(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】フィルタアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H03H 9/72 20060101AFI20230426BHJP
H03H 9/64 20060101ALI20230426BHJP
H03H 9/70 20060101ALI20230426BHJP
H03H 9/54 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
H03H9/72
H03H9/64 Z
H03H9/70
H03H9/54 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019072135
(22)【出願日】2019-04-04
【審査請求日】2022-03-28
(32)【優先日】2018-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503031330
【氏名又は名称】スカイワークス ソリューションズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SKYWORKS SOLUTIONS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】安藤 義明
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 康之
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘幸
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-110655(JP,A)
【文献】特開2007-037102(JP,A)
【文献】特開2017-092945(JP,A)
【文献】特開2018-042192(JP,A)
【文献】特開2012-253497(JP,A)
【文献】特開2013-223025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/00- 9/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタアセンブリであって、
第1共通ノードに結合された第1フィルタと、
前記第1共通ノードに結合されて無線周波数信号をフィルタリングするべく構成された第2フィルタと
を含み、
前記第1フィルタは単一端無線周波数出力信号を与えるべく構成され、
前記第2フィルタは、
複数の
バルク弾性波共振器と、
前
記複数の
バルク弾性波共振器と前記第1共通ノードとの間に結合され
た一つの直列弾性
表面波共振器と
を含み、
前記第2フィルタの第1段が、前
記複数の
バルク弾性波共振器を含み、
前記第2フィルタの最終段が、前
記一つの直列弾性
表面波共振器を含むが前
記複数の
バルク弾性波共振器は含まず、
前記最終段は前記第1共通ノードに接続され、
前
記一つの直列弾性
表面波共振器は、無線周波数信号の第2高調波の抑制力が前
記複数の
バルク弾性波共振器よりも高い、フィルタアセンブリ。
【請求項2】
前記複数のバルク弾性波共振器及び前記一つの直列弾性
表面波共振器が、共通フィルタダイに実装されて共通キャップ内に封入される、請求項
1のフィルタアセンブリ。
【請求項3】
前記フィルタアセンブリは、
前
記複数の
バルク弾性波共振器を含む第1ダイと、
前
記一つの直列弾性
表面波共振器を含む第2ダイと
を含む、請求項1のフィルタアセンブリ。
【請求項4】
前記第2フィルタは、ラダー型フィルタとして配列され
た複数の
バルク弾性波共振器を含む、請求項1のフィルタアセンブリ。
【請求項5】
前記第2フィルタに結合されたループ回路をさらに含み、
前記ループ回路は、特定の周波数における目標信号に対する逆位相信号を生成するべく構成される、請求項1のフィルタアセンブリ。
【請求項6】
前記ループ回路は、前
記一つの直列弾性
表面波共振器と同じダイ上に弾性波素子を含む、請求項
5のフィルタアセンブリ。
【請求項7】
前記第1フィルタは受信フィルタであり、
前記第2フィルタは送信フィルタであり、
前記第1フィルタ及び前記第2フィルタはデュプレクサに含まれる、請求項
5のフィルタアセンブリ。
【請求項8】
前
記複数の
バルク弾性波共振器と前
記一つの直列弾性
表面波共振器との組み合わせにより、前記第1フィルタと前記第2フィルタとの非対称性により引き起こされる2次歪みが低減される、請求項1のフィルタアセンブリ。
【請求項9】
前
記複数の
バルク弾性波共振器と前
記一つの直列弾性
表面波共振器との組み合わせにより、前
記複数の
バルク弾性波共振器により引き起こされる2次歪みが低減される、請求項1のフィルタアセンブリ。
【請求項10】
前
記複数の
バルク弾性波共振器と前
記一つの直列弾性
表面波共振器との組み合わせにより、アンテナの整合性が改善される、請求項1のフィルタアセンブリ。
【請求項11】
前記第1共通ノードに結合された前記第1フィルタは
、複数の弾性
表面波共振器を含み、
前記第1フィルタにおける前
記複数の弾性
表面波共振器、及び前
記一つの直列弾性
表面波共振器は、アンテナの整合性を改善するべく同じチップに存在する、請求項1のフィルタアセンブリ。
【請求項12】
前記第2フィルタの第1段及び前記第2フィルタの最終段が、前
記一つの直列弾性
表面波共振器を含み、
前記最終段は前記第1共通ノードに接続される、請求項1のフィルタアセンブリ。
【請求項13】
前記第2フィルタの第1段はさらに
、一つのシャント弾性
表面波共振器を含み、
前記一つのシャント弾性
表面波共振器は、前記第1段と前
記一つの直列弾性
表面波共振器との間に接続される、請求項1のフィルタアセンブリ。
【請求項14】
前
記一つの直列弾性
表面波共振器、及び前
記一つのシャント弾性
表面波共振器はそれぞれが、自身のインターディジタルトランスデューサ電極を含む、請求項
13のフィルタアセンブリ。
【請求項15】
前記第1共通ノードに結合された第1フィルタは、第1ラダー型フィルタとして配列され
た複数の弾性
表面波共振器を含み、
前記第2フィルタの第1段が、第2ラダー型フィルタとして配列された前記複数の
バルク弾性波共振器を含む、請求項1のフィルタアセンブリ。
【請求項16】
前記第1共通ノードに結合された少なくとも一つのループ回路をさらに含む、請求項1のフィルタアセンブリ。
【請求項17】
第2共通ノードに選択的に結合された第3フィルタと、
前記第2共通ノードに結合されて無線周波数信号をフィルタリングするべく構成された第4フィルタと
をさらに含み、
前記第3フィルタは単一端無線周波数信号を与えるべく構成され、
前記第4フィルタは、
複数の
バルク弾性波共振器と、
前
記複数の
バルク弾性波共振器と前記第2共通ノードとの間に結合され
た一つの直列弾性
表面波共振器と、
前記第1共通ノード及び前記第2共通ノードとアンテナとのスイッチングを行う少なくとも第1のスイッチと
を含み、前
記一つの直列弾性
表面波共振器は、無線周波数信号の第2高調波の抑制力が前
記複数の
バルク弾性波共振器よりも高い、請求項1のフィルタアセンブリ。
【請求項18】
電力増幅器と前記第2フィルタの第1段との間に配置された少なくとも第2のスイッチをさらに含む、請求項
17のフィルタアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は弾性波フィルタに関する。
【0002】
優先権出願の相互参照
本願は、2018年4月12日に出願された「2つのタイプの弾性波共振器を含むフィルタ」との名称の米国仮特許出願第62/656,857号の優先権の利益を主張する。その開示は、その全体がここに参照により組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
弾性波フィルタが、無線周波数信号をフィルタリングするべく配列された複数の共振器を含み得る。弾性波フィルタの例は、弾性表面波(SAW)フィルタ及びバルク弾性波(BAW)フィルタを含む。圧電薄膜共振器(FBAR)フィルタは、BAWフィルタの一例である。弾性波フィルタは、無線周波数(RF)信号をフィルタリングするべく配列することができる。
【0004】
弾性波フィルタは、無線周波数電子システムに実装することができる。例えば、携帯電話機の無線周波数フロントエンドにおけるフィルタは、弾性波フィルタを含み得る。2つの弾性波フィルタがデュプレクサとして配列され得る。
【発明の概要】
【0005】
特許請求の範囲に記載されるイノベーションはそれぞれが、いくつかの側面を有し、それらの単独の一つのみが、その所望の属性に関与するわけではない。特許請求の範囲を制限することなく、本開示のいくつかの卓越した特徴の概要が以下に記載される。
【0006】
一つの側面において、弾性波デバイスが開示される。弾性波デバイスは、複数のバルク弾性波共振器と、当該複数のバルク弾性波共振器と送信出力ノードとの間に結合された一つの直列弾性表面波共振器とを含む送信フィルタを含み得る。送信フィルタは、無線周波数信号をフィルタリングするように構成することができる。弾性波デバイスはまた、送信フィルタに結合されたループ回路を含む。ループ回路は、特定の周波数における目標信号に対する逆位相信号を生成するように構成することができる。
【0007】
いくつかの実施形態において、弾性波デバイスはさらに、複数の弾性表面波共振器を含む受信フィルタを含む。いくつかの実施形態において、送信フィルタ及び受信フィルタは、デュプレクサに含まれる。いくつかの実施形態において、弾性波デバイスはさらに、受信フィルタに結合された第2ループ回路を含む。いくつかの実施形態において、一つの直列弾性表面波共振器と複数の弾性表面波共振器の少なくとも一つとが共通ダイに実装される。いくつかの実施形態において、ループ回路は、共通ダイに実装された他の弾性表面波素子を含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、弾性波デバイスはさらに、単一端無線周波数信号を出力するように構成された受信フィルタを含む。受信フィルタはループ回路に結合される。
【0009】
一つの側面において、フィルタアセンブリが開示される。フィルタアセンブリは、共通ノードに結合された第1フィルタと、当該共通ノードに結合された第2フィルタとを含み得る。第2フィルタは、無線周波数信号をフィルタリングするように構成することができる。第2フィルタは、第1タイプの複数の弾性波共振器と、第1タイプの複数の弾性波共振器と共通ノードとの間に結合された第2タイプの一つの直列弾性波共振器とを含み得る。第2タイプの一つ直列弾性波共振器は、第1タイプの複数の弾性波共振器よりも高い、無線周波数信号の第2高調波の抑制力を有し得る。フィルタアセンブリはまた、第2フィルタに結合されたループ回路を含み得る。ループ回路は、特定の周波数における目標信号に対する逆位相信号を生成するように構成することができる。
【0010】
いくつかの実施形態において、第1タイプの複数の弾性波共振器は複数のバルク弾性波共振器であり、第2タイプの一つの直列弾性波共振器は一つの弾性表面波共振器である。いくつかの実施形態において、ループ回路は弾性表面波素子を含む。いくつかの実施形態において、複数の弾性表面波素子の少なくとも一つと、第2タイプの一つの直列弾性波共振器とが共通ダイに含まれる。
【0011】
いくつかの実施形態において、フィルタアセンブリは、第1タイプの複数の弾性波共振器を含む第1ダイと、第2タイプの一つの直列弾性波共振器を含む第2ダイとを含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、第1フィルタは複数の弾性波共振器を含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、フィルタアセンブリはさらに、第1フィルタに結合された第2ループ回路を含む。
【0014】
一つの側面において、無線周波数信号を処理する方法が開示される。方法は、無線周波数信号を送信フィルタによってフィルタリングすることを含み得る。送信フィルタは、複数のバルク弾性波共振器と、当該複数のバルク弾性波共振器と送信フィルタの送信出力ノードとの間に結合された一つの直列弾性表面波共振器とを含み得る。方法はまた、特定の周波数における目標信号に対する逆位相信号を送信フィルタに適用することにより、目標信号を抑制することを含み得る。
【0015】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、第2無線周波数信号を、複数の弾性表面波共振器を含む受信フィルタによってフィルタリングすることを含む。いくつかの実施形態において、送信フィルタ及び受信フィルタはデュプレクサに含まれる。いくつかの実施形態において、一つの直列弾性表面波共振器と、複数の弾性表面波共振器の少なくとも一つとが共通ダイに実装される。いくつかの実施形態において、受信フィルタは、単一端無線周波数信号を出力するように構成される。
【0016】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、送信フィルタに結合されたループ回路により逆位相信号を生成することを含む。ループ回路は、直列弾性表面波共振器と同じダイに実装された弾性表面波素子を含み得る。
【0017】
一つの側面において、マルチプレクサが開示される。マルチプレクサは、共通ノードに結合された送信フィルタを含み得る。送信フィルタは、複数のバルク弾性波共振器と、当該複数のバルク弾性波共振器と共通ノードとの間に結合された一つの直列弾性表面波共振器とを含み得る。送信フィルタは、送信無線周波数信号をフィルタリングするように構成することができる。マルチプレクサはまた、共通ノードに結合された受信フィルタを含み得る。受信フィルタは、単一端無線周波数受信信号を与えるように構成することができる。
【0018】
いくつかの実施形態において、マルチプレクサはさらに、送信フィルタに結合されたループ回路を含む。ループ回路は、特定の周波数における目標信号に対する逆位相信号を生成するように構成することができる。ループ回路は弾性表面波素子を含み得る。いくつかの実施形態において、弾性表面波素子及び直列弾性表面波共振器は共通ダイに含まれる。
【0019】
いくつかの実施形態において、送信フィルタ及び受信器フィルタはデュプレクサとして配列される。
【0020】
いくつかの実施形態において、送信フィルタは、複数のバルク弾性波共振器と共通ノードとの間のノードに結合されたシャント弾性表面波共振器を含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、送信フィルタの複数のバルク弾性波共振器は、送信フィルタの複数の共振器の少なくとも80%である。
【0022】
いくつかの実施形態において、受信フィルタは複数の弾性表面波共振器を含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、一つの直列弾性表面波共振器は、送信波フィルタの複数のバルク弾性波共振器すべてと共通ノードとの間に結合される。
【0024】
いくつかの実施形態において、マルチプレクサはさらに、共通ノードに結合された2つのフィルタを含む。マルチプレクサは、クアッドプレクサとして構成することができる。
【0025】
一つの側面において、フィルタアセンブリが開示される。フィルタアセンブリは、共通ノードに結合された第1フィルタを含み得る。第1フィルタは、単一端無線周波数出力信号を与えるように構成することができる。フィルタアセンブリはまた、共通ノードに結合されて無線周波数信号をフィルタリングするべく構成された第2フィルタを含み得る。第2フィルタは、第1タイプの複数の弾性波共振器と、第1タイプの複数の弾性波共振器と共通ノードとの間に結合された第2タイプの一つの直列弾性波共振器とを含み得る。第2タイプの一つの直列弾性波共振器は、第1タイプの複数の弾性波共振器よりも高い、無線周波数信号の第2高調波の抑制力を有し得る。
【0026】
いくつかの実施形態において、第1タイプの複数の弾性波共振器は複数のバルク弾性波共振器であり、第2タイプの一つの直列弾性波共振器は一つの弾性表面波共振器である。いくつかの実施形態において、複数のバルク弾性波共振器及び一つの直列弾性波共振器は、共通フィルタダイに実装されて共通キャップ内に封入される。
【0027】
いくつかの実施形態において、フィルタアセンブリは、第1タイプの複数の弾性波共振器を含む第1ダイと、第2タイプの一つの直列弾性波共振器を含む第2ダイとを含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、第1フィルタは第1タイプの複数の弾性波共振器を含む。
【0029】
いくつかの実施形態において、フィルタアセンブリはさらに、第2フィルタに結合されたループ回路を含む。ループ回路は、特定の周波数における目標信号に対する逆位相信号を生成するように構成することができる。いくつかの実施形態において、ループ回路は、第2タイプの複数の弾性波共振器と同じダイに弾性波素子を含む。いくつかの実施形態において、第1フィルタは受信フィルタであり、第2フィルタは送信フィルタであり、第1フィルタ及び第2フィルタはデュプレクサに含まれる。
【0030】
一つの側面において、無線通信デバイスが開示される。無線通信デバイスは、アンテナと、当該アンテナに結合されたマルチプレクサとを含み得る。マルチプレクサは、単一端無線周波数受信信号を与えるように構成された受信フィルタを含み得る。マルチプレクサはまた、複数のバルク弾性波共振器と、当該複数のバルク弾性波共振器とアンテナとの間に結合された一つの直列弾性表面波共振器とを含む送信フィルタを含み得る。送信フィルタは、送信無線周波数信号をフィルタリングするように構成することができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、無線通信デバイスはさらに、送信フィルタに結合されたループ回路を含む。ループ回路は、特定の周波数における目標信号に対する逆位相信号を生成するように構成することができる。
【0032】
いくつかの実施形態において、送信フィルタ及び受信器フィルタはデュプレクサとして配列され、受信フィルタは複数の弾性表面波共振器を含む。
【0033】
一つの側面において、弾性波デバイスが開示される。弾性波デバイスは、複数のバルク弾性波共振器と、当該複数のバルク弾性波共振器と送信出力ノードとの間に結合された一つの直列弾性表面波共振器とを含む送信フィルタを含み得る。弾性波デバイスはまた、弾性表面波共振器を含む受信フィルタを含み得る。受信フィルタは、共通ノードにおいて送信フィルタに結合することができる。送信フィルタ及び受信フィルタはマルチプレクサに含まれ得る。弾性波デバイスはまた、受信フィルタに結合されたループ回路を含み得る。ループ回路は、特定の周波数における目標信号に対する逆位相信号を生成するように構成することができる。
【0034】
いくつかの実施形態において、マルチプレクサはデュプレクサである。
【0035】
いくつかの実施形態において、弾性波デバイスはさらに、送信フィルタに結合された第2ループ回路を含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、一つの直列弾性表面波共振器と、複数の弾性表面波共振器の少なくとも一つとが共通ダイに実装される。いくつかの実施形態において、ループ回路は、共通ダイに実装された弾性表面波素子を含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、受信フィルタは、単一端無線周波数信号を出力するように構成される。
【0038】
一つの側面において、フィルタアセンブリが開示される。フィルタアセンブリは、共通ノードに結合された第1フィルタと、当該共通ノードに結合された第2フィルタとを含み得る。第2フィルタは、無線周波数信号をフィルタリングするように構成される。第2フィルタは、第1タイプの複数の弾性波共振器と、第1タイプの複数の弾性波共振器と共通ノードとの間に結合された第2タイプの一つの直列弾性波共振器とを含み得る。第2タイプの一つの直列弾性波共振器は、第1タイプの複数の弾性波共振器よりも高い、無線周波数信号の第2高調波の抑制力を有し得る。フィルタアセンブリはまた、第1フィルタに結合されたループ回路を含み得る。ループ回路は、特定の周波数における目標信号に対する逆位相信号を生成するように構成することができる。
【0039】
いくつかの実施形態において、第1タイプの複数の弾性波共振器はバルク弾性波共振器であり、第2タイプの一つの直列弾性波共振器は弾性表面波共振器である。
【0040】
いくつかの実施形態において、フィルタアセンブリは、第1タイプの複数の弾性波共振器を含む第1ダイと、第2タイプの一つの直列弾性波共振器を含む第2ダイとを含む。
【0041】
いくつかの実施形態において、第1フィルタは複数の弾性波共振器を含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、フィルタアセンブリはさらに、第2フィルタに結合された第2ループ回路を含む。いくつかの実施形態において、ループ回路は第2タイプの複数の弾性波共振器を含む。いくつかの実施形態において、第2タイプの複数の弾性波共振器及び第2タイプの一つの直列弾性波共振器は共通ダイに含まれる。
【0043】
いくつかの実施形態において、第1フィルタは、単一端無線周波数信号を出力するように構成される。
【0044】
一つの側面において、無線周波数信号を処理する方法が開示される。方法は、送信無線周波数信号を送信フィルタによってフィルタリングすることを含む。送信フィルタは、複数のバルク弾性波共振器と、当該複数のバルク弾性波共振器と送信出力ノードとの間に結合された一つの直列弾性表面波共振器とを含み得る。方法はまた、受信無線周波数信号を受信フィルタによってフィルタリングすることを含む。受信フィルタは複数の弾性波共振器を含み得る。方法はさらに、目標信号を、特定の周波数における目標信号に対する逆位相信号を受信フィルタに適用することにより、抑制することを含み得る。
【0045】
いくつかの実施形態において、受信フィルタの複数の弾性波共振器は複数の弾性表面波共振器を含む。いくつかの実施形態において、一つの直列弾性表面波共振器と、複数の弾性表面波共振器の少なくとも一つとは共通ダイに実装される。
【0046】
いくつかの実施形態において、送信フィルタ及び受信フィルタはデュプレクサに含まれる。
【0047】
いくつかの実施形態において、受信フィルタは、単一端受信無線周波数信号を出力するように構成される。
【0048】
いくつかの実施形態において、抑制することは、送信フィルタに結合されたループ回路により逆位相信号を生成することを含む。
【0049】
本開示をまとめる目的で本技術革新の所定の側面、利点及び新規な特徴が、ここに記載されてきた。かかる利点の必ずしもすべてが、いずれかの特定の実施形態において達成されるというわけではない。よって、本イノベーションは、ここに教示される一つの利点又は一群の利点を、ここに教示又は示唆される他の利点を必ずしも達成することなしに、達成又は最適化する態様で、具体化し又は実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本開示の複数の実施形態が、添付図面を参照する非限定的な例を介して以下に記載される。
【
図1A】バルク弾性波(BAW)共振器及び弾性表面波(SAW)共振器を含む送信フィルタを備えた一実施形態に係るデュプレクサの模式的な図である。
【
図1B】BAW共振器及びSAW共振器を含む送信フィルタを備えた一実施形態に係るマルチプレクサの模式的な図である。
【
図2】
図1Aの送信フィルタの性能を、すべての弾性波共振器がBAW共振器である対応送信フィルタと比較するグラフである。
【
図3A】ループ回路と、BAW共振器及びSAW共振器を含む送信フィルタとを備えた一実施形態に係るデュプレクサの模式的な図である。
【
図3B】ループ回路と、それぞれがBAW共振器及びSAW共振器を含む複数の送信フィルタとを備えた一実施形態に係るマルチプレクサの模式的な図である。
【
図3C】BAW共振器及びSAW共振器を含む送信フィルタに結合されたループ回路と、受信フィルタに結合された他のループ回路とを備えた一実施形態に係るデュプレクサの模式的な図である。
【
図3D】BAW共振器及びSAW共振器を含む送信フィルタと、受信フィルタに結合されたループ回路とを備えた一実施形態に係るデュプレクサの模式的な図である。
【
図3E】BAW共振器及びSAW共振器を含む送信フィルタと、受信フィルタに結合されたループ回路とを備えた他実施形態に係るデュプレクサの模式的な図である。
【
図4】
図3Aのループ回路例の共振器の模式的な図である。
【
図5】2つのタイプの共振器を含む送信フィルタを備えた一実施形態に係るデュプレクサの模式的な図である。
【
図6A】ループ回路と、2つのタイプの共振器を含む送信フィルタとを備えた一実施形態に係るデュプレクサの模式的な図である。
【
図6B】2つのタイプの共振器を含む送信フィルタに結合されたループ回路と、受信フィルタに結合された他のループ回路とを備えた一実施形態に係るデュプレクサの模式的な図である。
【
図7】一実施形態に係るデュプレクサを含む無線周波数システム例の模式的なブロック図である。
【
図8A】ここに説明される実施形態に係るフィルタの弾性波共振器を含むダイを備えたフィルタアセンブリのブロック図である。
【
図8B】ここに説明される実施形態に係る第1フィルタコンポーネント及び第2フィルタコンポーネントを含むフィルタダイを備えたフィルタアセンブリのブロック図である。
【
図9】アンテナスイッチ、及び一つ以上の実施形態に係るデュプレクサを含むモジュールの模式的なブロック図である。
【
図10】電力増幅器、無線周波数スイッチ、及び一つ以上の実施形態に係るデュプレクサを含むモジュールの模式的なブロック図である。
【
図11】電力増幅器、無線周波数スイッチ、一つ以上の実施形態に係るデュプレクサ、及びアンテナスイッチを含むモジュールの模式的なブロック図である。
【
図12】一つ以上の実施形態に係るフィルタを含む無線通信デバイスの模式的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
一定の実施形態の以下の詳細な説明は、特定の実施形態の様々な記載を表す。しかしながら、ここに記載のイノベーションは、例えば特許請求の範囲によって画定され及びカバーされる多数の異なる態様で具体化することができる。本記載において、参照される図面では、同じ参照番号が同一の又は機能的に類似の要素を示し得る。理解されることだが、図面に例示される要素は必ずしも縮尺どおりではない。さらに理解されることだが、所定の実施形態は、図面に例示されるよりも多くの要素を含んでよく、及び/又は図面に例示される要素の部分集合を含んでよい。さらに、いくつかの実施形態は、2つ以上の図面からの特徴の任意の適切な組み合わせを組み入れてよい。
【0052】
無線周波数フロントエンドが、送信フィルタ及び受信フィルタを含むデュプレクサを含み得る。送信フィルタは、送信経路とアンテナとの間に結合することができる。受信フィルタは、受信経路とアンテナとの間に結合することができる。デュプレクサの共通ノードは、送信フィルタ及び受信フィルタの双方をアンテナに結合することができる。
【0053】
いくつかのデュプレクサは、ラダー型フィルタとして配列されたバルク弾性波(BAW)共振器を含む送信フィルタと、他のラダー型フィルタとして配列された弾性表面波(SAW)共振器を含む受信フィルタとを含み得る。このようなデュプレクサにおいて、送信フィルタのBAW共振器の2次歪みは、送信高調波及び/又はアンテナ不整合を引き起こし得る。
【0054】
本開示の側面は送信フィルタに関し、この送信フィルタは、BAW共振器と、当該BAW共振器と当該送信フィルタの送信出力ノードとの間に結合されたSAW共振器とを含む。送信フィルタは、BAW共振器のみを含む送信フィルタと比べて低減された第2高調波歪みを有し得る。送信フィルタのSAW共振器は、当該送信フィルタ及び受信フィルタを含むデュプレクサの当該受信フィルタのSAW共振器と同じチップの一部としてよい。これにより、アンテナの整合性を改善することができる。ループ回路を、デュプレクサの一部として含めることができる。ループ回路は、デュプレクサの安定性を改善し、及び/又は雑音を抑制することができる。受信フィルタは、単一端無線周波数信号を出力することができる。ループ回路は、単一端無線周波数信号を出力するべく配列された受信フィルタにより、差動無線周波数信号を出力するべく配列された受信フィルタと比べ、複雑性が低くなり及び/又は有効性が高くなり得る。
【0055】
図1Aは、一実施形態に係るデュプレクサ10の模式的な図である。デュプレクサ10は、アンテナノードANTにおいて相互に結合された送信フィルタ11及び受信フィルタ12を含む。シャントインダクタANTLは、アンテナノードANTに接続することができる。送信フィルタ11及び受信フィルタ12は双方とも、デュプレクサ10における弾性波ラダー型フィルタである。送信フィルタ11及び受信フィルタ12は、無線周波数信号をフィルタリングすることができる。一例として、当該フィルタは、バンド7の信号をフィルタリングすることができる。ここで、送信フィルタ11は、2500MHzから2570MHzまでの範囲にある周波数を有する信号をフィルタリングすることができ、受信フィルタは、2620MHzから2690MHzまでの範囲にある周波数を有する信号をフィルタリングすることができる。
【0056】
受信フィルタ12は、SAW共振器RB1、RB2、RB3、RB4、RB5、RB6、RB7、RB8、RB9及びRBAにより実装することができる。したがって、受信フィルタ12は、SAWフィルタと称してもよい。受信フィルタ12は、アンテナノードANTにおいて受信した無線周波数信号をフィルタリングすることができる。受信フィルタ12の受信出力ノードRXは、単一端無線周波数受信信号を与えることができる。
【0057】
送信フィルタ11は、無線周波数信号をフィルタリングし、そのフィルタリングされた無線周波数信号をアンテナノードANTに与えることができる。直列インダクタTXLは、送信フィルタ11の送信入力ノードTXと弾性波共振器との間に結合することができる。送信フィルタ11は、2次高調波を抑制することができる。送信フィルタ11は、BAW共振器S1、S2、S3、S4、P1、P2、P3及びP4、並びにSAW共振器RA2及びRA1を含む。したがって、送信フィルタ11は、ハイブリッドBAW及びSAW送信器フィルタと称してもよい。例示の送信フィルタ11は、送信フィルタ11の最終段に直列SAW共振器RA1を含む。例示のように、送信フィルタ11はBAW共振器及び直列SAW共振器RA1を含む。ここで、直列SAW共振器RA1は、BAW共振器と送信出力ノード又はアンテナノードANTとの間に結合される。例示の送信フィルタ11はまた、送信フィルタ11のBAW共振器とアンテナノードANTとの間のノードにおいて結合されたシャントSAW共振器RA2を含む。任意の適切な数のSAW共振器を、送信フィルタのBAW共振器とアンテナノードANTとの間に結合することができる。例えば、直列SAW共振器及び一つ以上の他の直列SAW共振器並びに/又は一つ以上のシャントSAW共振器を、送信フィルタのBAW共振器とアンテナノードANTとの間に結合することができる。
【0058】
送信フィルタが、SAW共振器のみを備えた受信フィルタも含むデュプレクサにおいてBAW共振器のみから構成される場合、非対称性により引き起こされる2次歪みゆえに高調波特性が劣化し得る。デュプレクサ10において、送信フィルタ11の最終段にSAW共振器を使用することにより、2次歪み及び高調波特性劣化を抑制することができる。加えて、送信フィルタ11の直列SAW共振器を、受信フィルタ12のSAW共振器と同じSAWチップに組み入れることにより、他のデュプレクサと比べてアンテナの整合性を改善することができる。
【0059】
図1Bは、一実施形態に係るマルチプレクサ10’の模式的な図である。マルチプレクサ10’は、アンテナノードANTにおいて相互に結合された送信フィルタ11’及びフィルタ12’を含む。例示のマルチプレクサ10’は、第1送信フィルタ、第1受信フィルタ、第n送信フィルタ及び第n受信フィルタを含む。いくつかの実施形態において、送信フィルタ11’の数と受信フィルタ12’の数とは異なり得る。
【0060】
送信フィルタ11’はそれぞれが、
図1Aの送信フィルタ11と同じ又は一般に同様の構造を有し得る。同様に、受信フィルタ12’はそれぞれが、
図1Aの受信フィルタ12と同じ又は一般に同様の構造を有し得る。
図1Bに例示される送信フィルタ11’の2つの例示の送信フィルタ及び受信フィルタ12’の2つの例示の受信フィルタは、同じSAW共振器及びBAW共振器トポロジを含む。例えば、マルチプレクサ10’の第1送信フィルタ及び第1受信フィルタはそれぞれが、
図1Aの送信フィルタ11及び受信フィルタ12に対応し得る。マルチプレクサ10’の第2受信フィルタは、SAW共振器RB1n、RB2n、RB3n、RB4n、RB5n、RB6n、RB7n、RB8n、RB9n及びRBAnを含み、受信出力ノードRXnにおいて単一端無線周波数信号を与えることができる。マルチプレクサ10’の第2送信フィルタは、第2送信フィルタの送信入力ノードTXnと弾性波共振器との間に結合された直列インダクタTXLnを含む。例示のように、第2送信フィルタの弾性波共振器は、BAW共振器S1n、S2n、S3n、S4n、P1n、P2n、P3n及びP4n、並びにSAW共振器RA2n及びRA1nを含む。しかしながら、他の実施形態では、送信フィルタ11’の一つ以上が、異なる数及び/又は異なる組み合わせのSAW共振器及びBAW共振器を含む異なる共振器トポロジを含んでよい。同様に、受信フィルタ12’も、異なる共振器トポロジを含んでよい。
【0061】
図2は、
図1Aの送信フィルタ10の性能を、すべての弾性波共振器がBAW共振器である対応送信フィルタと比較するグラフである。グラフは、
図1Aのフィルタ10が、BAW共振器のみの対応送信フィルタと比較して、2次歪み、及び高調波特性の劣化を抑制することを示す。
【0062】
図3Aは、一実施形態に係るループ回路42を備えたデュプレクサ40の模式的な図である。デュプレクサ40は、デュプレクサ40がループ回路42を含む点を除き、
図1Aのデュプレクサ10と同様である。デュプレクサ40はまた、ループ回路42の共振器を送信フィルタ11及び/又は受信フィルタ12に結合するキャパシタC1、C2、C3、C4及びC5を含む。例示のキャパシタC1、C2、C3、C4及びC5は、減衰素子として機能する。いくつかの実装において、抵抗器及び/又はインダクタのような異なる減衰素子を代替的に又は付加的に、ここに開示されるいずれかの実施形態によって適切に含めることができる。キャパシタC1、C2、C3、C4及びC5、並びに/又は他の減衰素子は、一定の例においてループ回路の一部とみなすことができる。
【0063】
例示のループ回路42は送信フィルタ11に結合される。ループ回路42は、送信フィルタ11の入力共振器S1及び出力共振器RA1に結合することができる。いくつかの他例において、ループ回路42は、送信フィルタ11のラダー型回路の、例示とは異なる一つのノード又は複数のノードに結合することもできる。ループ回路42は、SAW共振器及び/又はSAW遅延線のようなSAW素子を含み得る。ループ回路42の一つ以上のSAW素子は、送信フィルタ11及び/又は受信フィルタ12の一つ以上のSAW共振器と同じダイ上に存在し得る。ループ回路42は、受信分離性及び/又はキャリアアグリゲーション帯域減衰を改善することができる。
【0064】
ループ回路42は、望まれない周波数成分を抑制及び/又はキャンセルすることができる。ループ回路42は、特定の周波数範囲に対する送信/受信分離性及び減衰を高めることができる。ループ回路42は、キャンセレーション信号を送信フィルタ11に適用することができる。ここで、キャンセレーション信号は、キャンセル対象の信号成分に対して近似的に同じ振幅及び逆の位相を有する。ループ回路42は、キャンセル対象信号成分に対して近似的に同じ振幅及び逆の位相を有する信号を適用することができる。ループ回路42は、キャンセル対象信号成分に対して近似的に同じ振幅及び逆の位相を有する信号を、送信フィルタ11に適用することができる。ループ回路42は、米国特許第9,246,533号及び/又は米国特許第9,520,857号に記載される任意の適切な原理及び利点に従って実装することができる。これらの特許の開示は、そのすべてがここに参照により組み入れられる。
【0065】
BAWのみの送信フィルタ及びSAWのみの受信フィルタを備えたデュプレクサにおいて、アンテナ端子におけるループ回路接続部分が、チップ境界となり得る。したがって、チップ間の接続に起因する雑音が生じ得る可能性がある。
図3Aの回路構成において、アンテナノードANTに結合された送信フィルタ11の最終段のSAW共振器及び受信フィルタのSAW共振器は、同じダイ上で隣り合わせとすることができる。このようなSAW共振器はまた、ループ回路42のSAW素子と同じダイに配置することもできる。このようにして、チップ間の接続に起因する雑音及び/又は他の歪みをわずかにすることができる。
【0066】
ループ回路42は、単一端無線周波数受信信号によって、差動無線周波数受信信号によるよりも良好に動作し得る。例えば、単一端無線周波数受信信号を備えたループ回路42は、望まれない周波数を、効率的に及び/又はループ回路42が差動無線周波数受信信号とともに使用される場合よりも少ない回路素子によって、抑制することができる。
【0067】
図3Bは、一実施形態に係るループ回路42及び42nを備えたマルチプレクサ40’の模式的な図である。マルチプレクサ40’は、マルチプレクサ40’がループ回路42及び42nを含む点を除き、
図1Bのマルチプレクサ10’と同様である。マルチプレクサ40’はまた、ループ回路42の素子を送信フィルタ11’の第1送信フィルタに及び/又は受信フィルタ12’の第1受信フィルタに結合するキャパシタC1、C2、C3、C4及びC5を含む。同様に、マルチプレクサ40’は、ループ回路42nの素子を送信フィルタ11’の第2送信フィルタに及び/又は受信フィルタ12’の第2受信フィルタに結合するキャパシタC1n、C2n、C3n、C4n及びC5nを含む。ループ回路42及び42nは、一定の実施形態と同様又は実質的に同じとなり得る。いくつかの他実施形態によれば、ループ回路42及び42nは異なるように実装することができる。
【0068】
図3Cは、一実施形態に係るループ回路42及び43を備えたデュプレクサ44の模式的な図である。デュプレクサ44は、デュプレクサ44が付加的にループ回路43を含む点を除き、
図3Aのデュプレクサ40と同様である。デュプレクサ44はまた、ループ回路42、43の素子を送信フィルタ11に及び/又は受信フィルタ12に結合するキャパシタC1、C2、C3、C4、C5、C6及びC7を含む。いくつかの実施形態において、ループ回路43はまた、送信入力ノードTXと送信フィルタ11のBAW共振器との間のノードに結合することができる。ループ回路43は、キャンセレーション信号を受信フィルタ12に適用することができる。ここで、キャンセレーション信号は、キャンセル対象の信号成分に対して近似的に同じ振幅及び逆の位相を有する。
【0069】
例示のループ回路42は送信フィルタ11に結合され、例示のループ回路43は受信フィルタ12に結合される。ループ回路42は、送信フィルタ11の入力共振器S1及び出力共振器RA1に結合することができる。いくつかの他例において、ループ回路42は、送信フィルタ11のラダー型回路の、例示とは異なる一つのノード又は複数のノードに結合することができる。ループ回路43は、受信フィルタ12の入力共振器RB1及び出力共振器RB9に結合することができる。いくつかの他例において、ループ回路43は、受信フィルタ12のラダー型回路の、例示とは異なる一つのノード又は複数のノードに結合することができる。
【0070】
ループ回路42、43は、SAW共振器及び/又は遅延線のようなSAW素子を含み得る。ループ回路42の一つ以上のSAW素子は、送信フィルタ11及び/又は受信フィルタ12の一つ以上のSAW共振器と同じダイにあってよい。同様に、ループ回路43の一つ以上のSAW素子は、送信フィルタ11及び/又は受信フィルタ12の一つ以上のSAW共振器と同じダイにあってよい。ループ回路42、43は、受信分離性及び/又はキャリアアグリゲーション帯域減衰を改善することができる。
【0071】
図3Aに関連して上で説明したループ回路42と同様に、ループ回路43は、望まれない周波数成分を抑制及び/又はキャンセルすることができる。ループ回路43は、特定の周波数範囲に対する送信/受信分離性及び減衰を高めることができる。ループ回路43は、キャンセル対象信号成分に対して近似的に同じ振幅及び逆の位相を有する信号を適用することができる。ループ回路43は、例えば米国特許第9,246,533号及び/又は米国特許第9,520,857号に記載される任意の適切な原理及び利点に従って実装することができる。
【0072】
図3Dは、一実施形態に係るループ回路43を備えたデュプレクサ46の模式的な図である。デュプレクサ46は、デュプレクサ46が
図3Cに例示のループ回路42を含まない点を除き、
図3Cのデュプレクサ44と同様である。デュプレクサ46はまた、ループ回路43の素子を受信フィルタ12に結合するキャパシタC6及びC7を含む。例示の実施形態において、キャパシタC6はアンテナノードANTとSAW共振器RB1との間に結合され、キャパシタC7はSAW共振器RB9と受信出力ノードRXとの間に結合される。デュプレクサ46は、望まれない周波数成分の抑制及び/又はキャンセレーションがデュプレクサの受信フィルタにおいて所望される状況、並びにデュプレクサの仕様が送信フィルタ11に対してループ回路なしで満たされ得る状況、において実装することができる。
【0073】
図3Eは、一実施形態に係るループ回路43’を備えたデュプレクサ48の模式的な図である。デュプレクサ48は、デュプレクサ48のループ回路43’が送信入力ノードTXとBAW共振器S1との間のノードにも結合される点を除き、
図3Dのデュプレクサ46と同様である。ループ回路43’の素子はまた、ループ回路43の素子とは異なる。デュプレクサ48はまた、ループ回路43の素子を送信フィルタ11及び/又は受信フィルタ12に結合するキャパシタC5、C6、C7及びC8を含む。
【0074】
図4は、ループ回路例50の共振器の模式的な図である。ループ回路50は、
図3A、3B及び3Cのループ回路42、
図3C及び3Dのループ回路43、及び/又は
図3Eのループ回路43’の一例である。例示のループ回路50はSAW素子51、52、53、54及び55を含む。例示のように、SAW素子はそれぞれが、インターディジタルトランスデューサ電極を含む。
【0075】
図1A、3A及び3C~3EがSAW共振器及びBAW共振器を含むデュプレクサ例を例示し、
図1B及び3BがSAW共振器及びBAW共振器を含む他のマルチプレクサ例を例示するが、ここに説明される任意の適切な原理及び利点は、異なる適切なタイプの弾性波共振器によって実装することができる。例えば、デュプレクサのフィルタは、第1タイプの弾性波共振器と、第1タイプの弾性波共振器とデュプレクサの共通ノードとの間に結合された第2タイプの直列弾性波共振器とを含み得る。第2タイプの弾性波共振器は、第1タイプの弾性波共振器よりも高い、無線周波数信号の第2高調波の抑制力を有し得る。例えば、
図1Aのデュプレクサ10及び
図3Aデュプレクサ40において、第1タイプの共振器はBAW共振器であり、第2タイプの共振器はSAW共振器である。いくつかの例において、第1タイプの共振器はBAW共振器としてよく、第2タイプの共振器は境界弾性波共振器としてよい。
【0076】
図5は、一実施形態に係る2つのタイプの共振器を含む送信フィルタ61を備えたデュプレクサ60の模式的な図である。デュプレクサ60はまた、受信フィルタ62を含む。デュプレクサ60は、第1タイプの弾性波共振器及び第2タイプの弾性波共振器を含む。第2タイプの弾性波共振器は、第1タイプの弾性波共振器よりも高い、無線周波数信号の第2高調波の抑制力を有し得る。
図1Aのデュプレクサ10は、第1タイプの弾性波共振器がBAW共振器であり、第2タイプの弾性波共振器がSAW共振器であるデュプレクサ60の一例である。
【0077】
送信フィルタ61及び受信フィルタ62は、無線周波数信号をフィルタリングすることができる。送信フィルタ61は、第2タイプの共振器TS1、TS2、TS3、TS4、TP1、TP2、TP3及びTP4、並びに第1タイプ共振器TA2及びTA1を含む。受信フィルタ62は、第1タイプ共振器TB1、TB2、TB3、TB4、TB5、TB6、TB7、TB8、TB9及びTBAによって実装することができる。受信フィルタ62は、アンテナノードANTにおいて受信した無線周波数信号をフィルタリングすることができる。受信フィルタ62の受信出力ノードRXは、単一端無線周波数受信信号を与えることができる。
【0078】
送信フィルタが、第1タイプ共振器のみを備えた受信フィルタも含むデュプレクサにおいて第2タイプ共振器のみから構成される場合、非対称性により引き起こされる2次歪みゆえに高調波特性が劣化し得る。デュプレクサ60において、送信フィルタ61の最終段に第1タイプ共振器を使用することにより、2次歪み及び高調波特性劣化を抑制することができる。加えて、送信フィルタ61の直列第1タイプ共振器を、受信フィルタ62の第1タイプ共振器と同じ第1タイプ共振器チップに組み入れることにより、他のデュプレクサと比べてアンテナの整合性を改善することができる。
【0079】
図6Aは、一実施形態に係るループ回路42を備えたデュプレクサ90の模式的な図である。デュプレクサ90は、デュプレクサ90がループ回路42を含む点を除き、
図5のデュプレクサ60と同様である。デュプレクサ90はまた、ループ回路42の共振器を送信フィルタ61及び/又は受信フィルタ62に結合するキャパシタC1、C2、C3、C4及びC5を含む。デュプレクサ90のループ回路42は、ここに説明されるループ回路のいずれかの任意の適切な原理及び利点を実装することができる。
【0080】
図6Bは、一実施形態に係るループ回路42、43を備えたデュプレクサ92の模式的な図である。デュプレクサ92は、デュプレクサ92がループ回路43を含む点を除き、
図6Aのデュプレクサ90と同様である。デュプレクサ92は、ループ回路42、43の素子を送信フィルタ61及び/又は受信フィルタ62に結合するキャパシタC1、C2、C3、C4、C5、C6及びC7を含む。デュプレクサ92のループ回路43は、ここに説明されるループ回路のいずれかの任意の適切な原理及び利点を実装することができる。
【0081】
ここに説明されるいくつかの実施形態がデュプレクサを参照し得るにもかかわらず、ここに説明される任意の適切な原理及び利点は、例えば
図1B及び3Bに開示されるようなマルチプレクサに適用することができる。マルチプレクサは、共通ノードに結合された任意の適切な数のフィルタを含み得る。例えば、マルチプレクサは、デュプレクサ、3つのフィルタを含むトリプレクサ、4つのフィルタを備えたクアッドプレクサ、5つのフィルタを備えたペンタプレクサ、6つのフィルタを備えたヘキサプレクサ、8つのフィルタを備えたオクタプレクサ等としてよい。いくつかの例において、マルチプレクサは、共通ノードに接続された2~16個の弾性波フィルタを含み得る。マルチプレクサの弾性波フィルタは、複数の受信フィルタ及び/又は複数の送信フィルタの任意の適切な組み合わせを含み得る。マルチプレクサの一つ以上のフィルタは、ここに説明される任意の適切な原理及び利点に係る2つのタイプの弾性波共振器を含み得る。
【0082】
ここに説明される実施形態が、2つのタイプの弾性波共振器を含む送信フィルタに関連し得るにもかかわらず、ここに説明される任意の適切な原理及び利点は、受信フィルタにも適切に適用することができる。例えば、受信フィルタは、2つ以上のタイプの弾性波共振器を含んでよい。さらに、ここに説明される実施形態が、2つのタイプの弾性波共振器を含むフィルタに関連し得るにもかかわらず、3つ以上のタイプの弾性波共振器を、ここに開示される原理及び利点に従って一つのフィルタに含めることができる。
【0083】
ここに説明されるデュプレクサ及び他のマルチプレクサは、様々な無線周波数システムに実装することができる。無線周波数システムは、約450MHzから6GHzまでの範囲のような、約30kHzから300GHzまでの範囲にある周波数を有する信号を処理することができる。ここに開示されるフィルタは、通過帯域が約450MHzから6GHzまでの範囲内にある帯域通過フィルタのような無線周波数システムに実装することができる。2つのタイプの弾性波共振器を備えた帯域通過フィルタの通過帯域は、ロングタームエボリューション(LTE)及び/又は5G新規無線(New Radio(NR))のような任意の適切な通信規格の周波数帯域に対応し得る。いくつかの例において、ここに開示される原理及び利点は、ミリメートル波周波数までの及びミリメートル波周波数を含む無線周波数をフィルタリングするべく配列されたフィルタに適用することができる。
【0084】
図7は、一実施形態に係るデュプレクサ101を含む無線周波数システム100の例の模式的なブロック図である。例示の無線周波数システム100は、デュプレクサ101、送信信号経路102、受信信号経路103及びアンテナ104を含む。デュプレクサ101は、ここに説明されるデュプレクサの特徴の任意の適切な組み合わせを実装することができる。送信信号経路102は、無線周波数信号をデュプレクサ101に与えるべく構成された電力増幅器及び/又は任意の適切な回路手段を含み得る。例示のデュプレクサ101は、送信信号経路102が与える無線周波数信号をフィルタリングし、そのフィルタリングされた無線周波数送信信号を与えるように配列された送信フィルタを含む。アンテナ104は、デュプレクサ101から受信したフィルタリングされた無線周波数送信信号を送信することができる。例示のデュプレクサ101は、アンテナ104が受信した無線周波数信号をフィルタリングし、そのフィルタリングされた無線周波数受信信号を受信信号経路103に与えるように配列された受信フィルタを含む。受信信号経路103は、フィルタリングされた無線周波数受信信号を処理する低雑音増幅器及び/又は任意の適切な回路手段を含み得る。
【0085】
図8Aは、ここに説明される実施形態に係る一つ以上のフィルタの弾性波共振器を含む異なるダイを備えたフィルタアセンブリ110のブロック図である。例示のように、フィルタアセンブリ110は、共通基板116に含まれるSAWダイ112及びBAWダイ114を含む。一つ以上の弾性波フィルタは、SAWダイ112及びBAWダイ114に実装された共振器を含み得る。BAWダイ114は、一定の実施形態によれば、圧電薄膜共振器(FBAR)ダイとしてよい。基板116は、積層基板又は任意の他の適切なパッケージ基板としてよい。一つのデュプレクサ又は他のマルチプレクサの一つ以上の弾性波フィルタの共振器は、SAWダイ112及びBAWダイ114に実装することができる。例えば、デュプレクサの送信フィルタは、ここに説明される任意の適切な原理及び利点に係るSAWダイ112及びBAWダイ114の共振器を含み得る。デュプレクサの受信フィルタの共振器は、SAWダイ112の共振器を含み得る。一定の実施形態によれば、ループ回路は、SAWダイ112のSAW素子を含む。一つ以上のデュプレクサ又は他のマルチプレクサの共振器は、SAWダイ112及びBAWダイ114に実装することができる。例えば、多数のデュプレクサのための共振器を、SAWダイ112及び/又はBAWダイ114に実装することができる。
【0086】
いくつかの実施形態において、異なるSAWダイ及び/又は異なるBAWダイを、異なる周波数範囲を目的として実装することができる。このような異なる周波数範囲のためのダイは、異なる厚さの圧電層及び/又はメタライゼーション層を含み得る。
【0087】
図8Bは、異なるフィルタコンポーネントを含むフィルタダイ117を備えたフィルタアセンブリ111の模式的な断面側面図である。例示のように、フィルタアセンブリ111は、第1フィルタコンポーネント113(例えばSAWコンポーネント)及び第2フィルタコンポーネント115(例えばBAWコンポーネント)を含む。一つ以上の弾性波フィルタが、第1フィルタコンポーネント113及び第2フィルタコンポーネント114に実装された共振器を含み得る。加えて、ループ回路の素子は、第1フィルタコンポーネント113に実装することができる。例示のフィルタアセンブリ111はまた、キャップ118及びキャビティ119を含む。キャップ118は、第1フィルタコンポーネント113及び/又は第2フィルタコンポーネント115を保護することができる。キャップ118は、第1フィルタコンポーネント113及び第2フィルタコンポーネント114のための接続及び/又は遮蔽を与えることができる。キャビティ119は、例えば空気キャビティとしてよい。
【0088】
ここに説明される弾性波フィルタ、デュプレクサ及び他のマルチプレクサは、様々なパッケージ状モジュールに実装することができる。ここに説明される弾性波フィルタ、デュプレクサ及び/又は他のマルチプレクサの任意の適切な原理及び利点を実装することができるいくつかのパッケージ状モジュール例を、以下に説明する。パッケージ状モジュール例は、例示の回路素子を封入するパッケージを含み得る。例示の回路素子は、共通パッケージ基板上に配置することができる。パッケージ基板は、例えば積層基板としてよい。
図9、10及び11は、一定の実施形態に係る例示のパッケージ状モジュールの模式的なブロック図である。当該モジュールの特徴の任意の適切な組み合わせを相互に実装することができる。
【0089】
図9は、デュプレクサ101A~101N及びアンテナスイッチ122を含むモジュール120の模式的なブロック図である。任意の適切な数のデュプレクサ101A~101Nを実装することができる。アンテナスイッチ122は、デュプレクサ101A~101Nの数に対応する一定数の投を有する。アンテナスイッチ112は、選択されたデュプレクサを、モジュール120のアンテナポートに電気的に結合することができる。デュプレクサ101A~101Nの一つ以上は、ここに説明される任意の適切な原理及び利点に係る2つのタイプの共振器を含む弾性波フィルタを含み得る。デュプレクサ101A~101Nは、一つ以上のSAWダイ及び一つ以上のBAWダイを含み得る。デュプレクサ101A~101Nは、一つ以上のBAW共振器及び一つ以上のSAW共振器を含むフィルタダイを含み得る。
【0090】
図10は、一つ以上の実施形態に係る電力増幅器132、無線周波数スイッチ134及びデュプレクサ101A~101Nを含むモジュール130の模式的なブロック図である。電力増幅器132は無線周波数信号を増幅することができる。無線周波数スイッチ134は、多投無線周波数スイッチとしてよい。無線周波数スイッチ134は、電力増幅器132の出力を、デュプレクサ101A~101Nの選択された送信フィルタに電気的に結合することができる。任意の適切な数のデュプレクサを実装することができる。デュプレクサ101A~101Nの一つ以上を、ここに説明される任意の適切な原理及び利点に従って実装することができる。デュプレクサ101A~101Nは、一つ以上のSAWダイ及び一つ以上のBAWダイを含み得る。デュプレクサ101A~101Nは、一つ以上のBAW共振器及び一つ以上のSAW共振器を含むフィルタダイを含み得る。
【0091】
図11は、電力増幅器132、無線周波数スイッチ134及び一つ以上の実施形態に係るデュプレクサ101、並びにアンテナスイッチ122を含むモジュール140の模式的なブロック図である。モジュール140は、モジュール120の素子、及びモジュール130の素子を含み得る。
【0092】
図12は、一つ以上の実施形態に係るフィルタ153を含む無線通信デバイス150の模式的なブロック図である。無線通信デバイス150は、任意の適切な無線通信デバイスとしてよい。例えば、無線通信デバイス150は、スマートフォンのような携帯電話機としてよい。例示のように、無線通信デバイス150は、アンテナ151、RFフロントエンド152、RF送受信器154、プロセッサ155及びメモリ156を含む。アンテナ151は、RFフロントエンド152が与えるRF信号を送信することができる。アンテナ151は、受信したRF信号を、処理を目的としてRFフロントエンド152に与えることができる。
【0093】
RFフロントエンド152は、一つ以上の電力増幅器、一つ以上の低雑音増幅器、RFスイッチ、受信フィルタ、送信フィルタ、デュプレクサ若しくは他のマルチプレクサ、又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。RFフロントエンド152は、任意の適切な通信規格に関連付けられたRF信号を送信及び受信することができる。ここに説明される弾性波フィルタ、デュプレクサ及び/又はマルチプレクサはいずれも、RFフロントエンド152のフィルタ153によって実装することができる。
【0094】
RF送受信器154は、増幅及び/又は他の処理を目的としてRF信号をRFフロントエンド152に与えることができる。RF送受信器154はまた、RFフロントエンド152の低雑音増幅器が与えるRF信号を処理することができる。RF送受信器154はプロセッサ155と通信する。プロセッサ155はベース帯域プロセッサとしてよい。プロセッサ155は、無線通信デバイス150のための任意の適切なベース帯域処理機能を与えることができる。メモリ156は、プロセッサ155によりアクセスすることができる。メモリ156は、無線通信デバイス150のための任意の適切なデータを記憶することができる。
【0095】
上述された実施形態のいくつかが、セルラーハンドセットのような携帯デバイスに関連する例を与えてきた。しかしながら、当該実施形態の原理及び利点は、ここに説明される実施形態のいずれかから有益となり得るアップリンクセルラーデバイスのような、任意の他のシステム又は装置のために使用することができる。ここでの教示は、様々なシステムに適用可能である。本開示がいくつかの実施形態例を含むにもかかわらず、ここに説明される教示は、様々な構造に適用することができる。ここに説明される原理及び利点はいずれも、約450MHzから6GHzまでの範囲のような、約30kHzから300GHzまでの範囲にある信号を処理するべく構成されたRF回路に関連して実装することができる。
【0096】
本開示の複数の側面は、様々な電子デバイスに実装することができる。電子デバイスの例は、消費者用電子製品、弾性波共振器ダイ及び/又はフィルタアセンブリ及び/又は半導体ダイ及び/又はパッケージ状無線周波数モジュールのような消費者用電子製品の部品、アップリンク無線通信デバイス、無線通信インフラストラクチャ、電子試験機器等を含むがこれらに限られない。電子デバイスの例は、スマートフォンのような携帯型電話機、スマートウォッチ又はイヤーピースのような装着可能コンピューティングデバイス、電話機、テレビ、コンピュータモニタ、コンピュータ、モデム、ハンドヘルドコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、電子レンジ、冷蔵庫、自動車、ステレオシステム、DVDプレーヤー、CDプレーヤー、MP3プレーヤーのようなデジタル音楽プレーヤー、ラジオ、ビデオカメラ、カメラ、デジタルカメラ、携帯型メモリーチップ、洗濯機、乾燥機、洗濯/乾燥機、コピー機、ファックス機、スキャナ、多機能周辺デバイス、腕時計、置時計等を含むがこれらに限られない。さらに、電子デバイスは未完成の製品も含んでよい。
【0097】
本明細書及び特許請求の範囲の全体にわたり、文脈上そうでないことが示されない限り、「含む」、「備える」等の単語は、排他的又は網羅的な意味とは反対の包括的意味に、すなわち「~を含むがこれらに限られない」との意味に解釈すべきである。ここで一般に使用される単語「結合」は、直接接続されるか又は一以上の中間要素を介して接続されるかのいずれかとなり得る2つ以上の要素を言及する。同様に、ここで一般に使用される単語「接続」は、直接接続されるか又は一以上の中間要素を介して接続されるかのいずれかとなり得る2つ以上の要素を言及する。加えて、単語「ここ」、「上」、「下」及び同様の趣旨の単語は、本アプリケーションにおいて使用される場合、本アプリケーション全体を言及し、本アプリケーションの任意の固有部分を言及するわけではない。文脈が許容する場合、単数又は複数を使用する詳細な説明における単語はそれぞれ、複数又は単数をも含み得る。2つ以上の項目のリストを言及する単語「又は」及び「若しくは」は、当該単語の以下の解釈のすべてをカバーする。すなわち、当該リストの任意の項目、当該リストのすべての項目、及び当該リストの項目の任意の組み合わせである。
【0098】
さらに、とりわけ「できる」、「し得る」、「してよい」、「かもしれない」、「例えば」、「のような」等のようなここに記載の条件付き言語は一般に、特にそうでないことが述べられ、又は使用の文脈上そうでないことが理解される場合を除き、所定の実施形態が所定の特徴、要素及び/又は状態を含む一方で他の実施形態がこれらを含まないことを伝えるように意図される。すなわち、かかる条件的言語は、特徴、要素及び/若しくは状態が任意の態様で一つ以上の実施形態にとって必要であること、又は一つ以上の実施形態が必ず、これらの特徴、要素及び/若しくは状態が任意の特定実施形態に含まれ若しくは任意の特定実施形態において行われるか否かを、筆者のインプット若しくは促しありで若しくはなしで、決定する論理を含むこと、を示唆することを一般には意図しない。
【0099】
本発明の所定の実施形態が記載されてきたが、これらの実施形態は、例示により提示されたにすぎないので、本開示の範囲を制限することを意図しない。実際のところ、ここに記載される新規な方法、装置及びシステムは、様々な他の形態で具体化することができる。さらに、ここに記載される方法及びシステムの形態における様々な省略、置換及び変更が、本開示の要旨から逸脱することなくなし得る。例えば、ブロックが所与の配列で提示されるが、代替実施形態は、異なるコンポーネント及び/又は回路トポロジで同様の機能を果たすことができ、いくつかのブロックは削除、移動、追加、細分化、結合、及び/又は修正することができる。これらのブロックはそれぞれが、様々な異なる態様で実装することができる。上述した様々な実施形態の要素及び工程の任意の適切な組み合わせを、さらなる実施形態を与えるように組み合わせることができる。添付の特許請求の範囲及びその均等物が、本開示の範囲及び要旨に収まるかかる形態又は修正をカバーすることが意図される。