(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】同軸ケーブル用コネクタ及び同軸ケーブル
(51)【国際特許分類】
H01R 24/38 20110101AFI20230426BHJP
【FI】
H01R24/38
(21)【出願番号】P 2021129547
(22)【出願日】2021-08-06
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】306013120
【氏名又は名称】昭和電線ケーブルシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根本 強
(72)【発明者】
【氏名】鴨狩 之裕
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-68144(JP,A)
【文献】特開2009-301734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00,12/50-12/91
H01R 24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の内部導体が設けられた同軸ケーブルに取り付けられる同軸ケーブル用コネクタであって、
前記内部導体の内部に挿入されるコンタクトを備え、
前記コンタクトには、前記コンタクトが前記内部導体の内部へ挿入されるコンタクト挿入方向において前方側に位置する一端から、前記コンタクト挿入方向において後方側に位置する他端へ向うに伴い、外周面の外径が大きくなるように形成されたテーパ部が形成され、
前記テーパ部が前記内部導体の内部に挿入されたときに、少なくとも、前記テーパ部の外周面のうち他端が、前記内部導体の内周面に接触するように構成されている、
同軸ケーブル用コネクタ。
【請求項2】
前記テーパ部のうち前記他端の外径は、前記コンタクトが挿入される前記内部導体の内径以上である、
請求項1に記載の同軸ケーブル用コネクタ。
【請求項3】
前記コンタクトは、前記内部導体として、第1の内部導体と、前記第1の内部導体よりも内径が大きい第2の内部導体とのそれぞれに挿入されるように構成されており、
前記テーパ部の前記一端の外径は、前記第1の内部導体の内径と同じか小さく、
前記テーパ部の前記他端の外径は、前記第2の内部導体の内径と同じか大きい、
請求項1に記載の同軸ケーブル用コネクタ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の同軸ケーブル用コネクタが取り付けられた同軸ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空の内部導体を備えた同軸ケーブルに取り付けられる同軸ケーブル用コネクタ及びこれを備えた同軸ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
信号の伝送機能に加え、アンテナ機能を備えた漏洩同軸ケーブル用のコネクタは、シェルや外部締付け金具を有する外部パーツと、コンタクトやブッシュなどからなる内部パーツと、で構成されている。
【0003】
内部パーツのコンタクトは、例えば、コンタクト本体と、コンタクト本体の一端から挿入されるボルトと、コンタクト本体の他端に取り付けられる締付け金具とを有する。コンタクト本体は、例えば、複数の板状片を含むハネ部が円筒部よりも他端側に設けられており、円筒部およびハネ部が漏洩同軸ケーブルの内部導体の内側に挿入される。締付け金具は、例えば、くさび状であって、ハネ部に取り付けられる。締付け金具は、ボルトの締め付けで複数の板状片を内側から外側へ向けて放射状に広げる。これにより、コンタクトは、漏洩同軸ケーブルの内部導体の内側に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-68144号公報
【文献】特開2014-130818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来においては、漏洩同軸ケーブルの内部導体とコンタクトとの接触が十分でない場合がある。その結果、コネクタが取り付けられた同軸ケーブルにおいては、例えば、高周波域での電圧定在波比などの電気特性が悪化する場合がある。
【0006】
内部導体にはいくつかの種類があり各種でその内径が異なるため、コンタクトは、コンタクトの円筒部の外径と内径が同じである内部導体に挿入される場合の他に、コンタクトの円筒部の外径よりも、内径が大きい内部導体に挿入される場合もある。コンタクトの円筒部の外径よりも内部導体の内径が大きい場合には、コンタクトの円筒部の外周面と内部導体の内周面との間に隙間が生じ、コンタクトの円筒部と内部導体との間が非接触状態になる。このため、このような場合には、特に、高周波域での電圧定在波比などの電気特性が悪化する場合が多い。
【0007】
この他に、コンタクトを内部導体に挿入しやすくするために、内部導体の切断端面についてヤスリ掛けや面取りなどの作業が必要になる場合がある。また、内部導体に変形が生じていた場合には、専用治具などを用いて内部導体を整形する作業が必要になる場合がある。その結果、作業効率が低下する場合がある。
【0008】
このように、従来の同軸ケーブル用コネクタにおいては、電気特性(高周波域での電圧定在波比など)の悪化や作業効率の低下などの不具合が生ずる場合がある。
【0009】
したがって、本発明は、電気特性の悪化を防止すると共に、作業効率の向上を容易に実現可能な、同軸ケーブル用コネクタ、及び、これを備えた同軸ケーブルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の同軸ケーブル用コネクタは、中空の内部導体が設けられた同軸ケーブルに取り付けられる同軸ケーブル用コネクタであって、前記内部導体の内部に挿入されるコンタクトを備え、前記コンタクトには、前記コンタクトが前記内部導体の内部へ挿入されるコンタクト挿入方向において前方側に位置する一端から、前記コンタクト挿入方向において後方側に位置する他端へ向うに伴い、外周面の外径が大きくなるように形成されたテーパ部が形成され、前記テーパ部が前記内部導体の内部に挿入されたときに、少なくとも、前記テーパ部の外周面のうち他端が、前記内部導体の内周面に接触するように構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電気特性の悪化を防止すると共に、作業効率の向上を容易に実現可能な、同軸ケーブル用コネクタ及びこれを備えた同軸ケーブルを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る同軸ケーブル用コネクタが取り付けられる同軸ケーブルの構造を示す図。
【
図3】
図1の同軸ケーブルに取り付けられる同軸ケーブル用コネクタを一部断面で示す図。
【
図4】
図3の同軸ケーブル用コネクタの内部部品であるコンタクトを一部断面で示す図。
【
図6】本発明の実施形態について、電圧定在波比を測定した結果を示す図。
【
図7】比較例について、電圧定在波比を測定した結果を示す図。
【
図8】本発明の実施形態において、コンタクト30のテーパ部301と、内径が異なる複数種の内部導体12との関係を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0014】
[A]同軸ケーブル10
図1、
図2に示すように、本実施形態に係る同軸ケーブル用コネクタが取り付けられる同軸ケーブル10は、信号を伝送すると共に、電波を漏洩させることでアンテナとしても利用できるように設計された、いわゆる漏洩同軸ケーブル(Leaky Coaxial cable)である。この同軸ケーブル10は、細長いスロット(穴)15aが外部導体15に形成されている。これによって、同軸ケーブル10は、電波の発信又は受信が可能となる。
【0015】
同軸ケーブル10は、
図1、
図2に示すように、内被である絶縁パイプ11、外被であるシース17、パイプ状の内部導体12、コルデル紐14、前述した外部導体15、支持用隆起部18、支持線19を有する。内部導体12は、銅製又はアルミニウム製であって、例えば、円筒形状の中空パイプなどで構成されている。コルデル紐14は、内部導体12の外面に螺旋状に巻き付けられたスペーサである。
【0016】
絶縁パイプ11は、電気絶縁性を有する筒体であり、コルデル紐14を介して、内部導体12との間の径方向に一定の間隔を空けて設けられている。外部導体15は、絶縁パイプ11の外周面に蛇腹状に巻回された金属テープである。シース17は、外部導体15及び支持線19の外側を被覆する。支持用隆起部18は、同軸ケーブル10の軸方向に沿って延びかつ径方向に突出した同軸ケーブル本体の支持部である。支持線19は、撚り線からなるメッセンジャワイヤであり、支持用隆起部18の内芯として設けられている。
[B]コネクタ20
【0017】
図3に示すように、上述した同軸ケーブル10の端部には、同軸ケーブル用コネクタ20が取り付けられる。この同軸ケーブル用コネクタ20は、シェル20aやシェル締付具20bを有する外部パーツと、後述するコンタクト30やブッシュ23a、23b、23c、インシュレータ26などからなる内部パーツとで構成されている。シェル締付具20b、ブッシュ23a、23bは、同軸ケーブル10の端部の外周部分に嵌め込まれている。
【0018】
また、ブッシュ23c及びブッシュ23cに嵌め込まれたインシュレータ26は、シェル締付具20bの外周面でシェル20aと螺合、締付ける事で固定される。
【0019】
[C]コンタクト30
上記した
図3に加え、
図4、
図5に示すように、同軸ケーブル用コネクタ20が有するコンタクト30は、コンタクト本体31、ねじ部材としてのボルト33、締付け部材である締付け金具32を備えている。締付け金具32は、内部導体12の中心孔内(内側)に挿入されたコンタクト本体31を、ボルト33を介して固定している。
【0020】
[C-1]コンタクト本体31
コンタクト本体31は、長手方向の中央部分に凹部34が周方向に沿って形成されており、この凹部34で区分された内部導体挿着部35と筒状の被挿通部材36とを有している。
【0021】
[C-1-1]内部導体挿着部35
内部導体挿着部35は、コンタクト本体31の軸方向の一端側(先端側)に向けて縮径すると共に傾斜角度の異なる複数段のテーパ孔49を構成する複数の第1、第2の板状片(ハネ部)38、48と、複数の第1、第2の分割溝37、47と、が周方向に沿って交互に配置されている。この内部導体挿着部35は、
図3に示すように、同軸ケーブル10の内部導体12の内側(内周面)に挿着される。
【0022】
[C-1-2]被挿通部材36
一方、被挿通部材36は、内部導体挿着部35のテーパ孔49の前記一端側に連通する透孔(第1の透孔)46を有すると共に、透孔46及びテーパ孔49を挿通されるボルト33のストッパ部(段部)41を備えている。
【0023】
[C-2]ボルト33(ねじ部材)
ボルト33は、六角穴44aを有する頭部44及びワッシャ33aを有している。ボルト33の締め込み時に頭部44が、ストッパ部41と当接(係合)する。
【0024】
[C-3]締付け金具32(締付け部材)
締付け金具32は、複数の分割溝の幾つかと嵌合(第1の分割溝37と嵌合)する四角柱状の嵌合部(突起部)43と、内部導体挿着部35のテーパ孔49と係合する錐体形状(錐体状)の係合部45と、を有している。締付け金具32は、頭部44がストッパ部41と当接するボルト33の締め込みにより内部導体挿着部35のテーパ孔49の小径側(前記一端側)に引き寄せられる。
【0025】
具体的には、締付け金具32は、ねじ孔45a及び透孔(第2の透孔)43bを有している。ねじ孔45aは、係合部45の軸心に形成されている。一方、透孔43bは、嵌合部43の軸心に形成されている。透孔43bは、ねじ孔45aの一端側に連通していると共にボルト33(ボルト33の雄ねじ部分)を挿通させる。
【0026】
ここで、前述したように、嵌合部43の軸心には、あえてねじ孔を形成せずに、ボルト33を単に挿通(貫通)させるための透孔43b(挿通孔)が形成されている。このような透孔43bは、ボルト33の先端を、係合部45の軸心のねじ孔45aに導くための案内孔として機能する。これにより、ボルト33の先端とねじ孔45aとが例えば傾いた状態で螺合し互いのねじ山を潰してしまうような不具合が回避される。
【0027】
[C-4]フランジ部39
ここで、
図4、
図5に示すように、被挿通部材36は、フランジ部39を有している。さらに、このフランジ部39の外周面の一部は、締付け取り外しでコンタクト30の空転防止のため、スパナやアジャスタブルレンチなどで把持できる工具把持面(平坦面)39aが形成されている。なお、工具把持面39aは、フランジ部39の外周面の一部に対向する一対の平坦面で形成されている。これにより、ボルト締めの際にボルトが回転せず、コンタクト全体が回転してしまい、内部導体へのねじり力、コンタクトの取付面の損傷、締付けトルク不足などが発生する問題を回避できる。つまり工具把持面39aは、コンタクト本体31の周方向における回り止め機構として機能する。この構成により、コンタクト本体31を所望のトルクで締付けて固定することが可能となるため、内部導体に対する固定力の安定化を図ることができる。
【0028】
[C-5]第1の分割溝37/第2の分割溝47
図4、
図5に示すように、内部導体挿着部35の前述した第1の分割溝37は、2箇所に設けられており、締付け金具32の嵌合部43を嵌合させる。これに対して、第2の分割溝47は、6箇所に設けられており、嵌合部43とは嵌合しない非嵌合対象となる溝である。上記した第1の分割溝37と第2の分割溝47との総数は8個である。ここで、第2の分割溝47の幅A1は、第1の分割溝37の幅A7よりも狭く形成されている。
【0029】
[C-6]ガイド部43a
ここで、締付け金具32の嵌合部43における第1の分割溝37との嵌合端側(前記一端側)には、第1の分割溝37への嵌合を案内するガイド部43aが形成されている。このガイド部43aは、四角柱状の嵌合部43における嵌合端側のエッジ部(角部)にR面加工やC面加工などの面取り加工を施すことによって形成されている。これにより、第1の分割溝37に対して嵌合部43を嵌合させる際の摩擦が低減し嵌合部分どうしの損傷を抑制することが可能となる。
【0030】
[C-7]テーパ部301
図4に示すように、本実施形態のコンタクト30において、コンタクト本体31を構成する被挿通部材36は、テーパ部301を含む。テーパ部301は、コンタクト30が内部導体12(
図3参照)の内部へ挿入されるコンタクト挿入方向INにおいて、被挿通部材36のうちフランジ部39よりも前方側Fw(
図4では右側)に位置する部分である。
【0031】
テーパ部301は、例えば、円錐台形状であって、コンタクト挿入方向INにおいて前方側Fw(
図4では右側)に位置する一端から、コンタクト挿入方向INにおいて後方側Bk(
図4では左側)に位置する他端へ向かうに伴い、外周面の外径が大きくなるように形成されている。
【0032】
ここでは、テーパ部301が内部導体12(
図3参照)の内部に挿入されたときに、少なくとも、テーパ部301の外周面のうち他端(
図4では左側の端部)が、内部導体12の内周面に接触するように、コンタクト本体31が構成されている。テーパ部301のうち他端(
図4では左側の端部)の外径は、コンタクト30が挿入される内部導体12の内径以上である。
なお、テーパ部301の一端側(
図4では右側)には、コンタクト30が内部導体12にスムーズに挿入されるように、テーパ部301よりも傾斜角度が大きい面取り部302が形成されている。
【0033】
[D]まとめ
以上のように、本実施形態の同軸ケーブル10用コネクタ20では、コンタクト30を構成するテーパ部301は、内部導体12(
図3参照)の内部に挿入されたときに、少なくとも、他端(
図4では左側の端部)が内部導体12の内周面に接触する。このため、後述するように、本実施形態では、高周波域での電圧定在波比などの電気特性が悪化することを防止可能である。
【0034】
図6は、本発明の実施形態について、電圧定在波比を測定した結果を示す図である。「電圧定在波比」とは、高周波域における伝送経路が周波数的に正常であるかどうかを評価するものであり、一定の閾値が設定されている。
図6では、テーパ部301の外周面と内部導体12の内周面との間が物理的に接触した状態にある場合を示している。
図6において、横軸は、周波数を示し、縦軸は、電圧定在波比を示している。
【0035】
これに対して、
図7は、本発明の実施形態の比較例について、電圧定在波比を測定した結果を示す図である。
図7においても
図6と同様に、横軸は、周波数を示し、縦軸は、電圧定在波比を示している。図示を省略しているが、
図7の比較例では、テーパ部301に代わって、円筒部が設けられている。具体的には、円筒部は、コンタクト挿入方向INにおいて前方側Fw(
図4では右側)に位置する一端から、コンタクト挿入方向INにおいて後方側Bk(
図4では左側)に位置する他端に渡って、外周面の外径が同じになるように形成されており、
図7では、円筒部の外周面と内部導体12の内周面との間が物理的に離間した状態にある場合の結果を示している。
【0036】
図6に示すように、本発明の実施形態では、電圧定在波比は、上限値(一点鎖線)よりも低い値で推移している。これに対して、
図7に示すように、比較例では、電圧定在波比は、高周波域において、電圧定在波比が上限値(一点鎖線)を超える場合がある。
【0037】
これから判るように、本実施形態では、比較例と異なり、コンタクト30がテーパ部301を備えているので、高周波域での電圧定在波比が悪化することを防止可能である。
【0038】
更に、本実施形態では、内部導体12にテーパ部301が挿入されることで、内部導体12の整形を行うことができる。このため、本実施形態では、専用治具などを用いた整形作業が不要になり、組立の作業効率を向上することができる。
【0039】
[E]その他
なお、本実施形態のコンタクト30は、内径が異なる複数種の内部導体12に挿入される。
【0040】
図8は、本発明の実施形態において、コンタクト30のテーパ部301と、内径が異なる複数種の内部導体12との関係を模式的に示す図である。
図8では、コンタクト30のうちテーパ部301を抜粋して示すと共に、内径が異なる複数種の内部導体12の一部を示している。
【0041】
図8に示すように、コンタクト30は、内径が異なる複数種の内部導体12として、例えば、第1の内部導体12aと第2の内部導体12bとのそれぞれに挿入される。ここでは、第1の内部導体12aは、例えば、アルミニウム(Al)で形成された円筒形状のパイプであって、第1の内径D12aを有する。第2の内部導体12bは、例えば、銅(Cu)で形成された円筒形状のパイプであって、第1の内部導体12aよりも内径が大きい。つまり、第2の内部導体12bは、第1の内部導体12aの第1の内径D12aよりも大きい第2の内径D12bを有する。
【0042】
このとき、テーパ部301は、コンタクト挿入方向INにおいて前方側Fw(
図8では右側)に位置する一端の外径D301aが第1の内部導体12aの内径(第1の内径D12a)と同じかやや小さく、コンタクト挿入方向INにおいて後方側Bk(
図8では左側)に位置する他端の外径D301bが第2の内部導体12bの内径(第2の内径D12b)と同じかやや大きいことが好ましい。
【0043】
この場合において、テーパ部301が第1の内部導体12aの内部にコンタクト挿入方向INに沿って挿入されたときには、第1の内部導体12aのうちコンタクト挿入方向INの後方側Bkに位置する部分は、径方向において外側へ拡がるように変形する。これにより、テーパ部301の外周面と第1の内部導体12aの内周面とのほぼ全体が接触した状態になる。
【0044】
また、テーパ部301が第2の内部導体12bの内部にコンタクト挿入方向INに沿って挿入されたときには、少なくとも、第2の内部導体12bの内周面のうちコンタクト挿入方向INの後方側Bkに位置する部分が、テーパ部301の外周面と接触した状態になる。
【0045】
したがって、内径が異なる複数種の内部導体12にテーパ部301が挿入される場合であっても、高周波域での電圧定在波比などの電気特性が悪化することを防止する等の効果を奏することができる。
【0046】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0047】
例えば、上記の実施形態のコンタクト30では、内部導体挿着部35は、傾斜角度の異なる複数段のテーパ孔38a,38bを含む場合について説明したが、テーパ孔が単一の段であってもよい。また、内部導体挿着部35において、第1の分割溝と、第1の分割溝と幅が異なる第2の分割溝とを有する場合について説明したが、複数の分割溝が同じであってもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 同軸ケーブル
11 絶縁パイプ
12,12a,12b 内部導体
14 コルデル紐
15 外部導体
15a スロット
17 シース
18 支持用隆起部
19 支持線
20 同軸ケーブル用コネクタ
20a シェル
20b シェル締付具
23a ブッシュ
23b ブッシュ
23c ブッシュ
26 インシュレータ
30 コンタクト
31 コンタクト本体
32 締付け金具(締付け部材)
33 ボルト
33a ワッシャ
34 凹部
35 内部導体挿着部35
36 被挿通部材36
37 第1の分割溝
38 第1の板状片
38a 傾斜面
38b 傾斜面
39 フランジ部
39a 工具把持面(平坦面)
41 ストッパ部
43 嵌合部
43a ガイド部
43b 透孔(第2の透孔)
44 頭部
44a 六角穴
45 係合部
45a ねじ孔
46 透孔(第1の透孔)
47 第2の分割溝
48 第2の板状片
48a 傾斜面
48b 傾斜面
49 テーパ孔
301 テーパ部
302 面取り部
IN コンタクト挿入方向
Fw 前方側
Bk 後方側