(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】内視鏡処置に関する改善された視覚化のための装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/015 20060101AFI20230426BHJP
【FI】
A61B1/015 511
(21)【出願番号】P 2020511483
(86)(22)【出願日】2018-08-24
(86)【国際出願番号】 US2018047977
(87)【国際公開番号】W WO2019040888
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-07-27
(32)【優先日】2017-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511183386
【氏名又は名称】エルベ ユーエスエー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】モーリス,ダニエル ジー.
【審査官】鷲崎 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-085755(JP,A)
【文献】特開2003-305003(JP,A)
【文献】特表2017-509436(JP,A)
【文献】特開平10-009398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス入口ポート、ガス出口ポート、水入口ポート、及び水出口ポートを含む、内視鏡ハンドルのレセプタクル内に配置されるように構成され、ガス供給システム及び給水システムと流体連通するように構成された弁アセンブリであって、弁入口ポート、弁出口ポート、及び通気口を含む弁棒を含む、前記弁アセンブリと、
前記弁棒の周囲に配置された調整可能シール部材と、を備える装置であって、
前記弁アセンブリは、前記ガス供給システムからのガスが、前記弁入口ポートを通って前記弁アセンブリ内の第1流体流路を通り、前記通気口から流出することができるように、前記ガス入口ポートが前記弁入口ポートと流体連通するように配置された第1構成と、
前記ガス供給システムからのガスが、前記弁入口ポートを通って前記弁アセンブリ内の第2流体流路を通り、前記弁出口ポートから流出することができるように、且つ、前記弁棒内のガスが前記調整可能シール部材にシール力を加えるように、前記ガス入口ポートが前記ガス出口ポートと流体連通するように配置された第2構成との間で移行されるように構成される、装置。
【請求項2】
前記弁アセンブリは、前記給水システムからの水が、第3流体流路を通って前記水出口ポートから流出することができるように、前記水入口ポートが前記水出口ポートと流体連通するように配置された第3構成に移行されるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記弁アセンブリは、前記弁棒の周囲に配置された変形可能シール部材を含み、前記変形可能シール部材は、前記ガス供給システムからのガスが前記第2流体流路を通って前記ガス出口ポートへ流動することを可能にするために前記第2構成において変形するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記変形可能シール部材は、前記変形可能シール部材の少なくとも1つの表面に対する空気圧が所定の空気圧を超えることに応じて変形するように構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記弁アセンブリは、
前記弁入口ポート及び前記弁出口ポートを規定する第1チャネルと、
前記第1チャネルと交差し、前記通気口を規定する第2チャネルと、
前記第1チャネルと交差する第3チャネルと、
前記第3チャネルに流体結合され、且つ前記調整可能シール部材に整列され且つ流体結合された第4チャネルであって、前記弁棒内のガスが前記第4チャネルを介して前記調整可能シール部材にシール力を加える、第4チャネルと、
を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記第1流体流路は、ガスが前記弁入口ポートを介して前記弁アセンブリ内へ流入し、前記第1チャネルを通って前記第2チャネル内へ流入し、前記通気口を介して前記弁アセンブリから流出することができるように、前記ガス入口ポートが前記通気口と流体連通するように配置されると、規定される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第2流体流路は、ガスが前記弁入口ポートを介して前記弁アセンブリ内へ流入し、前記第1チャネルを通り、前記弁出口ポートを介して前記弁アセンブリから流出することができるように、前記ガス入口ポートが前記ガス出口ポートと流体連通するように配置されると、規定される、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記第2流体流路に沿って連通されるガスは、前記弁棒の周囲に配置された変形可能シール部材に変形圧力を加え、前記ガスが前記ガス出口ポートを通って連通され得るように、前記変形可能シール部材と前記レセプタクルとの間に隙間を規定する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第3流体流路は、前記
給水システムからの水が前記弁棒の周囲を流動し、前記水出口ポートを介して前記
レセプタクルから流出することができるように、前記水入口ポートが前記水出口ポートと流体連通するように配置されると、規定される、請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記弁アセンブリに動作可能に結合され、前記第3構成における前記第3流体流路を確立するためにユーザによって作動されると前記調整可能シール部材を第1位置から第2位置へ動かすように構成されたアクチュエータを更に備える、請求項2に記載の装置。
【請求項11】
前記調整可能シール部材は、空気圧、機械力、及び液圧の少なくとも1つに応じて拡張するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記内視鏡ハンドルは、内視鏡洗浄、ガス注入、及び内視鏡レンズ清掃の少なくとも1つを制御するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記ガス供給システムと前記水出口ポートとの間のガスの連通を妨げることは、前記装置の使用中、術野の視覚化を改善する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
ガス供給源及び給水源に結合されるように構成され、ガス入口ポート、ガス出口ポート、水入口ポート、及び水出口ポートを含むレセプタクルを規定する内視鏡ハンドルと、
内視鏡ハンドルの前記レセプタクル内に配置されるように構成され、弁入口ポート、弁出口ポート、及び通気口を含む弁棒を含む弁アセンブリと、
前記弁棒の周囲に配置された調整可能シール部材と、を備える装置であって、
前記弁アセンブリは、前記ガス供給源からのガスが、前記弁入口ポートを通って前記弁アセンブリ内の第1流体流路を通り、前記通気口から流出することができるように、前記ガス入口ポートが前記弁入口ポートと流体連通するように配置された第1構成と、
前記ガス供給源からのガスが、前記弁入口ポートを通って前記弁アセンブリ内の第2流体流路を通り、前記弁出口ポートから流出することができるように、且つ、前記弁棒内のガスが前記調整可能シール部材にシール力を加えるように、前記ガス入口ポートが前記ガス出口ポートと流体連通するように配置された第2構成との間で移行されるように構成される、装置。
【請求項15】
前記弁アセンブリは、前記給水源からの水が、第3流体流路を通って前記水出口ポートから流出することができるように、前記水入口ポートが前記水出口ポートと流体連通するように配置された第3構成に移行されるように構成される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記弁アセンブリは、前記弁棒の周囲に配置された変形可能シール部材を含み、前記変形可能シール部材は、前記ガス供給源からのガスが前記第2流体流路を通って前記ガス出口ポートへ流動することを可能にするために前記第2構成において変形するように構成される、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記変形可能シール部材は、前記変形可能シール部材の少なくとも1つの表面に対する空気圧が所定の空気圧を超えることに応じて変形するように構成される、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記弁アセンブリは、
前記弁入口ポート及び前記弁出口ポートを規定する第1チャネルと、
前記第1チャネルと交差し、前記通気口を規定する第2チャネルと、
前記第1チャネルと交差する第3チャネルと、
前記第3チャネルに流体結合され、且つ前記調整可能シール部材に整列され且つ流体結合された第4チャネルであって、前記弁棒内のガスが前記第4チャネルを介して前記調整可能シール部材にシール力を加える、第4チャネルと、
を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記第1流体流路は、ガスが前記弁入口ポートを介して前記弁アセンブリ内へ流入し、前記第1チャネルを通って前記第2チャネル内へ流入し、前記通気口を介して前記弁アセンブリから流出することができるように、前記ガス入口ポートが前記通気口と流体連通するように配置されると、規定される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記第2流体流路は、ガスが前記弁入口ポートを介して前記弁アセンブリ内へ流入し、前記第1チャネルを通り、前記弁出口ポートを介して前記弁アセンブリから流出することができるように、前記ガス入口ポートが前記ガス出口ポートと流体連通するように配置されると、規定される、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記第2流体流路に沿って連通されるガスは、前記弁棒の周囲に配置された変形可能シール部材に変形圧力を加え、前記ガスが前記ガス出口ポートを通って連通され得るように、前記変形可能シール部材と前記レセプタクルとの間に隙間を規定する、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記第3流体流路は、前記給水源からの水が、前記弁棒の周囲を流動し、前記水出口ポートを介して前記
レセプタクルから流出することができるように、前記水入口ポートが前記水出口ポートと流体連通するように配置されると、規定される、請求項18に記載の装置。
【請求項23】
前記弁アセンブリに動作可能に結合され、前記第3構成における前記第3流体流路を確立するためにユーザによって作動されると前記調整可能シール部材を第1位置から第2位置へ動かすように構成されたアクチュエータを更に備える、請求項15に記載の装置。
【請求項24】
前記調整可能シール部材は、空気圧、機械力、及び液圧の少なくとも1つに応じて拡張するように構成される、請求項14に記載の装置。
【請求項25】
前記内視鏡ハンドルは、洗浄、ガス注入、及び視覚化の少なくとも1つを制御するように構成される、請求項14に記載の装置。
【請求項26】
前記
ガス供給源と前記水出口ポートとの間のガスの連通を妨げることは、前記装置の使用中、術野の視覚化を改善する、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
内視鏡のレセプタクル内に配置され、弁入口ポート、弁出口ポート、通気口、及び弁棒の周囲に配置された調整可能シール部材を含む弁アセンブリを用いて、内視鏡処置中の視覚化を改善するための方法であって、
ガスが前記弁入口ポートを通って前記通気口へ流れるように、第1期間、前記内視鏡のガス供給源から前記弁アセンブリへガスを搬送することと、
前記内視鏡の前記ガス供給源から前記弁アセンブリへ搬送されたガスが、前記弁入口ポートを通って前記調整可能シール部材へ流動し、前記弁棒内から前記調整可能シール部材を前記内視鏡の前記レセプタクルに対して密閉するために前記調整可能シール部材にシール力を加えるように、第2期間、前記通気口を塞ぐことと、
ガスが前記弁入口ポートから前記弁出口ポートを通って前記レセプタクルのガス出口ポートへ流動するように、第3期間、前記内視鏡の前記ガス供給源から前記弁アセンブリへガスを搬送することと、を含む方法。
【請求項28】
前記弁棒の周囲に配置された変形可能シール部材は、ガスが前記弁出口ポートを介して前記弁アセンブリ外へ搬送されることを可能にするように構成される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記弁アセンブリ内へ連通されるガスが実質的にないように、前記変形可能シール部材と前記
レセプタクルのガス入口ポートを位置合わせすることと、
水源からの水を、第4期間、水入口ポートから前記弁棒の周囲で搬送し、水出口ポートを通って搬送することと、
前記調整可能シール部材を介して、前記水が前記ガス出口ポート内へ流入することを妨げることと、を更に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記通気口を塞ぐことにより、第2期間、ガスは、変形可能シール部材に変形力を加える、請求項
28に記載の方法。
【請求項31】
前記レセプタクルは、
ガス入口ポートと、
水入口ポートと、
水出口ポートと、を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記弁アセンブリは、
前記弁入口ポート及び前記弁出口ポートを規定する第1チャネルと、
前記第1チャネルと交差し、前記通気口を規定する第2チャネルと、
前記第1チャネルと交差する第3チャネルと、
前記第3チャネルに流体結合され、且つ前記調整可能シール部材に整列され且つ流体結合された第4チャネルであって、前記弁棒内のガスが前記第4チャネルを介して前記調整可能シール部材にシール力を加える、第4チャネルと、
を規定する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ガスが前記弁入口ポートを介して前記弁アセンブリ内へ流入し、前記第1チャネルを通って前記第2チャネル内へ流入し、前記通気口を介して前記弁アセンブリから流出することができるように、前記ガス入口ポートが前記通気口と流体連通するように配置されると、前記弁アセンブリを通る第1流体流路が規定される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ガスが前記弁入口ポートを介して前記弁アセンブリ内へ流入し、前記第1チャネルを通り、前記弁出口ポートを介して前記弁アセンブリから流出することができるように、前記ガス入口ポートが前記ガス出口ポートと流体連通するように配置されると、前記弁アセンブリを通る第2流体流路が規定される、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記第2流体流路に沿って連通されるガスは、前記弁棒の周囲に配置された変形可能シール部材に変形圧力を加え、前記ガスが前記ガス出口ポートを通って連通され得るように、前記変形可能シール部材と前記レセプタクルとの間に隙間を規定する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
水が、水源から、前記弁棒の周囲を流れ、前記水出口ポートを介して前記
レセプタクルから流出することができるように、前記水入口ポートが前記水出口ポートと流体連通するように配置されると
、第3流体流路が規定される、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記シール力は第1シール力であり、
前記調整可能シール部材と前記レセプタクルとの間で前記第1シール力を維持することと、
前記変形可能シール部材と前記レセプタクルとの間で、前記第1シール力よりも小さい第2シール力を維持することと、を更に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記ガス出口ポートを通って連通される前記ガスは、体腔へのガス注入用である、請求項27に記載の方法。
【請求項39】
前記水出口ポートを通って連通される前記水は、内視鏡洗浄及び内視鏡レンズの清掃の少なくとも1つのためである、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本出願は、その内容が参照によって全体を本願に組み込まれる、“Apparatus for Improved Visualization for Endoscopic Procedures”と題された、2017年8月24日に出願された米国仮特許出願第62/549,698号に対する優先権及びその利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
[0002] 内視鏡システムは、体内の視覚化を支援し、臨床活動(すなわち、外科手術、生体組織検査、目視検査など)を容易にするように構成される。内視鏡システムは多くの場合、ハンドル、関節式プローブ、及びガス注入及び/又は水の間で選択するように構成されたガス/水弁を含む。いくつかの市販の内視鏡システムは、ガス/水弁内のガスケットを通過した後、関節式プローブの遠位部に位置するレンズを横切って漏洩する水の意図しないバイパスに少なくとも部分的に起因する、ガス注入中の視覚化の衰えを経る。
【発明の概要】
【0003】
[0003] 本明細書で説明される実施形態は、ガス供給システム及び給水システムに結合されるように構成された内視鏡ハンドルを含む装置に関し、内視鏡ハンドルは、ガス入口ポート、ガス出口ポート、水入口ポート、及び水出口ポートを含むレセプタクルを規定する。通気口を含むガス/水弁は、レセプタクル内に配置され、第1流体流路、第2流体流路、及び第3流体流路を規定する。ガス/水弁は、ガス供給システムからのガスが第1流体流路を通って通気口から流出することができるようにガス入口ポートが通気口と流体連通するように配置された第1構成と、ガス供給システムからのガスが第2流体流路を通ってガス出口ポートから流出することができるようにガス入口ポートがガス出口ポートと流体連通するように配置された第2構成と、給水システムからの水が第3流体流路を通って水出口ポートから流出することができるように水入口ポートが水出口ポートと流体連通するように配置された第3構成との間で移行されるように構成される。
【0004】
[0004] いくつかの実施形態において、ガス/水弁は、ガス入口ポートとガス出口ポートとの間に配置されるように構成されたシール部材を含む。いくつかの実施形態において、シール部材は、第2構成において第2流体流路を確立するために変形するように構成される。いくつかの実施形態において、シール部材は第1シール部材であり、ガス/水弁は、第1構成及び第2構成においてガス/水入口ポートとガス/水出口ポートとの間に配置されるように構成された第2シール部材を含む。いくつかの実施形態において、装置は更に、ガス/水弁に動作可能に結合され、第3構成において第3流体流路を確立するためにユーザによって作動されると第2シール部材を第1位置から第2位置へ動かすように構成されたアクチュエータを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】[0005]実施形態に係る内視鏡システムの概略図である。
【
図2A】[0006]実施形態に係る、第1構成におけるガス/水弁の概略図である。
【
図2B】[0007]第2構成における
図2aのガス/水弁の概略図である。
【
図2C】[0008]第3構成における
図2aのガス/水弁の概略図である。
【
図3】[0009]実施形態に係るガス/水の部分断面図である。
【
図4】[0010]実施形態に係るガス/水弁の断面図である。
【
図5】[0011]円Hによって示された
図4の一部の拡大断面図である。
【
図6】[0012]実施形態に係るガス/水弁の斜視図である。
【
図7】[0013]実施形態に係るガス/水弁の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0014] 本明細書で説明される実施形態は、ガス供給源(例えば空気、CO2、又は他の任意の適切なガスの供給源)及び給水源に結合されるように構成された内視鏡ハンドルを含む装置に関し、内視鏡ハンドルは、ガス入口ポート、ガス出口ポート、水入口ポート、及び水出口ポートを含むレセプタクルを規定する。通気口を含むガス/水弁は、レセプタクル内に配置され、第1流体流路、第2流体流路、及び第3流体流路を規定する。ガス/水弁は、ガス供給源からのガスが第1流体流路を通って通気口から流出することができるようにガス入口ポートが通気口と流体連通するように配置された第1構成と、ガス供給源からのガスが第2流体流路を通ってガス出口ポートから流出することができるようにガス入口ポートがガス出口ポートと流体連通するように配置された第2構成と、給水源からの水が第3流体流路を通って水出口ポートから流出することができるように水入口ポートが水出口ポートと流体連通するように配置された第3構成との間で移行されるように構成される。いくつかの実施形態において、調整可能シール部材が弁棒の周囲に配置され、ガス/水弁が第2構成である時、ガス供給システムと給水システムとの間のガスの連通を妨げるために拡張するように構成される。
【0007】
[0015] 「生存している」人体の内部を導光管器具によって視覚化したいという要望は、1800年代初頭に遡る。その後の数十年間、導光管器具に進歩がもたらされ、世紀末近くには生きている人間の胃の内部の視覚化が初めて成功し、その後、1960年代初頭には、可撓性ファイバースコープが進化し続けた。昨今、診断評価及び治療介入の領域を超えると考えられた多くの構造が、今や、内視鏡医によって視覚化及び処置され得る。例えば、「開腹」手術技法を用いずとも、内視鏡医は、消化管内部のいくつかの異なる領域の診断評価及び治療介入を提供することができる。例えば異物の除去、胆石の除去、ポリープの除去、組織生検、構造拡張、(開存又はドレナージのための)ステント載置、放血及び止血など、多くの消化器(GI)疾患の診断及び治療は、消化管の内部にアクセスするために恒常的な視覚化及び検査を必要とする。新たに開発された先進的処置(POEM、内視鏡胃スリーブ、ESDなど)が一般的になるにつれ、視覚化の改善に対する医師の要求にも対処する必要がある。
【0008】
[0016] 内視鏡処置に関連する低い罹患率及び死亡率と、危険性が「より高い」患者群に関連する高い有用性により、内視鏡診断及び治療介入は、米国において最も広く行われる医療処置である。米国市場の約80%、15%、及び5%をそれぞれ占める3つの主要な内視鏡製造会社、オリンパス、ペンタックス、及びフジノンが存在する。システムの各々は同様の形式で用いられるが、製造会社による内視鏡の操作及び内部特徴は様々である。2009年、GI内視鏡デバイスを用いて5500万件の処置が行われた。行われた処置の約50パーセントは、大腸内視鏡検査であった(2800万件)。
【0009】
[0017] 本明細書で説明されるように、内視鏡デバイスは、食道胃十二指腸内視鏡検査、大腸内視鏡検査、S状結腸鏡検査、内視鏡的逆行性膵胆管造影、鼻鏡検査、気管支鏡検査、膀胱鏡検査、隅角鏡検査、膣鏡検査、子宮鏡検査、卵管鏡検査、腹腔鏡検査、胸腔鏡検査、小腸内視鏡検査、羊水鏡検査、胎児鏡検査、汎内視鏡検査、硬膜外内視鏡検査、及びこれらの任意の組み合わせを含むがこれに限定されない任意の内視鏡処置のために用いられ得る。内視鏡デバイスは、体内の器官又は物体の視覚化を容易にし、及び/又は身体を通る内視鏡/プローブの動きを容易にするために、水源、ガス供給源、電源、真空源、及び/又は光源に連結され得る。
【0010】
[0018] 本明細書で説明されるような内視鏡システムは、制御ユニットに結合されるように構成された内視鏡ハンドルと、内視鏡ハンドルから伸長し、ユーザによって関節でつながれ得る遠位端を終端とする可撓性軸とを含む。言い換えると、ユーザは、内視鏡ハンドルによって内視鏡システムの様々な機能とともに可撓性軸の遠位端の動きを制御することができる。内視鏡システムは、生存生物の内部を視覚化し、必要に応じて他の医療処置を容易にするために用いられ得る。制御ユニットは、ガス供給システム、給水システム、電源、真空源、光源、及び/又は他の付帯システム及び装置を含む。可撓性軸は一般に、例えば口腔、膣、肛門、尿道、小切開、又は他のそのような腔内に挿入され、侵襲的外科処置を必要とすることなく体内の器官又は物体の視覚化を容易にする。可撓性軸の遠位端は、処置中、内部空間のリアルタイム画像が捕捉され目視され得るように、ビデオカメラに接続されたレンズを含む。内視鏡システムは、米国特許第8,870,756号及び米国特許第9,144,374号に記載されたものと同様であってよく、これらの開示は、その全体が本明細書に組み込まれるものである。
【0011】
[0019] 慣例的な診断的大腸内視鏡検査又はより複雑な急性下部消化管出血の処置において、内視鏡医の視覚化及び治療能力を制限する粘液分泌、大便、又は出血に遭遇することは珍しくない。明瞭な術野及び許容可能な視覚化を維持するために、一般的な内視鏡システムは、ガスで消化管を開口又は消化管にガス注入するためのサブシステム、内視鏡洗浄(すなわち灌流)のために滅菌水を送給するためのサブシステム、及び光学レンズ清掃のために液体(例えば滅菌水)を送給するためのサブシステムを含む。内視鏡処置中に用いられる2つの主な機能は、吸引及びガス/水送給である。これらの動作は、内視鏡ハンドルにおける制御装置(例えば弁)に関連する機能を起動する医師によって手動で制御される。第1弁(例えば吸引弁)は主に、GI菅からガス、流体、又は砕片を除去するために用いられるが、切除又は他の介入の前の組織位置の取り扱いを容易にするためにも用いられ得る。第2弁(例えばガス/水弁)は主に、GI管内のルーメンにガス注入し、レンズ清掃のための液体を提供するために用いられる。内視鏡システムを用いる時にルーメンを膨張させるために、ガス/水弁における(本明細書において「通気口」とも称される)ガス放出穴を被覆することによって内視鏡を介してコンソールからガスが送給されるが、そのようにする場合、通常、水もまた意図せずレンズ洗浄水線から溢れ、ガス注入を行う期間、「ぼやけた」視界をもたらす。処置に依存して、この流体の不慮の放出は、意図せず深刻な結果をもたらし、患者を傷つけることがある。
【0012】
[0020] 本明細書で説明されるように、内視鏡システムの各々は、同様の形式で用いられるが、製造会社による内視鏡の操作及び内部特徴は様々であり得る。標準的な内視鏡(大腸内視鏡又は胃内視鏡)において、ガス/水弁及び吸引弁の両方が、内視鏡ハンドルにおけるそれぞれの(本明細書において「筒」又は「受け筒」とも称される)受入れレセプタクルに挿入される。レセプタクルは一般に、耐久性のある材料(例えばステンレス鋼)から機械加工され、概して、極めて小さいエンジニアリング公差で特定の弁の外輪郭を辿り、それぞれの弁機能に基づく入力及び出力も可能にする。具体的には、ガス/水弁の動作に関する場合、受け筒は、臍付近にある内視鏡の近位部から入る2つの入力、ガス入力及び水入力を可能にし、内視鏡の遠位部に向かって受け筒から出る2つの出力、ガス出力及び水出力も有する。加えて、ガス/水弁は、弁棒におけるいくつかの異なるシール、及び受け筒に配置された時の3つの機能構成(すなわち、開放、被覆、及び押下)を有する。
【0013】
[0021] いくつかの実施形態において、ガス/水弁が使用中である時、開放構成は、ガスが制御ユニットからガス入口ポートを通り弁棒における2つのシール間の受け筒内の中央位置へ流入し、ガス/水弁の中央にある(「通気口」としても知られている)ガス開放穴を通って内視鏡から大気中へ出ることを可能にする。ガス/水弁が医師によって指で被覆されると、受け筒は加圧を開始し、弁棒における第1シールが意図的に変形を開始して、ガスがシールを通過して方向を変えられ、ガス出口ポートを介して受け筒から可撓性軸の遠位端へ出ることを可能にする。ガス/水弁が押下されると、ガスは受け筒へ入ることができず、給水システムへ方向を変えられ、給水システムが加圧を開始し、それによって流体(例えば滅菌水)が給水システムから臍付近の内視鏡を通って水入口ポートへ押し流され、受け筒(例えば2つのシール間の弁棒の周囲)を通って水出口ポートへ流動し、可撓性内視鏡の遠位端へ流動する。実際には、ガス/水弁空気流放出穴が医師によって指で被覆され、受け筒が加圧を開始すると、弁棒における第2シールが意図せず変形を開始し、それによってガスが第2シールを通過して漏洩し、水出口ポートを介して受け筒から出ることにより、流体の不慮の放出及び「ぼやけた」視界がもたらされる。ガス注入は、多数の内視鏡処置にわたり常用されるので、ユーザはしばしば、視覚的明瞭性の低下にもかかわらずガス注入を継続する。したがって、ガス注入中に水がレンズに漏洩しないガス/水弁の必要性がある。
【0014】
[0022] いくつかの実施形態において、そのような装置は、ガス入口ポート、ガス出口ポート、水入口ポート、及び水出口ポートを含む、内視鏡ハンドルのレセプタクル内に配置されるように構成され、ガス供給システム及び給水システムと流体連通するように構成された弁アセンブリを含んでよい。いくつかの実施形態において、弁アセンブリは、弁入口ポート、弁出口ポート、及び通気口を含む弁棒を含んでよい。いくつかの実施形態において、この装置は、弁棒の周囲に配置された調整可能シール部材を含んでよい。
【0015】
[0023] いくつかの実施形態において、弁アセンブリは、第1構成、第2構成、及び第3構成の間で移行されるように構成され得る。いくつかの実施形態において、第1構成において、ガス入口ポートは、ガス供給源からのガスが弁入口ポートを通って弁アセンブリ内の第1流体流路を通り、通気口から流出することができるように、弁入口ポートと流体連通するように配置され得る。いくつかの実施形態において、第2構成において、ガス入口ポートは、ガス供給源からのガスが弁入口ポートを通って弁アセンブリ内の第2流体流路を通り、弁出口ポートから流出することができるように、ガス出口ポートと流体連通するように配置されてよく、第2流体流路を通るガス流は、第2構成において調整可能シール部材にシール力を加えるように構成される。いくつかの実施形態において、変形可能シール部材は、ガス供給源からのガスが第2流体流路を通ってガス出口ポートへ流動することを可能にするために第2構成において変形するように構成され得る。いくつかの実施形態において、変形可能シール部材は、変形可能シール部材の少なくとも1つの表面に対する空気圧が所定の空気圧を超えることに応じて変形するように構成され得る。
【0016】
[0024] いくつかの実施形態において、弁アセンブリは、給水源からの水が第3流体流路を通って水出口ポートから流出することができるように、水入口ポートが水出口ポートと流体連通するように配置された第3構成に移行されるように構成され得る。いくつかの実施形態において、弁アセンブリは、弁棒の周囲に配置された変形可能シール部材を含んでよい。
【0017】
[0025] いくつかの実施形態において、弁アセンブリは、弁入口ポート及び弁出口ポートを規定する第1チャネルと、第1チャネルと交差し、通気口を規定する第2チャネルと、第1チャネルと交差する第3チャネルと、第3チャネル及び調整可能シール部材に流体結合された第4チャネルとを含んでよい。いくつかの実施形態において、第1流体流路は、ガスが弁入口ポートを介して弁アセンブリ内へ流入し、第1チャネルを通って第2チャネル内へ流入し、通気口を介して弁アセンブリから流出することができるように、ガス入口ポートが通気口と流体連通するように配置されると、規定され得る。いくつかの実施形態において、第2流体流路は、ガスが弁入口ポートを介して弁アセンブリ内へ流入し、第1チャネルを通り、弁出口ポートを介して弁アセンブリから流出することができるように、ガス入口ポートがガス出口ポートと流体連通するように配置されると、規定され得る。いくつかの実施形態において、第2流体流路に沿って連通されるガスは、弁棒の周囲に配置された変形可能シール部材に変形圧力を加え、ガスがガス出口弁を通って連通され得るように、変形可能シール部材とレセプタクルとの間に隙間を規定してよい。
【0018】
[0026] いくつかの実施形態において、第3流体流路は、水が給水源から弁棒の周囲を流動し、水出口ポートを介して弁アセンブリから流出することができるように、水入口ポートが水出口ポートと流体連通するように配置されると、規定され得る。
【0019】
[0027] いくつかの実施形態において、装置は更に、弁アセンブリに動作可能に結合され、第3構成における第3流体流路を確立するためにユーザによって作動されると調整可能シール部材を第1位置から第2位置へ動かすように構成されたアクチュエータを含む。いくつかの実施形態において、調整可能シール部材は、空気圧、機械力、及び液圧の少なくとも1つに応じて拡張するように構成され得る。いくつかの実施形態において、装置は、内視鏡を操作して、内視鏡洗浄、ガス注入、及び内視鏡レンズ清掃の少なくとも1つを制御するように構成される。いくつかの実施形態において、ガス供給システムと水出口ポートとの間のガスの連通を妨げることは、装置の使用中、術野の視覚化を改善する。
【0020】
[0028] いくつかの実施形態において、装置は、ガス供給源及び給水源に結合されるように構成され、ガス入口ポート、ガス出口ポート、水入口ポート、及び水出口ポートを含むレセプタクルを規定する内視鏡ハンドルを含んでよい。いくつかの実施形態において、装置は更に、内視鏡ハンドルのレセプタクル内に配置されるように構成され、弁入口ポート、弁出口ポート、及び通気口を含む弁棒を含む弁アセンブリを含んでよい。いくつかの実施形態において、装置は更に、弁棒の周囲に配置された調整可能シール部材を含んでよい。いくつかの実施形態において、弁アセンブリは、第1構成、第2構成、及び第3構成の間で移行されるように構成され得る。いくつかの実施形態において、第1構成において、ガス入口ポートは、ガス供給源からのガスが弁入口ポートを通って弁アセンブリ内の第1流体流路を通り、通気口から流出することができるように、弁入口ポートと流体連通するように配置され得る。いくつかの実施形態において、第2構成において、ガス入口ポートは、ガス供給源からのガスが弁入口ポートを通って弁アセンブリ内の第2流体流路を通り、弁出口ポートから流出することができるように、ガス出口ポートと流体連通するように配置されてよく、第2流体流路を通るガス流は、第2構成において調整可能シール部材にシール力を加えるように構成される。
【0021】
[0029] いくつかの実施形態において、弁アセンブリは、給水源からの水が第3流体流路を通って水出口ポートから流出することができるように、水入口ポートが水出口ポートと流体連通するように配置された第3構成に移行されるように構成され得る。
【0022】
[0030] いくつかの実施形態において、弁アセンブリは、弁棒の周囲に配置された変形可能シール部材を含んでよく、変形可能シール部材は、ガス供給源からのガスが第2流体流路を通ってガス出口ポートへ流動することを可能にするために第2構成において変形するように構成される。いくつかの実施形態において、変形可能シール部材は、変形可能シール部材の少なくとも1つの表面に対する空気圧が所定の空気圧を超えることに応じて変形するように構成され得る。
【0023】
[0031] いくつかの実施形態において、弁アセンブリは、弁入口ポート及び弁出口ポートを規定する第1チャネルと、第1チャネルと交差し、通気口を規定する第2チャネルと、第1チャネルと交差する第3チャネルと、第3チャネル及び調整可能シール部材に流体結合された第4チャネルとを含んでよい。いくつかの実施形態において、第1流体流路は、ガスが弁入口ポートを介して弁アセンブリ内へ流入し、第1チャネルを通って第2チャネル内へ流入し、通気口を介して弁アセンブリから流出することができるように、ガス入口ポートが通気口と流体連通するように配置されると、規定され得る。いくつかの実施形態において、第2流体流路は、ガスが弁入口ポートを介して弁アセンブリ内へ流入し、第1チャネルを通り、弁出口ポートを介して弁アセンブリから流出することができるように、ガス入口ポートがガス出口ポートと流体連通するように配置されると、規定され得る。いくつかの実施形態において、第2流体流路に沿って連通されるガスは、弁棒の周囲に配置された変形可能シール部材に変形圧力を加え、ガスがガス出口弁を通って連通され得るように、変形可能シール部材とレセプタクルとの間に隙間を規定し得る。
【0024】
[0032] いくつかの実施形態において、第3流体流路は、給水源からの水が弁棒の周囲を流動し、水出口ポートを介して弁アセンブリから流出することができるように、水入口ポートが水出口ポートと流体連通するように配置されると、規定され得る。
【0025】
[0033] いくつかの実施形態において、装置は更に、ガス/水弁に動作可能に結合され、第3構成における第3流体流路を確立するためにユーザによって作動されると第2シール部材を第1位置から第2位置へ動かすように構成されたアクチュエータを含んでよい。いくつかの実施形態において、調整可能シール部材は、空気圧、機械力、及び液圧の少なくとも1つに応じて拡張するように構成され得る。いくつかの実施形態において、装置は、例えばレセプタクルを規定するハンドルを含む内視鏡であってよい。いくつかの実施形態において、装置は、洗浄、ガス注入、及び視覚化などの内視鏡処置を制御するように構成され得る。いくつかの実施形態において、ガス供給システムと水出口ポートとの間のガスの連通を妨げることは、装置の使用中、術野の視覚化を改善する。
【0026】
[0034] いくつかの実施形態において、内視鏡処置中の視覚化を改善するためにそのような弁アセンブリを用いるための方法は、そのような弁アセンブリの使用を含んでよい。いくつかの実施形態において、弁アセンブリは、内視鏡のレセプタクル内に配置されてよく、弁入口ポート、弁出口ポート、通気口、及び弁棒の周囲に配置された調整可能シール部材を含んでよい。いくつかの実施形態において、方法は、ガスが弁入口ポートを通って通気口へ流動するように、第1期間、内視鏡のガス供給源から弁アセンブリへガスを搬送することを含んでよい。いくつかの実施形態において、方法は更に、内視鏡のガス供給源から弁アセンブリへ搬送されたガスが、弁入口ポートを通って調整可能シール部材へ流動し、内視鏡のレセプタクルにシール力を加えるように、第2期間、通気口を塞ぐことを含んでよい。いくつかの実施形態において、方法は更に、弁入口ポートからのガスが弁出口ポートを通ってレセプタクルのガス出口ポートへ流動するように、第3期間、内視鏡のガス供給源から弁アセンブリへガスを搬送することを含んでよい。
【0027】
[0035] いくつかの実施形態において、弁棒の周囲に配置された変形可能シール部材は、ガスが弁出口ポートを介して弁アセンブリ外へ搬送されることを可能にするように寸法決めされ構成され得る。いくつかの実施形態において、方法は更に、弁アセンブリ内へ連通されるガスが実質的にないように、変形可能シール部材と弁入口ポートとを位置合わせすることを含んでよい。いくつかの実施形態において、方法は更に、水源からの水を、第4期間、水入口ポートから弁棒の周囲で搬送し、第3期間、水出口ポートを通って搬送することを含んでよい。いくつかの実施形態において、方法は更に、調整可能シール部材を介して、水がガス出口ポート内へ流入することを妨げることを含んでよい。いくつかの実施形態において、通気口を塞ぐことにより、第2期間、ガスは、変形可能シール部材に変形力を加え得る。
【0028】
[0036] いくつかの実施形態において、内視鏡デバイス内のレセプタクルは、ガス入口ポート、ガス出口ポート、水入口ポート、及び/又は水出口ポートを含んでよい。いくつかの実施形態において、弁アセンブリは、弁入口ポート及び弁出口ポートを規定する第1チャネル、第1チャネルと交差し、通気口を規定する第2チャネル、第1チャネルと交差する第3チャネル、及び/又は第3チャネル及び調整可能シール部材に流体結合された第4チャネルを規定してよい。
【0029】
[0037] いくつかの実施形態において、弁アセンブリを通る第1流体流路は、ガスが弁入口ポートを介して弁アセンブリ内へ流入し、第1チャネルを通って第2チャネル内へ流入し、通気口を介して弁アセンブリから流出することができるように、ガス入口ポートが通気口と流体連通するように配置されると、規定され得る。いくつかの実施形態において、弁アセンブリを通る第2流体流路は、ガスが弁入口ポートを介して弁アセンブリ内へ流入し、第1チャネルを通り、弁出口ポートを介して弁アセンブリから流出することができるように、ガス入口ポートがガス出口ポートと流体連通するように配置されると、規定され得る。いくつかの実施形態において、第2流体流路に沿って連通されるガスは、弁棒の周囲に配置された変形可能シール部材に変形圧力を加え、ガスがガス出口弁を通って連通され得るように、変形可能シール部材とレセプタクルとの間に隙間を規定してよい。いくつかの実施形態において、弁アセンブリを通る第3流体流路は、給水源からの水が弁棒の周囲を流動し、水出口ポートを介して弁アセンブリから流出することができるように、水入口ポートが水出口ポートと流体連通するように配置されると、規定され得る。
【0030】
[0038] いくつかの実施形態において、シール力は第1シール力であってよく、方法は更に、調整可能シール部材とレセプタクルとの間で第1シール力を維持することと、変形可能シール部材とレセプタクルとの間で、第1シール力よりも小さい第2シール力を維持することとを含んでよい。
【0031】
[0039] いくつかの実施形態において、ガス出口を通って連通されるガスは、体腔へのガス注入のために用いられ得る。いくつかの実施形態において、水出口を通って連通される水は、内視鏡洗浄及び内視鏡レンズの清掃の少なくとも1つのために用いられ得る。いくつかの実施形態において、ガス供給システムと水出口ポートとの間のガスの連通を妨げることは、装置の使用中、術野の視覚化を改善する。
【0032】
[0040]
図1は、手術視野のリアルタイム画像を捕捉することによって内視鏡処置中の視覚化を改善し、それらの画像を画像ブレなしで内視鏡医の付近のモニタに中継するように構成された内視鏡システム100の概略図である。内視鏡システム100は、制御ユニット150に結合されるように構成された内視鏡ハンドル110と、内視鏡ハンドル110から伸長し、ユーザによって関節でつながれ得る遠位端172を終端とする可撓性軸170とを含む。言い換えると、ユーザは、内視鏡ハンドル110によって、内視鏡システム100の様々な機能とともに可撓性軸170の遠位端172の動きを制御することができる。可撓性軸170は、一般に、例えば口腔、膣、肛門、尿道、又は他のそのような腔などの体腔に挿入され、外科処置を必要とすることなく体内の器官又は物体の視覚化を容易にする。可撓性軸170の遠位端172は、処置中に内部空間のリアルタイム画像が捕捉及び目視され得るように、ビデオカメラ(不図示)に接続された光学レンズ(不図示)を含む。
【0033】
[0041] 制御ユニット150は、ガス供給システム152、給水システム154、及び真空源(不図示)を含む。本明細書で説明されるように、ガス供給システム152は、消化(GI)管を開口又は消化(GI)管にガス注入するために、可撓性軸170の遠位端172へガス(例えば空気、CO2、又は他の適切なガス)を送給するように構成される。給水システム154は、滅菌水貯水器156及び水ポンプ158を含み、内視鏡洗浄(すなわち灌流)及び光学レンズ清掃のために、可撓性軸170の遠位端172へ滅菌水を供給するように構成される。本明細書で説明されるように、真空源は、体分泌物、灌流からの水、砕片、余分なガス、及び他の不所望の物質を、内視鏡処置中に体腔から除去するように構成される。
【0034】
[0042] 本明細書で説明されるように、内視鏡処置中、制御ユニット150は、ガス供給システム150からのガス及び給水システム152からの水を可撓性軸170の遠位端172へ送給し、真空源によって術野から水、砕片などを除去するように構成される。言い換えると、上述したように、内視鏡処置中に用いられる2つの主な機能は、吸引及びガス/水送給であり、これらは、内視鏡ハンドル110を用いて医師によって手動で制御される。いくつかの実施形態において、内視鏡ハンドル110は、(本明細書において「吸引弁120」とも称される)第1弁120と、(本明細書において「ガス/水弁130」とも称される)第2弁130とを含む。吸引弁120は主に、GI管からガス、流体、又は砕片を除去するために用いられるが、切除又は他の介入の前の組織位置の取り扱いを容易にするためにも用いられ得る。ガス/水弁130は主に、GI菅内のルーメンにガス注入するためのガス供給システム150からのガス送給を制御し、光学レンズ清掃のための給水システム150からの流体送給を制御するために用いられる。
【0035】
[0043] 本明細書で説明されるように、内視鏡システムは一般に同様の形式で用いられるが、製造会社による内視鏡の操作及び内部特徴は様々であり得る。いくつかの内視鏡システムにおいて、吸引弁120及びガス/水弁130の両方が、内視鏡ハンドル110内のそれぞれの受入れレセプタクル(本明細書において「筒」又は「受け筒」とも称される)に挿入される。レセプタクルは一般に、ステンレス鋼から機械加工されるが、限定されることなく任意の適切な材料から製造されてよく、極めて小さいエンジニアリング公差で特定の弁の外輪郭を一般に辿り、それぞれの弁機能に基づく入力及び出力も可能にする。具体的には、ガス/水弁130の操作に関して、受け筒は2つの入力(すなわち、ガス入口及び水入口)及び2つの出力(すなわちガス出口及び水出口)を有する。加えて、ガス/水弁130は、弁棒(不図示)に配置されたいくつかのシール部材(不図示)を含み、受け筒内に配置された時、3つの機能的構成(すなわち、開放、被覆、及び押下)のいずれか1つを維持するように構成される。開放、被覆、及び押下構成は、本明細書において、それぞれ第1構成、第2構成、及び第3構成として知られている。弁棒は、通気口(不図示)に流体結合された一次軸方向通路(不図示)に流体結合された一次径方向通路(不図示)を有する。ガス注入用のガスは、一次径方向通路を通るように向けられてよく、一次軸方向通路を通り抜け、あるいは一次径方向通路を通過し続けガス/水出口を経てガス/水弁130から出る。
【0036】
[0044] ガス/水弁130が使用中である時、第1構成は、ガスが、制御ユニット150からガス入口ポートを通って弁棒における2つのシール間の受け筒内の中央位置へと移動すること、及びガス/水弁130の中央にある(放出孔とも称される)通気口を通ってガス/水弁130から大気中へ出ることを可能にする。いくつかの実施形態において、第1構成は、ユーザがガス/水弁130と能動的に相互作用していない時に維持される構成であるため、ベースライン又はデフォルト構成である。言い換えると、ユーザが、例えば内視鏡ハンドル110の遠位部を器官に関連する位置へ動かすことなどの作業を完了し、動作制御を解除すると、ガス/水弁130は、第1構成に戻る。ガス/水弁130は、ユーザによって内視鏡システム100の他の機能又は制御が取り扱われ、又は行われている間も第1構成に維持され得る。
【0037】
[0045] ユーザは、ガスが大気中へ流出することができないようにガス/水弁130の中央における通気口を塞ぐことによって、ガス/水弁130を第1構成から第2構成へ移行させ得る。通気口がユーザ(例えば内視鏡医又は医師)によって指で被覆されている場合、受け筒が加圧を開始し、弁棒における変形可能シール部材(不図示)が意図的に変形することにより、ガスは、変形可能シール部材を通過するように方向を変えられ、ガス出口を介して受け筒から可撓性軸170の遠位端172へ出る。ガス/水弁130は、ガス入口/出口と水入口/出口との間に気密シールを提供するために(例えば空圧式、機械式、液圧式などで)拡張及び収縮するように構成された調整可能シール部材(不図示)も含む。言い換えると、受け筒内で圧力が上昇すると、調整可能シール部材は、上昇した圧力に応答して拡張し、ガス/水弁130と受け筒との間の気密及び/又は流体密封シールを提供し、水入口及び/又は水出口へ加圧ガスが漏洩することを防止する。いくつかの実施形態において、調整可能シール部材は、ガス/水弁130に物理的かつ流体的に結合され、それによって、システム内の圧力が上昇すると、調整可能シール部材内の圧力又は調整可能シール部材に対する圧力も上昇し、調整可能シール部材を受け筒及び/又はガス/水弁に対して変形(例えば拡張、拡大、膨張、増大など)させる。言い換えると、システムガス圧からの変形させるに足る応力が調整可能シール部材に加えられると、調整可能シール部材は、ガス/水弁130と受け筒との間の空間をより効果的に密封するように拡張する。いくつかの実施形態において、受け筒はチャネル(不図示)を含み、調整可能シール部材は少なくとも部分的にチャネル内に配置され、チャネル内で変形するように構成される。
【0038】
[0046] いくつかの実施形態において、弁棒は、一次径方向通路に流体結合された二次軸方向通路(不図示)を含み、二次軸方向通路は、加圧ガスが調整可能シール部材へ流動することを可能にするように構成される。いくつかの実施形態において、二次軸方向通路は、調整可能シール部材と実質的に位置合わせされ調整可能シール部材と流体連通している二次径方向通路(不図示)に流体結合される。いくつかの実施形態において、二次径方向通路は、調整可能シール部材に付与された圧力がほぼ等しいように弁棒の周囲に配置された複数の通路である。言い換えると、第2構成において、変形可能シール部材と調整可能シール部材との間の受け筒内で上昇するガス圧又は流体圧は、調整可能シール部材内のガス圧と等しいか、それより大きい。
【0039】
[0047] いくつかの実施形態において、調整力は、ガス/水弁130内から調整可能シール部材に加えられた、変形させるに足るガス圧を打ち負かすのに十分なほど大きいように、調整可能シール部材に対し機械的に付与され得る。いくつかの実施形態において、アクチュエータは、調整可能シール部材に対し力及び/又は圧力を付与するように構成され得る。
【0040】
[0048] ユーザは、ガス/水弁130を押下することによって、ガス/水弁130を第3構成に移行させ得る。ガス/水弁が押下されると、ガスは、受け筒に入ることを妨げられ、給水システム154(すなわち、貯水器)へ方向を変えられ、給水システム154(すなわち、貯水器)が加圧を開始して流体(例えば滅菌水)を給水システム154から臍付近の内視鏡を通ってガス/水弁130の水入口ポートへ押し流し、受け筒(例えば2つのシール間の弁棒の周囲)を通り水出口ポートへ流動させ、可撓性軸170の遠位端172へ流動させる。この滅菌水の流れは、砕片を取り除き視覚化を改善するためにレンズを横断するように向けられる。
【0041】
[0049]
図2A~
図2C及び
図3~
図7は、実施形態に係るガス/水弁230を示す。ガス/水弁130を参照して上述したように、ガス/水弁230は、医療処置中、内視鏡医のための視覚化を不利益に不明瞭化することが知られている、内視鏡システム(不図示)のレンズ(不図示)を横断する水流を妨げるように構成される。いくつかの実施形態において、ガス/水弁230の部分及び/又は態様は、
図1を参照して上述したガス/水弁130の対応する部分及び/又は態様と形態及び/又は機能において実質的に同様である。したがって、そのような同様の部分及び/又は態様は、ここでは更に詳しく説明されない。
【0042】
[0050] 本明細書で説明されるように、内視鏡処置中、制御ユニットは、ガス供給システムからのガス(例えば空気、CO2、又は他の任意の適切なガス)及び給水システムからの水を内視鏡の遠位端へ送給し、真空源によって術野から水、砕片などを除去するように構成される。言い換えると、上述したように、内視鏡処置中に用いられる2つの主な機能は、吸引及びガス/水送給であり、これらは、内視鏡ハンドルを用いて医師によって手動で制御される。いくつかの実施形態において、内視鏡ハンドルは、(本明細書において「吸引弁」とも称される不図示の)第1弁と、(本明細書において「ガス/水弁230」及び「弁アセンブリ230」とも称される)第2弁230とを含む。吸引弁は主に、GI管からガス、流体、又は砕片を除去するために用いられるが、切除又は他の介入の前の組織位置の取り扱いを容易にするためにも用いられ得る。ガス/水弁230は主に、GI管内のルーメンに吹き込むためのガス供給システムからのガス送給を制御するため、また、光学レンズ清掃のための給水システムからの流体送給を制御するために用いられる。
【0043】
[0051] 本明細書で説明されるように、内視鏡システムは一般に同様の形式で用いられるが、製造会社による内視鏡の操作及び内部特徴は様々であり得る。いくつかの内視鏡システムにおいて、ガス/水弁230は、内視鏡ハンドルにおける(本明細書において「筒250」又は「受け筒250」とも称される)受入れレセプタクル250内に挿入される。レセプタクル250は一般に、ステンレス鋼から機械加工されるが、限定されることなく任意の適切な材料から製造されてよく、概して、極めて小さいエンジニアリング公差でガス/水弁230の外輪郭を辿り、弁機能に基づく入力及び出力も可能にする。具体的には、ガス/水弁230の動作に関連する場合、受け筒は、ガス入口252、ガス出口254、水入口256、及び水出口258を有する。加えて、ガス/水弁230は、弁棒240の周囲に各々が配置された、第1シール部材262、第2シール部材264、第3シール部材266、及び第4シール部材268を含む。いくつかの実施形態において、ガス/水弁230は、弁入口ポート241a及び弁出口ポート241bを規定する。
【0044】
[0052] いくつかの実施形態において、デバイスの部品の1又は複数、例えば弁棒240は、モノリシック(例えば単一片)であってよい。いくつかの実施形態において、デバイスの部品の1又は複数は、例えば熱可塑性材料などの適切な材料を含んでよい。他の適切な材料は、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエーテル(アミド)、PEBA、熱可塑性エラストマ状オレフィン、共重合ポリエステル、スチレン系熱可塑性エラストマ、カーボンファイバ、グラスファイバ、セラミック、メタクリレート、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、PEO-PPO-PEO(プルロニック)、ゴム、プラスティック(例えばポリカーボネート)、ABS、MABS、シリコンなど、又はこれらの組み合わせを含み得るが、これに限定されない。
【0045】
[0053] 簡単に言うと、第1シール部材262は、ガス/水弁230内にガス及び/又は水を封入するように配置及び構成される。第2シール部材264は、ガス入口252とガス出口254との間のガス流を選択的に方向付けるように配置及び構成され、例えば特定の空気圧で変形するように構成され得る。第3シール部材266は、ガス流を水流から隔離するように配置及び構成される。第4シール部材268は、ガス/水弁230の構成に基づいて、レンズ清掃のための水流を妨げる又は可能にするように配置及び構成される。
【0046】
[0054] いくつかの実施形態において、潤滑剤、抗菌剤、溶剤、又は他のそのような物質が、説明されたデバイスの任意の部品の上又は中に配置され、又は組み込まれ得る。いくつかの実施形態において、潤滑剤は、例えばポリジメチルシロキサン、トリフルオロプロピルメチルシロキサン、ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサン、ジメチルシロキサンの共重合体、シリコン系潤滑剤、アジピン酸ジイソプロピル、パーセリン油、トリベヘン酸グリセロール、シリコン油、界面活性剤、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレートなど、又はこれらの組み合わせなどの油性潤滑剤を含んでよい。いくつかの実施形態において、抗菌剤(又は殺菌剤)は、抗生物質、防腐剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、滅菌剤、又はこれらの組み合わせを含んでよい。いくつかの実施形態において、抗菌剤は、フェノール、四級アンモニウム、グアニジン、タウロリジン、パラクロロメタキシレノール、スルファジアジン銀、酸化銀、硝酸銀、ピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、セトリミド、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、酢酸デクアリニウム、塩化デクアリニウム、クロロキシレノール、アミノグリコシド、ベータラクタム、キノロン又はフルオロキノロン、マクロライド、スルホンアミド、スルファメトキサゾール、テトラサイクリン、ストレプトグラミン、(例えばリネゾリドなどの)オキサゾリジノン、クリンダマイシン、リンコマイシン、リファマイシン、グリコペプチド、ポリミキシン、リポペプチド抗生剤、ならびに薬学的に許容できるナトリウム塩、薬学的に許容できるカルシウム塩、薬学的に許容できるカリウム塩、脂質製剤、上記の派生物及び/又は類似物、又はこれらの組み合わせを含んでよいが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、溶剤は、エチルアルコール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール、例えば約1:10~約1:1の割合のイソプロピルアルコール及びエチルアルコールの混合物など、2つ以上の低級アルコール成分、2つ以上のアルコール成分の混合物、又はこれらの組み合わせを含んでよいが、これに限定されない。
【0047】
[0055] いくつかの実施形態において、ガス/水弁230は、受け筒250内に配置される時、3つの機能構成(すなわち、開放、被覆、及び押下)のいずれか1つを維持するように構成される。開放、被覆、及び押下構成は、本明細書において、それぞれ第1構成、第2構成、及び第3構成として知られている。
【0048】
[0056]
図2Aに示すように、弁棒240は、通気口242に流体結合された一次軸方向通路243に流体結合された一次径方向通路244を有する。いくつかの実施形態において、ガス/水弁230が使用中である時、第1構成は、ガスが、制御ユニットからガス入口ポート252を通って第2シール部材264と第3シール部材266との間の受け筒250内の中央位置へ移動し、一次径方向通路244に入り、一次軸方向通路243を通り、ガス/水弁230の中央にある通気口242を介してガス/水弁230から大気中へ出ることを可能にする。このガス経路は、第1ガス流経路A1である。いくつかの実施形態において、第1構成は、ユーザがガス注入中でない時に維持される構成であるため、ベースライン又はデフォルト構成である。言い換えると、ユーザが、例えば器官に関連する位置に内視鏡ハンドルの遠位部を移動させることなどの作業を完了し、ガス/水弁230を解放すると、ガス/水弁230は、第1構成に戻る。
【0049】
[0057] ユーザは、
図2Bに示すように、ガスが大気中に流出することができないようにガス/水弁230の中央における通気口242を塞ぐことによって、ガス/水弁230を第1構成から第2構成へ移行させ得る。通気口242がユーザの指Uによって指で被覆されると、受け筒250と弁棒240との間の空間は加圧を開始し、弁棒240における変形可能な第2シール部材264が意図的に変形し、ガスが、一次径方向通路244を通り、変形可能な第2シール部材264を通過して、ガス出口254を介して受け筒250から可撓性軸の遠位端へ出るように方向を変えられることを可能にする。言い換えると、ガス供給システムからのガスは、一次径方向通路244を通って流れ、第1構成において、第1ガス流経路A1に従って一次軸方向通路243を通って通風するか、あるいは第2構成において、第2ガス流経路A2として知られるように、一次径方向通路244を通り続けてガス出口254を介してガス/水弁230から出る。
【0050】
[0058] ガス/水弁230はまた、ガス入口252/出口254と水入口256/出口258との間の気密シールを提供するために(例えば空圧式、機械式、液圧式などで)拡張及び収縮するように構成された調整可能シール部材であり得る第3シール部材266も含む。言い換えると、受け筒250内で圧力が上昇すると、調整可能な第3シール部材266は、上昇した圧力に応答して拡張し、ガス/水弁230と受け筒250との間の流体密封シールを提供し、加圧ガスが水入口256及び/又は水出口258内へ漏洩することを防ぐ。いくつかの実施形態において、調整可能な第3シール部材266は、ガス/水弁230に物理的かつ流体的に結合され、それによって、システム内の圧力が上昇すると、調整可能な第3シール部材266内での、又は調整可能な第3シール部材266に対してのガス圧又は流体圧も上昇し、受け筒250及び/又はガス/水弁230の弁棒240に対して調整可能な第3シール部材266を変形(例えば拡張、拡大、膨張、増大など)させる。言い換えると、システムガス圧による変形させる可能性のある応力が調整可能な第3シール部材266に加えられると、調整可能な第3シール部材266は拡張し、ガス/水弁230と受け筒250との間の空間をより効果的に密封する。いくつかの実施形態において、受け筒250はチャネル(不図示)を含み、調整可能な第3シール部材266は少なくとも部分的にチャネル内に配置され、チャネル内で変形するように構成される。
【0051】
[0059] いくつかの実施形態において、弁棒240は、一次径方向通路244に流体結合された二次軸方向通路246を含み、二次軸方向通路246は、ガスが一次径方向通路244から調整可能な第3シール部材266内へ流れることを可能にするように構成される。いくつかの実施形態において、二次軸方向通路246は、調整可能な第3シール部材266と実質的に位置合わせされ調整可能な第3シール部材266と流体連通している二次径方向通路248に流体結合される。いくつかの実施形態において、調整可能な第3シール部材266に付与された圧力がほぼ等しいように、弁棒240の周囲に配置された複数の通路である。言い換えると、第2構成において、変形可能な第2シール部材264と調整可能な第3シール部材266との間の受け筒250内で上昇するガス圧は、調整可能な第3シール部材266内のガス又は流体圧に等しい、又はほぼ等しい。
【0052】
[0060] いくつかの実施形態において、調整力は、ガス/水弁230内から調整可能な第3シール部材266に加えられた変形させるに足るガス圧を打ち負かすのに十分なほど大きいように、調整可能な第3シール部材266に対して機械的に付与され得る。いくつかの実施形態において、アクチュエータ(不図示)は、調整可能なシール部材に対し力及び/又は圧力を付与するように構成され得る。
【0053】
[0061] いくつかの実施形態において、調整可能な第3シール部材266は、天然ゴム、合成ゴム、プラスティック、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリエポキシド、ポリテトラフルオロエチレン、フェノール樹脂、メラミンホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、シリコン、フラン、ポリスルホン、例えばネオプレンなどのエラストマ材料、イソプレン、二塩化エチレン、ブタジエン系合成ゴム、ラテックス、1、3-ブタジエンースチレン共重合体、イソブチレン、ポリブタジエン、スチレンエチレンブチレンスチレン共重合体、スチレンブロック共重合体、熱可塑性ポリエステル-エステル、フロロシリコン、フッ素ゴム、エチレンプロピレン、ポリイソプレン、他の任意の適切な材料、及びこれらの任意の組み合わせを含むがこれに限定されない、任意の適切に変形可能かつ耐久性のある材料から製造され得る。
【0054】
[0062] ガス/水弁230は、
図2Cに矢印AAによって示すように、ユーザの指Uによって押下されると、第3構成へ移行され得る。ガス/水弁230が押下されると、ガスは、受け筒250に入ることを妨げられ、給水システム(すなわち貯水器)へ方向を変えられ、給水システム(すなわち貯水器)が加圧を開始し、流体(例えば滅菌水)を給水システムから臍付近の内視鏡を通りガス/水弁230の水入口ポート256へ押し流し、受け筒250の内側容積(例えば第3シール部材266と第4シール部材268との間の弁棒240の周囲)を通って水出口ポート258へ流動させ、可撓性軸の遠位端へ流動させる。水流路は、
図2CにW1として示される。この滅菌水の流れは、砕片を取り除き、視覚化を改善するために、レンズを横断するように方向付けられる。
【0055】
[0063] 全体的な理解を提供するために、特定の例示的な実施形態が説明されたが、当業者に理解されるように、本明細書で説明されたシステム、装置、及び方法は、他の適切な応用のためのシステム、装置、及び方法を提供するために適合及び修正されてよく、他の追加及び修正は、本明細書で説明されたシステム、装置、及び方法の範囲から逸脱することなくなされ得る。
【0056】
[0064] 本明細書で説明された実施形態は、具体的に示され説明されたが、理解されるように、形式及び細部における様々な変更がなされ得る。特に記載しない限り、例示された実施形態は、特定の実施形態の様々な細部の典型的な特徴を提供するものとして理解され得るので、特に記載されない限り、例示の特徴、構成要素、モジュール、及び/又は態様は、開示されたシステム又は方法から逸脱することなく、他のように結合、分離、置換、及び/又は再配置され得る。加えて、構成要素の形状及びサイズもまた典型例であり、特に記載されない限り、本開示の開示された典型的なシステム、装置、又は方法の範囲に影響を及ぼすことなく変更され得る。
【0057】
[0065] 本明細書で用いられる場合、「約」及び「おおよそ」という用語は一般に、記載された値のプラス又はマイナス10%を意味し、例えば約250μmは225μm~275μmを含み、おおよそ1000μmは900μm~1100μmを含む。
【0058】
[0066] 内視鏡デバイスの分野における従来の用語が本明細書において用いられている。この用語は、当該技術において知られており、便宜上の目的で非限定的な例としてのみ記載される。したがって、特許請求の範囲における対応する用語の解釈は、特に記載されない限り、任意の特定の定義に限定されるものではない。よって、特許請求の範囲において使用された用語は、それらの最も広い合理的解釈を与えられるべきである。
【0059】
[0067] 本明細書において特定の実施形態が例示及び説明されたが、当業者によって理解されるように、同じ目的を実現するように適合された任意の構成が、示された特定の実施形態に代替し得る。多数の適合が当業者には明らかとなる。したがって、本出願は、任意の適合又は変形例を包含することが意図される。
【0060】
[0068] 上で詳述された説明は、発明を実施する形態の一部を成す添付図面への参照を含む。図は、例示によって、実施され得る特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書において、「例」とも称される。そのような例は、示され又は説明された要素に追加の要素を含んでよい。ただし、本発明者は、示され又は説明されたそれらの要素のみが提供される例も考慮する。更に、本発明者は、特定の例(又はそれらの1又は複数の態様)に対する、あるいは本明細書で示され又は説明された他の例(又はそれらの1又は複数の態様)に対する、示され又は説明されたそれらの要素(又はそれらの1又は複数の態様)の任意の組み合わせ又は並べ替えを用いる例も考慮する。
【0061】
[0069] 本文書において参照された全ての出版物、特許、及び特許文献は、参照によって個々に組み込まれるように、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。本文書と、参照によって組み込まれたそれらの文書との間に、使用の不一致がある場合、組み込まれた参照文献(複数も可)における使用は、本文書の使用に対する補足とみなされるべきであり、相いれない不一致に関して、本文書における使用が御する。
【0062】
[0070] 本文書において、特許文献において一般的であるように、「少なくとも1つ」又は「1又は複数の」の他の任意の例又は用法とは無関係に、1又は複数を含むために「a」又は「an」という語が用いられる。本文書において、「又は」という用語は、非排他的な又はを指すために用いられ、よって「A又はB」は、例外が示されない限り、「BではなくA」、「AではなくB」、及び「A及びB」を含む。本文書において、「含む」及び「これにおいて」という用語は、「備える」及び「ここにおいて」というそれぞれの用語の平易な英語の均等物として用いられる。また、以下の特許請求の範囲において、「含む」及び「備える」という用語はオープンエンドであり、すなわち、請求項においてそのような用語の後に記載されたものに追加の要素を含むシステム、デバイス、物品、又はプロセスもまた、その請求項の範囲に収まるものとみなされる。更に、以下の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、及び「第3」などの用語は、単に符号として用いられ、それらの目的語に数値的要件を課すことは意図されない。
【0063】
[0071] 上記説明は、限定的ではなく、例示的であることが意図される。例えば、上述した例(又はそれらの1又は複数の態様)は、互いに組み合わせて用いられてよい。例えば上記説明を閲読した当業者によって、他の実施形態が用いられ得る。発明の概要は、37C.F.R.1.72(b)に準拠して、読者が技術的開示の本質を迅速に確認することを可能にするものであり、特許請求の範囲の意味又は範囲を解釈又は限定するために用いられないという理解の下で提示される。
【0064】
[0072] この発明を実施する形態において、様々な特徴が、本開示を合理化するためにグループにまとめられることがある。これは、特許請求の範囲に記載されない開示された特徴が任意の請求項に不可欠であることを意図するものとして解釈されてはならない。むしろ、発明の主題事項は、特定の開示された実施形態における全てではない特徴にあってよい。したがって、以下の特許請求の範囲は、これによって発明を実施する形態に組み込まれ、各請求項は、個別の実施形態として自立しており、そのような実施形態は、様々な組み合わせ又は順列で互いに結合され得ることが意図される。実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきであり、そのような特許請求の範囲に対する全ての範囲の均等物が権利を付与されるものである。