(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】ポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 9/26 20060101AFI20230426BHJP
B29C 67/20 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
C08J9/26 102
C08J9/26 CES
B29C67/20 B
(21)【出願番号】P 2021559494
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(86)【国際出願番号】 CN2021088081
(87)【国際公開番号】W WO2022052469
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】202010940471.6
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521438124
【氏名又は名称】上海恩捷新材料科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI ENERGY NEW MATERIALS TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.155, Nanlu Road, Pudong New District Shanghai 201399, China
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】程 躍
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲クン▼
(72)【発明者】
【氏名】彭 ▲コン▼
(72)【発明者】
【氏名】金 杯
(72)【発明者】
【氏名】劉 倩倩
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102320133(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110785461(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111212734(CN,A)
【文献】特開2004-143371(JP,A)
【文献】特開2000-044709(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0060363(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/26
B29C 67/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.気孔率が30%以上、65%以下である、
b.メジアン細孔径が10nm以上60nm以下である、
c.MD及びTD方向における応力-歪み(δ-ε)曲線の積分が同時に
の関係を満す、
d.最大孔径、最小孔径及びメジアン細孔径が0.9<P<1.2、P=(最大孔径-最小孔径)/メジアン細孔径の関係を満たす、
以上a~dの特性を有することを特徴とするポリオレフィン微多孔膜。
【請求項2】
前記メジアン細孔径が25nm以上35nm以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン微多孔膜。
【請求項3】
請求項1また2に記載のポリオレフィン微多孔膜を製造する方法であって、
前記方法は、ポリオレフィン樹脂と添加剤とを混錬押出し、零度で鋳片を形成する工程を含む、ことを特徴とするポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
【請求項4】
前記鋳片の温度が-80℃から0℃である、ことを特徴とする請求項3に記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
【請求項5】
前記ポリオレフィン樹脂は、粘度平均分子量が40~500万であるポリオレフィン樹脂の1種又は2種以上の混合物である、ことを特徴とする請求項3に記載のポリオレフィン多孔膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム電池セパレータの分野に関し、具体的にポリオレフィン微多孔膜分野に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池セパレータ用の微多孔膜は、以下の特徴を満足する必要がある。1.正負極を隔離し、正負極の反応に参与しない。2.耐電解液性を有し、膨潤、溶解が発生しない。3.大量の微多孔を有し、リチウムイオンが通過するのを許容するのみならず、電流短絡を避けることもできる。4.力学強度に優れ、生産及び使用過程における引張、衝撃及び摩擦の要求を満足することができる。5.耐熱変形性を有し、空孔潰れ、電解液枯れ、電池容量の低下を防止する。
【0003】
従来、リチウムイオン電池において広く用いられるポリオレフィン微多孔膜は、正負極を隔離し、リチウムイオンの通り道を提供して反応に参与しないことを実現できるが、その孔の大きさ及び分布、力学特性及び耐熱性能の制御が依然として難点であり、特に靭性、孔径の大きさ及び分布を改善するには、多くの困難が存在している。通常、引張強度、破断伸度、ヤング率等を用いてポリオレフィン微多孔膜のMD及びTD力学特性をキャラクタリゼーションするときに、材料の剛性を反映したことが多いが、脆性、靭性については十分に反映されていない。言い換えれば、ポリオレフィン微多孔膜の強度及び歪みを一括的に表すことができず、ポリオレフィン微多孔膜が外力を受けた場合のエネルギー吸収能力をよく反映することができない。
【0004】
また、孔径の大きさは、イオン通過率及び電池寿命を決定するものである。孔径が小さ過ぎると、微多孔膜の内部抵抗が増加し、リチウムイオンの輸送に不利である。孔径が大き過ぎると、リチウムデンドライトを形成しやすく、電池容量の損失を引き起こしやすく、短絡のリスクが高くなる。孔径の分布も同様に電池の性能に影響を与えている。孔径分布が広いと、過大及び過小な孔径による悪影響を同時にもたらし、電池寿命が低減してしまう可能性がある。従って、孔径の一致性を追求することも、リチウムイオンセパレータを評価する重要な指標の1つである。
【0005】
例えば、特許文献1には、超高分子量ポリエチレンの割合及び高密度ポリエチレンの割合を制御して、MD及びTDの延伸温度、延伸倍率及び緩和倍率を調節することにより、優れた耐衝撃性が得られることが報告されている。しかし、その耐衝撃性能の評価方法に用いられる表現式である「[(MD方向の引張強度×MD方向の引張伸度/100)2+(TD方向の引張強度×TD方向の引張伸度/100)2]1/2≧300」には明らかな欠陥が存在している。この表現式は、MD及びTD方向に破断が発生したときに吸収するエネルギーのベクトル和を簡略化したものであると理解され得る。実は、ポリオレフィン微多孔膜の破断又はエネルギー吸収の最大値は、2つの方向におけるベクトル和ではなく、MD及びTD方向に耐え得る、外部からのエネルギーの最低値により決められる。また、その表現式中の引張強度と引張伸度との積は、材料の靭性を完全に表現することができず、特に、ヤング率の差異が大きい場合である。引張強度と引張伸度が同じである場合、ヤング率が小さい方は、耐衝撃性能が過大評価されやすい。従って、その耐衝撃性能の表現式では過大評価の可能性が高い。
【0006】
特許文献2には、抽出前後のMD及びTDの延伸倍率及び速度を制御してMDとTDとの弾性率比(1.5~9)を制御することにより、耐変形性のポリオレフィン微多孔膜を製造することが言及されている。この膜は、MD方向の弾性率が高く伸度が低いことから、それを破断させるためには多くのエネルギーが必要とされないことがわかった。
【0007】
特許文献3は、同様に制御プロセスにより、捲回体が衝撃を受けた場合に段ズレが発生しにくいポリオレフィン微多孔膜を製造するが、その副作用は平均孔径が50~90nmとなっていって、過大である。
【0008】
以上より、未だに、MD及びTD方向において靭性が高く孔径が小さく集中することを満足したポリオレフィン微多孔膜が存在していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開WO2018/180714
【文献】中国公開CN101616968B
【文献】中国公開CN102264814B
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、電池製造過程においてセパレータの巻き取り、充放電異常及び電池の充放電循環回数が低いという問題を解決するために、高い靭性を有し、かつ孔径分布が集中するポリオレフィン微多孔膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下の特性を有するポリオレフィン微多孔膜を提供する。
a.気孔率が30%以上65%以下である。
b.メジアン細孔径が10nm以上60nm以下である。
c.MD及びTD方向における応力-歪み(δ-ε)曲線の積分が同時に
の関係を満たす。
d.最大孔径、最小孔径及びメジアン細孔径が0.9<P<1.2、P=(最大孔径-最小孔径)/メジアン細孔径の関係を満たす。
【0012】
同時に、本発明者は、上記問題を研究したところ、ポリオレフィン微多孔膜の靭性、孔径大きさ及び分布は、いずれも鋳片温度を調整することにより調整・制御可能であることを見出し、つまり、本発明は以下の通りである。
【0013】
ポリオレフィン樹脂と添加剤とを混錬押出し、零度で鋳片を形成する、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明が製造するポリオレフィン微多孔膜は、靭性が高く、孔径が小さく分布が集中し、捲回安定性が良く、電池の循環回数が高いという特徴を有する。従って、本発明のポリオレフィン微多孔膜は、セパレータとして使用される場合、電池の生産上の安全性を向上させて電池寿命を延長することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施例を参照しながら本発明の好ましい実施方案を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲において使用される用語は通常の辞書的な意味に限って解釈されるべきではなく、本発明者がより良く解釈するために用語を適宜限定することを許可する原則に則して、本発明の技術上の意味及び概念に基づいて解釈すべきであると理解され得るであろう。従って、ここでの記載は、本発明の範囲を制限するものではなく、説明をするための好適な例に過ぎず、従って、本発明の趣旨及び範囲から逸脱しない限り、他の均等物及び変形を行うことができると理解されるべきである。
【0016】
以下、本発明のポリオレフィン微多孔膜の製造方法を説明するが、本発明の特性を満たす限り、具体的なポリオレフィン、可塑剤、酸化防止剤及びその他の添加物の種類及び配合比、抽出剤の種類及び使用の要否、混錬押出、流延、引張、熱固定の方式と方法、巻き取りスリットのプロセス、連続生産の要否などについては、何ら制限もない。
【0017】
本発明ポリオレフィン微多孔膜の製造方法は、主に以下の工程を含む。
ポリオレフィン樹脂と添加剤とを混錬押出し、混錬物がダイスから流し出して冷媒により零度に冷却されて鋳片を形成し、その後、少なくとも1つの方向において1回目延伸を少なくとも1回行い、抽出槽により可塑剤を抽出し、抽出後、少なくとも1つの方向において2回目延伸を少なくとも1回行い、最後に、熱固定緩和工程を経て安定的な製品を得る。
【0018】
具体的に、本発明に用いられるポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のホモポリマー及びそのブレンド物であってもよいし、エチレン、プロピレン、ブチレン、4-メチル-1-ペンテン等の共重合体及びそのブレンド物であってもよいし、2種又はそれ以上の上記ホモポリマー又は共重合体のブレンド物であってもよい。ポリマー融体の成膜容易性の観点から、ポリマーの粘度平均分子量が40万以上であり、好ましくは50万以上であり、より好ましくは60万以上であり、最も好ましくは70万以上である。ポリマー融体の加工容易性の観点から、ポリマーの粘度平均分子量が500万以下であり、好ましくは400万以下であり、より好ましくは300万以下であり、最も好ましくは200万以下である。
【0019】
本発明の添加物は、可塑剤、酸化防止剤及び他の添加剤を含む。可塑剤は、白油、パラフィンワックスなどのような液状又は固体炭化水素混合物、フタル酸ジオクチル(DOP)などのような有機酸エステル、トリオクチルホスフェート(TOP)などのような無機酸エステル、及び沸点以下でポリオレフィン樹脂と均一な溶液又は融体を形成し得る有機物などであってもよい。酸化防止剤としては、1種又は2種以上の酸化防止剤を用いることができ、ポリオレフィン樹脂及び可塑剤を保護し、分解とエージングを防止する役割を果たし、同時に、最終的なセパレータの膜面を平坦、滑らかにし、欠陥のないものにする。
【0020】
本発明の混錬押出方法は、ポリオレフィン樹脂、可塑剤、酸化防止剤及び他の添加剤を混錬機でプレミックスした後に押出機に入れて溶融押出することができるとともに、ポリオレフィン樹脂、可塑剤、酸化防止剤及び他の添加剤を、一軸、二軸又は多軸押出機を単独又は組み合わせて使用することにより、同じ又は異なる仕込み口から直接に投入して混錬押出することもできる。
【0021】
本発明に用いられる鋳片成形方法は、冷媒により冷却し、ポリオレフィンポリマーと可塑剤とが熱誘起相分離を形成し、必要に応じて流延して厚さが異なる鋳片を形成するものである。その冷媒は、鋳片の温度を零度以下にすることができるいかなる物質であってもよく、例えば液状空気、窒素ガス、二酸化炭素ガスなど、冷却液などの冷媒、あるいは金属、セラミックス、黒鉛、グラフェンなどの高伝熱体などである。鋳片を冷却して二相構造を形成する過程において、可塑剤の分散相形成過程は、成核及び成長の2つの段階を経過する。初期段階において大きな過冷却度を与えることは、成核に有利であり、即ち、形成する孔の数が多い。気孔率が一定である条件下、製造したものの孔径が小さい。同時に、低温により、分散相の成長が抑制され、即ち、孔は、成長して大きくなりにくく、かつ差異が小さいので、孔径が小さく分布が集中している構造が得られる。その網状骨格構造がより安定的であり、マクロ孔による欠陥および孔径分布が広いことによる応力不均一が避けられるので、高い靭性を有することとなる。鋳片成形の温度は、好ましくは0℃から-80℃であり、より好ましくは-35℃から-80℃である。
【0022】
本発明に用いられる延伸方法は、抽出前後にそれぞれ少なくとも1つの方向において1回目延伸および2回目延伸を少なくとも1回行う方法である。延伸方式は、同期延伸又は非同期延伸であってもよいし、2種類の延伸方式を組み合わせて使用してもよい。延伸過程は、連続であっても非連続であってもよい。
【0023】
本発明に用いられる抽出方法は、延伸された鋳片の進行方向において濃度勾配に応じて1段又は多段の抽出槽を設け、最後に、低負圧付きの乾燥ベローズにより膜表面又は内部に残存した抽出剤を除去する。抽出剤は、可塑剤と相互溶解可能であってポリオレフィンを溶解しない任意の溶媒、例えばジクロロメタン、トリクロロメタンなどであってもよい。
【0024】
本発明に用いられる熱固定緩和方法は、少なくとも1つの方向において熱固定緩和処理を少なくとも1回行う方法である。
【0025】
本発明により製造されるポリオレフィン微多孔膜は、気孔率が30%以上65%以下であり、メジアン細孔径が10nm以上60nm以下である。電池の高い作動効率及び安全性の観点から、気孔率は、好ましくは35%~60%であり、より好ましくは40%~55%であり、最も好ましくは45%~50%であり、メジアン細孔径は、好ましくは15nm~50nmであり、より好ましくは20nm~40nmであり、最も好ましくは25nm~35nmである。
【0026】
巻き取り過程におけるセパレータの寸法安定性の観点から、MD及びTD方向における靭性がE>150J/m2であり、MD及びTD方向における靭性がE>170J/m2であることが好ましく、MD及びTD方向における靭性がE>200J/m2であることがより好ましく、MD及びTD方向における靭性がE>230J/m2であることがさらに好ましく、MD及びTD方向における靭性がE>250J/m2であることが最も好ましい。
【0027】
孔径分布及び電池循環寿命延長の観点から、孔径分布は、0.9<P<1.2であり、好ましくは0.93<P<1.1であり、より好ましくは0.95<P<1.05であり、さらに好ましくは0.97<P<1.02であり、最も好ましくは0.99<P<1.01である。
【0028】
本発明で用いられる各種の物性測定方法
(1)粘度平均分子量M
v
極限粘度測定に用いられる器具の型番がJulabo AVS370である。ISO 1628-3:2010に準拠し、溶媒がデカヒドロナフタレンであり、温度が135℃であり、測定したポリエチレンの極限粘度[η]をMargolies’s equationに従って粘度平均分子量に換算する。
【0029】
(2)気孔率(%)
試料切断機を用いてポリオレフィン微多孔膜から50mm×50mmの試料を取り出し、以下の式で面密度から20個の試料の平均気孔率を測定する。
式中、p
面は、ポリオレフィン微多孔膜の面密度であり、pはポリオレフィン樹脂の密度であり、dはポリオレフィン微多孔膜の厚さである。
【0030】
(3)応力-歪み(δ-ε)曲線
引張強度測定において、湘傑電子万能材料試験機XJ830を用い、試料の大きさが150mm×15mmであり、つかみ間隔が50mmであり、延伸速度が50mm/minであり、環境温度が25℃であり、湿度が30%~60%である。MD(長さ方向)及びTD(幅方向)における応力-歪み(δ-ε)曲線の積分は、即ちセパレータ靭性であり、ポリオレフィン微多孔膜が外力を受けた場合のエネルギー吸収能力を反映しており、弾性率が異なることによる誤差を避けることができ、以下の通りである。
【0031】
(4)孔径分布
孔径測定に用いられる器具がPMI社のCapillary Flow Porometer(CFP-1500AE)であり、液浸液の表面張力が15.9Dynes/cmである。メジアン細孔径(Ф
mean)は「乾湿法」のハーフドライ曲線により得られる。最大孔径と最小孔径は、いずれも当該測定により得られた孔径分布図から取得することができる。最大孔径(Ф
max)は孔径分布図データにおける一番後ろの値であり、即ち、バブルポイントに対応する孔径である。最小孔径は、得られた孔径分布データにおける1番目の数値(Ф
min)である。従って、孔径分布(P)はいずれも下記の式により算出することができる。
【0032】
(5)電池循環寿命
GB/T 18287-2013に準拠した電池の500回循環後の残存容量(%)である。
【0033】
(6)捲回安定性
スリットを幅600mmのセパレータに切断して100Nの巻き取り張力、100m/minの巻き取り速度で巻き取りを行う。内径を原点として、3000m巻き取った後の外径の水平ズレ距離を測定し、10グループの反復試料の平均値で記す。
【0034】
実施例1
粘度平均分子量が350万、150万、50万のポリエチレンホモポリマーを、2.5wt%、9wt%、18wt%の割合で0.5wt%の酸化防止剤1010とドライミックスし、さらに70wt%の白油を添加して、一緒に二軸押出機に送り込み、混錬温度を220℃とし、鋳片の温度が-35℃を形成した。
【0035】
次に、非同期二軸延伸機に導入して二軸延伸を行った。延伸条件について、MD延伸倍率が10であり、TD延伸倍率が8.8であり、延伸温度が110℃であった。
【0036】
次に、ジクロロメタン抽出槽中で含浸し、パラフィン油を抽出した後に乾燥、風乾を行い、ポリエチレン微多孔膜表面及び内部のジクロロメタンを除去した。
【0037】
次に、TD延伸機に導入して、熱固定温度を127℃とし、緩和率を0.95とした。
【0038】
次に、MD延伸機に導入して、熱固定温度を127℃とし、緩和率を0.95とした。
【0039】
最後に、巻き取りを行って、ポリエチレン微多孔膜を得、その物性を表2に示す。
【0040】
実施例2
粘度平均分子量が350万、150万、50万のポリエチレンホモポリマーの割合をこの順に1wt%、8.5wt%、15wt%とし、酸化防止剤1010の割合を0.5wt%とし、白油の割合を75wt%とし、MD及びTD延伸倍率を15とした以外、その他の条件及びステップが実施例1と同様である。
【0041】
実施例3
粘度平均分子量が350万、150万、50万のポリエチレンホモポリマーの割合をこの順に2wt%、9.5wt%、18wt%とし、鋳片形成温度を-80℃とした以外、その他の条件及びステップが実施例1と同様である。
【0042】
実施例4
粘度平均分子量が350万、150万、50万のポリエチレンホモポリマーの割合をこの順に2wt%、9.5wt%、28wt%とし、酸化防止剤1010の割合を0.5wt%とし、白油の割合を60wt%とし、鋳片形成温度を-80℃とした以外、その他の条件及びステップが実施例1と同様である。
【0043】
実施例5
粘度平均分子量が350万、150万、50万のポリエチレンホモポリマーの割合をこの順に1.5wt%、8wt%、15wt%とし、酸化防止剤1010の割合を0.5wt%とし、白油の割合を75wt%とし、MD及びTD延伸倍率を15とした以外、その他の条件及びステップが実施例1と同様である。
【0044】
実施例6
鋳片形成温度を0℃とした以外、その他の条件及びステップが実施例1と同様である。
【0045】
実施例7
粘度平均分子量が350万、150万、50万のポリエチレンホモポリマーの割合をこの順に3wt%、8wt%、13.5wt%とし、0.5wt%の酸化防止剤1010及び75wt%の白油を用い、鋳片形成温度を0℃とし、引張条件についてMD延伸倍率を15とし、TD延伸倍率を15とした以外、その他の条件及びステップが実施例1と同様である。
【0046】
比較例1
粘度平均分子量が150万、50万のポリエチレン樹脂の割合を9.5wt%、20wt%とし、MD及びTD延伸倍率を7とした以外、その他の条件及びステップが実施例1と同様である。
【0047】
比較例2
粘度平均分子量が50万のポリエチレン樹脂の割合を29.5wt%とし、鋳片形成温度を50℃とし、MD及びTD延伸倍率を6とした以外、その他の条件及びステップが実施例1と同様である。
【0048】
比較例3
鋳片形成温度を50℃とした以外、その他の条件及びステップが実施例1と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、異なるレベルの超高分子量ポリエチレンの割合と高密度ポリエチレン樹脂の割合、MD及びTD延伸倍率、鋳片形成温度を変化させることにより、高い靭性を有して孔径分布が集中しているポリオレフィン微多孔膜及びその製造方法を提供することにより、リチウムイオン電池における加工性、安全性及びその寿命を改善した。
【0050】
【0051】