(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/30 20200101AFI20230426BHJP
D06F 35/00 20060101ALI20230426BHJP
D06F 39/08 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
D06F33/30
D06F35/00 Z
D06F39/08 301Z
(21)【出願番号】P 2017042735
(22)【出願日】2017-03-07
【審査請求日】2020-02-25
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】笹木 宏格
(72)【発明者】
【氏名】武次 彩未
(72)【発明者】
【氏名】川口 弘暁
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 ひとみ
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】冨永 達朗
【審判官】長馬 望
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-133182(JP,A)
【文献】特開2016-7308(JP,A)
【文献】特開2016-2263(JP,A)
【文献】特開2016-59652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/30
D06F 35/00
D06F 39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽と、
前記水槽の内部に設けられ衣類が収容される洗濯槽と、
前記洗濯槽の底部に設けられた撹拌体と、
外部の給水源から供給される水を前記洗濯槽内に給水する複数の給水経路を有する給水機構と、
前記複数の給水経路のうち少なくとも一つの給水経路に設けられ微細気泡が混入されたファインバブル水を生成する微細気泡発生装置と、
前記洗濯槽内から排水を行う排水機構と、
前記撹拌体及び前記洗濯槽を回転駆動する駆動機構と、
前記各機構を制御して洗い、すすぎ、脱水の行程を実行する制御装置と、
前記水槽の上部に設けられている溢水口と、
を備え、
前記制御装置は、すすぎ行程後の脱水行程に移行する前に、前記洗濯槽内に、前記複数の給水経路を通した給水に伴う前記ファインバブル水を含んだ混合水が所定水位に溜められた状態で、該洗濯槽を所定回転数まで回転させる残水脱水動作を実行可能に構成され、前記すすぎ行程の終了後に、前記排水機構により前記洗濯槽内の水を前記所定水位になるまで排水した上で前記残水脱水動作を実行し、前記残水脱水動作における遠心力により前記洗濯槽内の水を前記溢水口近傍の高さまで上昇させる洗濯機。
【請求項2】
前記残水脱水動作における遠心力で、前記洗濯槽内の水が前記溢水口近傍の高さまで上昇するように、該残水脱水動作時の所定水位及び所定回転数が設定されている請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記残水脱水動作における所定水位は、前記撹拌体の上端を超えない水位である請求項1記載の洗濯機。
【請求項4】
前記制御装置は、すすぎ行程を実行する際に、前記洗濯槽内に、前記給水機構により前記複数の給水経路を通して前記微細気泡発生装置により生成されたファインバブル水を含んだ混合水を給水し、前記すすぎ行程後に、前記排水機構により該洗濯槽内の一部の水を排水した上で、残水脱水動作を実行する請求項1から3のいずれか一項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、水槽内に脱水槽を兼用する洗濯槽を垂直軸回りに回転可能に設けたいわゆる縦軸型の洗濯機においては、洗濯槽の外周面や水槽の内面といったユーザにとって見えにくい場所に、汚れや洗剤カスが付着する問題がある。そのような汚れを放置しておくと、黒カビ等が発生し、においの発生や洗濯物への再付着といった問題が生ずる。従来、いわゆる横軸型のドラム式洗濯機にあっては、脱水行程中に、回転ドラム洗浄行程を実行することが考えられている(例えば特許文献1参照)。この回転ドラム洗浄行程では、排水弁を閉じて水受け槽内に水を溜めた状態で、回転ドラムを脱水回転数以下の所定回転数(400rpm)で回転させることにより、回転ドラムの外周壁を洗浄するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように洗濯運転の行程中に、槽洗浄の行程を組込むものでは、槽内に給水された水(一般に水道水)を用いて槽洗浄が行われる。そのため、洗浄効果がさほど高いものとは言えず、ユーザにとっては、槽洗浄を短時間で効果的に行うことが望まれる。
【0005】
そこで、洗濯運転の行程中に槽洗浄を実行できるものにあって、槽洗浄を効果的に行うことができる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の洗濯機は、水槽と、前記水槽の内部に設けられ衣類が収容される洗濯槽と、前記洗濯槽の底部に設けられた撹拌体と、外部の給水源から供給される水を前記洗濯槽内に給水する複数の給水経路を有する給水機構と、前記複数の給水経路のうち少なくとも一つの給水経路に設けられ微細気泡が混入されたファインバブル水を生成する微細気泡発生装置と、前記洗濯槽内から排水を行う排水機構と、前記撹拌体及び前記洗濯槽を回転駆動する駆動機構と、前記各機構を制御して洗い、すすぎ、脱水の行程を実行する制御装置と、前記水槽の上部に設けられている溢水口と、を備え、前記制御装置は、すすぎ行程後の脱水行程に移行する前に、前記洗濯槽内に、前記複数の給水経路を通した給水に伴う前記ファインバブル水を含んだ混合水が所定水位に溜められた状態で、該洗濯槽を所定回転数まで回転させる残水脱水動作を実行可能に構成され、前記すすぎ行程の終了後に、前記排水機構により前記洗濯槽内の水を前記所定水位になるまで排水した上で前記残水脱水動作を実行し、前記残水脱水動作における遠心力により前記洗濯槽内の水を前記溢水口近傍の高さまで上昇させる。
【0007】
尚、実施形態における「微細気泡」或いは「ファインバブル」とは、例えば直径が1μm~数百μm程度のマイクロバブル、及び、直径が50nm~1μm程度のウルトラファインバブルを含んだ概念である。ファインバブル水とは、そのような微細気泡を多量に含んだ水をいう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態を示すもので、洗濯機の構成を概略的に示す縦断側面図
【
図2】UFBユニットの組付け部分の構成を示す断面図
【
図4】制御装置が実行するすすぎ行程から脱水行程における制御状態を示す図
【
図5】第2の実施形態を示すもので、制御装置が実行するすすぎ行程から脱水行程における制御状態を示す図
【
図6】第3の実施形態を示すもので、制御装置が実行するすすぎ行程から脱水行程における制御状態を示す図
【
図7】第4の実施形態を示すもので、制御装置が実行するすすぎ行程から脱水行程における制御状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、いわゆる縦軸型の洗濯機に適用したいくつかの実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、複数の実施形態間で、同一部分には同一符号を付して新たな図示や繰り返しの説明を省略する。
【0010】
(1)第1の実施形態
図1から
図4を参照して第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る洗濯機1の内部構成を概略的に示しており、まず、洗濯機1の全体構成について述べる。ここで、洗濯機1は、例えば鋼板から全体として矩形箱状に構成された外箱2の上部に、合成樹脂製のトップカバー3を備えている。
【0011】
前記外箱2内には、洗濯水を溜めることが可能な水槽4が、周知構成の弾性吊持機構5により弾性的に吊り下げ支持されて設けられている。前記水槽4の底部には、排水口6が形成されている。この排水口6には、電子制御式の排水弁7を備えた排水路8が接続されている。排水弁7などから排水機構が構成されている。尚、詳しく図示はしないが、水槽4の底部にはエアトラップが設けられ、このエアトラップに接続されたエアチューブを介して、水槽4(洗濯槽10)内の水位を検出する水位センサ9(
図3参照)が設けられている。
【0012】
前記水槽4内には、脱水槽を兼用する縦軸型の洗濯槽10が回転可能に設けられている。この洗濯槽10は、有底円筒状をなし、その周壁部には、多数個の脱水孔10aが形成されている。この洗濯槽10の上端部には、例えば液体封入形の回転バランサ11が取付けられている。また、洗濯槽10の内底部には、撹拌体としてのパルセータ12が配設されている。洗濯槽10内には、図示しない衣類が収容されるようになっており、衣類の洗い、すすぎ、脱水等の行程からなる洗濯運転が行われる。
【0013】
このとき、前記水槽4の上部には、水槽カバー13が装着されている。この水槽カバー13には、ほぼ中央部に洗濯物出し入れ用の開口部13aが設けられていると共に、その開口部13aを開閉する内蓋14が取付けられている。更に、水槽カバー13の後部寄り部分には、後述する給水機構により、水槽4内に給水を行うための給水口20が設けられている。尚、前記水槽4の背壁部の上部には、洗濯槽10の最高水位よりも高い位置に、溢水口4aが設けられている。水槽4の外側には、溢水口4aに連続し該溢水口4aから溢れた水を排出するための溢水ホース22が設けられている。詳しく図示はしないが、溢水ホース22の先端部は、前記排水路8に接続されている。
【0014】
そして、前記水槽4の外底部には、周知構成の駆動機構15が配設されている。詳しい図示及び説明は省略するが、この駆動機構15は、例えばアウタロータ形のDC三相ブラシレスモータからなる洗濯機モータ16(
図3参照)、中空の槽軸18、該槽軸18を貫通する撹拌軸19、前記洗濯機モータ16の回転駆動力をそれら軸18、19に選択的に伝達するクラッチ機構17(
図3参照)等を備えている。前記槽軸18の上端には、前記洗濯槽10が連結されており、前記撹拌軸19の上端には、前記パルセータ12が連結されている。尚、
図3にのみ示すように、駆動機構15には、前記洗濯機モータ16の回転位置(ひいては回転数)を検知する回転センサ33や、洗濯機モータ16に流れる電流を検知する電流センサ34も設けられている。
【0015】
前記クラッチ機構17は、例えばソレノイドを駆動源とした周知構成を備えており、コンピュータを主体として構成された制御装置21により切替え制御される。周知のように、クラッチ機構17は、洗濯槽10を水槽4に対し回転自在にして、洗濯機モータ16の回転力を前記槽軸18及び撹拌軸19の双方に伝達する状態と、洗濯槽10を水槽4に対し固定状態にロックして、洗濯機モータ16の回転力を撹拌軸19のみに伝達する状態とを切替える。
【0016】
これにて、駆動機構15は、クラッチ機構17により、洗い行程及びためすすぎの行程では洗濯槽10の固定(停止)状態で、洗濯機モータ16の駆動力を、撹拌軸19を介してパルセータ12に伝達してパルセータ12を直接正逆回転駆動する。また、駆動機構15は、脱水行程(及び後述の残水脱水動作時)等には、クラッチ機構17により、槽軸18と撹拌軸19との連結状態で、洗濯機モータ16の駆動力を槽軸18を介して洗濯槽10に伝達し、洗濯槽10(及びパルセータ12)を一方向に高速で直接回転駆動するようになっている。
【0017】
前記トップカバー3は、下面が開口すると共に、その上面が前方に向けて下降傾斜するような薄形の中空箱状をなすと共に、その中央部には、前記洗濯槽10の上方(水槽カバー13の開口部13aの上方)に位置して、ほぼ円形の洗濯物の出入口3aが形成されている。トップカバー3の上面には、全体として矩形パネル状をなし、前記出入口3aを開閉するための蓋23が設けられている。
【0018】
また、このトップカバー3の上面の前辺部には、横長形状の操作パネル24が設けられている。詳しく図示はしないが、この操作パネル24は、ユーザが洗濯機1に対する電源の入り切りや各種の設定・指示等を行うための操作部や、必要な表示を行う表示部等を備えて構成されている。操作パネル24の裏面側には、前記制御装置21(電子ユニット)が設けられている。
【0019】
そして、トップカバー3の後部には、給水源この場合水道から供給される水を、給水経路を通して水槽4(洗濯槽10)内に給水するための給水機構25が設けられている。本実施形態では、給水機構25は、接続口26、この接続口26から二股に分岐して延びる第1及び第2の2個の給水経路27及び28、各給水経路27及び28を夫々開閉する第1及び第2給水弁29及び30、第1給水経路27に設けられた微細気泡発生装置としてのUFBユニット31、注水ケース32等を備える。
【0020】
そのうち接続口26は、図示しない水道の蛇口に接続された接続ホースの先端部が接続され、家庭用の所定の水道水圧(例えば1.0~3.0kgf/cm2 (0.1~0.29MPa)程度)で、水が供給されるようになっている。前記第1給水経路27及び第2給水経路28は、夫々、先端部が前記注水ケース32に接続されている。このとき、注水ケース32には、水の入口部として第1入口管35(
図2にのみ図示)及び図示しない第2入口管が設けられ、第1給水経路27、即ち
図2に示す第1給水弁29の出口部としての出口管37が第1入口管35に接続されている。また、図示はしないが、第2給水経路28の第2給水弁30の出口部が第2入口管に接続されている。
【0021】
第1給水弁29及び第2給水弁30は、電磁的に開閉動作する開閉弁からなり、前記制御装置21により制御され、夫々前記第1給水経路27及び第2給水経路28を開閉するようになっている。前記注水ケース32は、周知のように、箱状をなし、その内部には図示しない洗剤収容ケースが引出し可能に設けられている。注水ケース32の下部の出口部32aには、
図1に示すように、可撓性を有する給水ホース36の基端側が接続され、給水ホース36の先端部が前記水槽カバー13の給水口20に接続されている。
【0022】
これにて、第1給水弁29が開放されると、水道水が第1給水経路27を通って、第1入口管35から注水ケース32に供給される。洗剤収容ケース33内に洗剤が収容されている場合には、その洗剤を溶かしながら流れ、出口部32aから給水ホース36を通して水槽4内に供給される。このとき、後述するように、第1給水経路27を流れる水が、UFBユニット31を通ることにより、多量のファインバブルが混入されたファインバブル水とされて、注水ケース32内に供給されるようになっている。
【0023】
一方、第2給水弁30が開放されると、水道水が第2給水経路28を通って、注水ケース32に供給される。洗剤収容ケース内に洗剤が収容されている場合には、その洗剤を溶かしながら流れ、出口部32aから給水ホース36を通して水槽4内に供給される。この場合、第2給水経路28を通して、ファインバブルを含まない水道水がそのまま水槽4内に供給される。またこのとき、第2給水経路28の水の流量は、第1給水経路27の水の流量よりも大きくなるように構成されている。
【0024】
そして、本実施形態では、第1給水経路27の第1給水弁29と注水ケース32の入口部との間に位置して、ベンチュリ管の原理を利用した微細気泡発生装置であるUFBユニット31が設けられる。このとき、
図2に示すように、UFBユニット31は、第1給水弁29の出口管37と、注水ケース32の第1入口管35との間に位置して、それらに挟まれるように組付けられている。つまり、UFBユニット31は、第1給水弁29の出口部に設けられ、また、UFBユニット31の流出口が、注水ケース32の水の入口部に接続されている。以下、
図2を参照して、UFBユニット31について述べる。
【0025】
即ち、第1給水弁29の出口管37は、管状をなし、前記注水ケース32の第1入口管35側(図で左方)に向けて延びている。出口管37の先端部は、その外周面が、2段階に径小になるような段差が形成されており、これらを、右側(径大な側)から順に、第1径小部37a、第2径小部37bという。これに対し、前記注水ケース32の第1入口管35は、前記第1給水弁29側に向けて図で右方に延び、その先端内周部には、先端側に位置して、内径がやや径大となる(肉薄となる)ように薄肉部35aが形成されている。第1入口管35の内周部のうち、前記薄肉部35aよりも内側は、段部35bを介して径小部35cとされている。
【0026】
このとき、薄肉部35aの内径寸法は、前記出口管37の第1径小部37aの外径寸法に対応している。径小部35cの内径寸法は、UFBユニット31の流出口側の外形寸法に対応している。注水ケース32の第1入口管35内に、UFBユニット31が図で右方から挿入された状態で、薄肉部35aの内周面に、第1径小部37aの外周が嵌合するようにして、第1給水弁29の出口管37が接続されるようになっている。また、この状態で、出口管37の第2径小部37bの外周面と、薄肉部35aの内周面との間には、Oリング38が設けられるようになっている。
【0027】
前記UFBユニット31は、例えば合成樹脂からなる、全体として、軸方向を図で左右方向とした円柱状をなし、その中心部(軸心部)には、
図2で左右方向に貫通する流路39が形成されている。この流路39内を、水が矢印A方向(
図2で右から左に向けて)に流れる。UFBユニット31の外径寸法は、前記第1入口管35の内径寸法に対応していると共に、UFBユニット31の外周壁の途中部右寄り部位には、軸方向に僅かな間隔で2箇所に位置してリング状の凸部41、41が一体に形成されている。
【0028】
このUFBユニット31は、第1入口管35内に、開口側(図で右側)から挿入して取付けられるようになっており、その際に、一方(図で左側)の凸部41が、第1入口管35内の段差35b部分に係止してストッパとなる。またこのとき、UFBユニット31の外周面と、第1入口管35の薄肉部35a内周面との間には、2個の凸部41、41間に位置して、Oリング42が設けられる。
【0029】
前記流路39は、UFBユニット31の図の左右両端面で開口し、図で右側の開口部が流入口39aとされ、図で左側の開口部が流出口39bとされている。そして、前記流路39の中間部に、流路断面積が最も小さくなる絞り部39cが一定長を有した形態で形成されている。流路39は、流入口39aから絞り部39cまでの間が、流路断面積が次第に小さくなっていくテーパ状に構成され、絞り部39cから流出口39bまでの間が、流路断面積が絞り部39cと同一内径の円筒状に構成されている。
【0030】
更に、UFBユニット31には、絞り部39cの流路を更に狭めるようにして、4個の突出部40(2個のみ図示)が設けられている。これら突出部40は先端が尖っており、90度間隔で絞り部39cの外周側から内側に凸となるように設けられており、これら突出部40の各先端の尖った部分が互いに所定の間隔をもって向き合うことによって、その隙間が十文字(×字)のスリット状となっている。本実施形態では、突出部40は、合成樹脂製でありUFBユニット31に一体に設けられている。突出部40を別部材から構成することも可能である。
【0031】
このようなUFBユニット31においては、第1給水弁29の開放によって水が流入口39aから流路39内に流入すると、絞り部39cまで流路断面積が絞られることによって、流体力学のいわゆるベンチュリ効果により流速が高められ、更に突出部40先端の十文字状の隙間を通過することにより圧力が急激に低下される。これにより、水中に溶存している空気を微細な気泡として多量に析出させることができる。この場合、第1給水弁29の出口管37から排出される水の流れ方向と、UFBユニット31の流路39における水の流れ方向とが同方向(矢印A方向)になるように構成されている。
【0032】
本実施形態のUFBユニット31により、直径が50nm~1μm程度のウルトラファインバブル、及び、直径が1μm~数百μm程度のマイクロバブルを含んだ微細気泡(ファインバブル)を多量に発生させることができる。このようにUFBユニット31を通ることによって、多量のファインバブルが混入された水(以下、ファインバブル水と称する)が、流出口39bから流出され、注水ケース32(洗剤収容ケース)内に流入し、給水口20から水槽4内に注水される。尚、このUFBユニット31に関しては、例えば本出願人の先の出願に係る、特願2014-129097号に詳しい。
【0033】
図3は、上記した制御装置21を中心とした、洗濯機1の電気的構成を概略的に示している。制御装置21は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータを主体として構成され、洗濯機1全体を制御して洗濯運転の各行程を実行する。この制御装置21は、前記操作パネル24からの操作信号が入力されると共に、操作パネル24の各表示部の表示を制御する。また、制御装置21には、前記水位センサ9の検知した洗濯槽10内の水位検知信号が入力されると共に、前記回転センサ33、電流センサ34からの検知信号が入力される。
【0034】
制御装置21は、前記洗濯機モータ16、クラッチ機構17を駆動制御すると共に、前記第1給水弁29、第2給水弁30、排水弁7を制御する。以上の構成により、制御装置21は、操作パネル24におけるユーザの洗濯コースの設定操作等に応じて、各センサからの入力信号や予め記憶された制御プログラムに基づいて、洗濯機1の各機構を制御する。自動運転のコースにあっては、洗い、すすぎ、脱水の各行程からなる洗濯運転を自動で実行する。このとき本実施形態では、自動運転のコースでは、後述する残水脱水動作(槽洗浄)が含まれるコースと、槽洗浄が含まれないコースとの選択が可能とされている。
【0035】
尚、自動運転のコースにおけるすすぎ行程では、例えば脱水すすぎ(中間脱水)動作と、1回のためすすぎ動作とが順に実行される。ためすすぎ動作の後に、排水動作が行われて最終の脱水行程に移行する。また、自動運転のコースにあっては、運転開始時に、洗濯槽10内の衣類の布量検知動作が実行される。その布量検知動作の結果に基づいて、洗いやためすすぎ時の水位が複数段階で設定されると共に、各行程の実行時間などが自動設定される。洗濯槽10内への給水制御は、水位センサ9の水位検知に基づいて行われる。布量検知動作は、周知のように、駆動機構15によりパルセータ12を短時間だけ回転駆動し、その時に洗濯機モータ16に流れる電流を電流センサ34により検出することに基づいて行われる。
【0036】
さて、本実施形態では、次の動作説明(
図4の説明)で詳述するように、制御装置21は、主としてそのソフトウエア構成により、残水脱水動作(槽洗浄)が含まれる自動運転コースが選択された場合に、すすぎ行程(ためすすぎ)後の脱水行程に移行する前に、槽洗浄(洗濯槽の外周面及び水槽4の内面の洗浄)のための残水脱水動作を実行する。この残水脱水動作は、洗濯槽10内に、UFBユニット31により生成されたファインバブル水を含んだ水が所定水位に溜められた状態で、該洗濯槽10を所定回転数まで回転させることにより行われる。
【0037】
より具体的には、本実施形態では、制御装置21は、すすぎ行程のためすすぎ動作を実行する際に、洗濯槽10(水槽4)内に、布量に応じたためすすぎ水位(布量大のときには例えば58リットル)まで給水を行う。このときの給水は、第1給水弁29の開放による第1給水経路27を通したファインバブル水の給水と、第2給水弁30の開放による第2給水経路28を通した水道水の給水とが順に行われ、水道水とファインバブル水とが混合した状態とされる。この場合、ファインバブル水の混合比率は、例えば25%以上とされる。給水後、パルセータ12が間欠的に正逆回転されることにより、設定された時間のためすすぎが行われる。
【0038】
そして、制御装置21は、ためすすぎの終了後に、排水弁7を開いて洗濯槽10内が所定水位(例えば容量で25リットル)になるまで、排水を行う。洗濯槽10内が所定水位となったら排水弁7を閉じる。これと共に、クラッチ機構12をパルセータ12側から洗濯槽10側に切替え、洗濯機モータ16を所定回転数(例えば150rpm)で回転させることにより、所定時間(例えば1分間)の残水脱水動作が行われる。また、上記した残水脱水動作における、洗濯槽10内の所定水位、及び、洗濯槽10の所定回転数は、残水脱水動作における遠心力で、洗濯槽10内の水が前記溢水口4a近傍の高さまで上昇するように予め設定されている。
【0039】
上記残水脱水動作が行われた後、制御装置21は、排水弁7を開いて洗濯槽10内からの排水を行うと共に、洗濯槽10の回転数を例えば数百rpmまで更に上昇させ、最終の脱水行程を所定時間実行する。尚、洗い行程の開始時の給水にあっても、洗濯槽10内には、第1給水経路27を通してファインバブル水が給水され、ファインバブル水を用いて洗い行程が実行される。この場合も、水道水とファインバブル水とを混合させて使用するようにしても良い。
【0040】
次に、上記構成の洗濯機1の動作について、主として
図4を参照して述べる。
図4は、制御装置21が実行する、すすぎ行程かから最終の脱水行程における制御の状態を示している。即ち、時間経過に伴う、第1給水弁29、第2給水弁30の開閉状態、排水弁7の開閉状態、洗濯槽10内の水位、洗濯槽10の回転数の変化の様子を示している。ここで、ためすすぎの開始時点においては、洗濯槽10の水位はリセット水位(0リットル)とされ、排水弁7は閉じられる。尚、クラッチ機構17はパルセータ12側にあり、洗濯槽10は停止(固定)状態にある。
【0041】
ためすすぎが開始されると(時刻T0)、まず、第1給水弁29が開放され、給水機構25の第1給水経路27により、洗濯槽10(水槽4)内にファインバブル水が供給されるようになる。このとき第2給水弁30は閉じられている。一定時間が経過する、或いは洗濯槽10内が予め決められた水位になると(時刻T1)、第1給水弁29が閉じられ、今度は第2給水弁30が開放される。これにより、今度は、第2給水経路28により洗濯槽10(水槽4)内に水(水道水)が給水される。
【0042】
これら給水の動作により、洗濯槽10内の水位は次第に上昇していき、設定されたすすぎ水位(高水位)が水位センサ9により検出されると、第2給水弁30が閉じられ、給水が終了する(時刻T2)。このとき、洗濯槽10内においては、水道水とファインバブル水とが混合された水が、溜められるようになる。尚、第1給水弁29の開放と、第2給水弁30の開放との順序は逆であっても良い。ためすすぎは、パルセータ12を間欠的に正逆回転させることにより一定時間行われる。これにて、洗濯槽10内で衣類がすすぎ水位の水に浸かった状態で、パルセータ12により水流が生成され、すすぎが行われる。
【0043】
ためすすぎの動作が終了すると(時刻T3)、残水脱水動作が開始される。この残水脱水動作では、排水弁7が開放されると共に、クラッチ機構17が洗濯槽10側に切替えられる。排水弁7の開放により、洗濯槽10内の水位が次第に低下していき、水位センサ9により所定水位(例えば25リットル)が検出されると(時刻T4)、排水弁7が閉塞され、洗濯機モータ16の駆動により洗濯槽10が所定回転数(例えば150rpm)で回転されるようになる。
【0044】
これにより、洗濯槽10が回転して、水槽4の内壁面と洗濯槽10の外周面との間で、水流が生じ、洗濯槽10の外周面や水槽4の内面などが水流で洗われるいわゆる槽洗浄がなされる。また、洗濯槽10の回転に伴う遠心力により、洗濯槽10の外周側ひいては水槽4の内面に向かう水の圧力が大きくなり、効果的な洗浄が行われる。このとき、残水脱水動作の開始時の水位は比較的低くても、残水脱水動作中においては、洗濯槽10内の水面が、遠心力により、外周側がいわばすり鉢状に持ち上がる現象が生ずる。この場合、洗濯槽10の回転数が高いほど遠心力も大きいので、外周側での水面の持ち上がり高さも大きくなる。
【0045】
本実施形態では、残水脱水動作時の所定水位及び所定回転数が、洗濯槽10内の水が溢水口4a近傍の高さまで上昇するように設定されている。溢水口4aは、洗濯運転を行う際の最高水位より高い位置に設けられ、水槽4の内面や洗濯槽10の外面に汚れが付着するのは、主として溢水口4aよりも下方である。従って、残水脱水動作時には、溢水口4aに届く程度まで外周側での水面が持ち上がるようになり、水を溢水させて無駄にすることを抑えつつ、水槽4及び洗濯槽10の高さ方向全体に対する効果的な洗浄を行うことが可能となる。
【0046】
ここで、残水脱水動作の開始時には、洗濯槽10(水槽4)内には、UFBユニット31により生成されたファインバブル水を含んだ水が溜められており、残水脱水動作には、ファインバブルが多量に混入されたファインバブル水が用いられる。ファインバブルは、液体中例えば水中で、不規則な運動を生ずるブラウン運動を起こし、その速度は浮上速度よりも速いため、長時間に渡って液体中に止まる性質を有する。ファインバブルの表面はマイナスに帯電しており、ファインバブル同士は反発し合い、結合することがない。
【0047】
このようなファインバブル水を残水脱水動作に用いることにより、例えば水道水のみを用いた場合と比べて槽洗浄の効果を高めることができる。その理由は、次のようなことであると推測される。第1に、ファインバブルが、水槽4や洗濯槽10の表面に当たることによる物理的な衝撃によって、水だけの場合と比べて汚れを剥がす作用が得られる。第2に、ファインバブルがはじけることによるキャビテーション効果によっても、水槽4や洗濯槽10の表面から汚れを剥がすことが期待できる。第3に、ファインバブルの表面はマイナスに帯電しているため、汚れを吸着する機能を果たす。
【0048】
一定時間(例えば1分間)の残水脱水動作が行われると(時刻T5)、残水脱水動作が終了し、最終の脱水行程に移行される。脱水行程は、排水弁7が開放されて排水が行われると共に、洗濯槽10の回転数が、高速の回転数(例えば数百rpm)まで上昇されることにより行われる。この脱水行程は所定時間実行され、洗濯運転が終了する。尚、洗濯運転開始時に、槽洗浄を含まない自動運転コースが設定されていた場合には、上記した残水脱水動作が省略され、ためすすぎ後、排水が行われ、引続き脱水行程が行われる。この場合のためすすぎは、水道水のみを用いて行うようにしても良い。
【0049】
このように本実施形態の洗濯機1によれば、次のような作用・効果を得ることができる。即ち、上記構成においては、制御装置21は、すすぎ行程において、ためすすぎの行程とその後の脱水行程との間に、残水脱水動作を実行する。これにより、洗濯槽10の外周面や水槽4の内面などの汚れが付着しやすい部位が、水流で洗われるようになり、いわば自動的に槽洗浄が行われるようになる。残水脱水動作は、別途の槽洗浄コースではなく、通常の洗濯運転のコースの実行時に行われるので、ユーザにとって煩わしい操作などが不要となる。残水脱水動作は、ためすすぎ時に洗濯槽10内に溜められる水(いわば残水)を利用して行われるので、全部を新たな水に入れ替える場合と比べて、水を節約しながら槽洗浄を行うことができる。
【0050】
このとき、残水脱水動作には、UFBユニット31により生成されたファインバブルが混入されたファインバブル水を含んだ水が用いられるので、例えば水道水のみを用いた場合と比べて槽洗浄の効果を高めることができる。この結果、本実施形態によれば、洗濯運転の行程中に槽洗浄を実行できるものにあって、槽洗浄を効果的に行うことができるという優れた効果を奏する。尚、本実施形態では、ファインバブル水を洗い行程及びためすすぎの行程でも使用することにより、衣類の汚れ落ちの効果をより高めることができる。
【0051】
また、特に本実施形態では、残水脱水動作時の洗濯槽10内の所定水位、及び、洗濯槽10の所定回転数を、残水脱水動作における遠心力で、洗濯槽10内の水が溢水口4a近傍の高さまで上昇する位置及び数値に設定した。これにより、溢水口4aから水を溢水させて無駄にすることを抑えつつ、水槽4及び洗濯槽10の高さ方向全体に対する効果的な洗浄を行うことが可能となる。
【0052】
更に本実施形態では、ためすすぎの行程を実行する際に、洗濯槽10内に、第1給水経路27を通してUFBユニット31により生成されたファインバブル水、及び、第2給水経路28を通した水(水道水)を混合した水を用いるようにし、すすぎ行程後に、洗濯槽10内の一部の水を排水した上で、残水脱水動作を実行するように構成した。これにより、残水脱水動作を行うにあたり、ファインバブル水(或いは水)を追加することはなく、水の無駄なく済ませることができる。
【0053】
尚、すすぎ行程において、ファインバブル水のみを100%で用いると、高水位までの給水に比較的に時間がかかってしまう事情がある。そのため、水道水との混合水を用いることにより、通常の水道水を給水する分だけ、全体としての給水時間を短く済ませることができる。ちなみに、本発明者の研究によれば、ファインバブル水を少なくとも25%以上含む(水道水が75%以下)ことにより、高いすすぎの効果や、十分な槽洗浄の効果を得ることができた。
【0054】
(2)第2の実施形態
図5は、第2の実施形態を示すものである。この第2の実施形態が、上記第1の実施形態と異なるところは、制御装置21が実行する、すすぎ行程から最終の脱水行程における制御にある。即ち、本実施形態では、制御装置21は、第2給水経路28により水道水を給水してためすすぎの行程を実行し、すすぎ行程後に、排水弁7を開いて洗濯槽10(水槽4)内の全ての水を排水し、その後、第1給水弁29を開放して第1給水経路27によりファインバブル水を洗濯槽10内に所定水位(25リットル)まで給水し、残水脱水動作を実行する。
【0055】
具体的には、
図5に示すように、ためすすぎが開始されると(時刻T0)、排水弁7が閉じられた状態で、第2給水弁30が開放され、給水機構25の第2給水経路28により、洗濯槽10(水槽4)内に水道水が供給される。このとき第1給水弁29は閉じられている。洗濯槽10内が設定されたすすぎ水位(高水位)になると、第2給水弁30が閉じられて給水が終了する(時刻T11)。その後一定時間のためすすぎが実行される。
【0056】
ためすすぎの動作が終了すると(時刻T12)、残水脱水動作が開始される。この残水脱水動作では、まず、排水弁7が開放されると共に、クラッチ機構17が洗濯槽10側に切替えられる。排水弁7の開放により、洗濯槽10内の水位が次第に低下していき、この場合、水位がゼロになるまで排水が行われる。排水が終了すると(時刻T13)、排水弁7が閉塞されると共に、第1給水弁29が開放されて、第1給水経路27を通してファインバブル水が洗濯槽10内に給水される。
【0057】
これにて、洗濯槽10内においてファインバブル水が溜められるようになり、水位センサ9により所定水位(例えば25リットル)が検出されると、第1給水弁29が閉塞されて給水が終了する(時刻T14)。そして、洗濯機モータ16の駆動により洗濯槽10が所定回転数(例えば150rpm)で回転され、ファインバブル水を用いた効果的な槽洗浄が行われるようになる。一定時間(例えば1分間)の残水脱水動作が行われると(時刻T15)、残水脱水動作が終了し、最終の脱水行程に移行される。
【0058】
このような第2の実施形態によれば、ためすすぎに用いられた水(水道水)が排水された上で、新たに生成されたファインバブル水を供給して、残水脱水動作を行うことができる。そのため、ファインバブル水を用いて槽洗浄を効果的に行うことができ、それに加え、よりきれいな水で槽洗浄を行うことができる。また、ためすすぎの行程については、第2給水経路28を通した水(水道水)を用いることにより、すすぎ時の給水時間を短く済ませることができることは勿論である。
【0059】
(3)第3の実施形態
図6は、第3の実施形態を示すものであり、やはり制御装置21が実行する、すすぎ行程から最終の脱水行程における制御状態を示している。この第3の実施形態が、上記第2の実施形態と異なるところは、次の点にある、即ち、制御装置21は、すすぎ行程後に、排水弁7を開いて洗濯槽10(水槽4)内の全ての水を排水した後、洗濯槽10内に、ファインバブル水と、水道水とを混合した状態の水を所定水位(25リットル)まで給水し、残水脱水動作を実行する。
【0060】
具体的には、
図6に示すように、上記第2の実施形態と同様にためすすぎの行程が実行され、ためすすぎの動作が終了すると(時刻T12)、残水脱水動作が開始される。この残水脱水動作では、まず、排水弁7が開放されると共に、クラッチ機構17が洗濯槽10側に切替えられる。排水弁7の開放により、洗濯槽10内の水位が次第に低下していき、この場合、水位がゼロになるまで排水が行われる。排水が終了すると(時刻T21)、排水弁7が閉塞されると共に、まず、第1給水弁29が開放されて、第1給水経路27を通してファインバブル水が洗濯槽10内に給水される。
【0061】
一定時間が経過する、或いは洗濯槽10内が予め決められた水位になると(時刻T22)、第1給水弁29が閉じられ、今度は第2給水弁30が開放される。これにより、今度は、第2給水経路28により洗濯槽10(水槽4)内に水(水道水)が給水される。これら給水の動作により、洗濯槽10内の水位はゼロから次第に上昇していき、水位センサ9が所定水位を検出すると、第2給水弁30が閉塞されて給水が終了する(時刻T23)。このとき、洗濯槽10内においては、水道水とファインバブル水とが混合された水、例えばファインバブル水を25%以上含む混合水が、所定水位で溜められるようになる。
【0062】
そして、洗濯機モータ16の駆動により洗濯槽10が所定回転数(例えば150rpm)で回転され、ファインバブル水の混合水を用いた効果的な槽洗浄が行われるようになる。一定時間(例えば1分間)の残水脱水動作が行われると(時刻T24)、残水脱水動作が終了し、最終の脱水行程に移行される。
【0063】
このような第3の実施形態によれば、ためすすぎに用いられた水(水道水)が排水された上で、新たに生成されたファインバブル水と、新たに給水された水道水との混合水により、残水脱水動作を行うことができる。そのため、ファインバブル水の混合水を用いて槽洗浄を効果的に行うことができ、それに加え、よりきれいな混合水を用いて槽洗浄を行うことができる。残水脱水動作のための給水に要する時間も、比較的(ファインバブル水を100%で用いた場合よりも)短く済ませることができる。ためすすぎの行程における給水時間を短く済ませることができることは勿論である。
【0064】
(4)第4の実施形態
図7は、第4の実施形態を示すものであり、やはり制御装置21が実行する、すすぎ行程から最終の脱水行程における制御状態を示している。この第4の実施形態が、上記第1~第3の実施形態と異なるところは、次の点にある。即ち、本実施形態では、制御装置21は、第2給水経路28により水道水を給水してためすすぎの行程を実行し、すすぎ行程後に、排水弁7を開いて洗濯槽10(水槽4)内の一部の水を排水し、洗濯槽10内に残った水に、第1給水弁29を開放して第1給水経路27によりファインバブル水を所定水位(25リットル)まで給水し、混合水を用いて残水脱水動作を実行する。
【0065】
具体的には、
図7に示すように、上記第2、第3の実施形態と同様にためすすぎの行程が実行され、ためすすぎの動作が終了すると(時刻T12)、残水脱水動作が開始される。この残水脱水動作では、まず、排水弁7が開放されると共に、クラッチ機構17が洗濯槽10側に切替えられる。排水弁7の開放により、洗濯槽10内の水位が次第に低下していき、この場合、所定水位よりも低い水位(例えば15リットル程度、
図7では「極低」水位と表示)まで排水が行われる。排水が終了すると(時刻T31)、排水弁7が閉塞されると共に、第1給水弁29が開放されて、第1給水経路27を通してファインバブル水が洗濯槽10内に給水される。
【0066】
これにて、洗濯槽10内に残っている水に、ファインバブル水が追加混合されながら溜められるようになり、水位センサ9により所定水位(例えば25リットル)が検出されると、第1給水弁29が閉塞されて給水が終了する(時刻T32)。この状態では、洗濯槽10内には、水道水とファインバブル水とが混合した混合水が所定水位で溜められている。そして、洗濯機モータ16の駆動により洗濯槽10が所定回転数(例えば150rpm)で回転され、ファインバブル水を25%以上含む混合水を用いた効果的な槽洗浄が行われるようになる。一定時間(例えば1分間)の残水脱水動作が行われると(時刻T33)、残水脱水動作が終了し、最終の脱水行程に移行される。
【0067】
このような第4の実施形態によれば、ためすすぎ後の排水が、ためすすぎに用いた水(水道水)が洗濯槽10内に一部残った状態で終了し、その状態から新たに生成されたファインバブル水が供給され、それらの混合水により、残水脱水動作を行うことができる。そのため、ファインバブル水の混合水を用いて槽洗浄を効果的に行うことができる。残水脱水動作を行うにあたり、ためすすぎに用いた水を一部残すので、その分だけ水の無駄を少なく済ませることができ、残水脱水動作のための給水に要する時間も比較的短く済ませることができる。すすぎ行程について水道水を用いることにより、すすぎ時の給水時間を短く済ませることができることは勿論である。
【0068】
(5)第5の実施形態、その他の実施形態
以下、図示は省略するが、第5の実施形態並びにその他の実施形態について述べる。まず、第5の実施形態として、次のように構成することができる。
【0069】
即ち上記第1~第4の実施形態では、残水脱水動作を実行する所定水位を、残水脱水動作における遠心力で、洗濯槽10内の水が溢水口4a近傍の高さまで上昇するように予め設定した。第5の実施形態では、これに代えて、残水脱水動作における所定水位を、洗濯槽10内のパルセータ12の上端を超えない水位とする。これによれば、残水脱水動作の終了時においては、パルセータ12の上方に収容されている衣類よりも、洗濯槽10内の水位の方が低いため、洗濯槽10内の水に衣類が浸かることがなくなり、衣類への汚れの再付着を防止することができる。
【0070】
尚、上記各実施形態では、残水脱水動作における洗濯槽10の所定回転数を固定的に設けるようにしたが、布量検知に基づき、布量が小さい(軽い)場合には、目標回転数を通常よりも高く(例えば180rpm)する等の変更も可能である。また、残水脱水動作時に、洗濯槽10のアンバランス回転の虞を検知した場合には、回転数を所定回転数よりも低下させる(例えば120rpm)制御を行うことも可能である。
【0071】
給水機構25(第2給水経路28)により給水する水として、単純な水道水だけでなく、外部の給水源(貯水タンクや浴槽等)からポンプを用いて貯留水等を汲み上げて給水するものであっても良く、また、温水や例えば銀イオンを含む抗菌水等を用いても良い。上記各実施形態では、水道水とファインバブル水との双方を洗濯槽10内に供給する場合、第1給水弁29と第2給水弁30とを交互に(どちらか一方を)開放させる構成としたが、第1水経路27においてファインバブル水を生成するに十分な水圧が得られるのであれば、同時に両方の給水弁を開放させるといったことも可能である。
【0072】
その他、上記各実施形態で説明した、動作時間や、洗濯槽10の回転数、水位(水量)等の具体的数値は、一例を示したものに過ぎず、適宜変更して実施し得る。洗濯運転のコースの内容についても、ためすすぎを複数回行うなど様々な変更が可能である。更には、洗濯機の各機構のハードウエア構成、微細気泡発生装置の具体的構造等についても、様々な変更が可能である。上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
図面中、1は洗濯機、4は水槽、7は排水弁(排水機構)、9は水位センサ、10は洗濯槽、12はパルセータ(撹拌体)、15は駆動機構、16は洗濯機モータ、17はクラッチ機構、21は制御装置、24は操作パネル、25は給水機構、27は第1給水経路、28は第2給水経路、29は第1給水弁、30は第2給水弁、31はUFBユニット(微細気泡発生装置)を示す。