(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】メッキ量制御装置およびメッキ量制御方法
(51)【国際特許分類】
C23C 2/20 20060101AFI20230426BHJP
C23C 2/40 20060101ALI20230426BHJP
G05B 13/02 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
C23C2/20
C23C2/40
G05B13/02 L
(21)【出願番号】P 2021516356
(86)(22)【出願日】2019-08-21
(86)【国際出願番号】 KR2019010631
(87)【国際公開番号】W WO2020060044
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-05-07
(31)【優先権主張番号】10-2018-0114322
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ノ、 イルファン
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ウォン-ホ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、 テイン
【審査官】松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許第106167887(CN,B)
【文献】韓国登録特許第10-0815815(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1688384(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-0815814(KR,B1)
【文献】特開2008-050680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 2/20
C23C 2/40
G05B 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリップが溶融金属ポットに浸されてコーティングされる連続式メッキ工程で、前記ストリップの進行方向に沿って配置されたエアーナイフを用いて前記ストリップにコーティングされたメッキ量を制御する装置において、
蓄積された操業条件を神経網に学習させた予測モデルを含む予測モデル部、および
入力される操業条件に基づいて前記予測モデルを用いてエアーナイフギャップとエアーナイフ圧力のうちの少なくとも一つの絶対値を導出する最適エアーナイフ条件算出部を含み、
前記最適エアーナイフ条件算出部は、
前記入力される操業条件に基づいたエアーナイフギャップを導出するエアーナイフギャップ導出部と、
前記蓄積された操業条件を前記神経網が学習した予測モデルを用いて前記入力される操業条件および前記導出されたエアーナイフギャップに基づいたエアーナイフ圧力を導出するエアーナイフ圧力導出部と
を含むことを特徴とするメッキ量制御装置。
【請求項2】
前記エアーナイフギャップ導出部は、
前記蓄積された操業条件を保存したデータベースで前記入力される操業条件に該当する操業条件を対象にして統計的方法を通じてエアーナイフギャップを導出する方法、
前記蓄積された操業条件のうちのエアーナイフ圧力を除いた操業条件を神経網に学習させ、前記学習した神経網を用いてエアーナイフギャップを導出する方法、および
ルックアップテーブル(Look-up table)を用いて前記入力される操業条件に対応するエアーナイフギャップを導出する方法
のうちの一つ以上の方法を用いて、前記エアーナイフギャップを導出することを特徴とする、請求項1に記載のメッキ量制御装置。
【請求項3】
前記データベースで統計的方法を通じて前記エアーナイフギャップを導出する方法は、
前記データベースで、前記入力される操業条件に該当するエアーナイフギャップに対するデータの最頻値、平均値、および中央値のうちの一つ、および前記データのうちの目標メッキ量と測定されたメッキ量間のメッキ量誤差が最も少ない値のうちの一つ以上を用いることを特徴とする、請求項2に記載のメッキ量制御装置。
【請求項4】
前記エアーナイフギャップ導出部は、
前記入力される操業条件に基づいて前記ストリップの一面に対する第1エアーナイフギャップを導出し、
前記入力される操業条件に基づいて前記ストリップの他面に対する第2エアーナイフギャップを導出し、
前記エアーナイフ圧力導出部は、
前記ストリップの一面に対する第1予測モデルおよび前記ストリップの他面に対する第2予測モデルを含み、
前記第1予測モデルに対して少なくとも前記入力される操業条件および前記第1エアーナイフギャップを適用して前記ストリップの一面に対する第1エアーナイフ圧力を導出し、
前記第2予測モデルに対して少なくとも前記入力される操業条件および前記第2エアーナイフギャップを適用して前記ストリップの他面に対する第2エアーナイフ圧力を導出することを特徴とする、請求項1に記載のメッキ量制御装置。
【請求項5】
前記エアーナイフ圧力導出部は、
前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力を比較し、前記比較の結果によって前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力を補正することを特徴とする、請求項4に記載のメッキ量制御装置。
【請求項6】
前記第1エアーナイフ圧力と前記第2エアーナイフ圧力との差が所定の臨界値より小さい場合、前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力それぞれを出力するか、
前記第1エアーナイフ圧力と前記第2エアーナイフ圧力との差が前記所定の臨界値より大きい場合、前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力を調整して補正された第1エアーナイフ圧力および第2エアーナイフ圧力を導出することを特徴とする、請求項4に記載のメッキ量制御装置。
【請求項7】
前記エアーナイフ圧力導出部は、
前記第1エアーナイフ圧力と前記第2エアーナイフ圧力との差が所定の臨界値以下になるように調整して補正された第1エアーナイフ圧力および第2エアーナイフ圧力を導出する動作を行い、
前記最適エアーナイフ条件算出部は、
前記補正された第1および第2エアーナイフ圧力に基づいて前記ストリップの一面および他面それぞれに対する補正されたエアーナイフギャップを、前記予測モデルを用いて導出するエアーナイフギャップ補正部をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載のメッキ量制御装置。
【請求項8】
前記エアーナイフ圧力導出部は、
前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力の平均を最適エアーナイフ圧力として導出し、
前記最適エアーナイフ条件算出部は、
前記最適エアーナイフ圧力に基づいて前記ストリップの一面および他面それぞれに対するエアーナイフギャップを再び導出するエアーナイフギャップ補正部をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載のメッキ量制御装置。
【請求項9】
前記ストリップのメッキ量を測定し、前記メッキ量の測定値と前記予測モデルを用いて予測されたメッキ量予測値または前記入力される操業条件に含まれている目標メッキ量との差に基づいて前記予測モデルを補正することを特徴とする、請求項1に記載のメッキ量制御装置。
【請求項10】
前記ストリップが所定距離だけ移動した後、前記メッキ量の測定値と前記メッキ量予測値または前記目標メッキ量との差に基づいて前記予測モデルの予測値または前記予測モデルに入力される目標メッキ量を補正することを特徴とする、請求項9に記載のメッキ量制御装置。
【請求項11】
前記ストリップが前記所定距離だけ移動する間、前記メッキ量予測値または前記目標メッキ量と前記メッキ量の測定値それぞれを対応するセルに保存するメモリアレイをさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載のメッキ量制御装置。
【請求項12】
前記予測モデルはメッキ量予測モデルであり、
前記入力される操業条件を入力とし、メッキ量を予測して出力するモデルであることを特徴とする、請求項1に記載のメッキ量制御装置。
【請求項13】
前記操業条件は、前記ストリップが溶融メッキポットに浸されてコーティングされる連続式メッキ工程が行われるラインに関連する操業条件、前記エアーナイフに関連する操業条件、および前記ストリップに関連する操業条件のうちのいずれか一つ以上を含むことを特徴とする、請求項1~12のうちのいずれか一項に記載のメッキ量制御装置。
【請求項14】
ストリップが溶融金属ポットに浸されてコーティングされる連続式メッキ工程で、前記ストリップの進行方向に沿って配置されたエアーナイフを用いて前記ストリップにコーティングされたメッキ量を制御する方法において、
蓄積された操業条件を神経網に学習させる段階と、
入力される操業条件に基づいて前記学習した神経網を用いてエアーナイフギャップと圧力のうちの少なくとも一つの絶対値を導出する段階と、
前記蓄積された操業条件を神経網に学習させて予測モデルを構築する段階と、
前記入力される操業条件に基づいたエアーナイフギャップを導出する段階と、
前記予測モデルを用いて前記入力される操業条件および前記エアーナイフギャップに基づいたエアーナイフ圧力を導出する段階と
を含むことを特徴とするメッキ量制御方法。
【請求項15】
前記エアーナイフギャップを導出する段階は、
前記蓄積された操業条件を保存したデータベースで前記入力される操業条件に該当する操業条件を対象にして統計的方法を通じてエアーナイフギャップを導出する段階、
前記蓄積された操業条件のうちのエアーナイフ圧力を除いた操業条件を神経網に学習させ、前記学習した神経網を用いてエアーナイフギャップを導出する段階、および
ルックアップテーブル(Look-up table)を用いて前記入力される操業条件に対応するエアーナイフギャップを導出する段階
のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項14に記載のメッキ量制御方法。
【請求項16】
前記データベースで統計的方法を通じて前記エアーナイフギャップを導出する方法は、
前記データベースで、前記入力される操業条件に該当するエアーナイフギャップに対するデータの最頻値、平均値、および中央値のうちの一つ、および前記データのうちの目標メッキ量と測定されたメッキ量間のメッキ量誤差が最も少ない値のうちの一つ以上を用いることを特徴とする、請求項15に記載のメッキ量制御方法。
【請求項17】
前記エアーナイフギャップを導出する段階は、
前記入力される操業条件に基づいて前記ストリップの一面に対する第1エアーナイフギャップを導出する段階、および
前記入力される操業条件に基づいて前記ストリップの他面に対する第2エアーナイフギャップを導出する段階を含み、
前記予測モデルは前記ストリップの一面に対する第1予測モデルおよび前記ストリップの他面に対する第2予測モデルを含み、
前記エアーナイフ圧力を導出する段階は、
前記第1予測モデルに対して少なくとも前記入力される操業条件および前記第1エアーナイフギャップを適用して前記ストリップの一面に対する第1エアーナイフ圧力を導出する段階、および
前記第2予測モデルに対して少なくとも前記入力される操業条件および前記第2エアーナイフギャップを適用して前記ストリップの他面に対する第2エアーナイフ圧力を導出する段階を含むことを特徴とする、請求項14に記載のメッキ量制御方法。
【請求項18】
前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力を比較し、前記比較の結果によって前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力を補正する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項17に記載のメッキ量制御方法。
【請求項19】
前記第1エアーナイフ圧力と前記第2エアーナイフ圧力との差が所定の臨界値より小さい場合、前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力それぞれを出力する段階、および
前記第1エアーナイフ圧力と前記第2エアーナイフ圧力との差が前記所定の臨界値より大きい場合、前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力を調整して補正された第1エアーナイフ圧力および第2エアーナイフ圧力を導出する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項17に記載のメッキ量制御方法。
【請求項20】
前記第1エアーナイフ圧力と前記第2エアーナイフ圧力との差が所定の臨界値以下になるように調整して補正された第1エアーナイフ圧力および第2エアーナイフ圧力を導出する段階、および
前記補正された第1および第2エアーナイフ圧力に基づいて前記ストリップの一面および他面それぞれに対する補正されたエアーナイフギャップを、予測モデルを用いて導出する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項17に記載のメッキ量制御方法。
【請求項21】
前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力の平均を最適エアーナイフ圧力として導出する段階を含むことを特徴とする、請求項20に記載のメッキ量制御方法。
【請求項22】
前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力の平均を最適エアーナイフ圧力として導出する段階、および
前記最適エアーナイフ圧力に基づいて前記ストリップの一面および他面それぞれに対するエアーナイフギャップを再び導出する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項18に記載のメッキ量制御方法。
【請求項23】
前記予測モデルを用いてメッキ量を予測する段階、
前記ストリップのメッキ量を測定する段階、および
前記メッキ量の測定値と前記メッキ量の予測値または目標メッキ量との差に基づいて前記予測モデルを補正する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項14に記載のメッキ量制御方法。
【請求項24】
前記予測モデルを補正する段階は、
前記ストリップが所定距離だけ移動した後、前記測定された前記メッキ量の測定値と前記メッキ量の予測値または前記目標メッキ量との差に基づいて前記予測モデルの予測値または前記目標メッキ量を補正する段階を含むことを特徴とする、請求項23に記載のメッキ量制御方法。
【請求項25】
前記予測モデルを補正する段階は、
前記ストリップが前記所定距離だけ移動する間、前記メッキ量の予測値または前記目標メッキ量と前記メッキ量の測定値それぞれをメモリアレイの対応するセルに保存する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項24に記載のメッキ量制御方法。
【請求項26】
前記予測モデルはメッキ量予測モデルであり、
前記入力される操業条件を入力とし、メッキ量を出力とするモデルであることを特徴とする、請求項14に記載のメッキ量制御方法。
【請求項27】
前記操業条件は、前記ストリップが溶融メッキポットに浸されてコーティングされる連続式メッキ工程が行われるラインに関連する操業条件、前記エアーナイフに関連する操業条件、および前記ストリップに関連する操業条件のうちのいずれか一つ以上を含むことを特徴とする、請求項14~26のうちのいずれか一項に記載のメッキ量制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、メッキ量制御装置およびメッキ量制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
溶融メッキ工程で、鋼板のメッキ量制御は鋼板の前(Top)/後(bottom)面に設置されたエアーナイフ(Air Knife)でそれぞれ制御される。メッキ量を測定するためには溶融状態のメッキ層が完全に乾燥されなければならないため、メッキ量測定装置(Coating Weight Gauge)はエアーナイフから約200m後端に位置する。したがって、即時的なフィードバック(feedback)制御は不可能であり、通常運転者の経験または設定テーブルを参照してエアーナイフと鋼板の距離であるエアーナイフギャップ(gap)およびエアーナイフから鋼板に噴射される気体の圧力であるエアーナイフ圧力(pressure)を適切に調整して操業を行う。
【0003】
従来は、メッキ量予測モデル(「Coating mass control system design for a continuous galvanizing line」、1976、W.J.Edwardsなど)を用いて鋼板速度(line speed)変化によってエアーナイフ圧力を単独で調整するか、メッキ量誤差によって前/後面のエアーナイフギャップを単独で調整してメッキ量を制御する方法がある。しかし、従来の方法は操業条件の変化によってエアーナイフギャップおよび圧力それぞれの変化量を導出して制御する方法であって、各鋼種とメッキ量に適したエアーナイフギャップと圧力を直接導出することには限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存の手動操業に比べてメッキ量制御正確度改善、メッキ量偏差の減少、および表面品質を改善することができるメッキ量制御装置およびメッキ量制御方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の一特徴による、ストリップが溶融金属ポットに浸されてコーティングされる連続式メッキ工程で、前記ストリップの進行方向に沿って配置されたエアーナイフを用いて前記ストリップにコーティングされたメッキ量を制御する装置は、蓄積された操業条件を神経網学習した予測モデルを含む予測モデル部、および入力される操業条件に基づいて前記予測モデルを用いてエアーナイフギャップとエアーナイフ圧力のうちの少なくとも一つの絶対値を導出する最適エアーナイフ条件算出部を含む。
【0006】
前記エアーナイフ条件算出部は、前記入力される操業条件に基づいたエアーナイフギャップを導出するエアーナイフギャップ導出部、および前記蓄積された操業条件を神経網学習した予測モデルを用いて前記入力される操業条件および前記導出されたエアーナイフギャップに基づいたエアーナイフ圧力を導出するエアーナイフ圧力導出部を含むことができる。
【0007】
前記エアーナイフギャップ導出部は、データベースで前記入力される操業条件に該当する操業条件を対象にして統計的方法を通じてエアーナイフギャップを導出する方法、前記蓄積された操業条件のうちのエアーナイフ圧力を除いた操業条件を神経網学習し、前記学習された神経網を用いてエアーナイフギャップを導出する方法、およびルックアップテーブル(Look-up table)を用いて前記入力される操業条件に対応するエアーナイフギャップを導出する方法のうちの一つ以上の方法を用いて、前記エアーナイフギャップを導出することができる。
【0008】
前記データベースで統計的方法を通じて前記エアーナイフギャップを導出する方法は、前記データベースで、前記入力される操業条件に該当するエアーナイフギャップに対するデータの最頻値、平均値、および中央値のうちの一つ、および前記データのうちの目標メッキ量と測定されたメッキ量間のメッキ量誤差が最も少ない値のうちの一つ以上を用いることができる。
【0009】
前記エアーナイフギャップ導出部は、前記入力される操業条件に基づいて前記ストリップの一面に対する第1エアーナイフギャップを導出し、前記入力される操業条件に基づいて前記ストリップの他面に対する第2エアーナイフギャップを導出し、前記エアーナイフ圧力導出部は、前記ストリップの一面に対する第1予測モデルおよび前記ストリップの他面に対する第2予測モデルを含み、前記第1予測モデルに対して少なくとも前記入力される操業条件および前記第1エアーナイフギャップを適用して前記ストリップの一面に対する第1エアーナイフ圧力を導出し、前記第2予測モデルに対して少なくとも前記入力される操業条件および前記第2エアーナイフギャップを適用して前記ストリップの他面に対する第2エアーナイフ圧力を導出することができる。
【0010】
前記エアーナイフ圧力導出部は、前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力を比較し、前記比較結果によって前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力を補正することができる。
【0011】
前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力間の差が所定の臨界値より小さい場合、前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力それぞれを出力するか、前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力間の差が前記所定の臨界値より大きい場合、前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力を調整して補正された第1エアーナイフ圧力および第2エアーナイフ圧力を導出することができる。
【0012】
前記エアーナイフ圧力導出部は、前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力の差が所定の臨界値以下になるように調整して補正された第1エアーナイフ圧力および第2エアーナイフ圧力を導出する動作を行い、前記最適エアーナイフ条件算出部は、前記補正された第1および第2エアーナイフ圧力に基づいて前記ストリップの一面および他面それぞれに対する補正されたエアーナイフギャップを、前記予測モデルを用いて導出するエアーナイフギャップ補正部をさらに含むことができる。
【0013】
前記エアーナイフ圧力導出部は、前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力の平均を最適エアーナイフ圧力として導出し、前記最適エアーナイフ条件算出部は、前記最適エアーナイフ圧力に基づいて前記ストリップの一面および他面それぞれに対するエアーナイフギャップを再び導出するエアーナイフギャップ補正部をさらに含むことができる。
【0014】
前記メッキ量制御装置は、前記ストリップのメッキ量を測定し、前記メッキ量測定値と前記予測モデルを用いて予測されたメッキ量予測値または前記入力される操業条件に含まれている目標メッキ量間の差に基づいて前記予測モデルを補正することができる。
【0015】
前記メッキ量制御装置は、前記ストリップが所定距離だけ移動した後、前記メッキ量測定値と前記メッキ量予測値または前記目標メッキ量間の差に基づいて前記予測モデルの予測値または前記予測モデルに入力される目標メッキ量を補正することができる。
【0016】
前記メッキ量制御装置は、前記ストリップが前記所定距離だけ移動する間、前記メッキ量予測値または前記目標メッキ量と前記メッキ量測定値それぞれを対応するセルに保存するメモリアレイをさらに含むことができる。
【0017】
発明の他の特徴によるストリップが溶融金属ポットに浸されてコーティングされる連続式メッキ工程で、前記ストリップの進行方向に沿って配置されたエアーナイフを用いて前記ストリップにコーティングされたメッキ量を制御する方法は、蓄積された操業条件を神経網学習する段階、および入力される操業条件に基づいて前記学習された神経網を用いてエアーナイフギャップと圧力のうちの少なくとも一つの絶対値を導出する段階を含むことができる。
【0018】
前記メッキ量制御方法は、前記蓄積された操業条件を神経網学習して予測モデルを構築する段階、前記入力される操業条件に基づいたエアーナイフギャップを導出する段階、および前記予測モデルを用いて前記入力される操業条件および前記エアーナイフギャップに基づいたエアーナイフ圧力を導出する段階をさらに含むことができる。
前記エアーナイフギャップを導出する段階は、前記データベースで前記入力される操業条件に該当する操業条件を対象にして統計的方法を通じてエアーナイフギャップを導出する段階、前記蓄積された操業条件のうちのエアーナイフ圧力を除いた操業条件を神経網学習し、前記学習された神経網を用いてエアーナイフギャップを導出する段階、およびルックアップテーブル(Look-up table)を用いて前記入力される操業条件に対応するエアーナイフギャップを導出する段階のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0019】
前記データベースで統計的方法を通じて前記エアーナイフギャップを導出する方法は、前記データベースで、前記入力される操業条件に該当するエアーナイフギャップに対するデータの最頻値、平均値、および中央値のうちの一つ、および前記データのうちの目標メッキ量と測定されたメッキ量間のメッキ量誤差が最も少ない値のうちの一つ以上を用いることができる。
【0020】
前記エアーナイフギャップを導出する段階は、前記入力される操業条件に基づいて前記ストリップの一面に対する第1エアーナイフギャップを導出する段階、および前記入力される操業条件に基づいて前記ストリップの他面に対する第2エアーナイフギャップを導出する段階を含み、前記予測モデルは前記ストリップの一面に対する第1予測モデルおよび前記ストリップの他面に対する第2予測モデルを含み、前記エアーナイフ圧力を導出する段階は、前記第1予測モデルに対して少なくとも前記入力される操業条件および前記第1エアーナイフギャップを適用して前記ストリップの一面に対する第1エアーナイフ圧力を導出する段階、および前記第2予測モデルに対して少なくとも前記入力される操業条件および前記第2エアーナイフギャップを適用して前記ストリップの他面に対する第2エアーナイフ圧力を導出する段階を含むことができる。
【0021】
前記メッキ量制御方法は、前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力を比較し、前記比較結果によって前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力を補正する段階をさらに含むことができる。
【0022】
前記メッキ量制御方法は、前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力間の差が所定の臨界値より小さい場合、前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力それぞれを出力する段階、および前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力間の差が前記所定の臨界値より大きい場合、前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力を調整して補正された第1エアーナイフ圧力および第2エアーナイフ圧力を導出する段階をさらに含むことができる。
【0023】
前記メッキ量制御方法は、前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力間の差が前記所定の臨界値以下になるように調整して補正された第1エアーナイフ圧力および第2エアーナイフ圧力を導出する段階、および前記補正された第1および第2エアーナイフ圧力に基づいて前記ストリップの一面および他面それぞれに対する補正されたエアーナイフギャップを、予測モデルを用いて導出する段階をさらに含むことができる。
【0024】
前記最適エアーナイフ圧力を導出する段階は、前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力の平均を最適エアーナイフ圧力として導出する段階を含むことができる。
【0025】
前記メッキ量制御方法は、前記第1エアーナイフ圧力および前記第2エアーナイフ圧力の平均を最適エアーナイフ圧力として導出する段階、および前記最適エアーナイフ圧力に基づいて前記ストリップの一面および他面それぞれに対するエアーナイフギャップを再び導出する段階をさらに含むことができる。
【0026】
前記メッキ量制御方法は、前記予測モデルを用いてメッキ量を予測する段階、前記ストリップのメッキ量を測定する段階、および前記メッキ量測定値と前記メッキ量予測値または前記目標メッキ量間の差に基づいて前記予測モデルを補正する段階をさらに含むことができる。
【0027】
前記予測モデルを補正する段階は、前記ストリップが所定距離だけ移動した後、前記測定されたメッキ量測定値と前記メッキ量予測値または前記目標メッキ量間の差に基づいて前記予測モデルの予測値または前記目標メッキ量を補正する段階を含むことができる。
【0028】
前記予測モデルを補正する段階は、前記ストリップが前記所定距離だけ移動する間、前記メッキ量予測値または前記目標メッキ量と前記メッキ量測定値それぞれをメモリアレイの対応するセルに保存する段階をさらに含むことができる。
【0029】
前記予測モデルはメッキ量予測モデルであり、前記入力される操業条件を入力とし、メッキ量を予測して出力するモデルであってもよい。
【0030】
前記操業条件は、前記ストリップ工程が行われるライン関連操業条件、前記エアーナイフ関連操業条件、および前記ストリップ関連操業条件のうちのいずれか一つ以上を含むことができる。
【0031】
メッキ量制御方法によって生産された本発明のまた他の特徴によるストリップは、前記ストリップに対する目標メッキ量が第1レベルから第2レベルに変更時、測定メッキ量が前記第2レベルの目標メッキ量の-3~3%に到達する安定化距離が目標メッキ量変化起点から50M未満であるか、測定メッキ量が前記第2レベルの目標メッキ量の-1~+1%に収斂する距離が目標メッキ量変化起点から250M未満であってもよい。
【0032】
メッキ量制御方法によって生産された本発明のまた他の特徴によるストリップは、目標メッキ量変化起点から200M区間内で、前記ストリップが極薄メッキである場合、前記ストリップの長さ方向両面合計が前記ストリップの前後面目標メッキ量の合計基準0.25%以下の偏差、前記ストリップが中薄メッキである場合、前記ストリップの長さ方向両面合計が前記ストリップの前後面目標メッキ量の合計基準0.66%以下の偏差、または前記ストリップが厚メッキである場合、前記ストリップの長さ方向両面合計が前記ストリップの前後面目標メッキ量の合計基準1%以下の偏差で収斂することができる。
【0033】
メッキ量制御方法によって生産された本発明のまた他の特徴によるストリップは、前記ストリップ表面に斜線紋形態のチェックマーク(Check Mark)が発生しないことになる。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、メッキ量予測モデルによって目標メッキ量を実現するためのエアーナイフの運転条件を導出することによって、既存の手動操業に比べてメッキ量制御正確度を改善することによって、メッキ量偏差が減少し表面品質を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】一実施形態によるメッキ装置およびメッキ量制御装置を概略的に示した図である。
【
図2】一実施形態によるメッキ量制御装置を示した図である。
【
図3】一実施形態によるエアーナイフ条件導出部を示した図である。
【
図4】一実施形態によるメモリアレイを示した図である。
【
図5】一実施形態によるメッキ量偏差と従来手動操業でのメッキ量偏差を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付した図面を参考として本発明の一実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態に実現でき、ここで説明する一実施形態に限定されない。そして、図面で本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって類似の部分については類似の図面符号を付けた。
【0037】
溶融メッキ工程(Continuous Galvanizing Line)でストリップ(strip)のメッキ量はストリップの前後面にそれぞれ設置された2台のエアーナイフによって制御され、メッキ量はエアーナイフとストリップ間の距離(エアーナイフギャップ)、エアーナイフが対応するストリップの一面に噴射する気体の圧力(エアーナイフ圧力)によって大きく影響を受ける。以下、本開示では、ストリップの一例として鋼板を説明する。しかし、発明がこれに限定されるのではなく、ストリップ形態のマグネシウム板などの金属板に本発明を適用できる。
【0038】
鋼板表面のメッキ量を目標メッキ量に調節するために、回帰模型に基づいた制御技法が適用されている。例えば、1976年エドワード(Edwards)によって提案された方法であって、予測メッキ量(CP)をライン速度(V)、エアーナイフ(air knife)ギャップ(D)、そしてエアーナイフ圧力(P)の関数で定義した数式1のメッキ量予測モデルを使用する方法がある。
【数1】
【0039】
数式1中、a、b、およびcはモデルパラメータであって定数である。
【0040】
数式1のメッキ量予測モデルを用いて、目標メッキ量が与えられれば特定ライン速力から適切なエアーナイフギャップとエアーナイフ圧力を逆算することができる。しかし、適切なエアーナイフギャップとエアーナイフ圧力は無数に多く存在し、エアーナイフギャップが過度に大きいか小さい場合、メッキ量とは別個に表面品質を低下させることがあり、メッキ量予測モデルのみでは最適のエアーナイフ運転条件(エアーナイフギャップ、エアーナイフ圧力)を導出することができない。
【0041】
本発明はエアーナイフを用いて鋼板のメッキ量を制御する装置に関するものであって、少なくともエアーナイフギャップおよびエアーナイフ圧力を含む蓄積された操業条件で神経網を学習させて予測モデルを実現し、予測モデルを用いて入力される操業条件によるエアーナイフギャップと圧力のうちの少なくとも一つの絶対値を導出する。
【0042】
本発明は、エアーナイフギャップおよび圧力の絶対値を導出することによって、操業条件が変更された後の初期制御が可能である。鋼板の種類変更、ライン速度変更、目標メッキ量変更などの操業条件が変更されれば、現在エアーナイフギャップおよび圧力が変更された操業条件でエアーナイフギャップおよび圧力の相対的な変化量を導出するための基準として適しない。エアーナイフギャップおよび圧力の相対的な変化量をエアーナイフギャップおよび圧力制御に適用するためには現在状態(初期状態)が最適であることが保障されなければならない。しかし、これは実際の操業では保障されにくい。したがって、従来のエアーナイフギャップおよび圧力の相対的な変化量を導出する方式によれば、操業条件が変更された後に目標メッキ量のための正確なエアーナイフギャップおよび圧力の相対的な変化量を導出しにくい。本発明は、変更前のエアーナイフギャップおよび圧力を基準として使用せず、神経網学習を用いて変更された操業条件でのエアーナイフギャップおよび圧力の絶対値を導出することによって、より正確な初期制御を提供することができる。
【0043】
また、現在の相対的な変化量を計算する時、様々な操業条件が同時に変わる場合、正確性の保障が難しい。例えば、目標メッキ量とライン速度が同時に変わった時、変更された目標メッキ量に対する圧力変化導出後、変化されたライン速度に対する圧力変化を導出して合算したものと反対の順序で計算したものの結果が異なることがある。
【0044】
さらに、相対的な変化量で制御する場合、特定鋼種/条件で表面品質確保のために特定ギャップを使用するなどの操業ノウハウ反映が難しい。本発明は、蓄積された操業条件で入力される操業条件に適したエアーナイフギャップを先に導出することによってこのような問題点を解決することができる。操業条件は複数の類型を有し、複数の類型は例えば鋼板関連データ、エアーナイフ関連データ、ライン関連データおよびメッキ量データを含むことができる。鋼板関連データは、例えば、鋼板の鋼種、厚さ、幅、振動などを含むことができる。エアーナイフ関連データは、例えば、エアーナイフギャップ、エアーナイフ圧力、エアーナイフ角度および/またはエアーナイフ高さを含むことができる。エアーナイフギャップは、エアーナイフと鋼板の中心が移動する中心線の間の間隔であり得る。エアーナイフ圧力は、エアーナイフに使用されるエアーの圧力であり得る。エアーナイフ高さは、メッキポットの湯面を基準にしたエアーナイフの高さであり得る。エアーナイフ角度は、水平面を基準にしたエアーナイフの角度であり得る。ライン関連データは、例えば、ライン速度(line speed)、張力などを含むことができる。ライン速度は鋼板が進行方向に沿って移動する時の速度であり、張力は鋼板を進行方向に移動させるための張力であり得る。さらに、操業条件は、目標メッキ量を含むことができる。
【0045】
一実施形態は、メッキ量予測モデルと蓄積された操業条件を用いて入力される操業条件に適したエアーナイフギャップと圧力を導出するメッキ量制御装置およびメッキ量制御方法に関するものである。一実施形態で不確実性による誤差は、鋼板のメッキ量測定のための所定距離だけ移動した時点に測定されたメッキ量を用いて補正できる。
【0046】
例えば、蓄積された操業条件で入力される操業条件に適切なエアーナイフギャップを先に導出し、導出されたエアーナイフギャップおよびメッキ量予測モデルを用いてエアーナイフ圧力を導出することができる。蓄積された操業条件を用いるので運転者のノウハウを反映したエアーナイフギャップ導出が可能であり、これによって表面品質を改善することができるメッキ量自動制御が可能である。そして、一実施形態は、予測モデルから導出された鋼板前後面に噴射されるエアーナイフ圧力が同一であるか前後面エアーナイフ圧力間の差が所定範囲内にあるように調整し、調整されたエアーナイフ圧力によってエアーナイフギャップを補正することができる。また、一実施形態はメッキ量測定値を用いてメッキ量予測モデルの誤差を補正することができる。
【0047】
先に言及した数式1のメッキ量予測モデルを拡張して、ライン速度、エアーナイフギャップ、およびエアーナイフ圧力以外の他の操業条件を入力として含む関数でメッキ量予測モデルを示すと次の通り示すことができる。
【数2】
【0048】
数式2で他の操業条件として、鋼板の鋼種、厚さ、幅、振動、および張力、エアーナイフ高さおよび角度などがあり得る。
【0049】
数式2のメッキ量予測モデルは鋼板の前面および後面それぞれに対して別途に適用でき、数式2の関数は下記数式3の条件を満足して他の入力変数が一定の条件でGとPに対する逆関数が存在しなければならない。
【数3】
【0050】
メッキ量予測において、数式2のメッキ量予測モデルを用いれば、目標メッキ量(CP)が与えられた時、当該操業条件(鋼板速度など)でこれを実現するためのエアーナイフギャップおよび圧力を見つけることができ、その解が無数に多く存在するようになる。
【0051】
一実施形態で、蓄積された操業条件が保存されたデータベース(database)および蓄積された操業条件を学習した神経網(neural network)を用いて無数に多くの解から一つの最適解を見つけることができる。このために、一実施形態によるメッキ量制御装置は、操業データを[時間、コイル番号、鋼板の鋼種、厚さ、幅、振動、および張力、ライン速度、エアーナイフギャップ(Top/Bottom)、エアーナイフ圧力(Top/Bottom)、目標メッキ量、メッキ量測定値(Top/Bottom)、エアーナイフ高さ、エアーナイフ角度(Top/Bottom)、など]の形態でデータベースに実時間で保存することができる。
【0052】
一実施形態で、操業条件を入力とし、メッキ量を出力とする神経網がデータベースに保存された操業条件を学習し、メッキ量予測モデルは学習された神経網で実現できる。しかし、発明がこれに限定されるのではなく、予測モデルの入力および出力は設計によって変わり得る。一実施形態では、神経網学習を通じて実現されたメッキ量予測モデルが先に導出されたエアーナイフギャップおよび少なくとも目標メッキ量を含む操業条件に基づいて最適のエアーナイフ圧力を見つけることができる。
【0053】
メッキ量制御装置は、データベースで入力される操業条件に該当する操業条件を対象にして統計的方法を通じてエアーナイフギャップを導出することができる。入力される操業条件に該当する操業条件は、入力される同一な操業条件および所定範囲内で類似の操業条件を含む。例えば、メッキ量制御装置は、当該エアーナイフギャップに対するデータの最頻値、平均値、および中央値のうちの一つ、および当該エアーナイフギャップに対するデータのうちの目標メッキ量と測定されたメッキ量間のメッキ量誤差が最も少ないエアーナイフギャップのうちの少なくとも一つ以上を用いてエアーナイフギャップを導出することができる。
【0054】
または、メッキ量制御装置は、蓄積された操業条件のうちのエアーナイフ圧力を除いた操業条件を神経網学習し、学習された神経網を用いて入力される操業条件でのエアーナイフギャップを導出することができる。
【0055】
または、メッキ量制御装置は、蓄積された操業条件に関するルックアップテーブル(Look-up table)を用いて入力される操業条件に対応するエアーナイフギャップを導出することができる。ルックアップテーブルは、蓄積された操業条件のうちの熟練した操業者などによって行われた操業から獲得された正確度の高い操業条件を含むことができる。または、ルックアップテーブルは、メッキ操業が行われるラインの固有特性が反映された操業条件を含むことができる。ラインはメッキ操業のための様々な設備の組み合わせであるので、ラインごとに操業において特性が異なることがある。これをルックアップテーブルに反映することによって、メッキ量制御の正確度が改善できる。
【0056】
一実施形態によるメッキ量制御装置は、エアーナイフギャップを先に導出し、神経網学習を通じて実現された予測モデルを通じてエアーナイフ圧力を導出する。エアーナイフ圧力と関係なくエアーナイフから噴出される気体の流動がほとんど類似の形態を帯びて、エアーナイフギャップが表面品質に大きな影響を与えるためである。そうすれば、流れ紋などのメッキ表面欠陥が発生するのを防止することができる。
【0057】
また、一実施形態は、鋼板の前面と後面それぞれに対してメッキ量予測モデルを別個に適用することができるので、エアーナイフは鋼板の前面および後面それぞれに対してエアーナイフギャップによる距離だけ離隔されてエアーナイフ圧力によって気体を噴射する。即ち、鋼板の前面および後面それぞれに対するメッキ工程が分離されているので、前面および後面それぞれに対するメッキ量予測モデルを別個に適用することができる。目標メッキ量を実現するためのエアーナイフ圧力を前/後面それぞれに対して導出し、導出された前/後面エアーナイフ圧力に基づいて最適エアーナイフ圧力を決定することができる。
【0058】
例えば、メッキ量制御装置は、前/後面エアーナイフ圧力を比較し、比較結果によって前/後面エアーナイフ圧力を補正することができる。前/後面それぞれのエアーナイフ圧力間の差が大きい場合、圧力差によって鋼板の振動や偏りが誘発されることがある。したがって、一実施形態は、前/後面エアーナイフ圧力間の差が鋼板の振動や偏りを誘発し得る所定の臨界値を逸脱しないように補正することができる。
【0059】
例えば、前/後面エアーナイフ圧力間の差が所定の臨界値より小さければ、導出された前/後面エアーナイフ圧力それぞれをそのまま使用することができる。前/後面エアーナイフ圧力間の差が臨界値より大きければ、メッキ量制御装置は前/後面エアーナイフ圧力を調整して最適エアーナイフ圧力を導出することができる。具体的に、メッキ量制御装置が前/後面エアーナイフ圧力間の差が所定の臨界値以下になるように調整して最適エアーナイフ圧力を導出することができる。一例として、前/後面エアーナイフ圧力の平均を最適エアーナイフ圧力と決定することができる。
【0060】
または、メッキ量制御装置は、エアーナイフ圧力間の差が臨界値以下なのかどうかを判断せず、前/後面エアーナイフ圧力の平均を最適エアーナイフ圧力と決定することができる。
【0061】
前/後面それぞれに対するエアーナイフ圧力間の差が大きい場合、その圧力差によって鋼板の振動や偏りが誘発されることがある。これを防止するために、一実施形態は、前/後面モデルそれぞれから導出された2個のエアーナイフ圧力の平均を算出して、前/後面に対して同一なエアーナイフ圧力を適用することができる。この場合、一実施形態は、最適エアーナイフ圧力に対応するように前/後面それぞれのエアーナイフギャップを、メッキ量予測モデルを用いて再び導出する。
【0062】
一実施形態で、メッキ量予測誤差を測定してメッキ量予測モデルの誤差を補正することができる。例えば、実際操業でモニタリングされるエアーナイフギャップはエアーナイフの機械的な位置に過ぎず、実際エアーナイフと鋼板の間の距離を正確に示さないことがある。これは、実際鋼板の位置が鋼板の厚さ、張力、振動などによって変わるためである。
【0063】
このような不確実性によって発生する誤差を補正するために、メッキ量制御装置はメッキ作業位置(例えば、エアーナイフ位置)から所定距離だけの後端で測定された実際メッキ量のフィードバックを受ける。例えば、メッキ量制御装置は、大略200m後端で測定されたメッキ量測定値のフィードバックを受け、メッキ量予測モデルの誤差を補正することができる。
【0064】
従来は、メッキ作業位置からフィードバックのためのメッキ量実際測定位置までの鋼板移動距離が長いため、メッキ量制御装置は測定値と予測値間の誤差を反映するゲイン(gain)を制限的に持っていく。一実施形態によってフィードバックを通じてメッキ量予測モデルの誤差を補正することによって、別途のフィードバック制御を行わず、補正されたメッキ量予測モデルによってフィードバック制御が遂行できる。そうすれば、制約的なゲインによって予測値が測定値に収斂するのに必要な鋼板の移動距離が改善できる。
【0065】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。
図1~
図4を参照した一実施形態の説明は発明を実現した一例であって、発明がこれに限定されるのではない。
【0066】
図1は、一実施形態によるメッキ量制御装置およびメッキ装置を概略的に示した図である。
【0067】
図1に示されているように、メッキ装置100はメッキ量制御装置200の制御によって動作する。一実施形態では、メッキ装置100とメッキ量制御装置200間の情報を送受信するためのデータ通信装置300が備えられる。発明がこれに限定されるのではなく、メッキ装置100およびメッキ量制御装置200それぞれにデータの送受信のための装置が備えられる。
【0068】
メッキ装置100は、メッキポット110、エアーナイフ120および冷却部130を含む。一実施形態で、メッキ装置100は溶融メッキ装置であってもよい。
【0069】
メッキポット110は鋼板SSを溶融メッキするためのものであって、溶融金属がメッキポットに入れられており、メッキポット110に案内された鋼板SSはメッキポット110内に配置されたシンクロール(sink roll)111を通過しながら溶融金属112に浸漬されて溶融メッキ工程が行われて、鋼板SSの表面がコーティングされる。
【0070】
鋼板SSはシンクロール111によって進行方向が転換されてメッキポット110上部に移動する。メッキポット110内の溶融金属112によって表面がメッキされた鋼板SSはメッキポット110上部に引出される。鋼板SSは進行方向に沿って順次に配置されたエアーナイフ120および冷却部130を経てメッキ鋼板に製造される。冷却部130を経て冷却された鋼板SSはテンションロール140を経て次の工程に進行する。
【0071】
一実施形態で、メッキ溶液は、亜鉛、亜鉛合金、アルミニウムおよび/またはアルミニウム合金などが使用できる。
【0072】
エアーナイフ120は、鋼板SSの進行方向に沿ってメッキポット110後端で鋼板の一面または両面に配置されて鋼板のメッキ量を制御する。エアーナイフ120はエアーナイフ(air knife)121、122を含み、エアーナイフ121、122は鋼板SS表面に付着されたメッキ層にエアーナイフギャップだけ離隔された距離からエアーナイフ圧力で気体を噴射してメッキ量を調節する。例えば、エアーナイフ120は鋼板SS幅方向に延長され内部には極低温液体が循環するボディーを有し、ボディー先端には鋼板SSのメッキ層に対してエアーナイフ角度だけ傾いたチップ(図示せず)が形成されていてもよい。
【0073】
エアーナイフ121、122それぞれは、制御信号AFC1、AFC2によってエアーナイフギャップおよび圧力を制御することができる。
図1で制御信号AFC1、AFC2がデータ通信装置300を通じてエアーナイフ121、122に転送されるものと示されているが、発明がこれに限定されるのではない。エアーナイフ121、122それぞれは、メッキ量制御装置200から直接制御信号AFC1、AFC2を受信することができる。
【0074】
冷却部130は、鋼板SS表面のメッキ層に直接接触して鋼板SSを冷却する。例えば、冷却体131、132は鋼板幅方向に延長され内部には極低温液体が循環し鋼板表面のメッキ層に加圧されて冷気を加える冷却ロール(図示せず)を含むことができる。このような冷却ロールは、複数個が鋼板SSの進行方向に沿って間隔をおいて多段に配置できる。
【0075】
メッキ量制御装置200は、メッキ装置100のメッキ操業に使用される操業条件を自動で制御する。一実施形態によるメッキ量制御装置200は蓄積された操業条件のうちの入力される操業条件に基づいてエアーナイフギャップを導出し、導出されたエアーナイフギャップおよび少なくとも目標メッキ量を含む操業条件を予測モデルに入力してエアーナイフ圧力を導出することができる。また、メッキ量制御装置200は前/後面エアーナイフ圧力に基づいて最適エアーナイフ圧力を導出し、最適エアーナイフ圧力に基づいて前/後面エアーナイフギャップを補正することができる。
【0076】
メッキ量測定装置400は、鋼板の前/後面をスキャンして前/後面メッキ量を測定し、その測定値FB1、FB2を生成する。メッキ量測定装置400は前面メッキ量測定部401および後面メッキ量測定部402を含み、前面メッキ量測定部401は前面メッキ量の測定値FB1を生成し、後面メッキ量測定部402は後面メッキ量の測定値FB2を生成する。
【0077】
データ通信装置300は、メッキ装置100でメッキ操業に使用された操業条件およびメッキ装置100で操業条件によってメッキされた鋼板のメッキ量を測定した値であるメッキ量測定値FB1、FB2を含む操業データを収集し、メッキ量制御装置200に伝送することができる。また、データ通信装置300は、メッキ量制御装置200から操業指示に関するデータを受信し、対応する制御信号をメッキ装置100に伝送することができる。このようなデータ通信装置300は、メッキ装置100およびメッキ量制御装置200と通信可能なコンピューティング装置で実現できる。
【0078】
図2は、一実施形態によるメッキ量制御装置を示した図である。
【0079】
図2に示されているように、メッキ量制御装置200は、メッキ量予測部210、エアーナイフ条件導出部220、フィードバックモデル補正部230、メッキ量予測モデル部240、およびデータベース250を含む。
【0080】
データベース250は、操業条件に関するデータの入力を受けて保存することができる。エアーナイフ条件導出部220は、最適エアーナイフギャップを導出することにおいてデータベース250に保存されたデータを用いることができる。
図2ではメッキ量制御装置200にデータベース250が含まれたものと示されているが、発明がこれに限定されるのではなく、データベース250は別途の装置で実現されメッキ量制御装置200と互いにデータを送受信することができる。
【0081】
メッキ量予測モデル部240は前/後面メッキ量それぞれに対する別途のメッキ量予測モデルを含み、各メッキ量予測モデルは蓄積された操業条件を学習した神経網で実現できる。
【0082】
メッキ量予測部210は、メッキ量予測モデル部240のメッキ量予測モデルを用いてメッキ量を予測することができる。例えば、メッキ量予測部210は操業条件の入力を受け、メッキ量予測モデル部240の前/後面メッキ量予測モデルを通じて入力される操業条件による前/後面メッキ量予測値ECP1、ECP2を予測して出力する。
【0083】
エアーナイフ条件導出部220は、メッキ量予測モデルを用いて現在操業条件で前/後面の最適エアーナイフギャップとエアーナイフ圧力を導出することができる。エアーナイフ条件導出部220は、メッキ量予測モデルにエアーナイフギャップおよびエアーナイフ圧力のうちの一つと目標メッキ量を入力し、メッキ量予測モデルを逆算してエアーナイフギャップおよびエアーナイフ圧力のうちの残り一つを導出することができる。
【0084】
例えば、エアーナイフ条件導出部220は、前/後面エアーナイフギャップを導出し、導出された前/後面エアーナイフギャップと目標メッキ量をメッキ量予測モデル部240の前/後面メッキ量予測モデルに入力して前/後面エアーナイフ圧力を導出し、導出された前/後面エアーナイフ圧力に基づいて最適エアーナイフ圧力を導出し、最適エアーナイフ圧力と目標メッキ量を前/後面メッキ量予測モデルに入力して前/後面最適エアーナイフギャップを導出することができる。
【0085】
図3は、一実施形態によるエアーナイフ条件導出部を示した図である。
【0086】
図3に示されているように、エアーナイフ条件導出部220は、エアーナイフギャップ導出部221、エアーナイフ圧力導出部222、およびエアーナイフギャップ補正部223を含む。
【0087】
エアーナイフギャップ導出部221は、前面エアーナイフギャップ導出部2211および後面エアーナイフギャップ導出部2212を含む。前/後面エアーナイフギャップ導出部2211、2212は操業条件の入力を受け、前/後面エアーナイフギャップG1、G2を導出することができる。
【0088】
前/後面エアーナイフギャップ導出部2211、2212それぞれは、データベース250で入力される操業条件に該当する操業条件を対象にして統計的方法を通じてエアーナイフギャップを導出することができる。例えば、前/後面エアーナイフギャップ導出部2211、2212それぞれは、入力される操業条件と類似の操業条件のエアーナイフギャップの最頻値、平均値、および中央値のうちの一つを導出することができる。前/後面エアーナイフギャップ導出部2211、2212それぞれは、入力される操業条件と類似の操業条件のエアーナイフギャップのうちの目標メッキ量と測定されたメッキ量間のメッキ量誤差が最も少ないエアーナイフギャップを用いてエアーナイフギャップを導出することができる。
【0089】
または、前/後面エアーナイフギャップ導出部2211、2212それぞれは、蓄積された操業条件のうちのエアーナイフ圧力を除いた操業条件を神経網学習し、学習された神経網を用いて入力される操業条件でのエアーナイフギャップを導出することができる。
【0090】
または、前/後面エアーナイフギャップ導出部2211、2212それぞれは、蓄積された操業条件に関するルックアップテーブル(Look-up table)を用いて入力される操業条件に該当するエアーナイフギャップを導出することができる。一実施形態で、ルックアップテーブルは蓄積された操業条件のうちの熟練した操業者などによって行われた操業から獲得された正確度の高い操業条件を含むことができる。または、ルックアップテーブルは、メッキ操業が行われるラインの固有特性が反映された操業条件を含むことができる。ラインはメッキ操業のための様々な設備の組み合わせであるので、ラインごとに操業において特性が異なることがある。これをルックアップテーブルに反映することによって、メッキ量制御の正確度が改善できる。
【0091】
エアーナイフ圧力導出部222は、前面エアーナイフ圧力導出部2221、後面エアーナイフ圧力導出部2222、および最適エアーナイフ圧力導出部2223を含む。
【0092】
前/後面エアーナイフ圧力導出部2221、2222は、メッキ量予測モデル部240から前/後面メッキ量予測モデルをローディングする。前/後面エアーナイフ圧力導出部2221、2222は操業条件のうちの少なくとも目標メッキ量および前/後面エアーナイフギャップG1、G2を前/後面メッキ量予測モデルに入力し、前/後面メッキ量予測モデルはその出力として前/後面エアーナイフ圧力P1、P2を生成する。
【0093】
最適エアーナイフ圧力導出部2223は、前/後面エアーナイフ圧力P1、P2を平均して最適エアーナイフ圧力Pを導出する。最適エアーナイフ圧力を導出するための方法が平均に限定されるのではない。平均は一例として、前/後面エアーナイフ圧力P1、P2を用いて同一な最適エアーナイフ圧力を導出する多様な方式のうちの一つが一実施形態に適用されるか、前/後面エアーナイフ圧力P1、P2のうちのいずれか一つを選択して一実施形態に適用できる。
【0094】
または、最適エアーナイフ圧力導出部2223は、前/後面エアーナイフ圧力P1、P2を比較し、比較結果によって前/後面エアーナイフ圧力を補正することができる。
【0095】
例えば、前/後面エアーナイフ圧力P1、P2間の差が所定の臨界値より小さければ、最適エアーナイフ圧力導出部2223は導出された前/後面エアーナイフ圧力P1、P2それぞれをそのまま使用することができる。この場合、エアーナイフギャップ補正部223はバイパスされて、最適エアーナイフギャップとして「G1」および「G2」がそのまま出力され、最適エアーナイフ圧力として「P1」および「P2」がそのまま出力されてもよい。
【0096】
前/後面エアーナイフ圧力間の差が臨界値より大きければ、最適エアーナイフ圧力導出部2223は前/後面エアーナイフ圧力P1、P2を調整して最適エアーナイフ圧力を導出することができる。一例として、最適エアーナイフ圧力導出部2223は、前/後面エアーナイフ圧力P1、P2の平均を最適エアーナイフ圧力Pとして導出することができる。
【0097】
または、最適エアーナイフ圧力導出部2223は、前/後面エアーナイフ圧力P1、P2間の差が所定の臨界値以下になるように調整して最適エアーナイフ圧力Pを導出することができる。例えば、最適エアーナイフ圧力導出部2223は、前/後面エアーナイフ圧力の平均を最適エアーナイフ圧力Pと決定することができる。
【0098】
エアーナイフギャップ補正部223は、前面エアーナイフギャップ補正部2231および後面エアーナイフギャップ補正部2232を含む。
【0099】
前/後面エアーナイフギャップ補正部2231、2232はメッキ量予測モデル部240の前/後面メッキ量予測モデルに少なくとも目標メッキ量を含む操業条件および最適エアーナイフ圧力Pを入力し、メッキ量予測モデルは最適エアーナイフギャップG3、G4を予測して出力する。
【0100】
最終的に、エアーナイフ条件導出部220は、最適エアーナイフギャップおよび圧力として「G3」、「G4」、および「P」を出力することができる。最適エアーナイフギャップおよび圧力はデータ通信装置300に転送され、データ通信装置300はこれに基づいた制御信号AFC1、AFC2を生成してエアーナイフ121、122に伝送することができる。
【0101】
フィードバックモデル補正部230は前/後面メッキ量測定値FB1、FB2および前/後面メッキ量予測値ECP1、ECP2の入力を受け、前/後面メッキ量測定値FB1、FB2および前/後面メッキ量予測値ECP1、ECP2間の差に基づいてメッキ量予測モデルを補正することができる。本発明がこれに限定されるのではなく、前/後面メッキ量予測値ECP1、ECP2の代わりに目標メッキ量を用いてメッキ量予測モデルを補正することができる。即ち、フィードバックモデル補正部230は、入力される目標メッキ量と前/後面メッキ量測定値FB1、FB2間の差に基づいてメッキ量予測モデルを補正することができる。
【0102】
例えば、フィードバックモデル補正部230は、鋼板が所定の誤差算出区間(例えば、10~15m)を移動する間の二つの値の差を平均して平均誤差ER1、ER2をメッキ量予測モデル部240に伝送する。
【0103】
メッキ量予測モデル部240は、平均誤差ER1、ER2を反映して前/後面メッキ量予測モデルを補正することができる。
【0104】
フィードバックモデル補正部230は、前/後面メッキ量予測値ECP1、ECP2または入力される目標メッキ量とメッキ量測定値FB1、FB2の位置を正確にマッチングするためにメモリアレイ231を含む。
【0105】
図4は、一実施形態によるメモリアレイを示した図である。
【0106】
図4に示されているように、前/後面メッキ量予測値ECP1、ECP2または入力される目標メッキ量とメッキ量測定値FB1、FB2それぞれは当該位置に対応するメモリアレイ2311、2312に保存される。例えば、鋼板が進行する方向に沿って所定間隔(例えば、1m)で鋼板が区分され、各領域での前/後面メッキ量予測値ECP1、ECP2または入力される目標メッキ量とメッキ量測定値FB1、FB2それぞれがメモリアレイ2311、2312それぞれの対応するセルに保存される。
【0107】
エアーナイフ121、122からメッキ量測定装置401、402までの鋼板の位置とマッチングされるように鋼板速度によってメモリアレイセルがシフトする。
【0108】
図4に示されているように、鋼板がエアーナイフ位置A1に到達した時点に同期されて前/後面メッキ量予測値ECP1、ECP2または入力される目標メッキ量がメモリアレイ2311の対応するセルに保存できる。鋼板がエアーナイフ位置A1を所定間隔1mだけ通過するたびに、セルがシフトされ、対応するメモリアレイ2311のセルに前/後面メッキ量予測値ECP1、ECP2または入力される目標メッキ量が保存される。
【0109】
鋼板がメッキ量測定装置位置A2に到達すれば、前/後面メッキ量測定値FB1、FB2がメモリアレイ2312の対応するセル2312_2に保存される。鋼板がエアーナイフ位置A2を所定間隔1mだけ通過するたびに、メモリアレイ2312のセルがシフトされ、対応するメモリアレイ2312のセルに前/後面メッキ量測定値FB1、FB2が保存される。
【0110】
セル2311_1に対応する鋼板領域がメッキ量測定装置位置A2に到達して前/後面メッキ量測定値FB1、FB2がセル2312_1に保存されれば、フィードバックモデル補正部230はセル2312_1に保存された前/後面メッキ量測定値FB1、FB2とセル2311_1に保存された前/後面メッキ量予測値ECP1、ECP2または入力される目標メッキ量間の差を算出する。
【0111】
このような方式で、フィードバックモデル補正部230は、メッキ量測定装置位置A2を通過した鋼板が所定の誤差算出区間を移動する間に算出された二つの値の差を平均して平均誤差ER1、ER2を算出することができる。ER1は誤差算出区間でFB1-ECP1を平均した平均誤差であり、ER2は誤差算出区間でFB2-EPC2を平均した平均誤差である。
【0112】
そうすれば、メッキ量予測モデル部240は平均誤差ER1またはER2に基づいてメッキ量予測モデルを補正する。例えば、メッキ量予測モデル部240は目標メッキ量に平均誤差を反映するか、予測メッキ量に平均誤差を反映することができる。
【0113】
例えば、平均誤差ER1またはER2だけ目標メッキ量を減少させるか、平均誤差ER1またはER2だけメッキ量予測値を増加させることができる。
【0114】
メッキ量予測モデル部240が補正をした後には、補正されたメッキ量予測モデルによって予測した部分がメッキ量測定装置位置A2を通過するまで待機する。この時、フィードバックモデル補正の周期は数式4の通りである。
[数式4]
【0115】
フィードバックモデル補正周期=[鋼板が距離A1-A2を移動する時間]+[鋼板が誤差算出区間を移動する時間]+[メッキ量測定装置のスキャン時間]
【0116】
メッキ量予測モデルの補正周期はフィードバックモデル補正周期より長くなければならず、短い場合、ハンティングが発生することがある。このように補正されたメッキ量予測モデルは再びエアーナイフ条件導出部で逆算に用いられるのでフィードバック制御の効果を提供できる。
【0117】
また、メッキ量測定装置401、402がメッキ量測定のために鋼板を一度スキャンするたびに、鋼板の幅およびライン速度によってスキャン時間を計算しフィードバックモデル補正周期を決定することができる。例えば、スキャン時間(t)は、鋼板の幅(x)とライン速度(y)によってt=ax+by+cのように計算できる。この時、a、b、およびcは設計によって決定される定数である。即ち、鋼板の幅によってスキャン時間を計算することによって、鋼板によるフィードバックモデル補正周期を異なるようにすることによって、コイル内でメッキ量制御がより精巧に制御可能で目標メッキ量を基準にしてその偏差を1.6%から大略0.25%までメッキ量偏差を減少させることができる。
【0118】
図5は、一実施形態によるメッキ量偏差と従来手動操業でのメッキ量偏差を示すグラフである。
【0119】
図5に示されているように、目標メッキ量CW
A、CW
B、およびCW
Cそれぞれで、一実施形態によるメッキ量偏差が従来手動操業のメッキ量偏差より非常に改善された点が分かる。
【0120】
具体的に、目標メッキ量CWA、CWB、およびCWCに対する従来手動操業によるメッキ量偏差がSDA、SDB、およびSDCである時、一実施形態によってメッキ量を制御する場合、メッキ量偏差が0.33SDA、0.17SDB、および0.34SDCに減少する。
【0121】
メッキ量偏差を低減させれば、顧客注文メッキ量を達成するための実際メッキ付着指示量を従来に比べて顕著に減少させることができる。例えば、従来の顧客注文メッキ量を達成するために実際メッキ付着指示量が両面合計3.22%の過メッキ指示であったとすれば、一実施形態を用いた場合、過メッキ指示を両面合計0.499%まで減らすことができる。そうすれば、従来に比べて顧客注文メッキ量を達成するための過メッキ量を低下させる効果が提供できる。
【0122】
従来手動操業によって発生するエッジビルドアップ、流れ紋、およびチェックマークはSPM(skin pass mill)工程後、その程度が微弱であって肉眼で露出されないことになる。しかし、垂直または水平検査台で砥石を用いて全幅に対して1回最小5m以上長さに対して表面検査(砥石検査)を実施する場合、全て露出される。
【0123】
例えば、原材料冷延鋼板が0.4t以下でありながら両面合計がメッキ量140g/m2以上であるメッキ鋼板は、従来手動作業によってエッジビルドアップ(Edge Build-up)が発生する。一実施形態によるメッキ量制御装置および方法はエッジビルドアップが発生しないエアーナイフ条件(例えば、圧力とギャップ)を学習して、自動制御することによってエッジビルドアップを防止することができる。
【0124】
エアーナイフで流体の圧力と流量によってメッキ量が制御された直後の領域での鋼板温度は、例えば、430℃前/後である。そうすれば、メッキ量が制御された直後の領域は凝固初期状態であって、当該領域の表面に酸化膜が形成されているが、エアーナイフから流体が鋼板に衝突後抜け出る時に発生するせん断応力が未凝固された酸化膜層に物理的な力を加えるようになる。この時、その力が酸化膜の破裂に必要な臨界応力を超過する場合、微細波形(wave)が誘発され、メッキされた鋼板の前後面に波紋形態の暗いメッキ流れ跡である流れ紋(Wave Mark)が発生する。
【0125】
例えば、後メッキ材に対するメッキ量制御のために、遠距離エアーナイフギャップ(例えば、10mm以上)を使用する時、メッキ量を合わせるためにエアーナイフギャップの変量を最小2mm以上に変更する。そうすれば、鋼板表面に流れ紋が発生するようになる。一実施形態によるメッキ量制御装置および方法は、流れ紋が発生する境界条件を学習して流れ紋を防止することができる。
【0126】
また、ライン速度、ワイピング(wiping)圧力、溶融金属の粘性などの特定条件で、ストリップに付着されて上昇する溶融金属とワイピング(wiping)によって下降する溶融金属の流動が発生して、ストリップ幅方向の半円形に模様が発生する。即ち、エアーナイフ下部の溶融金属流動現象がダイヤモンド形状のチェック(check)紋形態を一定のパターンに発生させてチェックマーク(check mark)が発生することがある。
【0127】
例えば、従来中薄メッキ量制御でライン速度が一定な場合、チェックマークが発生することがある。一実施形態によるメッキ量制御装置および方法は表面欠陥感知装置(SDD)を通じて判断した結果に基づいて、チェックマークが発生する境界条件を学習してチェックマークを防止することができる。
【0128】
本発明の一実施形態ではエアーナイフギャップを先に導出し、導出されたエアーナイフギャップに基づいてエアーナイフ圧力を導出する。鋼板で連続するコイル間のメッキ量の変動幅が所定値以上である場合に一実施形態が適用できる。
【0129】
溶融メッキ設備の工程は操業特性上連続工程であり、エアーナイフギャップと圧力を同時に持続的に導出して変更する場合、目標メッキ量に収斂することを目標にするにもかかわらず、最適化過程中、誤答(Local Minima)に陥って誤ったエアーナイフギャップおよび圧力が導出されて、実際メッキ量が目標メッキ量に収斂されないことがある。
【0130】
例えば、メッキ量測定装置がスキャンした後フィードバックした結果で、エアーナイフ圧力はすでに最適値を見つけたにもかかわらず、エアーナイフギャップと圧力を同時に導出する場合、エアーナイフギャップを最適化しながらエアーナイフ圧力を共に変更するようになる。そうすれば、目標メッキ量を達成するためのエアーナイフギャップおよび圧力の正答(Global Minima)を見つけず継続して誤答に陥って、継続して最適値を見つけるためにメッキ量制御が繰り返される現象が発生する。
【0131】
このような状況で、溶融メッキ設備運転者が適切に対応しない場合、過メッキとメッキ未達状態でストリップがエアーナイフを通過してメッキ量を調節することができない状態になることがある。
【0132】
本発明は、エアーナイフギャップおよび圧力のうちの比較的に正確な値を蓄積された操業条件から導出するか蓄積された操業条件を学習した神経網を用いて先に固定させた後、残り因子をメッキ量予測モデルによって制御することによって、誤答(Local Minima)に陥る確率を顕著に減少させることができる。
【0133】
一実施形態によれば、目標メッキ量が第1レベルから第2レベルに変更する時に、測定メッキ量が第2レベルの目標メッキ量の-3%~+3%に到達する安定化距離の目標メッキ量が第1レベルから第2レベルに変更された起点から50M未満であり得る。
【0134】
また、目標メッキ量が変更された第1レベルから第2レベルに変更する時に、測定メッキ量が第2レベルの目標メッキ量の-1%~+1%に収斂する距離の目標メッキ量が第1レベルから第2レベルに変更された起点から250M未満であり得る。
【0135】
一実施形態によれば、目標メッキ量の変化起点から200M区間内で、ストリップが極薄メッキ(例えば、100g/m2以下製品)である場合、前記ストリップの長さ方向両面合計がストリップの前/後面目標メッキ量の合計基準0.25%以下の偏差で収斂するか、ストリップが中薄メッキ(101~180g/m2製品)である場合、前記ストリップの長さ方向両面合計がストリップの前/後面目標メッキ量の合計基準0.66%以下の偏差で収斂するか、ストリップが厚メッキ(180~300g/m2製品)である場合、ストリップの長さ方向両面合計がストリップの前/後面目標メッキ量の合計基準1%以下の偏差で収斂することができる。
【0136】
参考として、先行コイルの目標メッキ量CW1に対する後行コイルの目標メッキ量CW2の比CW1/CW2は、0.29~3.43であり得る。
【0137】
以上で本発明の一実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。