IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社SCREENホールディングスの特許一覧

<>
  • 特許-基板処理装置 図1
  • 特許-基板処理装置 図2
  • 特許-基板処理装置 図3
  • 特許-基板処理装置 図4
  • 特許-基板処理装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/324 20060101AFI20230426BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
H01L21/324 K
H01L21/324 R
H01L21/02 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020159350
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022052854
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 幹也
(72)【発明者】
【氏名】池田 文彦
(72)【発明者】
【氏名】松田 耕司
(72)【発明者】
【氏名】中根 慎悟
(72)【発明者】
【氏名】坪田 慎平
【審査官】早川 朋一
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0002853(KR,A)
【文献】特開平10-018063(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0099069(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02-21/62
H01L 21/67-21/687
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置であって、
チャンバと、
前記チャンバ内において基板を支持する基板支持部と、
前記基板支持部に支持された前記基板を加熱する加熱部と、
を備え、
前記チャンバの表面の少なくとも一部が、繊維強化樹脂で構成され、
前記チャンバは、
断熱材を含むコア層と、
前記コア層を覆う層であって、繊維強化樹脂を含む繊維強化樹脂層と、
を有する、基板処理装置。
【請求項2】
板処理装置であって、
チャンバと、
前記チャンバ内において基板を支持する基板支持部と、
前記基板支持部に支持された前記基板を加熱する加熱部と、
を備え、
前記チャンバの表面の少なくとも一部が、繊維強化樹脂で構成され、
前記チャンバは、
第1の繊維強化樹脂で構成される第1の表面と、
前記第1の繊維強化樹脂とは異なる第2の繊維強化樹脂で構成される第2の表面と、
を有する、基板処理装置。
【請求項3】
基板処理装置であって、
チャンバと、
前記チャンバ内において基板を支持する基板支持部と、
前記基板支持部に支持された前記基板を加熱する加熱部と、
を備え、
前記チャンバの表面の少なくとも一部が、積層された複数の繊維強化樹脂の層によって構成されている、基板処理装置。
【請求項4】
請求項に記載の基板処理装置であって、
前記チャンバの表面の少なくとも一部が、積層された異なる種類の繊維強化樹脂で構成されている、基板処理装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の基板処理装置であって、
前記チャンバは、
断熱材を含むコア層と、
前記コア層を覆う層であって、繊維強化樹脂を含む繊維強化樹脂層と
を有する、基板処理装置。
【請求項6】
請求項1または請求項に記載の基板処理装置であって、
前記チャンバは、
前記基板支持部に支持された前記基板の主面に対向する天井部と、
前記基板支持部に支持された前記基板の側面を取り囲む側壁部と、
を有する、基板処理装置。
【請求項7】
請求項に記載の基板処理装置であって、
前記天井部の表面が、繊維強化樹脂で構成されている、基板処理装置。
【請求項8】
請求項または請求項に記載の基板処理装置であって、
前記側壁部の表面が、繊維強化樹脂で構成されている、基板処理装置。
【請求項9】
請求項から請求項のいずれか1項に記載の基板処理装置であって、
前記加熱部は、
前記天井部内または前記側壁部内に位置し、高温気体が通過可能な流路を構成する気体流路部と、
前記気体流路部に接続され、前記流路を通過する高温気体を前記チャンバ内に噴射する噴射部と、
を有する、基板処理装置。
【請求項10】
請求項に記載の基板処理装置であって、
前記気体流路部は、前記コア層内に位置し、かつ、繊維強化樹脂層に覆われている、基板処理装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の基板処理装置であって、
前記加熱部は、前記チャンバ内に位置するとともに、前記基板を加熱するホットプレート、
を有する、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板などの基板を製造する過程には、基板を加熱する処理が行われる。一般的には、チャンバ内に基板を収容した状態で、基板の加熱が行われる。例えば、特許文献1に開示された基板熱処理装置は、ホットプレートと、ホットプレートを囲繞する筐体と、筐体の内部に加熱エアを吐出する吐出ノズルを備えている。基板熱処理装置は、ホットプレートを昇温すること、および、吐出ノズルから加熱エアを吐出すことによって、基板を加熱している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-251862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、基板を収容するチャンバは、一般的には、アルミやステンレス鋼(SUS)などで構成される。したがって、従来のチャンバは、放熱しやすいため、チャンバ内の温度分布が不均一となり。基板に加熱ムラが生じる可能性があった。このため、チャンバの放熱を軽減する技術が求められている。
【0005】
本発明の目的は、チャンバの放熱を軽減する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1態様は、基板処理装置であって、チャンバと、前記チャンバ内において基板を支持する基板支持部と、前記基板支持部に支持された前記基板を加熱する加熱部と、を備え、前記チャンバの表面の少なくとも一部が、繊維強化樹脂で構成され、前記チャンバは、断熱材を含むコア層と、前記コア層を覆う層であって、繊維強化樹脂を含む繊維強化樹脂層と、を有する
第2態様は、基板処理装置であって、チャンバと、前記チャンバ内において基板を支持する基板支持部と、前記基板支持部に支持された前記基板を加熱する加熱部と、を備え、前記チャンバの表面の少なくとも一部が、繊維強化樹脂で構成され、前記チャンバは、第1の繊維強化樹脂で構成される第1の表面と、前記第1の繊維強化樹脂とは異なる第2の繊維強化樹脂で構成される第2の表面とを有する。
第3態様は、基板処理装置であって、チャンバと、前記チャンバ内において基板を支持する基板支持部と、前記基板支持部に支持された前記基板を加熱する加熱部と、を備え、前記チャンバの表面の少なくとも一部が、積層された複数の繊維強化樹脂の層によって構成されている。
第4態様は、第3態様の基板処理装置であって、前記チャンバの表面の少なくとも一部が、積層された異なる種類の繊維強化樹脂で構成されている。
【0007】
態様は、第態様から第4態様のいずれか1つの基板処理装置であって、前記チャンバは、断熱材を含むコア層と、前記コア層を覆う層であって、繊維強化樹脂を含む繊維強化樹脂層とを有する。
【0008】
態様は、第1態様または態様の基板処理装置であって、前記チャンバは、前記基板支持部に支持された前記基板の主面に対向する天井部と、前記基板支持部に支持された前記基板の側面を取り囲む側壁部とを有する。
【0009】
態様は、第態様の基板処理装置であって、前記天井部の表面が、繊維強化樹脂で構成されている。
【0010】
態様は、第態様または第態様の基板処理装置であって、前記側壁部の表面が、繊維強化樹脂で構成されている。
【0011】
態様は、第態様から第態様のいずれか1つの基板処理装置であって、前記加熱部は、前記天井部内または前記側壁部内に位置し、高温気体が通過可能な流路を構成する気体流路部と、前記気体流路部に接続され、前記流路を通過する高温気体を前記チャンバ内に噴射する噴射部とを有する。
【0012】
10態様は、第態様の基板処理装置であって、前記気体流路部は、前記コア層内に位置し、かつ、繊維強化樹脂層に覆われている。
【0015】
11態様は、第1態様から第10態様のいずれか1つの基板処理装置であって、前記加熱部は、前記チャンバ内に位置するとともに、前記基板を加熱するホットプレートを有する。
【発明の効果】
【0016】
第1態様から第11態様の基板処理装置によると、表面の少なくとも一部に繊維強化樹脂を用いることにより、チャンバの強度低下を抑えつつ、チャンバの軽量化を図ることができる。したがって、アルミやステンレス鋼等の放熱性が高い材料を繊維強化樹脂に置き換えることにより、チャンバの放熱を軽減できる。
【0017】
態様の基板処理装置によると、チャンバが断熱材を有するため、チャンバの放熱が軽減される。また、断熱材が繊維強化樹脂で覆われているため、断熱材の粉塵等が飛散することを抑制できる。
【0018】
態様の基板処理装置によると、基板の主面を天井部で覆いつつ、基板の側面を側壁部で取り囲むことができる。
【0019】
態様の基板処理装置によると、天井部について、アルミまたはステンレス鋼の代わりに繊維強化樹脂を使用することによって、天井部からの放熱を軽減できる。これにより、基板の主面の加熱ムラを軽減できる。
【0020】
態様の基板処理装置によると、側壁部について、アルミニウムまたはステンレス鋼の代わりに繊維強化樹脂を使用することによって、側壁部からの放熱を軽減できる。これにより、基板の加熱ムラを軽減できる。
【0021】
態様の基板処理装置によると、噴射部からチャンバ内に高温の気体を噴射させることによって、基板を加熱できる。気体流路部が天井部内または側壁部内に配置されるため、チャンバを小型化できる。
【0022】
10態様の基板処理装置によると、気体流路部が断熱材を含むコア層内に位置するため、気体流路部内における高温気体の温度低下が抑制される。
【0023】
態様の基板処理装置によると、チャンバの第1の表面と第2の表面とに、異なる特性を持たせることができる。
【0024】
態様の基板処理装置によると、チャンバの表面に異なる種類の特性を持たせることができる。
【0025】
11態様の基板処理装置によると、ホットプレートの熱がチャンバ外に拡散することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態に係る基板処理装置を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る基板処理装置の断面図である。
図3】高温気体供給部を示す図である。
図4】チャンバの一部を示す断面図である。
図5】気体流路部が組み込まれた天井部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張又は簡略化して図示されている場合がある。
【0028】
<1. 実施形態>
図1は、実施形態に係る基板処理装置1を示す斜視図である。図2は、実施形態に係る基板処理装置1の断面図である。以下の説明では、鉛直方向上向きを単に「上」と称し、鉛直方向下向きを単に「下」と称する。チャンバ2の内側を単に「内側」と称し、チャンバ2の外側を単に「外側」と称する。ただし、以下に説明する向きは、各要素の位置関係を説明するものであり、各要素の位置関係を限定するものではない。
【0029】
基板処理装置1は、基板9を加熱処理する加熱処理装置である。処理対象となる基板9は、例えば、電子機器向けの各種被処理基板であり、具体的には、半導体ウエハ、液晶ディスプレイまたはプラズマディスプレイ用のガラス基板、磁気ディスクまたは光ディスク用のガラスまたはセラミック基板、有機EL用ガラス基板、太陽電池用のガラスまたはシリコン基板、フレキシブル基板、プリント基板などである。
【0030】
基板処理装置1は、チャンバ2と、複数の支持ピン3と、ホットプレート4と、高温気体供給部5とを有する。以下、基板処理装置1の各構成要素について説明する。
【0031】
<チャンバ>
チャンバ2は、基板9を収容する筐体である。チャンバ2は、収容した基板9を処理するための処理空間を形成する。チャンバ2は、例えば直方体状である。チャンバ2は、天井部21と、側壁部22と、底部23とを有する。天井部21は、収容空間の上側を仕切る隔壁である。底部23は、収容空間の下側を仕切る隔壁である。側壁部22は、天井部21と底部23との間の位置で収容空間を仕切る隔壁である。後述する各支持ピン3の上端に基板9が支持された場合、天井部21の内面は、基板9の主面(最も大きな面)である上面に対向する。また、側壁部22の内面は、基板9の側面に対向する。側壁部22は、基板9の側面を取り囲む。
【0032】
天井部21は、上方から視て、例えば矩形状を有する。側壁部22は、上方から視て、例えば矩形の環状を有する。天井部21の下端は、側壁部22の上端と連結されている。なお、天井部21は、側壁部22の上側に載置されていてもよい。この場合、天井部21または側壁部22が、パッキンを介して接触していてもよい。パッキンによって、天井部21が、側壁部22との間の隙間をなくすことができる。
【0033】
側壁部22は、開口部221と扉部223とを有する。開口部221は、チャンバ2の内側と外側とを連通させる搬入口を構成する。基板9は、開口部221を通じて、チャンバ2内に対し出し入れされる。扉部223は、搬入口を閉じる閉位置と、搬入口を開ける開位置との間で移動可能である。図2に示すように、搬送機構のアーム100は、処理対象の基板9を、チャンバ2に搬入する。また、アーム100は、加熱処理が行われた基板9を、チャンバ2から搬出する。
【0034】
<支持ピン>
基板処理装置1は、複数の支持ピン3と、ピン駆動部31とを有する。支持ピン3は、鉛直方向に延びる棒状を有する。支持ピン3は、底部23およびホットプレート4を、鉛直方向に貫通している。ピン駆動部31は、各支持ピン3を一体的に鉛直方向に沿って移動させる。複数の支持ピン3は、チャンバ2内において、基板9を水平に支持する。複数の支持ピン3は、チャンバ2内において基板9を支持する基板支持部の例である。
【0035】
<ホットプレート>
ホットプレート4は、チャンバ2内の底部23側に設置されている。チャンバ2は、ホットプレート4を囲繞している。ホットプレート4は、内部にヒータ(熱源)を有する。ホットプレート4は、加熱部の例である。
【0036】
チャンバ2の底部23およびホットプレート4は、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有する。各支持ピン3は、底部23およびホットプレート4の貫通孔内に挿通される。
【0037】
<高温気体供給部>
図3は、高温気体供給部5を示す図である。高温気体供給部5は、チャンバ2内に高温気体を供給する装置である。高温気体供給部5は、複数の気体流路部51と、複数の噴射部53と、ヒータ55と、給気部57とを有する。
【0038】
気体流路部51は、高温気体が通過可能な流路を構成する。気体流路部51は、天井部21に組み込まれている。気体流路部51は、天井部21内に位置する。噴射部53は、気体流路部51に接続されている。噴射部53は、気体流路部51の流路を流れる高温気体をチャンバ2内に噴射する噴射口を形成する。噴射口は、チャンバ2内に対して給気する通気口に相当する。噴射部53は、天井部21の内面において開口を形成する筒状の部材である。噴射部53は、天井部21に位置する。
【0039】
高温気体供給部5は、気体流路部51と噴射部53の組を複数(本例では、5組)備える。ただし、高温気体供給部5は、気体流路部51と噴射部53の組を1組だけ備えていてもよい。
【0040】
各気体流路部51の上流側の端部は、天井部21外に露出し、ヒータ55に連結されている。ヒータ55は、例えば、インラインヒータである。噴射部53は、気体流路部51を介して、ヒータ55に接続されている。給気部57は、ヒータ55に気体を供給する。給気部57は、例えばファンを有する。ヒータ55は、給気部57から供給された気体を加熱する。ヒータ55によって加熱された気体は、各気体流路部51を通り、各噴射部53からチャンバ2に噴射される。これにより、チャンバ2内の温度が上昇するため、チャンバ2内に収容された基板9が加熱される。高温気体供給部5は、加熱部の例である。
【0041】
各噴射部53は、天井部21の内面において、均一に分散して配置されていてもよい。これにより、高温気体がチャンバ2内において偏ることが抑制されるため、基板9の加熱ムラが抑制される。
【0042】
図2に示すように、チャンバ2は、チャンバ2外に連通する排気口225を有していてもよい。排気口225を介して、チャンバ2内の気体が外部に排出されてもよい。また、排気口225は、給気部57に連通させてもよい。この場合、排気口225を介してチャンバ2内から排出される気体を、再びチャンバ2に戻すことができる。
【0043】
基板処理装置1において基板9を加熱処理する場合、まず、扉部223が開位置に移動することにより開口部221が開放される。開口部221が開放された状態で、搬送機構のアーム100が水平姿勢で支持した基板9を、チャンバ2内に挿入するとともにホットプレート4の上方に配置する。ピン駆動部31は、各支持ピン3を上昇させることによって、基板9をアーム100から持ち上げる。そして、アーム100は、チャンバ2外に退避する。アーム100が退避すると、ピン駆動部31が、各支持ピン3を下降させることによって、基板9をホットプレート4に接近した加熱位置に配置する。基板9が加熱位置に配置された状態で、ホットプレート4を昇温させる。すると、ホットプレート4の放射熱によって、基板9が加熱される。また、高温気体供給部5がチャンバ2内に高温気体を供給する。この高温気体によって、基板9が加熱される。
【0044】
図4は、チャンバ2の一部を示す断面図である。チャンバ2は、コア層25と、第1繊維強化樹脂層26と、第2繊維強化樹脂層27とを有する。
【0045】
コア層25は、例えば、断熱材を含む。断熱材は、例えば、繊維系断熱材、発泡系断熱材、エアロゲル、ヒュームドシリカ、真空断熱材である。繊維系断熱材は、例えば、グラスウール、ロックウール、セルローズファイバー、炭化コルク、羊毛断熱材、ウッドファイバーなどである。発泡系断熱材は、例えば、ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ポリスチレンフォーム、ビーズ法ポリスチレン(EPS)、発泡ゴム(FEF)、押し出し法ポリスチレン(XPS)である。エアロゲルは、例えば、シリアエアロゲル、カーボンエアロゲル、アルミナエアロゲルである。
【0046】
第1繊維強化樹脂層26、および、第2繊維強化樹脂層27は、繊維強化樹脂(FRP:Fiber Reinforced Plastics)で構成される。繊維強化樹脂は、樹脂に繊維を複合して強度を向上させた強化樹脂である。繊維強化樹脂は、シート状である繊維クロスに樹脂を含浸させることによって作製され得る。樹脂は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂である。熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ、ビニルエステル、フェノール、不飽和ポリエステル、ポリイミド、ビスマレイミドである。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトンである。繊維は、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、バサルト繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維である。
【0047】
チャンバ2の表面に繊維強化樹脂を用いることによって、チャンバ2の強度低下を抑えつつ、チャンバ2の軽量化を図ることができる。アルミやステンレス鋼等の放熱性が比較的高い材料を、繊維強化樹脂に置き換えることによって、チャンバ2の放熱を軽減できる。
【0048】
第1繊維強化樹脂層26は、コア層25の内側に位置する。第2繊維強化樹脂層27は、コア層25の外側に位置する。すなわち、チャンバ2の天井部21、側壁部22および底部23は、チャンバ2の内側から外側に向かって順に、第1繊維強化樹脂層26、コア層25、第2繊維強化樹脂層27を有する。このように、チャンバ2は、表面が繊維強化樹脂(第1繊維強化樹脂層26および第2繊維強化樹脂層27)で覆われた断熱材(コア層25)で構成されている。
【0049】
<第1繊維強化樹脂層>
第1繊維強化樹脂層26は、第1内部層261と、第1表面層263とを有する。第1内部層261は、コア層25よりも内側に位置する。第1内部層261は、コア層25の内面を覆う。第1表面層263は、第1内部層261よりも内側に位置する。第1表面層263は、第1内部層261の内面を覆う。第1表面層263は、チャンバ2の内面である。すなわち、第1表面層263は、チャンバ2が形成する処理空間に露出するコア層25(断熱材)の表面を構成する。第1内部層261および第1表面層263は、互いに異なる種類の繊維強化樹脂で構成されている。つまり、チャンバ2の内側の表面は、厚さ方向に積層された複数種類の繊維強化樹脂で構成されている。
【0050】
<第2繊維強化樹脂層>
第2繊維強化樹脂層27は、第2内部層271と、第2表面層273とを有する。第2内部層271は、コア層25よりも外側に位置する。第2内部層271は、コア層25の外面を覆う。第2表面層273は、第2内部層271よりも外側に位置する。第2表面層273は、第2内部層271の外面を覆う。第2表面層273は、チャンバ2の外面である。第2内部層271および第2表面層273は、互いに異なる種類の繊維強化樹脂で構成されている。つまり、チャンバ2の外側の表面は、厚さ方向に積層された複数種類の繊維強化樹脂で構成されている。
【0051】
加熱処理時には、第1繊維強化樹脂層26は、第2繊維強化樹脂層27と比べて、高温に曝される。このため、第1繊維強化樹脂層26は、第2繊維強化樹脂層27の繊維強化樹脂と比べて、熱膨張率が低い繊維強化樹脂で構成されていてもよい。高温に曝される第1繊維強化樹脂層26を熱膨張率が低い繊維強化樹脂で構成することによって、加熱処理によるチャンバ2の変形が抑えられる。
【0052】
第1内部層261および第1表面層263それぞれで用いられる樹脂は、異なってもよい。第1表面層263が、第1内部層261が有する樹脂と比べて、耐薬品性のグレードが高い樹脂(耐薬品性樹脂)を含んでいてもよい。耐薬品性樹脂は、例えば、フェノール、不飽和ポリエステル、ポリフェニレンスルフィドである。第1内部層261が、第1表面層263が有する樹脂と比べて、耐燃性のグレードが高い樹脂(難燃性樹脂)を含んでいてもよい。難燃性樹脂は、例えば、フェノールである。また、第1内部層261が、第1表面層263の樹脂と比べて、耐熱性のグレードが高い樹脂(耐熱性樹脂)を含んでいてもよい。耐熱性樹脂は、例えば、ポリイミド、ビスマレイミド、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトンである。チャンバ2の表面を、耐性が異なる樹脂を含む複数種類の繊維強化樹脂で構成することによって、チャンバ2の表面に異なる種類の耐性(特性)を持たせることができる。
【0053】
第1表面層263は、第1内部層261の繊維強化樹脂と比べて、化粧性のグレードが高くしてもよい。第2表面層273は、第2内部層271の繊維強化樹脂と比べて化粧性のグレードが高い繊維強化樹脂で構成されていてもよい。第1表面層263および第2表面層273の化粧性のグレードを高くすることによって、チャンバ2から粉塵が発生することを抑制できる。
【0054】
第1表面層263は、例えば、耐薬品性樹脂をバサルト繊維で強化した繊維強化樹脂である。第1内部層261は、例えば、難燃性樹脂をガラス繊維で強化した繊維強化樹脂である。第2表面層273は、例えば、耐薬品性樹脂をガラス繊維で強化した繊維強化樹脂である。第2内部層271は、例えば、難燃性樹脂をカーボン繊維で強化した繊維強化樹脂である。
【0055】
第1表面層263を、第1内部層261よりも薄くしてもよい。また、第2表面層273を、第2内部層271よりも薄くしてもよい。第1表面層263または第2表面層273を薄くすることによって、チャンバ2の材料費を抑制できる。
【0056】
コア層25は、第1繊維強化樹脂層26および第2繊維強化樹脂層27で覆われている。すなわち、断熱材が繊維強化層で覆われている。これにより、断熱材が発塵することを抑制できる。したがって、断熱材の粉塵による基板処理装置1の汚染が抑制される。コア層25の外表面全部は、繊維強化樹脂の層で覆われていてもよい。すなわち、コア層25のうち、両側の主面だけではなく、両側の主面を除く側面も、繊維強化樹脂の層で覆われていてもよい。この場合、コア層25の表面一部を繊維強化樹脂の層で覆う場合と比較して、コア層25に含まれる断熱材の発塵を抑制できる。
【0057】
チャンバ2が断熱材を有することによって、ホットプレート4の熱、および、高温気体供給部5が供給する気体の熱がチャンバ2外に拡散することを抑制できる。
【0058】
図5は、気体流路部51が組み込まれた天井部21を示す断面図である。気体流路部51は、コア層25に配置されていてもよい。すなわち、気体流路部51は、第1繊維強化樹脂層26と第2繊維強化樹脂層27の間に配置されていてもよい。各気体流路部51は、例えば、コア層25の内側の面に予め設けられた複数の収容溝251にそれぞれ配置されてもよい(図4および図5参照)。複数の収容溝251は、予め、コア層25(本例では、放熱材)における一方の主面に設けられた、凹状の部分である。一方の主面は、例えば、第1繊維強化樹脂層26で覆われる面である。
【0059】
収容溝251内に気体流路部51を収容する場合、例えば、収容溝251内に気体流路部51と噴射部53とが設置された状態で、コア層25の一方の主面に、第1内部層261が形成されてもよい。第1内部層261は、例えば、モールド成形によって形成される。具体的には、コア層25と、第1内部層261を形成するための繊維クロスとが、不図示の型内に重ねて配置される。そして、型内に第1内部層261を形成するための樹脂が流し込まれることによって、樹脂が繊維クロスに含浸する。その後、樹脂を硬化させることによって、コア層25の一方の主面に第1内部層261が形成される。第1内部層261を形成する際、樹脂をコア層25の収容溝251内に進入させてもよい。この場合、図5に示すように、収容溝251の内面と気体流路部51の外面の隙間が樹脂で埋められることによって、気体流路部51が収容溝251内で固定される。第1内部層261が形成された後、第1表面層263が形成される。第2繊維強化樹脂層27についても、第1繊維強化樹脂層26と同様に、コア層25における他方の主面に形成可能である。
【0060】
気体流路部51が断熱材を含むコア層25内に組み込まれていることによって、気体流路部51内における高温気体の温度低下が抑制される。
【0061】
<2. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0062】
ピン駆動部31は、各支持ピン3の上端をホットプレート4の上面よりも下側に移動させることによって、基板9をホットプレート4に載置してもよい。そして、基板9がホットプレート4に支持された状態で、基板9が加熱されてもよい。この場合、ホットプレート4が、基板支持部として機能する。
【0063】
基板支持部は、基板9の周縁部を保持する支持具であってもよい。
【0064】
気体流路部51は、天井部21に組み込まれているが、側壁部22に組み込まれてもよい。
【0065】
第1繊維強化樹脂層26は、2つの層(第1内部層261および第1表面層263)で構成されているが、単一の層、または、3つ以上の層で構成されていてもよい。第2繊維強化樹脂層27についても同様である。
【0066】
第1繊維強化樹脂層26および第2繊維強化樹脂層27は、同じ繊維強化樹脂で構成されていてもよい。
【0067】
チャンバ2における一つの面が、異なる種類の繊維強化樹脂で構成されてもよい。例えば、1つの第1内部層261において、一部の箇所と、それ以外の箇所とが、それぞれ互いに異なる種類の繊維強化樹脂で構成されてもよい。
【0068】
基板処理装置1は、同時に複数の基板9を加熱処理できるように構成されてもよい。基板処理装置1は、チャンバ2内に複数の基板9を同時に支持可能な基板支持部を備えていてもよい。
【0069】
基板処理装置1が、加熱部としてホットプレート4と高温気体供給部5との両方を備えることは必須ではない。基板処理装置1は、ホットプレート4または高温気体供給部5のどちらか一方のみを備えてもよい。また、基板処理装置1は、ホットプレート4および高温気体供給部5とは異なる方法で基板9を加熱する構成(例えば、ランプなど)を備えていてもよい。
【0070】
基板処理装置1は、チャンバ2内に、処理液のミスト、または、処理液の蒸気(ヒューム)を供給する供給部が設けられてもよい。この場合、チャンバ2外に、処理液を貯留するタンク、および、タンクからの処理液を加熱する加熱部などが設けられてもよい。また、タンクからの処理液を通過させる流路部が、気体流路部51と同様に、コア層25内に組み込まれていてもよい。
【0071】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 基板処理装置
2 チャンバ
3 支持ピン
4 ホットプレート
5 高温気体供給部
9 基板
21 天井部
22 側壁部
25 コア層
26 第1繊維強化樹脂層
27 第2繊維強化樹脂層
51 気体流路部
53 噴射部
55 ヒータ
261 第1内部層
263 第1表面層
271 第2内部層
273 第2表面層
図1
図2
図3
図4
図5