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特許7269450車両用の可倒式ルーフマウントアンテナ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-25
(45)【発行日】2023-05-08
(54)【発明の名称】車両用の可倒式ルーフマウントアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/22 20060101AFI20230426BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20230426BHJP
   H01Q 1/12 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
H01Q1/22 B
B60R11/02 A
H01Q1/12 E
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022553518
(86)(22)【出願日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 JP2021029545
(87)【国際公開番号】W WO2022070620
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】P 2020165946
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000165848
【氏名又は名称】原田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124257
【弁理士】
【氏名又は名称】生井 和平
(72)【発明者】
【氏名】村上 正平
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-009928(JP,A)
【文献】特開2011-230532(JP,A)
【文献】特開2001-345613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/22
B60R 11/02
H01Q 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の可倒式ルーフマウントアンテナ装置であって、該可倒式ルーフマウントアンテナ装置は、
アンテナロッドが電気的に接続される第1端子が固定配置されるジョイントアセンブリであって、第1端子は第1クリック構造を有する、ジョイントアセンブリと、
前記ジョイントアセンブリを揺動可能に枢支する一対の枢支部を有し、受信信号出力端子である第2端子が枢支部に固定配置されるベースアセンブリと、
前記第1端子に摺動可能に接触し、ジョイントアセンブリを揺動させる際に第1クリック構造に嵌合しクリック感を与えるための第2クリック構造を第1端子に接触する面に有する、クリックプレートと、
前記クリックプレートの第1端子に接触する面とは反対側の面からクリックプレートに付勢力を与えるようにクリックプレートに接触するばね座金からなる弾性部材と、
前記ベースアセンブリの一対の枢支部間に枢支固定され、前記第1端子が軸回転可能に軸通されると共に、クリックプレートが軸回転せず軸に沿って移動可能に軸通される、軸ボルトと、
を具備することを特徴とする可倒式ルーフマウントアンテナ装置。
【請求項2】
車両用の可倒式ルーフマウントアンテナ装置であって、該可倒式ルーフマウントアンテナ装置は、
アンテナロッドが電気的に接続される第1端子が固定配置されるジョイントアセンブリであって、第1端子は第1クリック構造を有する、ジョイントアセンブリと、
前記ジョイントアセンブリを揺動可能に枢支する一対の枢支部を有し、受信信号出力端子である第2端子が枢支部に固定配置されるベースアセンブリと、
前記第1端子に摺動可能に接触し、ジョイントアセンブリを揺動させる際に第1クリック構造に嵌合しクリック感を与えるための第2クリック構造を第1端子に接触する面に有する、クリックプレートと、
前記第2端子に摺動可能に接触すると共に、クリックプレートの第1端子に接触する面とは反対側の面からクリックプレートに付勢力を与えるようにクリックプレートに接触する弾性部材と、
前記ベースアセンブリの一対の枢支部間に枢支固定され、前記第1端子が軸回転可能に軸通されると共に、クリックプレートが軸回転せず軸に沿って移動可能に軸通される、軸ボルトと、
を具備することを特徴とする可倒式ルーフマウントアンテナ装置。
【請求項3】
車両用の可倒式ルーフマウントアンテナ装置であって、該可倒式ルーフマウントアンテナ装置は、
アンテナロッドが電気的に接続される第1端子が固定配置されるジョイントアセンブリであって、第1端子は第1クリック構造を有する、ジョイントアセンブリと、
前記ジョイントアセンブリを揺動可能に枢支する一対の枢支部を有し、受信信号出力端子である第2端子が枢支部に固定配置されるベースアセンブリと、
前記第1端子に摺動可能に接触し、ジョイントアセンブリを揺動させる際に第1クリック構造に嵌合しクリック感を与えるための第2クリック構造を第1端子に接触する面に有する、クリックプレートと、
前記クリックプレートの第1端子に接触する面とは反対側の面からクリックプレートに付勢力を与えるようにクリックプレートに接触する弾性部材と、
前記ベースアセンブリの一対の枢支部間に枢支固定され、前記第1端子が軸回転可能に軸通されると共に、クリックプレートが軸回転せず軸に沿って移動可能に軸通され、第1端子のクリックプレートに接触する面とは反対側の面が接触するフランジ面を有する、軸ボルトと、
を具備することを特徴とする可倒式ルーフマウントアンテナ装置。
【請求項4】
車両用の可倒式ルーフマウントアンテナ装置であって、該可倒式ルーフマウントアンテナ装置は、
アンテナロッドが電気的に接続される第1端子が固定配置されるジョイントアセンブリであって、第1端子は第1クリック構造を有する、ジョイントアセンブリと、
前記ジョイントアセンブリを揺動可能に枢支する一対の枢支部を有し、受信信号出力端子である第2端子が枢支部に固定配置されるベースアセンブリと、
前記第1端子に摺動可能に接触し、ジョイントアセンブリを揺動させる際に第1クリック構造に嵌合しクリック感を与えるための第2クリック構造を第1端子に接触する面に有する、クリックプレートと、
前記クリックプレートの第1端子に接触する面とは反対側の面からクリックプレートに付勢力を与えるようにクリックプレートと一体成型されクリックプレートの機能を有するする弾性部材と、
前記ベースアセンブリの一対の枢支部間に枢支固定され、前記第1端子が軸回転可能に軸通されると共に、クリックプレートが軸回転せず軸に沿って移動可能に軸通される、軸ボルトと、
を具備することを特徴とする可倒式ルーフマウントアンテナ装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の可倒式ルーフマウントアンテナ装置において、前記第1端子は、クリックプレート及び弾性部材を介して第2端子と電気的に接続されることを特徴とする可倒式ルーフマウントアンテナ装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項の何れかに記載の可倒式ルーフマウントアンテナ装置において、前記第1端子は、軸ボルトを介して第2端子と電気的に接続されることを特徴とする可倒式ルーフマウントアンテナ装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項の何れかに記載の可倒式ルーフマウントアンテナ装置において、
前記軸ボルトはフランジ面を有し、
前記弾性部材は、クリックプレートに接触する面とは反対側の面が軸ボルトのフランジ面に接触する、
ことを特徴とする可倒式ルーフマウントアンテナ装置。
【請求項8】
請求項に記載の可倒式ルーフマウントアンテナ装置において、前記第1端子は、第2端子に摺動可能に接触することを特徴とする可倒式ルーフマウントアンテナ装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項の何れかに記載の可倒式ルーフマウントアンテナ装置において、前記第2端子は、ベースアセンブリの一対の枢支部のうち、ジョイントアセンブリに固定配置される第1端子と近い側の枢支部に固定配置されることを特徴とする可倒式ルーフマウントアンテナ装置。
【請求項10】
請求項に記載の可倒式ルーフマウントアンテナ装置において、前記第2端子は、ベースアセンブリの一対の枢支部のうち、ジョイントアセンブリに固定配置される第1端子と遠い側の枢支部に固定配置されることを特徴とする可倒式ルーフマウントアンテナ装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10の何れかに記載の可倒式ルーフマウントアンテナ装置において、
前記軸ボルトは、異形軸を有し、
前記クリックプレートは、軸ボルトの異形軸に嵌合する異形孔を有する、
ことを特徴とする可倒式ルーフマウントアンテナ装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項10の何れかに記載の可倒式ルーフマウントアンテナ装置において、前記クリックプレートは、軸ボルトに対して軸回転せず軸に沿って移動可能にベースアセンブリの枢支部に配置されることを特徴とする可倒式ルーフマウントアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用の可倒式ルーフマウントアンテナ装置に関し、特に、アンテナロッドを揺動させるときにクリック感を有する車両用の可倒式ルーフマウントアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用の可倒式ルーフマウントアンテナ装置として、例えば特許文献1に開示のものがある。特許文献1に開示のものは、導電性且つ弾性を有するコの字形状のベースプレートにアンテナ部が枢支される構造を有している。そして、アンテナ部に設けられる揺動プレートが凸部を有し、ベースプレート側は、これに嵌合する凹部を有しており、これらによりクリック機構が構成されている。
【0003】
このような構成の場合、コの字形状のベースプレートの弾性のみによりクリック機構のクリックトルクが提供されているため、クリックトルクが弱く、車両走行中の振動等でアンテナロッドが意図せず倒れてしまう場合があった。
【0004】
そこで、このようなアンテナロッドの倒れを防止すべくクリックトルクを高めた構成を有する可倒式ルーフマウントアンテナ装置として、例えば特許文献2や特許文献3に記載のものがある。これらの可倒式ルーフマウントアンテナ装置は、ベースアセンブリの有底円筒状部材からなるクリックシリンダの底部に凹部を設け、ジョイントアセンブリの有底円筒状のジョイント部に設けられる凸部にコイルスプリングを用いて押圧することで、アンテナロッドを揺動させる際にクリック感を得る構造である。
【0005】
また、凹部と凸部がそれぞれ設けられる第1と第2のクラッチプレートを接続端子として用いると共に、コイルスプリングにより押圧してクリック感を得る構造の可倒式ルーフマウントアンテナ装置も知られている(特許文献4)。アンテナロッドを揺動させる際には、接続端子としても用いるクラッチプレートが撓むことにより、凹部と凸部の嵌合が解除されてクリック感が得られる構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-108848号公報
【文献】特開2007-306605号公報
【文献】特開2011-009928号公報
【文献】特開2003-032015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2や特許文献3のような可倒式ルーフマウントアンテナ装置は、部品点数が多く、また組み付け工数も多いため、コストもかさんでいた。また、部品点数が多いと各部品の公差が積み上げられ、クリック機構にがたつき等が生じ得るおそれもあった。
【0008】
また、特許文献4のような可倒式ルーフマウントアンテナ装置では、クラッチプレートはアンテナロッドの基端部材のモールド部分にインサート成形されているが、クラッチプレートの撓む起点が基端部材であるため、この撓みの繰り返しにより、基端部材のモールド部分が割れる可能性があった。モールド部分が割れてしまうと、外観不良や可撓トルクの損失、水侵入による可撓機構部品の錆や錆による導電不良等の不具合が発生し得る。また、部品点数も多く、複雑な構造によりコスト高となっていた。
【0009】
本発明は、斯かる実情に鑑み、部品点数も少なくクリック機構によりモールド部分が割れたり導電不良が起きたりすることもない車両用の可倒式ルーフマウントアンテナ装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明による車両用の可倒式ルーフマウントアンテナ装置は、アンテナロッドが電気的に接続される第1端子が固定配置されるジョイントアセンブリであって、第1端子は第1クリック構造を有する、ジョイントアセンブリと、ジョイントアセンブリを揺動可能に枢支する一対の枢支部を有し、受信信号出力端子である第2端子が枢支部に固定配置されるベースアセンブリと、第1端子に摺動可能に接触し、ジョイントアセンブリを揺動させる際に第1クリック構造に嵌合しクリック感を与えるための第2クリック構造を第1端子に接触する面に有する、クリックプレートと、クリックプレートの第1端子に接触する面とは反対側の面からクリックプレートに付勢力を与えるようにクリックプレートに接触する弾性部材と、ベースアセンブリの一対の枢支部間に枢支固定され、第1端子が軸回転可能に軸通されると共に、クリックプレートが軸回転せず軸に沿って移動可能に軸通される、軸ボルトと、を具備するものであれば良い。
【0011】
ここで、弾性部材は、ばね座金からなるものであれば良い。
【0012】
また、第1端子は、クリックプレート及び弾性部材を介して第2端子と電気的に接続されるものであれば良い。
【0013】
また、第1端子は、軸ボルトを介して第2端子と電気的に接続されるものであっても良い。
【0014】
また、弾性部材は、コイルばねからなるものであっても良い。
【0015】
また、軸ボルトはフランジ面を有し、弾性部材は、クリックプレートに接触する面とは反対側の面が軸ボルトのフランジ面に接触するものであっても良い。
【0016】
また、第1端子は、第2端子に摺動可能に接触するものであっても良い。
【0017】
また、弾性部材は、第2端子に摺動可能に接触するものであっても良い。
【0018】
また、軸ボルトはフランジ面を有し、第1端子は、クリックプレートに接触する面とは反対側の面が軸ボルトのフランジ面に接触するものであっても良い。
【0019】
また、第2端子は、ベースアセンブリの一対の枢支部のうち、ジョイントアセンブリに固定配置される第1端子と近い側の枢支部に固定配置されるものであっても良い。
【0020】
また、第2端子は、ベースアセンブリの一対の枢支部のうち、ジョイントアセンブリに固定配置される第1端子と遠い側の枢支部に固定配置されるものであっても良い。
【0021】
また、軸ボルトは、異形軸を有し、クリックプレートは、軸ボルトの異形軸に嵌合する異形孔を有するものであっても良い。
【0022】
また、クリックプレートは、軸ボルトに対して軸回転せず軸に沿って移動可能にベースアセンブリの枢支部に配置されるものであっても良い。
【0023】
また、弾性部材は、クリックプレートと一体成型されクリックプレートの機能を有するものであっても良い。
【発明の効果】
【0024】
本発明の車両用の可倒式ルーフマウントアンテナ装置には、部品点数も少なくクリック機構によりモールド部分が割れたり導電不良が起きたりすることもないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置を説明するための分解斜視図である。
図2図2は、本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置を説明するための横断面図である。
図3図3は、本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置の他の例を説明するための横断面図である。
図4図4は、本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置の他の例を説明するための横断面図である。
図5図5は、本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置の他の例を説明するための横断面図である。
図6図6は、本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置の他の例を説明するための横断面図である。
図7図7は、本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置の他の例を説明するための図である。
図8図8は、本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置の他の例を説明するための横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態を図示例と共に説明する。図1は、本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置を説明するための分解斜視図である。図示の通り、本発明の車両用の可倒式ルーフマウントアンテナ装置は、ジョイントアセンブリ10と、ベースアセンブリ20と、クリックプレート30と、弾性部材40と、軸ボルト50と、から主に構成されている。なお、ジョイントアセンブリ10とベースアセンブリ20は、図示例ではその樹脂モールドを破線で示した。また、クリックプレート30や弾性部材40、軸ボルト50は、ジョイントアセンブリ10やベースアセンブリ20の側部に組立前の分解状態で示した。また、図2は、本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置を説明するための横断面図である。図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
【0027】
ジョイントアセンブリ10には、第1端子11が固定配置されている。第1端子11は、例えばジョイントアセンブリ10の樹脂モールドにインサート成形されれば良い。第1端子11には、アンテナロッド(図示せず)が電気的に接続される。第1端子11は、第1クリック構造12を有している。第1端子11は、例えば導電性の板状部材から構成されれば良く、円形板状部材と、円形板状部材からアンテナロッド側に延在するL字状部材からなる形状を有している。図示例では、第1クリック構造12は、円形板状部材に設けられた孔部からなるものを示した。孔部は、凹部からなるものであっても良い。また、後述の第2クリック構造31との関係によっては、第1クリック構造12が凸部からなるものであっても良い。第1端子11には、後述の軸ボルト50が軸通する軸孔14が設けられている。軸孔14は、図示例では円形孔としている。第1端子11は、ジョイントアセンブリ10に固定配置されるため、ジョイントアセンブリ10に対して移動することはない。また、ジョイントアセンブリ10には、アンテナロッドがねじ込まれるジョイント13も固定配置されており、ジョイント13と第1端子11が電気的に接続されている。
【0028】
ベースアセンブリ20は、ジョイントアセンブリ10を揺動可能に枢支する一対の枢支部21,22を有する。ベースアセンブリ20には、受信信号出力端子である第2端子23が枢支部21,22に固定配置されている。第2端子23は、例えばベースアセンブリ20の樹脂モールドにインサート成形されれば良い。ここで、図示例では、第2端子23は、一対の枢支部21,22のうち、枢支部21側に固定配置されている。枢支部21は、ジョイントアセンブリ10に固定配置される第1端子11と近い側の枢支部である。第2端子23は、例えば導電性の板状部材から構成されれば良く、円形板状部材と、円形板状部材から車両室内側に延在するI字状部材からなる形状を有している。第2端子23も、ベースアセンブリ20に固定配置されるため、ベースアセンブリ20に対して移動することはない。ベースアセンブリ20の枢支部21,22には、後述の軸ボルト50が軸通する軸孔24,25が設けられている。軸孔25は、図示例では異形孔としている。なお、枢支部21,22に設けられる軸孔24,25は、図示例に限定されず、例えばU字溝であっても良い。また、第2端子23にも、後述の軸ボルト50が軸通する軸孔26が設けられている。
【0029】
なお、図示の通り、ジョイントアセンブリ10とベースアセンブリ20の摺動面(ジョイントアセンブリ10と枢支部21の間)には、必要によりOリング60が設けられても良い。枢支部21側には、第1端子11や第2端子23が存在するため、この摺動面から水や塵等が侵入してこないように、Oリング60により防水・防塵を行えば良い。また、ジョイントアセンブリ10とベースアセンブリ20の摺動面に、軸ブレ抑制を補助するために環状凹凸部を設けても良い。具体的には、例えば摺動面のベースアセンブリ20の軸孔24の周辺に環状凹部を設けると共に、ジョイントアセンブリ10の摺動面に、環状凹部に嵌合する環状凸部又は半環状凸部を設けても良い。
【0030】
クリックプレート30は、第1端子11に摺動可能に接触している。クリックプレート30は、第2クリック構造31を有している。第2クリック構造31は、第1端子11に接触する面に設けられる。第2クリック構造31は、ジョイントアセンブリ10を揺動させる際に、第1クリック構造12に嵌合しクリック感を与えるためのものである。クリックプレート30は、例えば導電性の円形板状部材からなるものであれば良い。図示例では、第2クリック構造31は、円形板状部材に設けられた凸部からなるものを示した。この第2クリック構造31の凸部が、第1クリック構造12の凹部に嵌合しており、ジョイントアセンブリ10を揺動させた際に第2クリック構造31が第1クリック構造12から外れるため、クリック感が得られる。なお、第1クリック構造12が凸部からなるものであれば、第2クリック構造31は凹部からなるものであれば良い。クリックプレート30には、後述の軸ボルト50が軸通する軸孔34が設けられている。軸孔34は、図示例では異形孔としている。
【0031】
即ち、本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置では、アンテナロッドを揺動させるときにジョイントアセンブリ10とベースアセンブリ20との間にクリック感を与えるためのクリック機構として、第1端子11の第1クリック構造12と、クリックプレート30の第2クリック構造31とを用いている。
【0032】
弾性部材40は、クリックプレート30の第1端子11に接触する面とは反対側の面からクリックプレート30に付勢力を与えるようにクリックプレート30に接触するものである。即ち、弾性部材40により、クリックプレート30は第1端子11側に付勢力を与えられている。図示例では、弾性部材40として、ばね座金からなるものを示した。ばね座金は、例えば導電性部材からなり、図示例のように、ワッシャの周縁部を板ばね41として用いるように折り曲げ形成したものである。弾性部材40にも、後述の軸ボルト50が軸通する軸孔44が設けられている。図示例では、弾性部材40は、第2端子23に摺動可能に接触するように構成されている。即ち、第1端子11と第2端子23の間に、クリックプレート30及び弾性部材40が挟まれるように構成されている。
【0033】
軸ボルト50は、ベースアセンブリ20の一対の枢支部21,22間に枢支固定されるものである。軸ボルト50は、例えば導電性部材からなるものであれば良い。図示のように、軸ボルト50は異形軸を有するものであり、枢支部21,22に設けられる軸孔24,25に嵌合し、例えばナット55により枢支部21,22間に枢支固定されている。即ち、異形軸を有する軸ボルト50は、枢支部22の異形孔を有する軸孔25に嵌合することで、ベースアセンブリ20に対して移動することはなく、軸回転しないように固定されることになる。そして、第1端子11は、軸回転可能に軸ボルト50に軸通される。即ち、第1端子11の軸孔14は円形孔であり、軸ボルト50が軸孔14に軸通する部分がそれに合わせた円筒軸を有しており、第1端子11が軸ボルト50に対して軸回転可能に構成されている。これにより、ジョイントアセンブリ10を揺動させる際に、軸ボルト50に対して第1端子11が軸回転可能となる。一方、クリックプレート30は、軸回転せず軸に沿って移動可能に軸ボルト50に軸通される。即ち、軸ボルト50が軸孔34に軸通する部分が異形軸を有しており、クリックプレート30の軸孔34は、軸ボルト50の異形軸に嵌合する異形孔で構成されている。これにより、クリックプレート30が軸ボルト50に対して軸回転しないように構成されている。したがって、クリックプレート30は、軸回転はしないが、軸ボルト50に対して軸に沿って移動可能に軸通されることになる。即ち、クリックプレート30は、軸方向(図2上で左右方向)にのみ移動可能に軸通されている。
【0034】
なお、本発明の可倒式ルーフマウントアンテナでは、ジョイントアセンブリ10の揺動に対してクリックプレート30が軸回転しないように構成されていれば、軸孔34や軸ボルト50は、必ずしも異形である必要はない。
【0035】
図2に示される通り、軸ボルト50は、フランジ面51を有している。そして、第1端子11は、クリックプレート30に接触する面とは反対側の面が、このフランジ面51に接触するように構成されている。即ち、第1端子11は、弾性部材40により付勢されるクリックプレート30により押圧されても、フランジ面51によりその位置が固定されることになる。したがって、第1端子11が変形することもない。なお、第1端子11のクリックプレート30に接触する面と反対側の面は、フランジ面51の代わりに、樹脂モールドにより固定されても良い。
【0036】
ここで、クリックプレート30や弾性部材40が導電性部材からなるものであれば、第1端子11は、クリックプレート30及び弾性部材40を介して第2端子23と電気的に接続される。さらに、軸ボルト50が導電性部材であれば、第1端子11は、軸ボルト50を介して第2端子23と電気的に接続されることになる。したがって、第1端子11と第2端子23は、確実に電気的に接続される。
【0037】
このように、本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置では、クリック機構を構成する第1端子11や第2端子23は固定配置される一方、クリックプレート30が軸に沿って移動可能に構成されている。したがって、第1端子11や第2端子23が撓むことはないので、クリック機構によりモールド部分が割れることもない。また、確実に電気的に接続されるため、導電不良が起きるおそれもない。また、クリック機構を第1端子に配置された第1クリック構造とクリックプレート30と弾性部材40のみで構成できるため、部品点数も少なく、各部品の公差の積み上げによるがたつき等も少ない。
【0038】
次に、図3を用いて本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置の他の例について説明する。図3は、本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置の他の例を説明するための横断面図である。図中、図1図2と同一の符号を付した部分は同一物を表している。図2に示される例では、第1端子11と第2端子23の間にクリックプレート30及び弾性部材40が挟まれるように構成されていた。図3に示される例では、第1端子11は、第2端子23に摺動可能に接触している。即ち、第1端子11と第2端子23は、直接接触している。そして、軸ボルト50は、フランジ面51を有している。弾性部材40は、クリックプレート30に接触する面とは反対側の面が、このフランジ面51に接触するように構成されている。即ち、クリックプレート30及び弾性部材40は、第1端子11と軸ボルト50のフランジ面51に挟まれるように構成されている。
【0039】
このように構成されても、部品点数は変わらず、また、第1端子11及び第2端子23は固定配置され撓むこともない。また、第1端子11及び第2端子23は直接接触しているため、確実に電気的に接続される。さらに、組み付けの際には、クリックプレート30及び弾性部材40を軸ボルト50に装着した状態でジョイントアセンブリ10に挿入すれば良いため、より容易に組み付け可能となる。
【0040】
次に、図4を用いて本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置の他の例について説明する。図4は、本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置の他の例を説明するための横断面図である。図中、図1図2と同一の符号を付した部分は同一物を表している。図2に示される例では、クリックプレート30とそれに付勢力を与える弾性部材40とが別体で構成されていた。図4に示される例では、弾性部材は、クリックプレートと一体成型された弾性クリックプレート45で構成されている。例えば、ばね座金のワッシャの周縁部の板ばね41に第2クリック構造31を設ければ良い。このように構成されると、部品点数はさらに減り、組み付けもさらに容易となる。
【0041】
次に、図5を用いて本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置の他の例について説明する。図5は、本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置の他の例を説明するための横断面図である。図中、図1図2と同一の符号を付した部分は同一物を表している。図2乃至図4に示される例では、第2端子23は一対の枢支部21,22のうち、枢支部21側に固定配置されるように構成されていた。図5に示される例では、第2端子23は、枢支部22側に固定配置されるように構成されている。即ち、第2端子23は、ジョイントアセンブリ10に固定配置される第1端子11と遠い側の枢支部22に固定配置されている。この場合、軸ボルト50が導電性部材からなると共に、第1端子11に接触するフランジ面51を有するように構成される。また、第2端子23は、枢支部22側で軸ボルト50に直接接触するように構成されている。このように、本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置は、一対の枢支部21,22のどちらにも第2端子23を固定配置可能である。したがって、可倒式ルーフマウントアンテナ装置の配置や回路レイアウト等の自由度が高いものである。
【0042】
次に、図6を用いて本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置の他の例について説明する。図6は、本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置の他の例を説明するための横断面図である。図中、図1図2と同一の符号を付した部分は同一物を表している。図6に示される例は、図3に示される例と図5に示される例を組み合わせたような構成である。即ち、クリックプレート30及び弾性部材40は、第1端子11と軸ボルト50のフランジ面51に挟まれるように構成されると共に、第2端子23は、枢支部22側に固定配置されるように構成されている。このように構成されても、組み付けの際には、クリックプレート30及び弾性部材40を軸ボルト50に装着した状態でジョイントアセンブリ10に挿入すれば良いため、より容易に組み付け可能となる。
【0043】
次に、図7を用いて本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置の他の例について説明する。図7は、本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置の他の例を説明するための図であり、図7(a)が横断面図であり、図7(b)が枢支部をジョイントアセンブリ側から見た側面図である。図中、図1図2と同一の符号を付した部分は同一物を表している。図2乃至図6に示される例では、何れもクリックプレート30は異形孔を有し、異形軸を有する軸ボルト50に嵌合して軸回転しないように構成されるものであった。図7に示される例は、クリックプレート30の軸孔34は円形孔である。一方、クリックプレート30の周縁部には凹部32が設けられており、これがベースアセンブリ20の枢支部21に設けれた軸孔24内に設けられる凸部28に嵌合するように構成されている。これにより、クリックプレート30は、軸ボルト50に対して軸回転せず軸に沿って移動可能にベースアセンブリ20の枢支部21に配置されることになる。即ち、クリックプレート30は、枢支部21の軸孔24内で、凹部32及び凸部28により軸回転しないように構成されると共に、軸方向(図7(a)上で左右方向)に移動可能に軸通されることになる。なお、クリックプレート30の軸孔34を異形孔とし、これに嵌合する異形軸をベースアセンブリ20の枢支部21に配置しても良い。枢支部21に配置される異形軸の中に円形軸孔を設ければ、軸ボルト50は円形軸で構成可能である。このように、本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置では、軸ボルト50は必ずしも異形軸を有するものには限らず、円形軸であっても良い。
【0044】
次に、図8を用いて本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置の他の例について説明する。図8は、本発明の可倒式ルーフマウントアンテナ装置の他の例を説明するための横断面図である。図中、図1図2と同一の符号を付した部分は同一物を表している。図2乃至図7に示される例では、何れも弾性部材40がばね座金からなる例をしめした。図8に示される例は、弾性部材40がコイルばねからなるものである。図8に示される例は、図3図6に示される例の変形例である。図示の通り、弾性部材40がコイルばねから構成されており、これによりクリックプレート30に付勢力を与えている。コイルばねのクリックプレート30とは反対側の面が、図3図6と同様に、軸ボルト50のフランジ面51に接触するように構成されている。コイルばねは、ばね座金と比べて付勢力の調整が容易であり、より安価に構成可能である。
【0045】
なお、本発明の車両用の可倒式ルーフマウントアンテナ装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
10 ジョイントアセンブリ
11 第1端子
12 第1クリック構造
13 ジョイント
14 軸孔
20 ベースアセンブリ
21,22 枢支部
23 第2端子
24,25 軸孔
26 軸孔
28 凸部
30 クリックプレート
31 第2クリック構造
32 凹部
34 軸孔
40 弾性部材
44 軸孔
45 弾性クリックプレート
50 軸ボルト
51 フランジ面
55 ナット
60 Oリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8