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特許7269414半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/40 20100101AFI20230426BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20230426BHJP
   H01L 33/38 20100101ALI20230426BHJP
   H01L 33/44 20100101ALI20230426BHJP
   H01S 5/028 20060101ALI20230426BHJP
   H01S 5/042 20060101ALI20230426BHJP
   H01S 5/343 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
H01L33/40
H01L33/32
H01L33/38
H01L33/44
H01S5/028
H01S5/042 612
H01S5/343 610
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022074302
(22)【出願日】2022-04-28
【審査請求日】2022-05-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 紀隆
(72)【発明者】
【氏名】稲津 哲彦
【審査官】大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-180241(JP,A)
【文献】特開2015-082612(JP,A)
【文献】米国特許第05136364(US,A)
【文献】特許第6995227(JP,B1)
【文献】特開2020-205401(JP,A)
【文献】特開2022-030948(JP,A)
【文献】特開2021-180242(JP,A)
【文献】特開2021-072376(JP,A)
【文献】特開2021-034473(JP,A)
【文献】特開2020-177996(JP,A)
【文献】特開2020-113741(JP,A)
【文献】特開2020-087964(JP,A)
【文献】特開2020-064967(JP,A)
【文献】特開2019-207944(JP,A)
【文献】特開2019-207925(JP,A)
【文献】特開2013-254893(JP,A)
【文献】特開2011-100824(JP,A)
【文献】特開2009-238893(JP,A)
【文献】特開2007-294605(JP,A)
【文献】特開2002-009338(JP,A)
【文献】特開2001-160650(JP,A)
【文献】特開平10-233454(JP,A)
【文献】実開平04-036230(JP,U)
【文献】特開昭63-084122(JP,A)
【文献】特開昭62-219541(JP,A)
【文献】特開昭57-048247(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0231849(US,A1)
【文献】特開2023-020629(JP,A)
【文献】特開2023-020628(JP,A)
【文献】特開2023-020627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンドープのAlN層およびAlGaN層の少なくとも一方を含むベース層と、
前記ベース層上に設けられ、n型AlGaN系半導体材料から構成されるn型半導体層と、
前記n型半導体層の第1上面上に設けられ、AlGaN系半導体材料から構成される活性層と、
前記活性層上に設けられるp型半導体層と、
前記p型半導体層の上面と接触し、Rh層を含むp側コンタクト電極と、
前記n型半導体層の前記第1上面とは異なる第2上面と接触し、Al層を含むn側コンタクト電極と、
前記p側コンタクト電極上に設けられ、第1TiN層、Ti層、Rh層および第2TiN層を順に積層した積層構造を含み、前記第1TiN層および前記第2TiN層の間において複数のTi層と複数のRh層が交互に積層されるp側電流拡散層と、
前記n側コンタクト電極上に設けられ、第3TiN層、Ti層、Rh層および第4TiN層を順に積層した積層構造を含み、前記第3TiN層および前記第4TiN層の間において複数のTi層と複数のRh層が交互に積層されるn側電流拡散層と、
前記p側電流拡散層上に設けられる第1p側パッド開口と、前記n側電流拡散層上に設けられる第1n側パッド開口とを有し、前記第1p側パッド開口および前記第1n側パッド開口とは異なる箇所において、前記n型半導体層、前記活性層、前記p型半導体層、前記p側コンタクト電極、前記n側コンタクト電極、前記p側電流拡散層および前記n側電流拡散層を被覆し、酸化シリコンから構成される第1保護層と、
前記p側電流拡散層上に設けられる第2p側パッド開口と、前記n側電流拡散層上に設けられる第2n側パッド開口とを有し、前記第2p側パッド開口および前記第2n側パッド開口とは異なる箇所において前記第1保護層を被覆し、前記第1p側パッド開口を規定する前記第1保護層の内周面を被覆し、前記第1n側パッド開口を規定する前記第1保護層の内周面を被覆し、窒化シリコンから構成される第2保護層と、
前記第2p側パッド開口において前記p側電流拡散層と接続し、前記第2p側パッド開口の外側において前記第2保護層と重なるp側パッド電極と、
前記第2n側パッド開口において前記n側電流拡散層と接続し、前記第2n側パッド開口の外側において前記第2保護層と重なるn側パッド電極と、を備える半導体発光素子。
【請求項2】
前記p側電流拡散層および前記n側電流拡散層のそれぞれに含まれる前記複数のRh層のそれぞれの厚さは、10nm以上200nm以下である、請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項3】
前記第1保護層は、前記n型半導体層の外周において前記ベース層と接触し、
前記第2保護層は、前記第1保護層の外周において前記ベース層と接触する、請求項1または2に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記p側パッド電極および前記n側パッド電極のそれぞれは、前記第2保護層と接触し、前記第1保護層とは接触しない、請求項1または2に記載の半導体発光素子。
【請求項5】
アンドープのAlN層およびAlGaN層の少なくとも一方を含むベース層上にn型AlGaN系半導体材料から構成されるn型半導体層を形成する工程と、
前記n型半導体層上に、AlGaN系半導体材料から構成される活性層を形成する工程と、
前記活性層上にp型半導体層を形成する工程と、
前記p型半導体層および前記活性層のそれぞれの一部を除去して、前記n型半導体層の上面を露出させる工程と、
前記p型半導体層の上面と接触し、Rh層を含むp側コンタクト電極を形成する工程と、
前記n型半導体層の前記上面と接触し、Al層を含むn側コンタクト電極を形成する工程と、
前記p側コンタクト電極上に第1TiN層、Ti層、Rh層および第2TiN層を順に積層した積層構造を含み、前記第1TiN層と前記第2TiN層の間において複数のTi層および複数のRh層が交互に積層されるp側電流拡散層を形成する工程と、
前記n側コンタクト電極上に第3TiN層、Ti層、Rh層および第4TiN層を順に積層した積層構造を含み、前記第3TiN層と前記第4TiN層の間において複数のTi層および複数のRh層が交互に積層されるn側電流拡散層を形成する工程と、
前記n型半導体層、前記活性層、前記p型半導体層、前記p側コンタクト電極、前記n側コンタクト電極、前記p側電流拡散層および前記n側電流拡散層を被覆し、酸化シリコンから構成される第1保護層を形成する工程と、
前記p側電流拡散層上の前記第1保護層を除去して第1p側パッド開口を形成する工程と、
前記n側電流拡散層上の前記第1保護層を除去して第1n側パッド開口を形成する工程と、
前記第1保護層を被覆し、前記第1p側パッド開口を規定する前記第1保護層の内周面を被覆し、前記第1n側パッド開口を規定する前記第1保護層の内周面を被覆し、窒化シリコンから構成される第2保護層を形成する工程と、
前記p側電流拡散層上の前記第2保護層を除去して第2p側パッド開口を形成する工程と、
前記n側電流拡散層上の前記第2保護層を除去して第2n側パッド開口を形成する工程と、
前記第2p側パッド開口において前記p側電流拡散層と接続し、前記第2p側パッド開口の外側において前記第2保護層と重なるp側パッド電極を形成する工程と、
前記第2n側パッド開口において前記n側電流拡散層と接続し、前記第2n側パッド開口の外側において前記第2保護層と重なるn側パッド電極を形成する工程と、を備える半導体発光素子の製造方法。
【請求項6】
前記n型半導体層の外周部を除去して前記ベース層の上面を露出させる工程をさらに備え、前記第1保護層は、前記n型半導体層の外周において前記ベース層の前記上面と接触するように形成され、
前記第1保護層の外周部を除去して前記ベース層の前記上面を露出させる工程をさらに備え、前記第2保護層は、前記第1保護層の外周において前記ベース層の前記上面と接触するように形成される、請求項に記載の半導体発光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光素子は、基板上に積層されるn型半導体層、活性層およびp型半導体層を有し、n型半導体層上にn側電極が設けられ、p型半導体層上にp側電極が設けられる。半導体発光素子の表面には、SiO、Al、SiNなどの誘電体材料から構成される被覆層が設けられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-113741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体発光素子の信頼性をさらに向上させるためには、耐湿性のより優れた保護層が設けられることが好ましい。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、半導体発光素子の信頼性を向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の半導体発光素子は、ベース層と、ベース層上に設けられ、n型AlGaN系半導体材料から構成されるn型半導体層と、n型半導体層上に設けられ、AlGaN系半導体材料から構成される活性層と、活性層上に設けられるp型半導体層と、p型半導体層の上面と接触するp側コンタクト電極と、n型半導体層の上面と接触するn側コンタクト電極と、p側コンタクト電極上に設けられるp側電流拡散層と、n側コンタクト電極上に設けられるn側電流拡散層と、p側電流拡散層上に設けられる第1p側パッド開口と、n側電流拡散層上に設けられる第1n側パッド開口とを有し、第1p側パッド開口および第1n側パッド開口とは異なる箇所において、n型半導体層、活性層、p型半導体層、p側コンタクト電極、n側コンタクト電極、p側電流拡散層およびn側電流拡散層を被覆し、酸化シリコンから構成される第1保護層と、p側電流拡散層上に設けられる第2p側パッド開口と、n側電流拡散層上に設けられる第2n側パッド開口とを有し、第2p側パッド開口および第2n側パッド開口とは異なる箇所において第1保護層を被覆し、第1p側パッド開口を規定する第1保護層の内周面を被覆し、第1n側パッド開口を規定する第1保護層の内周面を被覆し、窒化シリコンから構成される第2保護層と、第2p側パッド開口においてp側電流拡散層と接続し、第2p側パッド開口の外側において第2保護層と重なるp側パッド電極と、第2n側パッド開口においてn側電流拡散層と接続し、第2n側パッド開口の外側において第2保護層と重なるn側パッド電極と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様は、半導体発光素子の製造方法である。この方法は、ベース層上にn型AlGaN系半導体材料から構成されるn型半導体層を形成する工程と、n型半導体層上に、AlGaN系半導体材料から構成される活性層を形成する工程と、活性層上にp型半導体層を形成する工程と、p型半導体層および活性層のそれぞれの一部を除去して、n型半導体層の上面を露出させる工程と、p型半導体層の上面と接触するp側コンタクト電極を形成する工程と、n型半導体層の上面と接触するn側コンタクト電極を形成する工程と、p側コンタクト電極上にp側電流拡散層を形成する工程と、n側コンタクト電極上にn側電流拡散層を形成する工程と、n型半導体層、活性層、p型半導体層、p側コンタクト電極、n側コンタクト電極、p側電流拡散層およびn側電流拡散層を被覆し、酸化シリコンから構成される第1保護層を形成する工程と、p側電流拡散層上の第1保護層を除去して第1p側パッド開口を形成する工程と、n側電流拡散層上の第1保護層を除去して第1n側パッド開口を形成する工程と、第1保護層を被覆し、第1p側パッド開口を規定する第1保護層の内周面を被覆し、第1n側パッド開口を規定する第1保護層の内周面を被覆し、窒化シリコンから構成される第2保護層を形成する工程と、p側電流拡散層上の第2保護層を除去して第2p側パッド開口を形成する工程と、n側電流拡散層上の第2保護層を除去して第2n側パッド開口を形成する工程と、第2p側パッド開口においてp側電流拡散層と接続し、第2p側パッド開口の外側において第2保護層と重なるp側パッド電極を形成する工程と、第2n側パッド開口においてn側電流拡散層と接続し、第2n側パッド開口の外側において第2保護層と重なるn側パッド電極を形成する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、半導体発光素子の信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る半導体発光素子の構成を概略的に示す断面図である。
図2】第1実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図3】第1実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図4】第1実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図5】第1実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図6】第1実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図7】第1実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図8】第1実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図9】第1実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図10】第1実施形態に係る半導体発光装置の構成を概略的に示す断面図である。
図11】第2実施形態に係る半導体発光素子の構成を概略的に示す断面図である。
図12】第2実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図13】第2実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図14】第2実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図15】第2実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図16】第2実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図17】第2実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図18】第2実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図19】第2実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図20】第3実施形態に係る半導体発光素子の構成を概略的に示す断面図である。
図21】第3実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図22】第3実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図23】第3実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図24】第3実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図25】第3実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図26】第3実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図27】第3実施形態に係る半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、説明の理解を助けるため、各図面における各構成要素の寸法比は、必ずしも実際の発光素子の寸法比と一致しない。
【0011】
本実施形態に係る半導体発光素子は、中心波長λが約360nm以下となる「深紫外光」を発するように構成され、いわゆるDUV-LED(Deep UltraViolet-Light Emitting Diode)チップである。このような波長の深紫外光を出力するため、バンドギャップが約3.4eV以上となる窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系半導体材料が用いられる。本実施形態では、特に、中心波長λが約240nm~320nmの深紫外光を発する場合について示す。
【0012】
本明細書において、「AlGaN系半導体材料」とは、少なくとも窒化アルミニウム(AlN)および窒化ガリウム(GaN)を含む半導体材料のことをいい、窒化インジウム(InN)などの他の材料を含有する半導体材料を含むものとする。したがって、本明細書にいう「AlGaN系半導体材料」は、例えば、In1-x-yAlGaN(0<x+y≦1、0<x<1、0<y<1)の組成で表すことができ、AlGaNまたはInAlGaNを含む。本明細書の「AlGaN系半導体材料」は、例えば、AlNおよびGaNのそれぞれのモル分率が1%以上であり、好ましくは5%以上、10%以上または20%以上である。
【0013】
また、AlNを含まない材料を区別するために「GaN系半導体材料」ということがある。「GaN系半導体材料」には、GaNやInGaNが含まれる。同様に、GaNを含まない材料を区別するために「AlN系半導体材料」ということがある。「AlN系半導体材料」には、AlNやInAlNが含まれる。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体発光素子10の構成を概略的に示す断面図である。半導体発光素子10は、基板20と、ベース層22と、n型半導体層24と、活性層26と、p型半導体層28と、p側コンタクト電極30と、n側コンタクト電極32と、p側電流拡散層34と、n側電流拡散層36と、第1保護層38と、第2保護層40と、p側パッド電極42と、n側パッド電極44とを備える。
【0015】
図1において、矢印Aで示される方向を「上下方向」または「厚み方向」ということがある。また、基板20から見て、基板20から離れる方向を上側、基板20に向かう方向を下側ということがある。
【0016】
基板20は、第1主面20aと、第1主面20aとは反対側の第2主面20bとを有する。第1主面20aは、ベース層22からp型半導体層28までの各層を成長させるための結晶成長面である。基板20は、半導体発光素子10が発する深紫外光に対して透光性を有する材料から構成され、例えば、サファイア(Al)から構成される。第1主面20aには、深さおよびピッチがサブミクロン(1μm以下)である微細な凹凸パターンが形成される。このような基板20は、パターン化サファイア基板(PSS;Patterned Sapphire Substrate)とも呼ばれる。第2主面20bは、活性層26が発する深紫外光を外部に取り出すための光取り出し面である。基板20は、AlNから構成されてもよいし、AlGaNから構成されてもよい。基板20は、第1主面20aがパターン化されていない平坦面によって構成される通常の基板であってもよい。
【0017】
ベース層22は、基板20の第1主面20aの上に設けられる。ベース層22は、n型半導体層24を形成するための下地層(テンプレート層)である。ベース層22は、例えば、アンドープのAlN層であり、具体的には高温成長させたAlN(HT-AlN;High Temperature-AlN)層である。ベース層22は、AlN層上に形成されるアンドープのAlGaN層をさらに含んでもよい。基板20がAlN基板またはAlGaN基板である場合、ベース層22は、アンドープのAlGaN層のみから構成されてもよい。つまり、ベース層22は、アンドープのAlN層およびAlGaN層の少なくとも一方を含む。
【0018】
n型半導体層24は、ベース層22の上面22aに設けられる。n型半導体層24は、n型のAlGaN系半導体材料から構成され、例えば、n型の不純物としてSiがドープされる。n型半導体層24は、活性層26が発する深紫外光を透過するように組成比が選択され、例えば、AlNのモル分率が25%以上、好ましくは、40%以上または50%以上となるように構成される。n型半導体層24は、活性層26が発する深紫外光の波長よりも大きいバンドギャップを有し、例えば、バンドギャップが4.3eV以上となるように構成される。n型半導体層24は、AlNのモル分率が80%以下、つまり、バンドギャップが5.5eV以下となるように構成されることが好ましく、AlNのモル分率が70%以下(つまり、バンドギャップが5.2eV以下)となるように構成されることがより望ましい。n型半導体層24は、1μm以上3μm以下の厚さを有し、例えば、2μm程度の厚さを有する。
【0019】
n型半導体層24は、不純物であるSiの濃度が1×1018/cm以上5×1019/cm以下となるように構成される。n型半導体層24は、Si濃度が5×1018/cm以上3×1019/cm以下となるように構成されることが好ましく、7×1018/cm以上2×1019/cm以下となるように構成されることがより好ましい。ある実施例において、n型半導体層24のSi濃度は、1×1019/cm前後であり、具体的には8×1018/cm以上1.5×1019/cm以下の範囲である。
【0020】
n型半導体層24は、第1上面24aと、第2上面24bと、側面24cとを有する。第1上面24aは、活性層26が形成される部分であり、第2上面24bは、活性層26が形成されない部分である。側面24cは、第1上面24aに対して第1角度θ1で傾斜している。第1角度θ1は、40度より大きく(つまり40度を含まない)、70度以下である。
【0021】
活性層26は、n型半導体層24の第1上面24aに設けられる。活性層26は、AlGaN系半導体材料から構成され、n型半導体層24とp型半導体層28の間に挟まれてダブルへテロ構造を形成する。活性層26は、波長355nm以下の深紫外光を出力するためにバンドギャップが3.4eV以上となるように構成され、例えば、波長320nm以下の深紫外光を出力できるようにAlN組成比が選択される。
【0022】
活性層26は、例えば、単層または多層の量子井戸構造を有し、アンドープのAlGaN系半導体材料から構成される障壁層と、アンドープのAlGaN系半導体材料から構成される井戸層とを含む。活性層26は、例えば、n型半導体層24と接触する第1障壁層と、第1障壁層上に設けられる第1井戸層とを含む。第1井戸層とp型半導体層28の間に、障壁層および井戸層の一以上のペアが追加的に設けられてもよい。障壁層および井戸層のそれぞれは、1nm以上20nm以下の厚さを有し、例えば、2nm以上10nm以下の厚さを有する。活性層26は、第2角度θ2で傾斜する側面(または傾斜面)26bを有する。第2角度θ2は、第1角度θ1よりも小さく、40度以下である。
【0023】
活性層26とp型半導体層28の間には、電子ブロック層がさらに設けられてもよい。電子ブロック層は、アンドープのAlGaN系半導体材料から構成され、例えば、AlNのモル分率が40%以上、好ましくは、50%以上となるように構成される。電子ブロック層は、AlNのモル分率が80%以上となるように構成されてもよく、GaNを含有しないAlN系半導体材料から構成されてもよい。電子ブロック層は、1nm以上10nm以下の厚さを有し、例えば、2nm以上5nm以下の厚さを有する。電子ブロック層は、第2角度θ2で傾斜する側面(または傾斜面)を有する。
【0024】
p型半導体層28は、活性層26の上に形成される。p型半導体層28は、p型のAlGaN系半導体材料層またはp型のGaN系半導体材料層であり、例えば、p型の不純物としてマグネシウム(Mg)がドープされるAlGaN層またはGaN層である。p型半導体層28は、例えば、20nm以上400nm以下の厚さを有する。p型半導体層28は、第2角度θ2で傾斜する側面(または傾斜面)28bを有する。
【0025】
p型半導体層28は、複数層によって構成されてもよい。p型半導体層28は、例えば、p型クラッド層とp型コンタクト層を有してもよい。p型クラッド層は、p型コンタクト層と比較してAlN比率の高いp型AlGaN層であり、活性層26と接触するように設けられる。p型コンタクト層は、p型クラッド層と比較してAlN比率の低いp型AlGaN層またはp型GaN層である。p型コンタクト層は、p型クラッド層の上に設けられ、p側コンタクト電極30と接触するように設けられる。p型クラッド層は、p型第1クラッド層と、p側第2クラッド層とを有してもよい。
【0026】
p型第1クラッド層は、活性層26が発する深紫外光を透過するように組成比が選択される。p型第1クラッド層は、例えば、AlNのモル分率が25%以上、好ましくは、40%以上または50%以上となるように構成される。p型第1クラッド層のAlN比率は、例えば、n型半導体層24のAlN比率と同程度、または、n型半導体層24のAlN比率よりも大きい。p型クラッド層のAlN比率は、70%以上または80%以上であってもよい。p型第1クラッド層は、10nm以上100nm以下の厚さを有し、例えば、15nm以上70nm以下の厚さを有する。
【0027】
p型第2クラッド層は、p型第1クラッド層上に設けられる。p型第2クラッド層は、AlN比率が中程度のp型AlGaN層であり、p型第1クラッド層よりもAlN比率が低く、p型コンタクト層よりもAlN比率が高い。p型第2クラッド層は、例えば、AlNのモル分率が25%以上、好ましくは、40%以上または50%以上となるように形成される。p型第2クラッド層のAlN比率は、例えば、n型半導体層24のAlN比率の±10%程度となるように形成される。p型第2クラッド層は、5nm以上250nm以下の厚さを有し、例えば、10nm以上150nm以下の厚さを有する。なお、p型第2クラッド層が設けられなくてもよく、p型クラッド層がp型第1クラッド層のみで構成されてもよい。
【0028】
p型コンタクト層は、相対的に低AlN比率のp型AlGaN層またはp型GaN層である。p型コンタクト層は、p側コンタクト電極30と良好なオーミック接触を得るためにAlN比率が20%以下となるよう構成され、好ましくは、AlN比率が10%以下、5%以下または0%となるように形成される。つまり、p型コンタクト層は、実質的にAlNを含まないp型GaN系半導体材料で形成されうる。その結果、p型コンタクト層は、活性層26が発する深紫外光を吸収しうる。p型コンタクト層は、活性層26が発する深紫外光の吸収量を小さくするために薄く形成されることが好ましい。p型コンタクト層は、5nm以上30nm以下の厚さを有し、例えば、10nm以上20nm以下の厚さを有する。
【0029】
p側コンタクト電極30は、p型半導体層28の上面28aに設けられる。p側コンタクト電極30は、p型半導体層28(例えば、p型コンタクト層)とオーミック接触可能であり、活性層26が発する深紫外光に対する反射率が高い材料で構成される。p側コンタクト電極30は、p型半導体層28の上面28aと接触するRh層を含む。p側コンタクト電極30は、例えばRh層のみからなる。p側コンタクト電極30に含まれるRh層の厚さは、50nm以上200nm以下であり、例えば70nm以上150nm以下である。
【0030】
n側コンタクト電極32は、n型半導体層24の第2上面24bに設けられる。n側コンタクト電極32は、例えば、第1Ti層、Al層、第2Ti層、TiN層を順に積層させたTi/Al/Ti/TiNの積層構造を有する。n側コンタクト電極32の第1Ti層は、n型半導体層24の第2上面24bと接触する。n側コンタクト電極32の第1Ti層の厚さは、1nm以上10nm以下であり、好ましくは5nm以下または2nm以下である。n側コンタクト電極32のAl層は、第1Ti層上に設けられ、第1Ti層と接触する。n側コンタクト電極32のAl層の厚さは、200nm以上であり、例えば300nm以上1000nm以下である。n側コンタクト電極32の第2Ti層は、Al層上に設けられ、Al層と接触する。n側コンタクト電極32の第2Ti層の厚さは、1nm以上50nm以下であり、例えば、5nm以上25nm以下である。n側コンタクト電極32のTiN層は、第2Ti層上に設けられ、第2Ti層と接触する。n側コンタクト電極32のTiN層は、導電性を有するTiNから構成される。n側コンタクト電極32のTiN層の厚さは、5nm以上100nm以下であり、例えば、10nm以上50nm以下である。
【0031】
p側電流拡散層34は、p側コンタクト電極30の上面30aおよび側面30bと接触し、p側コンタクト電極30の全体を被覆するように設けられる。p側電流拡散層34は、例えば、第1TiN層、Ti層、Rh層、第2TiN層、Ti層、Au層を順に積層させたTiN/Ti/Rh/TiN/Ti/Auの積層構造を有する。
【0032】
p側電流拡散層34の第1TiN層および第2TiN層は、導電性を有するTiNから構成される。p側電流拡散層34の第1TiN層および第2TiN層のそれぞれ厚さは、10nm以上200nm以下であり、例えば、50nm以上150nm以下である。p側電流拡散層34の第1TiN層および第2TiN層の間に設けられるTi層およびRh層のそれぞれの厚さは、10nm以上200nm以下であり、例えば、20nm以上150nm以下である。p側電流拡散層34は、第1TiN層と第2TiN層の間において、交互に積層される複数のTi層および複数のRh層を有してもよい。p側電流拡散層34の第2TiN層の上に設けられるTi層の厚さは、1nm以上50nm以下であり、例えば、5nm以上25nm以下である。p側電流拡散層34のAu層の厚さは、100nm以上500nm以下であり、例えば、150nm以上300nm以下である。
【0033】
n側電流拡散層36は、n側コンタクト電極32の上面32aおよび側面32bを被覆するように設けられる。n側電流拡散層36は、p側電流拡散層34と同様の構成を有し、例えば、第1TiN層、Ti層、Rh層、第2TiN層、Ti層、Au層を順に積層させたTiN/Ti/Rh/TiN/Ti/Auの積層構造を有する。
【0034】
n側電流拡散層36の第1TiN層および第2TiN層は、導電性を有するTiNから構成される。n側電流拡散層36の第1TiN層および第2TiN層のそれぞれ厚さは、10nm以上200nm以下であり、例えば、50nm以上150nm以下である。n側電流拡散層36の第1TiN層および第2TiN層の間に設けられるTi層およびRh層のそれぞれの厚さは、10nm以上200nm以下であり、例えば、20nm以上150nm以下である。n側電流拡散層36は、第1TiN層と第2TiN層の間において、交互に積層される複数のTi層および複数のRh層を有してもよい。n側電流拡散層36の第2TiN層の上に設けられるTi層の厚さは、1nm以上50nm以下であり、例えば、5nm以上25nm以下である。n側電流拡散層36のAu層の厚さは、100nm以上500nm以下であり、例えば、150nm以上300nm以下である。
【0035】
第1保護層38は、素子上部の全体を被覆するように設けられる。第1保護層38は、n型半導体層24、活性層26、p型半導体層28、p側コンタクト電極30、n側コンタクト電極32、p側電流拡散層34およびn側電流拡散層36を被覆する。第1保護層38は、p側電流拡散層34の上に設けられる第1p側パッド開口38pと、n側電流拡散層36の上に設けられる第1n側パッド開口38nとを有する。第1保護層38は、第1p側パッド開口38pと異なる箇所においてp側電流拡散層34を被覆し、第1n側パッド開口38nとは異なる箇所においてn側電流拡散層36を被覆する。第1保護層38は、n型半導体層24の外周においてベース層22と接触する。第1保護層38は、ベース層22の上面22aに接触し、n型半導体層24の第2上面24bおよび側面24cに接触し、活性層26の側面26bに接触し、p型半導体層28の上面28aおよび側面28bに接触し、p側電流拡散層34に接触し、n側電流拡散層36に接触する。
【0036】
第1保護層38は、酸化シリコン(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ハフニウム(HfO)などの酸化物誘電体材料から構成される。第1保護層38は、好ましくはSiOから構成される。第1保護層38の厚さは、300nm以上1500nm以下であり、例えば600nm以上1000nm以下である。
【0037】
第2保護層40は、素子上部の全体を被覆するように設けられ、第1保護層38の表面全体を被覆するように設けられる。第2保護層40は、p側電流拡散層34の上に設けられる第2p側パッド開口40pと、n側電流拡散層36の上に設けられる第2n側パッド開口40nとを有する。第2保護層40は、第2p側パッド開口40pおよび第2n側パッド開口40nとは異なる箇所において第1保護層38を被覆する。第2保護層40は、第1p側パッド開口38pおよび第1n側パッド開口38nのそれぞれの内側にも設けられる。第2保護層40は、第1p側パッド開口38pを規定する第1保護層38の内周面38cを被覆し、第1n側パッド開口38nを規定する第1保護層38の内周面38dを被覆する。第2p側パッド開口40pの形成範囲W2pは、第1p側パッド開口38pの形成範囲W1pよりも狭く、第1p側パッド開口38pの形成範囲W1pの内側にある。第2n側パッド開口40nの形成範囲W2nは、第1n側パッド開口38nの形成範囲W1nよりも狭く、第1n側パッド開口38nの形成範囲W1nの内側にある。第2保護層40は、第1保護層38の外周においてベース層22と接触する。第2保護層40は、ベース層22の上面22aに接触し、第1保護層38の上面38aおよび側面38bに接触し、第1保護層38の内周面38c,38dに接触し、p側電流拡散層34に接触し、n側電流拡散層36に接触する。
【0038】
第2保護層40は、耐湿性に優れた誘電体材料である窒化シリコン(SiN)から構成される。第2保護層40の厚さは、50nm以上500nm以下であり、例えば100nm以上400nm以下である。
【0039】
p側パッド電極42およびn側パッド電極44は、半導体発光素子10をサブマウント基板などに実装する際に接合される部分である。p側パッド電極42およびn側パッド電極44は、例えば、Ni/Au、Ti/AuまたはTi/Pt/Auの積層構造を含む。p側パッド電極42およびn側パッド電極44のそれぞれの厚さは、100nm以上であり、例えば200nm以上1000nm以下である。
【0040】
p側パッド電極42は、p側電流拡散層34の上に設けられ、第2p側パッド開口40pにおいてp側電流拡散層34と接続する。p側パッド電極42は、第2p側パッド開口40pを塞ぐように設けられ、第2p側パッド開口40pの外側において第2保護層40の上に重なる。p側パッド電極42の形成範囲W3pは、第2p側パッド開口40pの形成範囲W2pよりも広い。p側パッド電極42は、第1p側パッド開口38pの外側において第1保護層38の上に重なってもよい。p側パッド電極42の形成範囲W3pは、第1p側パッド開口38pの形成範囲W1pより広くてもよい。p側パッド電極42は、p側電流拡散層34を介してp側コンタクト電極30と電気的に接続される。
【0041】
n側パッド電極44は、n側電流拡散層36の上に設けられ、第2n側パッド開口40nにおいてn側電流拡散層36と接続する。n側パッド電極44は、第2n側パッド開口40nを塞ぐように設けられ、第2n側パッド開口40nの外側において第2保護層40の上に重なる。n側パッド電極44の形成範囲W3nは、第2n側パッド開口40nの形成範囲W2nよりも広い。n側パッド電極44は、第1n側パッド開口38nの外側において第1保護層38の上に重なってもよい。n側パッド電極44の形成範囲W3nは、第1n側パッド開口38nの形成範囲W1nより広くてもよい。n側パッド電極44は、n側電流拡散層36を介してn側コンタクト電極32と電気的に接続される。
【0042】
つづいて、第1実施形態に係る半導体発光素子10の製造方法について説明する。図2図9は、第1実施形態に係る半導体発光素子10の製造工程を概略的に示す。まず、図2において、基板20の第1主面20aの上にベース層22、n型半導体層24、活性層26、p型半導体層28を順に形成する。
【0043】
基板20は、例えばパターン化サファイア基板である。ベース層22は、例えばHT-AlN層と、アンドープのAlGaN層とを含む。n型半導体層24、活性層26およびp型半導体層28は、AlGaN系半導体材料、AlN系半導体材料またはGaN系半導体材料から構成される半導体層であり、有機金属化学気相成長(MOVPE;Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)法や、分子線エピタキシ(MBE;Molecular Beam Epitaxy)法などの周知のエピタキシャル成長法を用いて形成できる。
【0044】
つづいて、図2に示すように、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、p型半導体層28の上面28aにマスク80を形成する。マスク80を形成した状態において、マスク80と重ならない領域にあるp型半導体層28および活性層26をドライエッチングなどにより除去し、n型半導体層24の第2上面24bを露出させる。このエッチング工程により、p型半導体層28の側面28b、活性層26の側面26bおよびn型半導体層24の第2上面24bが形成される。その後、マスク80が除去される。
【0045】
次に、図3に示すように、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、p型半導体層28の上面28aにp側コンタクト電極30を形成する。p側コンタクト電極30は、p型半導体層28の上面28aと接触するRh層を含む。p側コンタクト電極30のRh層は、例えば、蒸着法により100℃以下の温度で形成される。蒸着法によりRh層を形成することにより、スパッタリング法を用いる場合に比べて、p型半導体層28の上面28aに対するダメージを抑制でき、p側コンタクト電極30のコンタクト抵抗を向上できる。
【0046】
p側コンタクト電極30の形成後、p側コンタクト電極30をアニールする。p側コンタクト電極30は、例えば、RTA(Rapid Thermal Annealing)法を用いて、500℃以上650℃以下の温度にてアニールされる。p側コンタクト電極30のアニール処理により、p側コンタクト電極30のコンタクト抵抗が低下する。p側コンタクト電極30のアニール処理により、p側コンタクト電極30の膜密度が上がり、p側コンタクト電極30の反射率が向上する。アニール処理後におけるp側コンタクト電極30のRh層の波長280nmに対する反射率は、65%以上であり、例えば67%である。
【0047】
次に、図3に示すように、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、n型半導体層24の第2上面24bにn側コンタクト電極32を形成する。n側コンタクト電極32は、n型半導体層24の第2上面24bと接触し、順に積層される第1Ti層、Al層、第2Ti層およびTiN層を含む。n側コンタクト電極32を構成する第1Ti層、Al層、第2Ti層およびTiN層は、スパッタリング法により形成できる。
【0048】
n側コンタクト電極32の形成後、n側コンタクト電極32をアニールする。n側コンタクト電極32は、例えば、RTA法を用いて、500℃以上650℃以下の温度にてアニールされる。n側コンタクト電極32のアニール処理により、n側コンタクト電極32のコンタクト抵抗が低下する。
【0049】
次に、図4に示すように、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、p側コンタクト電極30の上面30aおよび側面30bを被覆するようにp側電流拡散層34を形成し、n側コンタクト電極32の上面32aおよび側面32bを被覆するようにn側電流拡散層36を形成する。p側電流拡散層34およびn側電流拡散層36は、順に積層される第1TiN層、Ti層、Rh層、第2TiN層、Ti層およびAu層を含む。p側電流拡散層34およびn側電流拡散層36は、スパッタリング法を用いて100℃以下の温度で同時に形成できる。なお、p側電流拡散層34およびn側電流拡散層36は、別々に形成されてもよい。
【0050】
次に、図5に示すように、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、n型半導体層24、活性層26、p型半導体層28、p側電流拡散層34およびn側電流拡散層36の上にマスク82を形成する。マスク82を形成した状態において、マスク82と重ならない領域にあるn型半導体層24の外周部をドライエッチングなどにより除去し、ベース層22の上面22aを露出させる。このエッチング工程により、n型半導体層24の側面24cが形成される。その後、マスク82が除去される。
【0051】
次に、図6に示すように、素子上部の全体を被覆するように第1保護層38を形成する。第1保護層38は、SiOから構成されることができ、プラズマ励起化学気相成長(PECVD;Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法を用いて形成できる。第1保護層38は、ベース層22の上面22aと、n型半導体層24の第2上面24bおよび側面24cと、活性層26の側面26cと、p型半導体層28の上面28aおよび側面28cと、p側電流拡散層34と、n側電流拡散層36と接触し、これらを被覆するように形成される。
【0052】
次に、図7に示すように、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、第1保護層38の上にマスク84を形成する。マスク84は、第1p側パッド開口38pの形成範囲W1pと、第1n側パッド開口38nの形成範囲W1nと、ベース層22の上面22aを露出させる第1外周範囲W1aとを除いて形成される。マスク84を形成した状態において、マスク84と重ならない領域にある第1保護層38をドライエッチングなどにより除去する。p側電流拡散層34上の第1保護層38を除去することにより、p側電流拡散層34の上面34aが露出する第1p側パッド開口38pが形成される。n側電流拡散層36上の第1保護層38を除去することにより、n側電流拡散層36の上面36aが露出する第1n側パッド開口38nが形成される。また、第1外周範囲W1aにある第1保護層38の外周部を除去することにより、ベース層22の上面22aが露出する。その後、マスク84が除去される。
【0053】
次に、図8に示すように、素子上部の全体を被覆するように第2保護層40を形成する。第2保護層40は、SiNから構成されることができ、PECVD法を用いて形成できる。第2保護層40は、ベース層22の上面22aと、第1保護層38の上面38aおよび側面38bと接触し、これらを被覆するように形成される。第2保護層40は、第1p側パッド開口38pにおいて、第1p側パッド開口38pを規定する第1保護層38の内周面38cと接触し、p側電流拡散層34の上面34aと接触し、これらを被覆する。第2保護層40は、第1n側パッド開口38nにおいて、第1n側パッド開口38nを規定する第1保護層38の内周面38dと接触し、n側電流拡散層36の上面36aと接触し、これらを被覆する。
【0054】
次に、図9に示すように、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、第2保護層40の上にマスク86を形成する。マスク86は、第2p側パッド開口40pの形成範囲W2pと、第2n側パッド開口40nの形成範囲W2nと、ベース層22の上面22aを露出させる第2外周範囲W2aとを除いて形成される。マスク86を形成した状態において、マスク86と重ならない領域にある第2保護層40をドライエッチングなどにより除去する。p側電流拡散層34上の第2保護層40を除去することにより、p側電流拡散層34の上面34aが露出する第2p側パッド開口40pが形成される。n側電流拡散層36上の第2保護層40を除去することにより、n側電流拡散層36の上面36aが露出する第2n側パッド開口40nが形成される。また、第2外周範囲W2aにある第2保護層40の外周部を除去することにより、ベース層22の上面22aが露出する。第2外周範囲W2aは、基板20およびベース層22を切断して素子を個片化するための素子分離領域となる。その後、マスク86が除去される。
【0055】
次に、図1に示すように、第2p側パッド開口40pにおいてp側電流拡散層34と接続するp側パッド電極42を形成し、第2n側パッド開口40nにおいてn側電流拡散層36と接続するn側パッド電極44を形成する。p側パッド電極42は、第2p側パッド開口40pの外側において第2保護層40の上に重なるように形成される。n側パッド電極44は、第2n側パッド開口40nの外側において第2保護層40の上に重なるように形成される。p側パッド電極42およびn側パッド電極44は、同時に形成できるが、別々に形成されてもよい。
【0056】
以上の工程により、図1に示す半導体発光素子10ができあがる。
【0057】
本実施形態によれば、SiOから構成される第1保護層38と、SiNから構成される第2保護層40とを組み合わせることにより、半導体発光素子10の耐湿性を向上させることができる。また、第1p側パッド開口38pおよび第1n側パッド開口38nを規定する第1保護層38の内周面38c,38dを第2保護層40によって被覆することにより、半導体発光素子10の耐湿性をさらに向上できる。
【0058】
本実施形態によれば、第1保護層38の側面38bの全体を第2保護層40によって被覆することにより、半導体発光素子10の耐湿性をさらに向上できる。言い換えれば、第2保護層40がベース層22と接触することにより、第1保護層38の外周において第1保護層38が第2保護層40によって被覆されずに外部に露出することを防ぐことができる。
【0059】
本実施形態によれば、p側パッド電極42およびn側パッド電極44のそれぞれは、第2保護層40と接触し、第1保護層38と接触しないため、第1保護層38の上に第2保護層40が重なる箇所にp側パッド電極42およびn側パッド電極44を形成できる。そのため、p側パッド電極42およびn側パッド電極44の形成箇所における封止性を高め、半導体発光素子10の耐湿性をさらに向上できる。
【0060】
本実施形態に係る半導体発光素子10は、耐湿性に優れるため、パッケージ内に封止することなく使用できる。半導体発光素子10は、第2保護層40が外部環境に露出した状態のまま通電使用でき、例えば、チップオンサブマウント(CoS;Chip on Submount)の形態で使用できる。
【0061】
図10は、第1実施形態に係る半導体発光装置50の構成を概略的に示す断面図である。半導体発光装置50は、半導体発光素子10と、サブマウント52と、第1スタッドバンプ54と、第2スタッドバンプ56とを備える。半導体発光装置50は、CoS型の装置である。図10では、図1に示す半導体発光素子10を上下逆にしている。
【0062】
サブマウント52は、サブマウント基板58と、第1マウント電極60と、第2マウント電極62とを備える。第1マウント電極60および第2マウント電極62は、サブマウント基板58の表面58a上に設けられる。第1マウント電極60は、第1スタッドバンプ54を介してp側パッド電極42と接続される。第2マウント電極62は、第2スタッドバンプ56を介してn側パッド電極44と接続される。
【0063】
第1スタッドバンプ54および第2スタッドバンプ56は、半導体発光素子10とサブマウント52の間を接合する。第1スタッドバンプ54および第2スタッドバンプ56は、いわゆるAuスタッドバンプであり、Auワイヤの先端部を溶融させてボール状にしたものをサブマウント52に押しつけることで形成できる。第1スタッドバンプ54および第2スタッドバンプ56は、例えば、超音波接合によってp側パッド電極42またはn側パッド電極44に接合できる。
【0064】
第2p側パッド開口40pの形成範囲W2pは、p側パッド電極42と第1スタッドバンプ54の接合部が占める範囲Dpより大きく、第1スタッドバンプ54の接合端部の直径Dpよりも大きい。これにより、第1スタッドバンプ54の接合端部が第2保護層40と厚み方向に重ならないようにして、第1スタッドバンプ54をp側パッド電極42に接合できる。同様に、第2n側パッド開口40nの形成範囲W2nは、n側パッド電極44と第2スタッドバンプ56の接合部が占める範囲Dnより大きく、第2スタッドバンプ56の接合端部の直径Dnよりも大きい。これにより、第2スタッドバンプ56の接合端部が第2保護層40と厚み方向に重ならないようにして、第2スタッドバンプ56をn側パッド電極44に接合できる。その結果、第1スタッドバンプ54および第2スタッドバンプ56の接合時の負荷によって第2保護層40にクラック等の損傷が発生することを防ぐことができ、半導体発光素子10の信頼性を向上できる。
【0065】
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態に係る半導体発光素子10Aの構成を概略的に示す断面図である。第2実施形態では、半導体発光素子10Aが誘電体被覆層70をさらに備える点で、上述の第1実施形態と相違する。以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明し、共通点について適宜説明を省略する。
【0066】
半導体発光素子10Aは、基板20と、ベース層22と、n型半導体層24と、活性層26と、p型半導体層28と、p側コンタクト電極30と、n側コンタクト電極32と、p側電流拡散層34と、n側電流拡散層36と、第1保護層38と、第2保護層40と、p側パッド電極42と、n側パッド電極44と、誘電体被覆層70とを備える。
【0067】
誘電体被覆層70は、活性層26およびp型半導体層28のそれぞれと、第1保護層38との間に設けられる。誘電体被覆層70は、n型半導体層24、活性層26、p型半導体層28およびp側電流拡散層34と接触し、これらを被覆する。誘電体被覆層70は、n型半導体層24の第2上面24bに設けられるコンタクト開口70nを有し、コンタクト開口70nとは異なる箇所においてn型半導体層24の第2上面24bを被覆する。誘電体被覆層70は、活性層26の側面26bと、p型半導体層28の上面28aおよび側面28bとを被覆する。誘電体被覆層70は、p側電流拡散層34上に設けられる第3p側パッド開口70pを有し、第3p側パッド開口70pとは異なる箇所においてp側電流拡散層34を被覆する。第3p側パッド開口70pの形成範囲は、第1p側パッド開口38pの形成範囲W1pと同じである。第3p側パッド開口70pの形成範囲は、第2p側パッド開口40pの形成範囲W2pよりも広い。
【0068】
誘電体被覆層70は、SiO、Al、HfOなどの酸化物誘電体材料から構成され、第1保護層38とは異なる材料から構成される。誘電体被覆層70は、好ましくはAlから構成される。誘電体被覆層70の厚さは、10nm以上100nm以下であり、例えば20nm以上50nm以下である。
【0069】
n側コンタクト電極32は、コンタクト開口70nを塞ぐように設けられ、コンタクト開口70nの外側において誘電体被覆層70の上に重なる。n側コンタクト電極32は、コンタクト開口70nの外側において誘電体被覆層70と接触する。n側コンタクト電極32の形成範囲は、コンタクト開口70nの形成範囲よりも広い。
【0070】
n側電流拡散層36は、コンタクト開口70nの外側において誘電体被覆層70の上に重なる。n側電流拡散層36は、n側コンタクト電極32の外側において誘電体被覆層70と接触する。n側電流拡散層36の形成範囲は、コンタクト開口70nの形成範囲よりも広い。
【0071】
第1保護層38は、誘電体被覆層70と接触する。第1保護層38は、第1p側パッド開口38pとは異なる箇所において誘電体被覆層70を被覆する。第2保護層40は、第3p側パッド開口70pを規定する誘電体被覆層70の内周面70cをさらに被覆する。
【0072】
つづいて、第2実施形態に係る半導体発光素子10Aの製造方法について説明する。まず、第1実施形態の図2に示される工程が実行される。つづいて、図12図19の工程が実行される。図12図19は、第2実施形態に係る半導体発光素子10Aの製造工程を概略的に示す。
【0073】
図2の工程の次に、図12に示すように、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、p型半導体層28の上面28aにp側コンタクト電極30を形成する。p側コンタクト電極30の形成後、p側コンタクト電極30をアニールする。つづいて、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、p側コンタクト電極30の上面30aおよび側面30bを被覆するようにp側電流拡散層34を形成する。
【0074】
次に、図13に示すように、誘電体被覆層70が形成される。誘電体被覆層70は、n型半導体層24の第2上面24bと、活性層26の側面26bと、p型半導体層28の上面28aおよび側面28bと、p側電流拡散層34と接触し、これらを被覆するように形成される。誘電体被覆層70は、Alから構成されることができ、原子堆積(ALD;Atomic Layer Deposition)法により形成できる。
【0075】
次に、図14に示すように、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、誘電体被覆層70をドライエッチングなどにより部分的に除去し、コンタクト開口70nを形成する。コンタクト開口70nにおいて、n型半導体層24の第2上面24bが露出する。つづいて、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、コンタクト開口70nを塞ぐようにして、n型半導体層24の第2上面24bにn側コンタクト電極32を形成する。n側コンタクト電極32の形成後、n側コンタクト電極32をアニールする。つづいて、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、n側コンタクト電極32の上面32aおよび側面32bを被覆するn側電流拡散層36を形成する。
【0076】
次に、図15に示すように、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、誘電体被覆層70およびn側電流拡散層36の上にマスク82Aを形成する。マスク82Aを形成した状態において、マスク82Aと重ならない領域にある誘電体被覆層70およびn型半導体層24のそれぞれの外周部をドライエッチングなどにより除去し、ベース層22の上面22aを露出させる。このエッチング工程により、n型半導体層24の側面24cが形成される。その後、マスク82Aが除去される。
【0077】
次に、図16に示すように、素子上部の全体を被覆するように第1保護層38を形成する。第1保護層38は、ベース層22の上面22aと、n型半導体層24の側面24cと、n側電流拡散層36と、誘電体被覆層70と接触し、これらを被覆するように形成される。
【0078】
次に、図17に示すように、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、第1保護層38の上にマスク84Aを形成する。マスク84Aは、第1p側パッド開口38pの形成範囲W1pと、第1n側パッド開口38nの形成範囲W1nと、ベース層22の上面22aを露出させる第1外周範囲W1aとを除いて形成される。マスク84Aを形成した状態において、マスク84Aと重ならない領域にある第1保護層38および誘電体被覆層70をドライエッチングなどにより除去する。p側電流拡散層34上の第1保護層38を除去することにより、第1p側パッド開口38pが形成され、p側電流拡散層34上の誘電体被覆層70を除去することにより、第3p側パッド開口70pが形成される。これにより、第1p側パッド開口38pおよび第3p側パッド開口70pにおいて、p側電流拡散層34の上面34aが露出する。n側電流拡散層36上の第1保護層38を除去することにより、n側電流拡散層36の上面36aが露出する第1n側パッド開口38nが形成される。また、第1外周範囲W1aにある第1保護層38の外周部を除去することにより、ベース層22の上面22aが露出する。その後、マスク84Aが除去される。
【0079】
次に、図18に示すように、素子構造の上面全体を被覆するように第2保護層40を形成する。第2保護層40は、SiNから構成されることができ、PECVD法を用いて形成できる。第2保護層40は、ベース層22の上面22aと、第1保護層38の上面38aおよび側面38bと接触し、これらを被覆するように形成される。第2保護層40は、第1p側パッド開口38pにおいて、第1p側パッド開口38pを規定する第1保護層38の内周面38cと接触し、第3p側パッド開口70pを規定する誘電体被覆層70の内周面70cを接触し、p側電流拡散層34の上面34aと接触し、これらを被覆する。第2保護層40は、第1n側パッド開口38nにおいて、第1n側パッド開口38nを規定する第1保護層38の内周面38dと接触し、n側電流拡散層36の上面36aと接触し、これらを被覆する。
【0080】
次に、図19に示すように、第2保護層40の上にマスク86を形成する。マスク86は、第2p側パッド開口40pの形成範囲W2pと、第2n側パッド開口40nの形成範囲W2nと、ベース層22の上面22aを露出させる第2外周範囲W2aとを除いて形成される。マスク86を形成した状態において、マスク86と重ならない領域にある第2保護層40をドライエッチングなどにより除去する。p側電流拡散層34上の第2保護層40を除去することにより、p側電流拡散層34の上面34aが露出する第2p側パッド開口40pが形成される。n側電流拡散層36上の第2保護層40を除去することにより、n側電流拡散層36の上面36aが露出する第2n側パッド開口40nが形成される。また、第2外周範囲W2aにある第2保護層40の外周部を除去することにより、ベース層22の上面22aが露出する。その後、マスク86が除去される。
【0081】
次に、図11に示すように、第2p側パッド開口40pにおいてp側電流拡散層34と接続するp側パッド電極42を形成し、第2n側パッド開口40nにおいてn側電流拡散層36と接続するn側パッド電極44を形成する。p側パッド電極42およびn側パッド電極44は、同時に形成できるが、別々に形成されてもよい。
【0082】
以上の工程により、図11に示す半導体発光素子10Aができあがる。
【0083】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第2実施形態に係る半導体発光素子10Aは、図10に示されるCoS型の半導体発光装置50に用いることができる。この場合、第2p側パッド開口40pの形成範囲W2pは、第1スタッドバンプ54の接合端部の直径Dpよりも大きいことが好ましい。同様に、第2n側パッド開口40nの形成範囲W2nは、第2スタッドバンプ56の接合端部の直径Dnよりも大きいことが好ましい。
【0084】
(第3実施形態)
図20は、第3実施形態に係る半導体発光素子10Bの構成を概略的に示す断面図である。第3実施形態では、半導体発光素子10Bがp側電極被覆層72、第1誘電体被覆層74および第2誘電体被覆層76をさらに備える点で、上述の第1実施形態と相違する。以下、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明し、共通点について適宜説明を省略する。
【0085】
半導体発光素子10Bは、基板20と、ベース層22と、n型半導体層24と、活性層26と、p型半導体層28と、p側コンタクト電極30と、n側コンタクト電極32と、p側電流拡散層34と、n側電流拡散層36と、第1保護層38と、第2保護層40と、p側パッド電極42と、n側パッド電極44と、p側電極被覆層72と、第1誘電体被覆層74と、第2誘電体被覆層76とを備える。
【0086】
p側電極被覆層72は、p側コンタクト電極30の上面および側面と接触し、p側コンタクト電極30の全体を被覆するように設けられる。p側電極被覆層72は、順に積層されるTi層、Rh層およびTiN層を含む。p側電極被覆層72のTi層の厚さは、1nm以上50nm以下であり、例えば、5nm以上25nm以下である。p側電極被覆層72のRh層の厚さは、5nm以上100nm以下であり、例えば、10nm以上50nm以下である。p側電極被覆層72のTiN層は、導電性を有するTiNから構成される。p側電極被覆層72のTiN層の厚さは、5nm以上100nm以下であり、例えば、10nm以上50nm以下である。
【0087】
第1誘電体被覆層74は、p側電極被覆層72の上面および側面と接触し、p型半導体層28の上面28aと接触し、これらを被覆する。第1誘電体被覆層74は、p側電極被覆層72上に設けられる第1接続開口74pを有し。第1接続開口74pとは異なる箇所においてp側電極被覆層72を被覆する。第1誘電体被覆層74は、p型半導体層28の側面28bおよび活性層26の側面26aとは接触しない。
【0088】
第1誘電体被覆層74は、SiO、Al3、HfOなどの酸化物誘電体材料から構成される。第1誘電体被覆層74は、好ましくはSiOから構成される。第1誘電体被覆層74の厚さは、50nm以上であり、例えば100nm以上500nm以下である。
【0089】
第2誘電体被覆層76は、活性層26およびp型半導体層28のそれぞれと、第1保護層38との間に設けられる。第2誘電体被覆層76は、n型半導体層24の第2上面24bと接触し、活性層26の側面26bと接触し、p型半導体層28の側面28bと接触し、第1誘電体被覆層74と接触し、これらを被覆する。第2誘電体被覆層76は、p側電極被覆層72上に設けられる第2接続開口76pを有する。第2誘電体被覆層76は、第2接続開口76pとは異なる箇所において第1誘電体被覆層74を被覆する。第2接続開口76pは、第1接続開口74pと連通する。第2接続開口76pの形成範囲は、第1接続開口74pの形成範囲と同じである。第2誘電体被覆層76は、n型半導体層24の第2上面24bに設けられるコンタクト開口76nを有する。第2誘電体被覆層76は、コンタクト開口76nとは異なる箇所においてn型半導体層24の第2上面24bを被覆する。
【0090】
第2誘電体被覆層76は、SiO、Al、HfOなどの酸化物誘電体材料から構成され、第1誘電体被覆層74とは異なる材料から構成される。第2誘電体被覆層76は、好ましくはAlから構成される。第2誘電体被覆層76の厚さは、10nm以上100nm以下であり、例えば20nm以上50nm以下である。
【0091】
n側コンタクト電極32は、コンタクト開口76nを塞ぐように設けられ、コンタクト開口76nの外側において第2誘電体被覆層76の上に重なる。n側コンタクト電極32は、コンタクト開口76nの外側において第2誘電体被覆層76と接触する。n側コンタクト電極32の形成範囲は、コンタクト開口76nの形成範囲よりも広い。
【0092】
p側電流拡散層34は、p側電極被覆層72上に設けられ、接続開口(第1接続開口74pおよび第2接続開口76p)においてp側電極被覆層72と接続する。p側電流拡散層34は、p側電極被覆層72を介してp側コンタクト電極30と電気的に接続する。p側電流拡散層34は、第1接続開口74pおよび第2接続開口76pを塞ぐように設けられ、第2接続開口76pの外側において第2誘電体被覆層76の上に重なる。p側電流拡散層34の形成範囲は、第1接続開口74pおよび第2接続開口76pの形成範囲よりも広い。
【0093】
n側電流拡散層36は、コンタクト開口76nの外側において第2誘電体被覆層76の上に重なる。n側電流拡散層36は、n側コンタクト電極32の外側において第2誘電体被覆層76と接触する。n側電流拡散層36の形成範囲は、コンタクト開口76nの形成範囲よりも広い。
【0094】
第1保護層38は、p側電流拡散層34上に設けられる第1p側パッド開口38pと、n側電流拡散層36上に設けられる第1n側パッド開口38nとを有する。第1保護層38は、第1p側パッド開口38pとは異なる箇所においてp側電流拡散層34を被覆する。第1保護層38は、第1n側パッド開口38nとは異なる箇所においてn側電流拡散層36を被覆する。第1保護層38は、誘電体被覆層70と接触し、被覆する。第1保護層38は、n型半導体層24の側面24cと接触し、被覆する。第1保護層38は、n型半導体層24の外周において、ベース層22の上面22aと接触し、被覆する。
【0095】
つづいて、第2実施形態に係る半導体発光素子10Bの製造方法について説明する。図21図27は、第3実施形態に係る半導体発光素子10Bの製造工程を概略的に示す図である。
【0096】
まず、図21において、基板20の第1主面20aの上にベース層22、n型半導体層24、活性層26、p型半導体層28を順に形成する。つづいて、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、p型半導体層28の上面28aにp側コンタクト電極30を形成する。p側コンタクト電極30の形成後、p側コンタクト電極30をアニールする。
【0097】
つづいて、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、p側コンタクト電極30の全体を被覆するようにp側電極被覆層72を形成する。p側電極被覆層72は、p側コンタクト電極30の上面30aおよび側面30bと接触し、順に積層されるTi層、Rh層およびTiN層を含む。p側電極被覆層72は、スパッタリング法により形成できる。つづいて、p型半導体層28の上面28aを被覆し、p側電極被覆層72の上面72aおよび側面72bを被覆するように第1誘電体被覆層74を形成する。第1誘電体被覆層74は、例えばSiOから構成され、PECVD法により形成できる。
【0098】
次に、図22に示すように、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、第1誘電体被覆層74の上にマスク80Bを形成する。マスク80Bは、p側コンタクト電極30およびp側電極被覆層72の形成範囲よりも広い範囲にわたって設けられる。マスク80Bの形成後、マスク80Bと重ならない領域にある第1誘電体被覆層74、p型半導体層28および活性層26をドライエッチングなどにより除去し、n型半導体層24の第2上面24bを露出させる。このエッチング工程により、p型半導体層28の側面28b、活性層26の側面26bおよびn型半導体層24の第2上面24bが形成される。その後、マスク80Bが除去される。
【0099】
次に、図23に示すように、第2誘電体被覆層76が形成される。第2誘電体被覆層76は、n型半導体層24の第2上面24bと、活性層26の側面26bと、p型半導体層28の側面28bと、第1誘電体被覆層74と接触し、これらを被覆するように形成される。第2誘電体被覆層76は、例えばAlから構成され、ALD法により形成できる。
【0100】
次に、図24に示すように、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、第2誘電体被覆層76をドライエッチングなどにより部分的に除去し、コンタクト開口76nを形成する。コンタクト開口76nにおいて、n型半導体層24の第2上面24bが露出する。つづいて、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、コンタクト開口76nを塞ぐようにして、n型半導体層24の第2上面24bにn側コンタクト電極32を形成する。n側コンタクト電極32の形成後、n側コンタクト電極32をアニールする。つづいて、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、n側コンタクト電極32の上面32aおよび側面32bを被覆するn側電流拡散層36を形成する。
【0101】
次に、図25に示すように、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、第2誘電体被覆層76およびn側電流拡散層36の上にマスク82Bを形成する。マスク82Bを形成した状態において、マスク82Bと重ならない領域にある第2誘電体被覆層76およびn型半導体層24のそれぞれの外周部をドライエッチングなどにより除去し、ベース層22の上面22aを露出させる。このエッチング工程により、n型半導体層24の側面24cが形成される。その後、マスク82Bが除去される。
【0102】
次に、図26に示すように、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、第2誘電体被覆層76および第1誘電体被覆層74をドライエッチングなどにより部分的に除去し、第2接続開口76pおよび第1接続開口74pを形成する。これにより、接続開口(第1接続開口74pおよび第2接続開口76p)において、p側電極被覆層72の上面72aが露出する。つづいて、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、接続開口(第1接続開口74pおよび第2接続開口76p)においてp側電極被覆層72と接続するp側電流拡散層34を形成する。
【0103】
次に、図27に示すように、素子上部の全体を被覆するように第1保護層38を形成する。第1保護層38は、ベース層22の上面22aと、n型半導体層24の側面24cと、第2誘電体被覆層76と、p側電流拡散層34と、n側電流拡散層36と接触し、これらを被覆する。
【0104】
次に、第1実施形態の図7と同様の工程により、マスク84と重ならない領域にある第1保護層38をドライエッチングなどにより除去する。これにより、p側電流拡散層34の上面34aが露出する第1p側パッド開口38pが形成され、n側電流拡散層36の上面36aが露出する第1n側パッド開口38nが形成され、第1外周範囲W1aにおいてベース層22の上面22aが露出する。
【0105】
つづいて、第1実施形態の図8と同様の工程により、素子上部の全体を被覆するように第2保護層40を形成する。つづいて、第1実施形態の図9と同様の工程により、マスク86と重ならない領域にある第2保護層40をドライエッチングなどにより除去する。これにより、p側電流拡散層34の上面34aが露出する第2p側パッド開口40pが形成され、n側電流拡散層36の上面36aが露出する第2n側パッド開口40nが形成され、第2外周範囲W2aにおいてベース層22の上面22aが露出する。
【0106】
つづいて、図20に示すように、第2p側パッド開口40pにおいてp側電流拡散層34と接続するp側パッド電極42を形成し、第2n側パッド開口40nにおいてn側電流拡散層36と接続するn側パッド電極44を形成する。
【0107】
以上の工程により、図20に示す半導体発光素子10Bができあがる。
【0108】
第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第3実施形態に係る半導体発光素子10Bは、図10に示されるCoS型の半導体発光装置50に用いることができる。この場合、第2p側パッド開口40pの形成範囲W2pは、第1スタッドバンプ54の接合端部の直径Dpよりも大きいことが好ましい。同様に、第2n側パッド開口40nの形成範囲W2nは、第2スタッドバンプ56の接合端部の直径Dnよりも大きいことが好ましい。
【0109】
以上、本発明を実施形態にもとづいて説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【0110】
以下、本発明のいくつかの態様について説明する。
【0111】
本発明の第1の態様は、ベース層と、前記ベース層上に設けられ、n型AlGaN系半導体材料から構成されるn型半導体層と、前記n型半導体層上に設けられ、AlGaN系半導体材料から構成される活性層と、前記活性層上に設けられるp型半導体層と、前記p型半導体層の上面と接触するp側コンタクト電極と、前記n型半導体層の上面と接触するn側コンタクト電極と、前記p側コンタクト電極上に設けられるp側電流拡散層と、前記n側コンタクト電極上に設けられるn側電流拡散層と、前記p側電流拡散層上に設けられる第1p側パッド開口と、前記n側電流拡散層上に設けられる第1n側パッド開口とを有し、前記第1p側パッド開口および前記第1n側パッド開口とは異なる箇所において、前記n型半導体層、前記活性層、前記p型半導体層、前記p側コンタクト電極、前記n側コンタクト電極、前記p側電流拡散層および前記n側電流拡散層を被覆し、酸化シリコンから構成される第1保護層と、前記p側電流拡散層上に設けられる第2p側パッド開口と、前記n側電流拡散層上に設けられる第2n側パッド開口とを有し、前記第2p側パッド開口および前記第2n側パッド開口とは異なる箇所において前記第1保護層を被覆し、前記第1p側パッド開口を規定する前記第1保護層の内周面を被覆し、前記第1n側パッド開口を規定する前記第1保護層の内周面を被覆し、窒化シリコンから構成される第2保護層と、前記第2p側パッド開口において前記p側電流拡散層と接続し、前記第2p側パッド開口の外側において前記第2保護層と重なるp側パッド電極と、前記第2n側パッド開口において前記n側電流拡散層と接続し、前記第2n側パッド開口の外側において前記第2保護層と重なるn側パッド電極と、を備える半導体発光素子である。第1の態様によれば、酸化シリコンから構成される第1保護層と、窒化シリコンから構成される第2保護層とを組み合わせることにより、半導体発光素子の耐湿性を向上させることができる。また、第1p側パッド開口および第1n側パッド開口を規定する第1保護層の内周面を第2保護層によって被覆することにより、半導体発光素子の耐湿性をさらに向上できる。
【0112】
本発明の第2の態様は、前記第1保護層は、前記n型半導体層の外周において前記ベース層と接触し、前記第2保護層は、前記第1保護層の外周において前記ベース層と接触する、第1の態様に記載の半導体発光素子である。第2の態様によれば、第1保護層がn型半導体層の外周においてベース層と接触することにより、n型半導体層の全体を第1保護層によって被覆できる。また、第2保護層が第1保護層の外周においてベース層と接触することにより、第1保護層の全体を第2保護層によって被覆できる。これにより、第1保護層の外周において第1保護層が外部に露出することを防ぐことができ、半導体発光素子の耐湿性をさらに向上できる。
【0113】
本発明の第3の態様は、前記p側パッド電極および前記n側パッド電極のそれぞれは、前記第2保護層と接触し、前記第1保護層とは接触しない、第1または第2の態様に記載の半導体発光素子である。第3の態様によれば、第1保護層の上に第2保護層が重なる箇所にp側パッド電極およびn側パッド電極を形成できる。そのため、p側パッド電極およびn側パッド電極の形成箇所における封止性を高め、半導体発光素子の耐湿性をさらに向上できる。
【0114】
本発明の第4の態様は、ベース層上にn型AlGaN系半導体材料から構成されるn型半導体層を形成する工程と、前記n型半導体層上に、AlGaN系半導体材料から構成される活性層を形成する工程と、前記活性層上にp型半導体層を形成する工程と、前記p型半導体層および前記活性層のそれぞれの一部を除去して、前記n型半導体層の上面を露出させる工程と、前記p型半導体層の上面と接触するp側コンタクト電極を形成する工程と、前記n型半導体層の前記上面と接触するn側コンタクト電極を形成する工程と、前記p側コンタクト電極上にp側電流拡散層を形成する工程と、前記n側コンタクト電極上にn側電流拡散層を形成する工程と、前記n型半導体層、前記活性層、前記p型半導体層、前記p側コンタクト電極、前記n側コンタクト電極、前記p側電流拡散層および前記n側電流拡散層を被覆し、酸化シリコンから構成される第1保護層を形成する工程と、前記p側電流拡散層上の前記第1保護層を除去して第1p側パッド開口を形成する工程と、前記n側電流拡散層上の前記第1保護層を除去して第1n側パッド開口を形成する工程と、前記第1保護層を被覆し、前記第1p側パッド開口を規定する前記第1保護層の内周面を被覆し、前記第1n側パッド開口を規定する前記第1保護層の内周面を被覆し、窒化シリコンから構成される第2保護層を形成する工程と、前記p側電流拡散層上の前記第2保護層を除去して第2p側パッド開口を形成する工程と、前記n側電流拡散層上の前記第2保護層を除去して第2n側パッド開口を形成する工程と、前記第2p側パッド開口において前記p側電流拡散層と接続し、前記第2p側パッド開口の外側において前記第2保護層と重なるp側パッド電極を形成する工程と、前記第2n側パッド開口において前記n側電流拡散層と接続し、前記第2n側パッド開口の外側において前記第2保護層と重なるn側パッド電極を形成する工程と、を備える半導体発光素子の製造方法である。第4の態様によれば、酸化シリコンから構成される第1保護層と、窒化シリコンから構成される第2保護層とを組み合わせることにより、半導体発光素子の耐湿性を向上させることができる。また、第1p側パッド開口および第1n側パッド開口を規定する第1保護層の内周面を第2保護層によって被覆することにより、半導体発光素子の耐湿性をさらに向上できる。
【0115】
本発明の第5の態様は、前記n型半導体層の外周部を除去して前記ベース層の上面を露出させる工程をさらに備え、前記第1保護層は、前記n型半導体層の外周において前記ベース層の前記上面と接触するように形成され、前記第1保護層の外周部を除去して前記ベース層の前記上面を露出させる工程をさらに備え、前記第2保護層は、前記第1保護層の外周において前記ベース層の前記上面と接触するように形成される、第4の態様に記載の半導体発光素子の製造方法である。第5の態様によれば、第1保護層がn型半導体層の外周においてベース層と接触することにより、n型半導体層の全体を第1保護層によって被覆できる。また、第2保護層が第1保護層の外周においてベース層と接触することにより、第1保護層の全体を第2保護層によって被覆できる。これにより、第1保護層の外周において第1保護層が外部に露出することを防ぐことができ、半導体発光素子の耐湿性をさらに向上できる。
【符号の説明】
【0116】
10…半導体発光素子、22…ベース層、24…n型半導体層、26…活性層、28…p型半導体層、30…p側コンタクト電極、32…n側コンタクト電極、34…p側電流拡散層、36…n側電流拡散層、38…第1保護層、40…第2保護層、42…p側パッド電極、44…n側パッド電極。
【要約】
【課題】半導体発光素子の信頼性を向上させる。
【解決手段】半導体発光素子10は、SiOから構成される第1保護層38と、SiNから構成される第2保護層40とを備える。第1保護層38は、第1p側パッド開口38pおよび第1n側パッド開口38nとは異なる箇所において、n型半導体層24、活性層26、p型半導体層28、p側コンタクト電極30、n側コンタクト電極32、p側電流拡散層34およびn側電流拡散層36を被覆する。第2保護層40は、第2p側パッド開口40pおよび第2n側パッド開口40nとは異なる箇所において第1保護層38を被覆し、第1p側パッド開口38pを規定する第1保護層38の内周面38cを被覆し、第1n側パッド開口38nを規定する第1保護層38の内周面38dを被覆する。
【選択図】図1
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