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特許7269010脳に刺激を与えるための方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】脳に刺激を与えるための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 21/02 20060101AFI20230426BHJP
【FI】
A61M21/02 E
A61M21/02 B
A61M21/02 C
A61M21/02 H
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018546406
(86)(22)【出願日】2016-11-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-01-10
(86)【国際出願番号】 US2016063651
(87)【国際公開番号】W WO2017091758
(87)【国際公開日】2017-06-01
【審査請求日】2019-11-21
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-17
(31)【優先権主張番号】62/258,965
(32)【優先日】2015-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518177973
【氏名又は名称】サナ ヘルス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SANA HEALTH, INC.
【住所又は居所原語表記】130 MINERS DRIVE, SUITE 101, LAFAYETTE CO 80026,USA
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ハンベリー
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】井上 哲男
【審判官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-194706(JP,A)
【文献】米国特許第5507716(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0211013(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 21/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに刺激を与える装置であって、
前記ユーザの頭部に着用されるように構成されたフレームと、
左の視覚刺激パターンを生成するように構成された左の光源と、
右の視覚刺激パターンを生成するように構成された右の光源と、
左の聴覚刺激パターンを生成するように構成された左の音源と、
右の聴覚刺激パターンを生成するように構成された右の音源と、
前記左の光源、前記右の光源、前記左の音源、および前記右の音源に結合された制御装置と
を備え、
前記制御装置による、前記左の視覚刺激パターン、前記右の視覚刺激パターン、前記左の聴覚刺激パターン、および前記右の聴覚刺激パターンの印加が、1番目のAブロック、2番目のBブロック、3番目のCブロックを含み、前記Aブロックは、
3.9Hzのパルス周波数で、前記ユーザの左眼への左側の光刺激パターン、前記ユーザの右眼への右側の光刺激パターン、前記ユーザの左側への左側の聴覚刺激パターン、および前記ユーザの右側への右側の聴覚刺激パターンを同時に与えるセグメントと、
3.9Hzのパルス周波数で、前記左側の光刺激パターンおよび左側の聴覚刺激パターンを与えることと、前記右側の光刺激パターンおよび右側の聴覚刺激パターンを与えることとを交互に繰り返すセグメントと、
3.9Hzのパルス周波数で、前記左側および右側の光刺激パターンを与えることと、前記左側および右側の聴覚刺激パターンを与えることとを交互に繰り返すセグメントと、
3.9Hzのパルス周波数で、前記左側の光刺激パターンおよび右側の聴覚刺激パターンを与えることと、前記右側の光刺激パターンおよび左側の聴覚刺激パターンを与えることとを交互に繰り返すセグメント
を含み、
前記Bブロックは、
1.5Hzのパルス周波数で、前記ユーザの左眼への左側の光刺激パターン、前記ユーザの右眼への右側の光刺激パターン、前記ユーザの左側への左側の聴覚刺激パターン、および前記ユーザの右側への右側の聴覚刺激パターンを同時に与えるセグメントと、
1.5Hzのパルス周波数で、前記左側の光刺激パターンおよび左側の聴覚刺激パターンを与えることと、前記右側の光刺激パターンおよび右側の聴覚刺激パターンを与えることとを交互に繰り返すセグメントと、
1.5Hzのパルス周波数で、前記左側および右側の光刺激パターンを与えることと、前記左側および右側の聴覚刺激パターンを与えることとを交互に繰り返すセグメントと、
1.5Hzのパルス周波数で、前記左側の光刺激パターンおよび右側の聴覚刺激パターンを与えることと、前記右側の光刺激パターンおよび左側の聴覚刺激パターンを与えることとを交互に繰り返すセグメントと
を含み、
前記Cブロックは、
0.5Hzのパルス周波数で、前記ユーザの左眼への左側の光刺激パターン、前記ユーザの右眼への右側の光刺激パターン、前記ユーザの左側への左側の聴覚刺激パターン、および前記ユーザの右側への右側の聴覚刺激パターンを同時に与えるセグメントと、
0.5Hzのパルス周波数で、前記左側の光刺激パターンおよび左側の聴覚刺激パターンを与えることと、前記右側の光刺激パターンおよび右側の聴覚刺激パターンを与えることとを交互に繰り返すセグメントと、
0.5Hzのパルス周波数で、前記左側および右側の光刺激パターンを与えることと、前記左側および右側の聴覚刺激パターンを与えることとを交互に繰り返すセグメントと、
0.5Hzのパルス周波数で、前記左側の光刺激パターンおよび右側の聴覚刺激パターンを与えることと、前記右側の光刺激パターンおよび左側の聴覚刺激パターンを与えることとを交互に繰り返すセグメントと
を含む、
装置。
【請求項2】
前記左または右の聴覚刺激パターンの1つまたは複数が240Hz~480Hzの聴覚周波数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記左または右の音源の1つまたは複数が、骨伝導トランスデューサを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記制御装置が、外部の制御ユニットと通信し、かつそれによって動作されるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記外部の制御ユニットが前記制御装置と無線で通信する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記外部の制御ユニットが、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、またはウェアラブルコンピュータの1つまたは複数を備える、請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記左または右の光源の1つまたは複数が発光ダイオード(LED)を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
神経の疾患もしくは症状を治療するために、感覚的な刺激を生み出す、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記神経の疾患または症状が不眠症、外傷後ストレス障害(PTSD)、痛み、および/または脳損傷を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
活動能力強化をもたらすために、感覚的な刺激を生み出す、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記活動能力強化が、睡眠を与えること、精神的能力の改善、または物理的能力の改善である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記治療することが脳内のアルファ波活動の増大をもたらす、請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療用の装置および方法に関する。詳細には、本開示は、被験者に刺激を与えて、様々な神経の障害もしくは症状を治療し、かつ/または活動能力強化をもたらすことに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な障害を治療するために感覚刺激が印加されてきた。たとえば、バイノーラルビートを印加して様々な精神状態を誘起して、睡眠、リラクセーション、瞑想、創造性、および他の望ましい精神状態を促してきた。聴覚刺激と視覚刺激との組合せも印加して、このような精神状態を促してきた。しかし、このような療法の適用は、多くの環境において理想的とは言えない状態であった。刺激を与える装置は、かさばり、高価で、一般に入手しにくく、広範囲にわたって使用するには重要な有効性閾値未満となることがあり、通常、人口の一部のみを支援する。ユーザは、寝室または飛行機のキャビンで寝ようとするときなど、多くの環境においてこのような機器を使用することが困難であると分かり得る。
【0003】
様々な神経の障害および症状を治療するのに、多くの場合、感覚刺激の代わりに医薬品および/またはサプリメントがしばしば使用される。しかし、医薬品の使用は、多くの環境において理想的とは言えないことがある。多くの場合、医薬品は高価であり、患者コンプライアンスに依存しており、医療専門家からの処方箋を必要とする場合がある。医薬品は、一般集団のうち、理想的とは言えないわずかな部分にのみ有効となる場合がある。たとえば、不眠症を治療するには、メラトニンおよびゾルピデム(たとえば、Ambien(商標))など、医薬品およびサプリメントの有効性は疑わしい。医薬品は、望ましくない副作用を引き起こす場合が多い。たとえば、不眠症を治療する医薬品によっては、一定範囲の深い睡眠が不足すること、および死亡率が上昇することにつながる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
少なくともこうした理由から、前述の問題の少なくとも一部を克服する、神経障害および他の症状を治療するための改善された方法およびシステムが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、たとえば、様々な神経の障害または症状を治療するために被験者に刺激を与えるように使用され得る医療用の装置および方法に関し、この与えられる刺激には、聴覚刺激、視覚刺激、または触覚刺激の1つまたは複数が含まれ得る。こうした装置および方法を用いて治療することのできる神経障害の例には、不眠症、外傷後ストレス障害(PTSD)、これだけに限定されないが、外傷性脳損傷(TBI)、軽度外傷性脳損傷(mTBI)を含む脳損傷、またはいくつかの例を挙げると、発作、うつ、心配、気分障害、人格障害、摂食障害、精神障害、および平衡障害から生じる脳の酸素欠乏による損傷が含まれ得るが、これだけに限定されない。別法としてまたは組み合わせて、本明細書に記載の医療用の装置および方法によって与えられる刺激は、神経可塑性、運動技能、調整、反応時間、覚醒、エネルギー、作業記憶、気分、および幸福感を改善することを含むが、これだけに限定されない認知上の利点および/または機能強化をもたらすことができる。
【0006】
実施形態によっては、睡眠を誘導するためにベッドなどで使用者によって快適に着用され得るヘッドセットまたは安眠マスクの着用者に刺激を与えてもよい。ウェアラブルヘッドセットまたは安眠マスクは、スマートフォンなどのユーザのパーソナルコンピューティング装置によって動作され得、治療のための制御アプリケーションまたは「アプリ」がこれらにダウンロードされてアクティブになっている。このウェアラブルヘッドセットまたは安眠マスクは、触覚刺激を同時に与えることができ、およびこの触覚刺激は、聴覚刺激を同時に与えることのできる骨伝導トランスデューサから与えられ得る。様々なユーザ応答を誘発するための刺激の様々なパターンも開示される。
【0007】
実施形態によっては、1つもしくは複数の周波数または1つもしくは複数の周波数範囲での視覚刺激、聴覚刺激、または触覚刺激として、装置のユーザによって知覚できる出力を生成する装置が提供される。実施形態によっては、この刺激は、デルタ波(1.0~3.0Hz)、シータ波(3.0~7.0Hz)、アルファ波(7.0~12Hz)、ベータ波(12~38Hz)、およびガンマ波(38~42Hz)と一般に認められている、脳内における1つまたは複数の周波数での電気活動を誘起するものと考えられている周波数でオン/オフしてもよい。
【0008】
したがって、たとえば、一実施形態の装置は、一連のアルファ波、シータ波、およびデルタ波など、連続周波数での刺激として、装置のユーザが知覚できる出力を生成する。実施形態によっては、刺激は、協調した聴覚刺激および視覚刺激であり、先に挙げた範囲のそれぞれにおける光パルスおよび音パルスに左右の眼および耳を曝す。一例として、協調刺激は、1)両眼および両耳を同時に刺激してもよく、2)左の眼および耳を同時に刺激し、これに続いて右の眼および耳を同時に刺激してもよく、3)両眼を同時に刺激し、これに続いて両耳を同時に刺激してもよく、または4)右眼および左耳を同時に刺激し、これに続いて左眼および右眼を同時に刺激してもよい。それぞれの場合、刺激は、たとえば、アルファ波の範囲、これに続いてシータ波の範囲、さらに続いてデルタ波の範囲で順次刺激することを含んでもよい。この刺激は、1分間~1時間にわたって継続することができる。
【0009】
ユーザに刺激を与える方法を提供することが一態様である。この方法は、ユーザによって着用されるヘッドセットを提供するステップと、ヘッドセットを用いて、ユーザの左眼に左の視覚刺激パターンを印加するステップと、ヘッドセットを用いて、ユーザの右眼に右の視覚刺激パターンを印加するステップと、ヘッドセットを用いて、ユーザの頭部の左側に左の聴覚刺激パターンを印加するステップと、ヘッドセットを用いて、頭部の右側に右の聴覚刺激パターンを印加するステップとを含む。この左の視覚刺激パターン、右の視覚刺激パターン、左の聴覚刺激パターン、および右の聴覚刺激パターンの印加は互いに調整される。
【0010】
ユーザに刺激を与える方法を使用して神経の疾患もしくは症状を治療するか、または活動能力強化をもたらす方法を提供することが別の態様である。この方法は、ユーザによって着用されるヘッドセットを提供するステップと、ヘッドセットを用いて、ユーザの左眼に左の視覚刺激パターンを印加するステップと、ヘッドセットを用いて、ユーザの右眼に右の視覚刺激パターンを印加するステップと、ヘッドセットを用いて、ユーザの頭部の左側に左の聴覚刺激パターンを印加するステップと、ヘッドセットを用いて、頭部の右側に右の聴覚刺激パターンを印加するステップとを含む。この左の視覚刺激パターン、右の視覚刺激パターン、左の聴覚刺激パターン、および右の聴覚刺激パターンの印加は互いに調整される。
【0011】
ユーザに刺激を与える装置を提供することが一態様である。この装置は、ユーザの頭部に着用されるように構成されたフレームと、左の視覚刺激パターンを生成するように構成された左の光源と、右の視覚刺激パターンを生成するように構成された右の光源と、左の聴覚刺激パターンを生成するように構成された左の音源と、右の聴覚刺激パターンを生成するように構成された右の音源と、左の光源、右の光源、左の音源、および右の音源に結合された制御装置とを備える。左の視覚刺激パターン、右の視覚刺激パターン、左の聴覚刺激パターン、および右の聴覚刺激パターンの印加は、互いに独立して制御されるが、制御装置によって互いに調整される。
【0012】
ユーザに刺激を与える方法を提供することがさらに別の態様であり、この方法は、第1の時間間隔において、ユーザの左眼への左側の光刺激、ユーザの右眼への右側の光刺激、ユーザの左側への左側の聴覚刺激、およびユーザの右側への右側の聴覚刺激を同時に与えるステップと、第2の時間間隔において、左側の光刺激および左側の聴覚刺激を与えることと、右側の光刺激および右側の聴覚刺激を与えることを交互に繰り返すステップと、第3の時間間隔において、左側および右側の光刺激を与えることと、左側および右側の聴覚刺激を与えることを交互に繰り返すステップと、第4の時間間隔において、左側の光刺激および右側の聴覚刺激を与えることと、右側の光刺激および左側の聴覚刺激を与えることを交互に繰り返すステップとを含む。
【0013】
第1の時間間隔において、ユーザの左眼への左側の光刺激、ユーザの右眼への右側の光刺激、ユーザの左側への左側の聴覚刺激、およびユーザの右側への右側の聴覚刺激を同時に与え、第2の時間間隔において、左側の光刺激および左側の聴覚刺激を与えることと、右側の光刺激および右側の聴覚刺激を与えることとを交互に繰り返し、第3の時間間隔において、左側および右側の光刺激を与えることと、左側および右側の聴覚刺激を与えることとを交互に繰り返し、第4の時間間隔において、左側の光刺激および右側の聴覚刺激を与えることと、右側の光刺激および左側の聴覚刺激を与えることとを交互に繰り返す方法を使用して、神経の疾患もしくは症状を治療するか、または活動能力強化をもたらす方法を提供することが一態様である。
【0014】
ユーザに刺激を与える方法を提供することが別の態様である。この方法は、ユーザによって着用されるヘッドセットを提供するステップと、ヘッドセットを用いて、ユーザの頭部の左側に左の聴覚刺激パターンを印加するステップと、ヘッドセットを用いて、頭部の右側に右の聴覚刺激パターンを印加するステップとを含む。この左の聴覚刺激パターンおよび右の聴覚刺激パターンの印加は互いに調整される。
【0015】
これらの特徴は、以下の詳細な説明から当業者に明らかとなる、付随する様々な規定および特徴とともに、ユーザに刺激を与えるための本発明の方法およびシステムによって実現され、その実施形態がごく一例として添付図面を参照して示される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A-1B】本開示の多くの実施形態による、治療用の聴覚刺激、視覚刺激、および/または触覚刺激を与える治療システムの概略図を示す。
図2A-2B】図1Aおよび1Bの治療システム用の制御装置の概略図を示す。
図3A】多くの実施形態による、例示的な治療用のウェアラブルヘッドセットまたは安眠マスクを示す。
図3B図3Aの治療用のウェアラブルヘッドセットおよび安眠マスクを着用するユーザを示す。
図4】いくつかの実施形態による、治療用の聴覚刺激、視覚刺激、および/または触覚刺激を与える治療方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1Aは、第1の実施形態である治療システム100の概略図である。治療システム100は、この治療システムを着用している人が聴覚刺激、視覚刺激、および/または触覚刺激として経験することができる1つまたは複数の出力を提供する。したがって、一実施形態では、治療システムは、左の光源110L、右の光源110R、左の振動源120L、右の振動源120R、ならびにこの光源および振動源の動作を独立して制御および調整するための制御装置130を備えてもよい。したがって、たとえば、治療システム100がユーザの頭部に配置され、左の光源110Lが左眼上方に配置されて左の視覚刺激を与え、右の光源110Rが右眼上方に配置されて右の視覚刺激を与え、左の振動源120Lが配置されて左耳の聴覚刺激を与え、右の振動源120Rが配置されて右耳の聴覚刺激を与えてもよい。
【0018】
一実施形態では、左の光源110Lおよび右の光源110Rは、それぞれ発光ダイオード、波長フィルタを有する白熱光源、蛍光光源、バックライト付きのLCDパネル、または所望の所定波長もしくは所定波長範囲の光をユーザに照射するように構成された他の光源を備えてもよい。
【0019】
別の実施形態では、左の振動源120Lおよび右の振動源120Rは、それぞれイヤホン、小型スピーカ、またはユーザに聴覚刺激を与えることのできる他の振動源を備えてもよい。他の実施形態によっては、左の振動源120Lおよび右の振動源120Rは、ユーザの耳に音として感知されるユーザの頭蓋骨への振動を与える、可聴周波数範囲での骨伝導トランスデューサを備えてもよい。任意選択的に、左の振動源120Lおよび右の振動源120Rの1つまたは複数が、触覚刺激として感知される振動を生成してもよい。したがって、たとえば、制御装置130は、ユーザが聴覚刺激と解釈することのできる第1の周波数で振動または発振する骨伝導トランスデューサに第1の信号を供給し、ユーザが触覚と解釈することのできる相対的に低い第2の周波数で第2の信号を供給してもよい。すなわち、骨伝導トランスデューサは、聴覚刺激と触覚刺激との両方をユーザに与えるように構成してもよい。
【0020】
実施形態によっては、左の振動源120Lおよび右の振動源120Rは、特定の1つもしくは複数の周波数またはある範囲の周波数で出力し、刺激周波数においてオン/オフされる。したがって、たとえば、振動源は、ある期間にわたって256Hzの音声周波数で出力し、これに続いて後続期間において出力しないようにプログラムしてもよい。したがって、振動源は、音声周波数と方形波との積である。
【0021】
図1Bは、第2の実施形態である治療システム100’の概略図である。第2の実施形態である治療システム100’は、明示されているものを除いて、第1の実施形態である治療システム100’とほぼ同様である。具体的には、第2の実施形態である治療システム100’は、左の触覚刺激源121Lおよび右の触覚刺激源121Rを備え、このそれぞれが個別に制御され、制御装置130と連携して治療用システム100’のユーザに触覚刺激を与えてもよい。
【0022】
図2Aおよび2Bは、治療システム100または100’の制御装置130の概略図を示す。図2Aに示すように、治療システム100または100’は、任意選択的に、無線接続131aを介して制御装置130の無線受信機/送信機130cと無線で通信することのできる外部の制御ユニット130aを備えてもよい。いくつかの例を挙げると、無線接続131aは、Bluetooth(登録商標)接続、Bluetooth(登録商標) LE接続、WiFi接続、ZigBee接続、赤外線(IR)接続、無線周波数(RF)接続、または聞き取れない聴覚信号接続を含んでもよい。外部の制御ユニット130aは、特注の電子制御装置を備えてもよい。多くの実施形態では、外部の制御ユニット130aは、治療計画を提供するようにシステム100または100’を動作させる特定用途向けのコンピュータアプリケーションまたは「アプリ」をダウンロードして、これを動作させることのできるユーザのパーソナルコンピューティング装置を備えてもよい。たとえば、パーソナルコンピューティング装置は、パーソナルコンピュータ、パーソナルラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ(いくつかの例を挙げると、Apple iPad(登録商標)、Samsung Galaxy Tab、Microsoft Surface、またはAmazon Fireなど)、スマートフォン(いくつかの例を挙げると、Apple iPhone(登録商標)、Samsung Galaxy phone、またはGoogle Nexus phoneなど)を含んでもよく、特定用途向けのコンピュータアプリケーションまたは「アプリ」は、いくつかの例を挙げると、Apple iTunes、Apple Store、Google Play、Google Chrome Web Store、Amazon App Store、またはMicrosoft Windows Storeなど、アプリケーション配信プラットフォームからダウンロード可能なアプリケーションまたは「アプリ」でもよい。アプリケーションには、治療システム100または100’によって実施するようにユーザが選択してもよい1つまたは複数の治療計画が含まれ得る。実施形態によっては、アプリケーションは、治療計画の有効性についてのフィードバック情報をユーザが提示できるようにしてもよく、このフィードバックは、アプリケーションと通信する中央サーバがアップロードおよび収集してもよく、1人または複数人のユーザからのフィードバックに基づいて治療計画を改善または最適化してもよい。別法としてまたは組み合わせて、図2Bに示すように、システム100または100’は、いくつかの例を挙げると、たとえばUSB、FireWire、またはLightning接続などの有線接続131aを介して制御装置130と通信することのできる特注の制御装置など、外部の制御ユニット130aをさらに備えてもよい。
【0023】
図3Aは、光源、振動源、および任意選択的に触覚源を、ユーザに提示するための単一のフォームファクタに統合する、治療用のウェアラブルヘッドセットまたは安眠マスク140を備える治療システム100の一実施形態を示す。したがって、たとえば、ユーザが自らの頭部にウェアラブルヘッドセットまたは安眠マスク140を装着すると、左の光源110Lが左眼上方に配置されて左の視覚刺激を与え、右の光源110Rが右眼上方に配置されて右の視覚刺激を与え、左の振動源120Lが配置されて左耳の聴覚刺激を与え、右の振動源120Rが配置されて右耳の聴覚刺激を与える。
【0024】
前述の通り、本明細書では、左の振動源120Lおよび右の振動源120Rは、それぞれ聴覚刺激と触覚刺激との両方を与えることのできる骨伝導トランスデューサを備えてもよい。あるいは、図1Bに関して先に述べたように、ウェアラブルヘッドセットまたは安眠マスク140は、左の触覚刺激源121Lおよび右の触覚刺激源121Rを備え、このそれぞれが個別に制御され、制御装置130と連携してもよい、治療システム100’である。
【0025】
前述の通り、本明細書では、治療用のウェアラブルヘッドセットまたは安眠マスク140は、たとえば、無線接続131aを介して制御装置130と通信する外部の制御装置130a(たとえば、スマートフォン)を用いて動作させてもよい。ユーザUSは、たとえば、触覚刺激をオン/オフする選択肢を有していてもよい。図3Bは、治療用のウェアラブルヘッドセットまたは安眠マスク140を着用するユーザUSを示す。
【0026】
図4は、治療用の聴覚刺激、視覚刺激、および/または触覚刺激を与えるための例示的な治療方法400のフローチャートを示す。ステップ410において、神経の障害または症状のある被験者を識別することができる。神経障害の例には、不眠症、外傷後ストレス障害(PTSD)、外傷性脳損傷(TBI)または軽度外傷性脳損傷(mTBI)などの脳損傷、または発作、うつ、心配、気分障害、人格障害、摂食障害、精神障害など、酸素欠乏による脳への損傷が含まれ得るが、これだけに限定されない。あるいは、被験者は、仮眠または睡眠時に被験者を支援するための精神的および/または肉体的タスクの活動能力強化を目的とした治療方法400を受けるように選択してもよい。ステップ420において、被験者には、前述のシステム100または100’などの治療システムまたはヘッドウェアを提供してもよい。ステップ430において、被験者は、ウェアラブルヘッドセットまたは安眠マスク140などの治療システムまたはヘッドウェアを着用してもよい。ステップ440において、ヘッドセット140は、制御装置130に設けられたプログラミング450を実行して被験者に刺激を与える。このプログラミングは、ヘッドセット140によって被験者に同時に与えられる聴覚刺激、映像刺激、および/または触覚刺激の2つ以上を与え、したがって、たとえば電力を供給して、左の光源110L、右の光源110R、左の振動源120L、および/または右の振動源120Rを作動させてもよい。
【0027】
前述の通り、本明細書では、左の振動源120Lおよび右の振動源120Rは、それぞれ聴覚刺激と触覚刺激との両方を与えることのできる骨伝導トランスデューサを備えてもよい。あるいは、図1Bに関して先に述べたように、ウェアラブルヘッドセットまたは安眠マスク140は、左の触覚刺激源121Lおよび右の触覚刺激源121Rを備え、このそれぞれが個別に制御され、制御装置130と連携してもよい、治療システム100’である。
【0028】
実施形態によっては、聴覚刺激、映像刺激、および/または触覚刺激の2つ以上を同時に与えることは、一度に聴覚刺激、映像刺激、または触覚刺激の1つのみを与えることと比較して、治療効果を改善することができる。したがって、たとえば、2つ以上の聴覚刺激、映像刺激、および/または触覚刺激を組み合わせて治療効果を改善することができる(すなわち、2つ以上の聴覚刺激、映像刺激、および/または触覚刺激は、この刺激の2つの刺激を個別に与えることに勝る、改善された結果を達成するように相乗作用することができる)。
【0029】
刺激を与えるための例示的な命令は、たとえば、能動状態にある全ての聴覚刺激源、映像刺激源、および/または触覚刺激源の同時起動を含め、サブルーチン450aなどのプログラミング450によって提供してもよい。任意選択的に、全ての刺激源の起動は、後続の全ての聴覚刺激および/または視覚刺激の全体を通して実行される触覚刺激の起動を含んでもよい。別の例示的なサブルーチン450bは、左の聴覚刺激源、映像刺激源、および/または触覚刺激源と、右の聴覚刺激源、映像刺激源、および/または触覚刺激源とを交互に繰り返すことを含んでもよい(すなわち、左の刺激と右の刺激とが交互に能動状態となる)。別の例示的なサブルーチン450cは、視覚源と、聴覚源および/または触覚源とを交互に繰り返すことを含んでもよい(すなわち、視覚刺激と聴覚/触覚刺激とが交互に能動状態となる)。別の例示的なサブルーチン450dは、左の聴覚源および/または触覚源ならびに右の視覚源と、右の聴覚源および/または触覚源ならびに左の視覚源とを交互に繰り返すことを含んでもよい(すなわち、反対側の聴覚刺激/触覚刺激が交互に能動状態となる)。このようなプログラミングをさらに以下で述べる。
【0030】
ステップ440において、それだけには限定されないが、サブルーチン450a、450b、450c、および450dを含むプログラミング450は、それぞれ個別にまたは互いに組み合わされて1回または複数回にわたって適用してもよい。さらに、このプログラミングは、互いに異なる周波数および/またはタイミングで、サブルーチン450a、450b、450c、および450dにおいて一連の出力を供給してもよい。したがって、たとえば、各サブルーチンは、サブルーチンが繰り返されるときに変化する特定の周波数で出力を供給してもよい。したがって、たとえば、サブルーチン450aは、256Hzの周波数で振動源120Rまたは120Lに聴覚出力を供給してもよく、この出力は、2分間にわたって1Hzのパルス周波数でオン/オフされ、すなわちパルス出力される。したがって、この方形パルスの聴覚信号は、高調波とともに1Hzの周波数で信号を生成する。後続の時点において、256Hzでの出力が、これまでのパルス周波数の2倍で2分間にわたってパルス出力される。このようにして、256Hzの聴覚周波数は、脳波周波数に対応する周波数を含む広範囲にわたって変調され得る。
【0031】
さらに、左チャンネルと右チャンネルとの間での出力に通知することにより、脳の左側と右側との間で通信せざるを得なくなるように脳を刺激してもよい。たとえば、この強制的な通信により、PTSDの記憶を脳の両側に結びつけることが可能となり、それにより望ましくないフラッシュバックを阻止することができる。
【0032】
前述の各ステップには、各実施形態に従って患者を治療する方法400が示してあるが、当業者は、本明細書に記載の教示に基づいて多くの変形形態を理解することになる。各ステップは、互いに異なる順序で実行してもよい。ステップを追加または削除してもよい。ステップによっては、サブステップを含んでもよい。ステップの多くは、治療に有益な頻度で繰り返してもよい。
【0033】
方法400のステップの1つまたは複数のステップは、本明細書に記載の回路、たとえば、中央処理装置(CPU)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ用のプログラマブルアレイロジックなどのプロセッサまたは論理回路の1つまたは複数など、制御装置130または外部の制御ユニット130aの回路を用いて実行してもよい。この回路は、方法400の各ステップの1つまたは複数のステップを提供するようにプログラムしてもよく、プログラムは、コンピュータ読取り可能な媒体に記憶されたプログラム命令、またはたとえばプログラマブルアレイロジックもしくはフィールドプログラマブルゲートアレイなどの論理回路のプログラムされたステップを含んでもよい。
【実施例
【0034】
実施例1
いくつかの効能例を挙げると、以下では、仮眠を含む睡眠を誘導し、神経可塑性を向上させ、発作、TBI、またはmTBIによる脳損傷を治療し、微細運動の制御および反応時間の改善を含めてバランスを改善し、PTSDを治療するのに有効であると実証研究によって分かった刺激パターンの一例を説明する。
【0035】
第1の周波数での光刺激および聴覚刺激は、第1の時間セグメントにおいて与えてもよく、次いで第2の時間セグメントでは、相対的に低い第2周波数で与えてもよく、第3の時間セグメントでは、相対的に低い第3の周波数で与えてもよい。各時間セグメントは、光刺激および聴覚刺激の1つまたは複数のサブセグメントを含んでもよく、各サブセグメントは、たとえば、前述のサブルーチンの1つを含む。光刺激および聴覚刺激は、20分などの所定期間後に終了してもよい。ユーザを目覚めさせるように、光刺激および聴覚刺激を逆に戻してもよい(すなわち、第3の周波数から開始し、次いで第2の周波数に遷移し、最後に第3の周波数に遷移する)。別法としてまたは組み合わせて、ユーザの睡眠状態を維持するように光刺激および聴覚刺激を第2の周波数に維持してもよい。前述の通り、触覚刺激は、聴覚刺激と同時に与えてもよい。光は、580nmの波長で与えてもよく、周波数が256Hzの音、または被験者が望むように選択できる多くの聴覚周波数もしくはその組合せのいずれかを与えてもよい。
【0036】
以下の表1は、この例についての例示的な治療計画を説明する。表1に示した刺激は、最初に4つのセグメントA出力のブロックを循環し、次いで4つのセグメントB出力のブロックを循環し、次いで4つのセグメントC出力の7つのブロックを循環し、最後に4つのセグメントA出力のブロックを繰り返す。セグメントA出力(A1、A2、A3、およびA4)では、聴覚出力および光出力が、0.1277秒間オンしてから0.1277秒間オフする間に(すなわち、3.9Hzのパルス周波数で)115回または116回循環し、それに続いて0.5秒間にわたって出力されない。セグメントB出力(B1、B2、B3、およびB4)では、聴覚出力および光出力が、0.3333秒間オンしてから0.3333秒間オフする間に(すなわち、1.5Hzのパルス周波数で)44回または45回循環し、それに続いて0.5秒間にわたって出力されない。セグメントC出力(C1、C2、C3、およびC4)では、聴覚出力および光出力が、1秒間オンしてから1秒間オフする間に(すなわち、0.5Hzのパルス周波数で)14回または15回循環し、それに続いて1秒間にわたって出力されない。セグメントA1、B1、およびC1は、サブルーチン450aによって実現されるように、光と音との両方の右側および左側をともにパルス出力し、全ての出力が同時にオンまたはオフになるように同期される。セグメントA2、B2、およびC2は、サブルーチン450bによって実現されるように、左側の光出力および聴覚出力と、右側の光出力および聴覚出力とを同期して互いに反対になるようにする。セグメントA3、B3、およびC3は、サブルーチン450cによって実現されるように、両方の光をともに同期して両方の聴覚出力と反対になるようにする。セグメントA4、B4、およびC4は、サブルーチン450dによって実現されるように、右の音および光を同期して左の聴覚出力および光出力と反対になるようにする。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
実施例2
以下では、睡眠誘導に有効であると実証研究によって分かった刺激パターンの一例を説明する。実施例2の刺激パターンは、表1に示される治療計画の一部を含む。具体的には、この刺激は、最初に4つのセグメントA出力のブロックを循環し、次いで4つのセグメントB出力のブロックを循環し、次いで4つのセグメントC出力の7つのブロックを循環する。実施例2では、4つのセグメントA出力の最後のブロックが繰り返されない。
【0040】
実施例3
いくつかの効能例を挙げると、以下では、アルファ波の脳活動を増大させ、神経可塑性を誘導し、発作、またはTBI、mTBIなどの他の脳損傷を治療し、微細運動の制御および反応時間の改善を含めてバランスを改善し、PTSDを治療するのに有効であると実証研究によって分かった刺激パターンの一例を説明する。
【0041】
この例では、本明細書において前述の4つのサブルーチンが、それぞれ所定の刺激(繰返し)周波数で複数の時間セグメントにおいて適用されて繰り返される。たとえば、4つのサブルーチンの各セグメントが120秒間持続するなど、この4つのサブルーチンを繰り返してもよい。前述の通り、触覚刺激は、聴覚刺激と同時に与えてもよい。光は、580nmの波長で与えてもよく、周波数が432Hzの音を与えてもよい。
【0042】
以下の表2は、この例についての例示的な治療計画を説明する。表2に示した刺激は、4つのセグメントA出力のブロックを10回循環する。セグメントA1、A2、A3、およびA4では、聴覚出力および光出力が、0.1277秒間オンしてから0.1277秒間オフする間に115回または116回循環し、それに続いて0.5秒間にわたって出力されない。セグメントA1は、サブルーチン450aによって実現されるように、光と音との両方の右側および左側をともにパルス出力し、全ての出力が同時にオンまたはオフになるように同期される。セグメントA2は、サブルーチン450bによって実現されるように、左側の光出力および聴覚出力と、右側の光出力および聴覚出力とを同期して互いに反対になるようにする。セグメントA3は、サブルーチン450cによって実現されるように、両方の光をともに同期して両方の聴覚出力と反対になるようにする。セグメントA4は、サブルーチン450dによって実現されるように、右の音および光を同期して左の聴覚出力および光出力と反対になるようにする。
【0043】
【表3】
【0044】
実施例4
以下では、被験者内のエネルギーレベルを増大させるのに有効であると実証研究によって分かった刺激パターンのさらに別の例を説明する。第1の周波数での光刺激および聴覚刺激は、第1の時間セグメントにおいて与えてもよく、次いで第2の時間セグメントでは、相対的に高い第2周波数で与えてもよく、次いで後続の時間セグメントなどでは、第1の周波数に戻って与えてもよい。各時間セグメントは、光刺激および聴覚刺激の1つまたは複数のサブセグメントを含んでもよく、各サブセグメントは、たとえば、前述のサブルーチンの1つを含む。光刺激および聴覚刺激は、20分など所定期間後に終了してもよい。前述の通り、触覚刺激は、聴覚刺激と同時に与えてもよい。光は、580nmの波長で与えてもよく、周波数が432Hzの音を与えてもよい。
【0045】
以下の表3は、この例についての例示的な治療計画を説明する。表3に示した刺激は、まず4つのセグメントA出力のブロック、次いで4つのセグメントD出力を10回循環する。セグメントA出力(A1、A2、A3、およびA4)では、聴覚出力および光出力が、0.1277秒間オンしてから0.1277秒間オフする間に115回または116回循環し、それに続いて0.5秒間にわたって出力されない。セグメントD出力(D1、D2、D3、およびD4)では、聴覚出力および光出力が、0.0667秒間オンしてから0.0667秒間オフする間に44回または45回循環し、それに続いて0.5秒間にわたって出力されない。セグメントA1およびD1は、サブルーチン450aによって実現されるように、光と音との両方の右側および左側をともにパルス出力し、全ての出力が同時にオンまたはオフになるように同期される。セグメントA2およびD2は、サブルーチン450bによって実現されるように、左側の光出力および聴覚出力と、右側の光出力および聴覚出力とを同期して互いに反対になるようにする。セグメントA3およびD3は、サブルーチン450cによって実現されるように、両方の光をともに同期して両方の聴覚出力と反対になるようにする。セグメントA4およびD4は、サブルーチン450dによって実現されるように、右の音および光を同期して左の聴覚出力および光出力と反対になるようにする。
【0046】
【表4】
【0047】
実施例5
以下の表4は、発明性のある方法の使用についての実験結果を列挙する。この表は、試験または処理されたもの、条件の詳細、被験者の数、および試験の結果を列挙する。それぞれの場合、不眠に関連する問題を治療し、短い睡眠を誘導するための実施例1での刺激および実施例2での刺激を他の全ての治療に使用した。
【0048】
治療法のいくつかは、微細運動の制御および反応時間の改善など、物理的および/または精神的な活動能力の改善をもたらした。これは、治療後の数日間に神経可塑性を改善する装置に起因する場合がある。他の治療は、酸素欠乏(発作)に起因する損傷などの脳損傷、および外傷性脳損傷(TBI)または軽度外傷性脳損傷を患っている患者に向けてのタスクおよび回復を実行する際に改善してきており、バランスを改善し、微細運動の制御を改善することができる。他の治療は、刺激をトリガすることに被験者が応答することを低減することにより、PTSDの患者の症状を軽減した。
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
本発明の好ましい実施形態を、本明細書において図示して説明してきたが、このような実施形態は、ごく一例として提示されていることが当業者に明らかになるであろう。ここで、本発明から逸脱することなく、多くの変形形態、変更形態、および置換形態が当業者に想到される。本発明を実施する際、本明細書に記載された本発明の各実施形態に対する様々な選択肢が利用され得ることを理解されたい。添付の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲に記載の範囲内の方法および構造ならびにその均等物が、特許請求の範囲によって対象として含まれるものである。
【0052】
本発明が、本明細書において実施される様々な組合せの全てを含むことを理解されたい。本明細書全体を通して、「含む」という用語は、「包含する」、「含有する」、または「特徴とする」と同義となり、包括的または限定なしであり、列挙されていない追加の要素または方法ステップを排除するものではない。「含む」は、示された要素が不可欠であることを意味する当技術分野の用語であるが、他の要素を追加してもよく、やはり、この記述の範囲内の構成体を形成し得る。「含む」は、量が多い場合であっても指定されていない成分を含めるように限定なしのままである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4