(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】清掃装置
(51)【国際特許分類】
B08B 9/023 20060101AFI20230426BHJP
B08B 5/00 20060101ALI20230426BHJP
F28G 1/16 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
B08B9/023
B08B5/00 A
F28G1/16 Z
(21)【出願番号】P 2020534775
(86)(22)【出願日】2019-08-02
(86)【国際出願番号】 JP2019030501
(87)【国際公開番号】W WO2020027324
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-12-24
(31)【優先権主張番号】P 2018145664
(32)【優先日】2018-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 亨
(72)【発明者】
【氏名】成毛 裕貴
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-091886(JP,A)
【文献】特開平01-070179(JP,A)
【文献】実開昭50-065275(JP,U)
【文献】特開平04-303468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 9/032
F28G 1/16
B08B 5/00
B08B 9/035
F28G 9/00
F28G 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の管が配列され、全体として、互いに対向する位置に配置された第1面と第2面を有する板状に形成された管群を清掃する清掃装置であって、
前記第1面の側から前記管群に流体を噴射することによって、前記管に付着した粉塵を除去する噴射部と、
前記噴射部を前記第1面に沿って移動させる走行機構と、
飛散する粉塵を集塵する集塵機構
とを備える清掃装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の清掃装置において、
前記集塵機構は、粉塵を吸引する吸引口が形成された吸引部を有し、
前記吸引部は、前記噴射部と一体的に移動する清掃装置。
【請求項3】
請求項
1又は
2に記載の清掃装置において、
前記吸引部は、前記管群に対して前記噴射部と同じ側に配置されている清掃装置。
【請求項4】
請求項
1乃至
3の何れか1つに記載の清掃装置において、
前記走行機構は、前記集塵機構の集塵量に応じて走行速度を変更する清掃装置。
【請求項5】
複数の管が配列され、全体として、互いに対向する位置に配置された第1面と第2面を有する板状に形成された管群を清掃する清掃装置であって、
前記第1面の側から前記管群に流体を噴射することによって、前記管に付着した粉塵を除去する噴射部と、
前記噴射部を前記第1面に沿って移動させる走行機構とを備え、
前記走行機構は、前記管群における場所に応じて走行速度を変更する清掃装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の清掃装置において、
空気の上昇流が生じている場所に、前記第2面が斜め下方を向き且つ前記第1面が斜め上方を向くように鉛直方向に対して傾斜して配置されている前記管群を清掃する清掃装置であって、
前記走行機構は、前記管群の上部よりも前記管群の下部の方が走行速度を遅くする清掃装置。
【請求項7】
複数の管が配列され、全体として、互いに対向する位置に配置された第1面と第2面を有する板状に形成された管群を清掃する清掃装置であって、
前記第1面の側から前記管群に流体を噴射することによって、前記管に付着した粉塵を除去する噴射部と、
前記噴射部を前記第1面に沿って移動させる走行機構とを備え、
空気の上昇流が生じている場所に、前記第2面が斜め下方を向き且つ前記第1面が斜め上方を向くように鉛直方向に対して傾斜して配置されている前記管群を清掃する清掃装置。
【請求項8】
複数の管が配列され、全体として、互いに対向する位置に配置された第1面と第2面を有する板状に形成された管群を清掃する清掃装置であって、
前記第1面の側から前記管群に流体を噴射することによって、前記管に付着した粉塵を除去する噴射部と、
前記噴射部を前記第1面に沿って移動させる走行機構と、
前記走行機構によって前記第1面に沿って移動させられ、前記管群を通過する気流の風速を測定する風速計
とを備える清掃装置。
【請求項9】
請求項
8に記載の清掃装置において、
前記走行機構は、前記噴射部から流体を噴射する際の走行速度を前記風速計の測定結果に応じて変更する清掃装置。
【請求項10】
請求項
8又は
9に記載の清掃装置において、
前記噴射部は、噴射圧力、噴射量、噴射時間及び噴射頻度の少なくとも一つを前記風速計の測定結果に応じて変更する清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の管が配列され、全体として板状に形成された管群を備えた装置が知られている。例えば、特許文献1には、前述のような管群で構成された蒸気復水器が開示されている。特許文献1に開示の蒸気復水器では、管内を排気蒸気が流通する一方、管は外側から空気で冷却される。これにより、排気蒸気が冷却され凝縮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような管群においては、使用を継続すると、管の外表面に粉塵が付着し得る。そのため、管の外表面を定期的に清掃する必要がある。
【0005】
このような管群を清掃する方法としては、管群を含む装置の運転を停止し、管群の周りに足場を仮設し、粉塵飛散の養生対策等を施した上で、作業員が手作業で管の外表面の粉塵を除去することが考えられる。しかしながら、このような方法の場合、足場の仮設や養生対策等が煩雑であり、それに加えて、それらに要する時間が実際に粉塵を除去する作業に比べて長くて効率が悪いという問題がある。
【0006】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、管に付着した粉塵の清掃を簡単に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示された清掃装置は、複数の管が配列され、全体として、互いに対向する位置に配置された第1面と第2面を有する板状に形成された管群を清掃する清掃装置であって、前記第1面の側から前記管群に流体を噴射することによって、前記管に付着した粉塵を除去する噴射部と、前記噴射部を前記第1面に沿って移動させる走行機構とを備えるものとする。
【発明の効果】
【0008】
前記清掃装置によれば、管に付着した粉塵の清掃を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る蒸気復水システムの概略図である。
【
図3】
図3は、清掃装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、清掃装置が設置された蒸気復水器の側面図である。
【
図5】
図5は、制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、制御部の制御を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態2に係る清掃装置の構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、清掃装置が設置された蒸気復水器の側面図である。
【
図9】
図9は、制御部の制御を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態3に係る清掃装置の構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、清掃装置が設置された蒸気復水器2の側面図である。
【
図12】
図12は、制御装置の制御部の制御を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施形態4に係る清掃装置の構成を示すブロック図である。
【
図14】
図14は、その他の実施形態に係る走行機構を示す、蒸気復水器の側面図である。
【
図15】
図15は、別のその他の実施形態に係る走行機構を示す、蒸気復水器の側面図である。
【
図16】
図16は、その他の実施形態に係る制御部の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
《実施形態1》
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、実施形態1に係る蒸気復水システム100の概略図である。
【0011】
蒸気復水システム100は、蒸気を空気で冷却することによって凝縮させるものである。蒸気復水システム100は、蒸気復水器2と、蒸気復水器2に空気を送風するファン14と、蒸気復水器2を清掃する清掃装置5とを備えている。
【0012】
蒸気復水器2、ファン14及び清掃装置5は、チャンバ11内に配置されている。チャンバ11内には、フレーム15が組まれている。蒸気復水器2及びファン14は、フレーム15に設置されている。ファン14は、蒸気復水器2の下方に配置されている。チャンバ11には、冷却用の空気が流通する空気通路12が接続されている。空気通路12には、流入口13から外気が流入する。蒸気復水器2には、発電用タービン(図示省略)等の蒸気使用装置から排出される排気蒸気(以下、単に「蒸気」という)が供給される。蒸気は、蒸気復水器2の内部を流通する。ファン14は、空気通路12を流通する空気を蒸気復水器2へ送風する。チャンバ11内には、空気の上昇流が生じている。つまり、チャンバ11は、空気が下方から上方へ流れる流路Pを形成している。空気は、蒸気復水器2を通過する際に蒸気復水器2内を流通する蒸気と熱交換する。蒸気は、空気に冷却され凝縮する。凝縮した復水は、蒸気復水器2から排出される。蒸気復水器2を通過した空気は、チャンバ11から上方へ流出していく。蒸気復水システム100の運転を継続すると、蒸気復水器2に粉塵が付着する。清掃装置5は、蒸気復水器2に付着した粉塵を除去する。
【0013】
蒸気復水器2は、蒸気が供給される1本の蒸気マニホールド21と、蒸気マニホールド21から分岐する複数の分岐管22と、分岐管22が集合する2本の集合管23とを有している。蒸気マニホールド21に供給された蒸気は、複数の分岐管22に流入し、分岐管22を流通する間に凝縮して復水となる。復水は、分岐管22から集合管23へ流入し、最終的に集合管23を介して排出される。分岐管22は、管の一例である。
【0014】
複数の分岐管22は、蒸気マニホールド21から斜め下方の一の方向に延びる分岐管22で構成される第1管群3Aと、蒸気マニホールド21から斜め下方の別の方向に延びる分岐管22で構成される第2管群3Bとに分かれている。第1管群3A及び第2管群3Bは、蒸気マニホールド21を棟とする切妻屋根状に形成されている。第1管群3Aの分岐管22の下端(即ち、蒸気マニホールド21とは反対側の端)は、一方の集合管23に接続されている。第2管群3Bの分岐管22の下端(即ち、蒸気マニホールド21とは反対側の端)は、他方の集合管23に接続されている。2本の集合管23は、蒸気マニホールド21と略平行に延びている。分岐管22は、蒸気マニホールド21及び集合管23のそれぞれに垂直に接続されている。
【0015】
尚、第1管群3A及び第2管群3Bの下方、詳しくは、直下にファン14が配置されている。
【0016】
分岐管22及び管群3についてさらに詳細に説明する。以下、第1管群3Aと第2管群3Bを区別しない場合には、単に「管群3」と称する。
図2は、管群3の横断面図(分岐管22の軸心に直交する断面の図)である。
【0017】
分岐管22の外周面には複数のフィン24が設けられている。つまり、分岐管22は、フィンアンドチューブである。管群3においては、複数の分岐管22が互いに概ね平行に配列され、全体として、互いに対向する位置に配置された第1面31及び第2面32を有する板状に形成されている。以下、説明の便宜上、各管群3において、蒸気マニホールド21が延びる方向をX方向とし、分岐管22が延びる方向をY方向とし、X方向及びY方向の両方に直交する方向、即ち、板状に形成された管群3の厚み方向をZ方向とする。つまり、第1面31及び第2面32は、XY平面と略平行な平面である。
【0018】
さらに詳しくは、管群3においては、は、同一平面上に配列された複数の分岐管22で1つの層が形成され、そのようなに形成された複数の層がZ方向に重ねられている。
図2の例では、管群3は、4層の分岐管22で形成されている。このとき、隣り合う2層において、一方の層の分岐管22と他方の層の分岐管22とは、それぞれの軸心がX方向にオフセットするように配置されている。つまり、管群3においては、全体として、分岐管22が千鳥配置されている。
【0019】
このように形成された管群3は、
図1に示すように、チャンバ11内において、鉛直方向に対して傾斜する状態で配置されている。このとき、第1面31が斜め上方を向き、第2面32が斜め下方を向いている。チャンバ11は、ファン14によって空気が下方から上方へ向かって流れる流路Pとなっている。管群3は、この流路P上に配置されており、空気は、第2面32から第1面31の方へ分岐管22の隙間を通って管群3を通過していく。管群3を通過する空気は、分岐管22との熱交換によって加熱されていく。そのため、第1面31寄りの分岐管22の熱交換効率は、第2面32寄りの分岐管22の熱交換効率に比べて低い。そのため、分岐管22は、蒸気マニホールド21と集合管23との間を一直線状に延びているのではなく、蒸気マニホールド21と集合管23との間の中央で捻じれて、管群3における上半分と下半分とで管群3の厚み方向、即ち、Z方向の位置を変えている。詳しくは、管群3の上半分において第1面31から第2面32に向かって順番に並んでいた分岐管22は、管群3の下半分においては第2面32から第1面31に向かって順番に並ぶ。例えば、管群3の上半分において第2面32を形成していた分岐管22は、管群3の下半分においては第1面31を形成している。これにより、管群3のZ方向の位置における分岐管22の熱交換効率の不均衡を平滑化している。尚、このように分岐管22が捻じれてZ方向の位置を変えることに伴って、管群3の上半分の分岐管22と管群3の下半分の分岐管22とでは、X方向の位置が少しずれている。つまり、下半分の分岐管22は、上半分の分岐管22に対してX方向にオフセットしている。
【0020】
ここで、空気には粉塵が含まれる場合がある。空気中に含まれる粉塵の一部は、空気が分岐管22の隙間を通過する際にフィン24を含む分岐管22の表面に付着する。空気は第2面32から第1面31の方へ管群3を通過していくので、粉塵は、第2面32寄りの分岐管22により多く付着する。清掃装置5は、分岐管22に付着した粉塵を除去する。
【0021】
図3は、清掃装置5の構成を示すブロック図である。清掃装置5は、各管群3に設けられている。清掃装置5は、分岐管22に付着した粉塵を除去するノズル61とノズル61を管群3の第1面31に沿って移動させる走行機構8とを備えている。清掃装置5は、飛散する粉塵を集塵する集塵機構7をさらに備えていてもよい。清掃装置5は、清掃装置5の全体を制御する制御装置9をさらに備えていてもよい。
【0022】
ノズル61は、分岐管22に付着した粉塵を除去する噴射機構6に含まれている。噴射機構6は、6個のノズル61と、6個のバルブ62と、パルス発生器63と、エアタンク64と、コンプレッサ65とを有している。
【0023】
ノズル61、エアタンク64及びコンプレッサ65は、配管又はホースで接続されている。コンプレッサ65は、空気を圧縮してエアタンク64に供給する。エアタンク64は、高圧の空気を貯留しており、その空気をノズル61に供給する。各ノズル61とエアタンク64との間にバルブ62が設けられている。バルブ62は、エアタンク64からノズル61への空気の流通及び遮断を切り替える。各バルブ62は、パルス発生器63からの信号によって作動する。ノズル61は、エアタンク64から供給される空気を噴射する。詳しくは、ノズル61は、第1面31の側から管群3に噴射することによって、分岐管22に付着した粉塵を除去する。ノズル61は、噴射部の一例であり、空気は、噴射部が噴射する流体の一例である。
【0024】
集塵機構7は、集塵フード71と、集塵機73とを有している。
【0025】
集塵フード71は、配管又はホースを介して集塵機73と接続されている。集塵機73は、空気を吸引するように構成されている。つまり、集塵機73は、集塵フード71の近傍の粉塵を空気と共に集塵フード71を介して吸引する。集塵機73は、空気を吸引する能力、即ち、空気の吸引力を調節可能に構成されている。集塵機73は、集塵センサ74を有している。集塵センサ74は、集塵機73が吸引する空気中に含まれる粉塵の量を検出する。集塵フード71は、吸引部の一例である。
【0026】
図4は、蒸気復水器4の側面図である。走行装置8は、ノズル61を第1面31に沿った直交する2つの方向に移動させる。例えば、走行機構8は、
図4にも示すように、2つのキャリッジ81と、キャリッジ81をY方向に案内する一対の縦フレーム82と、キャリッジ81を縦フレーム82に沿って移動させる駆動ベルト83及び第1走行モータ84と、縦フレーム82をX方向に案内する一対の横フレーム85と、縦フレーム82を横フレーム85に沿って移動させる走行車86及び第2走行モータ87とを有している。走行機構8は、キャリッジ81を管群3の第1面31に沿って走行させる。
【0027】
縦フレーム82は、Y方向、即ち、分岐管22と略平行に延びている。縦フレーム82は、分岐管22の長さ方向の略全域に亘って延びている。縦フレーム82は、キャリッジ81をY方向に移動可能に支持している。縦フレーム82のうちY方向における上半分が一方のキャリッジ81を支持し、縦フレーム82のうちY方向における下半分が他方のキャリッジ81を支持している。前述の如く、管群3の上半分の分岐管22と下半分の分岐管22とのX方向へのオフセットに合わせて、一方のキャリッジ81が他方のキャリッジ81に対してX方向にオフセットするように、上半分の縦フレーム82及び下半分の縦フレーム82は、それぞれに対応するキャリッジ81をY方向に案内する。
【0028】
駆動ベルト83は、無端ベルトであって、一方の縦フレーム82に沿って設けられている。駆動ベルト83は、駆動プーリと従動プーリ(図示省略)に巻回されている。駆動ベルト83には、キャリッジ81が固定されている。
【0029】
第1走行モータ84は、駆動プーリを回転駆動することによって駆動ベルト83を駆動する。駆動ベルト83が駆動されると、キャリッジ81は、縦フレーム82に案内されながら、駆動ベルト83に従って移動する。つまり、キャリッジ81は、第1走行モータ84の駆動によってY方向に移動する。
【0030】
横フレーム85は、X方向に延びている。下側の横フレーム85は、集合管23の近傍に配置され、上側の横フレーム85は、蒸気マニホールド21の近傍に配置されている。下側の横フレーム85は、一対の縦フレーム82のそれぞれの下端部をX方向に移動可能に支持している。上側の横フレーム85は、走行車86をX方向に移動可能に支持している。走行車86は、上側の横フレーム85に沿って走行する。走行車86には、一対の縦フレーム82のそれぞれの上端部が連結されている。
【0031】
走行車86は、第2走行モータ87を有している。第2走行モータ87は、走行車86を駆動する。走行車86は、第2走行モータ87の駆動によって、上側の横フレーム85に沿ってX方向に移動する。走行車86には縦フレーム82が連結され、縦フレーム82にはキャリッジ81が支持されているので、走行車86の移動に従ってキャリッジ81もX方向に移動する。
【0032】
2つのキャリッジ81は、Y方向に間隔を空けて縦フレーム82に支持され且つ、駆動ベルト83に固定されている。2つのキャリッジ81の間隔は、分岐管22の全長の概ね半分に設定されている。キャリッジ81には、ノズル61、バルブ62及び集塵フード71が取り付けられている。つまり、ノズル61、バルブ62及び集塵フード71は、2セット設けられている。ノズル61、バルブ62及び集塵フード71は、キャリッジ81と共に移動する。上側のキャリッジ81に設けられたノズル61、バルブ62及び集塵フード71は、管群3のうち上半分を清掃し、下側のキャリッジ81に設けられたノズル61、バルブ62及び集塵フード71は、管群3のうち下半分を清掃する。
【0033】
このように、走行機構8は、キャリッジ81を縦フレーム82に沿って移動させると共に、縦フレーム82を横フレーム85に沿って移動させることによって、ノズル61を第1面31に沿って移動させる。また、キャリッジ81には集塵フード71も取り付けられているので、集塵フード71もノズル61と一体的に第1面31に沿って移動する。尚、キャリッジ81の位置は、第1走行モータ84及び第2走行モータ87のそれぞれにエンコーダを設けたり、又は、縦フレーム82にキャリッジ81のY方向位置を検出するセンサ(例えば、光電センサ又は磁気センサ)を設け、横フレーム85に走行車86のX方向位置を検出するセンサ(例えば、光電センサ又は磁気センサ)を設けたりすることによって検出され得る。
【0034】
ここで、
図2を参照して、ノズル61及び集塵フード71の配置について詳しく説明する。尚、
図2においては、縦フレーム82及び駆動ベルト83の図示が省略されている。
【0035】
6個のノズル61は、X方向に並んで配置されている。各ノズル61の噴射方向Uは、Z方向に対して傾斜している。詳しくは、各ノズル61の噴射方向Uは、ZX平面(即ち、分岐管22の軸心に直交する平面)と平行であって且つZ方向に対して傾斜(即ち、X方向に対しても傾斜)している。詳しくは、分岐管22が千鳥状に4層に配置された結果、4つの分岐管22がZ方向に傾斜する方向V(以下、「傾斜方向V」という)に並んでいる。各ノズル61の噴射方向Uは、傾斜方向Vと略平行となっている。
【0036】
この例では、6個のノズル61は、X方向一方側の3個のノズル61と、X方向他方側の3個のノズル61とで噴射方向Uが異なっている。詳しくは、分岐管22が千鳥状に配列された場合、
図2に示すように、互いに交差する2つの傾斜方向Vが存在する。X方向一方側の3個のノズル61の噴射方向Uは、一方の傾斜方向Vと略平行となっている。X方向他方側の3個のノズル61の噴射方向Uは、他方の傾斜方向Vと略平行となっている。その結果、X方向一方側の3個のノズル61の噴射方向U、及び、X方向他方側の3個のノズル61の噴射方向Uは、それぞれ6個のノズル61の中央に向かっている。
【0037】
また、X方向一方側の3個のノズル61は、X方向において等間隔で配置されている。ノズル61の間隔は、X方向に並ぶ分岐管22のピッチと一致している。X方向他方側の3個のノズル61も同様に配置されている。
【0038】
集塵フード71は、6個のノズル61の略中央に配置されている。つまり、集塵フード71は、管群3に対してノズル61と同じ側に配置されている。Y方向においては、集塵フード71は、6個のノズル61と略同じ位置に配置されている。集塵フード71は、粉塵を吸引する吸引口72が形成されている。集塵フード71は、吸引口72が管群3の第1面31と対向するように配置されている。
【0039】
続いて、制御装置9について説明する。
図5は、制御装置9の構成を示すブロック図である。
【0040】
制御装置9は、制御部91と、メモリ92と、記憶部93とを有している。
【0041】
制御部91は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで構成されている。制御部91は、記憶部93等に記憶されたプログラムをメモリ92に展開して実行することによって各種処理を実行する。尚、制御部91は、プロセッサと同様の機能を有するLSI(Large Scale Integration)等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0042】
メモリ92は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)又はRAM(Random Access Memory)等で構成されている。
【0043】
記憶部93は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ハードディスクで構成されている。尚、記憶部93は、CD-ROM等の光ディスク等で構成されていてもよい。記憶部93は、制御部91の処理の実行に必要な各種プログラムや各種情報を記憶している。
【0044】
制御部91は、機能構成として、噴射機構6を制御する噴射制御部94と、集塵機構7を制御する集塵制御部95と、走行機構8を制御する走行制御部96とを有している。つまり、制御部91は、記憶部93等に記憶されたプログラムをメモリ92に展開して実行することによって噴射制御部94、集塵制御部95及び走行制御部96として機能する。
【0045】
噴射制御部94は、パルス発生器63を制御する。これにより、噴射制御部94は、ノズル61に空気を間欠的に噴射させる。
【0046】
集塵制御部95は、集塵機73を制御する。集塵制御部95は、集塵機構7の集塵量、即ち、集塵センサ74の検出結果に応じて集塵機73の空気の吸引力を調節する。
【0047】
走行制御部96は、第1走行モータ84及び第2走行モータ87を制御する。走行制御部96は、集塵機構7の集塵量、即ち、集塵センサ74の検出結果に応じて第1走行モータ84の回転速度、即ち、キャリッジ81のY方向の走行速度を調節する。
【0048】
続いて、制御部91の具体的な制御内容について、
図6を参照しながら説明する。
図6は、制御部91の制御を示すフローチャートである。清掃装置5による清掃は、蒸気復水器2の運転中に実行される。
【0049】
制御部91は、作業者からの開始指令に応じて清掃を開始する。開始時には、キャリッジ81は、所定の開始位置、例えば、縦フレーム82におけるキャリッジ81の可動範囲における下端に位置している。また、開始時には、縦フレーム82は、所定の開始位置、例えば、X方向における管群3の端部に位置している。このとき、各ノズル61の噴射方向Uが、
図2に示すように、傾斜方向Vに並ぶ分岐管22の列と、この分岐管22の列の隣において傾斜方向Vに並ぶ分岐管22の列との間の隙間と一致するように、キャリッジ81のX方向位置が決められている。
【0050】
まず、ステップS1において、制御噴射部94は、パルス発生器63にパルス信号を出力させる。パルス信号においては、所定のパルス幅を有するパルスが所定の周期で繰り返されている。パルス発生器63から出力されたパルス信号は、それぞれのバルブ62に入力される。バルブ62は、パルスが存在する間だけ流路を開通させ、エアタンク64からの空気をノズル61に流通させる。これにより、ノズル61は、空気を噴射する。パルスが存在しない期間は、バルブ62が流路を閉鎖するため、エアタンク64からノズル61への空気の供給が遮断される。この間は、ノズル61は、空気の噴射を停止する。このように、ノズル61は、空気を間欠的に噴射する。
【0051】
集塵制御部95は、ステップS2において、集塵機73を作動させ、集塵フード71の近傍の空気及び粉塵を吸引させる。このとき、集塵制御部95は、集塵機73の吸引力を所定の初期値に調節する。
【0052】
走行制御部96は、ステップS3において、第1走行モータ84を作動させる。これにより、キャリッジ81が縦フレーム82に沿ってY方向に移動し始める。このとき、走行制御部96は、第1走行モータ84の回転速度を所定の初期値に調節する。尚、走行制御部96は、第2走行モータ87を作動させない。つまり、キャリッジ81は、Y方向にのみ移動し、X方向には移動しない。
【0053】
このように、清掃が開始されると、ノズル61が、キャリッジ81に従って移動しながら空気を間欠的に噴射すると共に、集塵機73が、キャリッジ81に従って移動する集塵フード71の周辺の空気及び粉塵を吸引する。ノズル61から噴射された空気は、管群3を第1面31から第2面32の方へ貫通する際に、分岐管22に付着した粉塵を除去する。
【0054】
このとき、ノズル61が空気を間欠的に噴射することによって、エアタンク64からノズル61に供給される空気の圧力が回復する時間が確保される。つまり、ノズル61から噴射される空気の圧力は、噴射開始時が最も高い。噴射を継続すると、噴射される空気の圧力はしだいに低下していく。ノズル61からの空気の噴射を停止すると、ノズル61へ供給される空気の圧力が次第に上昇して回復する。ノズル61からの空気の噴射を間欠的にすることによって、ノズル61へ供給される空気の圧力が回復する時間を確保することができる。これにより、より高い圧力の空気をノズル61から噴射することができ、粉塵の除去能力を高めることができる。
【0055】
それに加えて、ノズル61は、管群3の厚み方向に対して傾斜する方向、詳しくは、YZ平面に対して傾斜する方向に空気を噴射する。これにより、粉塵の除去能力を高めることができる。詳しくは、前述の如く、粉塵は、分岐管22のうち第2面32寄りの部分に付着しやすい。つまり、第1面31の側から見た分岐管22の裏側に、粉塵が付着しやすい。ノズル61から管群3の厚み方向に空気を噴射すると、空気は分岐管22の裏側に到達しにくい。それに対し、ノズル61から管群3の厚み方向に対して傾斜する方向に空気を噴射すると、空気が分岐管22の裏側に回り込みやすくなる。その結果、粉塵の除去能力が高まる。さらに、この例の管群3においては、分岐管22が千鳥状に積層されることにより、複数の分岐管22は、
図2に示すように、厚み方向に対して傾斜する傾斜方向Vに並んでいる。その結果、傾斜方向Vに並ぶ分岐管22の列と、この分岐管22の列の隣において傾斜方向Vに並ぶ分岐管22の列との間の隙間も、概ね傾斜方向Vに延びている。つまり、ノズル61は、積層された複数の分岐管22によって形成される分岐管22の列と列の間の隙間が延びる方向と略同じ方向に空気を噴射する。その結果、ノズル61から噴射された空気が、管群3を第1面31から第2面32の方へ貫通しやすくなる。粉塵は、前述の如く、第2面32寄りの分岐管22により多く付着するが、第2面32の方へ貫通する空気が増加することによって、そのような粉塵も十分に除去することができる。
【0056】
除去された粉塵は飛散するが、集塵フード71の周辺においては集塵フード71の方へ向かう気流が発生している。飛散する粉塵は、この気流に乗って集塵フード71から吸引される。また、蒸気復水器2の運転が継続されているので、管群3の第2面32の側にはファン14による気流が発生している。そのため、ノズル61からの空気により除去された粉塵の多くは管群3の第2面32の側へ飛散するが、ファン14からの気流によって管群3を通過して管群3の第1面31の側へ飛散し得る。これにより、集塵フード71からの粉塵の吸引効率が高められる。
【0057】
このような粉塵の除去及び吸引がノズル61及び集塵フード71がY方向に移動しながら行われる。その間に、集塵制御部95は、ステップS4において、集塵センサ74の検出結果に基づき、集塵量が所定の閾値以上か否かを判定する。つまり、集塵制御部95は、集塵量が多いか否かを判定する。
【0058】
集塵量が閾値以上の場合には、集塵制御部95は、ステップS5において、集塵機73の吸引力を増大させる。それに加えて、走行制御部96は、ステップS6において、第1走行モータ84を減速させる。つまり、集塵量が多い場合には、集塵機73の吸引力を増大させてより多くの粉塵を吸引できるようにする。また、集塵量が多いことは、その場所において分岐管22に付着している粉塵が多いことを意味する。そのため、第1走行モータ84を減速させることによって、キャリッジ81、ひいては、ノズル61及び集塵フード71のY方向への移動速度を低減させる。これにより、その場所における分岐管22により時間をかけて空気を噴射し、より入念に粉塵を除去することができる。それにより、分岐管22から除去されて飛散する粉塵が増加するので、集塵機73の吸引力を増大させることによって、増加した粉塵を適切に集塵することができる。
【0059】
集塵量が閾値未満の場合、又は、ステップS6において第1走行モータ84を減速させた後は、ステップS7において、走行制御部97は、キャリッジ81のY方向の往復が完了したか否かを判定する。キャリッジ81は、開始位置である、縦フレーム82におけるキャリッジ81の可動範囲における下端から、可動範囲の上端まで移動し、その後、可動範囲の下端まで戻ってくる。このように、キャリッジ81のY方向の往路と復路との両方で同じX方向位置において分岐管22の清掃が行われる。
【0060】
キャリッジ81のY方向への往復が完了していない場合には、再び、集塵制御部9によるステップS4の処理が実行される。つまり、キャリッジ81がY方向へ往復する間、ステップS4~S7が繰り返される。
【0061】
キャリッジ81のY方向への往復が完了した場合には、走行制御部97は、ステップS8において、第1走行モータ84を停止する。これにより、キャリッジ81のY方向への移動が停止する。
【0062】
続いて、走行制御部97は、ステップS9において、縦フレーム82のX方向への移動が完了したか否かを判定する。前述の如く、清掃の開始時には、縦フレーム82は、開始位置である、X方向における管群3の一端部に位置している。縦フレーム82は、清掃中に開始位置からX方向に所定量ずつ移動し、最終的にX方向における管群3の他端部まで移動する。
【0063】
縦フレーム82のX方向への移動が完了していない場合は、走行制御部97は、ステップS10において、第2走行モータ87を作動させ、縦フレーム82をX方向へ所定量だけ移動させる。この例では、X方向へ移動する際の所定量、即ち、X方向への移動ピッチは、X方向に並ぶ分岐管22のピッチの3倍である。6個のノズル61は、前述の如く、噴射方向Uが異なる、3個ずつのグループに分けられる。千鳥状に配置された分岐管22によって傾斜方向Vに延びるように分岐管22の隙間が形成されている。一のグループに属する、噴射方向Uが同じ3個のノズル61は、X方向に並ぶ3本の隙間に向かってそれぞれ空気を噴射している。つまり、キャリッジ61のY方向への一往復において、X方向に並ぶ3本の、分岐管22の隙間が同時に清掃される。尚、別のグループに属する、噴射方向Uが同じ3個のノズル61は、異なる傾斜方向Vに延びる、分岐管22の隙間であってX方向に並ぶ3本の隙間を同時に清掃する。そこで、分岐管22のX方向のピッチの3倍だけ縦フレーム82をX方向へ移動させることによって、各グループに属する、噴射方向Uが同じ3個のノズル61は、清掃が完了した3本の隙間の隣の位置する、まだ清掃されていない3本の隙間を清掃できる位置に移動する。X方向への移動ピッチをこのように設定することによって、分岐管22の間の傾斜方向Vに延びる隙間を3本ずつ重複することなく、且つ、漏れなく清掃していくことができる。
【0064】
走行制御部97は、縦フレーム82をX方向へ所定量だけ移動させると、第2走行モータ87を停止する。続いて、走行制御部97は、ステップS3へ戻り、第1走行モータ84を作動させる。つまり、キャリッジ81は、先ほどとは異なるX方向位置においてY方向への往復を開始する。
【0065】
その後、縦フレーム82のX方向への移動が完了するまで、ステップS4~S10が繰り返される。
【0066】
縦フレーム82のX方向への移動が完了すると、管群3のXY平面の全面を清掃したことになるので、制御部91は、清掃を終了する。
【0067】
このように、清掃装置5による清掃は、ノズル61を走行機構8によって第1面31に沿って移動させながら、ノズル61が空気を管群3に噴射することによって行われる。作業員が手作業で管群3に空気を吹きかけて清掃する場合と比較して、管群3の清掃を簡単に行うことができる。特に、作業員が作業を行うための足場の設置が不要になるので、清掃効率が上がる。
【0068】
さらには、清掃装置5は、集塵機構7を有し、ノズル61によって分岐管22の粉塵を除去しながら、飛散する粉塵を集塵機構7で吸引している。このため、粉塵養生等の作業が不要になるので、この点においても清掃効率が上がる。さらには、粉塵養生等が不要になるので、管群3の通常使用、即ち、蒸気復水器2の使用を継続しながら、管群3の清掃を行うことができる。
【0069】
また、ノズル61が噴射する流体は、空気である。これにより、清掃時の廃液処理が不要となる。また、ファン14が管群3の直下に配置された構成であっても、ファン14の運転を停止することなく、即ち、蒸気復水器2の使用を継続しながら、管群3の清掃を行うことができる。
【0070】
以上のように、清掃装置5は、第1面31の側から管群3に空気(流体)を噴射することによって、分岐管22(管)に付着した粉塵を除去するノズル61(噴射部)と、ノズル61を第1面31に沿って移動させる走行機構8とを備えている。
【0071】
この構成によれば、作業者が流体を管群3に吹きかけるのではなく、走行機構8がノズル61を移動させながらノズル61が管群3に空気を噴射するので、管群3の清掃を簡単に行うことができる。また、作業員が清掃作業を行うための足場等を管群3の周りに組む必要がなく、分岐管22に付着した粉塵の清掃を簡単に行うことができる。
【0072】
また、ノズル61は、管群3の厚み方向に対して傾斜した方向に空気を噴射する。
【0073】
この構成によれば、ノズル61が第1面31の側から管群3に空気を噴射する構成であっても、管群3の第2面32寄りの部分に空気を到達させやすくすることができる。つまり、板状に形成された管群3に対して、ノズル61は第1面31の側から空気を噴射するので、管群3の第2面32には空気が到達しづらい。ノズル6の噴射方向Uを管群3の厚み方向に対して傾斜させることによって、空気が管群3の第2面32に回り込みやすくなる。これにより、管群3の第2面32の粉塵を除去する能力も向上する。
【0074】
特に、分岐管22が管群3の厚み方向に積層され且つ分岐管22が千鳥状に配置された構成においては、ノズル61の噴射方向Uを管群3の厚み方向に対して傾斜させることによって、空気が分岐管22の隙間に侵入しやすくなる。これにより、分岐管22が管群3の厚み方向に積層された構成においてノズル61が第1面31の側から空気を噴射しても、第2面32寄りの分岐管22まで空気が到達しやすくなる。
【0075】
また、ノズル61は、走行機構8に従って移動しながら空気を間欠的に噴射する。
【0076】
この構成によれば、エアタンク64からノズル61に供給される空気の圧力が回復する時間を確保することができる。これにより、より高い圧力の空気をノズル61から噴射することができ、粉塵の除去能力を高めることができる。
【0077】
さらに、清掃装置5は、飛散する粉塵を集塵する集塵機構7をさらに備えている。
【0078】
この構成によれば、ノズル61を走行機構8によって移動させて分岐管22から粉塵を除去しながら、飛散する粉塵を集塵機構7で集塵することができる。そのため、清掃中に飛散する集塵の養生対策等を施す必要がなく、分岐管22に付着した粉塵の清掃を簡単に行うことができる。さらには、養生対策等が不要なので、管群3の通常使用、即ち、蒸気復水器2の使用を継続しながら、管群3の清掃を行うことができる。
【0079】
また、集塵機構7は、粉塵を吸引する吸引口72が形成された集塵フード71(吸引部)を有し、集塵フード71は、ノズル61と一体的に移動するように構成されている。
【0080】
この構成によれば、ノズル61から噴射される空気により分岐管22から除去された粉塵を効率よく集塵することができる。詳しくは、ノズル61が移動しながら管群3を清掃する場合、分岐管22から除去された粉塵は、ノズル61が清掃を行う場所及びその周辺でより多く舞い上がる。つまり、粉塵が舞い上がる場所は、ノズル61の移動に伴って変わっていく。集塵フード71がノズル61と一体的に移動することによって、粉塵が舞い上がる場所が変わるのに合わせて集塵フード71も移動することができる。これにより、粉塵の集塵効率が向上する。
【0081】
さらに、集塵フード71は、管群3に対してノズル61と同じ側に配置されている。
【0082】
この構成によれば、ノズル61は、第1面31の側から管群3に空気を噴射するので、除去された粉塵は、空気の流れに乗って管群3の第2面32の側に飛散しやすい。それに対し、集塵フード71も第1面31の側に配置されているので、除去された粉塵は、集塵フード71へ吸引される空気の気流に乗って第1面31の側にも流れてきて、集塵フード71によって吸引される。このようにノズル61及び集塵フード71を管群3に対して同じ側に配置することによって、ノズル61及び集塵フード71の設置が容易になる。
【0083】
また、走行機構8は、集塵機構7の集塵量に応じて走行速度を変更する。
【0084】
この構成によれば、いかに入念に清掃を行うかを粉塵の量に応じて変更することができる。例えば、集塵機構7の集塵量が多いことは、ノズル61が除去した粉塵が多いことを意味し、ひいては、管群3のうちノズル61が清掃する部分により多くの粉塵が付着していることを意味する。そのため、集塵機構7の集塵量が多い場合には、走行機構8によるノズル61の走行速度(即ち、移動速度)を遅くする。これにより、管群3のうち粉塵がより多く付着した部分により時間をかけて空気を噴射することができる。
【0085】
また、清掃装置5は、空気の上昇流が生じている場所に、第2面32が斜め下方を向き且つ第1面31が斜め上方を向くように鉛直方向に対して傾斜して配置されている管群3を清掃する。
【0086】
この構成によれば、管群3のうち第2面32寄りの部分により多くの粉塵が付着する。一方、ノズル61は、管群3に対して第1面31の側から空気を噴射する。しかしながら、前述の如く、ノズル61の噴射方向は管群3の厚み方向に対して傾斜しているので、管群3の第2面32寄りの部分に空気を到達させやすくすることができる。
【0087】
また、ノズル61が第1面31の側から管群3に空気を噴射するので、除去された粉塵は空気の流れに乗って管群3の第2面32の側に飛散しやすい。しかし、空気の上昇流が存在し、管群Pを第2面32から第1面31へ向かう気流が存在するので、第2面32の側に飛散した粉塵の少なくとも一部は、その気流に乗って管群Pを第2面32から第1面31の方へ通過し、管群3の第1面31の側へ飛散する。そのため、管群3の第1面31の側に集塵フード71が配置されている構成であっても、分岐管22から除去した粉塵を十分に集塵することができる。
【0088】
《実施形態2》
続いて、実施形態2に係る清掃装置205について説明する。
図7は、清掃装置205の構成を示すブロック図である。
図8は、清掃装置205が設置された蒸気復水器2の側面図である。
【0089】
清掃装置205は、風速を測定する風速計を備える点で実施形態1の清掃装置5と異なる。以下では、清掃装置205のうち清掃装置5と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略し、清掃装置5と異なる部分を中心に説明する。
【0090】
清掃装置205は、管群3の第1面31の側から管群3に流体を噴射することによって、分岐管22に付着した粉塵を除去するノズル61と、ノズル61を第1面31に沿って移動させる走行機構8と、走行機構8によって第1面31に沿って移動させられ、管群3を通過する気流の風速を測定する風速計210とを備えている。清掃装置205は、清掃装置205の全体を制御する制御装置209をさらに備えていてもよい。風速計210の測定結果は、制御装置209に入力されている。
【0091】
風速計210は、キャリッジ81に設けられている。つまり、走行機構8は、風速計210を第1面31に沿って移動させる。この例では、キャリッジ81にはノズル61も設けられているので、風速計210は、ノズル61と一体的に移動する。
【0092】
風速計210は、集塵フード71の外側に配置されていてもよい。これにより、風速計210は、集塵フード71の吸引による影響の少ない気流の風速を測定することができる。さらに、風速計210は、キャリッジ81の走行方向においてノズル61と異なる位置に配置されていてもよい。例えば、風速計210は、Y方向においてノズル61と異なる位置に配置されている。つまり、キャリッジ81がY方向に走行する際に、風速計210及びノズル61の何れか一方が走行方向の前側に位置し、他方が走行方向の後側に位置することになる。
【0093】
このように構成された風速計210は、走行機構8によって第1面31に沿って移動させられながら、第1面31の様々な場所における管群3を通過する気流の風速を測定することができる。管群3を通過する気流の風速は、分岐管22の間の隙間の詰まり具合、即ち、分岐管22に付着した粉塵の量に関連している。分岐管22に付着した粉塵の量が多いほど、風速が低下する。
【0094】
制御装置209の制御部91は、風速計210の検出結果に基づいて走行機構8を制御して清掃能力を調節する。例えば、制御部91は、風速が小さい場合には清掃能力を向上させ、風速が大きい場合には清掃能力を低下させる。
【0095】
制御部91の具体的な制御内容について、
図9を参照しながら説明する。
図9は、制御部91の制御を示すフローチャートである。清掃装置205による清掃は、蒸気復水器2の運転中に実行される。
【0096】
清掃の開始時には、キャリッジ81は、縦フレーム82におけるキャリッジ81の可動範囲における下端に位置している。このとき、走行方向において、風速計210がノズル61よりも前側に位置している。ステップS1~S3の処理は、実施形態1と同様である。制御部91は、ノズル61からの空気の噴射を開始し(ステップS1)、集塵機73の作動を開始し(ステップS2)、キャリッジ81のY方向への移動を開始する(ステップS3)。
【0097】
ステップS3においてキャリッジ81がY方向へ移動し始めた後、ステップS204において、制御部91は、風速計210によって測定された風速(以下、「測定風速」ともいう)に応じてキャリッジ81の走行速度を制御して清掃能力を調節する。それと並行して、制御部91は測定風速に応じて集塵機73の吸引力を調節する。詳しくは、走行制御部96は、測定風速が遅いほど回転速度が遅くなるように、第1走行モータ84の回転速度を調節する。集塵制御部95は、測定風速が遅いほど吸引力が大きくなるように集塵機73の吸引力を調節する。回転速度及び吸引力は、測定風速に応じて連続的又は段階的に調節され得る。記憶部93には、風速と走行速度との関係、及び、風速と吸引力との関係が、テーブル、グラフ又は関数の形で保存されている。制御部91は、風速に対応する回転速度及び吸引力を記憶部93から読み出し、第1走行モータ84の回転速度及び集塵機73の吸引力を読み出した回転速度及び吸引力に設定する。
【0098】
キャリッジ81がY方向における可動範囲の上端に達するまで、即ち、往路の間は、ノズル61よりも風速計210が先行している。つまり、風速計210は、管群3のうちノズル61によって粉塵が除去される部分の風速を除去に先立って測定する。これにより、ノズル61によって粉塵が除去される部分の、除去前における粉塵の付着量を推定することができる。風速が遅い部分、即ち、粉塵の付着量が多い部分は、ノズル61の移動速度を遅くすることによって、より時間をかけて空気を噴射して入念に粉塵を除去する。また、粉塵の付着量が多い部分では、飛散する粉塵が多いので、集塵機73の吸引力を大きくすることによって、より多くの粉塵を集塵する。逆に、風速が速い部分、即ち、粉塵の付着量が少ない部分は、ノズル61の移動速度を速くすることによって、除去に要する時間を短縮する。また、粉塵の付着量が少ない部分では、飛散する粉塵が少ないので、集塵機73の吸引力を小さくすることによって、消費電力を低減する。
【0099】
このような処理を、キャリッジ81がY方向における可動範囲の上端に達するまで、即ち、往路の移動が完了するまで継続する。詳しくは、制御部91(詳しくは、走行制御部96)は、ステップS205において、往路の移動が完了したか否かを判定する。往路の移動が完了していない場合には、制御部91は、ステップS204に戻る。一方、往路の移動が完了した場合には、制御部91は、ステップS206へ進む。
【0100】
ステップS206において、制御部91は、集塵機73の吸引力を初期値に設定すると共に、第1走行モータ84の回転速度を初期値に設定する。ただし、制御部91は、第1走行モータ84の回転方向を往路のときとは反対にし、キャリッジ81をY方向の復路へ走行させる。
【0101】
このとき、制御部91は、風速計210による風速の測定を継続する。測定された風速は、記憶部93に保存される。復路においては、風速計210よりもノズル61が先行している。つまり、風速計210は、管群3のうちノズル61によって粉塵が除去された部分の風速を測定する。これにより、ノズル61によって粉塵が除去される部分の、除去後における粉塵の付着量を推定することができる。
【0102】
制御部91は、ステップS207において、復路の移動が完了したか、即ち、往復が完了したか否かを判定する。往復が完了していない場合には、制御部91は、ステップS207を繰り返し、往復の完了を待機する。往復が完了した場合には、制御部91は、ステップS208へ進む。
【0103】
ステップS208においては、制御部91は、復路中に、測定風速が所定の判定値Sよりも遅い場所があったか否かを判定する。判定値Sは、粉塵が十分に除去されたと判定できる風速である。測定風速が判定値Sよりも遅い場所があった場合には、制御部91は、ステップS3からの処理をやり直す。つまり、測定風速が判定値Sよりも遅い場所は、粉塵が十分に除去できていない部分が存在することを意味するので、キャリッジ81のY方向への往復による粉塵の除去をもう一度行う。一方、復路において測定風速が判定値Sよりも遅い場所がなかった場合には、制御部91は、ステップS8へ進む。
【0104】
ステップS8以降の処理は、実施形態1と同様である。つまり、ステップS3~S208の処理を、縦フレーム82のX方向の位置を変えて行う。
【0105】
このように、清掃装置205は、第1面31の様々な場所で管群3を通過する気流の風速を測定することができる。清掃装置205は、測定した風速をノズル61による粉塵の除去に活かすことができる。例えば、清掃装置205は、粉塵の除去前に風速を測定することによって、管群3の様々な場所ごとに粉塵の付着状況に応じて清掃能力、即ち、粉塵の除去能力を調節することができる。清掃装置205は、粉塵の除去後に風速を測定することによって、管群3において粉塵が適切に除去できた部分と除去が不十分な部分とを判別することができる。その結果に応じて、清掃装置205は、除去が不十分な部分での粉塵の除去を再び行うことができる。
【0106】
以上のように、清掃装置205は、第1面31の側から管群3に空気(流体)を噴射することによって、分岐管22(管)に付着した粉塵を除去するノズル61(噴射部)と、ノズル61を第1面31に沿って移動させる走行機構8と、走行機構8によって第1面31に沿って移動させられ、管群3を通過する気流の風速を測定する風速計210とを備えている。
【0107】
この構成によれば、作業者が流体を管群3に吹きかけるのではなく、走行機構8がノズル61を移動させながらノズル61が管群3に空気を噴射するので、管群3の清掃を簡単に行うことができる。また、作業員が清掃作業を行うための足場等を管群3の周りに組む必要がなく、分岐管22に付着した粉塵の清掃を簡単に行うことができる。それに加えて、清掃装置205は、ノズル61を移動させる走行機構8と同じ走行機構8によって風速計210を第1面31に沿って移動させながら、管群3を通過する気流の風速を測定する。風速計210の専用の走行機構を別途設けなくても、管群3の様々な部分の風速を容易に測定することができる。また、共通の走行機構8によってノズル61と風速計210とを移動させるので、ノズル61が流体を吹きかける部分と概ね同じ部分の風速を測定することができる。清掃装置205は、風速計210を備えているので、風速の測定結果を清掃能力の調整に利用及び/又は、清掃効果の判定に利用できる。
【0108】
また、走行機構8は、ノズル61から流体を噴射する際の走行速度を風速計210の測定結果に応じて変更する。
【0109】
この構成によれば、風速計210の測定結果に応じて清掃能力を調節することができる。つまり、走行機構8の走行速度を遅くすることによって、流体を分岐管22に時間をかけて吹きかけることができ、清掃能力を向上させることができる。逆に、走行機構8の走行速度を速くすることによって、流体を分岐管22に吹きかける時間を短くすることができ、清掃能力を抑えることができる。このような清掃能力の調節を風速計210の測定結果に応じて行うことによって、分岐管22に付着した粉塵の量に応じて清掃能力を調節することができる。
【0110】
尚、清掃能力の調節は、走行機構8の走行速度の調節に限定されない。例えば、ノズル61は、噴射圧力、噴射量、噴射時間及び噴射頻度の少なくとも一つを風速計210の測定結果に応じて変更してもよい。噴射圧力を増大させる、噴射量を増加させる、噴射時間を長くする、又は噴射頻度を増加させることによって清掃能力を向上させることができる。それらを逆方向に調節することによって清掃能力を低下させることができる。これらの調節と前述の走行機構8の走行速度の調節とを組み合わせてもよい。
【0111】
さらに、風速計210は、ノズル61と一体的に移動する。
【0112】
この構成によれば、風速計210による風速測定と、ノズル61からの流体の噴射とを並行して行うことができる。
【0113】
また、風速計210は、ノズル61の走行方向においてノズル61よりも前側に配置されている。
【0114】
この構成によれば、管群3のうちノズル61から流体が吹き付けられる部分の風速を流体の噴射に先立って測定することができる。これにより、風速の測定結果に基づいて清掃能力を調節することができる。清掃能力の調節は、前述の如く、ノズル61からの流体の噴射態様を調節したり、走行機構8の走行速度を調節したりすることによって実現できる。
【0115】
あるいは、風速計210は、ノズル61の走行方向においてノズル61よりも後側に配置されている。
【0116】
この構成によれば、管群3のうちノズル61から流体が吹き付けられた部分の風速を流体の噴射後に測定することができる。これにより、粉塵の除去が十分か否かを風速に基づいて評価することができる。
【0117】
《実施形態3》
続いて、実施形態3に係る清掃装置305について説明する。
図10は、清掃装置305の構成を示すブロック図である。
図11は、清掃装置305が設置された蒸気復水器2の側面図である。
【0118】
清掃装置305は、風速計210を備える点では清掃装置205と同じであるが、管群3の清掃の方法が清掃装置205と異なる。以下では、清掃装置305のうち清掃装置5,205と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略し、清掃装置5,205と異なる部分を中心に説明する。
【0119】
清掃装置305は、管群3の第1面31の側から管群3に流体を噴射することによって、分岐管22に付着した粉塵を除去するノズル61と、ノズル61を第1面31に沿って移動させる走行機構8と、走行機構8によって第1面31に沿って移動させられ、管群3を通過する気流の風速を測定する風速計210とを備えている。清掃装置305は、清掃装置305の全体を制御する制御装置309をさらに備えていてもよい。風速計210の測定結果は、制御装置309に入力されている。清掃装置305は、風速計210による風速測定とノズル61からの流体の噴射とを別々に実行する。つまり、清掃装置305は、ノズル61からの流体の噴射を停止した状態で、風速計210を第1面31に沿って移動させながら管群3の様々な部分の風速を測定する。
【0120】
清掃装置305は、ノズル61及び風速計210の位置を検出する位置検出部310をさらに備えている。位置検出部310は、キャリッジ81の位置を検出することによって、実質的にノズル61及び風速計210の位置を検出する。位置検出部310は、縦フレーム82に設けられた複数の第1位置センサ311と横フレーム85に設けられた複数の第2位置センサ312とを含んでいる。第1位置センサ311は、キャリッジ81が所定の位置にあることを検出する。例えば、第1位置センサ311は、リミットスイッチ、光電センサ又は磁気センサ等である。第1位置センサ311は、キャリッジ81が第1位置センサ311の位置に到達したときに検出信号(例えば、ON信号)を出力する。第1位置センサ311の検出信号は、制御装置309に入力されている。第2位置センサ312は、走行車86が第2位置センサ312の位置に到達したときに検出信号(例えば、ON信号)を出力する。第2位置センサ312の検出信号は、制御装置309に入力されている。
【0121】
例えば、管群3の第1面31上には、風速を測定すべき複数の測定点が複数設定されている。複数の測定点は、第1面31上のX方向及びY方向に格子状に配列されている。つまり、複数の測定点がY方向に間隔を空けて並んで列を形成し、その列がX方向に間隔を空けて複数設定されている。複数の測定点は、後述する、空気を噴射しながらキャリッジ81が移動する際の風速計210の軌跡上に配置されている。
【0122】
第1位置センサ311は、複数の測定点のY方向位置に対応して配置されている。Y方向において風速計210が測定点と同じ位置に位置するときのキャリッジ81を検出するように第1位置センサ311が配置されている。第2位置センサ312は、複数の測定点のX方向位置に対応して配置されている。X方向において風速計210が測定点と同じ位置に位置するときの走行車86を検出するように第2位置センサ312が配置されている。
【0123】
制御装置309の制御部91の具体的な制御内容について、
図12を参照しながら説明する。
図12は、制御装置309の制御部91の制御を示すフローチャートである。
【0124】
まず、制御部91は、ステップS300において、管群3の風速を測定する。清掃装置305による風速測定は、蒸気復水器2の運転中に実行される。制御部91は、キャリッジ81及び縦フレーム82を風速測定の初期位置へ移動させる。例えば、制御部91は、キャリッジ81を縦フレーム82におけるキャリッジ81の可動範囲における下端へ移動させる。制御部91は、第2位置センサ312の検出結果に基づいて、Y方向に配列された複数の測定点の列のうちX方向の一端に位置する複数の測定点の列と風速計210とのX方向位置が一致する位置に縦フレーム82を移動させる。前述の如く、Y方向に配列された複数の測定点の列のいずれかと風速計210のX方向位置とが一致するときにはいずれかの第2位置センサ312が走行車86の到達を検出するように、第2位置センサ312が配置されている。そして、制御部91は、キャリッジ81を縦フレーム82におけるキャリッジ81の可動範囲における下端から上端へ向けてY方向へ移動させる。風速計210がいずれかの測定点に到達すると(即ち、制御部91がいずれかの第1位置センサ311から検出信号を受信すると)、制御部91は、キャリッジ81を停止させ、風速計210に風速を測定させる。制御部91は、測定風速を測定点の位置と紐づけて記憶部93に保存する。その後、制御部91は、キャリッジ81の移動を再開させ、Y方向に配列された全ての測定点で風速の測定を行う。Y方向に配列された複数の測定点の列の全ての測定点での風速測定が完了すると、制御部91は、縦フレーム82のX方向位置を変更して、別の、Y方向に配列された複数の測定点の列において前述の風速測定を行う。制御部91は、これを繰り返すことによって、全ての測定点での風速測定を完了する。
【0125】
尚、風速測定においてキャリッジ81をY方向へ移動させる際の縦フレーム82のX方向位置は、後述するノズル61から空気を噴射させながらキャリッジ81をY方向に移動させる際の縦フレーム82のX方向位置と同じである。つまり、風速測定時のキャリッジ81の軌跡は、空気噴射時のキャリッジ81の軌跡と同じである。
【0126】
続いて、制御部91は、伝熱管22に付着した粉塵の除去を実行する。清掃装置305による粉塵の除去は、蒸気復水器2の停止中に実行される。具体的には、制御部91は、ステップS1において、キャリッジ81及び縦フレーム82を清掃の初期位置へ移動させ、ノズル61からの空気の噴射を開始する。清掃の初期位置は、風速測定の初期位置と同じである。その後、制御部91は、ステップS2,S3の処理を実行する。ステップS1~S3の処理は、実施形態1と同様である。
【0127】
キャリッジ81がY方向へ移動し始めた後、ステップS304において、制御部91は、ステップS300での風速の測定結果に応じてキャリッジ81の走行速度及び集塵機73の吸引力を調節する。詳しくは、空気噴射時の縦フレーム82のX方向位置は風速測定時の縦フレーム82のX方向位置と同じなので、キャリッジ81は、風速測定のときと同じ軌跡上を移動する。そのため、ノズル61は、測定点又はその近傍を通過していく。制御部91は、第1位置センサ311の検出結果に基づいてキャリッジ81が測定点に対応する位置に達したか否かを判定する。キャリッジ81が測定点に対応する位置に達した場合には、制御部91は、記憶部93に保存された、当該測定点に対応する風速を読み出す。さらに、制御部91は、風速に対応する回転速度及び吸引力を記憶部93から読み出し、第1走行モータ84の回転速度及び集塵機73の吸引力を読み出した回転速度及び吸引力に設定する。実施形態2で説明したように、記憶部93には、風速と走行速度との関係、及び、風速と吸引力との関係が、テーブル、グラフ又は関数の形で保存されている。制御部91は、キャリッジ81が別の測定点に対応する位置に到達する度に同様の調節を繰り返す。こうして、キャリッジ81の走行速度及び集塵機73の吸引力が風速に応じて調節されながら、分岐管22の清掃が行われる。
【0128】
その後、ステップS305において、制御部91は、キャリッジ81のY方向の往復が完了したか否かを判定する。キャリッジ81のY方向への往復が完了していない場合には、ステップS304の処理が継続される。こうして、キャリッジ81のY方向の往路と復路との両方で分岐管22の清掃が行われる。
【0129】
キャリッジ81のY方向への往復が完了した場合には、制御部91は、ステップS8へ進む。ステップS8以降の処理は、実施形態1と同様である。つまり、前述の処理を、X方向の位置を変えて行う。
【0130】
このように、清掃装置305は、第1面31の様々な場所で管群3を通過する気流の風速を測定することができる。清掃装置305は、測定した風速をノズル61による粉塵の除去に活かすことができる。清掃装置305は、粉塵の除去前に風速を測定することによって、管群3の様々な場所ごとに粉塵の付着状況に応じて粉塵の除去能力を調節することができる。
【0131】
ただし、清掃装置305は、風速測定のための走行機構8による風速計210の移動と粉塵除去のための走行機構8によるノズル61の移動とを別々に行う。そのため、風速測定時には蒸気復水器2を運転し、粉塵除去時には蒸気復水器2を停止するというように、風速測定と粉塵除去とで蒸気復水器2の運転状態を異ならせることができる。
【0132】
尚、制御部91は、風速測定の結果に応じてステップS1以降の粉塵除去の処理を実行するか否かを決定してもよい。例えば、風速が所定の判定値よりも遅い測定点が存在する場合に、制御部91は、ステップS1以降の粉塵除去の処理を実行し、風速が当該判定値よりも遅い測定点が存在しない場合には、制御部91は、ステップS1以降の粉塵除去の処理を実行しなくてもよい。判定値は、粉塵の除去が必要と判定できる風速である。
【0133】
さらには、制御部91は、粉塵除去の処理が完了した後に、再び風速測定を行ってもよい。制御部91は、粉塵除去後の風速測定によって、粉塵の除去が十分か否かを判定することができる。風速が所定の判定値よりも遅い測定点が存在する場合には、制御部91は、ステップS1以降の粉塵除去の処理を再び実行し、風速が当該判定値よりも遅い測定点が存在しない場合に、制御部91は、粉塵除去の処理を終了してもよい。判定値は、粉塵が十分に除去されたと判定できる風速である。清掃装置305は、除去が不十分な部分での粉塵の除去を再び行うことができる。この判定値は、前述の粉塵除去前の風速測定の判定値と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0134】
以上のように、清掃装置305は、第1面31の側から管群3に空気(流体)を噴射することによって、分岐管22(管)に付着した粉塵を除去するノズル61(噴射部)と、ノズル61を第1面31に沿って移動させる走行機構8と、走行機構8によって第1面31に沿って移動させられ、管群3を通過する気流の風速を測定する風速計210とを備えている。
【0135】
この構成によれば、作業者が流体を管群3に吹きかけるのではなく、走行機構8がノズル61を移動させながらノズル61が管群3に空気を噴射するので、管群3の清掃を簡単に行うことができる。また、作業員が清掃作業を行うための足場等を管群3の周りに組む必要がなく、分岐管22に付着した粉塵の清掃を簡単に行うことができる。それに加えて、清掃装置205は、ノズル61を移動させる走行機構8と同じ走行機構8によって風速計210を第1面31に沿って移動させながら、管群3を通過する気流の風速を測定する。風速計210の専用の走行機構を別途設けなくても、管群3の様々な部分の風速を容易に測定することができる。また、共通の走行機構8によってノズル61と風速計210とを移動させるので、ノズル61が流体を吹きかける部分と概ね同じ部分の風速を測定することができる。清掃装置305は、風速計210を備えているので、風速の測定結果を清掃能力の調整に利用及び/又は、清掃効果の判定に利用できる。
【0136】
尚、位置検出部308は、ノズル61及び風速計210の位置を検出できる限り任意の構成とすることができる。例えば、位置検出部308は、キャリッジ81に設けられた送受信器と縦フレーム82、横フレーム85又は伝熱管22等に設けられたリフレクタとを有する光電センサであってもよい。キャリッジ81に設けられた送受信器がリフレクタからの反射光を検出することによって、キャリッジ81の位置、ひいては、ノズル61及び風速計210の位置を検出する。あるいは、第1走行モータ84及び第2走行モータ87のそれぞれにエンコーダを設け、それぞれのエンコーダの出力に基づいてキャリッジ81の位置を検出してもよい。また、ノズル61の位置を検出する位置検出部と風速計210の位置を検出する位置検出部とが別々に設けられていてもよい。このように、位置検出部308は、周知の様々な位置検出技術を採用することができる。尚、実施形態3以外の実施形態も、明記はしていないが、その内容から明らかなようにキャリッジ81の位置検出部を有している。
【0137】
《実施形態4》
続いて、実施形態4に係る清掃装置405について説明する。
図13は、清掃装置405の構成を示すブロック図である。清掃装置405は、ノズル61が揺動するように構成され、揺動しながら流体(空気)を噴射する点で、清掃装置5と異なる。以下では、清掃装置405のうち清掃装置5と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略し、清掃装置5と異なる部分を中心に説明する。
【0138】
清掃装置405は、分岐管22に付着した粉塵を除去するノズル61とノズル61を管群3の第1面31に沿って移動させる走行機構8とを備えている。ノズル61は、揺動するように構成され、揺動しながら空気を噴射する。ノズル61が揺動するので、ノズル61が空気を噴射しながら移動する際に、管群3の比較的広範囲に空気を吹きかけることができる。
【0139】
詳しくは、清掃装置405は、ノズル61を揺動させる揺動機構469を有している。揺動機構469は、ノズル61の移動方向に対して交差する方向にノズル61を揺動させる。例えば、揺動機構469は、ノズル61の移動方向の1つであるキャリッジ81の移動方向(即ち、Y方向)に対して直交する方向(即ち、X方向)にノズル61を揺動させる。
【0140】
例えば、揺動機構469は、リニアモータ469aとリニアガイド469bを有している。ノズル61は、リニアガイド469bによって、X方向に移動自在に支持されている。リニアモータ469aは、ノズル61をリニアガイド469bに沿ってX方向に往復動させる。リニアモータ469aは、制御装置409からの信号に基づいて動作する。
【0141】
揺動機構469は、ノズル61が空気を噴射しながらY方向に移動している際に、ノズル61をX方向に揺動させる。ノズル61がY方向に移動しながら空気を噴射する場合、管群3のうちY方向に延びる細長い領域に空気が吹きかけられる。このとき、ノズル61をX方向に揺動させることによって、管群3のうち空気が吹きかけられる領域のX方向の幅を拡大することができる。
【0142】
尚、揺動機構469は、ノズル61を直線状に往復動させるものに限定されない。揺動機構469は、例えば、ノズル61を或る軸回り(例えば、Y方向に延びる軸回り)に円弧状に往復動させてもよい。すなわち、揺動機構469は、ノズル61を回転モータによって円弧状に往復動させてもよい。このとき、揺動機構469は、ノズル61を円弧状ではあるが、概ねX方向に往復動させる。このとき、ノズル61からの空気の噴射方向がノズル61の揺動軸を中心とする半径方向と交差している場合には、揺動機構469は、ノズル61を或る軸周りに揺動自在に支持するだけで、回転モータを有していなくてもよい。この場合、ノズル61から空気を間欠噴射する際の反動によってノズル61が揺動し得る。
【0143】
以上のように、清掃装置405は、第1面31の側から管群3に空気(流体)を噴射することによって、分岐管22(管)に付着した粉塵を除去するノズル61(噴射部)と、ノズル61を第1面31に沿って移動させる走行機構8とを備え、ノズル61は、揺動するように構成され、揺動しながら空気を噴射する。
【0144】
この構成によれば、作業者が流体を管群3に吹きかけるのではなく、走行機構8がノズル61を移動させながらノズル61が管群3に空気を噴射するので、管群3の清掃を簡単に行うことができる。また、作業員が清掃作業を行うための足場等を管群3の周りに組む必要がなく、分岐管22に付着した粉塵の清掃を簡単に行うことができる。それに加えて、ノズル61は、揺動しながら空気を噴射するので、管群3の広範囲に空気を吹きかけることができる。
【0145】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0146】
例えば、清掃装置5,205,305,405は、蒸気復水管2の管群3を清掃しているが、清掃の対象はこれに限られない。複数の管が配列され、全体として、互いに対向する位置に配置された第1面と第2面を有する板状に形成された管群であれば、任意の管群が清掃装置5の対象となり得る。また、管群を形成する管は、熱交換器の伝熱管に限定されない。
【0147】
また、清掃装置による清掃は、蒸気復水器2の運転中に実行されてもよいし、蒸気復水器2及びファン14の停止中(例えば、オーバーホール中)に実行されてもよいし、蒸気復水器2が作動し且つファン14が停止しているときに実行されてもよい。ただし、風速測定は、ファン14を運転している間に実行される。
【0148】
管群3は、複数の分岐管22が厚み方向に積層され且つ千鳥状に配置されているが、これに限られるものではない。管群3は、複数の分岐管22が配列された、一層だけで構成されていてもよい。
【0149】
管群3では、分岐管22が管群3における上半分と下半分とで管群3の厚み方向、即ち、Z方向の位置を変えているが、これに限られるものではない。分岐管22は、全長に亘って一直線状に延びていてもよい。
【0150】
清掃装置5,205,305,405の構成は、前述の構成に限られるものではない。
【0151】
例えば、ノズル61、バルブ62及び集塵フード71は、2セット設けられているが、1セット又は3セット設けられていてもよい。
【0152】
ノズル61は、1つのキャリッジ81に6個設けられているが、ノズル61の個数は、任意に設定できる。ノズル61の噴射方向Uは、管群3の厚み方向に対して傾斜しているが、厚み方向を向いていてもよい。また、ノズル61の噴射方向Uは、分岐管22の軸心に直交する面に平行に延びているが、該面に対して傾斜していてもよい。ノズル61は、空気を間欠的に噴射しているが、走行機構8に従って移動しながら連続的に空気を噴射してもよい。
【0153】
さらに、ノズル61からの噴射圧力、噴射量、噴射時間及び噴射頻度の少なくとも一つが制御されてもよい。例えば、ノズル61からの噴射圧力、噴射量、噴射時間及び噴射頻度の少なくとも一つを集塵センサ74の検出結果に又は風速測定に基づいて制御してもよい。具体的には、集塵量が多いとき又は風速が遅いときにノズル61からの噴射圧力、噴射量、噴射時間及び噴射頻度の少なくとも一つを増大してもよい。これら噴射圧力、噴射量、噴射時間及び噴射頻度の少なくとも一つの制御は、前述の集塵量に基づく集塵機73の吸引力の制御及び/又はキャリッジ81の移動速度の制御と組み合わせて行ってもよいし、吸引力の制御及び/又は移動相度の制御の代わりに行ってもよい。
【0154】
ノズル61は、管群3に対して第1面31の側から空気を噴射しているが、第2面32の側から空気を噴射してもよい。その場合、走行機構8も管群3の第2面32の側に配置される。
【0155】
ノズル61は、空気を噴射している、ノズル61が噴射する流体は、水等の液体であってもよい。その場合、噴射された液体は、管群3の第2面32の側において下方に落下するので、ファン14は、管群3の直下ではなく、空気通路12に配置してもよい。さらには、空気を噴射するノズル61と水等の液体を噴射するノズル61との両方が設けられていてもよい。
【0156】
集塵フード71は、キャリッジ81に取り付けられ、ノズル61と一体的に移動しているが、これに限られるものではない。例えば、集塵フード71は、管群3のX方向の全域に亘って延びるようにして管群3の上部(例えば、蒸気マニホールド21と同じくらいの高さ)に固定的に取り付けられていてもよい。除去されて飛散する粉塵は上方に舞い上がるので、集塵フード71を管群3の上部に固定していても、粉塵を集塵することができる。あるいは、集塵フード71は、縦フレーム82と共にX方向にだけ移動する構成であってもよい。その場合、集塵フード71は、管群3のX方向の全域に亘って延びていなくてもよく、ノズル61がY方向に移動しながら清掃する範囲のX方向の幅を概ねカバーする程度の大きさを有してればよい。
【0157】
また、集塵フード71は、管群3に対してノズル61とは反対側に配置されていてもよい。つまり、管群3に対して、ノズル61が第1面31の側に配置されている場合には、集塵フード71は、第2面32の側に配置されていてもよい。その場合、走行機構8とは別に、管群3の第2面32の側に集塵フード71を移動させる走行機構が設けられていてもよい。
【0158】
尚、清掃装置5,205,305,405は、集塵機構7を有していなくてもよい。
【0159】
走行機構8の構成は、前述の構成に限られるものではない。走行機構8は、ノズル61を管群3の第1面31に沿って移動させることができる限り、任意の構成を採用し得る。例えば、キャリッジ81に取り付けられたノズル61が管群3のX方向の全範囲をカバーしている場合(例えば、管群3のX方向寸法が小さい場合等)には、走行機構8は、ノズル61をY方向だけに移動させればよいので、横フレーム85及び走行車86は省略される。
【0160】
キャリッジ81の駆動方式及び縦フレーム82の駆動方式は、前述の方式に限定されない。例えば、走行車86のような走行車がキャリッジ81を縦フレーム82に沿って移動させてもよい。あるいは、キャリッジ81は、ラックアンドピニオンやパンタグラフによって移動させられてもよい。
【0161】
また、走行機構8は、キャリッジ81をX方向の位置を変えずにY方向に往復させている。つまり、管群3の同じ部分を2度清掃しているが、これに限られない。走行機構8は、キャリッジ81のY方向における往路と復路とでX方向の位置を変えて、異なる分岐管22を清掃するようにしてもよい。さらに、キャリッジ81のX方向への移動ピッチ、即ち、縦フレーム82のX方向への移動ピッチは、任意に設定することができる。例えば、キャリッジ81のX方向への移動ピッチは、X方向に並ぶ分岐管22のピッチと同じであってもよい。この場合、噴射方向Uが同じノズル61が複数設けられているので、傾斜方向Vに延びる分岐管22の1つ隙間が別のノズル61で再度清掃されることになる。
【0162】
あるいは、走行機構508は、
図14に示す構成としてもよい。詳しくは、清掃装置505においては、2つのキャリッジ81を2本の縦フレーム82でそれぞれY方向に移動可能に支持している。また、走行機構508は、2つのキャリッジ81を連結する無端ベルト583と無端ベルト583が巻回された従動ローラ588とを有している。2つのキャリッジ81は、一方のキャリッジ81が上昇するときには他方のキャリッジ81が下降するように無端ベルト583によってつるべ式に連結されている。各キャリッジ81は、車輪(図示省略)と車輪を駆動するモータ584とを有している。一方のキャリッジ81が、モータ584の駆動により縦フレーム82に沿って上昇するときには、他方のキャリッジ81は縦フレーム82に沿って下降する。つるべ式とすることによって、一方のキャリッジ81が上昇する際の駆動力を他方のキャリッジ81の自重により低減することができる。このとき、下降するキャリッジ81のモータ584は、発電機として機能し回生を行ってもよい。回生により得られた電力はバッテリ(図示省略)に蓄電され、モータ584の駆動電力として用いられる。
【0163】
別の実施形態として、
図15に示す構成を有する清掃装置605であってもよい。清掃装置605は、清掃装置5と概ね同じ構成を有し、キャリッジ81が1つの点で異なる。また、清掃装置605が適用される管群3は、分岐管22がその全長に亘って一直線状に延びている。つまり、分岐管22は、途中で捻じれておらず、管群3の厚み方向における位置を変えない。この清掃装置605においては、ノズル61及び集塵フード71が1つのキャリッジ81と共に分岐管22の全長に亘って移動する。また、清掃装置605は、キャリッジ81がY方向に移動するときの集塵機73の吸引力及び第1走行モータ84の回転速度の制御が清掃装置5と異なる。詳しくは、清掃装置605の制御部91は、
図16に示すフローチャートに従って制御を行う。詳しくは、ステップS1~S3までの処理は清掃装置5と同じである。キャリッジ81のY方向への移動が開始されると、ステップS604において、走行制御部96は、第1走行モータ84の回転速度をキャリッジ81のY方向位置(即ち、ノズル61のY方向位置)に応じて調節する。それに加えて、集塵制御部95は、キャリッジ81のY方向位置(即ち、集塵フード71のY方向位置)に応じて集塵機73の吸引力を調節する。例えば、管群3には下方から空気が流れてきて、第2面32の側から第1面31の側へ空気が通過していく。そのため、管群3のうち比較的下部をより多くの空気が通過していく。その結果、管群3のうち比較的下部により多くの粉塵が付着する。そこで、走行制御部96は、管群3の上部よりも管群3の下部の方がキャリッジ81の走行速度が遅くなるように第1走行モータ84の回転速度を調節する。これにより、ノズル61のY方向への移動速度が、粉塵が多い場所ほど遅くなり、そのような場所における分岐管22により時間をかけて空気を噴射し、より入念に粉塵を除去することができる。また、管群3のうちより多くの粉塵が付着している部分においては、分岐管22から除去されて飛散する粉塵が多い。それに加えて、そのような場所においてノズル61のY方向への移動速度を遅くすると、飛散する粉塵はさらに増加する。そこで、集塵制御部95は、管群3の上部よりも管群3の下部の方が集塵機73の吸引力が増大するように調節する。集塵機73の吸引力を増大させることによって、増加した粉塵を適切に集塵することができる。第1走行モータ84の回転速度及び集塵機73の吸引力は、キャリッジ81のY方向位置に応じて段階的に調節されてもよいし、線形的に調節されてもよい。
【0164】
また、制御装置9,209,309,409による前述の制御は、一例であって、これに限定されるものではない。例えば、
図6のフローチャートにおいて、ステップS1~S3の処理は、前述の説明と異なる順番で実行されてもよいし、並行して行われてもよい。ステップS4,S5についても、前述の説明と異なる順番で実行されてもよいし、並行して行われてもよい。つまり、清掃装置5による清掃を適切に実現できる限りにおいては、ステップの順番を変更したり、ステップを省略したり、ステップを追加したりしてもよい。
【0165】
また、ステップS4~S6においては、集塵量が所定の閾値以上か否かを判定し、集塵量が閾値以上の場合には集塵機73の吸引力を増大させると共に第1走行モータ84を減速させているが、吸引力及び回転速度の何れか一方だけを調節してもよい。さらには、集塵機73の吸引力及び/又は第1走行モータ84の回転速度は、集塵量に応じて2段階ではなく、集塵量に応じて3段階以上、あるいは、集塵量に応じて線形的に調整されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0166】
以上説明したように、ここに開示された技術は、清掃装置について有用である。
【符号の説明】
【0167】
22 分岐管(管)
3 管群
31 第1面
32 第2面
5,205,305,405,505,605 清掃装置
61 ノズル(噴射部)
7 集塵機構
71 集塵フード(吸引部)
72 吸引口
8,508 走行機構