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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】航空機翼のフラップ用補助支持システム
(51)【国際特許分類】
   B64C 3/50 20060101AFI20230426BHJP
   B64C 9/18 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
B64C3/50
B64C9/18
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019037611
(22)【出願日】2019-03-01
(65)【公開番号】P2019177864
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-02-04
(31)【優先権主張番号】15/922,626
(32)【優先日】2018-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】ブレット エー.バウアーズ
(72)【発明者】
【氏名】ミレラ アイシック
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0090843(US,A1)
【文献】米国特許第03940093(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0102587(US,A1)
【文献】国際公開第2018/005534(WO,A1)
【文献】特表2011-515277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 3/50
B64C 9/18
B64C 3/00
B64C 9/00
B64C 9/14
B64C 3/38
B64C 9/24
B64C 9/22
B64C 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の翼に連結されたフラップの補助支持システムであって、
前記翼に固定可能なベースと、
前記ベースに固定された第1軌条係合部と、
前記ベースに固定された第2軌条係合部と、
前記フラップに取り付け可能であるとともに、前記第1軌条係合部に対して移動可能に係合する第1レール、及び、前記第2軌条係合部に対して移動可能に係合する第2レールを含む軌条アーム、を備え、前記第1レールは、前記第2レールに対して平行でない状態にて離間しており、前記第1レールと前記第2レールとの間の距離は、前記軌条アームの長さ方向の少なくとも一部分において変化している、補助支持システム。
【請求項2】
前記第1レール及び前記第2レールは、直線状でない、請求項1に記載の補助支持システム。
【請求項3】
前記軌条アームは、自由端部と固定端部を有し、
前記自由端部は、前記固定端部の反対側にあり、
前記固定端部は、前記フラップに取り付け可能であり、
前記第1レールと前記第2レールは、前記固定端部から遠ざかるにしたがって互いから離れる、
請求項1又は2に記載の補助支持システム。
【請求項4】
前記軌条アームの前記第1レールは、前記第1軌条係合部に対して摺動可能に係合し、
前記軌条アームの前記第2レールは、前記第2軌条係合部に対して摺動可能に係合し、
前記第1レールと前記第1軌条係合部の間の摺動係合、及び、前記第2レールと前記第2軌条係合部の間の摺動係合により、直線部分と曲線部分とからなる展開経路内に前記軌条アームの前記固定端部が維持される、
請求項3に記載の補助支持システム。
【請求項5】
前記軌条アームは、自由端部と固定端部を有し、
前記自由端部は、前記固定端部の反対側にあり、
前記固定端部は、前記フラップに取り付け可能であり、
前記自由端部における前記第1レールと前記第2レールの間の距離は、前記固定端部におけるよりも大きい、
請求項1~4のいずれかに記載の補助支持システム。
【請求項6】
前記第1レール及び前記第2レールの各々は、実質的にS字形状を有する、請求項1~5のいずれかに記載の補助支持システム。
【請求項7】
前記軌条アームは、自由端部と固定端部を有し、
前記自由端部は、前記固定端部の反対側にあり、
前記固定端部は、前記フラップに取り付け可能であり、
前記軌条アームの前記固定端部は、球面軸受を含み、
前記軌条アームは、前記球面軸受を介して前記フラップに取り付け可能である、
請求項1~6のいずれかに記載の補助支持システム。
【請求項8】
前記第1軌条係合部は、前記第2軌条係合部から水平方向及び垂直方向にオフセットして配置されている、請求項1~7のいずれかに記載の補助支持システム。
【請求項9】
前記第1軌条係合部、及び、前記第2軌条係合部の各々は、第1ローラ及び第2ローラを含み、
前記軌条アームの前記第1レールは、前記第1軌条係合部の前記第1ローラと前記第2ローラの間に介挿されており、前記第1軌条係合部の前記第1ローラ及び前記第2ローラは、前記第1レールに沿って回転可能であり、
前記軌条アームの前記第2レールは、前記第2軌条係合部の前記第1ローラと前記第2ローラの間に介挿されており、前記第2軌条係合部の前記第1ローラ及び前記第2ローラは、前記第2レールに沿って回転可能である、
請求項1~8のいずれかに記載の補助支持システム。
【請求項10】
前記ベースは、互いに離間した2つのプレートを含み、
前記軌条アームは、前記2つのプレート間に、移動可能に介挿されている、
請求項1~9のいずれかに記載の補助支持システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、航空機のフラップに関し、より具体的には、航空機のフラップを、当該フラップにおける補助位置(auxiliary location)で支持する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機の翼が生成する揚力は、翼のフラップを用いて調整される。例えば、離着陸時には、フラップを展開して揚力及び抗力を増加させ、巡航速度時には、これを退避させる。フラップは、所定の経路に沿って展開及び退避する。ただし、フラップは、飛行中に生じる負荷による曲げや撓みの影響を受けやすいので、フラップが所定の経路とは異なる経路で移動する可能性がある。翼のロフトプロファイル(loft profile)を阻害することなしに、フラップの動作を所定の経路内に維持することは困難であり、フラップの中でも曲げや歪みの影響を受けやすい位置では、特に困難である。
【発明の概要】
【0003】
本願の要旨は、従来の技術に鑑みて開発されたものであり、より具体的には、航空機翼のフラップを支持、及び、駆動するためのシステムにおいて、現在利用可能な技術では十分に解決されていない欠点に鑑みて開発されたものである。したがって、本願の要旨は、上述した従来技術の欠点の少なくともいくつかを克服した補助支持システム及びフラップ作動機構を提供するために開発されたものである。
【0004】
本明細書において、航空機の翼に連結されたフラップの補助支持システムが開示されている。前記補助支持システムは、前記翼に固定可能なベースを備える。前記補助支持システムは、さらに、前記ベースに固定された第1軌条係合部を備える。前記補助支持システムは、さらに、前記ベースに固定された第2軌条係合部を備える。前記補助支持システムは、さらに、前記フラップに取り付け可能であるとともに、前記第1軌条係合部に対して移動可能に係合する第1レール、及び、前記第2軌条係合部に対して移動可能に係合する第2レールを含む軌条アームを備える。前記第1レールは、前記第2レールに対して平行でない状態にて離間している。本段落に記載した構成要件は、本開示の実施例1を特徴づけるものである。
【0005】
前記第1レール及び前記第2レールは、直線状でない。本段落に記載した構成要件は、本開示の実施例2を特徴づけるものであり、実施例2は、上述の実施例1の構成要件も含む。
【0006】
前記軌条アームは、自由端部と固定端部を有する。前記自由端部は、前記固定端部の反対側にある。前記固定端部は、前記フラップに取り付け可能である。前記第1レールと前記第2レールは、前記固定端部から遠ざかるにしたがって互いから離れる。本段落に記載した構成要件は、本開示の実施例3を特徴づけるものであり、実施例3は、上述の実施例1又は2のいずれによる構成要件も含む。
【0007】
前記軌条アームの前記第1レールは、前記第1軌条係合部に対して摺動可能に係合する。前記軌条アームの前記第2レールは、前記第2軌条係合部に対して摺動可能に係合する。前記第1レールと前記第1軌条係合部の間の摺動係合、及び、前記第2レールと前記第2軌条係合部の間の摺動係合により、直線部分と曲線部分とからなる展開経路内に前記軌条アームの前記固定端部が維持される。本段落に記載した構成要件は、本開示の実施例4を特徴づけるものであり、実施例4は、上述の実施例3の構成要件も含む。
【0008】
前記軌条アームは、自由端部と固定端部を有する。前記固定端部は、前記フラップに取り付け可能である。前記自由端部における前記第1レールと前記第2レールの間の距離は、前記固定端部におけるよりも大きい。本段落に記載した構成要件は、本開示の実施例5を特徴づけるものであり、実施例5は、上述の実施例1~4のいずれによる構成要件も含む。
【0009】
前記第1レール及び前記第2レールの各々は、実質的にS字形状を有する。本段落に記載した構成要件は、本開示の実施例6を特徴づけるものであり、実施例6は、上述の実施例1~5のいずれによる構成要件も含む。
【0010】
前記軌条アームは、自由端部と固定端部を有する。前記自由端部は、前記固定端部の反対側にある。前記固定端部は、前記フラップに取り付け可能である。前記軌条アームの前記固定端部は、球面軸受を含む。前記軌条アームは、前記球面軸受を介して前記フラップに取り付け可能である。本段落に記載した構成要件は、本開示の実施例7を特徴づけるものであり、実施例7は、上述の実施例1~6のいずれによる構成要件も含む
【0011】
前記第1軌条係合部は、前記第2軌条係合部から水平方向及び垂直方向にオフセットして配置されている。本段落に記載した構成要件は、本開示の実施例8を特徴づけるものであり、実施例8は、上述の実施例1~7のいずれによる構成要件も含む
【0012】
前記第1軌条係合部、及び、前記第2軌条係合部の各々は、第1ローラ及び第2ローラを含む。前記軌条アームの前記第1レールは、前記第1軌条係合部の前記第1ローラと前記第2ローラの間に介挿されている。前記第1軌条係合部の前記第1ローラ及び前記第2ローラは、前記第1レールに沿って回転可能である。前記軌条アームの前記第2レールは、前記第2軌条係合部の前記第1ローラと前記第2ローラの間に介挿されている。前記第2軌条係合部の前記第1ローラ及び前記第2ローラは、前記第2レールに沿って回転可能である。本段落に記載した構成要件は、本開示の実施例9を特徴づけるものであり、実施例9は、上述の実施例1~8のいずれによる構成要件も含む。
【0013】
前記ベースは、互いに離間した2つのプレートを含む。前記軌条アームは、前記2つのプレート間に、移動可能に介挿されている。本段落に記載した構成要件は、本開示の実施例10を特徴づけるものであり、実施例10は、上述の実施例1~9のいずれによる構成要件も含む。
【0014】
前記補助支持システムは、さらに、前記2つのプレートのうちの一方と前記軌条アームの間に介挿された少なくとも1つの摩擦パッドと、前記2つのプレートのうちの他方と前記軌条アームの間に介挿された少なくとも1つの摩擦パッドを備える。本段落に記載した構成要件は、本開示の実施例11を特徴づけるものであり、実施例11は、上述の実施例10による構成要件も含む。
【0015】
さらに、本明細書において、航空機が開示されている。前記航空機は、本体を含む。前記航空機は、さらに、前記本体に連結されているとともに、前記本体から延出する翼を含む。前記翼は、上側外表面と下側外表面を有し、前記上側外表面と前記下側外表面は、前記翼のロフトプロファイルを画成する。前記航空機は、さらに、前記翼に連結されているとともに、直線部分と曲線部分を含む展開経路に沿って前記翼から延出可能なフラップを含む。前記航空機は、さらに、補助支持システムを含む。前記補助支持システムは、前記翼の前記ロフトプロファイル内で固定されたベースと、前記ベースに固定された第1軌条係合部と、前記ベースに固定された第2軌条係合部と、前記フラップに取り付けられた軌条アームと、を含む。前記軌条アームは、前記第1軌条係合部に対して移動可能に係合する第1レール、及び、前記第2軌条係合部に対して移動可能に係合する第2レールを含む。前記軌条アームは、前記フラップとともに前記展開経路に沿って移動し、前記フラップが前記翼から延出する際に、前記ロフトプロファイルの中に維持される。本段落に記載した構成要件は、本開示の実施例12を特徴づけるものである。
【0016】
前記第1レールは、前記第2レールに対して平行でない状態にて離間している。本段落に記載した構成要件は、本開示の実施例13を特徴づけるものであり、実施例13は、上述の実施例12による構成要件も含む。
【0017】
前記翼は、前記補助支持システムにフェアリングを備えない。本段落に記載した構成要件は、本開示の実施例14を特徴づけるものであり、実施例14は、上述の実施例12~13のいずれによる構成要件も含む。
【0018】
前記フラップは、補助フラップヒンジを有し、前記フラップは、前記補助フラップヒンジ周りに回動可能である。前記補助支持システムの前記軌条アームは、さらに、球面軸受を含む。前記軌条アームは、前記球面軸受を介して、前記フラップの前記補助フラップヒンジに取り付けられる。本段落に記載した構成要件は、本開示の実施例15を特徴づけるものであり、実施例15は、上述の実施例12~14のいずれによる構成要件も含む。
【0019】
前記航空機は、さらに、前記翼と前記フラップに連結された作動システムを含む。前記作動システムは、前記補助支持システムから前記翼の翼幅方向に離間して配置されている。前記作動システムは、前記フラップを前記展開経路に沿って前記翼から延出させるように、また、前記フラップを前記展開経路に沿って前記翼に向かって後退させるように、選択的に動作可能である。本段落に記載した構成要件は、本開示の実施例16を特徴づけるものであり、実施例16は、上述の実施例12~15のいずれによる構成要件も含む。
【0020】
前記フラップは、内側端部と、前記内側端部の反対側に位置する外側端部と、を有する。前記フラップは、前記内側端部から前記外側端部まで前記翼幅方向に延在する。前記作動システムは、前記フラップに、前記内側端部と前記外側端部との間の位置で連結されている。前記航空機は、さらに、2つの補助支持システムを備える。前記2つの補助支持システムの各々の軌条アームは、前記フラップの前記内側端部と前記外側端部の内の対応する一方に取り付けられている。本段落に記載した構成要件は、本開示の実施例17を特徴づけるものであり、実施例17は、上述の実施例16による構成要件も含む。
【0021】
さらに、本明細書において、航空機の翼に対してフラップを作動させるフラップ作動機構が開示されている。前記フラップ作動機構は、前記翼と前記フラップとに連結可能な作動システムを含む。前記作動システムは、前記フラップを前記展開経路に沿って前記翼から延出させるように、また、前記フラップを前記展開経路に沿って前記翼に向かって後退させるように、選択的に動作可能である。前記フラップ作動機構は、さらに、補助支持システムを含む。前記補助支持システムは、前記翼に固定可能なベースと、前記ベースに固定された第1軌条係合部と、前記ベースに固定された第2軌条係合部と、前記フラップに取り付けられた軌条アームと、を含む。前記軌条アームは、前記第1軌条係合部に対して移動可能に係合する第1レール、及び、前記第2軌条係合部に対して移動可能に係合する第2レールを含む。前記第1レールと前記第2レールの間の距離は、前記軌条アームの長さに沿って変化している。本段落に記載した構成要件は、本開示の実施例18を特徴づけるものである。
【0022】
前記翼は、上側外表面と下側外表面を有する。前記上側外表面と前記下側外表面は、前記翼のロフトプロファイルを画成する。前記軌条アームは、前記フラップとともに、前記展開経路に沿って移動するよう構成されている。前記補助支持システムは、前記軌条アームが前記展開経路に沿って移動する際に、その全体が前記翼の前記ロフトプロファイル内に収まるように構成されている。本段落に記載した構成要件は、本開示の実施例19を特徴づけるものであり、実施例19は、上述の実施例18による構成要件も含む。
【0023】
前記作動システムは、前記補助支持システムから離間して配置されている。本段落に記載した構成要件は、本開示の実施例20を特徴づけるものであり、実施例20は、上述の実施例18~19のいずれによる構成要件も含む。
【0024】
本開示の要旨の特徴、構造、効果、及び/又は、特性は、1つ以上の実施形態及び/又は実施態様と、任意の適当な態様で組み合わせることができる。以下の記載において、本開示の要旨の実施形態の理解を促すために、多くの具体的な詳細が説明されている。しかしながら、特定の実施形態又は実施態様における具体的な特徴、詳細、部材、材料、及び/又は、方法の1つ以上を省いても本開示の要旨が実現可能であることは、当業者には理解されるであろう。また、特定の実施形態、及び/又は、実施態様において追加で認識される特徴及び効果があり、そのような特徴及び効果は、すべての実施形態又は実施態様に存在するものではない場合もありうる。さらに、本開示の要旨の側面が曖昧になることを避けるべく、公知の構造、材料、又は、処理の詳細な説明を省いている場合もある。本開示の要旨の特徴及び効果は、以下の説明及び添付の請求の範囲を参照することで、あるいは、以下に記載する主題を実施することで、より明確になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
上記において本要旨を簡単に説明したが、本要旨の効果の理解を助けるべく、添付図面に示した具体的な実施形態を参照してさらに具体的に説明する。なお、これらの図面は、本要旨の典型的な実施形態を示しているに過ぎず、本要旨の範囲を限定するものではない。この認識を前提として、本要旨の特殊性及び詳細について、添付図面を用いて説明する。
【0026】
図1】本開示の1つ以上の実施例による航空機の透視図である。
図2】本開示の1つ以上の実施例による航空機の翼の透視図であって、フラップの退避位置を示している。
図3図2に示した本開示の1つ以上の実施例による翼の透視図であって、フラップの展開位置を示している。
図4】本開示の1つ以上の実施例による航空機のフラップ作動機構の透視図であって、フラップの退避位置を示している。
図5図4に示した本開示の1つ以上の実施例によるフラップ作動機構の透視図であって、フラップの展開位置を示している。
図6】本開示の1つ以上の実施例による航空機翼、フラップ、及び、補助支持システムの側断面図である。
図7】本開示の1つ以上の実施例によるフラップ、及び、補助支持システムの側断面図であって、フラップの退避位置を示している。
図8図7に示した本開示の1つ以上の実施例によるフラップ、及び、補助支持システムの側断面図であって、フラップの展開位置を示している。
図9】本開示の1つ以上の実施例によるフラップの補助支持システムの透視図である。
図10図9に示した本開示の1つ以上の実施例による補助支持システムの側立面図である。
図11】本開示の1つ以上の実施例によるフラップの補助支持システムの平面図である。
図12】本開示の1つ以上の実施例によるフラップの補助支持システムを、図10の線12-12で切断した後側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書における「一実施形態」、「実施形態」、あるいは、これに類する文言は、その実施形態に関連して記載されている特定の特徴、構造、又は、特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書における「一実施形態において」、「実施形態において」、あるいは、これに類する表現は、限定するものではないが、本明細書を通じてすべて同じ実施形態に言及する場合がある。同様に、「実施態様」なる用語は、本開示の1つ以上の実施形態に関連して記載されている特定の特徴、構造、又は、特性を有する実施態様を意味するが、別段の記載が無い限り、ある実施態様が1つ以上の実施形態に関連付けられている場合がある。
【0028】
図1を参照すると、航空機100の一実施形態が示されている。航空機100は、様々な種類の航空機のいずれであってもよく、例えば、乗客輸送用の民間航空機、軍事作戦用の軍用機、個人所有の航空機などがある。図示した航空機100は、旅客機である。図示の通り、航空機100は、本体112(例えば、胴体部)と、本体112に連結されているとともに、本体から延出する一対の翼114と、本体112に連結された垂直安定板116と、本体112及び/又は垂直安定板116に連結された一対の水平安定板118と、を含む。
【0029】
図6図8を参照すると、各翼114は、上側外表面115及び下側外表面117を有する。上側外表面115は、下側外表面117の反対側に位置する。さらに、上側外表面115と下側外表面117は、翼114の前縁132で交わっている。上側外表面115及び下側外表面117は、前縁132から翼弦方向に延び、後縁で終わる。各翼114は、上側外表面115と下側外表面117で囲まれた内部空間121を有する。図示はしていないが、翼114の内部空間121には、翼114の剛性を高め、形状を維持するストリンガ、スパー、リブなどの内部構造要素が設けられている場合がある。
【0030】
航空機100は、さらに、操縦翼面などの複数の可動要素を含み、これらを調節することで翼面、及び、その周辺や後方の空気流特性を変化させることができる。例えば、各翼114には、補助翼124、フラップ126、スポイラー128、及び、スラット130が連結されている。加えて、垂直安定板116は、方向舵122を有し、各水平安定板118は、昇降舵120を有する。航空機100の飛行の応答制御を実行するには、図1の航空機に示すような可動の操縦翼面の相対位置が正確に制御可能でなくてはならない。
【0031】
フラップ126は、翼114に連結されているとともに、航空機100の飛行特性が所望の特性になるように翼114に対して選択的に作動させることができる。具体的には、各フラップ126は、翼114から延出した展開位置(extended position)にもたらしたり、翼114に引き込ませた退避位置(retracted position)にもたらしたりすることができる。図2及び図7に示す退避位置(例えば、フラップを上げた位置)では、翼114とフラップ126を合わせた形状におけるキャンバー(camber)が最小になる。したがって、航空機100が所定の高度で巡航している間は、フラップ126は退避位置にあることが多い。図3及び図8に示すような展開位置(例えば、フラップを下げた位置)では、翼114とフラップ126を合わせた形状におけるキャンバーは、最小よりも大きい(例えば、最大である)ので、揚力及び抗力が増加する。したがって、進入時や離着陸時など、航空機100が低速で飛行する間は、フラップ126は、展開位置にあることが多い。揚力をさらに増加させ、且つ、抗力を低下させるには、図3に示すように、スポイラー128を上昇させる。
【0032】
各フラップ126は、内側端部(inboard end)127と外側端部(outboard end)129を有する。外側端部129は、内側端部127の反対側に位置する。いくつかの実施態様では、フラップ126は、長尺薄型の構造体であって、空気力学的な輪郭を有する。例えば、フラップ126は、内側端部127から外側端部129を長手方向とする長尺の部材である。フラップ126の断面形状、即ち、空力学的な輪郭は、翼114の断面形状、即ち、空力学的な輪郭に基づく。実質的に、フラップ126は、翼114の翼弦方向における延長部分として機能する。より具体的には、翼114は、退避位置のフラップ126を収納するフラップスロットを含む。フラップ126の輪郭形状は、退避位置におけるフラップ126の外表面が、翼114の外表面と実質的に面一になるように構成されている。具体的には、退避位置のフラップ126は、翼114の下側外表面117の後縁に当接し、下側外表面117とフラップ126の間にほぼシームレスな境界を形成する。同様に、フラップ126が退避し、スポイラー128が下がっている状態では、上側外表面115の後縁にヒンジ結合されているフラップ126は、スポイラー128に当接して、上側外表面115、スポイラー128、及び、フラップ126の間にほぼシームレスな境界を形成する。したがって、図2に示すように、フラップ126が退避位置にあって、スポイラー128が下がっている状態では、翼114、スポイラー128、及び、フラップ126を合わせた輪郭断面は、従来の翼型形状を有する。この状態では、図6に示すように、フラップ126の後縁134が、実質的に、翼114の前縁132の反対側に位置する翼114の後縁として機能する。
【0033】
翼114が画成する従来の翼型形状の部分は、翼114のロフトプロファイルを画成する。翼114のロフトプロファイルは、翼114の上側外表面115及び下側外表面117によって画成される。加えて、翼114のロフトプロファイルは、上側外表面115及び下側外表面117の後縁で終わる。つまり、翼114のロフトプロファイルは、上側外表面115及び下側外表面117に装着あるいは形成されたフェアリング、バンプ(bump)、ブリスター、センサ、その他の外的な構造(extraneous structure)を含まない。換言すると、翼114のロフトプロファイルは、上側外表面115及び下側外表面117を構成する、滑らかで緩やかな曲面の外皮のみで画成される。翼114における滑らかで緩やかな曲面のロフトプロファイルを妨げるような、滑らかでない表面、あるいは、緩やかな曲面でない表面(例えば、フェアリング、バンプ、ブリスター、センサほかに関連する表面)が上側外表面115及び下側外表面117に後付けされていると、抗力やその他の空力効果が生じるなどして、航空機100の性能及び/又は制御に悪影響が及ぶ可能性がある。したがって、航空機100の性能及び制御を向上させるには、翼114の滑らかで緩やかな曲面のロフトプロファイルの妨げとなるような外的な構造要素の使用を制限することが望ましい。
【0034】
フラップ126は、主フラップヒンジ176を含み、当該ヒンジ周りに回動可能である。主フラップヒンジ176は、フラップ126の主回動軸を規定する。後述するように、作動システム140がフラップ126を作動させると、フラップ126は、この軸周りに回動する。いくつかの実施態様では、主フラップヒンジ176は、フラップ126の前縁133に固定された一つの連続するロッドやピン、あるいは、同軸にアライメントされた複数のロッドセグメントやピンセグメントで構成される。フラップ126の前縁133は、フラップ126の後縁134の反対側に位置する。主フラップヒンジ176は、フラップ126に固定された取付けブラケット162によって支持される。取付けブラケット162と作動システム140の作動アームのそれぞれに設けられた開口部がアライメントされており、主フラップヒンジ176は、これら開口部を通って延びて、フラップ126と翼114を主フラップヒンジ176で回動可能に連結する。
【0035】
図3図5を参照すると、航空機100は、フラップ126を、当該フラップ126が連結された翼114に対して相対的に作動させるフラップ作動機構(flap actuation assembly)119をさらに含む。フラップ作動機構119は、少なくとも1つの作動システム140、及び、少なくとも1つの補助支持システム150を含む。概して、作動システム140は、翼114に対するフラップ126の相対的な動きを開始及び駆動し、補助支持システム150は、フラップ126の動作中に、フラップ126の補助位置でフラップ126を機械的に支持する。フラップ126の補助位置は、フラップ126において作動システム140から間隔をあけて隣接する位置である。例えば、作動システム140は、補助支持システム150から翼114の翼幅方向に離間して配置される。
【0036】
作動システム140は、フラップ126を展開経路(extension path)144に沿って翼114から延出させるか、あるいは、フラップ126を展開経路144に沿って翼114に後退させるか、選択的に動作可能である(例えば、図8を参照)。作動システム140は、少なくとも1つのアクチュエータ141、及び、相互接続された様々なリンク機構143を含む。これらのリンク機構は、アクチュエータ141が駆動されると、フラップ126を展開経路144に沿って移動させるよう構成されている。アクチュエータ141は、油圧式あるいは気圧式のリニアアクチュエータ、及び/又は、電動モータ式のものなど、様々なアクチュエータうちの任意のものでよい。
【0037】
展開経路144は、アクチュエータ141が駆動されたときにおける、フラップ126の主フラップヒンジ176の並進移動(translational movement)を表している。したがって、リンク機構143は、アクチュエータ141が駆動されると、主フラップヒンジ176を、ひいては、フラップ126の前縁133全体を、展開経路144に沿って移動させるよう構成されている。アクチュエータ141は、第1(例えば、展開)モードで駆動されると、退避位置(例えば、図7参照)にある主フラップヒンジ176を、展開経路144に沿って、翼114から離間する展開方向に延出させて、展開位置(例えば、図8を参照)にもたらす。同様に、アクチュエータ141は、第2(退避)モードで駆動されると、展開位置にある主フラップヒンジ176を展開経路144に沿って、翼114に向かう、展開方向とは逆向きの退避方向に移動させて、退避位置にもたらす。図8を参照すると、一実施態様において、展開経路144は、直線部分146(例えば、ファウラー動作:Fowler motion)と、曲線部分148(例えば、キャンバー動作:camber motion)とを含む。
【0038】
いくつかの実施態様では、リンク機構143は、さらに、主フラップヒンジ176が展開経路144に沿って並進移動するのに伴って、フラップ126を主フラップヒンジ176周りで回動させるようにも構成されている。つまり、作動システム140がフラップ126を展開・退避させると、フラップ126は並進移動と回動の両方の動作を行う。一実施態様では、フラップ126は、主フラップヒンジ176が展開経路144の直線部分146を移動する間は、主フラップヒンジ176周りに回動せず、主フラップヒンジ176が展開経路144の曲線部分148を移動する間に、主フラップヒンジ176周りに回動する。
【0039】
いくつかの実施形態では、フラップ126は、長尺で薄いので、展開させる際に、フラップ126が飛行中に生じる負荷による曲げや撓みの影響を受けやすい。特に、フラップ126の内側端部127及び外側端部129(例えば、作動システム140から最も遠い位置)は、そのような影響を受けやすい。飛行中にフラップ126を展開させると、フラップ126に曲げが生じて、航空機100の性能及び制御に悪影響が及ぶ可能性がある。航空機100の性能及び制御を向上させるには、フラップ126の動作が、フラップ126全体のすべての位置において同じであることが望ましく、フラップ126における局所的な撓みを抑制することが望ましい。具体的には、フラップ126全体のすべての位置が、展開経路144に沿って同じ移動を行うことが望ましい。フラップ126において補助支持システム150を連結する補助位置は、フラップ126が曲げやたわみの影響を受けやすい位置を選択することができる。例えば、フラップ126の補助位置には、フラップ126の内側端部127及び外側端部129が含まれる。フラップ126が特に長い場合には、内側端部127及び外側端部129の一方又は両方と作動システム140との間に、1つ以上の補助位置を追加で設けてもよい。いくつかの実施形態では、フラップ126に連結する1つの補助支持システム150を、フラップ126における複数の所定の補助位置で連結することができる。
【0040】
概して、補助支持システム150は、補助支持システム150が連結されているフラップ126の補助位置において、飛行中の展開位置や展開動作時のフラップ126の曲げや撓みを抑制するよう構成されている。図4図12を参照すると、一実施形態によれば、補助支持システム150(例えば、1つのフラップ126に連結された複数の補助支持システム150における各補助支持システム150)は、ベース151、第1の軌条係合部(track engagement assembly)180A、第2の軌条係合部180B、及び、軌条アーム172を有する。
【0041】
ベース151は、翼114に固定されており、可動ではない。換言すると、補助支持システム150のベース151は、翼114に対して移動しない。図7及び図8に示すように、ベース151は、翼114の内部空間121に配置されている。ベース151は、翼114の内部構造の内の任意のものに取り付けられて固定されており、このような内部構造としては、限定するものではないが、例えば、翼114の外板の内表面、スパー、ストリンガ、リブなどが挙げられる。ベース151のサイズは、翼114のロフトプロファイル内に嵌まるように設定されている。換言すると、ベース151におけるどの部分も、翼114のロフトプロファイルの外側に延出したり、突出したりしない。図示した実施態様では、ベース151は、互いに離間して配置された2つのプレート170を含む。換言すると、ベース151の2つのプレート170は離間しているので、これら2つのプレート170の間に空間あるいは間隔が形成される。これらのプレート170の外周形状は、翼114の内部空間121の断面形状の少なくとも一部に対して相補的な形状である。一実施例では、プレート170は、台形、三角形、あるいは、くさび型の形状を有する。プレート170には、重量削減の目的で、開口や切り欠きを設けることができ、また、鋼、アルミニウム、繊維強化複合材などの様々な材料のうちの任意のものを用いることができる。
【0042】
第1軌条係合部180A及び第2軌条係合部180Bは、ベース151に固定されている。図示した実施形態では、第1軌条係合部180A及び第2軌条係合部180Bは、2つのプレート170間の空間において、2つのプレート170間に介挿されている。第1軌条係合部180Aは、第2軌条係合部180Bからオフセットして、つまり、離間して配置されている。図示した実施形態では、第1軌条係合部180Aは、第2軌条係合部180Bから水平方向と垂直方向の両方でオフセットしている。いくつかの実施態様では、水平オフセットは、翼114の翼弦方向のオフセットであり、垂直オフセットは、翼弦方向と翼114の翼幅方向の両方に対して直角な翼の厚み方向のオフセットである。一実施形態では、第1軌条係合部180A及び第2軌条係合部180Bは、互いに対して、また、ベース151に対して固定位置にある。ただし、他の実施形態では、第1軌条係合部180A及び/又は第2軌条係合部180Bをベース151に固定した位置を調節可能に構成することができ、よって、第1軌条係合部180Aと第2軌条係合部180Bの間のオフセットも調整可能である。第1軌条係合部180A及び/又は第2軌条係合部180Bの相対位置を調整可能に構成するには、例えば、様々な機械的装置、あるいは、電気機械的装置を利用すればよい。
【0043】
図9図12を参照すると、第1軌条係合部180A及び第2軌条係合部180Bの各々は、1つの第1ローラ181と2つの第2ローラ183を含む。第1ローラ181は、両プレート170間の中央に配置されており、第1軌条係合部180A及び第2軌条係合部180Bの各々における第2ローラ183は、両プレート170間の中央からオフセットした位置に配置されている。第1軌条係合部180A及び第2軌条係合部180Bの各々における第1ローラ181は、ベース151の両方のプレート170に対して回転可能に連結されている。一実施態様では、図12に示すように、各第1ローラ181は別々のスピンドル198を介して、第1軌条係合部180A又は第2軌条係合部180Bのそれぞれに回転可能に連結されている。各スピンドル198は、両方のプレート170に連結されており、両プレート170の間の空間全体に跨って延びている。いくつかの実施態様では、各スピンドル198は、2つ以上のスピンドルセグメントを含み、例えば、対応する第1ローラ181の両側に1つずつ配置されたスピンドルセグメントを含む。
【0044】
第1軌条係合部180A及び第2軌条係合部180Bの各々において、2つの第2ローラ183は、それぞれ一方のプレート170に回転可能に連結されている。図12に示す実施態様では、各第2ローラ183は、第1軌条係合部180A及び第2軌条係合部180Bのうちの対応する一方に、別々のスピンドル199を介して回転可能に連結されている。各スピンドル199は、両プレート170間の空間の途中まで延びている。第1軌条係合部180A及び第2軌条係合部180Bの各々におけるローラ183は、同軸状にアライメントされている。
【0045】
スピンドル198及びスピンドル199の各々は、ベース151に対するローラの相対的な回転を促進するために、例えば、ロッドや軸受けなどの様々な要素を有する構成でもよい。第1ローラ181及び第2ローラ183の各々は、面に沿って回転するよう構成された円筒体を有する。いくつかの実施態様では、第1ローラ181及び第2ローラ183のうちの1つ以上が摩擦を生じさせる面あるいは材料を有し、ローラが回転係合する面において、ローラのスリップを低減させる。
【0046】
補助支持システム150の軌条アーム172は、長状の部材であって、固定端部190から自由端部192まで長手方向に延びている。自由端部192は、自由端を含み、固定端を含む固定端部190の反対側にある。軌条アーム172は、固定端部190と自由端部192と間に中間部分を有する。図5を参照すると、固定端部190は、フラップ126の補助フラップヒンジ164にてフラップ126に取り付けられている。補助フラップヒンジ164は補助回動軸を規定し、後述する作動システム140がフラップ126を作動させると、フラップ126は、この回動軸周りに回動する。補助フラップヒンジ164は、主フラップヒンジ176と同軸状であるか、あるいは、平行状態にてオフセットしているかのいずれかである。いくつかの実施態様では、補助フラップヒンジ164は、フラップ126の前縁133付近に固定された連続する一つのロッドやピン、あるいは、同軸状にアライメントされた複数のロッドセグメントやピンセグメントで構成される。補助フラップヒンジ164は、補助位置(例えば、フラップ126の内側端部127又は外側端部129のいずれか)に固定された取付けブラケット160によって支持される。取付けブラケット160の開口部と、軌条アーム172の固定端部190に設けられた球面軸受175の開口部とがアライメントされており、補助フラップヒンジ164は、アライメントされた開口部を通って延出して、フラップ126と軌条アーム172とを補助フラップヒンジ164で回動可能に連結する。
【0047】
球面軸受175は、固定端部190に設けられた開口部に球面軸受175を圧入するなどして、固定端部190に連結されている。球面軸受175は、互いに直交する2つの軸のいずれの周りでも回転可能にハウジングに受容された要素を備える様々な種類の球面軸受(例えば、球面ボール軸受、球面ローラ軸受、球面滑り軸受、ロッドエンド)のうちの1つを用いることができる。換言すると、球面軸受175によれば、複数の角度配向のいずれでも、軸周りの回動が可能になる。したがって、球面軸受175を用いてフラップ126を軌条アーム172に連結する構成では、球面軸受175によって、フラップ126が軌条アーム172に対して回動可能になるとともに、フラップ126が軌条アーム172に対して角運動、又は、揺動運動することが可能になる。このように、球面軸受175によれば、フラップ126が軌条アーム172に対して、軸からオフセットして回動(off-axis rotation)することができるので、フラップ126が展開・退避するに際して、フラップ126と軌条アーム172との間の拘束を低減することができる。
【0048】
軌条アーム172は、さらに、第1レール174A及び第2レール174Bを含む。第1レール174Aは、第2レール174Bに対して平行でない状態にて離間している。第1レール174A及び第2レール174Bは、いずれも長状の部材であって、軌条アーム172の長さ方向に沿って延在する。第1レール174A及び第2レール174Bは、第1レール174Aと第2レール174Bの間に延在するウェブ177によって離間した状態で連結されている。一実施態様によれば、軌条アーム172は、非直線的なI型ビームの形態であって、第1レール174AがI型ビームの上側フランジを構成し、第2レール174BがI型ビームの下側フランジを構成する。換言すると、軌条アーム172は、図12に示すように、軌条アーム172の長さに直角な断面形状において実質的にI字型である。
【0049】
図10を参照すると、第1レール174Aは第2レール174Bに対して平行ではなく、第1レール174Aと第2レール174Bとの間の距離Dは、軌条アーム172の長さ方向の少なくとも一部分において変化している。一実施態様では、自由端部192における距離Dは、固定端部190のおけるよりも大きい。換言すると、軌条アーム172の長さ方向の一部分において、固定端部190から自由端部192に近づくにつれて距離Dが大きくなっている(例えば、第1レール174Aと第2レール174Bが互いに遠ざかっている)。いくつかの実施態様では、軌条アーム172の長さ方向において固定端部190に近い部分では、距離Dは一定である。この距離Dは、軌条アーム172の長さ方向における自由端部192に近い部分では、固定端部190から自由端部192に近づくにつれて、次第に大きくなっている。さらに別のいくつかの実施態様では、距離Dは、軌条アーム172の長さ方向の全体、あるいは、ほぼ全体において、固定端部190から自由端部192に近づくにつれて、次第に大きくなっている。
【0050】
一実施形態によれば、第1レール174A及び第2レール174Bは、直線状でない。換言すると、第1レール174A及び第2レール174Bは、少なくとも1つの曲線部分を含む。図示の実施態様では、第1レール174A及び第2レール174Bは、いずれも実質的にS字形状である。例えば、固定端部190に近い部分では、第1レール174A及び第2レール174Bは一方向に湾曲(例えば、上向きに湾曲)しており、自由端部192に近い部分では、第1レール174A及び第2レール174Bは、逆方向に湾曲(例えば、下向きに湾曲)している。
【0051】
第1レール174A及び第2レール174Bの各々は、外表面及び内表面を有する。具体的には、第1レール174Aは、外表面194A及び内表面196Aを有する。外表面194Aは、内表面196Aの反対側にて平行である。換言すると、第1レール174Aの厚みは、第1レール174Aの長さ方向において一定である。また、第2レール174Bは、外表面194B及び内表面196Bを有する。外表面194Bは、内表面196Bの反対側にて平行である。換言すると、第2レール174Bの厚みは、第2レール174Bの長さ方向において一定である。
【0052】
第1レール174Aが第1軌条係合部180Aに、第2レール174Bが第2軌条係合部180Bにそれぞれ係合していることにより、軌条アーム172は、ベース151に対して移動可能に保持されている。第1軌条係合部180A及び第2軌条係合部180Bのローラは、それぞれ第1レール174A及び第2レール174Bの外表面及び内表面と沿って転がる。具体的には、第1軌条係合部180Aの第1ローラ181が、第1レール174Aの外表面194Aに沿って転がり、第1軌条係合部180Aの各第2ローラ183が、第1レール174Aの内表面196Aに沿って転がる。また、第2軌条係合部180Bの第1ローラ181が第2レール174Bの外表面194Bに沿って転がり、第2軌条係合部180Bの各第2ローラ183が、第2レール174Bの内表面196Bに沿って転がる。第1軌条係合部180Aの第1ローラ181及び第2ローラ183は、第1レール174Aを第1軌条係合部180Aの第1ローラ181と第2ローラ183の間で移動可能に挟むように、互いに相対的に配置される。同様に、第2軌条係合部180Bの第1ローラ181及び第2ローラ183は、第2レール174Bを第1軌条係合部180Aの第1ローラ181と第2ローラ183の間で移動可能に挟むように、互いに相対的に配置される。第1軌条係合部180Aと第2軌条係合部180Bの各々がアームと係合する位置が互いにずれているので、水平方向及び垂直方向の両方において軌条アーム172を拘束して、ベース151からの脱落を防止することができる。
【0053】
図7及び図8を参照すると、フラップ126が図7の退避位置から図8の展開位置に移動されるのに伴って、フラップ126に取り付けられた軌条アーム172が、図示のように翼114から引き出される。第1軌条係合部180A及び第2軌条係合部180Bのローラが第1レール174A、及び、第2レール174Bを転がるので、軌条アーム172がベース151に対して容易に移動できる。第1軌条係合部180A及び第2軌条係合部180Bがずれていることに加えて、第1レール174Aと第2レール174Bが末広がりに湾曲しているので、軌条アーム172の固定端部190の移動を、フラップ126の展開経路144に沿った軌道に限定することができる。例えば、軌条アーム172のレール間隔が広がっていない第1部分に第1軌条係合部180A及び第2軌条係合部180Bのローラが係合することにより、固定端部190は、展開経路144の直線部分146に沿って実質的に直線的に移動する。ただし、軌条アーム172のレール間隔が広がっている第2部分にローラが到達すると、このローラ係合により、固定端部190は、展開経路144の曲線部分148に沿って、実質的に曲線的に移動する。フラップ126が展開経路144に沿って移動する間に、作動システム140がフラップ126を移動させて、フラップ126の移動を補助フラップヒンジ164周りの回動に変換する。同様に、展開位置から退避位置に戻る際も、ローラと軌条アーム172の係合により、軌条アーム172の固定端部190は、展開経路144に沿って移動する。
【0054】
第1レール174A及び第2レール174Bの曲率の大きさ、第1レール174Aと第2レール174Bとの間隔の広がりの度合い、及び、軌条アーム172における広がりの位置は、軌条アーム172の固定端部190の移動経路の形状に影響する。例えば、曲率を大きくすると、展開経路144の曲線部分148の半径がより急峻になる。別の例を挙げると、軌条アーム172における第1レール174Aと第2レール174Bの間隔が広がる位置を変えると、展開経路144の曲線部分148の開始を速くしたり、遅くしたりすることができる。
【0055】
2つのレールを末広がりに配置した構成の軌条アーム172により、補助支持システム150のどの部分も翼114のロフトプロファイルを超えて延出することなく、フラップ126を展開経路144に沿って容易に展開させ、また、後退させることが可能になる。補助支持システム150のどの部分も翼114のロフトプロファイルを超えて延出しないので、翼114の表面に補助支持システム150を覆うためのフェアリング、バンプ、又は、カバーを設ける必要がない。換言すると、従来のフラップ支持システムでは、翼にフェアリングを設ける必要があったが、補助支持システム150は、結果として、フェアリングの無いシステムである。言い方を変えると、翼114では、補助支持システム150に被せるフェアリングが不要である。
【0056】
いくつかの実施態様では、補助支持システム150は、さらに、プレート170の少なくとも一方と軌条アーム172との間に介挿された少なくとも1つの摩擦パッド(rub pad)163を含む。図示の実施態様では、一方のプレート170と軌条アーム172との間に1つの摩擦パッド163が配置されており、また、他方のプレートと軌条アーム172との間に別の1つの摩擦パッド163が配置されている。特定の動作状況では、フラップ126が翼114に対して翼幅方向に横移動する場合がある。そのような移動が生じると、軌条アーム172も同じように横移動しうる。軌条アーム172が横移動した場合に、軌条アーム172がプレート170に当たる前に、摩擦パッド163が軌条アーム172に接触するよう構成されている。したがって、摩擦パッド163により、軌条アーム172がプレート170に接触したり、これを擦ったりすることを防止する。いくつかの実施態様では、摩擦パッド163は、ポリマー材料などの弾性材料(resilient and/or elastic material)から構成されている。摩擦パッド163は、摩耗した場合に、軌条アーム172及びプレート170よりも交換が容易である。
【0057】
上述の説明において、「上」、「下」、「上方」、「下方」、「水平」、「垂直」、「左」、「右」、「上側」、「下側」などの特定の用語を用いている場合があるが、これらの用語は、相対的な位置関係について説明を明瞭にするために用いている場合がある。これらの用語は、絶対的な位置関係、配置、及び/又は、配向を示すことを意図していない。例えば、ある物体における「上」面は、その物体を回転させるだけで、「下」面になる。ただし、それが同じ物体であることに変わりはない。また、「含む」、「備える」、「有する」、あるいは、それに類する用語は、別段の記載が無い限り、「含むが、それに限定されない」ということを意味する。アイテムが列挙されている場合、別段の記載が無い限り、これらアイテムのいずれか、又は、すべてが、相互に排他的であること、及び/又は、相互に包括的であることを示唆するものではないまた、単数形の表現は、別段の記載が無い限り、「1つ以上」も意味する。さらに、「複数の」との用語は、「少なくとも2つ」と定義することができる。加えて、別段の記載が無い限り、本明細書において複数の特定の特徴を定義している場合、その特定の特徴の全ての集合やすべての分類を必ずしも網羅することを意図しない。
【0058】
加えて、本明細書において、ある要素が他の要素に「連結」されている場合、直接的な連結も、間接的な連結も含まれうる。直接的な連結は、ある要素が他の要素に対して、何らかの接触をともなって連結されていると定義することができる。間接的な連結は、2つの要素が互いに直接に接触することなく連結されていることを意味し、連結されている要素同士の間に1つ以上の別の要素が付加されている。さらに、本明細書において、ある要素が別の要素に固定されている場合、直接的な固定も、間接的な固定も含まれうる。加えて、本明細書において「隣接する」という表現が用いられている場合、必ずしも接触を要件としない。例えば、ある要素が別の要素に隣接はしていても、接触はしていない場合がありうる。
【0059】
本明細書において、「少なくとも1つ」との表現がアイテムの列挙とともに用いられている場合、列挙されたアイテムの1つ以上を様々に組み合わせて使用できることを意味し、また、列挙された各アイテムの1つだけを必要とする場合もあることを意味する。アイテムとは、例えば、ある特定の対象、物、又はカテゴリである。換言すると、「少なくとも1つ」とは、列挙されたアイテムから任意の数のアイテムを任意の組み合わせで使用することができるが、列挙されたアイテムのすべてを必要とするわけではないということを意味する。例を挙げると、「アイテムA、アイテムB、又は、アイテムCのうちの少なくとも1つ」は、アイテムAを含む場合、アイテムAとアイテムBを含む場合、アイテムBを含む場合、アイテムAと、アイテムBと、アイテムCと、を含む場合、あるいは、アイテムBとアイテムCを含む場合がありうる。場合によっては、「アイテムA、アイテムB、又は、アイテムCのうちの少なくとも1つ」は、限定するものではないが例えば、2個のアイテムAを含む場合、1個のアイテムBを含む場合、10個のアイテムCを含む場合、4個のアイテムBと7個のアイテムCを含む場合、あるいは、その他の任意の組み合わせを含む場合がありうる。
【0060】
別段の記載が無い限り、本明細書における「第1」、「第2」などの表現は、標識として用いられているに過ぎず、これらの表現で言及しているアイテムに対し、順序、位置、又は階層的な要件を課すものではない。加えて、例えば、「第2」のアイテムに言及することは、例えば「第1」のアイテムや、より小さい序数のアイテム、及び/又は、例えば「第3」のアイテムや、より大きな序数のアイテムの存在を要件とするものでも、除外するものでもない。
【0061】
本明細書において、特定の機能を実行するように「構成された(configured to)」システム、装置、構造、物品(article)、要素、部品、又は、ハードウェアは、一切の変更を要することなくその特定の機能を実行できるものを指し、何らかの変更を施せばその特定の機能を実行する可能性のあるものを指すのではない。換言すれば、特定の機能を実行するように「構成された」システム、装置、構造、物品、要素、部品、又はハードウェアは、その特定の機能を実行することを目的として、具体的に、選択、作製、実施、利用、プログラミング、及び/又は、設計されたものを指す。本明細書において、「構成されている」ということは、システム、装置、構造、物品、要素、部品、又は、ハードウェアが既に備えている特性に言及するものであり、この特性により、当該システム、装置、構造、物品、要素、部品、又はハードウェアは、一切の変更を要することなくその特定の機能を実行することができる。本開示において、特定の機能を実行するように「構成されている」システム、装置、構造、物品、要素、部品、又はハードウェアは、この記載に加えて、あるいは、この記載に代えて、当該機能を行うように「適合化された(adapted to)」、及び/又は「動作可能な(operative to)」ものとして記載される場合もある。
【0062】
本開示の要旨は、他の具体的形態によっても、本開示の精神や本質的な特徴から逸脱することなく実施することができる。記載した実施形態は、あらゆる点において、あくまでも例示であって、限定であると解釈されるべきではない。本願の請求項の文言範囲及び均等範囲におけるすべての変更は、請求の範囲に包含される。
【0063】
本開示の一側面によれば、航空機の翼に連結されたフラップの補助支持システムが提供される。前記補助支持システムは、前記翼に固定可能なベースと、前記ベースに固定された第1軌条係合部と、前記ベースに固定された第2軌条係合部と、前記フラップに取り付け可能であるとともに、前記第1軌条係合部に対して移動可能に係合する第1レール、及び、前記第2軌条係合部に対して移動可能に係合する第2レールを含む軌条アーム、を備える。前記第1レールは、前記第2レールに対して平行でない状態にて離間している。
【0064】
前記補助支持システムのさらなる開示によれば、前記第1レール及び前記第2レールは、直線状でない。
【0065】
前記補助支持システムのさらなる開示によれば、前記軌条アームは、自由端部と固定端部を有し、前記自由端部は、前記固定端部の反対側にあり、前記固定端部は、前記フラップに取り付け可能であり、前記第1レールと前記第2レールは、前記固定端部から遠ざかるにしたがって互いから離れる。
【0066】
前記補助支持システムのさらなる開示によれば、前記軌条アームの前記第1レールは、前記第1軌条係合部に対して摺動可能に係合し、前記軌条アームの前記第2レールは、前記第2軌条係合部に対して摺動可能に係合し、前記第1レールと前記第1軌条係合部の間の摺動係合、及び、前記第2レールと前記第2軌条係合部の間の摺動係合により、直線部分と曲線部分とからなる展開経路内に前記軌条アームの前記固定端部が維持される。
【0067】
前記補助支持システムのさらなる開示によれば、前記軌条アームは、自由端部と固定端部を有し、前記自由端部は、前記固定端部の反対側にあり、前記固定端部は、前記フラップに取り付け可能であり、前記自由端部における前記第1レールと前記第2レールの間の距離は、前記固定端部におけるよりも大きい。
【0068】
前記補助支持システムのさらなる開示によれば、前記第1レール及び前記第2レールの各々は、実質的にS字形状を有する。
【0069】
前記補助支持システムのさらなる開示によれば、前記軌条アームは、自由端部と固定端部を有し、前記自由端部は、前記固定端部の反対側にあり、前記固定端部は、前記フラップに取り付け可能であり、前記軌条アームの前記固定端部は、球面軸受を含み、前記軌条アームは、前記球面軸受を介して前記フラップに取り付け可能である。
【0070】
前記補助支持システムのさらなる開示によれば、前記第1軌条係合部は、前記第2軌条係合部から水平方向及び垂直方向にオフセットして配置されている。
【0071】
前記補助支持システムのさらなる開示によれば、前記第1軌条係合部、及び、前記第2軌条係合部の各々は、第1ローラ及び第2ローラを含み、前記軌条アームの前記第1レールは、前記第1軌条係合部の前記第1ローラと前記第2ローラの間に介挿されており、前記第1軌条係合部の前記第1ローラ及び前記第2ローラは、前記第1レールに沿って回転可能であり、前記軌条アームの前記第2レールは、前記第2軌条係合部の前記第1ローラと前記第2ローラの間に介挿されており、前記第2軌条係合部の前記第1ローラ及び前記第2ローラは、前記第2レールに沿って回転可能である。
【0072】
前記補助支持システムのさらなる開示によれば、前記ベースは、互いに離間した2つのプレートを含み、前記軌条アームは、前記2つのプレート間に、移動可能に介挿されている。
【0073】
前記補助支持システムのさらなる開示によれば、当該補助支持システムは、前記2つのプレートのうちの一方と前記軌条アームの間に介挿された少なくとも1つの摩擦パッドと、前記2つのプレートのうちの他方と前記軌条アームの間に介挿された少なくとも1つの摩擦パッドと、を備える。
【0074】
本開示の別の側面によれば、航空機が提供される。前記航空機は、本体と、翼と、フラップと、補助支持システムと、を備える。前記翼は、前記本体に連結されているとともに、前記本体から延出する。前記翼は、上側外表面と下側外表面を有し、前記上側外表面と前記下側外表面は、前記翼のロフトプロファイルを画成する。前記フラップは、前記翼に連結されているとともに、直線部分と曲線部分を含む展開経路に沿って前記翼から延出可能である。前記補助支持システムは、ベースと、第1軌条係合部と、第2軌条係合部と、軌条アームと、を含む。前記ベースは、前記翼の前記ロフトプロファイル内で前記翼に固定されている。前記第1軌条係合部は、前記ベースに固定されている。前記第2軌条係合部は、前記ベースに固定されている。前記軌条アームは、前記フラップに取り付けられているとともに、前記第1軌条係合部に対して移動可能に係合する第1レール、及び、前記第2軌条係合部に対して移動可能に係合する第2レールを含む。前記軌条アームは、前記フラップとともに前記展開経路に沿って移動し、前記フラップが前記翼から延出する際に、前記ロフトプロファイル内に維持される。
【0075】
前記航空機のさらなる開示によれば、前記第1レールは、前記第2レールに対して平行でない状態にて離間している。
【0076】
前記航空機のさらなる開示によれば、前記翼は、前記補助支持システムにフェアリングを備えない。
【0077】
前記航空機のさらなる開示によれば、前記フラップは、補助フラップヒンジを有し、前記フラップは、前記補助フラップヒンジ周りに回動可能であり、前記補助支持システムの前記軌条アームは、さらに、球面軸受を含み、前記軌条アームは、前記球面軸受を介して、前記フラップの前記補助フラップヒンジに取り付けられる。
【0078】
前記航空機のさらなる開示によれば、前記航空機は、前記翼と前記フラップとに連結された作動システムを含み、前記作動システムは、前記補助支持システムから前記翼の翼幅方向に離間して配置されており、前記作動システムは、前記フラップを前記展開経路に沿って前記翼から延出させるように、また、前記フラップを前記展開経路に沿って前記翼に向かって後退させるように、選択的に動作可能である。
【0079】
前記航空機のさらなる開示によれば、前記フラップは、内側端部と、前記内側端部の反対側に位置する外側端部と、を有し、前記フラップは、前記内側端部から前記外側端部まで前記翼幅方向に延在し、前記作動システムは、前記フラップに、前記内側端部と前記外側端部との間の位置で連結されており、前記航空機は、さらに、2つの補助支持システムを備え、前記2つの補助支持システムの各々の軌条アームは、前記フラップの前記内側端部と前記外側端部の内の対応する一方に取り付けられている。
【0080】
本開示の別の側面によれば、航空機の翼に対してフラップを作動させるフラップ作動機構が提供されている。前記フラップ作動機構は、作動システムと、補助支持システムと、を備える。前記作動システムは、前記翼と前記フラップとに連結可能であり、前記作動システムは、前記フラップを前記展開経路に沿って前記翼から延出させるように、また、前記フラップを前記展開経路に沿って前記翼に向かって後退させるように、選択的に動作可能である。前記補助支持システムは、ベースと、第1軌条係合部と、第2軌条係合部と、軌条アームと、を含む。前記ベースは、前記翼に固定可能である。前記第1軌条係合部は、前記ベースに固定されている。前記第2軌条係合部は、前記ベースに固定されている。前記軌条アームは、前記フラップに取り付けられているとともに、前記第1軌条係合部に対して移動可能に係合する第1レール、及び、前記第2軌条係合部に対して移動可能に係合する第2レールを含む。前記第1レールと前記第2レールの間の距離は、前記軌条アームの長さに沿って変化している。
【0081】
前記フラップ作動機構のさらなる開示によれば、前記翼は、上側外表面と下側外表面を有し、前記上側外表面と前記下側外表面は、前記翼のロフトプロファイルを画成し、前記軌条アームは、前記フラップとともに、前記展開経路に沿って移動するよう構成されており、前記補助支持システムは、前記軌条アームが前記展開経路に沿って移動する際に、その全体が前記翼の前記ロフトプロファイル内に収まるように構成されている。
【0082】
前記フラップ作動機構のさらなる開示によれば、前記作動システムは、前記補助支持システムから離間して配置されている。
図1
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