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特許7269225H5トポロジー構造を有するインバータ装置用の制御処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】H5トポロジー構造を有するインバータ装置用の制御処理方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20230426BHJP
【FI】
H02M7/48 M
H02M7/48 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020513703
(86)(22)【出願日】2018-09-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 EP2018073884
(87)【国際公開番号】W WO2019052875
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-08-13
(31)【優先権主張番号】201710818204.X
(32)【優先日】2017-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515078095
【氏名又は名称】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SMA Solar Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】リ,ニン
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2009-0036751(KR,A)
【文献】特開2006-014591(JP,A)
【文献】国際公開第2013/046684(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/018343(WO,A1)
【文献】特開2005-085088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Hブリッジスイッチ管である第1~第4のスイッチ菅と、第5のスイッチ管とを有するH5トポロジー構造を有するインバータ装置用の制御処理方法であって、前記制御処理方法は、
電力グリッドが正常に電力供給している場合は、第1の制御モードを使用して前記インバータ装置を動作させることであって、前記第1の制御モードでは、ユニポーラH5 PWM変調モードが使用されて、前記インバータ装置はグリッド接続発電モードで動作することが可能になることであって、前記ユニポーラH5 PWM変調モードは、H5トポロジースイッチ管である前記第1~第5のスイッチ管に対してユニポーラPWM変調モードを使用するモードであることと
前記電力グリッドが異常に電力供給しているか、又は前記電力グリッドが停電しており、発電システムの電力が現在の負荷電力よりも大きい状況である前記電力グリッドが短時間停電している場合は、第2の制御モードを使用して前記インバータ装置を動作させることであって、前記第2の制御モードでは、ユニポーラH5 PWM定電圧変調モードが使用されて、前記インバータ装置はオフグリッド発電モードで動作することが可能になることであって、前記ユニポーラH5 PWM定電圧変調モードは、H5トポロジースイッチ管である前記第1~第5のスイッチ管に対して、ユニポーラPWM変調モードを使用し、電圧ループを使用してAC出力側を制御し、出力電圧を特定のリアルタイム設定値にするモードであることと
前記電力グリッドが停電しており、発電システムの電力が現在の負荷電力よりも小さい状況である前記電力グリッドが長時間停電している場合は、第3の制御モードを使用して前記インバータ装置を動作させることであって、前記第3の制御モードでは、H5-1 PWM定電圧変調モードが使用されて、前記インバータ装置が非常時SPS発電モードで動作することが可能になることであって、前記H5-1 PWM定電圧変調モードは、前記第5のスイッチ管に対して直接制御を使用し、Hブリッジスイッチ管である前記第1~第4のスイッチ管に対してユニポーラPWM変調モードを使用し、電圧ループを使用してAC出力側を制御し、出力電圧を特定のリアルタイム設定値にするモードであることと、を含み、
前記インバータ装置は、スイッチユニット、第1の負荷、第2の負荷、変換ユニット、PVユニット、及び容量性エネルギー貯蔵ユニットを備え;
前記第1の制御モードでは、前記スイッチユニットは第1の動作モードに切り替えられて、交流電源が前記第1の負荷を駆動して動作させることが可能になり、前記交流電源は、前記変換ユニット、前記PVユニット、及び前記容量性エネルギー貯蔵ユニットを介して、接続されることが可能になり、前記容量性エネルギー貯蔵ユニットはエネルギー貯蔵状態にあり;
前記第2の制御モードでは、前記スイッチユニットは第2の動作モードに切り替えられて、前記交流電源は遮断され、前記容量性エネルギー貯蔵ユニットは、前記PVユニット及び変換モジュールを介して前記第1の負荷に接続されることが可能になり、前記容量性エネルギー貯蔵ユニットは放電して前記第1の負荷を駆動して動作させ;
前記第3の制御モードでは、前記スイッチユニットは第3の動作モードに切り替えられて、前記交流電源は遮断され、前記容量性エネルギー貯蔵ユニットは、前記PVユニット及び前記変換モジュールを介して前記第2の負荷に接続されることが可能になり、前記容量性エネルギー貯蔵ユニットは放電して前記第2の負荷を駆動して動作させることを特徴とする、制御処理方法。
【請求項2】
請求項に記載の制御処理方法において、前記インバータ装置内の前記変換ユニットは、DC-AC変換ユニットであることを特徴とする、制御処理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の制御処理方法において、前記スイッチユニットは、第1のスイッチ、第2のスイッチ、第3のスイッチ、及び第4のスイッチを備え、前記第1のスイッチ、前記第2のスイッチ、及び前記第3のスイッチは直列に接続され、次いで、前記変換ユニットと前記交流電源との間に接続され、前記第1のスイッチは前記変換ユニットに接続され、前記第3のスイッチは前記交流電源に接続されており;
前記第1の負荷の2つの端部はそれぞれ、活線及びヌル線に接続され、前記第1の負荷は前記第2のスイッチと前記第3のスイッチとの間に接続されており;
前記第2の負荷及び前記第4のスイッチは直列に接続されて、統合体として使用され、前記統合体の2つの端部はそれぞれ、前記活線及び前記ヌル線に接続され、前記統合体は前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとの間に接続されていることを特徴とする、制御処理方法。
【請求項4】
請求項に記載の制御処理方法において、前記スイッチユニットが前記第1の動作モードに切り替えられた場合、前記第1のスイッチ、前記第2のスイッチ、及び前記第3のスイッチは閉じられ、前記第4のスイッチは開かれ;
前記スイッチユニットが前記第2の動作モードに切り替えられた場合、
前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチは閉じられ、前記第3のスイッチ及び前記第4のスイッチは開かれ;
前記スイッチユニットが前記第3の動作モードに切り替えられた場合、前記第1のスイッチ及び前記第4のスイッチは閉じられ、前記第2のスイッチ及び前記第3のスイッチは開かれることを特徴とする、制御処理方法。
【請求項5】
請求項1に記載の制御処理方法において、前記オフグリッド発電モードにおいて、
第1の負荷の入力端電圧が、負荷条件に基づいて、第1の事前設定範囲内にある第1の変化率k1に従って自動的に調節され、負荷が重い場合は、前記第1の負荷の前記入力端電圧は増やされ、負荷が軽い場合は、前記第1の負荷の前記入力端電圧は減らされることを特徴とする、制御処理方法。
【請求項6】
請求項1に記載の制御処理方法において、インバータモジュールの動作モードが、前記非常時SPS発電モードにおける照度予測に従って自動的に制御され、前記第1の負荷の照度が強い場合は、前記第5のスイッチ管はH5 PWM定電圧変調動作モードと同様にSPWMモードで動作し、前記第1の負荷の照度が弱い場合は、前記第5のスイッチ管は直接モードで動作することを特徴とする、制御処理方法。
【請求項7】
請求項1に記載の制御処理方法において、前記非常時SPS発電モードにおいて、第2の負荷の入力端電圧が、負荷条件に基づいて、第2の事前設定範囲内にある第2の変化率k2に従って自動的に調節され、負荷が重い場合は、前記第2の負荷の前記入力端電圧は増やされ、負荷が軽い場合は、前記第2の負荷の前記入力端電圧は減らされることを特徴とする、制御処理方法。
【請求項8】
請求項1に記載の制御処理方法において、前記非常時SPS発電モードにおいて、第2の負荷の入力端電圧が、Vmppt電圧に基づいて、第3の事前設定範囲内で自動的に調節され;Vmppt<(r×Urate2+20V)のとき、AC出力端電圧は、0.5×Urate2であり;Vmppt≧(rUrate2+20V)のとき、AC出力端電圧は(Vmppt-20V)/rであり、
ここで、Urate1は第1の負荷の前記入力端電圧、Urate2は前記第2の負荷の前記入力端電圧であることを特徴とする、制御処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ技術に関し、特に、H5トポロジー構造を有するインバータ装置用の制御処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールによって提供される直流電力を民生用又は産業用の交流電力に変換するためのコア装置として、光起電力インバータは新エネルギーの分野で益々重要な位置を占めている。近年、トランスレスの光起電力インバータが急速に発展し、市場で広く適用されている。しかし、現在、市場にある大部分のインバータは、グリッド接続機能又はオフグリッド機能などの単一機能のみを有する。これらは、グリッド接続機能、オフグリッド機能、及びエネルギー貯蔵機能などの統合機能を有するが、大部分のインバータの動作及び制御方法は単一であり、システムの全体的な効率及び安全への配慮は不十分である。太陽光発電市場の需要の急激な増加に伴い、グリッド接続、オフグリッド、及び非常時SPSの統合機能を有する光起電力インバータが、世間では益々人気が高まっている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、従来技術の問題を解決するために、H5トポロジー構造を有するインバータ装置用の制御処理方法を提供する。
【0004】
本発明の目的を達成するために、本発明は、H5トポロジー構造を有するインバータ装置用の制御処理方法を提供し、インバータ装置は、H5トポロジーインバータブリッジ構造と、グリッド接続、オフグリッド及び非常時SPSの統合機能とを有する。制御処理方法は、電力グリッドが正常に電力供給している場合は、第1の制御モードを使用してインバータ装置を動作させることであって、第1の制御モードでは、ユニポーラH5 PWM変調モードが使用されて、インバータ装置はグリッド接続発電モードで動作することが可能であることと;電力グリッドが異常に電力供給しているか、又は電力グリッドが短時間停電している場合は、第2の制御モードを使用してインバータ装置を動作させることであって、第2の制御モードでは、ユニポーラH5 PWM定電圧変調モードを使用して、インバータ装置がオフグリッド発電モードで動作することが可能であることと;電力グリッドが長時間停電している場合は、第3の制御モードを使用してインバータ装置を動作させることであって、第3の制御モードでは、H5-1 PWM定電圧変調モードが使用されて、インバータ装置が非常時SPS発電モードで動作することが可能であることと、を含む。
【0005】
更に、インバータ装置は、スイッチユニット、第1の負荷、第2の負荷、変換ユニット、PVユニット、及び容量性エネルギー貯蔵ユニットを含み;第1の制御モードでは、スイッチユニットは第1の動作モードに切り替えられて、交流電源が第1の負荷を駆動して動作させることが可能になり、交流電源は、変換ユニット、PVユニット、及び容量性エネルギー貯蔵ユニットを通過した後に、接続されることが可能になり、容量性エネルギー貯蔵ユニットはエネルギー貯蔵状態にあり;第2の制御モードでは、スイッチユニットは第2の動作モードに切り替えられて、交流電源は遮断され、容量性エネルギー貯蔵ユニットは、PVユニット及び変換モジュールを通過した後に第1の負荷に接続されることが可能になり、容量性エネルギー貯蔵ユニットは放電して第1の負荷を駆動して動作させ;第3の制御モードでは、スイッチユニットは第3の動作モードに切り替えられて、交流電源は遮断され、容量性エネルギー貯蔵ユニットは、PVユニット及び変換モジュールを通過した後に第2の負荷に接続されることが可能になり、容量性エネルギー貯蔵ユニットは放電して第2の負荷を駆動して動作させる。
【0006】
更に、第2の負荷は第1の負荷を含む。
【0007】
更に、インバータ装置内の変換ユニットは、DC-AC変換ユニット、又はDC-DC変換ユニットである。
【0008】
更に、スイッチユニットは、第1のスイッチ、第2のスイッチ、第3のスイッチ、及び第4のスイッチを含み、第1のスイッチ、第2のスイッチ、及び第3のスイッチは直列に接続され、次いで、変換ユニットと交流電源との間に接続され、第1のスイッチは変換ユニットに接続され、第3のスイッチは交流電源に接続されており;第1の負荷の2つの端部はそれぞれ、活線及びヌル線に接続され、第1の負荷は第2のスイッチと第3のスイッチとの間に接続されており;第2の負荷及び第4のスイッチは直列に接続されて、統合体として使用され、統合体の2つの端部はそれぞれ、活線及びヌル線に接続され、統合体は第1のスイッチと第2のスイッチとの間に接続されている。
【0009】
更に、スイッチユニットが第1の動作モードに切り替えられた場合、第1のスイッチ、第2のスイッチ、及び第3のスイッチは閉じられ、第4のスイッチは開かれ;スイッチユニットが第2の動作モードに切り替えられた場合、第1のスイッチ及び第2のスイッチは閉じられ、第3のスイッチ及び第4のスイッチは開かれ;スイッチユニットが第3の動作モードに切り替えられた場合、第1のスイッチ及び第4のスイッチは閉じられ、第2のスイッチ及び第3のスイッチは開かれる。
【0010】
更に、オフグリッド発電モードでは、第1の負荷の入力端電圧が、負荷条件に基づいて、第1の事前設定範囲内にある第1の変化率k1に従って自動的に調節され、負荷が重い場合は、第1の負荷の入力端電圧は増やされ、負荷が軽い場合は、第1の負荷の入力端電圧は減らされる。
【0011】
更に、インバータ装置は第5のスイッチ管を含み、インバータモジュールの動作モードが、非常時SPS発電モードにおける照度予測に従って自動的に制御され、照度が強い場合は、第5のスイッチ管はSPWMモードで動作し、照度が弱い場合は、第5のスイッチ管は直接モードで動作する。
【0012】
更に、非常時SPS発電モードでは、第2の負荷の入力端電圧が、負荷条件に基づいて、第2の事前設定範囲内にある第2の変化率k2に従って自動的に調節され、負荷が重い場合は、第2の負荷の入力端電圧は増やされ、負荷が軽い場合は、第2の負荷の入力端電圧は減らされる。
【0013】
更に、非常時SPS発電モードでは、第2の負荷の入力端電圧が、Vmppt電圧に基づいて、第3の事前設定範囲内で自動的に調節され;Vmppt<(r×Urate2+20V)のとき、AC出力端電圧は、0.5×Urate2であり;Vmppt≧(rUrate2+20V)のとき、AC出力端電圧は(Vmppt-20V)/rであり、ここで、Urate1は第1の負荷の入力端電圧、Urate2は第2の負荷の入力端電圧である。
【0014】
従来技術と比較して、本発明によって提供されるH5トポロジー構造を有するインバータ装置の制御処理方法は、インバータ装置が、グリッド接続、オフグリッド、及び非常時SPSの統合動作環境下で、より高い安全性、信頼性、効率性、インテリジェンスへの配慮を有することができることを保証し得る。
【0015】
更に、電力グリッドが正常に電力供給している場合、インバータ装置はグリッド接続状態にあり、この時点でスイッチS1、S2、及びS3は閉状態にあり、スイッチS4は開状態にあり;ユニポーラH5 PWM変調モードを使用するH5インバータブリッジに対しては、システムのコモンモード電圧が効果的に保証されることができ、システムのリーク電流が効果的に低減され、システムの安全性が保証され;HERICなどのトポロジーと比較すると、効率はより高く、ユーザにとっての利益が向上する。
【0016】
更に、電力グリッドが異常に電力供給しているか、又は電力グリッドが短時間停電している場合は、インバータ装置はオフグリッド状態で動作し、この時点でスイッチS1及びS2は閉状態にあり、スイッチS3及びS4は開状態にあり;ユニポーラH5 PWM定電圧変調モードを使用するH5インバータブリッジに対しては、ユーザ電力供給システムの安定性と信頼性が保証される。この動作状態では、インバータ装置は、負荷条件に基づいて、定格電圧の100%~75%の変化率k1に従って出力電圧Urate1を自動的に調節することができる。負荷が重い場合は、出力電圧を増やして出力電流を減らしシステムの損失を減らし、システムの効率を効果的に改善できる。
【0017】
更に、電力グリッドが長時間停電している場合は、光起電力システムの電力は特に貴重と考えられ、重要な負荷への電力の使用が優先的に満たされ、システム効率の最大限の利用が保証される。この時点で、インバータ装置は非常時SPS状態で動作し、この時点で、スイッチS1及びS4は閉状態にあり、スイッチS2及びS3は開状態にあり;H5インバータについては、ユニポーラH5-1 PWM定電圧変調モードが使用される。この変調モードで十分な照度がある場合、スイッチ管T5は、通常のH5 PWM定電圧変調動作モードと同様にSPWM動作モードにあり、この時点で、インバータシステムはより良いコモンモード特徴を有し、負荷の通常動作が保証できる。照度が弱い場合、スイッチ管T5は直接動作モードにあり、H5インバータブリッジモジュールはH4 PWM定電圧変調モードで動作する。この時点で、スイッチ管T5のスイッチ損失はなく、装置の出力電圧は負荷条件と光起電力インバータ装置のVmppt電圧とに従って自動的に調節されるので、インバータ装置システムは常に最大限の効率で動作することが可能になる。本明細書では、負荷が重い場合、Urate2は増やされ;負荷が軽い場合、Urate2は減らされる。従って、出力電圧は、負荷条件に基づいて、100%~50%の変化率k2に従って自動的に調節され;Vmppt<(r×Urate2+20V)のとき、AC出力端電圧は、0.5×Urate2であり;Vmppt≧(rUrate2+20V)のとき、AC出力端電圧は(Vmppt-20V)/rである。
【0018】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の本明細書の記載において説明され、本明細書の記載から部分的に明らかになり、又は本発明を実施することにより理解され得る。本発明の目的及び他の利点は、本明細書の記載、特許請求の範囲及び図面において特に指摘された構造により、実現及び達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図面は、本発明の技術的ソリューションについての更なる理解を提供するために使用され、本明細書の記載の一部を構成し、本発明の技術的ソリューションを説明するために本発明の実施形態と共に使用されるものであり、本発明の技術的ソリューションに対して限定を構成するものではない。
【0020】
図1図1は、本発明による、H5トポロジー構造を有するインバータ装置用の制御処理方法のフローチャートを示す。
図2図2は、H5トポロジー構造を有するインバータ装置の構造的概略図を示す。
図3図3は、H5トポロジーインバータ装置の一例の構造図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の目的、技術的ソリューション、及び利点をより明確にするために、本発明の実施形態を、図面を参照して以下に詳細に説明する。本出願の実施形態及び実施形態の特徴は、矛盾のない状況において相互に自由に組み合わせてもよいことに言及する必要がある。
【0022】
図面のフローチャートによって示されるステップは、コンピュータ実行可能命令の群からなるコンピュータシステムで実行されてもよい。加えて、フローチャートには論理シーケンスが示されているが、特定の状況下では、図示された又は説明されたステップは、このシーケンスとは異なるシーケンスに従って実行されてもよい。
【0023】
本発明の実施形態は、H5トポロジー構造を有するインバータ装置用の制御処理方法を提供する。制御処理方法は、電力グリッドが正常に電力供給している場合は、第1の制御モードを使用してインバータ装置を動作させることであって、第1の制御モードでは、ユニポーラH5 PWM変調モードが使用されて、インバータ装置はグリッド接続発電モードで動作することが可能であることと;電力グリッドが異常に電力供給しているか、又は電力グリッドが短時間停電している場合は、第2の制御モードを使用してインバータ装置を動作させることであって、第2の制御モードでは、ユニポーラH5 PWM定電圧変調モードが使用されて、インバータ装置はオフグリッド発電モードで動作することが可能であることと;電力グリッドが長時間停電している場合は、第3の制御モードを使用してインバータ装置を動作させることであって、第3の制御モードでは、H5-1 PWM定電圧変調モードが使用されて、インバータ装置は非常時SPS発電モードで動作することが可能であることと、を含む。
【0024】
図1は、本発明による、H5トポロジー構造を有するインバータ装置用の制御処理方法の処理例のフローチャートを示す。
【0025】
図1に示すように、処理が開始した後、最初にステップS100が、すなわち電力グリッドの現在の状態を判定するステップが実行される。
【0026】
電力グリッドが正常に電力供給している場合、ステップS101が実行される。
【0027】
ステップS101では、第1の制御モードを使用して、インバータ装置を動作させる。第1の制御モードでは、ユニポーラH5 PWM変調モードが使用されて、インバータ装置はグリッド接続発電モードで動作することが可能になる。このように、インバータは、グリッド接続発電モードにて安全且つ効率的に動作するように、より高い効率及びより低いリーク電流を有するようにできる。本明細書では、ユニポーラH5 PWM変調モードとは、H5トポロジースイッチ管に対してユニポーラPWM変調モードを使用するモードを指す。
【0028】
電力グリッドが異常に電力供給しているか、又は電力グリッドが短時間停電している場合は、ステップS102が実行される。本明細書において、例えば、電力グリッドが短時間停電している状況は、電力グリッドが停電しており、発電システムの電力が現在の負荷電力よりも大きい状況を指す。
【0029】
ステップS102では、第2の制御モードを使用して、インバータ装置を動作させる。第2の制御モードでは、ユニポーラH5 PWM定電圧変調モードが使用されて、インバータ装置はオフグリッド発電モードで動作することが可能になる。このように、インバータ装置は、より高い効率、より低いリーク電流、及びより安定した電力品質を有するようにできて、オフグリッド発電モードにて安全且つ効率的に動作することができる。本明細書では、ユニポーラH5 PWM定電圧変調モードとは、H5トポロジースイッチ管に対してユニポーラPWM変調モードを使用し、電圧ループを使用してAC出力側を制御し、出力電圧を特定のリアルタイム設定値にするモードを指す。
【0030】
電力グリッドが長時間停電している場合は、ステップS103が実行される。本明細書において、例えば、電力グリッドが長時間停電している状況は、電力グリッドが停電しており、発電システムの電力が現在の負荷電力よりも小さい状況を指す。
【0031】
ステップS103では、第3の制御モードを使用して、インバータ装置を動作させる。第3の制御モードでは、H5-1 PWM定電圧変調モードが使用されて、インバータ装置は非常時Solar Power from Space(SPS)発電モードで動作することが可能になる。このように、インバータ装置は、高効率且つ安全性の高い非常用電源機能、より安定した電力品質及びより高い効率を有して、非常時SPS生成モードにて安全且つ効率的に動作することができる。本明細書では、H5-1 PWM定電圧変調モードとは、H5トポロジーにおいてスイッチ管T5に対して直接制御を使用し、Hブリッジスイッチ管T1~T4に対してユニポーラPWM変調モードを使用し、電圧ループを使用してAC出力側を制御し、出力電圧を特定のリアルタイム設定値にするモードを指す。
【0032】
一実施モードによると、インバータ装置は、スイッチユニット、第1の負荷Load1、第2の負荷Load2、変換ユニット、PVユニット、及び容量性エネルギー貯蔵ユニットを含んでもよい。
【0033】
例えば、第1の制御モードでは、スイッチユニットは第1の動作モードに切り替えられて、交流電源が第1の負荷を駆動して動作させることが可能になり、交流電源は、変換ユニット、PVユニット、容量性エネルギー貯蔵ユニットを通過した後に、接地されることが可能になってもよく、容量性エネルギー貯蔵ユニットはエネルギー貯蔵状態にある。
【0034】
例えば、第2の制御モードでは、スイッチユニットは第2の動作モードに切り替えられて、交流電源は遮断され、容量性エネルギー貯蔵ユニットは、PVユニット及び変換モジュールを通過した後に第1の負荷に接続されることが可能になり、容量性エネルギー貯蔵ユニットは放電して第1の負荷を駆動して動作させてもよい。
【0035】
例えば、第3の制御モードでは、スイッチユニットは第3の動作モードに切り替えられて、交流電源は遮断され、容量性エネルギー貯蔵ユニットは、PVユニット及び変換モジュールを通過した後に第2の負荷に接続されることが可能になり、容量性エネルギー貯蔵ユニットは放電して第2の負荷を駆動して動作させてもよい。
【0036】
例えば、第2の負荷は第1の負荷を含んでもよい。
【0037】
第1の負荷は、家電、照明、又は車両充電負荷などのユニバーサル太陽光発電システムの負荷であってもよい。
【0038】
第2の負荷は、例えば、携帯電話充電器、非常用照明電源負荷、又は消火用電源負荷など、電力不足状態で使用又は動作する必要がある負荷であってもよい。
【0039】
その上、インバータ装置内の変換ユニットは、例えば、DC-AC変換ユニット、又はDC-DC変換ユニットであってもよい。
【0040】
一実施モードによると、図2に示すように、スイッチユニットは、例えば、第1のスイッチS1、第2のスイッチS2、第3のスイッチS3、及び第4のスイッチS4を含んでもよく、第1のスイッチ、第2のスイッチ、及び第3のスイッチは直列に接続され、次いで、変換ユニットと交流電源ACとの間に接続され、第1のスイッチは変換ユニットに接続され、第3のスイッチは交流電源に接続されている。例えば、第1の負荷の2つの端部はそれぞれ、活線及びヌル線(null line)に接続され、第1の負荷は第2のスイッチと第3のスイッチとの間に接続されている。第2の負荷及び第4のスイッチは直列に接続されて、統合体として使用され、統合体の2つの端部はそれぞれ、活線及びヌル線に接続され、統合体は第1のスイッチと第2のスイッチとの間に接続されている。
【0041】
例えば、スイッチユニットが第1の動作モードに切り替えられた場合、第1のスイッチ、第2のスイッチ、及び第3のスイッチは閉じられ、第4のスイッチは開かれ;スイッチユニットが第2の動作モードに切り替えられた場合、第1のスイッチ及び第2のスイッチは閉じられ、第3のスイッチ及び第4のスイッチは開かれ;スイッチユニットが第3の動作モードに切り替えられた場合、第1のスイッチ及び第4のスイッチは閉じられ、第2のスイッチ及び第3のスイッチは開かれる。
【0042】
一実施モードによると、オフグリッド発電モードにおいて、第1の負荷Load1の入力端電圧Urate1が、負荷条件に基づいて、第1の事前設定範囲内にある第1の変化率k1に従って自動的に調節され、負荷が重い場合は、第1の負荷の入力端電圧は増やされ、負荷が軽い場合は、第1の負荷の入力端電圧は減らされる。本明細書では、第1の事前設定範囲は、例えば、100%~75%であってもよいが、それに限定されない。本明細書では、第1の変化率k1は、オフグリッド発電モードにおける出力負荷端電圧の充電調節率を指し、現在の瞬間(tn)における負荷の入力端の電圧と電流、及び前の瞬間(tn-1)における負荷の入力端の電圧と電流を検出することにより得られる。
【0043】
一実施モードによると、図3に示すように、インバータ装置のH5トポロジー構造1(破線枠で示す部分)は、第1のスイッチ管T1、第2のスイッチ管T2、第3のスイッチ管T3、第4のスイッチ管T4、及び第5のスイッチ管T5からなる。本明細書では、コンデンサDCリンクはDC+とDC-との間に接続され、第5のスイッチ管T5の一端はDC+と接続され、他端は第1のスイッチ管T1と接続されている。図では、DCリンクはBUSコンデンサであり、La及びLbはインバータ出力インダクタであり、Load1及びLoad2は第1の負荷及び第2の負荷である。
【0044】
インバータモジュールの動作モードは、例えば、非常時SPS発電モードにおける照度予測に従って自動的に制御される。照度が強い場合は、第5のスイッチ管T5はSPWMモードで動作し、照度が弱い場合は、第5のスイッチ管T5は直接モードで動作する。
【0045】
一実施モードによると、非常時SPS発電モードでは、第2の負荷の入力端電圧が、例えば、負荷条件に基づいて、第2の事前設定範囲内にある第2の変化率k2に従って自動的に調節されてもよく、負荷が重い場合は、第2の負荷の入力端電圧は増やされ、負荷が軽い場合は、第2の負荷の入力端電圧は減らされる。第2の事前設定範囲は、例えば、100%~50%であってもよいが、それに限定されない。第2の変化率k2は、非常時SPS発電モードにおける出力負荷端電圧の充電調節率を指し、現在の瞬間(tn)における負荷の入力端の電圧と電流、及び前の瞬間(tn-1)における負荷の入力端の電圧と電流を検出することにより得られる。
【0046】
一実施モードによると、非常時SPS発電モードでは、第2の負荷の入力端電圧は、例えば、Vmppt電圧に従って、第3の事前設定範囲内で自動的に調節されてもよい。Vmppt<(r×Urate2+20V)のとき、AC出力端電圧は、0.5×Urate2であり;Vmppt≧(rUrate2+20V)のとき、AC出力端電圧は(Vmppt-20V)/rである。
【0047】
Urate1は第1の負荷の入力端電圧、Urate2は第2の負荷の入力端電圧、及びrはAC-DC係数であり、例えば、1.414であってもよいが、1.414に限定されない。Vmpptは、コンデンサDCリンクの2つの端部の電圧である。
【0048】
第3の事前設定範囲は、例えば、100%~50%であってもよいが、それに限定されない。
【0049】
本発明は上記の実施モードを開示しているが、上述のコンテンツは、本発明を限定するためのものではなく、本発明に関する理解を促進するために使用される実施モードに過ぎない。当業者は、本発明によって開示される本質及び範囲から逸脱することなく、実施モード及び詳細に対して、いかなる修正及び変更を行ってもよい。しかし、本発明の特許保護範囲は、依然として、添付の特許請求の範囲によって規定される範囲に従うものとする。
図1
図2
図3