(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】清掃具用柄及び清掃具
(51)【国際特許分類】
A47K 11/10 20060101AFI20230426BHJP
A47L 13/10 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
A47K11/10
A47L13/10 D
(21)【出願番号】P 2018161661
(22)【出願日】2018-08-30
【審査請求日】2021-07-30
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】新谷 尚己
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3140187(JP,U)
【文献】特開平10-211118(JP,A)
【文献】特開平09-262201(JP,A)
【文献】実公第005230(大正12年)(JP,Y1T)
【文献】実開平07-005547(JP,U)
【文献】特開2004-049628(JP,A)
【文献】特開2014-91034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 11/00-11/12
A47L 13/00-13/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃対象にヘッド部を押し付けて清掃する清掃具に用いられる清掃具用柄であって、
長尺に形成され、前記ヘッド部を挟持するための第一挟持部を備える本体部と、
前記ヘッド部を挟持するための第二挟持部を備え、前記本体部に回動可能に接続された回動部と、
前記回動部の回動を規制するロック機構と、
を備え、
前記回動部は、当該回動部の回動に伴って、前記第一挟持部と、前記第二挟持部と、の間隔を変更可能であり、
前記ロック機構は、
前記本体部に対して摺動可能に備えられ、
当該ロック機構の摺動によって、前記回動部の回動が規制された状態と、これが解除された状態と、を切り替え可能であり、前記第一挟持部と前記第二挟持部とが近接した状態で前記回動部の回動を規制し、
当該ロック機構を貫通し、前記本体部を挿通可能な貫通部を備え、
前記貫通部は、一の開口部から他の開口部へと徐々に狭まっており、
前記本体部及び/又は前記回動部は、前記回動部の回動が規制された状態で前記貫通部内面に当接する隆起部を備え
、
前記隆起部が隆起する方向における前記貫通部の幅は、
前記一の開口部において、前記本体部及び/又は前記回動部の前記隆起部が備えられた部分の前記方向における幅よりも大きく、
前記他の開口部において、前記本体部及び/又は前記回動部の前記隆起部が備えられた部分の前記方向における幅よりも小さいことを特徴とする清掃具用柄。
【請求項2】
前記ロック機構にはレールが備えられ、前記本体部には前記レールが挿入される溝が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の清掃具用柄。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の清掃具用柄と、前記第一挟持部と前記第二挟持部との間に挟持されて前記清掃具用柄に取り付けられたヘッド部と、を備えることを特徴とする清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃具用柄及び清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレに設置された便器の清掃に用いられるクリーニングブラシ等の清掃具が普及している。この清掃具は、使用者が柄を持ち、そのヘッド部により便器の内面を擦って汚れを落とすように使用されるため、繰り返し使用する場合、ヘッド部の清潔性が損なわれ、臭いやカビ等が発生する原因となる。
そこで、清掃具のヘッド部を複数の水解性シートを積層させて形成し、このヘッド部を柄部に着脱自在に保持させ、使用後、ヘッド部を柄部から外して便器に流すことを可能とする技術が提案されている。
【0003】
ヘッド部を柄部に着脱自在とするための構造としては、柄部の外殻に対して内部構造を摺動可能に構成し、その摺動に伴って、ヘッド部を掴む部分が開閉することで、ヘッド部を着脱自在とするもの(例えば、特許文献1参照)や、柄部を鋏類似の構造に形成し、その一端でヘッド部を掴むことで、ヘッド部を着脱自在とするもの(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4482559号公報
【文献】米国特許出願第2017/251891号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このうち鋏類似の構造を有するものは、簡易な構造でヘッド部を着脱自在とできるものの、ヘッド部の固定を強固にしようとして、鋏の回動に強い力を要するようにすると、鋏の開閉に力を要しヘッド部の着脱が困難となり、反対にヘッド部の着脱を容易にしようとして、鋏の回動に要する力を弱くすると、鋏が清掃中に開き易くなり、これを常に押さえている必要がある等の理由で、清掃が行い難かった。
【0006】
本発明の課題は、ヘッド部の着脱の容易性と清掃の行い易さと両立した清掃具用柄及び清掃具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
清掃対象にヘッド部を押し付けて清掃する清掃具に用いられる清掃具用柄であって、
長尺に形成され、前記ヘッド部を挟持するための第一挟持部を備える本体部と、
前記ヘッド部を挟持するための第二挟持部を備え、前記本体部に回動可能に接続された回動部と、
前記回動部の回動を規制するロック機構と、
を備え、
前記回動部は、当該回動部の回動に伴って、前記第一挟持部と、前記第二挟持部と、の間隔を変更可能であり、
前記ロック機構は、
前記本体部に対して摺動可能に備えられ、
当該ロック機構の摺動によって、前記回動部の回動が規制された状態と、これが解除された状態と、を切り替え可能であり、前記第一挟持部と前記第二挟持部とが近接した状態で前記回動部の回動を規制し、
当該ロック機構を貫通し、前記本体部を挿通可能な貫通部を備え、
前記貫通部は、一の開口部から他の開口部へと徐々に狭まっており、
前記本体部及び/又は前記回動部は、前記回動部の回動が規制された状態で前記貫通部内面に当接する隆起部を備え、
前記隆起部が隆起する方向における前記貫通部の幅は、
前記一の開口部において、前記本体部及び/又は前記回動部の前記隆起部が備えられた部分の前記方向における幅よりも大きく、
前記他の開口部において、前記本体部及び/又は前記回動部の前記隆起部が備えられた部分の前記方向における幅よりも小さいことを特徴とする。
本発明によれば、ヘッド部の着脱の容易性と清掃の行い易さと両立した清掃具用柄を提供することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の清掃具用柄において、
前記ロック機構にはレールが備えられ、前記本体部には前記レールが挿入される溝が備えられていることを特徴とする。
本発明によれば、スムーズにロック機構を摺動させることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、清掃具であって、
請求項1又は2に記載の清掃具用柄と、前記第一挟持部と前記第二挟持部との間に挟持されて前記清掃具用柄に取り付けられたヘッド部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、ヘッド部の着脱の容易性と清掃の行い易さと両立した清掃具を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ヘッド部の着脱の容易性と清掃の行い易さとを両立した清掃具用柄及び清掃具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】実施形態に係る清掃具の柄部の第一挟持部と第二挟持部とを近接させた状態の正面図である。
【
図3】実施形態に係る清掃具の柄部の第一挟持部と第二挟持部とを離隔させた状態の正面図である。
【
図4】実施形態に係る清掃具の柄部の平面図である。
【
図6】変形例に係る清掃具の柄部の
図5と同一の位置における断面図である。
【
図7】変形例に係る清掃具の柄部の平面図であり、(a)はロック機構によって回動部の回動が規制されていない状態、(b)はロック機構によって回動部の回動が規制されている状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態である清掃具の具体的な態様について、
図1から
図7に基づいて説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図示例に限定されない。
なお、以下においては、
図1に示すように、前後方向、左右方向及び上下方向並びにX軸、Y軸及びZ軸を定めて説明する。すなわち、柄部のヘッド部が取り付けられていない側の端部が向く方向を「右」、その反対側を「左」、柄部が屈曲する方向を「下」、その反対側を「上」、右側を向いた際の右手側を「前」、右側を向いた際の左手側を「後」とし、前後方向に沿った軸をX軸、左右方向に沿った軸をY軸、上下方向に沿った軸をZ軸とする。
【0017】
[実施形態の構成]
清掃具100は、トイレに設置された便器の清掃などに用いられるものであり、
図1に示すように、清掃具100の使用者が把持する柄部1と、柄部1に着脱自在に取り付けられるヘッド部2と、から構成される。
【0018】
{柄部}
柄部1は、
図1から
図4に示すように、その本体をなす本体部11と、本体部11に対し回動可能に接続された回動部12と、回動部12の回動を規制するロック機構13と、からなる。
【0019】
(本体部)
本体部11は、
図1から
図4に示すように、清掃具100の使用者が把持する部分である把持部111と、把持部111と接続され、回動部12と対向する部分である対向部112と、対向部112の把持部111と接続された側と反対側の端部に接続され、後述の回動部12に備えられる第二挟持部122との間にヘッド部2を挟むことで、これを柄部1に取り付けるための第一挟持部113と、からなる。
本体部11を形成する材料としては、ヘッド部2を柄部1に取り付けて清掃を行うことができる強度を有するものであれば任意であるが、例えば、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂)、PP(ポリプロピレン)、POM(ポリアセタール)等を用いることができる。
【0020】
(把持部)
把持部111は、柄部1の清掃具100の使用者が把持する部分であり、
図1から
図4に示すように、長尺な直線状の棒状に形成されている。把持部111の長さは、Y軸方向に150mmから270mmであることが好ましい。
【0021】
把持部111の断面形状(XZ面に沿った断面おける形状)は、使用者が把持し易くするため、上側及び下側が直線状、前側及び後側が円弧上となるように形成され、X方向に15mmから30mm、Z方向に10mmから30mmの大きさであることが好ましい。
【0022】
なお、把持部111は、複数に分割可能に形成されていてもよい。この場合、不使用時に柄部1を短く分割することができ、その収容が容易となる。
また、把持部111には、
図1及び
図4に示すように、柄部1をフック等に掛けることを可能とするための孔部1111が設けられていてもよい。
【0023】
(対向部)
対向部112は、
図3及び
図4に示すように、把持部111の一端部(図においては左端部)から、そのX方向における片側(図においては後側)半分の断面形状で延出するように形成されており、
図5に示すようにX方向に把持部111を2分したものと略同一の断面形状を有する。
対向部112は、
図1から
図3に示すように、把持部111と接続されているのと反対側の端部近傍が、下方へと湾曲するように形成されている。また、対向部112は、把持部111との接続部分から第一挟持部113との接続部分までの長さが、160mmから250mmであることが好ましい。
【0024】
(本体側接続部)
対向部112には、
図1から
図3に示すように、本体部11と回動部12とを回動可能に接続するための本体側接続部1121が備えられている。
本体側接続部1121の構成は、本体部11と回動部12とを、その接続部分を支点として、YZ面上において回動可能に接続できるものであれば任意であるが、例えば、後述のように、回動部側接続部1211が、円形の孔部として形成されている場合であれば、これを挿通可能な、X軸方向に突出する円筒状の突起部として形成すればよい。
【0025】
(第一挟持部)
第一挟持部113は、
図1から
図4に示すように、対向部112の把持部111と接続されているのと反対側の端部に接続された板状の部材であり、後述の第二挟持部122との間にヘッド部2を挟むことによって、これを柄部1に対して固定するための部分である。
【0026】
第一挟持部113は、
図3に示すように、対向部112の把持部111と接続されているのと反対側の端部の、下端部付近と接続されている。
また、第一挟持部113は、
図2及び
図3に示すように、上面側に、ヘッド部2を挟持する面である第一挟持面1131を有する。第一挟持面1131は、回動部12が回動する面(YZ面)と略直交する面となるように形成される。
また、第一挟持面1131には、
図2及び
図3に示すように、X軸方向に沿った直線状に凹部及び凸部が形成されていることが、ヘッド部2を外れ難くするため好ましい。
【0027】
第一挟持部113の形状及び大きさは、第二挟持部122との間にヘッド部2を挟むことで、ヘッド部2を柄部1に対して固定可能であれば特に限定されないが、柄部1の軸方向と直交する方向(
図1から
図4においてはX方向)に25mmから40mmの長さを有し、これと直交する方向(柄部1の軸方向)に25mmから35mmの長さを有することが好ましい。
【0028】
(本体側回動制限部)
本体部11の対向部112と把持部111との接続部分の前側は、
図2及び
図3に示すように、本体部11の上面側において、把持部111が、柄部1の下面側と比較して左方へと長く続くように形成されており、本体側回動制限部114を形成している。これと、後述の回動部12の回動部本体121に形成された回動部側回動制限部1212とが接触することで、回動部12の回動が、
図2に示すように回動部12の回動部本体121と対向部112とがX方向から見て重なった状態で、それ以上回動部側回動制限部1212が上方向へと行かないように制限されるようになっている。
【0029】
(溝部)
本体部11の、把持部111と対向部112との接続部分の上面側には、
図1、
図4及び
図5に示すように、本体部11の軸方向(Y方向)に沿って形成された溝である第一溝部115が形成され、把持部111と対向部112との接続部分の下面側には、
図5に示すように、本体部11の軸方向(Y方向)に沿って形成された溝である第二溝部116が形成されている。
【0030】
第一溝部115及び第二溝部116は、Z方向に重なる位置に、同一の長さとなるように形成されている。具体的には、Y方向に20mmから70mmの長さに形成されることが望ましい。なお、第一溝部115及び第二溝部116は、本体部11の表裏の位置関係となる面に形成されていればよく、Z方向に重なる位置に形成されていることは必須ではない。
また、第一溝部115は、後述のロック機構13に形成された第一レール部132を通すことができ、第二溝部116は、後述のロック機構13に形成された第二レール部133を通すことができるように構成されている。
【0031】
(回動部)
回動部12は、
図1から
図4に示すように、その本体をなす回動部本体121と、回動部本体121の一端部に備えられ、本体部11に備えられた第一挟持部113との間にヘッド部2を挟むことで、これを柄部1に取り付けるための第二挟持部122と、からなる。回動部12を形成する材料としては、ヘッド部2を柄部1に取り付けて清掃を行うことができる強度を有するものであれば任意であるが、例えば、本体部11と同様、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、POM(ポリアセタール)等を用いることができる。
【0032】
(回動部本体)
回動部本体121は、
図1から
図4に示すように、本体部11の対向部112をX方向に反転させたものと略同一の形状を有し、
図1、
図2及び
図4に示すように、本体部11と回動部12とが組み合わさった際に、一本の棒状となるように形成されている。
回動部本体121には、一端部に第二挟持部122が接続され、本体部11の本体側接続部1121と対向する位置には、本体部11と回動部12とを回動可能に接続するための、回動部側接続部1211が備えられている。
【0033】
(回動部側接続部)
回動部側接続部1211の構成は、本体部11と回動部12とを、その接続部分を支点として、YZ面上において回動可能に接続できるものであれば任意であるが、例えば、上記のように、本体側接続部1121が、X軸方向に突出する円筒状の突起部として形成されている場合であれば、これを挿通させることが可能な、本体側接続部1121と略同一の直径を有する円形の孔部として形成することができる。
【0034】
(回動部側回動規制部)
回動部本体121の、第二挟持部122と接続されたのとは反対側の端部は、
図2に示すように回動部本体121と対向部112とがX方向から見て重なった状態における下面側が、上面側と比較して右方へと突出するように形成されており、回動部側回動制限部1212を形成している。これと、本体側回動制限部114とが接触することで、回動部12の回動が、
図2に示すように回動部12の回動部本体121と対向部112とがX方向から見て重なった状態で、それ以上回動部側回動制限部1212が上方向へと行かないように制限されるようになっている。
【0035】
(隆起部)
回動部本体121の、第二挟持部122が接続されたのとは反対側の端部近傍の、
図2に示すように回動部本体121と対向部112とがX方向から見て重なった状態における上面側には、僅かに上方に突出した隆起部1213が形成されている。隆起部1213は、後述のように、ロック機構13の貫通部131の上面と当接することで、ロック機構13を固定するために備えられている。また、隆起部1213は、回動部12を回動させ、第一挟持部113と第二挟持部122との間隔を広げる際に使用者が回動部12を押し易くする機能も有する。
隆起部1213は、上方へ2mm以内で突出するように形成されていることが好ましい。
なお、後述のように、第一溝部115にロック機構13の第一レール部132が挿入され、第二溝部116にロック機構13の第二レール部133が挿入されることで、ロック機構13はある程度固定されることから、隆起部1213を備えることは必須ではない。
【0036】
(第二挟持部)
第二挟持部122は、
図1から
図4に示すように、回動部本体121の湾曲している側の端部に接続された板状の部材であり、第一挟持部113との間にヘッド部2を挟むことによって、これを柄部1に対して固定するための部分である。
【0037】
第二挟持部122は、回動部本体121の湾曲している側の端部の、
図2に示すように回動部本体121と対向部112とがX方向から見て重なった状態における上端部付近と接続されている。
また、第二挟持部122は、
図2及び
図3に示すように、下面側に、ヘッド部2を挟持する面である第二挟持面1221を有する。第二挟持面1221は、回動部12が回動する面(YZ面)と略直交する面となるように形成される。
第二挟持面1221には、
図2及び
図3に示すようにX軸方向に沿った直線状に凹部及び凸部が形成されていることが、ヘッド部2を外れ難くするため好ましい。
【0038】
第二挟持部122の形状及び大きさは、第一挟持部113との間にヘッド部2を挟むことで、ヘッド部2を柄部1に対して固定可能であれば特に限定されないが、
図1から
図4に示すように、第一挟持部113と同一の形状及び大きさとなるように形成されていることが望ましい。
また、第二挟持部122と第一挟持部113との間隔が、
図2に示すように回動部本体121と対向部112とがX軸方向から見て重なった状態において、ヘッド部2の厚みよりも僅かに狭くなるように構成される。これによって、第一挟持部113と第二挟持部122との間にヘッド部2を挟むことで、ヘッド部2を柄部1に対して固定可能となる。
【0039】
(ロック機構)
ロック機構13は、
図1から
図3及び
図5に示すように、中空な四角柱状に形成され、対向する二面(図においては左右の面)が開口部となり、本体部11及び回動部12を挿通させることができる貫通部131が形成されている。なお、ロック機構13の外形は、図視したような四角柱状には限られず、本体部11及び回動部12を挿通させることができる貫通部131を形成することができるものであれば任意である。また、ロック機構13を形成する材料としては、例えば、本体部11及び回動部12と同様、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂)、PP(ポリプロピレン)、低密度PE(ポリエチレン)、POM(ポリアセタール)等を用いることができる。
【0040】
ロック機構13は、
図1から
図3に示すように、開口部の一方が形成されている側から他方の開口部が形成されている側へと、徐々に上下方向に小さくなるように形成されている。具体的には、
図1から
図3においては、右方へ行くほどZ方向の高さが低くなり、これに伴って、貫通部131の高さも、左方へ行くほど高く、右方へ行くほど低くなるように形成されている。また、ロック機構13は、貫通部131のZ方向の幅が、
図2及び
図3に示すように、最も高くなる左端部において、回動部12の隆起部1213が設けられた部分よりも広く、最も狭くなる右端部においては、回動部12の隆起部1213が設けられた部分よりも狭くなるように形成されている。
これによって、ロック機構13を左方へと動かしていくと、
図1に示すように、貫通部131の上面と、回動部12上面に形成された隆起部1213とが当接することとなり、ロック機構13を、本体部11及び回動部12に対して、回動部12の回動が規制された状態で強固に固定することができる。
【0041】
(レール部)
ロック機構13の内面側には、
図5に示すように、上面側の、本体部11の第一溝部115と対向する位置に、Y方向の全体に亘って第一レール部132が形成され、下面側の、本体部11の第二溝部116と対向する位置に、Y方向の全体に亘って第二レール部133が形成されている。
図5に示すように、第一レール部132が本体部11の第一溝部115に挿入され、第二レール部133が本体部11の第二溝部116に挿入されることで、ロック機構13を、本体部11に対してスムーズに摺動可能とすることができる。
【0042】
なお、上記のように、貫通部131の上下方向の幅は、左方へ引くほど広くなるように形成されているが、これに応じて第一レール部132の高さも左方に行くほど高くなるようにすることで、第一レール部132と第二レール部133とのZ軸方向の間隔は一定となるように形成されている。
【0043】
なお、
図5においては、第一レール部132及び第二レール部133が共に矩形状の断面形状を有し、本体部11に形成された第一溝部115及び第二溝部116もこれに対応した矩形状の断面形状の溝となるように形成された場合につき図示したが、レール及び溝の形状はこれに限られず、第一レール部132が本体部11の第一溝部115に挿入され、第二レール部133が本体部11の第二溝部116に挿入されることで、ロック機構13を、本体部11に対してスムーズに摺動させることができるものであれば任意である。例えば三角形状の断面形状を有するレール及びこれを挿入可能な溝として形成されていてもよい。
【0044】
{ヘッド部}
ヘッド部2は、
図1に示すように、第一挟持部113と、第二挟持部122とに挟持されて柄部1に着脱自在に取り付けられた状態で、便器の内面などの被清掃面に押し付けられてその清掃を行うための部材であり、水解性を有する材料により形成され、清掃後、柄部1から外して便器に流すことができるように形成されている。
【0045】
具体的には、例えばヘッド部2は、水解性を有する一枚のシート体を折り畳むことで2層以上重ね合わされた積層体により形成されることが好ましい。一枚のシート体を折り畳んでヘッド部2を形成することで、その製造を容易にすることができる。
なお、製造の容易性は低下するものの、複数枚のシート体を重ね合わせることで2層以上重ね合わされた積層体が形成されていてもよい。また、複数枚のシート体を重ね合わせた上で、これをさらに折り畳むことによって、2層以上重ね合わされた積層体が形成されていてもよい。
このようにヘッド部2を積層体とすることで、便器に流す際に水に対してほぐれやすくすることができる。
【0046】
また、ヘッド部2に用いられる水解性を有するシート体としては、例えば、湿式抄紙法により作製される水解紙や、エアレイド不織布などを用いることができる。このようなシート体の原料には、バージンパルプが用いられることが好ましい。古紙再生パルプには樹脂や石灰等の異物が混入することがあり、これによって、清掃時に被清掃面に傷がつき易くなる、流した際に所望の水解性が得られず詰まり易くなるといったリスクが生じるためである。
【0047】
ヘッド部2は、長辺40mmから60mm、短辺35mmから55mmの長方形状に形成され、厚みが10mmから20mmとなるように形成されることが好ましい。
また、ヘッド部2は、柄部1に対し、長辺方向が柄部1の軸方向と一致するようにして、第一挟持部113及び第二挟持部122の先端から、20mmから40mm突出するように取り付けられることが好ましく、略30mm突出するように取り付けられることが最も好ましい。
【0048】
また、ヘッド部2は、長辺方向の一端部近傍において、圧縮されてシート体同士が固定されており、長辺方向の他端部近傍においては、圧縮されず、シート体同士が固定されないように構成されていてもよい。なお、シート体同士が固定されていない前記他端部側には、さらに複数の切れ目が形成されていてもよい。また、シート体同士が固定されている前記一端部側においては、さらに、水溶性の接着剤等によって、シート体同士が強固に固定されていてもよい。
これによって、シート体同士が固定された前記一端部側を第一挟持部113と、第二挟持部122とによって挟持して、柄部1に取り付けることで、ヘッド部2の柄部1への取り付けが容易となり、かつ、シート体同士が固定されていない前記他端部側を清掃に用いることで、汚れの除去力も高めることができる。
【0049】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、まず、ロック機構13を右へと摺動させ、
図2及び
図3に示すように、回動部12がロック機構13によって覆われていない状態とすることで、回動部12を回動させることが可能となり、
図3に示すように、第一挟持部113と第二挟持部122との間隔を広げることができる。
当該状態でヘッド部2を第一挟持部113と第二挟持部122との間に挿入した後、回動部12を回動させて、
図2に示すように第一挟持部113と第二挟持部122との間隔を狭め、当該状態において、ロック機構13を左へと摺動させて、
図1に示すように回動部12を当該状態で固定することによって、ヘッド部2を柄部1に取り付けることができる。
【0050】
したがって、ロック機構13によって回動部12の回動を規制できることから、清掃中に不意に回動部12が回動して、第一挟持部113と第二挟持部122との間隔が開いてヘッド部2が外れてしまうおそれがなく、清掃が行い易くなる。
また、ロック機構13によって回動部12の回動を規制できることから、ヘッド部2を外れ難くするために回動部12の回動に要する力を強くする必要がなくなる。これによって、ヘッド部2の交換時にも回動部12の回動に強い力を要しないようにすることができ、ヘッド部の交換も容易とすることができる。
【0051】
また、本体部11、回動部12及びロック機構13によって構成されるシンプルな構造で上記の機能を実現できることから、清掃具の製造コストの大きな増大を招くこともない。
【0052】
また、ロック機構13を本体部11に対して摺動させることで、回動部12の回動が規制された状態と、これが解除された状態と、を切り替える構造とすることで、その切り替えが行い易くなる。また、本体部11に第一溝部115及び第二溝部116が備えられ、ロック機構13に第一レール部132及び第二レール部133が備えられ、第一レール部132が本体部11の第一溝部115に挿入され、第二レール部133が本体部11の第二溝部116に挿入されることで、ロック機構13を、本体部11に対してスムーズに摺動させることができる。
【0053】
また、本体部11がロック機構13の貫通部131を貫通するように構成されていることで、ロック機構13が本体部11から外れてしまい難くなる。
【0054】
また、ロック機構13が、貫通部131の開口部の一方が形成されている側から他方の開口部が形成されている側へと、徐々に上下方向に小さくなるように形成され、かつ、回動部12に隆起部1213が形成されていることによって、ロック機構13を、回動部12の回動が規制された状態で、強固に固定することが可能となる。
【0055】
[変形例]
上記実施形態においては、柄部1の本体部11に第一溝部115及び第二溝部116が備えられ、ロック機構13に第一レール部132及び第二レール部133が備えられた場合につき説明したが、反対に本体部にレール部を設け、ロック機構に溝部を設けることも可能である。ただし、ロック機構の各面を薄く形成するためには、本体部に溝部を設け、ロック機構にレール部を設けた方が好ましい。
【0056】
ロック機構13の位置を、回動部12の回動が規制された状態で固定するための隆起部を備える位置は、上記の回動部12上面側には限られない。例えば、隆起部は回動部12ではなく、本体部11の対向部112の把持部111との接続部分近傍に設けてもよいし、本体部11及び回動部12の両者に設けてもよい。
また、このような隆起部を設けずに、ロック機構の貫通部の断面形状を一定とした上で、これを把持部111の断面形状や、対向部112と回動部本体121とを合わせたものの断面形状と略同一の形状及び大きさとすることで、ロック機構の摺動に一定の抵抗が掛かるようにし、その位置を固定可能としてもよい。
【0057】
また、ロック機構の構造は、清掃具の使用時に回動部の回動を規制すると共に、ヘッド部2の交換時にこれを解除できるものであればよく、上記のものに限られない。
例えば、ロック機構は、必ずしも本体部11及び回動部12の周囲を周回する筒状に形成されている必要はなく、
図6(a)に示すロック機構13Aのように、後面側を除く3方向を覆うように形成されていてもよい。
【0058】
また、
図6(b)に示すロック機構13Bように、本体部11A及び回動部12Aの前面及び後面の下方並びに下面のみを覆うように形成されていてもよい、この場合、ロック機構13Bの後面側に第一レール部132Aを設け、ロック機構13Bの前面側に第二レール部133Aを設けると共に、本体部11A後面側に、把持部から対向部112Aに亘るように第一溝部115Aを設け、本体部11Aの把持部の前面側から、回動部12Aの回動部本体121Aの前面側に亘るように、第二溝部116Aが形成される必要がある。
また、この場合、回動部本体121A及び/又は対向部112Aの下面側に隆起部1213Aを設けると共に、ロック機構13Bの下面が、右方へ行くほど本体部11A及び回動部12Aに近づくようにする。
【0059】
また、
図6(c)に示すロック機構13Cのように、本体部11B及び回動部12Bの下面のみを覆うように、一枚の板状に形成されていてもよい。この場合、第一レール部132Bを、その断面形状が、例えば図示したように上端付近が広がる形状となるようにロック機構13Cの上面に形成し、本体部11Bにも、把持部から対向部112Bに亘るようにこれに対応した第一溝部115Bを設けることで、第一レール部132Bが、第一溝部115Bから下方へと抜けないようにする必要がある。
また、この場合も、回動部本体121B及び/又は対向部112Bの下面側に隆起部1213Aを設けると共に、ロック機構13Cが、右方へ行くほど本体部11B及び回動部12Bに近づくようにする。
このように下面側にロック機構13Cを設けるのみでも、その反対側への回動部12Bの回動は、本体側回動制限部114及び回動部側回動制限部1212によって防ぐことができることから、清掃具使用時の回動部12Bの回動を防ぐことができる。
【0060】
また、ロック機構の構造は、本体部に対して摺動するものに限られない。
例えば、本体部に対して回動可能に固定され、その回動に伴って、回動部の回動が規制された状態と、回動部が回動可能な状態とを切替可能に構成されていてもよい。
【0061】
具体的には、
図7に示すように、全体が直方体状となるロック機構13Dを、X方向に2分し、第一ロック機構134と第二ロック機構135とした上で、これらを本体部11Cに対して、一端部を支点として回動可能に固定する。
さらに、第一ロック機構134と第二ロック機構135とを、
図7(b)に示すようにこれらが閉じられた状態で互いに固定可能とすることで、
図7(a)に示すように第一ロック機構134と第二ロック機構135とを開くことで、回動部12の回動を可能とすると共に、第一ロック機構134と第二ロック機構135とを閉じ、これらを固定することで、回動部12の回動を規制することができる。
この場合も、回動部12の回動が規制された状態と、これが解除された状態と、の切り替えが行い易くなる。
【0062】
また、第一挟持部の第一挟持面及び第二挟持部の第二挟持面の形状を、第一挟持部のX方向における中央部に下方向へと凹状となる凹部を備え、第二挟持部のY方向における中央部に、下方向へと凸状となる凸部を備えるようにしてもよい。この場合、ヘッド部2をX軸方向の両端部同士が近づくように湾曲した状態で柄部に取り付けることが可能となり、清掃時のヘッド部の強度を向上させることができる。なお、反対に第一挟持部のX方向における中央部に上方向へと凸状となる凸部を備え、第二挟持部のY方向における中央部に上方向へと凹状となる凹部を備えてもよい。
【符号の説明】
【0063】
100 清掃具
1、1A、1B、1C、1D 柄部
11、11A、11B、11C 本体部
113 第一挟持部
115、115A、115B 第一溝部
116、116A 第二溝部
12、12A、12B、12C 回動部
1213、1213A 隆起部
122 第二挟持部
13、13A、13B、13C、13D ロック機構
131 貫通部
132、132A、132B 第一レール部
133、133A 第二レール部
134 第一ロック機構
135 第二ロック機構
2 ヘッド部