(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】関節保護具、スポーツ用サポーター及び衣服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/06 20060101AFI20230426BHJP
A41D 13/015 20060101ALI20230426BHJP
A41D 13/08 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
A41D13/06 105
A41D13/015 105
A41D13/08
(21)【出願番号】P 2019082322
(22)【出願日】2019-04-23
【審査請求日】2021-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】弁理士法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高浜 健太
【審査官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-084291(JP,U)
【文献】特開2010-229594(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02620063(EP,A1)
【文献】特開2003-213506(JP,A)
【文献】特開平07-290626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/06
A41D 13/015
A41D 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の関節を保護するパッド本体を有する関節保護具であって、
前記パッド本体には、その周縁から複数の切込み部が形成されており、
前記パッド本体が、
板状体からなり、関節側である内側に配置された第1緩衝体と、前記第1緩衝体の外側に配置され且つ前記第1緩衝体よりも高硬度である第2緩衝体と、
前記第2緩衝体の外側に配置され且つ前記第2緩衝体よりも低硬度である第3緩衝体と、を有
する、関節保護具。
【請求項2】
前記第2緩衝体の厚みが、前記第1緩衝体と第3緩衝体の合計厚み以下である、請求項1に記載の関節保護具。
【請求項3】
人の関節を保護するパッド本体を有する関節保護具であって、
前記パッド本体には、その周縁から複数の切込み部が形成されており、
前記パッド本体が、板状体からなり、関節側である内側に配置された第1緩衝体と、前記第1緩衝体の外側に配置され且つ前記第1緩衝体よりも高硬度である第2緩衝体と、を有し、
さらに、柔軟なカバー材を有し、
前記各緩衝体が、互いに非接着で重ねられた状態で前記カバー材内に収容されている、関節保護具。
【請求項4】
前記切込み部が、少なくとも4箇所形成されており、
前記パッド本体の端部領域が、前記少なくとも4つの切込み部によって、平面視でパッド本体の幅方向中央部を含む上部領域及び下部領域を含む少なくとも4つの領域に区画されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の関節保護具。
【請求項5】
膝関節を保護する膝用関節保護具である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の関節保護具。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の関節保護具を備えるスポーツ用サポーター。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の関節保護具を備える衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部衝撃から関節を保護する関節保護具及びそれを用いたサポーターなどに関し、特に、バレーボール、ハンドボールなどの各種のスポーツなどを行う際に好適に使用される関節保護具などに関する。
【背景技術】
【0002】
膝や肘などの人体の関節に装着するサポーターが広く使用されている。
サポーターの中で、衝撃を吸収するパッドが具備されたものも使用されている。
例えば、特許文献1には、硬度10~40Ha、厚さ1~8mmの範囲にあるフレキシブルフォームよりなる外側層及び外側層に接着された硬度0~5Ha、厚さ5~15mmの範囲にある体温にて変形可能な低反発フレキシブルフォームよりなる内側層の2層構造体からなり、膝などの形状に対応して凹状に形成されたパッド部と、パッド部を収納した収納部を有する弾性伸縮可能な円筒状の支持部と、を備えてなるサポーターが開示されている。かかるパッド部は、形成した切り込み7を接着することにより、全体として内側に凹状、すなわち膝の曲面に沿う形状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
ところで、人の体型は様々であり、膝や肘などの関節なども人によって異なる。
特許文献1のパッド部は、全体として凹状にあらかじめ形成されているので、その凹形状に合致する膝を有する使用者が特許文献1のサポーターを装着したときに、良好なフィット感を与える可能性があるが、その凹形状に合致しない膝を有する使用者には、良好なフィット感を付与できない。
さらに、膝などの関節は、幾つかの骨部が集まって構成されているが、関節の各骨部を衝撃から効果的に保護できるような関節保護具が求められる。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、フィット感に優れ、衝撃緩衝性を有する関節保護具並びにそれを用いたスポーツ用サポーター及び衣服を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の関節保護具は、人の関節を保護するパッド本体を有する関節保護具であって、前記パッド本体には、その周縁から複数の切込み部が形成されており、前記パッド本体が、板状体からなり、関節側である内側に配置された第1緩衝体と、前記第1緩衝体の外側に配置され且つ前記第1緩衝体よりも高硬度である第2緩衝体と、前記第2緩衝体の外側に配置され且つ前記第2緩衝体よりも低硬度である第3緩衝体と、を有する。
本発明の好ましい第1の関節保護具は、前記第2緩衝体の厚みが、前記第1緩衝体と第3緩衝体の合計厚み以下である。
【0007】
本発明の第2の関節保護具は、人の関節を保護するパッド本体を有する関節保護具であって、前記パッド本体には、その周縁から複数の切込み部が形成されており、前記パッド本体が、板状体からなり、関節側である内側に配置された第1緩衝体と、前記第1緩衝体の外側に配置され且つ前記第1緩衝体よりも高硬度である第2緩衝体と、を有し、さらに、柔軟なカバー材を有し、前記各緩衝体が、互いに非接着で重ねられた状態で前記カバー材内に収容されている。
本発明の好ましい第1又は第2の関節保護具は、前記切込み部が、少なくとも4箇所形成されており、前記パッド本体の端部領域が、前記少なくとも4つの切込み部によって、平面視でパッド本体の幅方向中央部を含む上部領域及び下部領域を含む少なくとも4つの領域に区画されている。
【0009】
本発明の第1又は第2の関節保護具は、例えば、膝関節を保護するために使用される膝用関節保護具である。
【0010】
本発明の別の局面によれば、スポーツ用サポーター及び衣服を提供する。
このスポーツ用サポーターは、上記いずれかの関節保護具を備える。
この衣服は、上記いずれかの関節保護具を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の関節保護具は、使用者に良好なフィット感を付与でき、さらに衝撃緩衝性に優れている。
かかる関節保護具を、例えば、サポーターの形態にすることにより、スポーツや作業などを行う際に、使用者の関節を適切に保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のパッド本体(関節保護具)の平面図。
【
図3】
図1の矢印III方向から見たパッド本体の正面図。
【
図6】パッド本体を使用時に、パッド本体の各領域と膝の骨部の対応関係を表す参考図。
【
図7】パッド本体を使用時に、パッド本体の各領域と肘の骨部の対応関係を表す参考図。
【
図8】パッド本体及びカバー材を有する関節保護具の平面図。
【
図10】関節保護具を備えたスポーツ用サポーターの平面図。
【
図14】サポーターを膝に装着した状態を示す側面図。
【
図15】サポーターを膝に装着したときに変形したパッド本体を示す参考正面図。
【
図16】変形したパッド本体の立体的に表した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について図面を参照しつつ説明する。
本明細書において「接着」は、2つの部材又は部分が化学的又は物理的に結合されている状態をいい、「非接着」は、接着されていない状態をいう。「平面視」は、
図1に示す平面図に対して垂線方向から見ることをいう。また、「略」は、本発明の属する技術分野において許容される範囲を含むことを意味する。「下限値XXX~上限値YYY」で表される数値範囲は、下限値XXX以上上限値YYY以下を意味する。前記数値範囲が別個に複数記載されている場合、任意の下限値と任意の上限値を選択し、「任意の下限値~任意の上限値」を設定できるものとする。
【0014】
[パッド本体(関節保護具)]
本発明の関節保護具は、人の関節を衝撃から保護するために用いられるパッド本体を有し、必要に応じて、前記パッド本体を収容する柔軟なカバー材をさらに有する。
図1乃至
図4は、パッド本体2からなる関節保護具1を表している。
図1乃至
図4において、パッド本体2は、緩衝性及び可撓性を有し、全体として略平板状である。
本明細書において、緩衝性は、外部からの衝撃を緩和する性質をいう。可撓性は、外力を加えると容易に変形(湾曲など)し、外力を解除するとほぼ元の形状に戻すことができる性質をいう。可撓性の程度は、特に限定されず、例えば、略平板状のパッド本体2(又は後述する各緩衝体)を、標準的な人の力で直径10cmの円柱芯材に沿わせて湾曲させることができる程度に弾性を有し、力を解除して元の略平板状に戻すことができる。略平板状は、パッド本体2(又は後述する各緩衝体)を水平面に静置したときに略平坦になるという意味である。可撓性を有するパッド本体2(又は後述する各緩衝体)は、その端部を挟持して空中に保持したとき、その自重によって湾曲する場合もある。
【0015】
パッド本体2には、その周縁から複数(2つ以上)の切込み部3が形成されている。すなわち、パッド本体2は、その周縁から延びる複数の切込み部3を有する。切込み部3は、パッド本体2の端部領域に形成されており、パッド本体2の周縁の一部分からパッド本体2の内方に向かって延設されている。パッド本体2の端部領域は、概念上、パッド本体2の一部の領域であって、平面視においてパッド本体2の周縁を含む周領域をいい、また、パッド本体2の中領域は、概念上、前記端部領域で囲われる領域をいう。
複数の切込み部3は、平面視で、パッド本体2の周囲に間隔を開けて配置されている。前記複数の切込み部3によって、パッド本体2の端部領域が、複数の領域に区画されている。パッド本体2の端部領域が、複数の領域に区画されていることにより、本発明のパッド本体2を有する関節保護具1は、使用者に良好なフィット感を与えることができる。
前記切込み部3によって区画された複数の領域の基部は、パッド本体2の中領域に繋がっている。
【0016】
図1を参照して、パッド本体2の平面視における外形状は、特に限定されず、略長方形状、略正方形状、略ひし形状、略三角形状、略五角形状、略六角形状などの略多角形状;略楕円形状を含む略円形状;略紡錘形状などが挙げられる。略長方形などの略多角形の「略」は、例えば、角部が面取りされている形状、辺の一部が僅かに膨らむ又は窪んでいる形状、辺が若干湾曲している形状などが含まれる。また、略円形状、略紡錘形状の「略」は、例えば、円弧の一部が僅かに膨らむ又は窪んでいる形状、円弧の一部が若干直線又は斜線とされた形状などが含まれる。
図示例では、パッド本体2の平面視での外形状は、略五角形状(略ホームベース形状)に形成されている。
【0017】
[切込み部の概念]
図5は、
図1と同じパッド本体2の平面図であり、切込み部3を概念的に説明するために摘示した参考図である。以下、本[切込み部の概念]欄で、切込み部によって区画される領域を「区画領域」という。本欄の切込み部の説明及び区画領域の説明は、後述する第1乃至第6の切込み部及び上部領域などの各領域について共通するものである。
図5を参照して、平面視でパッド本体2の周縁から内方に向かって切り込まれた各切込み部3は、パッド本体2の周縁部の一部分を開放しつつ内方に延び、前記開放部分とは反対側において閉塞された一方開放且つ他方閉塞型のスリット状である。前記スリット状の切込み部3は、その切込み部3を基準にしてパッド本体2の端部領域を分断し、2つの区画領域X,Yに区画するものである。
換言すると、パッド本体2の端部領域は、複数の区画領域に区画されており、隣接する2つの区画領域の向かい合う側縁(隣接する一方の区画領域の側縁と他方の区画領域の側縁)が、スリット状の切込み部3を画成している。
【0018】
詳しくは、前記隣接する一方の区画領域Xの側縁X1及び他方の区画領域Yの側縁Y1は、それぞれ、内方に向かって入り始める開放縁X11,Y11と、内方に延びる主縁X12,Y12と、主縁の内方において互いに近づいて合流する閉塞縁X13,Y13と、からなる。
一方の区画領域Xの側縁X1及び他方の区画領域Yの側縁Y1の各開放縁X11,Y11は、切込み部3の開放部分を画成し、その各主縁X12,Y12は、切込み部3のスリットを画成し、その各閉塞縁X13,Y13は、切込み部3の閉塞部分を画成している。本欄で、一方の区画領域Xの側縁X1の主縁X12を「一方主縁X12」といい、他方の区画領域Yの側縁Y1の主縁Y12を「他方主縁Y12」という。
一方主縁X12及び他方主縁Y12は、それぞれ独立して、平面視で略直線状でもよく、或いは、平面視で湾曲状若しくは屈曲状又は湾曲状及び屈曲状が組合わされた形状(つまり、平面視で非直線状)であってもよい。
図5(
図1も同様)に示す例では、一方主縁X12及び他方主縁Y12は、略直線状である。
また、一方主縁X12と他方主縁Y12は、平面視で、略平行であってもよく、或いは、非平行であってもよい。
図5(
図1も同様)に示す例では、一方主縁X12と他方主縁Y12は、平面視で略平行である。
【0019】
切込み部3の目開き幅、切込み部3の切込み方向(切込み部3の延びる方向)及び切込み部3の切込み長さは、次の定義に従うものとする。
一方主縁X12及び他方主縁Y12が平面視で直線状である場合には方向性が定まるが、一方主縁X12及び他方主縁Y12が平面視で非直線状である場合には、方向性を特定し難い。このため、一方主縁X12が平面視で直線状である場合には、それを一方主縁X12の基準線とし、一方主縁X12が平面視で非直線状である場合には、一方主縁X12の点群に最小二乗法等を適用して求めた近似直線を、一方主縁X12の基準線とする。同様に、他方主縁Y12が平面視で直線状である場合には、それを他方主縁Y12の基準線とし、他方主縁Y12が平面視で非直線状である場合には、他方主縁Y12の点群に最小二乗法等を適用して求めた近似直線を、他方主縁Y12の基準線とする。
【0020】
切込み部3の目開き幅Wは、一方主縁X12の基準線と他方主縁Y12の基準線との間の距離をいう。目開き幅が一定でない場合には、前記切込み部3の目開き幅は、基準線間の距離の平均値をいう。切込み部3の目開き幅が一定でない場合としては、例えば、2つの基準線が非平行となった切込み部3が該当する。
また、切込み部3の切込み方向Z(切込み部3の延びる方向)は、一方主縁X12の基準線と他方主縁Y12の基準線が略平行である場合には、その方向であり、一方主縁X12の基準線と他方主縁Y12の基準線が非平行である場合には、一方主縁X12の基準線と他方主縁Y12の基準線が成す角の2等分線の方向である。
切込み部3の切込み長さは、一方主縁X12の基準線と他方主縁Y12の基準線の平均長さである。
【0021】
[切込み部及びそれによって区画される領域の詳細]
パッド本体2の端部領域の、前記切込み部3によって区画される領域の数は、切込み部3の数と同数である。
切込み部3の数は、2つ以上であれば特に限定されないが、余りに多いと切込み部3によって区画される領域の数が多くなり、相対的に1つの領域の面積が小さくなり過ぎて衝撃緩衝性が十分に得られないおそれがある。かかる観点から、切込み部3の数は、8つ以下が好ましく、6つ以下がより好ましい。
【0022】
図1に示すように、例えば、それぞれ独立した4つ~6つの切込み部3が、パッド本体2の周囲に間隔を開けて形成される。
具体的には、第1の切込み部31及び第2の切込み部32が、パッド本体2の端部領域の上側に、幅方向に間隔を開けて左右に形成されている。第1の切込み部31及び第2の切込み部32は、それぞれ、パッド本体2の幅方向中央部から離れて左右に配置されており、平面視で上方から下方に向かって延びている。
かかる第1の切込み部31と第2の切込み部32によって、パッド本体2の端部領域の上側がパッド本体2の幅方向中央部を含む上部領域41と、前記上部領域41の幅方向両側の上左部領域42及び上右部領域43と、に区画されている。このパッド本体2の幅方向中央部を含む上部領域41は、前記第1の切込み部31と第2の切込み部32に挟まれた領域である。上左部領域42は、第1の切込み部31を介して上部領域41の左側に隣接した領域であり、上右部領域43は、第2の切込み部32を介して上部領域41の右側に隣接した領域である。
上部領域41の周縁(上部領域41の外方の縁)には、切込み部3が形成されていない。上部領域41の周縁の平面視形状は、特に限定されず、平面視で外方に膨らんだ略山型状(又は円弧状)でもよく、或いは、直線状、或いは、内方に膨らんだ略山型状(又は円弧状)でもよい。好ましくは、
図1のように、上部領域41の周縁の平面視形状は、平面視で外方に膨らんだ略山型状(又は円弧状)に形成される。
【0023】
第1の切込み部31及び第2の切込み部32の各切込み方向は、いずれも上下方向と略平行でもよいが、好ましくは、第1の切込み部31及び第2の切込み部32の少なくとも一方の切込み方向が、上下方向に対して鋭角に傾斜され、より好ましくは、下方に向かって第1の切込み部31及び第2の切込み部32が互いに近づくように、第1の切込み部31及び第2の切込み部32の各切込み方向が上下方向に対して鋭角に傾斜される。
少なくとも何れか一方の切込み部3が上下方向に対して傾斜するように形成されている場合、第1の切込み部31の切込み方向Z1と第2の切込み部32の切込み方向Z2とが成す内角α1は、例えば、20度~150度とされ、好ましくは、30度~120度とされ、より好ましくは、30度~90度とされる。前記内角α1の範囲となるように第1及び第2の切込み部31,32が形成されていることにより、外方に向かって横幅が大きくなり且つ使用時に関節の骨部に密着するように変形できる上部領域41を画成できる。
第1の切込み部31及び第2の切込み部32の各目開き幅は、適宜設定できるが、余りに小さいと、上部領域41、上右部領域43及び上左部領域42が互いに干渉し、それらの各領域が関節に沿って変形し難くなり、余りに大きいと、上部領域41などの面積が相対的に小さくなる。かかる観点から、第1の切込み部31及び第2の切込み部32の各目開き幅は、それぞれ独立して、3mm~10mmが好ましく、さらに、4mm~8mmがより好ましい。
第1の切込み部31及び第2の切込み部32の各切込み長さは、適宜設定できるが、上部領域41を適切な大きさ(面積)にする観点から、それぞれ独立して、10mm~25mmが好ましく、さらに、12mm~20mmがより好ましい。
【0024】
上部領域41の横幅は、上下方向において略均等であってもよいが、使用時に関節の骨部に密着するように変形できることから、上部領域41は、その横幅が上下方向において異なっており、その上下方向中途部に最大横幅を有することが好ましい。なお、上部領域41の横幅は、上部領域41の両側縁(第1の切込み部31を画成する側線と第2の切込み部32を画成する側縁)の幅方向における間隔をいう。また、横幅が上下方向において異なっている上部領域41は、最小横幅を有する。以下、本明細書で、最大横幅を有する部分を「最大横幅部」といい、最小横幅を有する部分を「最小横幅部」という。
例えば、上部領域41の最大横幅部は、第1の切込み部31を画成する側縁の開放縁と第2の切込み部32を画成する側縁の開放縁に相当して位置している。この位置の場合、上部領域41の最大横幅は、第1の切込み部31を画成する側縁の開放縁と第2の切込み部32を画成する側縁の開放縁の幅方向における間隔である。
上部領域41の最大横幅の具体的寸法は特に限定されないが、例えば、30mm~80mmであり、好ましくは40mm~70mmである。
上部領域41の最小横幅部は、最大横幅部よりも下方に配置されていることが好ましく、特に、上部領域41の基部又はその近傍(パッド本体2の中領域47と上部領域41の境界又はその境界の上部領域41側の近傍)に最小横幅部を有することがより好ましい。
上部領域41の最小横幅は、例えば、20mm~60mmであり、好ましくは30mm~50mmである。
最大横幅部及び最小横幅部を有する場合の、上部領域41の最大横幅と最小横幅の差は、例えば、1mm~40mmである。
【0025】
さらに、第3の切込み部33及び第4の切込み部34が、パッド本体2の端部領域の下側に、幅方向に間隔を開けて左右に形成されている。第3の切込み部33及び第4の切込み部34は、それぞれ、パッド本体2の幅方向中央部から離れて左右に配置されており、平面視で下方から上方に向かって延びている。
かかる第3の切込み部33と第4の切込み部34によって、パッド本体2の端部領域の下側が、パッド本体2の幅方向中央部を含む下部領域44と、前記下部領域44の幅方向両側の下左部領域45及び下右部領域46と、に区画されている。このパッド本体2の幅方向中央部を含む下部領域44は、前記第3の切込み部33と第4の切込み部34に挟まれた領域である。下左部領域45は、第3の切込み部33を介して下部領域44の左側に隣接した領域であり、下右部領域46は、第4の切込み部34を介して下部領域44の右側に隣接した領域である。
下部領域44の周縁(下部領域44の外方の縁)には、切込み部3が形成されていない。下部領域44の周縁の平面視形状は、特に限定されず、平面視で外方に膨らんだ略山型状(又は円弧状)でもよく、或いは、直線状、或いは、内方に膨らんだ略山型状(又は円弧状)でもよい。好ましくは、下部領域44の周縁の平面視形状は、
図1のように、平面視で外方に膨らんだ略円弧状(又は山型状)に形成される。
【0026】
第3の切込み部33及び第4の切込み部34の各切込み方向は、いずれも上下方向と略平行でもよいが、好ましくは、第3の切込み部33及び第4の切込み部34の少なくとも一方の切込み方向が、上下方向に対して鋭角に傾斜され、より好ましくは、上方に向かって第3の切込み部33及び第4の切込み部34が互いに近づくように、第3の切込み部33及び第4の切込み部34の各切込み方向が上下方向に対して鋭角に傾斜される。
少なくとも何れか一方の切込み部3が上下方向に対して傾斜するように形成されている場合、第3の切込み部33の切込み方向Z3と第4の切込み部34の切込み方向Z4とが成す内角α2は、20度~150度とされ、好ましくは、30度~120度とされ、より好ましくは、30度~90度とされる。前記内角α2の範囲となるように第3及び第4の切込み部33,34が形成されていることにより、外方に向かって横幅が大きくなり且つ使用時に関節の骨部に密着するように変形できる下部領域44を画成できる。
【0027】
第3の切込み部33及び第4の切込み部34の各目開き幅は、適宜設定できるが、余りに小さいと、下部領域44、下左部領域45及び下右部領域46が互いに干渉し、それらの領域が関節に沿って変形し難くなり、余りに大きいと、下部領域44などの面積が相対的に小さくなる。かかる観点から、第3の切込み部33及び第4の切込み部34の各目開き幅は、それぞれ独立して、3mm~10mmが好ましく、さらに、4mm~8mmがより好ましい。
第3の切込み部33及び第4の切込み部34の各切込み長さは、適宜設定できるが、下部領域44を適切な大きさ(面積)にする観点から、それぞれ独立して、15mm~50mmが好ましく、さらに、20mm~40mmがより好ましい。
【0028】
下部領域44の横幅は、上下方向において略均等であってもよいが、使用時に関節の骨部に密着するように変形できることから、下部領域44は、その横幅が上下方向において異なっており、その上下方向中途部に最大横幅を有することが好ましい。なお、下部領域44の横幅は、下部領域44の両側縁(第3の切込み部33を画成する側線の主縁と第4の切込み部34を画成する側縁の主縁)の幅方向における間隔をいう。また、横幅が上下方向において異なっている下部領域44は、最小横幅を有する。
例えば、下部領域44の最大横幅部は、第3の切込み部33を画成する側縁の開放縁と第4の切込み部34を画成する側縁の開放縁に相当して位置している。この位置の場合、下部領域44の最大横幅は、第3の切込み部33を画成する側縁の開放縁と第4の切込み部34を画成する側縁の開放縁の幅方向における間隔である。
下部領域44の最大横幅の具体的寸法は特に限定されないが、例えば、30mm~80mmであり、好ましくは40mm~70mmである。
下部領域44の最小横幅部は、最大横幅部よりも上方に配置されていることが好ましく、特に、下部領域44の基部又はその近傍(パッド本体2の中領域47と下部領域44の境界又はその境界の下部領域44側の近傍)に最小横幅部を有することがより好ましい。
下部領域44の最小横幅は、例えば、20mm~60mmであり、好ましくは30mm~50mmである。
最大横幅部及び最小横幅部を有する場合の、下部領域44の最大横幅と最小横幅の差は、例えば、1mm~40mmである。
上部領域41の最大横幅と下部領域44の最大横幅は略同一でもよく、図示例のように下部領域44の方を大きくしてもよい。最大横幅が大きい下部領域44を有するパッド本体2は、膝を曲げた状態において地面と接触しやすい脛骨粗面を適切に保護できる。
【0029】
パッド本体2の端部領域のうち、前記第1の切込み部31と第3の切込み部33の間に、さらに、少なくとも1つの切込み部3が形成されていてもよく、或いは、切込み部3が形成されていなくてもよい。第1の切込み部31と第3の切込み部33の間に、さらに別の切込み部3が形成されていない場合(図示せず)、上述の上左部領域42及び下左部領域45は、連続して1つの領域(第1の切込み部31と第3の切込み部33によって区画された左部領域)を構成する。
【0030】
好ましくは、前記第1の切込み部31と第3の切込み部33の間に、1つ又は2つの独立した切込み部3が間隔を開けて形成され、より好ましくは、図示のように、1つの独立した切込み部3(第5の切込み部35)が間隔を開けて形成される。
この第5の切込み部35は、パッド本体2の端部領域の左側に形成されている。第5の切込み部35は、第1の切込み部31と第3の切込み部33の間に配置されており、平面視で幅方向左側から右側に向かって延びている。
かかる第5の切込み部35によって、パッド本体2の端部領域の左側が、上左部領域42と下左部領域45とに区画されている。つまり、上左部領域42は、第1の切込み部31と第5の切込み部35に挟まれた領域であり、下左部領域45は、第3の切込み部33と第5の切込み部35に挟まれた領域である。上左部領域42と下左部領域45は、第5の切込み部35を介して互いに隣接した領域である。
【0031】
上左部領域42及び下左部領域45の各周縁(上左部領域42及び下左部領域45の各外方の縁)には、切込み部3が形成されていない。上左部領域42及び下左部領域45の各周縁の平面視形状は、特に限定されず、それぞれ独立して、平面視で外方に膨らんだ略山型状(又は円弧状)でもよく、或いは、直線状、或いは、内方に膨らんだ略山型状(又は円弧状)でもよい。好ましくは、
図1のように、上左部領域42及び下左部領域45の各周縁の平面視形状は、平面視で外方に膨らんだ略円弧状(又は山型状)に形成される。
【0032】
第5の切込み部35の切込み方向は、幅方向と略平行でもよいが、好ましくは、第5の切込み部35の切込み方向は、開放部分から上方に向かうに従って右方に延び且つ上下方向に対して鋭角に傾斜されている。
第5の切込み部35が上下方向に対して鋭角に傾斜するように形成されている場合、第5の切込み部35の切込み方向Z5と上下方向の成す内角β1は、例えば、20度~150度とされ、好ましくは、30度~120度とされ、より好ましくは、90度を除く前記範囲とされる。前記内角の範囲となるように第5の切込み部35が形成されていることにより、外方に向かって横幅が大きくなり且つ使用時に関節の骨部に密着するように変形できる上左部領域42を画成できる。
上左部領域42の横幅は、略均等であってもよいが、使用時に関節の骨部に密着するように変形できることから、上左部領域42は、その横幅が異なることが好ましい。なお、上左部領域42の横幅は、上左部領域42の両側縁(第1の切込み部31を画成する側線と第5の切込み部35を画成する側縁)の間隔であって、上左部領域42の基部における前記両側縁を結んだ線と平行な方向における間隔をいう。
【0033】
第5の切込み部35の目開き幅は、適宜設定できるが、余りに小さいと、上左部領域42及び下左部領域45が互いに干渉し、それらの各領域が関節に沿って変形し難くなり、余りに大きいと、上左部領域42などの面積が相対的に小さくなる。かかる観点から、第5の切込み部35の各目開き幅は、それぞれ独立して、3mm~10mmが好ましく、さらに、4mm~8mmがより好ましい。
第5の切込み部35の切込み長さは、適宜設定できるが、上左部領域42及び下左部領域45を適切な大きさ(面積)にする観点から、10mm~25mmが好ましく、さらに、12mm~20mmがより好ましい。
【0034】
パッド本体2の端部領域のうち、前記第2の切込み部32と第4の切込み部34の間に、さらに、少なくとも1つの切込み部3が形成されていてもよく、或いは、切込み部3が形成されていなくてもよい。第2の切込み部32と第4の切込み部34の間に、さらに別の切込み部3が形成されていない場合(図示せず)、上述の上右部領域43及び下右部領域46は、連続して1つの領域(第2の切込み部32と第4の切込み部34によって区画された右部領域)を構成する。
好ましくは、前記第2の切込み部32と第4の切込み部34の間に、1つ又は2つの独立した切込み部3が間隔を開けて形成され、より好ましくは、図示のように、1つの独立した切込み部3(第6の切込み部36)が間隔を開けて形成される。
この第6の切込み部36は、パッド本体2の端部領域の右側に形成されている。第6の切込み部36は、第2の切込み部32と第4の切込み部34の間に配置されており、平面視で右方から左方に向かって延びている。
かかる第6の切込み部36によって、パッド本体2の端部領域の右側が、上右部領域43と下右部領域46とに区画されている。つまり、上右部領域43は、第2の切込み部32と第6の切込み部36に挟まれた領域であり、下右部領域46は、第4の切込み部34と第6の切込み部36に挟まれた領域である。上右部領域43と下右部領域46は、第6の切込み部36を介して互いに隣接した領域である。
【0035】
上右部領域43及び下右部領域46の各周縁(上右部領域43及び下右部領域46の各外方の縁)には、切込み部3が形成されていない。上右部領域43及び下右部領域46の各周縁の平面視形状は、特に限定されず、それぞれ独立して、平面視で外方に膨らんだ略山型状(又は円弧状)でもよく、或いは、直線状、或いは、内方に膨らんだ略山型状(又は円弧状)でもよい。好ましくは、上右部領域43及び下右部領域46の各周縁の平面視形状は、平面視で外方に膨らんだ略円弧状(又は山型状)に形成される。
【0036】
第6の切込み部36の切込み方向は、幅方向と略平行でもよいが、好ましくは、第6の切込み部36の切込み方向は、開放部分から上方に向かうに従って左方に延び且つ上下方向に対して鋭角に傾斜されている。
第6の切込み部36が上下方向に対して鋭角に傾斜するように形成されている場合、第6の切込み部36の切込み方向Z6と上下方向の成す内角β2は、例えば、20度~150度とされ、好ましくは、30度~120度とされ、より好ましくは、90度を除く前記範囲とされる。前記内角β2の範囲となるように第6の切込み部36が形成されていることにより、外方に向かって横幅が大きくなり且つ使用時に関節の骨部に密着するように変形できる上右部領域43を画成できる。
なお、第5の切込み部35の切込み方向と第6の切込み部36の切込み方向とが成す内角は、上記内角β1+内角β2である。
【0037】
上右部領域43の横幅は、略均等であってもよいが、使用時に関節の骨部に密着するように変形できることから、上右部領域43は、その横幅が異なることが好ましい。なお、上右部領域43の横幅は、上右部領域43の両側縁(第2の切込み部32を画成する側線と第6の切込み部36を画成する側縁)の間隔であって、上右部領域43の基部における前記両側縁を結んだ線と平行な方向における間隔をいう。
【0038】
第6の切込み部36の目開き幅は、適宜設定できるが、余りに小さいと、上右部領域43及び下右部領域46が互いに干渉し、それらの領域が関節に沿って変形し難くなり、余りに大きいと、上右部領域43などの面積が相対的に小さくなる。かかる観点から、第6の切込み部36の各目開き幅は、それぞれ独立して、3mm~10mmが好ましく、さらに、4mm~8mmがより好ましい。
第6の切込み部36の切込み長さは、適宜設定できるが、上右部領域43及び下右部領域46を適切な大きさ(面積)にする観点から、10mm~25mmが好ましく、さらに、12mm~20mmがより好ましい。
【0039】
端部領域が6つの領域に区画されているパッド本体2を膝に使用した場合には、
図6に示すように、上部領域41が膝蓋骨に対応し、下部領域44が脛骨粗面に対応し、上左部領域42が外側上顆に対応し、下左部領域45が脛骨外側顆に対応し、上右部領域43が内側上顆に対応し、下右部領域46が脛骨内側顆に対応し、中領域47が膝蓋骨と脛骨粗面の間に対応するようになる。上記パッド本体2を肘に使用した場合には、
図7に示すように、上部領域41が上腕骨に対応し、下部領域44が尺骨に対応し、上左部領域42が外側上顆に対応し、下左部領域45が腕橈関節に対応し、上右部領域43が内側上顆に対応し、下右部領域46が腕尺関節に対応し、中領域47が滑車に対応するようになる。ただし、各領域と膝の骨部又は肘の骨部との対応関係は、概ね対応するという概略的な関係であることに留意されたい。
上記パッド本体2によれば、各領域が膝又は肘の各骨部に対応するようになるので、膝などの関節を衝撃から保護できる。
【0040】
図1に示す例では、パッド本体2の平面視形状は、幅方向中央部を通る上下方向線を対称軸とする線対称形である。人の関節は左右一対存在するが、前記線対称形のパッド本体2であれば、右関節用及び左関節用の2種類を準備する必要がなく、生産性及び使用の便に優れている。
もっとも、パッド本体2は、前記のような線対称形に限られず、非対称形であってもよい。パッド本体2を上下方向線を基準にして非対称形にする場合には、人の右関節及び左関節のそれぞれの骨部形状に合わせて、各領域の大きさや形状を設定でき、右関節専用及び左関節専用のパッド本体2を形成できる。例えば、
図6は、右膝の骨部を表しているが、非対称形のパッド本体2を作製する場合には、例えば、脛骨外側顆に対応する下左部領域45を
図6で表されたパッド本体2より大面積にすることにより、右膝関節の脛骨外側顆をそれぞれ包み込むような下左部領域45を有する右関節専用のパッド本体を構成できる(左関節についても同様)。
【0041】
[厚み方向におけるパッド本体の構造]
パッド本体2の面内には、必要に応じて、抜き穴部51が形成される。
抜き穴部51は、パッド本体2の厚み方向に貫通する穴であり、パッド本体2の面内の少なくとも1箇所に形成される。抜き穴部51を形成することにより、パッド本体2が関節に沿って変形し易くなる上、通気性の向上及びパッド本体2の軽量化を図ることができる。
抜き穴部51の平面視形状は、特に限定されず、略長方形状、略正方形状、略ひし形状、略三角形状、略五角形状、略六角形状などの略多角形状;略楕円形状を含む略円形状;略紡錘形状;略弧状;略くの字状などの略屈曲状;略直線状などが挙げられる。
【0042】
抜き穴部51を形成する箇所は、特に限定されないが、各領域が変形し易くなることから、上部領域41、下部領域44、上左部領域42、下左部領域45、上右部領域43及び下右部領域46から選ばれる少なくとも1つの領域の面内に抜き穴部51が形成されていることが好ましく、さらに、少なくとも上部領域41及び下部領域44の面内に抜き穴部51が形成されていることがより好ましく、図示例のように、上部領域41、下部領域44、上左部領域42、下左部領域45、上右部領域43及び下右部領域46の全ての領域の面内に抜き穴部51が形成されていることがさらに好ましい。これらの領域に形成される抜き穴部51の平面視形状は、特に限定されないが、各領域の歪な変形を防止できることから、略円形状であることが好ましい。
なお、図示例では、パッド本体2の中領域47にも抜き穴部51が形成されている。この中領域47の抜き穴部51の平面視形状も特に限定されないが、図示例では、平面視で略円形状及び略弧状の抜き穴部51が形成されている。
図1の例では、略弧状の抜き孔部51は、その長軸が上下方向に延びるように形成されているが、これに代えて、略弧状(又は、略屈曲状、略直線状など)の長軸が幅方向に延びるように抜き穴部51を形成してもよい(図示せず)。このように幅方向に延びる略弧状などの長軸を有する抜き穴部51が形成されていることにより、関節の曲げに追従して、パッド本体2が曲がり易くなる。
【0043】
パッド本体2は、緩衝性を有する材料からなる1層構造体でもよく、緩衝性を有する材料からなる2層以上が厚み方向に積層されている複層構造体でもよい。
フィット感に優れ、さらに、良好な衝撃緩衝性を有するパッド本体2を構成できることから、パッド本体2は、複層構造体が好ましい。
図2乃至4を参照して、好ましくは、パッド本体2は、内側に配置された第1緩衝体21と、前記第1緩衝体21の外側に配置された第2緩衝体22と、を有する2層構造体である。前記内側に配置される第1緩衝体21は、使用時に関節に面する側(最も内側)に配置される緩衝体である。第2緩衝体22は、第1緩衝体21の関節に面する側とは反対側(外側)に配置される緩衝体である。
第2緩衝体22は、第1緩衝体21よりも高硬度であることが好ましい。換言すると、第1緩衝体21は、第2緩衝体22よりも低硬度であることが好ましい。比較的軟らかい第1緩衝体21が内側に配置されていることにより、使用者の関節に第1緩衝体21が当たり、使用者に違和感を与え難い上、優れたフィット感を付与できる。他方、比較的硬い第2緩衝体22が第1緩衝体21の外側に配置されていることにより、外部からの衝撃を第2緩衝体22が緩和し、比較的軟らかい第1緩衝体21と相乗して、関節に衝撃が加わることを防止できる。
【0044】
より好ましくは、パッド本体2は、内側に配置された第1緩衝体21と、前記第1緩衝体21の外側に配置された第2緩衝体22と、前記第2緩衝体22の外側に配置された第3緩衝体23と、を有する3層構造体である。本発明のパッド本体2が3層構造体からなる場合には、前記第3緩衝体23は、最も外側(関節から最も離れた側)に配置される緩衝体である。第3緩衝体23は、第2緩衝体22よりも低硬度であることが好ましい。比較的軟らかい第3緩衝体23が第2緩衝体22の外側に配置されていることにより、外部からの衝撃を一旦第3緩衝体23が吸収して分散し、衝撃による応力が第2緩衝体22に集中的に加わることを抑制できる。このため、第1乃至第3緩衝体21,22,23が相乗して、関節に衝撃が加わることを効果的に防止できる。
【0045】
第1緩衝体21と第3緩衝体23は、略同一の硬さであってもよく、或いは、いずれか一方が他方よりも低硬度であってもよいが、製造容易であることから、第1緩衝体21と第3緩衝体23は、略同一の硬さであることが好ましく、さらに、同一材料から形成されていることがより好ましい。
従って、各緩衝体の硬さは、第2緩衝体22の硬度>第1緩衝体21の硬度、且つ、第2緩衝体22の硬度>第3緩衝体23の硬度の関係を満たし、好ましくは、第2緩衝体22の硬度>第1緩衝体21の硬度=第3緩衝体23の硬度の関係を満たす。
【0046】
各緩衝体の硬さをアスカーC硬度で表すと、第1緩衝体21のアスカーC硬度は、例えば、10~40であり、好ましくは、15~30である。第2緩衝体22のアスカーC硬度は、例えば、30~70であり、好ましくは、40~60である。第3緩衝体23のアスカーC硬度は、例えば、10~40であり、好ましくは、15~30である。第1緩衝体21と第2緩衝体22の硬度差(第2緩衝体22のアスカーC硬度-第1緩衝体21のアスカーC硬度)は、特に限定されないが、上記効果を十分に得るために、10~55が好ましく、20~45がより好ましい。また、第2緩衝体22と第3緩衝体23の硬度差(第2緩衝体22のアスカーC硬度-第3緩衝体23のアスカーC硬度)は、特に限定されないが、上記効果を十分に得るために、10~55が好ましく、20~45がより好ましい。
ただし、前記アスカーC硬度は、JIS K 7312:1996のタイプC試験方法に準拠して、23℃で測定される。
【0047】
前記第1緩衝体21、第2緩衝体22及び第3緩衝体23は、それぞれ略平板状の板状体から構成され、好ましくは、それぞれ1枚の略平板状の板状体から構成されている。板状体から構成された第1緩衝体21、第2緩衝体22及び第3緩衝体23は、内側からこの順で厚み方向に重ねられている。第1緩衝体21、第2緩衝体22及び第3緩衝体23は、互いの層間が接着された状態で重ねられていてもよく、或いは、互いの層間が非接着の状態で重ねられていてもよく、或いは、第1緩衝体21と第2緩衝体22が接着され且つ第2緩衝体22と第3緩衝体23が非接着の状態で重ねられていてもよく、或いは、第1緩衝体21と第2緩衝体22が非接着とされ且つ第2緩衝体22と第3緩衝体23が接着された状態で重ねられていてもよい。
好ましくは、
図3及び
図4に示すように、第1緩衝体21、第2緩衝体22及び第3緩衝体23が、互いに非接着の状態で重ねられることにより、パッド本体2が構成される。
【0048】
第1乃至第3緩衝体21,22,23の各厚みは、それぞれ独立して、面方向において均等であってもよく、或いは、不均等(例えば、部分的に厚みが大きくなっている箇所を有するなど)であってもよい。第1乃至第3緩衝体21,22,23の各厚みが、不均等である場合としては、例えば、上述の上部領域41などの端部領域に対応する厚みが中領域47に対応する部分の厚みよりも大きい場合などが挙げられる。
図示例では、第1乃至第3緩衝体21,22,23の各厚みは、それぞれ面方向において均等である。
第1乃至第3緩衝体21,22,23は、互いに略同一の厚みであってもよく、或いは、異なる厚みであってもよい。第2緩衝体22は比較的硬いため、第2緩衝体22の厚みが相対的に大き過ぎると、パッド本体2が曲がり難くなるおそれがあり、第2緩衝体22の厚みが相対的に小さ過ぎると、パッド本体2の衝撃緩衝性が低下するおそれがある。かかる観点から、第2緩衝体22の厚みの上限は、第1緩衝体21と第3緩衝体23の合計厚み以下であることが好ましく、さらに、第1緩衝体21と第3緩衝体23の合計厚み×0.5以下であることがより好ましい。また、第2緩衝体22の厚みの下限は、第1緩衝体21と第3緩衝体23の合計厚み×0.2以上であることが好ましく、さらに、第1緩衝体21と第3緩衝体23の合計厚み×0.3以上であることがより好ましい。
【0049】
また、第1緩衝体21の厚みと第3緩衝体23の厚みは、略同一の厚みでもよく、或いは、異なっていてもよい。同一材料で形成でき且つ製造容易であるという観点では、第1緩衝体21と第3緩衝体23は、略同一の厚みであることが好ましい。他方、使用の観点では、パッド本体2の全体の厚みは、ある程度小さいことが好ましく、パッド本体2の全体の厚みを大きくすることなく、第1緩衝体21又は第3緩衝体23の厚みを大きくしたい場合、第1緩衝体21と第3緩衝体23の厚みを異なる厚みとすればよい。例えば、よりフィット感に優れ且つ全体として所定の厚みを有するパッド本体2を得たい場合には、第1緩衝体21の厚みを大きくし(相対的に第3緩衝体23の厚みを小さくし)、また、荒れた地面などの環境下で使用することが予定されるパッド本体2であって全体として所定の厚みを有するパッド本体2を得たい場合には、第3緩衝体23の厚みを大きくすればよい(相対的に第1緩衝体21の厚みを小さくする)。
【0050】
具体的な寸法では、第1緩衝体21の厚みは、例えば、2mm~7mmであり、第2緩衝体22の厚みは、例えば、2mm~6mmであり、第3緩衝体23の厚みは、例えば、2mm~7mmである。
【0051】
第1乃至第3緩衝体21,22,23は、緩衝性及び可撓性を有していればその形成材料は特に限定されない。第1乃至第3緩衝体21,22,23は、それぞれ独立して、合成樹脂、エラストマー、ゴムなどから形成される。
合成樹脂としては、ポリエチレン(PE)、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA樹脂)等のオレフィン系樹脂;ポリウレタン等のウレタン系樹脂;ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルスチレン共重合樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等のスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC)などが挙げられる。エラストマーとしては、比較的軟質の熱可塑性エラストマーを用いることができ、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体系エラストマー;スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)などのスチレン系エラストマー;オレフィン系エラストマー;ウレタン系エラストマー;エステル系エラストマー;フッ素系エラストマー;シリコーン系エラストマー;などが挙げられる。ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)などのジエン系ゴム;スチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などのジエン系共重合体ゴム;エチレンプロピレンジエン系ゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、ウレタン系ゴムなどの非ジエン系ゴム;などが挙げられる。これらの材料は、1種単独で、又は2種以上を併用できる。
【0052】
また、第1乃至第3緩衝体21,22,23は、それぞれ独立して、発泡体から形成されていてもよく、或いは、非発泡体から形成されていてもよい。良好なフィット感の付与の観点から、少なくとも第1緩衝体21は発泡体で形成されていることが好ましく、さらに、衝撃緩衝性の観点から第1乃至第3緩衝体21,22,23が、それぞれ発泡体で形成されていることが好ましい。かかる発泡体の発泡倍率は、特に限定されず、例えば、1.05倍~3倍程度である。
第1乃至第3緩衝体21,22,23は、第2緩衝体22を高硬度にできれば、同一材料から形成されていてもよく、或いは、異なる材料から形成されていてもよい。
具体例を挙げると、第1緩衝体21及び第3緩衝体23は、発泡倍率が2倍のEVAなどの樹脂発泡体から形成され、第2緩衝体22は、発泡倍率が1.5倍のEVAなどの樹脂発泡体から形成される。
【0053】
パッド本体2が厚み方向に第1乃至第3緩衝体21,22,23を有する3層構造体である場合、第1乃至第3緩衝体21,22,23が重なった状態で上述のパッド本体2が構成されているので、第1乃至第3緩衝体21,22,23にも、パッド本体2の切込み部3及び抜き穴部51と同様な切込み部3及び抜き穴部51が形成されている。
第1乃至第3緩衝体21,22,23の平面視形状は、それらが重ねられた状態でパッド本体2の切込み部3を形成できることを条件として、それぞれ略同一形状でもよく、或いは、異なる形状であってもよい。各緩衝体の製造設備(金型、切断冶具など)を共通化でき、製造容易となることから、第1乃至第3緩衝体21,22,23は、図示のように、平面視で略同一の形状に形成されることが好ましい。
【0054】
なお、2層又は3層の複層構造体を例示したが、4層以上の複層構造体からパッド本体2が構成されていてもよい。
この場合、最内層に上記第1緩衝体21を配置し、最外層に上記第3緩衝体23を配置し、これらの間に第2緩衝体22及びさらに他の緩衝体を配置することが好ましい。前記他の緩衝体の硬度は、特に限定されないが、第1緩衝体21の硬度と同程度又はそれよりも低硬度であることが好ましい。
【0055】
[カバー材を有する関節保護具]
上記パッド本体2からなる関節保護具1は、適宜の部材に組み込まれて使用される。
図8及び
図9を参照して、本発明の関節保護具1は、上記パッド本体2と、パッド本体2を収容可能な柔軟なカバー材6と、を有し、パッド本体2がカバー材6内に収容されている。
例えば、各緩衝体が非接着状態で重ねられているパッド本体2が、柔軟なカバー材6に収容されている。
また、パッド本体2の全体が、カバー材6に収容されていてもよく、或いは、各緩衝体が離反しないようにしつつパッド本体2の一部分が、カバー材6に収容されていてもよい。
柔軟なカバー材6としては、織布、編布、不織布などの繊維を含むシート(繊維シート)、繊維シートの一部分又は全面に樹脂などの繊維以外の材料が付加された繊維複合シート、合成樹脂シートなどの各種のシート体を用いることができる。カバー材6は、関節の動きに何ら支障がない程度の柔軟性を有することを条件として、さらに、伸縮性を有していてもよく、或いは、伸縮性を有していなくてもよい。
図9に示す例では、カバー材6は、柔軟な2枚のシート体61,61(例えば、織布など)からなる。その2枚のシート体の間にパッド本体2を介在させ、且つ2枚のシート体の周縁部をパッド本体2の外方にて接合した接合部62を形成することにより、関節保護具1が構成されている。前記シート体61,61の接合方法は、その材質に応じて適宜設定でき、例えば、縫製、接着剤を用いた接着、溶着などが挙げられる。
【0056】
[関節保護具の使用例]
本発明の関節保護具1は、人の膝、肘、肩などの関節に当てて使用される。
使用に際して、関節保護具1は、膝などの関節に装着できる形態に加工される。
図10乃至
図12は、本発明の関節保護具1を具備するスポーツ用サポーターAを示す。
なお、本発明のスポーツ用サポーターAは、狭義のスポーツ用途に限定的に用いられるという意味ではなく、身体の関節を保護する目的があれば、作業用など他の用途にも使用できることに留意されたい。
このスポーツ用サポーターAは、伸縮性を有するサポーター本体7と、前記サポーター本体7に組み込まれた関節保護具1と、を有する。
【0057】
サポーター本体7は、従来と同様に、伸縮性を有する柔軟なシート体71から構成されており、例えば、筒状に形成されている。
サポーター本体7を構成する伸縮性を有するシート体71は、特に限定されず、伸縮性の糸を用いた織布又は編布、伸縮性の編み組織からなる編布、ゴム又はエラストマーなどの弾性シートなどが挙げられる。前記伸縮性の編み組織としては、ゴム編、両面編、ハーフ編などが挙げられる。ゴム又はエラストマーなどの弾性シートとしては、上記に例示したようなゴム又はエラストマーをシート状に形成したものなどが挙げられる。通気性を有することから、伸縮性の糸を用いた織布又は編布、伸縮性の編み組織からなる編布を用いることが好ましい。
筒状のサポーター本体7は、シート体71を筒状に丸めて両側端部を接合することによって形成されていてもよく、シームレスのシート体71から形成されていてもよい。なお、筒状のサポーター本体7は、伸縮性のシート体71のみから構成されていてもよく、或いは、比較的広範囲が伸縮性のシート体71からなり且つ一部の範囲が非伸縮性のシート体71から構成されていてもよい。
筒状のサポーター本体7の内周長は、人の膝や肘などに装着した際にサポーター本体7が膝などから脱落しない程度であればよく、従来と同様に適宜設定できる。
【0058】
サポーター本体7に関節保護具1を組み込む方法は、特に限定されず、適切な方法を採用できる。
図示例では、サポーター本体7は、2枚の伸縮性のシート体71,71から構成されており、その2枚のシート体71,71の間にパッド本体2が介在されている。なお、パッド本体2の位置ずれを防止するため、2枚のシート体71は、パッド本体2の外方における複数箇所の部分接合部72にて部分的に接合されている。図示例では、部分接合部72は、パッド本体2の各領域41,42,43,44,45,46の周縁のうち最も外方に出ている部分又はその近傍部の外方であって、前記部分又はその近傍部から少し隙間を有して配置されている。かかる位置に部分接合部72が配置されていることにより、2枚のシート体71、71内でパッド本体2が大きく位置ずれすることを抑制できる一方で、パッド本体2を過度に拘束することなくパッド本体2の変形が許容される。また、2枚のシート体71の上下端部を接合するため、テープ状の端部処理材73が取り付けられている。
なお、図示例では、パッド本体2がサポーター本体7に具備されているが、カバー材6に収容されたパッド本体2がサポーター本体7に具備されていてもよい。また、サポーター本体7は、筒状に限られない。例えば、サポーター本体7が、伸縮性を有する枚葉状のシート体と、このシート体の端部に設けられた帯状バンドなどの締め付け部材と、からなり、使用に際して、前記シート体を関節に巻き付け且つ締め付け部材で関節に装着するものでもよい(図示せず)。
【0059】
図13は、本発明の関節保護具1を具備する衣服Bを示す。
図13(a)は、本発明の関節保護具1を具備するシャツを示し、
図13(b)は、本発明の関節保護具1を具備するパンツを示す。
シャツにあっては、例えば、パッド本体2を有する関節保護具1がシャツの肘部に組み込まれる。パンツにあっては、例えば、パッド本体2を有する関節保護具1がパンツの膝部に組み込まれる。
このような衣服は、例えば、スポーツウェア、建築現場などの各種業務を行う際の作業服などとして利用できる。
【0060】
前記スポーツ用サポーターAは、例えば、
図14に示すように、膝に装着して使用される。
本発明の関節保護具1は、複数の切込み部3が形成され且つ端部領域が上部領域41及び下部領域44を含む複数の領域の区画されたパッド本体2を有するので、
図15に示すように、各領域がそれぞれ独立して膝などの関節の外形に沿って変形し、パッド本体2が全体として略椀状に変形する。
図16は、略椀状に変形したパッド本体2を立体的に表した斜視図である。
特に、パッド本体2の端部領域の上側が、第1及び第2の切込み部31,32によって上部領域41と上左部領域42及び上右部領域43とに区画されていることにより、膝又は肘の上側が、上部領域41、上左部領域42及び上右部領域43によって衝撃から保護される。パッド本体2の端部領域の下側が、第3及び第4の切込み部33,34によって下部領域44と下左部領域45及び下右部領域46とに区画されていることにより、膝又は肘の下側が、下部領域44、下左部領域45及び下右部領域46によって衝撃から保護される。従って、本発明のパッド本体2を有する関節保護具1は、膝や肘などの関節を外部衝撃から適切に保護できる。
【0061】
また、上記第1及び第2の切込み部31,32によって区画された上部領域41と、それに隣接する上左部領域42及び上右部領域43とは、第1及び第2の切込み部31,32の開放部分を狭くすることができるので、
図16に示すように、上部領域41と上左部領域42及び上部領域41と上右部領域43の側縁が外方において接するように、上部領域41、上左部領域42及び上右部領域43が変形し、膝などの関節の外形に沿って密着するようになる。上記第3及び第4の切込み部33,34によって区画された下部領域44とそれに隣接する下左部領域45及び下右部領域46についても同様に、それらの側縁が外方において接するように、下部領域44、下左部領域45及び下右部領域46が変形し、膝などの関節の外形に沿って密着するようになる。
関節の大きさや外形は人それぞれ異なるが、本発明のパッド本体2を有する関節保護具1によれば、切込み部3によって区画された各領域がそれぞれ独立して変形するので、関節の大きさや外形が異なる様々な使用者に応じてパッド本体2が変形可能である。かかるパッド本体2を有する関節保護具1は、良好なフィット感を使用者に与えることができる上、外部衝撃から関節を保護できる。
また、前記関節保護具1は、パッド本体2の厚み方向において、最内側に比較的軟らかい第1緩衝体21が配置されているので、使用者に違和感を与え難く、優れたフィット感を付与でき、一方、比較的硬い第2緩衝体22が外側に配置されているので、外部からの衝撃を第2緩衝体22が緩和し、比較的軟らかい第1緩衝体21と相乗して、関節に衝撃が加わることを防止できる。さらに、第3緩衝体23が第2緩衝体22の外側に配置されていることにより、第2緩衝体22への応力集中を抑制でき、関節に衝撃が加わることを防止できる。
【0062】
また、複層構造体のパッド本体2において、上述のように各緩衝体が接着されていてもよいが、各緩衝体が接着されている場合、接着面において隣接する緩衝体同士の相互規制が生じる。この点、上述のように、各緩衝体が非接着で重ねられている好ましい態様によれば、各緩衝体が面方向に位置ずれ可能である。このため、例えば、
図17に示すように、膝などの関節を折り曲げた際に、外側の緩衝体が伸び且つ内側の緩衝体が縮むことによる各緩衝体の相互規制が生じず、各緩衝体が関節の曲げに良好に追従して折り曲がるようになる。このため、各緩衝体が非接着で重ねられているパッド本体2を有する関節保護具1は、関節が曲がった際にもフィット感に優れ、衝撃緩衝性にも優れている。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の関節保護具及びその適用物品は、外部衝撃から関節を保護するために利用される。例えば、本発明の関節保護具及びその適用物品は、バレーボール、ハンドボールなどの各種のスポーツを行う人、建築などの作業を行う人、日常生活を営む人などに利用される。
【符号の説明】
【0064】
1 関節保護具
2 パッド本体
21 第1緩衝体
22 第2緩衝体
23 第3緩衝体
3 切込み部
31,32,33,34,35,36 第1乃至第6の切込み部
41,42,43,44,45,46 切込み部によって区画される領域
6 カバー材
7 サポーター本体
A スポーツ用サポーター
B 衣服