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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】無線タグ読取装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20230426BHJP
   H04B 1/59 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
G06K7/10 112
H04B1/59
G06K7/10 176
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021199472
(22)【出願日】2021-12-08
(62)【分割の表示】P 2017136583の分割
【原出願日】2017-07-12
(65)【公開番号】P2022031327
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】室伏 信男
【審査官】田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-350636(JP,A)
【文献】特開2000-020663(JP,A)
【文献】特開2009-070082(JP,A)
【文献】特開2016-126394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G06K 17/00
H04B 1/59
H04B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線タグと無線通信を実行することで前記複数の無線タグから所定情報を取得する無線タグ読取装置であって、
第1の伝送速度の無線通信で所定の要求を送信することで、第1の無線タグから前記所定情報を取得し、前記要求に対する前記第1の無線タグからの応答の数を示す値が第1しきい値以下になった場合に、前記所定情報の取得を終了する第1取得部と、
前記第1取得部による前記所定情報の取得が終了した後、前記第1の伝送速度よりも遅い第2の伝送速度の無線通信で前記要求を送信することで、前記第1の無線タグとは異なる第2の無線タグから前記所定情報を取得し、前記要求に対する前記第の無線タグからの応答数が第2しきい値以下になった場合に、前記所定情報の取得を終了する第2取得部と、
を備え、
前記第1取得部は、前記第1しきい値を、前記要求に対して前記第1取得部が受け入れ可能な前記応答の数の最大値に対する割合として設定する、
無線タグ読取装置。
【請求項2】
前記第1しきい値の変更を受け付ける受付部をさらに備える、
請求項に記載の無線タグ読取装置。
【請求項3】
前記第2取得部による前記所定情報の取得が終了した後、前記第2の伝送速度よりも遅い第3の伝送速度の前記無線通信で前記要求を送信することで、前記第1の無線タグおよび前記第2の無線タグとは異なる第3の無線タグから前記所定情報を取得する第3取得部をさらに備える、
請求項1または2に記載の無線タグ読取装置。
【請求項4】
複数の無線タグと無線通信を実行することで前記複数の無線タグから所定情報を取得する無線タグ読取装置のコンピュータに、
第1の伝送速度の前記無線通信で要求を送信することで第1の無線タグから前記所定情報を取得し、前記要求に対する前記第1の無線タグからの応答の数を示す値が第1しきい値以下になった場合に、前記所定情報の取得を終了する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップによる前記所定情報の取得が終了した場合に、前記第1の伝送速度よりも遅い第2の伝送速度の前記無線通信で第2の要求を送信することで前記第1の無線タグとは異なる第2の無線タグから前記所定情報を取得し、前記要求に対する前記第の無線タグからの応答数が第2しきい値以下になった場合に、前記所定情報の取得を終了する第2取得ステップと、
を実行させ
前記第1取得ステップは、前記第1しきい値を、前記要求に対して前記第1取得ステップが受け入れ可能な前記応答の数の最大値に対する割合として設定する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線タグ読取装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信技術を用いて商品等の在庫を管理する在庫管理システムが知られている。このような在庫管理システムでは、広範囲に電波を送信することで商品棚などに陳列された商品の無線タグから情報を読み取る無線タグ読取装置が用いられる。
【0003】
ところで、上記のような在庫管理システムでは、情報を読み取るべき無線タグの数が多い場合、それら全ての無線タグから情報を読み取るまでには、相当の時間を要する。また、無線タグの数が多いと、たとえば情報を読み取る作業を定位置で行う場合に、無線タグ読取装置からの電波が届かない範囲にある無線タグの数も増えるため、作業の効率性が低下しうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、多数の無線タグから情報を読み取る作業の短縮化および効率化を実現することが可能な無線タグ読取装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態による無線タグ読取装置は、複数の無線タグと無線通信を実行することで複数の無線タグから所定情報を取得する。この無線タグ読取装置は、第1取得部と、第2取得部と、を有する。第1取得部は、第1の伝送速度の無線通信で所定の要求を送信することで、第1の無線タグから所定情報を取得し、要求に対する第1の無線タグからの応答の数を示す値が第1しきい値以下になった場合に、所定情報の取得を終了する。第2取得部は、第1取得部による所定情報の取得が終了した後、第1の伝送速度よりも遅い第2の伝送速度の無線通信で要求を送信することで、第1の無線タグとは異なる第2の無線タグから所定情報を取得し、要求に対する第2の無線タグからの応答数が第2しきい値以下になった場合に、所定情報の取得を終了する。第1取得部は、第1しきい値を、要求に対して第1取得部が受け入れ可能な応答の数の最大値に対する割合として設定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態による無線タグ読取装置を利用した在庫管理システムの構成を示した例示的な図である。
図2図2は、第1実施形態による無線タグのハードウェア構成を示した例示的なブロック図である。
図3図3は、第1実施形態による無線タグ読取装置のハードウェア構成を示した例示的なブロック図である。
図4図4は、第1実施形態において用いられる第1の伝送速度および第2の伝送速度の特性を説明するための例示的な図である。
図5図5は、第1実施形態による無線タグ読取装置の制御部内に実現される機能を示した例示的なブロック図である。
図6図6は、第1実施形態において実行される一連の処理を示した例示的なフローチャートである。
図7図7は、第2実施形態による無線タグ読取装置の制御部内に実現される機能を示した例示的なブロック図である。
図8図8は、第2実施形態において実行される一連の処理を示した例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、実施形態による無線タグ読取装置およびプログラムについて説明する。以下では、実施形態による無線タグ読取装置が、商品の在庫管理システムに利用される携帯型のRFID(Radio Frequency IDentification)リーダライタとして構成される例について説明するが、実施形態の技術は、固定式のRFIDリーダライタにも適用可能である。
【0008】
<第1実施形態>
まず、第1実施形態の構成について説明する。
【0009】
図1は、第1実施形態による無線タグ読取装置100を利用した在庫管理システムの構成を示した例示的な図である。図1に示されるように、第1実施形態による在庫管理システムは、無線タグ20と、無線タグ読取装置100と、を備えている。無線タグ20と無線タグ読取装置100とは、電磁波などを用いた無線通信を実行可能に構成されている。なお、以下では、無線タグ読取装置100と無線タグ20との間で実行される無線通信の方式が、タイムスロット方式であるものとして説明する。
【0010】
無線タグ20とは、小売店等で販売される物品としての商品10に付される、たとえば電子タグやIC(Integrated Circuit)タグなどと呼ばれるRFIDタグである。無線タグ20は、商品10を識別するための商品コードなどを含む所定情報(後述するタグ情報226)を記憶している。無線タグ20は、無線タグ読取装置100との間で送受信される信号(無線電波信号)に基づいて、自身に記憶されたタグ情報226の読み出し/書き込みを実行する。
【0011】
無線タグ読取装置100は、操作者の操作に応じて、無線タグ20が記憶しているタグ情報226を無線通信により読み出す。すなわち、操作者は、商品10が陳列された商品棚10aに向けて無線タグ読取装置100を操作することで、当該商品10に付された無線タグ20から無線タグ読取装置100に無線通信でタグ情報226を送信させる。
【0012】
より具体的に、無線タグ読取装置100は、操作者の操作に応じて、無線タグ20に対してタグ情報226の送信を要求する電波を送信する。そして、無線タグ20は、無線タグ読取装置100からの要求に応じて、自身が記憶しているタグ情報226を含む電波を返信する。この返信は、無線タグ読取装置100からの電波の届く範囲に存在している無線タグ20のみが実行する。無線タグ読取装置100は、無線タグ20から送信されたタグ情報226を含む電波を受信することで、無線タグ20が記憶しているタグ情報226を読み取る。
【0013】
なお、図1には図示されていないが、第1実施形態では、無線タグ読取装置100によって読み出された情報を集約するサーバ装置が設けられていてもよい。サーバ装置は、たとえばパーソナルコンピュータである。なお、サーバ装置は、ハードウェアやソフトウェアなどのコンピュータ資源を提供するクラウドサービスなどによって提供されるものであってもよい。
【0014】
次に、第1実施形態による在庫管理システムが備える各種装置のハードウェア構成について説明する。
【0015】
図2は、第1実施形態による無線タグ20のハードウェア構成を示した例示的なブロック図である。図2に示されるように、無線タグ20は、アンテナ210と、ICチップ220と、を備えている。
【0016】
アンテナ210は、無線タグ読取装置100との間で電波を送受信するためのデバイスである。ICチップ220は、電源生成部221と、復調部222と、制御部223と、変調部224と、記憶部225と、を備えている。
【0017】
電源生成部221は、アンテナ210が受信した電波に基づいて、電磁誘導の原理などにより、ICチップ220の各部に電力を供給する。復調部222は、アンテナ210が受信した電波を復調して制御部223に出力する。
【0018】
制御部223は、復調部222が復調した情報を記憶部225に書き込んだり、記憶部225から情報を読み出して変調部224に出力したりする機能を有する。変調部224は、制御部223から出力された情報を変調し、変調後の情報をアンテナ210に出力する。変調部224から出力された情報は、アンテナ210を介して、電波に乗って送信される。
【0019】
記憶部225は、たとえばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などといった不揮発性の書換え可能な記憶媒体である。記憶部225は、電力が供給されなくても情報を記憶することが可能なように構成されている。記憶部225には、タグ情報226が記憶されている。
【0020】
タグ情報226は、識別情報と、販売情報と、を含んでいる。識別情報は、商品10を識別するための情報(つまり上述した商品コード)である。販売情報は、無線タグ20が付されている商品10の販売の状態を示す情報である。
【0021】
図3は、第1実施形態による無線タグ読取装置100のハードウェア構成を示した例示的なブロック図である。図3に示されるように、無線タグ読取装置100は、制御部101と、記憶部102と、通信インタフェース103と、操作部104と、RFIDリーダ105と、アンテナ110と、を備えている。これらの各部は、システムバス106を介して相互に接続されている。
【0022】
制御部101は、無線タグ読取装置100の動作を統括的に制御し、無線タグ読取装置100が有する各種の機能を実現する。制御部101は、プロセッサやメモリなどを備えている。
【0023】
記憶部102は、フラッシュメモリなどの記憶装置である。記憶部102には、制御部100のプロセッサにより読み出されて実行される制御プログラム107が記憶されている。なお、記憶部102に制御プログラム107以外の情報も記憶されうることは、言うまでもない。
【0024】
通信インタフェース103は、外部(たとえば上述したサーバ装置など)と通信するためのインタフェースである。
【0025】
操作部104は、無線タグ読取装置100の操作者からの操作入力を受け付けるデバイスである。操作部104は、ボタンやスイッチなどといったハードウェアキーや、ディスプレイ上に設けられるタッチパネルなどによって構成される。
【0026】
RFIDリーダ105は、無線タグ20との間で電波を送受信するためのデバイスであるアンテナ110を制御して、無線タグ20に記憶されたタグ情報226を読み取る。より具体的に、RFIDリーダ105は、無線タグ20のタグ情報226を読み取る場合、まず、無線タグ20にタグ情報226の送信を要求する電波をアンテナ110により送信する。そして、RFIDリーダ105は、当該要求に応じて無線タグ20から返信された電波をアンテナ110により受信し、受信した電波を復調して、タグ情報226を抽出する。
【0027】
ところで、上記のような在庫管理システムでは、タグ情報226を読み取るべき無線タグ20の数が多い場合、それら全ての無線タグ20からタグ情報226を読み取るまでには、相当の時間を要する。また、無線タグ20の数が多いと、たとえばタグ情報226を読み取る作業を定位置で行う場合に、無線タグ読取装置100からの要求が届かない範囲にある無線タグ20の数も増えるため、作業の効率性が低下しうる。
【0028】
そこで、第1実施形態による無線タグ読取装置100は、無線タグ20に対してタグ情報226の送信を要求する際に、特性が異なる複数の伝送速度を段階的に使用することで、多数の無線タグ20からタグ情報226を読み取る作業の短縮化および効率化を実現する。
【0029】
たとえば、第1実施形態による無線タグ読取装置100は、以下に説明するような、比較的高速な第1の伝送速度と、比較的低速な(つまり第1の伝送速度よりも遅い)第2の伝送速度と、の2種類の伝送速度を段階的に使用して、無線タグ20に対する要求を送信する。
【0030】
図4は、第1実施形態において用いられる第1の伝送速度および第2の伝送速度の特性を説明するための例示的な図である。図4において、R1は、第1の伝送速度の要求が届く範囲(通信可能範囲)を表し、R2は、第2の伝送速度の要求が届く範囲を表す。
【0031】
図4に示されるように、第1の伝送速度と第2の伝送速度とで通信可能距離を比較すると、第2の伝送速度の通信可能範囲R2の方が、第1の伝送速度の通信可能範囲R1よりも大きくなっている。
【0032】
ここで、伝送速度の差によって通信可能範囲の差が生じる理由について簡単に説明する。一般に、無線通信では、電波信号の伝送速度が速いと、ノイズの影響を受けやすくなる。また、電波信号の出力レベルが小さくなると、伝送エラーが発生しやすくなる。したがって、送信出力と受信感度が同じであれば、伝送速度が遅い程、電波信号が届く範囲(通信可能範囲)が大きくなる。
【0033】
以上により、第1の伝送速度は、通信可能範囲については第2の伝送速度よりも小さいものの、無線タグ20からのタグ情報226の読み取り速度については第2の伝送速度よりも高速であるという特性を有すると言える。また、第2の伝送速度は、無線タグ20からのタグ情報226の読み取り速度については第1の伝送速度よりも低速であるものの、通信可能範囲については第1の伝送速度よりも大きいという特性を有すると言える。
【0034】
上記の特性を踏まえて、第1実施形態による無線タグ読取装置100は、無線タグ20に対してタグ情報226の送信を要求する際に、まず、第1の伝送速度で要求を送信することで比較的近距離にある無線タグ20からタグ情報226を取得し、その後、第2の伝送速度で要求を送信することで比較的遠距離にある残りの無線タグ20からタグ情報226を取得する。これにより、第1の伝送速度を使用することで、タグ情報226の読み取り作業の短縮化を図ることが可能になり、さらに第2の伝送速度を使用することで、タグ情報226の読み取りの効率化を図ることが可能になる。
【0035】
なお、第1実施形態では、第1の伝送速度での要求に応答した無線タグ20が、その後の第2の伝送速度での要求に応答することがないような構成となっている。すなわち、第1実施形態では、無線タグ読取装置100は、第1の伝送速度での要求と、その後の第2の伝送速度での要求と、をひとつながりの処理(ラウンド)として実行し、無線タグ20は、あるラウンドにおいて1度応答すると、当該ラウンドが更新されるまでは再び応答しないような構成となっている。
【0036】
第1実施形態では、このような第1の伝送速度および第2の伝送速度の使い分けが、以下のような機能によって実現される。
【0037】
図5は、第1実施形態による無線タグ読取装置100の制御部101内に実現される機能を示した例示的なブロック図である。図5に示されるように、制御部101内には、第1取得部501と、第2取得部502と、受付部503と、が実現される。これらの機能は、制御部101のプロセッサが記憶部102の制御プログラム107を読み出して実行した結果として、制御部101のメモリ上に実現される。
【0038】
なお、第1実施形態では、図5に示される機能がハードウェア(制御部101)とソフトウェア(制御プログラム107)との協働によって実現されることに制限されるものではなく、図5に示される機能が専用のハードウェア(回路)のみによって実現されてもよい。
【0039】
第1取得部501は、無線タグ20に対するタグ情報226の送信の要求を第1の伝送速度で送信することで、当該要求が届く範囲に存在する無線タグ20(以下、第1の無線タグと記載する)からタグ情報226を取得する。そして、第1取得部501は、第1の無線タグの略全てからのタグ情報226の取得を完了した場合に、タグ情報226の取得を終了する。
【0040】
ここで、第1実施形態では、前述したように、無線タグ読取装置100と無線タグ20との間で実行される無線通信の方式が、タイムスロット方式である。このため、1回の要求に対して第1取得部501が受け入れ可能な無線タグ20からの応答の数には、制限がある。
【0041】
したがって、第1実施形態では、第1取得部501は、第1の伝送速度での要求の送信を複数回繰り返し実行する。そして、第1取得部501は、1回の要求に対する第1の無線タグからの応答の数を示す値が所定のしきい値(第1しきい値)以下になった場合に、第1の無線タグの略全てからの応答の取得が完了したと判断し、第1の無線タグからのタグ情報226の取得を終了する。
【0042】
なお、第1しきい値は、応答の数に対応した具体的な数値として設定されてもよいし、1回の要求に対して第1取得部501が受け入れ可能な応答の数の最大値に対する割合として設定されてもよい。
【0043】
第2取得部502は、第1取得部501によるタグ情報226の取得が終了した後、無線タグ20に対するタグ情報226の送信の要求を第2の伝送速度で送信することで、第1の無線タグとは異なる無線タグ20、より具体的には第1取得部501によりタグ情報226が取得されなかった残りの無線タグ20(以下、第2の無線タグと記載する)からタグ情報226を取得する。そして、第2取得部502は、第2の無線タグの略全てからのタグ情報226の取得が完了した場合に、タグ情報226の取得を終了する。
【0044】
なお、第2の無線タグの略全てからのタグ情報226の取得が完了したか否かを判断するための判断基準は、第1の無線タグの略全てからのタグ情報226の取得が完了したか否かを判断するための上述した判断基準と略同様に設定可能であるため、ここでは説明を省略する。
【0045】
ところで、第1の伝送速度から第2の伝送速度への切り替えの基準となる第1しきい値を操作者が任意に変更することができれば、利便性がより向上する。
【0046】
そこで、第1実施形態では、操作者による第1しきい値の変更を受け付ける機能として、受付部503が設けられている。
【0047】
次に、第1実施形態の制御動作について説明する。
【0048】
図6は、第1実施形態において実行される一連の処理を示した例示的なフローチャートである。この図6の処理フローは、操作者による無線タグ読取装置100の操作に応じて開始する。
【0049】
図6の処理フローでは、まず、S601において、第1取得部501は、タグ情報226を未取得の無線タグ20に対するタグ情報226の送信の要求を、第1の伝送速度で送信する。
【0050】
そして、S602において、第1取得部501は、S601の処理によって取得可能な情報が略全て取得されたか否か、すなわち第1の伝送速度の要求が届く範囲にある第1の無線タグの略全てからのタグ情報226の取得が完了したか否かを判断する。この判断には、前述した第1しきい値が用いられる。
【0051】
S602において、第1の無線タグの略全てからのタグ情報226の取得がまだ完了していないと判断された場合、S601に処理が戻る。一方、S602において、第1の無線タグの略全てからのタグ情報226の取得が完了したと判断された場合、第1取得部501によるタグ情報226の取得が終了し、S603に処理が進む。
【0052】
S603において、第2取得部502は、タグ情報226を未取得の無線タグ20に対するタグ情報226の送信の要求を、第2の伝送速度で送信する。
【0053】
そして、S604において、第2取得部502は、S603の処理によって取得可能な情報が略全て取得されたか否か、すなわち第1取得部501によりタグ情報226が取得されなかった残りの第2の無線タグの略全てからのタグ情報226の取得が完了したか否かを判断する。この判断にも、前述した第1しきい値と同様のしきい値などが用いられる。
【0054】
S604において、第2の無線タグの略全てからのタグ情報226の取得がまだ完了していないと判断された場合、S603に処理が戻る。一方、S604において、第2の無線タグの略全てからのタグ情報226の取得が完了したと判断された場合、第2取得部502によるタグ情報226の取得が終了し、図6の処理フローが終了する。
【0055】
以上説明したように、第1実施形態による無線タグ読取装置100は、複数の無線タグ20と無線通信を実行することで当該複数の無線タグ20から所定情報(タグ情報226)を取得するように構成される。この無線タグ読取装置100は、第1の伝送速度の無線通信で所定の要求を1回以上送信することで、複数の無線タグ20のうち第1の無線タグからタグ情報226を取得する第1取得部501と、当該第1取得部501によるタグ情報226の取得が終了した後、第1の伝送速度よりも遅い第2の伝送速度の無線通信で要求を1回以上送信することで、複数の無線タグ20のうち第1の無線タグとは異なる第2の無線タグからタグ情報226を取得する第2取得部502と、を備えている。ここで、第1の無線タグとは、第1の伝送速度の要求が届く範囲にある無線タグ20であり、第2の無線タグとは、第1取得部501でタグ情報226が取得されなかった残りの無線タグ20である。
【0056】
上記の構成によれば、第1の伝送速度を使用することで、タグ情報226の読み取り作業の短縮化を図ることができ、その後さらに第2の伝送速度を使用することで、タグ情報226の読み取りの効率化を図ることができる。したがって、第1実施形態によれば、多数の無線タグ20からタグ情報226を読み取る作業の短縮化および効率化を実現することができる。
【0057】
<第2実施形態>
なお、第1実施形態では、第1の伝送速度と、第2の伝送速度と、の2種類の伝送速度を段階的に使用する例について説明した。しかしながら、以下に説明する第2実施形態のように、実施形態の技術は、2種類以上の伝送速度を段階的に使用する例にも適用可能である。
【0058】
たとえば、第1実施形態において、第2の伝送速度での1回目の要求に対する応答の数が比較的多い場合、無線タグ20の配置密度が大きく、タグ情報226を未取得の無線タグ20が多く残っていることが推定される。したがって、この場合、第2の伝送速度でのタグ情報226の取得が終了した後、第2の伝送速度よりも通信可能範囲が大きい(つまり第2の伝送速度よりも遅い)新たな伝送速度でのタグ情報226の取得をさらに実行する余地がある。
【0059】
そこで、第2実施形態は、まず、第1実施形態と同様に、第1の伝送速度および第2の伝送速度を段階的に使用して、無線タグ20からタグ情報226を取得する。そして、第2実施形態は、第2の伝送速度での1回目の要求に対する応答の数がある程度大きかった場合、第2の伝送速度よりも遅い第3の伝送速度の無線通信をさらに使用して、第1の伝送速度および第2の伝送速度の要求ではタグ情報226が取得されなかった残りの無線タグ20からタグ情報226を取得する。
【0060】
以下、第2実施形態が有する機能についてより具体的に説明する。
【0061】
図7は、第2実施形態による無線タグ読取装置100の制御部101内に実現される機能を示した例示的なブロック図である。図7に示される各機能は、第1実施形態による制御プログラム107(図3参照)とは異なる制御プログラムが制御部101により実行されることで実現される。
【0062】
図7に示されるように、第2実施形態では、第1実施形態(図5参照)による第1取得部501、第2取得部502、および受付部503と同様の第1取得部701、第2取得部702、および受付部704に加えて、上述した第3の伝送速度でのタグ情報226の取得を実行する第3取得部703が設けられている。
【0063】
第3取得部703は、無線タグ20の配置密度が大きく、タグ情報226を未取得の無線タグ20が多く残っていると推定される場合、第1取得部701および第2取得部702による2段階の処理が終了した後に、上述した第3の伝送速度でのタグ情報226の取得を開始する。そして、第3取得部703は、残りの無線タグ20の略全てからのタグ情報226の取得が完了した場合に、タグ情報226の取得を終了する。
【0064】
より具体的に、第3取得部703は、第2取得部702が送信した1回目の要求に対する応答の数を示す値が所定のしきい値(第2しきい値)以上であった場合に、第2取得部702によるタグ情報226の取得が終了した後、当該第2取得部702が使用した第2の伝送速度よりもさらに遅い第3の伝送速度の無線通信で要求を送信することで、第1取得部701および第2取得部702では取得しきれなかった残りの無線タグ20(以下、第3の無線タグと記載する)からタグ情報226を取得する。そして、第3取得部703は、第3の伝送速度での要求に対する第3の無線タグからの応答の数が少なくなった場合に、タグ情報226の取得を終了する。
【0065】
なお、第2実施形態によるその他の構成は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0066】
ここで、第2実施形態の制御動作について説明する。
【0067】
図8は、第2実施形態において実行される一連の処理を示した例示的なフローチャートである。なお、この図8の処理フローにおけるS801~S804の処理は、それぞれ、第1実施形態(図6参照)の処理フローにおけるS601~S604の処理と同様であるため、以下では、S804以降の処理についてのみ説明する。
【0068】
図8に示されるように、第2実施形態では、S804において、第2取得部702が取得可能な情報が略全て取得されたと判断された場合、S805に処理が進む。
【0069】
そして、S805において、第3取得部703は、伝送速度の更なる切り替えが必要か否か、つまり第2の伝送速度よりも遅い第3の伝送速度でのタグ情報226の取得が必要か否かを判断する。このS805の判断は、1回目のS803の処理、つまり第2取得部702が第2の伝送速度で送信した1回目の要求に対する応答の数が所定のしきい値(第2しきい値)以上か否かに基づいて行われる。
【0070】
S805において、1回目のS803の処理に対する応答の数が第2しきい値未満であると判断された場合、伝送速度の更なる切り替えは不要だと判断され、処理が終了する。一方、S805において、1回目のS803の処理に対する応答の数が第2しきい値以上であると判断された場合、伝送速度の更なる切り替えが必要だと判断され、S806に処理が進む。
【0071】
S806において、第3取得部703は、タグ情報226を未取得の無線タグ20に対するタグ情報226の送信の要求を、第3の伝送速度で送信する。
【0072】
そして、S807において、第3取得部703は、S806の処理によって取得可能な情報が略全て取得されたか否か、すなわち第1取得部701および第2取得部702によりタグ情報226が取得されなかった残りの無線タグ20である第3の無線タグの略全てからのタグ情報226の取得が完了したか否かを判断する。
【0073】
S807において、第3の無線タグの略全てからのタグ情報226の取得がまだ完了していないと判断された場合、S806に処理が戻る。一方、S807において、第3の無線タグの略全てからのタグ情報226の取得が完了したと判断された場合、第3取得部703によるタグ情報226の取得が終了し、図8の処理フローが終了する。
【0074】
以上説明したように、第2実施形態では、第1実施形態と同様の構成に加えて、第2取得部702が送信した1回目の要求に対する第2の無線タグからの応答の数を示す値が第2しきい値以上であった場合、第2取得部702によるタグ情報226の取得が終了した後に、第2の伝送速度よりも遅い第3の伝送速度の無線通信で要求を送信することで、複数の無線タグ20のうち第1の無線タグおよび第2の無線タグとは異なる第3の無線タグからタグ情報226を取得する第3取得部703が設けられている。これにより、第1の伝送速度および第2の伝送速度に加えて、第3の伝送速度を使用することで、多数の無線タグ20からタグ情報226を読み取る作業の更なる効率化を図ることができる。
【0075】
なお、上述した第1実施形態および第2実施形態において実行されるプログラムは、ROMなどの記憶媒体に予め組み込まれた状態で提供されうるが、当該プログラムの提供態様はこれに限られるものではない。第1実施形態および第2実施形態において実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルとして、CD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)などといった、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録された状態で提供されてもよい。
【0076】
また、第1実施形態および第2実施形態において実行されるプログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納したものをネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供または配布されてもよい。
【0077】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、上述した実施形態はあくまで例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述した実施形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
20 無線タグ
100 無線タグ読取装置
226 タグ情報(所定情報)
501、701 第1取得部
502、702 第2取得部
503、704 受付部
703 第3取得部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【文献】特表2007-504537号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8