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  • -W/O型乳化油脂組成物の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】W/O型乳化油脂組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23D 7/02 20060101AFI20230426BHJP
   A23D 7/05 20060101ALI20230426BHJP
   A23D 7/005 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
A23D7/02
A23D7/05
A23D7/005
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022055197
(22)【出願日】2022-03-30
【審査請求日】2022-03-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502447815
【氏名又は名称】河野 博繁
(74)【代理人】
【識別番号】100126620
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 豪
(72)【発明者】
【氏名】河野 博繁
【審査官】山本 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-259771(JP,A)
【文献】特開2015-100333(JP,A)
【文献】特開2004-267166(JP,A)
【文献】特開2012-175949(JP,A)
【文献】特開2008-301731(JP,A)
【文献】特開昭61-268134(JP,A)
【文献】特開昭63-302935(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0291170(US,A1)
【文献】国際公開第2017/017945(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107494768(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105695522(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水相と油相を攪拌することにより予備乳化を行った上で、予備乳化により得られた予備乳化物に、冷却して凝固状態とした油相、凍結状態の水相、及び凍結状態の副材料の少なくともいずれか一の物質を加え、当該物質を粉砕可能な撹拌機によって、加えた物質を粉砕しながら、乳化、急冷、可塑化することを特徴とするW/O型乳化油脂組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、W/O型乳化油脂組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マーガリンやファットスプレッド等(以下、マーガリン類ともいう)のW/O型乳化油脂組成物を製造するとき、油相と水相の乳化物を冷却及び混練する工程においては、例えば、連続密閉式熱交換方式の急冷可塑化装置(コンビネーター、パーフェクター、ボテーター等)を用いることが知られている(特許文献1及び2を参照)。また、クーリングドラム方式の急冷可塑化装置(コンプレクター等)を用いることも知られている(特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-175949号公報
【文献】WO 2017/017945 A1
【文献】特開2008-301731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のような急冷可塑化装置は大型、かつ高価であるため、マーガリン類の製造工程は大掛かりなものとなり、製造コストも嵩むとの問題が生じていた。
また、連続密閉式熱交換方式の急冷可塑化装置は、非常に長い二重管とこの長い二重管を外側から冷却する冷却装置とから構成されており、二重管に投入した油相と水相の乳化物を送り出すことで、二重管内でこの乳化物を冷却及び混練する構造となっている。そのため、マーガリン類が完成するまでに非常に時間を要するとの問題も生じていた。
また、クーリングドラム方式の急冷可塑化装置は、冷却されたドラムにW/O型乳化油脂を噴霧し、結晶化させた後にドラムを回転させながら乳化物を掻きとり、混練する構造となっている。そのため、ドラムが微生物等によって汚染されることを防止するため外部から隔離する等、装置の管理面でコストや手間が増加するとの問題も生じていた。
そして、上述のような急冷可塑化装置を用いることから、マーガリン類の生産は、重工業に近い装置産業になっており、多品種少量生産向きではなく、小規模での製造や家庭内において簡易にマーガリン類を製造することは困難であるとの事情もあった。
【0005】
そこで、本発明は、上記した事情によりなされたものであり、簡易な手法、かつ低コストで製造可能であり、さらには少量生産も可能なW/O型乳化油脂組成物の製造方法の提供を目的とする。また、大型の既存設備の装置においても、冷却効率を上げ、W/O型乳化油脂組成物の微細結晶を安定的に作り出すことが可能なW/O型乳化油脂組成物の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明は次のように構成されている。
(1)本発明に係るW/O型乳化油脂組成物の製造方法は、水相と油相を攪拌することにより予備乳化を行った上で、予備乳化により得られた予備乳化物に、冷却し凝固状態とした油相、凍結状態の水相、及び凍結状態の副材料の少なくともいずれか一の物質を加え、当該物質を粉砕可能な撹拌機によって、加えた物質を粉砕しながら、乳化、急冷、可塑化することを特徴とする。
【0007】
W/O型乳化油脂組成物としては、マーガリン、ファットスプレッド、等が挙げられる。すなわち、マーガリンやファットスプレッド等の製造方法として、本発明を適用することができる。
【0008】
ここでいう副材料としては、例えば、ホウレン草、カリフラワー、胡瓜、ケール、ゴボウ、小松菜、紫蘇、スイートコーン、ショウガ、玉葱、タケノコ、トマト、パセリ、レタス、レンコン、ワサビ等の野菜類、枝豆、落花生、大豆、小豆、インゲン豆、エンドウ豆、ソラ豆、アーモンド、カシューナッツ等の豆類、イチゴ、グレープフルーツ、パイナップル、オレンジ、オリーブ、柿、キウイ、スイカ、プルーン、ブドウ、マンゴー、メロン、リンゴ、レモン等の果実類(果肉、果汁のいずれも可)、アオサ、青海苔、岩海苔、昆布、テングサ、モズク、ワカメ等の海藻類、エノキ、椎茸、ナメコ、シメジ、キクラゲ、エリンギ、マッシュルーム等のキノコ類が挙げられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡易な手法、かつ低コストで製造可能であり、さらには少量生産も可能なW/O型乳化油脂組成物の製造方法を提供することができる。また、大型の既存設備の装置においても、冷却効率を上げ、W/O型乳化油脂組成物の微細結晶を安定的に作り出すことが可能なW/O型乳化油脂組成物の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本願の実施形態におけるW/O型乳化油脂組成物の製造方法の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明により、本発明がそれに限定されるものではなく、当業者にとって容易に実施できる程度の設計変更は本発明の技術的思想に属するものである。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態におけるW/O型乳化油脂組成物の製造方法の概要を示すフローチャートである。
【0013】
本実施形態に係るW/O型乳化油脂組成物の製造方法では、水相と油相を攪拌することにより予備乳化を行った上で、予備乳化により得られた予備乳化物に、冷却し凝固状態とした油相を加え、乳化、急冷、可塑化する。また、原材料となる油相全体の一部を予め冷却して凝固状態とし、残りの油相を予備乳化に用いる。
より具体的には、同温度帯の水相と油相を攪拌することで得られた予備乳化物と、冷却し凝固状態とした油相とを、撹拌機に投入し、この撹拌機によって、凝固状態の油相を軟化させ又は砕きながら予備乳化物と凝固状態の油相とを混練することで乳化させ、この乳化による乳化物を急冷可塑化する。
【0014】
本実施形態では、W/O型乳化油脂組成物としてマーガリン類(マーガリンやファットスプレッド)を簡易に少量生産する場合について説明する。
【0015】
マーガリン類の原材料となる水相としては、例えば、水、牛乳、植物ミルク(豆乳、アーモンドミルク、ココナッツミルク、ライスミルク、大麦ミルク、カシューナッツミルク等)、動物性又は植物性由来のヨーグルト等が挙げられる。
【0016】
マーガリン類の原材料となる油相としては、常温で液体である油脂(例えば、菜種油、大豆油、綿実油、サフラワー油、コーン油、ヒマワリ油等)を水素添加、分別、エステル交換等の手段で融点を調整して好ましい硬さの固体脂に調整したものを使用することができる。すなわち、融点を調整し常温で固体となるように調整した加工油脂を適宜用いてもよい。
他にも、牛脂、ラード、パーム油等、もともとある程度の高さの融点を持った油脂も当然使用できる。すなわち、植物性や動物性の油脂であって、常温(室温)において固体を保つことができる油脂を適宜用いてもよい。具体的には、融点が30℃以上となる油脂であり、例えば、上述のような、植物性油脂であればパーム油等、また、動物性油脂であれば牛脂、ラード等を用いてもよい。
なおここで、常温において固体を保つことができる油脂を好適としたのは、製造されたマーガリン類の形態や食感の維持(結晶構造の維持)の観点から常温よりも融点が高いものが望ましいからであり、本実施形態の製造方法において必須の条件ではない。
【0017】
本実施形態では、油相全体の一部を予め冷却して凝固状態とし、残りを予備乳化に用いる。具体的には、マーガリン類の原材料全体の1~20%程度(より望ましくは5~15%程度)の重量に相当する油相を予め冷却して凝固状態とし、これ以外の油相(残りの油相)を予備乳化に用いるのが望ましい。
なお、冷却して凝固状態とする油相は、使用する油脂における低融点部分(軟部油部分)を用いるのが好適である。すなわち、油脂には、飽和脂肪酸により構成される硬部油部分、及び、不飽和脂肪酸により構成される軟部油部分が含まれるところ、軟部油部分を冷却して凝固状態とするとよい。予備乳化物に凝固状態とした油相を加えて攪拌する際の攪拌負荷を軽減できるからである。
また、予備乳化は、既知の方法により(使用する水相及び油相の種類に応じた予備乳化情報に基づいて)行うことができる。
【0018】
本実施形態のように、凝固状態とした油脂を用いてマーガリン類を簡易に少量生産する場合には、例えば、砕氷機能は備えておらず、ある程度の硬度の固体の食品や食材を軟化させ又は砕きながら混練することが可能な一般的なミキサー、ハンドミキサー、ニーダー等の撹拌機を用いることができる。また、砕氷機能を備え、氷等の硬度の高い固体の食品や食材を粉砕しながら混練することが可能な、バイタミックス(VITAMIX(例えば、Vitamix V1200i等))、レコルト(RECOLT)、ブルーノ(BRUNO)といった撹拌機を用いることもできる。また、撹拌機としては、上記のような家庭向けの装置に限られず、飲食店の店舗等で用いられる、より大型の装置であってもよい。
なお、凝固状態とした油脂は氷のような硬度を有していないため、本実施形態では、砕氷機能を備えていない撹拌機を用いるのが好適である。
【0019】
そして、予備乳化用水相殺菌工程S1では、予備乳化に用いる水相を、殺菌可能な音で所定時間加熱することにより加熱殺菌を行う。ここでいう殺菌可能な温度とは、サルモネラ、病原性大腸菌、カンピロパクター等の食中毒菌を死滅させられる温度であり、90℃~120℃の範囲等が挙げられる。また、所定時間とは、上記食中毒菌を死滅させられる加熱時間であり、温度を90℃~120℃の範囲とした場合には、所定時間としては1分~5分程度とするのが望ましい。
本実施形態では、予備乳化に用いる水相を1分~5分程度、90℃~120℃に加熱することで、加熱殺菌が行われるようになっている。
なお、本実施形態に係るW/O型乳化油脂組成物の製造方法では、この予備乳化用水相殺菌工程S1は必須の工程ではなく、必要に応じて実施することが可能である。
【0020】
予備乳化工程S2では、予備乳化用水相殺菌工程S1で加熱殺菌された後、常温又は常温よりも高い温度まで冷ました水相、及び当該水相と温度差プラスマイナス5℃程度に温度調整した油相を撹拌機に投入し、この撹拌機によって攪拌することで予備乳化を行う。この予備乳化工程S2では、マーガリン類を生産するために用いる油相全体から、後述する投入材料冷却工程S3で凝固状態とするための油相(マーガリン類を生産するための原材料全体の1~20%程度に相当する重量の油相)を除いた残りが、予備乳化用の油相として用いられる。
なお、この予備乳化は、撹拌機に水相及び油相を投入し、この撹拌機による攪拌で行うことに限られず、例えば、所定の容器に油相及び水相を投入し、手作業による攪拌で行ってもよい。
【0021】
投入材料冷却工程S3では、マーガリン類を生産するための原材料全体の1~20%程度に相当する重量の油相を、冷却して凝固状態とする。当該工程における凝固方法については既知の方法でよく、例えば、冷蔵庫の製氷機能や市販の製氷機を用いることで、油相を凝固状態とすることができる。具体的には、油相を製氷皿に注ぎ、製氷機や冷蔵庫の製氷室に入れることで、冷却され凝固状態となる。
凝固状態となった油相の形状や大きさは、後述する攪拌・乳化工程S5において撹拌機により軟化及び攪拌することができれば、特に限定されるものではない。形状としては、例えば、キュービック状(製氷皿に応じた形状)、ブロック状、球状等とすることができる。
【0022】
投入工程S4では、上述の予備乳化により得られた予備乳化物(水相と油相の混合物)が収容されている撹拌機に、凝固状態とした油相を投入する。水相と油相の分量の比率(水相と油相の混合比率、具体的には、予備乳化物に含まれる水相の量と、予備乳化物に含まれる油相及び凝固状態の油相の総量との比率)は、例えば、油相:水相=70:30~60:40程度が好適である。これは、水相が多すぎるとW/O型乳化油脂が柔らかくなってスプレッド状となり、逆に油相が多すぎると固くなってしまうためである。
なお、上記混合比率としては、後述する攪拌・乳化工程S5にて予備乳化物を急速に冷却できる程度となっていれば、上記の値に限定されるものではなく、例えば、油相:水相=80:20~50:50程度としてもよい。
【0023】
攪拌・乳化工程S5では、撹拌機を稼働させることで、凝固状態の油相を軟化させ又は砕きつつ、予備乳化物と凝固状態の油相とが攪拌されることで乳化し、乳化物となる。このとき、油相は、冷却による凝固状態となっているため、乳化物は急速に冷却される。
【0024】
ところで、従来のマーガリン類の製造方法において、W/O型乳化油脂は、予備乳化、殺菌後に急冷することで、油脂の結晶を微細化させることが最も重要であるとされている。冷却が遅いと油脂の結晶が粗大化したまま固まり、ざらついたテクチャーとなってしまい、可塑性も十分に確保されないためである。従って、いかに急速に冷却して油脂の結晶を細かくすることが、粘調性(consistency)の良いマーガリン類を製造する上での重要なポイントであるといえる。
本実施形態に係るW/O型乳化油脂組成物の製造方法においては、原料として用いる油相全体のうちの一部を予め冷却し凝固状態としている点で、従来のマーガリン類の製造方法と大きく異なる。これにより、上述のように攪拌するのみで、予備乳化物を極めて短時間で一気に冷却することが可能となり、油脂の結晶が細かく粘調性の良いマーガリン類を製造することが可能となる。
【0025】
混練・可塑化工程S6では、撹拌機の羽根によって、冷却された乳化物を混練し可塑化させる。攪拌・乳化工程S5において乳化物は急速に冷却されているため、可塑性を十分に確保することが可能となる。これにより、マーガリン類が完成する。
【0026】
なお、攪拌・乳化工程S5及び混練・可塑化工程S6は連続した工程として説明したが、実際には、撹拌機が稼働することによりこれらの工程がほぼ同時に実行されているといえる。すなわち、本実施形態に係るW/O型乳化油脂組成物の製造方法では、凝固状態の油相を軟化又は砕きながら、乳化、急冷、可塑化が実行されているといえる。
なお、これらの工程は同時に実行する必要はなく、凝固状態の油相を砕いた後に、この砕かれた油相を予備乳化物に投入し、撹拌機の稼働によって乳化、混練するようにしてもよい。すなわち、凝固状態の油相を砕く工程と、当該油相と予備乳化物とを乳化、急冷、可塑化する工程を別工程としてもよい。
【0027】
このように、従来のマーガリン類の製造方法では、大型の急冷可塑化装置を用いて水相と油相との乳化物を急冷しながら混練する必要があったのに対して、本実施形態に係るW/O型乳化油脂組成物の製造方法では、予め冷却して凝固状態とした油相を用いるため、予備乳化物(水相と油相との混合物)と凝固状態の油相とを混練するだけで予備乳化物が急速に冷却される。これにより、急冷のために大型の急冷可塑化装置を用いる必要がなく(攪拌機に冷却機能を備える必要がなく)、さらには、極めて短時間で急冷可塑化されることからより微細な結晶を生成することが可能となり、コシがあり口当たりがよく、粘調性のあるマーガリン類を製造することができる。このマーガリン類は、伸展性に富んでいるので、パイやデニュシュペーストリー等の層状に油脂が織り込まれるパン類に適したものとなる。
【0028】
取出し工程S7では、急冷可塑化され完成したマーガリン類を撹拌機から取出す。攪拌機として一般的なミキサーを採用した場合には、ミキサーのコンテナ(ボトル)からマーガリン類を掻き出す。取出し工程S7では、マーガリン類の取出し方法を種々採用することができる。
【0029】
以上のように、本実施形態に係るW/O型乳化油脂組成物の製造方法によれば、大がかりな急冷可塑化装置等を用いる必要がないため、製造コストを抑え、かつ簡易な手法によりマーガリン類を製造することが可能となる。
特に、上記のように、攪拌機として家庭向けのミキサー等を用いることが可能となるため、家庭や小規模店舗での製造においても簡易に新鮮なマーガリン類を製造することが可能となる。また、大量製造を行う場合であっても、急冷可塑化装置の代替として、回転式の攪拌機を採用することが可能となる。
【0030】
また、マーガリン類を簡易に少量生産する場合について説明をしたが、既存のマーガリン製造設備を使用してマーガリン類を大量生産する場合にも、本実施形態に係るW/O型乳化油脂組成物の製造方法を適用することが可能である。
具体的には、既存のマーガリン製造設備を使用してマーガリン類を大量生産する場合において、予め油相全体の一部を冷却し凝固状態としておけば、これを予備乳化物に加えて攪拌することで、凝固状態の油相が軟化(溶解)することによって、W/O型乳化油脂を急冷しながら乳化していくことが可能となる。従って、より効率的な製造工程となり、従来の可塑化、混練時間を短縮することが可能となる。
【0031】
(第2実施形態)
本実施形態に係るW/O型乳化油脂組成物の製造方法は、予備乳化物に、予めチルド状態又は凍結状態とした水相を加える点で、冷却して凝固状態となった油相を加える第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、その他の点は説明を省略する。
【0032】
本実施形態に係るW/O型乳化油脂組成物の製造方法では、水相と油相を攪拌することにより予備乳化を行った上で、予備乳化により得られた予備乳化物に、チルド状態又は凍結状態の水相を加え、乳化、急冷、可塑化する。また、原材料となる水相の一部を予めチルド状態又は凍結状態とし、残りの水相を予備乳化に用いる。
より具体的には、同温度帯の水相と油相を攪拌することで得られた予備乳化物と、チルド状態又は凍結状態の水相とを、撹拌機に投入し、この撹拌機によって、チルド状態の水相であれば攪拌しながら、また、凍結状態の水相であれば砕きながら、予備乳化物とチルド状態又は凍結状態の水相とを混練することで乳化させ、この乳化による乳化物を急冷可塑化する。
【0033】
原材料として用いる水相、油相については、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0034】
本実施形態では、水相全体の一部をチルド状態又は凍結状態とし、残りを予備乳化に用いる。具体的には、マーガリン類の原材料全体の1~20%程度(より望ましくは5~15%程度)の重量に相当する水相を冷却してチルド状態又は凍結状態とし、これ以外の水相(残りの水相)を予備乳化に用いるのが望ましい。
ここで、チルド状態とは、凍結する直前の状態を意味し、例えば、水相が水であれば0℃の状態である。
【0035】
チルド状態の水相を用いてマーガリン類を簡易に少量生産する場合には、第1実施形態と同様に、砕氷機能を備えていない撹拌機を用いるのが好適であるが、砕氷機能を備えた撹拌機を用いてもよい。一方、凍結状態の水相を用いてマーガリン類を簡易に少量生産する場合には、凍結状態の水相は比較的硬度が高いため、砕氷機能を備えた撹拌機を用いるのが好適である。
【0036】
予備乳化用水相殺菌工程S1については、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0037】
予備乳化工程S2についても、第1実施形態と概ね同様である。本実施形態における予備乳化工程S2では、マーガリン類を生産するために用いる水相全体から、投入材料冷却工程S3でチルド状態又は凍結状態とするための水相(マーガリン類を生産するための原材料全体の1~20%程度に相当する重量の水相)を除いた残りが、予備乳化用の水相として用いられる。
【0038】
投入材料冷却工程S3では、マーガリン類を生産するための原材料全体の1~20%程度に相当する重量の水相を、冷却してチルド状態又は凍結状態とする。当該工程における水相の凍結方法については既知の方法でよく、例えば、冷蔵庫の製氷機能や市販の製氷機を用いることで、水相を凍結状態とすることができる。具体的には、水相を製氷皿に注ぎ、製氷機や冷蔵庫の製氷室に入れることで、冷却され凍結状態にする。
凍結状態となった水相の形状や大きさは、攪拌・乳化工程S5において撹拌機により砕くことができれば、特に限定されるものではない。形状としては、例えば、キュービック状(製氷皿に応じた形状)、ブロック状、球状等とすることができる。
【0039】
このように、本実施形態に係るW/O型乳化油脂組成物の製造方法において水相を凍結状態とした場合には、当該水相を冷凍保存することが可能となる。すなわち、経日変化しやすい水相の原材料を安定的に保管することが可能となり、原材料の管理コストや経日変化による食材廃棄量の低減を図ることができる。さらに、牛乳、豆乳、アーモンドミルク、ココナッツミルク、大麦ミルク等が簡単に無菌に近い状態で、かつ所望の形状(キュービック状等)に冷凍されるので、衛生的にも好ましい。
なお、凍結状態の水相は、必ずしも投入材料冷却工程S3により生成する必要はない。例えば、水相として水を使用する場合には、市販のロックアイス(登録商標)等を凍結状態の水相として用いてもよい。
【0040】
投入工程S4、攪拌・乳化工程S5、混練・可塑化工程S6、取出し工程S7については、予備乳化物が収容されている撹拌機に、チルド状態又は凍結状態の水相を投入し、撹拌機を稼働させることで、予備乳化物とチルド状態又は凍結状態の水相とが攪拌されながら(凍結状態の水相であれば砕きながら)、乳化、急冷、可塑化が実行される点のみ、第1実施形態と異なり、他の点は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0041】
本実施形態に係るW/O型乳化油脂組成物の製造方法によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0042】
(第3実施形態)
本実施形態に係るW/O型乳化油脂組成物の製造方法は、予備乳化物に、予めチルド状態又は凍結状態とした副材料を加える点で、冷却して凝固状態となった油相を加える第1実施形態と異なる。以下では、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、その他の点は説明を省略する。
【0043】
本実施形態に係るW/O型乳化油脂組成物の製造方法では、水相と油相を攪拌することにより予備乳化を行った上で、予備乳化により得られた予備乳化物に、予めチルド状態又は凍結状態とした副材料を加え、乳化、急冷、可塑化する。
より具体的には、同温度帯の水相と油相を攪拌することで得られた予備乳化物と、チルド状態又は凍結状態の副材料とを、撹拌機に投入し、この撹拌機によって、チルド状態の副材料であれば攪拌しながら、また、凍結状態の副材料であれば砕きながら、予備乳化物とチルド状態又は凍結状態の副材料とを混練することで乳化させ、この乳化による乳化物を急冷可塑化する。
【0044】
原材料として用いる水相、油相については、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0045】
本実施形態では、予備乳化に用いる水相及び油相全体の1~20%程度(より望ましくは5~15%程度)の重量に相当する副材料を冷却してチルド状態又は凍結状態とする。
また、チルド状態又は凍結状態とする副材料としては、例えば、ホウレン草、カリフラワー、胡瓜、ケール、ゴボウ、小松菜、紫蘇、スイートコーン、ショウガ、玉葱、タケノコ、トマト、パセリ、レタス、レンコン、ワサビ等の野菜類、枝豆、落花生、大豆、小豆、インゲン豆、エンドウ豆、ソラ豆、アーモンド、カシューナッツ等の豆類、イチゴ、グレープフルーツ、パイナップル、オレンジ、オリーブ、柿、キウイ、スイカ、プルーン、ブドウ、マンゴー、メロン、リンゴ、レモン等の果実類(果肉、果汁のいずれも可)、アオサ、青海苔、岩海苔、昆布、テングサ、モズク、ワカメ等の海藻類、エノキ、椎茸、ナメコ、シメジ、キクラゲ、エリンギ、マッシュルーム等のキノコ類が挙げられる。
なお、これら副材料の中には酵素を含むものも多く、使用にあたり、殺菌するのみならず、酵素活性を加熱等により失活させておくことが望ましい。
【0046】
チルド状態の副材料を用いてマーガリン類を簡易に少量生産する場合には、第1実施形態と同様に、砕氷機能を備えていない撹拌機を用いるのが好適であるが、砕氷機能を備えた撹拌機を用いてもよい。また、凍結状態の副材料を用いてマーガリン類を簡易に少量生産する場合には、凍結状態の副材料は繊維質等が含まれており比較的硬度は低いため、砕氷機能を備えていない撹拌機を用いるのが好適であるが、砕氷機能を備えた撹拌機を用いてもよい。
【0047】
予備乳化用水相殺菌工程S1については、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0048】
予備乳化工程S2についても、第1実施形態と概ね同様である。本実施形態における予備乳化工程S2では、全ての水相及び油相を用いて予備乳化が行われる。
【0049】
投入材料冷却工程S3では、予備乳化に用いた水相及び油相全体の1~20%程度に相当する重量の副材料を、冷却してチルド状態又は凍結状態とする。当該工程における副材料の凍結方法については既知の方法でよく、例えば、副材料を容器等に入れ冷凍庫で冷却することで凍結状態にする。
凍結状態となった副材料の形状や大きさは、攪拌・乳化工程S5において撹拌機により砕くことができれば、特に限定されるものではなく、副材料そのものの形状のまま等とすることができる。
【0050】
このように、本実施形態に係るW/O型乳化油脂組成物の製造方法において副材料を凍結状態とした場合には、当該副材料を冷凍保存することが可能となる。すなわち、経日変化しやすい副材料を安定的に保管することが可能となり、原材料の管理コストや経日変化による食材廃棄量の低減を図ることができる。
なお、凍結状態の副材料は、必ずしも投入材料冷却工程S3により生成する必要はない。例えば、市販の冷凍野菜や冷凍果実等を、凍結状態の副材料として用いてもよい。
【0051】
投入工程S4、攪拌・乳化工程S5、混練・可塑化工程S6、取出し工程S7については、予備乳化物が収容されている撹拌機に、チルド状態又は凍結状態の副材料を投入し、撹拌機を稼働させることで、予備乳化物とチルド状態又は凍結状態の副材料とが攪拌されながら(凍結状態の副材料であれば砕きながら)、乳化、急冷、可塑化が実行される点のみ、第1実施形態と異なり、他の点は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0052】
本実施形態に係るW/O型乳化油脂組成物の製造方法によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0053】
なお、第1実施形態~第3実施形態では、冷却し凝固状態とした油相、チルド状態又は凍結状態の水相、或いは、チルド状態又は凍結状態の副材料のいずれかを予備乳化物に加えていたが、これらを組み合わせて予備乳化物に加えるようにしてもよい。すなわち、冷却し凝固状態とした油相、チルド状態又は凍結状態の水相、及び、チルド状態又は凍結状態の副材料のうちの2以上を予備乳化物に加えて、乳化、急冷、可塑化を実行するようにしてもよい。
このようにした場合にも、上述の実施形態と同様の作用効果を奏することとなる。
【実施例
【0054】
(1)実施例1
油相の原料として、パーム油80%とヤシ油20%の混合油(融点約31℃)300g(60質量%)、水相の原料として、牛乳147.5g(29.5質量%)及びヨーグルト15g(3質量%)の混合液を用いた。その他、呈味成分として、脱脂粉乳25g(5質量%)と、岩塩10g(2質量%)と、砂糖2.5g(0.5質量%)とを用いた。
【0055】
まず、上記混合油300gのうち50gを製氷皿に注ぎ、冷蔵庫の製氷室に入れて冷却し、キュービック状の凝固状態(-2℃程度)にした(投入材料冷却工程S3)。一方、牛乳とヨーグルトの混合液に脱脂粉乳、岩塩、砂糖を添加し溶解させたもの(水相)を95℃で1分間加熱殺菌した後(予備乳化用水相殺菌工程S1)、60℃程度まで冷ました上で、砕氷機能を備えていない撹拌機である一般的なミキサーに投入するとともに、加熱溶融して60℃程度となった上記混合油の残り(250g)をさらに上記ミキサーに投入し、攪拌することで予備乳化を行った(予備乳化工程S2)。
【0056】
次に、予め冷却し凝固状態にしておいた混合油を上記ミキサーに投入し(投入工程S4)、凝固状態の混合油を軟化させ又は砕きながら、この混合油と予備乳化物とを攪拌することにより乳化、かつ急冷した(攪拌・乳化工程S5)。その後、さらに上記ミキサーを稼働させ、乳化物を混練し可塑化させることで(混練・可塑化工程S6)、品温が15℃程の滑らかなクリーム状に乳化冷却されたW/O型乳化油脂ができあがった。そして、上記ミキサーからこのW/O型乳化油脂を取り出して(取出し工程S7)容器に移し、冷蔵庫に静置することで、コシがあって口当たりがよい、粘調性のある美味しいファットスプレッドが得られた。
【0057】
(2)実施例2
油相の原料として、パーム油80%とヤシ油20%の混合油(融点約31℃)300g(60質量%)、水相の原料として、牛乳147.5g(29.5質量%)及びヨーグルト15g(3質量%)の混合液を用いた。その他、呈味成分として、脱脂粉乳25g(5質量%)と、砂糖10g(2質量%)と、岩塩2.5g(0.5質量%)とを用いた。
【0058】
まず、牛乳とヨーグルトの混合液162.5gのうち50gを製氷皿に注ぎ、冷蔵庫の製氷室に入れて凍結させてキュービック状にした(投入材料冷却工程S3)。一方、牛乳とヨーグルトの混合液の残り(112.5g)に脱脂粉乳、岩塩、砂糖を添加し溶解させたもの(水相)を95℃で1分間加熱殺菌した後(予備乳化用水相殺菌工程S1)、60℃程度まで冷ました上で、砕氷機能を備えた撹拌機であるバイタミックス(Vitamix V1200i、Vitamix社)に投入するとともに、加熱溶融して60℃程度となった上記混合油300gをさらに上記バイタミックスに投入し、攪拌することで予備乳化を行った(予備乳化工程S2)。
【0059】
次に、予め冷却し凍結状態にしておいた牛乳とヨーグルトの混合液を上記バイタミックスに投入し(投入工程S4)、凍結状態の牛乳とヨーグルトの混合液を砕きながら、この混合液と予備乳化物とを攪拌することにより乳化、かつ急冷した(攪拌・乳化工程S5)。その後、さらに上記バイタミックスを稼働させ、乳化物を混練し可塑化させることで(混練・可塑化工程S6)、品温が15℃程の滑らかなクリーム状に乳化冷却されたW/O型乳化油脂ができあがった。そして、上記バイタミックスからこのW/O型乳化油脂を取り出して(取出し工程S7)容器に移し、冷蔵庫に静置することで、コシがあって口当たりがよい、粘調性のある美味しいファットスプレッドが得られた。
また、凍結状態にした牛乳とヨーグルトの混合液を用いるのではなく、チルド状態にした牛乳とヨーグルトの混合液を用いても、同様に、美味しいファットスプレッドが得られた。
【0060】
(3)実施例3
油相の原料として、パーム油(融点約31℃)150g(50質量%)、水相の原料として、豆乳120g(40質量%)を用いた。また、副材料として、ホウレン草15g(5質量%)と、大豆粉3g(1質量%)とを用いた。その他、呈味成分として、砂糖9g(3質量%)と、塩6g(2質量%)とを用いた。
【0061】
まず、ホウレン草及び大豆粉を皿に乗せ、冷蔵庫の製氷室に入れて凍結させた(投入材料冷却工程S3)。一方、豆乳に砂糖、塩を添加し溶解させたもの(水相)を95℃で1分間加熱殺菌した後(予備乳化用水相殺菌工程S1)、60℃程度まで冷ました上で、砕氷機能を備えていない撹拌機である一般的なミキサーに投入するとともに、加熱溶融して60℃程度となったパーム油をさらに上記ミキサーに投入し、攪拌することで予備乳化を行った(予備乳化工程S2)。
【0062】
次に、予め冷却し凍結状態にしておいたホウレン草及び大豆粉を上記ミキサーに投入し(投入工程S4)、凍結状態のホウレン草及び大豆粉を砕きながら、これらの副材料と予備乳化物とを攪拌することにより乳化、かつ急冷した(攪拌・乳化工程S5)。その後、さらに上記ミキサーを稼働させ、乳化物を混練し可塑化させることで(混練・可塑化工程S6)、品温が15℃程の滑らかなクリーム状に乳化冷却されたW/O型乳化油脂ができあがった。そして、上記ミキサーからこのW/O型乳化油脂を取り出して(取出し工程S7)容器に移し、冷蔵庫に静置することで、ホウレン草及び大豆の風味があるとともに、コシがあって口当たりがよい、粘調性のある美味しいファットスプレッドが得られた。
また、凍結状態にしたホウレン草及び大豆粉を用いるのではなく、チルド状態にしたホウレン草及び大豆粉を用いても、同様に、美味しいファットスプレッドが得られた。
【0063】
(4)実施例4
実験室用の小型コンビネーターを使用して、油相の原料としてパーム油80%とヤシ油20%の混合油、水相の原料として牛乳とヨーグルトの混合液を用いたファットスプレッドを試作した。
実施例3では、上記混合油を6kg強、上記混合液を3kg強とすることにより、10kg規模の仕込み量とした。
まず、予め上記混合液を凍結させて約500gずつの氷塊を2つ生成した(投入材料冷却工程S3)。一方、40℃程度とした牛乳とヨーグルトの上記混合液の残り(約2kg強)、及び、加熱溶融して40℃程度とした上記混合油を、予め冷却準備がなされていないコンビネーターに投入し、攪拌することで予備乳化を行った(予備乳化工程S2)。
【0064】
次に、上記混合油を攪拌しつつ、予め生成しておいた上記混合液の氷塊を溶解させて、上記コンビネーターに投入した(投入工程S4)。そして、上記コンビネーター内でこれらが攪拌されることで上記混合液と予備乳化物との乳化が行われ(攪拌・乳化工程S5)、さらに、乳化物が混練され可塑化されることで(混練・可塑化工程S6)、W/O型乳化油脂ができあがった。
このW/O型乳化油脂は、コンビネーター出口における品温(以下、出口品温ともいう)が、従来の製法(事前に冷却準備がなされたコンビネーターに乳化物を投入する製法)で生成されたW/O型乳化油脂の出口品温よりも10℃以上下回り、油相が滑らかな微細化された結晶状態となっていた。また、このW/O型乳化油脂は、従来の製法により生成されたW/O型乳化油脂よりもコシがあり、伸展性に優れていた。なお、従来の製法と異なり、乳化物を投入する前のコンビネーターの冷却準備や、コンビネーターの冷却そのものが不要となり、製造のコストや手間を軽減することができた。
【0065】
最後に、上記実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態では、予備乳化用水相殺菌工程S1において加熱殺菌を行ったが、これに限定されるものではなく、例えば、予備乳化工程S2により予備乳化が行われた後、この予備乳化により得られた予備乳化物(水相と油相の混合物)を加熱殺菌するようにしてもよい。
【0066】
上記実施形態では、予備乳化用水相殺菌工程S1を独立して設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、原料等の安全性が確保されているのであれば、当該工程を省略してもよい。
【0067】
上記実施形態では、予備乳化物に、冷却し凝固状態とした油相、チルド状態又は凍結状態の水相、チルド状態又は凍結状態の副材料を加え攪拌することで急冷を行ったが、これに加え、ドライアイスや液体窒素ガス等を投入することで急冷を促進するようにしてもよい。
【0068】
上記実施形態では、砕氷機能を備える撹拌機や砕氷機能を備えない撹拌機を使用して攪拌を行ったが、乳化物の急冷可塑化ができるならば、これに限定されるものではない。例えば、ハンドミキサーのような簡易な装置で攪拌してもよいし、手作業で攪拌してもよい。
【符号の説明】
【0069】
S1 予備乳化用水相殺菌工程
S2 予備乳化工程
S3 投入材料冷却工程
S4 投入工程
S5 攪拌・乳化工程
S6 混練・可塑化工程
S7 取出し工程
【要約】
【課題】簡易な手法、かつ低コストで製造可能であり、さらには少量生産も可能なW/O型乳化油脂組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】水相と油相を攪拌することにより予備乳化を行った上で、予備乳化により得られた予備乳化物に、冷却して凝固状態とした油相、チルド状態又は凍結状態の水相、及びチルド状態又は凍結状態の副材料の少なくともいずれか一を加え、乳化、急冷、可塑化する。
【選択図】図1
図1