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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】複合翼のための外板/ストリンガ設計
(51)【国際特許分類】
   B64C 1/00 20060101AFI20230426BHJP
   B32B 3/06 20060101ALI20230426BHJP
   B64C 1/12 20060101ALI20230426BHJP
   B64F 5/00 20170101ALI20230426BHJP
【FI】
B64C1/00 B
B32B3/06
B64C1/12
B64F5/00
【請求項の数】 3
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2015249351
(22)【出願日】2015-12-22
(65)【公開番号】P2016135669
(43)【公開日】2016-07-28
【審査請求日】2018-12-21
【審判番号】
【審判請求日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】14/588,536
(32)【優先日】2015-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】バラバノフ, ヴラディミール
(72)【発明者】
【氏名】ウェックナー, オラフ
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ユアン-ジェ
(72)【発明者】
【氏名】サアディー, アブデルハイ メイサーラ
(72)【発明者】
【氏名】ラサイアン, モスタファ
【合議体】
【審判長】藤井 昇
【審判官】出口 昌哉
【審判官】八木 誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/055168(WO,A1)
【文献】特表2016-500586(JP,A)
【文献】特開2013-256119(JP,A)
【文献】特表2009-541092(JP,A)
【文献】特開2014-12403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 1/00 - 1/12
B32B 3/06
B64F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのフランジ(10a、10b)を有する複合部材であって、前記少なくとも1つのフランジ(10a、10b)が支持装填部(6)を介して複合材外板(4)の一部分に接合されており、前記複合部材は複合材積層板を含み、前記複合材積層板は自由端(30a、30b)を有する複合材のプライスタックを含み、前記プライスタックのプライ(20、22)は繊維を含み、単一のプライ内の全ての繊維が同じプライ角度に配向されるか、又は単一のプライ内の繊維が様々な角度に配向するように制御されており、前記プライ(20、22)の前記繊維の配向は、前記複合材外板(4)の前記一部分が前記少なくとも1つのフランジ(10a、10b)の前記自由端(30a、30b)の端面に対して直角方向に荷重を受ける間に、前記複合材積層板の前記プライスタックのうちの第1のプライと前記支持装填部(6)との界面における層間剥離傾向を抑制するように、開口モードに対するエネルギー解放率G 、開口モードについての層間破壊に対する靱性G Ic 、面内せん断モードに対するエネルギー解放率G II 及び面内せん断モードについての層間破壊に対する靱性G IIc に対する不具合基準
が1以上であって、前記荷重の方向に平行な軸方向変形モードと前記界面に直角な曲げ変形モードとの組み合わせを引き起こすように構成されている、複合部材。
【請求項2】
前記複合材積層板の前記プライスタックが、前記荷重の方向に平行な軸方向の引張荷重又は圧縮荷重に応答して曲げを生じる、請求項1に記載の複合部材。
【請求項3】
前記プライスタックの前記プライの少なくとも1つのプライが、前記荷重の方向に対して、0度、±45度及び±90度のプライ角度の何れとも等しくないプライ角度を有する、請求項1に記載の複合部材。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は広く言えば航空機に関し、具体的には、航空機構造に関する。より詳細には、本発明はストリンガ及び航空機のためのその他の構造設計に関する。
【0002】
航空機の設計及び製造において複合材の割合は増大している。主構造の50パーセント以上が複合材製である航空機も存在する。複合材は航空機において、航空機の重量を削減するために使用されることがある。軽量化により、ペイロード能力及び燃費効率が改善され得る。更に、複合材によって航空機の様々な構成要素の寿命が延びることがある。
【0003】
複合材は典型的に、2つ以上の異種コンポーネントを組み合わせることにより作成される頑丈かつ軽量な材料である。例えば、複合材は繊維と樹脂を含み得る。繊維と樹脂が組み合わされ、硬化された複合材を形成し得る。
【0004】
更に、複合材を用いることにより、航空機の複数の部分がより大きいピース又はセクションで作成され得る。例えば、航空機の胴体が、互いに組み合わされて航空機胴体を形成する複数の円筒形セクションで作成され得る。その他の例としては、限定しないが、複数の翼セクションが接合されて翼が形成されるか、或いは複数の安定板セクションが接合されて安定板が形成されることが含まれ得る。
【0005】
ストリンガは、複合材で製造され得る構成要素の一例である。ストリンガは長細い部材であり、パネルなどの他の構造物へ取り付けられるように構成されている。例えば、ストリンガは航空機の外板パネルに取り付けられ得る。この外板パネルは、翼、胴体、又は航空機のその他の構成要素で用いられ得る。ストリンガはまた、荷重の担持及び/又は伝達を助ける。例えば、ストリンガが外板パネルから他の構造物へと荷重を伝達することがある。ここでの他の構造物は、例えばフレーム又はリブであり得る。
【0006】
複合材で作製されており外板とストリンガとが相互作用している構造物は、主荷重の下では層間剥離に対して脆弱である。外板/ストリンガ界面のクラック(層間剥離)という問題は、翼などの航空機構造の一体性に支障をきたす。複合材のレイアップにおいては、従来型の設計規則(平衡性又は対称性)が用いられて、望ましくない不具合モード及びカップリング効果を防止しているが、これらの設計規則は積層のシーケンスを制限してしまう。
【0007】
既存の解決策は、問題となるスポットにおいてストリンガ及び/又は外板の厚さを増大させること、及び、問題となるエリアに隣接する外板及びストリンガを、問題となるスポットからの荷重を逸らすように再設計することを含む。これらの解決策は、重量ペナルティ、製造コスト、及び再設計にかかる更なる時間の原因となる。
【0008】
界面クラックに対する脆弱性を抑えた外板/ストリンガ構造物を提供することが有利であろう。
【発明の概要】
【0009】
下記で詳しく開示する主題は、外板/ストリンガ界面での層間剥離の発生を低減又は除去する複合材外板/ストリンガ構造物を含む。この目的は、主荷重において、外板及びストリンガの各々が、外板/ストリンガ界面における相対的な開口(opening)(破壊モードI)及び/又は面内せん断(sliding)(破壊モードII)及び/又は面外せん断(scissoring)(破壊モードIII)が低減されるように変形するような方式で、レイアップ中のプライ方向(即ち、プライの繊維経路の角度)を配置することによって達成される。このことは、複数の特定の変形モードのカップリング(coupling)が抑制されるのではなく故意に促される場合に、可能である。本明細書で、カップリング剛性マトリクスの非ゼロ要素を有効利用して複合材積層板の積層シーケンスを構成する技術が提示される。
【0010】
提示される解決策は、制御された方式でのストリンガ変形により、荷重が加わるにつれて形成されようとしているクラックが(望ましくない不具合モードが形成される前に)抑制又は「閉口」されるように、ストリンガ中のプライ方向を調整することによって、既存の課題を解決する。この設計により、外板/ストリンガ界面構造物の重量が削減でき、更に周辺の構造物を再設計する必要がなくなる。調整されたプライ方向は、繊維の配向を制御する技術(steered fiber technology)を用いてストリンガを製造することにより実現可能である。本明細書に記載の設計方法及び製造方法の実施により、製造段階の後期において費用のかかる遂次的な設計変更を回避することができる。
【0011】
本明細書で使用する用語「プライ方向」及び「プライ角度」は同義に用いられており、プライ中の平行な繊維の角度をさしており、基準方向又は軸に対して測定される。本明細書で使用する用語「対称積層板」は、積層板の中央平面よりも上のすべての各プライに対し、中央平面から等距離ぶん下に同一のプライ(材料及びプライ角度)が存在する積層板を意味する。(従って、本明細書で使用する用語「非対称積層板」は、対称積層でない積層板を意味する)。本明細書で使用する用語「平衡(balanced)積層板」は、+θのプライ角度を有するすべてのプライに対して、-θのプライ角度を有する他のプライが積層板中の何処かに存在する積層板を意味する。この±θのプライ角度を有するプライペアは、互いに隣接していなくてもよい。これら対称及び平衡の最も通常の定義は幾何学的形状による。より一般的な定義によれば、得られたカップリング又はBマトリクス(後述する)がゼロとなる(vanish)場合、その積層シーケンスは対称であると称される。同様に、得られた面内/せん断カップリング(後述するAマトリクスの要素A16、A26)がゼロとなる場合、その積層シーケンスは平衡であると称され得る。幾何学的形状による定義は十分であるが、Bマトリクス又はA剛性マトリクスのA16、A26要素がゼロになるのに必要ではない。
【0012】
下記で詳述する本主題の一態様は、少なくとも1つのフランジを有する複合部材であって、少なくとも1つのフランジは複合材積層板を含み、複合材積層板は自由端を有する複合材のプライスタックを含み、プライスタックは、それぞれのプライ角度に配向された繊維又はプライ内で様々な角度に配向制御された繊維を含み、前記繊維は、少なくとも1つのフランジが接合されている複合材外板の部分が少なくとも1つのフランジの自由端に対して直角方向に荷重を受けている間、第1のプライスタックと複合材外板のその部分との界面での層間剥離傾向を抑制するような方式で、第1の変形モードと第2の変形モードとのカップリングを引き起こすように、配置されている。ある場合には、第1の変形モードは軸方向変形モードであり、第2の変形モードは曲げ変形モードである。ある実施形態によれば、少なくとも1つのフランジの複合材積層板は、非対称であり、非平衡又は平衡である。ある実施形態では、スタックのプライのうち少なくとも1つのプライが、0度、±45度及び±90度のプライ角度の何れとも等しくないプライ角度を有する。そのような実施形態は非従来型レイアップと称される。少なくとも1つのフランジの複合材積層板の各プライ界面は、自由端の層間剥離の開始に関連する不具合基準の臨界値を下回る不具合基準値(モードI、II、及びIIIのエネルギー解放率の組み合わせ)を有する。
【0013】
本主題の後述する別の態様は、自由端を有する第1のプライスタックを含む第1の複合材積層板と第2のプライスタックを含む第2の複合材積層板とを備えた複合材構造物であって、第1の複合材積層板と第2の複合材積層板とが自由端に隣接する界面で接合されており、第1のスタックのプライがそれぞれのプライ角度に配向された繊維、又はプライ内で様々な角度に配向制御された繊維を含み、前記繊維は、第2の複合材積層板が自由端に対して直角方向に荷重を受けるとき、界面における層間剥離傾向を抑制するような方式で、第1変形モードと第2の変形モードとのカップリングを引き起こすように、配置されている。ある実施形態によれば、第1の複合材積層板はストリンガのフランジを形成し、第2の複合材積層板はストリンガが接合される外板を形成する。第1の複合材積層板は非対称であり、非平衡又は平衡である。ある実施形態では、第1のスタックのプライのうち少なくとも1つのプライが、0度、±45度及び±90度のプライ角度の何れとも等しくないプライ角度を有する。第1の複合材積層板の各プライ界面は、自由端の層間剥離の開始に関連する不具合基準の臨界値を下回る不具合基準値(モードI、II、及びIIIのエネルギー解放率の組み合わせ)を有する。
【0014】
複合材構造物中の界面層間剥離を抑制する方法の更なる態様は、自由端を有する第1のプライスタックを含む第1の複合材積層板と第2のプライスタックを含む第2の複合材積層板とを備え、第1の複合材積層板と第2の複合材積層板とは自由端に隣接する界面で接合されており、本方法は、第2の複合材積層板の特性を明確化すること、第1の複合材積層板の望ましい特性を明確化すること、予測される荷重及び層間剥離位置を明確化すること、確率的戦略又は最適化戦略を選択すること、選択された戦略を用いて、第1の複合材積層板のレイアップ候補のプライ角度を、望ましい特性を満足させる方へと調整すること、並びに、レイアップ候補が望ましい特性を満足させることを検証することを含み、望ましい特性は、第1の複合材積層板の自由端近傍における第1の複合材積層板と第2の複合材積層板との界面での層間剥離の抑制を含み、少なくとも調整するステップと検証するステップとがコンピュータシステムによって実施される。
【0015】
本方法は更に、望ましい特性を満足させる第1の複合材積層板を製造することを含む。検証するステップは、第1の複合材積層板と第2の複合材積層板との界面での層間剥離に関連する不具合基準値(モードI、II、及びIIIのエネルギー解放率の組み合わせ)を計算すること、並びに、第1の複合材積層板のそれぞれのプライ界面における自由端の層間剥離に関連する不具合基準値を計算することを含む。確率的戦略が選択される場合、調整するステップは、確率密度関数を用いて第1の複合材積層板のランダムレイアップを生成することを含み、検証するステップは、望ましい特性のうちの一又は複数を満たさないランダムに生成されたレイアップを放棄することを含む。最適化戦略が選択される場合、調整するステップは、違反された制約が考慮されるよう最適化問題を調整することを含む。
【0016】
複合材外板/ストリンガ構造物及びそれらの設計方法のその他の態様は、下記に開示され特許請求される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】複合材で作製されたT型ストリンガと外板との間の典型的な界面の端面図を示す。
図2】圧縮荷重(矢印で示す)に晒されている複合材外板/ストリンガ構造物の端面図、及び本図に示す外板/ストリンガ界面における応力を示すグラフである。
図3図2に示す複合材外板/ストリンガ界面の一部を示す図である。予想される層間剥離の位置が、ストリンガフランジの端部が外板から分離した領域で示されている。
図4】可変プライ角度θを有する4層積層板(非対称であるが平衡)の構造を示す図である。プライ角度=0°である2つのプライ間の界面に沿って、層間剥離/欠陥位置が示されている。右側の矢印は引張荷重を表し、左側の矢印は反力荷重を表す。
図5図4に示す4層積層板のき裂先端の集中荷重Nに対するプライ角度θのグラフである。
図6図4に示す4層積層板のき裂先端の集中モーメントMに対するプライ角度θのグラフである。
図7図4に示す4層積層板のエネルギー解放率に対するプライ角度θのグラフである。
図8】ストリンガ単独、及び外板/ストリンガ構造物の、カップリング剛性マトリクスの要素B11に対するプライ角度θのグラフである。
図9】ストリンガ単独、及び外板/ストリンガ構造物の、曲げ剛性マトリクスの要素D11に対するプライ角度θのグラフである。
図10】層間剥離に対する耐性が向上した複合材外板/ストリンガ構造物の設計工程フローを示す。
図11A】確率的戦略を用いた、層間剥離に対する耐性が向上した複合材外板/ストリンガ構造物の設計方法の諸工程を示す解析フロー図を形成する。
図11B】確率的戦略を用いた、層間剥離に対する耐性が向上した複合材外板/ストリンガ構造物の設計方法の諸工程を示す解析フロー図を形成する。
図12】ハードレイアップの確率密度関数を、プライ角度θの関数として示すグラフである。
図13】複合材外板パネルに接合された複合材ブレードストリンガの等角図である。矢印は、自由端の層間剥離を引き起こす傾向にある圧縮荷重を示す。
図14】層間剥離に対する耐性が向上した複合材外板/ストリンガ構造物を、最適化戦略を用いて設計する方法の諸工程を示す解析フロー図である。
図15】航空機の製造及び保守方法のフロー図である。
図16】航空機のシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下で図を参照する。異なる図中の類似の要素に同一の参照番号が付されている。
【0019】
以下、層間剥離に対する耐性が向上した複合材外板/ストリンガ構造物の設計方法の様々な実施形態を説明する。下記の記載は本質的に例示的なものであり、本開示の実施形態、又は、本開示の実施形態の応用及び利用を包含する特許請求の範囲を限定することを意図しない。
【0020】
図1は、それぞれ複合材で作製されたブレードストリンガ2と外板4との間の典型的な界面の端面図を示す。ブレードストリンガは例示目的で示されているのみである。本明細書に記載の解析は、他のタイプの複合材ストリンガに対しても同様の有効性で応用可能である。
【0021】
図1を参照すると、ブレードストリンガ2は、全体的に長細く、隣接した平行なブレード8a及び8bの成形シートを含む。8a及び8bの各ブレードは、樹脂が注入された繊維の各層間に、複数の複合材プライをそれぞれ含み得る。ブレードストリンガ2は、各ブレード8a及び8bから各ブレード/フランジ接点で外方向に伸びる一対のフランジ10a及び10bを更に含む。各フランジ10a及び10bの平面は、対応するブレード8a、8bの平面に対して全体的に直角の関係で配置され得る。ブレードストリンガ2は、支持装填部(base charge)6を更に含む。フランジ10a及び10bは支持装填部6に接合され、支持装填部6は外板パネル4に接合される。ブレード/フランジ接点と支持装填部6とによって境界付けられるチャネルが、複合材製のヌードル(noodle)12で充填されている。
【0022】
ブレードストリンガ2の構造を更に説明すると、例示的な一実施形態は、第1の繊維プライと第2の繊維プライとの間に挟まれた16層の複合材プライからなるフランジ10aを有し得る。支持装填部6は第3の繊維プライと第4の繊維プライとの間に挟まれた別の16層プライからなっていてよく、フランジ10aの第2の繊維プライが支持装填部6の第3の繊維プライに接合されていてもよい。第1の繊維プライと第4の繊維プライとは、±45°に配向された縦糸(warp)及び横糸(weft yarns)を有し得る。従来型積層板の場合、32層プライは0°、±45°、及び±90°のプライ角度を有し得、非従来型積層板の場合、32層プライは、0°、±45°、±90°、及びその他のプライ角度を有し得る。
【0023】
図2は、圧縮荷重(矢印で示す)に晒されている複合材外板/ストリンガ構造物の端面図、及び本図に示す外板/ストリンガ界面における応力を示すグラフである。この実施例においても、複合材外板/ストリンガ構造物は、T字を反転させた形状を有するブレードストリンガ2と外板パネル4とを含む。ブレードストリンガ2は外板パネル4に接合されている。ある特定の状況下で、外板パネル4が軸方向の荷重に晒される場合、この軸方向の荷重が、特に最大剥離応力が発生する領域においてブレードストリンガ2を外板パネル4から剥離させ得る(図2のグラフを参照)。この現象は、ストリンガには荷重をかけず外板レイアップに軸方向荷重を印加することによって模擬された。
【0024】
軸方向荷重が外板レイアップに印加された場合の予想される層間剥離位置が、図3の間隙14で示されている。図3の矢印16は、外板4に印加されている軸方向の引張荷重を示す。しかしながら、この軸方向荷重が代替的に圧縮荷重であってもよい。外板/ストリンガ界面のクラック(即ち、層間剥離)という問題は、複合材構造物の一体性に支障をきたす。本明細書に記載の設計工程により、ストリンガ中のプライ方向を調整することによって層間剥離が緩和され、これにより、ストリンガが制御された方式で変形し、荷重が加わるにつれて形成されようとしているクラックを(望ましくない不具合モードが形成される前に)抑制するか又は「閉口する」。
【0025】
層間剥離を抑制するためのプライ方向調整の基本概念を、単純化した例である図4図9を参照して説明する。ここで、平衡4層積層板の上部の隣接した2つのプライ20及び22は、-θ及び+θのプライ角度をそれぞれ有する。しかしながら、この一般的な4層積層板は、概念を示すことのみを意図した例示的な積層板であることに留意されたい。その積層シーケンスは、プライ角度がどのように選択されて非対称をなし得るかという一例である。選択されたプライ角度の全体としての効果が層間剥離を抑制する非対称をなすためである限り、プライ20及び22が反対のプライ角度を有する必要はない。
【0026】
複合材積層板は高度に異方性であることが多い。異方性は、連続体における機械的力学挙動の制御に利用可能である。実用的には、複合材積層板は数十から数百の積層又はプライからなる。複合材積層板中の異方性を有する個々の層の機械的挙動を用いて、積層板の機械的応答をモデリングできることはよく知られている。これにより、設計者が、各層(即ちプライ)の弾性特性及び配向を調節し、複合材積層板の機械的応答を最適化することができる。
【0027】
剛性マトリクスA、B、及びDを生成し次いでこれらの剛性マトリクスを、既知の面内ひずみε及び曲率を未知の面内荷重N及びモーメントMと関連させる方程式に置換することによって、複合材積層板中の合力(面内力N及びモーメントM)と歪み(歪みε及び曲率k)との関係が特徴付けられ得ることは、よく知られている。得られる方程式は
であり、式中、Aは積層板の引っ張り剛性と称され、Bはカップリング剛性と称され、Dは曲げ剛性と称される。剛性マトリクスA、B、及びDの生成は、複合材積層板の解析において重要な工程である。複合材積層板のA、B、及びDマトリクスを、積層板の機械的挙動の制御、ひいては設計に利用できる。
【0028】
図4は、可変プライ角度θを有する4層積層板(非対称ただし平衡)の構成を示す図である。一般的な積層板を表すこの4層積層板の3つの上部プライ20、22、及び24は(トータルで3つのプライを含む)ストリンガ全体を表し、底部プライ26は(トータルで1つのプライを含む)外板全体を表す。角度θの各値は、各プライ内で一定の角度を有する別々の積層板に対応する。例えば、θ=0°の場合、この積層板のプライ角度は[0°,0°,0°,0°]であり、θ=5°の場合、この積層板のプライ角度は[-5°,5°,0°,0°]である。角度θは単一のプライ内で変化せず、単一のプライ内のすべての繊維が同じ配向角θを有する。角度θが変化すると、すべての繊維が新しいθ値に移動する。
【0029】
図4に示す4層積層板は、本明細書に記載のクラック閉口機構がどのように作用するかを示している。θ=0°のプライ角度を有するプライ24とプライ26との間の界面に沿って層間剥離/欠陥位置14が示されている。図4右側の矢印16は、外板を表すプライ26に加えられた引張荷重を示し、左側の矢印18、28は反力荷重を示している。プライ角度は、プライ26に軸方向荷重が印加された場合に位置14で層間剥離が発生しないように選択され得る。
【0030】
図5図9に示すプロットは、図4に示す4層積層板の機械的特性を特徴付け、且つプライ角度の関数である様々なパラメータ値を提示している。すべての比較基準となる基準値は、対称レイアップ(即ち、プライ角度θ=0°の場合)である。プライ角度θの変更を開始すると、レイアップが非対称となる。これが、図5、6、及び7の丸囲み領域で示すように、き裂先端荷重、き裂先端モーメント、並びにモードI及びモードIIエネルギー解放率の変化をそれぞれ引き起こす(即ち(絶対値において)低下させる)。き裂先端荷重、き裂先端モーメント、並びにモードI及びモードIIエネルギー解放率の低下は、層間剥離に対する脆弱性が低下したストリンガ設計を示す。
【0031】
き裂先端力N及びき裂先端モーメントMは、Davidsonの式(下記で詳述する)においてき裂先端の理想化において存在すると想定されている量である。図5及び6にそれぞれ示すN及びMのプロットで、水平軸はプライ角度θをラジアンで示している。プライ角度θは、積層板の非対称の度合の尺度である。θがゼロである場合積層板は対称であり、θが増大すると積層板は非対称となる。N及びMのこれらのプロットは、θが増大するとN及びMの大きさが低減することを示している。従って、示されているN及びMの低下は、それらのθ=0°での値に対してである。N及びMの低下の原因は、非対称となった積層板に関連する積層板剛性特性の変化である。
【0032】
図4に示す積層板は、一般的な界面破壊問題におけるき裂先端領域の3次元部分を表す。古典的積層理論を用いて、この積層板中の全体としての変形及び歪みエネルギーを予測可能である。応力特異性を生み出すき裂先端要素上の荷重は、集中き裂先端力N及びモーメントMの観点から完全に特徴付けることができることが示されてきた。き裂先端要素のエネルギー解放率Gは、修正VCCM法(仮想き裂閉口法(virtual crack closure method))により得られる。トータルのエネルギー解放率はG=G+GII+GIIIで表される。式中、先述した2次元の場合はGIII=0であり、G及びGIIは、「An Analytical Crack-Tip Element for Layered Elastic Structures」と題する記事(ASME Journal of Applied Mechanics,Vol.62,June(1995),pp.294-305)でDavidson et al.によって定義された関連するモードI及びモードIIエネルギー解放率である。より詳細には、Gは破壊モードI成分(開口モード)、GIIは破壊モードII成分(面内せん断モード)であり、GIIIは破壊モードIII成分(面外せん断モード)である。
【0033】
図7は、図4に示す4層積層板のエネルギー解放率G、G、及びGII(GIII=0)に対するプライ角度θのグラフである。図7に示すように、プライ角度θが増大するにつれこれらのエネルギー解放率は低下する。プライ角度が変化するとその他のパラメータも変化する。例えば、図8は、ストリンガ単独(実線の曲線)及び外板/ストリンガ構造物(破線の曲線)のカップリング剛性マトリクスに対するプライ角度θの要素B11のグラフであり、図9は、ストリンガ単独(実線の曲線)及び外板/ストリンガ構造物(破線の曲線)の曲げ剛性マトリクスに対するプライ角度θの要素D11のグラフである。
【0034】
11及びD11はそれぞれ、古典的積層板理論のプレート剛性マトリクスの項である。B11は積層板の非対称の指標の1つであり、D11は積層板の曲げ剛性の指標の1つである。「ストリンガ」と表示されている曲線は、図4に示す3つの上部プライ20、22、及び24からなる積層板について計算されたB11値を表す。「外板+ストリンガ」と表示されている曲線は、積層板全体、即ち図4に示す4つのすべてのプライ20、22、24、及び26を含む積層板について計算されたB11値を表す。D11についてのこれらの曲線は相似である。
【0035】
図10は、層間剥離に対する耐性が向上した複合材外板/ストリンガ構造物の設計工程フローを示す。設計工程は、問題の明確化から開始される(工程50)。問題明確化工程50は下記のステップを含む。所与の外板についての所望のストリンガ特性、荷重及び欠陥/クラック位置の選択(ステップ52)、確率的戦略又は最適化戦略の何れかの選択(ステップ54)、及び、フィルタ基準及びツールの選択(ステップ56)。
【0036】
ステップ52で選択されるストリンガ特性は、厚み、剛性、レイアップの対称性、平衡性、及び積層板タイプを含み得る。ある場合には、適切な積層板タイプは0°/±45°/90°のみのプライ角度を有する従来型積層板であるか、或いは、0°/±45°/90°のプライ角度以外及び更なるプライ角度を有する非従来型積層板(NTL)である。その他の場合、適切な積層板タイプは繊維配向が制御された積層板である。
【0037】
図10を更に参照すると、ステップ56は下記のうちの任意のものを含んでよい。Davidsonの不具合基準K(即ち、安全余裕(MS)に近似した破壊性能指標)(MS=K-1)の利用。Davidson著「Energy Release Rate Determination for Edge Delamination Under Combined In-Plane,Bending and Hygrothermal Loading.PartI-Delamination at a Single Interface」と題する記事(Journal of Composite Materials,Vol.28,No.11(1994),pp.1009-1031)に開示されている、自由端層間剥離法(free edge delamination approach)の利用。有限要素解析に基づき実施する仮想き裂閉口法の利用、など。
【0038】
問題の明確化後、候補となる複数のストリンガレイアップが作製され、ストリンガの外板からの層間剥離が抑制される基準に基づいてフィルタされる。ストリンガレイアップ候補の生成中、選択された戦略を用いて、設計基準を満たすように各ストリンガ複合レイアップ中のプライ角度及び積層の仕方が調整される(ステップ58)。NTLプライ角度は、より多くの設計基準を同時に満たすことができる。層間剥離(B剛性マトリクスの非ゼロ要素)を抑制するために、特定の複数の変形モードのカップリングが意図的に促される。調整がなされた後、得られた設計ソリューション(一又は複数)が試験され、層間剥離の抑制も含め求められているすべての設計基準が満たされたかが検証される(ステップ60)。
【0039】
図11及び14をそれぞれ参照し、層間剥離に対する耐性が向上した複合材外板/ストリンガ構造物の設計工程の2つの実施形態を下記に説明する。 図11は、確率的戦略を用いた設計工程の諸ステップを示す。図14は、最適化及び有限要素解析を用いた設計工程の諸ステップを示す。
【0040】
図11の解析フロー図の各部分を別々のシート(即ち、図11A及び11B)で表してある。フロー図の第1の部分を図11Aに示し、フロー図の第2の部分を図11Bに示す。フロー図は、層間剥離に対する耐性が向上した複合材外板/ストリンガ構造物を、確率的戦略を用いて設計する方法の諸ステップを示す。下記で詳述するように、この設計方法は、各プライのプライ角度(即ち方向)をランダムに選択することによってレイアップを生成する。図11に示す設計工程により、軸方向剛性、曲げ剛性、及び層間剥離性能(即ち、不具合基準)の点で基準レイアップよりも優れたストリンガの設計が可能となる。
【0041】
多くの用途において、複合材積層板がいわゆる「ハード」レイアップをもたらすように設計されることが好まれる。「ハード」/「ソフト」は、複合材積層板の軸方向剛性を表す。「ハード」ストリンガとは、(例えば、翼のスパン方向の)高い軸方向剛性、又は高い弾性率を有するストリンガである。しかしながら、本明細書に記載の設計工程及びコンセプトは、ハード積層板以外のレイアップの設計及び製造にも利用可能であることに留意されたい。
【0042】
確率的戦略を用いたハードレイアップ設計工程の開始が、図11Aに示されている。はじめのステップ100で、少なくとも、外板レイアップ、ストリンガの平衡性、推定される初期欠陥/クラック位置、及び荷重という仕様の観点から、ハード外板/ストリンガの所望の構成が明確化される。
【0043】
次のステップ102で、所望されるストリンガのおよそのハードネスが選択される。積層板中、ゼロ度により近く配向されたプライを高い割合で有することによって、「ハード」積層板が達成される。(例えば、ゼロ度が翼のスパン方向を表す。)従って、0°プライ(又は0°に近いプライ)が多く存在する場合、レイアップは「ハード」であるとされ、0°方向に近いプライが少ない場合、レイアップは「ソフト」であるとされる。これら2者の間に明確な境界はない。使用し得るハードネス測定の指標の1つは、例えば、翼のスパン方向と翼弦方向との間の軸方向剛性の比率として定義されてもよい。
【0044】
更に、ステップ102の「%0/±45/90°」は、「0、±45、及び90度繊維の実効的な割合」として既知の測定基準を表す。この測定基準は、従来型積層板にも非従来型積層板にも適用される。積層板中の繊維が0、±45、及び90度方向に配向されていなくとも、0、±45、及び90度繊維の実効的割合を計算可能である。
【0045】
ステップ102の一部として、ハードレイアップについての確率密度関数が選択されるか又は作成される。図12は、ハードレイアップについての確率密度関数(PDF)をプライ角度θの関数として示すグラフである。PDFは、ランダムに生成されたレイアップに、ある一定のハードネスを有させるものである。従って、設計者は典型的には、各ハードネスについてのそれぞれのPDFを作成して保存する。ステップ102で、設計者は、所望のハードネスを生み出すPDFを選択する。擬似等方性レイアップが望まれる場合、別のPDF(図12に示すよりもはるかに広範囲のプライ角度にわたって1.0に比較的近い重み付けを有する)が利用され得る。
【0046】
再度図11Aを参照すると、次のステップ104で、ストリンガレイアップのタイプが選択される。選択されたストリンガレイアップのタイプは、プライ角度が-90°から90°の間で変化する非従来型積層板であり得るか、或いは、プライ角度が0°、±45°、及び90°に限定されて混成(shuffle)された従来型積層板の何れかであり得るしかしながら、適切な場合には、後述のように、本明細書に記載の設計コンセプトは配向制御された繊維プライに応用可能である。ひずみ場の観点から、プライは、繊維の配向角が区域によって異なる諸区域の集合として概括され得るが、配向角は各区域内では一定である。各区域について個別に解析が実施され得る。
【0047】
次に、適切にプログラムされたコンピュータが使用され、選択された確率密度関数を用いて複数のランダムレイアップが生成される(ステップ106)。層間剥離を抑制する非対称を生み出すために、角度は0°方向にバイアスされる。加えて、非対称を作りだすために従来型積層板のプライが混成される。
【0048】
レイアップの生成過程は、各プライについてプライ方向をランダムに選択することによる。しかしながら、任意の角度を選択する確率が等しく存在する場合、得られるレイアップは全方向に均一に分布したプライを有するので、擬似等方性である。この状況を避けるために、設計者は、0°プライを選択する確率が他の方向よりも高くなるようにプライ方向の選択をバイアスすることができる。PDFは、特定のプライ方向の選択の確率を示す。従って、PDFプロット中に(図12に示すような)「隆起(bump)」が存在する場合、0°プライ(又は0°に近いプライ)が選択される可能性が、他の繊維方向を有するプライよりも高い。0°プライが多いほど「よりハードな」レイアップが作成できる。
【0049】
図12に示すようなタイプのPDFにより、設計者は、所望のハードネスに一致するハードネスを有したランダムに生成されたレイアップを作成することができる。PDFは、ある範囲内でプライ角度に対して重み付けスペクトル(即ち、バイアス係数)を適用する。0°繊維について、重み付け係数(即ち「バイアス係数」もしくは相対的確率)は1.0である。±90°繊維の重み付け係数は約0.2である。0°繊維の重み付け係数が、より大きい。このことは、レイアップがランダムに生成される場合、生成されて得られるレイアップ中に0°(又はほぼ0°)の繊維方向が存在する可能性がより高いことを意味する。0°~90°のいずれの繊維方向にも同じ論理が当てはまる。結果として、「重み付けスペクトル」が、生成されるレイアップのハードネスを所望のハードネスに近づける。
【0050】
平衡ストリンガが望まれる場合、ランダムに生成されたレイアップ候補は、平衡である(即ち、A16剛性項がほぼゼロに等しい)レイアップのみを維持してスクリーニングされる(ステップ108)。同じコンピュータ(又は別のコンピュータ)が、下記の解析ステップを実施するようにプログラムされる。
【0051】
得られるレイアップの各々について、ストリンガと外板との間の層間剥離についてのエネルギー解放率のモードI、II、及びIII成分が計算される(図11Aのステップ110)。「エネルギー解放率」は、新たに引き起こされた破壊表面積の単位あたりの破壊中に放散されるエネルギーである。破壊モードI、II、及びIIIにそれぞれ対応するエネルギー解放率G、GII、及びGIIIが、Davidsonの特異場法(Singular Field Approach)又はこれに代わる適切な理論を用いて計算され得る。 Davidsonの特異場法を用いたエネルギー解放率の計算についての詳細は、Davidson et al. 著「An Analytical Crack-Tip Element for Layered Elastic Structures」と題する記事(ASME Journal of Applied Mechanics,Vol.62,June(1995),pp.294-305)に開示されている。
【0052】
エネルギー解放率G、GII、及びGIIIが計算された後、不具合基準Kが計算される(ステップ112)。
不具合基準Kは、安全余裕(MS)に近似する破壊性能指標である(即ち、MS=K-1)。不具合基準は、不具合基準Kの値が臨界値(即ち1.0)を下回るとクラックが始まり成長するであろうことを述べている。GIc、GIIc、及びGIIIcの量は、破壊モードI、II、及びIIIそれぞれについての層間破壊に対する靱性であり、印加される荷重及び本体の形状とは独立した材料特性とされる。
【0053】
図11A中、次のステップ114で、レイアップ候補が不具合基準の最高値についてスクリーニングされる。
【0054】
ここで図11B図11Aの続き)を参照すると、不具合基準の最高値を有するバッチに属さないレイアップが除外される(即ち、更なる検討から外される)(ステップ116)。次に、残った(最高不具合基準値を有する)レイアップ候補が軸方向剛性及び曲げ剛性の最高値についてスクリーニングされる(ステップ118)。軸方向剛性及び曲げ剛性の最高値を有するバッチに属するレイアップが、除外される(更なる検討から外される)(ステップ120)。
【0055】
端部が強化されていない複合材積層板は、自由端層間剥離によって破壊することがある。図13は、複合材ブレードストリンガ2の等角図を示す。ブレードストリンガ2は、概して長細く、隣接した、平行なブレード8a及び8bの成形シート、それぞれのブレード/フランジ接点において各ブレード8a及び8bから外方向に伸びている一対のフランジ10a及び10b、並びに支持装填部6を含む。フランジ10a及び10bは、支持装填部6と互いとに接合されており、一対の自由端30a及び30bを形成している。ブレード/フランジ接点と支持装填部6とによって境界付けられるチャネルが、複合材製のヌードル12で充填されている。図13に示す実施例で、矢印は、自由端層間剥離を引き起こす傾向にある圧縮荷重を示す。
【0056】
自由端層間剥離の開始及び成長が、それぞれの不具合基準K値をその臨界値(1.0)と比較することによって予測され得る。次のステップ122(図11Bを参照)で、自由端層間剥離のエネルギー解放率G、GII、及びGIIIを計算することによって、残りのレイアップ候補が各プライ界面での自由端層間剥離についてチェックされる。自由端層間剥離のエネルギー解放率G、GII、及びGIIIは、Davidsonの自由端層間剥離法又はこれに代わる適切な理論を用いて計算できる。Davidsonの自由端層間剥離法は、Davidson著「Energy Release Rate Determination for Edge Delamination Under CombinedIn-Plane,Bending and Hygrothermal Loading.PartI-Delamination at a Single Interface」と題する記事(Journal of Composite Materials,Vol.28,No.11(1994),pp.1009-1031)に開示されている。
【0057】
ステップ110中のストリンガと外板との間の層間剥離の解析は、ステップ122で実施される自由端層間剥離解析とは別の解析である。従って、エネルギー解放率G、GII、及びGIIIの計算技法は各解析において異なる。 例えば、ステップ110で、コンピュータは、ストリンガによって表される上方レイアップ、及び外板によって表される下方レイアップについてのエネルギー解放率を計算する。対照的に、ステップ122で、コンピュータはそのような計算を多数実施する。例えば、コンピュータは、まず、ストリンガの単一の上部プライによって表される上方レイアップ、及び上部プライを除くストリンガのすべてのプライによって表される下方レイアップについてエネルギー解放率を計算し、ストリンガの2つの最上部プライによって表される上方レイアップ、及び、2つの最上部プライを除くストリンガのすべてのプライによって表される下方レイアップについて、エネルギー解放率を計算する、等である。
【0058】
ストリンガと外板との間のクラックの閉口、又は層間剥離に対する脆弱性の低減は、航空機翼の一部を形成する外板/ストリンガ構造物の場合、ストリンガと外板との間の翼の翼弦方向に加わる荷重の作用下での層間剥離に関係する。対照的に、自由端層間剥離解析は、翼のスパン方向に加わる荷重の作用下のストリンガ内の複数のプライ間の層間剥離に関する。
【0059】
再度図11Bを参照すると、プライ界面で自由端層間剥離の発生が予測されるレイアップ候補が、除外される(即ち、更なる検討から除外される)(ステップ124)。
【0060】
残ったレイアップ候補を更にスクリーニングするために、追加の解析が実施される(ステップ126)。これらの解析は、切欠き強度、下位積層板の安定性(sublaminate stability)、熱残留応力、及び相互貫通(interpenetration)のうちの一又は複数を含むがこれらに限定されない。
【0061】
ステップ128で、残ったストリンガレイアップ候補のうちの一又は複数が容認可能であることをステップ126の解析が示しているか否かの判断がなされる。レイアップ候補のうちの何れかが容認可能である場合、解析工程は終了する。容認されたレイアップ候補がコンピュータメモリに記憶されてストリンガ設計のライブラリを形成し得る。後に、ライブラリから読み出したこれらのストリンガ設計の何れかを使用して、ストリンガを製造できる。
【0062】
ステップ128で、容認可能な候補となるストリンガレイアップが存在しないという判断がなされる場合、設計者は、前のステップに戻りパラメータを調整することによって、設計工程に対して調整を行う。より詳細には、図11Bの「OR」ステートメントが、設計工程がフィルタ116又はフィルタ120の何れかに戻れることを意味している。設計者は、図11Bの「OR」ステートメント後に何れの分岐をとるか選択することができる。これら特定の選択の何れもが有効であり、手法は変更されない。
【0063】
ある場合では、より低い適性の(即ち、より低い)不具合基準値を有するレイアップ候補の新しいバッチが、更なる解析を通過するように、設計者が選択して、フィルタ116のフィルタリングパラメータを変更することができる。言い換えれば、ステップ112でもともと作成された、不具合基準の最高値ではない最適未満の値を有するレイアップ候補がスクリーニングされるように、ステップ114が実効的に変更される。このことは、フィルタ116が、最高値及び最低値を有するレイアップ候補を除外し、不具合基準の最適未満の値を有するレイアップ候補を通過させることを意味する。
【0064】
その他の場合、最適未満(即ち、より低い)軸方向剛性及び曲げ剛性の値を有するレイアップ候補の新しいバッチが更なる解析を通過するように、設計者が選択して、フィルタ120のフィルタリングパラメータを変更することができる。言い換えれば、フィルタ116をもともと通過した、軸方向剛性及び曲げ剛性の最高値でない最適未満の値を有するレイアップ候補がスクリーニングされるように、ステップ118が有効に変更される。このことは、フィルタ120が、最高値及び最低値を有するレイアップ候補を除外し、軸方向剛性及び曲げ剛性の最適未満の値を有するレイアップを通過させることを意味する。
【0065】
何れの場合も、このレイアップ候補の新しいバッチについて、ステップ122、124、126、及び128は反復される。上述の工程は、一又は複数のレイアップ候補が容認可能であるとの判断がステップ128でなされるまで反復され得、先述のように、ステップ128で設計工程は終了する。
【0066】
図14は、最適化及び有限要素解析を利用した複合材外板/ストリンガ構造物の設計工程ステップを示す。設計工程は、問題の明確化から開始される(工程70)。問題明確化工程70は下記のステップを含む。所望のレイアップタイプ(即ち、従来型積層板、非従来型積層板、又は配向制御繊維)、及び外板の厚みの選択(ステップ72)、所与の外板のための外板/ストリンガの初期構成、荷重、欠陥/クラック位置、境界の状態、及びストリンガプライ角度の選択(ステップ74)、適切な設計上の制約(例えば、最小/最大の軸方向ストリンガ剛性、レイアップの対称性及び平衡性)の選択(ステップ76)、並びに、所望のレイアップタイプ(即ち、従来型積層板、非従来型積層板、又は配向制御繊維)及びストリンガの厚み(即ち、一定又は調整可能)の選択(ステップ78)。
【0067】
問題明確化後、外板からのストリンガの層間剥離が抑制される基準及びその他の制約を満たすように、ストリンガ設計が最適化される(ステップ80)。設計者が候補となるストリンガプライ角度(例えば、等しい量の0°/45°/90°プライ)を選択した後、最適化アルゴリズムがこの推測を精緻化(refine)する。提示された工程は、局所的もしくは大域的の何れかの最適化、又はこれら両方に利用可能である。任意の最適化方法が適用可能である。候補となるストリンガレイアップを最適化する間、ストリンガレイアップ中のプライ角度及び厚みが、設計基準を見たし不具合基準を向上させるために調整される。
【0068】
最適化アルゴリズムが最善のストリンガレイアップ設計を作成した後、設計者は、最適化工程には存在しなかった製造要件(厚みを抑える、など)に合致するようにプライ角度及び厚みを手動で調整することができる(ステップ82)。
【0069】
次に、最適化され調整されたストリンガレイアップ設計が、自由端層間剥離のエネルギー解放率を計算することにより、各プライ界面間の自由端層間剥離についてチェックされる(ステップ84)。先述したように、自由端層間剥離のエネルギー解放率は、Davidsonの自由端層間剥離法又はこれに代わる適切な理論を用いて計算可能である。
【0070】
自由端層間剥離のチェック後、外板/ストリンガレイアップの層間剥離に対する脆弱性が、仮想き裂閉口法を用いて検証される(ステップ86)。仮想き裂閉口法についての詳細な説明は、Krueger著「Virtual crack closure technique:History,approach,and applications」と題する記事(Appl.Mech.Rev.,Vol.57,No.2,March(2004),pp.109-143)に示されている。外板/ストリンガ構造物の有限要素解析から得られた結果に基づき、仮想き裂閉口法を用いて、ひずみエネルギー解放率を計算する。この方法は、外板/ストリンガ界面のクラックがある距離増分だけ進展する場合、解放されるエネルギーは、その増分距離の端点間のクラックを閉口するのに必要なエネルギーと同一であるとの想定に基づいている。
【0071】
再度図14を参照すると、候補となるストリンガレイアップ設計によって外板/ストリンガ層間剥離が抑制されるであろうことを、有限要素解析が検証する場合、切欠き強度、下位積層板の安定性、熱残留応力、及び相互貫通などの更なる解析が実施される。これらの解析の結果に基づき、候補となるストリンガレイアップ設計が容認可能かどうかの判断がなされる(ステップ88)。
【0072】
候補となるストリンガレイアップが容認可能である場合、解析工程は終了する。後に、この容認済みストリンガレイアップ設計を用いてストリンガが製造され得る。対照的に、候補となるストリンガレイアップが容認可能でないとの判断がステップ88でなされる場合、設計者は、変数境界及び追加の制限など、違反された制約を考慮に入れるべく、最適化問題に対して調整を行うことができる(ステップ90)。次に設計工程はステップ80に戻る。容認可能なストリンガレイアップ設計が実現されるまで、最適化は繰り返し実施される。
【0073】
上記に開示した外板/ストリンガ設計及び外板/ストリンガ構造物の設計法方法は、航空機202の諸部品(図16示す)を製造するための航空機製造及び保守方法200(図15に示す)で利用され得る。製造前の段階で、例示的な方法200は、航空機202の仕様及び設計204(例えば、複合材で作製された翼及び胴体における一体化のためのストリンガの設計を含む)並びに材料調達206を含み得る。製造段階では、航空機202のコンポーネント及びサブアセンブリの製造210と、システムインテグレーション210とが行われる。その後、航空機202は認可及び納品212を経て運航214に供され得る。顧客により運航される間に、航空機202は、改造、再構成、改修なども含み得る、定期的な整備及び保守216が予定される。
【0074】
方法200の工程の各々は、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客)によって実行され、又は実施され得る。本明細書において、システムインテグレータは、任意の数の航空機製造者及び主要システムの下請業者を含むがこれらに限定されず、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含むがこれらに限定されず、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであり得る。
【0075】
図16に示すように、例示的方法200によって製造される航空機202は、複数のシステム220及び内装222を有する機体218(例えば、胴体、フレーム、ストリンガ、翼ボックスなど)を含むことがある。高レベルのシステム220の例には、推進システム224、電気システム226、油圧システム228、及び環境システム230のうちの一又は複数が含まれる。任意の数の他のシステムが含まれることもある。航空宇宙産業の例を示しているが、本開示の原理は、自動車産業のような他の産業にも適用され得る。
【0076】
本明細書に具現化された装置及び方法は、図15に示す例示的な方法200の段階のうちの一又は複数で利用され得る。例えば、製造前の段階で、方法200が、上記に開示した設計方法を用いた外板/ストリンガ構造物の仕様及び設計204を含んでよい。加えて、上記に開示した有利な特性を有する外板/ストリンガ構造物が、コンポーネント及びサブアセンブリの製造208の工程中に製造されてもよい。また、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、もしくはそれらの組み合わせは、例えば、航空機202の組立を実質的に効率化するか、又は航空機12のコストを削減することにより、製造段階208及び210において利用され得る。
【0077】
更に、本開示は下記の条項による実施形態を含む。
【0078】
条項1
少なくとも1つのフランジを有する複合部材であって、前記少なくとも1つのフランジが複合材積層板を含み、前記複合材積層板が自由端を有する複合材のプライスタックを含み、前記スタックのプライが、それぞれのプライ角度に配向された繊維又はプライ内で様々な角度に配向制御された繊維を含み、前記繊維が、前記少なくとも1つのフランジが接合されている複合材外板の一部分が前記少なくとも1つのフランジの前記自由端に対して直角方向に荷重を受ける間、前記スタックの第1のプライと複合材外板の当該部分との界面における層間剥離傾向を抑制するような方式で、第1の変形モードと第2の変形モードとのカップリングを引き起こすように構成されている、複合部材。
【0079】
条項2
前記第1の変形モードが軸方向変形モードであり、前記第2の変形モードが曲げ変形モードである、条項1に記載の複合部材。
【0080】
条項3
前記少なくとも1つのフランジの前記複合材積層板が、非対称であり、非平衡又は平衡である、条項1に記載の複合部材。
【0081】
条項4.
前記非対称並びに非平衡もしくは平衡の複合材積層板が、引張荷重又は圧縮荷重に応答して特に曲げ曲率を生成する、条項3に記載の複合部材。
【0082】
条項5
前記スタックの前記プライの少なくとも1つのプライが、0度、±45度及び±90度のプライ角度の何れとも等しくないプライ角度を有する、条項1に記載の複合部材。
【0083】
条項6.
前記少なくとも1つのフランジの前記複合材積層板の各プライ界面が、モードI、II、及びIIIエネルギー解放率の組み合わせである不具合基準値であって、自由端層間剥離の開始に関連する不具合基準の臨界値未満である不具合基準値を有する、条項1に記載の複合部材。
【0084】
条項7.
自由端を有する第1のプライスタックを含む第1の複合材積層板と第2のプライスタックを含む第2の複合材積層板とを備えた、複合材構造物であって、前記第1の複合材積層板と第2の複合材積層板とが前記自由端に隣接した界面で接合されており、前記第1のスタックの前記プライが、それぞれのプライ角度に配向された繊維、又はプライ内で様々な角度に配向制御された繊維を含み、前記繊維が、前記第2の複合材積層板が前記自由端に対して直角方向に荷重を受けた場合に前記界面における層間剥離の傾向を抑制するような方式で、第1変形モードと第2の変形モードとのカップリングを発生させるように構成されている、複合材構造物。
【0085】
条項8.
前記第1の変形モードが軸方向変形モードであり、前記第2の変形モードが曲げ変形モードである、条項7に記載の複合材構造物。
【0086】
条項9
前記第1の複合材積層板はストリンガのフランジを形成し、前記第2の複合材積層板は、前記ストリンガが接合される外板を形成している、条項7に記載の複合材構造物。
【0087】
条項10
前記第1の複合材積層板が、非対称であり、非平衡又は平衡である、条項7に記載の複合材構造物。
【0088】
条項11.
前記非対称並びに非平衡もしくは平衡の複合材積層板が、特に、引張荷重又は圧縮荷重に応答して曲げ曲率を生成する、条項10に記載の複合材構造物。
【0089】
条項12.
前記第1のスタックの前記プライの少なくとも1つのプライが、0度、±45度及び±90度のプライ角度の何れとも等しくないプライ角度を有する、条項7に記載の複合材構造物。
【0090】
条項13.
前記第1の複合材積層板の各プライ界面が、モードI、II、及びIIIエネルギー解放率の組み合わせである不具合基準値であって、自由端層間剥離の開始に関連する不具合基準の臨界値未満の不具合基準値を有する、条項7に記載の複合材構造物。
【0091】
条項14.
自由端を有する第1のプライスタックを含む第1の複合材積層板と第2のプライスタックを含む第2の複合材積層板とを備えた複合材構造物における、界面層間剥離を抑制する方法であって、第1の複合材積層板と第2の複合材積層板とが、当該自由端に隣接した界面で接合されており、本方法が、
第2の複合材積層板の特性を明確化するステップ、
第1の複合材積層板の望ましい特性を明確化するステップ、
予測される荷重及び層間剥離位置を明確化するステップ、
確率的戦略又は最適化戦略を選択するステップ、
選択された戦略を用いて、第1の複合材積層板のレイアップ候補のプライ角度を、当該望ましい特性を満たす方向へ調整するステップ、並びに
当該レイアップ候補が当該望ましい特性を満たすことを検証するステップ
を含み、当該望ましい特性は、第1の複合材積層板の自由端近傍の第1の複合材積層板と第2の複合材積層板との界面での層間剥離の抑制を含み、
前記調整するステップと前記検証するステップとが、コンピュータシステムによって実施される、方法。
【0092】
条項15.
当該望ましい特性を満たす第1の複合材積層板を製造することを更に含む、条項14に記載の方法。
【0093】
条項16.
前記検証するステップが、第1の複合材積層板と第2の複合材積層板との界面での層間剥離に関連するモードI、II、及びIIIエネルギー解放率の組み合わせである不具合基準値を計算することを含む、条項14に記載の方法。
【0094】
条項17.
前記検証するステップが、第1の複合材積層板のそれぞれのプライ界面での自由端層間剥離に関連するモードI、II、及びIIIエネルギー解放率の組み合わせである不具合基準値を計算することを含む、条項14に記載の方法。
【0095】
条項18.
確率的戦略が選択される場合、前記調整するステップが、確率密度関数を用いて第1の複合材積層板のランダムレイアップを生成することを含み、前記検証するステップが、当該望ましい特性のうちの一又は複数を満たさないランダムに生成されたレイアップを放棄することを含む、条項14に記載の方法。
【0096】
条項19
最適化戦略が選択される場合、前記調整するステップが、違反された制約が考慮されるように最適化問題を調整することを含む、条項14に記載の方法。
【0097】
条項20.
残ったレイアップ候補を更にスクリーニングするために、付加的な解析を実施することを更に含み、前記付加的な解析は、切欠き強度、下位積層板の安定性、熱残留応力、及び相互貫通の解析のうちの一又は複数を含むがこれらに限定されない、条項14に記載の方法。
【0098】
複合材外板/ストリンガ構造物及びそれらの設計方法を、様々な実施形態を参照して説明してきたが、本書の教示から逸脱することなく様々な変形例が可能であること、及びその要素を同等物に置換し得ることが当業者には理解されよう。加えて、特定の状況に対しては、本書で開示されている実践に概念及び簡素化を適合させるために多数の修正例が可能となり得る。そのため、特許請求の範囲の対象である主題は開示されている実施形態に限定されないことが、意図されている。
【0099】
特許請求の範囲で用いる用語「コンピュータシステム」は、少なくとも1つのコンピュータ又はプロセッサを有するシステムを広く包含すると規定されるべきであり、それらはネットワーク又はバスを介して通信する複数のコンピュータ又はプロセッサを有してもよい。上記の文章で用いた用語「コンピュータ」及び「プロセッサ」は、双方とも、処理装置(例えば、中央処理装置)及び当該処理装置により可読なプログラムを記憶する何らかの形態のメモリ(即ち、コンピュータ可読媒体)を有するデバイスを表している。
【0100】
更に、以下に明記されている方法の特許請求は、そこに列挙されたステップがアルファベット順に実行されること(特許請求の範囲の中のいかなるアルファベット順序も、単に従前に列挙されたステップを参照する目的にのみ使用される)、又は列挙されている順番で実行されることが必要であると、解釈されるべきではない。またそれらは、2つ以上のステップのいかなる部分も、同時に、又は入れ替えて実行することを排除すると解釈されるべきでもない。
図1
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