、第1クラッチ構成部に対して軸線方向他方側に配置され、軸線を中心として回転可能に構成され、軸線方向の他方側に凹む第2孔部(11b)と軸線方向一方側に凸となる第2歯部(11a)とが軸線を中心とする周方向に交互に並べられている第2クラッチ構成部(11)と、を備えるドグクラッチ(10)を備え、
駆動源(30)が第1クラッチ構成部を軸線を中心として回転させた状態で、アクチュエータ(40)が第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部のうち一方を他方側に移動させて第1歯部を第2孔部に入れ、かつ第1孔部内に第2歯部を入れて駆動源から出力される回転力を第1クラッチ構成部から第2クラッチ構成部に伝達させる動力伝達システム(1)に適用される位置検出装置であって、
第1歯部或いは第1孔部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置され、磁極を形成する第1端面(73a)を形成する第1磁極形成部(73)と、第2歯部或いは第2孔部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置され、磁極を形成する第2端面(74a)を形成する第2磁極形成部(74)とを有する磁界発生部(70)と、
第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置され、かつ第1磁極形成部、および第2磁極形成部の間に配置され、磁界発生部によって発生される磁束の向きを示すセンサ信号を出力する磁気検出素子(80)と、を備え、
磁気検出素子は、軸線を中心とする回転方向において、第1クラッチ構成部の第1孔部、第1歯部と第2クラッチ構成部の第2孔部、第2歯部との位置関係によってセンサ信号の振幅が変化することにより、センサ信号として位置関係を示す信号を出力する。
【0022】
したがって、回転方向において第1クラッチ構成部と第2クラッチ構成部との位置関係を検出する位置検出装置を提供することができる。
【0023】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1実施形態における動力伝達システムの全体構成を軸線を中心とする径方向外側から視た外観図であり、ドグクラッチにおける2つのクラッチ構成部が分離している状態を示す図である。
【
図2】第1実施形態における
図1のドグクラッチにおける2つのクラッチ構成部のうち軸線方向一方側に配置されている一方のクラッチ構成部の複数の歯部および複数の孔部を、軸線方向他方側から視た図である。
【
図3】第1実施形態における
図1のドグクラッチにおける2つのクラッチ構成部のち一方のクラッチ構成部以外の他のクラッチ構成部の複数の歯部および複数の孔部を、軸線方向一方側から視た図である。
【
図4】第1実施形態における
図1の位置検出装置を拡大した図である。
【
図5】第1実施形態における
図1の位置検出装置において、2つの端面に対してドグクラッチにおける2つのクラッチ構成部のそれぞれの孔部が対向している状態を示す図である。
【
図6】第1実施形態における
図1の位置検出装置において、軸線方向一方側の端面に対してドグクラッチにおける一方のクラッチ構成部の歯部が対向し、軸線方向他方側の端面に対して他方のクラッチ構成部の孔部が対向している状態を示す図である。
【
図7】第1実施形態における
図1の位置検出装置において、軸線方向一方側の端面に対してドグクラッチにおける一方のクラッチ構成部の孔部が対向し、軸線方向他方側の端面に対して他方のクラッチ構成部の歯部が対向している状態を示す図である。
【
図8】第1実施形態における
図1の位置検出装置において、軸線方向一方側の端面に対してドグクラッチにおける一方側のクラッチ構成部の歯部が対向し、軸線方向他方側の端面に対して他方側のクラッチ構成部の歯部が対向している状態を示す図である。
【
図9】第1実施形態における
図1の位置検出装置において、ドグクラッチにおける2つのクラッチ構成部の軸線方向の中心線と位置検出装置の軸線方向の中心線とが一致するように配置されている図である。
【
図10】第1実施形態における
図1の位置検出装置において、ドグクラッチにおける2つのクラッチ構成部の軸線方向の中心線に対して位置検出装置の軸線方向の中心線がずれて配置されている図である。
【
図11】第1実施形態における
図9の位置検出装置における磁気検出素子のセンサ信号のタイミングチャート図である。
【
図12】第1実施形態における
図10の位置検出装置における磁気検出素子のセンサ信号のタイミングチャート図である。
【
図13】第2実施形態における位置検出装置を拡大した図であり、
図4に相当する図である。
【
図14】第3実施形態における位置検出装置を拡大した図であり、
図4に相当する図である。
【
図15】第4実施形態における位置検出装置を拡大した図であり、
図4に相当する図である。
【
図16】第5実施形態における位置検出装置を拡大した図であり、
図4に相当する図である。
【
図17】第6実施形態における位置検出装置を拡大した図であり、
図4に相当する図である。
【
図18】第7実施形態における位置検出装置を拡大した図であり、
図4に相当する図である。
【
図19】第8実施形態における位置検出装置を拡大した図であり、
図4に相当する図である。
【
図20】第9実施形態における位置検出装置を拡大した図であり、
図4に相当する図である。
【
図21】第9実施形態における
図20の位置検出装置において、軸線方向一方側の端面に対してドグクラッチにおける一方側のクラッチ構成部の孔部が対向し、軸線方向他方側の端面に対して他方側のクラッチ構成部の孔部が対向している状態を示す図である。
【
図22】第9実施形態における
図20の位置検出装置において、軸線方向一方側の端面に対して一方のクラッチ構成部の歯部が対向し、軸線方向他方側の端面に対して他方のクラッチ構成部の孔部が対向している状態を示す図である。
【
図23】第9実施形態における
図20の位置検出装置において、軸線方向一方側の端面に対して一方のクラッチ構成部の孔部が対向し、軸線方向他方側の端面に対して他方のクラッチ構成部の歯部が対向している状態を示す図である。
【
図24】第9実施形態における
図20の位置検出装置において、軸線方向一方側の端面に対して一方のクラッチ構成部の歯部が対向し、軸線方向他方側の端面に対して他方のクラッチ構成部の歯部が対向している状態を示す図である。
【
図25】第10実施形態における位置検出装置を拡大した図であり、
図4に相当する図である。
【
図26】第10実施形態における
図25の位置検出装置において、軸線方向一方側の端面に対して一方のクラッチ構成部の孔部が対向し、軸線方向他方側の端面に対して他方のクラッチ構成部の孔部が対向している状態を示す図である。
【
図27】第10実施形態における
図25の位置検出装置において、軸線方向一方側の端面に対して一方のクラッチ構成部の孔部が対向し、軸線方向他方側の端面に対して他方のクラッチ構成部の歯部が対向している状態を示す図である。
【
図28】第10実施形態における
図25の位置検出装置において、軸線方向一方側の端面に対して一方のクラッチ構成部の歯部が対向し、軸線方向他方側の端面に対して他方のクラッチ構成部の孔部が対向している状態を示す図である。
【
図29】第10実施形態における
図25の位置検出装置において、軸線方向一方側の端面に対して一方のクラッチ構成部の歯部が対向し、軸線方向他方側の端面に対して他方のクラッチ構成部の歯部が対向している状態を示す図である。
【
図30】第11実施形態における位置検出装置を拡大した図であり、
図4に相当する図である。
【
図31】第12実施形態における位置検出装置を拡大した図であり、
図4に相当する図である。
【
図32】第13実施形態における位置検出装置の磁束経路部の形状を拡大した図である。
【
図33】第14実施形態における位置検出装置の磁束経路部の形状を拡大した図である。
【
図34】第15実施形態における位置検出装置の磁束経路部の形状を拡大した図である。
【
図35】第16実施形態における位置検出装置の磁束経路部の形状を拡大した図である。
【
図36】第17実施形態における位置検出装置の磁束経路部の形状を拡大した図である。
【
図37】第18実施形態における位置検出装置の磁束経路部の形状を拡大した図である。
【
図38】第19実施形態における位置検出装置の磁束経路部の形状を拡大した図である。
【
図39】第20実施形態における位置検出装置の磁束経路部の形状を拡大した図である。
【
図40】第21実施形態における位置検出装置の磁束経路部の形状を拡大した図である。
【
図41】第22実施形態における位置検出装置の磁束経路部の形状を拡大した図である。
【
図42】第23実施形態における位置検出装置の磁束経路部の形状を拡大した図である。
【
図43】第24実施形態における位置検出装置の磁束経路部の形状を拡大した図である。
【
図44】第25実施形態における位置検出装置の磁束経路部の形状を拡大した図である。
【
図45】第26実施形態における動力伝達システムの全体構成を軸線を中心とする径方向外側から視た外観図であり、ドグクラッチにおける2つのクラッチ構成部が分離している状態、および磁気検出素子を示す図である。
【
図46】第26実施形態における動力伝達システムの全体構成を軸線を中心とする径方向外側から視た斜視図であり、ドグクラッチにおける2つのクラッチ構成部が分離している状態、および磁気検出素子を示す図である。
【
図47】第26実施形態における動力伝達システムの全体構成を軸線方向他方側から視た斜視図であり、ドグクラッチにおける1つのクラッチ構成部、および磁気検出素子を示す図である。
【
図48】第26実施形態において一方のクラッチ構成部の歯部と他方のクラッチ構成部の歯部とが対向し、かつ一方のクラッチ構成部の孔部と他方のクラッチ構成部の孔部とが対向した場合の、磁気検出素子のセンサ信号のタイミングチャートである。
【
図49】第26実施形態において、磁気検出素子、および2つのクラッチ構成部の配置関係と、磁気検出素子の検出部を通過する磁束の向きとを示す図である。
【
図50】第26実施形態において、磁気検出素子、および2つのクラッチ構成部の配置関係と、磁気検出素子の検出部を通過する磁束の向きとを示す図である。
【
図51】第26実施形態において、磁気検出素子、および2つのクラッチ構成部の配置関係と、磁気検出素子の検出部を通過する磁束の向きとを示す図である。
【
図52】第26実施形態において、磁気検出素子、および2つのクラッチ構成部の配置関係と、磁気検出素子の検出部を通過する磁束の向きとを示す図である。
【
図53】第26実施形態において一方のクラッチ構成部の歯部と他方のクラッチ構成部の孔部とが対向した場合の、磁気検出素子のセンサ信号のタイミングチャートである。
【
図54】第26実施形態において、磁気検出素子、および2つのクラッチ構成部の配置関係と、磁気検出素子の検出部を通過する磁束の向きとを示す図である。
【
図55】第26実施形態において、磁気検出素子、および2つのクラッチ構成部の配置関係と、磁気検出素子の検出部を通過する磁束の向きとを示す図である。
【
図56】第26実施形態において、磁気検出素子、および2つのクラッチ構成部の配置関係と、磁気検出素子の検出部を通過する磁束の向きとを示す図である。
【
図57】第26実施形態において、磁気検出素子、および2つのクラッチ構成部の配置関係と、磁気検出素子の検出部を通過する磁束の向きとを示す図である。
【
図58】第26実施形態において2つのクラッチ構成部を回転させて2つのクラッチ構成部の間の相対的な速度を変化させる際に磁気検出素子から出力されるセンサ信号のタイミングチャートである。
【
図59】第26実施形態において動力伝達システムの電気的構成を示すブロック図である。
【
図60】
図59の制御装置におけるクラッチ制御処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図61】第27実施形態における動力伝達システムの全体構成を軸線方向他方側から視た斜視図であり、ドグクラッチにおける1つのクラッチ構成部、および磁気検出素子を示す図である。
【
図62】第27実施形態において一方のクラッチ構成部の歯部と他方のクラッチ構成部の歯部とが対向し、かつ一方のクラッチ構成部の孔部と他方のクラッチ構成部の孔部とが対向した場合の、磁気検出素子のセンサ信号のタイミングチャートである。
【
図63】第27実施形態において、磁気検出素子、および2つのクラッチ構成部の配置関係と、磁気検出素子の検出部を通過する磁束の向きとを示す図である。
【
図64】第27実施形態において、磁気検出素子、および2つのクラッチ構成部の配置関係と、磁気検出素子の検出部を通過する磁束の向きとを示す図である。
【
図65】第27実施形態において、磁気検出素子、および2つのクラッチ構成部の配置関係と、磁気検出素子の検出部を通過する磁束の向きとを示す図である。
【
図66】第27実施形態において、磁気検出素子、および2つのクラッチ構成部の配置関係と、磁気検出素子の検出部を通過する磁束の向きとを示す図である。
【
図67】第27実施形態において一方のクラッチ構成部の歯部と他方のクラッチ構成部の孔部とが対向した場合の、磁気検出素子のセンサ信号のタイミングチャートである。
【
図68】第27実施形態において、磁気検出素子、および2つのクラッチ構成部の配置関係と、磁気検出素子の検出部を通過する磁束の向きとを示す図である。
【
図69】第27実施形態において、磁気検出素子、および2つのクラッチ構成部の配置関係と、磁気検出素子の検出部を通過する磁束の向きとを示す図である。
【
図70】第27実施形態において、磁気検出素子、および2つのクラッチ構成部の配置関係と、磁気検出素子の検出部を通過する磁束の向きとを示す図である。
【
図71】第27実施形態において、磁気検出素子、および2つのクラッチ構成部の配置関係と、磁気検出素子の検出部を通過する磁束の向きとを示す図である。
【
図72】第27実施形態において2つのクラッチ構成部を回転させて2つのクラッチ構成部の間の相対的な速度を変化させる際に磁気検出素子から出力されるセンサ信号のタイミングチャートである。
【
図73】第28実施形態における動力伝達システムの全体構成を軸線を中心とする径方向外側から視た外観図であり、ドグクラッチにおける2つのクラッチ構成部が分離している状態、および磁気検出素子を示す図である。
【
図74】第28実施形態における動力伝達システムの全体構成を軸線を中心とする径方向外側から視た斜視図であり、ドグクラッチにおける2つのクラッチ構成部が分離している状態、および磁気検出素子を示す図である。
【
図75】第28実施形態において一方のクラッチ構成部の歯部と他方のクラッチ構成部の歯部とが対向し、かつ一方のクラッチ構成部の孔部と他方のクラッチ構成部の孔部とが対向した場合の、磁気検出素子のセンサ信号のタイミングチャートである。
【
図76】第28実施形態において一方のクラッチ構成部の歯部と他方のクラッチ構成部の孔部とが対向し、一方のクラッチ構成部の孔部と他方のクラッチ構成部の歯部とが対向した場合の、磁気検出素子のセンサ信号のタイミングチャートである。
【
図77】第28実施形態において2つのクラッチ構成部を回転させて2つのクラッチ構成部の間の相対的な速度を変化させる際に磁気検出素子から出力されるセンサ信号のタイミングチャートである。
【
図78】第28実施形態において制御装置におけるクラッチ制御処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図79】第28実施形態において制御装置における係合判定処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図80】第29実施形態における動力伝達システムの全体構成を軸線を中心とする径方向外側から視た斜視図であり、ドグクラッチにおける2つのクラッチ構成部が分離している状態、および磁気検出素子を示す図である。
【
図81】第29実施形態において一方のクラッチ構成部の歯部と他方のクラッチ構成部の歯部とが対向し、かつ一方のクラッチ構成部の孔部と他方のクラッチ構成部の孔部とが対向した場合の、磁気検出素子のセンサ信号のタイミングチャートである。
【
図82】第29実施形態において一方のクラッチ構成部の歯部と他方のクラッチ構成部の孔部とが対向し、かつ一方のクラッチ構成部の孔部と他方のクラッチ構成部の歯部とが対向した場合の、磁気検出素子のセンサ信号のタイミングチャートである。
【
図83】第29実施形態において2つのクラッチ構成部を回転させて2つのクラッチ構成部の間の相対的な速度を変化させる際に磁気検出素子から出力されるセンサ信号のタイミングチャートである。
【
図84】他の実施形態において2つのクラッチ構成部を回転させて2つのクラッチ構成部の間の相対的な速度を変化させる際に磁気検出素子から出力されるセンサ信号のタイミングチャートである。
【
図85】他の実施形態において2つのクラッチ構成部を回転させて2つのクラッチ構成部の間の相対的な速度を変化させる際に磁気検出素子から出力されるセンサ信号のタイミングチャートである。
【
図86】他の実施形態において2つのクラッチ構成部を回転させて2つのクラッチ構成部の間の相対的な速度を変化させる際に磁気検出素子から出力されるセンサ信号のタイミングチャートである。
【
図87】第28実施形態において制御装置における係合判定処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0026】
(第1実施形態)
本第1実施形態の動力伝達システム1について
図1~
図3等を参照して説明する。
【0027】
動力伝達システム1は、
図1に示すように、ドグクラッチ10、位置検出装置20、駆動源30、アクチュエータ40、および制御装置50を備える。
【0028】
ドグクラッチ10は、クラッチ構成部11、12を備える。クラッチ構成部11は、
図1および
図2に示すように、軸線Sを中心として回転可能に構成され、複数の歯部11aと複数の孔部11bとを備える第2クラッチ構成部である。
【0029】
複数の歯部11aは、それぞれ、軸線方向一方側に凸となるように形成されている第2歯部である。軸線方向とは、軸線Sが延びる所定方向である。そして、軸線Sは、軸線方向に延びる仮想線である。複数の孔部11bは、それぞれ、軸線方向他方側に凹むように形成されている第2孔部である。
【0030】
複数の歯部11aと複数の孔部11bとは、1つずつ、軸線Sを中心とする周方向に交互に並べられている。本実施形態のクラッチ構成部11は、軸線方向に移動可能に構成されている。
【0031】
クラッチ構成部12は、クラッチ構成部11に対して軸線方向一方側に配置されている。クラッチ構成部12は、クラッチ構成部11から伝達される回転力を図示しない被伝達部に伝える。クラッチ構成部12は、軸線Sを中心として回転可能に構成され、複数の歯部12aと複数の孔部12bとを備える第1クラッチ構成部である。
【0032】
複数の歯部12aは、それぞれ、
図1および
図3に示すように、軸線方向他方側に凸となるように形成されている第1歯部である。複数の孔部12bは、それぞれ、軸線方向一方側に凹むように形成されている第1孔部である。複数の歯部12aと複数の孔部12bとは、1つずつ、軸線Sを中心とする周方向に交互に並べられている。
【0033】
本実施形態において、クラッチ構成部11、12は、それぞれ、鉄を含む磁性材料によって構成されている。すなわち、複数の歯部11aと複数の歯部12aは、それぞれ、鉄を含む磁性材料によって構成されていることになる。複数の歯部11a、複数の孔部11b、複数の歯部12a、および複数の孔部12bは、大気にさらされている。
【0034】
位置検出装置20は、後述するように、軸線Sを中心とする回転方向において、クラッチ構成部11の複数の歯部11a、複数の孔部11bとクラッチ構成部12の複数の歯部12a、複数の孔部12bとの位置関係を検出する。なお、位置検出装置20の構成の詳細について後述する。
【0035】
駆動源30は、例えば、電動モータやエンジンによって構成されて、回転力をクラッチ構成部11に与えてクラッチ構成部11を軸線Sを中心として回転させる。アクチュエータ40は、後述するように、クラッチ構成部11を軸線方向一方側、或いは軸線方向他方側に移動させる。
【0036】
本実施形態のアクチュエータ40としては、電動モータや電磁ソレノイドによって構成されている。
【0037】
制御装置50は、マイクロコンピュータやメモリ等によって構成され、駆動源30を制御する。これに加えて、制御装置50は、位置検出装置20から出力されるセンサ信号に基づいて、アクチュエータ40を制御する。
【0038】
次に、本実施形態の動力伝達システム1の作動について説明する。
【0039】
まず、ドグクラッチ10のクラッチ構成部11がクラッチ構成部12から離れた状態で、制御装置50が駆動源30を制御して駆動源30から軸線Sを中心とする回転力をクラッチ構成部11に与える。
【0040】
ここで、クラッチ構成部11がクラッチ構成部12から離れた状態では、複数の歯部11aがそれぞれ複数の孔部12bから抜けて、かつ複数の孔部11bから複数の歯部12aがそれぞれ抜けた状態なっている。
【0041】
このとき、クラッチ構成部11は、駆動源30から出力される回転力によって軸線Sを中心として回転する。
【0042】
一方、クラッチ構成部12は、図示しない他の駆動源から出力される回転力によって回転している。
【0043】
位置検出装置20は、クラッチ構成部11、12における軸線Sを中心とする回転方向の位置関係を検出して、この検出した回転方向の位置関係を示すセンサ信号を制御装置50に出力する。
【0044】
回転方向の位置関係は、クラッチ構成部11の複数の歯部11a、複数の孔部11bと、クラッチ構成部12の複数の歯部12a、複数の孔部12bとにおける回転方向の位置関係である。
【0045】
制御装置50は、位置検出装置20から出力されるセンサ信号に基づいて、次のように繰り返し判定する。
【0046】
すなわち、制御装置50は、複数の歯部11aが、それぞれ、複数の孔部12bのうちいずれかの孔部12bに対向し、かつ複数の歯部12aが、それぞれ、複数の孔部11bのうちいずれかの孔部12bに対向した状態であるか否かを判定する。
【0047】
制御装置50は、複数の歯部11aが、それぞれ、複数の孔部12bのうちいずれかの孔部12bに対向し、かつ複数の歯部12aが、それぞれ、複数の孔部11bのうちいずれかの孔部12bに対向した状態であると判定する。
【0048】
すると、制御装置50は、アクチュエータ40を制御する。これに伴って、アクチュエータ40は、制御装置50によって制御されて、クラッチ構成部11を軸線方向一方側に押し出す。このため、クラッチ構成部11は、アクチュエータ40からの駆動力によって、軸線方向一方側に移動する。
【0049】
このため、複数の歯部11aが、それぞれ、複数の孔部12bのうちいずれかの孔部12bに入り、かつ複数の歯部12aが、それぞれ、複数の孔部11bのうちいずれかの孔部12bに入った状態になる。
【0050】
このことにより、クラッチ構成部11がクラッチ構成部12に接続されることになる。このため、クラッチ構成部11の回転力がクラッチ構成部12に伝わる。よって、クラッチ構成部12がクラッチ構成部11とともに軸線Sを中心として回転する。このとき、駆動源30から出力される回転力がクラッチ構成部11およびクラッチ構成部12を通して図示しない被駆動部に伝達される。
【0051】
次に、本実施形態の位置検出装置20の構造の詳細について
図4を参照して説明する。
【0052】
本実施形態の位置検出装置20は、
図4に示すように、磁石60、ヨーク70、および磁気検出素子80を備える。
【0053】
磁石60は、クラッチ構成部11、12に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置されている。本実施形態の磁石60は、面61、62を含む6つの面を備える立方体に形成されている永久磁石である。
【0054】
磁石60は、その面61が軸線方向他方側に向き、かつ面62が軸線方向一方側に向いた状態で配置されている。本実施形態の磁石60は、磁界発生部を構成する。
【0055】
面61、62には、互いに異なる磁極が着磁されている第1磁極部、第2磁極部である。本実施形態では、面61は、S極が形成されている第2磁極部を構成する。面62は、N極が形成されている第1磁極部である。
【0056】
ヨーク70は、磁束経路部71、72を備える。磁束経路部71は、クラッチ構成部11に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置されている。磁束経路部71は、クラッチ構成部11と磁石60の面61(すなわち、S極)との間で磁束を通過させる第2磁束経路部を構成する。
【0057】
磁束経路部72は、クラッチ構成部12に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置されている。磁束経路部72は、クラッチ構成部12と磁石60の面62(すなわち、N極)との間で磁束を通過させる第1磁束経路部を構成する。
【0058】
磁束経路部72は、径方向経路部72a、および突出経路部72bを備える。径方向経路部72aは、クラッチ構成部12の歯部12a、或いは孔部12bに対向する第1端面としての端面72cを備え、端面72cから軸線Sを中心とする径方向外側に亘って形成されている。
【0059】
突出経路部72bは、径方向経路部72aのうち径方向外側端部から軸線方向他方側に突出する。突出経路部72bの先端側は、磁石60の面61に接触している。
【0060】
磁束経路部71は、クラッチ構成部11に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置されている。磁束経路部71は、クラッチ構成部11と磁石60の面61(すなわち、S極)との間で磁束を通過させる磁束経路を構成する。
【0061】
磁束経路部71は、径方向経路部71a、および突出経路部71bを備える。径方向経路部71aは、クラッチ構成部12の歯部11a、或いは孔部11bに対向する第2端面としての端面71cを備え、端面71cから軸線Sを中心とする径方向外側に亘って形成されている。
【0062】
突出経路部71bは、径方向経路部71aのうち径方向外側端部から軸線方向一方側に突出する。突出経路部71bの先端側は、磁石60の面61に接触している。磁気検出素子80は、クラッチ構成部11、12に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置されている。磁気検出素子80は、磁束経路部71、72の間に配置されている。
【0063】
このことにより、磁気検出素子80は、クラッチ構成部11の複数の歯部11a、および複数の孔部11bのうちいずれかに対向する。
【0064】
磁気検出素子80は、磁束の向きを検出する検出部と、この検出部で検出される磁束の向きを示すセンサ信号を出力する検出回路とを備える。具体的には、検出部は、軸線方向(例えば、紙面の横方向)の磁束密度を検出するホール素子と、軸線Sを中心とする径方向(例えば、紙面の縦方向)の磁束密度を検出するホール素子とを備える。
【0065】
以下、説明の便宜上、軸線方向の磁束密度を検出するホール素子をX軸ホール素子とし、軸線Sを中心とする径方向の磁束密度を検出するホール素子をY軸ホール素子とする。
【0066】
本実施形態の磁気検出素子80の検出部では、X軸ホール素子で検出される磁束密度をXとし、Y軸ホール素子で検出される磁束密度をYとし、Y/X=tanθとしたときに求められる角度θを検出部を通過する磁束の向きとする。
【0067】
磁気検出素子80の検出回路は、X軸ホール素子の検出値とY軸ホール素子の検出値とに基づいて、磁束の向きを示すセンサ信号を出力する。
【0068】
次に、本実施形態の位置検出装置20の作動について
図5、
図6、
図7、
図8を参照して説明する。
【0069】
まず、駆動源30がクラッチ構成部11に与える回転速度を変化させてクラッチ構成部11、12のうち一方のクラッチ構成部に対する他方のクラッチ構成部の相対速度が変化する。すると、軸線Sを中心とする回転方向において、クラッチ構成部11、12の位置関係は、例えば、
図5、
図6、
図7、
図8の如く、変化する。
【0070】
図5は、ヨーク70の端面72cが複数の孔部12bのうち1つの孔部12bに対向し、かつヨーク70の端面71cが複数の孔部11bのうち1つの孔部11bに対向した状態である。
【0071】
図5では、磁気検出素子80が、上記1つの孔部11bと上記1つの孔部12bとに対向している。
【0072】
図5の場合、磁石60のN極を通過した磁束は、各矢印に示すように、磁束経路部72、上記1つの孔部12b、上記1つの孔部11b、および磁束経路部71を通って磁石60のS極に向かう。
【0073】
このとき、磁束経路部72から磁気検出素子80を通過して磁束経路部71に向かう磁束も生じる。この場合、磁気検出素子80で検出される磁束は、矢印Aの如く、軸線方向他方側に向く。
【0074】
図6は、ヨーク70の端面72cが複数の歯部12aのうち1つの歯部12aに対向し、かつヨーク70の端面71cが複数の孔部11bのうち1つの孔部11bに対向した状態である。
【0075】
図6では、磁気検出素子80が、上記1つの歯部11aと上記1つの孔部11bとに対向している。
【0076】
図6の場合、磁石60のN極を通過した磁束は、各矢印に示すように、磁束経路部72、上記1つの歯部12a、上記1つの孔部11b、および磁束経路部71を通過して磁石60のS極に向かう。
【0077】
このとき、磁束経路部72から磁気検出素子80を通過して磁束経路部71に向かう磁束も生じる。さらに、上記1つの歯部12aから磁気検出素子80を通過して磁束経路部71に向かう磁束も生じる。
【0078】
この場合、磁気検出素子80の検出部で検出される磁束の向きは、上記1つの歯部12aの影響によって、矢印Bのようになる。矢印Bは、矢印Aが反時計回りに回転して径方向外側に傾いた向きである。
【0079】
図7は、ヨーク70の端面72cが複数の孔部12bのうち1つの孔部12bに対向し、かつヨーク70の端面71cが複数の歯部11aのうち1つの歯部11aに対向した状態である。
【0080】
図7では、磁気検出素子80が、上記1つの歯部11aと上記1つの孔部12bとに対向している。
【0081】
図7の場合、磁石60のN極を通過した磁束は、各矢印に示すように、磁束経路部72、上記1つの孔部12b、上記1つの歯部11a、および磁束経路部71を通過して磁石60のS極に向かう。
【0082】
このとき、磁束経路部72から磁気検出素子80を通過して磁束経路部71に向かう磁束も生じる。これに加えて、磁気検出素子80から上記1つの歯部11aに向かう磁束も生じる。
【0083】
この場合、磁気検出素子80で検出される磁束の向きは、上記1つの歯部11aの影響によって、矢印Cのようになる。矢印Cは、矢印Aが時計回りに回転して径方向内側に傾いた向きである。
【0084】
図8は、ヨーク70の端面72cが複数の歯部12aのうち1つの歯部12aに対向し、かつヨーク70の端面71cが複数の歯部11aのうち1つの歯部11aに対向した状態である。
【0085】
図8では、磁気検出素子80が、上記1つの歯部11aと上記1つの歯部12aとに対向している。
【0086】
図8の場合、磁石60のN極を通過した磁束は、各矢印に示すように、磁束経路部72、上記1つの歯部12a、上記1つの歯部11a、および磁束経路部71を通過して磁石60のS極に向かう。
【0087】
このとき、磁束経路部72から磁気検出素子80を通過して磁束経路部71に向かう磁束も生じる。この場合、磁気検出素子80の検出部で検出される磁束の向きは、矢印Aの如く、軸線方向他方側になる。
【0088】
本実施形態では、
図5、
図8に示すように、磁気検出素子80の検出部で検出される磁束の向きが矢印Aのようになる場合には、磁気検出素子80は、信号レベルSaのセンサ信号を出力する。
【0089】
図6に示すように、磁気検出素子80の検出部を通過する磁束の向きが矢印Bのようになる場合には、磁気検出素子80は、信号レベルSbのセンサ信号を出力する。
【0090】
図7に示すように、磁気検出素子80を通過する磁束の向きが矢印Cのように場合には、磁気検出素子80は、信号レベルScのセンサ信号を出力する。
【0091】
本実施形態では、信号レベルSa、信号レベルSb、信号レベルScは、それぞれ異なる値に設定されている。
【0092】
したがって、磁気検出素子80が信号レベルSbのセンサ信号を制御装置50に出力する。或いは、磁気検出素子80が信号レベルScのセンサ信号を制御装置50に出力する。
【0093】
すると、制御装置50は、複数の歯部11aが複数の孔部12bのうちいずれか1つの孔部12bに対向し、かつ複数の歯部12aが複数の孔部11bのうちいずれか1つの孔部11bに対向した状態であると判定する。
【0094】
この場合、制御装置50は、アクチュエータ40を制御して、アクチュエータ40からクラッチ構成部11を軸線方向一方側に押し出す駆動力を与える。このため、クラッチ構成部11は、アクチュエータ40からの駆動力によって、軸線方向一方側に移動する。
【0095】
このため、複数の歯部11aが、それぞれ、複数の孔部12bのうちいずれかの孔部12bに入り、かつ複数の歯部12aが、それぞれ、複数の孔部11bのうちいずれかの孔部12bに入った状態になる。すなわち、クラッチ構成部11がクラッチ構成部12に接続されることになる。
【0096】
以上説明した本実施形態によれば、動力伝達システム1は、クラッチ構成部11、12を有するドグクラッチ10、および位置検出装置20を備える。
【0097】
クラッチ構成部11は、軸線Sを中心として回転可能に構成され、軸線方向一方側に凸となる複数の歯部11aと軸線方向他方側に凹む複数の孔部11bとが軸線Sを中心とする周方向に1つずつ交互に並べられている。
【0098】
クラッチ構成部12は、クラッチ構成部11に対して軸線方向一方側に配置され、軸線Sを中心として回転可能に構成され、軸線方向他方側に凸となる歯部12aと軸線方向一方側に凹む孔部12bとが軸線Sを中心とする周方向に交互に並べられている。
【0099】
制御装置50は、駆動源30がクラッチ構成部11を軸線Sを中心として回転させた状態で、歯部11aが孔部12bに対向し、かつ孔部11b内に歯部12aが対向したとき、アクチュエータ40がクラッチ構成部11をクラッチ構成部12側に移動させる。
【0100】
このことにより、歯部11aが孔部12bに入り、かつ孔部11b内に歯部12aが入り、クラッチ構成部11がクラッチ構成部12に連結される。このため、駆動源30から出力される回転力がクラッチ構成部11からクラッチ構成部12に伝達される。
【0101】
磁気検出素子80は、歯部11aが孔部12bに対向し、かつ孔部11b内に歯部12aが対向している状態であるか否かを判別するために、軸線Sを中心とする回転方向において、クラッチ構成部11、12の位置関係を検出する。
【0102】
位置検出装置20は、クラッチ構成部11、12に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置され、互いに異なる極性であるS極、N極を形成する面61、62を有する磁石60と、ヨーク70と、磁気検出素子80とを備える。
【0103】
ヨーク70は、磁束経路部71、72を備える。磁束経路部71は、歯部11a或いは孔部11bに対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置される端面72cを有し、磁石60の面62から端面71cに向かう磁束を通過させる。
【0104】
磁束経路部72は、歯部12a或いは孔部12bに対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置される端面71cを有し、かつ端面71cから磁石60の面61に向かう磁束を通過させる。
【0105】
磁気検出素子80は、クラッチ構成部11、12に対して軸線Sを中心とする径方向外側にて磁束経路部71、72の間に設けられている。磁気検出素子80は、磁束を検出するための検出部を構成し、検出部で検出される磁束の向きを示すセンサ信号を出力する。
【0106】
ドグクラッチ10の複数の歯部11aおよび複数の歯部12aは、それぞれ、鉄を含む磁性材料によって構成されている。ドグクラッチ10の複数の歯部12a、複数の孔部11b、複数の歯部12a、および複数の孔部12bは、大気にさらされている。このため、複数の孔部11bおよび複数の孔部12bには、空気が収容されている。
【0107】
このことにより、複数の歯部11aは、複数の孔部11bに比べて透磁率が大きい。複数の歯部12aは、複数の孔部12bに比べて透磁率が大きい。
【0108】
磁気検出素子80の検出部で検出される磁束の向きは、軸線Sを中心とする回転方向において、クラッチ構成部11、12の位置関係によって変化する。
【0109】
歯部11aが歯部12aに対向し、かつ端面71cが歯部11aに対向し、さらに端面72cが歯部12aに対向した状態では、磁気検出素子80は、
図5中矢印Aの如く検出部で検出される磁束の向きを示す信号レベルSaのセンサ信号を出力する。
【0110】
孔部11bが孔部12bに対向し、かつ端面71cが孔部11bに対向し、端面72cが孔部12bに対向した状態では、磁気検出素子80は、検出部を
図8中矢印Aの如く通過する磁束の向きを示す信号レベルSaのセンサ信号を出力する。
【0111】
孔部11bが歯部12aに対向し、かつ端面71cが孔部11bに対向し、さらに端面72cが歯部12aに対向した状態では、磁気検出素子80は、検出部を
図6中矢印Bの如く通過する磁束の向きを示す信号レベルSbのセンサ信号を出力する。
【0112】
歯部11aが孔部12bに対向し、かつ端面71cが歯部11aに対向し、さらに端面72cが第2孔部に対向した状態では、磁気検出素子80は、検出部を
図7中矢印Cの如く通過する磁束の向きを示す信号レベルScのセンサ信号を出力する。
【0113】
磁束の向きであるA矢印、B矢印、C矢印は、それぞれ、異なる向きである。信号レベルSa、信号レベルSb、信号レベルScは、それぞれ異なる値に設定されている。以上により、軸線Sを中心とする回転方向において、クラッチ構成部11、12の位置関係を検出する位置検出装置20を提供することができる。
【0114】
これにより、制御装置50が磁気検出素子80から出力されるセンサ信号に基づいてアクチュエータ40を介してクラッチ構成部11を制御すれば、クラッチ構成部11、12を正常に噛み合わせることができる。よって、歯部11a、12aが衝突することにより生じる破損や打音の発生を未然に抑えることができる。
【0115】
本実施形態では、1つの磁石60を用いて位置検出装置20を構成するため、複数の磁石60を用いて位置検出装置20を構成する場合に比べて、低コスト化が可能である。
【0116】
本実施形態では、制御装置50は、磁気検出素子80で検出する磁束の向きによって、クラッチ構成部11、12の位置関係を判定する。このため、ドグクラッチ10に対して位置検出装置2が離れて磁気検出素子80を通過する磁束密度が小さくなっても、クラッチ構成部11、12の位置関係を良好に判定することができる。
【0117】
本実施形態では、磁石60、ヨーク70、および磁気検出素子80からなる1つの位置検出装置20を用いて、クラッチ構成部11、12の位置関係を判定する。このため、クラッチ構成部11、12の間の間隔が狭い動力伝達システム1においても、位置検出装置20を適用して磁気検出素子80を通過する磁束の向きを良好に検出することができる。
【0118】
これに加えて、位置検出装置20の小型化、低コスト化、ひいては動力伝達システム1の小型化、低コスト化を実現することができる。
【0119】
本実施形態では、1つの位置検出装置20を用いるため、演算などの処理を実施することなく、クラッチ構成部11、12の位置関係を判定することができる。このため、制御装置50がアクチュエータ40を制御する際の応答性を向上することができる。
【0120】
本実施形態では、
図9に示すように、位置検出装置20の軸線方向の中心線Tに対して歯部11a、12aが線対称になるように配置されている。中心線Tとは、位置検出装置20のうち軸線方向の中間点を通過して軸線Sを中心とする径方向に延びる仮想線である。この場合、磁気検出素子80のセンサ信号は、
図11に示すように、基準電圧Vkを基準として振幅する波形になる。
【0121】
これに対して、
図10に示すように、クラッチ構成部11、12の間の軸線方向の中心線Zに対して位置検出装置20の軸線方向の中心線Tが軸線方向一方側にずれた場合には、磁気検出素子80のセンサ信号は、
図12に示すようになる。中心線Zは、クラッチ構成部11、12の間の軸線方向の中間点を通過して軸線Sを中心とする径方向に延びる仮想線である。
【0122】
図12の磁気検出素子80のセンサ信号は、基準電圧Vfを基準として振幅する波形になる。基準電圧Vfは、オフセット値ΔVを基準電圧Vkに足した電圧値である。
【0123】
つまり、クラッチ構成部11、12の間の中心線Zに対して位置検出装置20の中心線Tが軸線方向にオフセットしても、磁気検出素子80のセンサ信号は、磁気検出素子80のセンサ信号の波形が電圧の大小方向にオフセットするだけである。
【0124】
ドグクラッチ10の組み付けやクラッチ構成部11、12の変位が起因して、歯部11a、12aの間の軸線方向の中心線Zに対して位置検出装置20の中心線Tが軸線方向にずれた場合でも、センサ信号の波形の振幅は、同じである。このため、制御装置50は、磁気検出素子80のセンサ信号に基づいて、クラッチ構成部11、12の位置関係を検出することができる。
【0125】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、1つの磁石60を用いて位置検出装置20を構成した例について説明したが、これに代えて、2つの磁石60を用いて位置検出装置20を構成する本第2実施形態について
図13を参照して説明する。本実施形態では、説明の便宜上、2つの磁石60のうち一方の磁石を第1磁石としての磁石60Aとし、他方の磁石を第2磁石としての磁石60Bとする。
【0126】
本実施形態の位置検出装置20は、
図13に示すように、磁石60A、60B、ヨーク70、および磁気検出素子80を備える。
【0127】
磁石60A、60Bは、それぞれ、クラッチ構成部11、12に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置されている。磁石60Aは、磁石60Bに対して軸線方向一方側に配置されている。磁石60A、60Bは、それぞれ、面61、62を含む6つの面を備える立方体に形成されている。
【0128】
磁石60Aの面62が軸線Sを中心とする径方向内側に配置され、磁石60Aの面61が軸線Sを中心とする径方向外側に配置されている。磁石60Bの面61が軸線Sを中心とする径方向内側に配置され、磁石60Bの面62が軸線Sを中心とする径方向外側に配置されている。
【0129】
本実施形態では、磁石60A、60Bのそれぞれの面62は、N極を形成する。つまり、磁石60A、60Bのそれぞれの面62は、互いに同一の極性を有していることになる。
【0130】
磁石60A、60Bのそれぞれの面61は、S極を形成する。
【0131】
つまり、磁石60A、60Bのそれぞれの面61は、互いに同一の極性を有していることになる。磁石60Aおよび軸線Sの間の距離と磁石60Bおよび軸線Sの間の距離とがほぼ同じになるように磁石60A、60Bが配置されている。
【0132】
本実施形態の磁石60A、60Bは、ヨーク70の磁束経路部75とともに、磁界発生部を構成する。磁石60Aの面62は、第1磁極部を構成し、磁石60Aの面61は、第3磁極部を構成する。磁石60Bの面61は、第2磁極部を構成し、磁石60Bの面62は、第4磁極部を構成する。
【0133】
ヨーク70は、磁束経路部73、74、75を備える。磁束経路部73は、クラッチ構成部11に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置されている。磁束経路部73は、クラッチ構成部11と磁石60Bの面61(すなわち、S極)との間で磁束を通過させる第2磁束経路部を構成する。
【0134】
磁束経路部73は、クラッチ構成部11の歯部11a、或いは孔部11bに対向する第2端面としての端面73aを備える。磁束経路部73は、端面73aから軸線Sを中心とする径方向外側に亘って形成されている。
【0135】
磁束経路部74は、クラッチ構成部12に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置されている。磁束経路部74は、クラッチ構成部12と磁石60Aの面62(すなわち、N極)との間で磁束を通過させる第1磁束経路部を構成する。
【0136】
磁束経路部74は、クラッチ構成部12の歯部12a、或いは孔部12bに対向する端面74aを備える。磁束経路部74は、端面74aから軸線Sを中心とする径方向外側に亘って形成されている。
【0137】
磁束経路部75は、磁束経路部74、73、磁石60A、60Bに対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置されている。磁束経路部75は、磁石60Aの面61および磁石60Bの面62の間で磁束を通過させる第3磁束経路部を構成する。
【0138】
具体的には、磁束経路部75は、軸線経路75a、および突出部75b、75cを備える。軸線経路75aは、 磁石60Aの面61および磁石60Bの面62の間で軸線方向に亘って形成されている。
【0139】
突出部75bは、軸線経路75aのうち軸線方向一方側端部から磁石60Aの面61に向けて突出する。突出部75cは、軸線経路75aのうち軸線方向他方側端部から磁石60Bの面62に向けて突出する。
【0140】
磁気検出素子80は、磁束経路部73、74の間に配置されている。このことにより、磁気検出素子80は、クラッチ構成部11の複数の歯部11a、および複数の孔部11bのうちいずれかに対向する。これに加えて、磁気検出素子80は、クラッチ構成部12の複数の歯部12a、および複数の孔部12bのうちいずれかに対向する。
【0141】
本実施形態の磁気検出素子80は、磁束経路部73、74の間で通過する磁束の向きを検出する検出部を構成し、検出部を通過する磁束の向きを示すセンサ信号を出力する。本実施形態の磁気検出素子80としては、上記第1実施形態と同様に、2つのホール素子によって構成されている。
【0142】
このように構成される本実施形態と上記第1実施形態とでは、ヨーク70の構成、および磁石の個数が相違するものの、位置検出装置20によって構成される磁気回路は、実質的に同様となる。
【0143】
このため、磁気検出素子80は、以下(a)(b)(c)(d)の如く、軸線Sを中心とする回転方向におけるクラッチ構成部11、12の位置関係を示すセンサ信号を制御装置50に出力する。
【0144】
(a)ヨーク70の端面74aが複数の孔部12bのうち1つの孔部12bに対向し、かつヨーク70の端面73aが複数の孔部11bのうち1つの孔部11bに対向した状態では、
図5の場合と実質的に同様に、磁気回路が作動する。
【0145】
この場合、磁気検出素子80が、上記1つの孔部11bと上記1つの孔部12bとに対向している。
【0146】
このとき、磁石60AのN極を通過した磁束は、磁束経路部74、上記1つの孔部12b、上記1つの孔部11b、および磁束経路部73を通過して磁石60BのS極に向かう。磁石60BのS極を通過した磁束は、磁束経路部75、磁石60AのS極を通過して磁石60AのN極に向かう。
【0147】
この際に、磁束経路部74から磁気検出素子80を通過して磁束経路部73に向かう磁束も生じる。この場合、磁気検出素子80の検出部を通過する磁束の向きは、
図5の矢印Aと同様に、軸線方向他方側に向く。このため、磁気検出素子80は、信号レベルSaのセンサ信号を出力する。
【0148】
(b)ヨーク70の端面74aが複数の歯部12aのうち1つの歯部12aに対向し、かつヨーク70の端面73aが複数の孔部11bのうち1つの孔部11bに対向した状態では、
図6の場合と実質的に同様に、磁気回路が作動する。
【0149】
この場合、磁気検出素子80が、上記1つの歯部12aと上記1つの孔部11bとに対向している。
【0150】
このとき、磁石60AのN極を通過した磁束は、磁束経路部74、上記1つの歯部12a、上記1つの孔部11b、および磁束経路部73を通過して磁石60BのS極に向かう。磁石60BのS極を通過した磁束は、磁束経路部75、磁石60AのS極を通過して磁石60AのN極に向かう。
【0151】
この際に、磁束経路部74から磁気検出素子80を通過して磁束経路部73に向かう磁束も生じる。上記1つの歯部12aから磁気検出素子80を通過して磁束経路部73に向かう磁束も生じる。
【0152】
この場合、磁気検出素子80の検出部を通過する磁束の向きは、上記1つの歯部12aの影響によって、
図6の矢印Bと同様に、矢印Aに対して反時計回りに回転した向きになる。このため、磁気検出素子80は、信号レベルSbのセンサ信号を出力する。
【0153】
(c)ヨーク70の端面74aが複数の孔部12bのうち1つの孔部12bに対向し、かつヨーク70の端面73aが複数の歯部11aのうち1つの歯部11aに対向した状態では、
図7の場合と実質的に同様に、磁気回路が作動する。
【0154】
このとき、磁気検出素子80が、上記1つの歯部11aと上記1つの孔部12bとに対向している。
【0155】
この際に、磁石60AのN極を通過した磁束は、磁束経路部74、上記1つの孔部12b、上記1つの歯部11a、および磁束経路部73を通過して磁石60BのS極に向かう。磁石60BのS極を通過した磁束は、磁束経路部75、磁石60AのS極を通過して磁石60AのN極に向かう。
【0156】
これに加えて、磁束経路部74から磁気検出素子80を通過して上記1つの歯部11aに向かう磁束も生じる。
【0157】
この場合、磁気検出素子80の検出部を通過する磁束の向きは、
図7の矢印Cと同様に、上記1つの歯部11aの影響によって、矢印Aに対して時計回りに回転した向きになる。このため、磁気検出素子80は、信号レベルScのセンサ信号を出力する。
【0158】
(d)ヨーク70の端面74aが複数の歯部12aのうち1つの歯部12aに対向し、かつヨーク70の端面73aが複数の歯部11aのうち1つの歯部11aに対向した状態では、
図8の場合と実質的に同様に、磁気回路が作動する。
【0159】
このとき、磁気検出素子80が、上記1つの歯部11aと上記1つの歯部12aとに対向している。
【0160】
この際に、磁石60AのN極を通過した磁束は、磁束経路部74、上記1つの歯部12a、上記1つの歯部11a、および磁束経路部73を通過して磁石60BのS極に向かう。磁石60BのS極を通過した磁束は、磁束経路部75、磁石60AのS極を通過して磁石60AのN極に向かう。
【0161】
これに加えて、磁束経路部74から磁気検出素子80を通過して磁束経路部73に向かう磁束も生じる。この場合、磁気検出素子80の検出部を通過する磁束の向きは、
図8の矢印Aと同様に、軸線方向他方側になる。このため、磁気検出素子80は、信号レベルSaのセンサ信号を出力する。
【0162】
以上説明した本実施形態では、信号レベルSa、信号レベルSb、信号レベルScは、それぞれ異なる値に設定されている。したがって、磁気検出素子80が信号レベルSbのセンサ信号、或いは信号レベルScのセンサ信号を制御装置50に出力する。
【0163】
すると、制御装置50は、複数の歯部11aが複数の孔部12bのうちいずれか1つの孔部12bに対向し、かつ複数の歯部12aが複数の孔部11bのうちいずれか1つの孔部11bに対向した状態であると判定する。
【0164】
以上により、軸線Sを中心とする回転方向において、クラッチ構成部11、12の位置関係を検出する位置検出装置20を提供することができる。
【0165】
本実施形態では、2つの磁石60A、60Bを用いて位置検出装置20を構成するため、上記第1実施形態に比べて、磁気検出素子80で検出される磁束密度が増加する。このため、位置検出装置20のロバスト性を高めることができる。ここで、ロバスト性とは、外乱の影響よって出力が変化することを阻止する性能のことである。
【0166】
本実施形態では、2つの磁石60A、60Bを用いて位置検出装置20を構成するため、上記第1実施形態の位置検出装置20で用いる磁石60に比べて、磁石60A、60Bのそれぞれの体格を小さくすることができる。よって、位置検出装置20の小型化を図ることができる。
【0167】
(第3実施形態)
本第3実施形態では、上記第2実施形態の位置検出装置20のヨーク70の磁束経路部73、74において、磁気検出素子80側に突出する突出部73d、74dを設けた例について説明する。
【0168】
本実施形態と上記第2実施形態とは、位置検出装置20のヨーク70の磁束経路部73、74の構成は主に相違するだけで、その他の構成は、共通である。
【0169】
そこで、以下、本実施形態と上記第2実施形態との相違点である位置検出装置20のヨーク70の磁束経路部73、74について
図14を参照して主に説明する。
【0170】
位置検出装置20のヨーク70の磁束経路部73には、突出部73dが設けられている。
【0171】
具体的には、磁束経路部73は、磁束径方向経路部73eと突出部73dとを備える。磁束径方向経路部73eは、端面73aから軸線Sを中心とする径方向外側に亘って形成される第2経路構成部である。突出部73dは、磁束径方向経路部73eのうち軸線Sを中心とする径方向内側端部から磁気検出素子80側に突出する第2突出部である。
【0172】
本実施形態の突出部73dは、磁気検出素子80を通過する磁束を磁束径方向経路部73eに導く役割を果たす。
【0173】
位置検出装置20のヨーク70の磁束経路部74には、突出部74dが設けられている。 具体的には、磁束経路部74は、磁束径方向経路部74eと突出部74dを備える。磁束径方向経路部74eは、端面74aから軸線Sを中心とする径方向外側に亘って形成される第1経路構成部である。突出部74dは、磁束径方向経路部74eのうち軸線Sを中心とする径方向内側端部から磁気検出素子80に突出する第1突出部である。
【0174】
本実施形態の突出部74dは、磁束径方向経路部74eを通過した磁束を磁気検出素子80に導く役割を果たす。
【0175】
以上説明した本実施形態によれば、磁気検出素子80は、上記第2実施形態と同様に、(a)(b)(c)(d)の如く、軸線Sを中心とする回転方向において、クラッチ構成部11、12の位置関係を示すセンサ信号を制御装置50に出力する。
【0176】
本実施形態の位置検出装置20のヨーク70の磁束経路部73、74には、上述の如く、突出部73d、74dが設けられている。磁気検出素子80は、突出部73d、74dの間に挟まれている。突出部74dは、磁束径方向経路部74eを通過した磁束を磁気検出素子80に導く。突出部73dは、磁気検出素子80を通過する磁束を磁束径方向経路部73eに導く。
【0177】
本実施形態では、上述の如く、ヨーク70に突出部73d、74dが設けられている。このため、クラッチ構成部11、12の回転方向の位置関係が(a)(d)の場合には、磁気検出素子80の検出部を通過する磁束の向きを、軸線方向(例えば、紙面の横方向)に高精度に近づけることができる。
【0178】
このため、クラッチ構成部11、12の回転方向の位置関係が(a)(d)の場合に磁気検出素子80で検出される磁束の向きを、磁気検出素子80のX軸ホール素子の磁束検出向きに、高精度に近づけることになる。
【0179】
これにより、(a)(d)の場合に、上記第1実施形態に比べて、磁気検出素子80をX軸ホール素子の磁束検出向きに通過する磁束を増大させることができる。このため、(b)の場合に磁気検出素子80で検出される磁束の向きに対して歯部12aから大きな影響を与えることができる。(c)の場合に磁気検出素子80で検出される磁束の向きに対して歯部11aから大きな影響を与えることができる。
【0180】
したがって、磁気検出素子80で磁束の向きを検出する上でX軸ホール素子の磁束検出の向きを基準とすると、クラッチ構成部11、12の位置関係の変化に伴って磁気検出素子80で検出される磁束の向きの変化を大きくすることができる。
【0181】
これに加えて、本実施形態では、上述の如く、ヨーク70に突出部73d、74dが設けられている。このため、磁束経路部74、73の間で磁気検出素子80を通過する磁束密度を大きくすることができる。
【0182】
以上により、磁気検出素子80、ひいては、位置検出装置20のロバスト性を向上することができる。
【0183】
(第4実施形態)
本第4実施形態では、上記第2実施形態の位置検出装置20のヨーク70の磁束経路部73、74において、間隔90a、90bを介して磁気検出素子80に対向する対向面73b、74bを設けた例について
図15を参照して説明する。
【0184】
本実施形態と上記第2実施形態とは、位置検出装置20のヨーク70の磁束経路部73、74の構成が主に相違するだけで、その他の構成は、共通である。
【0185】
そこで、以下、本実施形態と上記第2実施形態との間の相違点である位置検出装置20のヨーク70の磁束経路部73、74について
図15を参照して主に説明する。
【0186】
本実施形態の磁束経路部74には、間隔90aを介して磁気検出素子80のうち軸線方向一方側に対向する第1対向面としての対向面74bが設けられている。対向面74bは、軸線Sを中心とする径方向内側から径方向外側に近づくことほど軸線方向一方側から軸線方向他方側に向かうように形成されている。このことにより、対向面74bは、軸線Sを中心とする径方向に対して傾斜するように形成されている。対向面74bと端面74aとが接続されて角部を構成する。
【0187】
磁束経路部73には、間隔90bを介して磁気検出素子80のうち軸線方向一方側に対向する第2対向面としての対向面73bが設けられている。対向面73bは、軸線Sを中心とする径方向内側から径方向外側に近づくことほど軸線方向他方側から一方側に向かうように形成されている。このことにより、対向面73bは、軸線Sを中心とする径方向に対して傾斜するように形成されている。対向面73bと端面73aとが接続されて角部を構成する。
【0188】
なお、本実施形態では、軸線Sを中心とする径方向において磁束経路部73のうち対向面73bが占める割合が磁束経路部73のうち対向面73b以外の残りの領域73cが占める割合に比べて大きくなっている。
【0189】
軸線Sを中心とする径方向において磁束経路部74のうち対向面74bが占める割合が磁束経路部74のうち対向面74b以外の残りの領域74cが占める割合に比べて大きくなっている。
【0190】
以上説明した本実施形態によれば、磁気検出素子80は、上記第2実施形態と同様に、(a)(b)(c)(d)の如く、クラッチ構成部11、12の回転方向の位置関係を示すセンサ信号を制御装置50に出力する。以上により、クラッチ構成部11、12における回転方向の位置関係を検出する位置検出装置20を提供することができる。
【0191】
本実施形態では、上述の如く、磁束経路部74に対向面74bを設け、かつ磁束経路部73に対向面73bを設けている。このため、対向面74bから磁気検出素子80を通して対向面73bを通過する磁束を発生させることができる。
【0192】
このため、クラッチ構成部11、12の回転方向の位置関係が(a)(d)の場合に磁気検出素子80で検出される磁束の向きを、磁気検出素子80のX軸ホール素子の磁束検出向きに、高精度に近づけることになる。
【0193】
これにより、(a)(d)の場合に、上記第1実施形態に比べて、磁気検出素子80をX軸ホール素子の磁束検出向きに通過する磁束を増大させることができる。このため、上記第3実施形態と同様に、(b)(c)の場合に磁気検出素子80で検出される磁束の向きに対して歯部12a、あるいは歯部11aから大きな影響を与えることができる。
このため、上記第3実施形態と同様に、磁気検出素子80で磁束の向きを検出する上でX軸ホール素子の磁束検出の向きを基準とすると、クラッチ構成部11、12の位置関係の変化に伴って磁気検出素子80で検出される磁束の向きの変化を大きくすることができる。以上により、磁気検出素子80、ひいては位置検出装置20のロバスト性を向上することができる。
(第5実施形態)
上記4実施形態では、軸線Sを中心とする径方向において磁束経路部73、74のうち対向面73b、74bが占める割合が磁束経路部73のうち対向面73b、74b以外の残りの領域73c、73cが占める割合に比べて大きくした例について説明した。
【0194】
これに代えて、軸線Sを中心とする径方向において磁束経路部73、74のうち対向面73b、74bが占める割合が磁束経路部73のうち対向面73b、74b以外の残りの領域73c、73cが占める割合に比べて小さくした本第5実施形態について説明する。
【0195】
本実施形態と上記第4実施形態とは、
図16に示すように、位置検出装置20のヨーク70の磁束経路部73、74の対向面73b、74bが相違するだけで、その他の構成は、共通である。
【0196】
(第6実施形態)
上記5実施形態では、磁石60A、磁石60Bを用いて位置検出装置20を構成する例について説明したが、これに代えて、1つの磁石60を用いて位置検出装置20を構成する本第6実施形態について
図17を参照して説明する。
【0197】
本実施形態と上記5実施形態とは、位置検出装置20のヨーク70の構成が相違するだけで、その他の構成は共通である。
【0198】
本実施形態の位置検出装置20のヨーク70は、上記第1実施形態と同様に、磁束経路部71、72を備える。
【0199】
本実施形態のヨーク70の磁束経路部71は、上記5実施形態の対向面73bに対応する第2対向面としての対向面71dが設けられている。
【0200】
対向面71dは、間隔90b介して磁気検出素子80のうち軸線方向他方側に対向する。対向面71dは、軸線Sを中心とする径方向内側から径方向外側に近づくことほど軸線方向他方側から軸線方向一方側に向かうように形成されている。このことにより、対向面71dは、軸線Sを中心とする径方向に対して傾斜するように形成されている。
【0201】
本実施形態のヨーク70の磁束経路部72は、上記5実施形態の対向面74bに対応する第1対向面としての対向面72dが設けられている。対向面72dは、間隔90aを介して磁気検出素子80のうち軸線方向一方側に対向する。
【0202】
対向面72dは、軸線Sを中心とする径方向内側から径方向外側に近づくことほど軸線方向一方側から軸線方向他方側に向かうように形成されている。このことにより、対向面72dは、軸線Sを中心とする径方向に対して傾斜するように形成されている。
【0203】
このため、本実施形態によれば、対向面72dから磁気検出素子80を通して対向面71dを通過する磁束を発生させることができる。このため、クラッチ構成部11、12の回転方向の位置関係が(a)(d)の場合に磁気検出素子80で検出される磁束の向きを、磁気検出素子80のX軸ホール素子の磁束検出向きに、高精度に近づけることになる。
【0204】
これにより、(a)(d)の場合に、上記第1実施形態に比べて、磁気検出素子80をX軸ホール素子の磁束検出向きに通過する磁束を増大させることができる。このため、上記第3実施形態と同様に、(b)(c)の場合に磁気検出素子80で検出される磁束の向きに対して歯部12a、あるいは歯部11aから大きな影響を与えることができる。
【0205】
これにより、磁気検出素子80で磁束の向きを検出する上でX軸ホール素子の磁束検出の向きを基準とすると、クラッチ構成部11、12の位置関係の変化に伴って磁気検出素子80で検出される磁束の向きの変化を大きくすることができる。以上により、磁気検出素子80、ひいては位置検出装置20のロバスト性を向上することができる。
【0206】
(第7実施形態)
本第7実施形態では、上記第2実施形態において、位置検出装置20のヨーク70の磁束経路部73、74を湾曲状に形成した例について
図18を参照して説明する。
【0207】
本実施形態と上記第2実施形態とは、位置検出装置20のヨーク70および磁石60A、60Bが相違するだけで、その他の構成は共通である。
【0208】
そこで、以下、本実施形態と上記第2実施形態との相違点である位置検出装置20のヨーク70および磁石60A、60Bについて
図18を参照して説明する。
【0209】
本実施形態では、磁石60A、60Bのそれぞれの軸線方向寸法が磁束経路部75の軸線Sを中心とする径方向寸法よりも大きくなっている。
【0210】
磁束経路部75において、突出部75bの軸線方向寸法は、軸線経路75aの軸線Sを中心とする径方向寸法よりも大きくなっている。突出部75cの軸線方向寸法は、軸線経路75aの軸線Sを中心とする径方向寸法よりも大きくなっている。
【0211】
軸線経路75aおよび突出部75bが接続される接続部76には、内周部76a、外周部76bが形成されている。内周部76aは、第1向きKaに凹む湾曲状に形成されている。外周部76bは、第1向きKaに凸となる湾曲状に形成されている。第1向きKaは、
図18において軸線方向の一方側に向く矢印を時計回りに回転させた矢印が示す向きである。
【0212】
軸線経路75aおよび突出部75cが接続される接続部77には、内周部77a、外周部77bが湾曲状に形成されている。
【0213】
内周部77aは、第2向きKbに凹む湾曲状に形成されている。外周部77bは、第2向きKbに凸となる湾曲状に形成されている。第2向きKbは、
図18において軸線方向の他方側に向く矢印を反時計回りに回転させた矢印が示す向きである。
【0214】
磁束経路部74の外周部78aは、第3向きKcに凸となる湾曲状に形成されている。第3向きKcは、
図18において軸線方向の一方側に向く矢印を反時計回りに回転させた矢印が示す向きである。磁束経路部74の内周部78bは、軸線Sを中心とする径方向に亘って形成されている。
【0215】
磁束経路部73の外周部79aは、第4向きKdに凸となる湾曲状に形成されている。第4向きKdは、
図18において軸線方向の他方側に向く矢印を時計回りに回転させた矢印が示す向きである。磁束経路部73の内周部79bは、軸線Sを中心とする径方向に亘って形成されている。
【0216】
このように磁束経路部75における内周部76a、77a、外周部76b、77b、磁束経路部74の外周部78a、および磁束経路部73の外周部79aがそれぞれ湾曲状に形成されている。
【0217】
なお、第1向きKa、第2向きKb、第3向きKc、および第4向きKdは、それぞれ異なる方位に向く向きであって、軸線方向に対して交差し、かつ軸線Sを中心とする径方向に対して交差する向きである。
【0218】
このため、磁石60A、60Bおよび磁気検出素子80の間で磁束がヨーク70内を円滑に通過することができる。これに加えて、上述の如く、磁束経路部74の外周部78aは、第3向きKcに凸となる湾曲状に形成されている。磁束経路部73の外周部79aは、第4向きKdに凸となる湾曲状に形成されている。
【0219】
本実施形態では、外周部78aは、磁束経路部74のうち軸線方向一方側に配置されて、端面74aから軸線を中心とする径方向外側に亘って形成されている第1側面である。
内周部78bは、磁束経路部74のうち軸線方向他方側に配置されて、端面74aから軸線を中心とする径方向外側に亘って形成されている第2側面である。
【0220】
ここで、軸線Sを中心とする径方向において磁気検出素子80に近づくほど外周部78aおよび内周部78bの間の距離が小さくなるように外周部78aが湾曲状に形成されている。
【0221】
本実施形態では、内周部79bは、磁束経路部73のうち軸線方向一方側に配置されて、端面73aから軸線を中心とする径方向外側に亘って形成されている第3側面である。
外周部79aは、磁束経路部74のうち軸線方向他方側に配置されて、端面73aから軸線を中心とする径方向外側に亘って形成されている第4側面である。
【0222】
ここで、軸線Sを中心とする径方向において磁気検出素子80に近づくほど外周部79aおよび内周部79bの間の距離が小さくなるように外周部79aが湾曲状に形成されている。
【0223】
以上本実施形態によれば、外周部78a、79aを軸線Sを中心とする径方向に平行に形成する場合に比べて、磁石60A、60Bの間で磁気検出素子80を通過する磁束密度を増やすことができる。よって、磁気検出素子80による磁束の向きの検出を良好に行うことができる。これにより、磁気検出素子80、ひいては位置検出装置20のロバスト性を向上することができる。
【0224】
(第8実施形態)
本第8実施形態では、上記第2実施形態において、磁束経路部73の端面73a、磁束経路部74の端面74aよりも軸線Sを中心とする径方向内側に突出するように形成される磁気検出素子80を用いた例について
図19を参照して説明する。
【0225】
本実施形態と上記第2実施形態とは、位置検出装置20のヨーク70の磁気検出素子80の配置が相違するだけで、その他の構成は、共通である。そこで、本実施形態の磁気検出素子80について説明する。
【0226】
磁気検出素子80は、磁束経路部73、74の端面73a、74aよりも軸線Sを中心とする径方向内側に突出するように形成されている。このため、磁気検出素子80のうち軸線Sを中心とする径方向内側の端面81は、磁束経路部73、74の端面73a、74aよりも軸線Sを中心とする径方向内側に配置されている。
【0227】
これにより、上記第2実施形態と比べて、磁気検出素子80をクラッチ構成部11、12側に近づけることができるので、磁束の変化が大きい部位に磁気検出素子80を配置することができる。よって、クラッチ構成部11、12における位置関係の変化に伴って生じる磁気検出素子80を通過する磁束の向きの変化が大きくなる。これにより、磁気検出素子80、ひいては位置検出装置20のロバスト性を向上することができる。
【0228】
(第9実施形態)
本第9実施形態では、上記第2実施形態において、磁石60A、60Bの面62を軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置し、かつ磁石60A、60Bの面61を軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置した例について
図20を参照して説明する。
【0229】
本実施形態と上記第2実施形態とは、位置検出装置20のヨーク70の磁石60A、60Bの面61、62の配置が相違するだけで、その他の構成は、共通である。そこで、本実施形態の磁石60A、60Bについて説明する。
【0230】
磁石60A、60Bは、それぞれの面62が軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置されている。このため、磁石60A、60Bは、それぞれのN極が軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置されていることになる。
【0231】
本実施形態では、磁石60Aの面62が第1磁極部を構成し、磁石60Bの面62が第2磁極部を構成している。このことにより、磁石60A、60Bは、それぞれの面62が同一の極性を有している。
【0232】
磁石60A、60Bは、それぞれの面61が軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されている。このため、磁石60A、60Bは、それぞれのS極が軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されていることになる。
【0233】
本実施形態では、磁石60Aの面61が第3磁極部を構成し、磁石60Bの面61が第4磁極部を構成している。このことにより、磁石60A、60Bは、それぞれの面61が同一の極性を有している。
【0234】
本実施形態の磁石60A、60Bは、ヨーク70の磁束経路部75とともに、磁界発生部を構成する。磁石60Aの面62は、第1磁極部を構成し、磁石60Aの面61は、第3磁極部を構成する。磁石60Bの面62は、第2磁極部を構成し、磁石60Bの面61は、第4磁極部を構成する。
【0235】
本実施形態では、磁石60Aおよび軸線Sの間の距離と磁石60Bおよび軸線Sの間の距離とが同じになるように磁石60A、60Bが配置されている。
【0236】
このように構成される本実施形態では、磁気検出素子80は、上記第1実施形態と同様に、以下(e)(f)(g)(h)の如く、クラッチ構成部11、12における回転方向の位置関係を示すセンサ信号を制御装置50に出力する。
【0237】
(e)ヨーク70の端面74aが複数の孔部12bのうち1つの孔部12bに対向し、かつヨーク70の端面73aが複数の孔部11bのうち1つの孔部11bに対向した状態では、
図21の如く、磁気回路が作動する。
【0238】
この場合、磁気検出素子80が、上記1つの孔部11bと上記1つの孔部12bとに対向している。
【0239】
このとき、磁石60Aから発生した磁束は、磁束経路部74から上記1つの孔部12bに向かう。磁石60Bから発生した磁束は、磁束経路部73から上記1つの孔部11bに向かう。
【0240】
これに加えて、磁気検出素子80には、磁束経路部73からの磁束と磁束経路部74からの磁束とが通過する。このため、磁束経路部73からの磁束と磁束経路部74からの磁束とを合成した合成磁束が磁気検出素子80の検出部を通過することになる。磁気検出素子80の検出部を通過する磁束は、矢印Dの如く、軸線Sを中心とする径方向内側に向く。このため、磁気検出素子80は、信号レベルSdのセンサ信号を出力する。
【0241】
(f)ヨーク70の端面74aが複数の歯部12aのうち1つの歯部12aに対向し、かつヨーク70の端面73aが複数の孔部11bのうち1つの孔部11bに対向した状態では、
図22の如く、磁気回路が作動する。
【0242】
この場合、磁気検出素子80が、上記1つの歯部12aと上記1つの孔部11bとに対向している。
【0243】
このとき、磁石60Aから発生した磁束は、磁束経路部74から上記1つの歯部12aに向かう。磁石60Bから発生した磁束は、磁束経路部73から上記1つの孔部11bに向かう。
【0244】
これに加えて、磁気検出素子80には、磁束経路部73からの磁束と磁束経路部74からの磁束とが通過する。このとき、磁気検出素子80から上記1つの歯部12aに向かう磁束も生じる。このため、磁束経路部73からの磁束と磁束経路部74からの磁束とを合成した合成磁束が磁気検出素子80を通過することになる。
【0245】
このため、磁気検出素子80を通過する磁束の向きは、上記1つの歯部12aの影響によって、矢印Eの如くなる。矢印Eは、矢印Dから軸線方向一方側に傾いた向きになる。このため、磁気検出素子80は、信号レベルSeのセンサ信号を出力する。
【0246】
(g)ヨーク70の端面74aが複数の孔部12bのうち1つの孔部12bに対向し、かつヨーク70の端面73aが複数の歯部11aのうち1つの歯部11aに対向した状態では、
図23の如く、磁気回路が作動する。
【0247】
このとき、磁気検出素子80が、上記1つの歯部11aと上記1つの孔部12bとに対向している。
【0248】
この際に、磁石60Aから発生した磁束は、磁束経路部74から上記1つの孔部12bに向かう。磁石60Bから発生した磁束は、磁束経路部73から上記1つの歯部11aに向かう。
【0249】
これに加えて、磁気検出素子80には、磁束経路部73からの磁束と磁束経路部74からの磁束とが通過する。このとき、磁気検出素子80から上記1つの歯部11aに向かう磁束も生じる。このため、磁束経路部73からの磁束と磁束経路部74からの磁束とを合成した合成磁束が磁気検出素子80を通過することになる。
【0250】
このため、磁気検出素子80を通過する磁束の向きは、上記1つの歯部11aの影響によって、矢印Fの如くなる。矢印Fは、矢印Dから軸線方向他方側に傾いた向きになる。このため、磁気検出素子80は、信号レベルSfのセンサ信号を出力する。
【0251】
(h)ヨーク70の端面74aが複数の歯部12aのうち1つの歯部12aに対向し、かつヨーク70の端面73aが複数の歯部11aのうち1つの歯部11aに対向した状態では、
図24の如く、磁気回路が作動する。
【0252】
このとき、磁気検出素子80が、上記1つの歯部11aと上記1つの歯部12aとに対向している。
【0253】
この際に、磁石60Aから発生した磁束は、磁束経路部74から上記1つの歯部12aに向かう。磁石60Bから発生した磁束は、磁束経路部73から上記1つの歯部11aに向かう。
【0254】
これに加えて、磁気検出素子80には、磁束経路部73からの磁束と磁束経路部74からの磁束とが通過する。このため、磁束経路部73からの磁束と磁束経路部74からの磁束とを合成した合成磁束が磁気検出素子80を通過することになる。
【0255】
このため、磁気検出素子80を通過する磁束は、矢印Dの如く、軸線Sを中心とする径方向内側に向く。したがって、磁気検出素子80は、信号レベルSdのセンサ信号を出力する。
【0256】
以上説明した本実施形態では、信号レベルSd、信号レベルSe、信号レベルSfは、それぞれ異なる値に設定されている。したがって、磁気検出素子80が信号レベルSeのセンサ信号、或いは、信号レベルSfのセンサ信号を制御装置50に出力する。
【0257】
すると、制御装置50は、複数の歯部11aが複数の孔部12bのうちいずれか1つの孔部12bに対向し、かつ複数の歯部12aが複数の孔部11bのうちいずれか1つの孔部11bに対向した状態であると判定する。
【0258】
以上により、クラッチ構成部11、12における回転方向の位置関係を検出する位置検出装置20を提供することができる。
【0259】
本実施形態では、2つの磁石60A、60Bを用いて位置検出装置20を構成するため、上記第2実施形態と同様に、磁気検出素子80で検出される磁束が増加する。このため、位置検出装置20のロバスト性を高めることができる。
【0260】
本実施形態では、2つの磁石60A、60Bを用いて位置検出装置20を構成するため、上記第2実施形態と同様に、上記第1実施形態の位置検出装置20で用いる磁石60に比べて、磁石60A、60Bのそれぞれの体格を小さくすることができる。よって、位置検出装置20の小型化を図ることができる。
【0261】
本実施形態では、磁石60A、60Bから発生される磁束がクラッチ構成部11、12側に向かうように磁石60A、60Bが配置されている。このため、クラッチ構成部11、12における回転方向の位置関係が変化する際に、磁気検出素子80で検出される磁束の向きの変化を大きくすることができる。
【0262】
本実施形態の磁束経路部73、74の間には、回転方向においてクラッチ構成部11に対するクラッチ構成部12の位置関係が変化しても磁束の向きが変化しない不感帯が形成される。そこで、本実施形態では、磁気検出素子80の検出部が不感帯よりもクラッチ構成部11、12側に配置されている。
【0263】
(第10実施形態)
上記第9実施形態では、磁石60A、60BのN極を、軸線Sを中心とする径方向内側に向け、かつ磁石60A、60BのS極を、軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置した例について説明した。
【0264】
しかし、これに代えて、磁石60A、60BのS極を、軸線Sを中心とする径方向内側に向け、かつ磁石60A、60BのN極を軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置した本第10実施形態について
図25を参照して説明する。
【0265】
本実施形態と上記第9実施形態とは、位置検出装置20のヨーク70の磁石60A、60Bの磁極の配置が相違するだけで、その他の構成は、共通である。そこで、本実施形態の磁石60A、60Bについて説明する。
【0266】
磁石60A、60Bは、それぞれの面61が軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置されている。このため、磁石60A、60Bは、それぞれのS極が軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置されていることになる。
【0267】
磁石60A、60Bは、それぞれの面62が軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されている。このため、磁石60A、60Bは、それぞれのN極が軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されていることになる。
【0268】
本実施形態の磁石60A、60Bは、ヨーク70の磁束経路部75とともに、磁界発生部を構成する。磁石60Aの面61は、第1磁極部を構成し、磁石60Aの面62は、第3磁極部を構成する。磁石60Bの面61は、第2磁極部を構成し、磁石60Bの面62は、第4磁極部を構成する。
【0269】
磁石60A、60Bのそれぞれの面61は、同一の極性を有している。磁石60A、60Bのそれぞれの面62は、同一の極性を有している。
【0270】
このように構成される本実施形態では、磁気検出素子80は、以下の(i)(j)(k)(l)の如く、クラッチ構成部11、12における回転方向の位置関係を示すセンサ信号を制御装置50に出力する。
【0271】
(i)ヨーク70の端面74aが複数の孔部12bのうち1つの孔部12bに対向し、かつヨーク70の端面73aが複数の孔部11bのうち1つの孔部11bに対向した状態では、
図26の如く、磁気回路が作動する。
【0272】
この場合、磁気検出素子80が、上記1つの孔部11bと上記1つの孔部12bとに対向している。
【0273】
このとき、磁石60AのN極から発生した磁束が、磁束経路部75からその外部に放出される。この放出される磁束が磁束経路部74の外部、上記1つの孔部12b、端面74a、磁束経路部74、および、磁石60AのS極を通して磁石60AのN極へ向かう。
【0274】
一方、磁石60BのN極から発生した磁束が、磁束経路部75からその外部に放出される。この放出される磁束が磁束経路部73の外部、上記1つの孔部11b、端面73a、磁束経路部73、および、磁石60BのS極を通して磁石60BのN極へ向かう。
【0275】
これに加えて、磁気検出素子80には、上記1つの孔部11bからの磁束と上記1つの孔部12bからの磁束とが通過する。このため、上記1つの孔部11bからの磁束と上記1つの孔部12bからの磁束とが合成した合成磁束が磁気検出素子80の検出部を通過することになる。
磁気検出素子80の検出部を通過する磁束は、
図26の矢印Gの如く、軸線Sを中心とする径方向外側に向くことになる。このため、磁気検出素子80は、検出部で検出される磁束の向きを示す信号レベルSgのセンサ信号を出力する。
【0276】
(j)ヨーク70の端面74aが複数の孔部12bのうち1つの孔部12bに対向し、かつヨーク70の端面73aが複数の歯部11aのうち1つの歯部11aに対向した状態では、
図27の如く、磁気回路が作動する。
【0277】
この場合、磁気検出素子80が、上記1つの歯部11aと上記1つの孔部12bとに対向している。
【0278】
このとき、磁石60AのN極から発生した磁束が、磁束経路部75からその外部に放出される。この放出される磁束が磁束経路部74の外部、上記1つの孔部12b、端面74a、磁束経路部74、および、磁石60AのS極を通して磁石60AのN極へ向かう。
【0279】
一方、磁石60BのN極から発生した磁束が、磁束経路部75からその外部に放出される。この放出される磁束が磁束経路部73の外部、上記1つの歯部11a、端面73a、磁束経路部73、および、磁石60BのS極を通して磁石60BのN極へ向かう。
【0280】
これに加えて、磁気検出素子80には、上記1つの歯部11aからの磁束と上記1つの孔部12bからの磁束とが通過する。このため、上記1つの歯部11aからの磁束と上記1つの孔部12bからの磁束とが合成した合成磁束が磁気検出素子80の検出部を通過することになる。
【0281】
よって、磁気検出素子80の検出部を通過する磁束の向きは、上記1つの歯部11aの影響によって、
図27の矢印Hの如く、矢印Gから軸線方向他方側に傾いた向きとなる。このため、磁気検出素子80は、検出部で検出される磁束の向きを示す信号レベルShのセンサ信号を出力する。
【0282】
(k)ヨーク70の端面74aが複数の歯部12aのうち1つの歯部12aに対向し、かつヨーク70の端面73aが複数の孔部11bのうち1つの孔部11bに対向した状態では、
図28の如く、磁気回路が作動する。
【0283】
このとき、磁気検出素子80が、上記1つの孔部11bと上記1つの歯部12aとに対向している。
【0284】
このとき、磁石60AのN極から発生した磁束が、磁束経路部75からその外部に放出される。この放出される磁束が磁束経路部74の外部、上記1つの歯部12a、端面74a、磁束経路部74、および、磁石60AのS極を通して磁石60AのN極へ向かう。
【0285】
一方、磁石60BのN極から発生した磁束が、磁束経路部75からその外部に放出される。この放出される磁束が磁束経路部73の外部、上記1つの孔部11b、端面73a、磁束経路部73、および、磁石60BのS極を通して磁石60BのN極へ向かう。
【0286】
これに加えて、磁気検出素子80には、上記1つの歯部12aからの磁束と上記1つの孔部11bからの磁束とが通過する。このため、上記1つの歯部12aからの磁束と上記1つの孔部11bからの磁束とが合成した合成磁束が磁気検出素子80を通過することになる。
磁気検出素子80を通過する磁束の向きは、上記1つの歯部12aの影響によって、
図28の矢印Iの如く、矢印Gから軸線方向一方側に傾いた向きとなる。このため、磁気検出素子80は、検出部で検出される磁束の向きを示す信号レベルSiのセンサ信号を出力する。
【0287】
(l)ヨーク70の端面74aが複数の歯部12aのうち1つの歯部12aに対向し、かつヨーク70の端面73aが複数の歯部11aのうち1つの歯部11aに対向した状態では、
図29の如く、磁気回路が作動する。
【0288】
このとき、磁気検出素子80が、上記1つの歯部11aと上記1つの歯部12aとに対向している。
【0289】
このとき、磁石60AのN極から発生した磁束が、磁束経路部75からその外部に放出される。この放出される磁束が磁束経路部74の外部、上記1つの歯部12a、端面74a、磁束経路部74、および、磁石60AのS極を通して磁石60AのN極へ向かう。
一方、磁石60BのN極から発生した磁束が、磁束経路部75からその外部に放出される。この放出される磁束が磁束経路部73の外部、上記1つの歯部11a、端面73a、磁束経路部73、および、磁石60BのS極を通して磁石60BのN極へ向かう。
【0290】
これに加えて、磁気検出素子80には、上記1つの歯部11aからの磁束と上記1つの歯部12aからの磁束とが通過する。このため、上記1つの歯部11aからの磁束と上記1つの歯部12aからの磁束が合成した合成磁束が磁気検出素子80の検出部を通過することになる。
【0291】
磁気検出素子80の検出部を通過する磁束の向きは、矢印Gの如く、軸線Sを中心とする径方向外側となる。したがって、磁気検出素子80は、検出部で検出される磁束の向きを示す信号レベルSgのセンサ信号を出力する。
【0292】
以上説明した本実施形態では、信号レベルSg、信号レベルSh、信号レベルSiは、それぞれ異なる値に設定されている。したがって、磁気検出素子80が信号レベルのセンサ信号或いは、信号レベルSiのセンサ信号を制御装置50に出力する。
【0293】
すると、制御装置50は、複数の歯部11aが複数の孔部12bのうちいずれか1つの孔部12bに対向し、かつ複数の歯部12aが複数の孔部11bのうちいずれか1つの孔部11bに対向した状態であると判定する。
【0294】
以上により、クラッチ構成部11、12における回転方向の位置関係を検出する位置検出装置20を提供することができる。
【0295】
本実施形態でも、上記第9実施形態と同様に、磁束経路部73、74の間には、回転方向においてクラッチ構成部11、12における回転方向の位置関係が変化しても磁束の向きが変化しない不感帯が形成される。そこで、本実施形態では、磁気検出素子80の検出部が不感帯よりもクラッチ構成部11、12側に配置されている。
【0296】
(第11実施形態)
本第11実施形態では、上記第9実施形態の位置検出装置20のヨーク70において、磁束経路部75に隙間75dを設けた例について
図30を参照して説明する。
【0297】
本実施形態と上記第9実施形態とでは、磁束経路部75が相違するだけで、その他の構成は共通である。
【0298】
本実施形態の磁束経路部75は、軸線経路75e、75f、および突出部75b、75cによって構成されている。軸線経路75e、75fは、隙間75dを介して軸線方向に並べられている。軸線経路75eは、磁石60A、60Bの間の中心線hと磁石60Aの面61の間で軸線方向に亘って形成されている。軸線経路75fは、磁石60A、60Bの間の中心線hと磁石60Bの面61の間で軸線方向に亘って形成されている。
【0299】
突出部75bは、軸線経路75eのうち軸線方向一方側端部から磁石60Aの面62に向けて突出する。突出部75cは、軸線経路75fのうち軸線方向他方側端部から磁石60Bの面62に向けて突出する。
【0300】
軸線経路75eおよび突出部75bは、中心線h側から磁石60Aの面61に向かう磁束を通過させる磁束経路を構成する。軸線経路75fおよび突出部75cは、中心線h側から磁石60Bの面61に向かう磁束を通過させる磁束経路を構成する。
【0301】
以上説明した本実施形態によれば、磁気検出素子80は、上記第9実施形態と同様に、(e)(f)(g)(h)の如く、クラッチ構成部11、12における回転方向の位置関係を示すセンサ信号を制御装置50に出力する。これにより、クラッチ構成部11、12における位置関係を検出する位置検出装置20を提供することができる。
【0302】
本実施形態では、磁束経路部75に隙間75dが設けられているものの、磁束経路部75のうち中心線hを磁束が通過しないため、磁気検出素子80において磁束の向きの検出に影響を与えることは少ない。
【0303】
(第12実施形態)
本第12実施形態では、上記第10実施形態の位置検出装置20のヨーク70において、磁束経路部75に隙間75dを設け例について
図31を参照して説明する。
【0304】
本実施形態と上記第10実施形態とでは、磁束経路部75が相違するだけで、その他の構成は共通である。
【0305】
本実施形態の磁束経路部75は、上記第11実施形態と同様に、軸線経路75e、75f、および突出部75b、75cによって構成されている。
【0306】
軸線経路75e、75fは、隙間75dを介して軸線方向に並べられている。軸線経路75eは、磁石60A、60Bの間の中心線hと磁石60Aの面62の間で軸線方向に亘って形成されている。軸線経路75fは、磁石60A、60Bの間の中心線hと磁石60Bの面61の間で軸線方向に亘って形成されている。
【0307】
突出部75bは、軸線経路75eのうち軸線方向一方側端部から磁石60Aの面62に向けて突出する。突出部75cは、軸線経路75fのうち軸線方向他方側端部から磁石60Bの面62に向けて突出する。
【0308】
軸線経路75eおよび突出部75bは、磁石60Aの面62から中心線hに向かう磁束を通過させる磁束経路を構成する。軸線経路75fおよび突出部75cは、磁石60Bの面61から中心線hに向かう磁束を通過させる磁束経路を構成する。
【0309】
以上説明した本実施形態によれば、磁気検出素子80は、上記第10実施形態と同様に、(i)(j)(k)(l)の如く、クラッチ構成部11、12における回転方向の位置関係を示すセンサ信号を制御装置50に出力する。これにより、クラッチ構成部11の歯部11a、孔部11bと、クラッチ構成部12の歯部12a、孔部12bとの間の位置関係を検出する位置検出装置20を提供することができる。
【0310】
本実施形態では、磁束経路部75に隙間75dが設けられているものの、磁束経路部75のうち中心線hを磁束が通過しないため、磁気検出素子80において磁束の向きの検出に影響を与えることは少ない。
(第13実施形態)
上記第4実施形態では、磁束経路部73、74において対向面73b、74bを設け、かつ、磁石60Aの面62と磁石60Bの面61とをそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置した例について説明した。
【0311】
これに代えて、磁束経路部73、74において対向面73b、74bを設け、かつ、磁石60Aの面62と磁石60Bの面62とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置した本第13実施形態について
図32を参照して説明する。
【0312】
本実施形態と上記第4実施形態では、磁石60A、60Bの面62、61の向きが相違するだけで、その他の構成は共通である。そこで、以下、本実施形態における磁石60A、60Bの面62、61の向きについて説明する。
【0313】
本実施形態では、上記第9実施形態と同様に、磁石60Aの面62と磁石60Bの面62とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置されている。磁石60Aの面61と磁石60Bの面61とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されている。
【0314】
このことにより、磁石60A、60BのそれぞれのN極がそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置され、磁石60A、60BのそれぞれのS極が軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されていることになる。
【0315】
このように構成される本実施形態によれば、磁気検出素子80は、上記第9実施形態と同様に、(e)(f)(g)(h)の如く、クラッチ構成部11、12における回転方向の位置関係を示すセンサ信号を制御装置50に出力する。このことにより、クラッチ構成部11、12における位置関係を検出する位置検出装置20を提供することができる。
【0316】
本実施形態では、磁束経路部74に対向面74bが設けられている。これにより、磁石60AのN極からの磁束を磁気検出素子80に向かうように案内することができる。これに加えて、磁束経路部73に対向面73bを設けている。これにより、磁石60BのN極からの磁束を磁気検出素子80に向かうように案内する。
【0317】
以上により、クラッチ構成部11、12の回転方向の位置関係が(e)(h)の場合に、磁気検出素子80で検出される磁束の向きを、軸線Sを中心とする径方向(例えば、紙面の縦方向)に高精度に近づけることができる。磁気検出素子80で検出される磁束は、磁束経路部73からの磁束と磁束経路部74からの磁束とを合成した合成磁束である。
【0318】
このため、クラッチ構成部11、12の回転方向の位置関係が(e)(h)の場合に磁気検出素子80で検出される磁束の向きを、磁気検出素子80のY軸ホール素子の磁束検出向きに、高精度に近づけることになる。
【0319】
したがって、(e)(h)の場合に、上記第9実施形態に比べて、磁気検出素子80をY軸ホール素子の磁束検出向きに通過する磁束を増大させることができる。このため、(f)の場合に磁気検出素子80で検出される磁束の向きに対して歯部12aから大きな影響を与えることができる。(g)の場合に磁気検出素子80で検出される磁束の向きに対して歯部11aから大きな影響を与えることができる。
これにより、磁気検出素子80で磁束の向きを検出する上でY軸ホール素子の磁束検出の向きを基準とすると、上記第9実施形態に比べて、クラッチ構成部11、12の位置関係の変化に伴って磁気検出素子80で検出される磁束の向きの変化を大きくすることができる。
【0320】
以上により、磁気検出素子80、ひいては、位置検出装置20のロバスト性を向上する
ことができる。
(第14実施形態)
上記第5実施形態では、磁束経路部73、74において対向面73b、74bを設け、かつ、磁石60Aの面62と磁石60Bの面61とをそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置した例について説明した。
【0321】
これに代えて、磁束経路部73、74において対向面73b、74bを設け、かつ、磁石60Aの面62と磁石60Bの面62とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置した本第14実施形態について
図33を参照して説明する。
【0322】
本実施形態では、磁石60Aの面61と磁石60Bの面61とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されている。
【0323】
このことにより、磁石60A、60BのそれぞれのN極が軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置されていることになる。磁石60A、60BのそれぞれのS極が軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されていることになる。
【0324】
本実施形態と上記第5実施形態とは、
図33に示すように、磁石60A、60Bの面62、61の向きが相違するだけで、その他の構成は、共通である。
(第15実施形態)
上記第7実施形態では、磁束経路部73、74を湾曲状に形成し、かつ磁石60Aの面62と磁石60Bの面61とをそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置した例について説明した。
【0325】
これに代えて、磁束経路部73、74を湾曲状に形成し、かつ磁石60Aの面62と磁石60Bの面62とをそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置した本第15実施形態について
図34を参照して説明する。
【0326】
本実施形態と上記第7実施形態では、磁石60A、60Bの面62、61の向きが相違するだけで、その他の構成は共通である。そこで、以下、本実施形態における磁石60A、60Bの面62、61の向きについて説明する。
【0327】
本実施形態では、上記第9実施形態と同様に、磁石60Aの面62と磁石60Bの面62とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置されている。磁石60Aの面61と磁石60Bの面61とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されている。
【0328】
このことにより、磁石60A、60BのそれぞれのN極がそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置され、磁石60A、60BのそれぞれのS極が軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されていることになる。
【0329】
このように構成される本実施形態によれば、磁気検出素子80は、上記第9実施形態と同様に、(e)(f)(g)(h)の如く、クラッチ構成部11、12における回転方向の位置関係を示すセンサ信号を制御装置50に出力する。このことにより、クラッチ構成部11、12における位置関係を検出する位置検出装置20を提供することができる。
【0330】
本実施形態では、外周部78aは、磁束経路部74のうち軸線方向一方側に配置されて、端面74aから軸線を中心とする径方向外側に亘って形成されている第1側面である。内周部78bは、磁束経路部74のうち軸線方向他方側に配置されて、端面74aから軸線を中心とする径方向外側に亘って形成されている第2側面である。
【0331】
ここで、軸線Sを中心とする径方向において磁気検出素子80に近づくほど外周部78aおよび内周部78bの間の距離が小さくなるように外周部78aが湾曲状に形成されている。このため、磁石60AのN極からの磁束を磁気検出素子80、端面74aに導くことができる。
【0332】
本実施形態では、内周部79bは、磁束経路部73のうち軸線方向一方側に配置されて、端面73aから軸線を中心とする径方向外側に亘って形成されている第3側面である。外周部79aは、磁束経路部74のうち軸線方向他方側に配置されて、端面73aから軸線を中心とする径方向外側に亘って形成されている第4側面である。
【0333】
ここで、軸線Sを中心とする径方向において磁気検出素子80に近づくほど外周部79aおよび内周部79bの間の距離が小さくなるように外周部79aが湾曲状に形成されている。このため、磁石60BのN極からの磁束を磁気検出素子80、端面73aに導くことができる。
【0334】
以上本実施形態によれば、外周部78a、79aを軸線Sを中心とする径方向に平行に形成する場合に比べて、磁石60Aと磁気検出素子80との間を通過する磁束密度と磁石60Bと磁気検出素子80との間を通過する磁束密度とを増やすことができる。よって、磁気検出素子80による磁束の向きの検出を良好に行うことができる。これにより、磁気検出素子80、ひいては位置検出装置20のロバスト性を向上することができる。
(第16実施形態)
上記第8実施形態では、端面73a、端面74aよりも軸線Sを中心とする径方向内側に磁気検出素子80が突出し、かつ磁石60Aの面62と磁石60Bの面61とをそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置した例について説明した。
【0335】
これに代えて、端面73a、端面74aよりも軸線Sを中心とする径方向内側に磁気検出素子80が突出し、かつ磁石60A、60Bのそれぞれの面62を径方向内側に向けて配置した本第16実施形態について
図35を参照して説明する。
【0336】
本実施形態と上記第8実施形態では、磁石60A、60Bの面62、61の向きが相違するだけで、その他の構成は共通である。そこで、以下、本実施形態における磁石60A、60Bの面62、61の向きについて説明する。
【0337】
本実施形態では、上記第9実施形態と同様に、磁石60Aの面62と磁石60Bの面62とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置されている。磁石60Aの面61と磁石60Bの面61とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されている。
【0338】
このことにより、磁石60A、60BのそれぞれのN極がそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置され、磁石60A、60BのそれぞれのS極が軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されていることになる。
【0339】
このように構成される本実施形態によれば、磁気検出素子80は、上記第9実施形態と同様に、(e)(f)(g)(h)の如く、クラッチ構成部11、12における回転方向の位置関係を示すセンサ信号を制御装置50に出力する。このことにより、クラッチ構成部11、12における位置関係を検出する位置検出装置20を提供することができる。
【0340】
本実施形態では、上記第9実施形態と比べて、磁気検出素子80をクラッチ構成部11、12側に近づけることができるので、磁束の変化が大きい部位に磁気検出素子80を配置することができる。よって、クラッチ構成部11、12における位置関係の変化に伴って生じる磁気検出素子80を通過する磁束の向きの変化が大きくなる。これにより、磁気検出素子80、ひいては位置検出装置20のロバスト性を向上することができる。
(第17実施形態)
上記第13実施形態では、磁束経路部73、74において対向面73b、74bを設け、かつ、磁石60Aの面62と磁石60Bの面62とをそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置した例について説明した。
【0341】
これに代えて、磁束経路部73、74において対向面73b、74bを設け、かつ、磁石60Aの面61と磁石60Bの面61とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置した本第17実施形態について
図36を参照して説明する。
【0342】
本実施形態と上記第13実施形態では、磁石60A、60Bの面62、61の向きが相違するだけで、その他の構成は共通である。そこで、以下、本実施形態における磁石60A、60Bの面62、61の向きについて説明する。
【0343】
本実施形態では、上記第10実施形態と同様に、磁石60Aの面61と磁石60Bの面61とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置されている。磁石60Aの面62と磁石60Bの面62とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されている。
【0344】
このことにより、磁石60A、60BのそれぞれのS極がそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置され、磁石60A、60BのそれぞれのN極が軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されていることになる。
【0345】
このように構成される本実施形態によれば、磁気検出素子80は、上記第10実施形態と同様に、(i)(j)(k)(l)の如く、クラッチ構成部11、12における回転方向の位置関係を示すセンサ信号を制御装置50に出力する。このことにより、クラッチ構成部11、12における位置関係を検出する位置検出装置20を提供することができる。
【0346】
本実施形態では、上述の如く、磁束経路部74に対向面74bを設けている。これにより、磁気検出素子80からの磁束を磁石60Aの面61に向かうように案内することができる。これに加えて、磁束経路部73に対向面73bを設けている。これにより、磁気検出素子80からの磁束を磁石60Bの面61に向かうように案内することができる。
【0347】
以上により、クラッチ構成部11、12の回転方向の位置関係が(i)(l)の場合に、磁気検出素子80で検出される磁束の向きを、軸線Sを中心とする径方向(例えば、紙面の縦方向)に高精度に近づけることができる。
【0348】
このため、クラッチ構成部11、12の回転方向の位置関係が(i)(l)の場合に磁気検出素子80で検出される磁束の向きを、磁気検出素子80のY軸ホール素子の磁束検出向きに、高精度に近づけることになる。
【0349】
したがって、(i)(l)の場合に、上記第10実施形態に比べて、磁気検出素子80をY軸ホール素子の磁束検出向きに通過する磁束を増大させることができる。このため、(j)の場合に磁気検出素子80で検出される磁束の向きに対して歯部11aから大きな影響を与えることができる。(k)の場合に磁気検出素子80で検出される磁束の向きに対して歯部12aから大きな影響を与えることができる。
【0350】
これにより、磁気検出素子80で磁束の向きを検出する上でY軸ホール素子の磁束検出の向きを基準とすると、上記第10実施形態に比べて、クラッチ構成部11、12の位置関係の変化に伴って磁気検出素子80で検出される磁束の向きの変化を大きくすることができる。
【0351】
以上により、磁気検出素子80、ひいては、位置検出装置20のロバスト性を向上することができる。
【0352】
(第18実施形態)
上記第14実施形態では、磁束経路部73、74において対向面73b、74bを設け、かつ、磁石60Aの面62と磁石60Bの面62とをそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置した例について説明した。
【0353】
これに代えて、磁束経路部73、74において対向面73b、74bを設け、かつ、磁石60Aの面61と磁石60Bの面61とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置した本第18実施形態について
図37を参照して説明する。
【0354】
本実施形態では、磁石60Aの面62と磁石60Bの面62とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されている。
【0355】
このことにより、磁石60A、60BのそれぞれのN極が軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置されていることになる。磁石60A、60BのそれぞれのS極が軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されていることになる。
【0356】
本実施形態と上記第5実施形態とは、
図37に示すように、磁石60A、60Bの面62、61の向きが相違するだけで、その他の構成は、共通である。
【0357】
(第19実施形態)
上記第15実施形態では、磁束経路部73、74を湾曲状に形成し、かつ磁石60Aの面62と磁石60Bの面62とをそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置した例について説明した。
【0358】
これに代えて、磁束経路部73、74を湾曲状に形成し、かつ磁石60Aの面61と磁石60Bの面61とをそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置した本第19実施形態について
図38を参照して説明する。
【0359】
本実施形態と上記第15実施形態では、磁石60A、60Bの面62、61の向きが相違するだけで、その他の構成は共通である。そこで、以下、本実施形態における磁石60A、60Bの面62、61の向きについて説明する。
【0360】
本実施形態では、上記第10実施形態と同様に、磁石60Aの面61と磁石60Bの面61とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置されている。磁石60Aの面62と磁石60Bの面62とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されている。
【0361】
このことにより、磁石60A、60BのそれぞれのS極がそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置され、磁石60A、60BのそれぞれのN極が軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されていることになる。
【0362】
このように構成される本実施形態によれば、磁気検出素子80は、上記第10実施形態と同様に、(i)(j)(k)(l)の如く、クラッチ構成部11、12における回転方向の位置関係を示すセンサ信号を制御装置50に出力する。このことにより、クラッチ構成部11、12における位置関係を検出する位置検出装置20を提供することができる。
【0363】
本実施形態では、上記第15実施形態と同様に、軸線Sを中心とする径方向において磁気検出素子80に近づくほど外周部78aおよび内周部78bの間の距離が小さくなるように外周部78aが湾曲状に形成されている。このため、磁気検出素子80、端面74aからの磁束を磁石60AのS極に導くことができる。
【0364】
本実施形態では、上記第15実施形態と同様に、軸線Sを中心とする径方向において磁気検出素子80に近づくほど外周部79aおよび内周部79bの間の距離が小さくなるように外周部79aが湾曲状に形成されている。このため、磁気検出素子80、端面74aからの磁束を磁石60BのS極に導くことができる。
【0365】
以上本実施形態によれば、外周部78a、79aを軸線Sを中心とする径方向に平行に形成する場合に比べて、磁石60Aと磁気検出素子80との間を通過する磁束密度と磁石60Bと磁気検出素子80との間を通過する磁束密度とを増やすことができる。よって、磁気検出素子80による磁束の向きの検出を良好に行うことができる。これにより、磁気検出素子80、ひいては位置検出装置20のロバスト性を向上することができる。
【0366】
(第20実施形態)
上記第16実施形態では、端面73a、端面74aよりも軸線Sを中心とする径方向内側に磁気検出素子80が突出し、かつ磁石60Aの面62と磁石60Bの面62とをそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置した例について説明した。
【0367】
これに代えて、端面73a、端面74aよりも軸線Sを中心とする径方向内側に磁気検出素子80が突出し、かつ磁石60A、60Bのそれぞれの面61を径方向内側に向けて配置した本第20実施形態について
図39を参照して説明する。
【0368】
本実施形態と上記第16実施形態では、磁石60A、60Bの面62、61の向きが相違するだけで、その他の構成は共通である。そこで、以下、本実施形態における磁石60A、60Bの面62、61の向きについて説明する。
【0369】
本実施形態では、上記第10実施形態と同様に、磁石60Aの面61と磁石60Bの面61とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置されている。磁石60Aの面62と磁石60Bの面62とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されている。
【0370】
このことにより、磁石60A、60BのそれぞれのS極がそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置され、磁石60A、60BのそれぞれのN極が軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されていることになる。
【0371】
このように構成される本実施形態によれば、磁気検出素子80は、上記第10実施形態と同様に、(i)(j)(k)(l)の如く、クラッチ構成部11、12における回転方向の位置関係を示すセンサ信号を制御装置50に出力する。このことにより、クラッチ構成部11、12における位置関係を検出する位置検出装置20を提供することができる。
【0372】
本実施形態では、上記第2実施形態と比べて、磁気検出素子80をクラッチ構成部11、12側に近づけることができるので、磁束の変化が大きい部位に磁気検出素子80を配置することができる。よって、クラッチ構成部11、12における位置関係の変化に伴って生じる磁気検出素子80を通過する磁束の向きの変化が大きくなる。これにより、磁気検出素子80、ひいては位置検出装置20のロバスト性を向上することができる。
(第21実施形態)
上記第4実施形態では、磁束経路部73の対向面73bを軸線Sを中心とする径方向外側から内側に近づくことほど軸線方向一方側から他方側に向かうように形成した例について説明した。
【0373】
これに代えて、本第21実施形態では、磁束経路部73の対向面73bが、軸線Sを中心とする径方向内側から径方向外側に近づくことほど軸線方向一方側から軸線方向他方側に向かうように形成されている例について
図40を参照して説明する。
【0374】
磁束経路部74の対向面74bが、軸線Sを中心とする径方向内側から径方向外側に近づくことほど軸線方向他方側から軸線方向一方側に向かうように形成されている。
【0375】
本実施形態と上記第4実施形態では、対向面73b、74bの傾斜の向きが相違するたけで、その他の構成は同一である。
【0376】
以上説明した本実施形態によれば、磁気検出素子80は、上記第4実施形態と同様に、クラッチ構成部11、12における回転方向の位置関係を示すセンサ信号を制御装置50に出力する。以上により、クラッチ構成部11、12の回転方向の位置関係を検出する位置検出装置20を提供することができる。
【0377】
本実施形態では、上記第4実施形態と同様に、対向面74bから磁気検出素子80を通して対向面73bを通過する磁束を発生させることができる。このため、上記第4実施形態と同様に、磁気検出素子80の検出部を通過する磁束の向きを、磁気検出素子80のX軸ホール素子の磁束検出向きに、高精度に近づけることになる。
【0378】
これにより、上記第4実施形態と同様に、磁気検出素子80で検出される磁束の向きの変化を大きくすることができる。以上により、磁気検出素子80、ひいては位置検出装置20のロバスト性を向上することができる。
【0379】
(第22実施形態)
上記第21実施形態では、磁束経路部73、74に対向面73b、74bを設け、かつ磁石60Aの面62と磁石60Bの面61とをそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置した例について説明した。
【0380】
これに代えて、磁束経路部73、74に対向面73b、74bを設け、かつ磁石60Aの面62と磁石60Bの面62とをそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置した本第22実施形態について
図41を参照して説明する。
【0381】
本実施形態では、磁束経路部73の対向面73bは、上記第21実施形態と同様に、軸線Sを中心とする径方向内側から径方向外側に近づくことほど軸線方向一方側から軸線方向他方側に向かうように形成されている。
【0382】
磁束経路部74の対向面74bは、上記第21実施形態と同様に、軸線Sを中心とする径方向内側から径方向外側に近づくことほど軸線方向他方側から軸線方向一方側に向かうように形成されている。
【0383】
本実施形態と上記第21実施形態では、磁石60A、60Bの面61、面62の向きが相違するたけで、その他の構成は同一である。
【0384】
以上説明した本実施形態によれば、磁気検出素子80は、上記第9実施形態と同様に、クラッチ構成部11、12における回転方向の位置関係を示すセンサ信号を制御装置50に出力する。以上により、クラッチ構成部11、12の回転方向の位置関係を検出する位置検出装置20を提供することができる。
【0385】
本実施形態では、対向面74bが磁石60AのN極からの磁束を磁気検出素子80に向かうように案内することができる。対向面73bが磁石60BのN極からの磁束を磁気検出素子80に向かうように案内することができる。このため、上記第13実施形態と同様に、磁気検出素子80の検出部を通過する磁束の向きを、磁気検出素子80のY軸ホール素子の磁束検出向きに、高精度に近づけることになる。
【0386】
これにより、上記第13実施形態と同様に、磁気検出素子80で検出される磁束の向きの変化を大きくすることができる。以上により、磁気検出素子80、ひいては位置検出装置20のロバスト性を向上することができる。
【0387】
(第23実施形態)
上記第22実施形態では、磁束経路部73、74に対向面73b、74bを設け、かつ磁石60Aの面62と磁石60Bの面62とをそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置した例について説明した。
【0388】
これに代えて、磁束経路部73、74に対向面73b、74bを設け、かつ磁石60Aの面61と磁石60Bの面61とをそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置した本第23実施形態について
図42を参照して説明する。
【0389】
本実施形態では、磁束経路部73の対向面73bは、上記第22実施形態と同様に、軸線Sを中心とする径方向内側から径方向外側に近づくことほど軸線方向一方側から軸線方向他方側に向かうように形成されている。
【0390】
磁束経路部74の対向面74bは、上記第22実施形態と同様に、軸線Sを中心とする径方向内側から径方向外側に近づくことほど軸線方向他方側から軸線方向一方側に向かうように形成されている。
【0391】
本実施形態と上記第22実施形態では、磁石60A、60Bの面61、面62の向きが相違するたけで、その他の構成は同一である。
【0392】
以上説明した本実施形態によれば、磁気検出素子80は、上記第10実施形態と同様に、クラッチ構成部11、12における回転方向の位置関係を示すセンサ信号を制御装置50に出力する。以上により、クラッチ構成部11、12の回転方向の位置関係を検出する位置検出装置20を提供することができる。
【0393】
本実施形態では、対向面74bが磁気検出素子80からの磁束を磁石60AのS極に向かうように案内することができる。対向面73bが磁気検出素子80からの磁束を磁石60BのS極に向かうように案内することができる。このため、上記第22実施形態と同様に、磁気検出素子80の検出部を通過する磁束の向きを、磁気検出素子80のY軸ホール素子の磁束検出向きに、高精度に近づけることになる。
【0394】
したがって、(i)(l)の場合に、上記第10実施形態に比べて、磁気検出素子80をY軸ホール素子の磁束検出向きに通過する磁束を増大させることができる。このため、(j)の場合に磁気検出素子80で検出される磁束の向きに対して歯部11aから大きな影響を与えることができる。(k)の場合に磁気検出素子80で検出される磁束の向きに対して歯部12aから大きな影響を与えることができる。
【0395】
これにより、上記第22実施形態と同様に、磁気検出素子80で検出される磁束の向きの変化を大きくすることができる。以上により、磁気検出素子80、ひいては位置検出装置20のロバスト性を向上することができる。
【0396】
(第24実施形態)
上記第3実施形態では、磁束経路部73、74において突出部73d、74dを設け、かつ磁石60Aの面62と磁石60Bの面61とを軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置した例について説明した。
【0397】
これに代えて、磁束経路部73、74において突出部73d、74dを設け、かつ磁石60Aの面62と磁石60Bの面62とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置した本第24実施形態について
図43を参照して説明する。
【0398】
本実施形態と上記第3実施形態では、磁石60A、60Bの面62、61の向きが相違するだけで、その他の構成は共通である。そこで、以下、本実施形態における磁石60A、60Bの面62、61の向きについて説明する。
【0399】
本実施形態では、上記第9実施形態と同様に、磁石60Aの面62と磁石60Bの面62とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置されている。磁石60Aの面61と磁石60Bの面61とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されている。
【0400】
このことにより、磁石60A、60BのそれぞれのN極がそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置され、磁石60A、60BのそれぞれのS極が軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されていることになる。
【0401】
このように構成される本実施形態によれば、磁気検出素子80は、上記第9実施形態と同様に、(e)(f)(g)(h)の如く、クラッチ構成部11、12における回転方向の位置関係を示すセンサ信号を制御装置50に出力する。このことにより、クラッチ構成部11、12における位置関係を検出する位置検出装置20を提供することができる。
【0402】
本実施形態の位置検出装置20のヨーク70の磁束経路部73、74には、上述の如く、突出部73d、74dが設けられている。突出部74dは、磁束径方向経路部74eのうち軸線Sを中心とする径方向内側端部から磁気検出素子80に突出する第1突出部である。突出部73dは、磁束径方向経路部73eのうち軸線Sを中心とする径方向内側端部から磁気検出素子80側に突出する第2突出部である。
【0403】
磁気検出素子80は、突出部73d、74dの間に挟まれている。突出部74dは、磁束径方向経路部74eを通過した磁束を磁気検出素子80に導く。突出部73dは、磁束径方向経路部73eを通過した磁束を磁気検出素子80に導く。
【0404】
本実施形態では、上述の如く、ヨーク70に突出部73d、74dが設けられている。このため、クラッチ構成部11、12の回転方向の位置関係が(e)(h)の場合には、磁気検出素子80の検出部を通過する磁束の向きを、径方向(例えば、紙面の縦方向)に高精度に近づけることができる。
【0405】
このため、クラッチ構成部11、12の回転方向の位置関係が(e)(h)の場合に磁気検出素子80で検出される磁束の向きを、磁気検出素子80のY軸ホール素子の磁束検出向きに、高精度に近づけることになる。
【0406】
これにより、磁気検出素子80で磁束の向きを検出する上でY軸ホール素子の磁束検出の向きを基準とすると、上記第13実施形態と同様に、クラッチ構成部11、12の位置関係の変化に伴って磁気検出素子80で検出される磁束の向きの変化を大きくすることができる。
【0407】
これに加えて、本実施形態では、上述の如く、ヨーク70に突出部73d、74dが設けられている。このため、磁束経路部74、73の間で磁気検出素子80を通過する磁束密度を大きくすることができる。
【0408】
以上により、磁気検出素子80、ひいては、位置検出装置20のロバスト性を向上することができる。
【0409】
(第25実施形態)
上記第24実施形態では、磁束経路部73、74において突出部73d、74dを設け、かつ磁石60Aの面62と磁石60Bの面62とを軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置した例について説明した。
【0410】
これに代えて、磁束経路部73、74において突出部73d、74dを設け、かつ磁石60Aの面61と磁石60Bの面61とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置した本第25実施形態について
図44を参照して説明する。
【0411】
本実施形態と上記第24実施形態では、磁石60A、60Bの面62、61の向きが相違するだけで、その他の構成は共通である。そこで、以下、本実施形態における磁石60A、60Bの面62、61の向きについて説明する。
【0412】
本実施形態では、上記第10実施形態と同様に、磁石60Aの面61と磁石60Bの面61とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置されている。磁石60Aの面62と磁石60Bの面62とがそれぞれ軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されている。
【0413】
このことにより、磁石60A、60BのそれぞれのS極がそれぞれ軸線Sを中心とする径方向内側に向けて配置され、磁石60A、60BのそれぞれのN極が軸線Sを中心とする径方向外側に向けて配置されていることになる。
【0414】
以上説明した本実施形態によれば、磁気検出素子80は、上記第10実施形態と同様に、(i)(j)(k)(l)の如く、クラッチ構成部11、12における回転方向の位置関係を示すセンサ信号を制御装置50に出力する。以上により、クラッチ構成部11、12の回転方向の位置関係を検出する位置検出装置20を提供することができる。
【0415】
このことにより、クラッチ構成部11、12における位置関係を検出する位置検出装置20を提供することができる。
【0416】
本実施形態では、突出部74dは、磁気検出素子80を通過した磁束を磁石60AのS極に導く。突出部73dは、磁気検出素子80を通過する磁束を磁石60BのS極に導く。
【0417】
以上により、クラッチ構成部11、12の回転方向の位置関係が(i)(l)の場合に、磁気検出素子80で検出される磁束の向きを、軸線Sを中心とする径方向(例えば、紙面の縦方向)に高精度に近づけることができる。
【0418】
このため、クラッチ構成部11、12の回転方向の位置関係が(i)(l)の場合に磁気検出素子80で検出される磁束の向きを、磁気検出素子80のY軸ホール素子の磁束検出向きに、高精度に近づけることになる。
【0419】
したがって、(i)(l)の場合に、上記第10実施形態に比べて、磁気検出素子80をY軸ホール素子の磁束検出向きに通過する磁束を増大させることができる。このため、(j)の場合に磁気検出素子80で検出される磁束の向きに対して歯部11aから大きな影響を与えることができる。(k)の場合に磁気検出素子80で検出される磁束の向きに対して歯部12aから大きな影響を与えることができる。
【0420】
これにより、磁気検出素子80で磁束の向きを検出する上でY軸ホール素子の磁束検出の向きを基準とすると、クラッチ構成部11、12の位置関係の変化に伴って磁気検出素子80で検出される磁束の向きの変化を大きくすることができる。
(第26実施形態)
上記第9実施形態では、位置検出装置20の端面74a、端面73aを軸線方向に並べた例について説明した。しかし、これに代えて、位置検出装置20の端面74a、端面73aを軸線Sを中心とする円周方向に並べた本第26実施形態について
図45、
図46、
図47等を参照して説明する。
【0421】
本実施形態の動力伝達システム1と上記第9実施形態の動力伝達システム1とでは、ドグクラッチ10に対する位置検出装置20の配置関係が相違するだけで、ドグクラッチ10、および位置検出装置20の構成はそれぞれ同一である。そこで、以下、以下、本実施形態では、主に、ドグクラッチ10に対する位置検出装置20の配置関係について説明する。
【0422】
位置検出装置20の磁束経路部73は、
図45、
図46および
図47に示すように、クラッチ構成部11、12の間のクリアランス13に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置されて磁極を形成する端面73aを備える。磁束経路部73は、端面73aおよびクリアランス13の間を通過させる磁束(すなわち、磁界)を発生させる第1磁極形成部を構成する。
【0423】
位置検出装置20の磁束経路部74は、クラッチ構成部11、12の間のクリアランス13に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置されて磁極を形成する端面74aを備える。磁束経路部74は、端面74aおよびクリアランス13の間を通過させる磁束(すなわち、磁界)を発生させる第2磁極形成部を構成する。
【0424】
本実施形態では、端面74aは、端面73aに対して軸線Sを中心とする円周方向の一方側に配置されている。具体的には、端面74a、端面73aは、互いに、同じ極性の磁極を形成する。端面74a、端面73aは、それぞれ、N極の磁極を形成する。すなわち、端面74a、端面73aは、それぞれ、同一極性の磁極を形成する。
【0425】
磁気検出素子80は、位置検出装置20の磁束経路部73および磁束経路部74の間に配置されている。磁気検出素子80は、クラッチ構成部11、12の間のクリアランス13に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置されている。
【0426】
磁気検出素子80は、検出部82と検出回路とを備える。検出部82は、
図47に示すように、端面73aおよびクリアランス13の間を通過する第1磁束と、端面74aおよびクリアランス13の間を通過する第2磁束とを合成した合成磁束の角度θを検出する。
【0427】
具体的には、検出部82は、軸線Sを中心とする径方向(例えば、
図47の紙面の縦方向)の磁束密度を検出するY軸ホール素子と、磁束経路部74、73を結ぶ方向(例えば、
図47の紙面の横方向)の磁束密度を検出するX軸ホール素子とを備える。
【0428】
本実施形態では、X軸ホール素子で検出される磁束密度をXとし、Y軸ホール素子で検出される磁束密度をYとし、Y/X=tanθとしたときに求める角度θを検出部82を通過する磁束の向きとする。
【0429】
磁気検出素子80の検出回路は、X軸ホール素子の検出値とY軸ホール素子の検出値とに基づいて、磁束の向きを示すセンサ信号を出力する。以下、検出部82によって検出された合成磁束の角度θを磁束角度θとする。
【0430】
本実施形態では、検出部82は、軸線Sを中心とする円周方向において磁束経路部73および磁束経路部74の間の中間部に配置されている。
【0431】
ここで、
図47では、検出部82を通過し、かつ軸線Sを中心とする径方向内側に向く矢印を矢印Yeとし、検出部82を通過し、かつ軸線Sを中心とする円周方向の一方側に向く矢印を矢印Ybとする。検出部82で検出される磁束の向きを矢印Fで表す。
【0432】
図47、
図49~
図52中の中心線Tは、軸線Sを中心とする円周方向において磁束経路部73および磁束経路部74の間の中間部を通り、かつ軸線Sを中心とする径方向に延びる仮想線である。
【0433】
図47において、検出部82から軸線Sを中心とする径方向内側を示す矢印を矢印Yeとする。矢印Yeが磁束角度θの零度を示す基準向きを示している。磁束角度θは、矢印Yeと矢印Fとの間に形成される角度となる。磁束の向きを示す矢印Fが反時計回りに回転するほど、磁束角度θが大きくなり、磁束の向きを示す矢印Fが時計回りに回転するほど、磁束角度θが小さくなる。
図47において矢印Fと矢印Yeとの間に形成される磁束角度θは、負値である磁束角度を示している。
【0434】
本実施形態では、磁気検出素子80は、検出部82で検出される磁束角度θ(すなわち、合成磁束の向き)を示すセンサ信号を出力する。磁束角度θが大きくなるほどセンサ信号が大きくなり、磁束角度θが大きくなるほどセンサ信号が小さくなる。
【0435】
次に、本実施形態のクラッチ構成部11の歯部11a、孔部11bとクラッチ構成部12の歯部12a、孔部12bとの配置関係と磁気検出素子80のセンサ信号との関係について
図48~
図52を参照して説明する。
【0436】
本実施形態において、駆動源30は、歯部11a、12aがクリアランス13を介して対向し、かつ孔部11b、12bがクリアランス13を介して対向した状態で、クラッチ構成部11、12を軸線Sを中心として一定の回転数で回転させる。
【0437】
この場合、磁気検出素子80のセンサ信号は、
図48の如く、正弦波になる。
図48中の複数のドットは、タイミングT1、T2、T3、T4における磁気検出素子80のセンサ信号Gaのサンプル値を示す。
【0438】
まず、タイミングT1において、磁気検出素子80が一対の歯部11a、12aに対向したとき、
図49に示すように、磁気検出素子80の検出部82で検出される合成磁束は、矢印Dの如く、径方向内側に向く。このため、磁気検出素子80のセンサ信号Gaは零になる。なお、以下、磁気検出素子80の検出部82で検出される合成磁束を、磁気検出素子80の検出磁束ともいう。
【0439】
その後、クラッチ構成部11、12が軸線Sを中心とする円周方向の一方側に回転して、一対の歯部11a、12aが円周方向の一方側に回転する。すると、磁気検出素子80の検出磁束は、
図50の矢印Eの如く、一対の歯部11a、12aに対して追尾するように、時計回りに回転する。これに伴って、磁気検出素子80のセンサ信号Gaは小さくなる。
【0440】
図50の矢印Eは、タイミングT2において、磁気検出素子80が歯部11a、12aのうち円周方向の他方側端部に対向している際の磁気検出素子80の検出磁束の向きを示している。
【0441】
次に、クラッチ構成部11、12が軸線Sを中心とする円周方向の一方側に回転することに伴って、磁気検出素子80が一対の孔部11b、12bに対向する。この際に、磁気検出素子80の検出磁束は、一対の孔部11b、12bによって影響されて、反時計回りに回転して、
図51の矢印Dの如く、径方向内側に向く。これに伴って、磁気検出素子80のセンサ信号Gaは大きくなる。
【0442】
図51の矢印Dは、タイミングT3において、磁気検出素子80が孔部11b、12bに対向している際の磁気検出素子80の検出磁束の向きを示している。
【0443】
次に、クラッチ構成部11、12が軸線Sを中心とする円周方向の一方側に回転することに伴って、磁気検出素子80に、次の一対の歯部11a、12aが近づく。
【0444】
この際に、磁気検出素子80の検出磁束は、次の一対の歯部11a、12aによって影響されて、
図52の矢印Rの如く、反時計回りに回転する。これに伴って、磁気検出素子80のセンサ信号Gaは大きくなる。
【0445】
図52の矢印Rは、タイミングT4において、磁気検出素子80が歯部11a、12aのうち円周方向の一方側端部に対向している際の磁気検出素子80の検出磁束の向きを示している。
【0446】
次に、クラッチ構成部11、12が軸線Sを中心とする円周方向の一方側に回転することに伴って磁気検出素子80に一対の歯部11a、12aが近づく。これに伴って、
図49に示すように、磁気検出素子80の検出磁束は、一対の歯部11a、12aによって影響されて、時計回りに回転して、矢印Dの如く、径方向内側に向く。このため、磁気検出素子80のセンサ信号Gaは小さくなる。
【0447】
その後、クラッチ構成部11、12が軸線Sを中心とする円周方向の一方側に回転することに伴って検出部82の検出磁束の向きが、
図49、
図50、
図51、
図52の順に変化する。
【0448】
このように、歯部11a、12aが対向し、かつ孔部11b、12bが対向した状態で、クラッチ構成部11、12が軸線Sを中心として回転すると、磁気検出素子80の検出磁束の磁束角度θを示すセンサ信号は、
図48の如く、大きな振幅値の正弦波になる。
【0449】
次に、駆動源30は、歯部11aが孔部11bに対向し、かつ歯部12aが孔部12bに対向した状態で、クラッチ構成部11、12を軸線Sを中心として回転させる。この場合、磁気検出素子80の検出磁束の磁束角度θは零に維持される。このため、磁気検出素子80のセンサ信号Gbは、
図53の如く、零になる。
【0450】
これは、歯部11aが孔部11bに対向し、かつ歯部12aが孔部12bに対向した場合には、クラッチ構成部11、12が回転した際に、磁気検出素子80に対してクラッチ構成部11、12側の透磁率の変化が抑えられるためである。
【0451】
図53では、クラッチ構成部11、12の寸法誤差等が生じていない磁気検出素子80のセンサ信号の理論値を示す。
図53中の複数のドットは、タイミングT5、T6、T7、T8における磁気検出素子80のセンサ信号のサンプル値を示す。
【0452】
図54~
図57の如く、歯部11aが孔部11bに対向し、かつ歯部12aが孔部12bに対向した状態で、クラッチ構成部11、12が軸線Sを中心として回転する際には、磁気検出素子80の検出磁束は、矢印Dの如く、径方向内側に向いた状態を維持する。
【0453】
すなわち、歯部11aが孔部11bに対向し、かつ歯部12aが孔部12bに対向した状態で、クラッチ構成部11、12が軸線Sを中心として回転する際には、磁気検出素子80のセンサ信号Gbは、その振幅が零に維持される。
【0454】
図54のタイミングT5は、磁気検出素子80が一対の歯部11a、孔部12bに対向したときの磁気検出素子80の検出磁束の向きを示す。
【0455】
図55のタイミングT6は、一対の歯部11a、孔部12bと一対の孔部11b、歯部12aとの間の境界部に磁気検出素子80が対向したときの磁気検出素子80の検出磁束の向きを示す。
【0456】
図56のタイミングT7は、磁気検出素子80が一対の孔部11b、歯部12aに対向したときの磁気検出素子80の検出磁束の向きを示す。
【0457】
図57のタイミングT8は、一対の孔部11b、歯部12aと一対の歯部11a、孔部12bとの間の境界部に磁気検出素子80が対向したときの磁気検出素子80の検出磁束の向きを示す。
【0458】
次に、本実施形態において、駆動源30がクラッチ構成部12に対するクラッチ構成部11の相対的な回転速度を変化させる場合について
図58を参照して説明する。
【0459】
図58のタイミングKNaは、駆動源30がクラッチ構成部11、12を軸線Sを中心として回転させた状態で、歯部11a、12aが対向し、かつ孔部11b、12bが対向したタイミングである。
【0460】
図58のタイミングKTaは、駆動源30がクラッチ構成部11、12を軸線Sを中心として回転させた状態で、歯部11aが孔部11bに対向し、かつ歯部12aが孔部12bに対向したタイミングである。
【0461】
歯部11a、12aが対向し、かつ孔部11b、12bが対向したタイミングKNaでは、磁気検出素子80のセンサ信号Xaの振幅値が最大値となる。一方、歯部11aが孔部11bに対向し、かつ歯部12aが孔部12bに対向したタイミングKTaでは、磁気検出素子80のセンサ信号Xaは、振幅が最小値になる。
【0462】
すなわち、歯部11a、12aが対向し、かつ孔部11b、12bが対向したタイミングKNaに比べて、歯部11aが孔部11bに対向し、かつ歯部12aが孔部12bに対向したタイミングKTaでは、センサ信号Xaの振幅が小さくなる。
【0463】
次に、本実施形態の動力伝達システム1の電気的構成について
図59を参照して説明する。
【0464】
本実施形態の動力伝達システム1は、駆動源30、アクチュエータ40、制御装置50、および磁気検出素子80を備える。制御装置50は、マイクロコンピュータやメモリ等から構成されている。
【0465】
制御装置50は、メモリに予め記憶されたコンピュータプログラムにしたがって、ドグクラッチ10を制御するためのクラッチ制御処理を実行する。制御装置50は、クラッチ制御処理を実行することに伴って、磁気検出素子80から出力されるセンサ信号に基づいてアクチュエータ40をそれぞれ制御する。
【0466】
次に、制御装置50におけるクラッチ制御処理の詳細について
図60を参照して説明する。制御装置50は、
図60のフローチャートにしたがって、クラッチ制御処理を実行する。クラッチ制御処理は、クラッチ構成部11、12が回転した状態で、駆動源30がクラッチ構成部11を回転させてクラッチ構成部12に対するクラッチ構成部11の相対的な回転速度を変化させる場合に実行される。
【0467】
まず、ステップS100において、制御装置50は、磁気検出素子80のセンサ信号に基づいて、磁気検出素子80のセンサ信号の振幅が閾値未満であるか否かを判定する。
【0468】
このとき、制御装置50は、センサ信号の振幅が閾値以上であるときには、ステップS100においてNOと判定する。
【0469】
この場合、制御装置50は、ステップS120において、歯部11aが孔部11bに対向し、かつ歯部12aが孔部12bに対向した状態ではなく、クラッチ構成部11、12は互いに係合が不可能であるタイミングであると判定する。
【0470】
その後、ステップS100に戻り、制御装置50は、磁気検出素子80のセンサ信号に基づいて、センサ信号の振幅が閾値未満であるか否かを判定する。
【0471】
このため、センサ信号の振幅が閾値以上である限り、制御装置50は、ステップS100におけるNO判定と、ステップS120における係合不可能タイミング判定とを繰り返す。
【0472】
その後、歯部11aが孔部11bに対向し、かつ歯部12aが孔部12bに対向した状態になる。すると、磁気検出素子80の検出磁束の磁束角度θの変動は、最小値になり、磁気検出素子80のセンサ信号の振幅が零になる。
【0473】
このとき、制御装置50は、センサ信号の振幅が閾値未満であるときには、センサ信号の振幅が最小であるとして、ステップS100においてYESと判定する。
【0474】
この場合、制御装置50は、ステップS110において、歯部11aが孔部11bに対向し、かつ歯部12aが孔部12bに対向した状態で、クラッチ構成部11、12が互いに係合が可能であるタイミングであると判定する。
【0475】
これに伴って、制御装置50は、ステップS130において、アクチュエータ40を制御する。これに伴って、アクチュエータ40は、制御装置50によって制御されて、クラッチ構成部11を軸線方向一方側に移動する。
【0476】
このため、複数の歯部11aが、それぞれ、複数の孔部12bのうちいずれかの孔部12bに入り、かつ複数の歯部12aが、それぞれ、複数の孔部11bのうちいずれかの孔部12bに入った状態になる。
【0477】
このことにより、クラッチ構成部11がクラッチ構成部12に係合される。このため、クラッチ構成部11がクラッチ構成部12と連動して回転することになる。
【0478】
以上説明した本実施形態によれば、位置検出装置20は、磁石60A、60B、磁気検出素子80、およびヨーク70を備える。
【0479】
ヨーク70は、磁界発生部を構成するものであって、クリアランス13に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置され、かつN極を形成する端面73aを形成する磁束経路部73を備える。
【0480】
ヨーク70は、クリアランス13に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置され、磁束経路部73に対して軸線Sを中心とする円周方向の一方側にずれて配置され、さらにN極を形成する端面74aを形成する磁束経路部74を備える。
【0481】
磁気検出素子80は、クラッチ構成部11およびクラッチ構成部12に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置され、かつ磁束経路部73および磁束経路部74の間に設けられている。
【0482】
磁気検出素子80は、端面73aとクリアランス13との間を通過する第1磁束と端面74aとクリアランス13との間を通過する第2磁束とが合成された合成磁束の磁束角度θを示すセンサ信号を出力する。すなわち、磁気検出素子80は、合成磁束の向きを示すセンサ信号を出力する。
【0483】
磁気検出素子80は、軸線Sを中心とする回転方向において、孔部11b、歯部11aと孔部12b、歯部12aとの位置関係によってセンサ信号の振幅が変化することにより、センサ信号として位置関係を示す信号を出力する。
【0484】
以上により、回転方向においてクラッチ構成部11とクラッチ構成部12との位置関係を検出する位置検出装置20を提供することができる。
【0485】
本実施形態では、制御装置50は、磁気検出素子80のセンサ信号に基づいて、センサ信号の振幅が閾値未満であるか否かを判定する。このことにより、制御装置50は、クラッチ構成部11、12が互いに係合が可能である係合可能タイミングであるか否かを正確に判定することができる。
(第27実施形態)
上記第26実施形態では、ヨーク70の端面73a、74aがそれぞれ同一磁極のN極を形成した例について説明した。しかし、これに代えて、ヨーク70の端面73aがS極を形成し、かつヨーク70の端面74aがN極を形成した本第27実施形態について
図61を参照して説明する。
【0486】
本実施形態と上記第26実施形態では、主に位置検出装置20の端面74a、73aの磁極の極性が相違するだけで、その他の構成は、実質的に同一である。
図61において、
図47と同一の符号は、同一のものを示す。そこで、位置検出装置20のうち主に端面74a、73aの磁極の極性について説明する。
【0487】
まず、磁束経路部74のうち軸線Sを中心とする径方向内側に配置されている端面74aがN極を形成する。本実施形態では、磁束経路部74に対して径方向外側に磁石60Aが配置されている。磁石60Aのうち軸線Sを中心とする径方向内側の端面がN極を形成する。磁石60Aのうち軸線Sを中心とする径方向外側の端面がS極を形成する。
【0488】
磁束経路部73のうち軸線Sを中心とする径方向内側に配置されている端面73aがS極を形成する。本実施形態では、磁束経路部73に対して径方向外側に磁石60Bが配置されている。磁石60Bのうち軸線Sを中心とする径方向内側の端面がS極を形成する。磁石60Bのうち軸線Sを中心とする径方向外側の端面がN極を形成する。
磁束経路部74の端面74a、磁束経路部73の端面73aは、互いに異なる極性の磁極を形成する。磁束経路部73は、クリアランス13に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置されて、端面73aおよびクリアランス13の間を通過させる磁束を発生させる第1磁界発生部を構成する。
【0489】
磁束経路部74は、クリアランス13に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置されて、端面74aおよびクリアランス13の間を通過させる磁束を発生させる第2磁界発生部を構成する。
【0490】
本実施形態では、端面74aは、端面73aに対して軸線Sを中心とする円周方向の一方側に配置されている。
【0491】
磁気検出素子80は、磁束経路部74、および磁束経路部73の間に配置されている。磁気検出素子80は、クラッチ構成部11、12の間のクリアランス13に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置されている。磁気検出素子80は、磁束経路部74、および磁束経路部73の間を通過する磁束角度θを検出する検出部82を備える。
【0492】
ここで、検出部82は、上記第26実施形態と同様に、Y軸ホール素子とX軸ホール素子とを備える。磁束角度θが大きくなるほどセンサ信号の信号値が大きくなり、磁束角度θが大きくなるほどセンサ信号の信号値が小さくなる。
【0493】
図61では、検出部82で検出される磁束の向きを矢印Fで表す。磁束経路部74から検出部82を通過して磁束経路部73に向かう矢印を矢印Ycとする。矢印Ycが磁束角度θの零度を示す基準向きを示している。磁束角度θは、矢印Ycと矢印Fとの間に形成される角度となる。磁束の向きを示す矢印Fが反時計回りに回転するほど、磁束角度θが小さくなり、磁束の向きを示す矢印Fが時計回りに回転するほど、磁束角度θが大きくなる。
【0494】
図61では、矢印Fと矢印Ycとが軸線Sを中心とする円周方向他方側を指して磁束角度θが零となる場合を示している。すなわち、矢印Fと矢印Ycとが図中左側を指している場合を示している。
【0495】
次に、本実施形態のクラッチ構成部11の歯部11a、孔部11bとクラッチ構成部12の歯部12a、孔部12bとの配置関係と磁気検出素子80のセンサ信号との関係について
図62~
図66を参照して説明する。
【0496】
本実施形態において、歯部11a、12aがクリアランス13を介して対向し、かつ孔部11b、12bがクリアランス13を介して対向した状態で、クラッチ構成部11、12が軸線Sを中心として回転する。
【0497】
この場合、磁気検出素子80のセンサ信号Gcは、
図62の如く、正弦波になる。
図62中の複数のドットは、タイミングT1、T2、T3、T4における磁気検出素子80のセンサ信号のサンプル値を示す。
【0498】
まず、タイミングT1において、磁気検出素子80の端面81が一対の歯部11a、12aに対向したとき、
図63に示すように、磁気検出素子80の検出磁束は、矢印Gの如く、軸線Sを中心とする円周方向の他方側に向く。このため、磁気検出素子80のセンサ信号Gcは、零になる。
【0499】
その後、クラッチ構成部11、12が軸線Sを中心とする円周方向の一方側に回転して、一対の歯部11a、12aが円周方向の一方側に回転する。すると、磁気検出素子80の検出磁束は、
図64に示すように、一対の歯部11a、12aに影響されて、矢印Hの如く、反時計回りに回転する。このため、磁気検出素子80のセンサ信号Gcは、小さくなる。
【0500】
図64の矢印Hは、タイミングT2において、磁気検出素子80が歯部11a、12aのうち円周方向の他方側端部に対向している際の磁気検出素子80の検出磁束の向きを示している。
【0501】
次に、クラッチ構成部11、12が軸線Sを中心とする円周方向の一方側に回転することに伴って、磁気検出素子80が一対の孔部11b、12bに対向する。この際に、磁気検出素子80の検出磁束は、一対の孔部11b、12bによって影響されて、
図65において時計回りに回転して、矢印Gの如く、軸線Sを中心とする円周方向の他方側に向く。このため、磁気検出素子80のセンサ信号Gcは、大きくなる。
【0502】
図65の矢印Gは、タイミングT3において、磁気検出素子80が孔部11b、12bに対向している際の磁気検出素子80の検出磁束の向きを示している。
【0503】
次に、クラッチ構成部11、12が軸線Sを中心とする円周方向の一方側に回転することに伴って、磁気検出素子80に、次の一対の歯部11a、12aが近づく。
【0504】
この際に、磁気検出素子80の検出磁束は、次の一対の歯部11a、12aによって影響されて、
図66の矢印Iの如く、時計回りに回転する。このため、磁気検出素子80のセンサ信号Gcは、大きくなる。
【0505】
図66の矢印Iは、タイミングT4において、磁気検出素子80が歯部11a、12aのうち円周方向の一方側端部に対向している際の磁気検出素子80の検出磁束の向きを示している。
【0506】
次に、クラッチ構成部11、12が軸線Sを中心とする円周方向の一方側に回転することに伴って磁気検出素子80に一対の歯部11a、12aが対向する。
【0507】
これに伴って、
図63に示すように、磁気検出素子80の検出磁束は、一対の歯部11a、12aによって影響されて、反時計回りに回転して、矢印Gの如く、軸線Sを中心とする円周方向の他方側に向く。このため、磁気検出素子80のセンサ信号Gcは、小さくなる。
【0508】
その後、クラッチ構成部11、12が軸線Sを中心とする円周方向の一方側に回転することに伴って検出部82の検出磁束の向きが、
図63、
図64、
図65、
図66の順に変化する。
【0509】
このように、歯部11a、12aが対向し、かつ孔部11b、12bが対向した状態で、クラッチ構成部11、12が軸線Sを中心として回転すると、磁界の磁束角度θを示すセンサ信号は、
図62の如く、大きな振幅値の正弦波になる。
【0510】
また、歯部11aが孔部11bに対向し、かつ歯部12aが孔部12bに対向した状態で、クラッチ構成部11、12が軸線Sを中心として回転する。この場合、磁気検出素子80のセンサ信号Gcは、
図67の如く、その振幅が零になる。
【0511】
これは、歯部11aが孔部11bに対向し、かつ歯部12aが孔部12bに対向した場合には、クラッチ構成部11、12が回転した際に、磁気検出素子80に対してクラッチ構成部11、12側の透磁率の変化が抑えられるためである。
【0512】
図67では、クラッチ構成部11、12の寸法誤差等が生じていない磁気検出素子80のセンサ信号の理論値を示す。
図67中の複数のドットは、タイミングT5、T6、T7、T8における磁気検出素子80のセンサ信号を示す。
【0513】
図68~
図71の如く、歯部11aが孔部11bに対向し、かつ歯部12aが孔部12bに対向した状態で、クラッチ構成部11、12が回転する際には、磁気検出素子80の検出磁束は、矢印Gの如く、円周方向の他方側に向いた状態になる。
【0514】
すなわち、歯部11aが孔部11bに対向し、かつ歯部12aが孔部12bに対向した状態で、クラッチ構成部11、12が軸線Sを中心として回転する際には、磁気検出素子80のセンサ信号Gdは、零になる。
【0515】
図68は、タイミングT5において、磁気検出素子80が一対の歯部11a、孔部12bに対向したときの磁気検出素子80の検出磁束の向きを示している。
【0516】
図69は、タイミングT6において、一対の歯部11a、孔部12bと一対の孔部11b、歯部12aとの間の境界部14に磁気検出素子80が対向したときの磁気検出素子80の検出磁束の向きを示している。
【0517】
図70は、タイミングT7において、磁気検出素子80が一対の孔部11b、歯部12aに対向したときの磁気検出素子80の検出磁束の向きを示している。
【0518】
図71は、タイミングT8において、一対の孔部11b、歯部12aと一対の歯部11a、孔部12bとの間の境界部14に磁気検出素子80が対向したときの磁気検出素子80の検出磁束の向きを示している。
【0519】
次に、本実施形態において、クラッチ構成部11、12が回転した状態で、駆動源30がクラッチ構成部12に対するクラッチ構成部11の相対的な回転数を変化させる場合について
図72を参照して説明する。
【0520】
図72のタイミングKNbは、駆動源30がクラッチ構成部11、12を軸線Sを中心として回転させた状態で、歯部11a、12aが対向し、かつ孔部11b、12bが対向したタイミングである。
【0521】
図72のタイミングKTbは、駆動源30がクラッチ構成部11、12を軸線Sを中心として回転させた状態で、歯部11aが孔部11bに対向し、かつ歯部12aが孔部12bに対向したタイミングである。
【0522】
歯部11a、12aが対向し、かつ孔部11b、12bが対向したタイミングKNbでは、磁気検出素子80のセンサ信号Xbの振幅値が最大値となる。一方、歯部11aが孔部11bに対向し、かつ歯部12aが孔部12bに対向したタイミングKTbでは、磁気検出素子80のセンサ信号Xbの振幅値が最小値になる。
【0523】
次に、制御装置50におけるクラッチ制御処理の詳細について
図60を参照して説明する。
【0524】
制御装置50は、上記第26実施形態と同様に、
図60のフローチャートにしたがって、クラッチ制御処理を実行する。
【0525】
まず、ステップS100において、制御装置50は、磁気検出素子80のセンサ信号に基づいて、センサ信号の振幅が閾値未満であるか否かを判定する。このとき、制御装置50は、センサ信号の振幅が閾値以上であるときには、ステップS100においてNOと判定する。この場合、制御装置50は、ステップS120において、クラッチ構成部11、12が互いに係合が不可能であるタイミングであると判定する。
【0526】
また、制御装置50は、ステップS100において、センサ信号の振幅が閾値未満であるときには、センサ信号の振幅が最小であるとして、YESと判定する。この場合、制御装置50は、ステップS110において、歯部11aが孔部11bに対向し、かつ歯部12aが孔部12bに対向した状態で、クラッチ構成部11、12が互いに係合が可能であるタイミングであると判定する。
【0527】
この場合、制御装置50は、ステップS130において、アクチュエータ40を制御して、クラッチ構成部11を軸線方向一方側に移動させる。このことにより、クラッチ構成部11がクラッチ構成部12に係合されたことになる。
【0528】
以上説明した本実施形態によれば、位置検出装置20において、ヨーク70は、クリアランス13に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置され、かつS極を形成する端面73aを形成する磁束経路部73を備える。
【0529】
ヨーク70は、クリアランス13に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置され、磁束経路部73に対して軸線Sを中心とする周方向の一方側にずれて配置され、さらにN極を形成する端面74aを形成する磁束経路部74を備える。
る。
【0530】
磁気検出素子80は、クラッチ構成部11およびクラッチ構成部12に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置され、かつ磁束経路部73および磁束経路部74の間に設けられている。磁気検出素子80は、磁束経路部73および磁束経路部74の間を通過する磁束の向きを示すセンサ信号を出力する。
【0531】
磁気検出素子80は、軸線Sを中心とする回転方向において、孔部11b、歯部11aと孔部12b、歯部12aとの位置関係によってセンサ信号の振幅が変化することにより、センサ信号として位置関係を示す信号を出力する。
【0532】
以上により、上記第26実施形態と同様に、回転方向においてクラッチ構成部11とクラッチ構成部12との位置関係を検出する位置検出装置20を提供することができる。
【0533】
本実施形態では、制御装置50は、磁気検出素子80のセンサ信号に基づいて、センサ信号の振幅が閾値未満であるか否かを判定する。このことにより、制御装置50は、クラッチ構成部11、12が互いに係合が可能である係合可能タイミングであるか否かを正確に判定することができる。
【0534】
(第28実施形態)
上記第9実施形態において、位置検出装置20の軸線方向の中心線Tと磁気検出素子80の検出部82とがクラッチ構成部11、12の間の中心線Zに一致した例について説明した。
【0535】
本第28実施形態では、位置検出装置20の中心線Tと磁気検出素子80の検出部82とがクラッチ構成部11、12の間の中心線Zに対して軸線方向の他方側にオフセットして配置されている例について
図73、
図74等を参照して説明する。
【0536】
本実施形態において、中心線Zは、軸線方向におけるクラッチ構成部11、12の間の中間部を通り軸線Sに直交する仮想線である。中心線Tは、軸線方向における磁束経路部73および磁束経路部74の間の中間部を通り、かつ軸線Sを中心とする径方向に延びる仮想線である。
【0537】
本実施形態と上記第9実施形態とでは、ドグクラッチ10に対する位置検出装置20の位置関係が相違するだけで、ドグクラッチ10、および位置検出装置20の構成は同一である。
図73、
図74において、
図20と同一符号は、同一のものを示している。そこで、本実施形態において、主に、ドグクラッチ10に対する位置検出装置20の位置関係について説明する。
【0538】
本実施形態では、磁束経路部74、および磁束経路部73は、軸線方向にオフセットして配置されている。磁束経路部74の端面74aは、クラッチ構成部12に対して軸線Sに対して径方向外側に配置されている。端面74aは、歯部12a、孔部12b、基部12cに対向する。
【0539】
ここで、基部12cは、クラッチ構成部12のうち歯部12a、孔部12bに対して軸線方向一方側に配置されて、複数の歯部12aを保持する。基部12cは、複数の歯部12aとともに、複数の孔部12bを形成する。基部12cは、クラッチ構成部12のうち歯部12a、基部12cは、鉄を含む磁性材料によって構成されている。
【0540】
また、磁束経路部73の端面73aは、クラッチ構成部11に対して軸線Sに対して径方向外側に配置されている。端面73aは、歯部11a、孔部11b、基部11cに対向する。
【0541】
さらに、基部11cは、クラッチ構成部11のうち歯部11a、孔部11bに対して軸線方向他方側に配置されて、複数の歯部11aを保持する。基部11cは、複数の歯部11aとともに、複数の孔部11bを形成する。クラッチ構成部11のうち歯部11a、基部11cは、鉄を含む磁性材料によって構成されている。
【0542】
磁束経路部74の端面74aと磁束経路部73の端面73aとは、それぞれ同一のN極の磁極を形成する。すなわち、端面74aと端面73aとは、それぞれ同一の極性の磁極を形成する。
【0543】
磁気検出素子80は、位置検出装置20の磁束経路部73および磁束経路部74の間に配置されている。磁気検出素子80は、クラッチ構成部11、12に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置されている。
【0544】
磁気検出素子80は、検出部82と検出回路とを備える。検出部82は、
図74に示すように、端面73aおよびクラッチ構成部11の間を通過する第1磁束と端面74aおよびクラッチ構成部12の間を通過する第2磁束とを合成した合成磁束の角度θを検出する。
【0545】
具体的には、検出部82は、軸線Sを中心とする径方向(例えば、
図74の紙面の縦方向)の磁束密度を検出するY軸ホール素子と、磁束経路部74、73を結ぶ方向(例えば、
図74の紙面の横方向)の磁束密度を検出するX軸ホール素子とを備える。
【0546】
本実施形態では、X軸ホール素子で検出される磁束密度をXとし、Y軸ホール素子で検出される磁束密度をYとし、Y/X=tanθとしたときに求める角度θを検出部82を通過する磁束の向きとする。
【0547】
磁気検出素子80の検出回路は、X軸ホール素子の検出値とY軸ホール素子の検出値とに基づいて磁束の向きを示すセンサ信号を出力する。以下、検出部82によって検出された合成磁束の角度θを磁束角度θとする。
【0548】
本実施形態では、検出部82は、軸線Sを中心とする円周方向において磁束経路部73および磁束経路部74の間の中間部に配置されている。
【0549】
次に、本実施形態において、歯部11aが歯部12aに対向し、かつ孔部11bが孔部12bに対向した状態で、クラッチ構成部11、およびクラッチ構成部12が回転した場合の磁気検出素子80のセンサ信号Daについて説明する。
【0550】
ここで、
図75、
図76において、センサ信号Daのうちクラッチ構成部11から影響を受けて変化する信号成分を信号成分D1aとする。センサ信号Daのうちクラッチ構成部12から影響を受けて変化する信号成分を信号成分D2aとする。ここで、信号成分D1aおよび信号成分D2aを加算した信号がセンサ信号Daとなる。
【0551】
図74において、検出部82から軸線Sを中心とする径方向内側を示す矢印を矢印Yeとする。検出部82を通過し、かつ軸線Sを中心とする円周方向の他方側に向く矢印を矢印Ycとする。矢印Yeが磁束角度θの零度を示す基準向きを示している。
【0552】
磁束角度θは、矢印Yeと矢印Fとの間に形成される角度となる。磁束の向きを示す矢印Fが反時計回りに回転するほど、磁束角度θが大きくなり、磁束の向きを示す矢印Fが時計回りに回転するほど、磁束角度θが小さくなる。
図74において矢印Fと矢印Yeとの間に形成される磁束角度θは、正値である磁束角度を示している。以下、信号成分D1aと信号成分D2aについて別々に
図75を参照して説明する。
【0553】
(信号成分D1a)
まず、タイミングT1において、歯部11aが磁気検出素子80に対向した際に、信号成分D1aは、最大値になる。
【0554】
その後、歯部11aが磁気検出素子80から離れて、磁気検出素子80に孔部11bが近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図74において時計回りに回転する。このため、信号成分D1aは、小さくなる。
【0555】
次に、タイミングT2において、磁気検出素子80に孔部11bが対向する。このとき、信号成分D1aは、最小値になる。
【0556】
その後、孔部11bが磁気検出素子80から離れて、歯部11aが磁気検出素子80に近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図74において反時計回りに回転する。このため、信号成分D1aは、大きくなる。
【0557】
次に、タイミングT3において、歯部11aが磁気検出素子80に対向した際に、磁気検出素子80の検出磁束は、歯部11a側に向く。このため、信号成分D1aは、最大値になる。
【0558】
その後、歯部11aが磁気検出素子80から離れて、磁気検出素子80に孔部11bが近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図74において時計回りに回転する。このため、信号成分D1aは、小さくなる。
【0559】
次に、タイミングT4において、磁気検出素子80に孔部11bが対向する。このとき、信号成分D1aは、最小値になる。
【0560】
このようにクラッチ構成部11が回転することに伴って、信号成分D1aが正弦波状に変化する。
【0561】
(信号成分D2a)
まず、タイミングT1において、歯部12aが磁気検出素子80に対向した際に、信号成分D2aは、最小値になる。
【0562】
その後、歯部12aが磁気検出素子80から離れて、磁気検出素子80に孔部12bが近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図74において反時計回りに回転する。このため、信号成分D2aは、大きくなる。
【0563】
次に、タイミングT2において、磁気検出素子80に孔部12bが対向する。このとき、信号成分D2aは、最大値になる。
【0564】
その後、孔部12bが磁気検出素子80から離れて、歯部12aが磁気検出素子80に近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図74において時計回りに回転する。このため、信号成分D2aは、小さくなる。
【0565】
次に、タイミングT3において、歯部12aが磁気検出素子80に対向した際に、磁気検出素子80の検出磁束は、歯部12a側に向く。このため、信号成分D2aは、最小値になる。
【0566】
その後、歯部12aが磁気検出素子80から離れて、磁気検出素子80に孔部12bが近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図74において反時計回りに回転する。このため、信号成分D2aは、大きくなる。
【0567】
次に、タイミングT4において、磁気検出素子80に孔部12bが対向する。このとき、信号成分D2aは、最大値になる。
【0568】
このようにクラッチ構成部12が回転することに伴って、信号成分D2aが正弦波状に変化する。
【0569】
ここで、クラッチ構成部11、12の間の中心線Zに対して位置検出装置20の中心線Tおよび検出部82が軸線方向他方側に配置されている。よって、信号成分D1bは、クラッチ構成部11の基部11cの影響を受ける。このため、信号成分D1aは、信号成分D2aに対して磁束角度θのプラス側にオフセットされている。
【0570】
これに加えて、信号成分D1aおよび信号成分D2aは、互いに逆位相になる波形である。このため、信号成分D1aおよび信号成分D2aを加算したセンサ信号Daは、振幅値が小さい正弦波となる。
【0571】
次に、本実施形態において、歯部11aが孔部12bに対向し、かつ孔部11bが歯部12aに対向した状態で、クラッチ構成部11、およびクラッチ構成部12が回転した場合の磁気検出素子80のセンサ信号Daについて説明する。
【0572】
以下、当該センサ信号Daに含まれる信号成分D1aと信号成分D2aとについて別々に
図76を参照して説明する。
【0573】
(信号成分D1a)
まず、タイミングT5において、歯部11aが磁気検出素子80に対向した際に、信号成分D1aは、最大値になる。
【0574】
その後、歯部11aが磁気検出素子80から離れて、磁気検出素子80に孔部11bが近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図74において時計回りに回転する。このため、信号成分D1aは、小さくなる。
【0575】
次に、タイミングT6において、磁気検出素子80に孔部11bが対向する。このとき、信号成分D1aは、最小値になる。
【0576】
その後、孔部11bが磁気検出素子80から離れて、歯部11aが磁気検出素子80に近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図74において反時計回りに回転する。このため、信号成分D1aは、大きくなる。
【0577】
次に、タイミングT7において、歯部11aが磁気検出素子80に対向した際に、磁気検出素子80の検出磁束は、クラッチ構成部12側に向く。このため、信号成分D1aは、最大値になる。
【0578】
その後、歯部11aが磁気検出素子80から離れて、磁気検出素子80に孔部11bが近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図74において時計回りに回転する。このため、信号成分D1aは、小さくなる。
【0579】
次に、タイミングT8において、磁気検出素子80に孔部11bが対向する。このとき、磁気検出素子80の検出磁束は、時計回りに回転する。このため、信号成分D1は、最小値になる。
【0580】
このようにクラッチ構成部11が回転することに伴って、信号成分D1が正弦波状に変化する。
【0581】
(信号成分D2a)
まず、タイミングT5において、孔部12bが磁気検出素子80に対向した際に、信号成分D2aは、最大値になる。
【0582】
その後、孔部12bが磁気検出素子80から離れて、磁気検出素子80に歯部12aが近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図74において時計回りに回転する。このため、信号成分D2aは、小さくなる。
【0583】
次に、タイミングT6において、磁気検出素子80に歯部12aが対向する。このとき、信号成分D2aは、最小値になる。
【0584】
その後、歯部12aが磁気検出素子80から離れて、孔部12bが磁気検出素子80に近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図74において反時計回りに回転する。このため、信号成分D2aは、大きくなる。
【0585】
次に、タイミングT7において、孔部12bが磁気検出素子80に対向した際に、信号成分D2aは、最大値になる。
【0586】
その後、孔部12bが磁気検出素子80から離れて、磁気検出素子80に歯部12aが近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図74において時計回りに回転する。このため、信号成分D2aは、小さくなる。
【0587】
次に、タイミングT8において、磁気検出素子80に歯部12aが対向する。このとき、信号成分D2aは、最小値になる。
【0588】
このようにクラッチ構成部12が回転することに伴って、信号成分D2aが正弦波状に変化する。
【0589】
ここで、クラッチ構成部11、12の間の中心線Zに対して位置検出装置20の中心線Tおよび検出部82が軸線方向他方側に配置されている。よって、信号成分D1bは、クラッチ構成部11の基部11cの影響を受ける。このため、信号成分D1は、信号成分D2に対して磁束角度θのプラス側にオフセットされている。
【0590】
これに加えて、信号成分D1および信号成分D2は、互いに同位相になる波形である。このため、信号成分D1aおよび信号成分D2aを加算したセンサ信号Daは、振幅値が大きな正弦波となる。本実施形態では、センサ信号Daは、その最小値が零よりも大きな値になる。
【0591】
次に、本実施形態では、クラッチ構成部12が回転した状態で、駆動源30がクラッチ構成部11を回転させてクラッチ構成部12に対してクラッチ構成部11の相対的な回転速度を変化させる場合について
図77を参照して説明する。
【0592】
図77のタイミングKNcは、クラッチ構成部11、12を軸線Sを中心として回転させた状態で、歯部11a、12aが対向し、かつ孔部11b、12bが対向したタイミングである。
【0593】
図77のタイミングKTcは、クラッチ構成部11、12を軸線Sを中心として回転させた状態で、歯部11aが孔部11bに対向し、かつ歯部12aが孔部12bに対向したタイミングである。
【0594】
歯部11a、12aが対向し、かつ孔部11b、12bが対向したタイミングKNcでは、磁気検出素子80のセンサ信号Xcの振幅値が最小値となる。一方、歯部11aが孔部11bに対向し、かつ歯部12aが孔部12bに対向したタイミングKTcでは、磁気検出素子80のセンサ信号Xcの振幅が最大値になる。
【0595】
ここで、クラッチ構成部11、12が係合していない状態でクラッチ構成部11、12が回転しているときに、磁気検出素子80のセンサ信号Xcの最小値が零よりも大きくなっている。
【0596】
図77において、歯部11aが孔部11bに嵌まり、かつ歯部12aが孔部12bに嵌まってクラッチ構成部11、12が互いに係合がされてクラッチ構成部11、12が回転しているときに、センサ信号Xcが時間の経過に伴って零に収束される。
【0597】
次に、制御装置50における制御処理の詳細について
図78、
図79を参照して説明する。
図78は、制御装置50におけるクラッチ制御処理の詳細を示すフローチャートである。
図79は、制御装置50における係合判定処理の詳細を示すフローチャートである。 以下、クラッチ制御処理、および係合判定処理を独立して説明する。
【0598】
(クラッチ制御処理係合判定処理)
制御装置50は、
図78のフローチャートにしたがって、クラッチ制御処理を実行する。
【0599】
まず、ステップS100Aにおいて、制御装置50は、係合判定部として、磁気検出素子80のセンサ信号に基づいて、センサ信号が閾値Ha以上であるか否かを判定する。
【0600】
このとき、制御装置50は、センサ信号が閾値Ha未満であるときには、ステップS100AにおいてNOと判定する。この場合、制御装置50は、ステップS120において、クラッチ構成部11、12は互いに係合が不可能であるタイミングであると判定する。
【0601】
また、制御装置50は、ステップS100Aにおいて、センサ信号が閾値Ha以上であるときには、センサ信号の振幅が最大であるとして、YESと判定する。この場合、制御装置50は、ステップS110において、歯部11aが孔部11bに対向し、かつ歯部12aが孔部12bに対向した状態で、クラッチ構成部11、12が互いに係合が可能であるタイミングであると判定する。
【0602】
この場合、制御装置50は、ステップS130において、係合制御部として、アクチュエータ40を制御して、クラッチ構成部11を軸線方向一方側に移動させる。このことにより、クラッチ構成部11がクラッチ構成部12に係合されたことになる。
【0603】
(係合判定処理)
制御装置50は、
図79のフローチャートにしたがって、係合判定処理を実行する。係合判定処理は、制御装置50によってステップS130の係合制御処理が実行される毎に、実行される。
【0604】
まず、ステップS140において、制御装置50は、係合完了判定部として、磁気検出素子80のセンサ信号が第1所定値(例えば、零)に収束したか否かを判定する。具体的には、制御装置50は、センサ信号の絶対値が閾値Hb未満であるか否かを判定する。
【0605】
本実施形態の第1所定値としては、制御装置50がステップS100Aにおいてセンサ信号が閾値Ha以上であるとしてYESと判定した際の磁気検出素子80のセンサ信号の最小値よりも小さい値である。
【0606】
このとき、制御装置50は、センサ信号の絶対値が閾値Hb未満であるときには、磁気検出素子80のセンサ信号が第1所定値に収束しているとして、ステップS140において、YESと判定する。これに伴い、制御装置50は、ステップS142において、クラッチ構成部11、12の係合が完了したと判定する。
【0607】
一方、制御装置50は、センサ信号が閾値Hb以上であるときには、磁気検出素子80のセンサ信号が第1所定値に収束していないとして、ステップS140において、NOと判定する。これに伴い、制御装置50は、ステップS143において、クラッチ構成部11、12の係合が未完了であると判定する。
【0608】
以上説明した本実施形態によれば、位置検出装置20は、磁石60A、60B、磁気検出素子80、およびヨーク70を備える。ヨーク70は、クラッチ構成部11に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置され、かつN極を形成する端面73aを形成する磁界発生部としての磁束経路部73を備える。
【0609】
ヨーク70は、クラッチ構成部11、12に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置され、かつN極を形成する端面74aを形成する磁界発生部としての磁束経路部74を備える。磁気検出素子80は、クラッチ構成部11、12に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置され、かつ磁束経路部73、74の間に設けられている。
【0610】
磁気検出素子80は、端面73aとクラッチ構成部11との間を通過する第1磁束と端面74aとクラッチ構成部12との間を通過する第2磁束とが合成された合成磁束の磁束角度θを示すセンサ信号を出力する。
【0611】
磁気検出素子80は、軸線Sを中心とする回転方向において、孔部11b、歯部11aと孔部12b、歯部12aとの位置関係によってセンサ信号の振幅が変化することにより、センサ信号として位置関係を示す信号を出力する。
【0612】
以上により、回転方向においてクラッチ構成部11とクラッチ構成部12との位置関係を検出する位置検出装置20を提供することができる。
【0613】
本実施形態では、制御装置50は、磁気検出素子80のセンサ信号に基づいて、センサ信号の振幅が閾値以上であるか否かを判定する。このことにより、制御装置50は、クラッチ構成部11、12が互いに係合が可能である係合可能タイミングであるか否かを正確に判定することができる。
【0614】
本実施形態では、制御装置50は、磁気検出素子80のセンサ信号が第1所定値(例えば、零)に収束したか否かを判定することにより、クラッチ構成部11、12の係合が完了したか否かを判定する。このことにより、クラッチ構成部11、12の係合が完了したか否かを正確に判定することができる。
【0615】
(第29実施形態)
上記第28実施形態において、ヨーク70の端面73a、74aがそれぞれN極を形成した例について説明した。しかし、これに代えて、ヨーク70の端面73aがS極を形成し、かつ端面74aがN極を形成した本第29実施形態について
図80等を参照して説明する。
【0616】
本実施形態と上記第28実施形態とでは、主にヨーク70の端面73a、74aの磁極の極性が異なるだけで、その他の構成が実質的に同一である。
図80において、
図73、
図74と同一符号は、同一のものを示す。
【0617】
ここで、磁束経路部74のうち軸線Sを中心とする径方向内側に配置されている端面74aがN極を形成する。磁束経路部74に対して径方向外側に磁石60Aが配置されている。磁石60Aのうち軸線Sを中心とする径方向内側の端面がN極を形成する。磁石60Aのうち軸線Sを中心とする径方向外側の端面がS極を形成する。
【0618】
磁束経路部73のうち軸線Sを中心とする径方向内側に配置されている端面73aがS極を形成する。本実施形態では、磁束経路部73に対して径方向外側に磁石60Bが配置されている。磁石60Bのうち軸線Sを中心とする径方向内側の端面がS極を形成する。磁石60Aのうち軸線Sを中心とする径方向外側の端面がN極を形成する。
【0619】
磁束経路部74の端面74aおよび磁束経路部73の端面73aは、互いに異なる極性の磁極を形成する。本実施形態では、位置検出装置20の中心線Tと磁気検出素子80の検出部82とが、クラッチ構成部11、12の間の中心線Zに対して軸線方向の他方側にオフセットして配置されている。
【0620】
磁束経路部74の端面74aは、クラッチ構成部12に対して軸線Sに対して径方向外側に配置されている。端面74aは、歯部12a、孔部12b、および基部12cに対向する。
【0621】
磁束経路部73の端面73aは、クラッチ構成部11に対して軸線Sに対して径方向外側に配置されている。端面73aは、歯部11a、孔部11b、および基部11cに対向する。
【0622】
磁気検出素子80は、クラッチ構成部11、12に対して軸線Sを中心とする径方向外側に配置されている。磁気検出素子80は、磁束経路部73、74の間に設けられている。磁気検出素子80は、磁束経路部73と磁束経路部74の間を通過する磁束の角度θを示すセンサ信号を出力する。
【0623】
磁気検出素子80は、軸線Sを中心とする回転方向において、孔部11b、歯部11aと孔部12b、歯部12aとの位置関係によってセンサ信号の振幅が変化することにより、センサ信号として位置関係を示す信号を出力する。
【0624】
次に、本実施形態では、歯部11aが歯部12aに対向し、かつ孔部11bが孔部12bに対向した状態で、クラッチ構成部11、12が回転した場合の磁気検出素子80のセンサ信号Dbについて、
図80、
図81、
図82を参照して説明する。
【0625】
ここで、
図81、
図82において、センサ信号Dbのうちクラッチ構成部11から影響を受けて変化する信号成分を信号成分D1bとする。センサ信号Dbのうちクラッチ構成部12から影響を受けて変化する信号成分を信号成分D2bとする。ここで、信号成分D1bおよび信号成分D2bを加算した信号がセンサ信号Dbとなる。
【0626】
図80では、磁気検出素子80の検出部82で検出される磁束の向きを示す矢印Fで表す。磁束経路部74から検出部82を通過して磁束経路部73に向かう矢印を矢印Ycとする。矢印Ycが磁束角度θの零度を示す基準向きを示している。磁束角度θは、矢印Ycと矢印Fとの間に形成される角度となる。磁束の向きを示す矢印Fが反時計回りに回転するほど、磁束角度θが小さくなり、磁束の向きを示す矢印Fが時計回りに回転するほど、磁束角度θが大きくなる。
【0627】
図80では、矢印Fと矢印Ycとが軸線Sを中心とする円周方向他方側を指して磁束角度θが零となる場合を示している。
図80では、矢印Fと矢印Ycとが図中左側を指している場合を示している。
【0628】
以下、センサ信号Dbに含まれる信号成分D1bと信号成分D2bとについて別々に
図80、
図81を参照して説明する。
【0629】
(信号成分D1b)
まず、タイミングT1において、歯部11aが磁気検出素子80に対向した際に、信号成分D1bは、最大値になる。
【0630】
その後、歯部11aが磁気検出素子80から離れて、磁気検出素子80に孔部11bが近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図80において、反時計回りに回転する。このため、信号成分D1bは、小さくなる。
【0631】
次に、タイミングT2において、磁気検出素子80に孔部11bが対向する。このとき、信号成分D1は、最小値になる。
【0632】
その後、孔部11bが磁気検出素子80から離れて、歯部11aが磁気検出素子80に近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図80において、時計回りに回転する。このため、信号成分D1bは、大きくなる。
【0633】
次に、タイミングT3において、歯部11aが磁気検出素子80に対向した際に、信号成分D1bは、最大値になる。
【0634】
その後、歯部11aが磁気検出素子80から離れて、磁気検出素子80に孔部11bが近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図80において、反時計回りに回転する。このため、信号成分D1は、小さくなる。
【0635】
次に、タイミングT4において、磁気検出素子80に孔部11bが対向する。このとき、信号成分D1は、最小値になる。
【0636】
このようにクラッチ構成部11が回転することに伴って、信号成分D1が正弦波状に変化する。
【0637】
(信号成分D2b)
まず、タイミングT1において、歯部12aが磁気検出素子80に対向した際に、信号成分D2bは、最小値になる。
【0638】
その後、歯部12aが磁気検出素子80から離れて、磁気検出素子80に孔部12bが近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図80において、時計回りに回転する。このため、信号成分D2は、大きくなる。
【0639】
次に、タイミングT2において、磁気検出素子80に孔部12bが対向する。このとき、信号成分D2bは、最大値になる。
【0640】
その後、孔部12bが磁気検出素子80から離れて、歯部12aが磁気検出素子80に近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図80において、反時計回りに回転する。このため、信号成分D2bは、小さくなる。
【0641】
次に、タイミングT3において、歯部12aが磁気検出素子80に対向した際に、信号成分D2bは、最小値になる。
【0642】
その後、歯部12aが磁気検出素子80から離れて、磁気検出素子80に孔部12bが近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図80において、時計回りに回転する。このため、信号成分D2bは、大きくなる。
【0643】
次に、タイミングT4において、磁気検出素子80に孔部12bが対向する。このとき、信号成分D2bは、最大値になる。
【0644】
このようにクラッチ構成部12が回転することに伴って、信号成分D2bが正弦波状に変化する。
【0645】
ここで、クラッチ構成部11、12の間の中心線Zに対して位置検出装置20の中心線Tおよび検出部82が軸線方向他方側に配置されている。よって、信号成分D1bは、クラッチ構成部11の基部11cの影響を受ける。このため、信号成分D1bは、信号成分D2bに対して磁束角度θのプラス側にオフセットされている。
【0646】
これに加えて、信号成分D1および信号成分D2は、互いに逆位相になる波形である。このため、信号成分D1bおよび信号成分D2bを加算したセンサ信号Dbは、振幅値が小さい正弦波となる。
【0647】
次に、本実施形態において、歯部11aが孔部12bに対向し、かつ孔部11bが歯部12aに対向した状態で、クラッチ構成部11、およびクラッチ構成部12が回転した場合の磁気検出素子80のセンサ信号Dbについて説明する。
【0648】
以下、センサ信号Dbに含まれる信号成分D1bと信号成分D2bについて別々に
図80、
図82を参照して説明する。
【0649】
(信号成分D1b)
まず、タイミングT5において、歯部11aが磁気検出素子80に対向した際に、信号成分D1bは、最大値になる。
【0650】
その後、歯部11aが磁気検出素子80から離れて、磁気検出素子80に孔部11bが近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図80において、反時計回りに回転する。このため、信号成分D1bは、小さくなる。
【0651】
次に、タイミングT6において、磁気検出素子80に孔部11bが対向する。このとき、信号成分D1bは、最小値になる。
【0652】
その後、孔部11bが磁気検出素子80から離れて、歯部11aが磁気検出素子80に近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図80において、時計回りに回転する。このため、信号成分D1bは、大きくなる。
【0653】
次に、タイミングT7において、歯部11aが磁気検出素子80に対向した際に、信号成分D1bは、最大値になる。
【0654】
その後、歯部11aが磁気検出素子80から離れて、磁気検出素子80に孔部11bが近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図80において、時計回りに回転する。このため、信号成分D1bは、小さくなる。
【0655】
次に、タイミングT8において、磁気検出素子80に孔部11bが対向した際に、信号成分D1bは、最小値になる。
【0656】
このようにクラッチ構成部11が回転することに伴って、信号成分D1bが正弦波状に変化する。
【0657】
(信号成分D2b)
まず、タイミングT5において、孔部12bが磁気検出素子80に対向した際に、信号成分D2bは、最大値になる。
【0658】
その後、孔部12bが磁気検出素子80から離れて、磁気検出素子80に歯部12aが近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図80において、反時計回りに回転する。このため、信号成分D2bは、小さくなる。
【0659】
次に、タイミングT6において、磁気検出素子80に歯部12aが対向する。このとき、信号成分D2bは、最小値になる。
【0660】
その後、歯部12aが磁気検出素子80から離れて、孔部12bが磁気検出素子80に近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図80において、時計回りに回転する。このため、信号成分D2bは、大きくなる。
【0661】
次に、タイミングT7において、孔部12bが磁気検出素子80に対向した際に、信号成分D2bは、最大値になる。
【0662】
その後、孔部12bが磁気検出素子80から離れて、磁気検出素子80に歯部12aが近づく。これに伴って、磁気検出素子80の検出磁束は、
図80において、反時計回りに回転する。このため、信号成分D2bは、小さくなる。
【0663】
次に、タイミングT8において、磁気検出素子80に歯部12aが対向する。このとき、信号成分D2bは、最小値になる。
【0664】
このようにクラッチ構成部12が回転することに伴って、信号成分D2bが正弦波状に変化する。
【0665】
ここで、クラッチ構成部11、12の間の中心線Zに対して位置検出装置20の中心線Tおよび検出部82が軸線方向一方側に配置されている。よって、信号成分D1bは、クラッチ構成部11の基部11cの影響を受ける。このため、信号成分D1bは、信号成分D2bに対して磁束角度θのプラス側にオフセットされている。
【0666】
これに加えて、信号成分D1bおよび信号成分D2bは、互いに同位相になる波形である。このため、信号成分D1bおよび信号成分D2bを加算したセンサ信号Dbは、振幅値が大きな正弦波となる。
【0667】
本実施形態では、クラッチ構成部11、12が係合していない状態でクラッチ構成部11、12が回転しているときに、センサ信号Dbは、その最小値が零よりも大きくなっている。
【0668】
次に、本実施形態において、クラッチ構成部11、12が回転した状態で、駆動源30がクラッチ構成部11を回転させてクラッチ構成部12に対してクラッチ構成部11の相対的な回転速度を変化させる場合について
図83を参照して説明する。
【0669】
図83のタイミングKNdは、クラッチ構成部11、12を軸線Sを中心として回転させた状態で、歯部11a、12aが対向し、かつ孔部11b、12bが対向したタイミングである。
【0670】
図83のタイミングKTdは、クラッチ構成部11、12を軸線Sを中心として回転させた状態で、歯部11aが孔部11bに対向し、かつ歯部12aが孔部12bに対向したタイミングである。
【0671】
歯部11a、12aが対向し、かつ孔部11b、12bが対向したタイミングKNdでは、磁気検出素子80のセンサ信号Xdの振幅値が最小値となる。一方、歯部11aが孔部11bに対向し、かつ歯部12aが孔部12bに対向したタイミングKTdでは、磁気検出素子80のセンサ信号Xdの振幅は、最大値になる。
【0672】
ここで、クラッチ構成部11、12が係合していない状態でクラッチ構成部11、12が回転しているときに、磁気検出素子80のセンサ信号Xdの最小値が零よりも大きくなっている。
【0673】
図83において、歯部11aが孔部11bに嵌まり、かつ歯部12aが孔部12bに嵌まってクラッチ構成部11、12が互いに係合がされた状態には、センサ信号Xcが時間の経過に伴って零に収束される。
【0674】
図83において、符号Dtは、磁気検出素子80のセンサ信号Xdの直流成分を示している。クラッチ構成部11、12が互いに係合がされていない場合には、センサ信号Xdの直流成分は正値になっている。クラッチ構成部11、12が互いに係合がされた状態には、時間の経過に伴ってセンサ信号Xdの直流成分は零に収束される。
【0675】
次に、制御装置50における制御処理の詳細について
図78、
図79を参照して説明する。
【0676】
制御装置50は、上記第28実施形態と同様に、
図78のフローチャートにしたがって、クラッチ制御処理を実行する。
【0677】
このため、ステップS100Aにおいて、制御装置50は、センサ信号の振幅が閾値未満であるときには、ステップS100においてNOと判定する。この場合、制御装置50は、ステップS120において、クラッチ構成部11、12は互いに係合が不可能であるタイミングであると判定する。
【0678】
制御装置50は、ステップS100Aにおいて、センサ信号の振幅が閾値以上であるときには、センサ信号の振幅が最大であるとして、YESと判定する。この場合、制御装置50は、ステップS110において、歯部11aが孔部11bに対向し、かつ歯部12aが孔部12bに対向した状態で、クラッチ構成部11、12が互いに係合が可能であるタイミングであると判定する。
【0679】
この場合、制御装置50は、ステップS130において、アクチュエータ40を制御して、クラッチ構成部11を軸線方向一方側に移動させる。このことにより、クラッチ構成部11がクラッチ構成部12に係合されたことになる。
【0680】
制御装置50は、上記第28実施形態と同様に、
図79のフローチャートにしたがって、係合判定処理を実行する。
【0681】
このため、制御装置50は、磁気検出素子80のセンサ信号が第1所定値(例えば、零)に収束したか否かを判定する。具体的には、制御装置50は、センサ信号が閾値Hb未満であるときには、磁気検出素子80のセンサ信号が第1所定値に収束しているとして、ステップS140において、YESと判定する。これに伴い、制御装置50は、ステップS142において、クラッチ構成部11、12の係合が完了したと判定する。
【0682】
一方、制御装置50は、センサ信号が閾値Hb以上であるときには、磁気検出素子80のセンサ信号が第1所定値に収束していないとして、ステップS140において、NOと判定する。これに伴い、制御装置50は、ステップS143において、クラッチ構成部11、12の係合が未完了であると判定する。
【0683】
以上説明した本実施形態によれば、上記第28実施形態と同様に、回転方向において、クラッチ構成部11とクラッチ構成部12との位置関係を検出する位置検出装置20を提供することができる。
【0684】
本実施形態では、制御装置50は、磁気検出素子80のセンサ信号に基づいて、センサ信号の振幅が閾値以上であるか否かを判定する。このことにより、制御装置50は、クラッチ構成部11、12が互いに係合が可能である係合可能タイミングであるか否かを正確に判定することができる。
【0685】
本実施形態では、制御装置50は、磁気検出素子80のセンサ信号が第1所定値(例えば、零)に収束したか否かを判定することにより、クラッチ構成部11、12の係合が完了したか否かを判定する。このことにより、クラッチ構成部11、12の係合が完了したか否かを正確に判定することができる。
【0686】
(他の実施形態)
(1)上記第1、第7実施形態では、位置検出装置20の磁石60として永久磁石を用いた例について説明したが、これに代えて、位置検出装置20の磁石60として電気磁石を用いてもよい。
【0687】
(2)上記第2~第6、第8~第29実施形態では、位置検出装置20の磁石60A、60Bとして永久磁石を用いた例について説明したが、これに代えて、位置検出装置20の磁石60A、60Bとして電気磁石を用いてもよい。
【0688】
(3)上記第1、第7の実施形態では、位置検出装置20において、1つの磁石を用いた例について説明し、上記第2~第6、第8~第29実施形態では、位置検出装置20において、2つの磁石を用いた例について説明した。
【0689】
しかし、これに代えて、上記第2~第6、第8~第25実施形態では、位置検出装置20において、3つ以上の磁石を用いてもよい。
【0690】
さらに、上記第26~第29実施形態では、位置検出装置20において、2つの磁石を用いた例について説明したが、これに代えて、上記第1、第7の実施形態と同様に、1つの磁石を用いて位置検出装置20を構成してもよい。
【0691】
(4)上記第11、第12実施形態では、位置検出装置20において、ヨーク70の磁束経路部75に隙間75dを設けた例について説明した。これに代えて、ヨーク70の磁束経路部74、73に隙間を設けてもよい。
【0692】
(5)上記第11、第12実施形態では、位置検出装置20において、ヨーク70を磁束の通過方向に分割するための隙間75dをヨーク70に設けた例について説明した。
【0693】
しかし、これと同様に、上記第1~第10、第13~第29実施形態においても、位置検出装置20において、ヨーク70に隙間を設けてもよい。
【0694】
(6)上記第1~第29実施形態では、ホール素子で磁気検出素子80を構成した例について説明したが、これに限らず、TMR素子、GMR素子、AMR素子等の磁気抵抗素子で磁気検出素子80を構成してもよい。
【0695】
(7)上記第1~第29実施形態では、アクチュエータ40がクラッチ構成部11を軸線方向一方側に移動させてクラッチ構成部11をクラッチ構成部12に接続する例について説明したが、これに代えて、次のようにしてもよい。
【0696】
例えば、アクチュエータ40がクラッチ構成部12を軸線方向他方側に移動させてクラッチ構成部12をクラッチ構成部11に接続させる。
【0697】
或いは、アクチュエータ40がクラッチ構成部12を軸線方向他方側に移動させ、かつクラッチ構成部11を軸線方向一方側に移動させることにより、クラッチ構成部12、11を接続させる。
【0698】
(8)上記第1、第6実施形態では、磁石60の面62を径方向内側に向け、磁石60の面61を径方向外側に向けて配置されている例について説明した。しかし、これに代えて、磁石60の面61を径方向内側に向け、磁石60の面62を径方向外側に向けて配置してもよい。
【0699】
(9)上記第26、第28実施形態では、磁石60Aのうち径方向内側をN極とし、磁石60Aのうち径方向外側をS極とし、磁石60Bのうち径方向内側をN極とし、磁石60Bのうち径方向外側をS極とした例について説明した。
【0700】
これに代えて、磁石60Aのうち径方向内側をS極とし、磁石60Aのうち径方向外側をN極とし、磁石60Bのうち径方向内側をS極とし、磁石60Bのうち径方向外側をN極としてもよい。この場合、ヨーク70の端面73aがS極を形成し、かつヨーク70の端面74aがS極を形成する。
【0701】
(10)上記第27、第29実施形態において、磁石60Aのうち径方向内側をN極とし、磁石60Aのうち径方向外側をS極とし、磁石60Bのうち径方向内側をS極とし、磁石60Bのうち径方向外側をN極とした例について説明した。
【0702】
しかし、これに代えて、磁石60Aのうち径方向内側をS極とし、磁石60Aのうち径方向外側をN極とし、磁石60Bのうち径方向内側をN極とし、磁石60Bのうち径方向外側をS極としてもよい。
【0703】
この場合、ヨーク70の端面73aがN極を形成し、かつヨーク70の端面74aがS極を形成する。
【0704】
(11)上記第28、第29実施形態において、位置検出装置20の中心線Tと検出部82とがクラッチ構成部11、12の間の中心線Zに対して軸線方向の他方側にオフセットして配置されている例について説明した。
【0705】
しかし、これに代えて、位置検出装置20の中心線Tと検出部82とをクラッチ構成部11、12の間の中心線Zに対して軸線方向の一方側にオフセットして配置してもよい。
【0706】
この場合、クラッチ構成部12が回転した状態で、駆動源30がクラッチ構成部11を回転させてクラッチ構成部12に対してクラッチ構成部11の相対的な回転速度を変化させる場合に磁気検出素子80のセンサ信号Xは、
図84に示すようになる。
【0707】
ここで、クラッチ構成部11、12が係合していない状態でクラッチ構成部11、12が回転しているときに、磁気検出素子80のセンサ信号Xの最大値が零よりも小さくなっている。
【0708】
制御装置50は、上記第28、第29実施形態と同様に、
図79のフローチャートにしたがって、係合判定処理を実行する。
【0709】
このため、制御装置50は、磁気検出素子80のセンサ信号が第1所定値(例えば、零)に収束したか否かを判定する。具体的には、制御装置50は、センサ信号が閾値Hc以上であるときには、磁気検出素子80のセンサ信号が第1所定値に収束しているとして、ステップS140において、YESと判定する。これに伴い、制御装置50は、ステップS142において、クラッチ構成部11、12の係合が完了したと判定する。
【0710】
一方、制御装置50は、センサ信号が閾値Hc未満であるときには、磁気検出素子80のセンサ信号が第1所定値に収束していないとして、ステップS140において、NOと判定する。これに伴い、制御装置50は、ステップS143において、クラッチ構成部11、12の係合が未完了であると判定する。
【0711】
(12)上記第28、第29実施形態において、磁気検出素子80のセンサ信号Xはその最小値が零より大きい場合について説明した。
【0712】
しかし、位置検出装置20の中心線T、検出部82、および中心線Zの配置関係と、クラッチ構成部11、12の形状とによっては、磁気検出素子80のセンサ信号Xは、
図85、或いは
図86に示すようになる場合がある。
【0713】
図85、
図86は、クラッチ構成部12が回転した状態で、駆動源30がクラッチ構成部11を回転させてクラッチ構成部12に対してクラッチ構成部11の相対的な回転速度を変化させる場合における磁気検出素子80のセンサ信号Xを示す。
【0714】
図85は、磁気検出素子80のセンサ信号Xは、その最大値が零よりも大きく、かつ最小値が零よりも小さくなっている。
図85において、信号Dtは、センサ信号Xcの直流成分を示している。クラッチ構成部11、12が互いに係合がされていない場合には、センサ信号Xの直流成分は正値になっている。クラッチ構成部11、12が互いに係合がされた状態には、センサ信号Xの直流成分は第2所定値(例えば、零)に収束される。
【0715】
図86は、磁気検出素子80のセンサ信号Xは、その最大値が零よりも大きく、かつ最小値が零よりも小さくなっている。
図86において、信号Dtは、センサ信号Xcの直流成分を示している。クラッチ構成部11、12が互いに係合がされていない場合には、センサ信号Xの直流成分は負値になっている。クラッチ構成部11、12が互いに係合がされた状態には、センサ信号Xの直流成分は第2所定値(例えば、零)に収束される。
【0716】
このような場合に、制御装置50は、
図87のフローチャートにしたがって、係合判定処理を実行する。係合判定処理は、制御装置50によってステップS130の係合制御処理が実行される毎に、実行される。
【0717】
まず、ステップS140Aにおいて、制御装置50は、係合完了判定部として、磁気検出素子80のセンサ信号のうち直流成分を抽出し、この抽出した直流成分の絶対値が第2所定値(例えば、零)に収束したか否かを判定する。
【0718】
本実施形態では、第2所定値は、クラッチ構成部11、12が係合していない状態で、クラッチ構成部11、12が回転した場合の磁気検出素子80のセンサ信号のうち直流成分の絶対値よりも小さい値である。
【0719】
具体的には、制御装置50は、センサ信号のうち直流成分の絶対値が閾値Hd未満であるか否かを判定する。
【0720】
このとき、制御装置50は、センサ信号のうち直流成分の絶対値が閾値Hd未満であるときには、磁気検出素子80のセンサ信号のうち直流成分が第2所定値に収束しているとして、ステップS140において、YESと判定する。これに伴い、制御装置50は、ステップS142において、クラッチ構成部11、12の係合が完了したと判定する。
【0721】
一方、制御装置50は、センサ信号のうち直流成分の絶対値が閾値Hd以上であるときには、磁気検出素子80のセンサ信号のうち直流成分が第2所定値に収束していないとして、ステップS140において、NOと判定する。これに伴い、制御装置50は、ステップS143において、クラッチ構成部11、12の係合が未完了であると判定する。
【0722】
(13)上記第1~第29実施形態において、制御装置50がマイクロコンピュータから構成されている例について説明したが、これに代えて、マイクロコンピュータ以外の例えばゲートアレイ等の各種のハードウエア構成からなる電子回路によって制御装置50を構成してもよい。
【0723】
(14)上記第1~第29実施形態において、複数の歯部12a、複数の孔部11b、複数の歯部12a、および複数の孔部12bが大気にさらされている例について説明した。
【0724】
しかし、これに代えて、大気以外の気体、或いは液体に対して複数の歯部12a、複数の孔部11b、複数の歯部12a、および複数の孔部12bがさらされるようにしてもよい。
【0725】
(15)上記第28、第29実施形態において、制御装置50が、磁気検出素子80のセンサ信号が第1所定値に収束したか否かを判定することにより、クラッチ構成部11、12の係合が完了したか否かを判定した例について説明した。
【0726】
これに代えて、上記(12)と同様に、制御装置50が、センサ信号のうち直流成分の絶対値が第2所定値に収束したか否かを判定することにより、制御装置50は、クラッチ構成部11、12の係合が完了したと判定してもよい。
【0727】
(16)なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0728】
(まとめ)
上記第1~第29の実施形態、および他の実施形態の一部または全部に記載された第1の観点によれば、動力伝達システムは、ドグクラッチを備え、ドグクラッチは、第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部を備える。
【0729】
第1クラッチ構成部は、所定方向を軸線方向としたとき、軸線方向に延びる軸線を中心として回転可能に構成され、軸線方向一方側に凹む第1孔部と軸線方向他方側に凸となる第1歯部とが軸線を中心とする周方向に交互に並べられている。
【0730】
第2クラッチ構成部は、第1クラッチ構成部に対して軸線方向他方側に配置され、軸線を中心として回転可能に構成され、軸線方向の他方側に凹む第2孔部と軸線方向一方側に凸となる第2歯部とが軸線を中心とする周方向に交互に並べられている。
【0731】
駆動源が第1クラッチ構成部を軸線を中心として回転させた状態で、アクチュエータが第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部のうち一方を他方側に移動させて第1歯部を第2孔部に入れ、かつ第1孔部内に第2歯部を入れる。
【0732】
このことにより、駆動源から出力される回転力を第1クラッチ構成部から第2クラッチ構成部に伝達させる。
【0733】
位置検出装置は、第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置され、互いに異なる極性を形成する第1磁極部および第2磁極部を有する磁界発生部を備える。
【0734】
位置検出装置は、ヨークおよび磁気検出素子を備える。ヨークは、第1歯部或いは第1孔部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置される第1端面を有し、かつ第1端面および第1磁極部の間にて磁束を通過させる第1磁束経路部を備える。
【0735】
ヨークは、第2歯部或いは第2孔部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置される第2端面を有し、かつ第2磁極部および第2端面の間にて磁束を通過させる第2磁束経路部とを備える。
【0736】
磁気検出素子は、第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置されている。磁気検出素子は、第1磁束経路部および第2磁束経路部の間に設けられ、第1磁束経路部および第2磁束経路部の間で通過する磁束の向きを示すセンサ信号を出力する。
【0737】
磁気検出素子は、軸線を中心とする回転方向において、第1クラッチ構成部の第1孔部、第1歯部と第2クラッチ構成部の第2孔部、第2歯部との位置関係によって磁束の向きが変化することにより、センサ信号として位置関係を示す信号を出力する。
【0738】
第2の観点によれば、磁界発生部は、第1磁極部および第2磁極部を有する1つの磁石を備える。
【0739】
したがって、低コストで位置検出装置を構成することができる。
【0740】
第3の観点によれば、磁界発生部は、第1磁極部、および第1磁極部と異なる極性を有する第3磁極部を備える第1磁石と、第2磁極部、および第2磁極部と異なる極性を有する第4磁極部を備える第2磁石とを備える。
【0741】
第1磁石の第3磁極部および第2磁石の第4磁極部の間で磁束を通過させる第3磁束経路部を備える。第1磁極部と第4磁極部とは、同一の極性を有している。第3磁極部と第2磁極部とは、同一の極性を有する。
【0742】
これにより、2つの磁石を用いて磁界発生部を構成しているため、磁界発生部から発生される磁束を増やすことができる。このため、位置検出装置のロバスト性を高めることができる。したがって、上記位置関係の変化に伴って磁束の変化も大きくすることができる。
【0743】
これに加えて、1つの磁石を用いて磁界発生部を構成する場合に比べて、磁石自体の体格を小さくすることができるため、位置検出装置の小型化を図ることができる。
【0744】
具体的には、第4の観点によれば、磁気検出素子は、第1歯部が第2孔部に対向し、かつ第1端面が第1歯部に対向し、さらに第2端面が第2孔部に対向した状態で、磁束の向きとしての第1向きを示すセンサ信号を出力する。
【0745】
磁気検出素子は、第1歯部が第2歯部に対向し、かつ第1端面が第1歯部に対向し、さらに第2端面が第2歯部に対向した状態で、磁束の向きとしての第2向きを示すセンサ信号を出力する。
【0746】
磁気検出素子は、第1孔部が第2孔部に対向し、かつ第1端面が第1孔部に対向し、さらに第2端面が第2孔部に対向した状態で、第2向きを示すセンサ信号を出力する。
【0747】
磁気検出素子は、第1孔部が第2歯部に対向し、かつ第1端面が第1孔部に対向し、さらに第2端面が第2歯部に対向した状態で、磁束の向きとしての第3向きを示すセンサ信号を出力する。
【0748】
第1向き、第2向き、および第3向きは、それぞれ、異なる向きである。
【0749】
第5の観点によれば、動力伝達システムは、ドグクラッチを備え、ドグクラッチは、第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部を備える。
【0750】
第1クラッチ構成部は、所定方向を軸線方向としたとき、軸線方向に延びる軸線を中心として回転可能に構成され、軸線方向一方側に凹む第1孔部と軸線方向他方側に凸となる第1歯部とが軸線を中心とする周方向に交互に並べられている。
【0751】
第2クラッチ構成部は、第1クラッチ構成部に対して軸線方向他方側に配置され、軸線を中心として回転可能に構成され、軸線方向の他方側に凹む第2孔部と軸線方向一方側に凸となる第2歯部とが軸線を中心とする周方向に交互に並べられている。
【0752】
駆動源が第1クラッチ構成部を軸線を中心として回転させた状態で、アクチュエータが第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部のうち一方を他方側に移動させて第1歯部を第2孔部に入れ、かつ第1孔部内に第2歯部を入れる。
【0753】
このことにより、駆動源から出力される回転力を第1クラッチ構成部から第2クラッチ構成部に伝達させる。
【0754】
位置検出装置は、第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置され、互いに同一の極性を形成する第1磁極部および第2磁極部を有する磁界発生部を備える。
【0755】
位置検出装置は、ヨークおよび磁気検出素子を備える。ヨークは、第1歯部或いは第1孔部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置される第1端面を有し、かつ第1端面および第1磁極部の間で磁束を通過させる第1磁束経路部を備える。
【0756】
ヨークは、第2歯部或いは第2孔部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置される第2端面を有し、かつ第2端面および第2磁極部の間で磁束を通過させる第2磁束経路部を備える。
【0757】
磁気検出素子は、第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置され、かつ第1磁束経路部および第2磁束経路部の間に設けられている。
【0758】
磁気検出素子は、第1クラッチ構成部および第1磁束経路部の間で通過する第1磁束と第2クラッチ構成部および第2磁束経路部の間で通過する第2磁束とを合成した合成磁束の向きを示すセンサ信号を出力する。
【0759】
磁気検出素子は、軸線を中心とする回転方向において、第1クラッチ構成部の第1孔部、第1歯部と第2クラッチ構成部の第2孔部、第2歯部との位置関係によって合成磁束の向きが変化することにより、センサ信号として位置関係を示す信号を出力する。
【0760】
第6の観点によれば、磁界発生部は、第1磁極部、および第1磁極部と異なる極性を有する第3磁極部を備える第1磁石と、第2磁極部、および第2磁極部と異なる極性を有する第4磁極部を備える第2磁石とを備える。第3磁極部と第4磁極部とは、同一の極性を有する。
【0761】
具体的には、第7の観点によれば、磁気検出素子は、第1歯部が第2孔部に対向し、かつ第1端面が第1歯部に対向し、さらに第2端面が第2孔部に対向した状態で、合成磁束の向きとしての第1向きを示すセンサ信号を出力する。
【0762】
磁気検出素子は、第1歯部が第2歯部に対向し、かつ第1端面が第1歯部に対向し、さらに第2端面が第2歯部に対向した状態で、合成磁束の向きとしての第2向きを示すセンサ信号を出力する。
【0763】
磁気検出素子は、第1孔部が第2孔部に対向し、かつ第1端面が第1孔部に対向し、さらに第2端面が第2孔部に対向した状態で、第2向きを示すセンサ信号を出力する。
【0764】
磁気検出素子は、第1孔部が第2歯部に対向し、かつ第1端面が第1孔部に対向し、さらに第2端面が第2歯部に対向した状態で、合成磁束の向きとしての第3向きを示すセンサ信号を出力する。
【0765】
第1向き、第2向き、および第3向きは、それぞれ、異なる向きである。
【0766】
第8の観点によれば、第1磁束経路部は、軸線を中心とする径方向内側から径方向外側に向かうほど軸線方向一方側から軸線方向他方側に向かうように形成されている第1対向面を有している。
【0767】
第2磁束経路部は、軸線を中心とする径方向内側から径方向外側に向かうほど軸線方向他方側から軸線方向一方側に向かうように形成されている第2対向面を有する
第9の観点によれば、第1磁束経路部は、軸線を中心とする径方向内側から径方向外側に向かうほど軸線方向他方側から軸線方向一方側に向かうように形成されている第1対向面を有している。
【0768】
第2磁束経路部は、軸線を中心とする径方向内側から径方向外側に向かうほど軸線方向一方側から前記軸線方向他方側に向かうように形成されている第2対向面を有している。
【0769】
第10の観点によれば、第1磁束経路部は、第1端面から軸線を中心とする径方向外側に亘って形成されている第1経路構成部と、第1経路構成部から磁気検出素子に向けて凸となる第1突出部とを備える。
【0770】
第2磁束経路部は、第2端面から軸線を中心とする径方向外側に亘って形成されている第2経路構成部と、第2経路構成部から磁気検出素子に向けて凸となる第2突出部とを備える。
【0771】
したがって、第1磁束経路部および第2磁束経路部の間で磁気検出素子を通過する磁束を増やすことができる。
【0772】
第11の観点によれば、第1磁束経路部は、軸線方向一方側に形成されている第1側面と、軸線方向他方側に形成されている第2側面とを有している。軸線を中心とする径方向において磁気検出素子に近づくほど第1側面および第2側面の間の距離が小さくなるように第1側面が形成されている。
【0773】
第2磁束経路部は、軸線方向一方側に形成されている第3側面と、軸線方向他方側に形成されている第4側面とを有している。軸線を中心とする径方向において磁気検出素子に近づくほど第3側面および第4側面の間の距離が小さくなるように第4側面が形成されている。
【0774】
第12の観点によれば、磁気検出素子は、第1端面および第2端面から軸線を中心とする径方向内側に突出するように形成されている。
【0775】
このため、上記位置関係の変化に伴って磁束の向きが大きく変化する部位に磁気検出素子を配置することができる。したがって、上記位置関係の変化を磁気検出素子によって良好に検出することができる。これにより、位置検出装置のロバスト性を高めることができる。
【0776】
第13の観点によれば、位置検出装置は、第1磁極形成部と第2磁極形成部とを備える磁界発生部を備える。第1磁極形成部は、クリアランスに対して軸線を中心とする径方向外側に配置され、かつ磁極を形成する第1端面を形成する。
【0777】
第2磁極形成部は、クリアランスに対して軸線を中心とする径方向外側に配置され、かつ第1磁極形成部に対して軸線を中心とする周方向にずれて配置され、磁極を形成する第2端面を形成する。
【0778】
磁気検出素子は、第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置され、かつ第1磁極形成部および第2磁極形成部の間に設けられ、磁界発生部によって発生される磁束の向きを示すセンサ信号を出力する。
【0779】
磁気検出素子は、軸線を中心とする回転方向において、第1クラッチ構成部の第1孔部、第1歯部と第2クラッチ構成部の第2孔部、第2歯部との位置関係によってセンサ信号の振幅が変化することにより、センサ信号として位置関係を示す信号を出力する。
【0780】
第14の観点によれば、第1磁極形成部の第1端面と第2磁極形成部の第2端面とは、互いに同じ極性の磁極を形成する。
【0781】
磁界発生部によって発生される磁束は、第1端面とクリアランスとの間を通過する第1磁束と第2端面とクリアランスとの間を通過する第2磁束とが合成された合成磁束である。
【0782】
第15の観点によれば、第1磁極形成部の第1端面と第2磁極形成部の第2端面とは、互いに異なる極性の磁極を形成する。磁界発生部によって発生される磁束は、第1磁極形成部および第2磁極形成部の間を通過する磁束である。
【0783】
第16の観点によれば、 位置検出装置は、センサ信号の振幅に基づいて、第2歯部が第1孔部に対向し、かつ第1歯部が第2孔部に対向している状態であるか否かを判定する係合判定部を備える。
【0784】
位置検出装置は、第2歯部が第1孔部に対向し、かつ第1歯部が第2孔部に対向している状態であると係合判定部が判定したとき、アクチュエータを制御する係合制御部を備える。
【0785】
係合制御部は、アクチュエータを制御して第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部のうち一方を他方側に移動させて第1歯部を第2孔部に入れ、かつ第1孔部内に第2歯部を入れる。
【0786】
第17の観点によれば、係合判定部は、センサ信号の振幅が閾値以下であるか否かを判定することにより、第2歯部が第1孔部に対向し、かつ第1歯部が第2孔部に対向している状態であるか否かを判定する。
【0787】
これにより、第2歯部が第1孔部に対向し、かつ第1歯部が第2孔部に対向している状態であるか否かを正確に判定することができる。
【0788】
第18の観点によれば、位置検出装置は、第1磁極形成部と第2磁極形成部とを有する磁界発生部を備える。第1磁極形成部は、第1歯部或いは第1孔部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置され、磁極を形成する第1端面を形成する。第2磁極形成部と、第2歯部或いは第2孔部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置され、磁極を形成する第2端面を形成する。
【0789】
磁気検出素子は、第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部に対して軸線を中心とする径方向外側に配置され、かつ第1磁極形成部、および第2磁極形成部の間に配置され、磁界発生部によって発生される磁束の向きを示すセンサ信号を出力する。
【0790】
磁気検出素子は、軸線を中心とする回転方向において、第1クラッチ構成部の第1孔部、第1歯部と第2クラッチ構成部の第2孔部、第2歯部との位置関係によってセンサ信号の振幅が変化する。このことにより、磁気検出素子は、センサ信号として位置関係を示す信号を出力する。
【0791】
第19の観点によれば、第1磁極形成部の第1端面と第2磁極形成部の第2端面とは、互いに同じ極性の磁極を形成する。磁界発生部によって発生される磁束は、第1クラッチ構成部および第1磁極形成部の間で通過する第1磁束と第2クラッチ構成部および第2磁極形成部の間で通過する第2磁束とを合成した合成磁束である。
【0792】
第20の観点によれば、第1磁極形成部の第1端面と第2磁極形成部の第2端面とは、互いに異なる極性の磁極を形成する。
【0793】
磁界発生部によって発生される磁束は、第1磁極形成部および第2磁極形成部の間を通過する磁束である。
【0794】
第21の観点によれば、磁気検出素子は、磁界発生部によって発生される磁束の向きを検出してセンサ信号を出力する検出部を備える。
【0795】
第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部の間の中間部を通過して軸線方向に直交する方向に延びる仮想線を、第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部の中心線とする。
【0796】
第1磁極形成部および第2磁極形成部の間の中間部を通過して軸線方向に直交する方向に延びる仮想線を、第1磁極形成部および第2磁極形成部の中心線としする。
【0797】
第1磁極形成部および第2磁極形成部の中心線と、検出部とは、第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部の中心線に対して軸線方向の一方側、或いは他方側にずれて配置されている。
【0798】
第22の観点によれば、位置検出装置は、センサ信号の振幅に基づいて、第2歯部が第1孔部に対向し、かつ第1歯部が第2孔部に対向している状態であるか否かを判定する係合判定部を備える。
【0799】
位置検出装置は、第2歯部が第1孔部に対向し、かつ第1歯部が第2孔部に対向している状態であると係合判定部が判定したとき、アクチュエータを制御する係合制御部を備える。
【0800】
係合制御部は、アクチュエータを制御して第1クラッチ構成部および第2クラッチ構成部のうち一方を他方側に移動させて第1歯部を第2孔部に入れ、かつ第1孔部内に第2歯部を入れる。
【0801】
第23の観点によれば、位置検出装置は、センサ信号が所定値に収束したか否かを判定することにより、第1歯部が第2孔部に入り、かつ第1孔部内に第2歯部が入る係合が完了したか否かを判定する係合完了判定部を備える。
【0802】
これにより、センサ信号の直流成分を用いて、第1歯部が第2孔部に入り、かつ第1孔部内に第2歯部が入る係合が完了したか否かを正確に判定することができる。
【0803】
第24の観点によれば、位置検出装置は、センサ信号の直流成分が所定値に収束したか否かを判定することにより、第1歯部が第2孔部に入り、かつ第1孔部内に第2歯部が入る係合が完了したか否かを判定する係合完了判定部を備える。
【0804】
これにより、センサ信号の直流成分を用いて、第1歯部が第2孔部に入り、かつ第1孔部内に第2歯部が入る係合が完了したか否かを正確に判定することができる。
【0805】
第25の観点によれば、第1歯部および第2歯部は、鉄を含む材料によって構成されており、第1孔部および第2孔部は、大気に曝されている。
【符号の説明】
【0806】
1 動力伝達システム
10 ドグクラッチ
20 位置検出装置
30 駆動源
40 アクチュエータ
50 制御装置