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特許7268920多層プラスチックの層を分離するための方法
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  • 特許-多層プラスチックの層を分離するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】多層プラスチックの層を分離するための方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/00 20060101AFI20230426BHJP
   B02C 23/08 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
B29B17/00 ZAB
B02C23/08 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021529528
(86)(22)【出願日】2018-08-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 ES2018070541
(87)【国際公開番号】W WO2020025836
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】521044604
【氏名又は名称】レペトコ イノベーションズ エス.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガリード エスクデロ,アマリオ
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス グラシア,アレクサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】エスクデロ マリン,ペドロ アントニオ
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0107762(US,A1)
【文献】国際公開第2017/037260(WO,A1)
【文献】国際公開第03/025101(WO,A2)
【文献】特開2001-170933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 17/00-17/04
C08J 11/00-11/28
B09B 1/00- 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なるプラスチックで作製された少なくとも第1の層および第2の層を含む多層プラスチックの層を分離するためのシステムを使用する、多層プラスチックの層を分離するための方法であって、前記システムは、
-多層プラスチック断片を導入するための入力ホッパ(9)と、
-前記入力ホッパ(9)の後に配置された容器(1)と、
-前記容器(1)の後に配置された排出タンク(4)と、
-前記排出タンク(4)に接続された機械的再圧縮機(8)と、
-前記排出タンク(4)に接続されたポンプ(5)と、
-前記容器(1)および前記機械的再圧縮機(8)に接続されたボイラ(3)と、
-前記排出タンク(4)の後に配置された機械的分離ユニット(6)と、
-前記機械的分離ユニット(6)の後に配置された機械的選別ユニット(7)と、
-前記入力ホッパ(9)と前記容器(1)との間のバルブ(20)、前記容器(1)と前記排出タンク(4)との間の排出バルブ(2)、前記排出タンク(4)と前記機械的再圧縮機(8)との間の回収バルブ(11)、前記排出タンク(4)と前記ポンプ(5)との間のバルブ(21)、および前記ボイラ(3)と前記容器(1)との間の蒸気入口制御バルブ(10)と
を備え、
前記方法は、
-前記容器(1)の内部が1バール~12バールの圧力、および100℃~191.12℃の温度に達するまで、ボイラ(3)で生成され、前記容器(1)に導入された予熱蒸気で前記容器(1)を加圧する段階と、
-前記容器(1)の後に配置された前記排出タンク(4)の内部を、-0.7バール~0.1バールの相対圧力および15℃~25℃の温度にする段階と、
-前記多層プラスチックを多層プラスチック断片に細断する段階と、
-前記容器(1)に前記多層プラスチック断片を導入し、10秒~60秒の期間その中に保持することにより、前記多層プラスチック断片の層間の結合部を弱める段階と、
-前記多層プラスチック断片を前記容器(1)から前記排出タンク(4)に移送し、そこで1分~5分の期間保持する段階と、
-前記多層プラスチック断片を前記排出タンク(4)から前記機械的分離ユニット(6)に移送し、そこで前記多層プラスチック断片を単層プラスチック断片に分離する段階と、
-前記単層プラスチック断片を前記機械的分離ユニット(6)から前記機械的選別ユニット(7)に移送し、そこで前記単層プラスチック断片を材料ごとに選別する段階と
を含み、
前記排出タンク(4)内に配置された前記容器(1)からの前記多層プラスチック断片が、バルブを介して、前記入口ホッパ(9)から前記容器(1)に導入されて、前記容器(1)に戻り、10秒~60秒の期間それらを保持することからなる段階に再び供され、前記多層プラスチック断片の層間の結合部が弱くなることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記多層プラスチックが、断片の最大長さで測定されるそれらの最終的なサイズが10mm以上であるように断片に細断される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記多層プラスチックの層の1つが、ポリエチレンテレフタレート(PET)から作製され、別の層がポリエチレン(PE)から作製される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記多層プラスチック断片が、前記入口ホッパ(9)を介して前記容器(1)に導入され、前記入口ホッパ(9)の出口に配置された前記バルブ(20)を開く、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記容器(1)から前記排出タンク(4)への前記多層プラスチック断片の移送が、前
記容器(1)と前記排出タンク(4)との間に配置された排出バルブ(2)を介して行われる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ボイラ(3)から前記容器(1)への前記予熱蒸気の移送が、前記ボイラ(3)と前記容器(1)との間に配置された蒸気入口制御バルブ(10)を介して行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポンプ(5)が、前記排出タンク(4)の内側から液体を抽出する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記容器(1)から前記排出タンク(4)への前記多層プラスチック断片の移送中に、蒸気が前記容器(1)から前記排出タンク(4)に導入され;前記蒸気は、前記機械的再圧縮機(8)に接続されている前記回収バルブ(11)を介して抽出され、結果として生じる凝縮水は濾過され、前記ボイラ(3)に再導入される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記容器(1)が、制御システムに圧力および温度の大きさに関するデータを提供する内部圧力および温度センサを備え、制御システムは、前記蒸気入口制御バルブ(10)、前記排出バルブ(2)および前記バルブ(20)を作動させることにより、ならびに前記ボイラ(3)の内部温度を制御することにより、前記容器(1)の圧力および温度を制御する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記機械的分離ユニット(6)において、前記多層プラスチック断片が、断片の切断、ブラッシング、研磨、および摩擦を含む動作によって単層プラスチック断片に分離される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層プラスチックの層を分離するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多層プラスチックは現在、農業、工業および包装等の多くの活動および分野において使用されている。環境への関心の高まりにより、有用な部品のリサイクルおよび回収を含む製品の寿命の統合管理への一般的な傾向が生じ、新製品での回収された材料のその後の使用、ならびに廃棄物、汚染およびコストの削減が可能になっている。
【0003】
多層材料で作製されたアイテム、具体的には少なくとも1つの層がプラスチックであるアイテムをリサイクルするための方法はいくつかある。この方法は、層間の結合部、すなわち接着剤を弱めるための第1の段階、ならびに層を物理的および/または化学的に分離するための第2の段階を含む。第1の段階では、多層プラスチックの断片を直接加熱する必要がある。これらの断片は、アイテムを細断して、アイテムのサイズをリサイクル方法による加工に適したサイズに縮小する前段階によって得られる。第2段階では通常、化学物質を多層プラスチック断片の一部と反応させ、接着剤または多層プラスチック断片の層の1つを溶解する必要がある。第2段階はまた、代替として、または化学的分離と一緒に、破砕、粉砕、研磨、切断、および研磨物質の使用による多層プラスチック断片の層の物理的分離を含み得る。通常、第2段階からの微量の水および残りの液体を除去するために、その後の乾燥段階が必要である。
【0004】
これらのリサイクル方法にはいくつかの欠点がある。
-リサイクルする多層プラスチック断片の塊を80℃超の温度に加熱して接着剤を弱める必要があり、次いで分離したプラスチックを乾燥させるため、多くのエネルギーが必要である。
-有毒で汚染性のある化学組成物が必要であり、したがって特別な処理および廃棄方法が必要である。
-特別な取り扱いおよび廃棄方法を必要とする研磨剤が必要である。
-化学組成物等の一度だけ使用されるいくつかの物質が必要であるため、プロセス全体でかなりのリソースが必要になる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、前述の欠点を解決する多層プラスチックの層を分離するための方法を提供することである。
本発明は、異なるプラスチックで作製された少なくとも第1の層および第2の層を含む多層プラスチックの層を分離するためのシステムを使用する、多層プラスチックの層を分離するための方法を提供し、システムは、
-多層プラスチック断片を導入するための入力ホッパと、
-入力ホッパの後に配置された容器と、
-容器の後に配置された排出タンクと、
-排出タンクに接続された機械的再圧縮機と、
-排出タンクに接続されたポンプと、
-容器および機械的再圧縮機に接続されたボイラと、
-排出タンクの後に配置された機械的分離ユニットと、
-機械的分離ユニットの後に配置された機械的選別ユニットと、
-入力ホッパと容器との間のバルブ、容器と排出タンクとの間の排出バルブ、排出タンクと機械的再圧縮機との間の回収バルブ、排出タンクとポンプとの間のバルブ、およびボイラと容器との間の入口制御バルブと
を備え、
方法は、
-容器の内部が1バール~12バールの圧力、および100℃~191.12℃の温度に達するまで、ボイラで生成され、容器に導入された予熱蒸気で容器を加圧する段階と、
-容器の後に配置された排出タンクの内部を、-0.7バール~0.1バールの相対圧力および15℃~25℃の温度にする段階と、
-多層プラスチックを多層プラスチック断片に細断する段階と、
-容器に多層プラスチック断片を導入し、10秒~60秒の期間その中に保持することにより、多層プラスチック断片の層間の結合部を弱める段階と、
-多層プラスチック断片を容器から排出タンクに移送し、そこで1分~5分の期間保持する段階と、
-多層プラスチック断片を排出タンクから機械的分離ユニットに移送し、そこで多層プラスチック断片を単層プラスチック断片に分離する段階と、
-単層プラスチック断片を機械的分離ユニットから機械的選別ユニットに移送し、そこで単層プラスチック断片を材料ごとに選別する段階と
を含み、
排出タンク内に配置された容器の多層プラスチック断片が容器に戻り、10秒~60秒の期間それらを保持する段階に再び供され、多層プラスチック断片の層間の結合部が弱くなる。
【0006】
本発明の方法における過熱蒸気の使用は、エネルギーの節約に加えて、様々なプラスチック層の分離を促進する短時間の高圧および高温の容器内での同時適用を可能にする。
本発明の他の有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の多層プラスチックの層を分離するためのシステムの要素の配設の概略図である。
図2】本発明の多層プラスチックの層を分離するために使用される設備の部分概略図である。
図3】本発明の多層プラスチックの層を分離するためのシステムで使用される機械的分離ユニットの実施形態を示す図である。
【発明の詳細な説明】
【0008】
多層プラスチックは、異なるプラスチックの少なくとも第1の層および第2の層を有し、他のプラスチックの追加の層を含み得る。
プラスチック層は通常、2つのプラスチック層の間に配置された接着剤によって接合される。
【0009】
本書において、「真空」という用語は、絶対圧力がゼロである絶対真空と、圧力が基準圧力よりも低い相対真空の両方を指す。必要に応じて、表現において2つの真空のどちらを参照するかを指定するために、「絶対」または「相対」という用語が明示的に使用される。
【0010】
多層プラスチックは、任意の機械的手段によって多層プラスチックの断片に細断される。一実施形態において、断片のより長い長さで測定されるその最終的なサイズは、10mm以上である。
【0011】
過熱蒸気は、必ずしも粒子全体を指定温度に加熱するわけではない熱衝撃と、大気圧から使用圧力に移行するときにプラスチック層が供される急激な圧力変化による機械的衝撃とを引き起こし、機械的分離段階において層の分離を成功させる。蒸気は断片に圧力をかけ、層間の化学結合を弱め、破壊する。蒸気のみが加熱されるため、エネルギーが節約され、化学製品は必要ない。
【0012】
ボイラ、バルブ、ポンプまたは他の制御手段によって、容器および排出タンク内の温度および圧力条件は一定に保たれる。これにより、容器およびタンクは恒久的に多層プラスチック断片を受け入れる準備ができているため、エネルギー損失が防止され、生産性が向上する。
【0013】
容器は、排出バルブまたは別の制御手段によって排出タンクに接続され得る。加圧および真空のサイクルは、バルブまたは他の制御手段を使用して、容器が処理するプラスチックの種類に応じた特定の温度および圧力の過熱蒸気を含む時に容器内に多層プラスチック断片を導入し、処理するプラスチックの種類に応じた所定時間それらを内部に保持することからなる。次いで、バルブまたは他の制御手段を使用して圧力および温度損失を最小限に抑え、容器と排出タンクとの間の圧力差を利用して、多層プラスチック断片を、処理するプラスチックの種類に応じた、容器内の圧力および温度条件よりも低い特定の温度および圧力条件にある排出タンクに移送し、処理するプラスチックの種類に応じた所定時間それらを内部に保持する。
【0014】
これらの加圧および真空サイクルは、バルブおよび他の制御手段を介して多層プラスチック断片を排出タンクから容器に戻し、プラスチックの種類および多層プラスチック断片の他の特性に応じて1回または数回繰り返すことができる。
【0015】
分かるように、容器内の圧力および高温の適用は、過熱された蒸気の作用によって同時に行われる。同様に、真空および低温の排出タンクでの適用も同時に行われる。
【0016】
この種の加圧および真空サイクルは、多層プラスチック断片が耐える圧力差を増加させ、層を圧縮および減圧し、それらの間に引張力、圧縮力、およびせん断力を生成し、これが層間の結合部をさらに弱める。この加圧および真空サイクルのさらなる利点は、層が真空段階中に乾燥し、その後の乾燥段階を排除することである。
【0017】
この温度差は、プラスチック層間の結合部を損傷および破壊し、結合部とプラスチックとの熱膨張係数の違いにより、結合部の間に構造的および表面張力をもたらす。さらに、プラスチックの分子構造が改変され、結合部およびプラスチック層の体積が変化し、それによって結合部がさらに劣化する。
【0018】
多層プラスチック断片の加工中、特に容器への出入りの間、蒸気が失われる可能性がある。所定の条件からのこの逸脱を修正するために、容器およびボイラを連絡し、制御システムによって管理されるバルブが提供される。制御システムは、容器内の所定の圧力および温度条件を一定に維持するために、容器への蒸気流入を可能にするようにバルブの開放を管理する。
【0019】
多層プラスチック断片の加工中、特に排出タンクからの出入りの間、容器からの過熱蒸気がタンクに進入する可能性がある。所定の条件からのこの逸脱を修正するために、バルブがポンプおよび排出タンクを接続するようにバルブおよびポンプが提供される。ポンプはその内側の所定の圧力および温度条件を維持し、排出タンク内から流体を抽出する。
【0020】
方法の歩留まりを最大化するために、ポンプによって排出タンクから抽出された流体を再圧縮して、プロセスの他の部分で使用することができる。
【0021】
本発明は、単層プラスチック断片を得るための断片のプラスチック層の機械的分離段階を含み、したがって単層プラスチック断片はまた単一成分断片である。結合部は、層を機械的に分離できるように十分に弱められている。この分離は、断片を切断、ブラッシング、研磨、および摩擦する動作を含む。
【0022】
最後に、断片が単層断片に分離されると、それらは層の機械的分離のためのユニットに導入され、制御された気流に単層断片を配置することにより、プラスチックの異なる密度を利用してそれらの組成に従って分類される。
【0023】
一実施形態において、多層プラスチックの層の1つは、ポリエチレンテレフタレート(PET)であり、多層プラスチック層の別の層は、ポリエチレン(PE)である。しかしながら、この方法は、任意の他のプラスチック材料の層を分離するのにも適している。
【0024】
図1および図2を参照すると、容器(1)は、制御システムに圧力および温度の大きさに関するデータを提供する内部圧力および温度センサを備える。この制御システムは、制御バルブ、すなわち容器(1)の蒸気入口制御バルブ(10)、排出バルブ(2)、およびホッパ(9)の排出バルブ(20)、ならびにボイラ(3)に作用することによってこれらの変数を制御し、内部温度を制御する。
【0025】
過熱蒸気の組成は水である。
ボイラ(3)は、任意の加熱方法(電気抵抗、マイクロ波等)によって蒸気を生成する。ボイラ(3)は、処理するプラスチックの種類に必要な特性を備えた過熱蒸気を生成するように制御システムによって制御される。
【0026】
最初に、断片の第1のバッチを導入する前に、ボイラ(3)がオンになり、過熱蒸気が生成される。バルブ(10)が開き、所定の圧力および温度条件(圧力:1~12バール、温度:100~191.12℃)に達するまで過熱蒸気を容器(1)に通過させる。これらの条件は、処理する全ての断片に分離方法を適用している間、一定に保たれる。
【0027】
排出タンク(4)は、バルブ(21)を介してポンプ(5)にシームレスに接続されている。ポンプ(5)は、排出タンク(4)内で-0.7バール~0.1バールの一定の相対真空条件(周囲圧力に対して)を維持し、処理する断片の全量に対する分離方法の適用中維持される。排出タンク(4)の温度は、15~25℃となる。
【0028】
容器(1)および排出タンク(4)内の圧力および温度条件が所定の通りである場合、多層プラスチックから10mm超のサイズの多層プラスチック断片を得た後、それらは、入力ホッパ(9)の出口に位置するバルブ(20)を開くことにより、入力ホッパ(9)を介して容器(1)に導入される。
【0029】
次いで、断片は容器(1)に指定時間保持され、そこで過熱蒸気の高温および高圧に供される。層がPETおよびPEから作製されている場合、この時間は好ましくは10秒~60秒である。
【0030】
この後、容器(1)の排出バルブ(2)が開かれ、断片は排出タンク(4)に送られ、そこで所定の時間(1~5分の間)保持され、その中で相対真空およびより低い温度に供される。層がPETおよびPEから作製されている場合、この時間は好ましくは5分である。これらの相対真空条件下で所定時間の後、断片は機械的分離ユニット(6)に運ばれる。
【0031】
排出タンク(4)に入った可能性のある蒸気は、それを機械的再圧縮機(8)に接続する回収バルブ(11)を介して抽出される。生じる凝縮水は濾過され、ボイラ(3)に再導入される。
【0032】
真空時間が経過した後、断片は機械的分離ユニット(6)に移送される。
図3に示される機械的分離ユニット(6)は、多層プラスチック断片を互いに研磨、切断、ブラッシング、および摩擦させて、単一種類のプラスチックから作製された単層断片を得るための手段を備える。これらの手段は、チャンバ(17)内の軸の周りを回転する1つまたは複数のドラム(16)からなる。いくつかのドラム(16)は、断片を剥離して研磨する粗い表面を備える。他のドラム(16)は、ドラムの表面に垂直に配置された金属ロッドで覆われた表面を含む。したがって、切断はブレードまたは任意の他の鋭利な要素を必要とせずに行われる。ドラム(16)は、順々に直線に配設され、その表面に近い点と、チャンバ(17)の表面の1つとの間の微小空間(19)、およびチャンバ(17)のこの表面、好ましくは0.8mmの距離を残し、断片とドラム(16)の表面との間の摩擦を促進する。この空間(19)は、ローラをチャンバ(17)の表面に近づけたり遠ざけたりすることによって、またはドラム(16)に最も近いチャンバ(17)の表面をドラム(16)に近づけたり遠ざけたりすることによって調整することができる。ドラム(16)の列は、床に対して60°に近い角度を形成するように配設される。ドラム(16)は、二つのドラム(16)間ごとに配置されたバリア(18)を含み、ドラム(16)は、それらに最も近いチャンバ(17)の壁を画定し、バリア(18)は、チャンバ(17)の上端に位置する入力ホッパ(12)およびチャンバ(17)の下端に位置する出口ホッパ(14)によってのみ開く分離容積(13)を画定し、したがって断片は、重力下でのみ、チャンバ(17)の別の容積に通過することなく入力ホッパ(12)から容積(13)を通って移動する。
【0033】
入力ホッパ(12)は、断片を分離容積(13)に向ける壁(15)を備える。
断片は、入力ホッパ(12)から分離ユニット(6)に導入され、重力の結果チャンバ(17)を通って特に分離容積(13)から落下し、ドラム(16)の動作を受ける。落下すると、層は互いに分離され、残りの水分は撹拌動作によって除去される。最後に、単層断片に分離されると、それらは出口ホッパ(14)を通って出る。
【0034】
出口ホッパ(14)は、機械的分類ユニット(7)に接続されている。機械的分類ユニット(7)は、振動テーブル、吸引器、およびサイクロンを含む。粒子はテーブルに移送される。吸引器による制御された吸引と組み合わせた振動テーブルの動作は、断片をその密度に従って分離し、より軽い相を吸引し、より重い相をテーブル上に残し、それによって断片をその組成に従って分離する。
図1
図2
図3