(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】レーザ加工のための微細スケールでの時間的制御
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20230426BHJP
B23K 26/064 20140101ALI20230426BHJP
B23K 26/062 20140101ALI20230426BHJP
【FI】
B23K26/00 N
B23K26/064 A
B23K26/062
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018097649
(22)【出願日】2018-05-22
【審査請求日】2021-04-27
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518055899
【氏名又は名称】エヌライト,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ジェイ・マルティンセン
【審査官】後藤 泰輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0114431(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0179064(US,A1)
【文献】特表2016-502603(JP,A)
【文献】特開2016-046132(JP,A)
【文献】特開2013-240801(JP,A)
【文献】特表平09-504054(JP,A)
【文献】特開2004-255435(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0090462(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00-26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査経路に沿ってレーザビームを標的に方向付けることと、
前記走査経路に近接する前記標的の材料の物質相の不安定性の低減に関連付けられている前記レーザビームの変調を決定することであって、前記変調が、前記レーザビームの強度を、2つ以上の別個のレーザビームのパワーレベル間で交互に
離散的に変化させ、前記レーザビームの平均パワーにおいて所定の変化を生じさせることを含むことと、
前記物質相の不安定性を低減するように、前記走査経路に沿った前記レーザビームの前記方向付けの間に、前記決定された変調によって、前記レーザビームを変調することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記走査経路に近接する前記標的において、前記物質相の不安定性に関連付けられている標的特性を検出することを更に含み、
前記決定された変調が、前記検出された標的特性に基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レーザビームを前記変調することが、標的溶融排出物の生成の可能性を低減するように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記標的特性が、前記標的における前記レーザビームの領域において検出される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記標的特性が、前記標的における金属粉末の溶融プールの温度であるか、又は前記金属粉末若しくは溶融プールに関連付けられた蒸気圧である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記標的特性が、標的溶融排出物に関連付けられた画像変動の変動である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記標的特性が、前記走査経路及び前記レーザビームに近接する溶融プール又は標的溶融排出物に関連付けられた分光学的特性を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記変調が、前記標的における前記レーザビームの領域の変調を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記走査経路に近接する前記標的において、プローブビームを方向付けることを更に含み、
前記検出された標的特性が、前記プローブビームと前記走査経路に近接する前記標的との間の相互作用に関連付けられている、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
レーザビームを放射するように配置されたレーザ源と、
前記レーザビームを標的に方向付けて、選択的に標的部分を溶融するように配置されたビーム結合光学部品と、
前記レーザ源に結合され、前記標的部分における物質相の不安定性を示す検出された光学特性に基づいて、前記標的部分のレーザビーム特性を変調するレーザビームの変調信号を発生させるように配置されたコントローラと、を備え、
前記変調が、前記レーザビームの強度を、2つ以上の別個のレーザビームのパワーレベル間での交互に
離散的に変化させ、前記レーザビームの平均パワーにおいて所定の変化を生じさせることを含む、機器。
【請求項11】
前記コントローラに電気的に結合され、前記光学特性を検出するように前記標的に光学的に結合された検出器を更に備え、前記レーザビームの変調信号が、前記検出された光学特性に応答して、前記コントローラによって発生される、請求項10に記載の機器。
【請求項12】
前記コントローラが、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサによる実行に応答して、前記コントローラに、
前記検出された標的特性を、レーザビームの領域及びレーザビームのパワーのうちの1つ以上を含む一連のレーザビームの変調値と比較させ、
前記比較に基づいて所定の蒸気圧に対応するレーザビームの変調を決定させ、
前記決定されたレーザビームの変調から前記レーザビームの変調信号を生じさせる、
格納された命令を含む1つ以上のコンピュータ可読ストレージ媒体と、
を含み、前記変調が、前記レーザビームの強度を、2つ以上の別個のレーザビームのパワーレベル間での交互に
離散的に変化させ、前記レーザビームの平均パワーにおいて所定の変化を生じさせることを含む、請求項11に記載の機器。
【請求項13】
前記検出器が、前記標的の前記領域から光を受光するように配置されたビーム分配器ピックオフを通って、前記レーザ源と前記標的との間で前記レーザビームの経路に光学的に結合された光検出器である、請求項11に記載の機器。
【請求項14】
前記コントローラが、少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサによる実行に応答して、前記コントローラに、前記検出された光学特性に少なくとも部分的に基づいて、レーザビームの領域及びレーザビームの平均パワーのうちの1つ以上のレーザビームの変調を決定させ、前記決定されたレーザビームの変調に基づいて、前記レーザビームの変調信号を生じさせる、格納された命令を含む1つ以上のコンピュータ可読ストレージ媒体と、を含む、請求項10に記載の機器。
【請求項15】
前記ビーム結合光学部品が、前記コントローラによって発生されたレーザビーム走査信号を受信するように前記コントローラに結合され、前記レーザ源からの前記レーザビームを受光して、前記レーザビームを、前記レーザビーム走査信号に基づいて、前記レーザビームの位置を変化させる1つ以上の走査ミラーによって前記標的に方向付けるように配置されているビーム走査光学部品を含み、
前記レーザビームの変調が、前記標的に対する前記レーザビームの走査移動に基づいて更に決定される、請求項14に記載の機器。
【請求項16】
前記ビーム結合光学部品が、前記レーザビームを受光し、レーザビーム集束部における前記レーザビームのビーム領域を変化させて、前記標的における前記レーザビームの前記領域を変化させるように配置されたビームエキスパンダを含む、請求項10に記載の機器。
【請求項17】
前記2つ以上の別個のレーザビームのパワーレベル間のレーザビームのパワーにおける前記変調が、一定又は可変の変調周期及びデューティサイクルにしたがう、請求項12に記載の機器。
【請求項18】
前記検出された光学特性が、温度、スペクトル変動、放射率、反射率、透過率、又は散乱のうちの1つ以上を含むか、又はそれらに対応する、請求項11に記載の機器。
【請求項19】
前記レーザビームの変調信号が、標的蒸気圧の低減及び標的溶融排出物の前記生成の低減に関連付けられている、請求項10に記載の機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ加工に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、順次層による物体の形成技術が成熟し、広範に利用できるようになるにつれて、付加製造及び3D印刷技術が注目されるようになってきた。具体的には、現在、選択的レーザ溶融(SLM)及び選択的レーザ焼結(SLS)などのレーザに基づく方法が、鋳造及び機械加工などの、工業グレードの物体を製造するための従来の技術に取って代わる可能性があり得る。しかしながら、数多くの障害が残っている。例えば、従来の付加製造法は、典型的には、従来製造されている相対物のように迅速に、又は完成した状態において信頼性の高い物体を作成することができない。更に、作成された物体は、しばしば、優れた精度の細部又は特徴の解像度を有しない。故に、従来の付加製造機器及び方法と関連付けられた問題点及び欠点を解決することを目的とする新しい手法に必要性が残っている。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの実施形態によれば、方法は、可変走査速度で走査経路に沿ってレーザビームを標的に方向付けることと、走査経路に沿って所定のフルエンス範囲内で標的におけるフルエンスを提供するように、走査経路に沿ったレーザビームの移動中に、及び可変走査速度に関連してデジタル変調を調整することとを含む。
【0004】
更なる実施形態によれば、方法は、走査経路に沿ってレーザビームを標的に方向付けることを含み、該方向付けることは、標的において可変スポットサイズをレーザビームに提供するように、ズームビームエキスパンダによってレーザビームの幅を調整することと、z軸集束調整光学システム及びガルバノメーター走査システムを有する3D走査システムによって、ズームビームエキスパンダからレーザビームを受光することと、標的において走査経路に沿って可変スポットサイズを有するレーザビームを走査することとを含む。
【0005】
更なる実施形態によれば、機器は、レーザビームを放射するように位置させたレーザ源と、レーザビームを受光し、標的において走査平面内の走査経路に沿ってレーザビームを方向付けるように位置させた3Dスキャナと、走査経路に沿ったレーザビーム走査速度が変化したときに所定のフルエンス範囲にある、走査経路に沿った走査平面においてフルエンスを生じさせるようにレーザ源に結合された、レーザ源デジタル変調器とを備える。追加的な例において、機器は、レーザ源からレーザビームを受光するように、及び3Dスキャナによって受光するレーザビームの幅を変化させて走査平面内のレーザビームの集束させたレーザスポットのサイズを変化させるように位置させた、ズームビームエキスパンダを更に備える。
【0006】
追加的な実施形態によれば、方法は、集束フィールド内の標的においてレーザビームを集束させることと、走査経路に沿って、集束させたレーザビームを可変速度で走査することと、走査経路に沿って標的によって受光されるレーザビームの平均パワーを調整するように、及び標的と関連付けられた1つ又は2つ以上のレーザ加工閾値を上回る、又は下回るフルエンスを標的に提供するように、走査経路に沿った走査移動中にレーザビームをデジタル変調することとを含む。
【0007】
更なる例によれば、方法は、走査経路に沿って可変走査速度でレーザビームを標的に方向付けることと、可変走査速度に基づいて、ズームビームエキスパンダによってレーザビームのコリメート幅を調整することとを含む。いくつかの例において、コリメート幅は、標的における可変スポットサイズ、及び走査経路に沿った所定のフルエンス範囲内の標的におけるフルエンスをレーザビームに提供するように調整される。いくつかの例は、可変走査速度に基づいて、レーザビームのデジタル変調を調整することを更に含むことができる。
【0008】
追加的な実施形態において、方法は、標的において可変スポットサイズをレーザビームに提供するように、ズームビームエキスパンダによってレーザビームの幅を調整することと、走査経路に沿ってレーザビームを標的に方向付けることと、走査経路に沿って所定のフルエンス範囲内で標的におけるフルエンスを提供するように、可変スポットサイズに関連するレーザビームをデジタル変調することとを含む。更なる例において、レーザビームは、可変走査速度で走査経路に沿って標的に方向付けられ、デジタル変調は、標的においてフルエンスを走査経路に沿った所定のフルエンス範囲内に維持するように調整される。
【0009】
いくつかの例では、方法は、走査経路に沿ってレーザビームを標的に方向付けることと、走査経路に近接する標的の材料の物質相の不安定性に関連付けられているレーザビームの変調レベルを決定することと、物質相の不安定性を低減するように、走査経路に沿ったレーザビームの方向付けの間に、レーザビームを決定された変調レベルに変調することとを含む。いくつかの例は、走査経路に近接する標的において、物質相の不安定性に関連付けられている標的特性を検出することを更に含み、決定された変調レベルは、検出された標的特性に基づいている。更なる例では、レーザビームの変調は、標的溶融排出物の生成の可能性を低減するように選択される。いくつかの例によれば、標的におけるレーザビームの領域において、標的特性又は物質相の不安定性に関連付けられた特性が検出される。更なる例では、標的特性又は特性は、標的における金属粉末の溶融プールの温度、及び/又は金属粉末若しくは溶融プールに関連付けられた蒸気圧、標的溶融排出物に関連付けられた画像変動の変動に対応し、並びに/又は走査経路及びレーザビームに近接する溶融プール若しくは標的溶融排出物に関連付けられた分光学的特性を含むことができる。いくつかの例において、変調は、2つ以上の別個のレーザビームのパワーレベル間のレーザビームの強度の変調、及び/又は標的におけるレーザビームの領域の変調を含む。いくつかの例では、プローブビームが走査経路に近接する標的に方向付けられ、検出された標的特性は、プローブビームと走査経路に近接する標的との間の相互作用に関連付けられる。
【0010】
開示される技術のいくつかの例によれば、機器は、レーザビームを放射するように配置されたレーザ源と、レーザビームを標的に方向付けて、選択的に標的部分を溶融するように配置されたビーム結合光学部品と、レーザ源に結合され、標的部分における物質相の不安定性を示す検出された光学特性に基づいて、標的部分のレーザビーム特性を変調するレーザビームの変調信号を発生させるように配置されたコントローラとを備える。いくつかの例は、コントローラに電気的に結合され、光学特性を検出するように標的に光学的に結合された検出器を更に備え、レーザビームの変調信号が、検出された光学特性に応答して、コントローラによって発生される。更なる例では、コントローラは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサによる実行に応答して、コントローラに検出された標的特性を、レーザビームの領域及びレーザビームの電力のうちの1つ以上を含む一連のレーザビームの変調値と比較させ、比較に基づいて所定の蒸気圧に対応するレーザビームの変調を決定させ、決定されたレーザビームの変調からレーザビームの変調信号を生じさせる、格納された命令を含む1つ以上のコンピュータ可読ストレージ媒体とを含む。いくつかの例において、検出器は、標的の領域から光を受光するように配置されたビーム分配器ピックオフを通って、レーザ源と標的との間でレーザビームの経路に光学的に結合された光検出器である。更なる例では、コントローラは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサによる実行に応答して、コントローラに、検出された光学特性に少なくとも部分的に基づいて、レーザビームの領域及びレーザビームの平均パワーのうちの1つ以上のレーザビームの変調を決定させ、決定されたレーザビームの変調に基づいて、レーザビームの変調信号を生じさせる、格納された命令を含む1つ以上のコンピュータ可読ストレージ媒体とを含む。いくつかの例では、ビーム結合光学部品は、コントローラによって発生されたレーザビーム走査信号を受信するようにコントローラに結合され、レーザ源からのレーザビームを受光して、レーザビームを、レーザビーム走査信号に基づいて、レーザビームの位置を変化させる1つ以上の走査ミラーによって標的に方向付けるように配置されているビーム走査光学部品を含み、レーザビームの変調は、標的に対するレーザビームの走査移動に基づいて更に決定される。更なる例では、ビーム結合光学部品は、レーザビームを受光するように、かつレーザビーム集束部におけるレーザビームのビーム領域を変化させて、標的におけるレーザビームの領域を変化させるように配置されたビームエキスパンダを含む。更なる例では、レーザビームの電力のレーザビームの変調は、一定又は可変の変調周期及びデューティサイクルに応じて、2つ以上の別個のレーザビームの電力間のレーザビームの電力の変調を含む。いくつかの例によれば、検出された光学特性は、温度、スペクトル変動、放射率、反射率、透過率、若しくは散乱のうちの1つ以上を含むか、又はそれらに対応する。更なる例では、レーザビームの変調信号は、標的蒸気圧の低減及び標的溶融排出物の生成の低減に関連付けられている。
【0011】
開示された技術の前述及び他の目的、特徴及び利点は、添付の図面を参照して進められる以下の詳細な説明からより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2A】レーザパターニング走査経路の上面図である。
【
図2B】走査されたレーザビームに関連する変数のグラフである。
【
図2C】走査されたレーザビームに関連する変数のグラフである。
【
図2D】走査されたレーザビームに関連する変数のグラフである。
【
図2E】走査されたレーザビームに関連する変数のグラフである。
【
図2F】走査されたレーザビームに関連する変数のグラフである。
【
図2G】走査されたレーザビームに関連する変数のグラフである。
【
図2H】走査されたレーザビームに関連する変数のグラフである。
【
図2I】走査されたレーザビームに関連する変数のグラフである。
【
図3】集束位置に関するフルエンスのグラフである。
【
図4】レーザパターニング機器の概略側面図である。
【
図5】レーザパターニング機器の別の概略側面図である。
【
図6】レーザパターニング加工のフローチャートである。
【
図7】レーザパターニングシステムの概略図である。
【
図8】レーザパターニングシステムの別の概略図である。
【
図9】レーザパターニングシステムの別の概略図である。
【
図10A】金属粉末を溶融させるレーザビームの上面図及び側面図である。
【
図10B】金属粉末を溶融させるレーザビームの上面図及び側面図である。
【
図11】関連するパラメータグラフによるレーザビーム走査経路の上面図である。
【
図14A】レーザビーム走査経路の上面図及び関連するパラメータグラフである。
【
図14B】レーザビーム走査経路の上面図及び関連するパラメータグラフである。
【
図15】レーザビーム走査経路の一例の別の上面図である。
【
図17】レーザ加工方法の一例のフローチャートである。
【
図18】レーザ加工方法に対応する一連のパラメータグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本出願及び「特許請求の範囲」において使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈上別途明らかに示されない限り、複数の形態を含む。加えて、用語「含む(includes)」は、「含む(comprises)」を意味する。更に、用語「結合した」は、結合したアイテム間の中間要素の存在を除外しない。
【0014】
本明細書で記載されたシステム、機器、及び方法は、いかなるようにも限定するものと解釈すべきでない。むしろ、本開示は、様々な開示された実施形態の、単独並びに相互の様々な組み合わせ及び部分的組み合わせでの、全ての新規かつ自明でない特徴及び態様に向けられる。開示されたシステム、方法、及び機器は、特定の態様若しくは特徴又はそれらの組み合わせに一切限定されず、また開示されたシステム、方法、及び機器は、1つ若しくは2つ以上の特定の利点が存在すること、又は1つ若しくは2つ以上の特定の問題が解決されることも必要としない。あらゆる動作の理論は、説明を容易にすることができるが、開示されたシステム、方法、及び機器は、そのような動作の理論に限定されない。
【0015】
開示された方法のいくつかの動作は、利便性の良い表示のために特定の順序で説明されているが、下記に説明される特定の言語によって特定の順序が必要とされない限り、この説明の方法が並べ替えを包含することを理解するべきである。例えば、順番に記載された動作は、場合によっては、並べ替えるか又は同時に実行してもよい。更に、簡略化のために、添付図面は、開示されたシステム、方法、及び機器を他のシステム、方法、及び機器と併用できる様々な方法を示さない場合がある。加えて、その説明は時として、「生じさせる」及び「提供する」などの用語を使用して、開示された方法を説明する。これらの用語は、実行される実際の動作の高度な抽象概念である。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実装に応じて変化することになり、当業者によって認識可能である。
【0016】
いくつかの例において、値、手順、又は機器の、は、「最低の」、「最良の」、「最小の」などと表現される。そのような説明は、多数の用いられる機能的選択肢から選択が行われ得ること、及びそのような選択が、他の選択より良い、小さい、ないしは別の方法で好ましい必要はないことを示すことを意図していることが理解されよう。
【0017】
本明細書で使用されるように、レーザビーム及び関連付けられた光放射とは、約100nm~10μm、典型的には約500nm~2μmの波長での電磁放射を指す。利用可能なレーザダイオード光源及び光ファイバに基づく例は、一般的に約800nm~1700nmの波長に関連する。いくつかの例では、伝搬する光放射は、ビーム波長とビーム成形用の光システムとに依存可能な、直径、非対称のファースト軸とスロー軸、ビーム断面積、及びビーム拡がり角を有する1つ又は2つ以上のビームと称される。便宜上、光放射は、いくつかの例では光と称され、可視波長である必要はない。
【0018】
代表的な実施形態は、光ファイバを参照して記載されるが、正方形、長方形、多角形、卵形、楕円形又は他の断面を有する他のタイプの光導波路を用いることもできる。光ファイバは、典型的には、ドープされた(又はドープされていない)シリカ(ガラス)で形成され、所定の屈折率又は屈折率差を提供する。いくつかの例では、ファイバ又は他の導波路は、関心のある波長に応じて、フルオロジルコン酸塩、フッ化アルミン酸、フッ化物又はリン酸ガラス、ガルコゲナイドガラス、あるいはサファイアなどの結晶材料等の、他の材料で作製される。シリカ及びフッ化物ガラスの屈折率は、典型的に約1.5であるが、ガルコゲナイドなどの他の材料の屈折率は3以上であり得る。更に他の例では、光ファイバはプラスチックの部分に形成され得る。典型的な例では、ファイバコアなどのドープされた導波路コアは、ポンピングに応答して光学利得を提供し、コアとクラッドはほぼ同心円にある。別の例では、コアとクラッドのうちの1つ又は2つ以上は偏心し、いくつかの例では、コアとクラッドの方向及び/又は配置は導波路長に沿って変わる。
【0019】
本明細書に記載された例では、光ファイバコアなどの導波路コアは、Nd、Yb、Ho、Erなどの希土類元素又は他の活性ドーパント若しくはそれらの組み合わせでドープされる。そのように能動的にドープされたコアは、光又は他のポンピングに応答して光学利得を提供できる。以下に説明するように、そのような活性ドーパントを有する導波路を用いて、光増幅器を形成することができ、又は反射層、ミラー、ブラッググレーティング、若しくは他のフィードバック機構などの適切な光フィードバックを備える場合、そのような導波路はレーザ放射を生成できる。光ポンプ放射は、放射されたレーザビーム又は増幅されたビームの伝搬方向に対して、導波路に共伝搬及び/又は反伝搬するように配置され得る。
【0020】
「輝度」という用語は、単位面積あたり、立体角あたりの光ビームパワーを指すように本明細書で使用される。いくつかの例において、光ビームパワーは、その立体角がビーム波長及びビーム面積に比例するビームを生じさせる、1つ又は2つ以上のレーザダイオードによって提供される。ビーム面積及びビーム立体角の選択は、選択したポンプビームパワーを、ダブル、トリプル、又は他のマルチクラッド光ファイバの1つ又は2つ以上のコア又はクラッディング層に結合する、ポンプビームを生じさせることができる。「フルエンス」という用語は、単位面積あたりのエネルギーを指すように本明細書で使用される。いくつかの実施形態において、フルエンスは、熱又は別様には走査経路と関連付けられた選択された領域内の標的をレーザ加工するように、走査経路に沿って標的に送達される。走査経路は、直線状、曲線状、繰り返し、セグメント状、その他を含む、様々な形状を有することができる。光学システムによって生じる出力ビームは、走査経路に沿って方向付けられ、また、伝搬方向に対して直角な1つ又は2つ以上の軸に沿って、様々な輝度及び均一特性を有することができる。典型的な出力ビームは、特定の用途に応じて、100W、500W、1kW、3kW、6kW、10kW、又は20kW以上の平均ビームパワーを含む、様々な出力パワーを有する連続波である。連続波出力ビームは、本明細書で更に論じられるように、デジタル変調される。
【0021】
図1は、付加製造加工においてレーザ加工ビーム104を放射し、標的106に方向付けるレーザシステム102を含む、機器100である。標的106は、一般に、容器110内に位置する微細金属粉末108から一層ずつ形成された層である。層がレーザパターン化されると、zステージ112が容器110を下げ、隣接する貯蔵部116から追加的な微細金属粉末108を提供するローラー114によって、微細金属粉末108の新しい層が延ばされる。次いで、三次元の物体を形成するために、新しい層がレーザパターン化され、そして、後に続く微細金属粉末層によって加工が多数回を繰り返される。
【0022】
図2Aでは、走査経路200の一実施例が示され、付加製造の標的などの標的をレーザパターン化する際に、該走査経路に沿ってレーザ加工ビームが走査される。時間t
1において、レーザ加工ビームは、走査速度で、例えば特定の速度で、
図2Aの平面において右側の方向に進行している。時間t
2において、レーザ加工ビームが経路の隅部により近い別の位置に到達するにつれて、レーザ加工ビームの走査速度が減少し始める。時間t
3において、方向を変化させ、
図2Aの平面において下方に移動するために、レーザ加工ビームが瞬間的に静止するまで減速する。時間t
4において、レーザ加工ビームの走査速度が増加し、時間t
5において、レーザ加工ビームが時間t
1と同じ速度に到達している。
【0023】
走査経路200の下で、
図2Bは、速度|v(t)|と、走査経路200の時間t
1~t
5に対応する時間とのグラフ202を示す。見て分かるように、レーザ加工ビームの速度は、t
1において初期走査速度を有し、レーザ加工ビームが方向を変化させる時間t
3において減少し、そして、t
5において、初期走査速度と同じ又は異なり得る最終走査速度まで走査速度を増加させる。グラフ202の下で、
図2Cは、レーザ加工ビームの平均パワーP
平均(t)と、時間t
1~t
5及び走査経路200に対応する時間とのグラフ204であり、
図2Dは、走査経路200などの走査経路に沿って加工標的によって受光されるフルエンスE(x)のグラフ206である。典型的なレーザ加工の例において、フルエンスE(x)は、一定の閾値F
高、F
低などの2つの閾値の間などの、所定の範囲内にとどまっていなければならない。いくつかの例において、閾値及び対応する所定の範囲は、特徴のサイズ及び形状、加熱速度及び冷却速度などの材料依存の特性、その他などの、様々な要因に応じて変動させること、又は変調することができる。例えば、異なる標的又は同じ標的の異なる部分若しくは領域は、異なる材料特性を有し得る。また、フルエンスウインドウを含む異なる加工ウインドウでは、異なるレーザ加工効果を達成することができる。フルエンスを対応する1つ又は2つ以上の範囲内に維持することによって、レーザエネルギーは、所望の変化を標的に対して行うことができる。例えば、選択的レーザ溶融加工において、過度のフルエンスは、標的に損傷を与え、熱影響域を悪化させ、また、完成した物体の抗張力及び信頼性などの様々なパラメータに影響を及ぼす場合がある。不十分なフルエンスは、標的材料が正しく溶融することを妨げ得るので、完成した物体を弱化させる。レーザ加工中にフルエンスを所定の範囲内に維持することによって、優れた材料特性を有する完成物体を製作することができる。
【0024】
いくつかの実施形態において、フルエンスE(x)を所定の範囲内(例えば、F高とF低との間)に維持するために、レーザ加工ビームの平均パワーP平均(t)は、走査経路200に沿ったレーザ加工ビームの走査速度|v(t)|の減少などの、ビーム移動情報に対応して減少する。しかしながら、種々の理由から、平均パワーP平均(t)の直進の連続的な減少は、達成することができないか、又は効率的な方法で達成することができない。例えば、ミラー及び光学部品などのレーザ走査の構成要素は、レーザパターニング加工が必要とする速度よりも遅い速度で移動させることができ、標的においてF高を上回る、又はF低を下回るレーザフルエンスをもたらす。いくつかの場合において、レーザ加工ビームを生成するレーザ源の利得媒体のダイナミクスは、レーザ加工ビームのパワーレベルに対して所望される連続又は不連続な変化に、十分迅速に応答しない。
【0025】
グラフ206の下で、
図2Eは、スキャナがスローダイナミクスを有していても、又は他のレーザシステムを欠いていても平均パワーP
平均(t)の迅速な変化を生じ得る、レーザ加工ビームの変調された電力P(t)を表す、グラフ208である。変調された電力P(t)は、高電力P
高と低電力P
低とを繰り返し、低電力P
低は、ゼロ又は非ゼロであり得る。変調された電力P(t)は、可変変調周期T
変調、及びT
変調のパーセンテージである可変デューティサイクルP
デューティを含む。一般に、レーザ加工ビームの走査と関連付けられた速度が減少したときには、レーザ加工ビームの平均パワーが減少するように、及び標的が受けるフルエンスを所定の範囲内に維持するように、変調周期T
変調及びデューティサイクルP
デューティのうちの1つ又は2つ以上を変化させることができる。いくつかの例では、以前に走査した(繰り返しを含む)走査経路200の隣接部分に対する走査経路200の近似性、周囲温度、局所温度、加熱速度及び冷却速度、走査加速度、走査位置、その他などの、走査経路200と関連付けられた他の情報を使用して、フルエンスE(x)を所定の範囲内に維持する。更なる例において、送達されたフルエンス、及びフルエンスを送達するレーザビームのピーク電力は、レーザ加工要件に従う所定の範囲内のままである。特定の実施形態において、微細特徴(マイクロメートル程度)は、より小さい標的細部の形成中に、レーザ加工ビームの走査速度が急速に変化するときにレーザ加工される。いくつかの実施形態において、変調周期T
変調は、ビームを生成するレーザ源の利得媒体の応答ダイナミクス又はレーザ源の他の構成要素に基づいて平均ビームパワーが変化するように変動させることができる。
【0026】
グラフ208に示される実施例では、時間t
1において、レーザ加工ビームの電力は、電力P
高で一定である。レーザ加工ビームの速度|v(t)|が減少すると、レーザ加工ビームが一定電力から変調された電力に変化し、P
高からP
低に切り換わり、そして、レーザ加工ビームの走査速度の減少と関連付けられた周波数でP
高に戻る。時間がt
2及びt
3に接近するときに、レーザ加工ビームの走査速度|v(t)|が減少し続けると、電力変調周波数が増加し、周期T
変調及びデューティサイクルT
高/T
高+T
低が減少するが、ここで、T
高は、その間に電力P
高が印加される持続時間であり、T
低は、電力P
低が印加される持続時間である。減少したデューティサイクルは、レーザ加工ビームの平均パワーP
平均を減少させ、また、レーザ加工フルエンスを所定の範囲内で提供する。したがって、レーザ加工ビームの電力のデジタル変調を調整することによって、標的に対応する所定のフルエンス範囲内のままであるフルエンスを標的において提供することができるように、レーザ加工ビームの平均パワーを調整することができる。
図2Fのグラフ210を更に参照すると、いくつかの実施形態において、レーザ加工ビームは、P0、P1、及びP2などの2つ以上のパワーレベルに変化させること、又はこれらの間で切り換えること、並びに平均パワー及び関連付けられたフルエンスの迅速な変化を生じさせるようにデジタル変調することができる。更なる実施例において、平均レーザ加工ビームパワーの減少は、パワーレベルがレーザ加工を行うのに適したピーク電力の範囲内であるように、レーザ加工ビームのデジタル変調を調整することによって提供することができる。
【0027】
上で論じたように、所定のフルエンス範囲は、レーザ加工要因に従って変動し得、本明細書の実施例は、フルエンスを可変フルエンス範囲内に維持する、変調された光ビームパワーを生じさせることができる。
図2Gは、閾値F
1-高、F
1-低を有する第1のフルエンスF
1から閾値F
2-高、F
2-低を有する第2のフルエンスF
2まで階段状に変動する標的フルエンスを有する、フルエンスE
ステップのグラフ212を示す。いくつかの例において、直線状の走査経路などによるレーザ加工ビームの一定走査速度によって、一定周期及びデューティサイクルを有するデジタル変調されたビームは、第1のフルエンスF
1を提供することができ、変調されていないビームは、第2のフルエンスF
2を提供することができる。電力のデジタル変調は、第1のフルエンスF
1と第2のフルエンスF
2との間のより迅速な移行を可能にすることができる。
図2Hにおいて、グラフ214は、それぞれの高フルエンス限度F
高と低フルエンス限度F
低との間でシヌソイドに従って変動する、所定のフルエンス範囲F
変調を示す。標的に送達されるフルエンスE
実際は、レーザ加工ビームの光電力のデジタル変調を通して、フルエンス範囲F
変調内に維持することができる。いくつかのレーザ加工の例において、フルエンス変調の周波数は、1kHz、10kHz、100kHz、又はそれ以上を含む、比較的高速であり得る。異なる例において、高周波数のフルエンスの振動は、フルエンスの振動位相に依存するか、又は該振動位相から独立している。
【0028】
いくつかの例では、デジタル変調と併用して、アナログ変調を適用して、レーザ加工ビームの平均パワーを変化させることができる。しかしながら、アナログ変調は、典型的に、フルエンスを所定の範囲内に維持するために平均パワーの所望の低減を達成することに対して、より遅い応答時間を有する。加工効率を高めるために、及びスキャナダイナミクスなどの様々なシステム変数にかかわりなくフルエンスを所定のフルエンス範囲内にロバストに維持するために、典型的に、デジタル変調を使用して、又はハイブリッドデジタル/アナログ変調を使用して、フルエンスを所定の範囲内で保つように、レーザ加工ビームの平均パワーを調整し、より迅速な応答を提供する。例えば、
図2Iを参照すると、グラフ216は、アナログコマンド信号P
アナログに従って、最小電力P
低1まで減少する電力最大値を有する複数の変調部分を含む、デジタル変調された信号P
変調を示す。レーザ加工ビームに対して命令され、生じさせた実際の平均出力パワーは、平均ビームパワー及びより低い最小電力P
低2のより急速な変化を含み得る経路P
平均のトレースを含むことができる。
【0029】
図3は、レーザ加工ビームに結合されたスキャナと関連付けられた集束位置Zに関するレーザ加工ビームのフルエンスF(z)のグラフである。全般に、フルエンスF(z)は、フルエンスF
最大における最大値であり、該最大値において、レーザ加工ビームは、レーザ加工ビームの伝搬の方向において最良の集束位置Z
最良となる。レーザ加工ビームの集束距離がZ
最良から増加又は減少するにつれて、レーザ加工ビームを効果的に脱集束させ、レーザ加工ビームが拡大し、脱集束するにつれて、新しい集束位置と関連付けられたフルエンスが減少する。レーザ加工中には、一般に、例えば、レーザ加工が標的において対応する変化を生じさせることができるように、脱集束を集束位置Z
低とZ
高との間に抑制又は制御することによって、レーザ加工ビームのフルエンスF(z)がフルエンス限度F
高及びF
低以内にとどまることが望ましい。フルエンス限度は、可変であり得るが、典型的な例において、フルエンス限度は、固定される。いくつかの実施形態では、3Dスキャナを使用して、大きいパターン加工領域上で、標的において、Fθレンズ又は他の走査光学部品よりも平坦な集束フィールドの湾曲を有するレーザ加工ビームを走査することができる。したがって、標的において走査されるレーザ加工ビームによって送達されるフルエンスは、フルエンス限度F
高、F
低以内に維持される可能性がより高くなり、又はより容易に維持される。
【0030】
図4において、機器400は、レーザ加工ビーム404を放射するように位置させたレーザ源402を含む。レーザコントローラ406は、変調された電力を含むレーザ加工ビーム404の電力を制御するために、レーザ源402に結合される。3Dスキャナ408は、レーザ加工ビーム404を受光し、レーザ加工ビームを標的410に方向付けるように位置される。3Dキャナ408によって、レーザ加工ビーム404は、一般に、標的410の平坦面と平行に整列される集束面412内に集束させられる。しかしながら、いくつかの例において、3Dスキャナ408は、不均一な標的面に対応することができる非平坦な集束フィールドを提供するように、集束位置を変動させることを可能にする。典型的な例において、3Dスキャナ408は、XYガルバノメーター走査ミラーセットと、ガルボ走査ミラーの位置に基づいて集束面412におけるビームの集束位置を変化させるZ位置集束群とを含む。機器400はまた、コリメートされた入力直径D
0を有するレーザ加工ビーム404を受光し、ビーム幅を調整するように位置させたズームビームエキスパンダ414も含み、よって、ズームビームエキスパンダ414を出るレーザ加工ビームは、レーザ加工ビームの伝搬経路に対して直角な1つ又は2つ以上の方向に沿って、同じ又は異なるコリメートされた直径D
1を有する。コリメートされた直径D
1を有するレーザ加工ビーム404は、3Dスキャナ408によって受光され、そして、標的410においてスポットサイズW
1で走査され、集束される。ズームビームエキスパンダ414はまた、コリメートされた直径D
1よりも小さいコリメートされた直径D
2を有するように、レーザ加工ビーム404を調整することもできる。より小さいコリメートされた直径D
2は、3Dスキャナによって受光され、そして、標的において、より小さいコリメートされた直径D
2に起因してスポットサイズW
1よりも大きいスポットサイズW
2で走査され、集束される。
【0031】
ズームビームエキスパンダ414は、様々な方式で構築することができる。典型的な例において(及び
図4に示されるように)、ズームビームエキスパンダ414は、レーザ源402からレーザ加工ビーム404を受光するように固定され、位置させた一組の入口光学部品群416を含む。一組の出口光学部品群418は、入口光学部品群416から拡大されたビームを受光し、出口光学部品群418のうちの1つ又は2つ以上の光学部品の光軸に沿った移動を通して、ズームビームエキスパンダ414から放射されるレーザ加工ビーム404の直径を増加又は減少させるように位置される。レーザ加工ビーム404のコリメートされた直径を変化させるための制御された移動を提供するために、ズームビームエキスパンダ414は、レーザコントローラ406に結合される。3Dスキャナ408に光学的に結合されるレーザ加工ビーム404の直径を制御可能に拡大することによって、様々な効果のために、スポットサイズの管理された変動を標的において提供することができる。
【0032】
典型的な例では、ズームビームエキスパンダ414によって生じさせた異なるスポットサイズを使用して、標的410において様々なサイズ及び形状の特徴をレーザ加工する。いくつかの例では、可変走査速度に関連してスポットサイズを変動させることによって、所定のフルエンス範囲内のフルエンスを標的が受光するように、レーザ加工ビーム404は、標的410において、走査経路に沿って可変走査速度で走査される。更なる例において、より大きい特徴は、より大きいスポットサイズを有する、例えばスポットサイズW2及び一定のレーザ加工ビームパワーを有するレーザ加工ビーム404によってレーザ加工され、より小さい特徴は、より小さいスポットサイズを有する、例えばより小さいスポットサイズW1及び典型的により小さいデジタル変調されたレーザ加工ビームパワーを有するレーザ加工ビーム404によってレーザ加工される。レーザ加工ビームパワーをデジタル変調することによって、レーザ加工は、ビームパワーのアナログ変調を回避すること、又は任意選択にすることができ、標的に送達されるフルエンスは、スポットサイズの変化が生じたときのレーザ加工について、所定のフルエンス範囲内に維持することができる。
【0033】
図5は、レーザコントローラ504によって制御され、コリメートされたレーザビーム506を生じさせるように配置されたレーザ源502を含む、別の機器500を示す。ズームビームエキスパンダ508は、コリメートされたレーザビーム506を受光し、その直径を変化させて、拡大されたビーム507を生じさせるように位置される。3Dスキャナ510は、ズームビームエキスパンダ508から拡大されたビーム507を受光し、標的512において、拡大されたビーム507を様々な位置S
1~S
3のスポットに集束させるように位置される。3Dスキャナ510は、典型的に、拡大されたビーム507を受光し、集束させる可変位置集束光学部品514と、集束させたビームを受光し、集束させたビームを標的512と整列させた(典型的に、集束面内の)特定の位置に、例えば所定のX-Y座標に位置付ける一対のガルボ制御走査ミラー516とを含む。標的512のレーザビームスポットの位置は、3Dスキャナ510と関連付けられた走査フィールド全体にわたって変動させることができる。Fθレンズなどの固定集束光学部品を使用するスキャナにおいて、Fθレンズの集束位置と関連付けられたフィールド湾曲518は、典型的に、曲線状である。したがって、位置S
1及びS
3などの、走査フィールドの周囲に向かう位置S
Nにおいて集束させたレーザビームの場合は、典型的に、脱集束が生じる。そのような脱集束は、標的512によって受光されるフルエンスを低減させ得るので、フルエンスが所定の範囲を外れ、走査フィールド全体にわたる不均等な加熱及び不均等な加工が生じ得る。3Dスキャナ510の可変位置集束光学部品514(1つ又は2つ以上のレンズ、ミラー、回折光学要素、その他を含むことができる)は、3Dスキャナ510のフィールド内のスポットのX-Y位置に関連するスポットの焦点位置の変化を可能にする。したがって、3Dスキャナと関連付けられたフィールド湾曲が他のシステムよりも平坦であるように、スポットの焦点位置に対して細かい調整を行うことができる。三次元スキャナ510は、標的において、コリメートされたレーザビーム506を走査し、集束させるためのパターンデータに対応する走査及び集束信号を受信するように、レーザコントローラ504に結合される。パターンデータは、レーザコントローラ504に記憶することができ、又は外部ソースから受信することができる。
【0034】
図6において、標的をレーザ処理する方法600は、602において、レーザビームの走査経路を提供することと、604において、標的におけるレーザビームのスポットサイズを選択することとを含む。例えば、レーザビームの走査経路は、標的全体にわたって走査されるべきレーザビームの位置に関連するデータを含むレーザパターンファイルを、レーザコントローラに提供することができる。レーザビームの走査経路はまた、レーザコントローラ又はレーザスキャナによる走査経路信号の受信が、標的におけるレーザビームの走査と同時に、又は該走査に近い時間関係で生じるように、レーザコントローラにリアルタイムで提供することもできる。606において、レーザビームの走査経路、及びレーザビームのスポットサイズ、及び標的のレーザ加工と関連付けられたレーザビームのフルエンス範囲に基づいて、レーザビームの平均パワーが決定される。608において、レーザビームを生じさせる活性媒体に結合された1つ又は2つ以上のレーザポンプ源のデジタル変調を通して、レーザビームの電力がデジタル変調される。デジタル変調されたレーザビームは、606において決定された平均パワーに対応し、走査経路及びスポットサイズに基づいて大幅に変化させることができる。610において、レーザビームは、602において提供される走査経路に沿って方向付けられる。更なる例において、平均パワーは、走査経路について決定され、レーザビームのスポットサイズは、決定された平均パワーに対応するように変動される。更なる例では、デジタル変調及び可変スポットサイズの双方を使用して、所定のフルエンス範囲に対応するように平均パワーを提供する。
【0035】
図7において、レーザシステム700は、標的702において、フルエンスの正確な制御によって標的702をレーザパターニングするように位置される。レーザシステム700は、電圧制御されたAC/DC電源又は電源に結合された電圧調整器などのポンプ駆動装置706、及びレーザスキャナ708に結合された、レーザコントローラ704を含む。ポンプ駆動装置706は、電圧及び電流のうちの1つ又は2つ以上に基づいて、ポンプダイオード710を駆動する。ポンプダイオード710は、活性ファイバ712などのレーザ利得媒体に結合され、該レーザ利得媒体は、ポンプダイオード710からのエネルギーを使用して、レーザシステムビーム714を生成する。レーザシステムビーム714の伝搬方向に対して直角な1つ又は2つ以上の軸に沿って、標的702において、同じ平面内のレーザシステムのビーム714の集束させたスポットのサイズを変化させるために、レーザシステムビーム714は、ズームビームエキスパンダ716を出るレーザシステムビーム714のコリメートされた幅を変化させることができるズームビームエキスパンダ716によって受光される。走査経路715に沿って、パターンを加工し、レーザ加工と関連付けられた所定の範囲内でレーザフルエンスを付与するために、レーザスキャナ708は、ズームビームエキスパンダ716から、選択されたコリメートされたビーム幅を有するレーザシステムビーム714を受光し、レーザシステムビーム716を標的702に方向付ける。
【0036】
いくつかの例において、レーザコントローラ704は、レーザシステムビーム714の第1の状態及び第2の状態の条件をコントローラ704に提供し、標的702上に形成されるパターンと関連付けることができるゲート信号718に結合される。例えば、ゲート信号718は、オン及びオフの条件を提供するレーザパターニングデータファイル720に対応することができ、よって、レーザシステムビーム714が走査されるときに、様々な特徴を標的702上の他の特徴から隔離又は離間させることができ、また、複雑な特徴を形成することができる。レーザコントローラ704は、ゲート制御722を含み、該ゲート制御は、ゲート制御信号をポンプ駆動装置706に通信し、よって、ポンプダイオード710がエネルギー付与されて、ゲート信号と関連付けられたオン及びオフに対応するように活性ファイバ712をポンプする。レーザパターニングデータファイル720はまた、レーザシステムビーム714が標的702において走査されるための、走査位置データなどの様々なベクトルデータも提供することができる。レーザコントローラ704は、レーザスキャナ708に結合されるが、他の例において、レーザパターニングデータファイル720は、レーザスキャナ708に直接結合することができる。様々な接続は、有線又は無線とすることができ、ファイルデータは、揮発性又は不揮発性メモリに記憶することができる。更なる例において、ゲート信号のゲートコマンドは、レーザコントローラ704のメモリに記憶される。
【0037】
標的702に送達されるレーザフルエンスを所定の範囲内に維持するために、レーザコントローラ704は、変調周期制御726、デューティサイクル変調制御728、及びアナログ変調周波数制御730に結合されたフルエンス設定点724を含み、これらはまた、ポンプ駆動装置706にも結合される。変調周期制御726は、ポンプダイオード710のデジタル変調周期を調整するように位置される。例えば、ポンプダイオードの光電力出力は、より遅い周波数及び対応する周期から、より速い周波数及び対応する周期まで(例えば、10kHzから、100kHz、200kHz、又はそれ以上まで)増加させることができ、又は連続オン状態(例えば、0kHz)から増加させることができ、よって、レーザシステムビーム714と関連付けられた電力が、2つ以上のパワーレベルを交替するか、又はより迅速に交替する(例えば、10kHzが、10Wと500Wとの間で交替する)。
【0038】
デューティサイクル制御728は、ポンプダイオード710の電力デューティサイクルを調整するように位置される。デューティサイクルは、90%超から10%未満の範囲とすることができ、また、変調周期に関連して変動させることができる。選択されたデューティサイクルは、典型的に、レーザ加工ビーム平均パワーを所望のレベルに維持するために、選択された変調周期のレーザ加工ビームの立ち上がり及び立ち下がり時間に関連して適切な量のレーザ加工ビームエネルギーを生成することができるように、十分に大きい。いくつかの例では、レーザ加工ビーム平均パワーの対応する低減を生じるように、固定変調周期が選択され、デューティサイクルを100%から10%未満まで変動させる。更なる例では、レーザ加工ビーム平均パワーの低減に対応するように、変調周期を減少させ、また、デューティサイクルを減少させ、よって、走査速度との変化と関連付けられた微細な細部をレーザ加工ビームによって形成することができる。
【0039】
変調周期制御726及びデューティサイクル制御728は、標的においてレーザシステムビーム714の平均パワーを低減又は変動させるために、フルエンス設定点724に基づいて、変調の変化を生じさせることができる。いくつかの実施形態において、平均パワーの減少は、標的702におけるレーザシステムビーム714のスポットのサイズの減少、又は標的702に対して走査されているレーザシステムビーム714の、走査速度の減少又は走査方向の変化などの、ビーム走査速度の変化と関連付けることができる。レーザシステムビーム714の電力は、コントローラ704に結合されている検出された電力の対応する信号で、活性ファイバ712などの1つ又は2つ以上のシステム構成要素に結合された電力検出器732によって検出することができる。レーザシステムビーム714の検出された電力は、一般的な監視、緊急遮断、その他のために使用することができ、更に、該電力を使用して、レーザ加工中に、レーザフルエンスが、1つ又は2つ以上の閾値、限度、許容度、その他の範囲内のままであるか、それを上回っているか、下回っているかを判定する際に支援することができる。例えば、検出された電力は、特定のデジタル変調設定及び変調周期制御726に基づいて算出された平均パワーと比較することができ、デューティサイクル制御728は、変調周期及びデューティサイクルをスケーリング又は調整して、フルエンス設定点724に対応する平均パワーを有するレーザシステムビーム714を生じさせることができる。例えば、レーザシステム700は、異なる種類のレーザスキャナ、ポンプダイオード、活性ファイバ、その他に結合させることができ、これらはそれぞれ、レーザシステム700のダイナミクスに、及びデジタル変調調整がフルエンス付与に影響を及ぼす範囲に、影響を及ぼし得る。
【0040】
いくつかの例において、フルエンス設定点724に基づいて調整されるデジタル変調周期及びデューティサイクルは、ゲート信号718をレーザコントローラ704に結合する前に、ゲート信号718によって定義することができる。更なる実施形態において、パターンファイル720は、コントローラ704に結合させることができ、ゲート信号722は、外部に提供する必要はない。追加的な実施形態において、アナログ変調制御730はまた、それを変調周期制御726及びデューティサイクル制御728と組み合わせることによって、標的702におけるレーザフルエンスを維持する際に支援するためにも使用される。典型的に、レーザシステムビーム714の出力パワーのアナログ変調は、単独では遅すぎるので、標的702において、送達されたレーザフルエンスをフルエンス設定点724と関連付けられた所定の範囲内に維持すること、又はレーザ加工のフルエンス要件を維持することができない。典型的に、維持ができないことは、コントローラ704の電子機器又はポンプダイオード710及び活性ファイバ712のダイナミクスと関連付けることができる。しかしながら、ズームビームエキスパンダ716及びレーザスキャナ708のダイナミクスも変動し得る。したがって、変調周期制御726及びデューティサイクル制御728を使用してポンプダイオード710をデジタル変調することによって、レーザシステム700の様々な構成要素の間で、遅い又は一貫していないダイナミクスを有する場合であっても、標的702に送達されるレーザフルエンスを所定の範囲内に維持することができる。いくつかの例において、変調周期制御726、デューティサイクル制御328、及びアナログ変調制御730からの、レーザフルエンスに対する複合効果は、フルエンスを所望のレベルに好都合に維持することができる。
【0041】
更なる例において、変調周期制御726はまた、レーザ走査経路715と関連付けられたパターンファイル720又は他のデータに基づいて、変調周期を調整することもできる。互いに近接する多数の特徴などの微細な特徴が生じる標的702と関連付けられたパターンにおいて、総熱負荷は、隣接する、又は繰り返した特徴のレーザ加工フルエンス閾値に影響を及ぼし得る。変調周期制御726及びデューティサイクル制御728は、標的702に送達された熱負荷、標的702の1つ又は2つ以上の部分と関連付けられた予測若しくは測定された温度、又は標的702の1つ又は2つ以上の領域におけるレーザシステムビーム714の停滞時間、その他に基づいて、レーザシステムビーム714の電力を調整することができる。例えば、レーザシステムビーム714は、レーザ走査経路715における標的702に対する第1の走査移動の変化(例えば、レーザシステムビーム714の第1の転向)を通してデジタル変調することができ、また、第1の転向に近接する第2の転向中に、レーザシステム714の平均パワーをより大きい程度まで低減させるようにデジタル変調することができる。
【0042】
図8において、レーザシステム800は、アナログ入力804においてアナログ信号を受信し、と、ゲート入力806においてゲート信号を受信し、また、フルエンス変調入力808においてのフルエンス変調信号を受信するように位置させたコントローラ802を含む。コントローラ802は、典型的に、ゲート信号を使用して、典型的にレーザポンプダイオード812に供給される駆動電流を変動させることによって、電源810によってレーザポンプダイオード812に提供される電力を変調又は変動させる。レーザポンプダイオード812は、ドープファイバ814、又はレーザシステムビーム816を生成する他のレーザ利得媒体に光学的に結合される。レーザシステムビーム816のパワーは、例えば、選択的レーザ溶融(SLM)標的818の不連続部分の加工の間を減少させるように、ゲート信号の変調に対応して増加及び/又は減少させることができる。立ち上がり-立ち下がり回路820は、コントローラ802及びポンプダイオード812に結合されて、電源810によってポンプダイオード812に提供されるポンプ電流の立ち上がり時間及び立ち下がり時間を制御する。ポンプ電流の立ち上がり時間及び立ち下がり時間を制御することによって、ポンプダイオード812によって生成される1つ又は2つ以上のポンプビーム822の関連付けられた立ち上がり時間、立ち下がり時間、オーバーシュート、及びアンダーシュートを選択することができる。いくつかの例において、ポンプビーム822の適切な応答時間は、ポンプダイオードの信頼性とバランスさせることができる。ドープファイバ814によって生成されるレーザシステムビーム816もまた、SLM標的818においてレーザスキャナ826を通して同じ平面内に集束されるレーザシステムビーム814のスポットサイズを変化させるように位置させたズームビームエキスパンダ824に結合される。立ち上がり時間は、典型的に、ある定常状態値の選択部分から別の定常状態値の選択部分まで、例えば2%から98%まで、5%から95%まで、10%から90%まで、1%から95%まで、その他に立ち上げるために、レーザビームパワーなどのパラメータに必要とされる持続時間として定義される。立ち下がり時間は、同様に、定常状態値から立ち下がるための持続時間として定義することができる。初期値又は定常状態立ち下がり値は、ゼロ又は非ゼロとすることができる。オーバーシュート及びアンダーシュートは、定常状態値のパーセンテージとして定義することができる。
【0043】
また、フルエンス変調信号を使用して、レーザシステムビームパワーを、ゲート信号と関連付けられた同じ又は異なるパワーレベルに変調させること、変動させること、又は制御することもできる。フルエンス変調信号を使用して、SLM標的818においてレーザスキャナ826によって走査されているレーザシステムビーム816の可変速度に対応してレーザシステムビーム816の平均パワーが変動されるように、ポンプダイオード812のポンプ電流をデジタル変調することができる。例えば、同じ期間にわたるデジタル変調周期の減少又はデューティサイクルの低減は、レーザシステムビーム816の平均パワーの急速な低減を生じさせ得る。走査経路に沿って走査するレーザシステムビーム816の可変速度、又はビームエキスパンダ824によるレーザシステムビーム816のスポットサイズの変化は、SLM標的818において、完成品の適合性に悪影響を及ぼし得る望ましくないフルエンス変動を生じさせ得るが、フルエンス変調信号を使用して、フルエンス変動を補償することができる。また、フルエンス変調信号を使用して、ズームビームエキスパンダ824によって生じた異なるスポットサイズに対応するようレーザシステムビーム816のパワーを調整するように、ポンプ電流をデジタル変調することもできる。いくつかの実施形態において、フルエンス変調信号及びゲート信号は、共通入力を通して提供することができる。更なる実施形態において、フルエンス変調信号を使用して、レーザシステムビーム814の平均パワーを調整するように、ズームビームエキスパンダ824によってレーザシステムビーム814のスポットサイズを変調又は変動させることができる。例えば、スポットサイズは、レーザシステムビーム816の走査速度の変動に対応する、異なるサイズに変動させることができる。また、スポットサイズを変調して、異なる変調周期及びデューティサイクルを有する2つ以上の異なるサイズを繰り返して、レーザシステムビーム816の平均パワーを変化させることができる。
【0044】
図9は、1つ又は2つ以上のポンプモジュール904において直列的に位置させた(典型的にいくつかの)1つ又は2つ以上のポンプダイオード902A、902Bの光出力901A、901Bを制御する、レーザポンプ制御装置システム900を示す。光出力901A、901Bを使用して、いわゆるダイレクトダイオードレーザシステムなどのレーザシステムにおいて、レーザシステム処理ビームを直接生じさせること、又はレーザシステム加工ビーム(例えば、ファイバレーザ、固体レーザ、ディスクレーザ、その他)を生じさせるために他の利得媒体をポンプすることができる。AC/DC電源906は、光出力901A、901Bを生じさせるために、電流をポンプダイオード902A、902Bに提供する。FPGA 908又は他の類似するコントローラデバイス(例えば、PLC、PLD、CPLD、PAL、ASIC、その他)は、DAC 910へのデジタル出力909を生じさせるように位置され、該デジタル出力は、対応するポンプダイオード光出力901A、901Bを生成するように、ポンプダイオード902A、902Bの所望のポンプ電流に対応する。DAC 910は、FPGAからのデジタル出力を、対応する電圧を有し、また、ポンプ電流を生成するためにAC/DC電源906によって受信されるDAC出力911Aに変換する。
【0045】
複数の追加的なDAC出力911B~911Dは、ポンプダイオード902A、902Bによって受信されるポンプ電流の立ち上がり時間及び立ち下がり時間を選択するように位置させた信号マルチプレクサ912に結合される。信号マルチプレクサ912は、RC回路キャパシタC、及びポンプダイオード902A、902Bからの光出力901A、901Bを生成するポンプ電流を制御するように位置させた1つ又は2つ以上の電流制御回路914に結合される。例えば、DAC出力911Bに結合された抵抗器RBは、ポンプダイオード902A、902Bのより長いポンプ電流立ち上がり時間と関連付けることができ、抵抗器RCは、より短いポンプ電流立ち上がり時間と関連付けることができ、抵抗器RDは、適切なポンプ電流立ち下がり時間と関連付けることができる。立ち上がり時間及び立ち下がり時間は、典型的に、ポンプダイオード902A、902Bにおいて非対称であり、よって、立ち上がり及び立ち下がりと関連付けられた異なる選択可能な抵抗値を有し、また、抑制されたオーバーシュート又はアンダーシュートを有するより短い立ち上がり時間及び立ち下がり時間などの向上した応答を生じる。いくつかの例では、デジタル変調によっても変動させることができ、また、向上した立ち上がり時間、立ち下がり時間、オーバーシュート、及びアンダーシュート光応答特性を生じる、調整可能な抵抗値を可能にするように、デジポットなどの可変抵抗器が使用される。シリアルバス916は、異なる立ち上がり時間と立ち下がり時間との間で切り換え、ポンプ電流をデジタル変調するように、デジタル変調コマンドを、FPGA 908からマルチプレクサ912に通信することができる。
【0046】
電流制御回路914は、電流検知抵抗器917に結合された1つ又は2つ以上のFET 915と、制御フィードバックを提供し、FPGA 908から現在の設定点を受信する1つ又は2つ以上の演算増幅器919とを含むことができる。複数の電流制御回路914を並列的に含むことで、電流制御回路917のそれぞれのFET 915全体にわたる熱を拡散及び消散させて、電流制御の精度及び信頼性を向上させることができる。典型的な例において、ポンプダイオード902Aは、ポンプダイオード902Bと異なる順電圧を有する。したがって、FET全体にわたる電圧降下は、一連のポンプダイオードの間で変動することになる。AC/DC電源906は、一定の又は一貫した熱放散に対応する適切なFET電圧を維持するように位置させることができる。FET 915全体にわたる熱放散が分割され、制限されるので、電流制御回路914の関連付けられた電子効率及び信頼性が向上する。更に、ポンプダイオード902A、902Bの光出力901A、901Bの全体的な応答時間に寄与する電流制御回路917の電流制御応答特性が向上し、抵抗器RB、RC、RD、及びより高いデジタル変調周波数と関連付けられた、より短い立ち上がり時間及び立ち下がり時間を可能にする。並列の電流制御回路914によって電流を割り当てることはまた、より正確である電流検知抵抗器917の電流センサの抵抗器値の選択も可能にし、電流制御回路914及び光出力901A、901Bの応答特性を更に向上させる。DAC 910からの高速サンプリングレートによって、及び電流制御回路914の向上した応答特性によって、レーザダイオードの電流を高速に切り換える又は変動させることができる。いくつかの例では、100μs、50μs、20μs、10μs、又は5μs未満などの短い変調周期を含む、50μs、20μs、10μs、5μs、又は2.5μs以下の光出力901A、901Bの立ち上がり時間及び立ち下がり時間が達成される。
【0047】
いくつかの実施形態において、FPGA 908は、信号調整器及びADC(図示せず)を通過した外部源からのアナログ入力918から、アナログ信号を受信する。自動化システム、コンピュータ、コンピュータメモリ若しくはデータファイル、手動制御、グラフィカルユーザインターフェースの入力、その他などの外部源は、所望のレーザシステムパワーレベルに基づいて、アナログ信号を提供するように構成される。次いで、所望のレーザシステムパワーレベルを達成するために、レーザシステムを光出力901A、901Bによってポンプすることができる。FPGA 908はまた、アナログ信号及びアナログ信号を提供する外部源と関連付けることができるゲート入力920から、ゲート信号を受信することもできる。ゲート信号は、対応するレーザシステムビームをオン及びオフするように、典型的に、デジタルであり、また、ポンプダイオード902A、902Bのオン及びオフコマンドを提供するように構成することができる。また、ゲート信号及びアナログ信号を使用して、光出力901A、901Bの任意の波形を生じさせることもできる。典型的な例において、アナログ信号及びゲート信号は、レーザシステムビームが標的全体にわたって走査されて、異なるパワーレベル及び標的の異なる場所で標的の材料を選択的に加熱し、加工するようにする協調される。パルスプロファイル信号入力922からのパルスプロファイルはまた、外部源を提供して、ポンプダイオード902A、902Bから生成されるレーザシステムビームの様々な特徴を選択するように、FPGA 908に結合させることもできる。パルスプロファイル情報は、ローカル又はリモートにメモリに記憶することができ、又は外部源からの信号として提供することができる。例えば、レーザシステムビームの繰り返し速度、パワーレベル、その他と共に、異なる立ち上がり時間及び立ち下がり時間をポンプ電流について選択することができる。
【0048】
フルエンス変調信号は、フルエンス変調入力924から受信され、該フルエンス変調入力はまた、FPGA 908にも結合され、また、アナログ信号、ゲート信号、及びパルスプロファイルと協調させることもでき、又は別個とすることができる。フルエンス変調信号は、標的に送達されているレーザシステムビームと関連付けられたフルエンスの逸脱を修正するために提供することができる。例えば、アナログ入力は、例えば典型的に高周波アナログ信号と関連付けられたノイズの増加のため、制限された帯域幅を有する場合があり、又は帯域幅は、スキャナなどの他のレーザシステム構成要素、又は行われているレーザ加工のダイナミクスに関連して適切でない場合がある。光出力901A、901Bによって生じたレーザシステムビームによるレーザ処理中に、標的において所望のフルエンスを達成するために、ポンプ電流をデジタル変調することによって、フルエンス変調信号を使用して、帯域幅が制限されたアナログ信号又は対応する帯域幅が制限されたレーザシステムの性能を補償することができる。例えば、走査速度が減少したときに、フルエンス変調信号は、FPGA 908によって受信することができ、FPGA 908は、標的における所望のフルエンスの修正を生じさせるように、シリアルバス916を通じてマルチプレクサ912を方向付けて、変調させることができる。
【0049】
変調例
いくつかの例では、選択的に溶融及び融合させた粉末の連続する層を有する三次元物体を構築するように、レーザビームを標的に方向付けて、粉末ベッド内の金属粉末を選択的に溶融及び融合させる。選択的な溶融加工の間に、物質相の動的変動は、材料の小球及び粒子凝集体のランダムな排出を含む不安定な材料挙動を生じさせることができる。本明細書における種々の技術を使用し、物質相の変動を識別及び制御して、材料の排出を低減し、物体特性、例えば、合金組成、粒の形状、表面テクスチャ、並びに耐久力及び弾性などの機械的応答を改善することができる。
【0050】
図10A及び
図10Bに示される一例では、レーザビーム1000は、金属粉末、例えば、粉末状アルミニウム、鉄、炭素、クロム、スズ、又は選択的溶融に関連付けられた他の元素のうちの1つ以上を含む標的1002に方向付けられている。レーザビーム1002は、走査経路1006に沿って走査方向1004に移動し、標的1002の表面1010又はその近傍の焦点に円形スポット1008を形成する。スポット1008のエッジは、都合に応じて1/e、1/e
2、全幅半分最大などに基づいて画定することができ、ゼロ強度値を描画する必要はない。四角形、長方形、楕円などを含む他のスポット形状を使用することができ、種々の強度プロファイルは、レーザ源のタイプ、及びガウス、スーパーガウス、トップハット、ローブ、対称、非対称、マスクなどを含む使用されるビーム成形光学部品に基づいて実現される。スポット1008のサイズを、レーザ源の利用可能な輝度及び標的1002と集束光学部品との間の作動距離に基づいて必要に応じて選択することができる。レーザビーム1002の平均連続波の電力は、融点及び潜在的熱収縮を含む種々の材料特性、並びに周囲温度及び圧力などの種々の環境特性に基づいて選択することができる。
【0051】
レーザビーム1002は走査経路1006に沿って横切るので、レーザビーム1002が表面1010に対して新しい位置に走査された後に、溶融プール1012がスポット1008に作製されて、短期間とどまることができる。溶融プール1012が冷却固化した後、選択的に溶融及び融合させた物体に対応する融合部分1014が形成される。選択的溶融の間、スポット1008におけるレーザビーム1002の大きな光強度は、粉末材料を沸騰させて、プラズマを形成するのに十分であり得る。溶融プール1012は、融合して固体材料を形成することができ、沸騰気相粉末及びプラズマ状態の粉末と混合(commixed)することができ、溶融プール1012に関連付けられた不安定性、及び種々の物質相の粉末材料の排出された小球1016内の不安定性をもたらす。
【0052】
いくつかの例では、平均小球径及び半径方向に依存する排出密度などの観察可能な特性を有し得る、排出された小球1016の排出パターン1018a、1018bが形成される。更なる例では、溶融プール1012及び排出された小球1016は、放射特性、透過特性、反射特性、スペクトル特性、及び散乱特性を含む検出可能な光学特性を有することができる。追加の例では、蒸気圧などの1つ以上の粉末特性を溶融プール1012及び排出された小球1016の1つ以上の特性に関連付けることができ、粉末特性を、排出パターン1018a、1018bの形成などの選択的溶融加工の有害な側面を減衰させ得るように、レーザビーム1002の特性の制御された変調によって決定し変化させることができる。レーザビームの変調も、排出パターン1018a、1018b、溶融プール1012、又は排出された小球1016の検出された特性に基づいて適用し変化させることができる。利便性のために、融合部分1014は、走査経路1006を横切るスポット1008のエッジに対応するエッジ1020a、1020bと共に示される。種々の例では、エッジ1020a、1020bは、スポット1008から離間し得る。
【0053】
図11は、選択的レーザ溶融標的1104を挟んで(及び/又は代替的に左に移動する標的1104と共に)
図11の平面の右に移動するレーザビーム1102の走査経路1100を示す。レーザビーム1102は、標的1104の金属粉末材料を溶融させるスポット1106を形成し、レーザビーム1102が走査されるにつれて、スポット1106よりも大きな溶融プール1108を形成する。溶融プール1108が冷却されると融合部分1110が形成され、溶融及び融合加工の間に、液体粉末が標的1104から飛散し排出されて、排出パターン1114a、1114bの形態の排出沈殿物1112を形成する。走査経路1100の平面図の上は、レーザビーム1102が一定の走査速度でx方向に伝播するときのレーザビーム1102の電力のグラフ1116である。位置x
1(又は対応する時間)で、レーザビーム1102の電力は、レーザビームの電力がP
高である変調周期T
変調の部分T
高及び電力がP
低である部分T
低を画定する選択されたデューティサイクルP
デューティを有する変調周期T
変調に従って、2つの電力P
高、P
低間を変調し始める。また、平面図の上には、走査経路1100に沿った排出パターン1114aの平均密度1120を示すグラフ1118が示されている。平面図及びグラフ1116に示されるように、レーザビーム1102の定電力が変調電力に変化した後、排出パターン1114a、1114bは、密度が低下し、低減するか又は除去される。このように、レーザビーム1102の電力の制御された変調を導入することによって、排出沈殿物を低減させることができ、融合部分1110の均一性及び他の特性を改善することができる。いくつかの例において、制御された変調及びP
高、P
低、P
デューティ、T
変調などの関連付けられた変動は、所定の応答特性に基づき得るか、例えば、ビーム走査ダイナミクスに応じて、動的検出なしで導入され得るか、又はレーザ溶融標的1104、スポット1106、溶融プール1108、走査移動などの検出された特性に基づき得る。
【0054】
典型的な例では、変調周期T変調は、スポット1106の一部が、隣接する複数の変調周期にわたってスポット領域に等しい標的1104の領域にわたって配置されるように選択された持続時間を有する。例えば、1m/sで走査される100μmの直径のスポットを有するレーザビームに対しては、標的領域の一部には、20μsのT変調を有する5つの変調周期が重なるであろう。レーザビームパラメータは、材料によって変化し得、レーザシステムのタイプに依存し得る材料加工要件に基づいて選択することができる。代表的な加工及びシステム例は、正規化されたエネルギー又はフルエンスの伝達が望ましい材料加工用途のためのレーザビームを提供するが、迅速なレーザビーム走査は、レーザシステムの典型的な電力調整能力を超える時間にわたる電力伝達の所望の勾配によって、走査経路1100などのレーザビーム走査経路の種々の部分に沿った均一なエネルギー伝達を許容しない。本明細書におけるいくつかの連続波レーザの例では、関連するレーザビームの電力の立ち上がり時間及び立ち下がり時間が2.5μs程度の低さで、5μs程度の短い変調周期を得ることができる。典型的な例では、変調周期は、10μs、50μs、100μs、500μs、1ms以上を含み得、立ち上がり時間及び立ち下がり時間は、5μs、10μs、20μs、50μs、100μs以上を含み得る。デューティサイクルはまた、金属粉末のタイプ、選択的に融合させた材料(例えば、焼結又は溶融させた材料)の所望の材料特性、及び、レーザビームのスポットサイズ、レーザビームの強度プロファイル、レーザビームの走査速度、レーザ走査システムダイナミクスなどの加工特性に影響するレーザシステムパラメータに基づいて、レーザ変調及び平均ビームの電力を調整するように、加工要求に応じて、例えば、グラフ1122に示されるように変化させることができる。グラフ1122は、一定のT変調及び一連のサイクル1124にわたって0%から50%を超えて増加する可変のPデューティを有する特定の例を示す。別の例によれば、Pデューティの変動は、フィードバックに基づいて、又はフィードバックなしに、ステップ、ランプ、又は他の機能において提供することができる。いくつかの例では、Pデューティを、選択されたT低又はT高を提供し、T変調を増加又は減少させることによって変化させることができる。いくつかの例では、ビーム変調は、単一の変調サイクルに対して提供され得る。変調周期T変調及び/又はデューティファクタもまた、材料によって吸収される一定又は均一のフルエンス若しくはエネルギーを維持するか、又は標的1104において材料によって吸収されるフルエンス若しくはエネルギーを変化させるように、走査経路特性、走査システムダイナミクスに基づいて、又は標的1104、溶融プール1108、排出された材料、及び排出沈殿物1112(排出パターン1114a、1114bを含む)など若しくはそれらの任意の組み合わせの検出された特性に基づいて、加工中に変化させるか又は調整することができる。
【0055】
図12は、標的1200においてレーザスポット1204を形成し、走査経路1206に沿って方向付けられたレーザビーム1202による金属粉末の標的1200の加工を示す。レーザスポット1204は、標的1206の一部を選択的に溶融して、融合部分1210の中に冷却する液体部分1208を形成する。示されるように、レーザスポット1204は、一定のレーザビームの電力を有しており、
図12の平面の右方向に一定の走査速度で走査される。第1の走査経路部分1214に沿って、レーザスポット1204のエッジトレース1212aと1212bとの間に一定の分離距離が延在する。加工中、標的1200がレーザスポット1204によって加熱されるときの金属粉末の物質相の不安定性の変化は、融合部分1210に隣接して及び/又は融合部分1210内に排出パターン1216を形成し得、融合部分1210の標準以下の材料特性、並びに標的1200の原料粉末の凝集及び微細不整合を含む種々の弊害に関連付けられ得る材料の排出をもたらす。
【0056】
第2の走査経路部分1218に沿って、レーザスポット1204は、エッジトレース1212aと1212bとの間の可変の分離距離によって示される領域変調を受ける。分離距離は、ビーム領域の変調周波数に対応する空間変調周期T
変調及び標的1200に対するレーザスポット1204の走査速度に応じて、最小幅D
最小と最大幅D
最大との間で変化させることができる。ビーム領域及び対応するビーム領域の変調周波数の変調は、レーザビーム1202に光学的に結合され、ビーム形状を調整するように配置され得るビームエキスパンダ、焦点調整器、又は他の光学構成要素を備えることができる。明確にするために、
図12に描かれたT
変調は、レーザスポット1204の最小直径D
最小又は融合部分1210の幅ほどの長さを有する。他の例では、T
変調は、D
最小の100倍、10倍、1倍、1/5、1/10、1/50、1/100又は融合部分1210以下であり得る。いくつかの例では、ビーム領域の変調周波数若しくは空間変調周期T
変調又はその両方を、標的1200の粉末材料、液体部分1208、排出された材料の材料応答性質、又は排出パターン1216、金属粉末の蒸気圧、検出若しくは推測された光学特性、温度、熱緩和時間、冷却速度などを含む他の関連付けられた特徴若しくは性質に基づいて調整することができる。レーザスポット1204が第2の走査経路部分1218において変調を受けた後、排出パターン1216の密度が減少し、その結果、融合部分1210の材料性質が改善される。
【0057】
図13において、レーザスポット1300は、屈曲領域1306を含む走査経路1304に沿って選択的レーザ溶融標的1302に方向付けられている。標的1302の走査及び加工に、標的1302の粉末材料から溶融プール1308が形成され、次いで凝固して固体領域1310が形成される。レーザスポット1300は、特徴的な動的応答を有する、1つ以上の走査ミラー、アクチュエータ、又は他の光学構成要素を含む、走査システムを用いて、電力曲線1316を有するグラフ1314に示されるように、を走査経路1304に沿って一定の電力で方向付けることができる。いくつかの例では、一定の走査速度コマンドであっても、屈曲領域1306におけるレーザスポット1300の方向変化に関連付けられた動的応答を、グラフ1320において走査速度
【数1】
の曲線1318で示される走査速度の減少に関連付けることができ、グラフ1324におけるフルエンスF(s)曲線1322で示される標的1302におけるフルエンスの増加に関連付けることができる。屈曲領域1306において、フルエンスの増加は、1つ以上の物質相中の金属粉末に関連付けられた蒸気圧の増加を含む過剰な加熱及び物質相の不安定性をもたらし得る。液相又はプラズマ相の粉末材料は、屈曲領域1306内の溶融プール1308から排出され得、その結果、グラフ1328中の排出密度ρ(s)曲線1326で示されるように、走査経路1304に沿って排出パターン1312が形成される。更なる例では、屈曲領域1306に出入りする走査経路1304のセグメントの近接もまた、屈曲領域1306近傍での熱負荷の増加と、蒸気圧及び関連付けられた物質相の不安定性の局所的増加をもたらす走査経路セグメントの出入りとに関連付けることができる。
【0058】
本明細書におけるいくつかの実施形態では、蒸気圧力を、溶融プール1308の特性の光学的検出又は溶融プール1308に近接する特性に基づいて近似又は測定することができる。例えば、1つ以上の光学検出器を、例えば、選択的レーザ溶融標的1302を考慮して、又はレーザスポット1300を走査経路1304に沿って走査するレーザスキャナを通じてレーザスポット1300に結合することができる。蒸気圧監視装置を、1つ以上の光学検出器からの光学検出信号を受信し、検出された光学信号を蒸気圧の測定値に変換するように配置することができる。いくつかの実施形態は、シュテファン・ボルツマンの熱放射関係などによって、溶融プールの温度を決定するように配置された光学高温計を含み得、物質相間のクラウジウス・クラペイロン関係の近似値により蒸気圧の近似値を得ることができる。典型的な例では、局所温度、標的温度、周囲圧力などの他のパラメータを検出又は近似することができ、光学検出信号と共に使用して蒸気圧の測定値を生成することができる。いくつかの例では、蒸気圧監視装置を、走査経路1304に沿ってレーザスポット1300の生成及び/又は移動を制御するレーザコントローラに又はその一部に結合することができる。蒸気圧の測定値は、記録目的のために格納することができ、部品シリアル番号、粉末材料ロットなどの製造部品に関連する。部品故障又は部品試験結果の傾向を、蒸気圧の測定値及び/又は変動に関連付けることができる。加工中又はその後の加工において、蒸気圧を監視することにより、所定の閾値に対する傾向又は変動を検出することができ、傾向を和らげるように補正変調を適用することができる。
【0059】
図14Aは、
図13に示される走査経路1304及び屈曲領域1306と同様の屈曲領域1404を含むレーザスポット1402の走査経路1400を示す。
図14Bは、レーザスポット1402及び走査経路1400に関連付けられた時間P(t)曲線1407に対する電力のグラフ1406、並びにそれぞれの走査速度
【数2】
の曲線1422、フルエンスF(s)曲線1424、及び排出密度ρ(s)曲線1426を示す関連グラフ1416、1418、1420を示す。レーザスポット1402のウェーク及び関連付けられた溶融プール1412における選択的レーザ溶融標的1410の粉末材料の走査経路1400に沿って融合領域1408が形成される。走査経路の位置s
1に対応する時間t
Aにおいて、レーザスポット1402は、選択された走査速度で、
図14Aの平面において右に走査されている。走査経路の位置s
2に対応する時間t
Bにおいて、レーザスポット1402の走査速度は、走査方向を変えるように遅くなり、屈曲領域1306中を走査し、走査方向を反転させる。走査経路の位置s
3に対応する時間t
Cにおいて、レーザスポット1402は、
図14Aの平面において左の走査方向に時間t
Aにおける走査速度まで再加速され、走査位置s
4に対応する時間t
Dにおいて前の走査速度を達成する。
【0060】
屈曲領域1404に関連付けられた物質相の不安定性を低減するために、レーザスポット1402の電力は、屈曲領域1404内又はその近傍、例えば、時間t
Bとt
Cとの間の選択されたデューティサイクルP
デューティを有する変調周期T
変調に従って、パワーレベルP
高とP
低と間で変調される。変調は、フルエンスF(s)曲線1424で示されるように、より均一な量のエネルギーがレーザ溶融標的1410の加工領域に伝達されるように、レーザスポット1402の平均パワーを低減する。走査移動に対してエネルギーの伝達が正規化されると、関連する排出密度ρ(s)曲線1426でも描かれるように、形成される排出パターン1414は、
図13に示される排出パターン1312と比較すると、より小さいものであり、より少ない排出粒子を含有する。可変の変調周期T
変調及び可変のデューティサイクルP
デューティを含む、種々の長さの変調周期T
変調及び1つ以上の高い電力で種々のパーセンテージを有するデューティサイクルP
デューティを使用することができる。変調は、走査経路1400の所定の特性に基づいて、並びに標的1410、融合領域1408、溶融プール1412、排出パターン1414、排出粒子、走査経路1400などを含むレーザスポット1402の又はその近傍の検出された特性に基づいて適用することができる。いくつかの例では、レーザスポット1402は、屈曲領域1404又は時間t
B及びt
Cの前若しくは後であるが、増加したデューティサイクルP
デューティ若しくは変調周期T
変調(又はその両方)で、走査経路1400に沿って交流電力のレベル間で変調される。いくつかの例では、関連付けられた電力の立ち上がり時間及び立ち下がり時間は、変調周期T
変調の変動に伴ってレーザスポット1402の平均を変化させることができる。
【0061】
図15は、走査経路1500が屈曲領域1506を含む選択的レーザ溶融標的1504を横切って走査されるレーザスポット1502の走査経路1500の一例を示す。レーザスポット1502のウェーク及びレーザスポット1502を横断する関連付けられた液体溶融領域1510において一定の幅で融合領域1508が形成される。走査されたレーザスポット1502の対向するエッジトレース1512a、1512bは、走査経路1500の直線部分の間に融合領域1508から第1の距離で整合するか又は第1の距離だけ離間し、屈曲領域1506において融合領域1508から逸れる。レーザスポット1502が屈曲領域1506中を走査するにつれて、液体溶融領域1510の混合物質相に関連付けられた不安定性を減少させるために、屈曲領域1506の少なくとも一部及び屈曲領域1506近隣にわたってレーザスポット1502のサイズが増加される。不安定性が減少するにつれて、
図13に示される同様の屈曲領域1306と比較して、屈曲領域1506内の融合領域1508の形成中に、より少ない粉末粒子1514が排出される。
【0062】
図16では、選択的レーザ溶融加工での使用に適したレーザシステム1600の概略が示されている。レーザシステム1600は、レーザビーム1604を発生させるように配置されたレーザ源1602と、レーザビーム1604を受光し、ビームサイズを変化させて、拡大されたレーザビーム1608を発生させるように配置されたビームエキスパンダ1606と、拡大されたレーザビーム1608を受光するように、かつビームスポット1614に集束され、選択的レーザ溶融標的1616の選択された領域内のレーザ走査経路に沿って方向付けられている集束させたビーム1612を形成するように配置されたレーザスキャナ1610とを含む。ビームスポット1614が標的1616を加熱すると、金属粉末が溶融し、冷却する溶融プール1618が形成されて、融合材料1620が形成される。金属粉末は沸騰し、種々の飛散パターンを形成する排出物1622の粒子の形態で溶融プール1618から排出することができ、基準を下回る材料(subnominalmaterial)の性質及び特性を有する融合領域1620の形成に関連付けることができる。選択的レーザ溶融中、融合領域1620上で選択的に溶融される材料の連続層は、物体を構成する複数の層の全体的な品質を弱めるか、又は低下させることがある。
【0063】
レーザシステムコントローラ1624は、レーザ源1602に結合され、レーザビーム1604の発生を制御し、更にビームエキスパンダ1606に結合されて、拡大されたレーザビーム1608の拡大の程度を制御する。レーザシステムコントローラ1624はまた、標的1616において集束させたビーム1612の焦点及び位置を制御するように、レーザスキャナ1610に結合されている。レーザシステムコントローラ1624はまた、光検出器の信号1628を受信するように、光検出器1626に結合することができる。光検出器1626は、選択的レーザ溶融加工の1つ以上の光学特性を監視するように、ビームスポット1614に近接する標的1616に光学的に結合される。例えば、加工中のビームスポット1614の位置又はその近傍から出てくる光束1632が、レーザスキャナ1610の光学部品を通って伝播し、ビームスプリッタ1630で反射して光検出器1626に方向付けられるように、拡大されたレーザビーム1608の伝播経路内にビームスプリッタ1630などのビームピックオフを配置することができる。光検出器1626は、フォトダイオード、高温計、赤外線温度計、サーモグラフィカメラのうちの1つ以上を含む種々のタイプのものであり得、レーザスキャナ1610の光学部品を通す代わりに、標的1616及びビームスポット1614の表面に直接光学的に結合することもできる。例えば、光検出器1627は、標的表面を直接見ることができるか、又はビームスプリッタ1629によってビーム経路に結合することができる。
【0064】
いくつかの例では、光検出器の信号1628は、溶融プール1618及び排出物1622など標的1616の一部の温度に対応する。追加の実施形態では、光検出器の信号1628は、ビームスポット1614における又はその近傍の標的1616の直接画像化を含む、溶融プール1618若しくは排出物1622の反射、発光、スペクトル、散乱、又は他の光電力シグネチャに対応する。更なる例では、プローブ源1634は、例えば、ビームスプリッタ1638を通って標的1616に方向付けられ得るプローブビーム1636を放射するように配置される。プローブビーム1636は、例えば、吸収、反射、透過、回折、散乱などにより、溶融プール1618又は排出物1622と光学的に相互作用して、光検出器1626によって受光され、光検出器の信号1628に変換される光束1632を生成することができる。代表的な例では、検出された光束1632は、レーザビーム1604の波長からオフセットされた1つ以上のスペクトル成分を含む。
【0065】
レーザシステムコントローラ1624は、1つ以上のプロセッサ1642及びメモリ1644を有するコンピューティング環境1640を含む。いくつかの例では、プロセッサ1642は、縮小された又は複雑な命令のセットのコンピューティングアーキテクチャに基づいて構成され得、1つ以上の汎用中央処理ユニット、特定用途向け集積回路、グラフィクス、又は共通の処理ユニット若しくは他の処理ユニットを含むことができる。メモリ1644は、揮発性メモリ(例えば、レジスタ、キャッシュ、RAM)、不揮発性メモリ(例えば、ROM、EEPROM、フラッシュメモリなど)、又は揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせであり得る。メモリ1644は、概して、プロセッサ1642によってアクセス可能であり、メモリ1644に結合されたプロセッサ1642によって実行され得るコンピュータ実行可能命令の形態でソフトウェアを格納することができる。メモリ1644はまた、磁気媒体、CD-ROMS、DVD、又は非一時的な方法で情報を格納するために使用され得、コンピューティング環境1640内でアクセスされ得る任意の他の媒体を含む取り外し可能又は取り外し不可能なストレージを含むことができる。
【0066】
典型的な例では、メモリ1644は、命令、データアレイ、ルックアップテーブルなどを格納することができ、本明細書において記述される1つ以上の方法の工程及びアルゴリズムを実現する。例えば、レーザシステムコントローラ1624は、レーザ源1602、ビームエキスパンダ1606、及びレーザスキャナ1610を含むレーザシステム1600の1つ以上の構成要素に結合されたレーザコマンド信号1648を通じてレーザビーム1604のパワーレベルの変調を開始又は調整するように配置されたビーム変調制御1646を含むことができる。代表的な実施形態では、ビーム変調制御1646は、受信した光検出器の信号1628に基づいて、ビーム変調周期、ビーム変調デューティサイクル、及びビーム変調のパワーレベルを交互に高いパワーレベルと低いパワーレベルとの間で離散的に変化させ得、発生したレーザビーム1604の平均パワーにおいて所定の変化を生じさせる。例えば、ビーム変調制御1646は、光検出器の信号1628が閾値を下回って低減するように、物質相の不安定性、排出物、蒸気圧、又は他の特徴に関連付けられた所定の閾値を超える光検出器の信号1628に応答して、種々の変調を提供することができる。更なる例は、パワーレベルのアナログ変動を提供することができる。離散的な例では、3つ以上のパワーレベル間での交互が可能であり、種々の変調シーケンス(例えば、P1-P2-P3、P1-P2-P3-P2-P1、P2-P1-P3-P1-P2など)におけるもの及び非同等周期の継続時間を有するものを含む。低いパワーレベルは、ゼロ又は非ゼロ電力に対応することができる。追加の実施形態では、ビーム変調制御1646は、ビーム領域内の変動に基づいて溶融プール1618における電力密度を低減し、光検出器の信号1628を所定の閾値を下回るように、ビームエキスパンダの変調信号1650を通じてビームスポット1614の領域を変調する。更なる実施形態では、ビーム変調制御1646は、レーザスキャナ1610に送られるレーザスキャナコマンド信号1652の焦点調整信号部分で標的1616のビーム領域を変調する。
【0067】
いくつかの例では、フォトダイオードルックアップテーブル1654を使用して、光検出器の信号1628の値とビーム変調制御1646のための変調量とを関連付けることができる。更なる例では、光検出器の信号1628を、溶融プール1618又はその近傍の金属粉末に対応する蒸気圧の量又は方程式に関連付ける蒸気圧対応テーブル1656が設けられている。光検出器の信号1628及び蒸気圧対応テーブル1656から決定された蒸気圧に基づいて、ビーム変調制御1646の変調率を調整することができる。レーザシステムコントローラ1624はまた、標的1616の材料組成、粉末サイズ、又は他の特徴に関連付けられた選択可能な材料プロファイル1658を含むことができる。いくつかの実施形態は、ビームスポット1614の走査のためのパターン情報を提供するパターンファイル1660と、レーザ源1602を通電及び非通電させるゲートコマンド信号1664を提供し得るゲートソース1662とを含むことができる。
【0068】
レーザコントローラ1624は、レーザスキャナ1610に1つ以上の方程式、パラメータ、又はデータテーブルを記述するレーザスキャナダイナミクス1666を含むことができる。走査中、方向の変化、アーク、円などによるビームスポットの加速及び減速は、標的1616に伝達されるフルエンス量を変化させることができ、小さい特徴などの形成中、例えば、走査方向の変化の前後において、隣接する走査経路セグメント間の近接は、局所的に熱負荷を増加させ、溶融プール1618の温度の動的変動を生じさせることができる。パターンファイル1660によって画定される所与の走査経路については、フルエンスが融合領域1620の形成に関連付けられた加工閾値内に残り、物質相の不安定性が抑制されるように、ビーム変調制御1646によって提供される変調を走査経路特性及びレーザスキャナダイナミクス1666に基づいて調整することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、ビーム変調制御1646は、光検出器の信号1628、光検出器1426、又は標的1616の光学特性の関連付けられたその場の又は同時期に起こる検出を伴うことなく決定される。例えば、金属粉末材料を選択し試験して、種々の融合、溶融プール、蒸気圧、排出物、不安定閾値、又は他のレーザ応答特性(例えば、走査速度、ビームサイズ、ビーム形状、ピーク電力、平均パワーなど)を決定することができ、種々のレーザ変調を提供して、加工に適した変調を決定することができる。材料プロファイル1658には、選択された金属粉末、又は幅、深さ、特徴サイズ、粒度などを含むレーザ及び融合させた物体の特性などの他の加工パラメータに関連付けられた決定された変調パラメータが含まれ得る。異なるレーザ材料の加工パラメータは、異なる金属粉末で又は同じ物体の異なる部分のために使用するために選択することができる。
【0070】
図17は、選択的レーザ溶融標的において改善されたレーザ加工結果を生成するためにビーム変調を調整する方法1700を示す。1702では、レーザ走査コマンドに従って、レーザ源で発生させたビームを、標的へ走査経路に沿って方向付ける。ビームは、典型的には、標的の金属粉末が溶融及び融合するように選択された平均パワーを有する集束させたスポットを形成する。代表的な例では、ビームが走査経路を横切るにつれて、ビームスポット及びビームスポットのウェークに溶融プールが形成される。1704で、溶融プール又は溶融プールに近接する標的の光学特性が検出され、対応する信号が発生されるように、光検出器が標的及び走査経路に光学的に結合される。
【0071】
1706では、レーザコントローラは、光検出器の信号を受信し、その信号を、溶融プールの不安定性及び望ましくない融合又は標的特性と相関し得る、溶融プールの温度、蒸気圧、排出された粉末材料、プラズマ形成などの標的の特性に関連付けられた1つ以上の信号閾値と比較する。閾値条件に満たない信号については、1708で、信号及び関連付けられた溶融プールの不安定性を低減する(又は検出された特性に応じて増加する)レーザビーム変調が決定される。代表的な実施形態では、信号に応答して選択されたビーム変調は、標的における平均ビームパワーの低減に対応する1つ以上の周期、デューティサイクル、及びパワーレベルを有する2つ以上のビームパワー間での交互を含むことができる。いくつかの例では、ビーム変調は、ビームパワーのアナログ変動を含むことができる。更なる例では、ビーム領域又はビーム焦点は、標的におけるビームの平均パワーが変化するように変更される。
【0072】
いくつかの例では、光検出器に対する応答時間並びにレーザシステムによるレーザビームの生成及び終了に基づいて、検出の際に存在する溶融プールの少なくとも一部に変調を提供することができる。1710では、決定された変調でレーザビームが変調され、1704では、溶融プール及び標的が繰り返し又は連続的な検出を受ける。閾値内の信号については、変調が最小レベルでない場合、変調を1714においてテーパすることができるように、最小変調条件を1712においてチェックすることができる。1706における信号の追加チェックは、ゼロ変調又は非ゼロ変調を含む最小又は所定のレベルまで変調をテーパし続けることを可能にすることができる。いくつかの例では、信号条件は閾値の外であり得、要求された変調は、所定の材料加工ウインドウの外側である平均パワーを生成する。
【0073】
ビームが走査経路に沿って方向付けられるとき、1716において、走査コマンド又は走査経路は、典型的には、走査経路に沿ってレーザビームの方向を提供するスキャナミラー及びミラーアクチュエータに関連付けられた走査経路のダイナミクスと比較される。走査経路のダイナミクスは、標的においてフルエンス変動を生じさせることがあり、その結果、過熱などによる、対応するレーザ加工のための許容フルエンスから外れる。1716での比較に基づいて、ビーム変調を調整するか否かの決定を1718でなすことができる。変調調整のために、レーザコントローラは、1720において、ビームの走査移動に関連付けられたフルエンス変動を緩和するビーム変調を決定する。例えば、所定の一定の連続波の電力又は平均パワーを有する遅延ビームは、標的の領域に伝達される光束を増加させ、不十分なレーザ加工材料を生成することがある。1722では、フルエンス変動を低減するように、1720で決定された変調に基づいてビームが変調される。走査ダイナミクスに基づいてビームの変調を調整し続けることができるように、走査コマンドを1716で比較するプロセスを繰り返すことができる。いくつかの例では、1708、1714、1722で適用される変調を比較して、用途の優先度を決定することができる。例えば、走査ダイナミクスに基づいて適用される変調は、1712で最小変調に対応することができ、1712、1718で考慮される変調は、決定がなされる前に比較することができる。
【0074】
図18は、選択的溶融レーザ加工を説明するグラフ1800、1802、1804を示す。グラフ1800は、溶融プール、融合領域、又は金属粉末の特性などの選択的に溶融される標的の特性σ(x)を追跡する。例としては、排出密度、融合強度、粒度、融合領域の形状(例えば、幅、深さ)などが挙げられ得る。グラフ1802は、標的の金属粉末の選択的溶融を遂行するように発生し標的に方向付けられたレーザビームのパワーレベルP
ビームを示す。グラフ1804は、光検出器の信号、又は溶融プール、融合領域、又は金属粉末などのビーム-標的インターフェース若しくはその近傍において標的から受信される光検出器の信号に関連付けられた信号の信号レベルP
信号を示す。時間t
1において、例えば、溶融プール内の物質相の不安定性に関連付けられ得るビーム-粉末インターフェースにおけるランダムな摂動のために、信号隆起1806として示されるP
信号が増加する。P
信号は、温度、蒸気圧、光散乱、排出物の移動に関連付けられたドップラ特性、散乱、排出パターン、パターン密度などの光排出シグネチャ、プラズマ励起又は他の物質相の不規則性に関連付けられた放射若しくはスペクトル線比などのスペクトル特性、直接画像化、並びに物質相の不安定性、反射、及び吸収の変動を示す画像変動などに対応することができる。
【0075】
P信号の増加に応答して、レーザビームの発生を制御するレーザコントローラは、周期T変調及びデューティサイクルPデューティを含む選択可能な変調特性を備えるビーム変調1808を開始することができる。検出されたP信号の増加に応答して、ビーム変調1808を迅速に発生させることができる。選択されたビーム変調なしに、特性σ(x)は、線1810、1812、1814で示されるように変動し、製造部品の脆弱化又は欠陥を含む、レーザ加工に関する許容結果から生成することができる。選択されたビーム変調により、特性σ(x)は、線1816で示されるように低減された変動を経験することができ、溶融及び融合させた製品に対して改善された又はより均一な材料特性を生成することができる。時間t2において、P信号は変調のための閾値を下回って減少し、ビーム変調1808は終了することができる。時間t3において、P信号は、レーザ加工ビームPビームの電力がスパイク1818に応答して調整されない場合に生成される、特性σ(x)における変動1820、1822、1824に対応し得るスパイク1818を示す。レーザコントローラは、P信号のスパイク1818に応答して変調1826を生成し、特性σ(x)に対してより一貫した線1828が生成される。変調1826は、所定の持続時間、例えば、t4-t3に基づいて、又は標的に関連付けられた別個の信号の検出に基づいてt4で終了し得る。
【0076】
例示された実施形態を参照して開示された技術の原理を説明し、図示したが、例示された実施形態はそのような原理から逸脱することなく構成及び詳細に関して変更することができる。例えば、例示された実施形態の要素は、ソフトウェア又はハードウェアにおいて実装され得る。また、任意の例からの技術は、他の例のうちの任意の1つ又は2つ以上で記載された技術と組み合わせることができる。例示された例を参照して記載されたようないくつかの手順及び機能は、単一ハードウェア又はソフトウェアモジュールにおいて実装され得て、あるいは別個のモジュールが提供できることが理解されよう。上記特定の構成は、便宜上の図示のために提供されており、他の構成も使用可能である。
【0077】
開示された技術の原理が適用され得る多くの可能な実施形態を鑑みて、図示された実施形態は代表的な例に過ぎず、本開示の範囲を限定するものではないことを認識するべきである。これらのセクションで特別に言及された代替は、単なる例示であり、本明細書に記載された実施形態の全ての可能な代替を構成するものではない。例えば、本明細書に記載されたシステムの様々な構成要素は、機能及び使用において組み合わせられてもよい。したがって、添付の特許請求の範囲内と趣旨にある全てを請求する。