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特許7268966開閉扉、プリント紙排出機構および精算機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】開閉扉、プリント紙排出機構および精算機
(51)【国際特許分類】
   G07F 9/00 20060101AFI20230426BHJP
【FI】
G07F9/00 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018117320
(22)【出願日】2018-06-20
(65)【公開番号】P2019219958
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-06-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】松田 隆一
(72)【発明者】
【氏名】津森 宏治
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-086039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
精算機に組み込まれるプリンタによって情報を印刷されたロール紙であるプリント紙を保持する紙保持空間の手前側を開閉する開閉扉であって、 前記の紙保持空間へ向かって押し開きが可能であるように扉軸部によって軸支持されており、 前記の紙保持空間においては、印刷を終えたプリント紙を前記の扉軸部と反対側から排出される排出口を備えるとともに、 その排出口から排出されるプリント紙は、前記の扉軸部の側を凸とするように湾曲する向きへ排出されるようにしており、 前記の開閉扉におけるプリント紙の側には、開閉扉を紙保持空間の側へ回動させた場合にプリント紙を扉軸部と反対側へ向かって押し付けるとともにプリント紙の排出口と略同一の高さに形成される紙抑制片を備えた開閉扉。
【請求項2】
前記の紙保持空間の上部には、コイン排出口を備えており、 前記の紙抑制片は、前記のコイン排出口から排出されるコインが所定の位置へ移動することを妨げない形状をなしていることとした請求項1に記載の開閉扉。
【請求項3】
前記の紙抑制片は、前記の扉軸部の軸方向に複数備えることした請求項1または請求項2のいずれかに記載の開閉扉。
【請求項4】
前記の扉軸部の軸方向が水平である場合において、 前記の開閉扉は、前記の扉軸部と平行な別の軸と、 前記の別の軸を回動軸として自重にて回動可能な板状の前垂れとを備え、 前記の紙抑制片は、前記の前垂れへ備えた請求項1から請求項3のいずれかに記載の開閉扉。
【請求項5】
精算機に組み込まれるプリンタによって情報を印刷されたロール紙であるプリント紙を保持する紙保持空間を形成する箱体と、 その箱体が形成する前記の紙保持空間の手前側を開閉する開閉扉と、を備えたプリント紙排出機構であって、 前記の開閉扉は、前記の紙保持空間へ向かって押し開きが可能であるように扉軸部によって軸支持されており、 前記の紙保持空間においては、印刷を終えたプリント紙を前記の扉軸部と反対側から排出される排出口を備えるとともに、 その排出口から排出されるプリント紙は、前記の扉軸部側を凸とするように湾曲する向きへ排出されるようにしており、 前記の開閉扉におけるプリント紙の側には、開閉扉を紙保持空間の側へ回動させた場合にプリント紙を扉軸部と反対側へ向かって押し付けるとともにプリント紙の排出口と略同一の高さに形成される紙抑制片を備えることとしたプリント紙排出機構。
【請求項6】
前記の紙保持空間の上部には、コイン排出口を備えており、 前記の紙抑制片は、前記のコイン排出口から排出されるコインが所定の位置へ移動することを妨げない形状をなしていることとした請求項5に記載のプリント紙排出機構。
【請求項7】
前記の紙抑制片は、前記の扉軸部の軸方向に複数備えることした請求項5または請求項6のいずれかに記載のプリント紙排出機構。
【請求項8】
前記の扉軸部の軸方向が水平である場合において、 前記の開閉扉は、前記の扉軸部と平行な別の軸と、 前記の別の軸を回動軸として自重にて回動可能な板状の前垂れとを備え、 前記の紙抑制片は、前記の前垂れへ備えた請求項5から請求項7のいずれかに記載のプリント紙排出機構
【請求項9】
請求項5から請求項7のいずれかに記載のプリント紙排出機構を備えた精算機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、料金精算機や自動販売機において採用される領収書などを印刷する印刷物発行の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
商品販売やサービス提供の無人化、省力化のために料金精算機や自動販売機が多用されている。そうした料金精算機や自動販売機においては、領収書を発行したり、クレジットカード決済の場合における利用明細書を発行したりする印刷物発行装置が内蔵されているものがある。
【0003】
特許文献1には、取付けスペースを小さくすることができるとともに、レシートの取出しを容易に行うことができる自動販売機が開示されている。すなわち、レシート発行機やレシート受け部を自動販売機内に取付けることができないという自動販売機に対応させた技術である。
【0004】
特許文献2には、既存の自動販売機に印刷物発行装置を簡単に追加装備することができるようにした技術が開示されている。より具体的には、自動販売機のメーカがオプション品として用意したレシートなどの各種印刷物を発行する装置について、ユーザの要請に応じて既存の自動販売機にも何らの改造を加えることなく簡単に後付けして使用,操作できるようにした印刷物発行装置が開示されている。
【0005】
特許文献3には、レシート、クーポン券などを発行する機能を自動販売機へ付加する際、容易に電気的接続が可能なクーポン券発行装置に関する技術が開示されている。
【0006】
料金精算機や自動販売機において、紙媒体へ印刷されるクーポン券、クレジットカード利用明細、領収書などは、ロール紙を用いることが一般的である。すなわち、円筒形または円柱形の芯材(ロール芯材)へ帯状の紙を巻き付けておき、巻き付けられた紙をロール芯材から必要なだけ引き出して印刷し、料金精算機や自動販売機のユーザに向かって排出させる機構を、料金精算機や自動販売機へ備えている。
【0007】
なお、引用文献2の図3,4、5などに開示されたような構造では、屋外に設置された料金精算機や自動販売機の場合、印刷された紙媒体が雨に濡れてしまうおそれがある。そうした事態を防ぐため、屋外に設置された料金精算機や自動販売機からユーザに向かって紙媒体を排出させる場合、印刷された紙媒体が雨に濡れないようにする必要がある。具体的には、紙媒体の排出部分は、ユーザに向かった面を開放した内部空間と、その内部空間を前垂れ式の開閉扉(フラッパー)で覆った構造を備えている(図1参照)。そして、その内部空間へ印字済みの紙媒体(プリント紙)を押し出して保持する紙保持空間とし、フラッパーを押し開けるユーザへプリント紙を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2001-273548号公報
【文献】特開2008-171064号公報
【文献】特許第5877551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ロール紙は、印刷される直前までロール芯材へ巻き付けられているので、丸くなる癖が付いている。そのため、内部空間にて印字済みの紙媒体(プリント紙)も丸まってしまうことが多い。
加えて、印字済みの領収書などを受け取ろうとするユーザが開閉扉を開けようとすると、丸まったプリント紙を押し込んでしまうことがある。この場合、プリント紙をユーザが取り出すのが困難となってしまう事態となってしまうことがある。
【0010】
本願発明が解決しようとする課題は、ロール紙へ印刷されるクーポン券、クレジットカード利用明細、領収書などを印字するプリンタ内蔵型の精算機や自動販売機を屋外へ設置する場合であっても、ユーザによるプリント紙の取り出し時に取り出せない事態の発生を抑制できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(第一の発明)
本願における第一の発明は、精算機(50)に組み込まれるプリンタによって情報を印刷されたロール紙であるプリント紙(20)を保持する紙保持空間(10)の手前側を開閉する開閉扉(30)に係る。
この開閉扉(30)は、前記の紙保持空間(10)へ向かって押し開きが可能であるように扉軸部(31)によって軸支持されており、
前記の紙保持空間(10)においては、印刷を終えたプリント紙(20)を前記の扉軸部(31)と反対側から排出される排出口(レシート排出口40)を備えるとともに、
その排出口(40)から排出されるプリント紙(20)は、前記の扉軸部(31)の側を凸とするように湾曲する向きへ排出されるようにしており、
前記の開閉扉(30)におけるプリント紙(20)の側には、開閉扉(30)を紙保持空間(10)の側へ回動させた場合にプリント紙(20)を扉軸部(31)と反対側へ向かって押し付ける紙抑制片(32)を備える(図2参照)。
【0012】
(用語説明)
「精算機(50)」は、サービス対価の支払い精算を無人で完結するための精算機、無人で物販をする自動販売機の両方を含む。一方、「精算機用リーダモジュール」とは、精算機用リーダモジュールを構成する各部品を組み立てられて形成され、精算機(30)のための筐体へ組み込まれることで精算機(30)となるモジュールである。
この精算機(30)を使用する人をユーザとし、そのユーザに近い側を「手前側」としている。
【0013】
「扉軸部(31)」は、その軸方向を水平とすることが一般的であるが、本願発明は水平方向として積極的に限定するものではない。たとえば、垂直方向であっても、本願発明に含む趣旨として、軸方向の限定はしていない。
「紙抑制片(32)」は、プリント紙(20)と接触した場合に滑りやすい材質または表面処理が施されていることが望ましい。
【0014】
(作用)
印刷を終えたプリント紙(20)は、扉軸部(31)の側を凸とするように湾曲する向きへ排出口(レシート排出口40)から排出され、紙保持空間(10)にて保持される。精算機(50)が屋外に設置されていたとしても、開閉扉(30)が存在するので、プリント紙(20)が雨に濡れるおそれは小さい(図2(a)参照)。
【0015】
精算機(50)を使用したユーザがプリント紙(20)を取り出そうとする場合、指で開閉扉(30)を紙保持空間(10)側へ押す。すると開閉扉(30)は、扉軸部(31)を中心として回動する。回動する際に、プリント紙(20)を扉軸部(31)と反対側へ向かって紙抑制片(32)が押し付ける。そのため、プリント紙(20)が紙保持空間(10)の奥へ押し込まれるような事態(図1(b)参照)とはならず、プリント紙(20)の先端側は、紙保時空間(10)におけるユーザ側へとどまる(図2(b)参照)。その結果、ユーザは、プリント紙(20)を取り出しやすい。
【0016】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の紙保持空間(10)の上部には、コイン排出口(50)を備えており、
前記の紙抑制片(32)は、前記のコイン排出口(50)から排出されるコインが所定の位置へ移動することを妨げない形状とするのである。
【0017】
ここで、コイン排出口(50)とは、精算機や自動販売機において釣り銭としてのコイン(硬貨)、精算機や自動販売機では使用不能であるコイン(硬貨)を排出するための口である。
コイン排出口(50)を紙保持空間(10)の上部に備えることで、本発明に係るモジュールを組み込んだ精算機や自動販売機は、プリント紙の排出口(レシート排出口40)と釣り銭受け取り口とを兼用とすることができる。
【0018】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明は、前記の紙抑制片(32)につき、前記の扉軸部(31)の軸方向に複数備えることとしてもよい。
たとえば、3枚(図3(a),(b)参照)としたり、2枚(図8(a))としたりする。
【0019】
(作用)
紙抑制片(32)の厚み寸法が大きいモノを単数で用意する場合に比べて、開閉扉(30)を軽量に提供できる。
コイン排出口(50)が紙保持空間(10)の上部に備えられている場合、扉軸部(31)の存在がコイン詰まりの原因となりにくい。
【0020】
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の扉軸部(31)の軸方向が水平である場合において、
前記の開閉扉(30)は、前記の扉軸部(31)と平行な別の軸(垂れ軸30B)と、
前記の別の軸(30B)を回動軸として自重にて回動可能な板状の前垂れ(30A)とを備え、
前記の紙抑制片(32)は、前記の前垂れ(30A)へ備えることとしてもよい(図9参照)。
【0021】
(作用)
ユーザが開閉扉(30)を指で押すと、開閉扉(30)は回動するものの、垂れ軸(30B)を中心として前垂れ(30A)は相対的に逆方向へ回動することで、実際には前垂れ(30A)は回動せず、垂れ下がったままとなる(図9(b)参照)。 開閉扉(30)が回動しても前垂れ(30A)および紙抑制片(32)がプリント紙(20)を抑えるので、プリント紙(20)が紙保持空間(10)の奥へ押し込まれる事態は起きにくい。
なお、前垂れ(30A)および垂れ軸(30B)を備えた構成とする場合、紙抑制片(32)を小さくすることができる。
【0022】
(第二の発明)
第二の発明は、精算機(50)に組み込まれるプリンタによって情報を印刷されたロール紙であるプリント紙(20)を保持する紙保持空間(10)を形成する 箱体と、
その箱体が形成する前記の紙保持空間(10)の手前側を開閉する開閉扉(30)と、を備えたプリント紙排出機構に係る。
前記の開閉扉(30)は、前記の紙保持空間(10)へ向かって押し開きが可能であるように扉軸部(31)によって軸支持されており、
前記の紙保持空間(10)においては、印刷を終えたプリント紙(20)を前記の扉軸部(31)と反対側から排出される排出口(レシート排出口40)を備えるとともに、
その排出口(40)から排出されるプリント紙(20)は、前記の扉軸部(31)の側を凸とするように湾曲する向きへ排出されるようにしており、
前記の開閉扉(30)におけるプリント紙(20)の側には、開閉扉(30)を紙保持空間(10)の側へ回動させた場合にプリント紙(20)を扉軸部(31)と反対側へ向かって押し付ける紙抑制片(32)を備えることとしたプリント紙排出機構である。
【0023】
(第二の発明のバリエーション1)
第二の発明に係るプリント紙排出機構において、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の紙保持空間(10)の上部には、コイン排出口(50)を備えており、
前記の紙抑制片(32)は、前記のコイン排出口(50)から排出されるコインが所定の位置へ移動することを妨げない形状とするのである。
【0024】
(第二の発明のバリエーション2)
第二の発明は、以下のようにしてもよい。
すなわち、前記の紙抑制片(32)につき、前記の扉軸部(31)の軸方向に複数備えることとしてもよい。
【0025】
(第二の発明のバリエーション3)
第二の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の扉軸部(31)の軸方向が水平である場合において、 前記の開閉扉(30)は、前記の扉軸部(31)と平行な別の軸(垂れ軸30B)と、 前記の別の軸(30B)を回動軸として自重にて回動可能な板状の前垂れ(30A)とを備え、
前記の紙抑制片(32)は、前記の前垂れ(30A)へ備えることとしてもよい(図9参照)。
【0026】
(第三の発明)
第三の発明は、第二の発明に係るプリント紙排出機構を備えた精算機に係る。
ここにいう「精算機」もまた、自動販売機を含む。
【発明の効果】
【0027】
第一の発明によれば、ロール紙へ印刷されるクーポン券、クレジットカード利用明細、領収書などを印字するプリンタ内蔵型の精算機や自動販売機を屋外へ設置する場合であっても、ユーザによるプリント紙の取り出し時に取り出せない事態の発生を抑制できる開閉扉を提供することができた。
また、第二の発明によれば、ロール紙へ印刷されるクーポン券、クレジットカード利用明細、領収書などを印字するプリンタ内蔵型の精算機や自動販売機を屋外へ設置する場合であっても、ユーザによるプリント紙の取り出し時に取り出せない事態の発生を抑制できるプリント紙排出機構を提供することができた。
また、第二の発明によれば、ロール紙へ印刷されるクーポン券、クレジットカード利用明細、領収書などを印字するプリンタ内蔵型の精算機や自動販売機を屋外へ設置する場合であっても、ユーザによるプリント紙の取り出し時に取り出せない事態の発生を抑制できる精算機を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】従来技術における精算機のプリンタ周辺の構成を示す図である。
図2】本発明の第一の実施形態を示す概念図である。
図3】開閉扉の三面図である。(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
図4】プリント紙排出機構の開閉扉がどのように動くかを示すため、開閉扉が閉塞した状態を示す側断面図である。
図5】プリント紙排出機構の開閉扉がどのように動くかを示すため、開閉扉が半開した状態を示す側断面図である。
図6】プリント紙排出機構の開閉扉がどのように動くかを示すため、開閉扉が全開した状態を示す側断面図である。
図7】開閉扉について第二および第三の実施形態を示す側面図である。
図8】開閉扉について第四および第五の実施形態を示す斜視図である。
図9】開閉扉について第六の実施形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(全体の説明)
以下、本発明を実施の形態及び図面に基づいて、更に詳しく説明する。ここで使用する図面は、図1から図9である。図1は、従来技術であるが、比較のために参照することがある。
ここで、精算機とは、サービス対価の支払い精算を無人で完結するための精算機、無人で物販をする自動販売機の両方を含む。
【0030】
図2
図2は、第一の実施形態に係るプリント紙排出機構であり、後述する精算機に組み込まれる。
このえたプリント紙排出機構は、精算機に組み込まれるプリンタによって情報を印刷されたロール紙であるプリント紙20(レシートなど)を保持する紙保持空間10を形成する箱体と、 その箱体が形成する前記の紙保持空間10の手前側を開閉する開閉扉30(フラッパー)と、を備える。
【0031】
開閉扉30は、紙保持空間10へ向かって押し開きが可能であるように、上端部分を水平に貫く扉軸部31によって軸支持されている。図示は省略するが、扉軸部31にはスプリングが内蔵されている。そのスプリングは、開閉扉30が紙保持空間10へ向かって押し開いた場合に、垂直に垂れ下がる位置へ戻すような弾性力が働くように組み込まれている。
【0032】
紙保持空間10においては、図示を省略した印刷を終えたプリント紙20を扉軸部31と反対側から排出されるレシート排出口40を備えている。そのレシート排出口40から排出されるプリント紙20は、扉軸部31の側を凸とするように湾曲する向きへ排出される(図2(a))。
【0033】
開閉扉30におけるプリント紙20の側には、開閉扉30を紙保持空間10の側へ回動させた場合にプリント紙20を扉軸部31と反対側へ向かって押し付ける紙抑制片32を備えている。紙抑制片32は側面から見た場合に三角形をしている。単純な形状であるものの、プリント紙20を扉軸部31と反対側へ向かって押し付ける機能を果たすには十分だからである。
【0034】
紙抑制片32は、プリント紙20と接触した場合に滑りやすい材質を採用している。
この紙抑制片32が存在することで、プリント紙20は紙保持空間10における下方側へ押し付けられ、精算機を使うユーザがプリント紙20を取り出す際に、プリント紙20を紙保持空間10の奥側へ押し込むことはない(図2(b))。
【0035】
図1(b)では、紙抑制片32がないために、プリント紙20を紙保持空間10の奥側へ押し込でしまう状態を示しており、この場合には、ユーザがプリント紙20を取り出しにくい。
【0036】
紙保持空間10の上部には、コイン排出口50が備えられている。このコイン排出口50は、算機や自動販売機において釣り銭としてのコイン(硬貨)、精算機や自動販売機では使用不能であるコイン(硬貨)を排出するための口である。
コイン排出口50を紙保持空間10の上部に備えることで、本発明に係るモジュールを組み込んだ精算機や自動販売機は、レシート排出口40と釣り銭受け取り口とを兼用とすることができる。
【0037】
図3
図3では、図1に示した開閉扉30の三面図を示している。図3(a)は正面図、図3(b)は平面図、図3(c)は側面図である。
この実施形態においては、紙抑制片32を3枚備えた開閉扉30としている。3枚の紙抑制片32の間隔は、コイン排出口50から排出される硬貨の厚さよりも十分に広い。
【0038】
図4図5図6
図4から図6は、精算機60において、前述してきたプリント紙排出機構の開閉扉30および紙抑制片32(リブ付きフラッパー)がどのように動くかを示している。
開閉扉30(フラッパー)の閉塞時には、紙保持空間10を閉塞して雨水の浸入を防ぎ、開閉扉30(フラッパー)が全開した際には、紙抑制片32がコイン排出口へ到達する。
【0039】
図7
図7に基づいて、開閉扉30における紙抑制片のバリエーションについて説明する。
図7(a)に示すのは、紙抑制片32Aを側面から見た場合に四辺形となるような形状を採用している。
図7(b)に示すのは、紙抑制片32Bを側面から見た場合に半円形となるような形状を採用している。
【0040】
図8
図8に基づいて、開閉扉30における紙抑制片のバリエーションについて説明する。
図8(a)に示すのは、開閉扉30における紙抑制片32の形状は、図2,3にて示した実施形態と同じであるが、枚数を2枚としている。
【0041】
図8(b)に示すのは、紙抑制片32Cの形状を円筒形としている。ユーザが開閉扉30を勢いよく全開した場合に、コイン排出口付近へ衝突させても破損しにくい、といった特徴がある。
【0042】
図9
図9は、開閉扉30の全体形状を異ならせたバリエーションを示している。
ここに示す開閉扉30は、扉軸部31と平行な別の軸である垂れ軸30Bを備え、この垂れ軸30Bを回動軸として自重にて回動可能な板状の前垂れ30Aとを備えているのである。
そして、紙抑制片32Dは、図2に示した実施形態よりも小型のものを、前垂れ30Aへ備えている。
【0043】
ユーザが開閉扉30の中央付近を指で押すと、開閉扉30は回動するものの、垂れ軸30Bを中心として前垂れ30Aは相対的に逆方向へ回動することで、実際には前垂れ30Aは回動せず、垂れ下がったままとなる(図9(b))。
開閉扉30が回動しても前垂れ30Aおよび紙抑制片32Dがプリント紙20を抑えるので、プリント紙20が紙保持空間10の奥へ押し込まれる事態は起きにくい。
【0044】
前述してきたプリント紙排出機構を採用した精算機によれば、ロール紙へ印刷されるクーポン券、クレジットカード利用明細、領収書などを印字するプリンタ内蔵型の精算機や自動販売機を屋外へ設置する場合であっても、ユーザがプリント紙の取り出そうとして取り出せなくなってしまう事態の発生を抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、精算機(特に駐車料金精算装置であるが、自動販売機をも含む)を製造する製造業、精算機に用いるソフトウェアの開発業、精算機の修理やメンテナンスを行うサービス業、料金の精算機をレンタルするレンタル業、料金の精算機を代行する代行サービス業などにおいて、利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0046】
10;紙保持空間
20; プリント紙(レシート)
30; 開閉扉(フラッパー) 30A; 前垂れ
30B; 垂れ軸
31; 扉軸部
32; 紙抑制片(リブ) 32A; 紙抑制片( 四辺形型)
32B; 紙抑制片(半円板型) 32C; 紙抑制片( 円筒型)
32D; 紙抑制片(小型)
40 ; レシート排出口
41 ; バーコード読み取り機
50 ; コイン排出口
60 ; 精算機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9