(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】検体分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/10 20060101AFI20230426BHJP
【FI】
G01N35/10 F
(21)【出願番号】P 2022008223
(22)【出願日】2022-01-21
(62)【分割の表示】P 2020126464の分割
【原出願日】2015-10-15
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 竜輝
(72)【発明者】
【氏名】若宮 裕二
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/175018(WO,A1)
【文献】特開2010-071897(JP,A)
【文献】特開2009-080035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-37/00
G01N 1/00- 1/44
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を測定する測定部と、
洗浄液を調製するための洗浄液調製部と、
前記洗浄液調製部によって調製された前記洗浄液を貯留するための貯留部と、
第1補給モードでは前記貯留部における前記洗浄液の液面高さが第1の高さになった場合に前記貯留部に前記洗浄液を補給し、第2補給モードでは前記貯留部における前記洗浄液の液面高さが前記第1の高さより低い第2の高さになった場合に前記貯留部に前記洗浄液を補給する補給手段と、
ユーザによる設定に基づいて前記第1補給モードから前記第2補給モードへ切り替えるモード切替手段と、を備える、検体分析装置。
【請求項2】
前記貯留部は、液面高さが前記第1の高さとなったことを検出する第1検出部と、液面高さが前記第2の高さとなったことを検出する第2検出部とを備える、請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項3】
前記測定部は、検体の測定に用いられる試薬を分注するために用いられるプローブを有する試薬分注部を備えており、前記貯留部から供給された前記洗浄液を用いて前記プローブを洗浄するように構成されている、請求項1または2に記載の検体分析装置。
【請求項4】
前記モード切替手段は、前記第2補給モードによる補給が完了した場合に、前記第1補給モードに切り替える、請求項1~3のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項5】
前記モード切替手段は、前記ユーザによる設定に基づいて、前記検体分析装置が起動したとき、日付が変わったとき、又は、ユーザが予め設定した時刻を経過したときに前記第2補給モードに切り替える、請求項1~4のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項6】
前記洗浄液は、前記洗浄液の原液を希釈することにより調製された希釈洗浄液である、請求項1~5のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項7】
前記洗浄液は、前記貯留部から、検体の測定に用いられる試薬を分注するために用いられるプローブを有する試薬分注部に供給される、請求項1~6のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項8】
前記第2の高さは前記プローブを数回洗浄することが可能な液量に対応する、請求項7に記載の検体分析装置。
【請求項9】
前記洗浄液は、前記貯留部から、検体の測定に用いられる試薬を分注するための試薬分注部、および、検体を分注するための検体分注部、の少なくとも一方における液体の流路に供給される、請求項1~6のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項10】
前記第2の高さは前記貯留部の底部より高い、請求項1~9のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項11】
前記補給手段は、
前記第1補給モードの場合に、前記貯留部に貯留されている量よりも少ない量の前記洗浄液を前記貯留部に補給し、
前記第2補給モードの場合に、前記貯留部に貯留されている量よりも多い量の前記洗浄液を前記貯留部に補給する、請求項1~10のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項12】
前記検体分析装置は、免疫に関する項目について血液検体を測定可能である、請求項1~11のいずれか1項に記載の検体分析装置。
【請求項13】
検体を測定する測定部と、
洗浄液を調製するための洗浄液調製部と、
前記洗浄液調製部によって調製された前記洗浄液を貯留するための貯留部と、
前記貯留部から前記測定部へ前記洗浄液を供給する供給手段と、
前記洗浄液調製部から前記貯留部へ前記洗浄液を補給する補給手段と、
第1補給モードでは前記貯留部に貯留されている前記洗浄液の量が少なくとも第1の量に維持されるように、前記洗浄液の供給と前記貯留部への補給を繰り返し、第2補給モードでは前記貯留部に貯留されている前記洗浄液の量が前記第1の量よりも少なく、かつゼロよりも多い第2の量になるまで、前記洗浄液の使用を継続するよう、前記供給手段と前記補給手段を制御する制御手段と、
ユーザによる設定に基づいて前記第1補給モードから前記第2補給モードへ切り替えるモード切替手段と、を備える、検体分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、検体分析装置の測定部の洗浄に用いる液体を、RO水と高濃度試薬とを混合して調製する装置が開示されている。この装置は、RO水と高濃度試薬とを混合して調製された液体を供給チャンバ内で貯留する。供給チャンバに貯留された液体は測定部に供給され、測定部を洗浄するために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に開示された装置では、供給指示に応じて測定部に迅速に洗浄に用いる液体を移送するために、供給チャンバの収容量の約半分の液体が供給チャンバに収容されているか否かを検知するためのフロートスイッチを設け、供給チャンバに収容された液体が供給チャンバの収容量の半分を下回ると供給チャンバの収容量の約半分の液体が供給チャンバに供給される。そのため、新たに調製された洗浄に用いるための液体が占めることができるのは、貯留される液体の約半分にとどまる。洗浄に用いるための液体は、調製後早期に洗浄に使用されることが好ましい。したがって、貯留される洗浄に用いるための液体の大部分を新たに調製された液体が占め、貯留された液体を用いて迅速に検体分析装置を洗浄することが可能な装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様による検体分析装置は、検体を測定する測定部と、洗浄液を調製するための洗浄液調製部と、洗浄液調製部によって調製された洗浄液を貯留するための貯留部と、第1補給モードでは貯留部における洗浄液の液面高さが第1の高さになった場合に貯留部に洗浄液を補給し、第2補給モードでは貯留部における洗浄液の液面高さが第1の高さより低い第2の高さになった場合に貯留部に洗浄液を補給する補給手段と、ユーザによる設定に基づいて第1補給モードから第2補給モードへ切り替えるモード切替手段と、を備える。
【0006】
本発明の第2の態様による検体分析装置は、検体を測定する測定部と、洗浄液を調製するための洗浄液調製部と、洗浄液調製部によって調製された洗浄液を貯留するための貯留部と、貯留部から測定部へ洗浄液を供給する供給手段と、洗浄液調製部から貯留部へ洗浄液を補給する補給手段と、第1補給モードでは貯留部に貯留されている洗浄液の量が少なくとも第1の量に維持されるように、洗浄液の供給と貯留部への補給を繰り返し、第2補給モードでは貯留部に貯留されている洗浄液の量が第1の量よりも少なく、かつゼロよりも多い第2の量になるまで、洗浄液の使用を継続するよう、供給手段と補給手段を制御する制御手段と、ユーザによる設定に基づいて第1補給モードから第2補給モードへ切り替えるモード切替手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、洗浄液を調製した後、調製された洗浄液を貯留し、貯留された洗浄液を使用して検体分析装置を洗浄する場合に、貯留される洗浄液の大部分を新たに調製された洗浄液で占めることが可能となり、貯留された洗浄液を用いて迅速に検体分析装置を洗浄することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る検体分析システムの構成を示す模式図。
【
図5】洗浄液調製動作の手順を示すフローチャート。
【
図6】実施の形態1における第1補給モードの手順を示すフローチャート。
【
図7A】第1貯留部に対する洗浄液の供給を説明するための図。
【
図7B】第1貯留部に対する洗浄液の供給を説明するための図。
【
図7C】第1貯留部における洗浄液の入替を説明するための図。
【
図8】第2補給モード開始条件の設定画面を示す図。
【
図9】検体分析装置1の起動動作の手順を示すフローチャート。
【
図10】実施の形態1における第2補給モードの手順を示すフローチャート。
【
図11】実施の形態2における第1補給モードの手順を示すフローチャート。
【
図12】実施の形態2における第2補給モードの手順を示すフローチャート。
【
図13】実施の形態3に係る検体分析装置の構成を示す模式図。
【
図14】実施の形態3における第1補給モードの手順を示すフローチャート。
【
図15】実施の形態3における第2補給モードの手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
本実施の形態では、検体分析装置の洗浄に用いられる洗浄液を洗浄液調製装置によって調製し、洗浄液調製装置から検体分析装置に洗浄液を供給する検体分析システムについて説明する。
【0010】
<検体分析システムの構成>
図1を参照し、検体分析システムの構成について説明する。検体分析システム100は、検体分析装置1と、洗浄液調製装置4と、RO水作製装置7とを備えている。洗浄液調製装置4は、検体分析装置1及びRO水作製装置7に接続されており、RO水作製装置7から供給された純水(RO水)を用いて洗浄液を調製し、調製した洗浄液を検体分析装置1に供給する。
【0011】
検体分析装置1は、測定部2と、データ処理部3とを備える。測定部2は、検体を測定し、測定データを出力する。データ処理部3は、測定部2から出力された測定データを解析し、分析結果を表示する。
【0012】
測定部2は、第1貯留部20を備える。第1貯留部20は、洗浄液調製装置4から供給された洗浄液を貯留するためのタンクである。
【0013】
なお、RO水作製装置7を設置しない施設では、検体分析システム100がRO水作製装置7を含まず、検体分析装置1と、洗浄液調製装置4とを含む構成としてもよい。この場合、RO水作製装置7とは異なる純水タンク等の純水供給部によって洗浄液調製装置4に純水を供給する構成とすることができる。
【0014】
<検体分析装置の構成>
図2を参照する。検体分析装置1は、血液等の検体を用いてB型肝炎、C型肝炎、腫瘍マーカ及び甲状腺ホルモン等の項目の検査を行うための免疫分析装置である。この検体分析装置1は、測定対象である血液等の検体と緩衝液(R1試薬)とを混合し、この混合液に、検体に含まれる抗原に結合可能な捕捉抗体を担持した磁性粒子(R2試薬)を添加する。検体分析装置1は、捕捉抗体と抗原とが結合(Bound)した後に、磁性粒子を1次B/F(Bound Free)分離部241の図示しない磁石に引き寄せることにより、未反応(Free)の抗原を除去する。検体分析装置1は、標識抗体(R3試薬)を添加し、磁性粒子が結合した抗原と標識抗体とを結合させた後に、結合(Bound)した磁性粒子を2次B/F分離部242の図示しない磁石に引き寄せることにより、未反応(Free)の標識抗体を除去する。さらに、検体分析装置1は、分散液(R4試薬)、及び、標識抗体との反応過程で発光する発光基質(R5試薬)を添加した後、標識抗体と発光基質との反応によって生じる発光量を測定する。このような過程を経て、検体分析装置1は、標識抗体に結合した検体に含まれる抗原を定量的に測定する。
【0015】
洗浄液調製装置4によって調製される洗浄液は、測定部2の洗浄に用いられる洗浄液である。さらに詳細には、洗浄液は、防腐剤を含む緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等の洗浄用緩衝液であってもよい。また、洗浄液は、緩衝作用のない洗浄液であってもよいが、純水ではない。洗浄液は、高濃度洗浄液を所定の希釈倍率で希釈することで調製される。なお、洗浄液よりも高い希釈倍率で高濃度洗浄液を希釈した希釈溶液は、検体の希釈に用いることができる。R1試薬、R2試薬、R3試薬、R4試薬、及びR5試薬は、検体の測定に用いられる測定用試薬である。
【0016】
測定部2は、検体分注部210と、R1試薬分注部211と、R2試薬分注部212と、R3試薬分注部213と、反応部220と、反応容器供給部230と、1次B/F分離部241と、2次B/F分離部242と、ピペットチップ供給部250と、検出部260と、R4/R5試薬供給部214と、試薬設置部270と、廃棄部280と、キャッチャ290とを備える。また、測定部2は、各機構を制御する制御部200を備える。制御部200は、CPU、メモリ等を含む。
【0017】
反応容器供給部230は、複数の反応容器を収納可能に構成されており、検体分注テーブル231に反応容器を1つずつ順次供給する。測定部2において、所定の時間間隔(例えば、9秒間)で区切られた連続するターン毎に、各機構が同じ動作を繰り返すことによって検体の測定が行われる。反応容器供給部230からも、1ターンにおいて1つの反応容器が供給され、これが連続することにより、反応容器が1つずつ供給される。検体分注テーブル231は、反応容器を保持可能な孔を円環状に複数有する。検体分注テーブル231は1ターンに1回、所定角度回転する。検体分注テーブル231では、ターン毎に、反応容器の設置、空の反応容器へのR1試薬分注、及びR1試薬分注済みの反応容器への検体分注が同時に行われる。
【0018】
試薬設置部270は、平面的に見て円形形状に形成され、R1試薬を収容する試薬容器、R2試薬を収容する試薬容器、及びR3試薬を収容する試薬容器を設置可能である。
【0019】
R1試薬分注部211は、吸引管であるプローブ211aを含み、試薬設置部270に設置されたR1試薬をプローブ211aによって吸引し、吸引したR1試薬を検体分注テーブル231に載置された反応容器に分注する。R1試薬分注部211は、1ターンにR1試薬の吸引及び反応容器内への分注を1回行う。
【0020】
ピペットチップ供給部250は、投入された複数のピペットチップを1つずつ検体分注部210まで搬送する。ピペットチップは、検体分注部210のピペット先端に取り付けられる。ピペットチップ供給部250は、1ターンに1つのピペットチップを供給する。
【0021】
検体分注部210は、ピペットチップを装着した後、検体を収容する試験管から検体を吸引し、R1試薬分注部211によりR1試薬が分注された反応容器に検体を分注する。検体分注部210は、1ターンに1つの検体を吸引し、反応容器へ分注する。検体分注テーブル231の近傍には反応容器を移送するためのキャッチャ232が設けられている。キャッチャ232は、検体分注テーブル231上の検体が分注された反応容器を把持し、反応部220に設置する。
【0022】
R2試薬分注部212は、吸引管であるプローブ212aを含み、試薬設置部270に設置されたR2試薬をプローブ212aによって吸引し、R1試薬及び検体を収容する反応容器にR2試薬を分注する。R2試薬分注部212は、1ターンにR2試薬の吸引及び反応容器内への分注を1回行う。
【0023】
反応部220は、試薬設置部270の周囲を取り囲むように中空の円形形状に形成されている。また、反応部220は、外形に沿って所定間隔に配置された複数の反応容器設置部221を有し、反応容器設置部221は、反応容器を挿入可能なように円形形状で凹状に形成されている。また、反応部220は、反応容器設置部221にセットされた反応容器を約42℃に加温し、反応容器内の検体と各種試薬との反応を促進する。また、反応部220は、時計回り方向(矢印A1方向)に回転可能であり、反応容器設置部221にセットされた反応容器を、各種処理(試薬の分注など)が行われるそれぞれの処理位置まで移動させる。反応部220は、1ターンに、隣り合う2つの反応容器設置部221間の角度A1方向へ回動する。
【0024】
1次B/F分離部241は、反応容器内の試料から未反応の抗原と磁性粒子とを分離する。1次B/F分離部241は、反応部220から反応容器を抜き出し、反応容器内の検体、R1試薬及びR2試薬を撹拌する。また、1次B/F分離部241は、反応容器内の磁性粒子を磁石に吸引し、ピペットにより反応容器内の液体のみを吸引する。これにより、反応容器内から未反応の抗原が除去される。1次B/F分離部241は、未反応の抗原を除去した後、反応容器を反応部220へ移送する。
【0025】
1次B/F分離部241は、1ターンに、反応部220からの1つの反応容器の移送、反応容器内の液体及び磁性粒子の撹拌、反応容器内の液体の除去、及び反応部220への1つの反応容器の移送を同時に実行する。
【0026】
R3試薬分注部213は、吸引管であるプローブ213aを含み、試薬設置部270に設置されたR3試薬をプローブ213aによって吸引する。また、R3試薬分注部213は、1次B/F分離部241によるB/F分離後の試料を収容する反応容器に、R3試薬を分注する。R3試薬分注部213は、1ターンにR3試薬の吸引及び反応容器内への分注を1回行う。
【0027】
2次B/F分離部242は、1次B/F分離部241によるB/F分離後の試料及びR3試薬を収容する反応容器を反応部220から移送し、反応容器内の試料から未反応のR3試薬(不要成分)と磁性粒子とを分離する。2次B/F分離部242の構成は、1次B/F分離部241の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0028】
R4/R5試薬供給部214は、2次B/F分離部242によるB/F分離後の試料を収容する反応容器に、R4試薬及びR5試薬を順に分注する。R4/R5試薬供給部214は、1ターンに1つの反応容器にR4試薬を分注し、次の1ターンにこの反応容器にR5試薬を分注する。
【0029】
検出部260は、所定の処理が行なわれた検体の抗原に結合する標識抗体と発光基質との反応過程で生じる光を光電子増倍管(Photo Multiplier Tube)で取得することにより、その検体に含まれる抗原の量を測定する。検出部260は、1ターンに1つの検体について特徴量である抗原量を検出する。
【0030】
廃棄部280は、抗原量が検出された反応容器が投入される孔と、投入された反応容器を収容する廃棄袋(図示せず)を備える。
【0031】
キャッチャ290は、反応部220から反応容器を取り出して検出部260に移送する。さらに、キャッチャ290は、抗原量が検出された反応容器を検出部260から取り出して廃棄部280に投入する。
【0032】
制御部200は、検出部260から出力された抗原量のデータを、測定データとしてデータ処理部3へ送信する。
【0033】
以上のような測定部2は、反応部220に所定数の反応容器設置部221を有する。つまり、反応部220には、所定数の反応容器を設置可能である。
【0034】
また、検体分注部210、R1試薬分注部211、R2試薬分注部212、R3試薬分注部213、及びR4/R5試薬供給部214のそれぞれは、第1貯留部20に接続されている。
【0035】
図4を参照する。第1貯留部20は、第1検出部21と第2検出部22とを含む。第1及び第2検出部21,22のそれぞれは、液面の高さを検出するためのフロートスイッチである。
【0036】
第1検出部21は、第1貯留部20の液量が第1の量未満となったことを検出する。具体的には、第1検出部21はフロート部を含み、フロート部が液量に応じて上下動する。第1貯留部20の液量が第1の量となる高さに、第1検出部21の検出位置が設けられる。フロート部が検出位置に到達した場合、つまり液量が第1の量未満の場合、第1検出部21は検出信号を出力する。フロート部が検出位置より上側にある場合、つまり液量が第1の量以上の場合、第1検出部21は検出信号を出力しない。
【0037】
第2検出部22は、第1貯留部20の液量が第2の量未満となったことを検出する。具体的には、第2検出部22はフロート部を含み、フロート部が液量に応じて上下動する。第1貯留部20の液量が第2の量となる高さに、第2検出部22の検出位置が設けられる。フロート部が検出位置に到達した場合、つまり液量が第2の量未満の場合、第2検出部22は検出信号を出力する。フロート部が検出位置より上側にある場合、つまり液量が第2の量以上の場合、第2検出部22は検出信号を出力しない。
【0038】
第1の量は、第1貯留部20の満杯に近い量である。例えば、第1貯留部20の容量が10Lの場合、第1の量を9Lとすることができる。また、第2の量は、第1の量よりも少ない量である。第2の量は、少なくとも測定部2において測定中の検体を測定するために、R1試薬分注部211、R2試薬分注部212、及びR3試薬分注部213の洗浄に必要な洗浄液の量とすることができる。第2の量は、所定数の検体を測定するために、R1試薬分注部211、R2試薬分注部212、及びR3試薬分注部213の洗浄に必要な洗浄液の量とすることができる。具体的には、第2の量は、反応部220に設置される反応容器の全てにR1~R3試薬を分注するために、R1試薬分注部211、R2試薬分注部212、及びR3試薬分注部213の洗浄に必要な洗浄液の量である。各ターンにおいて、R1試薬分注部211、R2試薬分注部212、及びR3試薬分注部213のそれぞれはプローブ211a,212a,213aを洗浄液によって洗浄する。つまり、第2の量は、プローブ211a,212a,213aを所定回数洗浄することが可能な洗浄液の量でもある。なお、検体分注部210は、検体の分注毎にピペットチップを廃棄するため、洗浄は不要である。また、R4/R5試薬供給部214は、測定項目間で共通のR4試薬及びR5試薬を反応容器に分注するため、洗浄液調製装置4によって調製された洗浄液よりも洗浄力が弱い洗浄液によって洗浄される。以下の説明では、第1貯留部20の容量を約10L、第1の量を約9L、第2の量を約3Lとする。
【0039】
なお、免疫分析装置以外の検体分析装置であってもよい。例えば、血球分析装置、血液凝固分析装置、尿中有形成分分析装置、生化学分析装置等であってもよい。特に、反応容器を複数並べて設置する環状の反応部を含み、反応部を回転させながら各反応容器に検体又は試薬を分注して所定時間反応させ、反応容器中の検体を測定する構成の検体分析装置であることが好ましい。この場合、検体分析装置の測定部に貯留部を設け、この貯留部に、洗浄液調製装置によって調製された洗浄液を貯留するように検体分析装置を構成する。
【0040】
図3を参照し、データ処理部3の構成について説明する。データ処理部3は、本体300と、入力部309と、表示部310とを備えている。本体300は、CPU(Central Processing Unit)301と、ROM(Read Only Memory)302と、RAM(Random Access Memory)303と、ハードディスク304と、読出装置305と、入出力インターフェース306と、画像出力インターフェース307と、通信インターフェース308とを有する。
【0041】
CPU301は、ROM302に記憶されているコンピュータプログラム及びRAM303にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM303は、ROM302及びハードディスク304に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。RAM303は、コンピュータプログラムを実行するときに、CPU301の作業領域としても利用される。
【0042】
ハードディスク304には、測定部2から与えられた測定データを解析し、分析結果を表示するためのコンピュータプログラム320がインストールされている。
【0043】
読出装置305は、フレキシブルディスクドライブ、CD-ROMドライブ、又はDVD-ROMドライブ等であり、可搬型記録媒体321に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体321には、コンピュータをデータ処理部3として機能させるためのコンピュータプログラム320が格納されている。可搬型記録媒体321から読み出されたコンピュータプログラム320は、ハードディスク304にインストールされる。
【0044】
入力部309は、入出力インターフェース306に接続される。表示部310は、画像出力インターフェース307に接続される。通信インターフェース308は、測定部2及び洗浄液調製装置4に通信可能に接続される。
【0045】
<洗浄液調製装置の構成>
図4を参照する。洗浄液調製装置4は、水道水から作製されるRO水を用いて高濃度の洗浄液(洗浄液の原液。以下、「高濃度洗浄液」という。)を所望の濃度に希釈することにより、洗浄液を調製する。ここで、RO水とは、純水の一種であり、RO(Reverse Osmosis)膜(逆浸透膜)を透過することによって、不純物を取り除かれた水である。また、純水とは、RO水の他に、精製水、脱イオン水、および蒸留水などを含み、不純物を取り除く処理が実施された水である。
【0046】
洗浄液調製装置4は、高濃度洗浄液チャンバ41と、RO水チャンバ42と、第1及び第2希釈チャンバ43,44と、2つのダイアフラムポンプ45a,45bと、第2貯留部46と、洗浄液調製装置4の各部の動作を制御する制御部48とを備える。制御部48は、CPU及びメモリ等を含む。また、洗浄液調製装置4は、筐体外に設置された2つの高濃度洗浄液容器5と、空圧部6と、RO水作製装置7とのそれぞれに接続されている。洗浄液調製装置4は、高濃度洗浄液容器5及びRO水作製装置7のそれぞれから高濃度洗浄液及びRO水を取得するとともに、空圧部6から供給される陰圧力及び陽圧力を用いて、装置内における各液体の移送を行う。
【0047】
また、制御部48は、第1貯留部20に設けられた第1及び第2検出部21,22のそれぞれに接続されている。第1及び第2検出部21,22は、検出信号を制御部48に出力する。
【0048】
高濃度洗浄液チャンバ41は、2つの高濃度洗浄液容器5から選択的に高濃度洗浄液が供給される。高濃度洗浄液チャンバ41には、チャンバ内に所定量の高濃度洗浄液が収容されていることを検知するためのフロートスイッチ411が設けられている。フロートスイッチ411のフロート部が液量に応じて上下動し、フロート部が下限に到達すると、制御部48が各部を制御し、高濃度洗浄液容器5から高濃度洗浄液チャンバ41に高濃度洗浄液が供給される。フロート部が上限に到達すると、制御部48が各部を制御し、高濃度洗浄液容器5から高濃度洗浄液チャンバ41への高濃度洗浄液の供給が停止される。これにより、高濃度洗浄液チャンバ41には、常時、約300mLの高濃度洗浄液が貯留される。
【0049】
2つの高濃度洗浄液容器5のそれぞれは、切替弁である電磁バルブ510を介して高濃度洗浄液チャンバ41に接続される。高濃度洗浄液チャンバ41に高濃度洗浄液を供給する場合、制御部48は2つの電磁バルブ510のうちの1つを開き、もう1つを閉じるように制御する。これにより、1つの高濃度洗浄液容器5から高濃度洗浄液チャンバ41に高濃度洗浄液が供給され、もう1つの高濃度洗浄液容器5からは高濃度洗浄液が供給されない。したがって、1つの高濃度洗浄液容器5から高濃度洗浄液チャンバ41に高濃度洗浄液を供給している間に、もう1つの高濃度洗浄液容器5を交換することができる。
【0050】
また、高濃度洗浄液チャンバ41は、流路400により、ダイアフラムポンプ45a(45b)から第1希釈チャンバ43(第2希釈チャンバ44)に液体を移送するための流路401に接続されている。また、流路400には、切替弁である電磁バルブ421が設けられている。電磁バルブ421の開閉により高濃度洗浄液の流路401への流入が制御される。
【0051】
RO水チャンバ42は、RO水作製装置7に接続される。RO水作製装置7は、高濃度洗浄液を希釈するためのRO水をRO水チャンバ42に供給する。
【0052】
RO水作製装置7とRO水チャンバ42との間の流路500には、電気伝導度測定部431が設けられる。電気伝導度測定部431は、電気伝導度計と温度センサ(サーミスタ)とを含み、電気伝導度測定部431が配置された位置におけるRO水の電気伝導度を測定する。RO水における不純物の含有率と電気伝導度とは所定の関係を有するので、RO水の電気伝導度を測定することにより、RO水の不純物含有率が規定値以上か否かを判定できる。
【0053】
電気伝導度測定部431とRO水チャンバ42との間の流路500は、RO水チャンバ42へRO水を供給するための流路501と、流入したRO水を廃棄するための廃棄ポート503に接続された流路502とに分岐する。流路500と流路501とは供給バルブ501aを介して接続され、流路500と流路502とは廃棄バルブ502aを介して接続されている。これにより、廃棄バルブ502aを閉塞した状態で供給バルブ501aを開放すると、RO水作製装置7から供給されるRO水が流路500および流路501を介してRO水チャンバ42に流入する。また、供給バルブ501aを閉塞した状態で廃棄バルブ502aを開放すると、RO水作製装置7から供給されるRO水が流路500および流路502を介して廃棄ポート503から廃棄される。
【0054】
RO水作製装置7から送られるRO水の不純物含有率が規定値以上の場合、制御部48が供給バルブ501a及び廃棄バルブ502aを制御し、RO水が廃棄流路から廃棄される。また、RO水作製装置7から送られるRO水の不純物含有率が規定値未満の場合、制御部48が供給バルブ501a及び廃棄バルブ502aを制御し、RO水がRO水チャンバ42に送られる。
【0055】
RO水チャンバ42には、チャンバ内に収容されるRO水が所定量(約800mL)に達したことを検知するためのフロートスイッチ412が設けられている。フロートスイッチ412のフロート部が液量に応じて上下動し、RO水チャンバ42の所定量(約800mL)に対応する検出位置より下方に到達すると、制御部48が各部を制御し、RO水作製装置7からRO水チャンバ42にRO水が供給される。フロート部が検出位置以上に到達すると、制御部48が各部を制御し、RO水作製装置7からRO水チャンバ42へのRO水の供給が停止される。
【0056】
また、RO水チャンバ42は、切替弁である電磁バルブ422を介して、流路402によりダイアフラムポンプ45a,45bに接続されている。
【0057】
第1及び第2希釈チャンバ43,44のそれぞれは、RO水により高濃度洗浄液を希釈するために用いられる。第1及び第2希釈チャンバ43,44のそれぞれは、後述するように、ダイアフラムポンプ45a,45bによって送り込まれる約300mLの液体(高濃度洗浄液およびRO水の混合液)を収容可能である。第1及び第2希釈チャンバ43,44のそれぞれには、チャンバ内に収容された液体(高濃度洗浄液およびRO水の混合液)の残量が略ゼロとなったことを検知するための上下動可能なフロートスイッチ413,414が設けられている。また、第1希釈チャンバ43(第2希釈チャンバ44)は、切替弁である電磁バルブ423(424)を介して、流路403(404)により流路401に接続されている。電磁バルブ423,424の開閉を制御することによって、流路401を介して移送される液体(RO水および高濃度洗浄液)を流路403から第1希釈チャンバ43に供給するか、流路404から第2希釈チャンバ44に供給するかを選択することが可能である。第1希釈チャンバ43(第2希釈チャンバ44)は、切替弁である電磁バルブ425(426)を介して、第2貯留部46に接続されている。
【0058】
ダイアフラムポンプ45a,45bは、同時に同じ動作を行うように構成されている。ダイアフラムポンプ45a(45b)は、1回の定量動作で高濃度洗浄液およびRO水をそれぞれ約6.0mL(一定量)分定量し、1回の定量によって合計約12mL(約6.0mL×2)の液体を供給する。
【0059】
第2貯留部46は、約300mLの液体を収容可能に構成されており、第1及び第2希釈チャンバ43,44から選択的に供給される液体(高濃度洗浄液およびRO水の混合液)を貯留し、この液体を攪拌するために用いられる。具体的には、第2貯留部46は、屈曲されたパイプ461を有し、第1及び第2希釈チャンバ43,44から供給される液体(高濃度洗浄液およびRO水の混合液)が第2貯留部46の内壁面に沿って流動されることにより対流が発生して高濃度洗浄液とRO水とが攪拌される。
【0060】
第2貯留部46には、チャンバ内に収容された液体(高濃度洗浄液およびRO水の混合液)の残量が略ゼロとなったことを検知するための上下動可能なフロートスイッチ415が設けられている。第1希釈チャンバ43から第2貯留部46に液体を移送する場合には、制御部48が電磁バルブ425を開放するとともに、電磁バルブ426を閉じる。これにより、第1希釈チャンバ43から第2貯留部46に約300mLの液体(高濃度洗浄液およびRO水の混合液)が供給される。一方、第2希釈チャンバ44から第2貯留部46に液体を移送する場合には、制御部48が電磁バルブ426を開放するとともに、電磁バルブ425を閉じる。これにより、第2希釈チャンバ44から第2貯留部46に約300mLの液体(高濃度洗浄液およびRO水の混合液)が供給される。
【0061】
第2貯留部46が高濃度洗浄液及びRO水の混合液を攪拌し、所望濃度、例えば25倍に希釈された洗浄液を調製する。第2貯留部46は、切替弁である供給部427を介して、測定部2に設けられた第1貯留部20に接続されている。供給部427は、電磁バルブである。制御部48が供給部427を制御することで、第2貯留部46から第1貯留部20に所望濃度の洗浄液が供給される。具体的には、制御部48が供給部427を含む各部を制御することにより、第2貯留部46から1回につき約300mL(第2貯留部46において1回の調製動作によって調製された洗浄液の全量)の所望濃度の洗浄液が第1貯留部20に供給される。
【0062】
また、第2貯留部46から供給部427の間には、電気伝導度測定部432が設けられる。電気伝導度測定部432は、電気伝導度計と温度センサ(サーミスタ)とを含み、電気伝導度測定部432が配置された位置における洗浄液の電気伝導度を測定する。洗浄液の濃度と電気伝導度とは所定の関係を有するので、RO水と高濃度洗浄液とが混合された洗浄液(混合液)の電気伝導度を測定することにより、調製された洗浄液の濃度を判定できる。また、電気伝導度測定部432と供給部427との間には、電磁バルブ428を介して廃棄流路が接続されている。測定された洗浄液の濃度が所望の濃度ではない場合には、洗浄液が廃棄流路から廃棄される。
【0063】
また、洗浄液調製装置4が洗浄液を調製する速度は、約10L/時間である。
【0064】
<検体分析システムの動作>
次に、本実施の形態に係る検体分析システム100の動作について説明する。
【0065】
検体分析装置1に測定開始の指示が与えられると、測定部2が検体測定動作を実行する。検体測定動作では、制御部200が各部を制御し、以下のようにして測定部2が検体を測定する。
【0066】
図2を参照する。反応容器供給部230が検体分注テーブル231に反応容器を1ターンにつき1つ供給する。R1試薬分注部211が、試薬設置部270に設置されたR1試薬を吸引し、検体分注テーブル231に設置された反応容器にR1試薬を1ターンにつき1回分注する。ピペットチップ供給部250が検体分注部210にピペットチップを1ターンにつき1つ供給し、検体分注部210がピペットチップを装着する。検体分注部210が、試験管から検体を吸引し、R1試薬が収容された反応容器に検体を1ターンにつき1回分注する。キャッチャ232が、1ターンにつき1つの反応容器を、検体分注テーブル231から反応部220に移送する。
【0067】
R2試薬分注部212が、試薬設置部270に設置されたR2試薬を吸引し、反応部220に設置された反応容器にR2試薬を1ターンにつき1回分注する。反応部220は1ターンにつき1回、所定角度A1方向に回動する。R2試薬が分注された反応容器は、反応部220において所定時間回動され、所定の第1取出位置に到達する。1次B/F分離部241は、1ターンにつき1回、第1取出位置の反応容器を取り出し、所定の保持位置に移送する。1次B/F分離部241は、1ターンにつき1回、保持位置に設置された反応容器内の液体及び磁性粒子を攪拌する。1次B/F分離部241は、1ターンにつき1回、反応容器から液体を吸引し、未反応の抗原を除去する。1次B/F分離部241は、未反応の磁性粒子が除去された反応容器を、保持位置から反応部220の所定の第1設置位置に1ターンにつき1回移送する。
【0068】
R3試薬分注部213が、試薬設置部270に設置されたR3試薬を吸引し、1次B/F分離部241から反応部220に戻された反応容器にR3試薬を1ターンにつき1回分注する。R3試薬が分注された反応容器は、反応部220において所定時間回動され、所定の第2取出位置に到達する。2次B/F分離部242は、1ターンにつき1回、第2取出位置の反応容器を取り出し、所定の保持位置に移送する。2次B/F分離部242は、1ターンにつき1回、保持位置に設置された反応容器内の液体及び磁性粒子を攪拌する。2次B/F分離部242は、1ターンにつき1回、反応容器から液体を吸引し、不要成分を除去する。2次B/F分離部242は、不要成分が除去された反応容器を、保持位置から反応部220の所定の第2設置位置に1ターンにつき1回移送する。
【0069】
R4/R5試薬供給部214が、2次B/F分離部242から反応部220に戻された反応容器にR4試薬を1ターンにつき1回分注し、次の1ターンに同じ反応容器にR5試薬を分注する。R4試薬及びR5試薬が分注された反応容器は、反応部220において所定時間回動され、所定の第3取出位置に到達する。キャッチャ290が、第3取出位置に到達した反応容器を検出部260へ移送する。検出部260は、検体の抗原量を検出する。キャッチャ290は、測定後の反応容器を検出部260から取り出し、廃棄部280に廃棄する。
【0070】
制御部200は、検出部260によって検出された検体の抗原量を示す測定データを、データ処理部3へ送信する。データ処理部3は、測定データを解析し、分析結果を表示部310に表示する。
【0071】
上記のような測定動作において、検体分注部210、R1試薬分注部211、R2試薬分注部212、R3試薬分注部213、R4/R5試薬供給部214は、第1貯留部20に貯留されている洗浄液を使用して、各ターンで液体の流路を洗浄する洗浄動作を実行する。R1試薬分注部211、R2試薬分注部212、及びR3試薬分注部213では、プローブ211a、212a、213aが洗浄液によって洗浄される。なお、1次B/F分離部241及び2次B/F分離部242は、未反応の抗原を除去する際に、洗浄液とは異なる洗浄液によって磁性粒子を洗浄できる。測定部2が第1貯留部20の洗浄液を消費する速度は、約9L/時間である。
【0072】
図5を参照し、洗浄液調製装置4による洗浄液調製動作について説明する。
【0073】
制御部48は、フロートスイッチ411の出力信号に基づき、高濃度洗浄液チャンバ41が空か否かを判定する(ステップS101)。高濃度洗浄液チャンバ41が空である場合、つまり、フロートスイッチ411のフロート部が下限に達した場合(ステップS101においてYES)、制御部48が電磁バルブ510の1つを開き、もう1つを閉じることで、1つの高濃度洗浄液容器5から高濃度洗浄液チャンバ41への高濃度洗浄液の供給を開始する(ステップS102)。高濃度洗浄液チャンバ41が空ではない場合(ステップS101においてNO)、制御部48は、処理をステップS105へ移す。
【0074】
制御部48は、フロートスイッチ411の出力信号に基づき、高濃度洗浄液チャンバ41が満杯か否かを判定する(ステップS103)。高濃度洗浄液チャンバ41に高濃度洗浄液が供給された結果、高濃度洗浄液チャンバ41が満杯となった場合、つまり、フロートスイッチ411のフロート部が上限に達した場合(ステップS103においてYES)、制御部48が開状態の電磁バルブ510を閉じ、高濃度洗浄液の供給を停止する(ステップS104)。これにより、高濃度洗浄液チャンバ41に約300mLの高濃度洗浄液が貯留される。高濃度洗浄液チャンバ41が満杯ではない場合(ステップS103においてNO)、制御部48は、ステップS103の処理を繰り返す。
【0075】
制御部48は、フロートスイッチ412の出力信号に基づき、RO水チャンバ42における液量が規定量(約800mL)未満であるか否かを判定する(ステップS105)。RO水チャンバ42における液量が規定量未満である場合(ステップS105においてYES)、制御部48が供給バルブ501aを開き、RO水作製装置7からRO水チャンバ42へのRO水の供給を開始する(ステップS106)。RO水チャンバ42における液量が規定量以上である場合(ステップS105においてNO)、制御部48は、処理をステップS109へ移す。
【0076】
制御部48は、フロートスイッチ412の出力信号に基づき、RO水チャンバ42における液量が規定量(約800mL)以上であるか否かを判定する(ステップS107)。RO水チャンバ42における液量が規定量以上である場合(ステップS107においてYES)、制御部48が開状態の供給バルブ501aを閉じ、RO水の供給を停止する(ステップS108)。これにより、RO水チャンバ42に約800mLのRO水が貯留される。RO水チャンバ42における液量が規定量(約800mL)に達していない場合(ステップS107においてNO)、制御部48は、ステップS107の処理を繰り返す。
【0077】
制御部48は、フロートスイッチ413,414の出力信号に基づき、第1及び第2希釈チャンバ43,44の何れかが空であるか否かを判定する(ステップS109)。第1及び第2希釈チャンバ43,44の何れかが空である場合、つまり、フロートスイッチ413又は414のフロート部が下限に達した場合(ステップS109においてYES)、制御部48がダイアフラムポンプ45a,45bを制御し、第1及び第2希釈チャンバ43,44のうちの空の方の1つへ所定量の高濃度洗浄液及びRO水を供給する(ステップS110)。このとき、12mLのRO水が24回供給され、12mLの高濃度洗浄液が1回供給される。つまり、高濃度洗浄液がRO水によって25倍に希釈される。第1及び第2希釈チャンバ43,44の両方が空ではない場合(ステップS109においてNO)、制御部48は、処理をステップS111へ移す。
【0078】
制御部48は、フロートスイッチ415の出力信号に基づき、第2貯留部46が空であるか否かを判定する(ステップS111)。第2貯留部46が空である場合、つまり、フロートスイッチ415のフロート部が下限に達した場合(ステップS111においてYES)、制御部48が電磁バルブ425,426を制御し、第1及び第2希釈チャンバ43,44のうちの一方から第2貯留部46への液体の供給を開始する(ステップS112)。
【0079】
制御部48は、第2貯留部46へ所定量(約300mL)の液体を供給したか否かを判定する(ステップS113)。この処理では、フロートスイッチ413,414の出力信号に基づき、制御部48が、第1及び第2希釈チャンバ43,44のうちの1つから全量(約300mL)の液体が第2貯留部46へ供給されたか否かを判定する。第2貯留部46へ所定量の液体を供給した場合(ステップS113においてYES)、電磁バルブ425,426を制御し、第2貯留部46への液体の供給を停止し(ステップS114)、処理を終了する。第2貯留部46では、供給された液体が攪拌され、これにより、第2貯留部46に約300mLの所望濃度の洗浄液が貯留される。第2貯留部46へ所定量の液体をまだ供給していない場合(ステップS113においてNO)、制御部48は、ステップS113の処理を繰り返す。
【0080】
洗浄液調製装置4は、以上のような洗浄液調製動作を繰り返し実行することで、高濃度洗浄液チャンバ41、RO水チャンバ42、第1希釈チャンバ43、第2希釈チャンバ44、第2貯留部46に液体が貯留された状態とする。
【0081】
<第1補給モード>
洗浄液調製装置4は、測定部2における洗浄液の消費に伴い、次のような第1補給モードを実行する。
【0082】
【0083】
第1補給モードでは、制御部48が、第1検出部21の出力信号に基づいて、第1貯留部20の液量が第1の量未満であるか否かを判定する(ステップS201)。第1貯留部20の液量が第1の量以上である場合、つまり、第1検出部21から検出信号が出力されていない場合(ステップS201においてNO)、制御部48はステップS201の処理を繰り返す。
【0084】
第1貯留部20の液量が第1の量未満である場合、つまり、第1検出部21から検出信号が出力された場合(ステップS201においてYES)、制御部48は洗浄液残量が第1の量未満であることを通知するための通知データをデータ処理部3へ送信する(ステップS202)。
【0085】
CPU301は、データ処理部3が洗浄液残量の通知データを受信すると(ステップS203)、洗浄液の補給の開始を指示する指示データを、洗浄液調製装置4へ送信する(ステップS204)。
【0086】
制御部48は、洗浄液調製装置4が洗浄液の補給の開始の指示データを受信すると(ステップS205)、供給部427を開き、第2貯留部46から第1貯留部20への洗浄液の補給を開始する(ステップS206)。
図7Aに示すように、第1貯留部20の液量が第1の量未満となると、第1貯留部20に洗浄液の補給が開始される。
【0087】
制御部48は、第1検出部21の出力信号に基づいて、第1貯留部20の液量が第1の量以上であるか否かを判定する(ステップS207)。第1貯留部20の液量が第1の量未満である場合、つまり、第1検出部21から検出信号が出力されている場合(ステップS207においてNO)、制御部48はステップS207の処理を繰り返す。これにより、第2貯留部46から第1貯留部20へ継続して洗浄液が補給される。
【0088】
第1貯留部20の液量が第1の量以上となった場合、つまり、第1検出部21から検出信号が出力されなくなった場合(ステップS207においてYES)、制御部48は洗浄液残量が第1の量以上になったことを通知するための通知データをデータ処理部3へ送信する(ステップS208)。
【0089】
CPU301は、データ処理部3が洗浄液残量の通知データを受信すると(ステップS209)、洗浄液の補給の停止を指示する指示データを、洗浄液調製装置4へ送信し(ステップS210)、処理を終了する。
【0090】
制御部48は、洗浄液調製装置4が洗浄液の補給の停止の指示データを受信すると(ステップS211)、供給部427を閉じ、第2貯留部46から第1貯留部20への洗浄液の補給を停止し(ステップS212)、処理を終了する。
図7Bに示すように、第1貯留部20の液量が第1の量以上となると、第1貯留部20に洗浄液が補給されなくなる。
【0091】
第1補給モードでは、第1貯留部20の液量が第1の量(約9L)未満となった場合に、第1貯留部20への洗浄液の補給が開始される。つまり、第1貯留部20への洗浄液の補給が開始される時点では、第1貯留部20の液量は第1の量より若干(例えば、数mL~数十mL程度)少ない。また、第1貯留部20の液量が第1の量以上になるまで洗浄液が補給される。したがって、洗浄液の補給量は、第1の量と洗浄液の補給開始時点における第1貯留部20の液量との差(数mL~数十mL)に相当する。したがって、第1補給モードでは、第1貯留部20の液量が第1の量(約9L)未満となった場合に、第1の量よりも少ない量の洗浄液が第1貯留部20に補給される。
【0092】
洗浄液調製装置4は、以上のような第1補給モードによる洗浄液の補給を繰り返し実行することで、第1貯留部20における液量を第1の量(約9L)に維持することができる。
【0093】
なお、第1貯留部20の液量が第1の量未満となった場合、制御部48はデータ処理部3に通知データを送ることなく、供給部427を開き、第2貯留部46から第1貯留部20へ洗浄液を補給してもよい。また、第1貯留部20の液量が第1の量以上となった場合、制御部48はデータ処理部3に通知データを送ることなく、供給部427を閉じ、第2貯留部46から第1貯留部20への洗浄液の補給を停止してもよい。
【0094】
<第2補給モード>
上記のような第1補給モードを継続して実行していると、第1貯留部20の液量が第1の量よりも大きく減ることがないため、古い洗浄液が残留しやすい。そこで、洗浄液調製装置4は以下のような第2補給モードを実行する。
【0095】
洗浄液調製装置4は、予め設定された条件に合致したときに第2補給モードを実行する。以下、予め設定された条件を「第2補給モード開始条件」という。第2補給モード開始条件は、検体分析装置1が起動した後、データ処理部3と洗浄液調製装置4との通信が確立することとすることができる。また、第2補給モード開始条件は、データ処理部3における内部時計の日付が変わることとすることもできる。また、第2補給モード開始条件は、ユーザが予め設定した時刻を経過することとすることもできる。なお、上記以外の条件を第2補給モード開始条件とすることもできる。
【0096】
本実施形態では、データ処理部3において、ユーザが第2補給モード開始条件を設定可能である。
図8を参照する。データ処理部3には、第2補給モードの実行する条件を設定するための設定画面を表示することができる。
図8に示すように、設定画面600は、3つの選択部601,602,603を含む。選択部601,602,603はラジオボタンである。
【0097】
選択部601は、第2補給モードを実行する条件を、検体分析装置1のウェイクアップ時に設定するために用いられる。ここで、検体分析装置1のウェイクアップ時とは、検体分析装置1が起動した後、データ処理部3と洗浄液調製装置4との通信が確立した時点である。
【0098】
選択部602は、第2補給モードを実行する条件を、データ処理部3における内部時計の日付が変わることに設定するために用いられる。
【0099】
選択部603は、第2補給モードを実行する条件を、ユーザが予め設定した時刻を経過することに設定するために用いられる。設定画面600は、指定部604を含む。指定部604は、ユーザが時刻を指定するために用いられる。指定部604に指定された時刻が、第2補給モードを実行する時刻となる。
【0100】
ユーザは、設定画面600において、選択部601,602,603のうちの何れか1つを選択する。選択部603を選択した場合、ユーザは、指定部604に第2補給モードを実行する時刻を指定する。第2補給モードを実行する条件の設定が完了すると、ユーザはOKボタン605を選択し、設定画面600を閉じる。これにより、ハードディスク304に設定情報が記憶される。
【0101】
なお、洗浄液調製装置4の制御部48において、第2補給モード開始条件を設定可能としてもよい。この場合、第2補給モード開始条件は、洗浄液調製装置4が起動することとすることができる。また、第2補給モード開始条件は、制御部48における内部時計の日付が変わることとすることもできる。また、第2補給モード開始条件は、ユーザが予め設定した時刻を経過することとすることもできる。なお、上記以外の条件を第2補給モード開始条件とすることもできる。
【0102】
次に、検体分析装置1の起動動作について説明する。データ処理部3は、自動ウェイクアップの設定が可能である。図示しない自動ウェイクアップの設定画面において、ユーザは自動ウェイクアップの実行時刻を設定する。自動ウェイクアップの実行時刻が設定されると、この時刻に自動的に検体分析装置1が起動される。また、自動ウェイクアップの設定をしていない場合には、手動で検体分析装置1が起動される。
【0103】
図9を参照する。検体分析装置1の起動動作では、CPU301が、各種の設定値を初期値に設定する(ステップS301)。次に、CPU301は、測定部2に、各部を初期位置に位置決めするなどの初期化動作を実行させ(ステップS302)、洗浄液調製装置4との通信確立処理を実行する(ステップS303)。通信確立処理では、洗浄液調製装置4との間で所定のデータを送受信する。洗浄液調製装置4との間で通信が確立すると、CPU301は、処理を終了する。
【0104】
次に、検体分析装置1の日付処理について説明する。日付処理とは、検体分析装置1において、1日が始まる時刻を決定する処理である。データ処理部3は、内部時計を有しており、現在時刻を取得可能である。日付処理では、この内部時計による現実の時刻(データ処理部3のローカル時刻。一般的に日本においては日本標準時刻に設定されている。)における何時何分(例えば、午前2時30分等)を、1日の始期とするかをユーザが設定することができる。以下、1日の始期に設定される時刻を、「日付変更時刻」という。
【0105】
検体分析装置1を1日に1回起動する施設が多い。このため、このような施設では、データ処理部3と洗浄液調製装置4との通信が確立したときに第2補給モードを実行することで、1日に1回第2補給モードを実行することができる。第2補給モードでは、上述した第1補給モードよりも多くの古い洗浄液を新しい洗浄液に入れ替える。したがって、1日に1回第2補給モードを実行することで、1日に1回多くの古い洗浄液を新しい洗浄液に入れ換えることができる。また、数日にわたって検体分析装置1を動作させ続ける施設では、日付変更時刻に達したときに第2補給モードを実行することで、1日に1回多くの古い洗浄液を新しい洗浄液に入れ換えることができる。また、ユーザが予め設定した時刻を経過したときに第2補給モードを実行可能とすることで、その他の運用にも対応することができる。
【0106】
図10を参照し、第2補給モードについて具体的に説明する。
【0107】
CPU301は、第2補給モード開始条件に合致したか否かを判定する(ステップS401)。第2補給モード開始条件が検体分析装置1のウェイクアップ時に設定されている場合、検体分析装置1が自動ウェイクアップによって起動した後、又は検体分析装置1が手動で起動された後、洗浄液調製装置4との間で通信が確立したときに、CPU301は第2補給モード開始条件に合致したと判定する。また、第2補給モード開始条件がデータ処理部3における日付変更時に設定されている場合、CPU301は、日付変更時刻が経過したときに、第2補給モード開始条件に合致したと判定する。また、第2補給モード開始条件がユーザが予め設定した時刻を経過することに設定されている場合、CPU301は、ユーザが指定した時刻が経過したときに、第2補給モード開始条件に合致したと判定する。
【0108】
第2補給モード開始条件に合致していない場合(ステップS401においてNO)、CPU301は、ステップS401の処理を繰り返す。
【0109】
第2補給モード開始条件に合致した場合(ステップS401においてYES)、CPU301は、洗浄液の補給の停止を指示するための指示データを洗浄液調製装置4へ送信する(ステップS402)。
【0110】
制御部48は、洗浄液調製装置4が洗浄液補給の停止の指示データを受信すると(ステップS403)、第2貯留部46から第1貯留部20への洗浄液の補給を停止する(ステップS404)。ここで、第2貯留部46から第1貯留部20へ洗浄液が補給されていない場合、洗浄液調製装置4は、そのまま第1貯留部への洗浄液の補給を停止し続ける。また、第2貯留部46から第1貯留部20へ洗浄液が補給されている場合、制御部48は供給部427を閉じ、第1貯留部への洗浄液の補給を停止する。
【0111】
制御部48は、第2検出部22の出力信号に基づいて、第1貯留部20の液量が第2の量未満であるか否かを判定する(ステップS405)。第1貯留部20の液量が第2の量以上である場合、つまり、第2検出部22から検出信号が出力されていない場合(ステップS405においてNO)、制御部48はステップS405の処理を繰り返す。
【0112】
これにより、測定部2において洗浄液が第2の量未満になるまで消費される。第2の量は3Lであり、多くの古い洗浄液が消費される。
【0113】
第1貯留部20の液量が第2の量未満である場合、つまり、第2検出部22から検出信号が出力された場合(ステップS405においてYES)、制御部48は洗浄液残量が第2の量未満になったことを通知するための通知データをデータ処理部3へ送信する(ステップS406)。
【0114】
CPU301は、データ処理部3が洗浄液残量の通知データを受信すると(ステップS407)、洗浄液の補給の開始を指示する指示データを、洗浄液調製装置4へ送信する(ステップS408)。
【0115】
制御部48は、洗浄液調製装置4が洗浄液の補給の開始の指示データを受信すると(ステップS409)、供給部427を開き、第2貯留部46から第1貯留部20への洗浄液の補給を開始する(ステップS410)。
図7Cに示すように、第1貯留部20の液量が第2の量未満となると、第1貯留部20に洗浄液が補給される。第2貯留部46から第1貯留部20へ補給される洗浄液は新しいため、第1貯留部20において、古い洗浄液から新しい洗浄液に入れ替わる。
【0116】
第1貯留部20に貯留される洗浄液は洗浄液であるため、新しい洗浄液に古い洗浄液が一部混ざっていたとしても、古い洗浄液の量が少なければ、検体の測定に影響はほとんど現れない。このような洗浄液において、残留する古い洗浄液を可能な範囲で減らし、新しい洗浄液を追加することで、洗浄液の管理の手間を削減しつつ、検体測定の精度を維持することができる。
【0117】
また、第2の量をゼロとすることも可能である。この場合、古い洗浄液を全て新しい洗浄液に入れ換えることができる。
【0118】
次に制御部48は、第1検出部21の出力信号に基づいて、第1貯留部20の液量が第1の量以上であるか否かを判定する(ステップS411)。第1貯留部20の液量が第1の量未満である場合、つまり、第1検出部21から検出信号が出力されている場合(ステップS411においてNO)、制御部48はステップS411の処理を繰り返す。これにより、第2貯留部46から第1貯留部20へ継続して洗浄液が補給される。
【0119】
第1貯留部20の液量が第1の量以上となった場合、つまり、第1検出部21から検出信号が出力されなくなった場合(ステップS411においてYES)、制御部48は洗浄液残量が第1の量以上になったことを通知するための通知データをデータ処理部3へ送信する(ステップS412)。
【0120】
CPU301は、データ処理部3が洗浄液残量の通知データを受信すると(ステップS413)、洗浄液の補給の停止を指示する指示データを、洗浄液調製装置4へ送信し(ステップS414)、処理を終了する。
【0121】
制御部48は、洗浄液調製装置4が洗浄液の補給の停止の指示データを受信すると(ステップS415)、供給部427を閉じ、第2貯留部46から第1貯留部20への洗浄液の補給を停止し(ステップS416)、処理を終了する。
図7Bに示すように、第1貯留部20の液量が第1の量以上となると、第1貯留部20に洗浄液が補給されなくなる。第1の量以上まで新しい洗浄液を補給することで、多くの新しい洗浄液を貯留部に貯留することができる。なお、第1の量以上になるまで第1貯留部20に洗浄液を補給しなくてもよい。例えば、第1の量と第2の量との中間の第3の量で第1貯留部20への洗浄液の補給を停止してもよい。また、第1の量よりも大きい第4の量以上になるまで第1貯留部20に洗浄液を補給し、第4の量以上となった場合に洗浄液の補給を停止してもよい。
【0122】
なお、第1貯留部20の液量が第2の量未満となった場合、制御部48はデータ処理部3に通知データを送ることなく、供給部427を開き、第2貯留部46から第1貯留部20へ洗浄液を補給してもよい。また、第1貯留部20の液量が第1の量以上となった場合、制御部48はデータ処理部3に通知データを送ることなく、供給部427を閉じ、第2貯留部46から第1貯留部20への洗浄液の補給を停止してもよい。
【0123】
第2補給モードでは、第1貯留部20の液量が第2の量(約3L)未満となった場合に、第1貯留部20への洗浄液の補給が開始される。つまり、第1貯留部20への洗浄液の補給が開始される時点では、第1貯留部20の液量は第1の量より約6L少ない。また、第1貯留部20の液量が第1の量以上になるまで洗浄液が補給されるので、洗浄液の補給量は約6Lである。したがって、第2補給モードでは、第1貯留部20の液量が第2の量(約3L)未満となった場合に、第1の量よりも多い量の洗浄液が第1貯留部20に補給される。
【0124】
以上のような構成により、第1貯留部20の洗浄液を廃棄することなく、第1貯留部20の古い洗浄液を新しい洗浄液に入れ替えることができる。
【0125】
また、上記のような第2補給モードを、連続して2回以上実行してもよい。これにより、より一層古い洗浄液の量を減らすことができる。
【0126】
第2補給モードにおいて、第1貯留部20の洗浄液の量は、第2の量よりも大きく減ることはない。第1貯留部20に第2の量の洗浄液があれば、少なくとも測定中の検体の測定を完了することが可能である。また、検体を測定している間に、新たな洗浄液を補給することで、検体の測定を継続することが可能である。
【0127】
(実施の形態2)
本実施の形態では、データ処理部が洗浄液調製装置を制御し、第2貯留部から第1貯留部に洗浄液を供給する検体分析システムについて説明する。
【0128】
第1及び第2検出部21,22のそれぞれは、制御部48ではなく、データ処理部3の入出力インターフェース306に接続されている。第1及び第2検出部21,22のそれぞれは、検出信号をデータ処理部3へ出力する。
【0129】
なお、本実施の形態に係る検体分析システムのその他の構成は、実施の形態1に係る検体分析システム100の構成と同様であるので、同一構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0130】
<第1補給モード>
図11を参照し、第1補給モードについて説明する。
【0131】
第1補給モードでは、CPU301が、第1検出部21の出力信号に基づいて、第1貯留部20の液量が第1の量未満であるか否かを判定する(ステップS251)。第1貯留部20の液量が第1の量以上である場合、つまり、第1検出部21から検出信号が出力されていない場合(ステップS251においてNO)、CPU301はステップS251の処理を繰り返す。
【0132】
第1貯留部20の液量が第1の量未満である場合、つまり、第1検出部21から検出信号が出力された場合(ステップS251においてYES)、CPU301は、第1貯留部20への洗浄液の補給の開始を指示する指示データを洗浄液調製装置4へ送信する(ステップS252)。
【0133】
制御部48は、洗浄液調製装置4が洗浄液の補給の開始の指示データを受信すると(ステップS253)、供給部427を開き、第2貯留部46から第1貯留部20への洗浄液の補給を開始する(ステップS254)。
【0134】
CPU301は、第1検出部21の出力信号に基づいて、第1貯留部20の液量が第1の量以上であるか否かを判定する(ステップS255)。第1貯留部20の液量が第1の量未満である場合、つまり、第1検出部21から検出信号が出力されている場合(ステップS255においてNO)、CPU301はステップS255の処理を繰り返す。これにより、第2貯留部46から第1貯留部20へ継続して洗浄液が補給される。
【0135】
第1貯留部20の液量が第1の量以上となった場合、つまり、第1検出部21から検出信号が出力されなくなった場合(ステップS255においてYES)、CPU301は、洗浄液の補給の停止を指示するための指示データを洗浄液調製装置4へ送信し(ステップS256)、処理を終了する。
【0136】
制御部48は、洗浄液調製装置4が洗浄液の補給の停止の指示データを受信すると(ステップS257)、供給部427を閉じ、第2貯留部46から第1貯留部20への洗浄液の補給を停止し(ステップS258)、処理を終了する。
【0137】
<第2補給モード>
図12を参照し、第2補給モードについて説明する。
【0138】
CPU301は、第2補給モード開始条件に合致したか否かを判定する(ステップS451)。ステップS451の処理は、実施の形態1におけるステップS401の処理と同様である。
【0139】
第2補給モード開始条件に合致していない場合(ステップS451においてNO)、CPU301は、ステップS451の処理を繰り返す。
【0140】
第2補給モード開始条件に合致した場合(ステップS451においてYES)、CPU301は、洗浄液の補給の停止を指示するための指示データを洗浄液調製装置4へ送信する(ステップS452)。
【0141】
制御部48は、洗浄液調製装置4が洗浄液の補給の停止の指示データを受信すると(ステップS453)、第2貯留部46から第1貯留部20への洗浄液の補給を停止する(ステップS454)。
【0142】
CPU301は、第2検出部22の出力信号に基づいて、第1貯留部20の液量が第2の量未満であるか否かを判定する(ステップS455)。第1貯留部20の液量が第2の量以上である場合、つまり、第2検出部22から検出信号が出力されていない場合(ステップS455においてNO)、CPU301はステップS455の処理を繰り返す。
【0143】
これにより、測定部2において洗浄液が第2の量未満になるまで消費される。第2の量は3Lであり、多くの古い洗浄液が消費される。
【0144】
第1貯留部20の液量が第2の量未満である場合、つまり、第2検出部22から検出信号が出力された場合(ステップS455においてYES)、CPU301は、洗浄液の補給の開始を指示する指示データを、洗浄液調製装置4へ送信する(ステップS456)。
【0145】
制御部48は、洗浄液調製装置4が洗浄液の補給の開始の指示データを受信すると(ステップS457)、供給部427を開き、第2貯留部46から第1貯留部20への洗浄液の補給を開始する(ステップS458)。
【0146】
次にCPU301は、第1検出部21の出力信号に基づいて、第1貯留部20の液量が第1の量以上であるか否かを判定する(ステップS459)。第1貯留部20の液量が第1の量未満である場合、つまり、第1検出部21から検出信号が出力されている場合(ステップS459においてNO)、CPU301はステップS459の処理を繰り返す。これにより、第2貯留部46から第1貯留部20へ継続して洗浄液が補給される。
【0147】
第1貯留部20の液量が第1の量以上となった場合、つまり、第1検出部21から検出信号が出力されなくなった場合(ステップS459においてYES)、CPU301は、洗浄液の補給の停止を指示するための指示データを洗浄液調製装置4へ送信する(ステップS460)。
【0148】
制御部48は、洗浄液調製装置4が洗浄液の補給の停止の指示データを受信すると(ステップS461)、供給部427を閉じ、第2貯留部46から第1貯留部20への洗浄液の補給を停止し(ステップS462)、処理を終了する。
【0149】
(実施の形態3)
本実施の形態では、測定部に接続された洗浄液容器から、測定部に設けられた貯留部に洗浄液を補充する検体分析装置について説明する。
【0150】
図13を参照する。検体分析装置1は、測定部2とデータ処理部3とを備える。測定部2は、測定部2の洗浄に用いられる洗浄液を収容する洗浄液容器700に接続されている。測定部2は第1貯留部20を含み、第1貯留部20と洗浄液容器700とが流路701によって接続されている。流路701には、電磁バルブ702が設けられている。電磁バルブ702が開くと、洗浄液容器700から洗浄液が送出され、流路701を通じて第1貯留部20に洗浄液が補給される。電磁バルブ702が閉じると、第1貯留部20への洗浄液の補給が停止される。
【0151】
測定部2の制御部200は、電磁バルブ702を制御可能に接続されている。また、制御部200は、第1及び第2検出部21,22のそれぞれに接続されている。第1及び第2検出部21,22のそれぞれは、検出信号を制御部200へ出力する。
【0152】
なお、本実施の形態に係る検体分析装置1のその他の構成は、実施の形態1に係る検体分析装置1の構成と同様であるので、同一構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0153】
<第1補給モード>
測定部2は、洗浄液の消費に伴い、次のような第1補給モードを実行する。
【0154】
【0155】
第1補給モードでは、制御部200が、第1検出部21の出力信号に基づいて、第1貯留部20の液量が第1の量未満であるか否かを判定する(ステップS271)。第1貯留部20の液量が第1の量以上である場合、つまり、第1検出部21から検出信号が出力されていない場合(ステップS271においてNO)、制御部200はステップS271の処理を繰り返す。
【0156】
第1貯留部20の液量が第1の量未満である場合、つまり、第1検出部21から検出信号が出力された場合(ステップS271においてYES)、制御部200は電磁バルブ702を開き、第1貯留部20への洗浄液の補充を開始する(ステップS272)。
【0157】
制御部200は、第1検出部21の出力信号に基づいて、第1貯留部20の液量が第1の量以上であるか否かを判定する(ステップS273)。第1貯留部20の液量が第1の量未満である場合、つまり、第1検出部21から検出信号が出力されている場合(ステップS273においてNO)、制御部200はステップS273の処理を繰り返す。これにより、第1貯留部20に洗浄液が継続して補充される。
【0158】
第1貯留部20の液量が第1の量以上となった場合、つまり、第1検出部21から検出信号が出力されなくなった場合(ステップS273においてYES)、制御部200は電磁バルブ702を閉じ、第1貯留部20への洗浄液の補充を停止し(ステップS274)、処理を終了する。
【0159】
測定部2は、以上のような第1補給モードにおける洗浄液の補充を繰り返し実行することで、第1貯留部20における液量を第1の量(約9L)に維持することができる。
【0160】
<第2補給モード>
図15を参照し、第2補給モードについて具体的に説明する。
【0161】
CPU301は、第2補給モード開始条件に合致したか否かを判定する(ステップS471)。ステップS471の処理は、実施の形態1におけるステップS401の処理と同様である。
【0162】
第2補給モード開始条件に合致していない場合(ステップS471においてNO)、CPU301は、ステップS471の処理を繰り返す。
【0163】
第2補給モード開始条件に合致した場合(ステップS471においてYES)、CPU301は、洗浄液補充の停止を指示するための指示データを測定部2へ送信する(ステップS472)。
【0164】
制御部200は、測定部2が洗浄液補充の停止の指示データを受信すると(ステップS473)、洗浄液容器700から第1貯留部20への洗浄液の補充を停止する(ステップS474)。ここで、洗浄液容器700から第1貯留部20へ洗浄液が補充されていない場合、測定部2は、そのまま第1貯留部20への洗浄液補充を停止し続ける。また、洗浄液容器700から第1貯留部20へ洗浄液が補充されている場合、制御部200は電磁バルブ702を閉じ、第1貯留部20への洗浄液補充を停止する。
【0165】
制御部200は、第2検出部22の出力信号に基づいて、第1貯留部20の液量が第2の量未満であるか否かを判定する(ステップS475)。第1貯留部20の液量が第2の量以上である場合、つまり、第2検出部22から検出信号が出力されていない場合(ステップS475においてNO)、制御部200はステップS475の処理を繰り返す。
【0166】
これにより、測定部2において洗浄液が第2の量未満になるまで消費される。第2の量は3Lであり、多くの古い洗浄液が消費される。
【0167】
第1貯留部20の液量が第2の量未満である場合、つまり、第2検出部22から検出信号が出力された場合(ステップS475においてYES)、制御部200は電磁バルブ702を開き、第1貯留部20への洗浄液の補充を開始する(ステップS476)。
【0168】
次に制御部200は、第1検出部21の出力信号に基づいて、第1貯留部20の液量が第1の量以上であるか否かを判定する(ステップS477)。第1貯留部20の液量が第1の量未満である場合、つまり、第1検出部21から検出信号が出力されている場合(ステップS477においてNO)、制御部200はステップS477の処理を繰り返す。これにより、洗浄液容器700から第1貯留部20へ継続して洗浄液が補充される。
【0169】
第1貯留部20の液量が第1の量以上となった場合、つまり、第1検出部21から検出信号が出力されなくなった場合(ステップS477においてYES)、制御部200は電磁バルブ702を閉じ、洗浄液容器700から第1貯留部20への洗浄液の補充を停止し(ステップS478)、処理を終了する。
【符号の説明】
【0170】
100 検体分析システム
1 検体分析装置
2 測定部
20 第1貯留部
21 第1検出部
22 第2検出部
200 制御部
210 検体分注部
211 R1試薬分注部
220 反応部
260 検出部
270 試薬設置部
3 データ処理部
301 CPU
302 ROM
303 RAM
304 ハードディスク
309 入力部
310 表示部
320 コンピュータプログラム
4 洗浄液調製装置
41 高濃度洗浄液チャンバ
42 RO水チャンバ
43 第1希釈チャンバ
44 第2希釈チャンバ
46 第2貯留部
48 制御部
427 供給部
5 高濃度洗浄液容器
7 RO水作製装置
700 洗浄液容器