(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】複数の航法システムからの航法信号を受信および処理するための振動安定な全地球的航法衛星システム受信機を構築する方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01S 19/33 20100101AFI20230426BHJP
G01S 19/32 20100101ALI20230426BHJP
G01S 19/36 20100101ALI20230426BHJP
【FI】
G01S19/33
G01S19/32
G01S19/36
(21)【出願番号】P 2022546466
(86)(22)【出願日】2020-01-28
(86)【国際出願番号】 RU2020000038
(87)【国際公開番号】W WO2021154110
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-01-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505315742
【氏名又は名称】トプコン ポジショニング システムズ, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100096884
【氏名又は名称】末成 幹生
(72)【発明者】
【氏名】ショージシュキー,マーク イサコヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】イヴァンツォフ,イリヤ ウラジミロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】クリニン,ローマン ヴァレリエヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】レベディンスキー,アレクセイ スタニスラフヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ベログラゾフ,ウラジミール ヴィクトロヴィチ
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101303403(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0260916(US,A1)
【文献】米国特許第6313789(US,B1)
【文献】A.V. Veytsel,"Update of navigation receivers characteristics with the use of the future long-range GNSS signals",Vestnik Sibirskogo gosudarstvennogo aerokosmicheskogo universiteta im. akademika M.F. Reshetneva,,2013年,Vyp.6 (52),pp.42-49,< URL: https://cyberleninka.ru/article/n/uluchshenie-harakteristik-navigatsionnoy-apparatury-s-ispolzovaniem-buduschih-perspektivnyh-signalov-gnss >
【文献】M.I. Zhodzishsky et al.,"Study of separate and joint phase synchronization and estimation of position and velocity for GNSS receiver",T-Comm,2017年,Vol.11, No.1,pp.45-50 (in Russian),< URL: https://cyberleninka.ru/article/n/issledovanie-svoystv-sistem-razdelnoy-i-sovmestnoy-fazovoy-sinhronizatsii-i-otsenki-pozitsii-i-skorosti-dvizheniya-priemnikov-gnss >
【文献】M.I. Zhodzishsky et al.,"A Radical Approach to Reducing Effects of Quartz Crystal Oscillator Instability on GNSS Receiver Performance",2020 Systems of Signal Synchronization, Generating and Processing in Telecommunications (SYNCHROINFO),2020年07月,DOI: 10.1109/SYNCHROINFO49631.2020.9166083
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 19/00-19/55
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のステップを有することを特徴とする、衛星信号を処理する方法。
複数の異なる全地球的航法衛星システムからの複数の衛星からの複数の衛星信号を、共通の電波周波数経路にて受信し、
複数の独立したデジタル衛星チャンネルにて前記複数の衛星信号を処理し、ここで前記独立したデジタル衛星チャンネルのそれぞれは前記複数の衛星信号のそれぞれの一つに対応するものであり、
前記独立したデジタル衛星チャンネルのそれぞれからの相関信号に基づいて共通の水晶同期回路(QLL)弁別信号を生成し、および、
前記共通QLL弁別信号に基づいて複数のガイド信号を生成し、ここで前記複数のガイド信号のそれぞれは前記独立したデジタル衛星チャンネルのそれぞれの一つに対応し、前記独立したデジタル衛星チャンネルの対応する一つで処理された前記複数の衛星信号のそれぞれの一つの中の位相関連の追跡誤差を減少するためのものである。
【請求項2】
Z
i
d,qで示される前記共通QLL弁別信号
は、次の関係に従って
生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【数4】
ここで、
iは時間の単位であり、
jは衛星番号であり、
Sign
sは搬送波衛星信号のs番目の周波数帯の信号のための周波数計画のサインであり、
I
i,jおよびQ
i,jはそれぞれ同相および直角位相の構成要素の例であり、
f
0
refは基準搬送波周波数であり、および、
f
0
j,sは
前記s番目の周波数帯の前記j番目の衛星のための搬送波周波数の公称値である。
【請求項3】
Z
i
d,qで示される前記共通QLL弁別信号
は、次の関係に従って
生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【数5】
ここで、
iは時間の単位であり、
jは衛星番号であり、
Z
i,j
d,PLLは前記j番目の衛星のデジタル衛星チャンネル中のPLL弁別信号であり、
Sign
sは搬送波衛星信号のs番目の周波数帯の信号のための周波数計画のサインであり、
f
0
refは基準搬送波周波数であり、
f
0
j,sは
前記s番目の周波数帯の前記j番目の衛星のための搬送波周波数の公称値であり、および、
w
i,jは前記j番目の衛星の重量である。
【請求項4】
前記w
i,jは、次の関係に従って計算されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
w
i,j=C
i,j
ここで、
iは時間の単位であり、
jは衛星番号であり、および
C
i,jは前記j番目の衛星信号の強度である。
【請求項5】
前記w
i,jは、次の関係に従って計算されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
w
i,j=I
2
i,j+Q
2
i,j
ここで、
iは時間の単位であり、
jは衛星番号であり、および
I
i,jおよびQ
i,jはそれぞれ、同相および直角位相の構成要素の例である。
【請求項6】
前記w
i,jは、次の関係に従って計算されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
w
i,j=I
2
i,j
ここで、
iは時間の単位であり、
jは衛星番号であり、および
I
i,jは同相の構成要素の例である。
【請求項7】
Z
i,j
d,qで示される前記複数のガイド信号のそれぞれは、次の関係に従って
生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【数6】
ここで、
iは時間の単位であり、
jは衛星番号であり、
α
QLLはフィードバックの比例係数であり、
Sign
sは搬送波衛星信号のs番目の周波数帯の信号のための周波数計画のサインであり、
f
0
refは基準搬送波周波数であり、
f
0
j,sは
前記s番目の周波数帯の前記j番目の衛星のための搬送波周波数の公称値であり、および、
Z
i
d,qは前記共通PLL弁別信号である。
【請求項8】
前記フィードバックの比例係数α
QLLは、α
QLL∈(0;1]で定義される範囲内の値を仮定することができることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の異なる全地球的航法衛星システムは、少なくとも全地球的測位システム(GPS)、全地球的航法衛星システム(GLONASS)、北斗航法システム、およびガリレオ航法システムからなる群から選択される少なくとも二つのシステムであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
衛星信号を処理する装置であって、前記装置は、
複数の異なる全地球的航法衛星システムからの複数の衛星からの複数の衛星信号を、共通の電波周波数経路にて受信するよう構成された電波周波数プロセッサと、
それぞれが、前記複数の衛星信号のそれぞれの一つを処理するよう構成された複数の独立したデジタル衛星チャンネルと、
前記独立したデジタル衛星チャンネルのそれぞれからの相関信号に基づいて共通の水晶同期回路(QLL)弁別信号を生成するよう構成された水晶同期回路(QLL)弁別器と、
前記共通QLL弁別信号に基づいて複数のガイド信号を生成するよう構成されたQLL回路フィルタとを備え、
ここで前記複数のガイド信号のそれぞれは前記独立したデジタル衛星チャンネルのそれぞれの一つに対応し、前記独立したデジタル衛星チャンネルの対応する一つで処理された前記複数の衛星信号のそれぞれの一つの中の位相関連の追跡誤差を減少するためのものである
ことを特徴とする装置。
【請求項11】
前記QLL弁別器は、次の関係に従って、Z
i
d,qで示される前記共通QLL弁別信号を生成するよう構成されたことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【数7】
ここで、
iは時間の単位であり、
jは衛星番号であり、
Sign
sは搬送波衛星信号のs番目の周波数帯の信号のための周波数計画のサインであり、
Q
i,jおよびI
i,jはそれぞれ同相および直角位相の構成要素の例であり、
f
0
refは基準搬送波周波数であり、および、
f
0
j,sは
前記s番目の周波数帯の前記j番目の衛星のための搬送波周波数の公称値である。
【請求項12】
前記QLL弁別器は、次の関係に従って、Z
i
d,qで示される前記共通QLL弁別信号を生成するよう構成されたことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【数8】
ここで、
iは時間の単位であり、
jは衛星番号であり、
Z
i,j
d,PLLは前記j番目の衛星のデジタル衛星チャンネル中のPLL弁別信号であり、
Sign
sは搬送波衛星信号のs番目の周波数帯の信号のための周波数計画のサインであり、
f
0
refは基準搬送波周波数であり、
f
0
j,sは
前記s番目の周波数帯の前記j番目の衛星のための搬送波周波数の公称値であり、および、
w
i,jは前記j番目の衛星の重量である。
【請求項13】
前記w
i,jは、次の関係に従って計算されることを特徴とする請求項12に記載の装置。
w
i,j=C
i,j
ここで、
iは時間の単位であり、
jは衛星番号であり、および
C
i,jは前記j番目の衛星信号の強度である。
【請求項14】
前記w
i,jは、次の関係に従って計算されることを特徴とする請求項12に記載の装置。
w
i,j=I
2
i,j+Q
2
i,j
ここで、
iは時間の単位であり、
jは衛星番号であり、および
Q
i,jおよびI
i,jはそれぞれ、同相および直角位相の構成要素の例である。
【請求項15】
前記w
i,jは、次の関係に従って計算されることを特徴とする請求項12に記載の装置。
w
i,j=I
2
i,j
ここで、
iは時間の単位であり、
jは衛星番号であり、および
I
i,jは同相の構成要素の例である。
【請求項16】
前記QLL回路フィルタは、次の関係に従って、Z
i,j
d,qで示される前記複数のガイド信号を生成するよう構成されたことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【数6】
ここで、
iは時間の単位であり、
jは衛星番号であり、
α
QLLはフィードバックの比例係数であり、
Sign
sは搬送波衛星信号のs番目の周波数帯の信号のための周波数計画のサインであり、
f
0
refは基準搬送波周波数であり、
f
0
j,sは
前記s番目の周波数帯の前記j番目の衛星のための搬送波周波数の公称値であり、および、
Z
i
d,qは前記共通PLL弁別信号である。
【請求項17】
前記フィードバックの比例係数α
QLLは、α
QLL∈(0;1]で定義される範囲内の値を仮定することができることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記複数の異なる全地球的航法衛星システムは、少なくとも全地球的測位システム(GPS)、全地球的航法衛星システム(GLONASS)、北斗航法システム、およびガリレオ航法システムからなる群から選択される少なくとも二つのシステムであることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、全地球的航法衛星システムにおける信号処理に関し、特に、多周波数、多システム環境における向上した安定性を有する衛星信号を処理する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
航法受信機は、複数の航法衛星からの電波信号を受信し、さらにその信号を処理してユーザ、素子、装置、機械の位置を決定するために用いられる。一例においては、受信した電波信号からのコードおよび位相の計測を利用することによって作業車等の移動装置の位置(座標)を決定することができる。しかしながら、操作の間、作業車に搭載された航法受信機は、移動中の、または動作部分の活動からくる揺動、衝撃および振動の結果、強い動的な攪乱にさらされる。そのような動的な攪乱は、基準発振器の水晶振動子に影響し、好ましくない周波数のずれおよびロックの喪失の原因となり、受信機追跡システムの失敗をもたらす。
【0003】
特に、水晶振動子は、衝撃、回転、振動、動作および傾斜から来る加速に極めて敏感であることで知られ、これらのいずれによっても水晶振動子の周波数安定性に悪影響を与える可能性がある。そのような条件は、高精度振動子が要求される航法受信機において特に問題となる。例えば、航法システムは、正確にガイドされる掘削、道路補修、農作物収穫または他の数多くの作業を容易とする搭載航法受信機を含む操作装備を有する、建設や農業に適用される重機(例えば、動作する機械)の操作において広く使用される。これらの適用におけるサービス条件の性質を考えると、衝撃および振動が誘発する効果が航法受信機の精度を低下させ、そのような操作の精度に依存する装備の性能に悪影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した効果を軽減するための一つの試みとして、基準発振器の周波数変動から来る追跡誤差を減少させるため、航法受信機内でフィードバックループ回路を使用することが挙げられる。しかしながら、そのようなフィードバックループを採用した公知の解決法、水晶同期回路(Quartz Locked Loop、以下QLL)等は、単一周波数、単一システム環境、例えば、一つの特定の全地球的航法衛星システムでの一つの周波数帯で動作する航法受信機に限定されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらおよび他の問題は、多周波数、多システム環境での改善された安定性で航法信号を処理するための様々な実施形態に従って対処される。一実施形態によれば、複数の異なる全地球的航法衛星システムからの複数の衛星から受信される衛星信号を処理するための方法が提供される。衛星信号は、共通の電波搬送路で受信され、複数の独立したデジタル衛星チャンネルで処理されるものであり、独立した各デジタル衛星チャンネルは、複数の衛星信号のそれぞれの一つに対応する。独立した各デジタル衛星チャンネルからの相関信号に基づいて、共通の水晶同期回路(QLL)弁別信号が生成される。共通QLL弁別信号に基づいて、複数のガイド信号が生成され、複数のガイド信号のそれぞれは、独立したデジタル衛星チャンネルのそれぞれの一つに対応するものであり、これにより、対応する独立したデジタル衛星チャンネルの一つにおいて処理される複数の衛星信号のそれぞれの一つにおける位相関連の追跡誤差を減らす。
【0006】
一実施形態によれば、複数の異なる全地球的航法衛星システムからの複数の衛星から受信される衛星信号を処理するための装置が提供される。装置は、共通の電波搬送路、および、複数の衛星信号のそれぞれの一つをそれぞれが処理するよう構成された複数の独立したデジタル衛星チャンネルにて複数の衛星信号を受信するよう構成された電波周波数処理器を有する。水晶同期回路(QLL)弁別器は、独立した各デジタル衛星チャンネルからの相関信号に基づいて共通のQLL弁別信号を生成するよう構成されている。その結果としてガイド生成器が接続されたQLL回路フィルタは、共通QLL弁別信号に基づいて複数のガイド信号を生成するよう構成され、複数のガイド信号のそれぞれは独立したデジタル衛星チャンネルのそれぞれの一つに対応し、対応する独立したデジタル衛星チャンネルのそれぞれの一つで処理された複数の衛星信号のそれぞれ一つの位相関連の追跡誤差を減少させるためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一または他の実施形態における航法受信装置のブロック図である。
【0008】
【
図2】
図2Aおよび2Bは、様々な実施形態における
図1に示す装置のための位相同期回路(PLL)部品のための相関器および位相検出器ブロックの例を示すブロック図である。
【0009】
【
図3】
図3は、一または他の実施形態における
図1に示す装置のためのPLL部品中のPLLループフィルタおよびPLL数値制御発振器(NCO)ブロックの特徴を示すブロック図である。
【0010】
【
図4】
図4は、一または他の実施形態における方法を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、いくつかの実例となる実施形態が図示された添付図面を参照しながら、様々な実例となる実施形態について、より全体的に説明する。しかしながら、実例となる実施形態を特定の開示された形式に限定する意図はなく、むしろ、実例となる実施形態は、請求の範囲内におけるすべての改変物、等価物および代替物を包含すると意図されるものである。適切であれば、複数の図の説明を通じて同種の数字は同種の要素を参照する。ここで第1、第2といった用語が様々な要素を説明するのに使用されていても、これら要素はこれら用語によって限定されないと解されるべきである。これら用語は、一つの要素を他の要素から区別されるためだけに使用されている。例えば、実例となる実施形態の範囲から外れることなく、第1要素は第2要素と称することができ、同様に、第2要素は第1要素と称することができる。ここで使用される用語「および/または」は、一または複数の関連する挙げられた物のあらゆる、全ての組み合わせを含む。
【0012】
記載されているように、以前の解決法によるフィードバックループ(例えば、QLL)を採用している航法受信機は、単一周波数帯、単一システム環境(例えば、GPSの場合、L1バンドのみ)で操作される基準発振器の周波数変動に起因する追跡誤差を減らすことができる。理論上は、これら解決法は、多周波数、多システム受信機の場合にも拡張することができる。しかしながら、いくつかの場合において、単一QLLの直接の応用は、非効率な操作性をもたらし、受信機が動作を停止する原因になることさえある。代案として、例えば、一つのQLLが各GNSSの各周波数帯に関連したいくつかのQLLを実装した受信機は、いくつかの好ましい効果をもたらす。しかしながら、全てのGNSSシステムに対して、および、全ての周波数帯に対して、別々の独立したQLLのセットではなく、一つの共通したQLLを使用することによって効率は顕著に上昇する(例えば、特に、より厳しい振動の激しい操作条件で操作される乏しい周波数安定性での水晶振動子を有する受信機)。しかしながら、上述の難点なく、そのような共通QLLの開発をすることは、容易ではない。ここで様々な実施形態によれば、上述した課題や挑戦を解決する共通QLL実装を提供することができる。
【0013】
様々な実施形態によれば、
図1の航法受信装置100は、複数の全地球的航法衛星システム(GNSSs)から異なる周波数で送信されてきた衛星信号、例えば、同じGNSSシステムからや異なるGNSSシステムからの異なる周波数または周波数帯、およびそれらの組み合わせ、を処理する際の以前の解決法の欠陥に対処する。ここで述べる様々な実施形態によれば、異なる周波数、周波数帯、および/またはGNSSシステムに相当する、別々に処理される各デジタル衛星チャンネル(DSCs)へのガイド信号を生成するために共通ループが実装される。
【0014】
米国の全地球的測位システム(GPS)、ロシアの全地球的航法衛星システム(GLONASS)、欧州のガリレオシステム、中国の北斗システム、その他を含む様々な全地球的航法衛星システム(GNSSs)は、特別な航法受信機を装着した装置/ユーザの位置を決定するために使用される。
【0015】
航法受信機は、その見通し線内にある衛星によって発信された電波信号を受信し処理する。衛星からの信号は、疑似乱数(PR)2進コードを用いて変調され、局所的参照発振に対する遅れを測定される。これら測定は、衛星までの実際の(真の)距離とは異なる疑似距離の決定を可能にし、それは、測定誤差に加え、衛星の基板上の時計と受信機との時間スケール差異に起因する。開示された実施形態による航法受信機においては、異なる衛星からの信号は、チャンネルに分離され、航法情報を分離および抽出するために処理され、それは、入ってくる信号間の相対的時間誤差の長さの中に含まれる。
【0016】
さらに具体的に述べると、
図1に示すように、共通電波周波数(RF)入力信号101は、アンテナ(図示せず)から共通RFブロック105(例えば、共通RFプロセッサ)を介して航法受信装置100の入力において受信され、共通電波伝搬路106を搬送され、それは、異なるGNSSsの異なる衛星の衛星信号に共通である。共通電波搬送路106は典型的には、共通RF入力信号101を異なる周波数帯(および/またはGNSSシステム)に対応する衛星信号に分離するための、フィルタブロック、周波数変換器、ADC変換ブロック等を含む。例えば
図1に示すように、GLONASSシステムのL1周波数帯に相当する衛星信号は、RFブロック111およびADCブロック112を通じてフィルタリングおよび処理され、GLONASSシステムのL2周波数帯に相当する衛星信号は、RFブロック151およびADCブロック152を通じて処理され、等である。衛星信号が共通電波伝搬路106および関連するフィルタリングおよび変換ブロック(例えば、111/112)を通過してしまうと、その後衛星信号108は個々のデジタル衛星チャンネル(DSCs)にて独立に処理され、その結果、デジタル衛星チャンネルと衛星信号との間に一対一対応が生じる。
【0017】
図1の構成は、航法受信装置100の多周波数、多周波数帯、多システム機能を示す。例えば、DSCs110および130は、第1のタイプのGNSSの同一の周波数帯内の二つの異なる周波数、例えばGLONASSシステムのL1周波数帯の二つの周波数を有する個々の衛星信号に相当する。図示の簡略化のため、ブロック140,150および160内には特定の構成要素を示していないが、DSCs110および130に示されるRFおよび信号処理構成要素と同様のものを含む。
図1に示すように、ブロック140は、DSCs110および130(例えば、GLONASSシステムのL1周波数帯の一または複数の他の周波数(および相当するDSCs))に相当する、同一のGNSSシステムの同一の周波数帯L1の周波数を有する他の衛星信号のための一または複数のDSCsに相当する。この例では、例えば、ブロック150は、GLONASSシステムのL2周波数帯の周波数(および相当するDSCチャンネル)を有する一または複数の衛星信号に相当するよう示されている。ブロック160は、例えば、他の周波数帯および/または他のGNSSシステム(例えば、GPS、ガリレオ等)の周波数(および相当するDSCチャンネル)を有する一または複数の衛星信号に相当するよう示されている。なお、
図1の構成は、例示であり、如何なる方法によっても限定をするものではない。ここでの開示により、同一または異なるGNSSシステムからの、同一または異なる周波数帯の異なる周波数の衛星信号の様々な他の組み合わせ等が予期される。
【0018】
DSCs110および130のそれぞれは、入力される衛星信号のパラメータの変化を追跡するために動作可能な二つの追跡システムを有する。第1の追跡システムは、入力される衛星信号内の変調疑似ランダムコードの遅延における変化(変動)を追跡するよう構成された遅延同期回路(DLL)である。DLLブロックは、DSCs110および130用にそれぞれ、ブロック113および133として符号が付けられている。DLLブロック113および133として様々な実装が知られており、ここで記述される実施形態にて好適に用いられる。第2の追跡システムは、入力される衛星信号の搬送波の位相の変化を追跡する位相同期回路(PLL)であり、詳細は後述する。航法受信装置100において、PLLブロック114は、DSC110に相当し、PLLブロック134は、DSC130に相当する。
【0019】
DSCs110および130内にDLLおよびPLL追跡システムを実装するためには、入力RF信号は、ハードウェアおよびファームウェア(例えば、航法受信機のプロセッサにおいて)の両方を用いて、デジタル形式に変換され処理される。受信した信号の処理には、受信機で生成した、基準搬送波および基準コードによって、この信号の連続する乗算の結果を格納することが含まれる。基準搬送波は、定められた衛星の受信された搬送波信号に相当し、基準コードは、定められた衛星の搬送波信号を変調するために使用された個々の疑似ランダムコード(PRコード)に相当する。この乗算および格納機能を行う素子は、相関器と呼ばれており、対応する処理は、二つの信号の相関と呼ばれている。相関器の出力値は、入力および基準信号の相互相関機能によって決定される。航法受信装置100の各DSC(例えば、DSCs110、130等)は、いくつかの平行処理経路および関連する相関器を有する。
【0020】
図1に示すように、PLLブロック114は、相関器および位相検出ブロック117と、回路フィルタおよびPLLNCO(数値制御発振器)ブロック118を含む。相関器および位相検出ブロック117は、個々のDSC信号(例えば、信号123)に加えて、PLL回路(ブロック114)において誤差信号125を生成し、両者の詳細は後述する。
【0021】
図2Aおよび2Bは、相関器および位相検出ブロック117の2つの例をより詳細に示す。
図2Aおよび2Bにおける相関器および位相検出ブロック117の構成は、個々のDSC信号生成ブロック122への入力を除いて同様であり、詳細は後述する。
図2Aおよび2B中の共通の符号が付された構成要素、信号の流れおよび機能の説明は、簡潔化のため省略する。
【0022】
図示されるように、相関器および位相検出ブロック117は、第1経路(第1相関経路)に同相相関器115を有し、同相相関信号(I)116が計算される。この信号は、受信された入力信号の搬送波と同相である第1基準搬送波119が相関器で使用されたときに得られる。基準コード109は、入力信号を変調する疑似ランダム(PR)コードの複製である。これら信号の相関の結果、同相相関信号(I)116が生成される。最初に、または誤差のために、基準搬送波の位相は、受信された入力信号の搬送波の位相と異なる可能性があり、基準コードの遅延は、変調コードの遅延と異なる可能性がある。
【0023】
第1基準搬送波119の位相オフセット(例えば、位相シフト)がφで表され、入力(変調)コードに対する基準コード109の時間オフセット(例えば、時間シフト)がτで表される場合、同相相関信号(I)116は、以下の関係に従って決定することができる。
I=k・Us・μ・R0(τ)・cos(φ)+Iin、 (1)
ここで、
R0(τ)は、入力PRコード(受信機の共通電波経路でフィルタを通過した後)および基準コードの正規化された相互相関関数であり、衛星信号を変調するPRコードの局所的に生成された複製であり、
cos(φ)は、位相シフトが存在する場合の、入力信号の搬送波と、同相基準搬送波との相関の結果であり、
Usは、入力信号の振幅であり、
μ=±1は、入力信号を変調する情報記号であり、
kは、比例係数であり、そして、
Iinは、受信機の入力での付加的な干渉の結果生じる、相関器115の出力での干渉である。
【0024】
同相相関信号(I)116は、情報記号を抽出するために用いられ、その他の経路では、正規化の予備的信号として用いられる。追跡モードでは、φおよびτの値は無視できるほどであり、R0(τ)・cos(φ)は単一の値に近づく。この段階では、同相相関信号(I)116は、航法衛星搭載からユーザの航法受信機へメッセージを送信する情報(二進法)記号μ=±1の配列を複製する。これらメッセージは、衛星座標、期待電波伝播条件、および座標決定で使用される他のデータに関するいくつかの情報を含む。
【0025】
相関器および位相検出ブロック117は、第2経路(第2相関経路)に直角位相相関器120を有し、直角位相相関信号(Q)121が計算される。この信号は、位相が第1基準搬送波119に関してπ/2シフトしている第2(直角位相)基準搬送波が使用され、基準コード109が第1経路上の基準コードと一致するときに、生成する。信号の相関(相関器120における)は、直角位相相関信号(Q)121を生成し、以下の関係に従って決定することができる。
Q=k・Us・μ・R0(τ)・sin(φ)+Qin、 (2)
ここで、
Qinは、航法受信機の入力での付加的な干渉によって生じる、相関器120の出力での干渉である。
sin(φ)は、入力信号の搬送波と、直角位相基準搬送波との相関の結果であり、
【0026】
直角位相相関信号(Q)121は、PLL回路にて誤差信号を生成するのに用いられ、詳細は後述する。
【0027】
航法受信装置100の操作の間、上記関係(1)および(2)において用いられる強度は変化し、個々の相関信号もまた同様に変化する。各DSC(例えば、DSC110、130等)の内部の相関器および位相検出ブロック(例えば、117、137等)の経路において生成した信号IおよびQは、追跡システムの組み合わせられた操作、例えば、搬送波周波数を追跡するための位相同期回路(PLL)のために用いられる。
【0028】
図2Aおよび2Bに示すように、同相相関信号(I)116および直角位相相関信号(Q)121は、PLL弁別器124への入力として提供され、PLL弁別器124での追跡誤差信号(Z
d,PLL)125は、以下の関係に従って決定される。
Z
d,PLL=arctan(Q/I)、 (3)
【0029】
Z
d,PLLのφへの従属関係は、PLLの弁別器特性を生じさせる。
図1および3を参照すると、追跡誤差信号(Z
d,PLL)125は、DSC110の回路フィルタおよびPLLNCOブロック118のPLL回路フィルタ126に導かれる。PLL回路フィルタ126は、第1基準搬送波(リンク)119(
図1および3)を介して、制御信号301(Z
f)および302(Z
φ)を出力し、PLL114の回路を閉じ、これにより、DSC110の回路フィルタおよびPLLNCOブロック118の数値制御発振器(NCO)128の周波数および位相シフトを制御することができる。
【0030】
PLL追跡回路は、追跡誤差φのヌル化(例えば、ゼロまで減少させる)に貢献する閉じた回路に相当する。実行するためには、追跡誤差信号(Zd,PLL)125は、制御信号301(Zf)および302(Zφ)に変換され、それらは、基準信号の発振器の周波数および位相を変化させる。実際の条件では、追跡システムの外的な効果により、追跡誤差の値はゼロではないが、追跡モードにおける正常な条件では、これらの誤差は無視できる。
【0031】
DSC130の構成要素、機能、および信号の流れは、DSC110で述べたと同様であるため、簡素化のためここでは繰り返さない。例えば、相関器および位相検出ブロック117および137、回路フィルタおよびPLLNCOブロック118および138、追跡誤差信号(Zd,PLL)125および135等がそうである。
【0032】
本開示の特徴に従えば、複数の異なる周波数帯および/またはGNSSシステムがサポートされるとき、定められた周波数帯(周波数計画)中の周波数シフトに関連したサインは、水晶同期回路(QLL)操作の因子である。ここで説明の目的のため、対象の変数は、水晶振動子の周波数シフトに関連したサインを含む。水晶周波数が増加するに従い最後の中間周波数(例えば、DSC経路110の入力での周波数)が減少する場合、水晶サインSign
s=+1であり、さもなければ、Sign
s=-1である。以下の実施例のため、パラメータSign
sは、周波数計画のサインを示すものと仮定し、上付き文字sは特定の周波数帯(例えば、L1、L2、L5、等)および様々な航法システム(例えば、GPS、GLONASS、ガリレオ、北斗等)を指し示す。Sign
sの値は、同一の航法受信機において異なる周波数帯(例えば、L1、L2、L5、B1、B2、E6等)とする場合においても、異ならしめることができる。さらには、Sign
sの値は、異なる受信機において大きく変化させることができる。下記の表は、Sign
sの値が受信機、周波数帯、およびGNSSシステムの型(例えば、GPS、GLONASS、ガリレオ、北斗等)に依って変化するというこの特徴を示している。これらの例は単なる例示であり、いかなる方法によっても限定されず、ポイントは、ここで開示される実施形態によってサポートされたシステムおよび周波数帯に依って差異が生じるということである。
【表1】
【0033】
図1に戻り、DSC110の相関器および位相検出ブロック117からの個々のDSC信号123は、水晶同期回路(QLL)弁別器170への入力として提供される。同様に、他のDSCsからの個々のDSC信号もまた、QLL弁別器170への入力として供給される。例えば、DSC130からの個々のDSC信号132、および、他のDSCs(例えば、140、150、160、等)のそれぞれの個々のブロックからの個々のDSC信号131もまた、QLL弁別器170への入力として供給される。
【0034】
図2Aに戻り、個々のDSC信号生成ブロック122は、同相相関信号(I)116および直角位相相関信号(Q)121に基づいて、二つの個々のDSC信号を生成する。すなわち、強度(I・Q)および(I
2)である。これら強度は、
図1のQLL弁別器ブロック170の対応する入力のリンク123を介して導かれる。この実施形態においては、各DSCsからの入力によって、QLL弁別器ブロック170からの共通出力信号171が以下の関係に従って生成する。
【数1】
ここで、
jは、複数の周波数帯およびGNSSシステムの全ての衛星信号のうちの、いくつかの衛星信号(いくつかのDSCで処理される)の順序番号である。
【0035】
逆正接関数の分子における乗算(f0
ref/f0
j,s)に関しては、f0
j,sは、s番目の周波数帯のj番目の衛星の搬送波周波数の公称値を指し示している。例として、1つのGNSSシステムの異なる衛星(1・・・j)が、同じ周波数帯であるとしても異なる搬送波周波数で動作しているとすると、f0
j,sは、指数jを有する。GLONASSは、これが起こるGNSSシステムの型の一例である。他のGNSSシステム(GLONASSを除く)は、周波数帯内の同じ搬送波周波数で動作し、これらの状況では、QLL弁別器170から共通の出力信号171を導き出すためにf0
s中の指数jは省略することができる。
【0036】
周波数f0
refは、あらゆるGNSSシステム(例えば、GPS L2、ガリレオ E1、等)の搬送波周波数を指し示す。より具体的には、周波数f0
GPS,L1の例においては、上記の関係は、異なる衛星PLLsでの基準GPS L1信号間にラジアンでの、および、これらの衛星から生成される信号での、位相オフセットの最適な(場合によっては準最適な)見積もりが発生することを許容すると解釈することができる。この場合は、他の原因(例えば、熱的ノイズ、多経路干渉、電離層効果、等)に起因するよりもむしろ、水晶の不安定性(例えば、それはすべてのGPS L1信号に同じであるが)に起因する位相オフセットに注視する。これらの他の原因は、各衛星にとって異なる位相オフセットをもたらす。
【0037】
他の実施形態においては、
図2Bに示すように、個々のDSC信号生成ブロック122は、二つの別の個々のDSC信号、すなわち、誤差追跡信号125(Z
d,PLL)および信号wを生成するが、詳細は後述する。これらの強度もまた、
図1のQLL弁別ブロック170の対応する入力のリンク123を介して導かれる。この実施形態においては、DSCsのそれぞれからの入力によって、QLL弁別ブロック170からの共通出力信号171が次の関係に従って生成される。
【数2】
【0038】
強度wjは、実際は、全合計に対する各DSCの寄与の加重であり、多くの異なる方法で決定することができる。例えば、wjは、j番目の衛星信号の強度と見積もることもできるし、または、相関信号116(Ij)および121(Qj)のある組み合わせ、例えば(Ij
2+Qj
2)や、単なる(Ij
2)とすることもできる。
【0039】
続いて、共通出力信号(Z
d,q)171は、QLL回路フィルタ180にてさらに処理され、共通ガイド信号(α
QLL・Z
d,q)181が生成される。共通ガイド信号181は、その結果接続されたガイドブロック(例えば、ガイド生成器182、183、190、等)の入力に導かれ、それらは、各DSCのための個々のガイド信号を生成するよう構成されている。例えば、GNSS航法受信装置100内の各DSCに一つのガイド信号というようにである。より具体的には、これらガイドブロック(例えば、182、183、190、等)は、次の関係に従って、係数Sign
sおよび周波数の割合(f
0
j,s/f
0
ref)によって共通ガイド信号(α
QLL・Z
d,q)181を乗算するように構成されている。
【数3】
【0040】
ガイド信号(Z
j
d,q)は、j番目の衛星のそれぞれのDSCにおける個々のNCOの別々の位相制御のためのガイド信号である(例えば、DSC110内のNCO128、等)。
図3に示すように、ガイド信号(Z
j
d,q)184は、DSC110中の回路フィルタおよびPLL NCOブロック118に供給され、ここに付加的に制御信号302がPLL NCO128の入力に導かれ、信号119を介して位相シフトを制御する。同様に、ガイド信号(Z
j
d,q)185は、DSC130中の回路フィルタおよびPLL NCOブロック138に供給され、および、他のガイド信号(例えば、191、等)が他の個々のDSCsに供給されるなどである。
【0041】
動的な影響が無い場合、j番目の衛星のDSCの搬送波位相の追跡誤差は、衛星のエネルギーポテンシャルCj/N0(受信機の熱的ノイズおよび共通水晶ノイズによってもたらされるノイズのスペクトル密度に対するj番目の衛星の搬送波周波数出力の比)として決定される。αQLLの値が低くなるほど、もたらされるノイズも減少する。一実施形態に従えば、航法衛星の数が十分多い場合、もたらされるノイズは極めて小さく無視できるほどとなり、αQLLの値は、αQLL=1と設定できる。
【0042】
図4は、
図1の航法受信装置100といった航法受信機にて衛星信号を処理する方法400を示す。ステップ405は、複数の異なる全地球的航法衛星システムからの複数の衛星からの複数の衛星信号を共通の電波周波数経路にて受信することを含む。ステップ410では、複数の独立したデジタル衛星チャンネルにて複数の受信した衛星信号が処理され、独立したデジタル衛星チャンネルのそれぞれは、複数の衛星信号のそれぞれの一つに対応する。ステップ420では、独立した各デジタル信号チャンネルのそれぞれからの相関信号に基づいて共通水晶同期回路(QLL)弁別信号を生成する。ステップ420で生成した共通QLL弁別信号に基づいて、ステップ430では複数のガイド信号を生成し、複数のガイド信号のそれぞれは、独立したデジタル衛星チャンネルのそれぞれの一つに対応する。このようにして、各ガイド信号は、対応するデジタル衛星チャンネルで処理された個々の衛星信号において位相関連の追跡誤差を減少させるために動作可能である。
【0043】
なお、説明の明確性のため、ここで説明された実例となる実施形態は、個々の機能ブロックまたは機能ブロックの組み合わせを有するとして表されている。これらブロックが表す機能は、ハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェアのあらゆる組み合わせを用いて実装されるであろう。実例となる実施形態は、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェアおよび/またはここで記述される操作を実行するソフトウェアを有するであろう。一または他の実施形態においては、特定の機能を実行および/または制御するためにプロセッサが用いられるであろう。プロセッサは様々な構成により実装され、また、汎用および特別の目的のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASICs)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAs)等を含むであろう。このように、本願でのブロック図は、本明細書での様々な実施形態によって記述された原則の実例となる機能、操作および/または回路の概念図を表すことは、当業者であれば自明であろう。
【0044】
前述の詳細な説明は、発明を限定するものではなくあらゆる点にて実例および例示であるものと理解されるべきであり、本願で開示された発明の範囲は、詳細な説明から決定されるものではなく、むしろ、特許法で許容される最大限広く解釈されたクレームから決定されるものである。本願で示され説明された実施形態は、本願発明の原則の例示に過ぎず、当業者によって、本発明の範囲および本質から外れることなく様々な改良が実行可能であると理解されるべきである。当業者は、本発明の範囲および本質から外れることなく様々な他の特徴の組み合わせが実行可能である。