(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】改善されたヘイズ度及び透光率を有する樹脂組成物及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
C08L 69/00 20060101AFI20230426BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20230426BHJP
C08L 101/06 20060101ALI20230426BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
C08L69/00
C08L83/04
C08L101/06
G02B5/02 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2016078941
(22)【出願日】2016-04-11
【審査請求日】2019-02-20
【審判番号】
【審判請求日】2021-02-08
(31)【優先権主張番号】201510169157.1
(32)【優先日】2015-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】510016575
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司北京化工研究院
【氏名又は名称原語表記】BEIJING RESEARCH INSTITUTE OF CHEMICAL INDUSTRY,CHINA PETROLEUM & CHEMICAL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.14,BEISANHUAN EAST ROAD,CHAOYANG DISTRICT,BEIJING 100013,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】喬金▲りょう▼
(72)【発明者】
【氏名】茹越
(72)【発明者】
【氏名】張暁紅
(72)【発明者】
【氏名】楊万泰
(72)【発明者】
【氏名】戚桂村
(72)【発明者】
【氏名】蔡伝倫
(72)【発明者】
【氏名】頼金梅
(72)【発明者】
【氏名】李▲びん▼海
(72)【発明者】
【氏名】王湘
(72)【発明者】
【氏名】宋志海
(72)【発明者】
【氏名】高建明
(72)【発明者】
【氏名】張紅彬
(72)【発明者】
【氏名】蒋海斌
(72)【発明者】
【氏名】何谷
【合議体】
【審判長】杉江 渉
【審判官】蔵野 雅昭
【審判官】橋本 栄和
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-016079号公報
【文献】特開平07-138464号公報
【文献】特開2004-175963号公報
【文献】特開平01-204912号公報
【文献】国際公開第2013/141005号
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
C08F6/00-246/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
改善されたヘイズ度及び透光率を有する樹脂組成物であって、当該樹脂組成物は、混合成分(成分a:マトリックス樹脂、成分b
:架橋された共重合体微小球
、成分c:シリコーン樹脂微小球)を含み、上
記架橋された共重合体微小球は、オレフィン単量体と、無水物
基又はイミド基を有する単量体とから形成され、架橋剤と共
に架橋される交互共重合体であ
り;
成分aとしての上記マトリックス樹脂は、ポリカーボネート樹脂であり;
無水物基又はイミド基を有する上記単量体は、無水マレイン酸、マレイミド、ビスマレイミド及びフェニルマレイミドの少なくとも1つから選択され;
上記オレフィン単量体は、ブテン、ペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、オクテン、スチレン、高分枝スチレン、スルホン化スチレン、及びα-メチルスチレンの少なくとも1つであることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
上
記架橋された共重合体微小球が、単分散共重合体微小球であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
上
記架橋された共重合体微小球は、0.01~20ミクロ
ンの粒径を有し、上記粒径の分散係数は、1.05~1.000
1であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
成分bとしての上
記架橋された共重合体微小球の含有量が、成分aとしての上記マトリックス樹脂100重量部に対して、0.01~10重量
部であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
上記ポリカーボネート樹脂が、芳香族ポリカーボネート樹脂であることを特徴とする、請求項
1に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
上記ポリカーボネート樹脂が、二価フェノール及び/又はフェノール変性ジオールから形成されるコポリカーボネートであることを特徴とする、請求項
1に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
上記二価フェノールは、下記化学式(I)の化合物であって、
【化1】
式中、R1及びR2は、直鎖状、分枝状、又は環状である、1~6個の炭素原子を有するアルキル基をそれぞれ表し、
a及びbは、置換基R1及びR2の数をそれぞれ示し、かつ0~4の整数であり、R1が2以上の場合、複数のR1は互いに同一又は異なっており、R2が2以上の場合、複数のR2は互いに同一又は異なっており、
Xは単結合、1~8個の炭素原子を有するアルキレン、2~8個の炭素原子を有するアルキリデン、5~15個の炭素原子を有するシクロアルキレン、5~15個の炭素原子を有するシクロアルキリデン、-S-、-SO-、-O-、-CO-、又は下記化学式(II-a)又は(II-b)に示される構造であることを特徴とする、請求項
6に記載の樹脂組成物。
【化2】
【請求項8】
上記二価フェノールが、ビス(ヒドロキシアリール)アルカン、ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン、ジヒドロキシ芳香族エーテル、ジヒドロキシジアリールスルフィド、ジヒドロキシジアリールスルホキシド、ジヒドロキシジアリールスルホン、ジヒドロキシビフェニル、ジヒドロキシジフェニルフルオレン、ジヒドロキシジアリールアダマンタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、4,4’-〔1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)〕ビスフェノール、10,10-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-9-アントロン、1,5-ビス(4-ヒドロキシフェニルチオ)-2,3-ジオキサ-ペンテン、α,ω-ビスヒドロキシフェニルポリジメチルシロキサンからなる化合物から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項
6に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
上記ビス(ヒドロキシアリール)アルカンは、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-
ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-1-メチルフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-tert-ブチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、及び2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパンの少なくとも1つから選択され、
上記ビス(ヒドロキシルアリール)シクロアルカンは、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、及び1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサンの少なくとも1つから選択され、
上記ジヒドロキシ芳香族エーテルは、4,4’-ジヒドロキシフェニルエーテル、及び4,4’-ジヒドロキシ-3,3-ジメチルフェニルエーテルの少なくとも1つから選択され、
上記ジヒドロキシジアリールスルフィドは、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、及び4、4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルフィドの少なくとも1つから選択され、
上記ジヒドロキシジアリールスルホキシドは、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、及び4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホキシドの少なくとも1つから選択され、
上記ジヒドロキシジアリールスルホンは、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、及び4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホンの少なくとも1つから選択され、
上記ジヒドロキシジフェニルフルオレンは、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、及び9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレンの少なくとも1つから選択され、
上記ジヒドロキシジアリールアダマンタンは、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、及び1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-5,7-ジメチルアダマンタンの少なくとも1つから選択されることを特徴とする、請求項
8に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
上記フェノール変性ジオールは、ヒドロキシ安息香酸又はそのアルキルエステル、アシル塩化物及びポリエーテル型ジオールに由来する化合物であり、上記ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステルは、ヒドロキシ安息香酸メチル及びヒドロキシ安息香酸エチルから選択さ
れ、上記アシル塩化物は、ヒドロキシ安息香酸とホスゲンとの反応によって得られた化合物から選択さ
れ、上記ポリエーテル型ジオールは、化学式HO-(Y-O)
n-H(Y
は2~15個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキレンを表し、nは
2~200の整数である)を有する化合物であ
り、上記ポリエーテル型ジオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリブチレングリコールから選択される少なくとも1つであ
ることを特徴とする、請求項
6に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
上
記ブテン
は、イソブテ
ンであ
ることを特徴とする、請求項1~
10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項12】
上記交互共重合体は、酸、エステル、エーテル及び/又はニトリル基を有する単量体をさらに含み、上記単量体は、ビニルアセテート、アクリロニトリル、及びビニルアルキルエーテルの少なくとも1つから選択され
ることを特徴とする、請求項1~
11のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項13】
上
記架橋された共重合体微小球に
おいて、無水物
基又はイミド基を有する上記単量体の含有量は、10~90モル
%であって、その他の1つ以上の単量体の総含有量は、10~90モル
%であって、上記架橋剤の含有量は、0
モル%より大きく50モル%
以下であることを特徴とする、請求項1~
12のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項14】
上記架橋剤は、多官能性を有するオレフィン系有機化合物から選択され
ることを特徴とする、請求項1~
13のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項15】
成分cとしての上記シリコーン樹脂微小球の含有量は、成分aとしての上記マトリクス樹脂100重量部に対して、0.01~10重量
部であることを特徴とする、請求項
1に記載の樹脂組成物。
【請求項16】
上記シリコーン樹脂微小球は、0.1~100ミクロ
ンの粒径を有することを特徴とする、請求項
1に記載の樹脂組成物。
【請求項17】
上記シリコーン樹脂微小球におけるシリコーン樹脂は、オルガノポリシロキサンであ
ることを特徴とする、請求項
1に記載の樹脂組成物。
【請求項18】
上記樹脂組成物が、92%以上のヘイズ
度を有することを特徴とする、請求項1~
17のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項19】
上記樹脂組成物が、55%以上の透光
率を同時に有することを特徴とする、請求項
18に記載の樹脂組成物。
【請求項20】
請求項1~
19のいずれか1項に記載の樹脂組成物の調製方法であって、上記調製方法は、上記マトリックス樹脂と
、架橋された共重合体微小球と
、シリコーン樹脂微小球とを含む全成分を、ゴムプラスチック混合機を用いて、一度に溶融混合することを特徴とする調製方法。
【請求項21】
請求項1~
19のいずれか1項に記載の樹脂組成物から調製される改善されたヘイズ度及び透光率を有する材料。
【請求項22】
上記材料は光拡散材料であることを特徴とする、請求項
21に記載の材料。
【請求項23】
上記材料は
、照明
、建築材料、耐擦傷性背面投射型スクリーンや薄層化粧板としてのディスプレーや投射装置、LCDやLEDの光拡散プレートに用いられることを特徴とする、請求項
21に記載の材料。
【請求項24】
ヘイズ度及び透光率を改善するための改質剤は、請求項1~
14のいずれか1項に定義され
る架橋された共重合体微小球、及び請求項
15~17のいずれか1項に定義されるシリコーン樹脂微小球
を更に含むことを特徴とする改質剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子材料の技術分野に関する。さらに、本発明は、樹脂組成物、特に改善されたヘイズ度及び透光率を有するポリカーボネート樹脂組成物及びその調製方法、そして、上記樹脂組成物により調製される材料、及び上記材料に用いられる、ヘイズ度及び透光率を改善するための改質剤に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、社会的なエネルギー不足のため、社会全体で省エネと環境保護を推進している。照明の面では、エネルギー消費を減少させるために、中国は2011年に「通常の照明用白熱ランプの段階的な(販売)禁止についての通知」を規定した。当該通知では、100ワット以上の通常の照明用白熱ランプの輸入及び販売を全国的に禁止することを規定している。これによって、将来的には、通常の白熱ランプは徐々に省エネ照明ランプに替わるであろう。
【0003】
LEDランプには非常に高いエネルギー変換率、低消費電力、長寿命、重金属の不使用及びその他の特徴があるため、省エネ光源としてLEDランプを用いることが開発の傾向となっており、従来の通常の省エネランプは徐々にLEDランプに替わっている。ただし、LEDランプの単位面積当たりの光強度が強すぎるため、LEDランプを直視した後、めまいや視覚的な不快感及びその他の症状が生じることがある。また、LEDとLCDがディスプレー材料として使用される場合、再び同様の問題に直面する。
【0004】
したがって、明るい光を発するこのようなランプが、光源又はバックライトとして用いられる場合、外部に材料を付加することが必要になる。光がこの材料を通過すると、当該材料の拡散効果により、点光源を面光源に変換でき、光を和らげることができる。このような材料は光拡散材料と称される。
【0005】
光拡散材料は、主にランプ、発光標識(特にバックライトの半透明標識)、車の天窓、自動車のランプシェード等の照明に用いられる。また、光拡散材料は建築材の面においても大きな利用価値がある。半透明のポリカーボネート樹脂で作られた屋根や温室は、直射光によって生じる悪影響を防止できる。また、加工性能においては、プラスチックは光拡散ガラスを遙かに超えており、加工及び運送が容易である。このような材料は、耐擦傷性背面投射型スクリーンや薄層化粧板としてディスプレーや投射装置にも用いることができる。
【0006】
ポリカーボネート樹脂は非常に広く用いられる工学用プラスチックであり、高透光率を示すが、ヘイズ度が低い。一部のポリメチルメタクリレート微小球、アクリレート微小球、又はガラスビーズ及びその他の素材は、一般的に上記ポリカーボネート樹脂のヘイズ度を高めるために用いられる。しかし、上記二つの材料は屈折率が異なるため、光はこれらの粒子の表面で何度も屈折及び吸収される。そのため、上記ポリカーボネート樹脂のヘイズ度が大きく向上し、強い光による人間の目に対するダメージも低減されるが、これと同時に、光拡散材料の透過率も著しく低減してしまい、最終的にわずかなエネルギーのみが光エネルギーに変換される。その結果、エネルギー消費が大きくなる。
【0007】
中国特許出願CN101880450Aには、高ヘイズ度及び高透光率を有するポリカーボネート樹脂の調製方法が開示されている。この調製方法では、上記ポリカーボネート樹脂のヘイズ度を高めるために、ポリカーボネートにポリメチルメタクリレートマイクロビーズを添加する必要がある。上記ポリカーボネート樹脂においては、80%の透光率が得られるが、同時にヘイズ度は30%未満となる。
【0008】
中国特許出願CN102250462Aは、ポリカーボネートを使用して光拡散材料を調製し、当該光拡散材料を使用してLEDランプシェードを製造する方法を開示している。上記方法においては、シリコーン樹脂及びその他の光拡散剤がポリカーボネートに添加され、その結果、上記光拡散材料のヘイズ度が90%より高い値に達するが、透光率は40%しかない。そのため、光拡散材料として上記光拡散材料を直接利用することはできない。
【0009】
したがって、高ヘイズ度及び高透光率を有する材料をどのように調製するか、ということが緊急な課題となっている。
〔開示〕
本発明は、ヘイズ度及び透光率が改善された樹脂組成物、特にポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的とし、当該樹脂組成物が高ヘイズ度及び高透光率を有することが好ましい。
【0010】
本発明の他の目的は、上述したような樹脂組成物の調製方法を提供することである。上記方法は、一般的なゴムプラスチック混合機を用いて、一度に樹脂組成物を調製するために、全成分を混合して、高ヘイズ度及び高透光率を有する樹脂組成物を調製する。上述したような方法は簡単に実行可能である。
【0011】
本発明によると、上記目的は、改善されたヘイズ度及び透光率を有するポリカーボネート樹脂組成物により達成され、当該樹脂組成物は、下記混合成分(成分a:マトリックス樹脂、成分b:任意に架橋された共重合体微小球)を含み、上記任意に架橋された共重合体微小球は、オレフィン単量体及び/又はフラン並びにその誘導体と、無水物基、アミド基及び/又はイミド基を有する単量体とから形成され、架橋剤と共に任意に架橋される交互共重合体である。
【0012】
本発明に係る上記成分aとしての上記マトリックス樹脂は、透明又は半透明のマトリックス樹脂の少なくとも1つから選択することが可能であり、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、環状オレフィン重合体樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ(エチレン-co-1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)(PETG)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル-スチレン樹脂(AS)、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、エチレン-ビニルアセテート共重合体(EVA)、アリルジグリコールカーボネート(CR-39)、ポリ-4-メチル-1-ペンテン(TPX)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)(HEMA)、ポリビニルアルコール、セルロースアセテート、セルロースニトレート、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニルブチラール、ポリエーテルスルホン及びその誘導体の少なくとも1つから選択されることが好ましく、ポリカーボネート樹脂、特に芳香族ポリカーボネート樹脂から選択されることが好ましい。
【0013】
上記樹脂組成物は、下記混合成分(c:シリコーン樹脂微小球)を任意に更に含むことが可能である。
【0014】
上記樹脂組成物、特に本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、以下の微細な構造(成分aとしてのマトリックス樹脂:連続相、連続相としてのマトリックス樹脂において均質的に分散された、成分bとしての任意に架橋された共重合体微小球、及び成分cとしての任意のシリコーン樹脂微小球:分散相)を有し、上記ポリカーボネート樹脂組成物においては、成分bの任意に架橋された共重合体微小球の表面上の無水物基やその他の基が上記連続相のマトリックス樹脂と反応することができ、それによって、上記任意に架橋された共重合体微小球の表面と、上記マトリックス樹脂との間に遷移層が形成され、当該遷移層は、マトリックス樹脂における上記任意に架橋された共重合体微小球の分散に寄与する。さらに、分散相における成分b及び任意の成分cの2種類の微小球と、連続相としての上記マトリックス樹脂は異なる屈折率を有するので、光が上記組成物を通過するとき、微小球の作用下(特に上記2種類の微小球の複合作用下)、分散相において、元の光源が非常に効率的に分散され、点光源が面光源へ変換され、その結果、マトリックス樹脂組成物のヘイズ度が著しく増大し、同時に上記樹脂組成物が比較的高い透光率を有することができる。
【0015】
上記樹脂組成物、特に本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、92%以上のヘイズ度を有し、好ましくは95%以上のヘイズ度を有し、好ましくは、同時に、55%以上の透光率を有し、好ましくは59%以上の透光率を有する。特に、上記樹脂組成物は、92%以上のヘイズ度及び55%以上の透光率を有し、好ましくは92%以上のヘイズ度及び59%以上の透光率を有し、より好ましくは95%以上のヘイズ度及び59%以上の透光率を有する。
【0016】
上記組成物を実際に使用することによって、エネルギー損失が効果的に削減され、多くのエネルギーを節約するという目的が達成される。
【0017】
本発明の上記樹脂組成物における、成分aとしてのポリカーボネート樹脂は、本技術において周知の種々のポリカーボネート樹脂から選択することができることが好ましく、芳香族ポリカーボネートであることが好ましく、二価フェノール及び/又はフェノール変性ジオールから形成されるコポリカーボネートであることがより好ましい。上記ポリカーボネート樹脂は、従来の方法、好ましくは、界面重合法(つまり、二価フェノールと、ホスゲンを有するフェノール変性ジオールと、その他のカーボネート前駆体とを重合工程において反応させる方法)によって調製可能である。二価フェノールは、下記化学式(I)の化合物であってもよい。
【0018】
【0019】
式中、R1及びR2は、直鎖状、分枝状、又は環状であってもよく、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル等から選択されてもよい、1~6個の炭素原子を有するアルキル基をそれぞれ表し、
a及びbは、置換基R1及びR2の数をそれぞれ示し、かつ0~4の整数であり、R1が2以上の場合、複数のR1は互いに同一又は異なっており、R2が2以上の場合、複数のR2は互いに同一又は異なっており、
Xは単結合、1~8個の炭素原子を有するアルキレン(例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等)、2~8個の炭素原子を有するアルキリデン(例えばエチリデン、イソプロピリデン等)、5~15個の炭素原子を有するシクロアルキレン(例えばシクロペンチレン、シクロヘキシレン等)、5~15個の炭素原子を有するシクロアルキリデン(例えばシクロペンチリデン、シクロヘキシリデン等)、-S-、-SO-、-O-、-CO-、又は下記化学式(II-a)又は化学式(II-b)に示される構造である。
【0020】
【0021】
化学式(I)の上記二価フェノールは、ポリカーボネートを調製するための種々の二価フェノールであってもよく、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールAとして公知]、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-1-メチルフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-tert-ブチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン;1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン等のビス(ヒドロキシルアリール)シクロアルカン;4,4’-ジヒドロキシフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3-ジメチルフェニルエーテル等のジヒドロキシ芳香族エーテル;4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド;4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド;4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン;4,4’-ジヒドロキシ-ビフェニル等のジヒドロキシビフェニル;9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン等のジヒドロキシジフェニルフルオレン;1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-5,7-ジメチルアダマンタン等のジヒドロキシジアリールアダマンタン;ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、4,4’-〔1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)〕ビスフェノール、10,10-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-9-アントロン、1,5-ビス(4-ヒドロキシフェニルチオ)-2,3-ジオキサ-ペンテン、α,ω-ビスヒドロキシフェニルポリジメチルシロキサン化合物の少なくとも1つであることが好ましく、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、すなわちビスフェノールAであることがより好ましい。
【0022】
本発明において使用される上記フェノール変性ジオールは、下記化学式(III)によって表される化合物であってもよい。
【0023】
【0024】
式中、R3及びR4は、1~3個の炭素原子を有するアルキル基をそれぞれ表し、
Yは2~15個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキレンを表し、
c及びdは置換基R3及びR4の数をそれぞれ示し、かつ0~4の整数であり、
nは2~200の整数であり、6~70の整数であることが好ましく、
R3及びR4のアルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、及びイソプロピルから選択されてもよく、R3が2以上の場合、複数のR3は互いに同一又は異なっており、R4が2以上の場合、複数のR4は互いに同一又は異なっており、
Yによって表される2~15個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキレンは、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンチレン及びイソペンチレン等のアルキレンを含んでもよい。
【0025】
フェノール変性ジオールは、ヒドロキシ安息香酸又はそのアルキルエステル、アシル塩化物、及びポリエーテル型ジオールから誘導される化合物である。ヒドロキシ安息香酸アルキルエステルは、ヒドロキシ安息香酸メチル及びヒドロキシ安息香酸エチルであることが好ましく、アシル塩化物は、ヒドロキシ安息香酸とホスゲンとの反応により得られた化合物であることが好ましく、ポリエーテル型ジオールは、化学式HO-(Y-O)n-H(Y及びnは化学式(III)において定義される)を有する化合物であることが好ましく、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリブチレングリコールであることが好ましく、ポリブチレングリコールであることがより好ましい。
【0026】
本発明の樹脂組成物における成分bとしての任意に架橋された共重合体微小球は、オレフィン単量体及び/又はフラン並びにその誘導体と、無水物基、アミド基及び/又はイミド基を有する単量体とから形成され、架橋剤と共に任意に架橋される交互共重合体である。上記任意に架橋された共重合体微小球は、単分散共重合体微小球であることが好ましい。上記任意に架橋された共重合体微小球は、0.01~20ミクロンの粒径、好ましくは0.1~10ミクロンの粒径、より好ましくは0.3~5ミクロンの粒径を有してもよい。
【0027】
上記共重合体微小球は自己安定化分散重合法によって調製されることが好ましく、例えば、中国特許CN100579995C及び中国特許CN101781387Bに開示されている方法によって調製可能である。
【0028】
具体的には、オレフィン単量体としてのモノオレフィンについて、例えば、窒素保護下で、単量体及び開始剤(及び任意に架橋剤)を溶媒へ加えて、これらを溶かし、60℃~90℃で0.25時間(15分間)~12時間反応させて、交互共重合体微小球の分散系を発生させ、その後、遠心分離によって単離して、上記交互共重合体の白色固体を発生させる。上記反応系における単量体の質量濃度は1%~50%で、開始剤は有機過酸化物又はアゾ化合物であり、上記反応系における開始剤の質量濃度は0.01%~1%である。上記溶媒は有機酸アルキルエステル、芳香族炭化水素と有機酸アルキルエステルとの混合液、又はアルカンとケトンとの混合液(アルカンとケトンとの上記混合液中のケトンの体積分率は5%~65%)である。
【0029】
オレフィン単量体としての共役ジエンについて、例えば、窒素保護下で、無水物基、アミド基及び/又はイミド基を有する単量体、及び開始剤(及び任意に架橋剤)を溶媒に加えて十分にこれらを溶かし、その後、共役ジエン又は任意に架橋剤を有するその混合物を上記溶媒(反応系)へ加えて溶かし、50℃~90℃で、0.5時間(30分間)~73時間反応させ、共重合体微小球の分散系を発生させ、その後、遠心分離によって単離し、真空で乾燥させて、共重合体の白色固体を発生させる。上記反応においては、開始剤は有機過酸化物又はアゾ化合物であり、上記反応系における開始剤の質量濃度は0.01~1%であり、上記溶媒は有機酸アルキルエステル、芳香族炭化水素、又は有機酸アルキルエステルとアルカンとの混合液(有機酸アルキルエステルとアルカンとの上記混合液中のアルカンの体積分率は25%~75%)である。
【0030】
成分bとしての上記任意に架橋された共重合体微小球の含有量は、成分aとしての上記マトリックス樹脂100重量部に対して、0.01~10重量部であってもよく、0.05~8重量部であることが好ましく、0.1~5重量部であることがより好ましく、0.1~3重量部であることが更に好ましい。
【0031】
上記任意に架橋された共重合体微小球における無水物基、及び/又はイミド基を有する上記単量体は、下記化学式(IV)を有する化合物であることが好ましい。
【0032】
【0033】
式中、R5は酸素原子、イミノ基又はその誘導体を示し、酸素原子、イミノ基、フェニルイミノ基、1~20個の炭素原子を有するアルキルフェニルイミノ基又はアルキルイミノ基であることが好ましく、アルキル基は直鎖状、分枝状、又は環状であってもよく、酸素原子又はイミノ基であることがより好ましい。
【0034】
無水物基、及び/又はイミド基を有する上記単量体は、具体的には、無水マレイン酸、マレイミド、ビスマレイミド及びフェニルマレイミドの少なくとも1つから選択されてもよい。
【0035】
上記任意に架橋された共重合体微小球における上記オレフィン単量体は、2~30個の炭素原子を含む1つ以上のオレフィン単量体から選択されてもよく、ブテン(例:イソブテン)、ブタジエン(例:シス-ブタジエン)、ペンテン、イソプレン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、ヘキセン、ヘキサジエン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、オクテン、オクタジエン、シクロオクタジエン、スチレン、及びその誘導体(例:高分枝スチレン、スルホン化スチレン、α-メチルスチレン)、及びビニルアルキルエーテルの1つ以上から選択されることがより好ましい。
【0036】
上記任意に架橋された共重合体微小球における上記フラン又はその誘導体は、フラン、フルフラール及びその誘導体、2,3-ジヒドロゲンフラン及びその誘導体、2-メチルフラン及びその誘導体、2-フランカルボン酸及びその誘導体、2-フラミド及びその誘導体、フリルアルコール及びその誘導体から選択されることが好ましい。
【0037】
上記任意に架橋された共重合体微小球は、酸、エステル、エーテル、及び/又はニトリル基を有する単量体を任意に含んでもよく、当該単量体は、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ビニルアルキルエーテル等の1つ以上から選択されてもよい。
【0038】
任意に架橋された共重合体微小球の調製方法は、架橋剤を用いてもよい。使用される架橋剤は、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)等の脂肪族ジビニルエステル等、及び芳香族ジビニルベンゼン等の多官能性を有するオレフィン系有機化合物であってもよく、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、及びトリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)であることが好ましい。
【0039】
上記任意に架橋された共重合体微小球に含有される、無水物基、アミド基及び/又はイミド基を有する上記単量体の含有量(モル比)は、10%~90%であってもよく、20%~80%であることが好ましく、30%~50%であることがより好ましい。その他の1つ以上の単量体(オレフィン単量体及び/又はフラン並びにその誘導体、及び/又は、酸、エステル、エーテル及び/又はニトリル基を有する単量体)の含有量(モル比)は、10%~90%であってもよく、20%~80%であることが好ましく、30%~50%であることがより好ましい。架橋剤の含有量(モル比)は、0~50%であってもよく、0~40%であることが好ましく、0~30%であることがより好ましい。
【0040】
上記任意に架橋された共重合体微小球は、1.05~1.0001、好ましくは1.02~1.001、より好ましくは1.017~1.001の粒径の分散係数(U)を有する。上記粒径の分散係数は、重合体の分散系からのサンプリング、及び走査電子顕微鏡を用いて重合体微小球の形態を観察することによって決定される。微小球のサイズは、平均粒子直径(Dn)によって表され、粒径分布は分散係数によって表される。式は以下の通りである。
【0041】
【0042】
上記式において、
Diは粒子の直径i(nm)、
nは試料の容量、
Dwは定義された数学的平均直径である。
【0043】
成分bとしての上記任意に架橋された共重合体微小球は、0.01~20ミクロン、好ましくは0.1~10ミクロン、より好ましくは0.3~5ミクロンの粒径を有してもよい。上記粒径は、反応時間、単量体濃度、及び反応媒体等の反応工程パラメータによって調節され得る。
【0044】
本発明の樹脂組成物における、任意の成分cとしてのシリコーン樹脂微小球におけるシリコーン樹脂は、本技術において公知である種々のシリコーン樹脂から選択することができ、オルガノポリシロキサンであることが好ましく、上記シリコーン樹脂は、ホスホン酸基及び/又はホスフィン酸基の少なくとも1つ、及び、窒素含有有機基を少なくとも1つ含み、RPR2SiO1/2単位、及び/又はRPRSiO2/2単位、及び/又はRPSiO3/2単位に存在する、少なくとも1つのホスホン酸塩部位又はホスフィン酸塩部位を含むことがより好ましい。上記単位において、基「P」は、1~30個の炭素原子を有し、ホスホン酸塩又はホスフィン酸塩置換基を含有するアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアリル基であり、基「R」はそれぞれ、1~30個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアリル基である。
【0045】
成分cとしての上記シリコーン樹脂微小球は、0.1~100ミクロン、好ましくは1~50ミクロン、より好ましくは2~30ミクロン、更に好ましくは2~12ミクロンの粒径を有してもよい。
【0046】
成分cとしての上記シリコーン樹脂微小球の含有量は、成分aとしての上記マトリックス樹脂100重量部に対して、0.01~10重量部、好ましくは0.05~8重量部、より好ましくは0.1~5重量部、更に好ましくは0.1~2重量部である。
【0047】
本発明の樹脂組成物は、プラスチック加工において一般的に用いられている添加物を少なくとも1つ含んでもよい。当該添加物の量は、一般的な量でもよく、あるいは実際の必要性に応じて調節してもよい。
【0048】
本発明の樹脂組成物の調製方法は、成分aとしてのマトリックス樹脂、及び成分bとしての任意に架橋された共重合体微小球を含み、任意の成分cとしてのシリコーン樹脂微小球等を含む全成分を、一般的なゴムプラスチック混合機を用いて、ゴムプラスチック加工における一般的な溶融混合法を利用して一度に溶融混合する工程を含んでいる。
【0049】
上記調製の間、上記物質(全成分)の混合温度は、マトリックス樹脂の一般的な加工温度と同じであり、マトリックス樹脂が分解されることはないが、確実に完全に融解される範囲から選択されるべきである。また、上記方法の必要性に応じて、上記混合した物質に、プラスチック加工における一般的な添加剤を適量加えてもよい。上記混合中、マトリックス樹脂、及び任意に架橋された共重合体微小球を含み、シリコーン樹脂微小球を任意に含む種々の成分は、融解混合するために、計量及びその他の手段を介して、溶融混合機に同時に加えてよい。あるいは、上記種々の成分を、同じ混合機で予め均質に混合し、ゴムプラスチック混合機を用いて、一度に融解混合及び押出し成形を行って、樹脂組成物を得ることもできる。
【0050】
本発明の調製方法において用いられるゴムプラスチック混合機は、オープンミル、密閉式ミキサー、単軸押出機、二軸押出機又はトルクレオメーター等であってもよい。大量混合機は、高速攪拌機、捏和機、及び本技術において一般的に使用されるその他の機械的混合機から選択される。
【0051】
本発明の樹脂組成物は、マトリックス樹脂、及び任意に架橋された共重合体微小球を含み、シリコーン樹脂微小球を任意に含む全ての成分を、一度に融解混合する工程によって得られる。このようにして得られた組成物においては、任意に架橋された共重合体微小球及び任意のシリコーン樹脂微小球は、連続相としてのマトリックス樹脂において均質に分散し、上記2種類の微小球の両方が含まれる場合、上記2種類の微小球の両方は単分散状態になる。上記任意に架橋された共重合体微小球は、無水物基やその他の基をその架橋表面に有し、それゆえにマトリックス樹脂(特にポリカーボネート樹脂)の分子鎖上にて、カルボニル基等の構造とのエステル交換が行われ、それによってマトリックス樹脂における拡散にさらに寄与することになる。光が上記組成物を通過するとき、分散相において、入射光が微小球の作用下(上記2種類の微小球の複合作用下)で分散され、その結果、点光源が面光源へ変換され、それによって樹脂組成物のヘイズ度が著しく高くなり、同時に、当該樹脂組成物が比較的高い透光率を有することができる。その結果、多くのエネルギーを削減することができる。一方、使用される材料の量が削減され、材料コストが大きく削減される。
【0052】
本発明は、本発明に係る樹脂組成物から調製される高ヘイズ度及び高透光率を有する材料を更に提供する。当該材料は光拡散材料であることが好ましい。上記材料は、ランプ、発光標識、車の天窓、自動車のランプシェード等の照明、屋根や温室等の建築材料、耐擦傷性背面投射型スクリーンや薄層化粧板としてのディスプレーや投射装置、LCDやLEDの光拡散プレートに使用することができる。
【0053】
本発明は、ヘイズ度及び透光率を向上させる改質剤を更に提供し、当該改質剤は上述した任意に架橋された共重合体微小球を含み、上述したシリコーン樹脂微小球を任意に含んでいる。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下では、実施例により本発明を更に説明する。ただし、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。
【0055】
実施例における実験データは下記器具(及び設備)、及び下記測定方法によって測定される。
(1)実験データを測定する器具:WGT-S透過率及びヘイズ度測定器具。
(2)実験データを測定する方法:中国国家基準GB/T2410-2008。
【0056】
〔実施例1〕
ポリカーボネート樹脂(バイエル社製(ドイツ)、品名:2405)を熱風乾燥機に入れ、120℃で4時間乾燥させた後、シリコーン樹脂微小球(モメンティブ社製、品名:TOSPEARL3120、粒径12ミクロン)、架橋共重合体微小球[中国特許CN100579995Cの請求項1に開示されている方法に従って作製した。粒径0.1ミクロン、粒径の拡散係数1.0002。上記共重合体において、スチレンの含有量(モル比)は40%、マレイミドの含有量(モル比)は40%、架橋剤であるジビニルベンゼンの含有量(モル比)は20%である]、及び酸化防止剤1010と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、シリコーン樹脂微小球0.05重量部と、架橋共重合体微小球5重量部と、酸化防止剤0.1重量部とを用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0057】
〔比較例1〕
ポリカーボネート樹脂(バイエル社製(ドイツ)、品名:2405)を熱風乾燥機に入れ、120℃で4時間乾燥させた後、酸化防止剤1010と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、酸化防止剤0.1重量部を用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0058】
〔比較例2〕
ポリカーボネート樹脂(バイエル社製(ドイツ)、品名:2405)を熱風乾燥機に入れ、120℃で4時間乾燥させた後、シリコーン樹脂微小球(モメンティブ社製、品名:TOSPEARL3120、粒径12ミクロン)、及び酸化防止剤1010と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、シリコーン樹脂微小球0.05重量部と、酸化防止剤0.1重量部とを用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0059】
〔実施例1-b〕
ポリカーボネート樹脂(バイエル社製(ドイツ)、品名:2405)を熱風乾燥機に入れ、120℃で4時間乾燥させた後、架橋共重合体微小球[中国特許CN100579995Cの請求項1に開示されている方法に従って作製した。粒径0.1ミクロン、粒径の拡散係数1.0002。上記共重合体においては、スチレンの含有量(モル比)は40%、マレイミドの含有量(モル比)は40%、架橋剤であるジビニルベンゼンの含有量(モル比)は20%である]、及び酸化防止剤1010と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、架橋共重合体微小球5重量部と、酸化防止剤0.1重量部とを用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0060】
〔実施例2〕
ポリカーボネート樹脂(バイエル社製(ドイツ)、品名:ET3113)を熱風乾燥機にて、120℃で4時間乾燥させた後、シリコーン樹脂微小球(Dow Corning社製、品名:30-424、粒径2ミクロン)、架橋共重合体微小球[中国特許CN100579995Cの請求項1に開示されている方法に従って作製した。粒径0.3ミクロン、粒径の拡散係数1.017。上記共重合体においては、スチレンの含有量(モル比)は65%、マレイミドの含有量(モル比)は33.5%、架橋剤であるEGDMAの含有量(モル比)は1.5%である]、及び酸化防止剤168と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、シリコーン樹脂微小球0.1重量部と、架橋共重合体微小球3重量部と、酸化防止剤0.1重量部とを用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0061】
〔比較例4〕
ポリカーボネート樹脂(バイエル社製(ドイツ)、品名:ET3113)を熱風乾燥機に入れ、120℃で4時間乾燥させた後、酸化防止剤168と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、酸化防止剤0.1重量部を用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0062】
〔比較例5〕
ポリカーボネート樹脂(バイエル社製(ドイツ)、品名:ET3113)を熱風乾燥機に入れ、120℃で4時間乾燥させた後、シリコーン樹脂微小球(Dow Corning社製、品名:30-424、粒径2ミクロン)、及び酸化防止剤168と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、シリコーン樹脂微小球0.1重量部と、酸化防止剤0.1重量部とを用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0063】
〔実施例2-b〕
ポリカーボネート樹脂(バイエル社製(ドイツ)、品名:ET3113)を熱風乾燥機に入れ、120℃で4時間乾燥させた後、架橋共重合体微小球[中国特許CN100579995Cの請求項1に開示されている方法に従って作製した。粒径0.3ミクロン、粒径の拡散係数1.017。上記共重合体においては、スチレンの含有量(モル比)は65%、マレイミドの含有量(モル比)は33.5%、架橋剤であるEGDMAの含有量(モル比)は1.5%である]、及び酸化防止剤168と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、架橋共重合体微小球3重量部と、酸化防止剤0.1重量部とを用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0064】
〔実施例3〕
ポリカーボネート樹脂(バイエル社製(ドイツ)、品名:3103)を熱風乾燥機に入れ、120℃で6時間乾燥させた後、シリコーン樹脂微小球(Dow Corning社製、品名:30-424、粒径2ミクロン)、架橋共重合体微小球[中国特許CN100579995Cの請求項1に開示されている方法に従って作製した。粒径0.8ミクロン、粒径の拡散係数1.039。上記共重合体においては、α-メチルスチレンの含有量(モル比)は45%、無水マレイン酸の含有量(モル比)は45%、架橋剤であるEGDMAの含有量(モル比)は10%である]、及び酸化防止剤B225と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、シリコーン樹脂微小球0.3重量部と、架橋共重合体微小球1.5重量部と、酸化防止剤0.1重量部とを用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0065】
〔比較例7〕
ポリカーボネート樹脂(バイエル社製(ドイツ)、品名:3103)を熱風乾燥機に入れ、120℃で6時間乾燥させた後、酸化防止剤B225と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、酸化防止剤0.1重量部を用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0066】
〔比較例8〕
ポリカーボネート樹脂(バイエル社製(ドイツ)、品名:3103)を熱風乾燥機に入れ、120℃で6時間乾燥させた後、シリコーン樹脂微小球(Dow Corning社製、品名:30-424、粒径2ミクロン)、及び酸化防止剤B225と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、シリコーン樹脂微小球0.3重量部と、酸化防止剤0.1重量部とを用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0067】
〔実施例3-b〕
ポリカーボネート樹脂(バイエル社製(ドイツ)、品名:3103)を熱風乾燥機に入れ、120℃で6時間乾燥させた後、架橋共重合体微小球[中国特許CN100579995Cの請求項1に開示されている方法に従って作製した。粒径0.8ミクロン、粒径の拡散係数1.039。上記共重合体においては、α-メチルスチレンの含有量(モル比)は45%、無水マレイン酸の含有量(モル比)は45%、架橋剤であるEGDMAの含有量(モル比)は10%である]、及び酸化防止剤B225と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、架橋共重合体微小球1.5重量部と、酸化防止剤0.1重量部とを用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0068】
〔実施例4〕
ポリカーボネート樹脂(SABIC社製、品名:9945A)を熱風乾燥機に入れ、100℃で6時間乾燥させた後、シリコーン樹脂微小球(Dow Corning社製、品名:30-424、粒径2ミクロン)、架橋共重合体微小球[中国特許CN100579995Cの請求項1に開示されている方法に従って作製した。粒径1.2ミクロン、粒径の拡散係数1.047。上記共重合体においては、ヘキセンの含有量(モル比)は40%、マレイミドの含有量(モル比)は40%、架橋剤であるTMPTMAの含有量(モル比)は20%である]、及び酸化防止剤B225と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、シリコーン樹脂微小球0.4重量部と、架橋共重合体微小球1重量部と、酸化防止剤0.1重量部とを用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0069】
〔比較例10〕
ポリカーボネート樹脂(SABIC社製、品名:9945A)を熱風乾燥機に入れ、120℃で6時間乾燥させた後、酸化防止剤B225と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、酸化防止剤0.1重量部を用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0070】
〔比較例11〕
ポリカーボネート樹脂(SABIC社製、品名:9945A)を熱風乾燥機に入れ、100℃で6時間乾燥させた後、シリコーン樹脂微小球(Dow Corning社製、品名:30-424、粒径2ミクロン)、及び酸化防止剤B225と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、シリコーン樹脂微小球0.4重量部と、酸化防止剤0.1重量部とを用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0071】
〔実施例4-b〕
ポリカーボネート樹脂(SABIC社製、品名:9945A)を熱風乾燥機に入れ、120℃で6時間乾燥させた後、架橋共重合体微小球[中国特許CN100579995Cの請求項1に開示されている方法に従って作製した。粒径1.2ミクロン、粒径の拡散係数1.047。上記共重合体においては、ヘキセンの含有量(モル比)は40%、マレイミドの含有量(モル比)は40%、架橋剤であるTMPTMAの含有量(モル比)は20%である]、及び酸化防止剤B225と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、架橋共重合体微小球1重量部と、酸化防止剤0.1重量部とを用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0072】
〔参考例5〕
ポリカーボネート樹脂(Formosa Idemitsu社製、品名:IR2200)を熱風乾燥機に入れ、120℃で4時間乾燥させた後、シリコーン樹脂微小球(信越化学工業社製、品名:KPM590、粒径2ミクロン)、架橋共重合体微小球[中国特許CN101781387Bの請求項1に開示されている方法に従って作製した。粒径2ミクロン、粒径の拡散係数1.003。上記共重合体においては、イソプレンの含有量(モル比)は55%、マレイミドの含有量(モル比)は40%、架橋剤であるEGDMAの含有量(モル比)は5%である]、及び酸化防止剤1076と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、シリコーン樹脂微小球0.5重量部と、架橋共重合体微小球1重量部と、酸化防止剤0.1重量部とを用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0073】
〔比較例13〕
ポリカーボネート樹脂(Formosa Idemitsu社製、品名:IR2200)を熱風乾燥機に入れ、120℃で4時間乾燥させた後、酸化防止剤1076と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、酸化防止剤0.1重量部を用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0074】
〔比較例14〕
ポリカーボネート樹脂(Formosa Idemitsu社製、品名:IR2200)を熱風乾燥機に入れ、120℃で4時間乾燥させた後、シリコーン樹脂微小球(信越化学工業社製、品名:KPM590、粒径2ミクロン)、及び酸化防止剤1076と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、シリコーン樹脂微小球0.5重量部と、酸化防止剤0.1重量部とを用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0075】
〔参考例5-b〕
ポリカーボネート樹脂(Formosa Idemitsu社製、品名:IR2200)を熱風乾燥機に入れ、120℃で4時間乾燥させた後、架橋共重合体微小球[中国特許CN101781387Bの請求項1に開示されている方法に従って作製した。粒径2ミクロン、粒径の拡散係数1.003。上記共重合体においては、イソプレンの含有量(モル比)は55%、マレイミドの含有量(モル比)は40%、架橋剤であるEGDMAの含有量(モル比)は5%である]、及び酸化防止剤1076と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、架橋共重合体微小球1重量部と、酸化防止剤0.1重量部とを用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0076】
〔参考例6〕
ポリカーボネート樹脂(Dow社製、品名:201-22)を熱風乾燥機に入れ、120℃で4時間乾燥させた後、シリコーン樹脂微小球(モメンティブ社製、品名:TOSPEARL145、粒径4.5ミクロン)、共重合体微小球[中国特許CN101781387Bの請求項1に開示されている方法に従って作製した。粒径4ミクロン、粒径の拡散係数1.009。上記共重合体においては、ブタジエンの含有量(モル比)は70%、無水マレイン酸の含有量(モル比)は30%である]、及び酸化防止剤B225と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、シリコーン樹脂微小球5重量部と、共重合体微小球0.5重量部と、酸化防止剤0.1重量部とを用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0077】
〔比較例16〕
ポリカーボネート樹脂(Dow社製、品名:201-22)を熱風乾燥機に入れ、120℃で4時間乾燥させた後、酸化防止剤B225と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、酸化防止剤0.1重量部を用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0078】
〔比較例17〕
ポリカーボネート樹脂(Dow社製、品名:201-22)を熱風乾燥機に入れ、120℃で4時間乾燥させた後、シリコーン樹脂微小球(モメンティブ社製、品名:TOSPEARL145、粒径4.5ミクロン)、及び酸化防止剤B225と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、シリコーン樹脂微小球5重量部と、酸化防止剤0.1重量部とを用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0079】
〔参考例6-b〕
ポリカーボネート樹脂(Dow社製、品名:201-22)を熱風乾燥機に入れ、120℃で4時間乾燥させた後、共重合体微小球[中国特許CN101781387Bの請求項1に開示されている方法に従って作製した。粒径4ミクロン、粒径の拡散係数1.009。上記共重合体においては、ブタジエンの含有量(モル比)は70%、無水マレイン酸の含有量(モル比)は30%である]、及び酸化防止剤B225と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、共重合体微小球0.5重量部と、酸化防止剤0.1重量部とを用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0080】
〔実施例7〕
ポリカーボネート樹脂(出光興産社製(日本)、品名:LC1500)を熱風乾燥機に入れ、120℃で4時間乾燥させた後、シリコーン樹脂微小球(モメンティブ社製、品名:TOSPEARL105、粒径0.5ミクロン)、架橋共重合体微小球[中国特許CN100579995Cの請求項1に開示されている方法に従って作製した。粒径8ミクロン、粒径の拡散係数1.015。上記共重合体においては、ブテンの含有量(モル比)は35%、フェニルマレイミドの含有量(モル比)は35%、架橋剤であるTMPTMAの含有量(モル比)は30%である]、及び酸化防止剤126と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、シリコーン樹脂微小球10重量部と、架橋共重合体微小球0.1重量部と、酸化防止剤0.1重量部とを用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0081】
〔比較例19〕
ポリカーボネート樹脂(出光興産社製(日本)、品名:LC1500)を熱風乾燥機に入れ、120℃で4時間乾燥させた後、酸化防止剤126と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、酸化防止剤0.1重量部を用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0082】
〔比較例20〕
ポリカーボネート樹脂(出光興産社製(日本)、品名:LC1500)を熱風乾燥機に入れ、120℃で4時間乾燥させた後、シリコーン樹脂微小球(モメンティブ社製、品名:TOSPEARL105、粒径0.5ミクロン)、及び酸化防止剤126と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、シリコーン樹脂微小球10重量部と、酸化防止剤0.1重量部とを用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0083】
〔実施例7-b〕
ポリカーボネート樹脂(出光興産社製(日本)、品名:LC1500)を熱風乾燥機に入れ、120℃で4時間乾燥させた後、架橋共重合体微小球[中国特許CN100579995Cの請求項1に開示されている方法に従って作製した。粒径8ミクロン、粒径の拡散係数1.015。上記共重合体においては、ブテンの含有量(モル比)は35%、フェニルマレイミドの含有量(モル比)は35%、架橋剤であるTMPTMAの含有量(モル比)は30%である]、及び酸化防止剤126と均質に混合した。上記混合においては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、架橋共重合体微小球0.1重量部と、酸化防止剤0.1重量部とを用いた。混合は二軸押出機によって行い、当該二軸押出機において、供給部の温度は200~240℃、混合部の温度は240~280℃、また、型の温度は200~240℃であった。押出ペレット化後、ペレットを試験用標準試料片に射出成形した。試験結果を表1に示す。
【0084】
【0085】
表1のデータから分かるように、微小球が添加されていない樹脂組成物から調製された試料片と比較して、シリコーン樹脂微小球のみを添加した試料片は、ヘイズ度が明らかに増加したが、透光率は大きく低減した。また、本発明で説明した任意に架橋された共重合体微小球のみを添加した試料片は、透光率及びヘイズ度をある程度高めることができた。上記2種類の微小球を添加することにより、ヘイズ度が明らかに増加し、透光率は顕著ではないが低減した。上記2種類の微小球を添加した試料片においては、95%以上のヘイズ度が得られると同時に、59%以上の透光率が得られた。同様に、上記2種類の微小球が混合された本発明のポリカーボネート試料は、高ヘイズ度と同時に高透光率を有する。本発明の樹脂組成物は、優れた光拡散効果を達成しながら、多くのエネルギーを節約できると同時に、材料コストを低減し、容易に工業生産することができる。