(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】アングルブラケットを備える密閉断熱タンク
(51)【国際特許分類】
B65D 90/02 20190101AFI20230426BHJP
F17C 3/04 20060101ALI20230426BHJP
B63B 25/16 20060101ALI20230426BHJP
B63B 25/08 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
B65D90/02 B
F17C3/04 A
B63B25/16 102
B63B25/08 N
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018126609
(22)【出願日】2018-07-03
【審査請求日】2021-06-14
(32)【優先日】2017-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デュラン フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ル ルー ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】ブゴー ジョアン
(72)【発明者】
【氏名】ベルジェ ヴァンサン
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-173899(JP,U)
【文献】国際公開第2017/064413(WO,A1)
【文献】実開昭55-140200(JP,U)
【文献】特開2015-098903(JP,A)
【文献】国際公開第2017/068303(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 90/02
F17C 3/04
B63B 25/16
B63B 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多面体支持構造の中に組み込まれた密閉断熱タンクであって、前記支持構造の第1の支持壁(2)および前記支持構造の第2の支持壁(3)が前記支持構造のエッジコーナ(1)を形成し、前記タンクは前記第1の支持壁上に固定された第1のタンク壁、および前記第2の支持壁上に固定された第2のタンク壁を備え、前記タンク壁は対応する前記支持壁上に固定された断熱障壁、および前記断熱障壁によって支持された密閉膜を備え、
前記タンクは更にアングルブラケット(9)を備え、前記アングルブラケット(9)は、前記第1のタンク壁の前記断熱障壁によって支持された第1のフランジ(10)と、前記第2のタンク壁の前記断熱障壁によって支持された第2のフランジ(11)とを備え、前記第1のタンク壁の前記密閉膜の、前記エッジコーナ(1)に向いた端部が、前記アングルブラケット(9)の前記第1のフランジ(10)に密閉された形で固定され、前記第2のタンク壁の前記密閉膜の、前記エッジコーナ(1)に向いた端部が、前記アングルブラケット(9)の前記第2のフランジ(11)に密閉された形で固定され、それにより前記アングルブラケット(9)が、前記第1のタンク壁の前記密閉膜と前記第2のタンク壁の前記密閉膜とを、密閉された形で前記エッジコーナ(1)に沿って接続し、
前記アングルブラケット(9)は、前記第1のフランジ(10)のそれぞれの端部から前記第1の支持壁(2)の方向に各々が突出する一対の第1のタブ(33)と、前記第2のフランジ(11)のそれぞれの端部から前記第2の支持壁(3)の方向に各々が突出する一対の第2のタブ(33)とを備え、
前記タンクは一対の第1のアンカロッド(12)を備え、前記一対の第1のアンカロッドの各々は第1の端部と、前記第1の端部に対向する第2の端部とを含み、前記第1の端部は前記第2の支持壁(3)に固定され、前記第2の端部は前記一対の第1のタブ(33)の対応する第1のタブ(33)と連結され、前記第1のアンカロッド(12)の1つは前記第2の支持壁(3)から対応する前記第1のタブ(33)の方向に延在して、前記アングルブラケット(9)と前記第2の支持壁(3)との間に引張荷重を伝達し、前記アングルブラケット(9)を前記断熱障壁上に保持し、
前記タンクは一対の第2のアンカロッド(12)を更に備え、前記一対の第2のアンカロッド(12)の各々は第1の端部と、前記第1の端部に対向する第2の端部とを含み、前記第1の端部は前記第1の支持壁(2)上に固定され、前記第2の端部は前記一対の第2のタブ(33)の対応する第2のタブ(33)と連結され、前記第2のアンカロッド(12)の1つは前記第1の支持壁(2)から対応する前記第2のタブ(33)の方向に延在して、前記アングルブラケット(9)と前記第1の支持壁(2)との間に引張荷重を伝達し、前記アングルブラケット(9)を前記断熱障壁上に保持し、
前記第1のタブ(33)は、平らであり、前記第1のフランジ(10)の下面から前記第1のフランジに対して直角に突出し、前記第2のタブ(33)は、平らであり、前記第2のフランジ(11)の下面から前記第2のフランジに対して直角に突出し、 前記アングルブラケットの前記第1のタブ(33)の各々は、前記アングルブラケットの第2のタブ(33)と同一平面上にあり、前記第1のタブ(33)の各々は、前記第1のフランジ(10)に対して直角に延在する底部(35)を備えた切欠け(34)を有し、前記第2のタブ(33)の各々は、前記第2のフランジ(11)に対して直角に延在する底部(35)を備えた切欠け(34)を有する、密閉断熱タンク。
【請求項2】
前記アングルブラケット(9)の前記フランジ(10、11)および前記タブ(33)は単一の要素から形成され、それにより前記アングルブラケット(9)は一体となっている、請求項1に記載の密閉断熱タンク。
【請求項3】
前記第1のタブ(33)の1つが、前記アングルブラケット(9)の前記第1のフランジ(10)の側縁からある距離をおいて、前記第1の支持壁(2)に面した前記第1のフランジ(10)の下面から突出して、前記第1のフランジ(9)の一端を形成し、前記第2のタブ(33)の1つが、前記アングルブラケット(9)の前記第2のフランジ(11)の側縁からある距離をおいて、前記第2の支持壁(3)に面した前記第2のフランジ(11)の下面から突出して、前記第2のフランジ(11)の一端を形成する、請求項1または2に記載の密閉断熱タンク。
【請求項4】
前記エッジコーナ(1)と平行な前記第1のフランジ(10)の長手方向縁部は、前記第2の支持壁(3)に直角な方向に前記第1のタブ(33)を超えて突出しており、それにより前記第1のフランジ(10)の前記長手方向縁部は、前記第2の支持壁(3)に直角な前記方向に、前記第2の支持壁(3)から、前記第1のタブ(33)よりも更に離れており、前記エッジコーナ(1)と平行な前記第2のフランジ(11)の長手方向縁部は、前記第1の支持壁(2)に直角な方向に前記第2のタブ(33)を超えて突出しており、それにより前記第2のフランジ(11)の前記長手方向縁部は、前記第1の支持壁(2)に直角な前記方向に、前記第1の支持壁(2)から、前記第2のタブ(33)よりも更に離れている、請求項1~3のいずれか一項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項5】
前記第1のタンク壁の前記断熱障壁は、前記第1のタンク壁の前記密閉膜がその上に存在する第1の支持表面を形成し、前記第1のタンク壁の前記断熱障壁は、前記第1の支持表面の前記エッジコーナ(1)に向いた一端に配置された第1のミリング(26)を形成し、前記アングルブラケット(9)の前記第1のフランジ(10)は、前記アングルブラケット(9)の前記第1のフランジ(10)の上面が前記第1の支持表面と同一平面上にあるように、前記第1のミリング(26)内に収容されており、前記第2のタンク壁の前記断熱障壁は、
第2の支持表面と、前記第2の支持表面の前記エッジコーナ(1)に向いた一端に配置された第2のミリング(26)
とを形成し、前記アングルブラケット(9)の前記第2のフランジ(11)は、前記アングルブラケット(9)の前記第2のフランジ(11)の上面が前記第2の支持表面と同一平面上にあるように、前記第2のミリング(26)内に収容されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項6】
前記エッジコーナ(1)に沿って並置され、密閉された形で対になって接続されたアングルブラケット(9)列を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の密閉断熱タンクであって、
前記アングルブラケット列内のいくつかのアングルブラケットが、前記第1のタンク壁の前記断熱障壁によって支持された第1のフランジ(10)と、前記第2のタンク壁の前記断熱障壁によって支持された第2のフランジ(11)とを備え、前記第1のタンク壁の前記密閉膜の、前記エッジコーナ(1)に向いた端部が、前記アングルブラケット(9)の前記第1のフランジ(10)に密閉された形で固定され、前記第2のタンク壁の前記密閉膜の、前記エッジコーナ(1)に向いた端部が、前記アングルブラケットの前記第2のフランジ(11)に密閉された形で固定され、それにより前記アングルブラケット(9)は、前記第1のタンク壁の前記密閉膜と前記第2のタンク壁の前記密閉膜とを、密閉された形で前記エッジコーナ(1)に沿って接続し、
1つの前記アングルブラケット(9)は、前記アングルブラケット(9)の前記第1のフランジ(10)のそれぞれの端部から前記第1の支持壁(2)の方向に各々が突出する一対の第1のタブ(33)と、前記アングルブラケット(9)の前記第2のフランジ(11)のそれぞれの端部から前記第2の支持壁(3)の方向に各々が突出する一対の第2のタブ(33)とを備え、
前記タンクは、各々が第1の端部と、前記第1の端部に対向する第2の端部とを含む第1のアンカロッド(12)列を含み、前記第1のアンカロッド列内の複数の第1のアンカロッドは、前記第1の端部が前記第2の支持壁(3)に固定され、前記第2の端部が前記アングルブラケット(9)列内の少なくとも1つのアングルブラケット(9)の少なくとも1つの第1のタブ(33)に連結され、前記第1のアンカロッド(12)は、前記第2の支持壁(3)から、前記少なくとも1つの第1のタブ(33)の方向に延在して、前記少なくとも1つのアングルブラケット(9)と前記第2の支持壁(3)との間に引張荷重を伝達し、前記少なくとも1つのアングルブラケット(9)を前記断熱障壁上に保持し、 前記タンクは、第2のアンカロッド(12)の列を更に備え、前記第2のアンカロッドの各々は第1の端部と、前記第1の端部に対向する第2の端部とを含み、前記第2のアンカロッド列内の複数の第2のアンカロッドは、前記第1の端部が前記第1の支持壁(2)上に固定され、前記第2の端部は前記アングルブラケット(9)列内の少なくとも1つのアングルブラケット(9)の少なくとも1つの第2のタブ(33)に連結され、前記第2のアンカロッド(12)は、前記第1の支持壁(2)から、前記少なくとも1つの第2のタブ(33)の方向に延在して、前記少なくとも1つのアングルブラケット(9)と前記第1の支持壁(2)との間に引張荷重を伝達し、前記少なくとも1つのアングルブラケット(9)を前記断熱障壁上に保持する、密閉断熱タンク。
【請求項7】
1つの前記アンカロッド(12)の前記第2の端部は、前記アングルブラケット(9)列内の2つの隣接するアングルブラケット(9)に属する2つのアンカタブ(12)に共通して結合されて、前記2つの隣接するアングルブラケット(9)を前記断熱障壁上に保持する、請求項6に記載の密閉断熱タンク。
【請求項8】
前記第1のタンク壁の前記断熱障壁は、前記第1の支持壁(2)上に固定され前記エッジコーナ(1)に沿って並置された第1のエッジングブロック(5)列を含み、前記第1のエッジングブロック(5)の内の少なくとも2つが、前記第1のエッジングブロック(5)の厚さ内に前記第1のエッジングブロック(5)の上面から形成された溝(32)を含み、それにより前記第2の支持壁(3)から接近可能な空間が前記第1のエッジングブロック(5)内に形成され、前記一対の第1のアンカロッド(12)の前記アンカロッド(12)の各々は、前記2つの第1のエッジングブロック(5)の前記溝(32)内に収容されており、前記アングルブラケット(9)の前記第1のフランジ(10)は、前記2つの第1のエッジングブロック(5)と重なるように配置され、それにより前記アングルブラケット(9)の前記第1のタブ(33)は前記2つのエッジングブロック(5)の前記溝(32)の中に突出している、請求項1~7のいずれか一項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項9】
前記第1のエッジングブロック(5)の少なくとも1つが、
全体的に矩形の底部パネル(13)と、
前記底部パネル(13)と平行に、前記底部パネル(13)とぴったり合うように配置された全体的に矩形のカバーパネル(14)と、
前記底部パネル(13)と前記カバーパネル(14)との間に配置され、前記底部パネル(13)と前記カバーパネル(14)との間で、前記エッジングブロック(5)の厚さ方向に延在し、それにより前記カバーパネル(14)を前記底部パネル(13)からある距離をおいて保持するスペーサ要素(16)と、
前記底部パネル(13)と前記カバーパネル(14)との間、および前記スペーサ要素(16)間に配置され、それにより前記エッジングブロック(5)の内部空間を充填する断熱充填物(15)とを備え、
前記カバーパネル(14)は、前記カバーパネル(14)の2つの長手方向縁部の間に位置する位置に、前記カバーパネル(14)の横方向縁部で、前記第2の支持壁(3)に面する縁部上に、少なくとも1つの切欠き(29)開口部を有し、前記エッジングブロック(5)の横方向側面で、前記第2の支持壁(3)に面する側面は、前記少なくとも1つの切欠き(29)と線が一致するように位置する少なくとも1つの開口部(21)を含み、
前記スペーサ要素(16)および前記断熱充填物(15)は、前記カバーパネル(14)の前記少なくとも1つの切欠き(29)の下に空き空間を形成し、かつ前記エッジングブロック(5)の前記横方向側面上の前記少なくとも1つの開口部(21)と線が一致するように配置され、前記空き空間は前記エッジングブロック(5)の厚さ内に形成された前記溝(32)を形成する、請求項8に記載の密閉断熱タンク。
【請求項10】
前記第2のタンク壁の前記断熱障壁は、前記第2の支持壁(3)上に固定され前記エッジコーナ(1)に沿って並置された第2のエッジングブロック(5)列を含み、前記第2
のエッジングブロック(5)の内の少なくとも2つの各々が、前記第2のエッジングブロック(5)の厚さ内に前記第2のエッジングブロック(5)の上面から形成された溝(32)を含み、それにより前記第1の支持壁(2)から接近可能な空間が前記第2のエッジングブロック(5)内に形成され、前記一対の第2のアンカロッド(12)の前記アンカロッド(12)の各々は、前記2つの第2のエッジングブロック(5)の前記溝(32)内に収容されており、1つのアングルブラケット(9)の前記第2のフランジ(11)は、前記2つの第2のエッジングブロック(5)と重なるように配置され、それにより前記アングルブラケット(9)の前記第2のタブ(33)は前記2つの第2のエッジングブロック(5)の前記溝(32)の中に突出している、請求項1~9のいずれか一項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項11】
前記支持構造は、第3のタンク壁の前記断熱障壁が固定されている第3の支持壁を備え、前記第3のタンク壁は、前記第3のタンク壁の前記断熱障壁上に置かれた密閉膜を含み、前記第3の支持壁は、前記第1の支持壁と前記第2の支持壁と共に、前記エッジコーナ(1)の端部に位置する前記支持構造の角部を形成し、
前記タンクは、前記第1のタンク壁の前記断熱障壁上に置かれた第1のフランジ(40)と、前記第2のタンク壁の前記断熱障壁上に置かれた第2のフランジ(40)と、前記第3のタンク壁の前記断熱障壁上に置かれた第3のフランジ(40)とを含む密閉角部部品(39)を備え、前記角部部品(39)は、前記アングルブラケット(9)列内の最後のアングルブラケット(42)に隣接し、前記最後のアングルブラケット(42)の前記第1のフランジ(10)は密閉された形で前記角部部品(39)の前記第1のフランジ(40)に接続し、前記最後のアングルブラケット(42)の前記第2のフランジ(11)は密閉された形で前記角部部品(39)の前記第2のフランジ(40)に接続している、請求項1~10のいずれか一項に記載の密閉断熱タンクと請求項6に記載の密閉断熱タンクとを組み合わせた密閉断熱タンク。
【請求項12】
前記支持構造の前記角部内の前記支持構造上に固定された第1の端部、および前記角部部品(39)に取り付けられた第2の端部を有する角部アンカロッド(99)を更に備えて、前記角部部品(39)と前記支持構造との間に引張荷重を伝達し、前記角部部品(39)を前記第1、第2および第3のタンク壁の前記断熱障壁上に保持し、前記角部アンカロッド(99)は、前記支持構造の前記角部によって形成された立体角の中心方向に延在し、前記角部部品(39)の前記第1、第2および第3のフランジの間の接続点に位置する前記角部部品(39)の中央領域に取り付けられる、請求項11に記載の密閉断熱タンク。
【請求項13】
前記最後のアングルブラケット(42)は、前記角部部品(39)の前記第1のフランジ(10)に密閉された形で接続された前記第1のフランジの端部に第3のタブを備え、前記第1のアンカロッド列内の最後の第1のアンカロッドは、前記第1のフランジの前記端部に位置する前記第1のフランジの前記一対のタブの内の1つの前記タブと、前記第3のタブとに連結され、前記最後のアングルブラケット(42)は、前記角部部品(39)の前記第2のフランジ(11)に密閉された形で接続された前記第2のフランジの端部に第4のタブを備え、前記第2のアンカロッド列内の最後の第2のアンカロッドは、前記フランジの前記端部に位置する前記第2のフランジの前記一対のタブの内の1つの前記タブと、前記第4のタブとに連結される、請求項11または12に記載の密閉断熱タンク。
【請求項14】
冷液製品を輸送するための船舶(70)であって、前記船舶は、二重船郭(72)と、前記二重船郭内に配置された請求項1~13のいずれか一項に記載のタンク(71)と、を備える船舶(70)。
【請求項15】
冷液製品が断熱パイプライン(73、79、76、81)を通して浮体式または陸上の貯蔵施設(77)から前記船舶の前記タンク(71)へ、もしくは前記船舶の前記タンク(71)から浮体式または陸上の貯蔵施設(77)へ搬送される、請求項14に記載の船舶(70)を荷積みおよび荷降ろしするための方法。
【請求項16】
冷液製品を輸送するためのシステムであって、前記システムは、請求項14に記載の船舶(70)と、前記船舶の前記船郭内に設置された前記タンク(71)を浮体式または陸上の貯蔵施設(77)に接続するように配置された断熱パイプライン(73、79、76、81)と、冷液製品を前記浮体式または陸上の貯蔵施設から前記船舶の前記タンクへと、もしくは前記船舶の前記タンクから前記浮体式または陸上の貯蔵施設へと、前記断熱パイプラインを通って流れるようにするためのポンプと、を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は密閉断熱タンクの分野に関する。特に、本発明は、低温液体の貯蔵および輸送の関係において、液化石油ガス(LPGとも呼ばれる)を、例えば-50℃から0℃の間の温度において輸送し、または液化天然ガス(LNGとも呼ばれる)を大気圧で約-162℃において輸送するための船舶型タンクなど、密閉断熱タンクの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
液化ガスタンクは、例えば、仏国特許第3008765号から公知である。この文献は、複数の長手方向タンク壁および複数の横方向タンク壁を含むメタンタンカタンクを記載している。タンクの壁の各々は、二重断熱障壁を介在した二重密閉膜を含む。
【0003】
液化ガスが荷積みおよび荷降ろしされているとき、温度変化は大きな熱変形を課し、従ってタンクの密閉膜に応力を加える。同様に、海上輸送中、タンク内の液化ガスの移動はタンクの断熱障壁および膜に強い力を加える。仏国特許第3008765号によると、タンクの密閉の障害を回避するために、タンクの密閉膜は、長手方向壁が横方向壁と接触する領域においてアンカカプラを用いて支持構造上に固定される。密閉膜は、断熱障壁を形成する断熱箱形構造の内側面に固定された複合ビームによってカプラに接続される。
【0004】
国際公開第2017064413号は、特に液化石油ガス(LPG)のための密閉断熱構造について記載している。国際公開第2017064413号では、事前加工時にアンカストリップが断熱エッジングブロックに固定される。一緒に取り付けられた断熱エッジングブロックとアンカストリップは次いで、タンク製造中に支持構造内のエッジコーナに沿って整列される。次のステップで、膜のアングルピースがアンカストリップ上に溶接される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】仏国特許第3008765号
【文献】国際公開第2017064413号
【発明の概要】
【0006】
本発明の根底にあるアイデアの一つは、断熱障壁を構成する要素に高い剪断応力を加えることなく、密閉膜内の引張力を、支持構造上に固定されたカプラによって吸収させることである。
【0007】
実施形態の一態様によれば、本発明は多面体の支持構造の中に組み込まれた密閉断熱タンクを提供し、支持構造の第1の支持壁、および支持構造の第2の支持壁が支持構造のエッジコーナを形成し、タンクは第1の支持壁上に固定された第1のタンク壁、および第2の支持壁上に固定された第2のタンク壁を備え、タンク壁は対応する支持壁上に固定された断熱障壁、および断熱障壁によって支持された密閉膜を備える。
【0008】
実施形態の一態様によれば、そのようなタンクは、以下の特徴の内の1つ以上を含んでもよい。
【0009】
実施形態の一態様によれば、タンクはアングルブラケットを更に備え、アングルブラケットは、第1のタンク壁の断熱障壁によって支持された第1のフランジと、第2のタンク壁の断熱障壁によって支持された第2のフランジとを備え、エッジコーナに向いた第1のタンク壁の密閉膜の端部がアングルブラケットの第1のフランジに密閉された形で固定され、エッジコーナに向いた第2のタンク壁の密閉膜の端部がアングルブラケットの第2のフランジに密閉された形で固定され、それによりアングルブラケットが、第1のタンク壁の密閉膜と第2のタンク壁の密閉膜とを、密閉された形でエッジコーナに沿って接続し、
アングルブラケットは、第1のフランジのそれぞれの端部から第1の支持壁の方向に各々が突出する一対の第1のタブと、第2のフランジのそれぞれの端部から第2の支持壁の方向に各々が突出する一対の第2のタブとを備え、
タンクは一対の第1のアンカロッドを更に備え、一対の第1のアンカロッドの各々は第1の端部と、第1の端部に対向する第2の端部とを含み、第1の端部は第2の支持壁に固定され、第2の端部は一対の第1のタブの対応する第1のタブと連結され、第1のアンカロッドの1つ、複数または各々は第2の支持壁から対応する第1のタブの方向に延在して、アングルブラケットと第2の支持壁との間に引張荷重を伝達し、アングルブラケットを断熱障壁上に保持し、
タンクは一対の第2のアンカロッドを更に備え、一対の第2のアンカロッドの各々は第1の端部と、第1の端部に対向する第2の端部とを含み、第1の端部は第1の支持壁上に固定され、第2の端部は一対の第2のタブの対応する第2のタブと連結され、第2のアンカロッドの1つ、複数または各々は第1の支持壁から対応する第2のタブの方向に延在して、アングルブラケットと第1の支持壁との間に引張荷重を伝達し、アングルブラケットを断熱障壁上に保持する。
【0010】
これら特徴のおかげで、同じアングルブラケットが、密閉された形で2つのタンク壁の密閉膜を接続し、一方でタンク壁を支持する支持壁の各々に連結されている。従って、支持壁に直接連結されたこのようなアングルブラケットは、アングルブラケットが置かれているエッジングブロックを通過する密閉膜上への応力を防止する。更に、そのようなアングルブラケットは2つの支持壁と直接連結されて支持壁のエッジコーナを形成するため、各々の支持壁に対してタンク内の正確な位置に維持されることができ、従ってこのアングルブラケットは、アンカロッド以外によってエッジングブロック上に固定される必要はなく、単純にエッジングブロック上に置かれることができる。アンカロッドの作用によりエッジングブロック上に単純に置かれた、このようなアングルブラケットにより、作業場での事前加工が限定できるようになり、エッジングブロック上のアングルブラケットに対する他の固定工程、例えばリベット留めによる工程を何ら必要としない。
【0011】
これら特徴のおかげで、アングルブラケットは良好な剛性を有し、エッジングブロック上への配置を容易にする。更に、そのような剛性により、アングルブラケットを貫通する機械的応力のレベルを増加させることが可能になる。
【0012】
実施形態の一態様によれば、第1のタブの1つまたは各々は、アングルブラケットの第1のフランジの側縁からある距離をおいて、第1の支持壁に面した第1のフランジの下面から突出して第1のフランジの一端を形成し、第2のタブの1つまたは各々は、アングルブラケットの第2のフランジの側縁からある距離をおいて、第2の支持壁に面した第2のフランジの下面から突出して第2のフランジの一端を形成する。
【0013】
これら特徴のおかげで、第1のフランジの側縁は、タブを越えて延在し、従って隣接要素、例えば隣接するアングルブラケットに面する縁部に接近してもよい。従って、2つの隣接するアングルブラケットを分離する空間を限定して、隣接するアングルブラケットの間のエッジコーナに沿って密閉接続を形成することを促進し、一方で十分な空間を設けてアンカロッドがこの領域の中に入ることができるようにしてもよい。
【0014】
実施形態の一態様によれば、エッジコーナと平行な第1のフランジの長手方向縁部は、第2の支持壁に直角な方向に第1のタブを超えて突出しており、それにより第1のフランジの長手方向縁部は、第2の支持壁に直角な方向に、第2の支持壁から、第1のタブよりも更に離れており、および/またはエッジコーナと平行な第2のフランジの長手方向縁部は、第1の支持壁に直角な方向に第2のタブを超えて突出しており、それにより第2のフランジの長手方向縁部は、第1の支持壁に直角な方向に、第1の支持壁から、第2のタブよりも更に離れている。
【0015】
これら特徴のおかげで、密閉膜を溶接するためのアングルブラケットのフランジ上の利用可能な表面積を拡大することができ、取り付け公差はより容易に管理することができる。
【0016】
実施形態の一態様によれば、第1のタンク壁の断熱障壁は、第1のタンク壁の密閉膜がその上に存在する第1の支持表面を形成し、第1のタンク壁の断熱障壁は、第1の支持表面のエッジコーナに向いた一端に配置された第1のミリングを形成し、アングルブラケットの第1のフランジは、アングルブラケットの第1のフランジの上面が第1の支持表面と同一平面上にあるように、第1のミリング内に収容されおり、第2のタンク壁の断熱障壁は、第2の支持表面のエッジコーナに向いた一端に配置された第2のミリングを形成し、アングルブラケットの第2のフランジは、アングルブラケットの第2のフランジの上面が第2の支持表面と同一平面上にあるように、第2のミリング内に収容されている。
【0017】
これら特徴のおかげで、アングルブラケットとタンク壁の断熱障壁は共に、タンク壁の密閉膜を受容するための実質的に平面かつ均一な表面を形成する。
【0018】
そのようなアングルブラケットは異なる長さで形成されてもよい。実施形態の一態様によれば、タンクはアングルブラケットの列を含み、アングルブラケットの列はエッジコーナに沿って並置され、密閉された形で対になって接続される。
【0019】
実施形態の一態様によれば、アングルブラケット列内のいくつかの、一定数の、または全てのアングルブラケットは、第1のタンク壁の断熱障壁によって支持された第1のフランジと、第2のタンク壁の断熱障壁によって支持された第2のフランジとを備え、エッジコーナに向いた第1のタンク壁の密閉膜の端部がアングルブラケットの第1のフランジに密閉された形で固定され、エッジコーナに向いた第2のタンク壁の密閉膜の端部がアングルブラケットの第2のフランジに密閉された形で固定され、それにより列内のアングルブラケットのいくつか、一定数、または全てが、第1のタンク壁の密閉膜と第2のタンク壁の密閉膜とを密閉された形でエッジコーナに沿って接続し、
アングルブラケットの1つ、複数または各々は更に、アングルブラケットの第1のフランジのそれぞれの端部から第1の支持壁の方向に各々が突出する一対の第1のタブと、アングルブラケットの第2のフランジのそれぞれの端部から第2の支持壁の方向に各々が突出する一対の第2のタブとを備え、
タンクは、各々が第1の端部と、第1の端部に対向する第2の端部とを含む第1のアンカロッド列を含み、第1のアンカロッド列内の複数の第1のアンカロッドは、第1の端部が第2の支持壁に固定され、第2の端部がアングルブラケット列内の少なくとも1つのアングルブラケットの少なくとも1つの第1のタブに連結され、第1のアンカロッドは、第2の支持壁から、少なくとも1つの第1のタブの方向に延在して、少なくとも1つのアングルブラケットと第2の支持壁との間に引張荷重を伝達し、少なくとも1つのアングルブラケットを断熱障壁上に保持し、
タンクは更に、各々が第1の端部と、第1の端部に対向する第2の端部とを含む第2のアンカロッド列を含み、第2のアンカロッド列内の複数の第2のアンカロッドは、第1の端部が第1の支持壁上に固定され、第2の端部がアングルブラケット列内の少なくとも1つのアングルブラケットの少なくとも1つの第2のタブに連結され、第2のアンカロッドは、第1の支持壁から、少なくとも1つの第2のタブの方向に延在して、少なくとも1つのアングルブラケットと第1の支持壁との間に引張荷重を伝達し、少なくとも1つのアングルブラケットを断熱障壁上に保持する。
【0020】
実施形態の一態様によれば、1つのアンカロッドの第2の端部は、アングルブラケット列内の2つの隣接するアングルブラケットに属する2つのアンカタブに共通して結合されて、2つの隣接するアングルブラケットを断熱障壁上に保持する。そのような配置は、第1のアンカロッドの1つ、複数または全てに対して、および/または第2のアンカロッドの1つ、複数または全てに対して使用されてもよい。この配置により、2つのアングルブラケットを固定するためにアンカロッドを共通に使用することが可能になり、取り付けるアンカロッドの数およびそれによって占有される対応するスペースが限定される。
【0021】
実施形態の一態様によれば、第1のタンク壁の断熱障壁は、第1の支持壁上に固定されエッジコーナに沿って並置された第1のエッジングブロック列を含み、少なくとも2つの第1のエッジングブロックの各々が、第1のエッジングブロックの厚さ内に第1のエッジングブロックの上面から形成された溝を含み、それにより第2の支持壁から接近可能な空間が第1のエッジングブロック内に形成され、一対の第1のアンカロッドのアンカロッドは、2つの第1のエッジングブロックの溝内に収容されており、アングルブラケットの第1のフランジは、2つの第1のエッジングブロックと重なり、それによりアングルブラケットの第1のタブが2つのエッジングブロックの溝の中に突出するように配置されている。
【0022】
このような断熱ブロックは、様々な方法で、異なる材料、特に断熱発泡体ブロック、例えばポリウレタン発泡体の形で、または断熱充填物で充填された箱形構造の形で形成されてもよい。対応する実施形態の一態様によれば、第1のエッジングブロックの少なくとも1つは、
全体的に矩形の底部パネルと、
底部パネルと平行に、底部パネルとぴったり合うように配置された全体的に矩形のカバーパネルと、
底部パネルとカバーパネルとの間に配置され、エッジングブロックの厚さ方向に底部パネルとカバーパネルとの間に延在し、それによりカバーパネルを底部パネルからある距離をおいて保持するスペーサ要素と、
エッジングブロックの内部空間を充填するように、底部パネルとカバーパネルとの間、およびスペーサ要素間に配置された断熱充填物とを備え、
カバーパネルは、カバーパネルの2つの長手方向縁部の間に位置する位置に、カバーパネルの横方向縁部で、第2の支持壁に面する縁部上に、少なくとも1つの切欠き開口部を有し、エッジングブロックの横方向側面で、第2の支持壁に面する側面は、少なくとも1つの切欠きと線が一致するように位置する少なくとも1つの開口部を含み、
スペーサ要素および断熱充填物は、カバーパネルの少なくとも1つの切欠きの下に空き空間を形成し、エッジングブロックの横方向側面上の少なくとも1つの開口部に沿って配置され、空き空間はエッジングブロックの厚さ内に形成された溝を形成する。実施形態の一態様によれば、エッジングブロックの溝または各溝は、カバーパネル内に切欠きを含みエッジングブロックの側面上に開口部を有する、この構造を用いて形成されてもよい。断熱充填物は、異なる材料、例えば、グラスまたはロックウール、パーライト、ポリマー発泡体などで作製されてもよい。
【0023】
実施形態の一態様によれば、第2のタンク壁の断熱障壁は、第2の支持壁上に固定されエッジコーナに沿って並置された第2のエッジングブロック列を含み、少なくとも2つの第2のエッジングブロックの各々が、第2のエッジングブロックの厚さ内に第2のエッジングブロックの上面から形成された溝を含み、それにより第1の支持壁から接近可能な空間が第2のエッジングブロック内に形成され、一対の第2のアンカロッドのアンカロッドは、2つの第2のエッジングブロックの溝内に収容されており、1つのアングルブラケットの第2のフランジは、2つの第2のエッジングブロックと重なり、それによりアングルブラケットの第2のタブが2つの第2のエッジングブロックの溝の中に突出するように配置されている。
【0024】
これら特徴のおかげで、アンカロッドはエッジングブロックの間には収容されない。従って、隣接する2つのエッジングブロック間の距離を制限することができる。
【0025】
これら特徴のおかげで、タンクの角部において密閉膜の密閉が確保される。
【0026】
アングルブラケットは、異なる方法で、好ましくは金属材料から形成されてもよい。
【0027】
実施形態の一態様によれば、アングルブラケットのフランジおよびタブは互いに結合しているか、または単一の要素から形成され、それによりアングルブラケットは一体となっている。一体とは、アングルブラケットが単一部品であるか、または、例えば溶接により事前組立てされた複数の部品であることを意味する。実施形態の一態様によれば、1つのアングルブラケットは、エッジコーナのいずれかの側にそれぞれ配置された2つのアンカストリップ、およびアンカストリップ上に取り付けられた1つ以上のアングルピースから構成されて、それらをエッジコーナに沿って密閉された形で連結する。アンカストリップを使用する実施形態の他の態様を以下に記載する。
【0028】
実施形態の一態様によれば、第1のタンク壁の断熱障壁は、第1の支持壁上に固定されエッジコーナに沿って並置されたエッジングブロック列を含み、それにより第1の支持壁と平行な支持表面を形成し、
タンクは、エッジコーナと平行に延在するアンカストリップ列を含み、アンカストリップは、第1の支持表面によって支持され、アンカロッド列によって第2の支持壁に固定され、アンカロッドの1つ、複数または各々は、第2の支持壁に固定された第1の端部とアンカストリップ列に連結された第2の端部を含んで、アンカストリップ列と第2の支持壁との間に引張荷重を伝達し、エッジコーナに向いた第1のタンク壁の密閉膜の端部はアンカストリップ列に密閉された形で固定され、
第1および第2のエッジングブロックの各々が、エッジングブロックの厚さ内にエッジングブロックの上面から形成された溝を含み、それにより第2の支持壁から接近可能な空間がエッジングブロック内に形成され、アンカロッドの第1および第2のアンカロッドがそれぞれ第1および第2のエッジングブロックの溝内に収容され、
アンカストリップ列内のアンカストリップは、第1のエッジングブロックおよび第2のエッジングブロックと重なるように支持され、アンカストリップは、アンカストリップの2つの対向する端部から、第1の支持壁の方向にそれぞれが突出する第1のタブおよび第2のタブを含み、第1および第2のタブは、第1のエッジングブロックおよび第2のエッジングブロックの溝にそれぞれ係合され、第1のアンカロッドおよび第2のアンカロッドにそれぞれ連結されている。
【0029】
アンカストリップのタブがエッジングブロックの溝内に収容されているそのようなタンクは、アンカロッドを内部に収容するために、エッジングブロック間の空間の適合を必要としない。従って、エッジングブロック間の間隔を減少させることが可能である。隣接する2つのエッジングブロック間の空間の縮小は、エッジングブロック間に配置される断熱材の減少をもたらし、従って産業的利用の簡素化および位置決めにおける工業上のリスクの限定をもたらし得る。
【0030】
更に、アンカロッドを溝内に配置することにより、カプラの位置決めがより自由になり、エッジングブロックを支持壁に固定することが可能になり得る。
【0031】
実施形態のいくつかの態様では、エッジングブロックの一部または全部が、エッジングブロックの厚さ内にエッジングブロックの上面から形成された溝を含んでもよく、それにより第2の支持壁から接近可能な空間がエッジングブロック内に形成され、それによりアンカロッドの全てまたはアンカロッドの大部分が溝内に収容される。
【0032】
実施形態の一態様によれば、第1および第2のエッジングブロックは、エッジコーナと平行な方向において等しい長さを有し、第1のエッジングブロックおよび第2のエッジングブロックに重なるように支持されたアンカストリップは、エッジコーナと平行な方向において、エッジングブロックの長さよりも短い長さを有する。
【0033】
実施形態の一態様によれば、第1のエッジングブロックの溝は第1の溝を構成し、第1のエッジングブロックは更に、第1のエッジングブロックの厚さ内にエッジングブロックの上面から形成され、エッジコーナに沿って第1の溝から離間した第2の溝を含み、それにより第2の支持壁から接近可能な第2の空間が形成され、第3のアンカロッドはエッジングブロックの第2の溝内に収容され、
アンカストリップ列内の1つのアンカストリップは、第1のエッジングブロック上にのみ配置され、アンカストリップは、アンカストリップの2つの対向する端部から、第1の支持壁の方向にそれぞれが突出する第1のタブおよび第2のタブを含み、第1および第2のタブは、第1のエッジングブロックの第1および第2の溝内にそれぞれ係合され、第1のアンカロッドおよび第3のアンカロッドにそれぞれ連結されている。
【0034】
実施形態のいくつかの態様では、エッジングブロックの一部または全部が、エッジコーナに沿って互いに離間した2つの溝を含み、溝の1つ、複数または各々がアンカロッドの1つを収容してもよい。
【0035】
実施形態のいくつかの態様では、アンカストリップ列および/またはアングルブラケット列は、複数のエッジングブロックに重なるように配置されたアンカストリップおよび/またはアングルブラケットのみ、もしくは、複数のエッジングブロックに重なるように配置されたアンカストリップおよび/またはアングルブラケットと、1つのエッジングブロックのみに重なるように配置されたアンカストリップおよび/またはアングルブラケット、との組み合わせ、を含んでもよい。アンカストリップおよび/またはアングルブラケットのこれら2つの配置は、異なる比率で組み合わせてもよい。アンカストリップ列および/またはアングルブラケット列は、同一のまたは異なるアンカストリップおよび/またはアングルブラケットから構成されてもよく、エッジングブロック列は、同一のまたは異なるエッジングブロックから構成されてもよい。実施形態の一態様において、アンカストリップおよび/またはアングルブラケットは均一な長さを有する。
【0036】
実施形態の一態様において、エッジングブロックは均一な長さを有する。この場合、アンカストリップおよび/またはアングルブラケットの均一な長さは、エッジングブロックの均一な長さの全部または整数倍であってもよい。例えば、アンカストリップおよび/またはアングルブラケットの均一な長さがエッジングブロックの均一な長さの半分である実施形態の態様では、アンカストリップおよび/またはアングルブラケットは、1つだけのエッジングブロックに交互に配置されるか、または複数のエッジングブロックに重なるように配置される。実施形態の一態様において、1つのアンカストリップおよび/または1つのアングルブラケットは、3つ以上のエッジングブロックと重なってもよい。
【0037】
実施形態の一態様によれば、第2のタンク壁の断熱障壁は、第2の支持壁上に固定されエッジコーナに沿って並置された第2のエッジングブロック列を含み、それにより第2の支持壁と平行な第2の支持表面を形成し、
タンクは、エッジコーナと平行に延在する第2のアンカストリップ列を含み、アンカストリップは、第2の支持表面によって支持され、第2のアンカロッド列によって第1の支持壁に固定され、アンカロッドの1つ、複数または各々は、第1の支持壁に固定された第1の端部および第2のアンカストリップ列に連結された第2の端部を含んで、第2のアンカストリップ列と第1の支持壁との間に引張荷重を伝達し、エッジコーナに向いた第2のタンク壁の密閉膜の端部は第2のアンカストリップ列に密閉された形で固定され、第2の列内の第1および第2のエッジングブロックの各々が、エッジングブロックの厚さ内にエッジングブロックの上面から形成された溝を含み、それにより第1の支持壁から接近可能な空間がエッジングブロック内に形成され、
第2の列内のアンカロッドの第1および第2のアンカロッドはそれぞれ、第2の列内の第1および第2のエッジングブロックの溝内に収容され、
第2のアンカストリップ列内の1つのアンカストリップは、第2の列内の第1のエッジングブロックおよび第2のエッジングブロックと重なるように支持され、アンカストリップは、アンカストリップの2つの対向する端部から、第2の支持壁の方向にそれぞれが突出する第1のタブおよび第2のタブを含み、第1および第2のタブは、第2の列内の第1のエッジングブロックおよび第2のエッジングブロックの溝にそれぞれ係合され、第2の列内の第1のアンカロッドおよび第2のアンカロッドにそれぞれ連結されている。
【0038】
実施形態の一態様によれば、第1のタンク壁のエッジングブロック列内の第1および第2のエッジングブロックの溝は、第2のエッジングブロック列内でエッジコーナに沿って第1および第2のエッジングブロックの溝の前面に位置し、それにより、第1の支持壁に固定された第1のアンカロッドおよび第2のアンカロッドがそれぞれ、第2の支持壁に固定された第1のアンカロッドおよび第2のアンカロッドと交差する。
【0039】
実施形態の一態様によれば、タンクは更に、第1のタンク壁および第2のタンク壁のエッジングブロック上に配置されたアングルピースを備え、アングルピースは、第1および第2のタンク壁の密閉膜の平面内に位置する2つの平面部分を備え、アングルピースの平面部分は、金属ストリップ列内の少なくとも1つの金属ストリップに密閉された形で固定され、それにより第1のタンク壁の密閉膜と第2のタンク壁の密閉膜とを密閉された形で接続する。
【0040】
従って、金属ストリップ上に密閉された形で固定されたアングルピースは、上部のアングルブラケットと同じ機能を果たし、2つのタンク壁の密閉膜を密閉された形で接続することが可能になる。その結果、実施形態の一態様によれば、アングルブラケット、および金属ストリップ上に密閉された形で固定された1つ以上のアングルピースによって形成されたアセンブリは、例えば、タンクのエッジコーナの一部または全部にわたって、一方を他方と置換してもよい。アングルブラケットの実施形態の態様はまた、エッジコーナに沿って組み合わせて、例えば交互に使用されてもよい。
【0041】
実施形態の一態様によれば、支持構造は、第3のタンク壁の断熱障壁が固定された第3の支持壁を含み、第3のタンク壁は、第3のタンク壁の断熱障壁上に置かれた密閉膜を含み、第3の支持壁は、第1の支持壁と第2の支持壁と共に、エッジコーナの一端に位置する支持構造の角部を形成し、
タンクは、第1のタンク壁の断熱障壁上に置かれた第1のフランジと、第2のタンク壁の断熱障壁上に置かれた第2のフランジと、第3のタンク壁の断熱障壁上に置かれた第3のフランジとを含む密閉角部部品を含む。
【0042】
実施形態の一態様によれば、第1、第2および第3のタンク壁の各々の断熱障壁はそれぞれの角部断熱ブロックを備え、角部断熱ブロックは、支持構造の角部に沿って接合される。
【0043】
実施形態の一態様によれば、角部部品は、アングルブラケット列および/またはアンカストリップ列内の、最後のアングルブラケットまたは最後のアンカストリップに隣接しており、最後のアングルブラケットまたは最後のアンカストリップの第1のフランジは、角部部品の第1のフランジに密閉された形で接続され、最後のアングルブラケットまたは最後のアンカストリップの第2のフランジは、角部部品の第2のフランジに密閉された形で接続される。
【0044】
実施形態の一態様によれば、第1のタンク壁の角部断熱ブロックは、第1のタンク壁の角部断熱ブロックの上面から第1のタンク壁の角部断熱ブロックの厚さ内に形成された溝を備え、それにより第2の支持壁から接近可能な空間が角部断熱ブロック内に形成され、
第2のタンク壁の角部断熱ブロックは、第2のタンク壁の角部断熱ブロックの上面から第2のタンク壁の角部断熱ブロックの厚さ内に形成された溝を含み、それにより第1の支持壁から接近可能な空間が角部断熱ブロック内に形成される。
【0045】
実施形態の一態様によれば、第1のタンク壁のアングルブラケットおよび/またはアンカストリップ列の端部に位置する最後のアングルブラケットまたは最後のアンカストリップは、第1のタンク壁のエッジングブロックおよび角部断熱ブロックと重なるように配置され、端部のアングルブラケットまたはアンカストリップは、第1のタンク壁の角部断熱ブロックの溝の中に突出し、かつアンカロッド列の端部に位置する最後のアンカロッドに連結されたタブを備えて、アングルブラケットまたはアンカストリップと第2の支持壁との間に引張荷重を伝達する。
【0046】
実施形態の一態様によれば、第2のタンク壁の、第2のアングルブラケット列および/または第2のアンカストリップ列、の端部に位置する最後のアングルブラケットまたは最後のアンカストリップは、第2のタンク壁のエッジングブロックおよび角部断熱ブロックと重なるように配置され、端部のアングルブラケットまたはアンカストリップは、第1のタンク壁の角部断熱ブロックの溝の中に突出し、かつアンカロッド列の端部に位置する最後のアンカロッドに連結されたタブを備えて、アングルブラケットまたはアンカストリップと第1の支持壁との間に引張荷重を伝達する。
【0047】
実施形態の一態様によれば、タンクは更に、支持構造の角部内の支持構造上に固定された第1の端部、および角部部品に取り付けられた第2の端部を有する角部アンカロッドを備えて、角部部品と支持構造との間に引張荷重を伝達し、角部部品を第1、第2および第3のタンク壁の断熱障壁上に保持し、角部アンカロッドは、支持構造の角部によって形成された立体角の中心方向に延在し、角部部品の第1、第2および第3のフランジの間の接続点に位置する角部部品の中央領域に取り付けられる。
【0048】
実施形態の一態様によれば、角部部品は、角部部品の中央領域で開口した中空円筒状基部を備え、基部は有孔の底部を有し、角部アンカロッドの第2の端部が有孔の底部を貫通し中空基部内に収容され、それにより基部を支持構造上に保持し、金属角部プレートが密閉された形で角部部品上に固定されて、基部の開口部を密閉された形で遮断する。従って、金属角部プレートによる角部部品の密閉を維持しながら、基部の開口部を介して角部部品の角部アンカロッドとの連結を実現することは容易である。
【0049】
実施形態の一態様によれば、最後のアングルブラケットは、角部部品の第1のフランジに密閉された形で接続された第1のフランジの一端に第3のタブを備え、第1のアンカロッド列内の最後の第1のアンカロッドは、第1のフランジの端部に位置する第1のフランジの一対のタブの内の1つのタブと、第3のタブとに連結され、最後のアングルブラケットは、角部部品の第2のフランジに密閉された形で接続された第2のフランジの一端に第4のタブを備え、第2のアンカロッド列内の最後の第2のアンカロッドは、前述のフランジの端部に位置する第2のフランジの一対のタブの内の1つのタブと、第4のタブに連結されている。
【0050】
そのようなタンクは、例えばLPGを貯蔵するための陸上貯蔵施設の一部を形成してもよく、もしくは沿岸または深海の浮体式構造物、特にメタンタンカ、浮体式貯蔵再ガス化設備(FSRU)、浮体式生産貯蔵積出設備(FPSO)ユニット等の中に設置されてもよい。
【0051】
実施形態の一態様によれば、本発明はまた、冷液製品を輸送するための船舶を提供し、船舶は二重船郭、および二重船郭内に配置された上述のタンクを含む。
【0052】
実施形態の一態様によれば、本発明はまた、船舶を荷積みまたは荷下ろしするための方法を提供し、その方法において、冷液製品が断熱パイプラインを通して浮体式または陸上の貯蔵施設から船舶のタンクへ、もしくは船舶のタンクから浮体式または陸上の貯蔵施設へ搬送される。
【0053】
実施形態の一態様によれば、本発明はまた、冷液製品を輸送するためのシステムを提供し、このシステムは、上述の船舶と、船舶の船郭内に設置されたタンクを、浮体式または陸上の貯蔵施設に接続するように配置された断熱パイプラインと、冷液製品を、浮体式または陸上の貯蔵施設から船舶のタンクへ、もしくは船舶のタンクから浮体式または陸上の貯蔵施設へと、断熱パイプラインを通って流れるようにするためのポンプと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】2つのタンク壁により形成された90度の角度に関連する密閉断熱タンクの概略斜視図であり、1つのタンク壁の密閉膜は示されていない。
【
図2】
図1の密閉断熱タンクの詳細図であり、複数のエッジング断熱要素およびタンクの前述の角度におけるアングルブラケットを示す。
【
図3】
図2のエッジング断熱要素の概略斜視図であり、カバーパネルが示されていない。
【
図4】
図3のエッジング断熱要素の概略斜視図であり、エッジング断熱要素のカバーパネルが示されている。
【
図6】
図1の3つのタンク壁の接続点における角部構造の概略斜視図である。
【
図7】密閉膜の角部を形成する
図6のアングルピースの下方からの概略斜視図である。
【
図8】角部断熱要素と協働することを意図したアングルブラケット列内の端部アングルブラケットの概略斜視図である。
【
図9】変形実施形態によるエッジング断熱要素の概略斜視図である。
【
図10】タンクの横方向壁との1つのエッジコーナにおける、密閉断熱タンクの長手方向壁のバリアの平面図であり、この変形実施形態では、アンカストリップとアンカロッドの協働を示すために密閉膜は図示されていない。
【
図11】メタンタンカのタンク、およびこのタンクを荷積み/荷下ろしするためのターミナルの概略切欠き図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
添付の図面を参照して非限定的な記述としてのみ提供された、本発明の実施形態の複数の具体的態様を説明する過程を通じて、本発明がより良く理解され、本発明の他の目的、詳細、特徴および利点がより明確に明らかになるであろう。
【0056】
図面は、液化ガスを輸送するための船舶の二重船郭の内壁によって形成される支持構造との関連において以降に説明される。このような支持構造は、多面体形状、例えば角柱形状を有する。このような支持構造は、例えば、船舶の長手方向と平行に延在し、船舶の長手方向に直角な平面内に多角形断面を形成する長手方向壁を含む。これら長手方向壁は、例えば、八角形の形状においておよそ135度の角度を形成する長手方向エッジコーナで合流する。そのような多面体タンクの一般的な構造は、例えば、仏国特許第3008765号の
図1に関連して説明される。
【0057】
これらの長手方向壁は、船舶の長手方向に直角な横方向支持壁によって船舶の長手方向において中断されている。長手方向壁および横方向壁は、前部および後部のエッジコーナで合流する。
【0058】
支持構造の各壁は、それぞれのタンク壁を支持する。タンク壁の各々は、タンクに貯蔵された流体、例えば液化天然ガス(LNG)、もしくはブタン、プロパンまたはプロペン等を含む液化石油ガスと接触する密閉膜を支持する、少なくとも1つの断熱障壁を含む。
【0059】
慣例により、地球の重力場に対するタンクの壁の向きに関係無く、タンクの要素に適用される「上側の」という形容詞はタンクの内部に向けられた要素の部分を意味し、「下側の」という形容詞はタンクの外側に向けられた要素の部分を意味する。同様に、地球の重力場に対するタンクの壁の向きに関係無く、「上方」という用語は、タンクの内部により近接した位置を意味し、「下方」という用語は、支持構造により近接した位置を意味する。更に、タンク壁は類似構造を有するので、以下に説明される1つのタンク壁の1つの要素に関する説明は、類推によって他のタンク壁に適用される。従って、以下の
図1~
図8の説明はタンクの90度の角度に関して行われるが、この説明は135度の角度を形成するような他の構成を有するタンク角度にも同様に類推によって適用可能である。
【0060】
図1は、およそ90度の角度を形成する支持構造の長手方向支持壁2と横方向支持壁3との間の、前部または後部のエッジコーナ1におけるタンクの角部分を示す。長手方向タンク壁は長手方向支持壁2上に固定され、横方向タンク壁は横方向支持壁3上に固定される。
【0061】
長手方向のタンク壁の断熱障壁は、長手方向の支持壁2の全体上に固定された複数の断熱要素から構成される。これらの断熱要素は共に、長手方向のタンク壁の密閉膜が固定される平面を形成する。これらの断熱要素は、規則的な矩形の格子状に並置された複数の汎用断熱要素4を含む。長手方向タンク壁の断熱障壁はまた、
図3および
図4に関連して以下に記載されるエッジコーナ1に沿って配置されたエッジング断熱要素5の列を含む。断熱要素4、5は、例えばアンカ部材6を使用するなどの任意の好適な手段によって支持構造上に固定される。そのようなアンカ部材6は多くの方法で形成されてもよく、例えば国際公開第2017064413号に記載されている。
【0062】
断熱要素4、5は、平行な直線または起伏のある線を形成するマスチックビード(図示せず)を介在させて、長手方向の支持壁2上に置かれている。複数の中間空間7が隣接するエッジング断熱要素5を対に分離する。2つのタンク壁のエッジコーナ1に沿う中間空間7は、好ましくは、
図2に示されるように整列される。
【0063】
長手方向タンク壁の密閉膜は、重なりを有して互いに並置された複数の金属シート8から構成される。これら金属シート8は、好ましくは矩形形状を有する。金属シート8は互いに溶接されて、密閉膜の密閉が確保される。金属シート8は、例えば厚さ1.2mmのステンレス鋼で作られる。
【0064】
タンクが経験する様々な応力に応答して、特に液化ガスのタンクの中への荷積みに起因する熱収縮に応答して、密閉膜が変形することを可能にするために、金属シート8はタンクの内側に向いた複数の波形を有する。より詳細には、タンク壁の密閉膜は、規則的な矩形パターンを形成する2つの一連の直交する波形を含む。好ましくは波形は、矩形の金属シート8の縁部と平行に延在する。
【0065】
長手方向タンク壁の密閉膜と横方向タンク壁の密閉膜とを接続するために、タンクはエッジコーナ1に沿って配置された金属アングルブラケット9の列を備える。これらアングルブラケット9は、エッジコーナ1に沿って整列している。これらアングルブラケット9は、密閉された形で対になってエッジコーナ1に沿って接続されており、それによりエッジコーナ1に沿って密閉膜の密閉が確保される。
【0066】
図1および
図2に示されるように、アングルブラケット9は、第1のフランジ10および第2のフランジ11を備える。第1のフランジ10は、長手方向支持壁2と平行に延在している。この第1のフランジ10は、長手方向タンク壁の1つ以上のエッジング断熱要素5上に載っている。同様に、第2のフランジ11は、横方向タンク壁の1つ以上のエッジング断熱要素5上に載り、横方向支持壁3と平行に延在している。長手方向タンク壁の密閉膜の一端は、例えば重ね溶接によって密閉された形でアングルブラケット9の列内の第1のフランジ10に固定される。同様に、横方向タンク壁の密閉膜の一端は、アングルブラケット9の列内の第2のフランジ11上に固定される。
【0067】
更に、アングルブラケット9は、
図1に示すアンカロッド12によってエッジコーナ1を形成する支持壁2、3上に固定される。これらのアンカロッド12の各々は、支持壁2、3のそれぞれの上に固定された第1の端部と、対応する2つの隣接するアングルブラケット9に連結された第2の端部とを備えて、アングルブラケット9が受ける引張荷重を支持壁に直接伝達する。これらアンカロッド12は、エッジコーナ1を形成するそれらが固定されていない支持壁と平行に延在する。換言すれば、長手方向支持壁2上に固定されたアンカロッド12は、横方向支持壁3と平行に延在し、その逆もまた同様である。そのようなアンカロッド12は、例えば、
図4~6、9、14および16に関連して、国際公開第2017064413号に記載されている。
【0068】
図3および
図4は、
図1および
図2に示すエッジング断熱要素5の列を形成するために使用されるエッジング断熱要素5を示す。このエッジング断熱要素5は、エッジコーナ1における長手方向壁のエッジング断熱要素との関連で説明されており、その特徴は類推によってタンクの他のエッジング断熱要素5に適用することができる。
【0069】
エッジング断熱要素5は、底部パネル13、側面パネル、およびカバーパネル14を備える。これらパネルは全て矩形の形状を有し、一緒になって断熱充填物15が収容されるエッジング断熱要素5の内部空間を画定する。この断熱充填物15は、好ましくは非構造性であり、例えばパーライトまたはグラスウールである。
【0070】
底部パネル13およびカバーパネル14は、互いに平行に延在し、
図2に示されるように、それらが固定されている長手方向支持壁2と平行に延在する。側面パネルは、底部パネル13に対して直角に延在する。側面パネルは、全体として平行六面体の形状を有する断熱箱形構造を形成するように、底部パネル13とカバーパネル14とを接続する。支持スペーサ16は、底部パネル13とカバーパネル14との間でエッジング断熱要素5の内部空間内に配置される。パネルおよび支持スペーサ16は任意の好適な手段、例えばクリップ、ねじ、釘等によって取り付けられる。
【0071】
これら支持スペーサ16は、横方向支持壁2に直角に延在し、エッジコーナ1を形成する長手方向支持壁3に直角に延在する。これら支持スペーサ16は、規則的なピッチで対になって離間している。更に、エッジング断熱要素5の長手方向縁部を形成する長手方向側面パネル17は、支持スペーサ16と平行に配置される。これら長手方向側面パネル17は、隣接する支持スペーサ16の規則的なピッチで離間されている。
【0072】
汎用断熱要素4に面するエッジング断熱要素5の第1の横方向側面は、横方向支持壁2と平行に延在する第1の横方向側面パネル18によって形成されている。この第1の横方向側面パネル18は、貫通オリフィス19を含んで、不活性ガスが断熱障壁内を循環できるようにすることを意図している。
【0073】
横方向支持壁3と平行で対向するエッジング断熱要素5の第2の側面は、接続されていない3つのプレート20によって形成されている。これらプレート20の各々は、横方向壁3と平行に延在する。更に、これらプレート20の縁部は、支持スペーサ16または長手方向側面パネルに沿って配置され、それにより支持スペーサ16または長手方向側面パネル17と同一平面をなす。隣接する2つのプレート20が線が一致するように配置されている支持スペーサ16も隣接し、それにより隣接する2つの支持スペーサ16を分離する規則的なピッチで、プレート20は対となって分離される。換言すれば、エッジング断熱要素5の第2の側面はプレート20によって画定された2つの開口部21を有し、開口部21は、プレート20の縁部が沿うように配置される隣接する2つの支持スペーサ16間の間隔に対応する。
【0074】
底部パネル13は、長手方向側面パネル17および第1の横方向側面パネル18から突出するリム22を含む。クリート23がリム22によって支持され、アンカ部材6と協働して、エッジング断熱要素5を支持壁に固定することを可能にする。そのようなリム22、クリート23、およびアンカ部材6は多くの方法で形成されてもよく、例えば国際公開第2017064413号に記載されている。
【0075】
図4に示されるように、クリート23とそのクリート23が載っているリム22は、その厚さ内に凹部51を含んでもよい。この凹部51は、クリート23の厚さ全体にわたって、およびリム22の厚さ全体にわたって、断熱要素の長さ方向に延在する。従って、隣接する2つのエッジング断熱要素5の凹部51は、アンカ部材6のスタッドを収容できるシャフトを形成する。従って、クリート23およびリム22のこの配置により、隣接するエッジング断熱要素5の間に必要とされる空間の縮小が可能になる。
【0076】
カバーパネル14は、断熱充填物15に対向した上面に、リム22を有するエッジング断熱要素5の各側に段差24を含む。これら段差24は、対応する側面パネル17、18に沿って位置しており、隣接する2つの断熱要素4、5の間に配置されるブリッジング要素25のための支持領域を形成して、密閉膜のための連続支持表面を形成する。そのような段差24およびそのようなブリッジング要素25は多くの方法で形成されてもよく、例えば国際公開第2017064413号に記載されている。
【0077】
カバーパネル14の上面は更に、横方向ミリング26および長手方向ミリング27を含む。
【0078】
横方向ミリング26は、エッジコーナ1と平行な方向のカバーパネル14の全長にわたって横方向支持壁と平行な方向に延在する。横方向ミリング26は、エッジング断熱要素5の第2の側面を画定するプレート20に沿って位置するカバーパネル14の1つの縁部から延在する。この横方向ミリング26は、例えば、カバーパネル14の横方向支持壁3に直角な方向における幅の3分の1に実質的に等しい距離にわたって延在する。
【0079】
長手方向ミリング27は、横方向支持壁3に直角な方向に延在し、第1の横方向側面パネル18および横方向ミリング26の線に沿って段差24に接続する。好ましくは、この長手方向ミリング27は、エッジコーナ1と平行な方向においてカバーパネル14の中央に置かれる。長手方向アンカストリップ28がこの長手方向ミリング27内に配置されて、タンク壁の密閉膜の隣接する2つの金属プレート8を例えば重ね溶接により固定する。
【0080】
カバーパネル14はまた、エッジング断熱要素5の第2の側面上の開口部21と端が一致するように位置する2つの切欠き29を有する。これら切欠き29は、横方向壁3に直角な方向に、横方向ミリング26のこれと同一方向における幅よりも長く延在する。横方向ミリング26は、切欠き29を取り囲むそれぞれのミリング30によって、切欠き29の周りに横方向ミリング26を越えて、横方向支持壁3に直角な方向に延在する。閉鎖プレート31が、切欠き29と線が一致するように位置する隣接する支持スペーサ16の間で、カバーパネル14と底部パネル13とを連結する。従って、エッジング断熱要素5はエッジング断熱要素5の厚さ内に形成された2つの溝32を有し、溝32の各々は、開口部21、切欠き29、開口部21と端が一致する隣接する支持スペーサ16、および閉鎖プレート31によって規定される。これら溝32は、好ましくは、長手方向ミリング27と長手方向側面パネル17との間の中央に置かれる。溝32は、アンカロッド12が収容可能な寸法を有する。好ましくは、断熱充填物15は、溝32を画定する隣接する支持スペーサ16を除いて、隣接する支持スペーサ16間のエッジング断熱要素5内に配置されて、アンカロッド12が溝32内に収容されることを可能にする。
【0081】
カバーパネル14を形成するために、多くの方法が使用されてもよい。
図4に示される実施形態の態様では、異なる寸法を有する合板のシートを積み重ねて、段差24およびミリング26、27、30を有するカバーパネル14を形成する。図示されていない実施形態の一態様では、カバーパネル14は、段差24とミリング26、27、30が直接形成された合板のシートによって形成される。
【0082】
図5に示されるように、アングルブラケット9の各フランジ10、11は、例えばフランジ10、11上に溶接によって事前組立てされた、または単一の金属シートを折り曲げることによって得られた、一対のタブ33を有する。各対のタブ33のタブ33は、フランジ10、11の対向する側端部に配置され、従ってエッジコーナ1に沿って互いに離隔される。タブが側端部に配置されているという事実から、エッジコーナ1と平行な方向において、タブ33がフランジ10、11の中央よりもフランジ10、11の縁部に近い位置に配置されていることが理解されるであろう。これらタブ33は、フランジ10、11の下面からフランジ10、11に対して直角に突出している。タブ33の、フランジ10、11の間の接続点とは反対側の一端は切欠き34を有する。この切欠き34の底部35は、タブ33が突出するフランジ10、11に対して直角に延在する。第1のフランジ10のこれらタブ33は、第2のフランジ11の対応するタブ33と同一平面上にあってもよい。第1のフランジ10のタブ33と第2のフランジ11のタブ33とは連続的に形成されると好都合である。フランジ10、11と連続するこのようなタブ33は、アングルブラケット9の剛性を増加させる。実施形態の別の態様では、フランジ10、11のタブ33はエッジコーナで不連続である。
【0083】
図2に示されるように、アングルブラケット9は、エッジコーナ1と平行な方向の寸法が、エッジング断熱要素5の同じ方向の寸法の半分に等しい。従って、アングルブラケット9の列は、隣接する2つのエッジング断熱要素5上に置かれたアングルブラケット9と、エッジング断熱要素5の1つだけの上に置かれたアングルブラケット9とを交互に備える。
【0084】
その上、アングルブラケット9のフランジ10は、横方向支持壁3に直角な方向の長さが、フランジ10が置かれているエッジング断熱要素5の横方向ミリング26の同一方向における長さと実質的に等しい。フランジ10は横方向ミリング26内に収容され、横方向ミリング26の深さに実質的に等しい厚さを有し、それによりフランジ10の上面が、カバーパネル14の上面および長手方向アンカストリップ28の上面と同一平面をなす。
図1に示されるように、ブリッジングプレート25と同様に、ブリッジングプレート46が溝32を囲むミリング30内に配置され、カバーパネル14の上面と同一平面をなす。従って、フランジ10、長手方向アンカストリップ28、ならびにカバーパネル14の上面およびブリッジングプレート46の上面は共に、長手方向タンク壁の密閉膜の端部を受容するための実質的に平坦で連続的な支持表面を形成する。アングルブラケット9のフランジ11は同様に、横方向タンク壁のエッジング断熱要素5上に配置される。
【0085】
アングルブラケット9は、1つのアングルブラケット9のタブ33が、アングルブラケット9が置かれている対応するエッジング断熱要素5の、それぞれの溝32内に収容されるように、エッジング断熱要素5上に配置される。従って、タブ33はフランジ10、11から突出し、フランジ10、11が置かれているカバーパネル14の切欠き29を通過する。更に、アングルブラケット9はエッジコーナ1に沿って並置されているので、同じ溝32が、溝32内で出会う隣接する2つのアングルブラケット9の各々の対応するタブ33を収容する。
【0086】
好ましくは、タブ33はフランジ10、11の縁部からある距離を置いてフランジ10、11から突出し、それにより縁部を形成するフランジ10、11の端部が少なくとも部分的に切欠き29を覆うようになる。この配置により、隣接する2つのアングルブラケット9が、アングルブラケット9が置かれているエッジング断熱要素5の切欠き29を可能な限り覆うことが可能になり、従って隣接するアングルブラケット9を密閉された形で接続するのに必要な空間を削減することが可能になる。隣接する2つのアングルブラケット9の間の密閉された接続は多くの方法により、例えば
図6に示されるような波形接続部品36によって実現することができる。そのような波形接続部品36は、波形を取り囲んでアングルブラケット9の角度に対応する角度を形成する2つの平面基部37を備える。これらの平面基部37は、例えば、隣接するアングルブラケット9の端部に重ね溶接される。
【0087】
図1に示されるように、各溝32は更に、アンカロッド12を収容する。好ましくは、
図1に示されるように、横方向支持壁3上に固定されたエッジング断熱要素5は、長手方向支持壁上に固定されたエッジング断熱要素5と整列され、それによりエッジコーナ1に直角な平面内においてエッジング断熱要素5の溝32が整列されている。従って、長手方向支持壁2上に固定されたアンカロッド12は、横方向支持壁3上に固定されたアンカロッド12と交差する。
【0088】
アンカロッド12は、溝32内に収容されたタブ33と連結されている。従って、1つのアングルブラケット9のフランジ10、11は、アングルブラケット9のフランジ10、11が置かれているエッジング断熱要素5内に形成された対応する溝32内に収容された2つのアンカロッド12によって固定される。タブ33とアンカロッド12とを連結するなどのアンカロッド12間の協働は多くの方法で、例えば国際公開第2017064413号に記載されているアンカロッドとタブとの間の協働と類似の方法で実現されてもよく、すなわちアンカロッドの端部はU字型のフックを含み、その各々の分岐がタブ33の底部35と協働する。
【0089】
アンカロッド12は、エッジング断熱要素5内に形成された溝32内に収容されているので、エッジング断熱要素5間の空間をアンカロッド12を収容するための大きさに設定する必要はないという利点がある。従って、エッジコーナ1に沿った2つのエッジング断熱要素5の間の距離は、単にエッジング断熱要素5のアンカ部材6を収容するのに必要な距離まで短縮することができ、例えば距離は約50mmである。
【0090】
更に、アングルブラケット9は、アンカロッド12を介して、エッジコーナ1を形成する支持壁2、3の各々の上に直接固定されているので、アングルブラケットをエッジング断熱要素5上に固定する必要はない。従って、アングルブラケット9は横方向ミリング26内に直接置かれてもよく、ねじ留め、リベット留め等によってエッジング断熱要素5上に固定される必要はない。
【0091】
図示されていない実施形態の一態様では、アングルブラケット9のエッジコーナ1と平行な方向の長さは、エッジング断熱要素5の同じ方向の長さと同一である。更に、各エッジング断熱要素5は、エッジコーナ1と平行なこの方向で中央に置かれた単一の溝32のみを含む。従って、長手方向ミリング27は、溝32と同一線上に配置され、溝32を取り囲むミリング30を延長する。
【0092】
都合のよいことに、図示されていないこの実施形態の態様では、アングルブラケット9の各フランジ10、11は、隣接する2つのエッジング断熱要素5と重なり、それによりフランジ10、11のタブ33は各々が、フランジ10、11が置かれているエッジング断熱要素5の内の1つの溝32内に収容される。
【0093】
図示されていない実施形態の別の態様では、アングルブラケット9のエッジコーナ1と平行な方向の長さは、エッジング断熱要素5の同じ方向の長さと同一である。その上、エッジング断熱要素5は溝32を全く含まず、アンカロッド12は、国際公開第2017064413号に記載されているのと類似した方法で隣接するエッジング断熱要素5の間に収容される。実施形態のこの態様は、アンカロッド12を収容するためにエッジング断熱要素5間に十分な間隔を必要とするが、アングルブラケット9のエッジング断熱要素5上への固定の必要がないので、エッジコーナに沿った密閉膜の容易な配置が可能になる。
【0094】
図示されていない実施形態の別の態様では、アングルブラケット9のエッジコーナ1と平行な方向の長さは、エッジング断熱要素5の同じ方向の長さの半分と同一である。その上、エッジング断熱要素5は、エッジング断熱要素5のこの同じ方向で中央に置かれた単一の溝32を有する。更に、アンカロッド12は、エッジング断熱要素5内に形成された溝32内と、エッジング断熱要素5の間の両方に配置される。各アングルブラケット9は、対応するエッジング断熱要素5上に置かれており、一方では、エッジング断熱要素5の溝32内に収容され、溝32内に収容されたアンカロッド12と連結しているタブ33を有し、他方では、エッジング断熱要素5と、隣接するエッジング断熱要素5との間の空間内に収容されたアンカロッド12と協働して、この空間内に収容されたタブ33を有する。
【0095】
図6は、2つの長手方向支持壁2と横方向支持壁3との間の接続点におけるタンクの角部を示す。各タンク壁の断熱障壁は、角部断熱要素38を備え、角部で合流する支持壁2、3のエッジコーナに沿ってエッジング断熱要素5の列を延長している。1つの角部部品39が角部断熱要素38上に位置する。この角部部品39は、それぞれの支持壁2、3と平行な平面内に延在し、対応するタンク壁の角部断熱要素38上に置かれた3つの角部フランジ40を含む。この角部部品39は、単一の角部アンカロッドによって支持構造の角部に固定されている。
【0096】
長手方向タンク壁の角部断熱要素38の特徴のみを以下に説明するが、この説明は類推によって他のタンク壁の他の角部断熱要素38に適用される。同様に、角部断熱要素38上に置かれた1つの角部フランジ40と、後述のエッジコーナ1に沿ったアングルブラケット9の列との間の協働は、類推によって、他の角部フランジ40と、角部を形成する他のエッジコーナに沿ったアングルブラケット9の他の列との間の協働に適用される。
【0097】
図6に示される角部断熱要素38は、上述の溝32と同様に、その厚さ内に横方向支持壁3に面する溝41を含む。更に、この角部断熱要素38は角部ミリングを含み、角部ミリングは、エッジング断熱要素5の横方向ミリング26をエッジコーナ1に沿って延長させおり、その中にアングルブラケット9がエッジコーナ1に沿って収容されている。
【0098】
図7は密閉膜の角部を形成する角部部品39の下方からの概略斜視図である。角部部品39は中空円筒状基部47を含み、その内部開口部が、3つの角部フランジ40の接続点によって形成された角部に開口している。この円筒状基部47は、貫通オリフィス49によって穿孔された底部48を含む。
【0099】
タンクが製作されるとき、支持構造の角部によって形成される立体角の中心方向に延在する角部アンカロッド99が、支持構造の角部内の支持構造上に溶接される。このために、角部アンカロッド99の方向に直角な平面に延在するアンカプレート(図示せず)が、角部アンカロッド99の第1の端部に固定される。次いで、このアンカプレートの縁部が角部を形成する対応する支持壁に溶接されて、角部アンカロッドがその第1の端部で支持構造に固定される。
【0100】
角部部品39が角部断熱要素38に取り付けられるとき、角部ロッド99の第1の端部に対向する角部ロッドの第2の端部は、円筒状基部47の底部48内の貫通オリフィス49を通って、円筒状基部47の中に挿入され、それにより円筒状基部47の内部空間の中に突出する。次いで、円筒状基部47の内部空間内の角部アンカロッドのこの第2の端部にナットが固定されて、円筒状基部47を角部アンカロッドに連結する。次いで、
図6に示されるような金属角部プレート50が、円筒状基部47の角部部品39上に取り付けられ密閉された形で溶接されて、この円筒状基部47を密閉された形で閉鎖し、密閉膜の角における角部部品の密閉を確保する。
【0101】
図6に示されるように、アングルブラケット9の列内の端部アングルブラケット42は、角部断熱要素38と、角部断熱要素38に隣接する端部のエッジング断熱要素5の両方の上に置かれる。
【0102】
この端部アングルブラケット42は、角部に最も近い端部において、長手方向支持壁2の方向に突出する2つのタブ33を有する。更に、この端部アングルブラケット42は、エッジング断熱要素5の切欠き29と同様に、溝41の切欠き43を完全に覆う。換言すれば、溝41内に収容された2つのタブ33が突出する端部アングルブラケット42の端部44は、角部断熱要素38の溝41を越えて角部ミリング上に置かれている。
【0103】
その上、アンカロッド12は、角部断熱要素38の溝41内に収容され、溝41内に収容された端部アングルブラケット42の2つのタブ33に連結されて、端部アングルブラケット42を横方向支持壁3上に固定する。
【0104】
支持構造の135度のエッジコーナに関して端部アングルブラケット42が
図8に概略的に示されており、端部アングルブラケット42の端部が、第1のフランジ10から突出した2つのタブ33を有して、対応する角部断熱要素38内に収容された端部アンカロッドと協働する。
【0105】
図示されていない実施形態の一態様では、端部アングルブラケット42は、アングルブラケット9の列内の他のアングルブラケット9と同一であり、角部断熱要素38の溝41に収容されたタブ33を1つだけを有しており、この単一のタブ33は溝41内に収容されたアンカロッド12に連結されている。
【0106】
角部フランジ40は、角部断熱要素38の角部ミリング内に置かれる。この角部フランジは、端部アングルブラケット42を延長し、かつ端部アングルブラケット42と同一平面上にある。上述したような波形接続部品36は、端部アングルブラケット42と角部フランジ40の両方に、例えば重ね溶接によって密閉された形で固定される。
【0107】
図9は、実施形態の第2の態様によるエッジング断熱要素5を示し、
図1~
図6に示した実施形態の第1の態様とは異なり、アングルブラケット9が横方向アンカストリップ45によって置き換えられ、国際公開第2017064413号に記載されているように、その上に取り付けられたアングルピースによって密閉された形で保持されている。
図1~
図8に関連して上述した要素と同一であるかまたは同一の機能を有する要素には、同一の参照符号が付されている。
【0108】
実施形態のこの第2の態様では、エッジング断熱要素5の横方向ミリング26は、エッジング断熱要素5の第2の横方向側面からは延在していない。この横方向ミリング26は、例えば、第2の横方向側面の横方向壁3に直角方向で見たときに、この方向でのエッジング断熱要素5の幅の3分の1に実質的に等しい距離を置いて位置している。長手方向ミリング27自体は、第1の横方向側面から第2の横方向側面まで、横方向支持壁に垂直な方向にエッジング断熱要素の幅の全体にわたって延在している。
【0109】
図10に示されるように、実施形態のこの第2の形態は、横方向アンカストリップ45の列を備え、その各々は、国際公開第2017064413号に記載されているアンカストリップと同様の構造を有しており、すなわち、これら横方向アンカストリップ45は折り曲げられて長手方向支持壁の方向に延在するタブ33を形成する2つの対向する端部を有する。これら横方向アンカストリップ45は、平坦であり、横方向アンカストリップ45が置かれているエッジング断熱要素の第2の横方向側面からある距離を置いて、エッジコーナ1と平行に延在している。換言すれば、各横方向アンカストリップ45は、エッジング断熱要素5の単一の列の上にのみ置かれ、単一のタンク壁の密閉膜と平行に延在していない。
【0110】
これらの横方向アンカストリップ45は、エッジコーナ1と平行な方向において、エッジング断熱要素5のこの方向における長さの半分に実質的に等しい長さを有する。従って、
図1~
図8に関連して上述したアングルブラケット9と同様に、横方向アンカストリップ45の列は、単一のエッジング断熱要素5によって支持される横方向アンカストリップ45と、2つの隣接するエッジング断熱要素5によって共通して支持される横方向アンカストリップ45とを交互に含む。
【0111】
同様に、各横方向アンカストリップ45のタブ33は、2つの隣接する溝32が同一のエッジング断熱要素5内に形成されているか、または2つの隣接するエッジング断熱要素5内に形成されているかどうかに関わらず、エッジコーナに沿った2つの隣接する溝32内に収容される。
図10は加えて、アンカロッド12と異なるアンカストリップ45のタブ33との間の協働を概略的に示しており、この協働は
図1~8のアングルブラケット9のタブ33とアンカロッド12との間の協働と同様である。
【0112】
エッジコーナ1における密閉膜の連続性を確保するために、エッジコーナ1のラインに直角なエッジング断熱要素5上に金属アングルピースの列が配置される。このような金属アングルピース列は、例えば国際公開第2017064413号に記載されており、エッジコーナ1に沿って整列されており、各金属アングルピースは2つのフランジを有し、フランジの各々がエッジコーナ1を形成する支持壁2、3の内の1つと平行に延在する。これらアングルピースは、エッジコーナ1に沿って対で溶接されて、エッジコーナ1に沿って密閉膜の密閉が確保される。更に、これら金属アングルピースおよびタンク壁の密閉膜は、横方向アンカストリップ45上で溶接され、それによりタンク壁の密閉膜をエッジコーナ1に沿って密閉された形で接続する。
【0113】
従って、実施形態のこの態様では、横方向アンカストリップ45と金属アングルピースとが共に
図1~
図8に関連して上述したようにアングルブラケット9と同じ機能を果たす。
【0114】
図示されていない変形形態では、横方向のアンカストリップ45のエッジコーナ1と平行な方向の長さは、エッジング断熱要素5の長さと実質的に等しい。各エッジング断熱要素5は、エッジング断熱要素5上で実質的に中央に置かれた単一の溝32を有する。次いで、横方向アンカストリップ45は隣接する2つのエッジング断熱要素5に重なるように配置され、それにより横方向アンカストリップ45のタブ33は、横方向アンカストリップ45が重なっているエッジング断熱要素5の内の1つの溝32内に収容される。
【0115】
単一の密閉膜を有するタンクを構築するための上述の技術は、様々なタイプの容器内で、例えば、陸上施設において、またはメタンタンカ等の浮体式構造物において、液化天然ガス(LNG)用の二重膜タンクを形成するために使用してもよい。これに関連して、前述の図面に示された密閉膜は2次密閉膜と考えてもよく、図示していない1次断熱障壁ならびに1次密閉膜を、この2次密閉膜に更に追加しなければならないと考えてもよい。このようにして、本技術はまた、複数の断熱障壁および密閉膜が重ねられたタンクに適用されてもよい。
【0116】
図11を参照すると、メタンタンカ70の切欠き図は、船舶の二重船郭72内に取り付けられた略角柱形状を有する密閉断熱タンク71を示す。タンク71の壁は、タンク内に収容されたLNGと接触するように意図された1次密閉障壁と、1次密閉障壁と船舶の二重船郭72との間に配列された2次密閉障壁と、1次密閉障壁と2次密閉障壁との間、および2次密閉障壁と二重船郭72との間にそれぞれ配置された2つの断熱障壁とを備える。
【0117】
それ自身既知である方法によって、船舶の上部デッキ上に配置された荷積み/荷下ろし用のパイプライン73は、好適な接続部材によって海上ターミナルまたは港湾ターミナルに接続されて、LNG貨物をタンク71からまたはタンク71に輸送してもよい。
【0118】
図11は、荷積みおよび荷下ろしステーション75、水中パイプ76および陸上施設77を含む海上ターミナルの一例を示す。荷積みおよび荷下ろしステーション75は、可動アーム74と、可動アーム74を支持する塔78とを備える、固定式海上施設である。可動アーム74は、荷積み/荷下ろし用のパイプライン73に連結可能な断熱フレキシブル導管79の束を担持する。方向付け可能な可動アーム74は、あらゆるサイズのメタンタンカに合うように適合されている。図示されていない連結パイプが塔78の内部に延在する。荷積みおよび荷下ろしステーション75は、メタンタンカ70が、陸上施設77からまたは陸上施設77へ、荷積みおよび荷下ろしされることを可能にする。後者は、液化ガス貯蔵タンク80と、水中パイプ76によって荷積みまたは荷降ろしステーション75に連結された連結パイプ81とを備える。水中パイプ76は、荷積みまたは荷降ろしステーション75と陸上施設77との間の液化ガスの輸送を長距離、例えば5kmにわたって可能にし、荷積みおよび荷降ろし作業中に、メタンタンカ70を岸から遠く離したままにすることを可能にする。
【0119】
液化ガスの輸送に必要な圧力を生成するために、船舶70に搭載されたポンプ、および/または陸上施設77に設置されたポンプ、および/または荷積みおよび荷降ろしステーション75に設置されたポンプが用いられる。
【0120】
本発明を実施形態の複数の特定の態様と関連して説明してきたが、本発明は決してそれら実施形態に制限されず、本発明の範囲内に入るものであれば、説明された手段の技術的等価物の全て、およびそれらの組み合わせが、本発明に含まれることは明白である。
【0121】
特に、単一の断熱障壁と単一の密閉膜が示され説明されているが、密閉断熱タンクは2つの断熱障壁と2つの密閉膜を交互に重ねたものを含んでもよい。従って、上述の断熱障壁および密閉膜は、そのようなタンクの2次断熱障壁および2次密閉膜を構成し、1次断熱障壁が2次密閉膜上に置かれ、1次密閉膜が1次断熱障壁上に位置してもよい。
【0122】
「備える」、「有する」または「含む」といった動詞やその活用形は、請求項で挙げているもの以外の要素や工程が存在することを除外しない。
【0123】
特許請求の範囲において、括弧内のいかなる参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。