(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】重油中の金属及び硫黄の削減のための水素化処理触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 23/883 20060101AFI20230426BHJP
B01J 37/02 20060101ALI20230426BHJP
B01J 35/10 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
B01J23/883 M
B01J37/02 101Z
B01J35/10 301G
(21)【出願番号】P 2020539077
(86)(22)【出願日】2019-01-25
(86)【国際出願番号】 US2019015107
(87)【国際公開番号】W WO2019152268
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-10-25
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514050445
【氏名又は名称】アドバンスド・リフアイニング・テクノロジーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】小圷 陽介
(72)【発明者】
【氏名】松下 康一
(72)【発明者】
【氏名】ウッズ、マシュー ピー.
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-520567(JP,A)
【文献】特開昭51-045692(JP,A)
【文献】特開昭61-097035(JP,A)
【文献】特表2014-529502(JP,A)
【文献】国際公開第2016/195973(WO,A1)
【文献】特表2007-512132(JP,A)
【文献】特表2011-502047(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0124410(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体と、前記担体に含浸された金属成分と、を含む、
水素化処理触媒であって、
-前記担体が、アルミナを含み、
-前記金属成分が、第1の金属画分及び第2の金属画分を含み、前記第1の金属画分が、クロム、モリブデン、又はタングステンから選択される少なくとも1つの金属を含み、前記第2の金属画分が、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、又はプラチナから選択される少なくとも2つの金属を含み、
前記触媒が、12nm~16nm未満の細孔径を有する細孔に対して0.28~0.45mL/gの第1の細孔容積、及び2.0nm~12.0nm未満の細孔に対して0.15~0.28mL/gの第2の細孔容積を有する、触媒。
【請求項2】
2.0~6.0の範囲の前記第2の金属画分に対する前記第1の金属画分の
重量比を更に含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記
重量比が、3.0~5.0の範囲である、請求項2に記載の触媒。
【請求項4】
前記
重量比が、3.5~4.5の範囲である、請求項3に記載の触媒。
【請求項5】
前記第2の金属画分が、コバルト、ロジウム、又はイリジウムから選択される第1の金属サブグループからの少なくとも1つの金属と、ニッケル、パラジウム、又は白金から選択される第2の金属サブグループからの少なくとも1つの金属と、を含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項6】
前記第1の金属サブグループが、前記触媒の総重量に基づいて0.5~2.0重量%の量で存在し、前記第2の金属サブグループが、前記触媒の総重量に基づいて0.3~1.0重量%の量で存在する、請求項5に記載の触媒。
【請求項7】
前記触媒の総重量に基づいて、前記第1の金属サブグループが、0.80~1.20重量%の量で存在し、前記第2の金属サブグループが、0.40~0.60重量%の量で存在する、請求項6に記載の触媒。
【請求項8】
前記第2の金属画分が、前記第1の金属サブグループからの1つの金属と、前記第2の金属サブグループからの1つの金属と、を含む、請求項5に記載の触媒。
【請求項9】
前記第1の金属画分及び前記第2の金属画分の総重量が、前記触媒の総重量に基づいて3.0~12.0重量%である、請求項1に記載の触媒。
【請求項10】
前記第1の金属画分及び前記第2の金属画分の総重量が、5.0~10.0重量%である、請求項9に記載の触媒。
【請求項11】
前記第1の金属画分及び前記第2の金属画分の総重量が、6.0~8.0重量%である、請求項10に記載の触媒。
【請求項12】
前記第1の金属画分が、モリブデンである、請求項1に記載の触媒。
【請求項13】
前記第2の金属画分が、コバルト及びニッケルを含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項14】
前記金属成分が、モリブデン、コバルト及びニッケルを含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項15】
前記第1の細孔容積が、0.30~0.40mL/gである、請求項1に記載の触媒。
【請求項16】
前記第1の細孔容積が、0.32~0.36mL/gである、請求項15に記載の触媒。
【請求項17】
前記第2の細孔容積が、0.16~0.25mL/gである、請求項1に記載の触媒。
【請求項18】
前記第2の細孔容積が、0.17~0.22mL/gである、請求項17に記載の触媒。
【請求項19】
16nm~60nmの細孔に対して、0.01~0.20mL/gの第3の細孔容積を更に含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項20】
前記第3の細孔容積が、0.02~0.19mL/gである、請求項19に記載の触媒。
【請求項21】
前記第3の細孔容積が、0.10~0.18mL/gである、請求項20に記載の触媒。
【請求項22】
前記第1の細孔容積及び前記第3の細孔容積の総計が、0.32~0.60mL/gである、請求項
19に記載の触媒。
【請求項23】
前記第1の細孔容積及び前記第3の細孔容積の総計が、0.42~0.55mL/gである、請求項22に記載の触媒。
【請求項24】
前記第1の細孔容積及び前記第3の細孔容積の総計が、0.46~0.52mL/gである、請求項23に記載の触媒。
【請求項25】
0.63~0.75mL/gの総細孔容積を更に含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項26】
総細孔容積が、0.64~0.74mL/gである、請求項25に記載の触媒。
【請求項27】
総細孔容積が、0.65~0.73mL/gである、請求項26に記載の触媒。
【請求項28】
180~230m
2/gの比表面積を更に含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項29】
前記比表面積が、185~225m
2/gである、請求項28に記載の触媒。
【請求項30】
前記比表面積が、190~220m
2/gである、請求項29に記載の触媒。
【請求項31】
10.0~16.0nmの中央細孔径を更に含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項32】
前記中央細孔径が、11.0~15.0nmである、請求項31に記載の触媒。
【請求項33】
前記中央細孔径が、13.4~14.3nmである、請求項32に記載の触媒。
【請求項34】
前記触媒の総重量に基づいて、1000ppmの最大リン含有量を更に含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項35】
前記最大リン含有量が、200ppmである、請求項34に記載の触媒。
【請求項36】
水素化処理触媒を生成するためのプロセスであって、金属成分を担体上へ含侵させることを含み、
-前記担体が、アルミナを含み、
-前記金属成分が、第1の金属画分及び第2の金属画分を含み、前記第1の金属画分が、クロム、モリブデン、タングステン、又はそれらの混合物から選択される少なくとも1つの金属を含み、前記第2の金属画分が、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、プラチナ、又はそれらの混合物から選択される少なくとも2つの異なる金属を含み、
前記触媒が、12nm~16nm未満の細孔径を有する細孔に対して0.28~0.45mL/gの第1の細孔容積、及び2.0nm~12.0nm未満の細孔に対して0.15~0.28mL/gの第2の細孔容積を有する、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2018年1月31日に提出された米国仮特許出願第62/624236号の優先権出願日の利益を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、水素化処理触媒に関する。より具体的には、本発明は、三金属組成を有する水素化処理触媒、ならびに改善された脱金属能力及び硫黄除去のために特に設計された細孔ネットワークに関する。
【背景技術】
【0003】
製油所では、増加した常圧残油及び真空残油などの高沸点成分の割合を含有する、より経済的でより重い原油を処理する傾向がある。これらの成分には、高レベルの硫黄、窒素、ニッケル、及びバナジウムを含有しており、下流の処理中に複雑化を引き起こす。これらの用途では、ニッケル及びバナジウムはポルフィリン化合物の形態を採ることがあり、ニッケルの除去は一般に、バナジウムの除去より困難である。これらのより重い原油を処理して、金属、硫黄及び窒素を除去し炭化水素を飽和させることは、いくつかの理由のために有利である。第1に、硫黄及び窒素を除去することで、下流のユニットの環境基準に準拠することができる。第2に、汚染金属の除去は、接触改質装置、流動接触分解又は異性化ユニットで使用されるものなどの下流のユニット触媒を保護する。
【0004】
硫黄の除去及び脱金属に関して活性が改善された水素化処理触媒を開発するための継続的な努力があった。米国特許第5,334,307号は、2~8重量パーセントのシリカを含有するアモルファス多孔質耐火性酸化物担体を有する水素化処理触媒を開示している。米国特許第5,545,602号は、アルミナ担体、第VIII族非貴金属酸化物、VI族-B金属酸化物、及び0~2重量%の酸化リンを開示する。それにもかかわらず、硫黄金属の除去、特にニッケルに関して改善された活性及び活性保持を有する水素化処理触媒に対する継続的な必要性がある。そのような改善が特定の三金属配合及び特に設計された細孔構造を有する触媒を使用して可能になることが予想外に見出された。
【発明の概要】
【0005】
本開示の主題は、特にニッケルに関して、並外れた硫黄金属除去活性を提供する、特に定義された細孔サイズ分布を有する独特の三金属配合を有する水素化処理触媒に関する。
【0006】
一実施形態では、本開示は、担体と、担体に含浸された金属成分と、を含む、触媒を提供する。担体は、アルミナを含み、金属成分は、第1の金属画分及び第2の金属画分を含み、第1の金属画分は、クロム、モリブデン、又はタングステンから選択される少なくとも1つの金属を含み、第2の金属画分は、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、又はプラチナから選択される少なくとも2つの金属を含む。触媒は、12nm~16nm未満の細孔径を有する細孔に対して0.28~0.45mL/gの第1の細孔容積、及び2.0nm~12.0nm未満の細孔に対して0.15~0.28mL/gの第2の細孔容積を有する。
【0007】
別の実施形態では、本開示は、触媒を生成するためのプロセスを提供し、金属成分を担体上へ含侵することを含む。担体は、アルミナを含み、金属成分は、第1の金属画分及び第2の金属画分を含む。第1の金属画分は、クロム、モリブデン、タングステン、又はそれらの混合物から選択される少なくとも1つの金属を含み、第2の金属画分は、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、プラチナ、又はそれらの混合物から選択される少なくとも2つの異なる金属を含む。触媒は、12nm~16nm未満の細孔径を有する細孔に対して0.28~0.45mL/gの第1の細孔容積、及び2.0nm~12.0nm未満の細孔に対して0.15~0.28mL/gの第2の細孔容積を有する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書の目的のために、「ベーマイト」又は「擬ベーマイト」という用語は、式Al2O3.H2Oの固体アルミナ材料を意味し、十分に結晶化されたy-AlOOHの主反射と一致する太線を示す、X線回折図形を有し、これらは、交換可能に使用される。
【0009】
本主題の触媒は、担体及び担体に含浸された金属成分を含み、製油所供給源から金属及び硫黄を除去するように設計されている。供給源には、大気残留物、真空残留物、又は脱アスファルト油が含まれ、原油から取得することができる。原油又は原油の画分の種類は限定されない。大気残留物は、原油の常圧蒸留によって取得され、343℃を超える沸点を有する重油画分である。減圧下で大気残留物を蒸留すると、550℃を超えて沸騰する重質油画分である真空残留物が生成される。脱アスファルト油とは、溶剤抽出によって真空残留物からアスファルテンを除去することによって取得される画分である。本明細書に記載されている触媒は、好ましくは、中東原油などの高硫黄含有量とともに高レベルの金属を含有する供給原料を処理するために使用される。
【0010】
本主題に従って調製された触媒は、広範囲の反応条件下、例えば、約200~500℃の範囲の温度、約5~300barの範囲の水素圧力、及び約0.05~10h-1の範囲の液体の時空間速度(LHSV)で複数の供給物を処理するための水素処理プロセスで使用することができる。「水素処理」という用語は、炭化水素原料を高温高圧(水素処理反応条件)で水素と反応させる様々なプロセスを包含でき、水素添加、水素化脱硫、水素化脱窒素、水素化脱金属、水素化脱芳香族、水素化分解、及び軽度圧力条件下水素化分解(マイルドハイドロクラッキングとも称される)が挙げられる。
【0011】
より具体的には、本明細書で使用される「水素化処理」という用語は、当該供給原料に存在する硫黄、汚染金属、窒素、及びコンラッドソン炭素のうちの少なくとも1つの濃度を下げるために触媒の存在下で石油供給原料(石油中に存在する炭化水素の複雑な混合物)を圧力下で水素と反応させる石油精製プロセスを意味する。水素化処理は、水素化分解、及び水素化処理プロセスを含み、これらは、反応する水素の量、触媒の特性、及び処理される石油供給原料の性質によって異なる。
【0012】
水素化分解は、典型的には、(a)超大気圧の水素分圧で、(b)典型的には、593.3℃未満の温度で、(c)水素の全体的な正味化学消費量で、及び(d)少なくとも1つの水素化成分を含有する固体担持触媒の存在下で、実行される分子(「供給原料」)ごとに少なくとも5個の炭素原子を含有する主に炭化水素系化合物の水素化処理を伴うと理解されている。
【0013】
水素化処理は、典型的には、当該供給原料の脱硫及び/又は脱窒のために、分子当たり少なくとも5個の炭素原子を含有する主に炭化水素系化合物(「供給原料」)の水素化処理を含むと理解され、処理は、(a)超大気圧の水素分圧で、(b)典型的には、593.3℃未満の温度で、(c)水素の全体的な正味化学消費量で、及び(d)少なくとも1つの水素化成分を含有する固体担持触媒の存在下で、実行される。
【0014】
触媒担体
【0015】
本主題の触媒金属は、有孔アルミナ担体に含有される。使用されるアルミナは、例えば、ガンマアルミナ、又はベーマイト若しくは擬ベーマイトなどのアルミナの前駆体であり得る。アルミナは、解膠してもよく、又は解膠しなくてもよい。好ましくは、調製に使用されるアルミナは、解膠された擬ベーマイトであり、これは混合及び形成後、か焼されてガンマアルミナになる。アルミナ組成物は、典型的には、温度、時間、pH、反応物供給速度などを含む制御された反応物濃度及び反応条件下でアルミナが沈殿するバッチプロセスで調製される。そのようなプロセスは、当該技術分野で一般に既知であり(例えば、Sanchezらの米国特許第4,154,812号、Lussierらの米国特許第6,403,526号、及びそこに引用されている特許を参照されたく、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれている)、関連するアルミナ調製方法が、本明細書に開示されている。
【0016】
触媒金属成分
【0017】
触媒金属成分は、第1の金属画分及び第2の金属画分を含む。第1の金属画分は、周期表の第VIB族元素から選択される少なくとも1つの金属を含む。好ましくは、第1の金属画分は、クロム、モリブデン、又はタングステンから選択される少なくとも1つの金属を含む。より好ましくは、第1の金属画分は、単一の金属である。更により好ましくは、第1の金属画分は、モリブデンである。第2の金属画分は、周期表の第VIIIB族元素から選択される少なくとも2つの金属を含む。好ましくは、第2の金属画分は、コバルト、ロジウム、イリジウム、パラジウム、又は白金から選択される少なくとも2つの金属を含む。より好ましくは、第2の金属画分は、コバルト、ロジウム、又はイリジウムから選択される第1の金属サブグループからの少なくとも1つの金属と、ニッケル、パラジウム、又は白金から選択される第2の金属サブグループからの少なくとも1つの金属と、を含む。更により好ましくは、第2の金属画分は、第1の金属サブグループからの1つの金属と、第2の金属サブグループからの1つの金属と、を含む。より好ましくは、第2の金属画分は、コバルト及びニッケルを含む。
【0018】
好ましくは、第1の金属画分と第2の金属画分との組み合わされた総重量は、触媒の総重量に基づいて3.0~12.0重量%である。より好ましくは、第1の金属画分及び第2の金属画分の総重量は、5.0~10.0重量%である。更により好ましくは、第1の金属画分及び第2の金属画分の総重量は、6.0~8.0重量%である。
【0019】
好ましくは、第1の金属サブグループは、触媒の総重量に基づいて0.5~2.0重量%の量で存在し、第2の金属サブグループは、触媒の総重量に基づいて0.3~1.0重量%の量で存在する。より好ましくは、触媒の総重量に基づいて第1の金属サブグループは、0.80~1.20重量%の量で存在し、第2の金属サブグループは、0.40~0.60重量%の量で存在する。
【0020】
好ましくは、2.0~6.0の範囲の第2の金属画分に対する第1の金属画分の比を更に含む。より好ましくは、3.0~5.0の範囲の第2の金属画分に対する第1の金属画分の比を更に含む。更により好ましくは、3.5~4.5の範囲の第2の金属画分に対する第1の金属画分の比を更に含む。
【0021】
触媒調製プロセス
【0022】
本主題の触媒は、最初にアルミナを水などの溶媒と混合し、アルミナを解膠する場合は解膠液と混合して、押出成形などの成形に適した生地状の材料を形成することによって調製される。混合は、典型的には、これらの成分を組み合わせるために、低エネルギーミキサ又は高エネルギー混合デバイスで行われる。次に、生地状の担体材料を押し出し、乾燥させ、か焼する。最後に、乾燥/か焼した押出物に金属成分を含浸させる。
【0023】
解膠
【0024】
アルミナの解膠は、化学処理によって大きなアルミナ粒子を小さな粒子に分解して、触媒組成物に好適なバインダーを作るために使用されるプロセスである。解膠液は、酸及び水を含めることができ、触媒の細孔構造にも影響を及ぼし、細孔サイズ分布を調整するために使用することができる。アルミナを解膠するために使用される酸は、好ましくは一塩基酸から選択される。より好ましくは、酸は、ギ酸、硝酸、塩酸、酢酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される。更により好ましくは、アルミナを解膠するために使用される酸は、塩酸又は硝酸である。最も好ましくは、解膠は、硝酸を用いて行われる。アルミナの解膠は、好ましくは、解膠プロセスにおいて1.0~4.0重量%の酸を使用して実施される。より好ましくは、1.5~3.5重量%が使用される。最も好ましくは、2.0~3.0重量%が使用される。好ましくは、酸、水、及び未焼成のプソイドベーマイトアルミナの水溶液をミキサに供給し、混合して、1750°Fでの空気中の強熱減量測定によって判定される50~65重量パーセントの含水率を有する生地状の材料を生成する。次いで、混合された固体は、以下に記載されるように、所望のサイズ及び形状を有する触媒粒子に形成される。
【0025】
押出/乾燥
【0026】
アルミナが解膠された後、得られた生地状の材料は、最初に押し出されて、ラム押出機、単軸押出機又は二軸押出機などの当該技術分野で公知の機器で押出物を形成する。押出後、押出物は、100~200℃の温度で10分~48時間乾燥するか、又は400~900℃で0.5~48時間か焼することができる。押出物はまた、上記のように乾燥され、続いて上記のようにか焼されてもよい。好ましくは、乾燥/か焼押出物の形状は、四角柱、円筒、三葉、又は四葉を含む。好ましくは、押出物の径は、0.2~10.0mmである。より好ましくは、押出物の径は、0.8~3.0mmである。
【0027】
乾燥/か焼に続いて、金属含有溶液を担体と接触させることにより、活性金属が担体に含浸され、その結果、金属が担体の細孔に堆積する。金属含有溶液は、金属化合物を好ましくは酸化物、硝酸塩、又は炭酸塩として存在させる溶媒に金属化合物を溶解することによって調製することができる。金属含有溶液中の金属は、当該技術分野で既知の任意の方法によって含浸させることができる。好ましくは、金属含浸は、初期湿潤含浸法によって実施される。この含浸法では、溶液中の活性金属の濃度又は使用する溶液の量を調整することにより、担体に付着する活性金属の量を制御することができる。
【0028】
含浸後、含浸された担体は、100~200℃の温度で10分~48時間の期間にわたって乾燥させるか、又は400~700℃の温度で0.5~48時間の期間にわたってか焼することができる。好ましくは、含侵された担体は、上記のように最初に乾燥され、次いで、か焼され得る。好ましくは、第1の金属画分の金属は、第2の金属画分とは別個に含浸され、ここで、別個の含浸は、乾燥及び/又はか焼工程によって分離される。
【0029】
代替的に、酸及び水を用いた解膠工程において、金属含有溶液をアルミナに添加することにより、金属を担体に含浸させることができる。得られた材料は、上記のように押し出され、乾燥され、任意選択的にか焼される。
【0030】
触媒細孔サイズ分布
【0031】
上記のような触媒の調製は、特別に設計された細孔容積分布をもたらし、細孔容積の最大の割合は、12~16nm未満の径を有する細孔内にあり、細孔からの細孔容積の中間量は、2~12nm未満の径を有し、細孔からの細孔容積の最小量は、16+nm(すなわち、細孔が16nm以上)の径を有する。三金属設計と組み合わせて、これらの特定の細孔サイズ範囲における細孔容積の指定されたレベルの組み合わせによって表される細孔サイズネットワークの全体的な構造は、より小さな細孔に好まれる触媒活性の最適なバランス、及び金属を蓄積処理してより大きな細孔に好まれる細孔の閉塞を防止する能力を提供するために特に選択される。
【0032】
特に明記しない限り、細孔容積及び分布、ならびに触媒表面積は、以下に記載される方法によって判定される。
【0033】
本明細書で使用される「総細孔容積」は、窒素脱着によって識別可能なすべての細孔のcc/gでの累積容積を意味する。触媒担体又は担体粒子、特にアルミナ粉末については、細孔径分布と細孔容積は、E.P.Barrett、L.G.Joyner及びP.P.Halenda(「BJH」)、「The Determination of Pore Volume and Area Distributions in Porous Substances.I.Computations from Nitrogen Isotherms」、J.Am.Chern.Soc.、1951年、73(1)、pp373~380によって説明されている公知の計算方法を使用することを使用して窒素脱着等温線(円柱状の細孔を想定)を参照して計算することができる。
【0034】
サンプルの総窒素細孔容積は、上記の窒素脱離法及びBJH計算によって判定された窒素細孔容積の総計である。
【0035】
本明細書における「表面積」とは、本明細書では、S.Brunauer、P.Emmett、及びE.Teller in the Journal of The American Chemical Society、60(2)、pp309~319(1938)によって上記で説明されたようなBET技術を使用する窒素吸着によって判定される比表面積を指す。
【0036】
細孔容積、PV(cc/g)又は表面積、(SA)(m2/g)などの重量を含むすべての形態学的性質は、当該技術分野で公知の手順に従って金属非含有基準に対して正規化することができる。しかし、本明細書に公表される形態学的性質は、金属含有量について修正していない「実測定」基準に基づいている。
【0037】
アルミナの全揮発分(TV)は、1750°Fの空気中での強熱減量によって測定された。Na2Oは、ICP原子発光分光法又は蛍光X線によって測定された。
【0038】
12nm未満(2nm~<12nm)の細孔
【0039】
細孔径が12nm未満、すなわち2nm~12nm未満の細孔の触媒中の細孔の細孔容積は、典型的には0.15mL/g~0.28mL/g未満である。本明細書の目的のために、2nm~<12nmの範囲の細孔容積は、第2の細孔容積と称される。好ましくは、細孔容積は、0.16~0.25mL/g、より好ましくは、0.17~0.22mL/gである。2nm~<12nmの範囲の細孔容積は、典型的に、総細孔容積の20.0~45.0%、好ましくは22.0~37.0%、より好ましくは25.0~32.0%を表す。
【0040】
12nm~<16nmの細孔
【0041】
細孔径が12nm~<16nmである触媒中の細孔の細孔容積は、典型的には0.28mL/g~0.45mL/g未満である。本明細書の目的のために、12nm~<16nmの細孔の範囲の細孔容積は、第1の細孔容積と称される。好ましくは、細孔容積は、0.30~0.40mL/gである。より好ましくは、細孔容積は、0.32~0.36mL/gである。細孔直径が12nm~<16nmの細孔容積は、典型的に、総細孔容積の37.0~75.0%、好ましくは42.0~60.0%、より好ましくは47.0~53.0%である。
【0042】
12~60nmの細孔
【0043】
典型的には、細孔径が12~60nmの細孔の触媒中の細孔の細孔容積は、0.32mL/g~0.60mL/gである。好ましくは、細孔の細孔容積は、0.42mL/g~0.55mL/gである。より好ましくは、細孔の細孔容積は、0.46~0.52mL/gである。典型的には、12nm~60nmの範囲の細孔容積は、総細孔容積の53.0~80.0%を構成する。好ましくは、12nm~60nmの範囲の細孔容積は、総細孔容積の60.0~77.0%を構成する。より好ましくは、12nm~60nmの範囲の細孔容積は、総細孔容積の67.0~74.0%を構成する。
【0044】
16~60nmの細孔
【0045】
典型的には、細孔径が16nm~60nmの触媒中の細孔の細孔容積は、0.01mL/g~0.20mL/gである。本明細書の目的のために、16~60nmの範囲の細孔容積は、第3の細孔容積と称される。好ましくは、この範囲の細孔容積は、0.02mL/g~0.19mL/gである。より好ましくは、この範囲の細孔容積は、0.10~0.18mL/gである。16nm~60nmの範囲の細孔容積は、総細孔容積の1.0~28.0%、好ましくは8.0~27.0%、より好ましくは15.0~26.0%を構成する。
【0046】
総細孔容積
【0047】
水素化処理触媒の総細孔容積は、典型的には0.63~0.75mL/gである。好ましくは、総細孔容積は、0.64~0.74mL/gである。より好ましくは、総細孔容積は、0.65~0.73mL/gである。
【0048】
表面積
【0049】
本主題の水素化処理触媒の比表面積(SA)は、典型的には180~230m2/gである。好ましくは、比表面積は、185~225m2/gであり、より好ましくは、比表面積は190~220m2/gである。
【0050】
リン含有量
【0051】
好ましくは、水素化処理触媒は、水素化処理触媒の総質量に基づいて1000ppmの最大リン含有量を含有する。より好ましくは、水素化処理触媒の最大リン含有量は、200ppmである。水素化処理触媒がより多量のリンを含有する場合、得られる触媒上への金属堆積は、高すぎる可能性があり、それにより触媒の細孔口をふさぐ。
【0052】
中央細孔径(Median pore diameter、MPD)
【0053】
好ましくは、本主題の水素化処理触媒の中央細孔径は、10.0~16.0nmである。好ましくは、中央細孔径は、11.0~15.0nmである。より好ましくは、中央細孔径は、13.4~14.3nmである。本明細書の目的のために、中央細孔径は、細孔容積分布の半分が細孔サイズ分布に従ってより大きな径の細孔内にある細孔径を意味する。
【0054】
以下の実施例は、本発明のプロセスの性能を更に詳細に説明する。当業者は、本発明の趣旨及び特許請求の範囲内にある多数の改変を認識するであろう。
【0055】
【実施例】
【0056】
実施例において、触媒活性試験は、以下に示される手順に記載されるように中東供給原料を使用して実施された。中東供給原料の特徴は次のとおりである。
【0057】
硫黄含有量CS0:2.1質量%、JIS K2541に準拠して測定。
【0058】
バナジウム含有量CV0:15.0質量ppm、JIS K0116に準拠して測定。
【0059】
ニッケル含有量CNi0:7.0質量ppm、JIS K10116に準拠して測定。
【0060】
実施例1
【0061】
実施例1の水素化処理触媒の調製は、最初に、1.02cc/gの窒素細孔容積、350m2/gの表面積、0.05重量%のNa2O含有量、総揮発度35.0重量%を有する、擬ベーマイト・アルミナを含有する原料粉末に硝酸と水を加えて担体生地を得、次いで、混練することにより実施された。担体生地(アルミナ、酸及び水)の総重量に基づいて、2.0重量%のHNO3が使用された。得られた生地を押し出すことにより、押出物を得た。得られた押出物を130℃で18時間乾燥し、次いで、800℃で1時間か焼させた。得られた担体に、三酸化モリブデン(MoO3)をアンモニア溶液に溶解して得られたモリブデン酸アンモニウム溶液を含浸させた。最終的な触媒中のモリブデンの割合は、表1に示すとおりである。担体は、130℃で18時間乾燥させた。硝酸ニッケル及び硝酸コバルトを含有する溶液を調製し、次いで、乾燥した担体に含浸させて、表1に示すように最終的な触媒中にコバルト及びニッケル含有量を有する触媒を生成した。次いで、ニッケル及びコバルトの溶液を含浸させた担体を、130℃で18時間乾燥させた。乾燥した担体を450℃で25分か焼し、触媒を生成した。
【0062】
実施例1の触媒中のモリブデン、ニッケル、及びコバルトの含有量は、ICP発光分光化学分析によって測定され、表1に示されているとおりである。実施例1の触媒の細孔の細孔径分布、比表面積及び中央細孔径は、上記の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0063】
触媒活性試験手順
【0064】
実施例1の水素化脱硫(HDS)、水素化脱金属(HDM)、水素化脱ニッケル(HDNi)及び水素化脱分解(HDV)活性を試験するために実験が行われた。固定床反応器に実施例1の触媒を充填した。以下の条件下で、触媒を水素ガスの流れ及び中東供給原料油と接触させた。
【0065】
水素分圧-14.0Mpa
【0066】
液体時空間速度(LHSV)-1.6h-1
【0067】
水素ガス対油比-928Nm3/m3
【0068】
固定床反応器は、340℃、360℃、380℃、390℃の4つの異なる温度に連続して保持された。各温度で、製品油中の硫黄(Cs)、バナジウム(Cv)、及びニッケル(CNi)の濃度を、前述の方法を使用して測定した。プラグフローリアクターでの一次反応速度を想定し、CV0とCNi0が飼料油中のバナジウム及びニッケルの濃度である各温度でのHDM(式1A)、HDNi(式1B)、HDV(式1C)反応の反応速度定数を計算した。HDSの反応速度定数は、プラグフローリアクター(式1D)での二次反応速度を想定して、各温度で計算され、式中、CS0は供給油の硫黄濃度を示し、d0は供給油の密度を示す。
【0069】
kHDM=LHSV*In[(CV0+CNi0)/(CV+CNi)] (式1A)
【0070】
kHDNi=LHSV*In[CNi0/CNi] (式1B)
【0071】
kHDV=LHSV*In[CV0/CVi] (式1C)
【0072】
kHDS=LHSV/(CS0
*d0/3.208)*(CS0/CS-1) (式1D)
【0073】
アレニウスの式(式2)を使用して、温度がケルビン単位である逆絶対温度(1/T)を、速度定数の自然対数(式1A~1Dから取得)、及び最小二乗法を使用して計算された最適な回帰線に対してプロットした。これらの回帰直線を使用して、380℃での計算された反応速度定数(ki、c)が、各サンプルの各反応タイプ(HDM、HDNi、HDV及びHDS)について計算された。例えば、表2及び3を参照されたい。
【0074】
lnk=-(E/R)*(1/T)+lnA (式2)
【0075】
式中、
k=各個々の反応(HDM、HDNi、HDV
又はHDS)の反応速度定数
E=活性化エネルギー
R=気体定数
A=頻度因子
T=温度、ケルビン
【0076】
比較を容易にするために、各例の触媒について相対反応活性を計算し、表1にパーセンテージで示している。これらの相対活性度は、各例の計算された反応速度定数(ki,c)を参照ケースの計算された速度定数で割ることによって計算される。特に明記しない限り、すべてのサンプルの触媒活性試験は実施例1と同様に実施された。固定床反応器が比較例1の触媒とそれに続く比較例2の触媒の重量で60:40の混合物の2つの層で充填されたことを除いて、参照ケースの推定速度定数は上記のように測定された。定義により、参照ケースの相対反応活性度は、100%である。例えば、表2及び3を参照されたい。
【0077】
実施例2
【0078】
実施例2では、水素化処理触媒の調製は、UOPから市販されているアルミナ粉末Versal250を使用したことを除いて、実施例1と同じ方法で実施された。Versal250は、0.82cc/gの窒素細孔容積、350m2/gの表面積、0のNa2O含有量、25.0重量%の揮発性を有する。更に、担体生地(アルミナ、酸及び水)の総重量に基づいて、3.0重量%のHNO3が調製において利用された。実施例2の水素化処理試験及び触媒特性化は、実施例1と同じ方法で行われた。結果を表1に示す。最後に、実施例1と同様にして、実施例2の脱金属活性、HDNi活性、HDV活性、HDNi活性/HDV活性、脱硫活性を測定した。結果を表1に示す。
【0079】
実施例3
【0080】
実施例3の水素化処理触媒は、窒素細孔容積が0.99cc/g、表面積が350m2/g、Na2O含有量が0.05重量%、揮発性が32.0重量%を有するシュードベーマイトアルミナ粉末を使用したことを除いて、実施例1と同じ方法で調製した。更に、担体生地(アルミナ、酸及び水)の総重量に基づいて、2.0重量%のHNO3が調製において利用された。実施例3の水素化処理試験及び触媒特性化は、水素化処理触媒の変更を除いて、実施例1と同じ方法で実行された。結果を表1に示す。最後に、実施例1と同様にして、実施例3の脱金属活性、HDNi活性、HDV活性、HDNi活性/HDV活性、脱硫活性を測定した。結果を表1に示す。
【0081】
比較例1
【0082】
比較例1の水素化処理触媒は、実施例2によるアルミナ粉末を使用して生成され、実施例1による担体を調製した。更に、担体生地(アルミナ、酸及び水)の総重量に基づいて、0.5重量%のHNO3が調製において利用された。次いで、実施例1に記載のように担体にモリブデン酸アンモニウム溶液を含浸させて、表1に示すモリブデン含有量を生成した。乾燥後、次いで、モリブデンを含浸させた担体に、実施例1で説明したように硝酸ニッケル溶液を用いてニッケルを含浸させ、表1に示すようなニッケル含有量を有する触媒を生成した。コバルトは、担体上に含侵されなかった。担体は、130℃で18時間乾燥させ、次いで、450℃で25分間か焼させた。実施例1の水素化処理試験及び触媒特性化は、水素化処理触媒の変更を除いて、実施例1と同じ方法で実行された。結果を表1に示す。最後に、固定床反応器に、比較例1とそれに続く比較例2の重量で60:40の2層の混合物を充填したことを除いて、実施例1と同様にして、比較例1の脱金属活性、HDNi活性、HDV活性、HDNi活性/HDV活性、脱硫活性を測定した。結果を表1に示す。
【0083】
比較例2
【0084】
比較例2の触媒は、窒素細孔容積が0.94cc/g、表面積が350m2/g、Na2O含有量が0.05重量%、揮発性が34.0重量%を有するシュードベーマイトアルミナ粉末を使用したことを除いて、実施例1と同じ方法で生成した。担体か焼は、740℃で行った。更に、担体生地(アルミナ、酸及び水)の総重量に基づいて、4.0重量%のHNO3が調製において利用された。比較例2の触媒の試験及び特性化もまた、実施例1と同じであった。結果を表1に示す。最後に、固定床反応器に、比較例1とそれに続く比較例2の重量で60:40の2層の混合物を充填したことを除いて、実施例1と同様にして、比較例2の脱金属活性、HDNi活性、HDV活性、HDNi活性/HDV活性、脱硫活性を測定した。
【0085】
比較例3.
【0086】
比較例3の水素化処理触媒は、解膠条件を調整し、含浸条件を調整して、表1のモリブデン及びニッケル濃度を達成したことを除いて、比較例1と同様に調製した。コバルトは、担体内に含侵されなかった。更に、担体生地(アルミナ、酸及び水)の総重量に基づいて、3.0重量%のHNO3が調製において利用された。比較例3の触媒の試験及び特性化もまた、実施例1と同様であった。結果を表1に示す。最後に、実施例1と同様にして、比較例3の脱金属活性、HDNi活性、HDV活性、HDNi活性/HDV活性、脱硫活性を測定した。
【0087】
比較例4
【0088】
比較例4の水素化処理触媒は、実施例3のアルミナを使用したことを除いて比較例1と同様に調製した。更に、担体生地(アルミナ、酸及び水)の総重量に基づいて、2.0重量%のHNO3が調製において利用された。比較例4の水素化処理試験及び触媒特性化は、実施例1と同じ方法で実行された。結果を表1に示す。最後に、実施例1と同様にして、比較例4の脱金属活性、HDNi活性、HDV活性、HDNi活性/HDV活性、脱硫活性を測定した。結果を表1に示す。
【0089】
比較例5
【0090】
比較例5の水素化処理触媒は、実施例3のアルミナを使用したことを除いて比較例3と同様に調製した。更に、担体生地(アルミナ、酸及び水)の総重量に基づいて、2.0重量%のHNO3が調製において利用された。比較例5の水素化処理試験も比較例3と同様に実行された。比較例5の水素化処理触媒の特徴化は、実施例1と同じ方法で実施された。結果を表1に示す。最後に、実施例1と同様にして、比較例5の脱金属活性、HDNi活性、HDV活性、HDNi活性/HDV活性、及び脱硫活性を測定した。結果を表1に示す。
【0091】
比較例6
【0092】
比較例6の水素化処理触媒は、実施例1のアルミナを使用したことを除いて比較例1と同様に調製した。更に、担体生地(アルミナ、酸及び水)の総重量に基づいて、0.5重量%のHNO
3が調製において利用された。比較例6の水素化処理試験及び触媒特性化は、実施例1と同じ方法で実行された。結果を表1に示す。最後に、実施例1と同様にして、比較例6の脱金属活性、HDNi活性、HDV活性、HDNi活性/HDV活性、脱硫活性を測定した。結果を表1に示す。
【表1】
【表2】
【0093】
表1に示すように、実施例1~3の水素化処理触媒は、比較例1~6の触媒と比較して、脱金属及び脱硫活性において優れた性能を実証することが確認された。本発明の実施例は、比較例よりも高い相対的HDS活性を実証する。付加的に、一般にバナジウムよりも除去が困難なニッケルは、比較例よりも本発明の実施例の方が大幅に高い選択性と活性で除去される。
【0094】
本明細書において開示されている、他の特徴、本発明の利点及び実施形態は、前述の開示を一読した後、当業者には容易に明らかとなるであろう。これに関して、本発明の特定の実施形態をかなり詳細に説明してきたが、これらの実施形態の変更及び修正は、説明及び特許請求される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく影響を受け得る。