(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】光源装置および発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/52 20100101AFI20230426BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230426BHJP
G09F 9/302 20060101ALI20230426BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20230426BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20230426BHJP
【FI】
H01L33/52
G09F9/30 349C
G09F9/30 349Z
G09F9/302 C
H01L33/50
H01L33/58
(21)【出願番号】P 2020072259
(22)【出願日】2020-04-14
【審査請求日】2020-04-14
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-17
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】大沼 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン コール
(72)【発明者】
【氏名】藤田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】小野 高志
【合議体】
【審判長】瀬川 勝久
【審判官】松川 直樹
【審判官】金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-85167(JP,A)
【文献】特開2010-40976(JP,A)
【文献】国際公開第2019/009033(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/006987(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0362165(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0255505(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/331144(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0100704(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色画素用、緑色画素用および青色画素用の各発光素子と、
前記赤色画素用の発光素子の上のみに設けられ、前記赤色画素用の発光素子からの光の出射側位置に、一部が前記赤色画素用の発光素子と接触する赤色画素用の蛍光体層と、
前記赤色画素用の蛍光体層と隣り合い、前記緑色画素用の発光素子の上のみに設けられ、前記緑色画素用の発光素子からの光の出射側位置に、一部が前記緑色画素用の発光素子と接触する緑色画素用の蛍光体層と、
隣り合う前記赤色画素用の蛍光体層と前記緑色画素用の蛍光体層同士の間に設けられ、前記赤色画素用の蛍光体層および前記緑色画素用の蛍光体層とは異なる光遮蔽層と、
隣り合う前記発光素子同士の間に設けられた補強層と、
前記青色画素用の発光素子の上に設けられ、前記青色画素用の発光素子からの光の出射側位置に樹脂層とを備え
前記蛍光体層上に形成された第2光遮蔽層を有し、
前記第2光遮蔽層は、ダイクロイックミラー層と、前記ダイクロイックミラー層上に形成されたカラーフィルタ層と、を有し、
前記光遮蔽層は、その最表面が金属であることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記蛍光体層は有機もしくは無機の材料から成る蛍光体を1種もしくは複数種含むことを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記蛍光体層は1種類もしくは複数種類であることを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記青色画素用の発光素子の上に設けられ、前記青色画素用の発光素子からの光の出射側位置に、一部が前記青色画素用の発光素子と接触する樹脂層を有していることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項5】
前記発光素子がメサ形状を有することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項6】
請求項1に記載の光源装置を用いていることを特徴とする発光装置。
【請求項7】
赤色画素用、緑色画素用および青色画素用の各発光素子と、
前記赤色画素用の発光素子の上のみに設けられ、前記赤色画素用の発光素子からの光の出射側位置に形成された赤色画素用の蛍光体層と、
前記赤色画素用の蛍光体層と隣り合い、前記緑色画素用の発光素子の上のみに設けられ、前記緑色画素用の発光素子からの光の出射側位置に形成された緑色画素用の蛍光体層と、
隣り合う前記赤色画素用の蛍光体層と前記緑色画素用の蛍光体層同士の間に設けられ、前記赤色画素用の蛍光体層および前記緑色画素用の蛍光体層とは異なる光遮蔽層と、
隣り合う前記発光素子同士の間に設けられた補強層と、
前記発光素子と前記蛍光体層との間、および前記光遮蔽層と前記補強層との間に設けられ、これら前記発光素子と前記蛍光体層と前記光遮蔽層と前記補強層とは異なる下地層と、
前記青色画素用の発光素子の上に設けられ、前記青色画素用の発光素子からの光の出射側位置に樹脂層とを備え
前記蛍光体層上に形成された第2光遮蔽層を有し、
前記第2光遮蔽層は、ダイクロイックミラー層と、前記ダイクロイックミラー層上に形成されたカラーフィルタ層と、を有し、
前記下地層の厚さは、2μm以下であり、
前記光遮蔽層は、その最表面が金属であることを特徴とする光源装置。
【請求項8】
前記蛍光体層は、有機もしくは無機の材料から成る蛍光体を1種もしくは複数種含むことを特徴とする請求項7に記載の光源装置。
【請求項9】
前記蛍光体層は1種類もしくは複数種類であることを特徴とする請求項7に記載の光源装置。
【請求項10】
前記青色画素用の発光素子の上に設けられ、前記青色画素用の発光素子からの光の出射側位置に形成された樹脂層を有していることを特徴とする請求項7に記載の光源装置。
【請求項11】
前記発光素子がメサ形状を有することを特徴とする請求項7に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子および蛍光体層を有する光源装置および発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子および蛍光体層を有する装置としては、例えば特許文献1に開示されているマイクロ半導体発光素子(Light Emitting Diode;LED)ディスプレイ装置が知られている。上記ディスプレイ装置は、駆動基板上のドライバ回路(Complementray Metal-Oxide-Semiconductor;CMOS)セルの上にバンプを介して発光構造物の層が設けられ、その上に成長基板が設けられ、成長基板の上に複数色の色光変換物質の層が設けられている。これら色光変換物質の層は、個々に隔壁によって仕切られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のディスプレイ装置は、各色の色光変換物質の層ごとに、上記発光構造物の層に代わる発光素子を有するような光源装置の構成に適用することができない。このような光源装置は、例えば、下地基板の上に、それぞれ電極を介して複数の発光素子が設けられ、発光素子の上に蛍光体層が設けられたような構成である。さらにこのような光源装置では、数十~数ミクロンといったディスプレイ画素サイズの微細化が求められており、それに伴い画素となる発光素子と回路を有する下地基板との接合面積が小さくなるため、製造工程において、下地基板から発光素子が剥がれ易くなる。加えて、上記従来のディスプレイ装置は、ディスプレイとして十分な色再現範囲の実現が難しいという問題点を有する。これは、微細な接合面積で色変換層の厚みを確保するため、すなわち高アスペクト比で色変換層を形成することにより、発光素子上に形成された色変換層が剥がれ易くなるという問題点にも繋がる。
【0005】
本発明の一態様は、下地基板の上に各色の蛍光体層ごとに発光素子を有する構成の光源装置において、製造工程において下地基板から発光素子が剥がれ難い特徴と、発光素子上に形成された色変換層が剥がれ難い特徴とを有することで、ディスプレイとして十分な色再現範囲を有する光源装置および発光装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る光源装置は、複数の発光素子と、前記発光素子からの光の出射側位置に、前記発光素子ごとに設けられ、一部が前記発光素子と接触する蛍光体層と、隣り合う前記蛍光体層同士の間に設けられ、前記蛍光体層とは異なる光遮蔽層と、隣り合う前記発光素子同士の間に設けられた補強層とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、数十~数ミクロンという微細な画素サイズかつ高色再現範囲のディスプレイを実現することができ、かつ、下地基板から発光素子を剥がれ難くすること、および、発光素子上に形成した色変換層を剥がれ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態の光源装置の構成を示す縦断面図である。
【
図2】
図1に示した光遮蔽層の材料、およびその材料を使用した場合の機能、および効果を示す説明図である。
【
図3】本発明の他の実施形態の光源装置の構成を示す縦断面図である。
【
図4】
図4の(a)は、下地層(
図3に記載)を有していない光源装置において、隣り合う発光素子に跨る金属製の光遮蔽層によって、それら発光素子同士が短絡する場合の説明図である。
図4の(b)は、
図3に示した下地層および
図4の(a)に示した光遮蔽層を有する光源装置において、
図4の(a)に示した短絡が下地層によって防止される場合の説明図である。
【
図5】本発明のさらに他の実施形態の光源装置の構成を示す縦断面図である。
【
図6】本発明のさらに他の実施形態の光源装置の構成を示す縦断面図である。
【
図7】本発明のさらに他の実施形態の光源装置の構成を示す縦断面図である。
【
図8】本発明のさらに他の実施形態の光源装置の構成を示す縦断面図である。
【
図9】本発明のさらに他の実施形態の光源装置の構成を示す縦断面図である。
【
図10】本発明のさらに他の実施形態の光源装置の構成を示す縦断面図である。
【
図11】
図10に示した光源装置の変形例に係る光源装置の構成を示す縦断面図である。
【
図12】
図10に示した光源装置の他の変形例に係る光源装置の構成を示す縦断面図である。
【
図13】
図10に示した光源装置のさらに他の変形例に係る光源装置の構成を示す縦断面図である。
【
図14】本発明のさらに他の実施形態の光源装置の構成を示す縦断面図である。
【
図15】
図14に示した光源装置の変形例に係る光源装置の構成を示す縦断面図である。
【
図16】本発明のさらに他の実施形態の光源装置の構成を示す縦断面図である。
【
図17】
図16に示した光源装置の変形例に係る光源装置の構成を示す縦断面図である。
【
図18】
図16に示した光源装置の他の変形例に係る光源装置の構成を示す縦断面図である。
【
図19】本発明の実施形態の光源装置の製造方法を示す縦断面図である。
【
図20】本発明の実施形態の光源装置の他の製造方法を示す縦断面図である。
【
図21】本発明の実施形態の光源装置のさらに他の製造方法を示す縦断面図である。
【
図22】本発明の実施形態の光源装置のさらに他の製造方法を示す縦断面図である。
【
図23】本発明の実施形態の光源装置のさらに他の製造方法を示す縦断面図である。
【
図24】本発明の実施形態の光源装置のさらに他の製造方法を示す縦断面図である。
【
図25】本発明の実施形態の光源装置のさらに他の製造方法を示す縦断面図である。
【
図26】本発明の実施形態の光源装置のさらに他の製造方法を示す縦断面図である。
【
図27】
図14に示した光源装置の一実施例に係る光源装置の光遮蔽層の効果を説明する図である。
【
図28】本発明の実施形態の光源装置が備える発光素子の断面構造の一例を示す縦断面図である。
【
図29】本発明の実施形態の光源装置が備える発光素子の断面構造の他の例を示す縦断面図である。
【
図30】
図28に示した発光素子の製造工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
(光源装置1の構成)
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
図1は、本実施形態の光源装置1の構成を示す縦断面図である。
【0010】
図1に示すように、光源装置1は、下地基板11、電極12、発光素子13、補強樹脂層(補強層)14、蛍光体層15,16および光遮蔽層18を備えている。本実施形態において、光源装置1は3つの発光素子13を有している。
【0011】
なお、図中では発光素子13は3つであり、1画素、すなわち、赤色・緑色・青色のそれぞれに対応する3サブ画素のみとなっているが、発光素子13は、本来はm行n列(mおよびnは2以上の整数)のアレイ状の発光素子である。mおよびnは目的に合わせて任意に設定すれば良く、たとえば、720行1280列×3(赤・緑・青の各色分)の発光素子アレイとすればHD(High Definition)のカラー画像や動画を表示できる。また、1080行1920列×3(赤1・緑1・青1の各色分)の発光素子アレイとすればフルHD(Full High Definition)のカラー画像や動画を表示できる。なお、1画素を構成する赤・緑・青のサブ画素数は1つに限らず、例えば、1080行1920列×4(赤2・緑1・青1の各成分)や1080行1920列×5(赤2・緑1・青2の各成分)、1080行1920列×6(赤2・緑2・青2の各成分)などであってもよい。また、アレイの外周側の上下の複数行、および左右の複数列の発光素子は、点灯させないように素子を形成しても、あるいは下地基板に接合しておいても良い。これにより、アレイ中の点灯する発光素子同士の環境を同様とすることができる。また、下地基板と発光素子アレイの接合面積を大きくすることができ、接合強度が大となる。その他、光遮蔽層や蛍光体層の形成の際に、位置合わせの目印として外周の非点灯の素子を用いても良い。これらは実施形態2以降でも同様である。
【0012】
(下地基板11)
下地基板11は、発光素子13と接続できるように、少なくとも表面に配線が形成されている。下地基板11には、発光素子13を駆動する駆動回路が形成されている。下地基板11の材料は、全体が窒化アルミニウムで構成される窒化アルミニウムの単結晶または多結晶等の結晶性基板、並びに焼結基板が好ましい。また、下地基板11の材料は、アルミナ等のセラミック、ガラス、もしくはSi等の半金属または金属基板が好ましく、また、それらの表面に窒化アルミニウム薄膜層が形成された基板等の積層体または複合体が使用できる。金属性基板およびセラミック基板は放熱性が高いため、下地基板11の材料として好ましい。本実施形態において、下地基板11はSiにて形成されている。
【0013】
例えば、Si上に発光素子13の発光を制御する駆動回路を集積回路形成技術により形成したものを下地基板11として使用することで、微細な発光素子13を密集させた高解像度の光源装置1を製造することができる。
【0014】
(電極12)
電極12は、下地基板11と発光素子13とを電気的に接続するものであり、下地基板11側の電極および発光素子13側の電極を含む。電極12は、例えば、Au、Pt、Pd、Rh、Ni、W、Mo、Cr、およびTiのいずれかの金属、並びにこれらの合金またはそれらの組み合わせからなる。組合せの例としては、下地基板11側の電極および発光素子13側の電極を金属電極層として構成する場合、下面からW/Pt/Au、Rh/Pt/Au、W/Pt/Au/Ni、Pt/Au、Ti/Pt/Au、Ti/Rh、またはTiW/Auの積層構造が考えられる。本実施形態において、電極12はAuにて形成されている。
【0015】
(発光素子13)
発光素子13は、公知のもの、具体的には半導体発光素子(LEDチップ)を利用できる。例えば、GaAs系、ZnO系、またはGaN系のものである。発光素子13には、赤色、黄色、緑色、青色、または紫色の光を発光するLEDを用いてもよく、また紫外光を発光するLEDを用いてもよい。中でも、青色から紫色または紫色から紫外光の発光が可能なGaN系半導体を発光素子13として用いることが好ましい。本実施形態では、発光素子13は、InGaNからなり、青色の光を発光する。発光素子13は、
図1において、上面が光出射面である。発光素子13についての上記の点は、後述する他の実施形態においても同様である。
【0016】
GaN系半導体は、発光効率が高く、寿命が長く、かつ信頼性が高いといった特徴を有する点から発光素子13として好ましい。また、発光素子13の半導体層としては、窒化物半導体が、可視光域の短波長域、近紫外域、またはそれより短波長域である点、その点と波長変換部材(蛍光体)とを組み合わせた半導体モジュール1において好適に用いられる。また、それに限定されずに、ZnSe系、InGaAs系、AlInGaP系などの半導体でもよい。
【0017】
半導体層による発光素子構造は、第1導電型(n型)層、第2導電型(p型)層との間に活性層を有する構造が出力効率上好ましいがこれに限定されない。また、各導電型層に、絶縁、半絶縁性、および逆導電型構造が一部に設けられてもよく、またそれらが第1、2導電型層に対し付加的に設けられた構造でもよい。別の回路構造、例えば保護素子構造を付加的に有してもよい。
【0018】
発光素子13およびその半導体層の構造としては、PN接合を有したホモ構造、ヘテロ構造、またはダブルへテロ構成のものが挙げられる。また、各層を超格子構造としたりすることもできるし、活性層である発光層を量子効果が生じる薄膜に形成させた単一量子井戸構造または多重量子井戸構造としたりすることもできる。なお、隣り合う発光素子13同士の間隔は、0.1μm以上20μm以下とすることが好ましい。この場合、発光素子13同士の間に存在する補強樹脂層14および補強樹脂層14上に存在する光遮蔽層18の厚みは、0.1μm以上20μm以下になる。また、発光素子13と補強樹脂層14からなる面は略同一の高さの平坦形状であってもよく、蛍光体層15,16や光遮蔽層18の形成を容易にすることがも可能となる。一方で、発光素子13と補強樹脂層14からなる面が、粗面や凹凸などの特定の周期的な構造を形成してもよく、蛍光体層15,16および光遮蔽層18と発光素子13の接触面積が増えるため蛍光体層15、16および光遮蔽層18の剥がれを抑制することが可能である。これらは他の実施形態では記載しないが、本実施形態に限らず他の実施形態でも同様である。
【0019】
加えて、電極12を介して下地基板11に発光素子13を接合するため、発光素子13上のN電極およびP電極は略同一の高さであることが望ましい。この構造を実現するために、N電極とP電極のいずれかもしくは両者にメサ構造を採用することや、N電極とP電極とで共通でのメサ構造を採用することが考えられる。メサ構造を採用した、接合前の発光素子13の断面構造は、例えば
図28や
図29とすることができる。
【0020】
なお、
図28および
図29において、201はサファイア基板(成長基板)、202はN-GaN層(第1導電型層)、203はInGaN層(活性層)、204はP-GaN層(第2導電型層)、205はPd層、206はAu層、210はN電極および211はP電極である。
【0021】
図28のようにN電極とP電極の両者にメサ構造を採用した場合の発光素子13の製造工程のフローチャートを
図30に示す。なお、
図28および
図29では、Pd層205とAu層206によりN電極210およびP電極211を形成しているが、N電極210とP電極211を略同一の高さにできるのであれば、PdやAuに限らずPtやAl、Ag、ITO透明電極など他の導電性材料によりN電極210およびP電極211を形成しても良い。また、
図28および
図29では、成長基板にPSS(Patterned Sapphire Substrate)形状を有するサファイア基板201を用いている。しかしながら、成長基板は、GaN基板、Si基板など他の材料であっても良いし、PSS形状を持たない成長基板であってもよい。
【0022】
なお、発光素子13はサブ画素に対応するように個片化した後に下地基板11に各々接合し、成長基板を剥離しても良いし、成長基板を剥離した後にサブ画素に対応するように個片化した発光素子13を下地基板11に各々接合しても良いし、あるいは、成長基板上に発光素子13を形成し、画像表示に対応する数の発光素子サブ画素を有するアレイ状チップへと分割し、その後アレイを一括で接合したのちに成長基板を剥離してもよい。この場合、紫外線レーザー照射や研削、研磨、薬液処理などにより成長基板を剥離する。このようにアレイとして発光素子13を一括で接合して成長基板を剥離する場合や個片の発光素子13を接合した後に成長基板を剥離する場合、下地基板11からの発光素子13剥がれを抑制するため、アレイを形成したのちに下地基板11へ発光素子アレイを接合し、後述のように下地基板11と発光素子13との間および発光素子13同士間に補強樹脂を充てんした後に成長基板の剥離することが好ましい。これは、補強樹脂の存在により、発光素子と下地基板との接合力を高められるためである。その他、成長基板の剥離後に研磨、あるいは薬液や水を用いた洗浄工程により成長基板とGaNとの界面に存在した残渣をきれいにすることで光取り出しを高くすることが出来る。この剥離後の処理により、PSS形状を有する場合にはそのPSS形状の残し方やGaN層の厚みをコントロールすることで目的の光取り出しを実現する構造とすることが可能である。
【0023】
また、本実施形態においてはサブ画素に対応する各発光素子13のそれぞれがN電極とP電極の両者を持ち、かつ、空間的に分割されている。しかしながら、サブ画素に対応する発光素子13は、P電極のみを持ち、複数の発光素子13の第1導電型層が繋がっており、複数のサブ画素に対応するN電極が別の場所に形成されていてもよい。例えば、1画素、すなわち3つのサブ画素に対応する発光素子13毎に共通のN電極が形成されていてもよいし、より多くのサブ画素に相当する数の発光素子13に共通のN電極であっても良い。加えて、上記共通のN電極の形成位置は限定されず、表示画面位置中であっても良いし、表示画面に相当する領域の外周に形成されていてもよい。上記構成は、複数の発光素子13をつなぐ第1導電型層が厚いと、その中を通る発光素子13の光の量が多くなる。したがって、各サブ画素点灯時に近隣画素を通じた光透過が存在することで色再現範囲が低下するクロストークが発生する可能性があるため、色再現範囲の観点では不利となるため、サブ画素毎に分割溝を形成したり、研磨や薬液処理等で薄膜化したりする。また、クロストークがあることで各サブ画素の点灯時の実効的なサイズが大きくなるため高精細な画像を得る点でも、各発光素子をつなぐ第1導電層は薄いことが好ましく、具体的には10μm以下の厚みであることが好ましく、より好ましくは5μm以下の厚みであり、さらに好ましくは2μm以下の厚みである。一方で、第1導電型層を薄くする工程を経なければ、作業時間が減ることのメリットや処理が減ることで、より効率の高い発光素子が得られる可能性がある。
【0024】
上記は、以降で詳細を記載しないが、実施形態2以降でも同様であり、また、剥がれがなく発光素子13を下地基板11に接合できれば、N電極とP電極の構造、相対的な位置関係および数的な対応関係、発光素子13を構成する材料、発光素子13および発光素子アレイの作成方法、接合後の成長基板や発光素子に関与する処理方法は上記に限定されない。
【0025】
(補強樹脂層14)
補強樹脂層14は、隣り合う発光素子13同士の間を補強樹脂で満たすように形成されている。それに加えて、本実施形態においては、補強樹脂層14は発光素子13と下地基板11との間、隣り合う電極12同士の間を補強樹脂で満たすように形成されている。本実施形態において、隣り合う発光素子13同士の間の補強樹脂層14の上面は、発光素子13の上面と略同一の高さとなっている。補強樹脂層14は発光素子13の剥離を抑制するものであって、その上面高さはこれに限定されず、発光素子13上面よりも低くあるいは高く形成されていてもよい。前述の成長基板の剥離時や剥離残渣の研磨や洗浄時、あるいは後述の光遮蔽層や蛍光体層形成時の外力や光源装置の使用時の振動などにより、発光素子13が電極12から、あるいは電極12ごと下地基板から引きはがされたり、発光素子13が倒れたりすることで、発光素子13が剥離される可能性がある。補強樹脂層14は、製造工程中あるいは光源装置の使用中における下地基板11からの発光素子13の剥離を抑制するという効果を有する。また、補強樹脂にブラックカーボンなどの光吸収材料、SiO2やTiO2などの光散乱材料を添加することや、適切な樹脂成分を選択することで、光吸収や光反射などの光遮蔽性を持たせるが可能であり、実施形態の光源装置における各サブ画素間での相互的な光の干渉、すなわちクロストークの影響を小さくすることが可能である。なお、補強樹脂は発光素子13間に充填する必要があるため、添加材料のサイズは1μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下である。
【0026】
光源装置1では、発光素子13の側面を補強樹脂層14が被覆することにより、発光素子13の剥離抑制のほかに、以下の作用および効果が得られる。第1に、発光素子13の側面から光が漏れ出すのを回避できる。第2に、発光素子13の光出射面からの発光と比較して無視できないほどの色味差を有する光が、発光素子13の側面から外方へ放出されるのを抑制して、光源装置1全体の発光色における色ムラの発生を低減できる。第3に、補強樹脂層14が光反射機能を有する場合、発光素子13の側面方向へと進行した光を補強樹脂層14によって光源装置1の光取り出し方向側へと反射させ、さらに外部への発光領域を制限する。これにより、発光素子13から放出される光の指向性を高めるとともに、発光素子13の光出射面における発光輝度を高められる。第4に、発光素子13から発生する熱を補強樹脂層14へ伝導させることによって、発光素子13の放熱性を高めることができる。第5に、補強樹脂層14を形成することにより、水または酸素などから発光素子13の発光層を保護することができる。
【0027】
加えて、補強樹脂層14は下地基板からの発光素子の剥離を抑制するものであって、その構成は樹脂などの有機材料に限らず、Si、Al、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、Al2O3、SiO2、TiO2、GaN、InGaN、AlGaNなどの無機材料からなる無機補強層であってよい。また有機材料と無機材料のいずれかもしくは両方の材料系から複数の材料を用いて形成してもよい。なお、無機補強層とする場合には、下地基板11側に無機補強層を形成した後、もしくは、発光素子13のサブ画素側面に事前に無機補強層を形成した後に下地基板、発光素子、無機補強層を同時に接合することが考えられる。
【0028】
(蛍光体層15,16)
本実施形態において、蛍光体層15は赤色の蛍光体からなり、蛍光体層16は緑色の蛍光体からなる。蛍光体層15は、光源装置1が含む3つの発光素子13のうちの真ん中の発光素子13の上面であって、その発光素子13の上面の範囲に設けられている。蛍光体層16は、光源装置1が含む3つの発光素子13のうちの一端側の発光素子13の上面であって、その発光素子13の上面の範囲に設けられている。光源装置1では、このように、発光素子13の上面に、発光素子13の発光色とは異なる発光色を示す蛍光体層15,16を配置することにより、可視光領域にある様々な発光色を示すことができる。
【0029】
蛍光体層15,16は、Y3Al5O12:Ce3+、Y3(Al,Ga)5O12:Ce3+、Lu3Al5O12:Ce3+、(Sr,Ba)2SiO4:Eu2+、Ca2SiO4:Eu2+、Ca3(Sc,Mg)2Si3O12:Ce3+、β-SiAlON:Eu2+、Ca-α-SiAlON:Eu2+、La3Si6N11:Ce3+、K2SiF6:Mn4+、CaAlSiN3:Eu2+、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu2+、(Ba,Sr)2Si5N8:Eu2+、などのセラミクス蛍光体、CdSe、CdS、ZnS、ZnSe、CdTe、InP、InGaP、GaP、CsPbX3(X=Cl,Br,I)、(MAyFA1-y)PbX3(MA=CH3NH3などのメチルアンモニウム、FA=CH(NH2)2などのホルムアミジン、X=Cl,Br,I)、Cs3Cu2I5などの量子ドット、GaNあるいはInGaN等の蛍光体材料、光吸収材料等の色変換材料、チタニア、シリカまたはアルミナ等の光散乱材料と母材となる樹脂等とからなり、発光素子13が出射した光の波長を変換する。蛍光体層15は、発光素子13が出射した光を赤色の光に変換し、蛍光体層16は、発光素子13が出射した光を緑色の光に変換する。
【0030】
なお、隣り合う蛍光体層15,16同士の間隔は、0.1μm以上20μm以下であることが好ましい。また、蛍光体層15,16は、メジアン径が2μm以下である蛍光体を有することが好ましく、メジアン径が0.5μm以下である蛍光体を有することが好ましく、メジアン径が0.15μm以下である蛍光体を有することが更に好ましい。この場合には、蛍光体層15,16のサイズを小さくすることができるので、光源装置1の画素サイズを小さくすることが出来、より高精細な画像を表示することができる。
【0031】
(光遮蔽層18)
光遮蔽層18は、補強樹脂層14の上に設けられ、蛍光体層15,16それぞれの側面の周囲を覆っている。光遮蔽層18は、一例として液状であり感光性を有する樹脂を塗布・露光・現像・硬化させて形成することが可能である。あるいは、光遮蔽層18の他の形成方法としては、Si、Al、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、Al2O3、SiO2、TiO2、GaN、InGaN、AlGaNなどの無機物を発光素子13および補強樹脂層14上に形成し、感光性を持つ樹脂を塗布し、露光・現像・露光・硬化を行うことで、発光素子13の直上の無機物上に樹脂を形成したのち、露出された領域の無機物を湿式または乾式エッチングすることによって形成する。なお、露光する領域は樹脂の感光性に依存し、ネガ型であれば補強樹脂上の領域を主とした露光とし、ポジ型であれば発光素子13上の領域を主とした露光とする。このように蛍光体層15、16の側面に光遮蔽層18が形成されることで、光源装置1における蛍光体層15、16の密着面積が大となるため、蛍光体層15,16の剥離が抑制される。
【0032】
光源装置1では、蛍光体層15、16の側面を光遮蔽層18が被覆することにより、蛍光体層15、16の剥離抑制のほかに、以下の作用および効果が得られる。第1に、蛍光体層15、16の側面から光が漏れ出すのを回避できる。第2に、蛍光体層15、16の光出射面からの発光と比較して無視できないほどの色味差を有する光が、蛍光体層15、16の側面から外方へ放出されるのを抑制して、光源装置1全体の発光色における色ムラの発生を低減できる。第3に、光遮蔽層18が光反射機能を有する場合、蛍光体層15、16の側面方向へと進行した光を光遮蔽層18によって光源装置1の光取り出し方向側へと反射させ、さらに外部への発光領域を制限する。これにより、蛍光体層15、16の光出射面における発光輝度を高められる。第4に、蛍光体層15、16から発生する熱を光遮蔽層18へ伝導させることによって、蛍光体層15、16の放熱性を高めることができる。第5に、光遮蔽層18を形成することにより、水または酸素などから蛍光体層15、16の発光層を保護することができる。
【0033】
図2は、光遮蔽層18の材料、およびその材料を使用した場合の機能、および効果を示す説明図である。
図2では、光遮蔽層18の材料として、ブラックマトリクス、カラーフィルタ、全反射膜(例えばPt)およびダイクロイックミラーの4例について示している。
【0034】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0035】
図3は、本実施形態の光源装置2の構成を示す縦断面図である。
図3に示すように、光源装置2は、先述の光源装置1の構成に加えて下地層31を備えている。下地層31は、3個の発光素子13および補強樹脂層14の上面、すなわち3個の発光素子13および補強樹脂層14と蛍光体層15,16および光遮蔽層18との間に設けられている。
【0036】
下地層31は発光素子13および蛍光体層15、16、光遮蔽層18との密着力の高い絶縁性材料にて形成されており、これにより蛍光体層や光遮蔽層の剥離を抑制できる。たとえば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などの有機絶縁材料やSiO2、Al2O3などの無機絶縁材料である。あるいは複数の有機絶縁材料が積層もしくは混合された構成、複数の無機絶縁材料が積層もしくは混合された構成や、1つないし複数の有機絶縁材料と1つないし複数の無機絶縁材料が積層もしくは混合された構成であってもよいし、有機絶縁材料中に無機絶縁材料が分散された構成であってよい。このように複数の材料から構成されると光散乱性や光遮蔽性を有する下地層31とすることがより簡単になるし、波長選択的な光散乱性や光遮蔽性を持たせる下地層31を形成することも可能である。また、下地層31が発光素子13、蛍光体層15,16、光遮蔽層18との密着力を高め、剥離を抑制するのであれば、その形状は限定されない。下地層31が充分な密着力を有するのであれば、蛍光体層15、16側で平坦あれば狙った形状で蛍光体層15、16や光遮蔽層18を形成することが容易になる。発光素子13と補強樹脂層14から形成される面が平たんでなくとも下地層31により平たん化し、蛍光体層15,16や光遮蔽層18の形成を容易にすることも可能である。あるいは、粗面や凹凸などの特定の周期的な構造を形成することで、蛍光体層15,16および光遮蔽層18と下地層31の接触面積が増えるため蛍光体層15、16および光遮蔽層18の剥がれを抑制することが可能である。さらに、前述のような光散乱性や光遮蔽性といった光学特性を持たせること、発光素子13からの光取り出し効率を高めること、加えて、絶縁性材料に流動性があれば塗布により形成可能であるし、その他、スパッタリングや蒸着などで形成可能である。下地層31の厚さは薄く、2μm以下、好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.1μm以下である。このように下地層31の厚みを薄くすることで、下地層31を形成したことによるクロストークの増大を抑制することができる。
【0037】
光源装置2は、下地層31を有することにより、次のような利点を有する。
(1)蛍光体層15,16の密着性を高め、剥離を抑制することができる。
(2)発光素子13の発熱を蛍光体層15,16に伝えることを抑制することができる。これにより、温度上昇により発光効率が低下する蛍光体層15,16の発光効率の低下を抑制することができる。
(3)光遮蔽層18としてSi、Al、Au、Ag、Cu、Pt、Pdなどの金属やそれらの合金などの光反射層を有する場合に、金属製光反射層を介した隣り合う発光素子13同士の電気的な短絡(ショート)を防止することができる。
【0038】
上記(3)の利点が得られる理由を、
図4の(a)(b)に示す。
図4の(a)は、下地層31を有していない光源装置3において、隣り合う発光素子13に跨る金属製の光遮蔽層32(円で囲んだ光遮蔽層32)によって、それら発光素子13同士が短絡する場合の説明図である。
図4の(b)は、下地層31および
図4の(a)に示した光遮蔽層32を有する光源装置4において、
図4の(a)に示した短絡が下地層31によって防止される場合の説明図である。なお、
図4の(a)(b)に示した光遮蔽層32は、透明樹脂層32aを金属膜32bにて覆った構成である。光遮蔽層32は、透明樹脂32aの代わりに、Si、Al、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、Al
2O
3、SiO
2、TiO
2、GaN、InGaN、AlGaNなどの無機物を光遮蔽機能を持つ金属膜32bにて覆った構成であってもよく、無機物で光遮蔽層32を構成する場合には、その形成に例えば湿式エッチングや乾式エッチングを用いる。また、上述のように光遮蔽層32は異なる材料の複数の層から構成されていてよい。例えば、蛍光体層15,16が蛍光体と樹脂材料からなる場合に、光遮蔽層を内側から透明樹脂、金属膜、透明樹脂といった構成にすることで、蛍光体層15,16との密着力を高めることと光遮蔽層の高い光反射性能による輝度向上を同時に達成することが出来る。
【0039】
なお、以下に示す他の実施形態の光源装置では、特に下地層31について示さないが、光源装置2と同様に下地層31を有していてもよい。
【0040】
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0041】
図5は、本実施形態の光源装置5の構成を示す縦断面図である。
図5に示すように、光源装置5は、
図1に示した光源装置1の光遮蔽層18に代えて光遮蔽層33を有している。光源装置5のその他の構成は光源装置1と同様である。
【0042】
光源装置5では、光遮蔽層33は、蛍光体層15,16の上面よりも高さが高くなっている。なお、光遮蔽層33は蛍光体層15,16の上面と同じ高さであってもよい。また、光遮蔽層33は、青色を透過しないカラーフィルタにて形成されている。例えば、カラーフィルタはレジスト樹脂、分散剤、有機顔料から成る。あるいは光遮蔽層33は、樹脂層を全波長反射膜にて覆った構成であってもよい。
【0043】
光源装置5は、上記のような光遮蔽層33を有することにより、補強樹脂層14の内部、あるいは蛍光体層15,16の側面からの光導波を抑制することができる。光源装置5のその他の作用効果は、光源装置1の前述した作用効果と同様である。
【0044】
〔実施形態4〕
本発明のさらに他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0045】
図6は、本実施形態の光源装置6の構成を示す縦断面図である。
図6に示すように、光源装置6は、
図1に示した光源装置1に対し、中央部の発光素子13の上には緑色の蛍光体層16に代えて黄色の蛍光体層51を有している。また、光源装置6は、光源装置1の光遮蔽層18(第1光遮蔽層)に加えて、蛍光体層15,51の上に光遮蔽層34,35(第2光遮蔽層)をそれぞれ有している。赤色の蛍光体層15の上の光遮蔽層34は赤色光を透過するカラーフィルタからなり、黄色の蛍光体層51の上の光遮蔽層35は緑色光を透過するカラーフィルタからなる。光源装置6のその他の構成は光源装置1と同様である。
【0046】
蛍光体層15、51と、発光素子13や光遮蔽層18、あるいは実施形態2のような下地層との密着力が弱く、蛍光体層15,51が剥がれ易い場合、蛍光体層15,51や光遮蔽層18と密着性の高い材料で光遮蔽層34,35を構成し、かつ、蛍光体層とその両脇にある光遮蔽層18にまたがるように光遮蔽層34,35を形成することで蛍光体層15、51を剥がれにくくすることが可能である。また、蛍光体層15,51および光遮蔽層18と光遮蔽層34,35の間に、別の有機材料と無機材料のいずれかもしくは両者からなり、蛍光体層15,51、光遮蔽層18、光遮蔽層34,35への密着性が高い層(挿入層)をさらに形成することも可能である。また、挿入層の光遮蔽層側を粗面化したり凹凸形状をもたせたりするなど適宜制御することで、密着面積を増やして光遮蔽層34、35を剥がれにくくすることが可能であるし、蛍光体層15,51からの光取り出しを向上させることも可能である。ただし、各サブ画素間のクロストークを抑制するために挿入層の厚みは薄く、2μm以下、好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.1μm以下で形成する。なお、挿入層については他の実施形態に記載していないが、他の実施形態でも同様であり、挿入層はそれに接する構成材料との親和性の高い材料を採用することで、蛍光体層をはじめ各層や構成材料が光源装置から剥がれることを抑制できる。
【0047】
光源装置6では、目的に応じて、カラーフィルタを選択することで、カラーフィルタの光吸収特性により、光源装置6の色度を制御できる。例えば、蛍光体層15,51の光吸収効率が低かったり、蛍光体層15,51の厚みが不足したりすると、蛍光体層15,51による発光素子13発光の吸収が充分でなく、発光素子13の発光成分と蛍光体の発光成分が混ざることとなり、色度が充分でないことが考えられる。この場合、本実施形態のように、色変換層の上に光遮蔽層34,35として発光素子13の発光成分を吸収し、蛍光体の発光成分を透過する特性を持つカラーフィルタを形成することで、光源装置6の色再現範囲を大きくすることができる。また蛍光体の発光成分の一部を吸収するようなカラーフィルタを蛍光体層状に形成することにより各サブ画素からの発光の色純度を向上させ、色再現範囲を更に大きくすることが可能である。例えば、色再現範囲の向上のためには、緑色画素となる蛍光体層51上には、420nm以上460nm以下の波長範囲の光透過率が10%以下、且つ、510nm以上580nm以下の波長範囲の最大の光透過率が50%以上であるカラーフィルタを形成することが好ましい。また、赤色画素となる蛍光体層15上には、420nm以上460nm以下の波長範囲の光透過率が10%以下、且つ、600nm以上800nm以下の波長範囲の最大の光透過率が50%以上であるカラーフィルタを形成することが好ましい。
【0048】
なお、色再現範囲を大きくしたい場合には、可視光領域において光透過率が高い波長範囲の狭いカラーフィルタを用いることが適切である。例えば、420nm以上460nm以下の波長範囲の光透過率が10%以下、且つ、510nm以上560nm以下の波長範囲の最大の光透過率が50%以上であるカラーフィルタを緑色画素となる蛍光体層上に形成し、420nm以上480nm以下の波長範囲の光透過率が10%以下、且つ、620nm以上800nm以下の波長範囲の最大の光透過率が50%以上であるカラーフィルタを赤色画素となる蛍光体層上に形成する。一方で、色再現範囲よりも明るさを優先する場合には、可視光領域において光透過率の高い波長範囲の広いカラーフィルタを用いたり、視感度の高い波長範囲で光透過率が高いカラーフィルタを用いたりする。
【0049】
〔実施形態5〕
本発明のさらに他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0050】
図7は、本実施形態の光源装置7の構成を示す縦断面図である。
図7に示すように、光源装置7は、
図1に示した光源装置1の光遮蔽層18に代えて、光遮蔽層36,37を有している。光遮蔽層36は、光遮蔽層18と同様、蛍光体層15,16の側面の下端部から途中までを覆っている。また、光遮蔽層37は、中央部の発光素子13の上の蛍光体層16に対し、側面の上記途中から上端部までおよび上面を覆っている。このように蛍光体層16とその両脇にある光遮蔽層36にまたがるように光遮蔽層37を形成することで蛍光体層16を剥がれにくくすることが可能である。
【0051】
光遮蔽層36,37は、例えば、緑色の光を透過するカラーフィルタにて形成されている。なお、光遮蔽層37については、蛍光体層16の上面を覆っているので、全波長反射の光遮蔽層は不可である。本実施形態においては、蛍光体層の全辺をカラーフィルタにより覆っているため、蛍光体層からの発光に含まれる不要な波長成分の放射を抑制することが出来、色再現範囲を大とすることができる。
【0052】
〔実施形態6〕
本発明のさらに他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0053】
図8は、本実施形態の光源装置8の構成を示す縦断面図である。
図8に示すように、光源装置8は、
図1に示した光源装置1の光遮蔽層18に代えて、光遮蔽層38,39を有している。また、光源装置8は、光源装置1の中央部の発光素子13の上の緑色の蛍光体層16に代えて、緑色の蛍光体層52を有している。
【0054】
蛍光体層52は、蛍光体層15よりも高さが高く、上部が蛍光体層15の上面の一部分まで迫り出した迫出し部52aを有する。緑色の蛍光体層52は、このような形状により、厚膜化および広面積化されている。高面積化することで接着面積が増え、蛍光体層15および蛍光体層16は剥がれ難くなる。
【0055】
光遮蔽層38,39は、全波長反射膜にて形成されている。このうち、光遮蔽層38は、光遮蔽層18と同様、蛍光体層15,52の側面の下端部から途中までを覆っている。ただし、蛍光体層15,52の間の光源装置は、蛍光体層15の側面の下端部から上端部までを覆っている。また、光遮蔽層39は、蛍光体層52の迫出し部52aの下面、および迫出し部52aの下方の部分である、蛍光体層15の上面の一部を覆っている。なお、全波長反射膜から光遮蔽層39が蛍光体層15の上面全体を覆うことは、蛍光体層15から赤色光を取り出せなくなるので、不可である。蛍光体層の色変換能力は材料の特性と形成厚に依存するため、蛍光体層52の材料としての色変換特性が低い場合でも、本実施形態では蛍光体層52を厚く形成することができ、光源装置の色再現範囲を大きくできる。
【0056】
〔実施形態7〕
本発明のさらに他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0057】
図9は、本実施形態の光源装置9の構成を示す縦断面図である。
図9に示すように、光源装置9は、
図1に示した光源装置1の光遮蔽層18に代えて、光遮蔽層32を有している。光遮蔽層32は、透明樹脂層32aを金属膜32bにて覆った構成であり、高さが蛍光体層15,16の上面とほぼ同じ高さとなっている。光遮蔽層32と蛍光体層15、16をほぼ同じ高さとすることですることで、光遮蔽層32と蛍光体層15、16の接着面積が最大化でき、蛍光体層15および蛍光体層16は剥がれ難くなる。また、光遮蔽層32は、透明樹脂層32aを金属膜32bにて覆っているので、光反射機能を有する。光源装置9のその他の構成は、光源装置1と同様である。光遮蔽層32は透明樹脂32aの代わりに、Si、Al、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、Al
2O
3、SiO
2、TiO
2、GaN、InGaN、AlGaNなどの無機物を金属膜32bにて覆った構成であってもよく、無機物で光遮蔽層32を構成する場合には、その形成に例えば湿式エッチングや乾式エッチングを用いる。光源装置9は、光源装置1の前述した作用効果と同様の作用効果を奏する。例えば、金属のみからなる光遮蔽層を数μmの厚みで形成することは一般的には難しく、画素のサイズによっては、本実施形態のように樹脂で形成した構造に金属膜を形成する方が容易である。なお、本実施形態の光源装置9の製造方法の例を後述する。
【0058】
〔実施形態8〕
本発明のさらに他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0059】
図10は、本実施形態の光源装置10の構成を示す縦断面図である。
図10に示すように、光源装置10は、
図1に示した光源装置1の光遮蔽層18に代えて、光遮蔽層40を有している。光遮蔽層40は、例えば、青色を透過しないカラーフィルタにて形成されており、高さが蛍光体層15,16の上面と同じ高さとなっている。光遮蔽層40を構成する樹脂材料と蛍光体層15を構成する樹脂材料を同一としたり、異なる樹脂材料であっても親和性の高い樹脂材料により形成したりすることで、光遮蔽層40と蛍光体層15、16の密着性を高め、蛍光体層15および蛍光体層16は剥がれ難くなる。加えて、光遮蔽層40と蛍光体層15、16をほぼ同じ高さとすることですることで、光遮蔽層40と蛍光体層15、16の接着面積が最大化でき、蛍光体層15および蛍光体層16は剥がれ難くなる。
【0060】
また、光源装置10は、上面に蛍光体層15,16が設けられている発光素子13以外の発光素子13の上面に透明層53が設けられている。透明層53は、蛍光体を含まない樹脂層からなる。
【0061】
上記のように、光源装置10は、3個の発光素子13のうち、2個の発光素子13に上には蛍光体層15,16が設けられ、残り1個の発光素子13の上には透明層53が設けられているので、各色の配向特性を揃えることができる。光源装置10のその他の作用効果は、光源装置1の前述した作用効果と同様である。
【0062】
図11は、
図10に示した光源装置10の変形例に係る光源装置66の構成を示す縦断面図である。
図11に示す光源装置66は、蛍光体層15,16、透明層53および光遮蔽層40の上にダイクロイックミラー層101を有している。蛍光体層15、16および光遮蔽層40にまたがるようにダイクロイックミラー層101が形成されることで、蛍光体層15および蛍光体層16は剥がれ難くなる。加えて、このような光源装置66では、赤色サブ画素および緑色サブ画素となる蛍光体層15,16のみによっては青色光を吸収しきれない場合であっても、ダイクロイックミラー層101が存在することにより、青色光の光路長が長くなり、蛍光体層15,16での青色光の吸収が大となる。これにより、色再現範囲を大きくすることができる。加えて、蛍光体には一般的に自己吸収と呼ばれる、自身の発光の一部を吸収する特性があり、蛍光体層15,16を厚くしたり、蛍光体層15,16における蛍光体の濃度を高めたりすると、発光効率の低下や発光ピーク波長の長波長側へのシフトが見られる。一方で、色再現範囲を大にするためには発光素子13からの青色光の抜けを抑制することが必要であり、可能な限り蛍光体層15,16の厚みを厚くしたり、蛍光体層15,16における蛍光体の濃度を高くしたりしたい。つまり、蛍光体層15,16のみでは色再現範囲と効率とのトレードオフがある。このため、発光素子13からの青色光のみを反射するカラーフィルタや発光素子13からの青色光のみを反射するダイクロイックミラー101を形成することで色再現範囲の拡大や蛍光体発光効率の向上を両立できる。
【0063】
図12は、
図10に示した光源装置10の他の変形例に係る光源装置67の構成を示す縦断面図である。
図12に示す光源装置67は、ダイクロイックミラー層101の上、かつ赤色の蛍光体層15の上に赤色のカラーフィルタ層102を有し、ダイクロイックミラー層101の上、かつ緑色の蛍光体層16の上に緑色のカラーフィルタ層103を有している。蛍光体層15、16および光遮蔽層40にまたがるようにダイクロイックミラー層101が形成されることで、蛍光体層15および蛍光体層16は剥がれ難くなる。加えて、このような光源装置67では、色再現範囲をさらに大きくすることができる。
【0064】
図13は、
図10に示した光源装置10のさらに他の変形例に係る光源装置68の構成を示す縦断面図である。
図13に示す光源装置68は、
図11に示した光源装置66とは異なり、透明層53の上にダイクロイックミラー層101を有していない構成である。このような光源装置68の作用効果については、光源装置66の前述した作用効果と同様である。
【0065】
〔実施形態9〕
本発明のさらに他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0066】
図14は、本実施形態の光源装置61の構成を示す縦断面図である。
図15は、
図14に示した光源装置61の変形例に係る光源装置62の構成を示す縦断面図である。
図14に示すように、光源装置61は、
図1に示した光源装置1の光遮蔽層18に代えて、光源装置10と同様、光遮蔽層40を有している。
【0067】
光源装置61は、光源装置10とは異なり、赤色の蛍光体層15の上に、赤色光を透過するカラーフィルタ層41を有し、緑色の蛍光体層16の上に、緑色光を透過するカラーフィルタ層42を有している。カラーフィルタ層41,42の上面の高さは、光遮蔽層40の上面とほぼ同じ高さとなっている。したがって、蛍光体層15,16の上面の高さは、光遮蔽層40の上面の高さよりも低くなっている。蛍光体層15、16および光遮蔽層40の両者に接するようにカラーフィルタ層41,42が形成されることで、蛍光体層15および蛍光体層16は剥がれ難くなる。
【0068】
なお、光源装置61は、光遮蔽層40の高さが蛍光体層15,16の上面の高さと同じ高さの構成であってもよい。このような構成の光源装置を
図15に光源装置62として示す。このように光遮蔽層40とカラーフィルタ層41、42を形成することで、実施形態5と比較して蛍光体層15、16を覆うカラーフィルタの厚さは厚くなるため、より色再現範囲を大とすることが容易となる。
【0069】
なお、カラーフィルタ層41、42は、カラーフィルタ材料の代わりに青色の波長を選択的に反射するダイクロイックミラーであっても良い。ダイクロイックミラーとすることで、蛍光体からの発光は全て取り出し、且つ、発光素子からの発光を反射するため、色再現範囲を大にすることと色変換能力を向上することの両者を同時に達成することができる。
【0070】
(実施例1)
以下に光源装置61の一実施例について、光遮蔽層40を備えることの効果とともに説明する。なお、上記効果については
図27にも示した。
【0071】
上述した光源装置61の構成で、発光素子13からの青色光を吸収するカラーフィルタ材料を用いて幅1μm、厚さ1μmの光遮蔽層40、8μm×24μmのサイズの発光素子13を有する光源装置61を作製した。各色に相当する画素のみを点灯させた際のCIE1931色座標値を測定し、色域面積を計算した。赤色画素のみ点灯時はx=0.620/y=0.308、緑色画素のみ点灯時はx=0.208/y=0.645、青色画素のみ点灯時はx=0.146/y=0.040となった。また色域面積比率は、対BT2020で63.7%、対NTSCで85.3%、対sRGBで120.5%となった。
【0072】
続いて、光遮蔽層40がないこと以外は光源装置61と同様の構成の光源装置を作製し、各色に相当する画素のみを点灯させた際のCIE1931色座標値を測定し、色域面積を計算した。赤色画素のみ点灯時はx=0.257/y=0.162、緑色画素のみ点灯時はx=0.213/y=0.255、青色画素のみ点灯時はx=0.158/y=0.063となった。また色域面積比率は、対BT2020で3.2%、対NTSCで4.3%、対sRGBで6.0%となった。
【0073】
このように、光遮蔽層40の形成により、光源装置61の色再現範囲が大きくなっていることがわかる。
【0074】
〔実施形態10〕
本発明のさらに他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0075】
図16は、本実施形態の光源装置63の構成を示す縦断面図である。
図17は、
図16に示した光源装置63の変形例に係る光源装置64の構成を示す縦断面図である。
図18は、
図16に示した光源装置63の他の変形例に係る光源装置65の構成を示す縦断面図である。
【0076】
図16に示すように、光源装置63は、
図1に示した光源装置1の光遮蔽層18に代えて、光遮蔽層43を有している。本実施形態において、光遮蔽層43の高さは蛍光体層15,16の上面の高さと同じである。光遮蔽層43は、補助層43aおよび本体層43bからなる。
【0077】
補助層43aは、補強樹脂層14の上面に設けられ、下面の幅が補強樹脂層14の上面の幅よりも狭くなっている。補助層43aは、例えば赤色蛍光体からなる蛍光体層である。本体層43bは、補助層43aの下面を除く、側面および上面を覆うように設けられている。本体層43bは、光遮蔽部材である例えばカラーフィルタにて形成されている。光遮蔽層43では、補助層43aの幅<本体層43bの幅≒補強樹脂層14の幅、となっている。
【0078】
補助層43aの補強樹脂層14に対する密着性は良好である。したがって、光源装置63は、補強樹脂層14に対する本体層43bの密着性が低い場合であっても、補強樹脂層14に対して高い密着性を有する光遮蔽層43を補強樹脂層14の上に設けることができる。
【0079】
なお、補助層43aの幅、補強樹脂層14の幅および本体層43bの幅の関係は、上記の関係に限定されず、補助層43aの幅は、補強樹脂層14の幅よりも小さくても同程度でもよい。ただし、補助層43aの幅≦補強樹脂層14の幅であることが必要である。
【0080】
例えば、
図17に示す光源装置64では、補助層43aの幅≒補強樹脂層14の幅<本体層43bの幅、となっている。また、
図18に示す光源装置65では、補助層43aの上面のみを覆うように本体層43bが設けられており、補助層43aの幅≒補強樹脂層14の幅≒本体層43bの幅、となっている。
【0081】
〔光源装置の製造方法1〕
本実施形態の光源装置の製造方法について説明する。
図19は、本実施形態の光源装置の製造方法を示す縦断面図である。なお、
図19は、例えば、
図10に示した光源装置10の製造方法に相当し、また、光源装置10とは、蛍光体層15と蛍光体層16の位置が逆の場合の例を示している。
【0082】
まず、
図19の(a)に示すように、下地基板11の上に電極12、発光素子13および補強樹脂層14を設けた状態とする。下地基板11に電極12を介して、発光素子13を接合した後、補強樹脂を下地基板と発光素子間に充填することで
図19(a)のような状態とすることができる。あるいは補強樹脂の代わりにSi、Al、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、Al
2O
3、SiO
2、TiO
2、GaN、InGaN、AlGaNなどの無機材料からなる無機補強層を下地基板11もしくは発光素子13のサブ画素側面に事前に形成し、下地基板11と発光素子13を電極12を介して接合することで
図19(a)のような状態とすることも可能である。この時、発光素子13はサファイアやGaN、Siなどの成長基板状にアレイ以上に形成され、下地基板に接合後、レーザー(たとえば紫外線レーザー)照射、あるいは研削や研磨等で成長基板を剥離することも可能である。あるいは、個々の発光素子を順次下地基板に接合することも可能である。加えて、補強樹脂重点後あるいは成長基板剥離後に、研磨や洗浄などにより、平坦な発光素子表面としたり、不要な材料の吸着や残渣の無い発光素子表面とすることができる。
【0083】
次に、3個の発光素子13および補強樹脂層14の上面の全面に、例えば光遮蔽層40を形成するための光遮蔽層材料を塗布して光遮蔽層形成層81を形成する。なお、図中では発光素子は赤色・緑色・青色のそれぞれに相当する3サブ画素となっているが、本来はm行n列(mおよびnは2以上の整数)のアレイ状の発光素子である。
【0084】
次に、光遮蔽層形成層81に対しての、
図19の(b)に示す、フォトマスク82を使用した露光工程、および
図19の(c)に示す現像工程を経て、光遮蔽層40を形成する。
【0085】
次に、
図19の(d)に示すように、3個の発光素子13の上面に、蛍光体層15を形成するための赤色の蛍光体層材料を塗布して蛍光体層形成層83を形成する(蛍光体層材料塗布工程)。
【0086】
次に、蛍光体層形成層83に対しての、
図19の(e)に示す、フォトマスク84を使用した露光工程、および
図19の(f)に示す現像工程を経て、中央部の発光素子13の上に赤色の蛍光体層15を形成する。
【0087】
その後、
図19の(d)から
図19の(f)に示した蛍光体層材料塗布工程、露光工程および現像工程と同様の工程を繰り返すことにより、赤色の蛍光体層15を形成した発光素子13の隣の発光素子13の上面に緑色の蛍光体層16および透明層53を形成する。
同様に、
図19の(d)から
図19の(f)に示した塗布工程、露光工程および現像工程と同様の工程を繰り返すことにより、蛍光体上面にカラーフィルタ層を形成することができる。また、露光幅を蛍光体層幅よりも大きくすることで、蛍光体層上面と同時に蛍光体層側面にもカラーフィルタ層を形成することが可能である。あるいは、
図19の(a)から
図19の(c)に示した塗布工程、露光工程および現像工程と同様の工程を繰り返すことにより、蛍光体層間に光遮蔽層を同じ個所に重ねて形成し、蛍光体層間により高さのある光遮蔽層とすることができる。
【0088】
なお、本製造方法の各工程において、必要に応じて、塗布後、露光後、現像後に適切な温度・時間でのベーキングを行う。また、本実施形態には下地層31を示していないが、実施形態2に記載の通り、下地基板11上に下地層が形成されていてもよい。
【0089】
光遮蔽層18は、図中には示していないが、実施形態1に記載の通り、ほかの形成方法として、Si、Al、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、Al2O3、SiO2、TiO2、GaN、InGaN、AlGaNなどの無機物を発光素子13および補強樹脂層14上に形成し、感光性を持つ樹脂を塗布し、露光・現像・露光・硬化を行うことで、発光素子直上の無機物上に樹脂を形成した後、露出された領域の無機物を湿式又は乾式エッチングすることによって形成することもできる。なお、露光する領域は樹脂の感光性に依存し、ネガ型であれば補強樹脂上の領域を主とした露光とし、ポジ型であれば発光素子上の領域を主とした露光とする。
【0090】
〔光源装置の製造方法2〕
本実施形態の光源装置の他の製造方法について説明する。
図20は、本実施形態の光源装置の他の製造方法を示す縦断面図である。なお、
図20は、例えば、
図1に示した光源装置1の製造方法に相当し、また、光源装置1とは、蛍光体層15と蛍光体層16の位置が逆の場合の例を示している。
【0091】
まず、
図20の(a)に示すように、下地基板11の上に電極12、発光素子13および補強樹脂層14を設けた状態とする。次に、3個の発光素子13および補強樹脂層14の上面の全面に、赤色の蛍光体層材料を塗布して蛍光体層形成層85を形成する(蛍光体層材料塗布工程)。
【0092】
次に、
図20の(b)に示す、フォトマスク84を使用した蛍光体層形成層85に対する露光工程、および
図20の(c)に示す現像工程を経て、中央部の発光素子13の上に赤色の蛍光体層15を形成する。
【0093】
その後、上記の蛍光体層材料塗布工程、露光工程および現像工程により、赤色の蛍光体層15を形成した発光素子13の隣の発光素子13の上面に、緑色の蛍光体層16を形成する。
【0094】
次に、
図20の(d)に示すように、3個の発光素子13の上面および補強樹脂層14の上面の蛍光体層15,16が存在しない領域の全面に、光遮蔽層18を形成するため光遮蔽層材料を塗布して光遮蔽層形成層86を形成する(蛍光体層塗布工程)。
【0095】
次に、光遮蔽層形成層86に対しての、
図20の(e)に示す、フォトマスク82を使用した露光工程、および
図20の(f)に示す現像工程を経て、光遮蔽層18を形成する。
【0096】
なお、本製造方法の各工程において、必要に応じて、塗布後、露光後、現像後に適切な温度・時間でのベーキングを行う。また、本実施形態には下地層31を示していないが、実施形態2に記載の通り、下地基板11上に下地層が形成されていてもよい。
【0097】
〔光源装置の製造方法3〕
本実施形態の光源装置のさらに他の製造方法について説明する。
図21は、本実施形態の光源装置のさらに他の製造方法を示す縦断面図である。なお、
図21は、例えば、光遮蔽層32を有する光源装置9(
図9参照)の製造方法に相当し、さらに光遮蔽層43を有する光源装置63(
図16参照)および光源装置64(
図17参照)の製造方法にも適用可能である。
【0098】
まず、
図21の(a)に示すように、下地基板11の上に電極12、発光素子13および補強樹脂層14を設けた状態とする。次に、3個の発光素子13および補強樹脂層14の上面の全面に、透明樹脂を塗布して透明樹脂層87を形成する。
【0099】
次に、透明樹脂層87に対しての、
図21の(b)に示す、フォトマスク82を使用した露光工程、および
図21の(c)に示す現像工程を経て光遮蔽層32の透明樹脂層32aを形成する。なお、ここでは、透明樹脂層32aの幅は、補強樹脂層14の幅と同じになっている。
【0100】
次に、
図21の(d)に示すように、3個の発光素子13の上面および各透明樹脂層32aの上面に、リフトオフレジストを塗布してリフトオフレジスト層88を形成する。
【0101】
次に、リフトオフレジスト層88に対しての、
図21の(e)に示す、フォトマスク82を使用した露光工程、および
図21の(f)に示す現像工程により、補強樹脂層14の上面のリフトオフレジスト層88を除去する。
【0102】
次に、
図21の(g)に示すように、補強樹脂層14の上面および側面、並びに発光素子13上のリフトオフレジスト層88の上面に金属膜89を蒸着する。なお、補強樹脂層14に蒸着した金属膜89は、光遮蔽層32の金属膜32bとなる。これにより、透明樹脂層32aの側面および上面を金属膜32bにて覆った光遮蔽層32が形成される。
【0103】
次に、
図21の(g)に示すように、発光素子13上のリフトオフレジスト層88および金属膜89を除去する(リフトオフ工程)。
【0104】
その後、
図19の(d)から
図19の(f)に示した蛍光体層材料塗布工程、露光工程および現像工程と同様の工程を繰り返すことにより、赤色の蛍光体層15および緑色の蛍光体層16を形成する。
【0105】
なお、本製造方法の各工程において、必要に応じて、塗布後、露光後、現像後に適切な温度・時間でのベーキングを行う。また、本実施形態には下地層31を示していないが、実施形態2に記載の通り、下地基板11上に下地層が形成されていてもよい。
【0106】
〔光源装置の製造方法4〕
本実施形態の光源装置のさらに他の製造方法について説明する。
図22は、本実施形態の光源装置のさらに他の製造方法を示す縦断面図である。なお、
図22は、例えば、光遮蔽層32を有する光源装置9(
図9参照)の製造方法に相当し、さらに光遮蔽層43を有する光源装置63(
図16参照)および光源装置64(
図17参照)の製造方法にも適用可能である。
【0107】
まず、
図22の(a)に示すように、下地基板11の上に電極12、発光素子13および補強樹脂層14を設けた状態とする。次に、3個の発光素子13および補強樹脂層14の上面の全面に、リフトオフレジストを塗布してリフトオフレジスト層90を形成する。
【0108】
次に、リフトオフレジスト層90に対しての、
図22の(b)に示す、フォトマスク91を使用した露光工程、および
図22の(c)に示す現像工程を経て、補強樹脂層14上のリフトオフレジスト層90を除去する。
【0109】
次に、
図22の(d)に示すように、3個の発光素子13の上面および補強樹脂層14の上面に、例えばカラーフィルタ材料を塗布すること、または金属膜を蒸着することにより、光遮蔽層形成層92を形成する。
【0110】
次に、
図22の(e)に示すように、発光素子13上のリフトオフレジスト層90を除去し(リフトオフ工程)、これにより補強樹脂層14上の光遮蔽層形成層92のみを残す。残った光遮蔽層形成層92は、光遮蔽層93となる。なお、光遮蔽層形成層92を金属膜を蒸着にて形成した場合、光遮蔽層93は反射層となる。
【0111】
その後、
図19の(d)から
図19の(f)、あるいは
図20の(a)から
図20の(c)に示した蛍光体層材料塗布工程、露光工程および現像工程と同様の工程により、
図22の(f)に示すように、赤色の蛍光体層15を形成する。さらに、同様にして緑色の蛍光体層16を形成する。
【0112】
なお、本製造方法の各工程において、必要に応じて、塗布後、露光後、現像後に適切な温度・時間でのベーキングを行う。また、本実施形態には下地層31を示していないが、実施形態2に記載の通り、下地基板11上に下地層が形成されていてもよい。
【0113】
〔光源装置の製造方法5〕
本実施形態の光源装置のさらに他の製造方法について説明する。
図23は、本実施形態の光源装置のさらに他の製造方法を示す縦断面図である。なお、
図23は、例えば、光遮蔽層40を有する光源装置10(
図10参照)の製造方法に相当し、さらに光遮蔽層40を有する光源装置66,67,61(
図11,12,13参照)などの製造方法にも適用可能である。
【0114】
まず、
図23の(a)に示すように、下地基板11の上に電極12、発光素子13および補強樹脂層14を設けた状態とする。次に、3個の発光素子13および補強樹脂層14の上面の全面に、赤色の蛍光体層材料を塗布して蛍光体層形成層85を形成する(蛍光体層材料塗布工程)。
【0115】
次に、
図23の(b)に示す、フォトマスク84を使用した蛍光体層形成層85に対する露光工程、および
図23の(c)に示す現像工程を経て、中央部の発光素子13の上に赤色の蛍光体層15を形成する。
【0116】
その後、
図23の(d)に示すように、上記の蛍光体層材料塗布工程、露光工程および現像工程により、赤色の蛍光体層15を形成した発光素子13の隣の発光素子13の上面に、緑色の蛍光体層16および透明層53を形成する。
【0117】
次に、
図23の(e)に示すように、蛍光体層15,16および透明層53の上面並びに補強樹脂層14の上面に、リフトオフレジスト(ポジ型レジスト)を塗布してリフトオフレジスト層88を形成する。
【0118】
次に、リフトオフレジスト層88に対しての、
図23の(f)に示す、フォトマスク82を使用した露光工程、および
図23の(g)に示す現像工程により、補強樹脂層14の上面のリフトオフレジスト層88を除去する。
【0119】
次に、
図23の(h)に示すように、補強樹脂層14の上面並びに蛍光体層15,16および透明層53の上のリフトオフレジスト層88の上面に反射膜となる金属膜89を蒸着する。なお、補強樹脂層14に蒸着した金属膜89は光遮蔽層40となる(
図23の(i)参照)。
【0120】
次に、
図23の(i)に示すように、蛍光体層15,16および透明層53の上のリフトオフレジスト層88および金属膜89を除去する(リフトオフ工程)。
【0121】
なお、本製造方法の各工程において、必要に応じて、塗布後、露光後、現像後に適切な温度・時間でのベーキングを行う。また、本実施形態には下地層31を示していないが、実施形態2に記載の通り、下地基板11上に下地層が形成されていてもよい。
【0122】
〔光源装置の製造方法6〕
本実施形態の光源装置のさらに他の製造方法について説明する。
図24は、本実施形態の光源装置のさらに他の製造方法を示す縦断面図である。なお、
図24は、例えば、光遮蔽層40を有する光源装置10(
図10参照)の製造方法に相当し、さらに光遮蔽層40を有する光源装置66,67,61(
図11,12,13参照)などの製造方法にも適用可能である。
【0123】
【0124】
図24の(e)に示すように、蛍光体層15,16および透明層53の上面並びに補強樹脂層14の上面に、光反射性樹脂(ネガ型レジスト)を塗布して光反射性樹脂層111を形成する。
【0125】
次に、光反射性樹脂層111に対しての、
図24の(f)に示す、フォトマスク82を使用した露光工程、および
図24の(g)に示す現像工程により、蛍光体層15,16および透明層53の上面の光反射性樹脂層111を除去する。これにより、光源装置を得る。
【0126】
(製造方法6の変形例1)
また、本製造方法では、
図24の(e)~(g)に示す工程は、
図24の(h)~(j)に示す工程に代えてもよい。この場合には、
図24の(h)に示すように、補強樹脂層14の上面に、光反射性樹脂を塗布して光反射性樹脂層113(ネガ型レジスト)を形成する。
【0127】
次に、光反射性樹脂層113に対しての、
図24の(i)に示す、前記フォトマスク82を使用しない露光工程、および
図24の(j)に示す現像工程により、蛍光体層15,16および透明層53の上面の光反射性樹脂層111を除去する。これにより、光源装置を得る。
【0128】
(製造方法6の変形例2)
また、本製造方法では、
図24の(e)~(g)に示す工程は、
図24の(k)~(l)に示す工程に代えてもよい。この場合には、
図24の(k)に示すように、補強樹脂層14の上面に、光反射性樹脂(熱硬化型レジスト)を塗布して光反射性樹脂層112を形成する。
【0129】
次に、光反射性樹脂層112に対しての
図24の(l)に示す熱硬化工程により光反射性樹脂層112を硬化させる。これにより、光源装置を得る。このように、光反射性樹脂層112の光反射性樹脂が熱硬化型であって、光反射性樹脂層112を蛍光体層15,16および透明層53と同じ厚みで各層間(補強樹脂層14の上面)に塗布できる場合には、光反射性樹脂層112を熱処理のみで硬化させても良い。
【0130】
なお、本製造方法の各工程において、必要に応じて、塗布後、露光後、現像後に適切な温度・時間でのベーキングを行う。また、本実施形態には下地層31を示していないが、実施形態2に記載の通り、下地基板11上に下地層が形成されていてもよい。
【0131】
〔光源装置の製造方法7〕
本実施形態の光源装置のさらに他の製造方法について説明する。
図25は、本実施形態の光源装置のさらに他の製造方法を示す縦断面図である。なお、
図25は、例えば、光遮蔽層40を有する光源装置10(
図10参照)のうち、すべての発光素子上に黄色蛍光体と赤色・緑色・青色のいずれかのカラーフィルタが形成された変形例となる光源装置の製造方法に相当し、さらに光遮蔽層40を有する光源装置66,67,61(
図11,12,13参照)における同様の変形例などの製造方法にも適用可能である。
【0132】
図25の(a)から
図25の(d)の工程は、
図23の(a)から
図23の(d)の工程と一部を除いて同じであるので、相違する点のみについて説明する。
図25の(b)では、前記フォトマスク84に代えて開口幅の広いフォトマスク121を使用する。これにより、蛍光体層15の幅は、蛍光体層15の両側の補強樹脂層14の上まで広がる。この点は、蛍光体層16および透明層53についても同様である。これにより、
図25の(d)に示すように、蛍光体層15は、隣り合う蛍光体層16および透明層53と接する状態となる。
【0133】
次に、
図25の(e)に示すように、蛍光体層15,16および透明層53の上面に、保護用レジスト(ネガ型レジスト)を塗布して保護用レジスト層122を形成する。
【0134】
次に、保護用レジスト層122に対しての、
図25(f)に示す、フォトマスク82を使用した露光工程、および
図25の(g)に示す現像工程により、補強樹脂層14の上面に相当する部分の保護用レジスト層122を除去する。
【0135】
次に、
図25の(h)に示すように、エッチングにより、保護用レジスト層122、並びに補強樹脂層14の上面に相当する部分の蛍光体層15,16および透明層53を除去する。
【0136】
次に、
図23の(e)~(i)に示した、リフトオフレジスト塗布、露光、現像、金属膜蒸着およびリフトオフの各工程により、
図25の(i)に示すように、補強樹脂層14の上に光遮蔽層40を形成し、光源装置を得る。
【0137】
なお、本製造方法の各工程において、必要に応じて、塗布後、露光後、現像後に適切な温度・時間でのベーキングを行う。また、本実施形態には下地層31を示していないが、実施形態2に記載の通り、下地基板11上に下地層が形成されていてもよい。
【0138】
〔光源装置の製造方法8〕
本実施形態の光源装置のさらに他の製造方法について説明する。
図26は、本実施形態の光源装置のさらに他の製造方法を示す縦断面図である。なお、
図26は、例えば、光遮蔽層40を有する光源装置10(
図10参照)のうち、すべての発光素子上に黄色蛍光体と赤色・緑色・青色のいずれかのカラーフィルタが形成された変形例となる光源装置の製造方法に相当し、さらに光遮蔽層40を有する光源装置66,67,61(
図11,12,13参照)における同様の変形例などの製造方法にも適用可能である。
【0139】
まず、
図26の(a)に示すように、3個の発光素子13および補強樹脂層14の上面の全面に、黄色の蛍光体層材料を塗布して蛍光体層形成層131を形成する(蛍光体層材料塗布工程)。
【0140】
次に、
図26の(b)に示すように、蛍光体層形成層131の上面に、保護用レジスト(ネガ型レジスト)を塗布して保護用レジスト層122を形成する。
【0141】
次に、保護用レジスト層122に対しての、
図26の(c)に示す、フォトマスク82を使用した露光工程、および
図26の(d)に示す現像工程により、補強樹脂層14の上面に相当する部分の保護用レジスト層122を除去する。
【0142】
次に、
図26の(e)に示すように、エッチングにより、保護用レジスト層122、並びに補強樹脂層14の上面に相当する部分の蛍光体層形成層131を除去し、各発光素子13上に独立した蛍光体層134を形成する。
【0143】
次に、
図23の(e)~(i)に示した、リフトオフレジスト塗布、露光、現像、金属膜蒸着およびリフトオフの各工程により、
図26の(f)に示すように、補強樹脂層14の上に光遮蔽層40を形成する。
【0144】
次に、
図26の(g)に示すように、蛍光体層134および補強樹脂層14の上面に、緑色のカラーフィルタ材料(ネガ型レジスト)を塗布してカラーフィルタ形成層135を形成する。
【0145】
次に、カラーフィルタ形成層135に対しての、
図26の(h)に示す、フォトマスク136を使用した露光工程、および
図26の(i)に示す現像工程により、一つの蛍光体層134の上に緑色のカラーフィルタ層137を形成する。
【0146】
その後、緑色のカラーフィルタ材料に代えて、赤色のカラーフィルタ材料および青色のカラーフィルタ材料を使用して、
図26の(g)から
図26の(i)の工程を繰り返し、
図26の(j)に示すように、他の一つ蛍光体層134の上に赤色のカラーフィルタ層138を形成し、さらに他の一つ蛍光体層134の上に青色のカラーフィルタ層139を形成し、光源装置を得る。
【0147】
なお、本製造方法の各工程において、必要に応じて、塗布後、露光後、現像後に適切な温度・時間でのベーキングを行う。また、本実施形態には下地層31を示していないが、実施形態2に記載の通り、下地基板11上に下地層が形成されていてもよい。
【0148】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る光源装置は、赤色画素用、緑色画素用および青色画素用の各発光素子と、前記赤色画素用の発光素子および前記緑色画素用の発光素子の上のみに設けられ、前記発光素子からの光の出射側位置に、一部が前記発光素子と接触する蛍光体層と、隣り合う前記蛍光体層同士の間に設けられ、前記蛍光体層とは異なる光遮蔽層と、隣り合う前記発光素子同士の間に設けられた補強層とを備えている。
【0149】
発光素子は例えばGaN/InGaNからなり、P電極およびN電極のいずれかもしくは両者がメサ構造を有していても良い。補強層により発光素子が下地基板から剥離しにくくなる。なお、補強層は発光素子間および発光素子と電極、下地基板の間に存在し、発光素子の剥離を抑制すれば良く、構成材料は限定されず、無機材料からなる補強層であってもよい。
【0150】
本発明の態様2に係る光源装置は、上記態様1において、前記蛍光体層は有機もしくは無機の材料から成る蛍光体を1種もしくは複数種含む構成としてもよい。発光素子あるいは下地層、光遮蔽層との密着性に優れた蛍光体層と色変換能力に優れた蛍光体層を形成することが容易となり、蛍光体層が剥れ抑制と色変換能力の向上を同時に実現できる。さらに複数の蛍光体層を有するため色再現範囲や輝度を制御することができる。
【0151】
本発明の態様3に係る光源装置は、上記態様2において、前記蛍光体層は1種類もしくは複数種類である構成としてもよい。
【0152】
上記構成とした理由は、発光素子あるいは下地層、光遮蔽層との密着性に優れた蛍光体層と色変換能力に優れた蛍光体層を形成することが容易となり、蛍光体層が剥れ抑制と色変換能力の向上を同時に実現できるからである。赤色と緑色とで蛍光体層が異なってもよいため。また、「黄色蛍光体+カラーフィルタ」の場合もあれば、「赤色蛍光体+緑色蛍光体(+カラーフィルタ)」の場合もあり得る。
【0153】
本発明の態様4に係る光源装置は、上記態様3において、前記光遮蔽層は、前記蛍光体層間だけでなく、前記蛍光体層上にも形成されている構成としてもよい。
【0154】
蛍光体層間に加えて蛍光体層上にも光遮蔽層が形成されていることで蛍光体層が剥れ難くなる。さらに蛍光体層の側面から射出される光の波長をコントロールする。緑色光で赤色蛍光体が励起されるため、緑色蛍光体から成る蛍光体層の側面からの光を低減することで、クロストーク低減が可能となる。
【0155】
本発明の態様5に係る光源装置は、上記態様4において、前記蛍光体層間の前記光遮蔽層と前記蛍光体層上の前記光遮蔽層とは材質が異なる構成としてもよい。
【0156】
赤色および緑色発光させたい箇所の蛍光体層は黄色蛍光体としてもよい。実際に、以下のような可能性が考えられる。
【0157】
赤発光画素:
(1)赤蛍光体、
(2)赤蛍光体+赤カラーフィルタ
(3)黄蛍光体+赤カラーフィルタ
(4)赤蛍光体+ダイクロイックミラー
(5)赤蛍光体+ダイクロイックミラー+赤カラーフィルタ
(6)黄蛍光体+ダイクロイックミラー+赤カラーフィルタ
【0158】
緑発光画素:
(1)緑蛍光体、
(2)緑蛍光体+緑カラーフィルタ
(3)黄蛍光体+緑カラーフィルタ
(4)緑蛍光体+ダイクロイックミラー
(5)緑蛍光体+ダイクロイックミラー+緑カラーフィルタ
(6)黄蛍光体+ダイクロイックミラー+緑カラーフィルタ
【0159】
この他、蛍光体は1種類に限らず、複数種の蛍光体、例えば、赤発光画素に置いて、「赤蛍光体+黄蛍光体」など異なる発光色の蛍光体2種類を用いたり、「赤蛍光体1+赤蛍光体2」など同じ発光色の蛍光体を複数種類用いたりすることができる。
【0160】
本発明の態様6に係る光源装置は、上記態様5において、各々の前記発光素子毎に前記蛍光体層をもしくは樹脂層を有している構成としてもよい。
【0161】
液晶ディスプレイの場合は白色発光するLED(青色LED+蛍光体)1つに対して複数の変換層がある。一方、各画素に青発光素子、緑色発光素子、赤色発光素子など3種類以上の発光素子を用いるμLEDディスプレイは、変換層がない。
【0162】
本発明の態様7に係る光源装置は、上記態様6において、前記蛍光体層上の前記光遮蔽層に重なるように、異なる蛍光体層が形成されている構成としてもよい。
【0163】
蛍光体層を厚くすることで、色変換能力を向上させることが可能となる。
【0164】
本発明の態様8に係る発光装置は、上記態様7において、前記発光素子がメサ形状を有する構成としてもよい。
【0165】
本発明の態様9に係る発光装置は、上記態様1の光源装置を備えている構成としてもよい。
【0166】
本発明の態様10に係る発光装置は、複数の発光素子と、前記発光素子からの光の出射側位置に、前記発光素子ごとに設けられ蛍光体層と、前記発光素子と前記蛍光体層との間に設けられ、これら前記発光素子と前記蛍光体層とは異なる下地層と、隣り合う前記蛍光体層同士の間に設けられ、前記蛍光体層とは異なる光遮蔽層と、隣り合う前記発光素子同士の間に設けられた補強層とを備えている。
【0167】
発光素子は例えばGaN/InGaNからなる。補強層により発光素子が下地基板から剥離しにくくなり、また下地層により蛍光体層の密着力が向上することで蛍光体層が剥離しにくくなる。なお、補強層は発光素子間および発光素子と電極、下地基板の間に存在し、発光素子の剥離を抑制すれば良く、構成材料は限定されず、無機材料からなる補強層であってもよい。
【0168】
本発明の態様11に係る発光装置は、上記態様10において、前記蛍光体層は、有機もしくは無機の材料から成る蛍光体を1種もしくは複数種含む構成としてもよい。このように蛍光体層を複数の層から構成することで、発光素子あるいは下地層、光遮蔽層との密着性に優れた蛍光体層と色変換能力に優れた蛍光体層を形成することが容易となり、蛍光体層が剥れ抑制と色変換能力の向上を同時に実現できる。さらに複数の蛍光体層を有するため色再現範囲や輝度を制御することができる。
【0169】
本発明の態様12に係る発光装置は、上記態様10において、前記蛍光体層は1種類もしくは複数種類である構成としてもよい。
【0170】
上記構成とした理由は、発光素子あるいは下地層、光遮蔽層との密着性に優れた蛍光体層と色変換能力に優れた蛍光体層を同時に用いることで、蛍光体層が剥れ抑制と色変換能力の向上を同時に実現できるからである。さらに各発光色のサブ画素において赤色と緑色とで蛍光体層が異なってもよいからである。また、「黄色蛍光体+カラーフィルタ」の場合もあれば、「赤色蛍光体+緑色蛍光体」や「赤色蛍光体+緑色蛍光体+カラーフィルタ」、「赤色蛍光体+黄色蛍光体」、「赤色蛍光体+黄色蛍光体+カラーフィルタ」、「緑色蛍光体+黄色蛍光体」、「緑色蛍光体+黄色蛍光体+カラーフィルタ」などの場合もあり得る。このように蛍光体層を複数の層から構成することで、色再現範囲や輝度を制御することができる。
【0171】
本発明の態様13に係る発光装置は、上記態様10において、前記光遮蔽層は、前記蛍光体層間だけでなく、前記蛍光体層上にも形成されている構成としてもよい。
【0172】
蛍光体層間に加えて蛍光体層上にも光遮蔽層が形成されていることで蛍光体層が剥れ難くなる。さらに蛍光体層の側面から射出される光の波長をコントロールする。緑色光で赤色蛍光体が励起されるため、緑色蛍光体から成る蛍光体層の側面からの光を低減することで、クロストーク低減が可能となり、光源装置の色再現範囲を大きくすることができる。
【0173】
本発明の態様14に係る発光装置は、上記態様13において、前記蛍光体層間の前記光遮蔽層と前記蛍光体層上の前記光遮蔽層とは材質が異なる構成としてもよい。
【0174】
緑色発光させたい箇所の蛍光体層は黄色蛍光体としてもよい。実際に、以下のような可能性が考えられる。
【0175】
赤発光画素:
(1)赤蛍光体、
(2)赤蛍光体+赤カラーフィルタ
(3)黄蛍光体+赤カラーフィルタ
(4)赤蛍光体+ダイクロイックミラー
(5)赤蛍光体+ダイクロイックミラー+赤カラーフィルタ
(6)黄蛍光体+ダイクロイックミラー+赤カラーフィルタ
【0176】
緑発光画素:
(1)緑蛍光体、
(2)緑蛍光体+緑カラーフィルタ
(3)黄蛍光体+緑カラーフィルタ
(4)緑蛍光体+ダイクロイックミラー
(5)緑蛍光体+ダイクロイックミラー+緑カラーフィルタ
(6)黄蛍光体+ダイクロイックミラー+緑カラーフィルタ
【0177】
この他、蛍光体は1種類に限らず、複数種の蛍光体、例えば、緑発光画素に置いて、「緑蛍光体+黄蛍光体」など異なる発光色の蛍光体2種類を用いたり、「緑蛍光体1+緑蛍光体2」など同じ発光色の蛍光体を複数種類用いたりすることができる。
【0178】
本発明の態様15に係る発光装置は、上記態様10において、各々の前記発光素子毎に前記蛍光体層をもしくは樹脂層を有している構成としてもよい。
【0179】
液晶ディスプレイの場合は白色発光するLED(青色LED+蛍光体)1つに対して複数の変換層がある、つまり、一つの白色発光LEDは複数の画素に対応する。また、各画素に青発光素子、緑色発光素子、赤色発光素子など3種類以上の発光素子を用いるμLEDディスプレイは、変換層がない。一方で、本願の光源装置は各画素に対応する発光素子があり、緑色および赤色に対応する発光素子上には蛍光体層が形成され、加えて、各色画素間には光遮蔽層が形成されている。
【0180】
本発明の態様16に係る発光装置は、上記態様10において、前記発光素子がメサ形状を有する構成としてもよい。
【0181】
本発明の態様17に係る発光装置は、上記態様13において、前記蛍光体層上の前記光遮蔽層に重なるように、異なる蛍光体層が形成されている構成としてもよい。
【0182】
蛍光体層を厚くすることで、色変換能力を向上させることが可能となる。
【0183】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0184】
1~10,61~68 光源装置
11 下地基板
12 電極
13 発光素子
14 補強樹脂層(補強層)
15,16,51,52 蛍光体層
18,32,33~40,43,93 光遮蔽層
31 下地層
32a,17,87 透明樹脂層
32b,89 金属膜
41,42,102,103,137~139 カラーフィルタ層
43a 補助層
43b 本体層
53 透明層
81,86,92 光遮蔽層形成層
82,84,91,121,136 フォトマスク
83,85 蛍光体層形成層
88,90 リフトオフレジスト層
101 ダイクロイックミラー層
201 サファイア基板(成長基板)
202 N-GaN層(第1導電型層)
203 InGaN層(活性層)
204 P-GaN層(第2導電型層)
205 Pd層
206 Au層
210 N電極
211 P電極